(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 5/30 20060101AFI20240214BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20240214BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J5/30 C
B41J21/00 Z
G06F3/12 303
G06F3/12 344
(21)【出願番号】P 2020076042
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕士郎
(72)【発明者】
【氏名】白木 聖二
(72)【発明者】
【氏名】三須 長政
(72)【発明者】
【氏名】辻 亮佑
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221932(JP,A)
【文献】特開2004-338292(JP,A)
【文献】特開2011-224914(JP,A)
【文献】特開2016-103695(JP,A)
【文献】特開2002-321403(JP,A)
【文献】特開2011-005857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/30
B41J 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合
であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が同一の色値のとき、使用者にその旨を通知し、使用者の指示に応じて、当該特定の文字と同じ色又は類似する色により画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色に置き換えて画像を出力するように制御する
画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、出力する画像中には前記特定の文字が含まれないように制御する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数の特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色で出力した場合と、特殊色を用いることなく画像を出力した場合のそれぞれのサンプル出力画像を表示していずれの状態で画像の出力を行うかの使用者の選択を受け付ける請求項
1記載の画像形成装置。
【請求項4】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が異なる色値の場合、前記複数の特定の文字のうち予め設定された色値に近い特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色で出力するよう制御す
る画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、画像を形成しようとする画像データに含まれている特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所が当該画像データ中に存在しない場合、特殊色を用いることなく前記画像データに基づいた画像を出力する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記特定の文字が、複数の文字により構成された文字列、または予め登録された特殊文字により構成される請求項1から
5のいずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合
であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が同一の色値のとき、使用者にその旨を通知し、使用者の指示に応じて、当該特定の文字と同じ色又は類似する色により画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色に置き換えて画像を出力するとともに、出力する画像中には前記特定の文字が含まれないように制御するステップ
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が異なる色値のときは、前記複数の特定の文字のうち予め設定された色値に近い特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色で出力するとともに、出力する画像中には前記予め設定された色値の前記特定の文字が含まれないように制御するステップ
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カラー画像データに基づく印刷イメージをプレビュー画面として表示する際に、出力色を指定することができるようにして、特殊なアプリケーションを必要とせずに特色カラーを含むカラー印刷を可能としたカラー印刷方法が開示されている。
【0003】
特許文献2には、特色と置換色との対応関係を予め設定しておき、画像データに含まれる置換色をその置換色と対応付けられた特色に置換することにより、多様なアプリケーションにより特色を含む画像を形成することができるようにした画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、文書データ内の文字コードを解析し、文書内に特定の文字コードの文字列が含まれている場合には、その文字列を特色で置き換えるようにした画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-047846号公報
