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特許7435371落下被害軽減システム、飛行装置及び車載装置
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  • 特許-落下被害軽減システム、飛行装置及び車載装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】落下被害軽減システム、飛行装置及び車載装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/04 20060101AFI20240214BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240214BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240214BHJP
   B64D 25/00 20060101ALI20240214BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240214BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240214BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G08G5/04 A
G08G1/16 A
G08G1/09 H
B64D25/00
B64C39/02
G08B21/00 U
G08B21/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020148191
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042684
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 晨
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0344679(US,A1)
【文献】特開2017-224146(JP,A)
【文献】特開2020-013607(JP,A)
【文献】特開2020-123159(JP,A)
【文献】特開2017-043161(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146579(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B64D 25/00
B64C 39/02
G08B 21/00
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行装置(2)と、車載装置(3)と、を備える落下被害軽減システム(1)であって、
前記飛行装置は、
車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される飛行通信部(24)と、
前記飛行装置が落下する可能性があるかを判定するように構成される装置落下判定部(25,S101)と、
前記飛行装置が落下する可能性があると前記装置落下判定部により判定された場合、推測される落下位置を表す情報を含む落下情報を、前記飛行通信部を介して発信するように構成される飛行通知部(25,S104,S105)と、を備え、
前記車載装置は、
車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される車両通信部(34)と、
前記車両通信部を介して前記落下情報が受信された場合、前記落下位置を回避するための処理である落下回避処理を実行するように構成される処理部(37,S207,S208,S210,S211,S212,S214,S215,S218,S219)と、を備えるとともに、
前記処理部は、前記落下位置を回避するための車両の走行制御を、前記落下回避処理として実行し、
前記車載装置は、前記処理部により前記落下回避処理が実行される場合、実行する走行制御に関する情報である走行情報を前記車両通信部を介して発信する通知処理を実行するように構成される走行通知部(37,S209,S213,S220)と、
前記車両通信部を介して受信した前記落下情報を、前記車両通信部を介して発信する転送処理を実行するように構成される落下通知部(37,S202,S203)と、を更に備え、
前記処理部は、前記車両通信部を介して前記走行情報が受信された場合、発信元の車両との衝突を回避するための処理である衝突回避処理を実行するように構成され
前記落下通知部は、前記飛行装置が前記落下情報を発信した時点から所定の時間が経過している場合、前記転送処理を実行しないように構成される、落下被害軽減システム。
【請求項2】
請求項に記載の落下被害軽減システムであって、
前記落下通知部は、前記落下情報が前記転送処理の回数を制限するための条件を満たしている場合、前記転送処理を実行しないように構成される、落下被害軽減システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の落下被害軽減システムであって、
前記処理部は、前記落下情報に係る物体が落下したと判定した場合、前記落下回避処理を終了するように構成される、落下被害軽減システム。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の落下被害軽減システムであって、
前記処理部は、前記車両通信部を介して受信された前記走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための走行制御を、前記衝突回避処理として実行し、
前記走行通知部は、前記処理部により前記衝突回避処理が実行される場合にも、前記通知処理を実行するように構成される、落下被害軽減システム。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の落下被害軽減システムであって、
前記飛行装置は、前記飛行装置の保持する荷物が落下する可能性があるかを判定するように構成される荷物落下判定部(25,S102)を更に備え、
