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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、シート伸縮量取得方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240214BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240214BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240214BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240214BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240214BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J29/393 103
B41J29/38 302
B41J29/00 B
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
G03G21/00 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020087202
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2020196258
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2019100450
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-165288(JP,A)
【文献】特開2012-108467(JP,A)
【文献】特開2014-144608(JP,A)
【文献】特表2009-536353(JP,A)
【文献】特開2005-215157(JP,A)
【文献】特開2017-151376(JP,A)
【文献】特開2018-124455(JP,A)
【文献】特開2019-171722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/38
B41J 29/00
G03G 15/01
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにカラー画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像形成位置を経由する前記シートの搬送経路における当該画像形成位置よりも前記シートの搬送方向の下流側において前記搬送方向に直交する幅方向に離間して設けられ、前記シートの色を検出する一対の分光測色計と、
前記画像形成部を用いて、前記シートにおける印刷領域に画像データに基づく画像を形成するとともに、当該シートにおける前記印刷領域外であって前記分光測色計ごとに対応する当該分光測色計による検出位置を含む前記幅方向の特定範囲に前記幅方向に連続し互いに色が異なる複数の単位画像を含む基準画像を形成する第1印刷処理部と、
前記第1印刷処理部による画像形成時の前記シートにおける前記分光測色計各々に対応する前記検出位置に形成される色と前記分光測色計各々によって検出される前記基準画像の色とに基づいて、前記第1印刷処理部により画像が形成されたことによる前記シートの前記幅方向における伸縮量を取得する取得処理部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記取得処理部は、前記シートの前記幅方向における伸縮量とともに当該シートの前記幅方向における変位量を取得する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分光測色計各々は、前記シートの前記幅方向における前記印刷領域の外側に対応する位置に設けられる、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1印刷処理部は、前記シートにおける前記分光測色計ごとに対応しており前記搬送方向に離間した一対の前記特定範囲各々に前記基準画像を形成し、
前記取得処理部は、前記第1印刷処理部による画像形成時の前記シートにおける前記分光測色計各々に対応する一対の前記検出位置各々に形成される色と前記分光測色計各々によって検出される一対の前記基準画像各々の色とに基づいて、前記第1印刷処理部により画像が形成されたことによる前記シートの前記搬送方向及び前記幅方向のそれぞれにおける伸縮量を取得する、
請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一対の分光測色計は、前記幅方向に移動可能に設けられる、
請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一対の分光測色計は、前記画像形成位置から再度前記画像形成位置に至る前記画像形成部によって表面に画像が形成された前記シートの移動経路上に設けられ、
前記第1印刷処理部は、前記画像形成部を用いて、前記シートの両面に形成される一組の画像データのうち第1画像データに基づく画像を前記シートの表面に形成するとともに当該シートの表面に前記基準画像を形成し、
前記画像形成装置は、
前記取得処理部による取得結果に基づいて、前記一組の画像データのうち第2画像データを前記幅方向に伸縮させる補正処理部と、
前記画像形成部を用いて、前記補正処理部による補正後の前記第2画像データに基づく画像を前記シートの裏面に形成する第2印刷処理部と、
を備える請求項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1印刷処理部は、前記シートにおける前記印刷領域に予め定められた検査用画像データに基づく画像を形成するとともに、当該シートにおける前記分光測色計ごとに対応する前記特定範囲に前記基準画像を形成し、
前記画像形成装置は、
前記シートの両面に画像データに基づく画像を形成する両面印刷処理が実行される場合に、前記取得処理部による取得結果に基づいて当該両面印刷処理で前記シートのいずれか一方の面に印刷される画像データを前記幅方向に伸縮させる補正処理部を備える、
請求項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
いずれか一方又は両方の前記分光測色計によって検出される前記基準画像の色に基づいて、前記画像形成部によって形成される画像の色を調整する調整処理部を更に備える、
請求項1~7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1印刷処理部は、前記シートにおける前記分光測色計ごとに対応する前記特定範囲を含む検査範囲に、前記搬送方向及び前記幅方向の両方向に列をなす複数の前記単位画像で構成されており前記搬送方向に沿った列各々が互いに色が異なる複数の前記単位画像で構成されており前記基準画像を含む検査用画像を形成し、
前記調整処理部は、いずれか一方又は両方の前記分光測色計によって検出される複数の前記単位画像に対応する複数の色に基づいて、前記画像形成部によって形成される画像の色を調整する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1印刷処理部は、前記シートにおける前記基準画像に含まれる前記単位画像各々の形成位置に、前記搬送方向に連続し互いに色が異なる複数の前記単位画像を含む列画像を形成し、
前記調整処理部は、いずれか一方又は両方の前記分光測色計によって前記列画像に含まれる複数の前記単位画像から検出される複数の色に基づいて、前記画像形成部によって形成される画像の色を調整する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1印刷処理部は、予め定められた複数の基準濃度のうちのいずれかで複数の前記列画像を形成し、
前記画像形成装置は、前記第1印刷処理部によって前記シートに画像が形成される毎に、前記第1印刷処理部によって形成される複数の前記列画像の濃度を複数の前記基準濃度の間で順次切り替える濃度切替部を備え、
前記調整処理部は、いずれか一方又は両方の前記分光測色計によって前記基準濃度ごとの複数の色が検出された場合に、当該基準濃度ごとの複数の色に基づいて前記画像形成部によって形成される画像の色を調整する、
