(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車両の充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240214BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240214BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240214BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240214BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240214BHJP
B60L 53/20 20190101ALI20240214BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20240214BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/00 P
H02J7/10 J
H02J7/10 L
H02J7/00 B
H01M10/48 301
H01M10/44 P
H01M10/48 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/20
B60L58/13
(21)【出願番号】P 2020122001
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2020019095
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 隆之
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 大和
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/081423(WO,A1)
【文献】特開2000-312443(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051151(WO,A1)
【文献】特開2010-035280(JP,A)
【文献】特開2018-129958(JP,A)
【文献】特開2015-061335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 7/10
H01M 10/48
H01M 10/44
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/20
B60L 58/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を直列接続した組電池(11)が充電器(21)を介して外部電源(31)に接続された場合に、複数段階の充電により前記組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように前記組電池を充電する車両の充電システムであって、
前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記複数の単電池の充電比率の偏差を所定偏差以下にする均等化を実行する均等化部(22,23,25)と、
前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する充電部(21,25)と、
を備え
、
前記単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きは、前記単電池の充電比率が第1範囲に含まれる場合に第1傾きよりも大きくなり、前記単電池の充電比率が前記第1範囲と異なる第2範囲に含まれる場合に前記第1傾きよりも小さくなる第1関係を満たし、
前記均等化部は、前記第1関係及び検出された前記単電池の出力電圧に基づいて、各単電池の充電比率を算出し、
前記充電部は、前記均等化部により前記均等化を実行する直前の段階の充電を、所定の前記単電池の充電比率が前記第1範囲に含まれている状態で終了する、車両の充電システム。
【請求項2】
複数の単電池を直列接続した組電池(11)が充電器(21)を介して外部電源(31)に接続された場合に、複数段階の充電により前記組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように前記組電池を充電する車両の充電システムであって、
前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記複数の単電池の充電比率の偏差を所定偏差以下にする均等化を実行する均等化部(22,23,25)と、
前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する充電部(21,25)と、
を備え、
前記単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きは、前記単電池の充電比率が第3範囲に含まれる場合に第2傾きよりも大きくなり、前記単電池の充電比率が前記第3範囲と異なる第4範囲に含まれ且つ前記単電池の温度が所定温度範囲に含まれる場合に前記第2傾きよりも小さくなる第2関係を満たし、
前記均等化部は、前記第2関係及び検出された前記単電池の出力電圧に基づいて、前記単電池の充電比率を算出し、
前記充電部は、前記均等化部により前記均等化を実行する直前の段階の充電を、所定の前記単電池の充電比率が前記第3範囲に含まれている状態で終了する
、車両の充電システム。
【請求項3】
複数の単電池を直列接続した組電池(11)が充電器(21)を介して外部電源(31)に接続された場合に、複数段階の充電により前記組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように前記組電池を充電する車両の充電システムであって、
前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記複数の単電池の充電比率の偏差を所定偏差以下にする均等化を実行する均等化部(22,23,25)と、
