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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】飛来粒子の検出装置及びその検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20240214BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240214BHJP
   H02S 40/10 20140101ALN20240214BHJP
【FI】
G01N1/02 J
G01N1/02 F
G01W1/00 A
H02S40/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020071617
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021167790
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 真稔
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和文
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-256363(JP,A)
【文献】特開昭53-109689(JP,A)
【文献】特開2008-039735(JP,A)
【文献】特開2001-242065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/02
G01W 1/00
H02S 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛来粒子を入口から取り込む漏斗部と、
前記漏斗部の出口に結合され、前記飛来粒子が前記出口を通って通過する管部と、
前記管部を通過する前記飛来粒子を検出し、前記飛来粒子の粒径に応じた大きさの第1電圧信号と、前記飛来粒子の粒子数に応じた数の第2電圧信号と、を出力する粒子センサーと、
現在時刻を計時するタイマーと、
記憶部と、
前記第1電圧信号の値を、前記飛来粒子の粒径を判定するための閾値と比較することにより、前記飛来粒子の粒径を複数段階に判定する粒径判定部と、
一定時間あたりの前記第2電圧信号の数を、前記飛来粒子の粒子数を判定するための閾値と比較することにより、前記一定時間あたりの前記飛来粒子の粒子数を複数段階に判定する粒子数判定部と、
前記粒子センサーが前記飛来粒子を検出したときの、前記タイマーにより計時された現在時刻を、前記飛来粒子の粒径及び粒子数の判定結果と対応付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、
を備えたことを特徴とする飛来粒子の検出装置。
【請求項2】
前記漏斗部は、予め定められた異なる複数の風向ごとに飛来する前記飛来粒子を選択的に取り込むことができるように、前記複数の風向にそれぞれ対応する複数の入口を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の飛来粒子の検出装置。
【請求項3】
前記複数の入口をそれぞれ開閉する複数の蓋部を更に備え、
前記制御部は、風向計から得られる前記複数の風向を示す風向信号に応じて、前記複数の蓋部のうち、前記風向信号が示す風向に対応する前記蓋部のみを開く
ことを特徴とする請求項2に記載の飛来粒子の検出装置。
【請求項4】
前記複数の蓋部は、それぞれ、前記複数の入口を密閉して閉じる形状を呈する
ことを特徴とする請求項3に記載の飛来粒子の検出装置。
【請求項5】
飛来粒子を漏斗部の入り口から取り込み、
前記漏斗部の出口に結合された管部を通って前記飛来粒子を通過させ、
粒子センサーが、前記管部を通過する前記飛来粒子を検出し、前記飛来粒子の粒径に応じた大きさの第1電圧信号と、前記飛来粒子の粒子数に応じた数の第2電圧信号と、を出力し、
タイマーが現在時刻を計時し、
粒径判定部が、前記第1電圧信号の値を、前記飛来粒子の粒径を判定するための閾値と比較することにより、前記飛来粒子の粒径を複数段階に判定し、
粒子数判定部が、一定時間あたりの前記第2電圧信号の数を、前記飛来粒子の粒子数を判定するための閾値と比較することにより、前記一定時間あたりの前記飛来粒子の粒子数を複数段階に判定し、
制御部が、前記粒子センサーが前記飛来粒子を検出したときの、前記タイマーにより計時された現在時刻を、前記飛来粒子の粒径及び粒子数の判定結果と対応付けて記憶部に記憶させる
ことを特徴とする飛来粒子の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛来粒子の検出装置及びその検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、太陽光発電所において、風に乗ってきた汚損物質(鉄粉等)を含む飛来粒子が太陽光パネルの表面に付着して堆積すると、太陽光パネルにより十分な発電電力を得られなくなる虞がある。そこで、太陽光パネルによる現状の発電電力を把握するために、風速風向計の出力に基づいて、太陽光パネルに堆積する飛来粒子の量から太陽光パネルの電力損失を算出する技術が知られている。(特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-191719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1では、太陽光パネルに実際に付着した飛来粒子の堆積量から、太陽光パネルの電力損失を算出しているだけであるため、風向に応じて太陽光パネルに付着した飛来粒子を効果的に取り除くことはできない。
【0005】