請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シートにカラー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像形成位置を経由する前記シートの搬送経路における当該画像形成位置よりも前記シートの搬送方向の下流側において前記搬送方向に直交する幅方向に離間して設けられ、前記シートの色を検出する一対の分光測色計と、を備える画像形成装置で実行されるシート伸縮量取得方法であって、
前記画像形成部を用いて、前記シートにおける印刷領域に画像データに基づく画像を形成するとともに、当該シートにおける前記印刷領域外であって前記分光測色計ごとに対応する当該分光測色計による検出位置を含む前記幅方向の特定範囲に前記幅方向に連続し互いに色が異なる複数の単位画像を含む基準画像を形成することと、
画像形成時の前記シートにおける前記分光測色計各々に対応する前記検出位置に形成される色と前記分光測色計各々によって検出される前記基準画像の色とに基づいて、画像が形成されたことによる前記シートの前記幅方向における伸縮量を取得することと、
を含むシート伸縮量取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置で実行されるシート伸縮量取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像データに基づく画像を形成可能なプリンターのような画像形成装置が知られている。また、シートの搬送経路上で画像形成後のシートから画像データを読み取り可能なラインセンサーを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の画像形成装置では、前記ラインセンサーによって読み取られる画像データに基づいて、画像が形成されたことによるシートの伸縮量が取得されることがある。例えば、この取得結果は、シートの両面に形成される画像の見当合わせに用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-104544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、画像形成装置において画像が形成されたことによるシートの伸縮量を取得する場合には、当該画像形成装置に前記ラインセンサーを設ける必要があった。
【0005】
本発明の目的は、ラインセンサーを設けることなく、画像が形成されたことによるシートの伸縮量を取得可能な画像形成装置、及びシート伸縮量取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、画像形成部と、一対の分光測色計と、第1印刷処理部と、取得処理部とを備える。前記画像形成部は、シートにカラー画像を形成する。前記一対の分光測色計は、前記画像形成部による画像形成位置を経由する前記シートの搬送経路における当該画像形成位置よりも前記シートの搬送方向の下流側において前記搬送方向に直交する幅方向に離間して設けられ、前記シートの色を検出する。前記第1印刷処理部は、前記画像形成部を用いて、前記シートにおける印刷領域に画像データに基づく画像を形成するとともに、当該シートにおける前記印刷領域外であって前記分光測色計ごとに対応する当該分光測色計による検出位置を含む前記幅方向の特定範囲に前記幅方向に連続し互いに色が異なる複数の単位画像を含む基準画像を形成する。前記取得処理部は、前記第1印刷処理部による画像形成時の前記シートにおける前記分光測色計各々に対応する前記検出位置に形成される色と前記分光測色計各々によって検出される前記基準画像の色とに基づいて、前記第1印刷処理部により画像が形成されたことによる前記シートの前記幅方向における伸縮量を取得する。
【0007】
本発明の他の局面に係るシート伸縮量取得方法は、シートにカラー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部による画像形成位置を経由する前記シートの搬送経路における当該画像形成位置よりも前記シートの搬送方向の下流側において前記搬送方向に直交する幅方向に離間して設けられ、前記シートの色を検出する一対の分光測色計と、を備える画像形成装置で実行され、前記画像形成部を用いて、前記シートにおける印刷領域に画像データに基づく画像を形成するとともに、当該シートにおける前記印刷領域外であって前記分光測色計ごとに対応する当該分光測色計による検出位置を含む前記幅方向の特定範囲に前記幅方向に連続し互いに色が異なる複数の単位画像を含む基準画像を形成することと、画像形成時の前記シートにおける前記分光測色計各々に対応する前記検出位置に形成される色と前記分光測色計各々によって検出される前記基準画像の色とに基づいて、画像が形成されたことによる前記シートの前記幅方向における伸縮量を取得することと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ラインセンサーを設けることなく、画像が形成されたことによるシートの伸縮量を取得可能な画像形成装置、及びシート伸縮量取得方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一対の分光測色計の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置で画像が印刷されるシートを示す図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置でシートに印刷される検査用画像を示す図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置で実行される第1印刷制御処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置で実行される第2印刷制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
[画像形成装置10の構成]
まず、図1図4を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置10の構成を示す断面図である。また、図2は画像形成部3の構成を示す平面図である。また、図4は分光測色計51A、51Bの構成を示す平面図である。なお、図1では、シート搬送路R1、R2、R3が二点鎖線によって示されている。
【0012】
画像形成装置10は、インクジェット方式でシートX10(図1参照)に画像を形成可能なプリンターである。なお、本発明は、インクジェット方式で画像を形成可能なファクシミリ装置、コピー機、及び複合機などの画像形成装置に適用されてもよい。また、本発明は、電子写真方式の画像形成装置に適用されてもよい。
【0013】
図1及び図3に示されるように、画像形成装置10は、筐体1、シート搬送部2、画像形成部3、色検出部5、操作表示部6、記憶部7、及び制御部8を備える。
【0014】
筐体1は、画像形成装置10の各構成要素を収容する。筐体1には、給紙カセット11が着脱可能に設けられる。給紙カセット11には、画像が形成されるシートX10が収容される。例えば、シートX10は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシート材料である。筐体1の外側面には、排紙トレイ12が設けられる。排紙トレイ12には、画像形成部3によって画像が形成されたシートX10が排出される。
【0015】
筐体1の内部には、シート搬送部2によって搬送されるシートX10を案内するシート搬送路R1、R2、R3が設けられる。シート搬送路R1は、給紙カセット11から画像形成部3による画像形成位置P11~P14を経由して排紙トレイ12へ至るシートX10の移動通路である。シート搬送路R2は、画像形成部3によって画像が形成されたシートX10の反転に用いられる。シート搬送路R3は、シート搬送路R2を用いて反転されたシートX10の画像形成部3への再搬送に用いられる。
【0016】
なお、画像形成位置P11は、シート搬送路R1における画像形成部3のラインヘッド31の配置位置である。また、画像形成位置P12は、シート搬送路R1における画像形成部3のラインヘッド32の配置位置である。また、画像形成位置P13は、シート搬送路R1における画像形成部3のラインヘッド33の配置位置である。また、画像形成位置P14は、シート搬送路R1における画像形成部3のラインヘッド34の配置位置である。
【0017】
シート搬送部2は、筐体1の内部においてシートX10を搬送する。図1に示されるように、シート搬送部2は、ピックアップローラー21、第1搬送ローラー対22、レジストローラー対23、第2搬送ローラー対24、第3搬送ローラー対25、及び搬送ユニット4を備える。
【0018】
