(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】レーザ加工システム及びレーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240214BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20240214BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/00 B
B23K26/00 P
(21)【出願番号】P 2020057424
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】小室 英夫
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0327194(US,A1)
【文献】特開2018-167294(JP,A)
【文献】特開2019-084577(JP,A)
【文献】特開2010-120071(JP,A)
【文献】特開2003-019581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光により板状のワークから複数のパーツを切断する切断加
工及びレーザ光により前記ワークにマークを形成するマーク加工を行うレーザ加工部と、
前記レーザ加工部により形成された前記マークを読み取る読み取り部と、
前記読み取り部により読み取られた前記マークに対応する情報を表示する表示部と、を備え、
前記マーク
に対応する情報は、
前記パーツを切断したときの加工実績に関する情報
として、カーフ幅、アシストガスの圧力又は可視光の情報を含
み、
前記パーツを切断したときの加工条件に関する情報として、板厚、材質、サイズ、レーザ光の出力又はレーザヘッドの移動速度の情報を含む、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記レーザ加工部は、前記パーツの表面に前記マークを形成する、請求項
1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記レーザ光が照射されている箇所を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記パーツの切断が不良であるかを判定する判定部と、を備え、
前記レーザ加工部は、前記判定部により切断が不良であると判定された前記パーツに対応する位置に前記マークを形成する、請求項1
又は請求項
2に記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記ワークから複数の前記パーツを切断するためのレイアウトを生成するネスティング部、を備え、
前記ネスティング部は、前記判定部により切断が不良であると判定された前記パーツを再度切断加工するための新たなレイアウトを生成する、請求項
3に記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記マークは、一次元マーク又は二次元マークである、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
レーザ光により板状のワークから複数のパーツを切断する切断加工を行うことと、
レーザ光により前記ワークにマークを形成するマーク加工を行うことと、
レーザ光により形成された前記マークを読み取ることと、
前記読み取られた前記マークに対応する情報を表示することと、を含み、
前記マーク
に対応する情報は、
前記パーツを切断したときの加工実績に関する情報
として、カーフ幅、アシストガスの圧力又は可視光の情報を含
み、
前記パーツを切断したときの加工条件に関する情報として、板厚、材質、サイズ、レーザ光の出力又はレーザヘッドの移動速度の情報を含む、レーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工システム及びレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板金加工の現場では、前工程における加工不良に起因して、後工程において作業不良が発生することがある。したがって、作業者は、加工不良が発生した場合、加工不良が発生したことを適切に認識できることが好ましい。例えば、特許文献1には、板状のワークから複数のパーツをレーザにより切断する切断加工を行うレーザ加工機によってワークの加工状態を把握する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者は、レーザ光によりパーツを切断したときの加工実績に関する情報を得ることができれば、切断不良が発生しても、その状況を把握することが容易となる。
【0005】
そこで、本発明は、レーザ光によりパーツを切断したときの加工実績に関する情報を作業者が簡易に取得でき、ひいては、切断不良が発生しても、その状況を把握することが容易となる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、レーザ加工システムである。レーザ加工システムは、レーザ光により板状のワークから複数のパーツを切断する切断加工及びレーザ光によりワークにマークを形成するマーク加工を行うレーザ加工部を備える。レーザ加工システムは、レーザ加工部により形成されたマークを読み取る読み取り部を備える。レーザ加工システムは、読み取り部により読み取られたマークに対応する情報を表示する表示部を備える。マークに対応する情報は、パーツを切断したときの加工実績に関する情報として、カーフ幅、アシストガスの圧力又は可視光の情報を含む。マークに対応する情報は、パーツを切断したときの加工条件に関する情報として、板厚、材質、サイズ、レーザ光の出力又はレーザヘッドの移動速度の情報を含む。
