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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】モータ及び回転流体機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/10 20060101AFI20240214BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240214BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20240214BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02K9/10
H02K7/14 B
H02K7/14 A
H02K5/20
F04D29/58 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020079395
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021175320
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】秋枝 真実
(72)【発明者】
【氏名】山田 達郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】軸丸 武弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 史典
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-096612(JP,A)
【文献】特開2004-159402(JP,A)
【文献】実開昭53-055621(JP,U)
【文献】特開平01-255455(JP,A)
【文献】特開昭62-178800(JP,A)
【文献】特開平11-018339(JP,A)
【文献】特開2017-093255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/10
H02K 7/14
H02K 5/20
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線まわりに回転するシャフトと、
前記シャフトに設けられ、前記回転軸線に沿って延在する冷媒流路と、
前記冷媒流路に設けられたスクリュー機構と、
前記冷媒流路から、冷媒が流入又は流出可能な連通部と、を備え、
前記冷媒流路は、
前記回転軸線に沿う軸方向における前記シャフトの一端部の外周面に設けられ、前記冷媒流路に連通する第1の開口と、
前記軸方向における前記シャフトの他端部の端面に設けられ、前記冷媒流路に連通する第2の開口と、を含み、
前記スクリュー機構は、
前記第1の開口と前記連通部との間に設けられ、第1の巻方向に巻かれた第1のスクリュー部と、
前記第2の開口と前記連通部との間に設けられ、前記第1の巻方向と反対の第2の巻方向に巻かれた第2のスクリュー部と、を含み、
前記連通部は、前記第1のスクリュー部と前記第2のスクリュー部との間に設けられ、
前記第1のスクリュー部は、前記第2のスクリュー部よりも大きい強制対流を発生可能である、
モータ。
【請求項2】
前記シャフトの外周面に固定され、前記シャフトとともに前記回転軸線まわりに回転するロータと、
前記ロータの外周面と隙間をもって向かい合う内周面を有し、前記ロータを囲むステータと、を更に備え、
前記連通部は、前記ロータの外周面から前記冷媒流路に向けて延在し、前記隙間と前記冷媒流路とを連通している、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1のスクリュー部及び前記第2のスクリュー部の少なくとも一方は、前記シャフトに設けられたネジ山である、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1のスクリュー部及び前記第2のスクリュー部の少なくとも一方は、前記シャフトとは別体であるスクリュー部品によって構成されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記シャフトのスラスト荷重を受ける軸受を更に備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記シャフトの外周面に固定され、前記シャフトとともに前記回転軸線まわりに回転するロータと、
前記ロータの外周面と隙間をもって向かい合う内周面を有し、前記ロータを囲むステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容するモータハウジングと、を更に備え、
前記モータハウジングは、前記隙間と外部空間とを連通し、前記連通部である第1の連通部とは別の第2の連通部を有し、
前記隙間の雰囲気圧力は、前記外部空間の雰囲気圧力と同じ大きさである、
請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のモータと、