ピックアップローラー21は、給紙カセット11からシートX10を1枚ずつ取り出して、当該シートX10をシート搬送路R1に送り出す。第1搬送ローラー対22は、シート搬送路R1に設けられ、シートX10を搬送方向D1(図1参照)へ搬送する。レジストローラー対23は、予め定められたタイミングでシートX10を画像形成部3による画像形成位置P11~P14に搬送する。
【0019】
第2搬送ローラー対24は、シート搬送路R2に設けられ、シートX10を搬送方向D2(図1参照)へ搬送し、その後搬送方向D2とは逆方向へ搬送して、当該シートX10をシート搬送路R3に送り出す。第3搬送ローラー対25は、シート搬送路R3に設けられ、シートX10を搬送方向D3(図1参照)へ搬送する。
【0020】
画像形成部3は、インクを用いて、給紙カセット11から供給されるシートX10に画像データに基づくカラー画像を形成する。図1に示されるように、画像形成部3は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応するラインヘッド31、32、33、34と、これらを支持するヘッドフレーム35とを備える。ヘッドフレーム35は筐体1によって支持されている。なお、画像形成部3の備えるラインヘッドの数は、4つに限られなくてよい。
【0021】
ラインヘッド31~34は、所謂ラインヘッド型の記録ヘッドである。即ち、画像形成装置10は、所謂ラインヘッド型の画像形成装置である。図2に示されるように、ラインヘッド31~34は、搬送方向D1に直交する幅方向D4に長尺である。具体的に、ラインヘッド31~34各々は、幅方向D4において、給紙カセット11に収容可能なシートX10のうち最大サイズのシートX10の幅に対応する長さを有する。ラインヘッド31~34各々は、搬送方向D1に沿って予め定められた間隔を隔てて並ぶ位置関係で、ヘッドフレーム35に固定されている。
【0022】
図2に示されるように、ラインヘッド31~34各々は、複数の記録ヘッド30を有する。記録ヘッド30は、搬送ユニット4によって搬送されるシートX10へ向けてインクを吐出する。具体的に、記録ヘッド30における搬送ベルト41(図1参照)との対向面には、開口を有するインク吐出用の複数のノズル30A(図2参照)が設けられている。また、記録ヘッド30は、複数のノズル30Aに対応する複数の加圧室(不図示)、当該複数の加圧室の各々に設けられる圧電素子(不図示)、及び当該複数の加圧室の各々と連通する連通流路(不図示)を備える。前記圧電素子は、予め定められた駆動電圧の印加に応じて当該圧電素子が設けられた前記加圧室に対応するノズル30Aからインクを吐出させる。具体的に、前記圧電素子は、前記加圧室に収容されているインクを加圧することで、ノズル30Aからインクを吐出させる。
【0023】
本実施形態では、ラインヘッド31は、幅方向D4に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。また、他のラインヘッド32~34各々も、ラインヘッド31と同様に、幅方向D4に沿って3つの記録ヘッド30が千鳥状に配列されている。ラインヘッド31~34各々には、当該ラインヘッドに対応する色のインクを収容する不図示のインクコンテナからインクが供給される。なお、図2には、画像形成部3を図1の上側から見た状態が示されている。
【0024】
搬送ユニット4は、画像形成位置P11~P14でシートX10を搬送する。図1に示されるように、搬送ユニット4は、ラインヘッド31~34の下側に配置される。図1及び図3に示されるように、搬送ユニット4は、搬送ベルト41、及び張架ローラー42~45を備える。
【0025】
搬送ベルト41は、シートX10を、その一面がラインヘッド31~34各々と対向する姿勢で搬送する。張架ローラー42~45各々は、搬送ベルト41を張架する。張架ローラー42及び43は、筐体1の左右方向(図1における紙面上下方向)に予め定められた距離を隔てて設けられる。張架ローラー44は、張架ローラー43の下側に配置される。張架ローラー45は、張架ローラー42の下側に配置される。
【0026】
張架ローラー42は、不図示のモーターから供給される回転駆動力により図1に示される矢印方向へ回転駆動される。これにより、搬送ベルト41は、シートX10を搬送方向D1(図1参照)へ搬送可能な方向に回動する。なお、搬送ユニット4には、シートX10を搬送ベルト41に吸着させるべく、搬送ベルト41に形成された多数の貫通孔から吸気を行う吸引ユニット(不図示)なども設けられている。
【0027】
色検出部5は、シート搬送路R1における画像形成部3による画像形成位置P11~P14よりも搬送方向D1の下流側の検出位置P15(図1参照)で、シートX10に形成された画像の色を検出する。
【0028】
ここで、検出位置P15は、画像形成位置P11~P14からシート搬送路R1、シート搬送路R2、シート搬送路R3、及びシート搬送路R1を経由して再度画像形成位置P11~P14に至る画像形成部3によって表面に画像が形成されたシートX10の移動経路上の位置である。具体的に、検出位置P15は、図1に示されるように、シート搬送路R1における画像形成位置P11~P14からシート搬送路R2への分岐位置までの間の位置である。なお、検出位置P15は、シート搬送路R2又はシート搬送路R3上の位置であってもよい。また、検出位置P15は、シート搬送路R1におけるシート搬送路R3からの合流位置から画像形成位置P11~P14までの間の位置であってもよい。
【0029】
図1及び図3に示されるように、色検出部5は、分光測色計51A、分光測色計51B、及び移動機構52を備える。ここで、分光測色計51A、及び分光測色計51Bが、本発明における一対の分光測色計の一例である。
【0030】
分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、図4に示されるように、検出位置P15において幅方向D4に離間して設けられ、それぞれが検出位置P15を通過するシートX10の色を検出する。具体的に、分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、シートX10の幅方向D4における印刷領域X11(図5参照)の外側に対応する位置に設けられる。換言すると、分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、それぞれ検出位置P15を通過するシートX10における幅方向D4の両端部に対向して配置される。分光測色計51Aは、発光部及び受光部を備える。前記発光部は、検出位置P15を通過するシートX10へ向けて光を射出する。前記受光部は、前記発光部から射出されてシートX10で反射した光を受光する。分光測色計51Aは、前記受光部で受光した光のスペクトルを取得可能である。分光測色計51Bは、分光測色計51Aと同一の構成を備える。なお、分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、搬送方向D1に離間して設けられていてもよい。
【0031】
移動機構52は、分光測色計51A、及び分光測色計51Bを幅方向D4に移動させる。例えば、移動機構52は、分光測色計51A、及び分光測色計51Bを幅方向D4に移動可能に支持するレール、モーター、及び当該モーターで発生する回転駆動力を直線運動力に変換して分光測色計51A、及び分光測色計51Bに伝達するラックアンドピニオンなどを備える。分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、給紙カセット11に収容されるシートX10のサイズが切り替えられた場合に、移動機構52により、検出位置P15を通過する切替後のシートX10における幅方向D4の両端部に対向する位置に配置される。
【0032】
なお、色検出部5は、移動機構52を備えていなくてもよい。換言すると、分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、幅方向D4における位置が固定されていてもよい。また、分光測色計51A、及び分光測色計51Bは、それぞれ検出位置P15を通過するシートX10における幅方向D4の両端部とは異なる位置に対向して配置されてもよい。
【0033】
操作表示部6は、制御部8からの制御指示に応じて各種の情報を表示する液晶ディスプレーなどの表示部、及びユーザーの操作に応じて制御部8に各種の情報を入力する操作キー又はタッチパネルなどの操作部を有する。
【0034】
