(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成システムの制御方法、および、当該制御方法をコンピューターに実行させるためのプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/42 20060101AFI20240214BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240214BHJP
B65H 31/30 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J29/42 E
B41J29/42 F
B41J29/00 H
B65H31/30
(21)【出願番号】P 2020084345
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 宏明
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-062194(JP,A)
【文献】特開2016-043629(JP,A)
【文献】特開2020-063122(JP,A)
【文献】特開2015-040089(JP,A)
【文献】特開2008-023878(JP,A)
【文献】特開2002-163711(JP,A)
【文献】国際公開第2006/028304(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/42
B41J 29/38
B41J 29/00
B65H 31/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成システムであって、
画像形成処理後に排出される用紙を収容するための第1収容部と、
前記第1収容部から移される用紙を収容するための第2収容部と、
前記画像形成システムの動作を制御するための制御装置と、
前記画像形成システムの状態を通知するための通知手段とを備え、
前記制御装置は、
画像形成処理後に排出される用紙のうち、第1部が前記第1収容部に収容され、かつ、前記第1部とは異なる第2部が前記第2収容部に収容されることに基づいて、前記画像形成処理後に排出される用紙に関する情報を前記通知手段に通知させる、画像形成システム。
【請求項2】
前記制御装置は、画像形成を指示するジョブの実行中に、前記第2収容部に用紙を移せないことを検知した場合に、用紙が前記第1収容部に排出されると、前記第1収容部に用紙が残っていると判断する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1収容部に用紙が収容されているか否かを検出するためのセンサーをさらに備え、
前記第1収容部に用紙が残っているか否かを判断することは、前記センサーからの出力に基づいて、前記第1収容部に用紙が残っているか否かを判断することを含む、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第2収容部に収容されていた
前記第2部が取り出された後に、前記第1収容部から前記第2収容部に
前記第1部が移されて、前記第2収容部に収容された
前記第1部が取り出されると、前記通知手段による通知を終了する、請求項1~3のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第2収容部は、前記画像形成システムから引き抜き可能であり、
前記第2収容部に収容されている用紙を取り出すことは、前記第2収容部を前記画像形成システムから引き抜いて前記用紙を取り出すことを含む、請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2収容部は、前記第1収容部から移されて積層される用紙を受け止める支持部を含み、
前記第2収容部に収容されている用紙を取り出すことは、前記支持部によって受け止められている用紙を取り出すことを含む、請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記制御装置は、画像形成を指示する第1ジョブおよび第2ジョブを実行した後に、前記第1収容部から前記第2収容部に用紙を移せないことを検知した場合に、前記第1ジョブの実行により排出された用紙および前記第2ジョブの実行により排出された用紙が前記第1収容部に残っていると判断する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
画像形成を指示するために前記画像形成システムに与えられるジョブには、当該指示を与えたユーザーを識別するためのユーザー識別情報が関連付けられており、
前記通知手段による通知は、前記第1収容部に収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報と、前記第2収容部に収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報とが同じであることに基づいて、用紙の取り忘れを通知することを含む、請求項1~7のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第2部は、前記第1収容部と対応付けて定められた収容枚数である、請求項1~8のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記第1収容部に前記第1部が収容され、かつ、前記第2収容部に前記第2部が収容されているか否かを判断し、前記第1収容部に前記第1部が収容され、かつ前記第2収容部に前記第2部が収容されていると判断したことに基づいて、前記第1収容部または前記第2収容部に用紙が収容されている旨を前記通知手段に通知させる、請求項1~9のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項11】
画像形成システムの制御方法であって、
画像形成処理後の用紙を第1エリアに排出するステップと、
前記第1エリアから第2エリアに用紙を移送するステップと、
前記第1エリアに用紙が残っているか否かを判断するステップと、
画像形成処理後に排出される用紙のうち、第1部が前記第1エリアに