そこで、本発明は、太陽光パネル等の設備に付着した飛来粒子を効果的に取り除くことができるように、飛来粒子の飛来が多い時間帯を確認することが可能な飛来粒子の検出装置及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、飛来粒子を入口から取り込む漏斗部と、前記漏斗部の出口に結合され、前記飛来粒子が前記出口を通って通過する管部と、前記管部を通過する前記飛来粒子を検出し、前記飛来粒子の粒径に応じた大きさの第1電圧信号と、前記飛来粒子の粒子数に応じた数の第2電圧信号と、を出力する粒子センサーと、現在時刻を計時するタイマーと、記憶部と、前記第1電圧信号の値を、前記飛来粒子の粒径を判定するための閾値と比較することにより、前記飛来粒子の粒径を複数段階に判定する粒径判定部と、一定時間あたりの前記第2電圧信号の数を、前記飛来粒子の粒子数を判定するための閾値と比較することにより、前記一定時間あたりの前記飛来粒子の粒子数を複数段階に判定する粒子数判定部と、前記粒子センサーが前記飛来粒子を検出したときの、前記タイマーにより計時された現在時刻を、前記飛来粒子の粒径及び粒子数の判定結果と対応付けて前記記憶部に記憶させる制御部と、を備えている。
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。


【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、太陽光パネル等の設備に付着した飛来粒子を効果的に取り除くことができるように、飛来粒子の飛来が多い時間帯を確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る飛来粒子の検出装置が例えば太陽光発電所に設置されている様子を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図3】制御部が入力される電圧信号から飛来粒子の粒径と数を判定することの一例を説明する図である。
図4】記憶部に記憶されるテーブル情報の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る検出装置の一例を示す図である。
図7】記憶部に記憶されるテーブル情報の一例を示す図である。
図8】第2実施形態に係る検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
例えば、太陽光発電所の敷地内に設置されている電力発電用の太陽光パネルには、周囲の環境によっては、例えば汚損物質(鉄粉等)等を含む様々な飛来粒子が風に乗って飛来して付着することがある。太陽光パネルに対して飛来粒子の付着が繰り返され、やがて太陽光パネルに飛来粒子が堆積すると、太陽光パネルに対する太陽光の照射が遮られることになって、発電電力が制限されてしまう虞がある。この飛来粒子は、風向や時間帯によっては、太陽光パネルに堆積する量が異なる場合がある。そこで、太陽光パネルに堆積した飛来粒子を効果的に取り除くためには、時間帯ごとに、もしくは風向別の時間帯ごとに、飛来してくる飛来粒子を観測し、その観測情報を太陽光パネルの表面の清掃に効率よく活用することが望ましい。本実施形態では、このような活用をするのに好適な飛来粒子の検出装置を提供する。
===飛来粒子の検出装置の設置例===
【0011】
図1は、本実施形態に係る飛来粒子の検出装置が例えば太陽光発電所に設置されている様子を示す概略図である。
【0012】
図1において、太陽光発電所100の敷地内には、所定の電力を発電することを目的として、複数の太陽光パネル110が整列して設置されている。検出装置200は、例えば、太陽光発電所100の敷地内において、太陽光パネル110の設置スペースに隣接する空きスペースに設置されることとする。
【0013】
検出装置200は、風に乗って飛来してきた飛来粒子を後述する粒子センサーによって検出し、その飛来粒子を検出した検出時刻を記憶する装置である。ここで、検出装置200としては、風向を考慮せずに飛来粒子が飛来してきた時刻のみを検出する第1実施形態に係る検出装置200X、および、飛来粒子が飛来してきた時刻を風向別に検出する第2実施形態に係る検出装置200Yの双方を指すものとする。また、図1には、説明の便宜上、第2実施形態に係る検出装置200Yを記載することとする。この検出装置200Yを設置する場合、風向を示す風向信号を得るための風向計300も検出装置200Yに隣接するように、太陽光発電所100の敷地内の空きスペースに設置される。風向とは、説明を簡便とするために、東西南北の4方向であることとする。風向計300の詳細については、第2実施形態で説明する。
===第1実施形態===
【0014】
<検出装置200Xの構成>
図2は、第1実施形態に係る検出装置200Xの一例を示す図である。
検出装置200Xは、風に乗って飛来してきた飛来粒子を検出し、その飛来粒子を検出した検出時刻を示す情報を、検出装置200Xに設けた後述する記憶部に記憶させる装置である。検出装置200Xは、この機能を実現させる手段として、漏斗部410、管部420、粒子センサー430、タイマー440、記憶部450、制御部460を含んで構成されている。
【0015】
漏斗部410は、飛来粒子を取り込む入口411と、取り込んだ飛来粒子を自然落下の状態で放出する出口412と、を備えている。入口411は、風向に関わらず、風に乗って飛来し落下してくる飛来粒子を取り込むことができるように、常に開口した状態になっている。また、漏斗部410は、出口412側から入口411側へ向かうにつれてその開口面積が広がり、入口411においてその開口面積が最大となるような形状を呈している。
【0016】