記憶部7は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部7は、フラッシュメモリー、及びEEPROM(登録商標)などの不揮発性メモリ、SSD(ソリッドステートドライブ)、並びにHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置である。
【0035】
制御部8は、CPU8A、ROM8B、及びRAM8Cなどの制御機器を備える。CPU8Aは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM8Bは、CPU8Aに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶装置である。RAM8Cは、CPU8Aが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶装置である。制御部8では、CPU8AによりROM8Bに予め記憶された各種の制御プログラムが実行される。これにより、画像形成装置10が制御部8により統括的に制御される。なお、制御部8は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されたものであってもよく、画像形成装置10を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0036】
ところで、検出位置P15のような位置で画像形成後のシートX10から画像データを読み取り可能なラインセンサーを備える画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、前記ラインセンサーによって読み取られる画像データに基づいて、画像が形成されたことによるシートX10の伸縮量が取得されることがある。例えば、この取得結果は、当該シートX10の両面に形成される画像の見当合わせに用いられる。
【0037】
ここで、従来、画像形成装置において画像が形成されたことによるシートX10の伸縮量を取得する場合には、当該画像形成装置に前記ラインセンサーを設ける必要があった。
【0038】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、前記ラインセンサーを設けることなく、画像が形成されたことによるシートX10の伸縮量を取得することが可能である。
【0039】
具体的に、画像形成装置10のROM8Bには、制御部8のCPU8Aに後述の第1印刷制御処理(図7のフローチャート参照)を実行させるための第1印刷制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第1印刷制御プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて記憶部7にインストールされてもよい。
【0040】
そして、制御部8は、図3に示されるように、第1印刷処理部81、取得処理部82、補正処理部83、調整処理部84、及び第2印刷処理部85を含む。具体的に、制御部8は、CPU8Aを用いてROM8Bに記憶されている前記第1印刷制御プログラムを実行する。これにより、制御部8は、第1印刷処理部81、取得処理部82、補正処理部83、調整処理部84、及び第2印刷処理部85として機能する。
【0041】
第1印刷処理部81は、シートX10の両面に画像データに基づく画像を形成する両面印刷処理が実行される場合に、画像形成部3を用いて、シートX10の両面に形成される一組の画像データのうち、第1画像データに基づく画像をシートX10における印刷領域X11に形成する。なお、印刷領域X11は、操作表示部6におけるユーザーの操作などによって設定される領域である。シートX10における印刷領域X11の外側の領域は、所謂余白領域である。
【0042】
また、第1印刷処理部81は、シートX10における印刷領域X11の外側の予め定められた検査範囲X21、X22、X23、及びX24(図5参照)のそれぞれに、予め定められた検査用画像Y10(図6参照)を形成する。
【0043】
ここで、検査範囲X21は、図5に示されるように特定範囲X31を含む。特定範囲X31は、シートX10における分光測色計51Aに対応するその分光測色計51Aによる色の検出位置P21(図5参照)を含む幅方向D4の範囲である。検査範囲X21は、一片の長さが特定範囲X31の幅と同じ正方形状の範囲である。検出位置P21は、シートX10にインク画像が形成されない場合における、そのシートX10における分光測色計51Aの前記発光部から射出される光が照射される位置である。
【0044】
また、検査範囲X23は、図5に示されるように特定範囲X33を含む。特定範囲X33は、シートX10における分光測色計51Aに対応するその分光測色計51Aによる色の検出位置P23(図5参照)を含む幅方向D4の範囲である。検査範囲X23は、一片の長さが特定範囲X33の幅と同じ正方形状の範囲である。検出位置P23は、シートX10にインク画像が形成されない場合における、そのシートX10における分光測色計51Aの前記発光部から射出される光が照射される位置である。
【0045】
画像形成装置10では、分光測色計51AがシートX10における幅方向D4の第1方向D41側の端部に対向する位置に配置される(図4及び図5参照)。そのため、検査範囲X21、及びX23は、それぞれシートX10における幅方向D4の第1方向D41側の端部に設定される。例えば、検査範囲X21は、シートX10における幅方向D4の第1方向D41側の端部であって、シートX10における搬送方向D1の下流側の端部に設定される。また、検査範囲X23は、シートX10における幅方向D4の第1方向D41側の端部であって、シートX10における搬送方向D1の上流側の端部に設定される。
【0046】
なお、検査範囲X21、及びX23は、シートX10の搬送方向D1における印刷領域X11の内側に設定されてもよい。また、分光測色計51AがシートX10における幅方向D4の第1方向D41側の端部とは異なる部分に対向する位置に配置される場合は、検査範囲X21及びX23は、それぞれシートX10における分光測色計51Aに対応する位置に設定されてよい。
【0047】
また、検査範囲X22は、図5に示されるように特定範囲X32を含む。特定範囲X32は、シートX10における分光測色計51Bに対応するその分光測色計51Bによる色の検出位置P22(図5参照)を含む幅方向D4の範囲である。検査範囲X22は、一片の長さが特定範囲X32の幅と同じ正方形状の範囲である。検出位置P22は、シートX10にインク画像が形成されない場合における、そのシートX10における分光測色計51Bの前記発光部から射出される光が照射される位置である。
【0048】
また、検査範囲X24は、図5に示されるように特定範囲X34を含む。特定範囲X34は、シートX10における分光測色計51Bに対応するその分光測色計51Bによる色の検出位置P24(図5参照)を含む幅方向D4の範囲である。検査範囲X24は、一片の長さが特定範囲X34の幅と同じ正方形状の範囲である。検出位置P24は、シートX10にインク画像が形成されない場合における、そのシートX10における分光測色計51Bの前記発光部から射出される光が照射される位置である。
【0049】
画像形成装置10では、分光測色計51BがシートX10における幅方向D4の第2方向D42側の端部に対向する位置に配置される(図4及び図5参照)。そのため、検査範囲X22、及びX24は、それぞれシートX10における幅方向D4の第2方向D42側の端部に設定される。例えば、検査範囲X22は、シートX10における幅方向D4の第2方向D42側の端部であって、シートX10における搬送方向D1の下流側の端部に設定される。また、検査範囲X24は、シートX10における幅方向D4の第2方向D42側の端部であって、シートX10における搬送方向D1の上流側の端部に設定される。
【0050】
なお、検査範囲X22、及びX24は、シートX10の搬送方向D1における印刷領域X11の内側に設定されてもよい。また、分光測色計51BがシートX10における幅方向D4の第2方向D42側の端部とは異なる部分に対向する位置に配置される場合は、検査範囲X22及びX24は、それぞれシートX10における分光測色計51Bに対応する位置に設定されてよい。
【0051】
また、検査用画像Y10は、図6に示されるように、複数の単位画像Y11を含む。単位画像Y11は、正方形状に形成されている。例えば、単位画像Y11は、そのサイズが分光測色計51A、及び分光測色計51Bの検出範囲よりも大きい。例えば、単位画像Y11は、赤、青、緑、黒、シアン、マゼンタ、及びイエローのいずれかの色のベタ画像である。なお、単位画像Y11は、そのサイズが分光測色計51A、及び分光測色計51Bの検出範囲以下であってもよい。また、単位画像Y11の色は、以上に挙げた色とは異なる色であってもよい。