前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する充電部(21,25)と、
を備え、
前記充電部は、前記最終段階の充電よりも1つ前の段階の充電を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも低い場合に、前記1つ前の段階の充電を前記組電池の充電比率が第1比率である状態で終了し、前記外気の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記1つ前の段階の充電を前記組電池の充電比率が前記第1比率よりも大きい第2比率である状態で終了する
、車両の充電システム。
【請求項4】
前記充電部による前記最終段階の充電が終了した後に、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続されている状態が所定時間を超えて継続している場合に、前記組電池の充電比率を前記終了比率よりも小さくするように前記組電池を放電させる放電部(22,23,25)を備える、請求項1~
3のいずれか1項に記載の車両の充電システム。
【請求項5】
複数の単電池を直列接続した組電池(11)が充電器(21)を介して外部電源(31)に接続された場合に、複数段階の充電により前記組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように前記組電池を充電する車両の充電システムであって、
前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記複数の単電池の充電比率の偏差を所定偏差以下にする均等化を実行する均等化部(22,23,25)と、
前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する充電部(21,25)と、
を備え、
前記充電部による前記最終段階の充電が終了した後に、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続されている状態が所定時間を超えて継続している場合に、前記組電池の充電比率を前記終了比率よりも小さくするように前記組電池を放電させる放電部(22,23,25)を備える、車両の充電システム。
【請求項6】
前記充電部は、前記均等化部による前記均等化が終了した後に、前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する、請求項1
~5のいずれか1項に記載の車両の充電システム。
【請求項7】
前記充電部は、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時に第1段階の充電を実行する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の車両の充電システム。
【請求項8】
前記均等化部は、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記均等化が必要か否かを周期的に判定し、前記均等化が必要であると判定した場合に前記均等化を実行する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の車両の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から車両の組電池に充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電源と車両とが結合されたときには、満充電状態よりも低い充電状態を目標値として第1の充電動作を実行し、充電状態が目標値に到達した後は充電を停止させ、充電終了予定時刻に満充電状態となるように第2の充電動作を実行する充電システムがある(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の充電システムよれば、第2の充電動作は充電終了予定時刻に蓄電装置が満充電状態となるように実行されるため、蓄電装置が満充電状態に維持される時間が短くなり、蓄電装置の劣化を抑制することができる。さらに、特許文献1によれば、外部電源と車両とが結合されたときに直ちに第1の充電動作を行うため、充電終了予定時刻よりも早い時刻にユーザが車両の走行を開始したとしても、蓄電装置に蓄えられた電力を用いて車両を走行させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の充電システムでは、蓄電装置として複数の単電池を直列に接続した組電池を採用した場合に、以下の問題が生じる。すなわち、外部電源と車両とが結合されたときに直ちに第1の充電動作を行うため、複数の単電池のSOC(State of Charge:満充電容量に対する現在の残量の比率[%])がばらついた状態で充電が実行される。このため、第2の充電動作を終了した状態においても、複数の単電池間のSOC(充電比率)の偏差が大きいままとなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように組電池を充電する車両の充電システムにおいて、充電の終了予定時刻よりも早い時刻であっても車両の走行を可能とするとともに、終了予定時刻での単電池間の充電比率の偏差を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段は、
複数の単電池を直列接続した組電池(11)が充電器(21)を介して外部電源(31)に接続された場合に、複数段階の充電により前記組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように前記組電池を充電する車両の充電システムであって、
前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記複数の単電池の充電比率の偏差を所定偏差以下にする均等化を実行する均等化部(22,23,25)と、
前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する充電部(21,25)と、
を備える。
【0008】