前記飛行通知部は、前記荷物が落下する可能性があると前記荷物落下判定部により判定された場合にも、前記落下情報を、前記飛行通信部を介して発信するように構成される、落下被害軽減システム。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の落下被害軽減システムであって、
前記飛行装置は、前記飛行装置の一部が落下する可能性があるかを判定するように構成される部品落下判定部(25,S103)を更に備え、
前記飛行通知部は、前記飛行装置の一部が落下する可能性があると前記部品落下判定部により判定された場合にも、前記落下情報を、前記飛行通信部を介して発信するように構成される、落下被害軽減システム。
【請求項7】
落下する可能性があると判定した場合、推測される落下位置を表す情報を含む落下情報を車車間通信の通信規格に準拠した無線通信で発信するように構成される飛行装置(2)と、車載装置(3)と、を備える落下被害軽減システム(1)を構成する前記車載装置であって、
車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される車両通信部(34)と、
前記車両通信部を介して前記落下情報が受信された場合、前記落下位置を回避するための処理である落下回避処理を実行するように構成される処理部(37,S207,S208,S210,S211,S212,S214,S215,S218,S219)と、を備えるとともに、
前記処理部は、前記落下位置を回避するための車両の走行制御を、前記落下回避処理として実行し、
前記車載装置は、前記処理部により前記落下回避処理が実行される場合、実行する走行制御に関する情報である走行情報を前記車両通信部を介して発信する通知処理を実行するように構成される走行通知部(37,S209,S213,S220)と、
前記車両通信部を介して受信した前記落下情報を、前記車両通信部を介して発信する転送処理を実行するように構成される落下通知部(37,S202,S203)と、を更に備え、
前記処理部は、前記車両通信部を介して前記走行情報が受信された場合、発信元の車両との衝突を回避するための処理である衝突回避処理を実行するように構成され
前記落下通知部は、前記飛行装置が前記落下情報を発信した時点から所定の時間が経過している場合、前記転送処理を実行しないように構成される、車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行装置の落下による車両の被害を軽減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行装置の落下による車両の被害を軽減する技術が記載されている。具体的には、飛行装置は、落下する可能性があることを特定した場合に、落下する可能性があることを示す通知情報を、飛行装置を管理する装置である飛行管理装置へ送信する。飛行管理装置は、飛行装置から通知情報を受信した場合に、飛行装置が落下する可能性のある要注意エリアを推測し、要注意エリア内を走行中の車両に対する警報情報を、道路を管理する事業者が使用するサーバである道路情報提供装置へ送信する。道路情報提供装置は、道路に設置されている道路情報発信装置を介して警報情報を車両へ送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-159811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、道路情報発信装置が設置されていない道路を走行する車両に対して、飛行装置の落下の可能性を知らせることができないという問題があった。
【0005】
そこで、飛行装置の落下の可能性を飛行装置から車両に対して直接知らせることが考えられる。これは、飛行装置から情報を直接受信するための受信機を各車両に設けることで実現できる。しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、飛行装置が落下する状況が頻繁に発生することは想定されないため、上述のような受信機の普及は進みにくいという課題が見出された。
【0006】
なお、特許文献1にも、飛行装置の落下の可能性を飛行装置から車両に対して直接知らせることに関する記載はあるが、具体的構成は何ら記載されていない。
本開示の一局面は、飛行装置の落下による車両の被害を軽減させる実効性を高める技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、落下被害軽減システム(1)であって、飛行装置(2)と、車載装置(3)と、を備える。飛行装置は、飛行通信部(24)と、装置落下判定部(25,S101)と、飛行通知部(25,S104,S105)と、を備える。飛行通信部は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。装置落下判定部は、飛行装置が落下する可能性があるかを判定するように構成される。飛行通知部は、飛行装置が落下する可能性があると装置落下判定部により判定された場合、推測される落下位置を表す情報を含む落下情報を、飛行通信部を介して発信するように構成される。車載装置は、車両通信部(34)と、処理部(37,S207,S208,S210,S211,S212,S214,S215,S218,S219)と、を備える。車両通信部は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。処理部は、車両通信部を介して落下情報が受信された場合、落下位置を回避するための処理である落下回避処理を実行するように構成される。このような構成によれば、飛行装置の落下による車両の被害を軽減させる実効性を高めることができる。
【0008】
本開示の別の態様は、飛行装置(2)と、車載装置(3)と、を備える落下被害軽減システム(1)を構成する飛行装置であって、飛行通信部(24)と、落下判定部(25,S101)と、通知部(25,S104,S105)と、を備える。飛行通信部は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。落下判定部は、飛行装置が落下する可能性があるかを判定するように構成される。通知部は、飛行装置が落下する可能性があると落下判定部により判定された場合、推測される落下位置を表す情報を含む落下情報を、飛行通信部を介して発信するように構成される。このような構成によれば、飛行装置の落下による車両の被害を軽減させる実効性を高めることができる。
