(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】エンジン構造
(51)【国際特許分類】
F02M 61/16 20060101AFI20240214BHJP
F02M 61/14 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F02M61/16 K
F02M61/16 M
F02M61/16 R
F02M61/14 320K
(21)【出願番号】P 2020078437
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】楠本 明彦
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-180215(JP,A)
【文献】特開2005-155468(JP,A)
【文献】実開昭61-142167(JP,U)
【文献】特開2019-100207(JP,A)
【文献】特開2018-013113(JP,A)
【文献】実開昭62-169257(JP,U)
【文献】特開2003-129916(JP,A)
【文献】特開2015-028322(JP,A)
【文献】特開平08-200182(JP,A)
【文献】特開昭62-210258(JP,A)
【文献】特開2016-180390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 61/14 ~ 61/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室を形成するエンジンヘッドと、前記エンジンヘッドに固定され、前記燃焼室に燃料の噴射を行うインジェクタとを備え、
前記エンジンヘッドには、前記燃焼室と連通するとともに、前記インジェクタの軸方向で前記燃焼室から遠ざかる軸方向に延び、前記インジェクタが挿通される挿通孔が形成され、
前記挿通孔は、前記燃焼室に連通して前記軸方向に延びる第1挿通孔と、内周縁で前記第1挿通孔と連続し、前記軸方向と直交する方向で前記内周縁から外周縁に向かって拡径する座面と、前記座面の前記外周縁に連続して前記軸方向に延びる第2挿通孔とを有し、
前記インジェクタは、前記エンジンヘッドに固定されるボデーと、
前記ボデーよりも前記燃焼室側に位置し、前記燃焼室に向かって前記軸方向に延びるとともに前記燃料を噴射させる噴射孔が形成されたノズルと、
前記ボデーと前記ノズルとに挿通されつつ、前記ボデーと前記ノズルとを前記軸方向に締結し、前記座面と前記軸方向で対向するリテーニングナットとを有し、
前記エンジンヘッドと前記インジェクタとの間には、前記座面と前記リテーニングナットとの間に挟持されたガスケットが設けられたエンジン構造において、
前記ノズルは、前記軸方向における前記燃焼室側に位置し、前記噴射孔が形成された先端部と、
前記軸方向における前記ボデー側に位置して前記先端部よりも大径をなし、前記リテーニングナットと前記軸方向に対向しつつ当接するとともに、前記リテーニングナットによって前記ボデーに締結される基端部と、
前記先端部と前記基端部との間に位置し、前記先端部と前記基端部とに接続する接続部とを有し、
前記先端部の表面には、前記燃料が前記燃焼室内で燃焼することで生じる腐食体から前記先端部を保護するメッキ層が形成され、
前記先端部と前記リテーニングナットとの間において、前記軸方向で前記ガスケットよりも前記ボデー側となる位置には、前記腐食体が前記接続部及び前記基端部に到達することを抑制する蓋部材が設けられ
、
前記先端部は、前記噴射孔が形成されるとともに、前記リテーニングナット及び前記ガスケットよりも前記燃焼室側に突出して前記第1挿通孔内に延びる第1部位と、
前記リテーニングナット内に位置して前記第1部位よりも大径をなし、前記接続部と接続する第2部位と、
前記リテーニングナット内において前記第1部位と前記第2部位との間に位置し、前記第1部位に接続しつつ前記第1部位側から前記第2部位側に向かうにつれて拡径して前記第2部位に接続するテーパ部位とを有し、
前記蓋部材は、前記テーパ部位と前記リテーニングナットとの間に設けられていることを特徴とするエンジン構造。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記先端部と前記リテーニングナットとの間で弾性変形可能であるとともに、前記インジェクタの作動時における前記腐食体の熱に対する耐熱性を有する樹脂からなる請求項
1記載のエンジン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のエンジン構造が開示されている。このエンジン構造は、エンジンヘッドと、インジェクタとを備えている。同文献には具体的な記載がされていないものの、エンジンヘッドは、シリンダブロックとともに燃焼室を形成している。また、エンジンヘッドには、燃焼室と連通して燃焼室から遠ざかる軸方向に延びる挿通孔が形成されている。挿通孔にはインジェクタが挿通されるようになっている。挿通孔は、第1挿通孔と、座面と、第2挿通孔とを有している。第1挿通孔は、燃焼室に連通して軸方向に延びている。座面は、内周縁で第1挿通孔と連続しており、軸方向と直交する方向で内周縁から外周縁に向かって拡径している。第2挿通孔は、座面の外周縁に連続して軸方向に延びている。