収容され、かつ、前記第1部とは異なる第2部が前記第2エリアに収容されることに基づいて、前記画像形成処理後に排出される用紙に関する情報を通知するステップとを含む、制御方法。
【請求項12】
前記判断するステップは、画像形成を指示するジョブの実行中に、前記第2エリアに用紙を移せないことを検知した場合に、用紙が前記第1エリアに排出されると、前記第1エリアに用紙が残っていると判断することを含む、請求項
11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記第1エリアに用紙が残っているか否かを判断するステップは、センサーからの出力に基づいて、前記第1エリアに用紙が残っているか否かを判断することを含む、請求項
11に記載の制御方法。
【請求項14】
前記第2エリアに収容されていた
前記第2部が取り出された後に、前記第1エリアから前記第2エリアに
前記第1部が移されて、前記第2エリアに収容された
前記第1部が取り出されると、前記通知を終了するステップをさらに含む、請求項
11~13のいずれかに記載の制御方法。
【請求項15】
前記第2エリアは、前記画像形成システムから引き抜き可能であり、
前記第2エリアに収容されている用紙を取り出すことは、前記第2エリアを前記画像形成システムから引き抜いて前記用紙を取り出すことを含む、請求項
14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記第2エリアは、前記第1エリアから移されて積層される用紙を受け止める支持部を含み、
前記第2エリアに収容されている用紙を取り出すことは、前記支持部によって受け止められている用紙を取り出すことを含む、請求項
14に記載の制御方法。
【請求項17】
前記第1エリアに用紙が残っているか否かを判断するステップは、画像形成を指示する第1ジョブおよび第2ジョブを実行した後に、前記第1エリアから前記第2エリアに用紙を移せないことを検知した場合に、前記第1ジョブの実行により排出された用紙および前記第2ジョブの実行により排出された用紙が前記第1エリアに残っていると判断することを含む、請求項
11~16のいずれかに記載の制御方法。
【請求項18】
画像形成を指示するために前記画像形成システムに与えられるジョブには、当該指示を与えたユーザーを識別するためのユーザー識別情報が関連付けられており、
前記通知するステップは、前記第1エリアに収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報と、前記第2エリアに収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報とが同じであることに基づいて、用紙の取り忘れを通知することを含む、請求項
11~17のいずれかに記載の制御方法。
【請求項19】
前記第2部は、前記第1エリアと対応付けて定められた収容枚数である、請求項11~18のいずれかに記載の制御方法。
【請求項20】
前記通知するステップは、
前記第1エリアに前記第1部が収容され、かつ、前記第2エリアに前記第2部が収容されているか否かを判断するステップと、
前記第1エリアに前記第1部が収容され、かつ前記第2エリアに前記第2部が収容されていると判断したことに基づいて、前記第1エリアまたは前記第2エリアに用紙が収容されている旨を通知するステップと、を含む、請求項11~19のいずれかに記載の制御方法。
【請求項21】
請求項
11~20のいずれかに記載の制御方法を、コンピューターに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して画像形成装置の制御に関し、より特定的には、画像形成装置の排紙の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置(以下MFP(Multi-Functional Peripheral)ともいう。)による印刷その他の画像形成処理が行なわれた後、印刷物を加工するオプション工程が行なわれる場合がある。オプション工程の1つとして、断裁装置による断裁がある。オプション工程が追加されると、一部の工程が稼働しないことにより処理が完了するまでの時間が長くなる可能性がある。そこで、ダウンタイムと呼ばれる装置が稼働しない時間を減らすことが必要となる。例えば、特開2015-9341号公報(特許文献1)は、「装置が稼働しない時間を減らすことができる断裁装置」を開示している(「要約」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成後に排出される印刷物その他の記録媒体をオプション工程で加工するとき、加工後の記録媒体を収容するために複数の収容部が使用される場合がある。この場合、オプション工程が終了した後に、いずれかの収容部に排出された記録媒体が取り出されることなく放置されることがある。したがって、記録媒体の取り忘れを防止する技術が必要とされている。
【0005】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある実施の形態に従うと、画像形成システムから記録媒体の取り忘れを防止する技術が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従う画像形成システムは、画像形成処理後に排出される用紙を収容するための第1収容部と、第1収容部から移される用紙を収容するための第2収容部と、画像形成システムの動作を制御するための制御装置と、画像形成システムの状態を通知するための通知手段とを備える。制御装置は、第1収容部に用紙が残っているか否かを判断し、第1収容部に用紙が残っていると判断したことに基づいて、用紙の取り忘れを通知手段に通知させる。
【0007】
ある局面において、制御装置は、画像形成を指示するジョブの実行中に、第2収容部に用紙を移せないことを検知した場合に、用紙が第1収容部に排出されると、第1収容部に用紙が残っていると判断する。
【0008】
ある局面において、画像形成装置は、第1収容部に用紙が収容されているか否かを検出するためのセンサーをさらに備える。第1収容部に用紙が残っているか否かを判断することは、センサーからの出力に基づいて、第1収容部に用紙が残っているか否かを判断することを含む。
【0009】
