(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】発光装置及び描画装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20240214BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20240214BHJP
B41J 2/455 20060101ALI20240214BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240214BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240214BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
B41J2/45
B41J2/455
G03G15/04
H04N1/00 519
H04N1/036
(21)【出願番号】P 2020054934
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 洋介
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-109837(JP,A)
【文献】特開2017-177664(JP,A)
【文献】特開2006-069061(JP,A)
【文献】特開2019-106324(JP,A)
【文献】特開2007-072321(JP,A)
【文献】特開2008-238415(JP,A)
【文献】実開昭63-045564(JP,U)
【文献】特開平05-177864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0067531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
B41J 2/45
B41J 2/455
G03G 15/04
H04N 1/00
H04N 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる基体と、
前記基体の表面側に
配置される複数の光源と、
前記複数の光源を有する発光部の側部に設けられ、前記発光部を駆動する基板と、
前記基体に設けられた開口を介して、前記発光部の側にエアーを吹き付けるエアー吹き付け部と、を有し、
前記基体の開口は、前記基板の位置に対応する位置に設けられている発光装置。
【請求項2】
前記基体の開口は、前記基体の一方向から見て前記基体の上下方向で、前記基板と重なる位置に設けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基体の開口は、前記基体の一方向と前記基体の上下方向の両方に直交する前記基体の幅方向から見て、前記基体の上下方向で、前記基板と重なる位置に設けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基体の開口は、前記基体の一方向から見て前記基体の上下方向で、前記基板と重なる位置に設けられると共に、前記基体の一方向と前記基体の上下方向の両方に直交する前記基体の幅方向から見て、前記基体の上下方向で、前記基板と重なる位置に設けられている請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
一方向に延びる基体と、
前記基体の表面側に
配置される、複数の光源を発光するための発光素子基板と、
前記複数の光源を有する発光部を駆動するための駆動基板と、
前記基体に設けられた開口を介して、前記発光部の側にエアーを吹き付けるエアー吹き 付け部と、を有し、
前記基体の開口は、前記発光素子基板よりも、前記駆動基板に近い位置に設けられている発光装置。
【請求項6】
前記開口は、前記発光部の前記一方向に沿って複数設けられている請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光部の側部に
前記駆動基板が設けられており、
前記開口は、
前記駆動基板と対応する位置に設けられている
請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
前記基板の発熱素子と対応する位置に前記開口が設けられている
請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
複数の前記発光部は、前記基体の前記一方向と交差する幅方向にずれて配置されており、
前記開口は、前記発光部よりも前記基体の前記幅方向の内側に設けられている請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
平面視にて前記基体に3本の前記発光部が千鳥配置されている請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記基体の前記幅方向における複数の前記発光部の内側側部は、前記基体の表面に対して内側に傾いている請求項9又は請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記開口は、前記基体の前記一方向に複数設けられており、
前記基体の前記一方向に沿って、複数の前記開口にエアーを供給する主流路が設けられている請求項1から請求項11までに記載の発光装置。
【請求項13】
前記基体は、金属ブロックで構成されている請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記発光部は、前記一方向に延びる支持体に、前記一方向に沿って前記複数の光源が支持されており、
前記支持体が金属ブロックで構成されている請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項15】
前記発光部は、前記支持体における前記基体と反対の表面側に配置された発光素子を備える請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記エアー吹き付け部は、前記開口を介して前記基体の表面に対して、前記発光部の側に斜め方向にエアーを吹き付ける請求項1又は請求項5に記載の発光装置。
【請求項17】
前記駆動基板の発熱素子と対応する位置に前記開口が設けられている
請求項7に記載の発光装置。
【請求項18】
請求項1から請求項
17までのいずれか1項の発光装置と、
前記発光装置に対して前記一方向と交差する方向に相対的に移動し、前記発光装置からの光が照射される感光材が配置される領域と、
を有する描画装置。
【請求項19】
前記領域は、周方向に回転する円筒状部材の表面に設けられている請求項
18に記載の描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、第1の方向に並んで第1の光を各々発する複数の第1の発光素子と、前記第1の方向と交差する第2の方向において前記複数の第1の発光素子と対向して配置され、前記複数の第1の発光素子から各々発せられた複数の前記第1の光を各々結像する第1の光学系と、第1の継手と、前記複数の第1の発光素子、前記第1の光学系および前記第1の継手を支持する第1の基体とを有する第1の露光ヘッドと、前記第1の方向に並んで第2の光を各々発する複数の第2の発光素子と、前記第2の方向において前記複数の第2の発光素子と対向して配置され、前記複数の第2の発光素子から各々発せられた複数の前記第2の光を各々結像する第2の光学系と、前記第1の継手と嵌合する第2の継手と、前記複数の第2の発光素子、前記第2の光学系および前記第2の継手を支持する第2の基体とを有する第2の露光ヘッドと、を備えた露光装置が開示されている。露光装置では、前記第1の継手は、前記第1の基体のうちの、前記第1の光学系の結像位置に応じた第1の位置に設けられ、前記第2の継手は、前記第2の基体のうちの、前記第2の光学系の結像位置に応じた第2の位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エアー吹き付け部が基体の幅方向外側に配置されている場合と比較して、発光装置の幅方向の寸法が低減される発光装置及び描画装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る発光装置は、一方向に延びる基体と、前記基体の表面側に前記一方向にずれて複数配置され、前記一方向に延びる支持体に、前記一方向に沿って複数の光源が支持された発光部と、前記基体に設けられた開口を介して、前記発光部の側にエアーを吹き付けるエアー吹き付け部と、を有する。
【0006】
第2態様に係る発光装置は、第1態様に記載の発光装置において、前記エアー吹き付け部は、前記基体の裏面側から前記発光部が配置された表面側に向かってエアーを流す構成とされている。
【0007】
第3態様に係る発光装置は、第2態様に記載の発光装置において、前記発光部は、前記基体の上方に配置されており、前記エアー吹き付け部は、前記基体の下方から上方に向かってエアーを流す構成とされている。
【0008】
第4態様に係る発光装置は、第1態様から第3態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記開口は、前記発光部の前記一方向に沿って複数設けられている。
【0009】