【0003】
インジェクタは、ノズルと、リテーニングナットとを有している。また、同文献には具体的な記載がされていないものの、インジェクタは、エンジンヘッドに固定されるボデーを有している。ノズルは、ボデーよりも燃焼室側に位置しており、燃焼室に向かって軸方向に延びている。ノズルには、燃料を噴射させる噴射孔が形成されている。リテーニングナットは、ボデーとノズルとに挿通されつつ、ボデーとノズルとを軸方向に締結している。また、リテーニングナットは、挿通孔内で座面と軸方向で対向している。
【0004】
より詳細には、ノズルは、先端部と、基端部と、接続部とを有している。先端部は、軸方向における燃焼室側に位置しており、噴射孔が形成されている。基端部は、軸方向におけるボデー側に位置しており、先端部よりも大径をなしている。基端部は、リテーニングナットと軸方向に対向しつつ当接しているとともに、リテーニングナットによってボデーに締結されている。接続部は、先端部と基端部との間に位置しており、先端部と基端部とに接続している。
【0005】
また、このエンジン構造では、エンジンヘッドとインジェクタとの間にガスケットが設けられている。より具体的には、ガスケットは、座面とリテーニングナットとの間に挟持されている。これにより、このエンジン構造では、ノズルの先端部は、リテーニングナット及びガスケットよりも燃焼室側に突出している。これに対し、ノズルの基端部及び接続部は、リテーニングナット内において、ガスケットよりもボデー側に位置している。
【0006】
このエンジン構造では、インジェクタが噴射孔を通じて燃焼室に燃料の噴射を行う。こうして燃焼室に噴射された燃料は燃焼室で燃焼する一方、不可避的に腐食体が生じる。この腐食体としては、硫酸、硝酸及び窒素酸化物等が含まれた燃焼ガスの他、この燃焼ガスが凝縮することで生じる凝縮水等が挙げられる。この点、このエンジン構造では、ガスケットによって腐食体がエンジンヘッドの外部に漏れないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のエンジン構造では、ノズルの先端部がリテーニングナット及びガスケットよりも燃焼室側に突出しているため、先端部が腐食体に晒されてしまうことになる。また、燃焼室内で発生した腐食体の一部がノズルの先端部とガスケットとの間を通過することは不可避である。このため、腐食体によってノズルが腐食してしまう。この結果、このエンジン構造では、ノズル、ひいてはインジェクタの耐久性を向上させることが難しい。
【0009】
このため、ノズルの表面にクロムメッキ等のメッキ層を形成することも考えられるが、ノズルの基端部及び接続部の各表面では、メッキ層による効果を十分に発揮し得ない。なぜならば、ノズルの基端部は、ボデーとノズルとがリテーニングナットで締結された際、リテーニングナットと軸方向に対向しつつ当接する。そして、この状態でボデーがエンジンヘッドに固定されることにより、基端部がリテーニングナットを軸方向に押圧し続ける。このため、基端部にはリテーニングナットからの応力が作用し続ける状態となる。また、ノズルの接続部は基端部に接続していることから、ボデーがエンジンヘッドに固定されることにより、接続部にもリテーニングナットからの引張り応力が作用することになる。これらのため、上記のエンジン構造において、たとえ基端部及び接続部の各表面にメッキ層を形成したとしても、そのメッキ層にはクラックが生じ易く、クラックが生じた個所から接続部は基端部が腐食してしまうためである。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、インジェクタの耐久性をより向上させることが可能なエンジン構造を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のエンジン構造は、燃焼室を形成するエンジンヘッドと、前記エンジンヘッドに固定され、前記燃焼室に燃料の噴射を行うインジェクタとを備え、
前記エンジンヘッドには、前記燃焼室と連通するとともに、前記インジェクタの軸方向で前記燃焼室から遠ざかる軸方向に延び、前記インジェクタが挿通される挿通孔が形成され、
前記挿通孔は、前記燃焼室に連通して前記軸方向に延びる第1挿通孔と、内周縁で前記第1挿通孔と連続し、前記軸方向と直交する方向で前記内周縁から外周縁に向かって拡径する座面と、前記座面の前記外周縁に連続して前記軸方向に延びる第2挿通孔とを有し、
前記インジェクタは、前記エンジンヘッドに固定されるボデーと、
前記ボデーよりも前記燃焼室側に位置し、前記燃焼室に向かって前記軸方向に延びるとともに前記燃料を噴射させる噴射孔が形成されたノズルと、
前記ボデーと前記ノズルとに挿通されつつ、前記ボデーと前記ノズルとを前記軸方向に締結し、前記座面と前記軸方向で対向するリテーニングナットとを有し、