上記構成によれば、車両の充電システムは、複数の単電池を直列接続した組電池が充電器を介して外部電源に接続された場合に、複数段階の充電により組電池の充電比率が終了予定時刻に所定の終了比率となるように組電池を充電する。これにより、終了予定時刻に組電池の充電比率が終了比率となるため、組電池の充電比率が終了比率に維持される時間が短くなり、組電池の劣化を抑制することができる。さらに、複数段階の充電のうち最終段階の充電よりも前の段階の充電によっても組電池が充電されるため、終了予定時刻よりも早い時刻であっても車両の走行を可能とすることができる。
【0009】
ここで、充電前に複数の単電池間の充電比率の偏差が大きい場合は、最終段階の充電後も複数の単電池間の充電比率の偏差が大きいままとなるおそれがある。この点、均等化部は、組電池が充電器を介して外部電源に接続された時から複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、複数の単電池の充電比率の偏差を所定偏差以下にする均等化を実行する。このため、充電前に複数の単電池間の充電比率の偏差が大きい場合であっても、最終段階の充電の開始時よりも前に複数の単電池間の充電比率の偏差を縮小することができる。そして、充電部は、組電池の充電比率が終了予定時刻に終了比率となるように最終段階の充電を実行する。したがって、終了予定時刻での単電池間の充電比率の偏差を抑制することができる。
【0010】
第2の手段では、前記充電部は、前記均等化部による前記均等化が終了した後に、前記組電池の充電比率が前記終了予定時刻に前記終了比率となるように前記最終段階の充電を実行する。
【0011】
上記構成によれば、充電前に複数の単電池間の充電比率の偏差が大きい場合であっても、最終段階の充電の開始時よりも前に複数の単電池間の充電比率の偏差を所定偏差以下にすることができる。そして、充電部は、均等化部による均等化が終了した後に、組電池の充電比率が終了予定時刻に終了比率となるように最終段階の充電を実行する。したがって、終了予定時刻での単電池間の充電比率の偏差を抑制することができる。
【0012】
第3の手段では、前記単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きは、前記単電池の充電比率が第1範囲に含まれる場合に第1傾きよりも大きくなり、前記単電池の充電比率が前記第1範囲と異なる第2範囲に含まれる場合に前記第1傾きよりも小さくなる第1関係を満たし、前記均等化部は、前記第1関係及び検出された前記単電池の出力電圧に基づいて、各単電池の充電比率を算出し、前記充電部は、前記均等化部により前記均等化を実行する直前の段階の充電を、所定の前記単電池の充電比率が前記第1範囲に含まれている状態で終了する。
【0013】
上記構成によれば、単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きは、単電池の充電比率が第1範囲に含まれる場合に第1傾きよりも大きくなり、単電池の充電比率が第1範囲と異なる第2範囲に含まれる場合に前記第1傾きよりも小さくなる第1関係を満たす。そして、均等化部は、第1関係及び検出された単電池の出力電圧に基づいて、単電池の充電比率を算出する。このため、単電池の充電比率が第2範囲に含まれている状態では、単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きが第1傾きよりも小さくなり、第1関係及び検出された単電池の出力電圧に基づいて、各単電池の充電比率を正確に算出することができないおそれがある。
【0014】
この点、充電部は、均等化部により均等化を実行する直前の段階の充電を、所定の単電池の充電比率が第1範囲に含まれている状態で終了する。単電池の充電比率が第1範囲に含まれている状態では、単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きが第1傾きよりも大きくなる。このため、単電池の充電比率が第2範囲に含まれている状態と比較して、第1関係及び検出された単電池の出力電圧に基づいて、単電池の充電比率を正確に算出することができる。したがって、均等化部が均等化を実行する場合に、各単電池の充電比率を正確に算出することができ、均等化の精度を向上させることができる。
【0015】
第4の手段では、前記単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きは、前記単電池の充電比率が第3範囲に含まれる場合に第2傾きよりも大きくなり、前記単電池の充電比率が前記第3範囲と異なる第4範囲に含まれ且つ前記単電池の温度が所定温度範囲に含まれる場合に前記第2傾きよりも小さくなる第2関係を満たし、前記均等化部は、前記第2関係及び検出された前記単電池の出力電圧に基づいて、前記単電池の充電比率を算出し、前記充電部は、前記均等化部により前記均等化を実行する直前の段階の充電を、所定の前記単電池の充電比率が前記第3範囲に含まれている状態で終了する。
【0016】
上記構成によれば、単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きは、単電池の充電比率が第3範囲に含まれる場合に第2傾きよりも大きくなり、単電池の充電比率が第3範囲と異なる第4範囲に含まれ且つ単電池の温度が所定温度範囲に含まれる場合に前記第2傾きよりも小さくなる第2関係を満たす。そして、均等化部は、第2関係及び検出された単電池の出力電圧に基づいて、単電池の充電比率を算出する。このため、単電池の充電比率が第4範囲に含まれている状態では、単電池の温度によっては単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きが第2傾きよりも小さくなるおそれがある。その場合、第2関係及び検出された単電池の出力電圧に基づいて、各単電池の充電比率を正確に算出することができないおそれがある。
【0017】
この点、充電部は、均等化部により均等化を実行する直前の段階の充電を、所定の単電池の充電比率が第3範囲に含まれている状態で終了する。単電池の充電比率が第3範囲に含まれている状態では、単電池の充電比率に対する出力電圧の傾きが第2傾きよりも大きくなる。したがって、均等化部が均等化を実行する場合に、各単電池の充電比率を算出する精度が低下することを抑制することができ、均等化の精度が低下することを抑制することができる。
【0018】
組電池の最終段階の充電を終了した時点で、組電池の温度が低すぎると組電池の出力が安定せず、組電池の温度が高すぎると組電池が劣化するおそれがある。また、組電池を充電することにより、組電池が発熱して組電池の温度が上昇する。