【0009】
本開示の更に別の態様は、落下する可能性があると判定した場合、推測される落下位置を表す情報を含む落下情報を車車間通信の通信規格に準拠した無線通信で発信するように構成される飛行装置(2)と、車載装置(3)と、を備える落下被害軽減システム(1)を構成する車載装置であって、車両通信部(34)と、処理部(37,S207,S208,S210,S211,S212,S214,S215,S218,S219)と、を備える。車両通信部は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。処理部は、車両通信部を介して落下情報が受信された場合、落下位置を回避するための処理である落下回避処理を実行するように構成される。このような構成によれば、飛行装置の落下による車両の被害を軽減させる実効性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】落下被害軽減システムの構成を示すブロック図である。
図2】落下被害軽減システムの概要図である。
図3】飛行装置で実行される落下警告処理のフローチャートである。
図4】車載装置で実行される危険回避処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.全体構成]
図1に示す落下被害軽減システム1は、飛行装置2と、複数の車載装置3と、を備える。落下被害軽減システム1は、飛行装置2が地上に落下する可能性がある場合に、飛行装置2の落下の可能性を、地上を走行する車両へ知らせるためのシステムである。
【0012】
[2.飛行装置の構成]
飛行装置2は、無線通信での遠隔操作などにより無人飛行が可能な小型の飛行装置である。また、飛行装置2は、荷物を保持したまま飛行可能に構成されており、荷物の配送などに利用可能である。
【0013】
飛行装置2は、センサ群21と、飛行機構22と、操作通信部23と、飛行通信部24と、飛行制御部25と、を備える。
センサ群21は、飛行装置2の飛行状態等を検出するための各種センサを備える。本実施形態では、センサ群21は、加速度センサ211と、角加速度センサ212と、ジャイロセンサ213と、地磁気センサ214と、高度センサ215と、風速センサ216と、飛行位置センサ217と、回転数検出センサ218と、荷物検出センサ219と、電圧検出センサ220と、を備える。
【0014】
加速度センサ211は、飛行装置2のX軸、Y軸及びZ軸の三次元の各軸方向において飛行装置2に加わる加速度を検出し、検出結果を示す加速度情報を飛行制御部25へ出力する。
【0015】
角加速度センサ212は、三次元の各軸方向において飛行装置2に加わる角加速度を検出し、検出結果を示す角加速度情報を飛行制御部25へ出力する。
ジャイロセンサ213は、三次元の各軸方向において飛行装置2に加わる角速度を検出し、検出結果を示す角速度情報を飛行制御部25へ出力する。
【0016】
地磁気センサ214は、三次元の各軸方向における地磁気を検出し、検出結果を示す地磁気情報を飛行制御部25へ出力する。
高度センサ215は、例えば大気圧に基づいて高度を検出し、検出結果を示す高度情報を飛行制御部25へ出力する。
【0017】
風速センサ216は、飛行装置2の周辺の風の強さ及び風の向きを検出し、検出結果を示す風速情報を飛行制御部25へ出力する。
飛行位置センサ217は、GPS衛星からGPS信号を受信し、受信したGPS信号を飛行制御部25へ出力する。なお、GPSはGlobal Positioning Systemの略である。
【0018】
回転数検出センサ218は、後述するモータの回転数を検出し、検出結果を示す回転数情報を飛行制御部25へ出力する。回転数検出センサ218としては、例えば磁気センサや光学式回転数計などが用いられる。
【0019】
荷物検出センサ219は、飛行装置2が保持する荷物の有無を検出し、検出結果を示す荷物情報を飛行制御部25へ出力する。荷物検出センサ219としては、例えば赤外線センサや重量センサなどが用いられる。
【0020】
電圧検出センサ220は、飛行装置2を駆動させるための図示しないバッテリが出力する電圧を検出し、検出結果を示す電圧情報を飛行制御部25へ出力する。
飛行機構22は、図示しないモータ、プロペラ、及び、サーボモータ等を備える。モータは、プロペラを回転させるための駆動源である。プロペラは、モータにより回転駆動される。サーボモータは、プロペラのピッチを変更する。飛行機構22は、モータによりプロペラが回転駆動されることに加えて、サーボモータによりプロペラのピッチが変更されることで推進力を発生する。飛行装置2は、飛行機構22により発生される推進力により飛行する。
【0021】
操作通信部23は、飛行装置2とは別体の操作装置4との間で無線通信を行うように構成される。操作装置4とは、飛行装置2との間で無線通信を行うように構成された装置である。操作装置4は、飛行装置2の操作者により操作可能に構成され、操作者の操作により入力された指示を無線通信で飛行装置2へ送信する。
【0022】
飛行通信部24は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。
飛行制御部25は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記憶媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。なお、飛行制御部25は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。また、飛行制御部25の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されてもよい。
【0023】
飛行制御部25は、センサ群21からの入力情報に基づいて、飛行装置2の飛行状態を