前記エンジンヘッドと前記インジェクタとの間には、前記座面と前記リテーニングナットとの間に挟持されたガスケットが設けられたエンジン構造において、
前記ノズルは、前記軸方向における前記燃焼室側に位置し、前記噴射孔が形成された先端部と、
前記軸方向における前記ボデー側に位置して前記先端部よりも大径をなし、前記リテーニングナットと前記軸方向に対向しつつ当接するとともに、前記リテーニングナットによって前記ボデーに締結される基端部と、
前記先端部と前記基端部との間に位置し、前記先端部と前記基端部とに接続する接続部とを有し、
前記先端部の表面には、前記燃料が前記燃焼室内で燃焼することで生じる腐食体から前記先端部を保護するメッキ層が形成され、
前記先端部と前記リテーニングナットとの間において、前記軸方向で前記ガスケットよりも前記ボデー側となる位置には、前記腐食体が前記接続部及び前記基端部に到達することを抑制する蓋部材が設けられ、
前記先端部は、前記噴射孔が形成されるとともに、前記リテーニングナット及び前記ガスケットよりも前記燃焼室側に突出して前記第1挿通孔内に延びる第1部位と、
前記リテーニングナット内に位置して前記第1部位よりも大径をなし、前記接続部と接続する第2部位と、
前記リテーニングナット内において前記第1部位と前記第2部位との間に位置し、前記第1部位に接続しつつ前記第1部位側から前記第2部位側に向かうにつれて拡径して前記第2部位に接続するテーパ部位とを有し、
前記蓋部材は、前記テーパ部位と前記リテーニングナットとの間に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明のエンジン構造では、ノズルの先端部の表面にはメッキ層が形成されているため、腐食体によって先端部が腐食することが防止できる。また、このエンジン構造では、先端部とリテーニングナットとの間であって、インジェクタの軸方向でガスケットよりもボデー側となる位置に蓋部材が設けられている。これにより、蓋部材は、先端部とリテーニングナットとの隙間を塞ぐことで腐食体が接続部及び基端部に到達することを抑制する。このため、たとえ接続部及び基端部の各表面にメッキ層を形成していなくても、接続部及び基端部が腐食し難くなる。また、このエンジン構造では、腐食体としての燃焼ガスが接続部及び基端部に到達することを蓋部材が抑制することにより、接続部とリテーニングナットとの間や基端部とリテーニングナットとの間に腐食体としての凝縮水も生じ難くなる。この点においても、このエンジン構造では、接続部及び基端部が腐食し難くなる。こうして、このエンジン構造によれば、先端部、接続部及び基端部について、それぞれ腐食体によって腐食することを好適に防止できる。
【0013】
したがって、本発明のエンジン構造によれば、インジェクタの耐久性をより向上させることができる。
【0014】
先端部は、噴射孔が形成されるとともに、リテーニングナット及びガスケットよりも燃焼室側に突出して第1挿通孔内に延びる第1部位と、リテーニングナット内に位置して第1部位よりも大径をなし、接続部と接続する第2部位と、リテーニングナット内において第1部位と第2部位との間に位置し、第1部位に接続しつつ第1部位側から第2部位側に向かうにつれて拡径して第2部位に接続するテーパ部位とを有している。そして、蓋部材は、テーパ部位とリテーニングナットとの間に設けられている。
【0015】
このため、蓋部材を容易に設けることが可能となるとともに、軸方向で接続部及び基端部に近い位置に蓋部材を配置することが可能となる。これにより、腐食体が接続部及び基端部に到達することを蓋部材によって好適に抑制することができる。
【0016】
蓋部材は、先端部とリテーニングナットとの間で弾性変形可能であるとともに、インジェクタの作動時における腐食体の熱に対する耐熱性を有する樹脂からなることが好ましい。
【0017】
この場合には、弾性変形した蓋部材によって、先端部とリテーニングナットとの隙間を好適に塞ぐことができる。また、インジェクタの作動時、すなわちエンジンの作動時には、腐食体が高温となり得るものの、このような場合であっても、蓋部材は溶融したり劣化したりし難くなる。これらのため、蓋部材は、腐食体が接続部及び基端部に到達することをより好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のエンジン構造によれば、インジェクタの耐久性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施例1のエンジン構造を示す要部拡大断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1のエンジン構造に係り、インジェクタを示す要部拡大断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1のエンジン構造に係り、ノズル及びリテーニングナット等を示す要部拡大断面図である。
【
図4】
図4は、実施例2のエンジン構造に係り、インジェクタを示す要部拡大断面図である。
【
図5】