【0019】
そこで、第5の手段では、前記充電部は、前記最終段階の充電よりも1つ前の段階の充電を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも低い場合に、前記1つ前の段階の充電を前記組電池の充電比率が第1比率である状態で終了し、前記外気の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記1つ前の段階の充電を前記組電池の充電比率が前記第1比率よりも大きい第2比率である状態で終了する。
【0020】
こうした構成によれば、最終段階の充電よりも1つ前の段階の充電を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも低い場合は所定温度よりも高い場合と比較して、最終段階の充電により組電池に充電する量を多くすることができる。このため、外気の温度が所定温度よりも低い場合は、最終段階の充電により組電池の温度をより上昇させることができる。したがって、組電池の最終段階の充電を終了した時点で、組電池の温度が低すぎることを抑制することができ、組電池の出力を安定させることができる。
【0021】
また、最終段階の充電よりも1つ前の段階の充電を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも高い場合は所定温度よりも低い場合と比較して、最終段階の充電により組電池に充電する量を少なくすることができる。このため、外気の温度が所定温度よりも高い場合は、最終段階の充電により組電池の温度が上昇することを抑制することができる。したがって、組電池の最終段階の充電を終了した時点で、組電池の温度が高くなりすぎることを抑制することができ、組電池が劣化することを抑制することができる。
【0022】
第6の手段では、前記充電部は、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時に第1段階の充電を実行する。こうした構成によれば、組電池が前記充電器を介して外部電源に接続された時に第1段階の充電によって直ちに組電池に電力を蓄えることができるため、より早い時刻に車両の走行を可能とすることができる。
【0023】
具体的には、第7の手段のように、前記均等化部は、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続された時から前記複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、前記均等化が必要か否かを周期的に判定し、前記均等化が必要であると判定した場合に前記均等化を実行する、といった構成を採用することができる。
【0024】
組電池の充電比率が大きい状態で組電池が放置されると、組電池が劣化するおそれがある。
【0025】
この点、第8の手段では、前記充電部による前記最終段階の充電が終了した後に、前記組電池が前記充電器を介して前記外部電源に接続されている状態が所定時間を超えて継続している場合に、前記組電池の充電比率を前記終了比率よりも小さくするように前記組電池を放電させる放電部を備える。こうした構成によれば、最終段階の充電が終了した後に、組電池が充電器を介して外部電源に接続されている状態が所定時間を超えて継続している場合は、ユーザが車両の走行を取り止めたと判断して、組電池の充電比率を減少させることができる。したがって、組電池の充電比率が大きい状態で組電池が放置されることを抑制することができ、組電池が劣化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】第1実施形態におけるセルのOCVとSOCとの関係を示すグラフ
【
図4】第1実施形態におけるタイマ充電の態様を示すタイムチャート
【
図5】第1段階の充電終了後の各セルのOCVを示すグラフ
【
図6】比較例における第2段階の充電終了後の各セルのOCVを示すグラフ
【
図8】第2段階の充電終了後の各セルのOCVを示すグラフ
【
図9】第2実施形態におけるセルのOCVとSOCとの関係を示すグラフ
【
図10】第3実施形態におけるタイマ充電の態様を示すタイムチャート
【
図11】SOC低減処理の態様を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、電動車両の充電システムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、電動車両10(車両)は、組電池11、充電器21、電池監視ユニット22(BMU:Battery Management Unit)、均等化回路23、入力部24、及びコントローラ25等を備えている。
【0028】
組電池11は、複数のセル(単電池)を直列接続して構成されている。各セルは、リチウムイオン電池やニッケル電池等の二次電池により構成されている。
【0029】
外部電源31は、例えば100[V]の単相交流の商用電源等である。外部電源31には、充電ケーブル32が接続されている。充電ケーブル32の先端には、充電コネクタ33が設けられている。
【0030】
充電器21には、電力線26が接続されている。電力線26の先端には、充電コネクタ27が設けられている。充電コネクタ27は、充電コネクタ33に接続可能となっている。充電コネクタ27に充電コネクタ33が接続されると、充電コネクタ27から、接続されたことを示す接続信号がコントローラ25に入力される。充電器21には、外部電源31から、充電ケーブル32、充電コネクタ33,27、及び電力線26を介して、交流電力が供給される。充電器21は、供給される交流電力を直流電力に変換して組電池11へ供給する。これにより、組電池11が充電される。充電器21はコントローラ25により制御される。
【0031】
電池監視ユニット22(以下、「BMU22」という)は、組電池11に設けられたセル電圧センサ11a、電流センサ11b、及び温度センサ11cの検出結果に基づいて、組電池11の状態を検出する。セル電圧センサ11aは、各セルの端子間の電圧(出力電圧)を検出する。電流センサ11bは、組電池11に流れる電流を検出する。温度センサ11cは、組電池11の温度を検出する。BMU22は、セル電圧センサ11a、電流センサ11b、及び温度センサ11cの検出結果をコントローラ25へ送信する。BMU22はコントローラ25により制御される。