【0007】
レーザ加工部は、パーツの表面にマークを形成してよい。レーザ加工システムは、レーザ光が照射されている箇所を撮像する撮像部を備えてよい。レーザ加工システムは、撮像部により撮像された画像に基づいてパーツの切断が不良であるかを判定する判定部を備えてよい。レーザ加工部は、判定部により切断が不良であると判定されたパーツに対応する位置にマークを形成してよい。レーザ加工システムは、ワークから複数のパーツを切断するためのレイアウトを生成するネスティング部を備えてよい。ネスティング部は、判定部により切断が不良であると判定されたパーツを再度切断加工するための新たなレイアウトを生成してよい。マークは、一次元マーク又は二次元マークであってよい。
【0008】
本発明の第2態様は、レーザ加工方法である。レーザ加工方法は、レーザ光により板状のワークから複数のパーツを切断する切断加工を行うことを含む。レーザ加工方法は、レーザ光によりワークにマークを形成するマーク加工を行うことを含む。レーザ加工方法は、形成されたマークを読み取ることを含む。レーザ加工方法は、読み取られたマークに対応する情報を表示することを含む。マークに対応する情報は、パーツを切断したときの加工実績に関する情報として、カーフ幅、アシストガスの圧力又は可視光の情報を含む。マークに対応する情報は、パーツを切断したときの加工条件に関する情報として、板厚、材質、サイズ、レーザ光の出力又はレーザヘッドの移動速度の情報を含む。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙しない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、レーザ光によりパーツを切断したときの加工実績に関する情報を作業者が簡易に取得でき、ひいては、切断不良が発生しても、その状況を把握することが容易となる。
【0011】
また、パーツを切断したときの加工条件に関する情報をマークが含む態様によれば、加工条件に関する情報をも作業者が簡易に取得でき、ひいては、切断不良が発生しても、その状況を把握することが更に容易となる。また、パーツの表面にマークを形成する態様によれば、取得した加工条件に関する情報がいずれのパーツに対応するか、作業者による把握が容易となる。また、切断が不良であると判定されたパーツに対応する位置にマークを形成する態様によれば、作業者は、マークが形成された位置に対応するパーツの切断が不良であると直ちに認識することができる。また、切断が不良であると判定されたパーツを再度切断加工するための新たなレイアウトを生成する態様によれば、人手を介さずに、切断加工を行う工程における歩留まりを向上させることができる。また、マークが一次元マークである態様によれば、マークの読み取り速度が高く、マークを読み取るために工程のラインを停止させる時間を短縮することができる。また、マークが二次元マークである態様によれば、加工実績に関する大容量の情報を作業者が簡易に取得でき、切断不良が発生しても、その状況を把握することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】レーザ加工システム100の一例を概略的に示す。
【
図3】制御部140によるパーツ切断時処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図4】レーザ加工機110による切断加工とマーク加工の流れの一例を概略的に示す。
【
図5】レーザ加工機110による切断加工とマーク加工の流れの一例を概略的に示す。
【
図6】レーザ加工機110による切断加工とマーク加工の流れの一例を概略的に示す。
【
図8】制御部140によるマーク読み取り時処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図9】マークMが読み取られたときに表示される情報の一例を概略的に示す。
【
図10】ネスティング部170によるネスティング処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図11】マークMを形成する位置の一例を概略的に示す。
【
図12】ネスティング部170による再ネスティング処理の流れの一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定しない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
以下、図中の方向は、XYZ座標系を用いて説明する。このXYZ座標系は、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、以下の説明は、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印の先の側を+側と称し、その反対側を-側と称する。
【0015】
図1は、レーザ加工システム100の一例を概略的に示す。本実施の形態に係るレーザ加工システム100は、レーザ加工機110、パレット搬送装置120、オートローダ130、制御部140、読み取り部150、表示部160及びネスティング部170を備える。なお、レーザ加工機110は、「レーザ加工部」の一例である。
【0016】
レーザ加工機110は、レーザのエネルギーを利用して切断、穴あけ又は焼入れする工作機械である。レーザ加工機110は、レーザ光により板状のワークWから複数のパーツP1~パーツP3(以下、パーツPと総称する)を切断する切断加工を行う。また、レーザ加工機110は、レーザ光によりワークWにマークMを形成するマーク加工を行う。レーザ加工機110は、例えば、パーツPの表面にマークMを形成する。ここで、マークMとは、作業者に情報を与えるためにワークWに形成されるバーコードシンボル、記号の羅列、文字の羅列等の総称である。
【0017】