管部420は、漏斗部410の出口412から放出された飛来粒子が通過することができるように、漏斗部410の出口412に対して連通するように隙間なく結合された筒状部材である。管部420は、後述する粒子センサー430が管部420を通過する飛来粒子を検出することができるように、その断面が例えば正方形の筒形状を呈していることとする。また、管部420の端面と隙間なく結合されるように、漏斗部410の出口412もその断面が例えば正方形の形状を呈していることとする。更に、管部420は、粒子センサー430が管部420を通過する飛来粒子を検出することができるように、例えば、ガラス管または樹脂管であることとする。
【0017】
粒子センサー430は、管部420を通過する飛来粒子を検出する装置であり、管部420を取り囲むように取り付けられている。
【0018】
粒子センサー430は、管部420を通過する飛来粒子を検出するための手段として、レーザー発振器431および光電変換装置432を含んで構成されている。
【0019】
レーザー発振器431は、管部420における正方形の4つの外周面のうち、例えば1つの外周面421側から相対する外周面422に向かってレーザー光を出射することができるように、レーザー光の出射口を外周面421と対向させて取り付けられている。外周面421における前記レーザー発振器431の出射口と対向する位置には、レーザー光の反射や吸収による減衰を抑えるための孔部421Aが穿設されている。レーザー光は、孔部421Aを通って管部420の内部に向かって出射される。
【0020】
光電変換装置432は、管部420における正方形の4つの外周面のうち、レーザー発振器431が取り付けられた外周面421とは隣り合っている1つの外周面423と対向して取り付けられている。光電変換装置432は、受光素子としてフォトダイオード(不図示)を含んで構成されている。管部420内を通過する飛来粒子に対してレーザー発振器431からのレーザー光が管部420の外周面421を通して照射されると、飛来粒子はレーザー光の照射に伴って散乱光を生じることとなる。光電変換装置432は、飛来粒子から生じる散乱光を光信号としてフォトダイオードで受信し、光信号の大きさに応じた大きさの電圧信号に変換する。
【0021】
ここで、外周面423における光電変換装置432のフォトダイオードと対向する位置には、散乱光を減衰することなく光信号として受信することができるように、孔部423Aが穿設されている。散乱光は、孔部423Aを通って管部420内から光電変換装置432に到達することとなる。
【0022】
管部420内を通過する飛来粒子の粒径が大きいほど、散乱光を示す光信号が大きくなるため、光電変換装置432から出力される電圧信号も大きくなる。また、管部420内を通過する飛来粒子の数が多いほど、散乱光を示す光信号の数が多くなるため、光電変換装置432から出力される電圧信号の数も多くなる。このように、光電変換装置432は、飛来粒子の粒径に応じた大きさの電圧信号や、飛来粒子の数に応じた数の電圧信号を出力する。光電変換装置432から出力される電圧信号は、制御部460に入力される。
【0023】
尚、管部420を通過する飛来粒子の粒径が小さい場合や、管部420を通過する飛来粒子の数が少ない場合であっても、光電変換装置432が電圧信号を確実に出力することができるように、フォトダイオードにおける散乱光を示す光信号を受信する側に、光信号をフォトダイオードに集光するための集光レンズ(不図示)を配置してもよい。
【0024】
以上説明したような粒子センサー430の動作原理は周知であるため、粒子センサー430と同様に動作する既知の装置を採用することができる。
【0025】
タイマー440は、現在時刻を計時する。
記憶部450には、粒子センサー430が管部420内を通過する飛来粒子を検出した場合、そのときのタイマー440の現在時刻を示す情報が、粒子センサー430が飛来粒子を検出した検出時刻を示す情報として記憶される。記憶部450としては、メモリーカードやUSBメモリー等のデータの更新が可能な不揮発性メモリーを採用することができる。
【0026】
制御部460は、粒子センサー430、タイマー440、記憶部450の動作を制御する。制御部460は、例えばマイクロコンピュータを含んで構成されている。そして、制御部460の機能は、マイクロコンピュータに含まれるROMから読み出されたプログラムのソフトウエア処理によって実現される。
【0027】
制御部460は、タイマー440に対して現在時刻の計時動作を指示する。タイマー440によって計時される現在時刻を示す情報は、制御部460に入力される。これにより、制御部460は、現在時刻を常時参照することが可能となる。尚、タイマー440を用いる代わりに、制御部460は、GPS衛星から現在時刻を示す情報を取得することによって、現在時刻を常時参照するようにしてもよい。
【0028】
制御部460は、粒子センサー430に対して、管部420内を通過する飛来粒子の検出を開始するための指示を行う。粒子センサー430によって飛来粒子が検出されると、当該飛来粒子の通過を示す電圧信号が粒子センサー430から出力され、この電圧信号は制御部460に入力される。これにより、制御部460は、電圧信号が入力されたときの現在時刻を示す情報を、例えば1分ごとに記憶部450に逐次記憶させる。このようにして、記憶部450には、管部420内を飛来粒子が通過したときの現在時刻を示す情報が集まって、時間帯情報として複数記憶される。
【0029】
図3は、制御部460が入力される電圧信号から飛来粒子の粒径と数を判定することの一例を説明する図である。尚、図3において、横軸は時間、縦軸は電圧信号の大きさを示している。
【0030】
制御部460は、例えば、飛来粒子の粒径を判定する粒径判定部461と、一定時間(例えば1分)における粒子数を判定する粒子数判定部462と、を含んでいることとする。
【0031】
