(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】タービンおよび過給機
(51)【国際特許分類】
F01D 5/22 20060101AFI20240214BHJP
F01D 5/04 20060101ALI20240214BHJP
F01D 5/16 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F01D5/22
F01D5/04
F01D5/16
(21)【出願番号】P 2020060293
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神崎 大
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-074011(JP,A)
【文献】特開2010-242520(JP,A)
【文献】特開2014-234803(JP,A)
【文献】特開平08-082202(JP,A)
【文献】特開昭63-038602(JP,A)
【文献】実開昭54-049406(JP,U)
【文献】特開2005-188463(JP,A)
【文献】特表2018-524514(JP,A)
【文献】米国特許第5540551(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D1/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に間隔を空けて設けられる複数の翼体を有するオープン型のタービン翼車と、
前記タービン翼車よりも径方向外側に形成されるタービンスクロール流路と、
前記タービン翼車を介して前記タービンスクロール流路と連通される吐出口と、
互いに隣り合う前記翼体を連結し、前記翼体におけるリーディングエッジよりもトレーリングエッジ側に接続される連結部材と、
を備え
、
互いに隣り合う前記翼体同士が前記連結部材により連結されている領域と、互いに隣り合う前記翼体同士が前記連結部材により連結されていない領域とが、周方向に交互に並んでいる、
タービン。
【請求項2】
前記連結部材は、前記翼体における前記リーディングエッジよりも前記トレーリングエッジ側のうちの径方向外側に接続される、
請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記連結部材は
、互いに隣り合う
前記翼体の間において、前記互いに隣り合う翼体の各々と前記連結部材との接続位置を通る周方向に延びた円弧に沿って形成されている、
請求項1
または2に記載のタービン。
【請求項4】
前記連結部材は
、互いに隣り合う
前記翼体の間において、前記互いに隣り合う翼体の各々と前記連結部材との接続位置を通る周方向に延びた円弧よりも径方向内側を通る経路に沿って形成されている、
請求項1
または2に記載のタービン。
【請求項5】
前記連結部材は、中空である、
請求項1から
4のいずれか1項に記載のタービン。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載のタービンを備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービンおよび過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
過給機等に設けられるタービンとして、オープン型(つまり、翼車を覆う側板が設けられていないタイプ)のタービン翼車を備えるタービンがある。オープン型のタービン翼車では、翼体の振動を抑制する必要性が高い。例えば、特許文献1には、径方向外側からタービン翼車にガスが流入するラジアルタービンにおいて、翼体の振動を抑制するために、翼厚(つまり、翼体の肉厚)を部分的に厚くする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、翼厚を厚くすると、空力性能が低下するおそれがある。ゆえに、径方向外側からタービン翼車にガスが流入するタービン(具体的には、ラジアルタービンまたは斜流タービン)において、翼厚分布を工夫する以外の方法によって翼体の振動を抑制することが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、翼体の振動を抑制することが可能なタービンおよび過給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のタービンは、周方向に間隔を空けて設けられる複数の翼体を有するオープン型のタービン翼車と、タービン翼車よりも径方向外側に形成されるタービンスクロール流路と、タービン翼車を介してタービンスクロール流路と連通される吐出口と、互いに隣り合う翼体を連結し、翼体におけるリーディングエッジよりもトレーリングエッジ側に接続される連結部材と、を備え、互いに隣り合う翼体同士が連結部材により連結されている領域と、互いに隣り合う翼体同士が連結部材により連結されていない領域とが、周方向に交互に並んでいる。
【0007】
