IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-乗物内装品 図1
  • 特許-乗物内装品 図2
  • 特許-乗物内装品 図3
  • 特許-乗物内装品 図4
  • 特許-乗物内装品 図5
  • 特許-乗物内装品 図6
  • 特許-乗物内装品 図7
  • 特許-乗物内装品 図8
  • 特許-乗物内装品 図9
  • 特許-乗物内装品 図10
  • 特許-乗物内装品 図11
  • 特許-乗物内装品 図12
  • 特許-乗物内装品 図13
  • 特許-乗物内装品 図14
  • 特許-乗物内装品 図15
  • 特許-乗物内装品 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】乗物内装品
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240214BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20240214BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/40
A47C7/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020108850
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006562
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】為村 亮
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114308(JP,A)
【文献】特開2019-214244(JP,A)
【文献】特開2019-6258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0135601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
A47C 7/00-74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観をなす意匠面の形状を可動機構にて動かすことにより変更可能である乗物内装品において、
前記意匠面は、その面方向に配列された複数の外形部が、軸状の連結部を介して連結されることで形成されているとともに、隣り合う外形部同士は、前記連結部の軸長さ方向及び軸周り方向に互いの相対位置を変更可能な状態とされており、
前記連結部では、一つの外形部に連結される第一板部と、前記一つの外形部の隣に位置する別の外形部に連結される第二板部とが軸長さ方向に連結されていると共に、前記第一板部から軸長さ方向に突出する回転軸に対してその軸周りに回転可能に前記第二板部が連結されていることで、前記複数の外形部は、各々、前記意匠面の表裏方向に向けて傾動可能に前記連結部で連結されており、
前記複数の外形部を、相対位置を変えながら疎又は密となるように前記可動機構にて動かすことで、平面的な意匠面を形成する配列状態から、曲面的な意匠面を形成する配列状態に変位させることが可能である乗物内装品。
【請求項2】
前記複数の外形部を個々に動かすことが可能である請求項1に記載の乗物内装品。
【請求項3】
前記複数の外形部としての第一外形部と第二外形部とが、それぞれ意匠面側から見た平面視において円形状又は多角形状をなして、前記意匠面の面方向に格子状に配置されて連結されており、
前記第一外形部には、前記平面視においてその周囲に配置する複数の連結部が傾動可能に取付けられ、前記第二外形部には、前記平面視においてその周囲に配置する複数の連結部が、それぞれ軸長さ方向及び軸周り方向に移動可能な状態で挿通されて、前記第二外形部の内部で交差して配置されている請求項1又は2に記載の乗物内装品。
【請求項4】
乗物用シートとして使用されるとともに、前記意匠面に相当する前記乗物用シートの着座面部が、通常走行時に乗員を支持する天板メイン部と、前記天板メイン部のシート幅方向側方に位置する天板サイド部とを有し、
前記天板メイン部と前記天板サイド部とが、前記複数の外形部と前記連結部とによって一体的に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の乗物内装品。
【請求項5】
乗員の下半身を支持するシートクッション部と、乗員の上半身を支持するシートバック部とを有し、
前記意匠面に相当する前記シートクッション部の着座面部と前記シートバック部の着座面部が、前記複数の外形部と前記連結部とによって一体的に形成されている請求項4に記載の乗物内装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観をなす意匠面の形状を可動機構にて動かすことにより変更可能である乗物内装品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の乗物内装品では、意匠性や利便性を考慮して、外観となる意匠面の形状を適宜変更することがある。例えば特許文献1に開示の乗物用シートでは、乗員の背凭れとなるシートバックが、その意匠面に相当する着座面の形状を変更可能な構成を有している。このシートバックは、シート骨格をなすバックフレームと、このバックフレームの左右に取付けられたサイドサポートを有し、これらの着座側には、パッドと、意匠面をなす表皮とが配設されている。そしてバックフレームの左右には、上下方向を向いた回転軸が配設され、左右の各回転軸に、サイドサポートがアームを介してそれぞれ取付けられている。公知技術では、回転軸に取付けられたサイドサポートが、本発明の可動機構に相当し、回転軸の回転によって前方に傾動させることができる。