ある局面において、制御装置は、第2収容部に収容されていた用紙が取り出された後に、第1収容部から第2収容部に用紙が移されて、第2収容部に収容された用紙が取り出されると、通知手段による通知を終了する。
【0010】
ある局面において、第2収容部は、画像形成システムから引き抜き可能である。第2収容部に収容されている用紙を取り出すことは、第2収容部を画像形成システムから引き抜いて用紙を取り出すことを含む。
【0011】
ある局面において、第2収容部は、第1収容部から移されて積層される用紙を受け止める支持部を含む。第2収容部に収容されている用紙を取り出すことは、支持部によって受け止められている用紙を取り出すことを含む。
【0012】
ある局面において、制御装置は、画像形成を指示する第1ジョブおよび第2ジョブを実行した後に、第1収容部から第2収容部に用紙を移せないことを検知した場合に、第1ジョブの実行により排出された用紙および第2ジョブの実行により排出された用紙が第1収容部に残っていると判断する。
【0013】
ある局面において、画像形成を指示するために画像形成システムに与えられるジョブには、当該指示を与えたユーザーを識別するためのユーザー識別情報が関連付けられている。通知手段による通知は、第1収容部に収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報と、第2収容部に収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報とが同じであることに基づいて、用紙の取り忘れを通知することを含む。
【0014】
他の実施の形態に従うと、画像形成システムの制御方法が提供される。この制御方法は、画像形成処理後の用紙を第1エリアに排出するステップと、第1エリアから第2エリアに用紙を移送するステップと、第1エリアに用紙が残っているか否かを判断するステップと、第1エリアに用紙が残っていると判断したことに基づいて、用紙の取り忘れを通知するステップとを含む。
【0015】
ある局面において、判断するステップは、画像形成を指示するジョブの実行中に、第2エリアに用紙を移せないことを検知した場合に、用紙が第1エリアに排出されると、第1エリアに用紙が残っていると判断することを含む。
【0016】
ある局面において、第1エリアに用紙が残っているか否かを判断するステップは、センサーからの出力に基づいて、第1エリアに用紙が残っているか否かを判断することを含む。
【0017】
ある局面において、制御方法は、第2エリアに収容されていた用紙が取り出された後に、第1エリアから第2エリアに用紙が移されて、第2エリアに収容された用紙が取り出されると、通知を終了するステップをさらに含む。
【0018】
ある局面において、第2エリアは、画像形成システムから引き抜き可能である。第2エリアに収容されている用紙を取り出すことは、第2エリアを画像形成システムから引き抜いて用紙を取り出すことを含む。
【0019】
ある局面において、第2エリアは、第1エリアから移されて積層される用紙を受け止める支持部を含む。第2エリアに収容されている用紙を取り出すことは、支持部によって受け止められている用紙を取り出すことを含む。
【0020】
ある局面において、第1エリアに用紙が残っているか否かを判断するステップは、画像形成を指示する第1ジョブおよび第2ジョブを実行した後に、第1エリアから第2エリアに用紙を移せないことを検知した場合に、第1ジョブの実行により排出された用紙および第2ジョブの実行により排出された用紙が第1エリアに残っていると判断することを含む。
【0021】
ある局面において、画像形成を指示するために画像形成システムに与えられるジョブには、当該指示を与えたユーザーを識別するためのユーザー識別情報が関連付けられている。
【0022】
通知するステップは、第1エリアに収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報と、第2エリアに収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報とが同じであることに基づいて、用紙の取り忘れを通知することを含む。
【0023】
さらに他の実施の形態に従うと、上記のいずれかに記載の制御方法をコンピューターに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0024】
ある実施の形態によれば、画像形成システムから記録媒体の取り忘れを防止することができる。
【0025】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】画像形成システム100によって実現される機能の概要を表わすブロック図である。
【
図2】画像形成システム100のハードウェア構成の外観を表わす図である。
【
図3】ある実施の形態に従う後処理装置230の構成の概略を表わすブロック図である。
【
図4】ある実施の形態に従う画像形成装置220のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図5】画像形成装置220に対するジョブAの後処理が完了した場合における用紙の状態を表わす図である。
【
図6】ある実施の形態に従う排紙装置240の概要を表わすブロック図である。
【
図7】画像形成装置220のCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図8】印刷物の取り忘れが警告された後に当該警告を終了する場合にCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図9】ある実施の形態に従って操作パネル90に表示される警告メッセージの一例を表わす図である。
【
図10】ある実施の形態に従って操作パネル90に表示される警告メッセージの一例を表わす図である。
【
図11】ある実施の形態に従って操作パネル90に表示される警告メッセージの一例を表わす図である。
【
図12】他の局面に従って用紙の取り忘れを警告する画像形成システム1200の構成の外観を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0028】