バーコードシンボルとは、光学的反射率の高い部分と低い部分との組み合わせで情報を表示し、機械的に読み取り可能にした情報媒体の総称である。したがって、バーコードシンボルは、一次元シンボルと二次元シンボルを含んだ総称であり、バーコードシンボル体系と同じ意味である。一次元シンボル、二次元シンボル等の情報媒体は、データキャリアという。データキャリアは、情報を物等に付加し、この物等を特定するために利用する情報媒体の総称である。一次元シンボルは、「一次元マーク」の一例である。二次元シンボルは、「二次元マーク」の一例である。
【0018】
一次元シンボルとは、光学的反射率の高い部分と低い部分、及び変化する平行且つ長方形のバー又はスペースの配列によって構成され、機械的に読み取りできるようにコード化されたバーコードシンボルである。一次元シンボルは、一般的に単に「バーコード」と呼ばれており、「リニアシンボル」、「一次元バーコード」とも呼ばれている。一次元シンボルは、バーコードシンボルキャラクタを直線的に並べて情報化している。
【0019】
これに対し、二次元シンボルとは、シンボルキャラクタ、又はシンボルキャラクタに相当する情報単位を縦横に配置したバーコードシンボルである。二次元シンボルは、「二次元コード」、「二次元バーコード」とも呼ばれている。二次元シンボルは、構造的に一次元シンボルを積み重ねたようなマルチロー型シンボル体系と、主に格子状にデータを配置したようなマトリックス型シンボル体系とがある。
【0020】
マークMは、少なくとも、パーツPを切断したときの加工実績に関する情報を含んでいればよい。また、マークMは、パーツPを切断したときの加工条件に関する情報を含んでいてもよい。
【0021】
レーザ加工機110は、フレーム111に囲まれた加工領域RにおいてワークWの加工を行う。フレーム111は、キャリッジ112を支持する。また、フレーム111は、加工領域Rの下部においてパレットPAを支持する。
【0022】
パレットPAは、ワークWを取り付けて供給する台である。パレットPAは、複数のナイフエッジKを備える。ナイフエッジKは、パレットPA上でワークWを支持する波状の板である。ナイフエッジKは、剣山とも称される。ナイフエッジKは、例えば、矩形状のパレットPAの上面に立った状態でX方向に並んで配置される。ナイフエッジKは、例えば、上端部が鋸歯状に形成されることで、ワークWに対する接触面積を小さくし、レーザ加工によってワークWがパレットPAに溶着することを抑制する。各ナイフエッジKの上端部は、パレットPAからのZ方向の位置が同一となるように形成される。ワークWは、複数のナイフエッジKの上に載置される。ワークWは、各ナイフエッジKの上端部の高さが同一であるため、パレットPAに対して略水平に載置される。
【0023】
キャリッジ112は、レーザヘッド200を支持し、レーザヘッド200を移動させる装置である。キャリッジ112は、ワークWの上方に配置される。キャリッジ112は、Y方向に長い長尺状である。キャリッジ112は、例えば、Y方向の長さがパレットPAのY方向の長さよりも長く設定される。キャリッジ112は、パレットPAに載置されたワークWに対してX方向に移動し、且つ、X方向、Y方向、Z方向の各方向において、レーザヘッド200をワークWに対して相対的に移動させる。
【0024】
キャリッジ112は、ガントリ112A、スライダ112B及び昇降部112Cを備える。ガントリ112Aは、各部を支持する部材である。ガントリ112Aは、Y方向に延びており、フレーム111の上面に形成される一対のガイド113上に配置される。ガントリ112Aは、Y方向の長さがパレットPAのY方向の長さよりも長く設定される。
【0025】
ガントリ112Aの上面である+Z側の面には、ガイド112Dが設けられる。ガイド112Dは、Y方向に沿って形成され、スライダ112Bを案内する。スライダ112Bは、ガントリ112Aの上面から-X側の面にわたって配置される。
【0026】
スライダ112Bの-X側の面には、ガイド112Eが設けられる。ガイド112Eは、上下方向に沿って形成され、昇降部112Cを案内する。昇降部112Cは、スライダ112Bの-X側の面に配置される。
【0027】
キャリッジ112は、ガントリ112A、スライダ112B及び昇降部112Cを移動させる駆動装置として、例えば、モータ等のアクチュエータを備える。ガントリ112Aは、駆動装置に駆動されてガイド113に沿ってX方向に移動可能である。スライダ112Bは、駆動装置に駆動されてガイド112Dに沿ってY方向に移動可能である。昇降部112Cは、ガイド112Eに沿ってZ方向に移動可能である。駆動装置は、制御部140の制御を受けて動作する。
【0028】
キャリッジ112には、レーザヘッド200が搭載される。レーザヘッド200は、集光レンズ、加工ノズル等を収めた加工用のヘッドである。レーザヘッド200は、昇降部112Cの下部に保持される。レーザヘッド200は、ガントリ112AがX方向に移動することでX方向に移動し、スライダ112BがY方向に移動することでY方向に移動し、昇降部112CがZ方向に移動することでZ方向に移動する。
【0029】
パレット搬送装置120は、加工領域RへのパレットPAの搬入及び搬出を行う装置である。パレット搬送装置120は、レール121を備える。レール121は、加工領域Rからアンロード位置UPまでX方向に直線的に延びている。アンロード位置UPは、レーザ加工によってパーツPが形成されたワークWからパーツPを抜き出す際に、ワークWが配置される位置である。パレットPAは、レール121上を走行可能な車輪を備える。パレット搬送装置120は、パレットPAを牽引することによって、レール121に沿ってパレットPAを搬送する。例えば、パレットPAには、ワイヤと接続されたフックが掛けられ、ワイヤが駆動部に巻き取られることでパレットPAが牽引される。
【0030】