連結部材は、翼体におけるリーディングエッジよりもトレーリングエッジ側のうちの径方向外側に接続されてもよい。
【0009】
連結部材は、互いに隣り合う翼体の間において、互いに隣り合う翼体の各々と連結部材との接続位置を通る周方向に延びた円弧に沿って形成されていてもよい。
【0010】
連結部材は、互いに隣り合う翼体の間において、互いに隣り合う翼体の各々と連結部材との接続位置を通る周方向に延びた円弧よりも径方向内側を通る経路に沿って形成されていてもよい。
【0011】
連結部材は、中空であってもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本開示の過給機は、上記のタービンを備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、翼体の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態の過給機を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施形態のタービン翼車を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施形態のタービン翼車を示す上面図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施形態の連結部材を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の第2の実施形態のタービン翼車を示す上面図である。
【
図7】
図7は、本開示の第3の実施形態のタービン翼車を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本開示の第1の実施形態の過給機TCを示す概略断面図である。以下では、
図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。
図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。
図1に示されるように、過給機TCは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング7とを含む。タービンハウジング5は、ベアリングハウジング3の左側に締結機構9によって連結される。コンプレッサハウジング7は、ベアリングハウジング3の右側に締結ボルト11によって連結される。過給機TCは、タービンTおよび遠心圧縮機Cを備える。タービンTは、ベアリングハウジング3およびタービンハウジング5を含む。遠心圧縮機Cは、ベアリングハウジング3およびコンプレッサハウジング7を含む。
【0017】
ベアリングハウジング3の外周面には、突起3aが設けられる。突起3aは、タービンハウジング5側に設けられる。突起3aは、ベアリングハウジング3の径方向に突出する。タービンハウジング5の外周面には、突起5aが設けられる。突起5aは、ベアリングハウジング3側に設けられる。突起5aは、タービンハウジング5の径方向に突出する。ベアリングハウジング3とタービンハウジング5は、締結機構9によってバンド締結される。締結機構9は、例えば、Gカップリングである。締結機構9は、突起3aおよび突起5aを挟持する。
【0018】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3bが形成される。軸受孔3bは、過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3bには、セミフローティング軸受13が配される。セミフローティング軸受13は、シャフト15を回転自在に軸支する。シャフト15の左端部には、タービン翼車17が設けられる。タービン翼車17は、タービンハウジング5に回転自在に収容される。シャフト15の右端部には、コンプレッサインペラ19が設けられる。コンプレッサインペラ19は、コンプレッサハウジング7に回転自在に収容される。シャフト15の軸方向が、過給機TCの軸方向(つまり、左右方向)である。以下、過給機TCの軸方向、径方向および周方向を、それぞれ単に軸方向、径方向および周方向と呼ぶ。
【0019】
コンプレッサハウジング7には、吸気口21が形成される。吸気口21は、過給機TCの右側に開口する。吸気口21は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の対向面によって、ディフューザ流路23が形成される。ディフューザ流路23は、空気を昇圧する。ディフューザ流路23は、環状に形成される。ディフューザ流路23は、径方向内側において、コンプレッサインペラ19を介して吸気口21に連通している。
【0020】
コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路25が設けられる。コンプレッサスクロール流路25は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路25は、例えば、ディフューザ流路23よりも径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路25は、不図示のエンジンの吸気口と、ディフューザ流路23とに連通している。コンプレッサインペラ19が回転すると、吸気口21からコンプレッサハウジング7内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ19の翼間を流通する過程において加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路23およびコンプレッサスクロール流路25で昇圧される。昇圧された空気は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0021】
タービンハウジング5には、吐出口27が形成される。吐出口27は、過給機TCの左側に開口する。吐出口27は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング5には、連通路29と、タービンスクロール流路31とが形成される。タービンスクロール流路31は、環状に形成される。タービンスクロール流路31は、タービン翼車17よりも径方向外側に形成される。タービンスクロール流路31は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。連通路29は、タービン翼車17を介してタービンスクロール流路31と吐出口27とを連通させる。ガス流入口からタービンスクロール流路31に導かれた排気ガスは、連通路29、タービン翼車17を介して吐出口27に導かれる。吐出口27に導かれる排気ガスは、流通過程においてタービン翼車17を回転させる。
【0022】
タービン翼車17の回転力は、シャフト15を介してコンプレッサインペラ19に伝達される。コンプレッサインペラ19が回転すると、上記のとおりに空気が昇圧される。こうして、空気がエンジンの吸気口に導かれる。
【0023】
図2は、
図1の一点鎖線部分を抽出した図である。タービン翼車17は、オープン型(つまり、翼車を覆う側板が設けられていないタイプ)のタービン翼車である。タービン翼車17は、ハブ17aと、複数の翼体17bとを有する。ハブ17aは、シャフト15の左端部と接続されている。ハブ17aの外径は、過給機TCの左側に向かうほど小さくなる。ハブ17aの外周面に複数の翼体17bが設けられる。複数の翼体17bは、周方向に間隔を空けて設けられる。各翼体17bは、ハブ17aの外周面から径方向外側に延びて形成される。
【0024】
翼体17bの外周縁は、リーディングエッジR1、トレーリングエッジR2および中間縁部R3を含む。リーディングエッジR1は、翼体17bにおける排気ガスの流れ方向の上流側の縁部である。リーディングエッジR1は、翼体17bにおけるタービンスクロール流路31側の縁部である。リーディングエッジR1には、タービンスクロール流路31からの排気ガスが流入する。リーディングエッジR1は、翼体17bの右端側に形成される。リーディングエッジR1は、軸方向に延びている。トレーリングエッジR2は、翼体17bにおける排気ガスの流れ方向の下流側の縁部である。トレーリングエッジR2は、翼体17bにおける吐出口27側の縁部である。トレーリングエッジR2から吐出口27に向けて排気ガスが流出する。トレーリングエッジR2は、翼体17bの左端側に形成される。トレーリングエッジR2は、周方向にねじれながら径方向に延びている。中間縁部R3は、リーディングエッジR1とトレーリングエッジR2の間に亘って形成される。中間縁部R3は、タービンハウジング5のうち連通路29を画成するシュラウド部29aに沿って延びている。
【0025】
図2の矢印D1により示されるように、タービン翼車17には、径方向外側から排気ガスが径方向に流入する。このように、タービンTは、所謂ラジアルタービンである。なお、タービンTは、径方向に対して傾斜する方向に径方向外側から排気ガスが流入する所謂斜流タービンであってもよい。
【0026】
ここで、径方向外側からタービン翼車17にガスが流入するラジアルタービンまたは斜流タービンでは、翼体17bの主な振動モードにおいて、トレーリングエッジR2の径方向外側の端部E1が振動の腹となる。具体的には、1次モードでは、トレーリングエッジR2の径方向外側の端部E1が振動の腹となる。2次モードでは、端部E1に加えて、リーディングエッジR1の左側の端部E2が振動の腹となる。本実施形態のタービンTでは、翼体17bの振動を抑制するために、連結部材33が設けられている。
【0027】
図3は、タービン翼車17を示す斜視図である。
図4は、タービン翼車17を示す上面図である。
図3および
図4に示されるように、タービン翼車17には、8つの翼体17bが設けられている。なお、タービン翼車17に設けられる翼体17bの数は、8つ以外であってもよい。連結部材33は、互いに隣り合う翼体17bを連結する。具体的には、連結部材33は、ハブ17aと同軸の円環状の部材である。連結部材33は、各翼体17bを貫通した状態で、各翼体17bに取り付けられている。例えば、連結部材33は、溶接等によって、各翼体17bに対する相対的な移動が制限されるように取り付けられている。なお、連結部材33は、各翼体17bと別部材であってもよく、各翼体17bと一体的に形成されていてもよい。