【0032】
均等化回路23は、組電池11の各セルを個別に放電させ、各セルのSOC(State of Charge)を調節する回路である。SOC(充電比率)は、セルの満充電容量に対する現在の残量の比率[%]である。均等化回路23は、BMU22によって制御される。なお、均等化回路23は、SOCの多いセルから少ないセルへ充電させて、各セルのSOCを調節する回路であってもよい。
【0033】
入力部24は、ユーザの操作により、後述するタイマ充電の終了予定時刻tfを入力する部分である。入力部24は、タッチパネルやキー操作部により構成されている。入力部24に入力された終了予定時刻tfは、コントローラ25へ送信される。
【0034】
コントローラ25は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータである。コントローラ25は、充電コネクタ27、充電器21、BMU22、及び入力部24から入力される信号に基づいて、充電器21、及びBMU22を制御する。コントローラ25は、BMU22を通じて均等化回路23を制御する。コントローラ25は、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続された場合に、複数段階の充電により組電池11のSOCが終了予定時刻tfにSOC2(所定の終了比率)となるように組電池11を充電させるタイマ充電を実行する。なお、均等化回路23、BMU22、及びコントローラ25によって、均等化部が構成されている。充電器21及びコントローラ25によって、充電部が構成されている。均等化回路23、BMU22、充電器21、及びコントローラ25によって、車両の充電システムが構成されている。
【0035】
図2は、セルのOCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すグラフである。OCV(出力電圧)は、セルに負荷をかけていない(セルに機器を接続していない)状態でのセルの端子間の電圧である。同図に示すように、セルのOCVとSOCとは相関関係を有している。このため、コントローラ25は、
図2のグラフ及び各セル電圧センサ11aにより検出されたOCVに基づいて、各セルのSOCを算出する。
【0036】
セルのSOCに対するOCVの傾きは、セルのSOCが0~40[%]及び70~100[%](第1範囲)に含まれる場合に、第1傾きg1よりも大きくなる。また、セルのSOCに対するOCVの傾きは、セルのSOCが40~70[%](第2範囲)に含まれる場合に、第1傾きg1よりも小さくなる。セルのSOCに対するOCVの傾きは、これらの第1関係を満たしている。
【0037】
コントローラ25は、BMU22を通じて均等化回路23により、組電池11の複数のセルのSOCの偏差を所定偏差以下にする均等化を実行させる。具体的には、コントローラ25は、OCVの最も高いセル(SOCの最も多いセル)とOCVの最も低いセル(SOCの最も少ないセル)とのOCV(SOC)の偏差が、所定電圧ΔV(所定偏差ΔSOC)以下となるように、相対的にOCVの高いセル(相対的にSOCの多いセル)を放電させる。
【0038】
コントローラ25は、上記第1関係及び検出されたセルのOCVに基づいて、セルのSOCを算出する。このため、セルのSOCが上記第2範囲に含まれている状態では、セルのSOCに対するOCVの傾きが第1傾きg1よりも小さくなり、第1関係及び検出されたセルのOCVに基づいて、各セルのSOCを正確に算出することができないおそれがある。そこで、コントローラ25は、最もSOCの少ないセル(所定のセル)のSOCが第1範囲に含まれている状態で、均等化を実行させる。
【0039】
図3は、タイマ充電の処理手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、上記充電コネクタ27に充電コネクタ33が接続され、且つユーザにより入力部24に終了予定時刻tfが入力された時に、コントローラ25によって実行される。
【0040】
まず、入力部24から充電の終了予定時刻tfを取得する(S10)。BMU22から組電池11の情報を取得する(S11)。取得した組電池11の情報に基づいて、2段階の充電により組電池11のSOCが終了予定時刻tfに100[%](所定の終了比率)となるように、第2段階の充電の開始時刻ts2を決定する(S12)。
【0041】
具体的には、取得した組電池11の情報に基づいて、最もSOCの多いセルのSOCを組電池11のSOCであるSOCwとする。第1段階の充電による組電池11の目標SOCをSOC1(例えば75[%])とする。組電池11のSOCwが目標SOC1よりも少ない場合(SOCw<SOC1)は、第2段階の充電による組電池11の目標SOCである100[%](SOC2)からSOC1を引いて、第2段階の充電による組電池11のSOCの増加量ΔSOC2を算出する(ΔSOC2=100-SOC1)。一方、組電池11のSOCwが目標SOC1よりも多い場合(SOCw>SOC1)は、第2段階の充電による組電池11の目標SOCである100[%]からSOCwを引いて、第2段階の充電による組電池11のSOCの増加量ΔSOC2を算出する(ΔSOC2=100-SOCw)。
【0042】
第2段階の充電により、組電池11のSOCを増加量ΔSOC2増加させるために要する時間ΔTe2を算出する。時間ΔTe2は、第2段階の充電による組電池11のSOCwの増加量ΔSOC2を、第2段階の充電における単位時間当たりの組電池11のSOCwの増加量ΔSOCv2で割ることにより算出する(ΔTe2=ΔSOC2/ΔSOCv2)。そして、充電の終了予定時刻tfよりも時間ΔTe2前の時刻を、第2段階の充電の開始時刻ts2とする(ts2=tf-ΔTe2)。
【0043】
続いて、第1段階の充電を開始する(S13)。BMU22から組電池11の情報、及びセルのOCVとSOCとの関係を示すグラフ等を取得する(S14)。第1段階の充電を終了可能か否か判定する(S15)。
【0044】
具体的には、