前記シャフトにおいて前記一端部及び前記他端部のうちの少なくとも一方に設けられたインペラと、
前記インペラによって移送される流体を流通させる第1の流路と前記第1の開口に連通する第2の流路とを仕切る仕切部材と、を備える、
回転流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ及び回転流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転軸と、回転軸に設けられたロータと、ロータの外周に配置されたステータと、ステータ及びロータを収容するケーシングと、を備える回転電機が記載されている。ケーシングは、金属部材から形成された略円筒状の本体ハウジングを有する。本体ハウジングの外周部には多数の放熱用フィンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-7783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機の動作は、熱を発生させる。この熱によって回転電機を構成する各部品の温度が上昇すると、所望の性能を発揮できなくなることが生じ得る。そこで、上記特許文献1に開示された放熱用フィン等の冷却機構が適用される。一方で、回転電機のトルク密度を増加させるためには冷却性能の更なる向上が求められる。
【0005】
本開示は、冷却性能の向上が可能なモータ及び回転流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態であるモータは、回転軸線まわりに回転するシャフトと、シャフトに設けられ、回転軸線に沿って延在する冷媒流路と、冷媒流路に設けられたスクリュー機構と、冷媒流路から、冷媒が流入又は流出可能な連通部と、を備え、冷媒流路は、回転軸線に沿う軸方向におけるシャフトの一端部に設けられ、冷媒流路に連通する第1の開口と、軸方向におけるシャフトの他端部に設けられ、冷媒流路に連通する第2の開口と、を含み、スクリュー機構は、第1の開口と連通部との間に設けられ、第1の巻方向に巻かれた第1のスクリュー部と、第2の開口と連通部との間に設けられ、第1の巻方向と反対の第2の巻方向に巻かれた第2のスクリュー部と、を含み、連通部は、第1のスクリュー部と第2のスクリュー部との間に設けられている。
【0007】
このモータにおいては、シャフトに設けられた冷媒流路と、冷媒流路に設けられたスクリュー機構とを有する。このスクリュー機構により、モータの動作時の回転を利用して、冷媒流路に強制対流を発生させることができる。また、スクリュー機構は、互いに反対の巻方向に巻かれた第1のスクリュー部及び第2のスクリュー部を含む。このため、モータの一方向の回転によって、冷媒流路には互いに対称となる2つの強制対流が発生する。この2つの強制対流による冷媒が連通部を介して流通することにより、シャフト及びロータの冷却が可能となる。したがって、冷却性能を向上させることが可能となる。
【0008】
一形態のモータは、シャフトの外周面に固定され、シャフトとともに回転軸線まわりに回転するロータと、ロータの外周面と隙間をもって向かい合う内周面を有し、ロータを囲むステータと、を更に備え、連通部は、ロータの外周面から冷媒流路に向けて延在し、隙間と冷媒流路とを連通していてもよい。この場合、冷媒流路から導入された冷媒が、連通部を介してロータとステータとの隙間を流通するので、ロータ及びステータが効率よく冷却される。したがって、冷却性能を向上させることが可能となる。
【0009】
一形態のモータにおいて、第1のスクリュー部及び第2のスクリュー部の少なくとも一方は、シャフトに設けられたネジ山であってもよい。この場合、冷媒流路を構成するシャフトの内周面の表面積がネジ山に対応して増加するので、冷媒流路における熱交換効率が上昇する。したがって、冷却性能を更に向上できる。
【0010】
一形態のモータにおいて、第1のスクリュー部及び第2のスクリュー部の少なくとも一方は、シャフトとは別体であるスクリュー部品によって構成されていてもよい。この場合、スクリュー機構を構成する各部品の汎用性を高めることができる。
【0011】
一形態のモータは、シャフトのスラスト荷重を受ける軸受を更に備えていてもよい。上述したように、このモータによれば、モータの一方向の回転によって、冷媒流路には互いに対称となる2つの強制対流が発生する。このため、第1のスクリュー部からの強制対流によるスラスト方向の外力と第2のスクリュー部からの強制対流によるスラスト方向の外力とが互いに打ち消し合うので、スラスト荷重が発生しにくい。したがって、軸受への負荷を低減できる。
【0012】
一形態のモータは、シャフトの外周面に固定され、シャフトとともに回転軸線まわりに回転するロータと、ロータの外周面と隙間をもって向かい合う内周面を有し、ロータを囲むステータと、ロータ及びステータを収容するモータハウジングと、を更に備え、モータハウジングは、隙間と外部空間とを連通し、上記連通部である第1の連通部とは別の第2の連通部を有し、隙間の雰囲気圧力は、外部空間の雰囲気圧力と同じ大きさであってもよい。このモータによれば、モータの動作時の回転を利用して強制対流を発生できるので、ロータとステータとの隙間の雰囲気圧力が外部空間の雰囲気圧力と同じ大きさである構成においても、当該隙間に冷媒を流通させ得る。したがって、例えば冷却用のファン等の装置の省略が可能となるので、モータを小型化できる。