オートローダ130は、パーツPを自動的に所定の位置に搬送する装置である。オートローダ130は、例えば、レーザ加工後にアンロード位置UPに配置されるパレットPAのワークWから切断されたパーツPを、パーツPの表面を吸着することにより製品搬出エリアAに搬出する。オートローダ130は、アンロード位置UPから製品搬出エリアAまでX方向に延びるXガイド131に取り付けられている。Xガイド131は、走行台車に支持され、走行台車のY方向の移動に伴いY方向に移動する。オートローダ130は、例えば、Xガイド131に沿って移動可能なX移動体132と、X移動体132に設けられたZ移動体133と、Z移動体133の下端に設けられる吸着部134とを備える。X移動体132は、アンロード位置UPに配置されたパレットPAの上方と製品搬出エリアAとの間を移動可能である。Z移動体133は、吸着部134を保持しながら、X移動体132に対してZ方向に移動可能である。吸着部134は、走行台車の移動に伴い、Y方向に移動し、X移動体132の移動に伴いX方向に移動し、Z移動体133の移動に伴いZ方向に移動する。
【0031】
吸着部134の下面には、複数の吸着パッドが設けられ、真空、減圧によりパーツPを吸着する。吸着部134は、アンロード位置UPにおいて、X方向及びY方向の移動によりワークWから切断されたパーツPと位置合わせされる。そして、吸着部134は、-Z側へ移動することによりパーツPに接近してパーツPを吸着する。そして、吸着部134は、パーツPを吸着した状態で+Z側へ移動してパーツPを持ち上げ、X方向及びY方向の移動によりパーツPを製品搬出エリアAにおける所定の位置へ移動する。
【0032】
制御部140は、与えられた手順に従って複雑な計算を自動的に行う機械である。制御部140は、外部とのデータのやり取りを行う入出力装置、データを記録する記憶装置、プログラムの実行状況や各装置の状態を制御する制御装置、及びデータの計算や加工を行う演算装置等から構成される。制御部140は、主として、レーザ加工機110、パレット搬送装置120及びオートローダ130を制御する。
【0033】
制御部140は、パーツPの切断が不良であるかを判定する判定部141を備える。レーザ加工機110は、例えば、判定部141により切断が不良であると判定されたパーツPに対応する位置にマークMを形成する。
【0034】
読み取り部150は、レーザ加工機110により形成されたマークMを読み取る装置である。読み取り部150は、例えば、マークMを光学的に検知し、光学的反射率の高い部分と低い部分とのパターンを解析することによって、特定のキャラクタに変換する。読み取り部150は、何らかの光源と光センサーを持ち、また、マークMをスキャンする仕組みを持っている。光センサーの出力は、微弱なアナログ信号である。したがって、読み取り部150は、光センサーの出力を増幅し、ある基準のしきい値によりデジタル化する。そして、読み取り部150は、光学的反射率の高い部分は「0」、光学的反射率の低い部分は「1」とするデジタル信号に変換し、メモリに記憶する。そして、読み取り部150は、「0」、「1」のパターンを解読し、解読結果を示すデータを制御部140に出力する。読み取り部150は、上記動作を実現するために、光源部、スキャニング部、受光部、信号増幅部、デジタル変換部、デコード部及びインターフェース部により構成されている。
【0035】
表示部160は、読み取り部150により読み取られたマークMに対応する情報を表示する装置である。表示部160は、例えば、表示画面を持ち、通常、キーボード等の入力機器を接続した利用者端末である。
【0036】
ネスティング部170は、ワークWから複数のパーツPを切断するためのレイアウトを生成する装置である。ネスティング部170は、例えば、二次元の閉図形によって表現されるパーツPを長方形等のワークWの中に最適に配置する。ネスティング部170は、判定部141により切断が不良であると判定されたパーツPを再度切断加工するための新たなレイアウトを生成可能である。
【0037】
図2は、レーザヘッド200の一例を概略的に示す。レーザヘッド200は、ノズル210を有する。加工用レーザL1及び照明用レーザL2は、ノズル210に形成される出射口からワークWに向けて照射される。レーザヘッド200は、前述のとおり、X方向、Y方向、Z方向の各方向において、ワークWに対して相対的に移動可能に設けられる。レーザ加工機110は、レーザヘッド200をワークWに対して相対的に移動させながら、レーザヘッド200のノズル210から加工用レーザL1をワークWに照射することで切断加工を行う。
【0038】
レーザヘッド200は、光ファイバ221、コリメータ231、ビームスプリッタ241及び集光レンズ232を備える。光ファイバ221は、一端がレーザ発振器220と接続され、他端がレーザヘッド200に接続される。レーザ発振器220から出力される加工用レーザL1は、光ファイバ221を介してレーザヘッド200に導入される。
【0039】
コリメータ231は、レーザ発振器220から出力される加工用レーザL1を平行光に変換、又は平行光に近づける。コリメータ231は、例えば、加工用レーザL1の入射側の焦点が光ファイバ221の端部の位置と一致するように配置される。
【0040】
ビームスプリッタ241は、コリメータ231を通った加工用レーザL1が入射する位置に配置される。ビームスプリッタ241は、加工用レーザL1が反射し、且つ、照明用レーザL2が投下する特性を有する波長選択ミラーである。ビームスプリッタ241は、コリメータ231の光軸231Aに対して約45度の角度で傾斜している。
【0041】