図5は、実施例3のエンジン構造に係り、インジェクタを示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1のエンジン構造は、ディーゼルエンジン1に採用されている。ディーゼルエンジン1は、シリンダヘッド3と、シリンダブロック5と、複数のインジェクタ7とを備えている他、図示しないコモンレール及び制御装置等を備えている。ディーゼルエンジン1は、産業車両や乗用自動車等の車両に搭載されている。そして、実施例1のエンジン構造は、シリンダヘッド3、シリンダブロック5及び各インジェクタ7によって構成されている。シリンダヘッド3は、本発明における「エンジンヘッド」の一例である。なお、
図1では、各インジェクタ7のうちの1つを図示している。
【0022】
本実施例では、
図1に示す矢印によって、ディーゼルエンジン1の上下方向を規定している。そして、
図2以降では、
図1に対応してディーゼルエンジン1の上下方向を規定している。なお、各方向は一例であり、ディーゼルエンジン1は搭載される車両に応じて姿勢を適宜変更可能である。
【0023】
シリンダヘッド3及びシリンダブロック5は、アルミニウム合金等の金属によって形成されている。シリンダブロック5には、複数のシリンダボア5aが形成されており、各シリンダボア5a内には、ピストン(図示略)が上下方向に摺動可能に設けられている。
【0024】
シリンダヘッド3は、シリンダブロック5の上方に配置されている。シリンダヘッド3は、シリンダブロック5に固定されることにより、各ピストンとともに、各シリンダボア5a内に燃焼室9を形成している。また、シリンダヘッド3には、複数の挿通孔11が形成されている他、複数の吸気ポート及び排気ポート(いずれも図示略)が形成されている。なお、
図1では、シリンダボア5a、燃焼室9及び挿通孔11のうちの1つを図示している。
【0025】
各挿通孔11は、各燃焼室9、ひいては、各シリンダボア5aの個数に対応してシリンダヘッド3に形成されている。挿通孔11は、それぞれ各燃焼室9に連通しているとともに、インジェクタ7の軸方向で各燃焼室9から遠ざかるように上方に向かって延びている。なお、インジェクタ7の軸方向は、ディーゼルエンジン1の上下方向と平行である。
【0026】
各挿通孔11は、第1挿通孔11aと、座面11bと、第2挿通孔11cと、第3挿通孔11dと、第4挿通孔11eと、第5挿通孔11fと、段差11gとを有している。
図2及び
図3に示すように、第1挿通孔11aは、各挿通孔11において最も下端に位置している。第1挿通孔11aは、下端で燃焼室9と連通しており、軸方向で上方に向かって延びている。第1挿通孔11aは、各挿通孔11において最も小径に形成されており、後述するノズル73の第1部位731を挿通可能となっている。
【0027】
座面11bは、挿通孔11の径方向に延びる円環状に形成されており、内周縁111と外周縁112とを有している。座面11bは、第1挿通孔11aの上方に位置しており、内周縁111で第1挿通孔11aの上端と連続している。座面11bは、内周縁111から外周縁112に向かって第1挿通孔11aよりも拡径しつつ、挿通孔11の径方向に平面状に延びている。
【0028】
第2挿通孔11cは、第1挿通孔11aと同軸であって、第1挿通孔11aよりも大径をなしている。第2挿通孔11cは、座面11bの上方に位置している。第2挿通孔11cは、下端で座面11bの外周縁112と連続しており、軸方向で上方に向かって延びている。
【0029】
第3挿通孔11dは、第2挿通孔11cの上方に位置しており、第2挿通孔11cと同軸をなしている。第3挿通孔11dは、下端で第2挿通孔11cの上端と連続しており、軸方向で上方に向かって延びている。また、第3挿通孔11dは、軸方向で上方に向かって次第に拡径している。
【0030】
第4挿通孔11eは、第3挿通孔11dの上方に位置しており、第3挿通孔11dと同軸をなしている。第4挿通孔11eは、下端で第3挿通孔11dの上端と連続しており、軸方向で上方に向かって延びている。
図1に示すように、第5挿通孔11fは、第4挿通孔11eの上方に位置している。第5挿通孔11fは、第4挿通孔11eと同軸をなしており、軸方向で上方に向かって延びている。第5挿通孔11fは、各挿通孔11において最も大径に形成されており、上方側がシリンダヘッド3の上面3aに開口している。段差11gは、第4挿通孔11eと第5挿通孔11fとの間に位置しており、第4挿通孔11eの上端と第5挿通孔11f下端とに接続している。
【0031】
各インジェクタ7は、ボデー71と、ノズル73と、リテーニングナット75と、電磁弁77と、取付キャップ79とを有している。ボデー71は炭素鋼等の金属によって形成されており、軸方向に延びている。ボデー71は、軸部71aと本体部71bと燃料供給部71cとを有している。軸部71aは、略円筒状に形成されており、本体部71bから軸方向で下方に向かって延びている。本体部71bは、軸部71aの上方に位置しており、軸部71aの上端と一体をなしている。本体部71bは略矩形状に形成されている。燃料供給部71cは、本体部71bに一体で設けられている。燃料供給部71cには、燃料配管13の一端側が接続されるようになっている。図示を省略するものの、燃料配管13の他端側はコモンレールに接続されている。コモンレール内には、燃料としての軽油が所定の圧力で導入されている。