ある局面に従う画像形成システムにおいて、カードトレイへ満タンに排紙され、一時バッファに一部断裁したカードその他の印刷物が残った状態でジョブが終了すると、ユーザーは、一時バッファに印刷物が残っていること気づかない場合があった。
【0029】
例えば、カードサイズに断裁されたカードをそのままカードトレイへ排紙すると、カードトレイまでの距離が長く、排紙の精度が悪くなり、断裁したカードがバラバラに排紙されることがある。そこで、断裁したカードを一時バッファに一旦排紙して、ある程度の枚数のカードが溜まったら、カードトレイい一度に排紙することで排紙の精度を上げる仕組みが考えられる。
【0030】
カードトレイが一杯になるより多く排紙されるジョブが実行された場合、ユーザーがすべての印刷物を取得するためには、一杯になったカードトレイを引き抜き、印刷物としてのカードを取り出してカードトレイを空にする。その後、ユーザーは、カードトレイを差し込み、一時バッファに残っているカードトレイを再度排紙する必要がある。
【0031】
しかしながら、一時バッファに残っていることに気づかない状態でカードトレイが差し込まれると、一時バッファに収容されている同一ジョブに基づく印刷物がカードトレイに排紙される。この状態で、別のユーザーの指示に基づくジョブが実行されると、実行結果としての印刷物が一時バッファからカードトレイに排出される。その結果、各ジョブの印刷物が混ざることにより、各ジョブの印刷物が同一のユーザーによって持ち出されてしまい、印刷事故につながる可能性がある。
【0032】
そこで、以下に説明するように、ある実施の形態に従う画像形成システム100は、複数の収容部を備え、内部のトレイ(一時バッファ、バッファトレイ等ともいう。)画像形成の成果物である記録媒体が収容部に残っていることを通知できるので、印刷事故の発生を抑制し得る。
【0033】
<画像形成システムの構成>
まず、
図1を参照して、画像形成システム100の構成について説明する。
図1は、画像形成システム100によって実現される機能の概要を表わすブロック図である。画像形成システム100は、画像形成部110と、後処理部120と、制御部130と、記憶部140と、排紙部150と、通知部170とを備える。排紙部150は、第1載置部151と、第2載置部152とを含む。なお、別の局面の構成として、排紙部150は、後処理部120に含まれていてもよい。
【0034】
画像形成部110は、画像形成システム100に与えられたデータあるいは画像形成システム100によって取得されたデータを用いて用紙その他の記録媒体に画像を形成する。画像が形成された記録媒体(例えば印刷物)は、後処理部120に搬送される。
【0035】
後処理部120は、画像形成部110から排出される用紙に対して1つまたは複数の後処理を実行する。後処理は、例えば、用紙の断裁、パンチ穴の形成、紙折り等を含む。後処理部120は、後処理の内容に応じた機器により実現される。例えば、後処理が用紙の断裁である場合には、後処理部120は、断裁装置として実現される。後処理部120として、1つまたは複数の後処理の各々を実現する機構が画像形成システム100に装着可能である。後処理部120は、所定の後処理を完了すると、用紙を排紙部150に搬送する。
【0036】
制御部130は、画像形成システム100の動作を制御する。ある局面において、制御部130は、画像形成システム100に入力された命令に基づいて、当該命令に応じた処理を画像形成部110に実行させる。
【0037】
記憶部140は、画像形成システム100の製造者によって予め準備されたデータおよびプログラムを保持する。ある局面において、記憶部140は、画像形成システム100のユーザーによって入力されたデータと、画像形成システム100によって生成されたデータとをさらに保持し得る。記憶部140は、ハードディスク装置、フラッシュメモリー、RAM(Random Access Memory)、着脱式の記憶装置その他の記憶装置によって実現される。
【0038】
排紙部150において、第1載置部151は、後処理部120から排出される用紙を受ける。第2載置部152は、第1載置部151から排出される用紙を受ける。ある局面において、第1載置部151は、用紙が第2載置部152に移送されるまで、バッファとして一時的に当該用紙を保持する。第2載置部152は、ユーザーによって取り出されるまで用紙を保持する。第1載置部151は、画像形成システム100の内部に設けられて記録媒体を収容する。例えば、第1載置部151は、内蔵のトレイとして実現される。第2載置部152は、画像形成システム100から記録媒体を取り出し可能なように構成される。例えば、第2載置部152は引出し可能なトレイとして実現される。
【0039】
ある局面において、第1載置部151は、後処理部120から排紙される用紙を受けるトレイ(図示しない)と、当該トレイを上下に昇降するアクチュエーター(図示しない)とを含む。トレイが下に降りると、用紙は第2載置部152に搬送される。第2載置部152は、第1載置部151から排出される用紙を受けるトレイ(図示しない)と、当該トレイを前後に駆動するアクチュエーター(図示しない)と、当該トレイを上下に昇降するアクチュエーター(図示しない)とを含む。
【0040】
通知部170は、制御部130から出力される信号に基づいて、画像形成システム100の状態を通知する。通知部170は、モニター、LED(Light Emitting Diode)又はライト、回転灯その他の発光装置、スピーカー、外部と通信する通信インターフェイス等によって実現される。ある局面において、通知部170は、第1載置部151または第1載置部152に用紙が残っていることを通知する。
【0041】
図2を参照して、画像形成システム100の構成についてさらに説明する。
図2は、画像形成システム100のハードウェア構成の外観を表わす図である。画像形成システム100は、給紙装置210と、画像形成装置220と、後処理装置230と、排紙装置240とを備える。
【0042】
給紙装置210は、画像形成装置220に用紙を供給する。画像形成装置220は、給紙装置210あるいはオートフィーダーから搬送される用紙に画像を形成する。画像形成装置220は、画像が形成された用紙を後処理装置230に搬送する。後処理装置230は、例えば断裁装置である。この場合、断裁装置は、装着されたカッター(図示しない)を用いて、予め定められたサイズに用紙をカットする。