【0052】
具体的に、検査用画像Y10は、幅方向D4に連続しており、互いに色が異なる複数の単位画像Y11を含む基準画像Y20を含む。例えば、基準画像Y20は、第2方向D42の上流側から順に、赤(R)の単位画像Y11、青(B)の単位画像Y11、緑(G)の単位画像Y11、黒(Bk)の単位画像Y11(後述する中心画像Y21)、シアン(C)の単位画像Y11、マゼンタ(M)の単位画像Y11、及びイエロー(Y)の単位画像Y11が、幅方向D4に連続することによって構成される画像である。
【0053】
また、検査用画像Y10は、搬送方向D1及び幅方向D4の両方向に列をなす複数の単位画像Y11で構成されている。具体的に、図6に示されるように、検査用画像Y10は、格子状に配置された複数の単位画像Y11で構成されている。検査用画像Y10は、搬送方向D1に沿った列画像Y31~Y37(図6参照)を有する。列画像Y31~Y37各々は、互いに色が異なる7つの単位画像Y11で構成されている。具体的に、列画像Y31~Y37各々は、赤の単位画像Y11、緑の単位画像Y11、青の単位画像Y11、黒の単位画像Y11、シアンの単位画像Y11、マゼンタの単位画像Y11、及びイエローの単位画像Y11を含む。図6に示されるように、検査用画像Y10において、基準画像Y20は搬送方向D1の中央に位置する。
【0054】
第1印刷処理部81は、検査用画像Y10に含まれる複数の単位画像Y11のうちの中心画像Y21が検出位置P21、P22、P23、及びP24のそれぞれに配置されるように、シートX10における角部各々に検査用画像Y10を形成する。ここで、中心画像Y21は、基準画像Y20に含まれる複数の単位画像Y11のうち、幅方向D4の中央に位置する単位画像Y11である。つまり、中心画像Y21は、黒(Bk)の単位画像Y11である。換言すると、第1印刷処理部81は、検査用画像Y10に含まれる基準画像Y20が特定範囲X31、X32、X33、及びX34のそれぞれに配置されるように、シートX10における角部各々に検査用画像Y10を形成する。
【0055】
シートX10は、第1印刷処理部81によってインク画像が形成されることにより、搬送方向D1、及び幅方向D4に伸長する。そのため、シートX10に形成された4つの中心画像Y21は、インク画像形成によるシートX10の幅方向D4における伸長により、そのシートX10における検出位置P21、P22、P23、及びP24から幅方向D4の外側に変位する。
【0056】
なお、検査用画像Y10は、基準画像Y20のみによって構成されていてもよい。また、基準画像Y20に含まれる単位画像Y11の数は、7つに限られなくてよい。また、シートX10に形成される4つの検査用画像Y10は、それぞれの色の配列が異なるものであってもよい。また、特定範囲X31及び特定範囲X32の両方を含む幅方向D4の範囲に、幅方向D4に連続する互いに色が異なる複数の単位画像Y11が形成されてもよい。
【0057】
取得処理部82は、第1印刷処理部81による画像形成時のシートX10における検出位置P21、P22、P23、及びP24各々に形成される色と、分光測色計51A、及び51Bの各々によって検出される一対の基準画像Y20の色とに基づいて、第1印刷処理部81により画像が形成されたことによるシートX10の幅方向D4における伸縮量及び変位量、並びに搬送方向D1における伸縮量を取得する。
【0058】
具体的に、取得処理部82は、検査範囲X21に形成された検査用画像Y10に含まれる基準画像Y20が検出位置P15を通過するタイミングで、分光測色計51Aを用いて基準画像Y20の色を検出する。そして、取得処理部82は、検出された色に基づいて、シートX10における検出位置P21からの中心画像Y21の幅方向D4に沿った変位方向及び変位量を取得する。
【0059】
例えば、取得処理部82は、検査範囲X21に形成された基準画像Y20が検出位置P15を通過するタイミングで分光測色計51Aによって検出される基準画像Y20の色がシアン(C)である場合は、中心画像Y21が検出位置P21から第1方向D41に1単位画像分変位したと判断する。
【0060】
また、取得処理部82は、検査範囲X22に形成された検査用画像Y10に含まれる基準画像Y20が検出位置P15を通過するタイミングで、分光測色計51Bを用いて基準画像Y20の色を検出する。そして、取得処理部82は、検出された色に基づいて、シートX10における検出位置P22からの中心画像Y21の幅方向D4に沿った変位方向及び変位量を取得する。
【0061】
例えば、取得処理部82は、検査範囲X22に形成された基準画像Y20が検出位置P15を通過するタイミングで分光測色計51Bによって検出される基準画像Y20の色が緑(G)である場合は、中心画像Y21が検出位置P22から第2方向D42に1単位画像分変位したと判断する。
【0062】
そして、取得処理部82は、取得されたシートX10における検出位置P21からの中心画像Y21の変位方向及び変位量、並びにシートX10における検出位置P22からの中心画像Y21の変位方向及び変位量に基づいて、シートX10の搬送方向D1における検査範囲X21の配置位置での、幅方向D4の伸縮量及び変位量を取得する。
【0063】
例えば、取得処理部82は、シートX10が検出位置P15を通過するタイミングにおける検査範囲X21に形成された中心画像Y21と検査範囲X22に形成された中心画像Y21との離間距離を、検出位置P21と検出位置P22との離間距離(分光測色計51A、及び51Bの離間距離)で除算した結果を、シートX10の幅方向D4における伸縮量として取得する。また、取得処理部82は、シートX10が検出位置P15を通過するタイミングにおける検査範囲X21に形成された中心画像Y21と検査範囲X22に形成された中心画像Y21との間の第1中心位置が、検出位置P21と検出位置P22との間の第2中心位置と一致しない場合は、前記第2中心位置からの前記第1中心位置の離間方向及び離間距離を、シートX10の幅方向D4における変位量として取得する。
【0064】
同様に、取得処理部82は、取得されたシートX10における検出位置P23からの中心画像Y21の変位方向及び変位量、並びにシートX10における検出位置P24からの中心画像Y21の変位方向及び変位量に基づいて、シートX10の搬送方向D1における検査範囲X23の配置位置での、幅方向D4の伸縮量及び変位量を取得する。
【0065】
また、取得処理部82は、分光測色計51Aによって検査範囲X21に形成された基準画像Y20の色が検出されてから、分光測色計51Aによって検査範囲X23に形成された基準画像Y20の色が検出されるまでの経過時間を取得する。そして、取得処理部82は、取得された経過時間に基づいて、シートX10の幅方向D4における検査範囲X21の配置位置での、搬送方向D1の伸縮量を取得する。
【0066】
同様に、取得処理部82は、分光測色計51Bによって検査範囲X22に形成された基準画像Y20の色が検出されてから、分光測色計51Bによって検査範囲X24に形成された基準画像Y20の色が検出されるまでの経過時間を取得し、取得された経過時間に基づいて、シートX10の幅方向D4における検査範囲X22の配置位置での、搬送方向D1の伸縮量を取得する。
【0067】
なお、取得処理部82は、シートX10の搬送方向D1における検査範囲X23の配置位置での、幅方向D4の伸縮量及び変位量を取得しなくてもよい。この場合、取得処理部82は、シートX10の搬送方向D1における検査範囲X21の配置位置での幅方向D4の伸縮量及び変位量を、シートX10全体の幅方向D4の伸縮量及び変位量として取得すればよい。また、取得処理部82は、シートX10の幅方向D4における検査範囲X22の配置位置での、搬送方向D1の伸縮量を取得しなくてもよい。この場合、取得処理部82は、シートX10の幅方向D4における検査範囲X21の配置位置での、搬送方向D1の伸縮量を、シートX10全体の搬送方向D1の伸縮量として取得すればよい。
【0068】
なお、第1印刷処理部81は、シートX10における検査範囲X23、及びX24に検査用画像Y10を形成しなくてもよい。この場合、取得処理部82は、例えば、シート搬送路R3などに設けられるシートX10の通過を検出可能なシートセンサーを用いて、シートX10の搬送方向D1における伸縮量を取得してもよい。
【0069】