図2の第1関係及び検出されたセルのOCVに基づいて、各セルのSOCを算出する。最もSOCの多いセルのSOCが目標SOC1以上となり、且つ最もSOCの少ないセルのSOCが70[%]以上(第1範囲)に含まれた場合(S15:YES)、第1段階の充電を終了する(S16)。一方、S15の判定において否定判定された場合(S15:NO)、S14の処理から再度実行する。
【0045】
続いて、BMU22から取得した組電池11の情報に基づいて、セルのSOCの均等化が必要か否か判定する(S17)。具体的には、OCVの最も高いセル(SOCの最も多いセル)とOCVの最も低いセル(SOCの最も少ないセル)とのOCV(SOC)の偏差が、所定電圧ΔV(所定偏差ΔSOC)よりも大きい場合に均等化が必要と判定し、所定電圧ΔV(所定偏差ΔSOC)よりも小さい場合に均等化が不要と判定する。この判定において、セルのSOCの均等化が必要と判定した場合(S17:YES)、上述したようにセルのSOCの均等化を実行させる(S18)。一方、この判定において、セルのSOCの均等化が不要と判定した場合(S17:NO)、S19の処理へ進む。
【0046】
すなわち、S16~S18の処理において、組電池11が外部電源31に接続された時から2段階(複数段階)の充電のうち第2段階(最終段階)の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間(第1段階の充電終了時から第2段階の充電開始時まで)に、複数のセルのSOCの均等化を実行する。
【0047】
S19の処理では、第2段階の充電の開始時刻ts2になったか否か判定する(S19)。この判定において、第2段階の充電の開始時刻ts2になっていないと判定した場合(S19:NO)、S17の処理から再度実行する。
【0048】
一方、S19の判定において、第2段階の充電の開始時刻ts2になったと判定した場合(S19:YES)、第2段階の充電を開始する(S20)。BMU22から組電池11の情報、及びセルのOCVとSOCとの関係を示すグラフ(
図2の第1関係)等を取得する(S21)。第2段階の充電を終了可能か否か判定する(S22)。
【0049】
具体的には、
図2の第1関係及び検出されたセルのOCVに基づいて、各セルのSOCを算出する。最もSOCの多いセルのSOC(SOCw)が100[%](第2段階の充電による組電池11の目標SOC)になっていないと判定した場合(S22:NO)、S21の処理から再度実行する。一方、最もSOCの多いセルのSOC(SOCw)が100[%]になったと判定した場合(S22:YES)、第2段階の充電を終了する(S23)。そして、この一連の処理を終了する(END)。
【0050】
なお、S16~S18の処理が均等化部としての処理に相当し、S19~S23の処理が充電部としての処理に相当する。
【0051】
図4は、タイマ充電の態様を示すタイムチャートである。
【0052】
時刻t11において、電動車両10の走行が終了される。時刻ts1において、充電コネクタ27に充電コネクタ33が接続され、且つユーザにより入力部24に終了予定時刻tfが入力されると、第1段階の充電が開始される。
【0053】
第1段階の充電では、組電池11のSOCwが40~70[%](第2範囲)を超えて、目標SOC1になるまで組電池11が充電される。なお、組電池11を充放電している間は、BMU22が起動される。
【0054】
時刻tf1において、組電池のSOCwが第1段階の充電における目標SOC1になると、第1段階の充電が終了する。第1段階の充電が終了する時刻tf1から第2段階の充電の開始時刻ts2までの間に、BMU22が周期的に起動され、必要に応じてセルの均等化が実行される。
【0055】
開始時刻ts2において、第2段階の充電が開始される。終了予定時刻tfにおいて、組電池11のSOCwが100[%]になり、組電池11のタイマ充電が終了する。時刻t12において、電動車両10の走行が開始される。
【0056】
図5は、第1段階の充電終了後の各セルのOCVを示すグラフである。OCV1は第1段階の充電における目標SOC1に対応するOCVであり、OCV2は第2段階の充電における目標SOCである100[%](SOC2)に対応するOCVである。電動車両10の走行を終了した時には、組電池11を構成するセルのOCV(SOC)にばらつきがある。そして、第1段階の充電終了時においても、組電池11を構成するセルのOCVにばらつきがある状態が維持されている。
【0057】
図6は、比較例における第2段階の充電終了後の各セルのOCVを示すグラフである。第2段階の充電終了時においても、組電池11を構成するセルのOCV(SOC)にばらつきがある状態が維持されている。このため、最もOCVの高いセル4のOCVのみがOCV2になっており、その他のセルのOCVはOCV2よりも低くなっている。
【0058】
図7は、
図5の第1段階の充電終了後に均等化を実行した後の各セルのOCVを示すグラフである。相対的にOCVの高い(SOCの多い)セル1,4,6,nが放電され、OCVの最も高いセル1,4,6,n(SOCの最も多いセル)とOCVの最も低いセル5(SOCの最も少ないセル)とのOCV(SOC)の偏差が、所定電圧ΔV(所定偏差ΔSOC)以下となっている。
【0059】
図8は、本実施形態における第2段階の充電終了後の各セルのOCVを示すグラフである。第2段階の充電終了時においても、均等化後と同様に、組電池11を構成するセルのOCVのばらつきが小さい状態が維持されている。
【0060】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0061】
・電動車両10の充電システムは、複数のセルを直列接続した組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続された場合に、複数段階(2段階)の充電により組電池11のSOCwが終了予定時刻tfに100[%](SOC2)となるように組電池11を充電する。これにより、終了予定時刻tfに組電池11のSOCwが100[%]となるため、組電池11のSOCwが100[%]に維持される時間が短くなり、組電池11の劣化を抑制することができる。さらに、複数段階の充電のうち最終段階(第2段階)の充電よりも前の段階(第1段階)の充電によっても組電池11が充電されるため、終了予定時刻tfよりも早い時刻tf1であっても電動車両10の走行を可能とすることができる。
【0062】