【0028】
連結部材33は、翼体17bにおけるリーディングエッジR1よりもトレーリングエッジR2側に接続される。具体的には、連結部材33は、排気ガスの流れ方向において、翼体17bにおけるリーディングエッジR1よりもトレーリングエッジR2に近い側の領域に接続される。例えば、
図2に示されるように、連結部材33は、翼体17bにおけるトレーリングエッジR2の近傍の領域A1内の位置に接続される。
図2~
図4では、連結部材33が翼体17bにおけるトレーリングエッジR2側(つまり、下流側)のうちの径方向の中央付近に接続される例が示されている。
【0029】
上記のように、本実施形態のタービンTでは、互いに隣り合う翼体17bが連結部材33によって連結される。連結部材33は、翼体17bにおけるリーディングエッジR1よりもトレーリングエッジR2側に接続される。それにより、翼体17bの主な振動モードにおいて、振動の腹となる端部E1の近傍の振動を抑制することができる。ゆえに、翼体17bの振動を抑制することができる。さらに、翼厚分布を工夫する以外の方法によって翼体17bの振動が抑制されるので、空力性能の低下も抑制される。
【0030】
ここで、連結部材33は、翼体17bにおけるリーディングエッジR1よりもトレーリングエッジR2側のうちの径方向外側に接続されることが好ましい。具体的には、連結部材33は、翼体17bにおけるトレーリングエッジR2側(つまり、下流側)の領域のうちの径方向の中央位置よりも径方向外側の領域に接続されることが好ましい。例えば、連結部材33は、
図2に示される領域A1のうちの径方向外側の領域A2内の位置に接続されることが好ましい。それにより、翼体17bの主な振動モードにおいて、振動の腹となる端部E1に対してより近い位置の振動を抑制することができる。ゆえに、翼体17bの振動をより効果的に抑制することができる。
【0031】
図4に示されるように、連結部材33は、互いに隣り合う翼体17bの間において、互いに隣り合う翼体17bの各々と連結部材33との接続位置を通る周方向に延びた円弧に沿って形成されている。例えば、連結部材33は、翼体17b1に接続位置P1で接続されている。連結部材33は、翼体17b1と隣り合う翼体17b2に接続位置P2で接続されている。連結部材33は、互いに隣り合う翼体17b1と翼体17b2との間において、接続位置P1および接続位置P2を通る周方向に延びた円弧AR1に沿って形成されている。
【0032】
上記のように、連結部材33は、互いに隣り合う翼体17bの間において、周方向に沿った円弧状に形成されている。ゆえに、互いに隣り合う翼体17bの各々と連結部材33との接続位置において、連結部材33は、翼体17bに対して直交する。具体的には、連結部材33の翼体17bに対する接続方向は、翼体17bの延在方向に直交する方向(つまり、過給機TCの周方向)となる。ここで、翼体17bの振動方向は、翼体17bの延在方向に直交する方向(つまり、過給機TCの周方向)となる。ゆえに、連結部材33の翼体17bに対する接続方向は、翼体17bの振動方向と一致する。よって、翼体17bの振動をより効果的に抑制することができる。
【0033】
図5は、連結部材33を示す断面図である。具体的には、
図5は、
図4のA-A断面を示す図である。
図5に示されるように、連結部材33は、中空である。連結部材33は、周方向に延びる筒形状である。連結部材33の肉厚は、
図5に示される例のように一定であってもよい。連結部材33の肉厚は、一定でなくてもよい。例えば、3Dプリンタ等を用いた積層造形によって、中空の連結部材33を形成することが実現される。連結部材33の体積が一定である場合において、連結部材33が中空である場合には、連結部材33が中実である場合と比較して、連結部材33の重量の増大を抑制しつつ、曲げ変形に対する強度、および、ねじれ変形に対する強度を向上させることができる。
【0034】
なお、連結部材33の形状は、
図2~
図5に示される例に限定されない。例えば、
図2~
図5では、連結部材33の径方向の長さが軸方向の長さよりも長い例が示されているが、連結部材33の径方向の長さが軸方向の長さよりも短くてもよい。連結部材33の断面形状は、
図5に示される形状と異なっていてもよい。連結部材33は、中実であってもよい。連結部材33は、回転対称な形状でなくてもよい。
【0035】
以下、本開示の第1の実施形態のタービン翼車17と比較して連結部材33の構成を異ならせた他の実施形態として、本開示の第2の実施形態のタービン翼車17Aおよび本開示の第3の実施形態のタービン翼車17Bについて説明する。
【0036】
図6は、本開示の第2の実施形態のタービン翼車17Aを示す上面図である。