第5態様に係る発光装置は、第1態様から第4態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記発光部には、複数の前記光源からの光を出射する光出射部が設けられており、前記発光部を挟んで前記開口と反対側には、前記光出射部を清掃するための清掃機構が設けられている。
【0010】
第6態様に係る発光装置は、第1態様から第5態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記エアー吹き付け部は、前記開口を介して前記基体の表面に対して、前記発光部の側に斜め方向にエアーを吹き付ける。
【0011】
第7態様に係る発光装置は、第1態様から第6態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記発光部の側部には基板が設けられており、前記開口は、前記基板と対応する位置に設けられている。
【0012】
第8態様に係る発光装置は、第7態様に記載の発光装置において、前記基板の発熱素子と対応する位置に前記開口が設けられている。
【0013】
第9態様に係る発光装置は、第1態様から第8態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、複数の前記発光部は、前記基体の前記一方向と交差する幅方向にずれて配置されており、前記開口は、前記発光部よりも前記基体の前記幅方向の内側に設けられている。
【0014】
第10態様に係る発光装置は、第9態様に記載の発光装置において、平面視にて前記基体に3本の前記発光部が千鳥配置されている。
【0015】
第11態様に係る発光装置は、第9態様又は第10態様に記載の発光装置において、前記基体の前記幅方向における複数の前記発光部の内側側部は、前記基体の表面に対して内側に傾いている。
【0016】
第12態様に係る発光装置は、第1態様から第11態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記開口は、前記基体の前記一方向に複数設けられており、前記基体の前記一方向に沿って、複数の前記開口にエアーを供給する主流路が設けられている。
【0017】
第13態様に係る発光装置は、第1態様から第12態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記基体は、金属ブロックで構成されている。
【0018】
第14態様に係る発光装置は、第1態様から第13態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置において、前記支持体が金属ブロックで構成されている。
【0019】
第15態様に係る発光装置は、第14態様に記載の発光装置において、前記発光部は、前記支持体における前記基体と反対の表面側に配置された発光素子を備える。
【0020】
第16態様に係る発光装置は、一方向に延びる金属ブロックで構成された基体と、前記基体の表面側に前記一方向にずれて複数配置され、前記一方向に延びる支持体に、前記一方向に沿って複数の光源が支持された発光部と、を備え、前記基体には、前記発光部の前記一方向に沿って開口が設けられている。
【0021】
第17態様に係る発光装置は、第16態様に記載の発光装置において、前記開口は、前記発光部の前記一方向に沿って複数設けられている。
【0022】
第18態様に係る発光装置は、第16態様又は第17態様に記載の発光装置において、複数の前記発光部は、前記基体の前記一方向と交差する幅方向にずれて配置されており、前記開口は、前記発光部よりも前記基体の前記幅方向の内側に設けられている。
【0023】
第19態様に係る描画装置は、第1態様から第18態様までのいずれか1つの態様に記載の発光装置と、前記発光装置に対して前記一方向と交差する方向に相対的に移動し、前記発光装置からの光が照射される感光材が配置される領域と、を有する。
【0024】
第20態様に係る描画装置は、第19態様に記載の描画装置において、前記領域は、周方向に回転する円筒状部材の表面に設けられている。
【発明の効果】
【0025】
第1態様に係る発光装置によれば、エアー吹き付け部が基体の幅方向外側に配置されている場合と比較して、発光装置の幅方向の寸法が低減される。
【0026】
第2態様に係る発光装置によれば、基体の側方側から表面側に向かってエアーを流す構成と比較して、発光装置の幅方向の寸法が低減される。
【0027】
第3態様に係る発光装置によれば、基体の上方から下方に向かってエアーを流す構成と比較して、発光装置の周囲に拡散された粉体が発光装置に侵入することが抑制される。
【0028】
第4態様に係る発光装置によれば、単一の開口が設けられた場合と比較して、発光部がまんべんなく冷却される。
【0029】
第5態様に係る発光装置によれば、清掃機構が開口と同じ側に設けられている場合と比較して、清掃機構によりエアーの流れが阻害されにくい。
【0030】
第6態様に係る発光装置によれば、基体の表面に対して垂直に開口が形成されている場合と比較して、発光部を冷却しやすい。
【0031】
第7態様に係る発光装置によれば、基板に対してずれた位置に開口がある場合と比較して、基板を冷却しやすい。
【0032】
第8態様に係る発光装置によれば、基板の発熱素子に対してずれた位置に開口がある場合と比較して、発熱素子を冷却しやすい。
【0033】
第9態様に係る発光装置によれば、開口が発光部よりも基体の幅方向外側に設けられている場合と比較して、基体の幅方向の寸法が小さくなる。
【0034】
第10態様に係る発光装置によれば、平面視にて基体に3本の発光部が千鳥配置されている構成において、開口が発光部よりも基体の幅方向外側に設けられている場合と比較して、基体の幅方向の寸法が小さくなる。
【0035】
第11態様に係る発光装置によれば、複数の発光部の内側側部が基体の表面に対して垂直に配置されている場合と比較して、エアーが複数の発光部に効率よく吹き付けられる。
【0036】
第12態様に係る発光装置によれば、複数の開口にそれぞれ別の流路を介してエアーを供給する場合と比べて、複数の開口にエアーが効率よく供給される。
【0037】
第13態様に係る発光装置によれば、基体が板金の場合と比較して、複数の発光部からの放熱が良好となる。
【0038】
第14態様に係る発光装置によれば、支持体が樹脂の場合と比較して、複数の発光部からの放熱が良好となる。
【0039】
第15態様に係る発光装置によれば、支持体の表面側に発光素子基板を備えた構成において、支持体が樹脂の場合と比較して、複数の発光部からの放熱が良好となる。
【0040】
第16態様に係る発光装置によれば、基体の裏側にエアー吹き付け部を配置した場合に、基体の下方から上方に向けてエアーが流れる。
【0041】
第17態様に係る発光装置によれば、開口が1つの場合と比較して、発光部を冷却しやすい。
【0042】
第18態様に係る発光装置によれば、開口が発光部よりも基体の幅方向外側に設けられている場合と比較して、基体の幅方向の寸法が小さくなる。
【0043】
第19態様に係る描画装置によれば、エアー吹き付け部が基体の幅方向外側に配置されている場合と比較して、発光装置を備えた描画装置全体の小型化が可能となる。
【0044】
第20態様に係る描画装置によれば、円筒状部材を備えた構成において、発光装置を備えた描画装置全体の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】第1実施形態に係る露光装置を備えた画像形成装置を示す概略図である。
【
図2】画像形成装置に用いられる露光装置を示す斜視図である。
【
図3】露光装置を上下方向から見た状態で示す構成図である。
【
図4】露光装置の複数の発光部を示す斜視図である。
【
図6】露光装置の複数の発光部を短手方向に切断した状態で示す断面図である。
【
図7】露光装置を短手方向に切断した状態で示す断面図である。
【
図8】露光装置のエアー供給装置を基体の長手方向に切断した状態で示す断面図である。
【
図10】発光部の一部を短手方向に切断した状態で示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態に係る露光装置のエアー供給装置を基体の長手方向に切断した状態で示す断面図である。
【
図12】第3実施形態に係る露光装置のエアー供給装置を基体の短手方向に切断した状態で示す断面図である。
【
図13】第4実施形態に係る発光装置を備えた描画装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という。)について説明する。
【0047】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置10>
図1は、第1実施形態に係る露光装置40を備えた画像形成装置10の構成を示す概略図である。まず、画像形成装置10の構成を説明する。次いで、画像形成装置10に用いられる露光装置40について説明する。ここで、画像形成装置10は、描画装置の一例であり、露光装置40は、発光装置の一例である。画像形成装置10は、一例として、複数色で画像を形成する画像形成装置であり、例えば、特に高画質が求められる商業印刷用のフルカラープリンタである。
【0048】
また、画像形成装置10は、B3縦送りの際の記録媒体Pの幅を超える幅(すなわち、364mmを超える幅)に対応した広幅用の画像形成装置である。一例として、A2縦送りである420mm以上、B0横送りである1456mm以下のサイズの記録媒体Pに対応している。例えば、画像形成装置10は、B2横送りである728mmに対応している。