【0043】
排紙装置240は、後処理装置230から排出される用紙を一時的に保持するバッファトレイと、1つまたは複数の排紙トレイとを含む。バッファトレイは、第1載置部151に相当する。排紙トレイは、第2載置部152に相当する。バッファトレイが用紙で一杯になると、用紙はいずれかの排紙トレイに搬送される。ある局面において、バッファトレイが用紙で一杯になるまで、バッファトレイは排紙トレイに用紙を搬送しない。他の局面において、画像形成システム100が用紙の搬送指示を受け付けた場合に、バッファトレイは排紙トレイに用紙を搬送してもよい。
【0044】
<後処理装置の構成>
図3を参照して、後処理装置230の構成について説明する。
図3は、ある実施の形態に従う後処理装置230の構成の概略を表わすブロック図である。一例として、後処理装置230は、A3サイズの用紙に形成された名刺原稿を名刺サイズに断裁する。後処理装置230は、断裁ユニット310と、スロット320,330,340と、断裁屑箱350と、一時バッファ360と、カードトレイ370とを備える。
【0045】
断裁ユニット310は、ある局面において、ラインセンサーと、カッターユニットとを備える。ラインセンサーは用紙の位置を検知し、カッターユニットは検知された位置に移動する。カッターユニットはその位置で用紙を断裁する。例えば、カッターユニットは、A3サイズの用紙に印刷された名刺原稿を、名刺サイズとして設定された大きさの用紙に断裁する。
【0046】
スロット320,330,340は、後処理工程として指定された他の処理を実現するためのユニットの装着を受け付ける。他の処理は、例えば、筋入れ、中とじ、平とじ、パンチ穴の形成等を含み得る。
【0047】
断裁屑箱350は、断裁ユニット310から排出される断裁屑を収容する。
一時バッファ360は、断裁ユニット310から搬送される用紙を一時的に収容する。一時バッファ360が用紙で一杯になると、用紙は一時バッファ360からカードトレイ370に搬送される。ユーザーは、カードトレイ370を引き出すことにより、印刷物(例えば名刺、案内状、年賀状等)を取り出すことができる。
【0048】
<画像形成装置の構成>
図4を参照して、画像形成装置220の構成について説明する。
図4は、ある実施の形態に従う画像形成装置220のハードウェア構成を表わすブロック図である。画像形成装置220は、主たる構成要素として、制御装置10と、画像読取装置20と、固定記憶装置30と、短距離無線I/F(Interface)40と、画像出力装置50と、プリンターコントローラー60と、ネットワークI/F70と、無線I/F80と、操作パネル90とを備える。各構成要素は、それぞれ、バスに接続されている。
【0049】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、SRAM(Static Random Access Memory)13と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)14と、時計IC(Integrated Circuit)15と、パネル制御部16と、OCR(Optical Code Reader)制御部17とを含む。
【0050】
制御装置10は、画像形成装置220を制御する。より詳しくは、CPU11は、ROM12、SRAM13、NVRAM14等に格納されている命令を実行し、画像形成装置220に所定の動作を実現させる。ROM12は、画像形成装置220を制御するために予め準備されたデータおよび命令を保持している。
【0051】
SRAM13は、キャッシュメモリーとして、CPU11に頻繁にアクセスされるデータを保持する。NVRAM14は、フラッシュメモリーを含み、画像形成装置220において電源が供給されていない場合もデータを保持する。
【0052】
時計IC15は、画像形成装置220における時間を計測する。パネル制御部16は、操作パネル90に対するタッチ操作を検出し、タッチ操作に応じた信号をCPU11に出力する。OCR制御部17は、画像読取装置20に読み取られた原稿の画像データからテキスト部分を認識し、そのテキスト部分を文字列に変換する。
【0053】
画像読取装置20は、スキャナーを含む。画像読取装置20は、原稿トレイに載置された原稿を走査することにより当該原稿の画像データを取得する。
【0054】
固定記憶装置30は、例えばハードディスクまたはフラッシュメモリーなどの不揮発記憶装置により実現され、画像形成装置220で生成されたデータあるいは画像形成装置220が受信したデータを不揮発的に保持する。
【0055】
画像出力装置50は、コピー機能あるいは印刷機能を実現する。画像形成装置220の動作モードがコピーモードである場合、画像出力装置50は、画像読取装置20によって読み取られた画像を用紙その他の印刷媒体に形成する。他の局面において、画像形成装置220の動作モードがプリントモードである場合、画像出力装置50は、ネットワークを介して接続されている他の情報処理装置から画像形成装置220に入力されたデータあるいは画像形成装置220に格納されているデータに基づいて、画像を記録媒体に形成する。
【0056】
プリンターコントローラー60は、制御装置10から出力される命令に基づき、プリンターとしての画像出力装置50の動作を制御する。
【0057】
ネットワークI/F70は、画像形成装置220が接続されるLAN(Local Area Network)その他のネットワークを介して、他の情報通信装置(例えば、画像形成装置220をプリンターとして使用するコンピューター装置)との通信を制御する。
【0058】
無線I/F80は、WiFi(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の無線通信規格により他の装置との通信を実現する。なお、無線通信規格は、上記の規格に限られない。
【0059】
操作パネル90は、物理キー、タッチパネル等により実現される。操作パネル90は、画像形成装置220に対する命令の入力を受け付けて、その命令に応じた信号を制御装置10に送信する。他の局面において、操作パネル90は、画像形成システム100の状態をモニターとして表示する。操作パネル90は、有機EL(Electro Luminescence)モニター、液晶モニター等の表示パネルを含む。