そしてサイドサポートをパッド及び表皮とともに前方に傾動させることで、意匠面を形成する表皮を、その左右の側部だけが前方に曲がった状態に変位させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭57-43714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで乗物内装品の分野では、意匠性や利便性等の更なる向上の観点から、より自由に意匠面の形状を変更したいとの要請がある。例えば意匠面の形状を、平面的な状態から曲面的な状態に変更し、さらに曲率(曲面の曲がり具合)や面積も適宜調整できることが望ましい。そして公知技術のように着座面が意匠面となる場合、この着座面の形状を自由に変更することで、体格の大小や体の形に応じて着座面を乗員にフィットさせることができる。しかし公知技術の構成では、サイドサポートを覆う表皮部分(意匠面)が一律に曲がるだけであり、その形状を自由に変更できるわけではなかった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、外観をなす意匠面の形状をより自由に変更することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物内装品は、外観をなす意匠面の形状を可動機構にて動かすことにより変更可能である。この種の構成では、外観をなす意匠面の形状をより自由に変更できることが望ましい。そこで本発明の意匠面は、その面方向に配列された複数の外形部が、軸状の連結部を介して連結されることで形成されている。また隣り合う外形部同士は、連結部の軸長さ方向及び軸周り方向に互いの相対位置を変更可能な状態とされており、連結部では、一つの外形部に連結される第一板部と、一つの外形部の隣に位置する別の外形部に連結される第二板部とが軸長さ方向に連結されていると共に、第一板部から軸長さ方向に突出する回転軸に対してその軸周りに回転可能に第二板部が連結されていることで、複数の外形部は、各々、意匠面の表裏方向に向けて傾動可能に連結部で連結されている。そして複数の外形部を、相対位置を変えながら疎又は密となるように可動機構にて動かすことで、平面的な意匠面を形成する配列状態から、曲面的な意匠面を形成する配列状態に変位させることが可能である。本発明では、意匠面を形成している複数の外形部が、連結部によって互いの相対位置を変更可能な状態で連結されている。そして本発明では、各外形部を、これらの相対位置関係を変えながら密又は疎に配列させて、所望の形状(平面形状や湾曲形状)に沿うように配置することで、意匠面の形状をより自由に変更することが可能となる。
【0006】
第2発明の乗物内装品は、第1発明の乗物内装品において、複数の外形部を個々に動かすことが可能である。本発明では、複数の外形部を個別に動かして相対位置を変更することにより、意匠面の形状をきめ細かく変更することができる。
【0007】
第3発明の乗物内装品は、第1発明又は第2発明の乗物内装品において、複数の外形部としての第一外形部と第二外形部とが、それぞれ意匠面側から見た平面視において円形状又は多角形状をなして、意匠面の面方向に格子状に配置されて連結されている。そして第一外形部には、平面視においてその周囲に配置する複数の連結部が傾動可能に取付けられ、第二外形部には、平面視においてその周囲に配置する複数の連結部が、それぞれ軸長さ方向及び軸周り方向に移動可能な状態で挿通されて、第二外形部の内部で交差して配置されている。本発明では、第一外形部と第二外形部とを、格子状に配列させて意匠面を形成している。このとき第一外形部に傾動可能に取付けられた連結部を、第二外形部に相対位置を変更可能な状態で挿通することで、意匠面の自由な形状変更を可能にしている。そして本発明では、複数の連結部を第二外形部内で交差状に配置することにより、この第二外形部の強度を向上させている。
【0008】
第4発明の乗物内装品は、第1発明~第3発明のいずれかの乗物内装品において、乗物用シートとして使用されるとともに、意匠面に相当する乗物用シートの着座面部が、通常走行時に乗員を支持する天板メイン部と、天板メイン部のシート幅方向側方に位置する天板サイド部とを有している。そして天板メイン部と天板サイド部とが、複数の外形部と連結部とによって一体的に形成されている。本発明では、乗物内装品が乗物用シートとして使用されることを考慮して、天板メイン部及び天板サイド部の意匠面となる着座面部を複数の外形部で一体的に形成している。このため着座面部の形状を、天板メイン部と天板サイド部の適宜の位置で自由に変更することが可能となる。
【0009】
第5発明の乗物内装品は、第4発明の乗物内装品において、乗員の下半身を支持するシートクッション部と、乗員の上半身を支持するシートバック部とを有し、意匠面に相当するシートクッション部の着座面部とシートバック部の着座面部が、複数の外形部と連結部とによって一体的に形成されている。本発明では、シートクッション部及びシートバック部の意匠面となる着座面部を複数の外形部で一体的に形成している。このため着座面部の形状を、シートクッション部とシートバック部の適宜の位置で自由に変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1発明によれば、外観をなす意匠面の形状をより自由に変更することができる。また第2発明によれば、外観をなす意匠面の形状を更に自由に変更することができる。また第3発明によれば、意匠面の強度を確保しつつ、その形状をより自由に変更することができる。また第4発明によれば、乗物用シートの意匠面となる着座面部の形状をより自由に変更することができる。そして第5発明によれば、乗物用シートの意匠面となる着座面部の形状を更に自由に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】乗物用シートの概略斜視図である。