【文献】特開2016-103695号公報
【文献】特開2016-221932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特殊色の色材を用いて特殊色が含まれた画像を記録媒体上に形成することができる画像形成装置が存在する。しかし、このような特殊色が含まれた画像を形成可能な画像形成装置に対して、特殊色が含まれた画像の出力指示を行うためには、特殊色の出力指示に対応したソフトウェアが必要となる。
【0007】
本発明の目的は、特殊色の出力指示に対応していないソフトウェアであっても、特殊色が含まれた画像を出力するような指示を行うことができるようにした画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[画像形成装置]
請求項1に係る本発明は、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が同一の色値のとき、使用者にその旨を通知し、使用者の指示に応じて、当該特定の文字と同じ色又は類似する色により画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色に置き換えて画像を出力するように制御する
画像形成装置である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記プロセッサは、出力する画像中には前記特定の文字が含まれないように制御する請求項1記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサは、前記複数の特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色で出力した場合と、特殊色を用いることなく画像を出力した場合のそれぞれのサンプル出力画像を表示していずれの状態で画像の出力を行うかの使用者の選択を受け付ける請求項1記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項4に係る本発明は、
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が異なる色値の場合、前記複数の特定の文字のうち予め設定された色値に近い特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色で出力するよう制御する画像形成装置である。
【0013】
請求項5に係る本発明は、前記プロセッサは、画像を形成しようとする画像データに含まれている特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所が当該画像データ中に存在しない場合、特殊色を用いることなく前記画像データに基づいた画像を出力する請求項1記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項6に係る本発明は、前記特定の文字が、複数の文字により構成された文字列、または予め登録された特殊文字により構成される請求項1から5のいずれか記載の画像形成装置である。
【0015】
[プログラム]
請求項7に係る本発明は、画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が異なる色値のときは、当該特定の文字と同じ色又は類似する色により画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色に置き換えて画像を出力するとともに、出力する画像中には前記特定の文字が含まれないように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項8に係る本発明は、画像を形成しようとする画像データに予め設定された特定の文字が含まれている場合であって、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在し、当該複数の特定の文字が異なる色値のときは、前記複数の特定の文字のうち予め設定された色値に近い特定の文字と同じ色又は類似する色で画像を形成するよう指定されている箇所を、前記特定の文字と予め対応付けられている特殊色で出力するとともに、出力する画像中には前記予め設定された色値の前記特定の文字が含まれないように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によれば、特殊色の出力指示に対応していないソフトウェアであっても、特殊色が含まれた画像を出力するような指示を行うことができるようにした画像形成装置を提供することができる。また、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在する場合であっても、ユーザが意図した画像を出力するような指示を行うことができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によれば、出力する画像から特定の文字を削除できるようにした画像形成装置を提供することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によれば、画像を出力する前に、ユーザが表示画面上で出力される画像を確認した上で、ユーザが意図した画像を出力するような指示を行うことができるようにした画像形成装置を提供することができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、特殊色の出力指示に対応していないソフトウェアであっても、特殊色が含まれた画像を出力するような指示を行うことができるようにした画像形成装置を提供することができる。また、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在する場合であっても、ユーザが意図する画像を出力することができる。