【0049】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。トナーは、粉体の一例である。さらに具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、定着装置16と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14及び定着装置16)について説明する。
【0050】
<画像形成部14>
画像形成部14は、トナー画像を記録媒体Pに形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、転写装置17と、を有している。
【0051】
<トナー像形成部22>
図1に示されるトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。
図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0052】
なお、各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、
図1ではトナー像形成部22(K)の各部に符号を付している。
【0053】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば
図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32を有している。ここで、感光体ドラム32は、円筒状部材の一例であり、感光体ドラム32の表面の感光体は、感光材が配置される領域の一例である。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置40と、現像装置38と、を有している。
【0054】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置40が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置40によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0055】
感光体ドラム32は、前述のように形成された静電潜像を外周に保持して回転し、静電潜像が現像装置38へ搬送される。なお、露光装置40の具体的な構成については、後述する。
【0056】
<転写装置17>
図1に示される転写装置17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置17は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト24に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。具体的には、転写装置17は、
図1に示されるように、転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写ロール28と、を備えている。
【0057】
一次転写ロール26は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール26と感光体ドラム32との間に一次転写電界が印加されることで、感光体ドラム32に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写される。
【0058】
転写ベルト24は、各色の感光体ドラム32からトナー画像が外周面に転写される。具体的には、転写ベルト24は、以下のように構成されている。転写ベルト24は、
図1に示されるように、環状を成すと共に、複数のロール39に巻き掛けられて姿勢が決められている。
【0059】
転写ベルト24は、例えば、複数のロール39のうち、駆動ロール39Dが、駆動部(図示省略)によって回転駆動することで、矢印A方向へ周回する。なお、複数のロール39のうち、
図1に示すロール39Bは、二次転写ロール28に対向する対向ロール39Bである。
【0060】
二次転写ロール28は、転写ベルト24に転写されたトナー画像を、対向ロール39Bと二次転写ロール28との間の二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写するロールである。本実施形態では、対向ロール39Bと二次転写ロール28との間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト24に転写されたトナー画像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。
【0061】
<定着装置16>
図1に示される定着装置16は、二次転写ロール28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。具体的には、定着装置16は、
図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール16Aと、加圧部材としての加圧ロール16Bと、を有している。定着装置16では、加熱ロール16A及び加圧ロール16Bによって、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0062】
<露光装置40>
次に、本実施形態の主要部である露光装置40の構成を説明する。
図2は、露光装置40の構成を示す斜視図である。また、
図3は、露光装置40を上下方向から見た状態で示す平面図である。以下の説明では、図中に示す矢印X方向を露光装置40の幅方向として、矢印Y方向を露光装置40の高さ方向として説明する。また、装置幅方向及び装置高さ方向のそれぞれに直交する矢印Z方向を露光装置40の奥行き方向とする。なお、上記の幅方向及び高さ方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、露光装置40の構成が、これらの方向に限定されるものではない。
【0063】
(露光装置40の全体構成)
まず、露光装置40の全体構成について説明し、次に、露光装置40の各部材について説明する。
【0064】
露光装置40は、
図2及び
図3に示されるように、一方向(本実施形態では、矢印Z方向)に延びる基体42と、基体42の矢印Y方向の一方側(
図2及び
図3では、上下方向の上側)に設けられた複数の発光部44と、を備えている。本実施形態では、基体42の一方向に延びた3つの発光部44が設けられている。基体42は、
図3に示す平面視にて矩形状の長尺部材とされている。発光部44は、それぞれ同じ構成とされており、
図3に示す平面視にて矩形状の長尺部材とされている。発光部44の一方向(すなわち、長手方向)の長さは、基体42の一方向(すなわち、長手方向)の長さよりも短い。
【0065】
一例として、3つの発光部44は、基体42の一方向(矢印Z方向)にずれて配置されると共に、基体42の一方向と直交する幅方向、すなわち基体42の短手方向(矢印X方向)にずれて配置されている。露光装置40は、感光体ドラム32(
図1参照)の軸方向に沿って配置されており、露光装置40の一方向(矢印Z方向)の長さは、感光体ドラム32の軸方向の長さ以上とされている。3つの発光部44は、いずれか1つ以上が感光体ドラム32の表面の感光体が設けられた領域に対向している。これにより、露光装置40から出射された光が感光体ドラム32の表面に照射されるようになっている。
【0066】
図2及び
図3等に示す露光装置40では、基体42における発光部44が設けられた側が上下方向の上側となるように図示されており、発光部44から上側に向かって光が照射されるが、
図1に示す画像形成装置10では、露光装置40の上下方向が逆になる。すなわち、
図1では、露光装置40は、基体42における発光部44が設けられた側が上下方向の下側となるように配置されており、発光部44から下側の感光体ドラム32に向かって光が照射される。
【0067】
本実施形態では、3つの発光部44は、露光装置40の上下方向上側から見た状態で千鳥状に配置されている(
図3参照)。より具体的には、基体42の一方向(矢印Z方向)の両端部側には、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に2つの発光部44が配置されている。基体42の一方向(矢印Z方向)の中央部には、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に1つの発光部44が配置されている。基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に配置された2つの発光部44の端部と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に配置された1つの発光部44の端部とは、基体42の短手方向(矢印X方向)から見て互いに重なっている。すなわち、基体42の一方向(矢印Z方向)において、3つの発光部44からの光の照射範囲の一部が重なっている。
【0068】
また、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側に配置された2つの発光部44と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側に配置された1つの発光部44とは、基体42の一方向(矢印Z方向)から見て重ならない。
【0069】
また、
図4及び