検出する。具体的には、加速度情報、角加速度情報、角速度情報、地磁気情報、高度情報、風速情報、及びGPS信号に基づいて、飛行装置2の飛行姿勢、飛行速度、飛行方向、飛行高度及び飛行位置を含む飛行状態を検出する。飛行制御部25は、飛行状態、及び、操作装置4から受信した指示に基づいて、飛行機構22の推進力を制御する。
【0024】
また、飛行制御部25は、飛行装置2が落下する可能性があるかを判定するように構成される。さらに、飛行制御部25は、飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性があるかの判定、及び、飛行装置2の一部が落下する可能性があるかの判定も行うように構成される。飛行制御部25は、飛行装置2、飛行装置2の保持する荷物、又は、飛行装置2の一部が落下する可能性があると判定した場合、推測される落下エリア及び落下時刻を落下情報として算出し、落下情報を、飛行通信部24を介して発信する。落下エリアとは、落下する可能性があると判定された物体が実際に地上に落下する蓋然性の高いエリアである。落下時刻とは、落下する可能性があると判定された物体が実際に地上に落下すると推測される時刻である。
【0025】
[3.車載装置の構成]
車載装置3は、複数の車両にそれぞれ搭載される。本実施形態では、複数の車両はそれぞれ、少なくとも自動ブレーキ機能を備える車両である。自動ブレーキ機能を備える車両には、例えば、車間距離を一定に維持しつつ走行する制御及び障害物への衝突を防ぐように減速する制御などの運転支援機能を備える車両、並びに、自動運転機能を備える車両が含まれる。
【0026】
車載装置3は、車速センサ31と、測距センサ32と、車両位置センサ33と、車両通信部34と、報知部35と、走行制御部36と、車両制御部37と、を備える。
車速センサ31は、自車両の走行速度を検出し、検出結果を示す車速情報を車両制御部37へ出力する。なお、自車両とは、車速センサ31等の、車両に搭載されたセンサや装置等から見て、当該センサ等を搭載する車両を意味する。
【0027】
測距センサ32は、自車両の周囲に存在する物標との距離及び相対速度を検出し、検出結果を示す測距情報を車両制御部37へ出力する。測距センサ32としては、例えばミリ波レーダなどが用いられる。
【0028】
車両位置センサ33は、GPS衛星からGPS信号を受信し、受信したGPS信号を車両制御部37へ出力する。
車両通信部34は、車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を行うように構成される。
【0029】
報知部35は、例えば音声の出力や画像の表示により運転者に報知を行う。
走行制御部36は、自車両の走行のための各種機構を制御する。走行制御部36は、駆動制御部361と、制動制御部362と、操舵角制御部363と、を備える。駆動制御部361は、自車両の車輪を駆動する図示しない駆動部を制御する。駆動部は、例えば内燃機関や電動モータなどである。制動制御部362は、自車両のブレーキを制御する。操舵角制御部363は、自車両の車輪の操舵角を制御する。
【0030】
車両制御部37は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。CPUは、非遷移的実体的記憶媒体であるROMに格納されたプログラムを実行する。当該プログラムが実行されることで、当該プログラムに対応する方法が実行される。なお、車両制御部37は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。また、車両制御部37の機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の機能は、一つある
いは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は、デジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現されてもよい。
【0031】
車両制御部37は、車両通信部34を介して受信した情報等に基づいて、走行制御を実行する。また、車両制御部37は、車両通信部34を介して情報を発信する。本実施形態では、車両制御部37は、受信した落下情報、及び、実行する走行制御に関する情報である走行情報を発信する。
【0032】
[4.処理の概要]
次に、落下被害軽減システム1において実行される処理の概要について、図2の概要図を用いて説明する。
【0033】
図2における複数の車両3A~3Dは、それぞれ車載装置3を搭載する車両である。車両3A及び車両3Bは、飛行装置2の通信エリア内に位置する。飛行装置2の通信エリアとは、飛行装置2から車車間通信の通信規格に準拠した無線通信で発信される情報を受信することが可能なエリアである。つまり、車両3A及び車両3Bがそれぞれ搭載する車載装置3では、飛行装置2から発信される情報が受信される。以下では、飛行装置2の通信エリア内に位置する車両を警告対象車両ともいう。
【0034】
一方、車両3C及び車両3Dは、飛行装置2の通信エリア外に位置する。つまり、車両3C及び車両3Dがそれぞれ搭載する車載装置3では、飛行装置2から発信される情報が受信されない。以下では、飛行装置2の通信エリア外に位置する車両を警告対象外車両ともいう。
【0035】
また、警告対象外車両である車両3Cは、警告対象車両である車両3Bの搭載する車載装置3の通信エリア内に位置する。車載装置3の通信エリアとは、車載装置3から車車間通信の通信規格に準拠した無線通信で発信される情報を受信することが可能なエリアである。つまり、警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3では、警告対象車両である車両3Bが搭載する車載装置3から発信される情報が受信される。
【0036】
同様に、警告対象外車両である車両3Dは、警告対象外車両である車両3Cの搭載する車載装置3の通信エリア内に位置する。警告対象外車両である車両3Dが搭載する車載装置3では、警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3から発信される情報が受信される。
【0037】