【0021】
請求項5に係る本発明によれば、特殊色の出力指示に対応していないソフトウェアであっても、特殊色が含まれた画像を出力するような指示を行うことができるようにした画像形成装置において、特殊色が含まれない画像を出力することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によれば、特定の文字として、任意の文字列または特殊文字を登録することができるようにした画像形成装置を提供することができる。
【0023】
請求項7及び請求項8に係る本発明によれば、特殊色の出力指示に対応していないソフトウェアであっても、特殊色が含まれた画像を出力するような指示を行うことができるようにしたプログラムを提供することができる。また、ある特殊色と対応付けられた特定の文字が画像データ内に複数存在する場合であっても、ユーザが意図した画像を出力するような指示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】端末装置20において色指定文字の設定を行う際の動作を示すフローチャートである。
【
図5】色指定文字の設定を行う際に表示される端末装置20の表示画面例を示す図である。
【
図6】端末装置20において特色印刷を実行するための画像データを作成する際の動作を示すフローチャートである。
【
図7】特色印刷を実行するための画像データを作成する際に表示される端末装置20の表示画面例を示す図である。
【
図8】特色印刷を実行するための画像データを作成する際に表示される端末装置20の表示画面例を示す図である。
【
図9】特色印刷を実行するための画像データを作成する際に表示される端末装置20の表示画面例を示す図である。
【
図10】画像形成装置10において特色印刷を実行する際の動作を示すフローチャートである。
【
図11】画像形成装置10による出力結果の一例を示す図である。
【
図12】(A)は、特色印刷を実行する際の画像データの一例を示す図であり、(B)は、(A)に示す画像データの出力結果を示す図である。
【
図13】(A)は、端末装置20の表示画面に表示される画像データの一例を示す図であり、(B)は、(A)に示す画像データを出力する際の端末装置20の警告画面の一例を示す図である。
【
図14】
図13(A)に示す画像データを出力する際の端末装置20の警告画面の変形例を示す図である。
【
図15】
図13(A)に示す画像データを出力する際の端末装置20の警告画面の変形例を示す図である。
【
図16】(A)は、画像データの一例を示す図であり、(B)は、(A)に示す画像データの出力結果を示す図である。
【
図17】(A)は、画像データの一例を示す図であり、(B)は、(A)に示す画像データの出力結果を示す図である。
【
図18】色指定文字の設定を行う際に表示される端末装置20の表示画面の変形例を示す図である。
【
図19】(A)は、色指定文字を辞書に登録する際の端末装置20の表示画面の一例を示す図であり、(B)は、色指定文字を辞書に登録した際の端末装置20の表示画面の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示す図である。
【0027】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、
図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置10、および端末装置20により構成される。端末装置20は、画像データを生成して、ネットワーク30経由にて生成した画像データを画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、端末装置20から送信された画像データを受け付けて、画像データに応じた画像を用紙等の記録媒体上に出力する。
【0028】
画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。また、画像形成装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の基本色のトナーと、シルバー(Si)、ゴールド(G)、ホワイト(W)等の特殊色のトナーを用いて、記録媒体上に画像を形成するように構成されている。なお、画像形成装置10は、複合機に限定される必要はなく、少なくとも印刷機能を有している装置であればよい。
【0029】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を
図2に示す。
【0030】
画像形成装置10は、
図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワーク30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0031】