図5に示されるように、露光装置40は、3つの発光部44にそれぞれ電気的に接続されるハーネス46と、ハーネス46を保持する複数のブラケット48と、ハーネス46及びブラケット48を外側から覆う下部カバー50と、を備えている。ハーネス46は、電源供給に用いられる複数の配線を束にして集合部品としたものである。ブラケット48は、基体42に取り付けられており、基体42から矢印Y方向の他方側(
図2では、上下方向の下側)に延びている。下部カバー50は、基体42の矢印Y方向の他方側(
図2では、上下方向の下側)に取り付けられる。
【0070】
また、
図2及び
図3に示されるように、露光装置40は、3つの発光部44の側方を覆う側部カバー52を備えている。側部カバー52は、板状であり、下端部側が基体42の短手方向(矢印X方向)の両側に取り付けられている。また、露光装置40は、発光部44の後述するレンズ部68を清掃する清掃装置54を備えている。
【0071】
また、露光装置40は、
図5及び
図6に示されるように、基体42と発光部44との間に挟まれる複数のスペーサ56と、複数のスペーサ56が介在された状態で発光部44を基体42に固定する締結部材58と、を備えている。締結部材58は、例えば、らせん状の溝を有し、この溝によって締結する部材である。言い換えるとネジ機構を有する部材であり、例えば、ネジ、ボルト、ビスなどである。
【0072】
さらに、
図3、
図4及び
図7に示されるように、露光装置40は、基体42に設けられた開口132Aを介して、発光部44の側にエアーを吹き付けるエアー供給装置130を備えている。
【0073】
なお、図示を省略するが、基体42の一方向(矢印Z方向)の両端部には、上下方向上側に延びた位置決めシャフトが設けられている。位置決めシャフトは、感光体ドラム32の両端に設けられたベアリング部材に接触することで、感光体ドラム32に対して露光装置40を照射方向に位置決めする。
【0074】
(基体42)
図5~
図8に示されるように、基体42は、直方体状の細長い部材で構成されている。基体42は、感光体ドラム32(
図1)の軸方向の全長と対向する位置に配置されている。
【0075】
基体42の上下方向(矢印Y方向)上側の表面42Aには、スペーサ56が入る凹部80が設けられている(
図6参照)。一例として、1つの発光部44に対し、一方向(矢印Z方向)に間隔をおいて3つのスペーサ56が配置されている。本実施形態では、3つの発光部44に対して、それぞれ3つのスペーサ56が配置されている。
【0076】
凹部80は、底面を構成すると共に基体42の表面42Aに対して傾斜する傾斜面80Aと、傾斜面80Aの下り方向の端部に配置された縦壁80Bと、傾斜面80Aの両側に対向して配置される2つの縦壁(図示省略)と、を備えている(
図5参照)。一例として、基体42の短手方向の一方側に配置された2つの発光部44に対する傾斜面80Aと、基体42の短手方向の他方側に配置された1つの発光部44に対する傾斜面80Aとは、逆傾斜である。露光装置40では、逆傾斜の傾斜面80Aにより、基体42の短手方向の一方側に配置された2つの発光部44と、基体42の短手方向の他方側に配置された1つの発光部44とから、感光体ドラム32(
図1参照)の中心部に向けて光を照射するように調整されている。
【0077】
本実施形態では、基体42は、金属ブロックで構成されている。本実施形態における金属ブロックとは、曲げ加工により形状を構成する一般的な板金を含まず、露光装置40の基体として用いられる形状において曲げ加工が実質的にできない厚みを有する金属の塊をいう。一例として、基体42の幅に対する厚みが、10%以上の金属の塊である。さらに言えば、基体42の幅に対する基体42の厚みが20%以上、かつ100%以下の金属の塊で構成されていてもよい。
【0078】
従来の広幅用の画像形成装置は、商業印刷用のフルカラープリンタと比較して高画質が求められない白黒の図面出力用であり、基体として板金が使用されている。一方、本実施の形態の画像形成装置10は商業印刷用のフルカラープリンタであり、高画質であることが求められる。そこで、基体42の撓みによる画質への影響を抑制するために、板金よりも剛性の高い金属ブロックを使用している。
【0079】
また、基体42は、例えば、鉄鋼又はステンレス鋼で構成されている。ここで、基体42は、鉄鋼又はステンレス鋼以外の金属ブロックで構成してもよい。例えば、鉄鋼又はステンレス鋼よりも熱伝導率が高く、かつ軽量なアルミニウムを使用してもよい。ただし、本実施形態においては、光源64での発熱は主に支持体60によって放熱される。よって、基体42では、熱伝導率や重量よりも剛性を優先し、鉄鋼又はステンレス鋼を使用している。
【0080】
また、基体42の上下方向(矢印Y方向)の厚みは、発光部44を構成する支持体60の厚みよりも大きいことが好ましい。これにより、基体42の剛性(矢印Y方向の曲げ剛性)が発光部44の剛性よりも大きくなる。基体42の上下方向(矢印Y方向)の厚みは、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましい。
【0081】
図6に示されるように、基体42の表面42Aと反対側の裏面42Bには、スペーサ56の側、すなわち凹部80の側に向かって切り欠かれた凹状部82が形成されている。凹状部82は、基体42の凹部80と対応する位置にそれぞれ設けられている。凹状部82は、基体42の裏面42Bから基体42の短手方向(X方向)の中央部側に向かって斜め方向に形成されている。例えば、凹状部82は、基体42の裏面42Bから見て円形状とされている。凹状部82の内径は、締結部材58の頭部58Aの外形よりも大きい。凹状部82の底面82Aには、締結部材58の軸部58Bが基体42を貫通する貫通孔84が設けられている。貫通孔84は、凹部80の傾斜面80Aに開口している。
【0082】
(発光部44)
図2~
図7に示されるように、3つの発光部44は、上記のように同様の構成とされている。一例として、基体42の短手方向(矢印X方向)の一方側の2つの発光部44と、基体42の短手方向(矢印X方向)の他方側の1つの発光部44は、基体42の短手方向(矢印X方向)において、対称となるように配置されている。
【0083】
発光部44は、
図6に示されるように、一方向(矢印Z方向)に延びる支持体60と、支持体60の表面側に支持された発光素子基板62と、を備えている。支持体60の表面は、上下方向(矢印Y方向)の基体42の逆側の面(本実施形態では、上下方向上側の面)である。発光素子基板62には、一方向に沿って配置される複数の光源64が設けられている。本実施形態では、光源64は、例えば、複数の発光素子を含んで構成されている。一例として、光源64は、半導体基板と、この半導体基板上に一方向に沿って形成された複数の発光素子を有する発光素子アレイである。本実施の形態では、光源64である発光素子アレイが発光素子基板62上に一方向に沿って千鳥状に配置されている。なお、光源64は発光素子アレイではなく、単一の発光素子であってもよい。また、個々の発光素子は、発光ダイオード、発光サイリスタ、およびレーザ素子などで構成され、一方向に沿って配置された状態で、一例として、2400dpiの解像度を有している。発光素子基板62は、複数の光源64のいずれか1つ以上を発光させるための基板である。
図6では、発光部44に設けられた1つの光源64のみが図示されており、他の光源の図示を省略している。
【0084】
また、発光部44は、発光素子基板62の支持体60とは逆側の面に設けられた一対の取付部66と、一対の取付部66の上端部の間に挟まれた状態で保持されるレンズ部68と、を備えている。ここで、レンズ部68は、複数の光源64からの光を出射する光出射部の一例である。
【0085】
一対の取付部66及びレンズ部68は、支持体60の一方向(矢印Z方向)に沿って延びている(
図4等参照)。レンズ部68は、複数の光源64と対向する位置に配置されており、レンズ部68と複数の光源64との間は、空間とされている。露光装置40では、複数の光源64から出射された光がレンズ部68を通過し、照射対象物である感光体ドラム32(
図1参照)の表面に照射される。
【0086】
支持体60は、直方体状の部材で構成されている。本実施形態では、支持体60は、基体42と同様に、金属ブロックで構成されている。例えば、支持体60は、鉄鋼又はステンレス鋼で構成されている。ここで、基体42は、鉄鋼又はステンレス鋼以外の金属ブロックで構成してもよい。例えば、鉄鋼又はステンレス鋼よりも熱伝導率が高く、かつ軽量なアルミニウムの金属ブロックであってもよい。ただし、基体42と支持体60とで熱膨張係数が異なると、歪みや撓みが発生しうる。よって、歪みや撓みを抑制する観点からは、基体42と支持体60とは同じ材料で構成されていることが好ましい。
【0087】
支持体60の基体42側の面には、締結部材58の軸部58Bが締め付けられるねじ穴74が形成されている(
図6参照)。ねじ穴74は、基体42の貫通孔84と対向する位置に設けられている。
【0088】
基体42の凹状部82の内部に締結部材58が挿入され、締結部材58の軸部58Bが基体42の貫通孔84を貫通した状態で、スペーサ56を介して締結部材58の軸部58Bが支持体60のねじ穴74に締結されている。これにより、発光部44は、基体42の凹状部82の内部から締結部材58により基体42に固定されている。発光部44が締結部材58により基体42に固定された状態で、基体42と支持体60との間には、スペーサ56が介在されている。
【0089】