・コントローラ25は、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続された時(時刻ts1)から複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時(開始時刻ts2)までにおいて充電が実行されていない期間(時刻tf1~ts2)に、複数のセルのSOCの偏差を所定偏差ΔSOC以下にする均等化を実行させる。このため、充電前に複数のセル間のSOCの偏差が大きい場合であっても、最終段階の充電の開始時よりも前に複数のセル間のSOCの偏差を所定偏差ΔSOC以下にすることができる。そして、コントローラ25は、均等化が終了した後に、組電池11のSOCwが終了予定時刻tfに100[%]となるように最終段階の充電を実行させる。したがって、
図8に示すように終了予定時刻tfでのセル間のSOCの偏差を抑制することができ、
図6の比較例に対してより多くのセルのSOCを100[%](満充電状態)に近付けることができる。
【0063】
・コントローラ25は、均等化を実行する直前の段階(第1段階)の充電を、所定のセル(SOCが最も少ないセル)のSOCが第1範囲に含まれている状態で終了させる。セルのSOCが第1範囲(70~100[%])に含まれている状態では、セルのSOCに対する出力電圧の傾きが第1傾きg1よりも大きくなる。このため、セルのSOCが第2範囲(40~70[%])に含まれている状態と比較して、
図2の第1関係及び検出されたセルの出力電圧(端子間の電圧)に基づいて、セルのSOCを正確に算出することができる。したがって、コントローラ25が均等化を実行させる場合に、各セルのSOCを正確に算出することができ、均等化の精度を向上させることができる。
【0064】
・コントローラ25は、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続された時に第1段階の充電を実行させる。こうした構成によれば、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続された時に第1段階の充電によって直ちに組電池11に電力を蓄えることができるため、より早い時刻tf1に電動車両10の走行を可能とすることができる。
【0065】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。本実施形態では、セルのSOCに対するOCVの傾きが、
図2の第1関係と異なる
図9の第2関係を満たしている。
【0066】
図9は、セルのOCVとSOCとの関係を示すグラフである。同図に示すように、セルのOCVとSOCとは相関関係を有している。このため、コントローラ25は、
図9のグラフ及び各セル電圧センサ11aにより検出されたOCVに基づいて、各セルのSOCを算出する。
【0067】
セルのSOCに対するOCVの傾きは、セルのSOCが0~60[%]及び75~100[%](第3範囲)に含まれる場合に、第2傾きg2よりも大きくなる。また、セルのSOCに対するOCVの傾きは、セルのSOCが60~75[%](第4範囲)に含まれ且つ組電池11の温度が25℃~45℃(所定温度範囲)に含まれる場合に、第2傾きg2よりも小さくなる。なお、セルのSOCに対するOCVの傾きは、セルのSOCが60~75[%](第4範囲)に含まれ且つ組電池11の温度が-30℃~0℃に含まれる場合は、第2傾きg2よりも大きくなる。セルのSOCに対するOCVの傾きは、これらの第2関係を満たしている。
【0068】
図3において、コントローラ25は、S10~S13まで、第1実施形態と同一の処理を実行する。
【0069】
そして、BMU22から組電池11の情報、及びセルのOCVとSOCとの関係を示すグラフ(
図9の第2関係)等を取得する(S14)。第1段階の充電を終了可能か否か判定する(S15)。
【0070】
具体的には、
図9の第2関係及び検出されたセルのOCVに基づいて、各セルのSOCを算出する。最もSOCの多いセルのSOCが目標SOC1以上となり、且つ最もSOCの少ないセルのSOCが75[%]以上(第3範囲)に含まれた場合(S15:YES)、第1段階の充電を終了する(S16)。一方、S15の判定において否定判定された場合(S15:NO)、S14の処理から再度実行する。
【0071】
その後、コントローラ25は、S17~S23まで、第1実施形態と同一の処理を実行する。
【0072】
上記構成によれば、コントローラ25は、均等化を実行する直前の段階の充電(第1段階の充電)を、最もSOCの少ないセル(所定のセル)のSOCが第3範囲に含まれている状態で終了させる。セルのSOCが第3範囲に含まれている状態では、セルのSOCに対するOCVの傾きが第2傾きg2よりも大きくなる。したがって、コントローラ25が均等化を実行させる場合に、各セルのSOCを算出する精度が低下することを抑制することができ、均等化の精度が低下することを抑制することができる。
【0073】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0074】
組電池11の第2段階(最終段階)の充電を終了した時点で、組電池11の温度が低すぎると組電池11の出力が安定せず、組電池11の温度が高すぎると組電池11が劣化するおそれがある。また、組電池11を充電することにより、組電池11が発熱して組電池11の温度が上昇する。
【0075】
そこで、本実施形態では、
図10に示すように、コントローラ25は、第2段階(最終段階)の充電よりも1つ前の段階の充電(第1段階の充電)を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも低い場合に、1つ前の段階の充電を組電池11のSOCwがSOC3(第1比率)である状態で終了する。一方、外気の温度が所定温度よりも高い場合には、1つ前の段階の充電を組電池11のSOCwがSOC3よりも大きいSOC4(第2比率)である状態で終了する。
【0076】
こうした構成によれば、最終段階の充電よりも1つ前の段階の充電を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも低い場合(低温時)は所定温度よりも高い場合(高温時)と比較して、最終段階の充電により組電池11に充電する量を多くすることができる。このため、外気の温度が所定温度よりも低い場合は、最終段階の充電により組電池11の温度をより上昇させることができる。したがって、組電池11の最終段階の充電を終了した時点で、組電池11の温度が低すぎることを抑制することができ、組電池11の出力を安定させることができる。