また、第1印刷処理部81は、シートX10における検査範囲X22、及びX23に検査用画像Y10を形成しなくてもよい。この場合、取得処理部82は、シートX10における検出位置P21からの中心画像Y21の変位方向及び変位量、並びにシートX10における検出位置P24からの中心画像Y21の変位方向及び変位量に基づいて、シートX10の幅方向D4における伸縮量及び変位量を取得すればよい。また、取得処理部82は、分光測色計51Aによって検査範囲X21に形成された基準画像Y20の色が検出されてから、分光測色計51Bによって検査範囲X24に形成された基準画像Y20の色が検出されるまでの経過時間に基づいて、シートX10の搬送方向D1における伸縮量を取得すればよい。
【0070】
また、取得処理部82は、シートX10の搬送方向D1における伸縮量を取得しなくてもよい。また、取得処理部82は、シートX10の幅方向D4における変位量を取得しなくてもよい。
【0071】
補正処理部83は、取得処理部82による取得結果に基づいて、前記一組の画像データのうち第2画像データを幅方向D4に伸縮、及び変位させるとともに、搬送方向D1に伸縮させる補正処理を実行する。
【0072】
具体的に、補正処理部83は、シートX10の表面に形成された前記第1画像データの画像と、当該シートX10の裏面に形成される前記第2画像データの画像との見当が合うように、前記補正処理を実行する。例えば、前記補正処理では、取得処理部82による取得結果に基づいて前記第2画像データに対してアフィン変換処理が施される。
【0073】
調整処理部84は、分光測色計51Aによって検出される検査範囲X21に形成された検査用画像Y10に含まれる複数の単位画像Y11に対応する複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。
【0074】
具体的に、調整処理部84は、分光測色計51Aによって検査範囲X21から検出された複数の単位画像Y11の色、及び当該複数の単位画像Y11の形成に用いられたデータに基づいて、画像形成部3によって形成される単位画像Y11の色と、分光測色計51Aによって検出される当該単位画像Y11の色とが一致するように、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。例えば、調整処理部84は、画像形成部3に入力される印刷対象の画像データに含まれる画素各々の色の補正に用いられる色補正テーブルデータの内容を修正する。
【0075】
なお、調整処理部84は、分光測色計51Aによって検出される検査範囲X21に形成された検査用画像Y10に含まれる複数の単位画像Y11に対応する複数の色、及び分光測色計51Bによって検出される検査範囲X22に形成された検査用画像Y10に含まれる複数の単位画像Y11に対応する複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整してもよい。
【0076】
また、調整処理部84は、分光測色計51Aによって検出される検査範囲X21に形成された検査用画像Y10に含まれる複数の単位画像Y11に対応する複数の色、及び分光測色計51Aによって検出される検査範囲X23に形成された検査用画像Y10に含まれる複数の単位画像Y11に対応する複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整してもよい。
【0077】
なお、検査用画像Y10が基準画像Y20のみによって構成される場合、調整処理部84は、分光測色計51Aによって検出される特定範囲X31に形成された基準画像Y20に含まれるいずれかの単位画像Y11に対応する色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整すればよい。また、制御部8は、調整処理部84を含んでいなくてもよい。
【0078】
第2印刷処理部85は、画像形成部3を用いて、補正処理部83による補正後の前記第2画像データに基づく画像をシートX10の裏面に形成する。
【0079】
なお、第1印刷処理部81は、シートX10の片面に画像データに基づく画像を形成する片面印刷処理が実行される場合に、画像形成部3を用いて、画像データに基づく画像をシートX10における印刷領域X11に形成するとともに、当該シートX10における検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに検査用画像Y10を形成してもよい。この場合、制御部8は、取得処理部82による取得結果を用いて、例えば、画像形成装置10に接続される後処理装置におけるステープル処理、又はパンチ処理の処理位置を決定することが考えられる。また、この場合には、制御部8は、補正処理部83、及び第2印刷処理部85を含んでいなくてもよい。
【0080】
[第1印刷制御処理]
以下、図7を参照しつつ、画像形成装置10において制御部8により実行される第1印刷制御処理の手順の一例について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、制御部8により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記第1印刷制御処理は、操作表示部6におけるユーザーの操作によって前記両面印刷処理の実行指示が入力された場合に実行される。
【0081】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部8は、画像形成部3を用いて、前記第1画像データに基づく画像をシートX10の表面における印刷領域X11に形成するとともに、当該シートX10の検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに検査用画像Y10を形成する。ここで、ステップS11の処理は、制御部8の第1印刷処理部81により実行される。
【0082】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部8は、分光測色計51A、及び分光測色計51Bを用いて、検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに形成された検査用画像Y10の色を検出する色検出処理を実行する。
【0083】
具体的に、前記色検出処理では、検査範囲X21に形成された検査用画像Y10が検出位置P15を通過するタイミングで、当該検査用画像Y10に含まれるいずれかの列の7つの単位画像Y11のそれぞれの色が分光測色計51Aによって検出される。また、前記色検出処理では、検査範囲X22に形成された検査用画像Y10が検出位置P15を通過するタイミングで、当該検査用画像Y10に含まれるいずれかの列の7つの単位画像Y11のそれぞれの色が分光測色計51Bによって検出される。また、前記色検出処理では、分光測色計51Aによって検査範囲X21に形成された基準画像Y20の色が検出されてから、分光測色計51Aによって検査範囲X23に形成された基準画像Y20の色が検出されるまでの経過時間が計測される。また、前記色検出処理では、分光測色計51Bによって検査範囲X22に形成された基準画像Y20の色が検出されてから、分光測色計51Bによって検査範囲X24に形成された基準画像Y20の色が検出されるまでの経過時間が計測される。
【0084】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部8は、ステップS12で実行された前記色検出処理の実行結果に基づいて、ステップS11で画像が形成されたことによるシートX10の幅方向D4における伸縮量及び変位量、並びに搬送方向D1における伸縮量を取得する。ここで、ステップS12、及びステップS13の処理は、制御部8の取得処理部82により実行される。
【0085】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部8は、ステップS13での取得結果に基づいて、前記第2画像データを幅方向D4に伸縮、及び変位させるとともに、搬送方向D1に伸縮させる前記補正処理を実行する。ここで、ステップS14の処理は、制御部8の補正処理部83により実行される。
【0086】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部8は、ステップS12で実行された前記色検出処理の実行結果に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。ここで、ステップS15の処理は、制御部8の調整処理部84により実行される。
【0087】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部8は、画像形成部3を用いて、ステップS14による補正後の前記第2画像データに基づく画像をシートX10の裏面に形成する。ここで、ステップS16の処理は、制御部8の第2印刷処理部85により実行される。