ここで、締結部材58を用いて、支持体60の表側(出射面側)から基体42の表側に対して固定する方法が考えられる。しかしながら、本実施の形態の支持体60は、樹脂材料の支持体や板金構成された支持体と異なり、質量の重い金属ブロックで構成されている。よって、締結部材58の大きさも質量に見合った大きさの締結部材が必要となる。この場合、支持体60の表側に、サイズの大きい締結部材58用のスペースが必要となり、支持体60のサイズが大きくなってしまう。そこで、本実施の形態では、支持体60の裏面側から締結する構成となっている。
【0090】
また、締結部材58を支持体60の両端側だけでなく中央部側にも設ける構成では、中央部側には光源64が存在するため、支持体60の表側から締結する構成を取り難い。そこで、基体42の裏側から締結する構成とすることで、支持体60の両端側および中央部側を締結する構成において、基体42の裏側からのみの締結で済むようになっている。
【0091】
なお、ねじ穴74と基体42の凹状部82は、光源64の光軸方向から見た場合に、光源64と重なる位置に設けられている。この構成により、光源64と重ならない位置に設けられている場合と比較し、光源64による発熱が締結部材58を介して基体42側に逃げやすくなっている。
【0092】
図6、
図7、
図9及び
図10に示されるように、発光部44には、取付具70を介して支持体60に駆動基板72が取り付けられている。ここで、駆動基板72は、基板の一例である。駆動基板72は、一方向(矢印Z方向)に延びている。駆動基板72の一方向の長さは、支持体60の一方向の長さよりも短い(
図9参照)。駆動基板72は、発光部44を駆動させるための基板であり、例えば、ASIC基板(特定用途向け集積回路、ASIC:application specific integrated circuit )などが用いられる。
【0093】
取付具70は、締結ボルト70Aと、支持体60と駆動基板72との間に配置される管体70Bと、を備えている(
図10参照)。一例として、管体70Bは、金属製であり、駆動基板72に半田付け等により接合されている。図示を省略するが、駆動基板72には、管体70Bの貫通孔と繋がる開口が形成されている。締結ボルト70Aの軸部は、管体60Bを貫通する構成とされている。そして、締結ボルト70Aの軸部が駆動基板72の側から管体70Bを貫通し、支持体60に締め付けられることで、駆動基板72が支持体60に取り付けられている。駆動基板72は、駆動基板72の一方向の両端部に配置された2つの取付具70により支持体60に取り付けられている。
【0094】
駆動基板72の面(すなわち、板面)は、基体42の短手方向(矢印X方向)において、支持体60の短手方向の内側側部60Aに沿って配置されている(
図7参照)。ここで、支持体60の内側側部60Aとは、基体42の短手方向の中央部に近い側をいう。
【0095】
支持体60の内側側部60Aと駆動基板72の面(板面)との間には、取付具70の管体70Bにより隙間が形成されている。すなわち、駆動基板72は、発光部44における支持体60の内側側部60Aに直接接触しない状態で、取付具70により取り付けられている。
【0096】
支持体60の内側側部60Aは、基体42の表面42Aに対して内側に傾斜した傾斜面とされている。駆動基板72の板面も内側側部60Aと同様に、基体42の表面42Aに対して内側に傾いている。
【0097】
3つの発光部44には、それぞれの支持体60の内側側部60Aに、それぞれ駆動基板72が設けられている。
【0098】
図3及び
図4に示されるように、側面視にて一の発光部44に設けられた駆動基板72は、一の発光部44と隣り合う他の発光部44と重ならない位置に設けられている。また、基体42上の3つの発光部44にそれぞれ配置された駆動基板72の一方向(矢印Z方向)の長さは、共通であると共に、一方向の中央部に配置された発光部44の長さのうち、一方向の両側の発光部44と重ならない部分の長さよりも短い。
【0099】
図7、
図9及び
図10に示されるように、支持体60の上側の発光素子基板62には、3本のフレキシブルケーブル100が接続されており、3本のフレキシブルケーブル100は、支持体60の内側側部60Aの上部から支持体60の外部に延びている。支持体60の外部に延びた3本のフレキシブルケーブル100は、駆動基板72に設けられた3つの駆動素子73にそれぞれ電気的に接続されている。駆動素子73として、例えば、集積回路などが用いられる。ここで、駆動素子73は、発熱素子の一例である。
【0100】
また、駆動基板72の一方向(矢印Z方向)の中間部には、発光部44の外部からのフラットケーブル102が電気的に接続されるコネクタ104が設けられている。コネクタ104の接続口は、駆動基板72の面(板面)と交差する方向に配置されている。コネクタ104には、フラットケーブル102の接続部が駆動基板72の面(板面)と交差する向きに挿抜可能とされている。
【0101】
図7に示されるように、コネクタ104に接続されたフラットケーブル102は、駆動基板72から支持体60と反対側に延びている。基体42には、駆動基板72にフラットケーブル102が接続された位置と対応する位置に、上下方向(矢印Y方向)に貫通する貫通部106が形成されている。貫通部106は、基体42の短手方向(矢印X方向)において、基体42における駆動基板72の側方側であって、この駆動基板72を備えた発光部44と逆側の位置(すなわち、発光部44が配置されていない位置)に設けられている。フラットケーブル102は、基体42の貫通部106に挿通されることで、基体42の裏面42B側の下部カバー50の内部に延在されている。
【0102】
図4及び
図5に示されるように、3つの発光部44にそれぞれ設けられた駆動基板72には、それぞれコネクタ104を介してフラットケーブル102が接続されている。基体42には、3つの発光部44の駆動基板72の側方側に、それぞれ貫通部106が設けられている。3つの発光部44のそれぞれのフラットケーブル102は、基体42の貫通部106に挿通されることで、基体42の裏面42B側の下部カバー50の内部に延在されている(
図7参照)。
【0103】
(スペーサ56)
図6に示されるように、スペーサ56は、基体42と発光部44との間に光源64の光軸方向に挟まれている。一例として、スペーサ56は、板状であり、1つの部材(すなわち単一の部材)で構成されている。本実施形態では、スペーサ56は、光源64の光軸方向から見てU字状とされている。スペーサ56は、本体部56Aと、本体部56Aの一辺から切り欠かれた窪み部56Bと、を備えている。
【0104】
スペーサ56は、基体42の凹部80の傾斜面80Aに配置されている。スペーサ56が傾斜面80Aに配置された位置において、スペーサ56の厚みは、凹部80の深さ以上の厚みとされている。締結部材58は、スペーサ56に圧縮荷重がかかる態様で発光部44を基体42に固定している。
【0105】
(ブラケット48)
図7に示されるように、ブラケット48は、基体42の裏面42Bから発光部44と反対側に突出するU字状の支持部48Aと、支持部48Aの上端部から内側(すなわち、基体42の短手方向内側)に屈曲された一対の取付部48Bと、を備えている。支持部48Aは、U字状の下側の中間部に、基体42の裏面42Bと対向する平面部49を備えている。支持部48Aは、平面部49と反対側が基体42側に開口する形状とされている。一対の取付部48Bは、基体42の裏面42Bに面接触された状態で、締結部材110により基体42に取り付けられている。
【0106】
ブラケット48は、基体42の一方向(矢印Z方向)に間隔をおいて複数設けられている(
図5参照)。支持部48Aの平面部49には、フラットケーブル102が保持されている。フラットケーブル102は、複数のブラケット48に支持されることで、下部カバー50の内部で基体42の一方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。
【0107】
(下部カバー50)
図4及び
図7に示されるように、下部カバー50は、3つの発光部44にそれぞれ電気的に接続されるハーネス46及びフラットケーブル102を覆っている。下部カバー50は、基体42の上下方向下側(すなわち、
図5に示す基体42の裏面42B側)に取り付けられており、基体42から発光部44と反対側に突出すると共に基体42の裏面42Bの一部を覆っている。本実施形態では、下部カバー50は、断面がU字状とされており、下部カバー50の上端部は、基体42の短手方向(矢印X方向)の両側に、複数の締結部材86により取り付けられている。
【0108】
(側部カバー52)
図2、
図6及び
図7に示されるように、側部カバー52は、基体42の短手方向(矢印X方向)の両端部に設けられている。側部カバー52は、3つの発光部44の側方に一方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。これにより、側部カバー52は、外側から3つの発光部44を保護する機能を有している。
【0109】
側部カバー52は、露光装置40の側面視にて(矢印X方向から見て)、3つの発光部44と重なる位置に設けられている。側部カバー52の一方向(矢印Z方向)に沿った長さは、基体42における3つの発光部44が配置されている長さ領域よりも長い(
図2及び
図3参照)。
【0110】