飛来粒子の粒径が大きいほど、粒子センサー430から出力される電圧信号の大きさは大きくなる。そこで、粒径判定部461は、飛来粒子の粒径を例えば「大」、「中」、「小」(例えば数μm~数十μm程度)の3段階に判定するための第1~第3閾値V1~V3(V1<V2<V3)が予め設定されており、粒子センサー430から入力される電圧信号の値を第1~第3閾値V1~V3と比較することによって、飛来粒子の粒径を示す信号を出力する。例えば、粒子センサー430から入力された電圧信号が第1閾値V1と第2閾値V2との間の値である場合、粒径判定部461は、飛来粒子の粒径が「小」であるものと判定し、飛来粒子の粒径が「小」であることを示す判定信号を出力する。また、粒子センサー430から入力された電圧信号が第2閾値V2と第3閾値V3との間の値である場合、粒径判定部461は、飛来粒子の粒径が「中」であるものと判定し、飛来粒子の粒径が「中」であることを示す判定信号を出力する。また、粒子センサー430から入力された電圧信号が第3閾値V3を超える値である場合、粒径判定部461は、飛来粒子の粒径が「大」であるものと判定し、飛来粒子の粒径が「大」であることを示す判定信号を出力する。粒径判定部461の判定結果は、管部420内を飛来粒子が通過したときの現在時刻と対応付けて、記憶部450に記憶される。但し、粒径判定部461が飛来粒子の粒径を判定するサンプリング時間にもよるが、サンプリング時間が例えば1秒間隔と短い場合、記憶部450の記憶容量を考慮し、例えば1分間に得られる60個の判定結果のうち、例えば割合が最大となる粒径を示す判定結果を記憶部450に分単位で記憶させてもよい。
【0032】
また、飛来粒子の数が多いほど、粒子センサー430から出力される電圧信号の数は多くなる。そこで、粒子数判定部462は、一定時間(例えば1分)において、粒子センサー430からパルス的に入力された電圧信号の個数をカウントする。例えば、第1閾値V1よりも僅かに大きい予め設定された閾値をそれぞれの電圧信号が超えたときに、カウントを行うようなカウント機能を粒子数判定部462は備えている。更に、粒子数判定部462には、一定時間において、飛来粒子の粒子数を例えば「極めて多い」、「多い」、「少ない」の3段階に判定するための第1~第3閾値L1~L3(L1<L2<L3)が予め設定されている。そして、粒子数判定部462は、カウント値を第1~第3閾値L1~L3と比較することによって、飛来粒子の粒子数を示す信号を出力する。
【0033】
例えば、カウント値が第1閾値L1と第2閾値L2との間の値である場合、粒子数判定部462は、飛来粒子の粒子数が「少ない」ものと判定し、飛来粒子の粒子数が「少ない」ことを示す判定信号を出力する。また、カウント値が第2閾値L2と第3閾値L3との間の値である場合、粒子数判定部462は、飛来粒子の粒子数が「多い」ものと判定し、飛来粒子の粒子数が「多い」ことを示す判定信号を出力する。また、カウント値が第3閾値L3を超える値である場合、粒子数判定部462は、飛来粒子の粒子数が「極めて多い」ものと判定し、飛来粒子の粒子数が「極めて多い」ことを示す判定信号を出力する。粒子数判定部462の判定結果は、管部420内を飛来粒子が通過したときの現在時刻と対応付けて、記憶部450に記憶される。
【0034】
このようにして、記憶部450には、管部420内を通過した飛来粒子に関して、検出時刻(1分単位)と、粒径と、粒子数とを対応付けた情報が記憶される。図4は、記憶部450に記憶されるテーブル情報の一例を示す図である。尚、図4において、飛来粒子が連続的に検出されているそれぞれの期間(例えば、検出時刻の欄における「11:10~11:25」、「13:20~15:40」、「3:30~8:15」、「10:05~14:50」等の期間)が、管部420内を飛来粒子が通過する時間帯に相当する。
【0035】
<検出装置200Xの動作の一例>
図5は、第1実施形態に係る検出装置200Xの動作の一例を示すフローチャートである。尚、フローチャートの動作を行う主体は、制御部460である。
【0036】
先ず、飛来粒子の検出を開始する場合、作業者が検出装置200Xに設けられている検出開始ボタン(不図示)を操作する。制御部460では、検出開始ボタンの操作に伴って発生する検出要求信号を受信したか否かを判別する(ステップS1)。制御部460では、検出要求信号を受信していない場合(ステップS1:NO)、検出要求信号を受信するまでステップS1の判別動作を繰り返す。
【0037】
制御部460では、検出要求信号を受信すると(ステップS1:YES)、粒子センサー430に対して、管部420内を通過する飛来粒子の検出の開始を指示する検出開始信号を出力する(ステップS2)。これによって、粒子センサー430は、管部420内を通過する飛来粒子の検出を開始する。このとき、制御部460では、タイマー440によって計時された現在時刻を常時参照している。
【0038】
次に、制御部460では、管部420内を通過する飛来粒子を検出したことを示す電圧信号が粒子センサー430から入力されたか否かを判別する(ステップS3)。
【0039】
制御部460に電圧信号が入力されていない場合(ステップS3:NO)、制御部460はステップS3の判別動作を繰り返す。一方、制御部460に電圧信号が入力された場合(ステップS3:YES)、制御部460内の粒径判定部461によって、入力された電圧信号の大きさから、飛来粒子の粒径を判定する。例えば、1分間で判定した飛来粒子の複数の粒径のうち、割合が最大となる粒径が「中」であった場合、粒径判定部461は、粒径が「中」であることを示す粒径判定信号を出力する(ステップS4)。
【0040】
次に、粒径判定部461による飛来粒子の粒径の判定が完了すると、制御部460内の粒子数判定部462によって、入力された電圧信号の数から、例えば1分間あたりの飛来粒子の粒子数を判定する。1分間あたりの飛来粒子の粒子数が「極めて多い」場合、粒子数判定部462は、粒子数が「極めて多い」ことを示す粒子数判定信号を出力する(ステップS5)。
【0041】