【0088】
このように、画像形成装置10では、シートX10における印刷領域X11に画像データに基づく画像が形成されるとともに、当該シートX10における検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに検査用画像Y10が形成される。そして、一対の分光測色計51A、51Bにより、検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに形成された検査用画像Y10の色が検出されて、検出結果に基づいて画像が形成されたことによるシートX10の幅方向D4における伸縮量及び変位量、並びに搬送方向D1における伸縮量が取得される。即ち、画像形成装置10では、前記ラインセンサーを設けることなく、画像が形成されたことによるシートX10の伸縮量を取得することが可能である。
【0089】
[変形例]
なお、第1印刷処理部81、及び取得処理部82が、予め定められた特定タイミングが到来した場合に処理を実行する構成が変形例として考えられる。
【0090】
具体的に、変形例に係る画像形成装置10において、第1印刷処理部81は、前記特定タイミングが到来した場合に、画像形成部3を用いて、シートX10における印刷領域X11に予め定められた検査用画像データに基づく画像を形成するとともに、当該シートX10における検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに検査用画像Y10を形成する。
【0091】
例えば、前記特定タイミングは、画像形成装置10の電源投入時、画像形成装置10の動作モードが省電力モードから通常モードに切り替わった時、操作表示部6において予め定められた操作が行われた時、及び前記両面印刷処理の実行指示の入力時から当該両面印刷処理の実行開始時までのタイミングである。
【0092】
また、前記検査用画像データは、予め定められた印字率の画像データである。例えば、記憶部7に、印字率の異なる複数の前記検査用画像データを格納することが考えられる。そして、第1印刷処理部81が、記憶部7に格納されたいずれかの前記検査用画像データを用いて処理を実行する構成が考えられる。
【0093】
また、取得処理部82は、第1印刷処理部81による画像形成時のシートX10における検出位置P21、P22、P23、及びP24各々に形成される色と、分光測色計51A、及び51Bの各々によって検出される一対の基準画像Y20各々の色とに基づいて、第1印刷処理部81により前記検査用画像データに基づく画像が形成されたことによるシートX10の幅方向D4における伸縮量及び変位量、並びに搬送方向D1における伸縮量を取得する。そして、取得処理部82は、取得結果を示す結果データを記憶部7に格納する。例えば、取得処理部82は、前記結果データを、当該結果データの取得に用いられた前記検査用画像データの印字率に関連付けて記憶部7に格納する。
【0094】
そして、補正処理部83は、前記両面印刷処理が実行される場合に、取得処理部82によって記憶部7に格納された前記結果データに基づいて、当該両面印刷処理でシートX10の裏面に印刷される前記第2画像データ各々を幅方向D4に伸縮、及び変位させるとともに、搬送方向D1に伸縮させる。例えば、補正処理部83は、シートX10の表面に印刷される前記第1画像データの印字率に対応する前記結果データを用いて、当該シートX10の裏面に印刷される前記第2画像データを幅方向D4に伸縮、及び変位させるとともに、搬送方向D1に伸縮させる。
【0095】
なお、補正処理部83は、前記両面印刷処理が実行される場合に、取得処理部82によって記憶部7に格納された前記結果データに基づいて、当該両面印刷処理でシートX10の表面に印刷される前記第1画像データ各々を幅方向D4に伸縮、及び変位させるとともに、搬送方向D1に伸縮させてもよい。
【0096】
[第2実施形態]
以下、図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10Aについて説明する。
【0097】
第2実施形態に係る画像形成装置10Aでは、制御部8の構成が第1実施形態とは異なっている。以下、第1実施形態とは異なる点についてのみ、説明を行う。
【0098】
具体的に、画像形成装置10AのROM8Bには、制御部8のCPU8Aに後述の第2印刷制御処理(図9のフローチャート参照)を実行させるための第2印刷制御プログラムが予め記憶されている。
【0099】
そして、制御部8は、図8に示されるように、第1印刷処理部81A、取得処理部82、補正処理部83、調整処理部84A、第2印刷処理部85、及び濃度切替部86を含む。具体的に、制御部8は、CPU8Aを用いてROM8Bに記憶されている前記第2印刷制御プログラムを実行する。これにより、制御部8は、第1印刷処理部81A、取得処理部82、補正処理部83、調整処理部84A、第2印刷処理部85、及び濃度切替部86として機能する。なお、取得処理部82、補正処理部83、及び第2印刷処理部85については、第1実施形態と同じ機能であるため、その説明を省略する。
【0100】
第1印刷処理部81Aは、前記両面印刷処理が実行される場合に、画像形成部3を用いて、前記第1画像データに基づく画像をシートX10における印刷領域X11に形成する。
【0101】
また、第1印刷処理部81Aは、シートX10における印刷領域X11の外側の検査範囲X21、X22、X23、及びX24(図5参照)のそれぞれに、検査用画像Y10(図6参照)を形成する。検査用画像Y10は、図6に示されるように、幅方向D4に連続しており、互いに色が異なる複数の単位画像Y11を含む基準画像Y20を含む。また、検査用画像Y10は、図6に示されるように、複数の列画像Y30を含む。列画像Y30各々は、シートX10における基準画像Y20に含まれる単位画像Y11各々の形成位置に形成される。列画像Y30各々は、搬送方向D1に連続し、互いに色が異なる複数の単位画像Y11を含む。具体的に、列画像Y30各々は、赤の単位画像Y11、緑の単位画像Y11、青の単位画像Y11、黒の単位画像Y11、シアンの単位画像Y11、マゼンタの単位画像Y11、及びイエローの単位画像Y11を含む。
【0102】
また、第1印刷処理部81Aは、予め定められた複数の基準濃度のうちのいずれかで、検査用画像Y10に含まれる複数の列画像Y30を形成する。例えば、複数の前記基準濃度は、100パーセント、90パーセント、80パーセント、70パーセント、60パーセント、50パーセント、40パーセント、30パーセント、20パーセント、及び10パーセントである。なお、濃度100パーセントの赤の単位画像Y11は、赤のベタ画像である。また、濃度0パーセントの赤の単位画像Y11は、無色の画像である。
【0103】
なお、複数の前記基準濃度は、100パーセントから所定濃度ずつ段階的に低下する複数の濃度であってよい。また、複数の前記基準濃度は、0パーセントよりも大きく100パーセント以下の範囲で任意に定められた複数の濃度であってもよい。
【0104】
なお、第1印刷処理部81Aは、シートX10における検査範囲X22に形成される検査用画像Y10の濃度を、複数の前記基準濃度のうち、検査範囲X21に形成される検査用画像Y10の濃度とは異なる濃度としてもよい。また、第1印刷処理部81Aは、シートX10における検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに形成される検査用画像Y10の濃度を、複数の前記基準濃度に含まれる互いに異なる4つの濃度としてもよい。
【0105】
濃度切替部86は、第1印刷処理部81AによってシートX10に画像が形成される毎に、第1印刷処理部81Aによって形成される検査用画像Y10に含まれる複数の列画像Y30の濃度を複数の前記基準濃度の間で順次切り替える。
【0106】
例えば、濃度切替部86は、複数の列画像Y30の濃度を、100パーセント、90パーセント、80パーセント、70パーセント、60パーセント、50パーセント、40パーセント、30パーセント、20パーセント、及び10パーセントの順に切り替える。なお、濃度切替部86は、第1印刷処理部81Aによって所定枚数のシートに画像が形成される毎に、複数の列画像Y30の濃度を切り替えてもよい。
【0107】
調整処理部84Aは、分光測色計51Aによって列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11から検出される複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。
【0108】