図2】フレーム部(可動機構)を示す乗物用シートの透視斜視図である。
図3図1中のIIIで示す部分の着座面部の拡大正面図である。
図4】外形部と連結部の分解斜視図である。
図5】連結部を示す外形部の透視斜視図である。
図6】スライド移動時の外形部の透視斜視図である。
図7】傾動時の外形部の透視斜視図である。
図8】連結部の交差状態を示す第二外形部の透視斜視図である。
図9】フレーム部の拡大斜視図である。
図10】シートバック部の概略断面図である。
図11】フレーム部を作動させたシートバック部の概略断面図である。
図12】曲面的な着座面部の拡大正面図である。
図13】変形例1の着座面部を一部透視して示す拡大正面図である。
図14】変形例2の着座面部を一部透視して示す拡大正面図である。
図15】変形例3の着座面部を一部透視して示す拡大正面図である。
図16】変形例4の連結部を示す外形部の透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図1図16を参照して説明する。各図には、乗物用シートの前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。また図1では、便宜上、天板メイン部と天板サイド部の区別を容易とするために、天板メイン部にハッチを付けて図示する。また図3及び図12では、便宜上、一部の外形部にハッチを付けて、その他の外形部と区別している。そして図10及び図11では、便宜上、各外形部を大きく図示し、さらに外形部同士の位置関係を簡略化して示す。
【0013】
図1に示す乗物用シート2は、乗員(図示省略)の着座が可能な乗物内装品であり、乗員の下半身を支持するシートクッション部4と、乗員の上半身を支持するシートバック部6とを有している。そしてシートクッション部4は、その下面に配設された脚部5を介して乗物室内の床面に配設されている。またシートクッション部4の後部には、シートバック部6の下部が連結され、さらにシートバック部6の上部にはヘッドレスト部8が設けられている。このヘッドレスト部8は、乗員の頭部を支持する部分であり、乗員の背凭れとなるシートバック部6の下部分に比して、シート幅方向の寸法が小さくなっている。
【0014】
そして乗物用シート2は、図1図3を参照して、シートクッション部4とシートバック部6の骨格をなす一対のフレーム部4F,6Fと、各フレーム部4F,6Fに支持された着座面部10とを有している(各構成の詳細は後述)。この着座面部10は、シートクッション部4とシートバック部6の着座面を構成する部材であって、シートの正面側の意匠面を形成している。そして本実施例では、意匠性や利便性の確保の観点から、後述する可動機構としての各フレーム部4F,6Fによって、着座面部10の形状を適宜変更するのであるが、この種のシート構成では、着座面部10の形状をより自由に変更できることが望まれる。そこで本実施形態では、後述する構成(各外形部21,22及び各連結部30等)によって、意匠面としての着座面部10の形状をより自由に変更することとした。以下、着座面部10と各フレーム部4F,6Fの構成について詳述する。
【0015】
[着座面部(意匠面)]
図1に示す着座面部10は、シートクッション部4に位置する下着座面部11と、シートバック部6に位置する上着座面部12とを一体で有している。下着座面部11は、上方視で略矩形の部位であり、その着座面となる上面が、シートクッション部4の意匠面を形成している。この下着座面部11には、シート幅方向中央で前後に延びる下天板メイン部11aと、下天板メイン部11aのシート幅側方に位置する右側の下天板サイド部11b及び左側の下天板サイド部11cとが一体的に設けられている。また上着座面部12は、正面視で略矩形の部位であり、その着座面となる前面が、シートバック部6の意匠面を形成している。この上着座面部12には、シート幅方向中央で上下に延びる概ね平坦な上天板メイン部12aと、右側の上天板サイド部12bと、左側の上天板サイド部12cとが一体的に設けられている。そして下天板メイン部11aと上天板サイド部12bとは、通常走行時に乗員を支持する部位である。また各天板サイド部11b,11c,12b,12cは、後述するように着座側に曲がることが可能であり、カーブ走行時などに乗員の側部を支持することができる。
【0016】
図1に示す下着座面部11と上着座面部12とは、概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、上着座面部12を一例にその構成を詳述する。図1に示す上着座面部12は、図3を参照して、複数の第一外形部21と、複数の第二外形部22と、複数の軸状の連結部30~32を有している(図3では、便宜上、各第一外形部に共通の符号21を付し、各第二外形部に共通の符号22を付す。また各連結部に共通の符号30を付すが、特定の連結部には、説明の便宜のために特定の符号31,32を付している)。そして上着座面部12の面形状は、その面方向に規則的に配列された第一外形部21と第二外形部22が、対応する連結部30~32を介して連結されることで形成されている。
【0017】
ここで各外形部21,22と連結部30~32の構成を説明する前に、まず上着座面部12における各外形部21,22の配列関係の概要を説明する。図3に示す上着座面部12では、各第一外形部21と各第二外形部22が概ね六方格子状に配置されている。例えば図3中でハッチを付けた第一外形部21を中心とした場合に、この第一外形部21の周囲には、六つの第二外形部22が配置されている。また図3中でハッチを付けた第二外形部22を中心とした場合、この第二外形部22の周囲には、三つの第一外形部21と、三つの第二外形部22とが互い違いに配置されている。そして隣り合う第一外形部21と第二外形部22とは後述する連結部30等を介して連結されており、隣り合う第二外形部22同士は連結されておらず自由状態となっている。