【0032】
ノズル73は鉄鋼製である。
図2に示すように、インジェクタ7においてノズル73は、ボデー71の下方側、より具体的には、軸部71aの下方側に位置している。ノズル73は、ボデー71よりも軸方向で下方側、つまり燃焼室9側に向かって延びる略円筒状をなしており、先端部73aと、基端部73bと、接続部73cとを有している。先端部73a、基端部73b及び接続部73cは、一体をなしている。
【0033】
先端部73aは、基端部73bに比べて小径に形成されている。先端部73aは、接続部73c及び基端部73bよりも燃焼室9側に位置している。より具体的には、先端部73aは、第1部位731と、第2部位732と、テーパ部位733とで構成されている。第1部位731は、先端部73aにおける下端側を構成している。第1部位731は、第1挿通孔11aよりも小径に形成されており、軸方向で上下に延びている。すなわち、第1部位731の下端、第1部位731の先端であって、燃焼室9側となる個所には、複数の噴射孔730が形成されている。第2部位732は、先端部73aにおける上端側を構成している。第2部位732は、第1部位731よりも大径に形成されており、先端部73aにおいて最も大径をなす部位となっている。
【0034】
テーパ部位733は、第1部位731と第2部位732との間に位置しており、第1部位731と第2部位732とに接続している。より具体的には、テーパ部位733は、下端で第1部位731の上端と接続している。そして、テーパ部位733は、下端から上端に向かうにつれて拡径しつつ延びており、上端で第2部位732の下端と接続している。
【0035】
基端部73bは、ノズル73において最も大径に形成されているとともに、先端部73a及び接続部73cよりもボデー71側に位置している。基端部73bは、接続部73c側からボデー71側に向かって軸方向で上方に延びている。基端部73bは、平面状に形成された第1当接面734及び第2当接面735を有している。第1当接面734は、基端部73bの下端に位置している。第2当接面735は、基端部73bの上端に位置している。
【0036】
接続部73cは、先端部73aと基端部73bとの間に位置しており、先端部73aと基端部73bとに接続している。より具体的には、接続部73cは、先端部73aの第2部位732と、基端部73bの第1当接面734との間に位置している。接続部73cは、下端で第2部位732の上端と接続している。そして、接続部73cは、下端から上端に向かうにつれて拡径しつつ延びており、上端で第1当接面734と接続している。こうして、接続部73cは、先端部73aと基端部73bとに接続している。
【0037】
また、
図3に示すように、ノズル73において、先端部73aの表面、つまり、第1部位731、第2部位732及びテーパ部位733の各表面には、クロムメッキからなるメッキ層15が形成されている。これにより、メッキ層15は、腐食体から先端部73aを保護することが可能となっている。これに対し、ノズル73において、基端部73b及び接続部73cの各表面には、メッキ層15が形成されていない。なお、
図3では、説明を容易にするため、メッキ層15を誇張して図示している。
【0038】
図2及び
図3に示すように、リテーニングナット75は、軸方向に延びる多段の円筒状に形成されており、内部に第1保持孔75aと、第2保持孔75bと、第3保持孔75cとが形成されている。第1保持孔75aは、先端部73aの第2部位732とほぼ同径に形成されている。換言すれば、第1保持孔75aは、先端部73aの第1部位731及びテーパ部位733よりも大径に形成されている。第2保持孔75bは、基端部73bとほぼ同径に形成されている。第3保持孔75cは、ボデー71の軸部71aとほぼ同径に形成されている。また、リテーニングナット75の内部において、第1保持孔75aと第2保持孔75bとの間には、被当接面75dが形成されている。被当接面75dは平面状に形成されている。
【0039】
リテーニングナット75は、下方側からノズル73及び軸部71aに挿通されつつ、ノズル73及び軸部71aに締結されている。これにより、リテーニングナット75は、第1保持孔75a内で第2部位732を保持し、第2保持孔75b内で基端部73bを保持し、第3保持孔75c内で軸部71aを保持している。こうして、インジェクタ7では、リテーニングナット75によって、ボデー71とノズル73とが同軸で締結されて一体化されている。より詳細には、ノズル73において、基端部73bは、第2当接面735を軸部71aの下端に当接させた状態で、軸部71aに同軸で締結されている。
【0040】