【0013】
本開示の別の形態である回転流体機械は、上記のいずれかのモータと、シャフトにおいて一端部及び他端部のうちの一端部のみに設けられたインペラと、を備え、第1のスクリュー部は、第2のスクリュー部よりも大きい強制対流を発生可能であってもよい。この場合、インペラの動作によって、一端部には他端部よりも大きい熱が生じやすい。一方で、第1のスクリュー部が第2のスクリュー部よりも大きい強制対流を発生可能なので、一端部における冷却の程度が他端部における冷却の程度よりも大きくなる。したがって、インペラの動作による熱の偏りの程度を低減できる。
【0014】
本開示の別の形態である回転流体機械は、上記のいずれかのモータと、シャフトにおいて一端部及び他端部のうちの少なくとも一方に設けられたインペラと、インペラによって移送される流体を流通させる第1の流路と第1の開口に連通する第2の流路とを仕切る仕切部材と、を備えてもよい。この場合、インペラによって移送される流体と冷媒とが相互に影響し合うことを回避できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、冷却性能の向上が可能なモータ及び回転流体機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る回転流体機械の断面を概略的に示す図である。
図2図2は、図1の冷却機構を説明するための断面図である。
図3図3は、変形例に係る冷却機構を示す断面図である。
図4図4は、図3のリング部材を示す斜視図である。
図5図5は、別の変形例に係る冷却機構を示す断面図である。
図6図6は、図5のスクリュー部を説明するための斜視図である。
図7図7は、更に別の変形例に係る冷却機構を示す断面図である。
図8図8は、図7のシャフトを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0018】
図1を参照し、本実施形態に係る回転流体機械の構成について説明する。図1に示される回転流体機械1は、いわゆる高速回転機械であって、例えばモータ2を動力源として動作する電動コンプレッサである。ただし、回転流体機械1は、ブロア又は電動ターボチャージャ等であってもよく、高速回転機械以外の回転流体機械であってもよい。本実施形態において、回転流体機械1は、モータ2と、コンプレッサ3と、を備える。
【0019】
モータ2は、シャフト4と、ロータ5と、ステータ6と、モータハウジング7と、冷却機構10(後述)と、を備える。シャフト4は、回転軸線Axまわりに回転する。シャフト4は、例えば円筒状を呈しており、回転軸線Axに沿って延びる内周面41及び外周面42を有する。言い換えると、本実施形態において、シャフト4には、回転軸線Axに沿う軸方向A1に沿って貫通する貫通孔が設けられている。
【0020】
ロータ5は、円筒状を呈する。ロータ5の内周面51は、シャフト4の外周面42に固定されている。ステータ6は、ロータ5を囲んでいる。ステータ6は、回転軸線Axに沿って延びる円筒状のステータコア61と、ステータコイル62とを有する。ステータコア61の内周面63は、ロータ5の外周面52と隙間S1を介して向かい合っている。ステータコイル62は、ステータコア61に巻き回された導線によって構成されている。ステータコイル62において、ステータコア61から軸方向A1に突出した部分は、いわゆるコイルエンド62a,62bである。なお、軸方向A1は、回転軸線Axに沿った方向である。ステータ6は、ロータ5を回転させるための回転磁界を発生する。具体的には、モータ2において、ステータ6に交流電流が提供されると、ステータ6による回転磁界によってロータ5にトルクが発生する。その結果、ロータ5は、シャフト4とともに回転軸線Axまわりに回転する。
【0021】
モータハウジング7は、ロータ5及びステータ6等を収容する。モータハウジング7は、例えば円筒状を呈している。モータハウジング7は、回転軸線Axまわりにロータ5及びステータ6を囲む周壁71と、軸方向A1における周壁71の一端に設けられた端壁72と、軸方向A1における周壁71の他端に設けられた端壁73とを有する。周壁71には、ステータ6の外周面64が固定されている。端壁72,73には、シャフト4のラジアル荷重を受けるラジアル軸受74,75がそれぞれ設けられている。ラジアル軸受74は、軸方向A1におけるシャフト4の一端部43を回転可能に保持している。ラジアル軸受75は、軸方向A1におけるシャフト4の他端部44を回転可能に保持している。ラジアル軸受74,75は、シャフト4の径方向A2においてシャフト4を支持する。
【0022】
モータハウジング7は、シャフト4のスラスト荷重を受けるスラスト軸受76(軸受)を更に有する。スラスト軸受76は、例えば、端壁72,73のうちの一方のみに設けられている。本実施形態において、スラスト軸受76は、端壁72に設けられている。つまり、スラスト軸受76は、シャフト4の一端部43に設けられている。一例として、スラスト軸受76は、ガス軸受等の非接触軸受である。スラスト軸受76は、軸方向A1においてシャフト4を非接触に支持する。