プリントエンジン17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0032】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0033】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施形態の画像形成装置10は、
図3に示されるように、印刷ジョブ受信部31と、制御部32と、表示部33と、データ格納部34と、操作入力部35と、出力部36とを備えている。
【0035】
印刷ジョブ受信部31は、端末装置20から送信されてきた印刷ジョブ(印刷指示の一例)を受信する。
【0036】
制御部32は、印刷ジョブ受信部31により受信された印刷ジョブに基づいて印刷データとなる画像データを生成して、生成した画像データを出力部36から出力する制御を行う。
【0037】
データ格納部34は、制御部32により生成された画像データ等の各種データを格納する。
【0038】
また、データ格納部34は、特殊色のトナーを用いて印刷(以下、特色印刷と記す)するための特色指定データベースを格納する。具体的には、データ格納部34は、予め設定された特定の文字である色指定文字と、画像データ内の色指定文字と同じ色又は類似する色である、色指定文字の色値と同一又は類似の色値のオブジェクトの色値を変換する特殊色の出力トナー(以下、特色トナーと記す)と、出力トナーの割合と、を対応付けて格納する。
【0039】
ここで、色指定文字は、予め登録された文字であればよく、具体的には複数の文字により構成された文字列や囲い文字等の特殊文字等である。
【0040】
また、色値とは、色を指定するための値であって、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を0~255の値で指定するRGB値により決定される値である。また、色値と同一又は類似の色値とは、RGB値がそれぞれ一致する場合のほか、RGB値がそれぞれ誤差の範囲内であって、例えばそれぞれ±2の範囲内の値を含むことを意味する。
【0041】
表示部33は、制御部32により制御され、ユーザに各種情報を表示する。操作入力部35は、ユーザにより行われた各種操作情報を入力する。
【0042】
出力部36は、制御部32による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。
【0043】
制御部32は、印刷ジョブ受信部31により受信された印刷ジョブに基づいて画像データ内に色指定文字が含まれているか否かを判定する。具体的には、色指定文字の文字コードを認識して、画像データ内に色指定文字の文字コードが含まれているか否かを判定する。
【0044】
そして、制御部32は、画像データに色指定文字が含まれている場合、色指定文字と同じ色又は類似する色である、色指定文字の色値と同一又は類似の色値により画像を形成するよう指定されている箇所であるオブジェクトの色値を、色指定文字と予め対応付けられている特殊色に置き換える。
【0045】
そして、出力部36は、制御部32による制御に基づいて、特殊色に置き換えられた画像を出力するとともに、色指定文字は、ユーザからの指示を表す情報であって、画像出力時には出力すべきでないものであるため、出力する画像中には色指定文字が含まれないように制御して出力する。
【0046】
また、出力部36は、画像を形成しようとする画像データに色指定文字が含まれていない場合、制御部32による制御に基づいて、特色トナーを用いることなく基本色のトナーを用いて画像データに基づいた画像を出力する。
【0047】
また、出力部36は、画像データに含まれている色指定文字の色値と同一又は類似の色値で画像を形成するよう指定されているオブジェクトが画像データ中に存在しない場合、制御部32による制御に基づいて、特色トナーを用いることなく基本色のトナーを用いて画像データに基づいた画像を出力する。
【0048】
表示部33は、制御部32による制御に基づいて、ある特殊色と対応付けられた色指定文字が画像データ内に複数存在し、複数の色指定文字が同一の色値の場合、使用者であるユーザにその旨を通知するための警告画面を表示する。色指定文字が複数存在して、該色指定文字同士が同一の色値の場合、ユーザは該文字を色指定文字として入力したのではなく、出力したい画像として入力した可能性が高く、誤検知になってしまうことがある。そこで、上記の場合は、警告画面を表示し、該文字を色指定文字として指定したのか否かをユーザに確認させることによって、誤検知を防ぐことができる。
【0049】
また、表示部33は、制御部32による制御に基づいて、複数の色指定文字の色値と同一又は類似の色値で画像を形成するよう指定されているオブジェクトを、色指定文字と予め対応付けられている特殊色で出力した場合と、特殊色を用いることなく画像を出力した場合のそれぞれのサンプル出力画像を表示する。
【0050】
操作入力部35は、制御部32による制御に基づいて、表示部33に表示されたサンプル出力画像において、いずれの状態で画像の出力を行うかのユーザの選択を受け付ける。
【0051】
また、出力部36は、ある特殊色と対応付けられた色指定文字が画像データ内に複数存在し、複数の色指定文字が異なる色値の場合、制御部32による制御に基づいて、複数の色指定文字のうち予め設定された色指定文字の色値に近い色指定文字の色値と同一又は類似の色値で画像を形成するよう指定されているオブジェクトを、色指定文字と予め対応付けられている特殊色で出力する。