また、リテーニングナット75がノズル73及び軸部71aに締結されることにより、基端部73bの第1当接面734と、リテーニングナット75の被当接面75dとが軸方向で対向する状態となる。そして、この状態で第1当接面734と被当接面75dとは軸方向で互いに当接している。また、ノズル73において、先端部73aでは、第1部位731がリテーニングナット75よりも下方に向かって突出する状態となる。一方、第2部位732及びテーパ部位733は、リテーニングナット75内、すなわち第1保持孔75a内に位置する状態となる。
【0041】
また、
図1に示すように、インジェクタ7には、軸孔7aと、第1供給路7bと第2供給路7cとが形成されている。軸孔7aは、ボデー71内からノズル73内まで軸方向に延びている。
図3に示すように、軸孔7aは、ノズル73の第1部位731内で各噴射孔730と連通している。また、軸孔7a内には、コマンドピストン17が設けられている。コマンドピストン17は、軸孔7a内で上下方向に移動することにより、軸孔7aと各噴射孔730との連通及び非連通を切り替える。
図1に示すように、第1供給路7bは、軸孔7aに沿いつつ、ボデー71内からノズル73内まで延びている。第1供給路7bは、下端で軸孔7aに接続している。第2供給路7cは、ボデー71の本体部71b内で第1供給路7bと接続しつつ、燃料供給部71c内まで延びている。
【0042】
電磁弁77は、ボデー71の上方側、つまり本体部71bの上方側に設けられている。電磁弁77は、制御装置によって作動制御されることにより、軸孔7a内でコマンドピストン17を作動させる。これにより、電磁弁77は、所定の圧力で噴射孔730から燃料を燃焼室9内に噴射させる場合と、燃料の噴射を停止させる場合とを切り替える。なお、
図1等では、説明を容易にするため、電磁弁77の他、軸孔7a、第1供給路7b、第2供給路7c及びコマンドピストン17を簡略化して図示している。
【0043】
取付キャップ79は、内部に電磁弁77を収容しつつ、本体部71bの上方側に固定されている。これにより、取付キャップ79は、電磁弁77をボデー71に固定している。
【0044】
また、
図2及び
図3に示すように、このエンジン構造では、ノズル73の先端部73aとリテーニングナット75との間に蓋部材21が設けられている。より具体的には、蓋部材21は、先端部73aのテーパ部位733と、リテーニングナット75の第1保持孔75aとの間に設けられている。こうして、インジェクタ7において、蓋部材21は、軸方向でガスケット25よりもボデー71側となる位置に配置されている。
【0045】
蓋部材21は、PTEF(ポリテトラフルオロエチレン)製であり、円環状に形成されている。これにより、蓋部材21は、弾性変形が可能であるとともに、各インジェクタ7の作動時、つまり、ディーゼルエンジン1の作動時における腐食体の熱に対する耐熱性を有している。蓋部材21は、弾性変形しつつ、テーパ部位733と第1保持孔75aとの間に設けられることにより、テーパ部位733と第1保持孔75aとの隙間を封止している。なお、蓋部材21は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂によって形成されても良く、また、銅のような軟質の金属等によって形成されても良い。
【0046】
また、このエンジン構造では、挿通孔11の座面11bにガスケット25が設けられている。ガスケット25は、銅によって形成されており、ノズル73の先端部73a、より具体的には、第1部位731を挿通可能な円環状をなしている。そして、
図1に示すように、このエンジン構造では、ノズル73を燃焼室9側に向けた状態で、各インジェクタ7が第5挿通孔11f側から各挿通孔11に挿通されている。これにより、各インジェクタ7では、ノズル73の第1部位731がガスケット25に挿通されつつ、第1挿通孔11a内に挿通される。こうして、各噴射孔730を含め、第1部位731の下端が燃焼室9内に侵入する。なお、第1部位731がガスケット25及び第1挿通孔11aに挿通された状態で、第1部位731とガスケット25との間と、第1部位731
と第1挿通孔11aとの間
とには、僅かな隙間が不可避的に生じている。
【0047】
また、このエンジン構造では、第2挿通孔11c内でリテーニングナット75とガスケット25とが軸方向で対向する。そして、この状態で各インジェクタ7は、クランプ27によってシリンダヘッド3に固定される。これにより、
図1の白色矢印で示すように、各インジェクタ7は、クランプ27によってシリンダヘッド3の下方に向けて押圧された状態となっている。これにより、ガスケット25は、リテーニングナット75と座面11bとによって軸方向に挟持されつつ、リテーニングナット75と座面11bとの間を封止している。さらに、各インジェクタ7では、ボデー71の燃料供給部71cに燃料配管13が接続される。これにより、第2供給路7cが燃料配管13と連通する。
【0048】
このように、クランプ27によって各インジェクタ7がシリンダヘッド3の下方に向けて押圧された状態で固定されることにより、