【0023】
また、モータハウジング7は、隙間S1と外部空間S2とを連通する少なくとも1つの連通部77(第2の連通部)を有している。本実施形態において、モータハウジング7は、複数の連通部77を有する。複数の連通部77は、例えば端壁73にそれぞれ設けられた連通孔である。ただし、周壁71に連通部77が設けられていてもよく、端壁72に連通部77が設けられていてもよい。また、連通部77には、例えばファン等の送風機は設けられていない。本実施形態において、隙間S1の雰囲気圧力は、外部空間S2の雰囲気圧力と同じ大きさである。なお、本明細書において「同じ」とは、完全に一致している場合だけでなく、完全に一致している場合と同様な効果が奏され得る程度に僅かな差がある場合を含む。後述する冷却機構10は、複数の連通部77を介して冷媒を流通させ、ロータ5及びステータ6を冷却する。
【0024】
コンプレッサ3は、インペラ8と、インペラハウジング9と、を備える。本実施形態において、コンプレッサ3は、軸方向A1におけるモータ2の片側のみに設けられている。インペラ8は、シャフト4において一端部43及び他端部44のうちの一方のみに設けられている。本実施形態において、インペラ8は、シャフト4の一端部43に設けられている。言い換えると、インペラ8は、シャフト4の他端部44には設けられていない。インペラ8は、シャフト4の回転に伴う回転軸線Axまわりの回転によって流体をインペラハウジング9の流路91(第1の流路)に移送(圧送)する。
【0025】
インペラハウジング9は、インペラ8を収容する。また、インペラハウジング9は、インペラ8によって移送される流体を流通させる流路91を構成している。インペラハウジング9は、軸方向A1に沿ってモータハウジング7と隣接している。インペラハウジング9は、モータハウジング7の端壁72と向かい合う端壁92(仕切部材)を有する。端壁92には、外部空間S2に連通する流路93(第2の流路)が設けられている。図1に示されるように、流路93は、端壁92によって流路91とは仕切られている。
【0026】
次に、図2を参照し、冷却機構10について説明する。冷却機構10は、冷媒を用いてロータ5及びステータ6を冷却する。本実施形態において、冷媒は、例えば空気等の気体である。ただし、冷媒は、オイル等の液体であってもよい。冷却機構10は、モータ2を構成する各部品によって構成されている。冷却機構10は、冷媒を流通させる冷媒流路11及び連通部12(第1の連通部)と、スクリュー機構13と、を有する。冷媒流路11は、一部品としてのシャフト4に設けられた貫通孔によって構成されている。冷媒流路11は、を回転軸線Axに沿って延在する。冷媒流路11は、シャフト4の一端部43に設けられた開口11a(第1の開口)と、シャフト4の他端部44に設けられた開口11b(第2の開口)と、を有する。開口11aは、インペラハウジング9の端壁92に設けられた流路93(図1参照)に連通している。開口11aは、流路93を介して外部空間S2に連通している。開口11bは、例えば、外部空間S2に直接連通している。
【0027】
連通部12は、冷媒流路11から、冷媒が流入又は流出可能に構成されている。具体的には、連通部12は、ロータ5の外周面52から冷媒流路11に向けて延在し、隙間S1と冷媒流路11とを連通している。本実施形態において、冷却機構10は、シャフト4の周方向に沿って並ぶ複数の連通部12を有している。複数の連通部12は、開口11a,11bの間において冷媒流路11にそれぞれ連通している。例えば、軸方向A1における冷媒流路11の中央部に、複数の連通部12がそれぞれ連通している。言い換えると、連通部12と開口11aとの距離は、連通部12と開口11bとの距離と同じである。本実施形態における各連通部12は、シャフト4及びロータ5に設けられ、軸方向A1に交差する方向に沿って延在する連通孔によって構成されている。具体的には、ロータ5は、シャフト4の外周面42上にこの順で重ねられた1つのロータコア53、1つの磁石54、及び1つのアーマリング55によって構成されている。連通部12は、径方向A2に沿ってアーマリング55、磁石54、ロータコア53、及びシャフト4をそれぞれ貫通して冷媒流路11に至る連通孔によって構成されている。
【0028】
ただし、連通部12は、軸方向A1における冷媒流路11の中央部以外に連通していてもよい。例えば、連通部12と開口11aとの距離は、連通部12と開口11bとの距離よりも大きくてもよい。あるいは、連通部12と開口11aとの距離は、連通部12と開口11bとの距離よりも小さくてもよい。連通部12は、シャフト4のうち、ロータ5が固定されていない領域に設けられていてもよい。また、連通部12は、軸方向A1及び径方向A2の両方に交差する方向に沿って延在していてもよい。冷却機構10は、1つの連通部12のみを有していてもよい。冷却機構10は、軸方向A1における互いに異なる位置にて冷媒流路11に連通する複数の連通部12を有していてもよい。冷却機構10は、互いに異なる向きに延在する複数の連通部12を有していてもよい。
【0029】