集光レンズ232は、ビームスプリッタ241で反射した加工用レーザL1が入射する位置に配置される。加工用レーザL1は、コリメータ231を通り、ビームスプリッタ241で反射して光路がX方向からZ方向へ約90度折れ曲がり、集光レンズ232に入射する。集光レンズ232は、入射した加工用レーザL1を集光する。レーザヘッド200の光学系駆動部は、例えば、集光レンズ232の光軸232Aに沿って集光レンズ232を移動させることで、ワークW側の焦点を調整する。ワークWの表面における加工用レーザL1のスポットサイズは、ワークWの表面から焦点が離れるほど大きくなる。カーフ幅は、スポットサイズと切断加工されるワークWの材料により決まる。ここで、カーフとは、レーザによる切断で形成される溝である。また、カーフ幅とは、カーフの幅である。
【0042】
レーザヘッド200には、照明ユニット250が着脱自在に接続される。照明ユニット250は、レーザアレイ251及びコリメータ252を備える。レーザアレイ251は、照明用レーザL2として、加工用レーザL1と異なる波長の光を発する。
【0043】
コリメータ252は、レーザアレイ251から照明用レーザL2が入射する位置に配置される。コリメータ252は、レーザアレイ251からの照明用レーザL2を平行光に変換、又は平行光に近づける。
【0044】
レーザヘッド200は、ハーフミラー261を備える。ハーフミラー261は、コリメータ252を通った照明用レーザL2が入射する位置に配置される。ハーフミラー261は、照明用レーザL2の一部が反射し、一部が透過する特性を有する反射透過部材である。ハーフミラー261は、例えば、照明用レーザL2のうち透過光の比率が約50%となるように設定される。ハーフミラー261は、コリメータ252の光軸252Aに対して約45度の角度で傾斜している。
【0045】
照明用レーザL2は、コリメータ252を通り、ハーフミラー261で一部が反射して光路がX方向からZ方向へ約90度折れ曲がり、ビームスプリッタ241に入射する。集光レンズ232は、ビームスプリッタ241からの照明用レーザL2を集光する。ワークW上における照明用レーザL2の照明領域は、ワークW上における加工用レーザL1の照射領域を含むように設定される。
【0046】
レーザヘッド200は、撮像部270を備える。撮像部270は、レーザ光が照射されている箇所を撮像する装置である。撮像部270は、撮像素子271を備え、照明用レーザL2の照明によりワークWからの戻り光を撮像素子271によって検出する。
【0047】
ワークWからの戻り光は、集光レンズ232を通ってビームスプリッタ241に入射する。戻り光は、例えば、照明用レーザL2のうちワークWで反射散乱した光、及び加工用レーザL1のうちワークWで反射した光を含む。戻り光のうち照明用レーザL2に由来する光は、ビームスプリッタ241を通ってハーフミラー261に入射する。一方、戻り光のうち加工用レーザL1に由来する光は、ビームスプリッタ241で反射し、ビームスプリッタ241からハーフミラー261に向かう光路から除かれる。
【0048】
なお、戻り光は、加工用レーザL1によりワークWが溶融した溶融金属がワークWの表面等に存在する場合、溶融金属から放射される赤色から近赤外の波長帯の光を含む。また、戻り光は、加工用レーザL1によるワークWの溶融・蒸発に伴いプラズマが発生している場合、青色から紫外の波長帯の光を含む。溶融金属又はプラズマに起因する光のうち加工用レーザL1と異なる波長の光は、ビームスプリッタ241を通ってハーフミラー261に入射する。
【0049】
レーザヘッド200は、波長選択フィルタ281及び結像レンズ282を備える。波長選択フィルタ281は、例えば、ダイクロイックミラー又はノッチフィルターである。ハーフミラー261に入射した戻り光は、一部がハーフミラー261を通って波長選択フィルタ281に入射し、一部がハーフミラー261で反射する。波長選択フィルタ281は、照明用レーザL2の照明によりワークWで反射される波長帯の戻り光を反射する特性を有する。また、波長選択フィルタ281は、加工用レーザL1の照射によりワークWから放射される波長帯の戻り光を透過する特性を有する。照明用レーザL2に由来する戻り光は、波長選択フィルタ281で反射し、結像レンズ282に入射する。結像レンズ282は、波長選択フィルタ281で反射した光を撮像素子271に集光する。
【0050】
撮像素子271は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のイメージセンサが用いられる。撮像素子271には、二次元的に配列された複数の画素が設けられる。各画素には、フォトダイオード等の受光素子が設けられる。撮像素子271は、受光素子に戻り光が入射することにより各画素に発生する信号を順に読み出して増幅し、A/D(Analog-to-Digital)変換して配列することで撮像画像のデジタルデータを生成する。
【0051】
レーザ加工システム100は、画像処理部180を備える。画像処理部180は、制御部140及び撮像部270と有線又は無線によって通信可能に接続される。撮像部270は、撮像素子271により生成された撮像画像データを画像処理部180に送信する。画像処理部180は、撮像部270から送信された撮像画像データを受信すると、撮像画像を画像処理し、加工状態に関するデータを生成する。画像処理部180は、例えば、撮像画像データを画像処理し、レーザ加工によるカーフの両端のエッジの位置を検出した後、画像上のエッジ間の距離を実スケールの距離に変換することでカーフ幅を測定する。そして、画像処理部180は、測定したカーフ幅を示すデータを、加工状態に関するデータとして制御部140に送信する。
【0052】
また、レーザヘッド200は、アシストガス供給部290及び圧力センサー291を備える。アシストガス供給部290は、ノズル210内にアシストガスを供給する装置である。ここで、アシストガスとは、レーザ切断において、主に溶融又は昇華した材料を除去するために用いるガスである。アシストガス供給部290は、制御部140による制御を受けて動作する。圧力センサー291は、アシストガス供給部290から供給されるアシストガスの圧力を、ダイヤフラムを介して感圧素子で計測し、電気信号に変換し出力する機器である。圧力センサー291は、例えば、アシストガスの圧力の計測結果を示すデータを制御部140に出力する。