【0018】
[外形部]
つづいて各外形部の構成を説明するが、図3に示す複数の第一外形部21は概ね同一の基本構成を有しているため、ハッチを付けた第一外形部21を一例にその詳細を説明する。この第一外形部21は、図4に示すように、前後方向を向いた六角柱状の中空部材であり、意匠面側(図の前側)から見た平面視で概ね正六角形状をなしている。この第一外形部21では、その前端面21aが概ね平坦であるとともに、各辺をなす側壁部21bが前後方向に延びている。また側壁部21bで形成された各辺には、後述する連結部30を挿設するための挿設孔21c(貫通孔)がそれぞれ設けられ、さらにその内側には、連結部30を軸支するための軸受け部21dが形成されている。
【0019】
また図3に示す複数の第二外形部22も概ね同一の基本構成を有しているため、ハッチを付けた第二外形部22を一例にその詳細を説明する。この第二外形部22は、図4に示すように、前後方向を向いた六角柱状の中空部材であり、平面視で不等辺六角形状をなしている。この第二外形部22では、その前端面22aが概ね平坦であるが、側壁部22bには、相対的に短尺な辺と、相対的に長尺な辺が交互に形成されている。そして第二外形部22の短尺な辺をなす各側壁部22bには、後述する連結部30等を挿通するための挿通孔22c(貫通孔)が設けられている。また第二外形部22の長尺な辺をなす各側壁部22bにも貫通孔Hが設けられ、この貫通孔Hには、後述する連結部30の一部(補強柱部322)が外部に露出可能に配置される。
【0020】
[連結部]
そして図3に示す複数の連結部30等も概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、一つの連結部30を一例にその詳細を説明する。この連結部30は、図4に示すように、隣り合う第一外形部21と第二外形部22を連結する軸状の部材であり、第一板部310と第二板部320が軸長さ方向に連結されることで形成されている。そして第一板部310は、第一外形部21の挿設孔21cに挿設される縦板状の部位であり、図7に示すように第一外形部21に対して前後方向に傾動可能な状態で取付けられる。すなわち第一板部310には、傾動の際の回転中心となる一対の傾動軸部311,312が突出しており、これら各傾動軸部311,312が、第一外形部21内の軸受け部21dに回転可能に軸支される。また第一板部310の先端面は、第一外形部21から外方に突出し、この先端面から突出する回転軸313に後述する第二板部320が連結されている。
【0021】
また図4に示す第二板部320は、第二外形部22の挿通孔22cに挿通される部位であり、縦板状のスライド板部321と、このスライド板部321から突出する角柱状の補強柱部322とを一体で有している。この第二板部320のスライド板部321は、第一板部310の回転軸313の軸周りに回転可能に連結されている。そしてスライド板部321の先端面323は、前後方向に張り出した立壁状に形成されており、第二外形部22からの抜外れ防止とそのスライド移動量を規定するために設けられる。また補強柱部322は、スライド板部321の先端面323から突出する四角柱状の部位であり、適宜の長さ寸法を有している。なお先端面323に対する補強柱部322の形成位置(前後の形成位置)は、後述するように連結部毎に異なっており、図4に示す連結部30では最も後方に形成されている。そして第二板部320を、第二外形部22の挿通孔22cに摺動可能に挿通することで、この第二外形部22が、図5に示すように連結部30を介して第一外形部21に連結される。この連結状態の第二外形部22では、その内部にスライド板部321が配置され、さらに補強柱部322が、第二外形部22を横断するように配置されて貫通孔H付近まで延設されている。そして第二外形部22は、スライド板部321に沿うように軸長さ方向にスライド移動することができ、第二外形部22の内面(図示省略)がスライド板部321の先端面323に当接するまでスライド移動可能である。
【0022】
そして図5図7を参照して、第一外形部21と第二外形部22とは、連結部30を介して互いの相対位置を変更することが可能となっている。例えば図5及び図6を参照して、第二外形部22は、第二板部320のスライド板部321に沿って軸長さ方向(図6の矢線A1方向)にスライド移動することで、第一外形部21に対して近接又は離間することができる。また第一外形部21と第二外形部22とは、第二板部320が第一板部310の回転軸313の軸線周り(図6の矢線A2方向)に回転することで、回転軸313に対する互いの傾き度合いを変更することができる。さらに図5及び図7を参照して、第一外形部21と第二外形部22とは、第一外形部21に対する第一板部310の傾動(図7の矢線A3方向の傾動)にて、上着座面部12の表裏方向となる前後方向に互いの相対位置を変更することができる。そして本実施例では、第一外形部21と第二外形部22とを個別に動かして互いの相対位置を変更でき、後述する図10のフレーム部6Fによって上着座面部1の形状をきめ細かく変更することが可能となっている。
【0023】
[連結部による第二外形部の補強]
ここで図3中のハッチを付けた第二外形部22の周囲には、上述したように三つの第一外形部21が配置され、これら各第一外形部21が対応する連結部30~32を介して連結している。そして図8を参照して、意匠面側(前側)から第二外形部22を見た場合に、挿通された三つの連結部30~32が第二外形部22の内部で交差状に配置されている。すなわち各連結部30,31,32は、それぞれ対応する補強柱部322,322x,322yを有し、これら各補強柱部322,322x,322yが第二外形部22の概ね中心(X)で交差している。そして各補強柱部322,322x,322yは、第二外形部22の高さ方向(前後方向)の形成位置が異なっており、第二外形部22内で前後に重なるように配置されている。こうして複数の各補強柱部322,322x,322yを第二外形部22内で交差状に配置して、各補強柱部322,322x,322yを補強材として使用することにより、第二外形部22の強度を確保することができる。