なお、本実施形態における車車間通信の通信規格は、従来から、V2X技術の1つである車車間通信に用いられている規格であり、車両が搭載する装置がこの通信規格で通信を行う技術は既存技術である。なお、V2Xとは、Vehicle to Xの略である。以下では、車載装置3が行う車車間通信の通信規格に準拠した無線通信を、単に、車車間通信ともいう。
【0038】
飛行装置2は、飛行装置2が落下する可能性があると判定した場合、落下情報を発信する。警告対象車両が搭載する車載装置3は、飛行装置2から落下情報を受信した場合、受信した落下情報を車車間通信で発信する。これは、警告対象外車両にも飛行装置2の落下の可能性が知らされるようにするためである。例えば、警告対象車両である車両3A及び車両3Bがそれぞれ搭載する車載装置3は、飛行装置2から落下情報を受信した場合、受信した落下情報を車車間通信で発信する。このため、警告対象外車両である車両3Cにも飛行装置2の落下の可能性が知らされる。
【0039】
また、車載装置3は、他の車載装置3から落下情報を受信した場合にも、落下情報を車車間通信で発信する。これは、受信した落下情報を更に発信することで落下情報を連鎖的に広め、落下エリアを走行する可能性のある車両に飛行装置2の落下の可能性が十分に知らされるようにするためである。例えば、警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3は、警告対象車両である車両3Bが搭載する車載装置3から落下情報を受信した場合、受信した落下情報を車車間通信で更に発信する。警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3から落下情報を受信した警告対象外車両である車両3Dが搭載する車載装置3も同様に、受信した落下情報を車車間通信で更に発信する。
【0040】
また、車載装置3は、受信した落下情報に基づいて、落下エリアを回避するための走行制御を実行し、走行情報を車車間通信で発信する。さらに、車載装置3は、走行情報を受信した場合、発信元の車両との衝突を回避するための走行制御を実行する。これは、走行制御が実行される車両とその周囲を走行する車両との衝突などの二次被害を回避するためである。例えば、警告対象車両である車両3Bが搭載する車載装置3は、飛行装置2から受信した落下情報に基づいて、落下エリアを回避するための走行制御を実行し、走行情報を車車間通信で発信する。警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3は、警告対象車両である車両3Bが搭載する車載装置3から走行情報を受信する。警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3は、受信した走行情報の発信元の車両3Bとの衝突を回避するための走行制御を実行し、走行情報を車車間通信で発信する。ここで、警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3が発信する走行情報は、受信した走行情報ではなく、車両3Cに対して実行される走行制御に関する走行情報である。警告対象外車両である車両3Cが搭載する車載装置3から走行情報を受信した警告対象外車両である車両3Dが搭載する車載装置3も同様に、受信した走行情報の発信元の車両3Cとの衝突を回避するための走行制御を実行し、実行する走行制御に関する情報を走行情報として車車間通信で発信する。
【0041】
[5.飛行装置が実行する処理]
次に、飛行装置2の飛行制御部25が実行する落下警告処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、飛行制御部25は、図3に示す落下警告処理を、所定の周期で実行する。
【0042】
まず、S101で、飛行制御部25は、飛行装置2が落下する可能性があるかを判定する。本実施形態では、飛行制御部25は、センサ群21からの入力情報に基づいて飛行装置2が落下する可能性があるかを判定する。例えば、飛行制御部25は、電圧情報に基づいて算出したバッテリ残量が着陸可能な場所へ到達するまでに必要なバッテリ残量未満である場合や、電圧情報が表す検出結果が異常な場合に、飛行装置2が落下する可能性があると判定する。また例えば、飛行制御部25は、角速度情報等に基いて検出した飛行姿勢の変化が所定の許容範囲内でない場合に、飛行装置2が落下する可能性があると判定する。また例えば、飛行制御部25は、風速情報が表す検出結果が所定の許容範囲内でない場合、例えば風速が速く風の向きが上向きである場合などに、飛行装置2が落下する可能性があると判定する。飛行制御部25は、S101で、飛行装置2が落下する可能性がないと判定した場合、処理をS102へ移行する。
【0043】
S102で、飛行制御部25は、飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性があるかを判定する。本実施形態では、飛行制御部25は、荷物情報に基づいて飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性があるかを判定する。例えば、飛行制御部25は、飛行装置2の飛行中に、飛行装置2が保持していた荷物が検出されなくなった場合に、飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性があると判定する。飛行制御部25は、S102で、飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性がないと判定した場合、処理をS103へ移行する。
【0044】
S103で、飛行制御部25は、飛行装置2の一部が落下する可能性があるかを判定する。なお、飛行装置2の一部とは、例えば飛行制御部25等を格納するための図示しない筐体の端の一部など、脱落して失っても飛行装置2の飛行に支障がない部分である。例えば、飛行制御部25は、飛行装置2の一部の脱落に伴う飛行姿勢の変化を角速度情報等に基づいて検出した場合、飛行装置2の一部が落下する可能性があると判定する。なお、飛行制御部25は、飛行装置2の一部の脱落に伴う飛行姿勢の変化に基づいて飛行装置2の重心位置の変化を検出している。また例えば、飛行装置2がプロペラを2以上備えるマルチコプタ型の飛行装置である場合には、飛行制御部25は、飛行装置2の飛行姿勢を維持するのに必要な、複数のプロペラにおける、プロペラの回転数の比率やプロペラのピッチの比率の変化に基づいて飛行装置2の重心位置の変化を検出してもよい。飛行制御部25は、S103で、飛行装置2の一部が落下する可能性がないと判定した場合、図3に示す落下警告処理を終了する。