図7に示されるように、側部カバー52の内側には、側部カバー52を支持する支持部122が設けられている。基体42の表面42Aには、短手方向(矢印X方向)の端部に取付部120が設けられており、取付部120に支持部122が支持されている。支持部122は、幅方向の一方が支持体60に接触し、幅方向の他方が側部カバー52の内側面に接触している。支持部122は、側部カバー52に接触することで、側部カバー52が発光部44の方向へ倒れないように支持する機能を備えている。支持部122は、基体42の短手方向の両側の側部カバー52にそれぞれ設けられている。図示を省略するが、支持部122は、側部カバー52の一方向(矢印Z方向)に間隔をおいて複数設けられている。
【0111】
(エアー供給装置130)
図7及び
図8に示されるように、エアー供給装置130は、基体42の表面42A側にエアーを供給する供給路132を備えている。また、エアー供給装置130は、基体42の発光部44と反対側(すなわち裏面42B側)の端部に取り付けられると共に内部にエアーが流れる主流路134が形成された下部カバー50を備えている。さらに、エアー供給装置130は、下部カバー50の一方向(矢印Z方向)の一端部に配置されたファン136を備えている。ここで、エアー供給装置130は、発光部44の側にエアーを吹き付けるエアー吹き付け部の一例である。
【0112】
供給路132は、一例として、基体42を上下方向(矢印Y方向)に貫通する貫通孔とされている。供給路132の上端には、基体42の表面42Aに空いた開口132Aが設けられている。一例として、発光部44は、基体42の上下方向(矢印Y方向)の上方側に配置されており、供給路132は、基体42の下方から上方に向かってエアーを流す構成とされている。すなわち、供給路132は、基体42の裏面42B側から発光部44が配置された表面42A側に向かってエアーを供給する。
【0113】
供給路132は、発光部44の一方向(矢印Z方向)に沿って複数設けられている。本実施形態では、供給路132は、1つの発光部44の一方向(矢印Z方向)に沿って間隔をあけて3つ設けられている。
【0114】
供給路132は、一例として、発光部44における支持体60の内側側部60Aに取り付けられた駆動基板72と対応する位置に設けられている。すなわち、供給路132の開口132Aは、駆動基板72の上下方向(矢印Y方向)の下側に配置されている(
図7参照)。一例として、供給路132及び開口132Aは、基体42の一方向に沿った長孔とされている。
【0115】
一例として、3つの供給路132の開口132Aは、駆動基板72に設けられた3つの駆動素子73とそれぞれ対向している。すなわち、3つの供給路132の開口132Aは、駆動基板72に設けられた3つの駆動素子73の上下方向(矢印Y方向)の下側に配置されている(
図4及び
図5参照)。これにより、供給路132の開口132Aからエアーが駆動基板72の駆動素子73に向けて吹き付けられる。
【0116】
3つの発光部44のうち、基体42の一方向(矢印Z方向)の両端部の発光部44と、基体42の一方向(矢印Z方向)の中央部の発光部44とは、基体42の一方向(矢印Z方向)と交差する幅方向にずれて配置されている。すなわち、上記のように、平面視にて基体42に3本の発光部44が千鳥配置されている。供給路132の開口132Aは、それぞれの発光部44よりも基体42の短手方向(幅方向)の内側に設けられている(
図3参照)。本実施形態では、平面視にて基体42上のそれぞれの発光部44に対応する3つの開口132Aは、千鳥配置されている。
【0117】
本実施形態では、発光部44における支持体60の内側側部60Aは、基体42の表面42Aに対して内側に傾いている。駆動基板72は、内側側部60Aに沿って配置されることで、基体42の表面42Aに対して内側に傾いている。これにより、供給路132の開口132Aから、基体42の表面42Aに対して内側に傾いた駆動基板72にエアーが吹き付けられる。
【0118】
下部カバー50は、上記のように、基体42の短手方向に沿った断面がU字状とされており、下部カバー50の上端部が締結部材86により基体42の側面に取り付けられている。下部カバー50は、基体42の裏面42B側を覆っており、基体42の一方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。下部カバー50の内部の主流路134は、基体42の一方向(Z方向)に沿って設けられており、主流路134から基体42の複数の供給路132にエアーが供給される。
【0119】
図7に示されるように、下部カバー50の内部には、発光部44にそれぞれ接続されるフラットケーブル102が基体42の一方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。下部カバー50は、フラットケーブル102を覆うカバーと兼用されている。なお、
図8では、フラットケーブル102は、省略している。
【0120】
ファン136は、回転により、下部カバー50の内部の主流路134にエアーを導入する。そして、ファン136の回転により、エアーを主流路134の一方向(矢印Z方向)に沿って供給する。
【0121】
エアー供給装置130では、ファン136の回転により、エアーが下部カバー50の内部の主流路134に導入される。そして、エアーは、下部カバー50の主流路134を、一方向(矢印Z方向)に沿って、ファン136と反対側の端部に向かって流れる。エアーは、基体42の一方向(矢印Z方向)に沿って流れる際に、基体42の複数の供給路132にエアーが供給される。そして、供給路132の開口132Aから発光部44の駆動基板72側にエアーが吹き付けられる。
【0122】
(清掃装置54)
図7に示されるように、清掃装置54は、レンズ部68の上面68Aを清掃する帯状の清掃部126を備えている(
図2参照)。ここで、清掃装置54は、清掃機構の一例である。清掃部126は、レンズ部68と交差する方向に配置されている。また、清掃装置54は、図示しない連結部材によって清掃部126に連結されると共に清掃部126をレンズ部68の一方向(矢印Z方向)に沿って移動させるシャフト128を備えている。複数の支持部122の一部には、シャフト128が挿通される孔部123が設けられている。支持部122は、シャフト128を案内するガイド部としての機能を有している。
【0123】
シャフト128、支持部122及び取付部120は、発光部44を挟んで開口132Aと反対側に設けられている。清掃装置54を構成するシャフト128、支持部122及び取付部120は、清掃機構の一例である。
【0124】
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0125】
露光装置40には、一方向(矢印Z方向)に延びる金属ブロックにより構成された基体42と、一方向に延びる支持体60に、一方向に沿って配置される複数の光源64(
図6参照)が支持された3つの発光部44とが設けられている。
【0126】
露光装置40では、基体42が感光体ドラム32の軸方向の全長に渡って配置されている。また、3つの発光部44は、基体42の一方向にずれて配置されており、3つの発光部44のいずれか1つ以上が感光体ドラム32の軸方向における感光体が設けられた領域に対向している。露光装置40では、発光部44からの光が感光体ドラム32に照射されることで、感光体ドラム32の感光体が設けられた領域に静電潜像が形成される。
【0127】
上記の露光装置40では、基体42に3つの発光部44が一方向(矢印Z方向)にずれて配置されており、発光部44単体の一方向(矢印Z方向)の長さに比べて、基体42の一方向(矢印Z方向)の長さが長い。
【0128】
このように、基体に複数の発光部が一方向にずれて配置された構成では、複数の発光部にそれぞれ設けられた駆動基板による発熱が多くなり、熱による各部品の膨張に起因した画質低下が発生する場合がある。
【0129】
本実施形態の露光装置40では、基体42に設けられた開口132Aを介して、発光部44の側にエアーを吹き付けるエアー供給装置130が設けられている。このため、露光装置40では、エアー吹き付け部が基体の幅方向外側に配置されている場合と比較して、発光装置の幅方向の寸法が低減される。
【0130】
また、露光装置40では、エアー供給装置130は、供給路132により、基体42の裏面42B側から発光部44が配置された表面42A側に向かってエアーを流す構成とされている。このため、露光装置40では、基体の側方側から表面側に向かってエアーを流す構成と比較して、露光装置40の幅方向の寸法が低減される。
【0131】
また、露光装置40では、開口132Aは、発光部44の一方向に沿って複数設けられている。このため、露光装置40では、単一の開口が設けられた場合と比較して、発光部がまんべんなく冷却される。
【0132】
また、露光装置40では、発光部44には、複数の光源64からの光を出射するレンズ部68が設けられており、発光部44を挟んで開口と反対側には、レンズ部68を清掃するための清掃装置54を構成するシャフト128及び支持部122などが設けられている。このため、露光装置40では、清掃装置54を構成するシャフト128及び支持部122などによりエアーの流れが阻害されにくい。
【0133】
また、露光装置40では、発光部44の側部には駆動基板72が設けられており、開口132Aは、駆動基板72と対応する位置に設けられている。このため、露光装置40では、基板に対してずれた位置に開口がある場合と比較して、駆動基板72を冷却しやすい。
【0134】
また、露光装置40では、駆動基板72の駆動素子73と対応する位置に開口132Aが設けられている。このため、露光装置40では、基板の発熱素子に対してずれた位置に開口がある場合と比較して、駆動素子73を冷却しやすい。
【0135】