【0024】
[フレーム部(可動機構)]
図2に示す乗物用シート2は、シートクッション部4の骨格をなす下フレーム部4Fと、シートバック部6の骨格をなす上フレーム部6Fとを有している。そして本実施例では、下フレーム部4Fと上フレーム部6Fとが、それぞれ本発明の可動機構に相当し、これら各フレーム部4F,6Fの働きで、図1に示す着座面部10の形状を変更することが可能となっている。そして下フレーム部4Fは、複数の下横フレーム41で形成されている(図2では、便宜上、三つの下横フレームに共通の符号41を付す)。これら各下横フレーム41は、脚部5の上面に前後に適宜の間隔をあけて固定されており、この脚部5からシート幅方向両側(左右)に張り出している。
【0025】
また図2に示す上フレーム部6Fは、脚部5の後部から起立する柱状の縦フレーム60と、複数の下側の上横フレーム61と、複数の上側の上横フレーム61aとで形成されている(図2では、便宜上、六つの下側の上横フレームに共通の符号61を付し、二つの上側の上横フレームに共通の符号61aを付す)。ここで縦フレーム60は、乗員の背骨の形状に沿うように後方に緩やかに弓なりに湾曲している。そして下側の各上横フレーム61は、シートバック部6の下部分に配設され、上側の各上横フレーム61aは、相対的にシート幅方向の寸法が小さくされてヘッドレスト部8に配設される。そして各上横フレーム61,61aは、上下方向に適宜の間隔をあけて縦フレーム60に固定されており、この縦フレーム60からシート幅方向両側に張り出している。
【0026】
そして本実施例では、図2に示す各下横フレーム41と各上横フレーム61,61aとが、配置位置及び左右の寸法が異なる以外は概ね同一の基本構成を有している。そこで以下に、上フレーム部6Fの一つの上横フレーム61を一例にその詳細を説明する。図9に示す上横フレーム61は、センター部62と、センター部62から右方に張り出す右アーム部63と、センター部62から左方に張り出す左アーム部64と、一対のチューブ材TM1,TM2とを有している。ここでセンター部62は、正面視で概ね矩形の部位であり、縦フレーム60の前面に取付けられている。本実施例では、図2及び図9を参照して、各上横フレーム61のセンター部62が縦フレーム60の前面で上下に並び、さらに隣り合うセンター部62同士がヒンジ部62Hを介して連結されている。そして隣り合う各センター部62同士は、縦フレーム60の湾曲形状に沿うように、対応するヒンジ部62Hで前後方向に適宜曲がりながら配置されている。
【0027】
また図9に示す右アーム部63と左アーム部64とは、左右対称に配置されている以外は概ね同一の基本構成を有している。例えば図9及び図10に示す右アーム部63は、センター部62から右方に張り出す右固定部位63aと、この右固定部位63aに対して前後に屈曲可能に連結する右可動部位63bとを有している。右固定部位63aは、正面視で上底を右方に向けた略台形状の部位であり、上着座面部12の上天板メイン部12a側に位置している。この右固定部位63aの前面左側には、後述するチューブ材用の右側固定部72が設けられ、この右側固定部72はエア供給と排出を担う部位ともなっている。そして右固定部位63aの左端には、縦フレーム60に対する位置決めのために、後方に屈曲する右位置決め部63cが設けられている。また右可動部位63bは、上底を右方に向けた正面視で略台形状の板状部位であり、上着座面部12の右側の上天板サイド部12b側に位置している。この右可動部位63bは、右固定部位63aの右端(上底)にヒンジ部位63Hを介して連結しており、このヒンジ部位63Hを基点として前後方向に屈曲することができる。なお右可動部位63bは、ヒンジ部位63Hに配設された付勢部(図示省略)によって後方に付勢されており、通常状態においては右固定部位63aに概ね平行に配置されている。そして右可動部位63bの右端側には、チューブ材用の右端固定部73が設けられ、この右端固定部73はエア供給と排出を担う部位ともなっている。
【0028】
また図9及び図10を参照して、左アーム部64は、左固定部位64aと、左可動部位64bと、両部位を屈曲可能に連結する別のヒンジ部位64Hを有している。そして左固定部位64aは、右固定部位63aと左右対称となるように設けられており、チューブ材用の左側固定部82と、左位置決め部64cとを有している。また左可動部位64bは、右可動部位63bと左右対称となるように設けられており、チューブ材用の左端固定部83を有している。
【0029】
また図9に示すチューブ材TM1,TM2は、ソフトアクチュエータ(人工筋肉)の一種であり、それぞれエアの供給により短縮し且つエアの排出により伸長することができる。各チューブ材TM1,TM2は、ゴムやエラストマ等の伸縮可能な管材で形成することができ、その延長方向における適宜の位置に図示しない輪材が嵌装されている。そしてチューブ材TM1,TM2内にエアを供給して、二つの輪材で挟まれた部分を径方向に拡径することにより、各チューブ材TM1,TM2を短縮させることができる。また各チューブ材TM1,TM2内からエアを排出して、二つの輪材で挟まれた部分を元の径寸法に戻す(縮径する)ことにより、各チューブ材TM1,TM2を伸長させることができる。
【0030】