図2の白色矢印で示すように、ノズル73では、第1当接面734を通じて、基端部73bがリテーニングナット75をシリンダヘッド3の下方に向けて押圧する状態となる。ここで、リテーニングナット75は、座面11bとの間でガスケット25を挟持しているため、リテーニングナット75には、座面11b、ひいてはシリンダヘッド3からの応力が作用する。この結果、
図3の実線矢印で示すように、第1当接面734には、リテーニングナット75からの応力が作用する。また、ノズルの接続部73cは基端部73bと先端部73aとに接続している。このため、第1当接面734にリテーニングナット75からの応力が作用することで、接続部73cには、リテーニングナット75からの引張り応力が作用することになる。このため、基端部73b及び接続部73cの各表面にメッキ層15を形成した場合には、リテーニングナット75からの応力によって、メッキ層15に割れが生じることが懸念される。この点、このエンジン構造では、基端部73b及び接続部73cの各表面にはメッキ層15が形成されていないため、上記のような懸念が生じない。
【0049】
以上のように構成されたこのエンジン構造、ひいてはディーゼルエンジン1では、燃料配管13、第2供給路7c及び第1供給路7bを経て、コモンレール内の燃料が軸孔7a内に流通する。また、各燃焼室9内では、ピストンによって内部の空気が圧縮される。この状態で各インジェクタ7において電磁弁77がコマンドピストン17を作動させて、各噴射孔730から燃料を燃焼室9に噴射させる。これにより、このエンジン構造では、燃焼室9内で燃料が燃焼し、車両を走行させるための動力が発生する。
【0050】
このように燃焼室9内で燃料が燃焼することにより、燃焼室9内には、腐食体が不可避的に生じる。ここで、各インジェクタ7が作動している間、つまり、ディーゼルエンジン1の作動時は、腐食体は高温の燃焼ガスである。燃焼室9内で生じた腐食体の大部分は排気ポートを通じて燃焼室9の外部に排出されるものの、腐食体の一部は、
図2及び
図3の破線矢印で示すように、燃焼室9内から、第1部位731と第1挿通孔11aとの隙間を経て、挿通孔11側に流通する。
【0051】
この点、このエンジン構造では、ガスケット25によって、リテーニングナット75と座面11bとの間が封止されている。このため、挿通孔11側に流通した腐食体がインジェクタ7と挿通孔11との隙間を経て、シリンダヘッド3の外部に排出されることが防止されている。
【0052】
さらに、このエンジン構造では、ノズル73において、先端部73aの表面にメッキ層15が形成されているため、挿通孔11側に流通した腐食体によって、先端部73aが腐食することが防止されている。
【0053】
ここで、挿通孔11側に流通した腐食体は、先端部73aの第1部位731とガスケット25との隙間を経ることで、ガスケット25を越えてリテーニングナット75の第1保持孔75a内に侵入し得ることになる。しかし、このエンジン構造では、テーパ部位733と第1保持孔75aとの間に蓋部材21が設けられており、この蓋部材21によって、テーパ部位733と第1保持孔75aとの隙間が封止されている。このため、蓋部材21は、ガスケット25を越えて第1保持孔75a内に侵入した腐食体が接続部73c及び基端部73bに到達することを抑制している。これにより、このエンジン構造では、接続部73c及び基端部73bの各表面にメッキ層15が形成されていなくても、接続部73c及び基端部73bが腐食し難くなっている。
【0054】
また、燃焼ガスであった腐食体は、ディーゼルエンジン1の停止時や燃焼室9から遠ざかることで冷却される。このため、腐食体は、燃焼ガスが冷却されて生じた凝縮水である場合もある。このため、腐食体が凝縮水である場合には、腐食体が先端部73aに付着したり、ガスケット25の周囲に貯留されたりすることになる。しかし、この場合であっても、メッキ層15は、腐食体によって先端部73aが腐食することを防止し、蓋部材21は、先端部73aに付着した凝縮水やガスケット25の周囲に貯留された腐食体が接続部73c及び基端部73bに到達することを抑制する。
【0055】
さらに、このエンジン構造では、腐食体としての燃焼ガスが接続部73c及び基端部73bに到達することを蓋部材21が抑制することにより、接続部73cとリテーニングナット75との間の他、基端部73bとリテーニングナット75との間に腐食体としての凝縮水も生じ難くなっている。この点においても、接続部73c及び基端部73bが腐食し難くなっている。
【0056】
こうして、このエンジン構造によれば、ノズル73の先端部73a、接続部73c及び基端部73bについて、それぞれ腐食体によって腐食することを好適に防止することが可能となっている。
【0057】
したがって、実施例1のエンジン構造によれば、各インジェクタ7の耐久性をより向上させることができる。
【0058】
特に、このエンジン構造では、蓋部材21が先端部73aとリテーニングナット75との間であって、テーパ部位733と第1保持孔75aとの間となる箇所に設けられている。このため、このエンジン構造では、蓋部材21を容易に設けることが可能となっているとともに、軸方向で接続部73c及び基端部73bに近い位置に蓋部材21を配置することが可能となっている。これにより、蓋部材21は、腐食体が接続部73c及び基端部73bに到達することを好適に抑制することが可能となっている。