また、露光装置40では、3つの発光部44は、基体42の一方向と交差する幅方向にずれて配置されており、開口132Aは、発光部44よりも基体42の短手方向(すなわち幅方向)の内側に設けられている。このため、露光装置40では、開口が発光部よりも基体の幅方向外側に設けられている場合と比較して、基体42の幅方向の寸法が小さくなる。
【0136】
また、露光装置40では、平面視にて基体42に3本の発光部44が千鳥配置されている構成において、開口が発光部よりも基体の幅方向外側に設けられている場合と比較して、基体42の幅方向の寸法が小さくなる。
【0137】
また、露光装置40では、基体42の幅方向における3つの発光部44の内側側部60Aは、基体42の表面42Aに対して内側に傾いている。このため、露光装置40では、複数の発光部の内側側部が基体の表面に対して垂直に配置されている場合と比較して、エアーが3つの発光部44に効率よく吹き付けられる。
【0138】
また、露光装置40では、開口132Aは、基体42の一方向に複数設けられており、基体42の一方向に沿って、複数の開口132Aにエアーを供給する主流路134が設けられている。このため、露光装置40では、複数の開口にそれぞれ別の流路を介してエアーを供給する場合と比べて、複数の開口132Aにエアーが効率よく供給される。
【0139】
また、露光装置40では、基体42は、金属ブロックで構成されている。このため、露光装置40では、基体が板金の場合と比較して、3つの発光部44からの放熱が良好となる。
【0140】
また、露光装置40では、発光部44の支持体60が金属ブロックで構成されている。このため、露光装置40では、支持体が樹脂の場合と比較して、3つの発光部44からの放熱が良好となる。
【0141】
また、露光装置40では、支持体60の表面側(すなわち基体42と反対側)に発光素子基板62を備えた構成において、支持体が樹脂の場合と比較して、3つの発光部44からの放熱が良好となる。
【0142】
また、画像形成装置10では、露光装置40と、露光装置40に対して一方向(Z方向)と交差する方向に相対的に移動し、露光装置40からの光が照射される感光体ドラム32とが設けられている。感光体ドラム32の表面には、感光材が配置される領域が設けられている。このため、画像形成装置10では、エアー吹き付け部が基体の幅方向外側に配置されている場合と比較して、露光装置40を備えた画像形成装置10全体の小型化が可能となる。
【0143】
また、画像形成装置10では、感光材が配置される領域は、周方向に回転する円筒状部材である感光体ドラム32の表面に設けられている。このため、画像形成装置10では、感光体ドラム32を備えた構成において、露光装置40を備えた画像形成装置10全体の小型化が可能となる。
【0144】
なお、上記の露光装置40では、発光部44は、基体42の上方に配置されており、エアー供給装置130は、供給路132により、基体42の下方から上方に向かってエアーを流す構成とされていてもよい。一例として、露光装置40の上方側に感光体ドラム32が配置されることで、このような露光装置40の配置となる。これにより、露光装置40では、基体の上方から下方に向かってエアーを流す構成と比較して、露光装置40の周囲に拡散されたトナーなどの粉体が露光装置40に侵入することが抑制される。
【0145】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態の露光装置について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等を有する場合は、同一符号を付して、詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0146】
図11は、第2実施形態の露光装置150を示す。露光装置150は、エアー吹き付け部の一例としてのエアー供給装置152を備えている。露光装置150では、エアー供給装置152のみを変更しており、その他の構成は、第1実施形態の露光装置40と同様である。
【0147】
エアー供給装置152は、基体42の発光部44と反対側の端部に取り付けられると共に内部にエアーが流れる主流路156が形成された下部カバー154を備えている。下部カバー154は、基体42の短手方向に沿った断面がU字状とされており、下部カバー154の上端部が図示しない締結部材により基体42の側面に取り付けられている。下部カバー154は、基体42の裏面42B側を覆っており、基体42の一方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。
【0148】
エアー供給装置152は、下部カバー154の一方向(矢印Z方向)の両端部側に配置されると共に下側に延びた筒部158と、筒部158の下端部に設けられたファン160と、を備えている。
【0149】
図示を省略するが、下部カバー154の内部には、発光部44にそれぞれ接続されるフラットケーブルが基体42の一方向(矢印Z方向)に沿って配置されている。下部カバー154は、フラットケーブルを覆うカバーと兼用されている。
【0150】
エアー供給装置152では、ファン160の回転により、エアーが筒部158から下部カバー154の内部の主流路156に導入される。そして、2つのファン160により、エアーは、2つの筒部158から下部カバー154の両側に分かれて、下部カバー154の主流路156を一方向(矢印Z方向)の両端部側に向かって流れる。その際、エアーは、基体42の複数の供給路132を通って、それぞれの発光部44の駆動基板72側に吹き付けられる。
【0151】
上記の露光装置150は、第1実施形態の露光装置40と同様の構成により、同様の作用及び効果を得ることができる。
【0152】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態の露光装置について説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素、部材等を有する場合は、同一符号を付して、詳細な説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0153】
図12は、第3実施形態の露光装置170を示す。露光装置170は、基体172と、エアー吹き付け部の一例としてのエアー供給装置173と、を備えている。露光装置170では、基体172及びエアー供給装置173のみを変更しており、その他の構成は、第1実施形態の露光装置40と同様である。
【0154】
図12に示されるように、露光装置170は、基体172の表面42Aに対して斜め方向に基体172を貫通する供給路174を備えている。供給路174の上端には、基体172の表面42Aに空いた開口174Aが設けられている。開口174Aは、基体172の表面に対して、発光部44の側に斜め方向にエアーを吹き付ける。
【0155】
本実施形態では、供給路174は、基体172の短手方向(すなわち、幅方向)の外側から内側に向けて斜め方向にエアーを供給する構成とされている。言い換えると、供給路174は、
図12に示す断面視にて直線状であり、供給路174の裏面42Bに空いた供給路174の下端は、基体172の短手方向(すなわち、幅方向)の外側に配置されている。供給路174の表面42Aに空いた供給路174の開口174Aは、基体172の短手方向(すなわち、幅方向)の内側に配置されている。供給路174の開口174Aは、発光部44の支持体60の内側側部60Aに取り付けられた駆動基板72の上下方向下側に配置されている。
【0156】
本実施形態では、支持体60の内側側部60Aは、基体42の表面42Aに対して内側に傾斜した傾斜面とされている。駆動基板72の板面も内側側部60Aと同様に、基体42の表面42Aに対して内側に傾いている。これにより、基体42の表面42Aに対して内側に傾いた駆動基板72に、供給路174の開口174Aから斜め方向にエアーが吹き付けられる。
【0157】
図示を省略するが、供給路174は、3つの発光部44の一方向に間隔をおいて、それぞれ3つ配置されている。
【0158】
上記の露光装置170では、第1実施形態の露光装置40と同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0159】
露光装置170では、開口174Aは、基体172の表面42Aに対して、発光部44の側に斜め方向にエアーを吹き付ける。このため、露光装置170では、基体の表面に対して垂直に開口が形成されている場合と比較して、発光部44を冷却しやすい。また、露光装置170では、基体42の表面42Aに対して内側に傾いた駆動基板72に、供給路174の開口174Aから斜め方向にエアーが吹き付けられる。このため、露光装置170では、駆動基板が鉛直方向に沿って配置された場合と比較して、駆動基板72の板面にエアーを当てやすい。
【0160】
〔第4実施形態〕
図13には、第4実施形態に係る発光装置202を備えた描画装置200が示されている。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0161】
図13に示されるように、描画装置200は、発光装置202と、発光装置202の長手方向に沿って配置されると共に周方向に回転する円筒状部材204と、を備えている。
【0162】
発光装置202は、第1実施形態の露光装置40と同様の構成とされている。
【0163】
円筒状部材204は、円筒部204Aと、円筒部204Aの両側に延びた軸部204Bと、を備えている。軸部204Bは、図示しないフレームに回転可能に支持されており、軸部204Bの回転により、円筒部204Aが周方向に回転する。