本実施例では、図9に示す上横フレーム61に、一対のチューブ材TM1,TM2を概ね左右対称に配設することができる。そして各チューブ材TM1(TM2)の伸縮を利用して、上横フレーム61の左右の各可動部位63b(64b)を前後に屈曲させる。例えば図9図11を参照して、右アーム部63の右可動部位63bを屈曲させるために、一本のチューブ材TM1を、左右方向に向けながら右可動部位63bから左アーム部64にかけて張設しておく。そしてこのチューブ材TM1の両端を、右可動部位63bの右端固定部73と、左アーム部64の左側固定部82に固定する。そしてチューブ材TM1内にエアを供給して短縮させると、右可動部位63bが、チューブ材TM1によって左アーム部64側に引っ張られて次第に前方に屈曲していく。またチューブ材TM1内からエアを排出して伸長させると、右可動部位63bが、チューブ材TM1の伸長とともに後方に屈曲して元の状態に復帰する。また図9に示す左アーム部64の左可動部位64bを屈曲させる場合、別のチューブ材TM2を、左可動部位64bから右アーム部63にかけて張設しておく。そしてこの別のチューブ材TM2の両端を、左可動部位64bの左端固定部83と、右アーム部63の右側固定部72に固定する。
【0031】
そして上フレーム部6Fには、図2及び図9を参照して、複数(図2では12)の可動部位63b,64bが設けられ、これらを個別に動かすことが可能となっている。すなわち図示しない制御部によって、各チューブ材TM1,TM2へのエアの供給及び排出を個別に制御することができる。なお制御部への命令は、図示しない操作部を介して手動で行うことができ、図示しないセンサを介して自動で行うこともできる。こうして上フレーム部6Fでは、複数の上横フレーム61,61a毎に可動部位の屈曲状態を変更することができる。さらに各上横フレーム61,61aにおいて、右アーム部63の右可動部位63bと左アーム部64の左可動部位64bを個別に屈曲させることもできる。また同様に図2に示す下フレーム部4Fにも、複数(図2では6)の可動部位(符号省略)が設けられ、これらを個別に動かすことが可能となっている。
【0032】
[着座面部(意匠面)の形状変更]
図1及び図2に示す乗物用シート2では、意匠性や利便性の確保の観点から、可動機構としての各フレーム部4F,6Fを動かして着座面部10(意匠面)の外形形状を適宜変更する。この種のシート構成では、着座面部10の形状をより自由に変更できることが望まれる。そこで図3を参照して、着座面部10は、その面方向に配列された複数の外形部21,22が、軸状の連結部30等を介して連結されることで形成されている。また隣り合う外形部21,22同士は、連結部30等の軸長さ方向及び軸周り方向に互いの相対位置を変更可能な状態とされて、着座面部10の表裏方向に向けて傾動可能に連結部30等で連結されている。そして複数の外形部21,22を、相対位置を変えながら疎又は密となるように、図2に示すフレーム部4F,6Fにて動かす。こうすることで、着座面部10を、平面的な意匠面を形成する配列状態から、曲面的な意匠面を形成する配列状態に変位させることが可能である。こうして本実施例では、各外形部21,22を、これらの相対位置関係を変えながら密又は疎に配列させることで、所望の形状(平面形状や湾曲形状)に沿うように配置することとしている。そこで以下に、上着座面部12を一例にその形状変更の態様を具体的に説明する。
【0033】
ここで以下の説明では、図10及び図11を参照して、上フレーム部6Fの右アーム部63を着座側となる前側に屈曲させた場合を想定する。このとき上着座面部12では、複数の各外形部21,22が、右アーム部63の右可動部位63b(可動機構)の力を受けることで、次第に前側に盛り上がりながら曲面的に配列されていく。そして上着座面部12では、図3及び図12を参照して、各第一外形部21と各第二外形部22が個別に動くことで、所望の曲面形状(曲率等)を形成するように互いの相対位置をフレキシブルに変更することができる。
【0034】
例えば隣り合う第一外形部21と第二外形部22とは、図6に示すように連結部30の軸長さ方向(矢線A1方向)にスライド移動して次第に離れていく。こうして複数の外形部21,22は、図3に示す元の平面的な形状に沿う密な配列状態から、図12に示す曲面的な形状に沿う疎な配列状態に変位していくことができる。また図11に示す上天板サイド部12b側の上着座面部12は、左から右に向かうにつれて次第に前方に湾曲する。このとき第一外形部21と第二外形部22とは、図7に示すように、第一外形部21に対する連結部30の傾動(矢線A3方向の傾動)によって、上着座面部12の表裏方向となる前後方向に互いの相対位置を変更することができる。さらに図11に示す上着座面部12では、上から下(または下から上)に向かうにつれて次第に前方に湾曲する場合もある。このような場合には、第一外形部21と第二外形部22とが、図6に示すように、第二板部320が回転軸313の軸線周り(矢線A2方向)に回転することで、互いの傾き度合いを変更することができる。こうして本実施例では、各外形部21,22が個々に動いて適切な相対位置関係を取ることで、上着座面部12の曲面形状(曲率)をきめ細かく変更することができる。そして乗物用シート2から乗員が離れた場合には、上着座面部12の形状をそのままの状態で維持してもよいが、元の状態に復帰させることもできる。すなわち図10に示すように右可動部位63bを元の状態に戻すことで、複数の外形部21,22を、図3に示す平面的な配列状態に戻すことができる。
【0035】
こうして図1に示す着座面部10の形状を乗員の身体的特徴(体の形,体格の大小,姿勢等)に応じて変更することで、着座した乗員に対して着座面部10をフィットさせることが可能となる。さらに図2及び図11を参照して、下フレーム部4Fと上フレーム部6Fは、人工筋肉としての各チューブ材TM1,TM2を有している。これら各チューブ材TM1,TM2は、収縮方向(左右方向)には変形しにくいが、収縮方向と直交する方向(例えば前後方向や上下方向)には変形しやすい。このため本実施例では、図11に示す各チューブ材TM1,TM2が適度に撓み変形しながら上着座面部12等を支持することができ、この上着座面部12等を一層乗員にフィットさせることができる。