次に、制御部460では、粒径判定信号が発生することによって、飛来粒子の粒径を示す情報(「大」、「中」、「小」の何れか)を生成し、粒子数判定信号が発生することによって、1分間あたりの飛来粒子の粒子数を示す情報(「極めて多い」、「多い」、「少ない」の何れか)を生成する。そして、制御部460は、粒径および粒子数を判定する対象となった飛来粒子が管部420内を通過した現在時刻に対して、粒径および粒子数を示す情報を対応付けて、図4に示すようなテーブル情報として記憶部450に記憶させる(ステップS6)。
【0042】
検出装置200Xには、例えば、粒子センサー430による飛来粒子の検出を終了するための検出終了ボタン(不図示)が設けられていることとする。作業者が検出終了ボタンを操作すると、検出終了信号が発生し、この検出終了信号は制御部460に入力されることとなる。そこで、制御部460では、検出終了信号が入力されたか否かを判別する(ステップS7)。制御部460は、検出終了信号が入力されていない場合(ステップS7:NO)、ステップS3以降の処理を繰り返し実行するが、検出終了信号が入力された場合(ステップS7:YES)、飛来粒子の検出にかかる一連の処理を終了する。
【0043】
<記憶部のテーブル情報の利用>
図5に示す処理によって、記憶部450には、図4に示すような、飛来粒子が管部420内を通過したときの現在時刻と、飛来粒子の粒径および粒子数を示す情報とが対応付けて記憶されている。記憶部450には、飛来粒子の粒径および粒子数を示す情報が例えば1分ごとに追加される形で記憶されていく。記憶部450では、例えば、飛来粒子が連続して検出される期間(例えば11:10~11:25)が、飛来粒子が検出された時間帯となる。飛来粒子が漏斗部410の入口411に取り込まれてから粒子センサー430で検出されるまでには僅かな時間差を生じるが、粒子センサー430で飛来粒子を検出した時刻を、飛来粒子が検出装置200Xに到来した時刻と実質的にみなすことができる。
【0044】
よって、記憶部450に記憶されたテーブル情報を確認することにより、どの時間帯にどのような粒径および粒子数を有する飛来粒子が風に乗って飛来してきたのかを把握することができる。そして、このテーブル情報を、太陽光発電所100の太陽光パネル110の清掃のタイミングや清掃方法に役立てることが可能となる。例えば、飛来粒子の飛来が多い時間帯が経過した後、早々に太陽光パネル110を清掃することが可能となる。
【0045】
記憶部450に記憶される情報としては、少なくとも、飛来粒子の検出時刻を示す情報が記憶されていればよく、飛来粒子の粒径や粒子数を示す情報は必要に応じて記憶の対象として追加するようにしてもよい。
【0046】
また、記憶部450に記憶された検出時刻を示す情報には、風向は考慮されていない。飛来粒子の検出時刻を風向別に確認したい場合、例えば気象庁等から発信されている風向を含む気象情報を取得し、その検出時刻に該当する風向を確認して対応付ければよい。これにより、例えば、特定の風向における飛来粒子の飛来が多くなってきた場合、太陽光パネル110の風上に水幕を張る等の対策をすることも可能となる。
===第2実施形態===
【0047】
<検出装置200Yの構成>
図6は、第2実施形態に係る検出装置200Yの一例を示す図である。
検出装置200Yは、風に乗って飛来してきた飛来粒子を検出し、その飛来粒子の検出時刻を示す情報を、風向別に検出装置200Yに設けた記憶部に記憶させる装置である。
【0048】
検出装置200Yは、風に乗って飛来する飛来粒子を風向別に検出するための手段として、4個の漏斗部510A~510D、管部600、粒子センサー530、タイマー540、記憶部550、制御部560、4個の蓋部570A~570Dを含んで構成されている。ここで、管部600は、4個の分岐管520A~520Dおよび集合管580からなる。検出装置200Yは、飛来粒子を風向別に検出するために、図1に示す風向計300から出力される風向信号を利用する。
【0049】
尚、4個の漏斗部510A~510D、粒子センサー530、タイマー540は、それぞれ、第1実施形態の漏斗部410、粒子センサー430、タイマー440に相当するため、それらの構成および動作については第1実施形態に準じることとする。
【0050】
風向計300としては様々な方式のものが周知となっているが、風向を示す風向信号を電気信号として得ることができれば、どのような方式の風向計であっても採用することができる。例えば、実開昭58-74164号に開示されているように、全方位360度の中心角を16等分し、16個の風向(北、北北東、北東、東北東、東、東南東、南東、南南東、南、南南西、南西、西南西、西、西北西、北西、北北西)のそれぞれに4ビットのデジタル値(0000~1111)を割り当てた円盤型のエンコーダを、風向計の回転軸と同軸に取り付け、風向計が回転したときのエンコーダに割り当てられたデジタル値を一定のサンプリング間隔で読み取ることによって、風向を示す風向信号を電気信号として容易に得ることができるものを採用してもよい。
【0051】
本実施形態では、上述のように、風向を東西南北の4方向とするが、風向は逐次変化するため、上記のようなエンコーダを用いる場合、例えば、北西から北東までの90度の区間の風向を「北」とみなし、北東から南東までの90度の区間の風向を「東」とみなし、南東から南西までの90度の区間の風向を「南」とみなし、南西から北西までの90度の区間の風向を「西」とみなし、一定時間の中で割合の多い風向を選択するようにしてもよい。
【0052】
漏斗部510A~510Dは、それぞれ、例えば上記のように定義された東西南北の4つの風向ごとに飛来する飛来粒子を取り込むものであり、飛来粒子を取り込む入口511A~511Dと、取り込んだ飛来粒子を自然落下の状態で放出する出口512A~512Dと、を備えている。漏斗部510A~510Dは、例えば一定の間隔をおいて一例に並べて設置されている。
【0053】