【0053】
図3は、制御部140によるパーツ切断時処理の流れの一例を概略的に示す。
図4から
図6は、レーザ加工機110による切断加工とマーク加工の流れの一例を概略的に示す。
図7は、マークMの一例を概略的に示す。
図3に示す処理は、レーザ加工機110によりワークWからパーツPを切断する切断加工が開始される状態を開始状態として説明する。また、
図3の処理は、
図4から
図7を参照して説明する。
【0054】
図4から
図6において、ワークWからパーツPを切断するときの加工ラインPLは、一点鎖線で示す。また、
図4から
図6において、レーザによる切断で形成されるカーフKLは、実線で示す。また、
図4から
図6において、カーフ幅が許容値を超えている切断不良のカーフKLは、太い実線で示す。
【0055】
前述のとおり、撮像部270は、レーザ光により板状のワークWからパーツPを切断する切断加工が行われているとき、レーザ光が照射されている箇所を撮像し、撮像画像データを画像処理部180に送信する。撮像部270は、例えば、撮像が行われた日時を示すタイムスタンプを付した撮像画像データを画像処理部180に送信する。
【0056】
画像処理部180は、撮像画像データを受信すると、撮像画像データを画像処理し、例えば、カーフ幅を示すデータといった加工状態に関する加工状態データを生成する。そして、画像処理部180は、例えば、撮像画像データに付されていたタイムスタンプを付した加工状態データを制御部140に送信する。
【0057】
前述のとおり、圧力センサー291は、レーザ光により板状のワークWからパーツPを切断する切断加工が行われているとき、アシストガスの圧力を計測し、計測結果を示す計測結果データを制御部140に出力する。
【0058】
制御部140は、加工状態データ、計測結果データを受信すると(ステップS101)、受信した加工状態データ、計測結果データを記憶する(ステップS102)。前述のとおり、制御部140は、レーザ加工機110の動作を制御している。したがって、制御部140は、加工状態データに付されているタイムスタンプを参照することにより、その加工状態データがいずれのパーツPの切断加工に対応するかを特定可能である。また、制御部140は、計測結果データを受信した日時を参照することにより、その計測結果データがいずれのパーツPの切断加工に対応するかを特定可能である。ステップS102において、制御部140は、加工状態データと、計測結果データと、加工状態データに対応するパーツPを特定可能なデータとを対応付けて記憶する。
【0059】
ステップS102の処理の後、制御部140は、パーツPの切断加工が終了したかを判定する(ステップS103)。ステップS103において、制御部140は、ワークWから切断されるパーツPのうちのいずれかのパーツPの切断加工が終了したことを以て、パーツPの切断加工が終了したと判定する。なお、制御部140は、ワークWから切断される全てのパーツPの切断加工が終了したことを以て、パーツPの切断加工が終了したと判定してもよい。
【0060】
ステップS103においてパーツPの切断加工が終了していない場合(ステップS103;NO)、制御部140は、再びステップS101の処理を実行する。制御部140は、パーツPの切断加工が終了するまでステップS101~ステップS102の処理を繰り返し実行する(ステップS103;NO→ステップS101→ステップS102→ステップS103;NO・・・)。
【0061】
例えば、
図4に示す例では、パーツP1の切断加工を開始してから(
図4(A))、パーツP1の切断加工が終了するまで(
図4(IB))、ステップS101~ステップS102の処理が繰り返し実行される。
【0062】
ステップS103においてパーツPの切断加工が終了している場合(ステップS103;YES)、制御部140の判定部141は、パーツPの切断不良があるかを判定する(ステップS104)。ステップS104において、制御部140の判定部141は、例えば、加工状態データによって示されるカーフ幅が許容値を超えている場合、その加工状態データに対応するパーツPの切断不良があると判定する。
【0063】
ステップS104においてパーツPの切断不良がない場合(ステップS104;NO)、制御部140は、パーツ切断時処理を終了する。そして、制御部140は、次のパーツPの切断加工が開始されるとき、再び、
図3に示すパーツ切断時処理を実行する。
【0064】
例えば、
図4に示す例では、パーツP1の切断不良はないため、マーク加工が行われることなく、パーツP1の切断加工が行われるときのパーツ切断時処理が終了する。そして、
図4に示す例では、パーツP1の切断加工が終了し
図4(B)、パーツP2の切断加工が開始されるときに(
図4(B))、再びパーツ切断時処理が実行される。
【0065】
ステップS104においてパーツPの切断不良がある場合(ステップS104;YES)、制御部140は、そのパーツPに対応する加工実績の情報と加工条件の情報の記憶場所を特定する(ステップS105)。ここで、加工実績とは、例えば、画像処理部180により測定されたカーフ幅、圧力センサー291により計測されたアシストガスの圧力等である。また、加工条件とは、例えば、ワークWの板厚、材質、サイズ、加工用レーザL1の出力、レーザヘッド200の移動速度等である。加工条件は、例えば、パーツPの切断加工が行われたときに実行された加工プログラムを参照することにより特定可能である。ステップS105において、制御部140は、例えば、ステップS102において記憶した加工状態データの記憶場所を、加工実績の情報の記憶場所として特定する。また、制御部140は、例えば、ステップS102において記憶した計測結果データの記憶場所を、加工実績の情報の記憶場所として特定する。また、制御部140は、例えば、切断不良があったパーツPの切断加工が行われたときに実行された加工プログラムの記憶場所を、加工条件の情報の記憶場所として特定する。