スクリュー機構13は、冷媒流路11に設けられている。スクリュー機構13は、モータ2の動作時の回転によって冷媒流路11に強制対流を発生させる。スクリュー機構13は、スクリュー部13a(第1のスクリュー部)とスクリュー部13b(第2のスクリュー部)とを有する。スクリュー部13aは、開口11aと連通部12との間における冷媒流路11の一部の領域に設けられている。シャフト4の一端部43側におけるスクリュー部13aの端部(スクリュー部13aの始端)は、開口11aに近接している。スクリュー部13bは、開口11bと連通部12との間における冷媒流路11の一部の領域に設けられている。シャフト4の他端部44側におけるスクリュー部13bの端部(スクリュー部13bの始端)は、開口11bに近接している。スクリュー部13a,13bは、軸方向A1において連通部12を介して隣り合っている。本実施形態において、スクリュー部13a,13bの間におけるシャフト4の内周面は、滑らかな曲面である。
【0030】
ただし、スクリュー部13aは、開口11aと連通部12との間における冷媒流路11の全部の領域に設けられていてもよく、スクリュー部13bは、開口11bと連通部12との間における冷媒流路11の全部の領域に設けられていてもよい。スクリュー部13a,13bは、互いに接していてもよい。スクリュー部13aの始端は、開口11aから離間した位置であってもよく、スクリュー部13bの始端は、開口11bから離間した位置であってもよい。
【0031】
スクリュー部13aは、第1の巻方向に巻かれた螺旋状のスクリュー部分である。第1の巻方向は、例えば、インペラ8の回転方向が左回転である場合の右巻方向である。なお、インペラ8の回転方向は、シャフト4の一端部43から軸方向A1に沿って見たときのシャフト4の回転方向である。スクリュー部13aの巻方向についても、シャフト4の一端部43から他端部44に沿ってみた基準での巻方向である。これにより、モータ2の動作時にシャフト4が回転すると、スクリュー部13aは、開口11aから連通部12に向かう強制対流を発生させる。
【0032】
スクリュー部13bは、第2の巻方向に巻かれた螺旋状のスクリュー部分である。第2の巻方向は、第1の巻方向と反対の巻方向である。つまり、インペラ8の回転方向が左回転である場合の左巻方向である。これにより、モータ2の動作時にシャフト4が回転すると、スクリュー部13bは、開口11bから連通部12に向かう強制対流と発生させる。言い換えると、スクリュー部13a,13bは、軸方向A1に沿って互いに反対向きの強制対流を発生させる。
【0033】
本実施形態において、スクリュー部13a,13bは、冷媒流路11に設けられたネジ山によって構成されている。具体的には、スクリュー部13aは、シャフト4の内周面41に沿って右巻に延在するネジ山であり、スクリュー部13bは、シャフト4の内周面41に沿って左巻に延在するネジ山である。スクリュー部13a,13bとしてのネジ山は、シャフト4の内周面41を溝掘り加工することによって形成されている。本実施形態においては、スクリュー部13aを構成するネジ山の高さとスクリュー部13bを構成するネジ山の高さとは互いに同じである。また、スクリュー部13aを構成するネジ山のネジピッチとスクリュー部13bを構成するネジ山のネジピッチとは互いに同じである。
【0034】
スクリュー部13aは、スクリュー部13bよりも大きい強制対流を発生可能である。具体的には、スクリュー部13aとしてのネジ山の軸方向A1に沿った長さL1は、スクリュー部13bとしてのネジ山の軸方向A1に沿った長さL2よりも大きい。長さL1,L2は、それぞれ、モータ2の回転速度に応じて所望の強制対流を発生可能な長さである。この構成により、本実施形態におけるスクリュー部13aがスクリュー部13bよりも大きい強制対流を発生可能である。
【0035】
ただし、スクリュー部13aとしてのネジ山の高さがスクリュー部13bとしてのネジ山の高さよりも大きいことにより、スクリュー部13aがスクリュー部13bよりも大きい強制対流を発生可能であってもよい。あるいは、スクリュー部13aとしてのネジ山のネジピッチがスクリュー部13bとしてのネジ山のネジピッチよりも小さいことにより、スクリュー部13aがスクリュー部13bよりも大きい強制対流を発生可能であってもよい。
【0036】
次に、図1及び図2を併せて参照し、冷媒の流れについて説明する。モータ2の動作時の回転によってシャフト4が回転軸線Axまわりに回転すると、スクリュー機構13によって冷媒流路に強制対流が発生する。具体的には、スクリュー部13a,13bによって互いに対称となる2つの強制対流が発生する。例えば、スクリュー部13aによって開口11aから連通部12に向かう強制対流が発生し、スクリュー部13bによって開口11a,11bbから連通部12に向かう強制対流が発生する。これらの強制対流により、外部空間S2から冷媒流路11に冷媒が流れ込む。また、冷媒流路11においては、冷媒は連通部12に向けて流れるとともに、当該連通部12を介してロータ5とステータ6との隙間S1まで流れ込む。隙間S1を通過した冷媒は、モータハウジング7内のエアギャップを通り、連通部77を介して外部空間S2に排出される。冷媒は、以上のような流れによってモータ2における各部品との熱交換を行う。具体的には、冷媒は、冷媒流路11においてシャフト4と熱交換を行い、連通部12においてシャフト4及びロータ5と熱交換を行い、隙間S1においてロータ5及びステータ6と熱交換を行う。冷却機構10は、このように冷媒を用いてロータ5及びステータ6を冷却する。