【0060】
<排紙部の構成>
図5を参照して、排紙部150における用紙の搬送について説明する。
図5は、画像形成装置220に対するジョブAの後処理が完了した場合における用紙の状態を表わす図である。ある局面において、排紙部150は、一時バッファ360と、カードトレイ370とを含む。一時バッファ360は、第1載置部151として機能する。カードトレイ370は、第2載置部152として機能する。
【0061】
ジョブAとして断裁ユニット310から搬送される用紙は、まず、一時バッファ360に蓄積される。一時バッファ360が用紙で一杯になると、その用紙はカードトレイ370に移送される(用紙510)。
【0062】
一時バッファ360が用紙で一杯になったときにカードトレイ370に用紙520が残っていると、カードトレイ370から用紙を取り出すことを要請するメッセージが、操作パネル90に表示され、あるいは、音声で出力され得る。他の局面において、画像形成システム100に印刷指示を送出した情報通信装置が、上記メッセージを出力する信号を受信し、情報通信装置のモニターが上記メッセージを表示してもよい。
【0063】
図6を参照して、排紙装置240の構成について説明する。
図6は、ある実施の形態に従う排紙装置240の概要を表わすブロック図である。排紙装置240は、第1トレイ610と、アクチュエーター611と、第2トレイ620と、アクチュエーター621と、シャッター630とを含む。
【0064】
第1トレイ610は、一時バッファ360として、後処理装置230から搬送される用紙を収容する。アクチュエーター611は、第1トレイ610を上昇または下降させる。ある局面において、第1トレイ610が用紙で一杯になると、アクチュエーター611は下降する。第1トレイ610が空になると、アクチュエーター611は第1トレイ610を上昇させる。第1トレイ610が用紙で一杯になったか否かの判断は、機械式センサー電気式センサー、または、光センサーのいずれかの出力に基づいて行なわれる。
【0065】
第2トレイ620は、例えば、カードトレイ370である。第1トレイ610に収容されていた用紙は、第2トレイ620に移送される。シャッター630のロック(図示しない)が解除されて、シャッター630が開かれると、アクチュエーター621は、排紙装置240の筐体の内部から外部に第2トレイ620を送り出す。ユーザーは、第2トレイ620から印刷物(例えば名刺)を取り出すことができる。
【0066】
<制御構造>
図7および
図8を参照して、画像形成システム100の制御構造について説明する。
図7は、画像形成装置220のCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。この場合、CPU11は、ROM12またはNV-RAM14に格納されたプログラムに含まれる各命令を実行する。当該プログラムは、画像形成システム100の製造者によって予めROM12またはNV-RAM14等の記憶部140に格納されている。他の局面において、当該プログラムは、後処理装置230を提供する事業者によってオプションとして画像形成システム100にインストールされ得る。この場合、当該プログラムは、インターネットその他の通信回線を介して、あるいは、ネットワークI/F70に接続されたコンピュータ端末からインストールされ得る。
【0067】
図7を参照して、ステップS710にて、CPU11は、用紙の印刷中に、印刷が済んだ用紙をカードトレイに排出する指令を出力する。より具体的には、ある局面において、画像形成装置220が印刷を完了すると、用紙は、画像形成装置220から後処理装置230に送られる。後処理装置230は、所定の後処理(例えば、断裁)を行なった後、まず、一時バッファ360に用紙を搬送する。一時バッファ360が用紙で一杯になると、あるいは、最後の印刷が完了したことにより当該ジョブが終了したことが検知されると、用紙は、一時バッファ360からカードトレイ370に搬送される。
【0068】
ステップS720にて、CPU11は、カードトレイへの排紙が不可であるか否かを判断する。この判断は、例えば、カードトレイ370に収容された用紙が残っているか否かに基づいて行なわれる。CPU11は、排紙が不可であると判断すると(ステップS720にてYES)、制御をステップS730に切り替える。そうでない場合には(ステップS720にてNO)、CPU11は、処理を終了する。
【0069】
ステップS730にて、CPU11は、印刷を継続するか否かを判断する。この判断は、ジョブで指定された枚数の印刷が完了しているか否かに基づいて行なわれる。CPU11は、印刷を継続すると判断すると(ステップS730にてYES)、処理をステップS740に切り替える。そうでない場合には(ステップS730にてNO)、CPU11は、処理を終了する。
【0070】
ステップS740にて、CPU11は、一時バッファに収容されている用紙と、カードトレイに収容されている用紙とが同一のジョブにより出力された用紙であるか否かを判断する。この判断は、例えば、当該ジョブで指定された枚数と、一時バッファ360に排出された枚数と、カードトレイ370に収容されている枚数と、カードトレイ370から取り出された枚数とに基づいて行なわれる。例えば、ジョブで指定された印刷枚数が1,000枚である場合において、一時バッファ360に収容されている枚数が300枚であり、カードトレイ370に収容されている枚数が600枚であり、カードトレイ370から取り出された枚数が0枚である場合、CPU11は、当該ジョブが完了していないと判定する。したがって、この場合は、CPU11は、一時バッファ360に収容されている用紙と、カードトレイ370に収容されている用紙とが、同一のジョブに基づく用紙であると判断する。CPU11は、これらの用紙が同一のジョブに基づく用紙であると判断すると(ステップS740にてYES)、制御をステップS750に切り替える。そうでない場合には(ステップS740にてNO)、CPUは処理を終了する。
【0071】
ステップS750にて、CPU11は、警告を表示する。例えば、CPU11は、その旨を表わすメッセージを操作パネル90に表示し、あるいは、画像形成システム100に対してジョブの指令を送信した情報処理装置に当該メッセージを送信する。