【0036】
そして乗物用シート2では、図1及び図3を参照して、シートクッション部4及びシートバック部6の意匠面となる着座面部10を複数の外形部21,22で一体的に形成している。さらにシートクッション部4では、下天板メイン部11a及び各下天板サイド部11b,11cが一体的に形成され、シートバック部6でも、上天板メイン部12a及び各上天板サイド部12b,12cが一体的に形成されている。このため本実施例では、図1に示す着座面部10の形状を、シートクッション部4及びシートバック部6の適宜の位置で自由に変更することができ、優れた意匠性や利便性の確保に資する構成となっている。例えば小柄の乗員の場合には、シート幅方向に動く可動機構(図示省略)を使用して、図3に示すように着座面部10の各外形部21,22を密に配置してその面積を小さくすることができる。逆に大柄の乗員の場合には、図12に示すように着座面部10の各外形部21,22を疎に配置してその面積を大きくすることができる。さらに図1に示す乗物用シート2では、カーブ走行時等の際に左右いずれかの各天板サイド部11b,12b(11c,12c)を着座側に突出させたり、各天板サイド部を部分的に突出させて注意を促したりする(注意喚起を行う)こともできる。
【0037】
以上説明した通り本実施例では、着座面部10(意匠面)を形成している複数の外形部21,22が、連結部30等によって互いの相対位置を変更可能な状態で連結されている。そして本実施例では、各外形部21,22を、これらの相対位置関係を変えながら密又は疎に配列させて、所望の形状(平面形状や湾曲形状)に沿うように配置することで、意匠面の形状をより自由に変更することが可能となる。このため本実施例によれば、外観をなす意匠面としての着座面部10の形状をより自由に変更することができる。
【0038】
さらに本実施例では、第一外形部21に傾動可能に取付けられた連結部30等を、第二外形部22に相対位置を変更可能な状態で挿通することで、意匠面の自由な形状変更を可能にしている。そして複数の連結部30~32を第二外形部22内で交差状に配置することにより、この第二外形部22の強度を向上させている。また本実施例では、乗物内装品が乗物用シート2として使用されることを考慮して、各天板メイン部11a(12a)及び各天板サイド部11b,11c(12b,12c)の意匠面となる着座面部10を複数の外形部21,22で一体的に形成している。このため着座面部10の形状を、各天板メイン部11a(12a)及び各天板サイド部11b,11c(12b,12c)の適宜の位置で自由に変更することができる。さらに本実施例では、シートクッション部4及びシートバック部6の意匠面となる着座面部10を複数の外形部21,22で一体的に形成している。このため着座面部10の形状を、シートクッション部4とシートバック部6の適宜の位置で自由に変更することができる。
【0039】
[変形例1]
ここで着座面部(意匠面)の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図13に示す変形例1の着座面部10Xでは、第一外形部21Xと第二外形部22Xとが概ね正方格子状に互い違いに配置されて、対応する連結部30Xで連結されている。これら各第一外形部21Xと各第二外形部22Xとは、それぞれ前後方向を向いた四角柱状の中空部材であり、意匠面側から見た平面視で概ね正四角形状をなしている。そして本変形例では、意匠面側から第二外形部22Xを見た場合に、四つの連結部30Xの補強柱部322Xが、第二外形部22Xの内部で十字をなすように交差状に配置されている(図13中、二点破線で図示した第二外形部を参照)。これら四つの補強柱部322Xは、第二外形部22Xの高さ方向(前後方向)の位置が異なるように形成されており、第二外形部22Xの概ね中心(X)で前後から重なるように配置されて交差している。こうして本変形例では、四つの補強柱部322Xを補強材として使用することにより、第二外形部22Xの強度をさらに確実に確保することができる。
【0040】
[変形例2]
また図14に示す変形例2の着座面部10Yは、変形例1の着座面部と概ね同様の基本構成を有しているが、第一外形部21Yと第二外形部22Yが概ね円柱状となっており、着座面側から見た場合に円形状をなしている。そして本変形例においても、意匠面側から第二外形部22Yを見た場合に、四つの連結部30Yの補強柱部322Yが、第二外形部22Yの内部で十字をなすように交差状に配置されているため、第二外形部22Yの強度をさらに確実に確保することができる(図14中、二点破線で図示した第二外形部を参照)。なお本変形例では、各外形部21Y,22Yを円柱状に形成したが、楕円柱状でもよく、球形状や半球形状でもよく、これらを組み合わせることで独自の意匠や感触を表現することもできる。
【0041】
[変形例3]
また図15に示す変形例3の着座面部10Zでは、第一外形部21Zと第二外形部22Zとが、それぞれ着座面側から見た場合に三角形状をなし、概ね三角格子状に互い違いに配置されている。また第二外形部22Zの内部には、三つの連結部30Zの補強柱部322Zが交差状に配置されているため、第二外形部22Zの強度を確保することができる(図15中、二点破線で図示した第二外形部を参照)。そして各外形部21Z,22Zは、それぞれ形の崩れにくい最小の辺で構成された三角形状をなしているため、強度性に一層優れる構成となっている。
【0042】
[変形例4]