【0037】
以上説明したモータ2及び回転流体機械1の作用効果について説明する。本実施形態に係るモータ2においては、冷却機構10が、シャフト4に設けられた冷媒流路11と、冷媒流路11に設けられたスクリュー機構13とを有する。このスクリュー機構13により、モータ2の動作時の回転を利用して、冷媒流路11に強制対流を発生できる。また、スクリュー機構13は、互いに反対の巻方向に巻かれたスクリュー部13a,13bを含む。このため、モータ2の一方向の回転によって、冷媒流路11には互いに対称となる2つの強制対流が発生し、この2つの強制対流による冷媒が連通部12を介して流通する。この2つの強制対流による冷媒の流れにより、シャフト4及びロータ5の冷却が可能となる。したがって、冷却性能を向上させることが可能となる。
【0038】
また、モータ2は、シャフト4の外周面42に固定され、シャフト4とともに回転軸線Axまわりに回転するロータ5と、ロータ5の外周面52と隙間S1をもって向かい合う内周面63を有し、ロータ5を囲むステータ6と、を更に備え、連通部12は、ロータ5の外周面52から冷媒流路11に向けて延在し、隙間S1と冷媒流路11とを連通している。この構成によれば、冷媒流路11から導入された冷媒が、連通部12を介してロータ5とステータ6との隙間S1を流通するのでロータ5及びステータ6が効率よく冷却される。ここで、ロータ5の外周面52及びステータ6の内周面63は、特に損失が大きくなりやすい部分である。このモータ2においては、この隙間S1に冷媒を流通させるので、特に損失が大きくなりやすい部分を重点的に冷却できる。したがって、冷却性能を向上させることが可能となる。その結果、モータ2のトルク密度を増加できる。
【0039】
ところで、比較例に係るモータとして、冷却のためのファンが外付けされたモータが挙げられる。しかしながら、このようなモータにおいては、ファンによる大型化、及び、ファンの設置に伴うコストの上昇等の問題があった。これに対し、上記実施形態に係るモータ2によれば、モータ2の動作時の回転を利用してロータ5及びステータ6を冷却できる。これにより、冷却のためのファン等の送風機が省略されるので、モータ2の大型化が抑制されるとともに、ファンの設置に要するコストの上昇を回避できる。ただし、本開示は追加の冷却機構を設けることを排除するものではない。例えば、更なる冷却性能の向上などの要求から、外付ファンを設けてもよい。
【0040】
別の比較例に係るモータとして、シャフトの内部又はロータの内部に軸方向A1に沿って延在する冷媒流路のみが設けられたモータが挙げられる。このモータにおいては、冷媒が冷媒流路を一方向に流通するので、冷媒が流通する一方向からの外力が特に大きくなりやすい。これにより、シャフトに大きいスラスト荷重が発生し、軸受へ負荷が増大し得る。これに対し、上記実施形態に係るモータ2においては、互いに反対の巻方向に巻かれたスクリュー部13a,13bによって冷媒流路11に互いに対称となる2つの強制対流が発生するので、軸方向A1に沿った二方向からの負荷が互いに相殺し合う。したがって、スラスト荷重を発生しにくくできる。なお、2つの強制対流が対称とならなくても、二方向からの負荷の一部が相殺し合い、スラスト荷重を低減することができる。
【0041】
モータ2において、スクリュー部13a,13bは、シャフト4に設けられたネジ山である。この構成により、冷媒流路11を構成するシャフト4の内周面41の表面積がネジ山に対応して増加するので、スクリュー部13a,13bがヒートシンクとしても機能し、冷媒流路11における熱交換効率が上昇する。したがって、冷却性能を更に向上できる。さらに、シャフト4の内周面41を溝掘り加工するだけでスクリュー部13a,13bを設けることができるので、スクリュー部13a,13bを形成しやすい。
【0042】
モータ2は、シャフト4のスラスト荷重を受けるスラスト軸受76を更に備えている。上述したように、モータ2によれば、モータ2の一方向の回転によって、冷媒流路11には互いに対称となる2つの強制対流が発生する。このため、スクリュー部13aからの強制対流によるスラスト方向の外力とスクリュー部13bからの強制対流によるスラスト方向の外力とが互いに打ち消し合うので、スラスト荷重が発生しにくい。したがって、スラスト軸受76への負荷を十分に低減できる。
【0043】
モータ2は、ロータ5及びステータ6を収容するモータハウジング7を更に備え、モータハウジング7は、隙間S1と外部空間S2とを連通する連通部77を有し、隙間S1の雰囲気圧力は、外部空間S2の雰囲気圧力と同じ大きさである。このモータ2によれば、モータ2の動作時の回転を利用して強制対流を発生できるので、ロータ5とステータ6との隙間S1の雰囲気圧力が外部空間S2の雰囲気圧力と同じ大きさである構成においても、当該隙間S1に冷媒を流通させ得る。したがって、冷却用のファン等の装置の省略が可能となるので、モータ2を小型化できる。ただし、本開示は追加の冷却機構を設けることを排除するものではない。例えば、更なる冷却性能の向上などの要求から、冷却用のファンを設けてもよい。