【0072】
このようにして、ある実施の形態に従うと、画像形成装置220は、一時バッファ360に同一ジョブの印刷物が残っている場合には、そのことを通知するので、当該ジョブに対応する印刷指示を与えたユーザーによる印刷物の取り忘れが防止され得る。
【0073】
なお、他の局面において、複数のプロセッサーが全体として以下の処理を実行してもよい。さらに他の局面において、1または複数の回路素子が各処理を実行してもよい。
【0074】
図8は、印刷物の取り忘れが警告された後に当該警告を終了する場合にCPU11が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0075】
ステップS810にて、CPU11は、カードトレイ370の引き抜きを検知する。ステップS820にて、CPU11は、引き抜かれたカードトレイ370が挿入されたか否かを判断する。この判断は、例えば、カードトレイ370の装着を受ける筐体に設けられたセンサー(図示しない)を用いて行なわれる。カードトレイ370が筐体の所定の位置に挿入されている場合、センサーはカードトレイ370が挿入されたことを示す信号を出力する。この信号は、アナログデジタル変換された後に、CPU11に入力される。CPU11はカードトレイ370が挿入されたと判断すると(ステップS820にてYES)、制御をステップS830に切り替える。そうでない場合には(ステップS820にてNO)、CPUは、ステップS820の処理を再度繰り返す。
【0076】
ステップS830にて、CPU11は、アクチュエーターを駆動して、一時バッファ360に収容されている用紙をカードトレイ370に排紙する。
【0077】
ステップS840にて、CPU11は、カードトレイ370が再び引き抜かれたか否かを判断する。この判断は、センサーから出力される信号に基づいて行なわれる。例えば、筐体におけるカードトレイ370の装着の状態を検知するセンサーが、カードトレイ370の状態を検知していない場合には、そのことを示す信号がCPU11に入力される。この場合は、CPU11は、カードトレイ370が筐体から引き抜かれたと判断し得る。このとき、カードトレイ370を引き出したユーザーは、残っていた用紙を取り出すことができる。CPU11は、カードトレイ370が再び引き抜かれたと判断すると(ステップS840にてYES)、制御をステップS850に切り替える。そうでない場合には(ステップS840にてNO)、CPU11は、ステップS840の処理を再度繰り返す。ステップS850にて、CPU11は、警告表示を消す。
【0078】
このようにして、一時バッファ360に用紙が残っていた場合においてカードトレイ370が空になると、画像形成システム100は、一時バッファ360に残っている用紙をカードトレイ370に移す。ユーザーはカードトレイ370を再度引き出して、残りの用紙を取り出すことができる。画像形成システム100は、一時バッファ360およびカードトレイ370のいずれもが空であることを検知すると、警告表示を消す。このようにして、画像形成システム100で実行されたジョブで生成された印刷物の取り忘れが防止され得る。
【0079】
<警告の通知態様>
図9~
図11を参照して、警告の通知態様について説明する。
図9~
図11は、ある実施の形態に従って操作パネル90に表示される警告メッセージの一例を表わす図である。
【0080】
図9に示されるように、画像形成システム100は、一時バッファ360に用紙が残っていることを検知すると、そのことを通知するメッセージ910と、用紙の取り出しをユーザーに促すメッセージ920とを操作パネル90に表示する。当該用紙の出力のトリガーとなる印刷指示を与えたユーザーは、これらのメッセージを確認すると、一時バッファ360に印刷物が残っていることに気付き、取り出すことができる。
【0081】
他の局面において、同一のユーザーが複数の印刷指示を与える場合がある。この場合、各印刷指示は別個のジョブとして画像形成システム100に与えられ、ジョブ毎に画像形成処理(印刷)が実行される。画像形成システム100は、各ジョブ毎に後処理を実行し、一時バッファ360に後処理後の印刷物を排出する。一時バッファ360が当該印刷物で一杯になると、当該印刷物はカードトレイ370に移される。このような場合に、カードトレイ370に収容された用紙の最上面の印刷物と、最下面の印刷物とは異なる可能性がある。
【0082】
そこで、
図10に示されるように、他の局面において、画像形成システム100は、複数のジョブの各々に対応する印刷物が残っていることを通知し得る。例えば、操作パネル90は、複数のジョブがカードトレイ370に残っていることを通知するメッセージ1010を表示してもよい。ユーザーは、メッセージ1010を視認すると、カードトレイ370から用紙を取り出すときに、異なるジョブの印刷物が混在しないように注意し得る。
【0083】
さらに他の局面において、各ジョブにユーザー情報が関連付けられている場合がある。例えば、画像形成システム100に複数の情報通信装置が接続されている場合において、各情報通信装置のユーザーがそれぞれ別個に印刷を指示する場合があり得る。この場合、画像形成システム100は、ユーザー毎に用紙が一時バッファに残っていることを通知し得る。
【0084】
図11に示されるように、より具体的には、操作パネル90は、あるユーザー(Aさん)についてのジョブにより印刷された用紙が残っていることを通知するメッセージ1110と、用紙の取り出しをユーザーに促すメッセージ920とを表示し得る。ユーザーAは、メッセージ1110を視認すると、一時バッファ360に収容されている印刷物を排出するための操作を行なうことで、当該印刷物をカードトレイ370に移すことができる。これにより、一時バッファ360に収容されていた印刷物の取り忘れが防止され得る。
【0085】
図12を参照して、警告の他の態様について説明する。
図12は、他の局面に従って用紙の取り忘れを警告する画像形成システム1200の構成の外観を表わす図である。用紙の取り忘れの警告は、前述のようなメッセージに限られない。例えば、他の局面に従う画像形成システム1200は、メッセージではなく、光によって用紙の取り忘れを警告してもよい。これにより、画像形成システム1200の近傍にいないユーザーも、遠隔から、用紙の取り忘れを認識し易くなる。