図6に示されるように、タービン翼車17Aには、上述したタービン翼車17と同様に、8つの翼体17bが設けられている。つまり、互いに隣り合う翼体17bの間の領域(以下、翼間領域とも呼ぶ)の数は、8つである。タービン翼車17Aでは、4つの連結部材33Aが一部の翼間領域に設けられている。連結部材33Aは、当該連結部材33Aが設けられる翼間領域を形成する隣り合う翼体17bを連結する。タービン翼車17Aでは、連結部材33Aが設けられる翼間領域と、連結部材33Aが設けられない翼間領域とが、交互に並んでいる。なお、連結部材33Aは、翼体17bと別部材であってもよく、翼体17bと一体的に形成されていてもよい。
【0037】
各翼体17bは、当該各翼体17bに対して周方向一側に隣り合う翼体17bと連結部材33Aにより連結されており、当該各翼体17bに対して周方向他側に隣り合う翼体17bとは連結部材33Aにより連結されていない。例えば、翼体17b1は、翼体17b1に対して周方向一側(紙面反時計回り側)に隣り合う翼体17b2と連結部材33Aにより連結されており、翼体17b1に対して周方向他側(紙面時計回り側)に隣り合う翼体17b3とは連結部材33Aにより連結されていない。
【0038】
翼体17bが、当該翼体17bに対して隣り合う2つの翼体17bのうちの一方とのみ連結部材33Aにより連結されていれば、振動を抑制する効果は得られる。ゆえに、少なくとも1つの翼体17bを、当該翼体17bに対して隣り合う2つの翼体17bのうちの一方とのみ連結部材33Aにより連結させることによって、連結部材33Aの総体積および総重量を低下させることができる。
【0039】
なお、連結部材33Aが設けられる翼間領域の配置は、
図6に示される例に限定されない。例えば、連結部材33Aが設けられる翼間領域が周方向に隣り合っていてもよい。連結部材33Aが設けられない翼間領域が周方向に隣り合っていてもよい。ただし、連結部材33Aの総体積および総重量を低下させる観点では、翼体17bの数が偶数の場合、連結部材33Aが設けられる翼間領域と、連結部材33Aが設けられない翼間領域とが、交互に並んでいることが好ましい。
【0040】
図7は、本開示の第3の実施形態のタービン翼車17Bを示す上面図である。
図7に示されるように、タービン翼車17Bでは、連結部材33Bは、ハブ17aを囲む環状に、1つまたは複数の部材によって形成される。連結部材33Bは、上述したタービン翼車17と同様に、各翼体17bを貫通した状態で、各翼体17bに取り付けられている。なお、連結部材33Bは、各翼体17bと別部材であってもよく、各翼体17bと一体的に形成されていてもよい。
【0041】
図7では、上述したタービン翼車17の連結部材33の形状が破線によって示されている。上述したように、タービン翼車17では、連結部材33は、互いに隣り合う翼体17bの間において、互いに隣り合う翼体17bの各々と連結部材33との接続位置を通る周方向に延びた円弧に沿って形成されている。一方、
図7に示されるように、タービン翼車17Bでは、連結部材33Bは、互いに隣り合う翼体17bの間において、互いに隣り合う翼体17bの各々と連結部材33との接続位置を通る周方向に延びた円弧よりも径方向内側を通る経路に沿って形成されている。例えば、連結部材33Bは、互いに隣り合う翼体17b1と翼体17b2との間において、接続位置P1および接続位置P2を通る周方向に延びた円弧AR1よりも径方向内側(つまり、ハブ17a側)を通る経路に沿って形成されている。
【0042】
上記のように、タービン翼車17Bでは、連結部材33Bは、互いに隣り合う翼体17bの間において、周方向に沿った円弧状に形成される場合よりも径方向内側を通って形成されている。それにより、翼間領域において、連結部材33Bをタービン翼車17Bの回転軸に近づけることができる。ゆえに、翼間領域において連結部材33Bに作用する遠心力を低下させることができる。よって、遠心力に対抗するために連結部材33Bの体積および重量が増大することを抑制することができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
上記では、タービンTが過給機TCに搭載される例を説明したが、タービンTは、過給機TC以外の装置(例えば、発電機等)に搭載されてもよい。
【0045】
上記で説明した実施形態は組み合わされてもよい。例えば、第2の実施形態のように一部の翼間領域で連結部材が省略される場合に、翼間領域における連結部材の軌道が第1の実施形態と同様であってもよく、第3の実施形態と同様であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示は、タービンおよび過給機に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
17 タービン翼車
17A タービン翼車
17B タービン翼車
17b 翼体
27 吐出口
31 タービンスクロール流路
33 連結部材
33A 連結部材
33B 連結部材
AR1 円弧
P1 接続位置
P2 接続位置
R1 リーディングエッジ
R2 トレーリングエッジ
R3 中間縁部
T タービン
TC 過給機