【0044】
モータ2において、冷却機構10は、空気等の気体を冷媒として用いてロータ5及びステータ6を冷却する。この構成によれば、例えば、オイル等の液体を冷媒として用いる場合と比較してメンテナンスの手間を省略できる。ただし、本開示はオイル等の液体を冷媒として用いることを排除するものではない。
【0045】
上記実施形態に係る回転流体機械1は、上記のモータ2と、シャフト4において一端部43及び他端部44のうちの一端部43のみに設けられたインペラ8と、を備え、スクリュー部13aは、スクリュー部13bよりも大きい強制対流を発生可能である。この構成においては、インペラ8の動作によって、一端部43には他端部44よりも大きい熱が生じやすい。一方で、スクリュー部13aがスクリュー部13bよりも大きい強制対流を発生可能なので、一端部43における冷却の程度が他端部44における冷却の程度よりも大きくなる。したがって、インペラ8の動作による熱の偏りの程度を低減できる。
【0046】
回転流体機械1は、上記のモータ2と、シャフト4の一端部43に設けられたインペラ8と、インペラ8によって移送される流体を流通させる流路91と開口11aに連通する流路93とを仕切る端壁92と、を備えている。この構成により、インペラ8によって移送される流体と冷媒とが相互に影響し合うことを回避できる。
【0047】
本開示は、上記実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態において、スクリュー部13a,13bの巻方向を相互に入れ替えてもよい。例えば、スクリュー部13aが左巻方向に巻かれており、スクリュー部13bが右巻方向に巻かれていてもよい。また、インペラ8の回転方向と第1の巻方向及び第2の巻方向との関係も任意である。例えば、インペラ8の回転方向が右回転である場合に、第1の巻方向が右巻方向であって第2の巻方向が左巻方向であってもよい。この場合、モータ2の動作時にシャフト4が回転すると、スクリュー部13aが連通部12から開口11aに向かう強制対流を発生させ、スクリュー部13bが連通部12から開口11aに向かう強制対流を発生させる。
【0049】
また、上記実施形態においては、冷却機構10がシャフト4及びロータ5によって構成されていたが、この構成に限定されない。図3図8は、変形例に係る冷却機構を説明するための図である。例えば、図3に示される冷却機構10Aにおいては、シャフト4に代えてシャフト4Aが適用され、ロータ5に代えてロータ5Aが適用されている。シャフト4Aは、円筒状の2つのシャフト部材45A,46Aと、リング部材47A,48Aと、を備える。図4に示されるように、リング部材47A,48Aには、径方向A2に沿って貫通する複数の孔49Aが設けられている。
【0050】
図3に示されるシャフト4Aは、軸方向A1に沿って、シャフト部材45A、リング部材47A、シャフト部材46A、及びリング部材48Aをこの順で固定することによって、上記実施形態に係るシャフト4と同じ寸法及び形状に構成されている。シャフト部材45A、リング部材47A、シャフト部材45A、及びリング部材48Aは、例えば溶接等によって互いに固定され、一体化されている。ロータ5Aは、軸方向A1に沿って並ぶ2つのロータ部材56Aを備える。各ロータ部材56Aは、軸方向A1における長さがロータ5よりも小さい。軸方向A1における各ロータ部材56Aの長さは、例えば軸方向A1におけるロータ5の長さの約半分である。2つのロータ部材56Aは、それぞれ、シャフト4Aの外周面42上にこの順で重ねられたロータコア53A、磁石54A、及びアーマリング55Aによって構成されている。2つのロータ部材56Aは、外周面42上においてリング部材47Aを挟むように配置される。
【0051】
冷却機構10Aにおいて、冷媒流路11は、シャフト部材45A、リング部材47A、シャフト部材46A、及びリング部材48Aを含む複数の部品に亘って貫通する貫通孔によって構成されている。また、冷却機構10Aにおいて、連通部12は、2つのロータ部材56Aによって画成される空間及びリング部材47Aの孔49Aによって構成されている。この構成によっても、冷媒流路11において発生した2つの強制対流による冷媒が、連通部12を介してロータ5Aとステータ6との隙間S1を流通するので、ロータ5A及びステータ6が効率よく冷却される。したがって、冷却性能を向上させることが可能となる。
【0052】
図5に示される冷却機構10Bは、スクリュー機構13に代えてスクリュー機構13Bを備えている。スクリュー機構13Bは、スクリュー部13aに代えてスクリュー部13cを有するとともに、スクリュー部13bに代えてスクリュー部13dを有する。冷却機構10Bにおいては、シャフト4に代えて平坦な内周面41を有するシャフト4Bが適用されている。スクリュー部13c,13dは、シャフト4Bとは別体であるスクリュー部品によって構成されている。スクリュー部13c,13dは、例えば溶接等によってシャフト4Bの内周面41に固定されている。スクリュー部13c,13dとしてのスクリュー部品は、例えば図6(a)に示される金属製の平板14をひねり曲げ加工することによって形成されている。図6(b)は、ひねり曲げ加工後のスクリュー部13cを示している。