【0066】
例えば、
図5(A)に示す例では、パーツP2の切断加工の途中でカーフKLのカーフ幅が許容値を超える切断不良が発生している。したがって、制御部140は、パーツP2の切断加工が終了したとき(
図5(B))、パーツP2に対応する加工実績の情報と加工条件の情報の記憶場所を特定する。同様に、
図6(A)に示す例では、パーツP3の切断加工の開始時からカーフKLのカーフ幅が許容値を超える切断不良が発生している。したがって、制御部140は、パーツP3の切断加工が終了したとき(
図6(B))、パーツP3に対応する加工実績の情報と加工条件の情報の記憶場所を特定する。
【0067】
ステップS105の処理の後、制御部140は、ステップS105において特定した加工実績の情報の記憶場所と加工条件の情報の記憶場所とを示すマークMを生成する(ステップS106)。ステップS106において、制御部140は、例えば、バーコードシンボル(
図7(A)、(B))、記号の羅列(
図7(C))、文字の羅列(
図7(D))等のマークMを生成する。制御部140は、バーコードシンボルとして、一次元シンボル(
図7(B))を生成してもよいし、二次元シンボル(
図7(A))を生成してもよい。
【0068】
ステップS106の処理の後、制御部140は、レーザ光によりワークWにマークMを形成するマーク加工が行われるようにレーザ加工機110を制御する(ステップS107)。ステップS107の処理が実行されることにより、レーザ加工機110は、制御部140の判定部141により切断不良があると判定されたパーツPに対応する位置にマークMを形成する。例えば、レーザ加工機110は、切断不良があると判定されたパーツPの表面にマークMを形成する。
【0069】
例えば、
図5(C)に示す例では、切断不良があると判定されたパーツP2の表面に二次元シンボルのマークMが形成されている。同様に、
図6(C)に示す例では、切断不良があると判定されたパーツP3の表面に二次元シンボルのマークMが形成されている。
【0070】
また、制御部140は、切断不良があったパーツPを示すデータをネスティング部170に送信し(ステップS108)、パーツ切断時処理を終了する。ステップS108において、制御部140は、例えば、切断不良があったパーツPを示すデータとして、そのパーツPの部品番号を示すデータをネスティング部170に送信する。
【0071】
図8は、制御部140によるマーク読み取り時処理の流れの一例を概略的に示す。
図9は、マークMが読み取られたときに表示される情報の一例を概略的に示す。
図8に示す処理は、レーザ加工機110により形成されたマークMが読み取り部150により読み取られて解読された状態を開始状態として説明する。また、
図8の処理は、
図9を参照して説明する。
【0072】
作業者は、レーザ加工機110によりマークMが形成されている場合、読み取り部150によるマークMの読み取りを行う。前述のとおり、読み取り部150は、マークMを光学的に検知すると、光学的反射率の高い部分と低い部分とのパターンを解読し、解読結果を示すデータを制御部140に出力する。ここで、マークMが示す情報は、加工実績の情報の記憶場所と加工条件の記憶場所である。したがって、読み取り部150は、加工実績の情報の記憶場所と加工条件の記憶場所とを示すデータを、解読結果を示すデータとして制御部140に出力する。
【0073】
制御部140は、マークMの解読結果を示すデータを取得すると(ステップS201)、解読された記憶場所から加工実績の情報と加工条件の情報とを取得する(ステップS202)。ステップS202において、制御部140は、例えば、加工実績の情報として、
図3のステップS102において記憶した加工状態データからカーフ幅の情報を取得する。また、制御部140は、例えば、加工実績の情報として、
図3のステップS102において記憶した計測結果データからアシストガスの圧力の情報を取得する。また、制御部140は、例えば、加工プログラムからワークWの板厚、材質、サイズ、加工用レーザL1の出力、レーザヘッド200の移動速度の情報を取得する。
【0074】
ステップS202の処理の後、制御部140は、ステップS202において取得した加工実績の情報と加工条件の情報とを表示部160に表示し(ステップS203)、マーク読み取り時処理を終了する。
【0075】
例えば、
図9に示す例では、加工実績の情報として、加工不良があったパーツPの切断加工を行ったときのカーフ幅の情報PI1、アシストガスの圧力の情報PI2、及び可視光の情報PI2、が表示されている。ここで、可視光の情報PI3は、例えば、撮像画像データの明るさを示す情報である。前述のとおり、撮像素子271には、照明用レーザL2に由来する戻り光が入射する。しかしながら、切断不良が発生している場合、撮像素子271には、溶融金属等に起因する光も入射する。その場合、撮像画像データの明るさは、切断不良が発生していないときよりも明るくなる。
【0076】
また、
図9に示す例では、加工条件の情報として、切断不良があったパーツPの切断加工が行われたワークWについて、板厚の情報CI1、材質の情報CI2、及びサイズの情報CI3が表示されている。
【0077】
また、
図9に示す例では、加工条件の情報として、加工不良があったパーツPの切断加工を行ったときのレーザ光の出力の情報CI4、及びレーザヘッド200の移動速度の情報CI5が表示されている。
【0078】
また、
図9に示す例では、加工条件の情報に関連して、切断不良があったパーツPの切断加工を行ったときの加工プログラムへのハイパーリンクとして機能するボタン画像Lが表示されている。