【0045】
一方、飛行制御部25は、S101で、飛行装置2が落下する可能性があると判定した場合、処理をS104へ移行する。また、飛行制御部25は、S102で、飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性があると判定した場合にも、処理をS104へ移行する。また、飛行制御部25は、S103で、飛行装置2の一部が落下する可能性があると判定した場合にも、処理をS104へ移行する。
【0046】
S104で、飛行制御部25は、落下情報を算出する。本実施形態では、飛行制御部25は、推測される落下エリア及び落下時刻を落下情報として算出する。具体的には、飛行制御部25は、飛行装置2の飛行速度、飛行方向、飛行高度及び飛行位置に基づいて落下エリア及び落下時刻を算出する。例えば、飛行制御部25は、現時点における飛行状態で落下し始めた場合に飛行高度が0となる地点及び時刻をそれぞれ落下地点及び落下時刻として算出する。飛行制御部25は、落下地点に近い所定の範囲内、例えば落下地点から所定の距離以内である円形のエリアを落下エリアとして算出する。その後、飛行制御部25は、処理をS105へ移行する。
【0047】
S105で、飛行制御部25は、落下情報を、飛行通信部24を介して発信する。その後、飛行制御部25は、図3に示す落下警告処理を終了する。
[6.車載装置が実行する処理]
次に、車載装置3の車両制御部37が実行する危険回避処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、車両制御部37は、図4に示す危険回避処理を、車両のイグニッションスイッチがオンされたことを契機に実行する。
【0048】
まず、S201で、車両制御部37は、落下情報を受信したかを判定する。車両制御部37は、S201で、落下情報を受信したと判定した場合、処理をS202へ移行する。
S202で、車両制御部37は、受信した落下情報に含まれる転送回数が上限値に達しているかを判定する。転送回数は、飛行装置2からの落下情報が車載装置3により受信された後、他の車載装置3へ連鎖的に転送された回数を示す。転送回数の上限値は、落下エリアを走行する可能性のある車両に飛行装置2の落下の可能性が十分に知らされるように設定されている。車両制御部37は、S202で、受信した落下情報に含まれる転送回数が上限値に達していないと判定した場合、処理をS203へ移行する。
【0049】
S203で、車両制御部37は、受信した落下情報を更に発信する。具体的には、車両制御部37は、受信した落下情報に含まれる転送回数に1を加算してから落下情報を発信する。その後、車両制御部37は、処理をS204へ移行する。
【0050】
一方、車両制御部37は、S202で、受信した落下情報に含まれる転送回数が上限値
に達していると判定した場合には、S203を実行せずに処理をS204へ移行する。
S204で、車両制御部37は、落下情報に係る物体である落下物体が自車両に落下する可能性があるかを判定する。具体的には、車両制御部37は、落下時刻における自車両の位置を推測し、推測した位置が落下エリア内である場合に、落下物体が自車両に落下する可能性があると判定する。車両制御部37は、S204で、落下物体が自車両に落下する可能性があると判定した場合、処理をS205へ移行する。
【0051】
S205で、車両制御部37は、走行情報を受信したかを判定する。車両制御部37は、S205で、走行情報を受信したと判定した場合、処理をS206へ移行する。
S206で、車両制御部37は、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性があるかを判定する。本実施形態では、車両制御部37は、受信した走行情報の発信元の車両において走行情報の示す走行制御が実行され、かつ、自車両が現在の走行速度で走行を続けた場合に、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性があるか、を判定する。具体的には、車両制御部37は、受信した走行情報、車速情報及び測距情報に基づいて衝突予測時間を算出する。衝突予測時間は、発信元の車両との距離を、受信した走行情報に基づいて予測される発信元の車両との相対速度で除して算出される。車両制御部37は、衝突予測時間が所定の時間未満である場合に、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性があると判定する。本実施形態では、車両制御部37は、測距情報に基づいて検出した物標を発信元の車両として衝突の可能性を判定するが、例えば走行情報とともに受信された発信元の車両の位置等に基づいて発信元の車両を検出し、検出した発信元の車両との衝突の可能性を判定してもよい。車両制御部37は、S206で、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性があると判定した場合、処理をS207へ移行する。
【0052】
S207で、車両制御部37は、走行制御を実行する旨を運転者へ報知する。本実施形態では、車両制御部37は、走行制御を実行する旨の、音声及び画像を出力するように報知部35に指示する。
【0053】
続いて、S208で、車両制御部37は、落下エリアを回避し、かつ、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための走行制御を実行する。落下エリアを回避するための走行制御には、落下エリアへ進入しようとする自車両に対して自動ブレーキを作動させ、落下エリアへ進入しないようにする制御が少なくとも含まれる。本実施形態では、車両制御部37は、落下エリアを回避し、かつ、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための走行制御をするように走行制御部36に指示する。
【0054】
続いて、S209で、車両制御部37は、走行情報を発信する。具体的には、車両制御部37は、走行情報として、実行する走行制御についての内容を発信する。