【0053】
図7に示される冷却機構10Cは、スクリュー機構13に代えてスクリュー機構13Cを備えている。スクリュー機構13Cは、スクリュー部13aに代えてスクリュー部13eを有するとともに、スクリュー部13bに代えてスクリュー部13fを有する。冷却機構10Cにおいては、シャフト4に代えてシャフト4Cが適用されている。スクリュー部13d,13fは、シャフト4Cとは別体のスクリュー部品であって、例えばコイルバネである。
【0054】
シャフト4Cは、円筒状の2つの外筒部材45C,46Cと、円筒状の1つの内筒部材47Cと、を備える。外筒部材45Cの一方の端部には、回転軸線Axに向けて突出するフランジ部45fが設けられている。同様に、外筒部材46Cの一方の端部には、回転軸線Axに向けて突出するフランジ部46fが設けられている。外筒部材45C,46Cの他方の端部には、フランジ部45f,46fが設けられていない。外筒部材45C、46Cの他方の端部同士は、間隔をおいて向かい合っている。
【0055】
内筒部材47Cは、外筒部材45C,46Cの内径と同じ外径を有する。内筒部材47Cの一部は外筒部材45Cの内部に配置され、内筒部材47Cの別の一部は外筒部材46Cの内部に配置されている。軸方向A1における内筒部材47Cの中間部には、外筒部材45C,46Cの間を介してロータ5の連通孔に連通する孔48Cが設けられている。また、一方の外筒部材46Cには、コンプレッサ3の流路93(図1参照)に連通する孔49Cが設けられている。
【0056】
シャフト4Cは、外筒部材45C、46Cの内部に内筒部材47Cを固定することによって構成されている。スクリュー部13d,13fは、外筒部材45C,46Cのフランジ部45f,46fと内筒部材47Cとの間に画成された空間にそれぞれ配置されることにより、シャフト4Cに固定されている。
【0057】
図8に示されるように、外筒部材45C,46Cの内周面にはネジ部50a(例えばネジ溝)が設けられ、内筒部材47Cの外周面にはネジ部50b(例えばネジ山)が設けられている。このネジ部50a,50b同士の締結によって外筒部材45C,46Cと内筒部材47Cとが互いに固定され、一体化されている。外筒部材45C,46C、及び内筒部材47Cは、例えば配管継手部品である。
【0058】
冷却機構10B,10Cによっても、冷媒流路11において発生した2つの強制対流による冷媒が、連通部12を介してロータ5とステータ6との隙間S1を流通するので、ロータ5及びステータ6が効率よく冷却される。したがって、冷却性能を向上させることが可能となる。さらに、冷却機構10B,10Cによれば、スクリュー機構13B,13C及びシャフト4B,4Cを構成する各部品の汎用性を高めることができる。
【0059】
上記実施形態において、コンプレッサ3は、軸方向A1におけるモータ2の片側のみに設けられていたが、軸方向A1におけるモータ2の両側にコンプレッサ3が設けられていてもよい。スクリュー部13a,13b、スクリュー部13c,13d、及びスクリュー部13e,13fは、それぞれ互いに同じ大きさの強制対流を発生可能であってもよい。上記実施形態及び変形例の各構成が相互に組み合わされて適用されてもよい。例えば、スクリュー機構は、ネジ山によって構成されたスクリュー部とシャフトとは別体であるスクリュー部品によって構成されたスクリュー部との両方を有していてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、スラスト軸受76を、ガス軸受等の非接触軸受としていたが、接触して支持するタイプのスラスト軸受を用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 回転流体機械
2 モータ
3 コンプレッサ
4,4A,4B,4C シャフト
5,5A ロータ
6 ステータ
7 モータハウジング
8 インペラ
9 インペラハウジング(仕切部材)
10,10A,10B,10C 冷却機構
11 冷媒流路
11a 開口(第1の開口)
11b 開口(第2の開口)
12 連通部(第1の連通部)
13,13B,13C スクリュー機構
13a,13c,13e スクリュー部(第1のスクリュー部)
13b,13d,13f スクリュー部(第2のスクリュー部)
14 平板
41 内周面
42 外周面
43 一端部
44 他端部
45A,46A シャフト部材
45C,46C 外筒部材
45f フランジ部
45s,46s ネジ部
47C 内筒部材
47A,48A リング部材
48C,49A,49C 孔
50a,50b…ネジ部
51 内周面
52 外周面
53,53A ロータコア
54,54A 磁石
55 アーマリング
56A ロータ部材
61 ステータコア
62 ステータコイル
62a,62b コイルエンド
63 内周面
64 外周面
71 周壁
72,73 端壁
74,75 ラジアル軸受
76 スラスト軸受(軸受)
77 連通部(第2の連通部)
91 流路(第1の流路)
92 端壁(仕切部材)
93 流路(第2の流路)
Ax…回転軸線
A1 軸方向
A2 径方向
L1,L2 長さ
S1 隙間
S2 外部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8