【0086】
より具体的には、画像形成システム1200は、ライト1210をさらに備える。ライト1210は、例えば、パトランプのような警告灯等である。画像形成システム1200は、一時バッファ360に用紙が残っていること、複数のジョブに対応する用紙がカードトレイに残っていること、または、ユーザー情報が関連付けられたジョブに対応する用紙が一時バッファ360に残っていることを検知すると、ライト1210を点灯して、そのことを通知する。他の局面において、ライト1210は、回転点灯し得る。
【0087】
以上開示された技術的特徴は、以下のように要約され得る。
[構成1]画像形成システム100は、画像形成処理後に排出される用紙を収容するための第1載置部151と、第1載置部151から移される用紙を収容するための第2載置部152と、画像形成システム100の動作を制御するためのCPU11と、画像形成システム100の状態を通知するための通知部(例えば、操作パネル90、スピーカー、寝てとワークI/F70等)とを備える。CPU11は、第1載置部151に用紙が残っているか否かを判断し、第1載置部151に用紙が残っていると判断したことに基づいて、用紙の取り忘れを通知部170に通知させる。ある局面において、通知部170はスピーカーとして警告音または警告メッセージを出力する。他の局面において、通知部170はモニターとして警告メッセージを表示する。他の局面において、通知部170は、通信インターフェイスとして、警告音または警告メッセージを出力する信号を、画像形成システム100に対して命令を送信した情報処理装置に送信する。
【0088】
[構成2]上記の構成に加えて、ある局面において、CPU11は、画像形成を指示するジョブの実行中に、第2載置部152に用紙を移せないことを検知した場合に、用紙が第1載置部151に排出されると、第1載置部151に用紙が残っていると判断する。
【0089】
[構成3]上記の構成に加えて、ある局面において、画像形成システム100は、第1載置部151に用紙が収容されているか否かを検出するためのセンサーをさらに備える。センサーは、例えば、トグルスイッチのような機械式センサー、赤外線センサー等により実現される。第1載置部151に用紙が残っているか否かを判断することは、センサーからの出力に基づいて、第1載置部151に用紙が残っているか否かを判断することを含む。
【0090】
[構成4]上記の構成に加えて、CPU11は、第2載置部152に収容されていた用紙が取り出された後に、第1載置部151から第2載置部152に用紙が移されて、第2載置部152に収容された用紙が取り出されると、通知部170による通知を終了する。例えば、スピーカーによる警告音または警告メッセージの出力が終了し、モニターに表示されていた警告メッセージが非表示になる。
【0091】
[構成5]上記の構成に加えて、ある局面において、2載置部152は、画像形成システムから引き抜き可能である。第2載置部152に収容されている用紙を取り出すことは、第2載置部152を画像形成システムから引き抜いて用紙を取り出すことを含む。
【0092】
[構成6]上記の構成に加えて、ある局面において、第2載置部152は、第1載置部151から移されて積層される用紙を受け止める支持部を含む。支持部は、例えば櫛状、或いは柵状に成型された樹脂で構成される。第2載置部152に収容されている用紙を取り出すことは、支持部によって受け止められている用紙を取り出すことを含む。
【0093】
[構成7]上記の構成に加えて、ある局面において、CPU11は、画像形成を指示する第1ジョブおよび第2ジョブを実行した後に、第1載置部151から第2載置部152に用紙を移せないことを検知した場合に、第1ジョブの実行により排出された用紙および第2ジョブの実行により排出された用紙が第1載置部151に残っていると判断する。
【0094】
[構成8]上記の構成に加えて、ある局面において、画像形成を指示するために画像形成システムに与えられるジョブには、当該指示を与えたユーザーを識別するためのユーザー識別情報が関連付けられている。通知部170は、第1載置部151に収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報と、第2載置部152に収容されている用紙に対応するジョブに関連付けられたユーザー識別情報とが同じであることに基づいて、用紙の取り忘れを通知する。
【0095】
画像形成システム100は、印刷物が一時バッファ360に残った状態で、当該印刷物の取り忘れをユーザーに通知できるので、一時バッファ360に残った印刷物(例えば、名刺、案内状、クリスマスカードその他のカード)の取り忘れを防止することができる。これにより、印刷物を収容するための複数の収容部を備える画像形成システム100は、同一ジョブに基づく印刷物が2つの収容部(一時バッファとカードトレイ)に別れた場合でも、一時バッファに残っている印刷物の取り忘れを防止することができる。
【0096】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0097】
開示された技術は、複数の排紙トレイを備える装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 制御装置、12 ROM、13 S-RAM、14 NV-RAM、16 パネル制御部、17 OCR制御部、20 画像読取装置、30 固定記憶装置、40 短距離無線I/F、50 画像出力装置、60 プリンターコントローラー、70 ネットワークI/F、80 無線I/F、90 操作パネル、100,1200 画像形成システム、110 画像形成部、120 後処理部、130 制御部、140 記憶部、150 排紙部、151 第1載置部、152 第2載置部、170 通知部、210 給紙装置、220 画像形成装置、230 後処理装置、240 排紙装置、310 断裁ユニット、320,330,340 スロット、350 断裁屑箱、360 一時バッファ、370 カードトレイ、510,520 用紙、610 第1トレイ、611,621 アクチュエーター、620 第2トレイ、630 シャッター、910,920,1010,1110 メッセージ、1210 ライト。