続いて、S210で、車両制御部37は、落下物体が地上に落下したかを判定する。本実施形態では、車両制御部37は、受信した落下情報に基づいて落下物体が地上に落下したかを判定する。具体的には、車両制御部37は、現在時刻が落下時刻以降である場合に、落下物体が地上に落下したと判定する。車両制御部37は、S210で落下物体が地上に落下したと判定した場合に、処理をS215へ移行する。
【0055】
一方、車両制御部37は、S205で、走行情報を受信していないと判定した場合、処理をS211へ移行する。また、車両制御部37は、S206で、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性がないと判定した場合にも、処理をS211へ移行する。
【0056】
S211で、車両制御部37は、S207と同様、走行制御を実行する旨を運転者へ報知する。
続いて、S212で、車両制御部37は、落下エリアを回避するための走行制御を実行する。本実施形態では、車両制御部37は、落下エリアを回避するための走行制御をする
ように走行制御部36に指示する。
【0057】
続いて、S213で、車両制御部37は、S209と同様、走行情報を発信する。
続いて、S214で、車両制御部37は、S210と同様、落下物体が地上に落下したかを判定する。車両制御部37は、S214で落下物体が地上に落下したと判定した場合に、処理をS215へ移行する。
【0058】
S215で、車両制御部37は、落下エリアを回避するための走行制御を終了し、かつ、当該走行制御を実行する旨の報知を終了する。なお、本実施形態では、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための走行制御、及び、当該走行制御を実行する旨の報知は、衝突の可能性が無くなった時点で終了する。その後、車両制御部37は、処理をS201へ戻す。
【0059】
一方、車両制御部37は、S201で、落下情報を受信していないと判定した場合、処理をS216へ移行する。また、車両制御部37は、S204で、落下物体が自車両に落下する可能性がないと判定した場合にも、処理をS216へ移行する。
【0060】
S216で、車両制御部37は、S205と同様、走行情報を受信したかを判定する。車両制御部37は、S216で、走行情報を受信していないと判定した場合、処理をS201へ戻す。一方、車両制御部37は、S216で、走行情報を受信したと判定した場合、処理をS217へ移行する。
【0061】
S217で、車両制御部37は、S206と同様、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性があるかを判定する。車両制御部37は、S217で、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性がないと判定した場合、処理をS201へ戻す。一方、車両制御部37は、S217で、受信した走行情報の発信元の車両と衝突する可能性があると判定した場合、処理をS218へ移行する。
【0062】
S218で、車両制御部37は、S207,S211と同様、走行制御を実行する旨を運転者へ報知する。
続いて、S219で、車両制御部37は、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための走行制御を実行する。本実施形態では、車両制御部37は、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための走行制御をするように走行制御部36に指示する。
【0063】
続いて、S220で、車両制御部37は、S209,S213と同様、走行情報を発信する。その後、車両制御部37は、処理をS201へ戻す。
[7.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0064】
(7a)本実施形態の落下被害軽減システム1において、飛行装置2は、落下する可能性があると判定した場合、落下エリアを表す情報を含む落下情報を車車間通信の通信規格に準拠した無線通信で発信する。車載装置3は、落下情報を受信した場合、落下エリアを回避するための処理を実行する。このような構成によれば、飛行装置2の落下による車両の被害を軽減させる実効性を高めることができる。すなわち、仮に、飛行装置から情報を直接受信するための専用の受信機を各車両に設けることでも、上記実施形態と同様に、飛行装置が落下する可能性があることを車両へ直接知らせることはできる。しかしながら、飛行装置が落下する状況が頻繁に発生することは想定されないため、上述のような受信機の普及は進みにくく、飛行装置の落下の被害を回避するための処理を実行できる車両が限られてしまう。これに対し、本実施形態の構成では、汎用的な車車間通信を行う車載装置
3を搭載する車両に対して、飛行装置2の落下の可能性を直接知らせることができる。したがって、飛行装置から情報を直接受信するための専用の受信機により情報が受信される構成と比較して、飛行装置2の落下による車両の被害を軽減させる実効性を高めることができる。
【0065】
(7b)本実施形態の落下被害軽減システム1において、車載装置3は、落下情報を受信した場合、受信した落下情報を更に発信する処理である転送処理を実行する。このような構成によれば、飛行装置2の通信エリア外に位置する車両が搭載する車載装置3にも落下情報を受信させることができるため、飛行装置2の落下による車両の被害をより軽減することができる。
【0066】
(7c)本実施形態の落下被害軽減システム1において、車載装置3は、落下情報に含まれる転送回数が上限値に達している場合には、転送処理を実行しない。このような構成によれば、落下時刻に落下エリアを走行する可能性のない車両にまでも落下情報が連鎖的に広まるといった、不必要な落下情報の連鎖を低減することができる。
【0067】
(7d)本実施形態の落下被害軽減システム1において、車載装置3は、落下物体が地上に落下したと判定した場合、落下エリアを回避するための走行制御及び運転者への報知を終了する。このような構成によれば、飛行装置2の落下による被害を受ける可能性が無い場合にまで落下エリアを回避するための処理が実行されることを低減することができる。
