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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/23 20240101AFI20240214BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240214BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240214BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02F1/13 505
G02F1/133 535
G02B27/01
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020058566
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021154929
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 千秋
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 和彦
【審査官】中野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G02F 1/13
G02F 1/133
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の発光素子を有し照明光を発する光源と、
前記照明光にて透過照明される透過型表示パネルと、
前記透過型表示パネルから発せられる表示光を反射させる反射ミラーと、
前記反射ミラーを回動させる駆動手段と、
観察者の視点位置に応じて前記発光素子の発光強度を各々制御する制御手段と、を備え、
前記表示光を投影部材に投射することによって虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御手段は、前記反射ミラーが回動されている間、全ての前記発光素子を同じ輝度で点灯させることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型表示パネル及びこの透過型表示パネルを透過照明する光源を有する発光型表示器が発した表示光によって虚像を表示させるヘッドアップディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示器を用いたヘッドアップディスプレイ装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。ヘッドアップディスプレイ装置1は、反射ミラー5を介して、表示光Lを車両のウインドシールド或いはコンバイナと称される半透過板に投影し、虚像を表示するものである(図10参照)。
【0003】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、液晶表示パネル4と、この液晶表示パネル4を透過照明する光源7とを備えている。ヘッドアップディスプレイ装置1の光源7は、マトリクス状に配置された複数の発光素子からなり、車両運転者の視点位置に応じて、各々オン/オフされる。つまり、車両運転者の視点位置に到達しない表示光は無駄であるので、車両運転者の視点位置を検出して、その視点位置に到達する表示光のみを投影するように光源7の発光素子を各々オン/オフ制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-310055号公報
【文献】特開2003-344801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両運転者の視点に応じて反射ミラー5の角度を調整するヘッドアップディスプレイ装置(特許文献2参照)では、反射ミラー5が回動している間は光源7の各々の発光素子のオン/オフ制御が頻繁になるため、制御手段に過大な負荷が生じて、光源7の各々の発光素子のオン/オフが適切に行われなくなる虞があった。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、反射ミラーが回動している間においても、発光素子の制御が適切に行われるヘッドアップディスプレイ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、
マトリクス状に配置された複数の発光素子を有し照明光を発する光源と、
前記照明光にて透過照明される透過型表示パネルと、
前記透過型表示パネルから発せられる表示光を反射させる反射ミラーと、
前記反射ミラーを回動させる駆動手段と、
観察者の視点位置に応じて前記発光素子の発光強度を各々制御する制御手段と、を備え、
前記表示光を投影部材に投射することによって虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御手段は、前記反射ミラーが回動されている間、全ての前記発光素子を同じ輝度で点灯させるものである。
【0007】
また、本発明は、前記制御手段100は、前記反射ミラー30が回動されている間、全ての前記発光素子22a~22lを同じ輝度で点灯させるものである。
【発明の効果】
【0008】
反射ミラーが回動されている間は、全ての発光素子を点灯させることによって、発光素子の輝度を各々制御するための頻繁な演算処理が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態を示す断面図。
図2】同上実施形態を示す概略図。
図3】同上実施形態を示す回路基板の正面図。
図4】同上実施形態を示すブロック図。
図5】同上実施形態を示す点灯状態説明図。
図6】同上実施形態を示す点灯状態説明図。
図7】同上実施形態を示す点灯状態説明図。
図8】同上実施形態を示す断面図。
図9】他の実施形態を示す点灯状態説明図。
図10】従来例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
ヘッドアップディスプレイ装置11は車両のダッシュボード12内に配設されている(図2参照)。ヘッドアップディスプレイ装置11が投射する表示光Lはウインドシールド13により車両運転者14に反射される。車両運転者14は虚像Vを風景と重畳させて視認することができる。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ装置11は、液晶表示器15,反射器16をハウジング17に収容したものである。液晶表示器15は、液晶表示パネル18と、リレーレンズ19と、コンデンサレンズ21と、光源22とからなるものである。
【0013】
液晶表示パネル18は、透明電極膜が形成された一対の透光性基板に液晶を封入した液晶セルの前後両面に偏光板を貼着したものであり、ケース体24に固定されている。ケース体24は略角筒形状になっており、ケース体24の後端部は、後述する放熱部材に固定されている。ケース体24の中間部にはリレーレンズ19及びコンデンサレンズ21が保持され、前端部には液晶表示パネル18が保持されている。光源22が発した照明光は、コンデンサレンズ21及びリレーレンズ19を介して、液晶表示パネル18を透過照明する。光源22は、回路基板27に搭載されている。