蓋部570A~570Dは、それぞれ、漏斗部510A~510Dの入口511A~511Dを開閉する平板形状の部材である。蓋部570A~570Dは、漏斗部510A~510Dの入口511A~511Dを形成する1つの辺513A~513Dに回動自在に軸支されている。また、蓋部570A~570Dによって入口511A~511Dを密閉することができるように、蓋部570A~570Dの入口511A~511Dと対向する側の面にはパッキン571A~571Dが取り付けられている。
【0054】
また、蓋部570A~570Dが入口511A~511Dを密閉することができるように、蓋部570A~570Dと入口511A~511Dとの間には、コイルバネ等の弾性部材572A~572Dによる弾性力が与えられている。尚、図6では、蓋部570B~570Dが入口511B~511Dを閉じた状態に記載されているため、弾性部材572B~572Dは見えていないが、弾性部材572Aと同様に取り付けられている。
【0055】
また、蓋部570A~570Dには、弾性部材572A~572Dの弾性力に抗して入口511A~511Dを開くためのソレノイド等の電磁部材573A~573Dが取り付けられている。つまり、制御部560が風向計300から風向を示す風向信号を取得すると、その風向に該当する蓋部570A~570Dは、電磁部材573A~573Dの吸引動作によって、弾性部材572A~572Dの弾性力に抗して入口511A~511Dを開くように時計方向に回動する。一方、制御部560が風向計300からその風向に該当する風向信号を取得していない場合は、該当する蓋部570A~570Dは、電磁部材573A~573Dの吸引動作が停止することによって、弾性部材572A~572Dの反時計方向への弾性力に従って入口511A~511Dを密閉する。
【0056】
分岐管520A~520Dの飛来粒子が取り込まれる紙面上側の端部は、それぞれ、漏斗部510A~510Dの出口512A~512Dと隙間なく結合されている。また、分岐管520A~520Dの飛来粒子が放出される紙面下側の端部は、分岐管520A~520Dをそれぞれ通過した飛来粒子が1本の共通する通路を通って集合管580に向かって放出されるように、4本から1本にまとめられている。
【0057】
集合管580の飛来粒子が取り込まれる紙面上側の端部は、分岐管520A~520Dの飛来粒子が放出される紙面下側の1本の端部と隙間なく結合されている。これにより、漏斗部510A~510Dの入口511A~511Dから取り込まれた飛来粒子は、自然落下の状態で集合管580内を通過することとなる。
【0058】
粒子センサー530は、第1実施形態の粒子センサー430と同様の構成で、集合管580内を通過する飛来粒子を検出するものであり、集合管580を取り囲むように集合管580の周りに取り付けられる。
【0059】
粒子センサー530は、レーザー発振器531および光電変換装置532を含んで構成されている。レーザー発振器531および光電変換装置532の構成は、それぞれ、第1実施形態のレーザー発振器431および光電変換装置432の構成と同様である。
【0060】
集合管580は、例えばガラス管または樹脂管であり、レーザー発振器531および光電変換装置532を集合管580の周りに取り付けることができるように、その断面が例えば正方形の筒形状を呈している。尚、分岐管520A~520Dの紙面下側の1本の端部が集合管580の紙面上側の端部と隙間なく結合されるように、分岐管520A~520Dの紙面下側の1本の端部は、その断面が正方形の筒形状を呈していることが望ましい。
【0061】
レーザー発振器531は、集合管580の4つの外周面のうち、1つの外周面581の孔部581Aから相対する外周面582に向かってレーザー光を出射することができるように、レーザー光の出射口を外周面581に対向させて取り付けられている。また、光電変換装置532は、外周面581と隣り合う外周面583に対向させて取り付けられている。ここで、外周面583における光電変換装置532のフォトダイオードと対向する位置には、散乱光を減衰することなく光信号として受信することができるように、孔部583Aが穿設されている。散乱光は、孔部583Aを通って集合管580内から光電変換装置532に到達することとなる。
【0062】
タイマー540は、第1実施形態のタイマー440と同様に、現在時刻を計時する。
記憶部550には、粒子センサー530が集合管580内を通過した飛来粒子を検出した場合、そのときのタイマー540により計時された現在時刻を示す情報が飛来粒子の検出時刻を示す情報として、風向別に記憶される。より詳しくは、記憶部550には、集合管580内を飛来粒子が通過したときの現在時刻(1分単位)と、風向と、この飛来粒子の粒径および1分あたりの粒子数とが対応付けられて逐次記憶される。記憶部550としては、メモリーカードやUSBメモリー等のデータの更新が可能な不揮発性メモリーを採用することができる。
【0063】
制御部560は、粒子センサー530、タイマー540、記憶部550、蓋部570A~570Dの動作を制御する。制御部560は、これらの機能を実現するために、粒径判定部561、粒子数判定部562、風向判定部563を含んでいる。制御部560は、粒径判定部561、粒子数判定部562、風向判定部563を含む機能を実現するために、例えばマイクロコンピュータを含んで構成され、マイクロコンピュータに含まれるROMから読み出されたプログラムのソフトウエア処理によって動作する。尚、粒径判定部561および粒子数判定部562の機能は、それぞれ、第1実施形態の粒径判定部461および粒子数判定部462と同様である。
【0064】
制御部560は、タイマー540に対して現在時刻の計時動作を指示する。タイマー540によって計時される現在時刻を示す情報は、制御部560に入力される。これにより、制御部560は、現在時刻を常時参照することが可能となる。尚、タイマー540を用いる代わりに、制御部560は、GPS衛星から現在時刻を示す情報を取得することによって、現在時刻を常時参照するようにしてもよい。