【0068】
(7e)本実施形態の落下被害軽減システム1において、車載装置3は、落下エリアを回避するための処理として走行制御を実行し、実行する走行制御に関する走行情報を発信する。このような構成によれば、落下エリアを回避するための走行制御が実行される車両とその周囲を走行する車両との衝突などの二次被害を軽減することができる。
【0069】
(7f)本実施形態の落下被害軽減システム1において、車載装置3は、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための処理として走行制御を実行し、実行する走行制御に関する走行情報を発信する。このような構成によれば、衝突回避のための走行制御が実行される車両とその周囲を走行する車両との衝突などの二次被害を軽減することができる。
【0070】
(7g)本実施形態の落下被害軽減システム1において、飛行装置2は、飛行装置2の保持する荷物が落下する可能性があると判定した場合にも、落下情報を発信する。このような構成によれば、飛行装置2の保持する荷物の落下による車両の被害を軽減することができる。
【0071】
(7h)本実施形態の落下被害軽減システム1において、飛行装置2は、飛行装置2の一部が落下する可能性があると判定した場合にも、落下情報を発信する。このような構成によれば、飛行装置2の一部の落下による車両の被害を軽減することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、S101が装置落下判定部としての処理に相当し、S102が荷物落下判定部としての処理に相当し、S103が部品落下判定部としての処理に相当し、S104,S105が飛行通知部としての処理に相当する。また、S207,S208,S210,S211,S212,S214,S215,S218,S219が処理部としての処理に相当し、S202,S203が落下通知部としての処理に相当し、S209,S213,S220が走行通知部としての処理に相当する。また、S207,S208,S211,S212が落下回避処理に相当し、S209,S213,S220が通知処理に相当し、S207,S208,S218,S219が衝突回避処理に相当する。また
、S101が落下判定部としての処理に相当する。
【0073】
[8.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0074】
(8a)上記実施形態では、落下エリアを回避するための走行制御として、自動ブレーキを作動させることで落下エリアへ進入しないようにする制御を例示したが、落下エリアを回避するための走行制御はこれに限定されるものではない。例えば、走行速度を加速させることで落下エリアを走り抜ける制御や、操舵を制御することで落下エリアから遠ざかる制御が実行されてもよい。
【0075】
(8b)上記実施形態では、落下エリアを回避するための処理として、走行制御及び運転者への報知を例示したが、落下エリアを回避するための処理はこれに限定されるものではない。例えば、走行制御及び運転者への報知のうち一方が実行されなくてもよい。走行制御が実行されない場合、運転者への報知の内容は落下エリアへの進入に対する警告などとしてもよい。また、受信した走行情報の発信元の車両との衝突を回避するための処理についても同様に、例えば、走行制御及び運転者への報知のうち一方が実行されなくてもよい。
【0076】
(8c)上記実施形態では、飛行装置2が落下すると推測される落下位置を表す情報として、一定の範囲を持つ落下エリアを表す情報が発信される構成を例示したが、落下位置を表す情報はこれに限定されるものではない。例えば、落下地点を表す情報が落下位置を表す情報として発信されてもよい。
【0077】
(8d)上記実施形態では、飛行装置2が地上に落下したかが落下時刻に基づいて判定される構成を例示したが、飛行装置2が地上に落下したかの判定方法はこれに限定されるものではない。例えば、落下に伴う衝撃を検出するための衝撃センサが飛行装置2に設けられることで、飛行装置2が地上に落下したかが飛行装置2により判定される構成であってもよい。飛行装置2は、地上に落下したと判定した場合、落下情報の発信と同様に、落下済み通知を車車間通信により発信する。車載装置3は、飛行装置2から落下済み通知を受信した場合、落下エリアを回避するための処理を終了する。この場合、車載装置3は、上記実施形態で落下情報を受信した場合と同様に、受信した落下済み通知を車車間通信で発信してもよい。このような構成によれば、飛行装置2が落下する、より正確な時刻が車両に知らされるため、車載装置3が落下エリアを回避するための処理をより適切なタイミングで終了することができる。
【0078】
(8e)上記実施形態では、落下情報が転送される構成を例示したが、例えば、落下エリアよりも飛行装置2の通信エリアの方が十分に広い場合には、落下情報が転送されなくてもよい。
【0079】
(8f)上記実施形態では、転送処理の回数を制限するための条件が、落下情報の転送回数が上限値に達していることである構成を例示したが、転送処理の回数を制限するための条件はこれに限定されるものではない。例えば、転送処理の回数を制限するための条件が、飛行装置2が落下情報を発信した時点から所定の時間が経過したことであってもよい。
【0080】
(8g)上記実施形態では、飛行装置2の周辺の風の強さ及び風の向きを風速センサ216が検出する構成を例示したが、飛行装置2の周辺の風の強さ及び風の向きの検出方法はこれに限定されない。例えば、飛行装置2の周辺の風の強さ及び風の向きが気温や気圧
に基づいて推測されてもよい。このような推測を実現する具体例としては、例えば、気温計や気圧計が飛行装置2に設けられることで、検出した気温や気圧の変化と発生する風との関係、ひいては飛行装置2の周辺の風の強さ及び風の向きが推測される構成が挙げられる。
【0081】
(8h)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…落下被害軽減システム、2…飛行装置、3…車載装置、24…飛行通信部、25…飛行制御部、34…車両通信部、35…報知部、36…走行制御部、37…車両制御部。
図1
図2
図3
図4