【0059】
また、蓋部材はPTEF製であり、弾性変形可能であるとともに、腐食体の熱に対する耐熱性を有している。これにより、このエンジン構造では、弾性変形した蓋部材21によって、テーパ部位733と第1保持孔75aとの隙間を好適に塞ぎつつ、これらの間を封止することが可能となっている。また、ディーゼルエンジン1の作動時には、腐食体、つまり燃焼ガスが高温となり得るものの、蓋部材21は腐食体の熱によって溶融したり劣化したりし難くなっている。この点においても、蓋部材21は、腐食体が接続部73c及び基端部73bに到達することを好適に抑制することが可能となっている。
【0060】
(実施例2)
図4に示すように、実施例2のエンジン構造では、蓋部材21に換えて、蓋部材23が設けられている。蓋部材21と同様、蓋部材23もPTFE製である。蓋部材23は、ノズル73の第1部位731を挿通可能な円筒状に形成されている。また、蓋部材23の上端側、つまり、テーパ部位733側となる箇所は、テーパ部位733の形状に沿って拡径している。
【0061】
蓋部材23は、第1部位731とテーパ部位733との間に挿通されている。そして、この状態でリテーニングナット75がノズル73及び軸部71aに締結されている。こうして、蓋部材23は、弾性変形しつつ、テーパ部位733と第1保持孔75aとの間に設けられており、テーパ部位733と第1保持孔75aとの隙間を封止している。このエンジン構造における他の構成は実施例1のエンジン構造と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0062】
このエンジン構造によっても、実施例1のエンジン構造と同様の作用を奏することが可能となっている。また、このエンジン構造では、蓋部材23によって、テーパ部位733と第1保持孔75aとの隙間をより好適に封止できるため、腐食体が接続部73c及び基端部73bに到達することをより好適に抑制することが可能となっている。
【0063】
(実施例3)
図5に示すように、実施例3のエンジン構造では、リテーニングナット75において、第1保持孔75aの内周面に保持溝750が凹設されている。保持溝750は、第1保持孔75aの内周面において、ノズル73の第2部位732と対向する箇所に設けられており、第1保持孔75aの内周面を周方向に一周している。そして、このエンジン構造では、保持溝750内に蓋部材21が設けられている。これにより、リテーニングナット75がノズル73及び軸部71aに締結されることで、蓋部材21は、弾性変形しつつ、第2部位732と保持溝750との間に設けられる。こうして、このエンジン構造では、蓋部材21は、第2部位732と第1保持孔75aとの隙間を封止している。このエンジン構造における他の構成は実施例1のエンジン構造と同様である。
【0064】
このエンジン構造によっても、実施例1のエンジン構造と同様の作用を奏することが可能となっている。また、このエンジン構造では、蓋部材21が保持溝750内に設けられているため、ノズル73及び軸部71aにリテーニングナット75を締結する際や、ディーゼルエンジン1の作動時の振動等によっても、蓋部材21が位置ずれし難くなっている。この点においても、このエンジン構造では、蓋部材21は、腐食体が接続部73c及び基端部73bに到達することを好適に抑制することが可能となっている。
【0065】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0066】
例えば、実施例1~3のエンジン構造では、接続部73cは、先端部73a側から基端部73b側に向かうにつれて拡径するテーパ形状をなしている。しかしこれに限らず、接続部73cは、径の大きさを一定としつつ、先端部73a側から基端部73b側に向かって延びる形状であっても良い。
【0067】
また、実施例1~3のエンジン構造において、ノズル73の基端部73b及び接続部73cの各表面にメッキ層15を形成する構成としても良い。
【0068】
さらに、実施例1~3のエンジン構造は、ディーゼルエンジン1に採用されているが、これに限らず、燃料にガソリンを用いるエンジンに採用されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、産業車両、運送車両及び乗用自動車等に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
3…シリンダヘッド(エンジンヘッド)
7…インジェクタ
9…燃焼室
11…挿通孔
11a…第1挿通孔
11b…座面
11c…第2挿通孔
15…メッキ層
21…蓋部材
23…蓋部材
25…ガスケット
71…ボデー
73…ノズル
73a…先端部
73b…基端部
73c…接続部
75…リテーニングナット
111…内周縁
112…外周縁
730…噴射孔
731…第1部位
732…第2部位
733…テーパ部位