【0164】
円筒部204Aの表面には、基板206が取り付けられている。基板206の表面には、感光材が配置された領域206Aが設けられている。基板206は、一例として、オフセット印刷の製版工程で使用されるコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)用のプレートである。また、感光材が配置された領域206Aは、一例として、フォトレジストなどの感光材が塗布された領域である。
【0165】
一例として、発光装置202は、円筒状部材204に対して上下方向(矢印Y方向)の下側に配置されており、発光装置202の発光部から上側の基板206に対して光が照射される。図示を省略するが、発光装置202では、発光部は、基体の上方に配置されており、エアー吹き付け部は、基体の下方から上方に向かってエアーを流す構成とされている。
【0166】
描画装置200では、円筒状部材204を回転させながら、発光装置202から、基板206の感光材が配置された領域206Aに予め定められたパターンの光が照射される。これにより、基板206の感光材が配置された領域206Aが定められたパターンに描画される。その後、基板206を現像することで、オフセット印刷装置で使用される刷版が作成される。なお、この場合の描画装置200の光源としては、一例として、レーザ素子を使用することができる。
【0167】
上記の発光装置202では、第1実施形態の露光装置40と同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0168】
上記の発光装置202では、発光装置202は、円筒状部材204に対して上下方向(矢印Y方向)の下側に配置されている。発光装置202では、発光部は、基体の上方に配置されており、エアー吹き付け部は、基体の下方から上方に向かってエアーを流す構成とされている。このため、発光装置202では、基体の上方から下方に向かってエアーを流す構成と比較して、発光装置202の周囲に拡散された粉体が発光装置202に侵入することが抑制される。
【0169】
上記の発光装置202を備えた描画装置200では、エアー吹き付け部が基体の幅方向外側に配置されている場合と比較して、発光装置202を備えた描画装置200全体の小型化が可能となる。
【0170】
また、描画装置200によれば、円筒状部材204を備えた構成において、発光装置202を備えた描画装置200全体の小型化が可能となる。
【0171】
なお、描画装置200において、発光装置202は、第1実施形態の露光装置40と同様の構成に代えて、第2実施形態の露光装置150又は第3実施形態の露光装置170と同様の構成に変更してもよい。
【0172】
〔補足説明〕
第1~第3実施形態の露光装置及び第4実施形態の発光装置は、基体に3つの発光部が配置されていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、基体に1つの発光部が配置されるもの、基体に2つの発光部が配置されるもの、又は基体に4つ以上の発光部が配置されるものでもよい。また、基体に配置される複数の発光部の位置も適宜に設定可能である。
【0173】
また、第1~第3実施形態の露光装置及び第4実施形態の発光装置において、基体は金属ブロックで構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。基体の材料又は形状は、変更可能である。例えば、基体は、樹脂で構成されていてもよいし、又は板金など他の金属材料で構成されていてもよい。また、発光部の構成部品又は発光部の構成部品の形状などは、変更可能である。発光部の支持体は金属ブロックで構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。支持体の材料又は形状は、変更可能である。例えば、支持体は、樹脂で構成されていてもよいし、又は板金など他の金属材料で構成されていてもよい。
【0174】
また、第1~第3実施形態の露光装置及び第4実施形態の発光装置において、基体に設けられる供給路の形状、位置及び個数も変更可能である。また、エアー供給装置の主流路を構成する下部カバーの形状、ファンの位置及びファンの個数なども変更可能である。
【0175】
また、第1~第3実施形態の露光装置及び第4実施形態の発光装置では、下部カバーに設けられたファンによりエアーを導入し、基体の開口を介して発光部の側にエアーを吹き付けたが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、基体の幅方向端部の側部カバーにファンを設け、エアーを吸引することにより、基体の開口を介して発光部の側にエアーを吹き付ける構成としてもよい。
【0176】
また、第1~第3実施形態の露光装置及び第4実施形態の発光装置では、基体の開口は、発光部よりも基体の幅方向の内側に設けられていたが、基体の開口の位置は、発光部よりも基体の幅方向の外側に設けてもよい。
【0177】
また、第1~第3実施形態の露光装置及び第4実施形態の発光装置において、基体に設けられる開口は、発光部の側にエアーを吹き付けられる形状であればその形は問わない。開口は、例えば、周囲が全て囲まれた穴形状であってもよいし、周囲の一部が開放した溝形状であってもよい。
【0178】
また、第1~第3実施形態の露光装置では、露光装置に対して感光体ドラムが上下方向の下側に配置されていたが、露光装置に対して感光体ドラムが上下方向の上側に配置されていてもよい。また、第4実施形態の発光装置では、発光装置に対して円筒状部材の基板が上下方向の上側に配置されていたが、発光装置に対して円筒状部材の基板が上下方向の下側に配置されていてもよい。
【0179】
第4実施形態の描画装置200では、円筒状部材204の円筒部204Aに取り付けられた基板206に、発光装置202から光を照射したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、基板を平板状のテーブルに配置し、発光装置とテーブルを発光装置の一方向と交差する方向に相対的に移動させて、発光装置から基板に光を照射する構成でもよい。
【0180】
また、第4実施形態の描画装置200では、基板206は、オフセット印刷の製版工程で使用されるCTP用のプレートであり、発光装置202から基板206の感光材が配置された領域206Aに光を照射したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、上記の発光装置及び描画装置は、プリント配線基板(PWB:printed wiring board)を製造する際の露光に用いることができる。例えば、フォトレジストなどの感光材が塗布された基板に対し、フォトマスクを使用せずに直接描画することでプリント配線基板を製造してもよい。使用する基板としては、リジット基板であってもよいしフレキシブル基板であってもよい。フレキシブル基板の場合は、
図13の円筒状部材204に固定した状態で、回転させながら描画してもよい。
【0181】
さらに、上記の発光装置及び描画装置は、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)の製造工程におけるカラーフィルタの形成、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)の製造工程におけるドライフィルムレジスト(DFR)の露光、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)の製造工程におけるドライフィルムレジスト(DFR)の露光、半導体素子の製造工程におけるフォトレジストなどの感光材の露光、オフセット印刷以外のグラビア印刷などの他の印刷の製版工程におけるフォトレジストなどの感光材の露光、又は時計部品の製造工程における感光材の露光など、フォトリソグラフィーが適用される部材の用途に用いることができる。ここで、フォトリソグラフィーとは、感光材が配置された物質の表面を、パターン状に露光することで、露光された部分と露光されていない部分とからなるパターンを生成する技術をいう。
【0182】
また、上記の発光装置及び描画装置は、露光により直接情報が記録されるフォトンモード感光材、露光により発生した熱で情報が記録されるヒートモード感光材のいずれも使用することができる。また、描画装置200の光源としては、露光対象に応じて、LED素子やレーザ素子を使用することができる。
【0183】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0184】
10 画像形成装置(描画装置の一例)
32 感光体ドラム(円筒状部材の一例、感光材が配置される領域の一例)
40 露光装置(発光装置の一例)
42 基体
42A 表面
42B 裏面
44 発光部
54 清掃装置(清掃機構の一例)
60 支持体
60A 内側側部
64 光源(発光素子の一例)
68 レンズ部(光出射部の一例)
72 駆動基板(基板の一例)
73 駆動素子(発熱素子の一例)
120 取付部(清掃機構の一例)
122 支持部(清掃機構の一例)
128 シャフト(清掃機構の一例)
130 エアー供給装置(エアー吹き付け部の一例)
132A 開口
134 主流路
150 露光装置
152 エアー供給装置(エアー吹き付け部の一例)
156 主流路
170 露光装置
172 基体
173 エアー供給装置(エアー吹き付け部の一例)
174A 開口
200 描画装置
202 発光装置
204 円筒状部材
206A 感光材が配置された領域