【0052】
次に、画像形成装置10において特色印刷を実行する場合の色指定文字の設定動作について、
図4及び
図5を用いて説明する。ここでは、端末装置20において色指定文字の設定を行う場合を例にして説明する。なお、色指定文字の設定は、画像形成装置10の表示部33においても同様に行うことができる。
【0053】
ステップS101において、ユーザの操作により、端末装置20が、ネットワーク30を介して画像形成装置10の通信IF14に接続され、色指定文字として用いる文字と、出力したい特色トナーと、を関連づけた特色指定データベースがデータ格納部34に格納される。
【0054】
具体的には、
図5に示すような表示画面において、色指定文字と、色指定文字の色値と同一又は類似の色値のオブジェクトの色値を変換して出力する出力トナーと、出力トナーの割合と、が対応付けられ、データ格納部34に格納される。例えば、端末装置20におけるユーザの操作により、色指定文字「金」と、出力トナー「ゴールド」と、出力トナーの割合「100%」と、が対応付けて設定され、データ格納部34に格納される。同様に、色指定文字「銀」と、出力トナー「シルバー」と、出力トナーの割合「100%」と、が対応付けて設定され、データ格納部34に格納される。
【0055】
次に、端末装置20において特色印刷を実行するための画像データを作成する際の動作について、
図6~
図9を用いて説明する。
【0056】
先ず、ステップS201において、ユーザの操作により、特色印刷したいオブジェクトの色値と同じ色値の色指定文字が、画像データ内に配置される。
【0057】
具体的には、
図7に示すように、特殊色である「シルバー」のトナーを用いて特色印刷したいオブジェクト41と同じ色指定をした色指定文字42を画像データ内に配置する。同様に、
図8に示すように、特殊色である「ゴールド」のトナーを用いて特色印刷したいオブジェクト43と同じ色指定をした色指定文字44を画像データ内に配置する。
【0058】
そして、ステップS202において、ユーザの操作により、
図9に示すような色指定文字42、44を配置した画像データが、画像形成装置10へ送信される。
【0059】
次に、画像形成装置10の動作について、
図10~
図17を用いて説明する。
【0060】
印刷ジョブ受信部31が画像データを受信すると、ステップS301において、制御部32は、画像データ内の文字データを解析する。例えば、制御部32は、バイナリデータ内の文字コード列を検索することにより画像データ内の文字データを解析する。
【0061】
そして、ステップS302において、制御部32は、画像データ内に色指定文字が含まれているか否かを判定する。例えば、制御部32は、バイナリデータ内の文字コードに色指定文字の文字コードが含まれているか否かを判定する。
【0062】
そして、ステップS302において、画像データ内に色指定文字が含まれていると判定された場合には、ステップS303において、制御部32は、画像データ内に同じ色指定文字が1つか否かを判定する。
【0063】
そして、ステップS303において、画像データ内に同じ色指定文字が1つと判定された場合には、ステップS304において、制御部32は、色指定文字に指定された文字色の色値を特殊色の指定色(以下、特色指定色と記す)とする。
【0064】
そして、ステップS308において、制御部32は、画像データ内に、特色指定色と同一又は類似の色値が指定されたオブジェクトがあるか否かを判定する。
【0065】
そして、ステップS308において、画像データ内に、特色指定色と同一又は類似の色値が指定されたオブジェクト(以下、対象オブジェクトと記す)があると判定された場合には、ステップS309において、制御部32は、対象オブジェクトの色値を、データ格納部34に格納された色指定文字に対応する出力トナーの特殊色に置換する。
【0066】
そして、ステップS310において、制御部32は、画像データから色指定文字42、44を削除する。
【0067】
そして、ステップS311において、出力部36は、画像データを出力する。具体的には、
図9に示すような色指定文字42、44のそれぞれの特色指定色と同じ色値が指定されたオブジェクト41、43の色値が、
図11に示すようにそれぞれ特殊色である「シルバー」、「ゴールド」に置換され、色指定文字42、44が削除されて、特色トナーを用いて特色印刷された画像データが出力される。
【0068】
また、上述したステップS303において、画像データ内に同じ色指定文字が複数あると判定された場合には、ステップS305において、制御部32は、複数の色指定文字に色値の差異があるか否かを判定する。
【0069】
そして、ステップS305において、複数の色指定文字に色値の差異があると判定された場合には、ステップS306において、制御部32は、色指定文字として設定された色値に最も近い文字を色指定文字とし、その色指定文字の文字色を特色指定色とし、上述したステップS308において、制御部32は、画像データ内に、特色指定色と同一又は類似の色値が指定されたオブジェクトがあるか否かを判定する。
【0070】
具体的には、