【0077】
また、最終段階の充電よりも1つ前の段階の充電を開始する時に、外気の温度が所定温度よりも高い場合(高温時)は所定温度よりも低い場合(低温時)と比較して、最終段階の充電により組電池11に充電する量を少なくすることができる。このため、外気の温度が所定温度よりも高い場合は、最終段階の充電により組電池11の温度が上昇することを抑制することができる。したがって、組電池11の最終段階の充電を終了した時点で、組電池11の温度が高くなりすぎることを抑制することができ、組電池11が劣化することを抑制することができる。
【0078】
なお、第2段階(最終段階)の充電よりも1つ前の段階の充電を、組電池11のSOCwがSOC3(第1比率),SOC4(第2比率)である状態で終了する際には、セルのSOC(組電池11のSOCw)が
図2の第1範囲、又は
図9の第3範囲に含まれることが望ましい。
【0079】
なお、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記の各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0080】
・第2段階(最終段階)の充電の終了時に組電池11のSOCwを、100[%]に限らず、95[%]や90[%](所定の終了比率)にしてもよい。
【0081】
・コントローラ25は、ユーザにより入力されたタイマ充電の終了予定時刻tfよりも所定時間前に第2段階(最終段階)の充電を終了させてもよい。
【0082】
・組電池11のSOCwが大きい状態で組電池11が放置されると、組電池11が劣化するおそれがある。そこで、
図11に示すように、コントローラ25は、最終段階の充電(第2段階の充電)が終了した後に、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続されている状態が所定時間Te3を超えて継続している場合に、組電池11のSOCwを100[%](所定の終了比率)よりも小さく(例えば90[%]に)するように、組電池11を放電させてもよい(SOC低減処理)。なお、均等化回路23、BMU22、及びコントローラ25によって、放電部が構成されている。
【0083】
こうした構成によれば、最終段階の充電が終了した後に、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続されている状態が所定時間Te3を超えて継続している場合は、ユーザが電動車両10の走行を取り止めたと判断して、組電池11のSOCwを減少させることができる。したがって、組電池11のSOCwが大きい状態で組電池11が放置されることを抑制することができ、組電池11が劣化することを抑制することができる。
【0084】
・コントローラ25は、充電コネクタ27に充電コネクタ33が接続された時に、ユーザにより入力部24に終了予定時刻tfが入力されていなくても、第1段階の充電を開始させてもよい。そして、ユーザにより入力部24に終了予定時刻tfが入力された後に、第2段階の充電の開始時刻ts2を決定してもよい。
【0085】
・コントローラ25は、均等化を実行する直前の段階(第1段階)の充電を、SOCが平均値に近いセルやSOCが最も多いセル(所定のセル)のSOCが第1範囲又は第3範囲に含まれている状態で終了させてもよい。また、コントローラ25は、均等化を実行する直前の段階の充電を、所定のセルのSOCが、第1範囲又は第3範囲に含まれている状態か否かにかかわらず終了させることもできる。
【0086】
・タイマ充電は、2段階の充電に限らず、3段階以上の充電により実行されてもよい。その場合、コントローラ25は、各段階の充電同士の間の期間、すなわち組電池11が外部電源31に接続された時から複数段階の充電のうち最終段階の充電の開始時までにおいて充電が実行されていない期間に、均等化を実行させればよい。なお、コントローラ25は、組電池11が充電器21を介して外部電源31に接続された時から終了予定時刻tfまでの時間が所定時間Te4(例えば8時間)よりも長いと判定した場合は、第1段階の充電よりも前に均等化を実行させてもよい。その場合であっても、均等化後に、複数段階の充電のうち最終段階の充電よりも前の段階の充電によって組電池11が充電されるため、終了予定時刻tfよりも早い時刻tf1であっても電動車両10の走行を可能とすることができる。
【0087】
・充電が実行されていない期間に、均等化が必要か否かを周期的に判定する構成に限らず、各段階の充電が終了した後に均等化が必要か否かを1回判定する構成としてもよい。
【0088】
・
図3のS18の処理においてセルのSOCの均等化を実行し始めた後、複数のセルのSOCの偏差が所定偏差以下になる(均等化終了)までに、S19の処理において第2段階の充電の開始時間ts2になったと判定されることがあり得る。その場合、複数のセルのSOCの偏差が所定偏差以下になっていなくても、S20の処理において均等化を中断して第2段階の充電を開始(実行)してもよい。こうした構成によっても、充電前に複数のセル間のSOCの偏差が大きい場合に、第2段階(最終段階)の充電の開始時よりも前に複数のセル間のSOCの偏差を縮小することができる。そして、終了予定時刻tfに、組電池11のSOCwを100[%](終了比率)にすることができる。
【0089】
特に、第2実施形態、及び第3実施形態における外気の高温時では、第1段階の充電終了から第2段階の充電開始までの時間が短くなり易い。このため、複数のセルのSOCの偏差が所定偏差以下になる(均等化終了)までに第2段階の充電の開始時間ts2になった場合に、第2段階の充電を開始(実行)することが有効である。
【0090】
・外部電源31として、200[V]の三相交流の商用電源等を採用することもできる。
【0091】
・駆動装置としてモータを備える電動車両10に限らず、駆動装置としてエンジン及びモータを備えるハイブリッド車両に上記の各実施形態を適用することもできる。
【符号の説明】
【0092】
10…電動車両、11…組電池、21…充電器、22…電池監視ユニット(BMU)、23…均等化回路、25…コントローラ、31…外部電源。