また図16に示す変形例4では、第一外形部21と第二外形部22を連結する連結部30Aが実施例と異なっている。そして本変形例の連結部30Aは、実施例1と同様に第二板部に相当する部分(スライド板部321,補強柱部322,先端面323)を有しているが、第一板部の代わりにボールジョイント部310Aを一体で有している。このボールジョイント部310Aは、概ね球形状の部位であり、第一外形部21に回転自在に挿設されている。そして本変形例では、第一外形部21と第二外形部22とが、連結部30Aのボールジョイント部310Aの曲面に沿って位置変位可能な状態で連結されるため、互いの相対位置を一層フレキシブルに変更することが可能である。
【0043】
本実施形態の乗物用シート(乗物内装品)は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、外形部21,22等及び連結部30等の構成(形状,寸法,配置位置,配置数など)を例示したが、各部の構成を限定する趣旨ではない。例えば連結部の第一板部と第二板部とを、ボールジョイントや自在継手を介して連結することも可能である。また複数の連結部を第二外形部に挿通する場合、複数の連結部の全部又は一部を交差状に配置することができ、交差状に配置させないこともできる。また各外形部の配列状態として、六方格子や正方格子や三角格子のほかに各種の格子状態を採用でき、ランダムに配列させることも可能である。また各外形部の形状や寸法も適宜変更可能であり、互いに異なる形状や寸法(異形)であってもよい。また複数の外形部を、平面充填可能な多角形状とすることができるが、必ずしも充填配置する必要はない。そして実施例と各変形例の外形部及び連結部の構成は、適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0044】
また本実施形態では、シートクッション部4とシートバック部6の各着座面部を一体的に形成したが、シートクッション部の下着座面部とシートバック部の上着座面部を個別に形成することもできる。また着座面部を、天板メイン部と各天板サイド部とで個別に形成することもできる。また本実施形態では、可動機構として各フレーム部を用いる例を説明したが、可動機構の構成を限定する趣旨ではない。例えば可動機構として、各種のアクチュエータやエアバッグを用いることができ、人工筋肉として、電気的又は熱的な刺激で収縮する線材や面材を用いることができる。そして各種の可動機構を設置して、着座面部の全体又は一部の外形形状を変更する場合のほか、その少なくとも一部を動かして注意喚起機能やマッサージ機能を持たせることもできる。
【0045】
また本実施形態では、乗物内装品として乗物用シート2を例示したが、本実施形態の構成は、各種の乗物内装品に適用することができる。この種の乗物内装品として、乗物用シートのほか、ドア部やインストルメントパネルや天井部やコンソールなどの各種部材を例示でき、本実施形態の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物に搭載される乗物内装品に好適に適用できる。そして乗物内装品の外形を乗員に合わせて変更することにより、特定の乗員に適した乗物室内環境を形成することが可能である。また乗物用シートにおいては、シートクッション部やシートバック部のほか、アームレスト等の各種シート構成部材の意匠面を構成する部分に本実施形態の構成を適用できる。またシートクッション部の前後の長さが可変とされている場合や、シートバック部の長さが可変とされている場合(例えばヘッドレスト部を昇降可能としている場合)にも、本実施形態の着座面部を好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
2 乗物用シート
4 シートクッション部
5 脚部
6 シートバック部
8 ヘッドレスト部
10 着座面部
11 下着座面部
11a 下天板メイン部
11b 右側の下天板サイド部
11c 左側の下天板サイド部
12 上着座面部
12a 上天板メイン部
12b 右側の天板サイド部
12c 左側の天板サイド部
21 第一外形部
21a (第一外形部の)前端面
21b (第一外形部の)側壁部
21c 挿設孔
21d 軸受け部
22 第二外形部
22a (第二外形部の)前端面
22b (第二外形部の)側壁部
22c 挿通孔
H 貫通孔
30~32 連結部
310 第一板部
311,312 傾動軸部
313 回転軸
320 第二板部
321 スライド板部
322,322x,322y 補強柱部
323 先端面
4F 下フレーム部(本発明の可動機構)
41 下横フレーム
6F 上フレーム部(本発明の可動機構)
60 縦フレーム
61 (下側の)上横フレーム
61a (上側の)上横フレーム
62 センター部
62H ヒンジ部
63 右アーム部
63a 右固定部位
63b 右可動部位
63c 右位置決め部
63H ヒンジ部位
64 左アーム部
64a 左固定部位
64b 左可動部位
64c 左位置決め部
64H 別のヒンジ部位
72 右側固定部
73 右端固定部
82 左側固定部
83 左端固定部
TM1 チューブ材
TM2 別のチューブ材
10X (変形例1の)着座面部
21X (変形例1の)第一外形部
22X (変形例1の)第二外形部
30X (変形例1の)連結部
322X (変形例1の)補強柱部
10Y (変形例2の)着座面部
21Y (変形例2の)第一外形部
22Y (変形例2の)第二外形部
30Y (変形例2の)連結部
322Y (変形例2の)補強柱部
10Z (変形例3の)着座面部
21Z (変形例3の)第一外形部
22Z (変形例3の)第二外形部
30Z (変形例3の)連結部
322Z (変形例3の)補強柱部
30A (変形例4の)連結部
310A ボールジョイント部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16