【0065】
制御部560は、風向計300から風向を示す風向信号が出力されたときに、この風向信号が示す風向に該当する蓋部570A~570Dの何れかが開くように、電磁部材573A~573Dの動作/停止を制御する。
【0066】
例えば、風向計300から東の風向を示す風向信号が出力された場合、制御部560は、この風向信号に応じて、電磁部材573Aを動作させる。すると、蓋部510Aは、辺513Aを支軸として弾性部材572Aの弾性力に抗して時計方向に回動し、漏斗部510Aの入口511Aを開く。これにより、風に乗って飛来する飛来粒子は、漏斗部510Aの入口511Aから取り込まれ、分岐管520Aを通過した後に集合管580を通過することとなる。
【0067】
制御部560は、粒子センサー530に対して、集合管580内を通過する飛来粒子の検出を開始するための指示を行う。粒子センサー530によって飛来粒子が検出されると、当該飛来粒子の通過を示す電圧信号が粒子センサー530から出力され、この電圧信号は制御部560に入力される。これにより、制御部560は、電圧信号が入力されたときの現在時刻と、風向と、粒径および粒子数とを対応付けて、電圧信号が入力されるごとに記憶部550に逐次記憶させる。このようにして、記憶部550には、集合管580内を飛来粒子が通過したときの現在時刻を示す情報が集まって、時間帯情報として複数記憶される。図7は、記憶部550に記憶されるテーブル情報の一例を示す図である。尚、図7において、飛来粒子が連続的に検出されているそれぞれの期間(例えば、検出時間の欄における「11:10~11:25」、「13:20~15:40」、「3:30~8:15」、「10:05~14:50」等の期間)が、集合管580内を飛来粒子が通過する時間帯に相当する。
【0068】
<検出装置200Yの動作の一例>
図8は、第2実施形態に係る検出装置200Yの動作の一例を示すフローチャートである。尚、検出装置200Yの動作を制御する主体は、制御部560である。
【0069】
先ず、飛来粒子の検出を開始する場合、作業者が検出装置200Yに設けられている検出開始ボタン(不図示)を操作する。制御部560では、検出開始ボタンの操作に伴って発生する検出要求信号を受信したか否かを判別する(ステップS11)。制御部560では、検出要求信号を受信していない場合(ステップS11:NO)、検出要求信号を受信するまでステップS11の判別動作を繰り返す。
【0070】
制御部560では、検出要求信号を受信すると(ステップS11:YES)、粒子センサー530に対して、集合管580内を通過する飛来粒子の検出の開始を指示する検出開始信号を出力する(ステップS12)。これによって、粒子センサー530は、集合管580内を通過する飛来粒子の検出を開始する。このとき、制御部560では、タイマー540によって計時された現在時刻を常時参照している。
【0071】
次に、制御部560では、風向計300から風向を示す風向信号を受信する(ステップS13)。ここで、風向を示す風向信号とは、東西南北の方向として上述のように定義された信号であることとする。尚、風向計300は、何れかの風向を示す風向信号を常に出力しているため、制御部560は、この風向信号を常に受信することとなる。
【0072】
次に、制御部560でステップS13の風向信号を受信すると、風向判定部563では、風向信号が示す風向が東西南北のどの方向であるのかを判定し、該当する風向に対応する蓋部570A~570Dを開くための開閉制御信号を出力する(ステップS14)。例えば、風向信号が東の風向を示している場合、蓋部570Aのみを開くための開閉制御信号を出力する。この開閉制御信号によって、電磁部材573Aが動作して、蓋部570Aは弾性部材572Aの弾性力に抗して辺513Aを支軸として反時計方向に回動し、漏斗部510Aの入口511Aを開く。これにより、東の風向とされる風に乗って飛来する飛来粒子は、漏斗部510Aから分岐管520Aを介して集合管580内を通過し、粒子センサー530による検出が可能となる。ステップS13で受信する風向信号が他の西南北の3方向を示す場合、風向判定部563は、ステップS14でこれら3方向を示す開閉制御信号を出力する。蓋部570B~570Dの開閉動作は蓋部570Aの開閉動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
次に、制御部560では、集合管580内を通過する飛来粒子を検出したことを示す電圧信号が粒子センサー530から入力されたか否かを判別する(ステップS15)。
【0074】
風向に該当する蓋部570A~570Dが開いているものの、蓋部が開いている漏斗部に飛来粒子が取り込まれず、粒子センサー530から制御部560に電圧信号が入力されない場合(ステップS15:NO)、風向判定部563では、風向信号によって示される風向が変化したか否かを判定する(ステップS16)。風向信号によって示される風向が変化した場合(ステップS16:YES)、ステップS13に戻り、制御部560は、風向信号を新たに受信し、ステップS14に進む。
【0075】
一方、粒子センサー530から制御部560に電圧信号が入力された場合(ステップS15:YES)、制御部560内の粒径判定部561によって、入力された電圧信号の大きさから、飛来粒子の粒径を判定する。例えば、1分間で判定した飛来粒子の複数の粒径のうち、割合が最大となる粒径が「中」であった場合、粒径判定部561は、粒径が「中」であることを示す粒径判定信号を出力する(ステップS17)。
【0076】
次に、粒径判定部561による飛来粒子の粒径の判定が完了すると、制御部560内の粒子数判定部562によって、入力された電圧信号の数から、例えば1分間あたりの飛来粒子の粒子数を判定する。1分間あたりの飛来粒子の粒子数が「極めて多い」場合、粒子数判定部562は、粒子数が「極めて多い」ことを示す粒子数判定信号を出力する(ステップS18)。