図12(A)に示すような画像データを特色印刷する場合には、色指定文字「金」が複数あると判定される。つまり、画像データ内の文字データに色指定文字が複数含まれる場合がある。このように、画像データ内に、RGB値=0,0,0の色指定文字「金」と、RGB値=255,192,0の色指定文字「金」が検出された場合には、2つの色指定文字間の色値に差異があるため、色指定文字として設定されている色指定文字「金」の出力トナーのRGB値=215,210,17に近い、RGB値=255,192,0の「金」が色指定文字とされる。そして、この色指定文字「金」のRGB値=255,192,0を特色指定色とする。すなわち、特殊色に置換する色とする。
【0071】
そして、ステップS309において、特色指定色と同じ色値が指定されたオブジェクト45を対象オブジェクトとして、対象オブジェクトの色値を、色指定文字として設定されている色指定文字「金」に対応する出力トナー「ゴールド」に置換する。そして、
図12(B)に示すように、ステップS310において、制御部32は、色指定文字44を画像データから削除し、ステップS311において、出力部36が画像データを出力する。
【0072】
また、上述したステップS305において、複数の色指定文字に色値の差異がないと判定された場合には、ステップS307において、制御部32は、端末装置20の表示画面または画像形成装置10の表示部33に警告画面を表示するように制御する。
【0073】
具体的には、
図13(A)に示すような画像データを特色印刷しようとした場合には、複数の色指定文字が検出され、これらの色指定文字の色値に差異がないと判定されると、
図13(B)に示すような警告画面が端末装置20の表示画面又は画像形成装置10の表示部33に表示される。すなわち、特殊色を用いることなく基本色のトナーを用いた通常トナーで印刷する通常印刷を続行するか否かをユーザに確認する警告画面が表示される。また、検出された色指定文字を削除するか否かの警告画面を表示してユーザが選択できるようにしてもよい。
【0074】
【0075】
画像データ内に色値に差異がない複数の色指定文字があると判定された場合には、
図14に示すように、端末装置20の表示画面に、複数の色指定文字の色値と同一又は類似の色値で画像を形成するよう指定されているオブジェクトを、色指定文字と予め対応付けられている特殊色で出力した「特色トナーで印刷」した場合と、特殊色を用いることなく基本色を用いて画像を出力した「通常トナーで印刷」した場合のそれぞれのサンプル出力画像が表示される。
【0076】
すなわち、制御部32が、画像データ内に同一又は類似の色値の色指定文字「金」が複数あると判定し、この色指定文字「金」の色値RGB=0,0,0を特色指定色とする。そして、特色指定色と同じ色値が指定されたRGB=0,0,0の文字列の色値を、色指定文字と予め対応づけられている特色トナーに近似する色値に置換したサンプル出力画像と、色値を置換しないサンプル出力画像を表示するように制御する。
【0077】
そして、ユーザは、端末装置20の表示画面又は画像形成装置10の表示部33に表示されたサンプル出力画像を確認した上で、画像データを、特色トナーを用いた「特色トナーで印刷」するか、基本色のトナーを用いた「通常トナーで印刷」するかを選択することができる。
【0078】
また、
図13(A)に示すように、画像データ内の色指定文字の色値がRGB=0,0,0であり、色値が黒であると判定された場合には、端末装置20の表示画面又は画像形成装置10の表示部33に、例えば
図15に示すような警告画面を表示して、ユーザが「特色トナーで印刷」するか「通常トナーで印刷」するかを選択できるようにしてもよい。
【0079】
また、上述したステップS308において、画像データ内に、特色指定色と同一又は類似の色値が指定された対象オブジェクトがないと判定された場合には、ステップS311において、出力部36は、そのまま特殊色を用いることなく基本色を用いた通常トナーで画像を出力する。具体的には、
図16(A)に示すような画像データの色指定文字「金」の色値がRGB値=255,0,0の場合に、同一又は類似の色値が指定された対象オブジェクトがないと判定され、
図16(B)に示すように、制御部32は、色指定文字「金」を削除しないで、出力部36は、基本色を用いた通常トナーで出力する。すなわち、ユーザは特色印刷を指定していないと判断される。
【0080】
また、上述したステップS302において、画像データ内に色指定文字が含まれていないと判定された場合には、ステップS311において、出力部36は、そのまま特殊色を用いることなく基本色を用いた通常トナーで画像を出力する。具体的には、
図17(A)に示すような画像データを、
図17(B)に示すように基本色を用いた通常トナーで出力する。すなわち、ユーザは特色印刷を指定していないと判断される。
【0081】
図18は、色指定文字の設定を行う際に表示される端末装置20の表示画面の変形例を示す図である。
【0082】
図18に示すように、色指定文字の設定を行う際に表示される表示画面において、色指定文字として、複数の文字列や、囲い文字等の特殊文字等を予め登録してデータ格納部34に格納することができる。
【0083】
また、
図19(A)に示すように、色指定文字を入力する際の入力文字を色指定文字に変換するように、予め、色指定文字を複数の入力文字に関連付けて登録しておくことができる。また、
図19(B)に示すように、色指定文字を入力する際に、入力文字の入力により色指定文字の候補が表示されるようにすることができる。
【0084】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0085】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 端末装置
30 ネットワーク