【0014】
図3は、光源22及び回路基板27を示すものである。光源22は、発光ダイオード22a~22lからなるものである。発光ダイオード22a~22lは、回路基板27上にマトリクス状に配置されている。発光ダイオード22a~22lは、縦方向に3個、横方向に4個で、合計12個の発光ダイオード22a~22lが配置されている。
【0015】
反射器16は、凹面鏡30,保持部材31及びステッピングモータ32を有している。凹面鏡30は、樹脂(例えばポリカーボネート)に金属(例えばアルミニウム)を蒸着させ反射面30aを形成したものである。反射面30aは凹面となっており、液晶表示器15が発した表示光Lが拡大されて虚像Vが表示される。凹面鏡30は保持部材31に両面粘着テープにより接着されている。保持部材31は樹脂(例えばABS)からなるものであり、歯車部34及び軸部35が一体に形成されている。保持部材31の軸部35はハウジング17に軸支されている。
【0016】
ステッピングモータ32の回動軸には歯車37が取付けられており、この歯車37は、保持部材31の歯車部34と噛合されている。凹面鏡30は保持部材31と共に回動可能な状態で支持されており、ステッピングモータ32により凹面鏡30を回動させ、表示光Lの投射方向を調整することができる。車両運転者14は、後述する操作スイッチ203を操作し、表示光Lが目の位置に反射されるように(即ち、虚像Vを視認できるように)凹面鏡30の角度を調整する。
【0017】
40は放熱部材であり、この放熱部材40は、ハウジング17の開口部17aに配設されている。放熱部材40は、図示しないビスによってフランジ部40aでハウジング17に固定されている。放熱部材40は、平板形状の多数の放熱フィン40bを有しており、光源22が発した熱をハウジング17の外に放出する。42は長方形環状のパッキング部材であり、このパッキング部材42は、放熱部材40と、ハウジング17の開口部17aの間を塞ぐことによって、ハウジング17の中に塵埃が入ることを防いでいる。
【0018】
ハウジング17には液晶表示器15及び反射器16が収容される。ハウジング17には表示光Lが出射する窓部44が設けられている。この窓部44は透光性樹脂(例えばアクリル)からなるものであり、湾曲形状になっている。ハウジング17には遮光壁17cが設けられており、太陽光等の外光が液晶表示器15に入射し虚像Vが見えにくくなる現象(ウォッシュアウト)を防止している。遮光壁17cは平板形状になっており、ハウジング17の上部から斜めに垂下するように形成されている。
【0019】
図4は、ヘッドアップディスプレイ装置11の電気的構成を示すブロック図である。制御部100は、CPU101,不揮発性メモリ102,揮発性メモリ103,EEPRPM104を有しており、後述するイグニッションスイッチ200,車速センサ201,視点検出部202,操作スイッチ203から各種信号を入力する。
【0020】
車速センサ201は、車両の速度を検出し、制御部100に車速データを出力する。視点検出部202は、車両運転者14の視点位置を検出し、制御部100に視点位置データを出力する。操作スイッチ203は、アップ操作スイッチ203a及びダウン操作スイッチ203bを有しており、制御部100に操作データを出力する。
【0021】
制御部100は、視点検出部202から入力した視点位置データに応じて、発光ダイオード22a~22lを各々オン/オフさせる演算処理を行う。例えば、車両運転者14の視点位置がアイボックス80の中央にあるときは、発光ダイオード22e,22hを点灯させ、発光ダイオード22a~22d,22f,22g,22i~22lを消灯させる(図5参照)。
【0022】
車両運転者14の視点位置がアイボックス80の上部にあるときは、発光ダイオード22f,22iを点灯させ、発光ダイオード22a~22e,22g,22h,22j~22lを消灯させる(図6参照)。
車両運転者14の視点位置がアイボックス80の下部にあるときは、発光ダイオード22d,22gを点灯させ、発光ダイオード22a~22c,22e,22f,22h~22lを消灯させる(図7参照)。
【0023】
制御部100は、操作スイッチ203から操作信号を入力している間は、発光ダイオード22a~22lを全て同じ輝度にて点灯させる。また、車両運転者14の視点位置がアイボックス80から外れているときは、発光ダイオード22a~22lを全て同じ輝度に点灯させる。また、視点検出部202が車両運転者14の視点位置を検出できないときも、発光ダイオード22a~22lを全て同じ輝度に点灯させる。
【0024】
イグニッションスイッチ200がオフされたとき、制御部100は、ステッピングモータ32を駆動して、凹面鏡30で反射された太陽光Mが液晶表示パネル18に入射しないように、凹面鏡30の角度位置を変えておく(図8参照)。
【0025】
また、制御部100は、イグニッションスイッチ200がオフされたときの凹面鏡30の角度位置をEEPROM104に記憶しておき、次にイグニッションスイッチ200がオンされたときに、EEPROM104に記憶されている所定の角度位置に凹面鏡30を復帰させる。制御部100は、イグニッションスイッチ200がオンされたときから、凹面鏡30がEEPROM104に記憶されている所定の角度位置に復帰するまでの間は、発光ダイオード22a~22lを全て消灯させておく。
【0026】
なお、本明細書において、「イグニッションスイッチがオンされたとき」とは、イグニッションスイッチ200がACCからONになったときだけでなく、OFFからACCになったときを含み、「イグニッションスイッチがオフされたとき」とは、イグニッションスイッチ200がONからACCになったときだけでなく、ACCからOFFになったときを含む。
【0027】
本実施形態によれば、凹面鏡30がステッピングモータ32にて回動されている間は、全ての発光ダイオード22a~22lを点灯させることによって、発光ダイオード22a~22lの輝度を各々制御するための制御手段100の頻繁な演算処理が不要になる。
【0028】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、凹面鏡30がステッピングモータ32にて回動されている間は、全ての発光ダイオード22a~22lを点灯していれば良く、発光ダイオード22d~22iを高輝度で点灯させ、発光ダイオード22a~22c,22j~22lを低輝度で点灯させても良い(図9参照)。
【符号の説明】
【0029】
11 ヘッドアップディスプレイ装置
13 ウインドシールド(投影部材)
14 車両運転者(観察者)
18 液晶表示パネル(透過型表示パネル)
22 光源
22a~22l 発光ダイオード(発光素子)
30 凹面鏡(反射ミラー)
32 ステッピングモータ(駆動手段)
100 制御部(制御手段)
L 表示光
V 虚像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10