具体的に、調整処理部84Aは、分光測色計51Aによって前記基準濃度ごとの複数の色が検出された場合に、当該基準濃度ごとの複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。
【0109】
より具体的に、調整処理部84Aは、分光測色計51Aによって1つの前記基準濃度に対応する列画像Y30から検出された複数の単位画像Y11の色、及び当該複数の単位画像Y11の形成に用いられたデータに基づいて、画像形成部3によって形成される単位画像Y11の色と、分光測色計51Aによって検出される当該単位画像Y11の色とが一致するように、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。例えば、調整処理部84Aは、画像形成部3に入力される印刷対象の画像データに含まれる画素各々の色の補正に用いられる色補正テーブルデータの内容を修正する。
【0110】
なお、調整処理部84Aは、分光測色計51Aによって列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11から検出される複数の色、及び分光測色計51Bによって列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11から検出される複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整してもよい。
【0111】
また、調整処理部84は、分光測色計51AによってシートX10における搬送方向D1の下流側に形成された列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11から検出される複数の色、及び分光測色計51AによってシートX10における搬送方向D1の上流側に形成された列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11から検出される複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整してもよい。
【0112】
[第2印刷制御処理]
以下、図9を参照しつつ、画像形成装置10Aにおいて制御部8により実行される第2印刷制御処理の手順の一例について説明する。なお、前記第2印刷制御処理は、操作表示部6におけるユーザーの操作によって前記両面印刷処理の実行指示が入力された場合に実行される。
【0113】
<ステップS21>
まず、ステップS21において、制御部8は、シートX10に形成される検査用画像Y10に含まれる複数の列画像Y30の濃度を設定する。ここで、ステップS21の処理は、制御部8の濃度切替部86により実行される。
【0114】
例えば、制御部8は、最初にステップS21の処理が実行される場合は、複数の列画像Y30の濃度を100パーセントに設定する。また、制御部8は、ステップS21の処理が実行される毎に、列画像Y30の設定濃度を10パーセントずつ減少させる。
【0115】
<ステップS22>
ステップS22において、制御部8は、画像形成部3を用いて、前記第1画像データに基づく画像をシートX10の表面における印刷領域X11に形成するとともに、当該シートX10の検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに、ステップS21で設定された濃度の検査用画像Y10を形成する。ここで、ステップS22の処理は、制御部8の第1印刷処理部81Aにより実行される。
【0116】
<ステップS23>
ステップS23において、制御部8は、分光測色計51A、及び分光測色計51Bを用いて、検査範囲X21、X22、X23、及びX24のそれぞれに形成された検査用画像Y10の色を検出する前記色検出処理を実行する。
【0117】
ステップS23の処理により、ステップS21で設定された濃度でシートX10に形成された列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11から複数の色が検出される。例えば、制御部8は、ステップS23で検出された複数の色に関する色情報をRAM8Cなどの予め定められた特定記憶部に格納する。
【0118】
<ステップS24>
ステップS24において、制御部8は、ステップS23で実行された前記色検出処理の実行結果に基づいて、ステップS22で画像が形成されたことによるシートX10の幅方向D4における伸縮量及び変位量、並びに搬送方向D1における伸縮量を取得する。ここで、ステップS23及びステップS24の処理は、制御部8の取得処理部82により実行される。
【0119】
<ステップS25>
ステップS25において、制御部8は、ステップS24での取得結果に基づいて、前記第2画像データを幅方向D4に伸縮、及び変位させるとともに、搬送方向D1に伸縮させる前記補正処理を実行する。ここで、ステップS25の処理は、制御部8の補正処理部83により実行される。
【0120】
<ステップS26>
ステップS26において、制御部8は、画像形成部3を用いて、ステップS25による補正後の前記第2画像データに基づく画像をシートX10の裏面に形成する。ここで、ステップS26の処理は、制御部8の第2印刷処理部85により実行される。
【0121】
<ステップS27>
ステップS27において、制御部8は、前記基準濃度ごとの複数の色の検出が終了したか否かを判断する。換言すると、制御部8は、複数の前記基準濃度の全部について、列画像Y30に含まれる複数の単位画像Y11に対応する複数の色の検出が終了したか否かを判断する。
【0122】
例えば、制御部8は、前記特定記憶部に前記基準濃度各々に対応する前記色情報が格納されている場合に、前記基準濃度ごとの複数の色の検出が終了したと判断する。
【0123】
ここで、制御部8は、前記基準濃度ごとの複数の色の検出が終了したと判断すると(ステップS27のYes側)、処理をステップS28に移行させる。また、前記基準濃度ごとの複数の色の検出が終了していなければ(ステップS27のNo側)、制御部8は、処理をステップS29に移行させる。
【0124】
<ステップS28>
ステップS28において、制御部8は、検出された前記基準濃度ごとの複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。ここで、ステップS28の処理は、制御部8の調整処理部84Aにより実行される。
【0125】
例えば、制御部8は、前記特定記憶部に格納された前記基準濃度各々に対応する前記色情報に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。また、制御部8は、色の調整処理が終了した場合に、前記特定記憶部の記憶内容を消去する。
【0126】
<ステップS29>
ステップS29において、制御部8は、前記両面印刷処理が終了したか否かを判断する。
【0127】
ここで、制御部8は、前記両面印刷処理が終了したと判断すると(ステップS29のYes側)、前記第2印刷制御処理を終了させる。また、前記両面印刷処理が終了していなければ(ステップS29のNo側)、制御部8は、処理をステップS21に移行させる。
【0128】
なお、制御部8は、2度目以降のステップS21において、前記特定記憶部の記憶内容に基づいて、複数の前記基準濃度からステップS22で形成される検査用画像Y10の濃度を設定してもよい。具体的に、制御部8は、複数の前記基準濃度のうち、前記特定記憶部に格納されている前記色情報に対応する濃度とは異なる濃度のいずれかを、ステップS22で形成される検査用画像Y10の濃度として設定してもよい。
【0129】
このように、画像形成装置10Aでは、シートX10に画像が形成される毎に、シートX10に形成される複数の列画像Y30の濃度が複数の前記基準濃度の間で順次切り替えられる。そして、前記基準濃度ごとの複数の色が検出された場合に、当該基準濃度ごとの複数の色に基づいて、画像形成部3によって形成される画像の色を調整する。これにより、画像形成装置10Aにおける印刷色の色再現性を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 筐体
2 シート搬送部
3 画像形成部
4 搬送ユニット
5 色検出部
6 操作表示部
7 記憶部
8 制御部
10 画像形成装置
10A 画像形成装置
51A 分光測色計
52B 分光測色計
81 第1印刷処理部
81A 第1印刷処理部
82 取得処理部
83 補正処理部
84 調整処理部
84A 調整処理部
85 第2印刷処理部
86 濃度切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9