【0079】
以上、
図3から
図9に示す例によれば、マークMは、パーツPを切断したときの加工実績に関する情報を含む。したがって、作業者は、加工実績に関する情報を簡易に取得できる。ひいては、作業者は、切断不良が発生しても、その状況を把握することが容易となる。
【0080】
また、
図3から
図9に示す例によれば、マークMは、パーツPを切断したときの加工条件に関する情報を含む。したがって、作業者は、加工条件に関する情報をも簡易に取得できる。ひいては、作業者は、切断不良が発生しても、その状況を把握することが更に容易となる。
【0081】
また、
図3から
図9に示す例によれば、レーザ加工機110は、パーツPの表面にマークMを形成する。したがって、作業者は、取得した加工条件に関する情報がいずれのパーツPに対応するかの把握が容易となる。
【0082】
また、
図3から
図9に示す例によれば、レーザ加工機110は、判定部141により切断不良があると判定されたパーツPに対応する位置にマークMを形成する。したがって、作業者は、マークMが形成された位置に対応するパーツPの切断が不良であると直ちに認識することができる。
【0083】
また、
図3から
図9に示す例によれば、マークMは、一次元シンボル、二次元シンボル、記号の羅列、又は文字の羅列である。一次元シンボルを採用する場合には、マークMの読み取り速度が高くなり、マークMを読み取るために工程のラインを停止させる時間を短縮することができる。また、二次元シンボルを採用する場合には、加工実績に関する大容量の情報を作業者が簡易に取得でき、切断不良が発生しても、その状況を把握することが容易となる。また、記号の羅列、又は文字の羅列を採用する場合には、汎用性が低いため、マークMによって示される情報の秘匿性を向上させることができる。
【0084】
図10は、ネスティング部170によるネスティング処理の流れの一例を概略的に示す。
図11は、マークMを形成する位置の一例を概略的に示す。
図10の処理は、ワークWの形状と、ワークWから切断加工する複数のパーツPの形状とが決まっている状態を開始状態として説明する。また、
図10の処理は、
図11を参照して説明する。
【0085】
ネスティング部170は、ワークWの形状の情報と、複数のパーツPの形状の情報とを取得すると(ステップS301)、ワークWから複数のパーツPを切断するためのレイアウトを生成する(ステップS302)。
【0086】
ステップS302の処理の後、ネスティング部170は、切断不良があったときにマークMを形成する位置をレイアウトに追加する(ステップS303)。ステップS303において、ネスティング部170は、例えば、パーツPの表面にマークMを形成する場合、パーツPの表面における端(
図11(A))、パーツPの表面における中央(
図11(B))等の位置とする。また、ネスティング部170は、例えば、パーツPの表面にマークMを形成しない場合、パーツPの近く(
図11(C))等の位置とする。
【0087】
ステップS303の処理の後、ネスティング部170は、生成したレイアウトのデータを制御部140に出力し(ステップS304)、ネスティング処理を終了する。
【0088】
図12は、ネスティング部170による再ネスティング処理の流れの一例を概略的に示す。
図12の処理は、制御部140がネスティング部170に対して切断不良があったパーツPを示すデータを送信した状態を開始状態として説明する。
【0089】
前述のとおり、制御部140は、切断不良があると判定されたパーツPに対応する位置にマークMを形成すると、切断不良があったパーツPを示すデータをネスティング部170に送信する。
【0090】
ネスティング部170は、切断不良があったパーツPを示すデータを受信すると(ステップS401)、切断不良があったパーツPを再度切断するための新たなレイアウトを生成する(ステップS402)。
【0091】
ステップS402の処理の後、ネスティング部170は、
図10に示すネスティング処理と同様に、切断不良があったときにマークMを形成する位置をレイアウトに追加する(ステップS403)。そして、ネスティング部170は、生成したレイアウトのデータを制御部140に出力し(ステップS404)、再ネスティング処理を終了する。
【0092】
以上、
図10から
図12に示す例によれば、ネスティング部170は、判定部141により切断が不良であると判定されたパーツPを再度切断加工するための新たなレイアウトを生成する。したがって、レーザ加工システム100を採用する現場においては、人手を介さずに、切断加工を行う工程における歩留まりを向上させることができる。
【0093】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0094】
特許請求の範囲、明細書及び図面において示した装置、システム、プログラム及び方法における動作、手順、ステップ及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示していない。また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、各処理は、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明しても、この順で実施することが必須であることを意味しない。
【符号の説明】
【0095】
110 レーザ加工機
141 判定部
150 読み取り部
160 表示部
170 ネスティング部
270 撮像部
CI1 板厚の情報
CI2 材質の情報
CI3 サイズの情報
CI4 レーザ光の出力の情報
CI5 レーザヘッドの移動速度の情報
L ボタン画像
L1 加工用レーザ
M マーク
P パーツ
PI1 カーフ幅の情報
PI2 アシストガスの圧力の情報
PI3 可視光の情報
W ワーク