【0077】
次に、制御部560では、粒径判定信号が発生することによって、飛来粒子の粒径を示す情報(「大」、「中」、「小」の何れか)を生成し、粒子数判定信号が発生することによって、1分間あたりの飛来粒子の粒子数を示す情報(「極めて多い」、「多い」、「少ない」の何れか)を生成する。そして、制御部560は、粒径および粒子数を判定する対象となった飛来粒子が集合管580内を通過した現在時刻に対して、風向、粒径、粒子数を示す情報を対応付けて、図7に示すようなテーブル情報として記憶部550に記憶させる(ステップS19)。
【0078】
検出装置200Yには、例えば、粒子センサー530による飛来粒子の検出を終了するための検出終了ボタン(不図示)が設けられていることとする。作業者が検出終了ボタンを操作すると、検出終了信号が発生し、この検出終了信号は制御部560に入力されることとなる。そこで、制御部560では、検出終了信号が入力されたか否かを判別する(ステップS20)。制御部560は、検出終了信号が入力されていない場合(ステップS20:NO)、ステップS13以降の処理を繰り返し実行するが、検出終了信号が入力された場合(ステップS20:YES)、飛来粒子の検出にかかる一連の処理を終了する。
【0079】
<記憶部のテーブル情報の利用>
図8に示す処理によって、記憶部550には、図7に示すような、飛来粒子が集合管580内を通過したときの現在時刻と、風向と、飛来粒子の粒径および粒子数を示す情報とが対応付けて記憶されている。記憶部550には、風向、飛来粒子の粒径および粒子数を示す情報が例えば1分ごとに追加される形で記憶されていく。記憶部550では、例えば、飛来粒子が連続して検出される期間(例えば11:10~11:25)が、飛来粒子が検出された時間帯となる。飛来粒子が風向に該当する漏斗部510A~510Dの入口511A~511Dに取り込まれてから粒子センサー530で検出されるまでには僅かな時間差を生じるが、粒子センサー530で飛来粒子を検出した時刻を、飛来粒子が検出装置200Yに到来した時刻と実質的にみなすことができる。
【0080】
よって、記憶部550に記憶されたテーブル情報を確認することにより、どの時間帯にどのような粒径および粒子数を有する飛来粒子がどの風向の風に乗って飛来してきたのかを把握することができる。そして、このようなテーブル情報を、太陽光発電所100の太陽光パネル110の清掃のタイミングや清掃方法に役立てることが可能となる。
【0081】
記憶部550に記憶される情報としては、少なくとも、飛来粒子が検出装置200Yまで飛来してきた時間帯と風向を示す情報が記憶されていればよく、飛来粒子の粒径や粒子数を示す情報は必要に応じて記憶の対象として追加するようにしてもよい。
【0082】
また、記憶部550には風向を示す情報が記憶されているので、例えば、特定の風向における飛来粒子の飛来が多くなってきた場合、太陽光パネル110の風上に水幕を張る等の対策をすることも可能となる。
===まとめ===
【0083】
以上説明したように、飛来粒子の検出装置200X(200Y)は、飛来粒子を入口411(511A~511D)から取り込む漏斗部410(510A~510D)と、漏斗部410(510A~510D)の出口412(512A~512D)に結合され、飛来粒子が出口412(512A~512D)を通って通過する管部420(600)と、管部420(600)を通過する飛来粒子を検出する粒子センサー430(530)と、現在時刻を計時するタイマー440(540)と、記憶部450(550)と、粒子センサー430(530)が飛来粒子を検出したときの、タイマー440(540)により計時された現在時刻を、飛来粒子の検出時刻として記憶部450(550)に記憶させる制御部460(560)と、を備えている。これにより、太陽光パネル110に付着した飛来粒子を効果的に取り除くことができるように、飛来粒子の飛来が多い時間帯を確認することが可能となる。
【0084】
また、入口511A~511Dをそれぞれ開閉する蓋部570A~570Dを更に備え、制御部560は、風向計300から得られる風向信号に応じて、蓋部570A~570Dのうち、風向信号が示す風向に対応する蓋部のみを開く。また、蓋部570A~570Dは、それぞれ、漏斗部510A~510Dの入口511A~511Dを密閉して閉じる形状を呈している。これにより、飛来粒子を風向別に確実に検出することが可能となる。
【0085】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0086】
本実施形態では、太陽光パネル110の表面を清掃するタイミング等に、記憶部450(550)のテーブル情報を利用する場合について説明したが、これに限定されるものではない。太陽光発電所100以外の設備であっても、飛来粒子の付着や堆積が稼働に支障をきたすような設備であれば、記憶部450(550)のテーブル情報を利用する対象とすることができる。
【符号の説明】
【0087】
100 太陽光発電所
110 太陽光パネル
200、200X、200Y 検出装置
300 風向計
410、510A~510D 漏斗部
411、511A~511D 入口
412、512A~512D 出口
420、600 管部
421、422、423、581、582、583 外周面
421A、423A、581A、583A 孔部
430、530 粒子センサー
431、531 レーザー発振器
432、532 光電変換装置
440、540 タイマー
450、550 記憶部
460、560 制御部
461、561 粒径判定部
462、562 粒子数判定部
520A~520D 分岐管
563 風向判定部
580 集合管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8