(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 15/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
F04D15/00 B
F04D15/00 H
F04D15/00 D
(21)【出願番号】P 2020155532
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-183767(JP,A)
【文献】特開2019-190290(JP,A)
【文献】特開2012-215176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0112658(US,A1)
【文献】特開2007-071042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御部を含む第1水中電動ポンプと、
第2制御部を含み、前記第1水中電動ポンプと交互に運転を行う第2水中電動ポンプと、
前記第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、
前記第1水中電動ポンプに設けられ、前記第1通信部よりも高い位置に配置された第2通信部と、
前記第2水中電動ポンプに設けられた第3通信部と、
前記第2水中電動ポンプに設けられ、前記第3通信部よりも高い位置に配置された第4通信部と、を備え、
前記第1通信部、前記第2通信部、前記第3通信部および前記第4通信部は、互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部、前記第2通信部、前記第3通信部および前記第4通信部のうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプを、交互に運転
させるように始動および停止させる制御を行うように構成されている、水中電動ポンプシステム。
【請求項2】
前記第1通信部、前記第2通信部、前記第3通信部および前記第4通信部は、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている、請求項1に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項3】
前記第1水中電動ポンプに設けられた前記第1通信部と、前記第2水中電動ポンプに設けられた前記第3通信部とは、互いに略同じ高さ位置に配置されており、
前記第1水中電動ポンプに設けられた前記第2通信部と、前記第2水中電動ポンプに設けられた前記第4通信部とは、互いに略同じ高さ位置に配置されている、請求項1または2に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項4】
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第2通信部および前記第4通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、それぞれ、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの運転を開始させる制御を行うとともに、前記第1通信部および前記第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、それぞれ、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの運転を停止させる制御を行うように構成されている、請求項3に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項5】
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部、前記第2通信部、前記第3通信部および前記第4通信部の無線通信の状態に応じて、前記第1通信部、前記第2通信部、前記第3通信部および前記第4通信部の異常を判定して、異常を検知した場合に、異常を検知した通信部以外の通信部を用いて、それぞれ、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの運転を開始または停止させる制御を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記第1通信部と前記第2通信部とが無線通信可能な状態において、前記第1通信部または前記第2通信部と前記第3通信部または前記第4通信部とが無線通信できない場合に、前記第1通信部または前記第2通信部と無線通信ができない前記第3通信部または前記第4通信部に異常が発生していると判定するように構成されており、
前記第2制御部は、前記第3通信部と前記第4通信部とが無線通信可能な状態において、前記第3通信部または前記第4通信部と前記第1通信部または前記第2通信部とが無線通信できない場合に、前記第3通信部または前記第4通信部と無線通信ができない前記第1通信部または前記第2通信部に異常が発生していると判定するように構成されている、請求項5に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項7】
前記第1制御部は、前記第1通信部と前記第2通信部とが無線通信可能な状態において、前記第1通信部または前記第2通信部と前記第3通信部および前記第4通信部の両方とが無線通信できない場合に、前記第2水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されており、
前記第2制御部は、前記第3通信部と前記第4通信部とが無線通信可能な状態において、前記第3通信部または前記第4通信部と前記第1通信部および前記第2通信部の両方とが無線通信できない場合に、前記第1水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、前記第3通信部および前記第4通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されている、請求項5または6に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項8】
前記第1水中電動ポンプと、前記第2水中電動ポンプとは、同一の構成をしている、請求項1~7のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項9】
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部または前記第2通信部と前記第3通信部または前記第4通信部とが無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項10】
前記第1通信部および前記第2通信部は、前記第1水中電動ポンプの金属部分を避けて前記第1水中電動ポンプに配置されており、
前記第3通信部および前記第4通信部は、前記第2水中電動ポンプの金属部分を避けて前記第2水中電動ポンプに配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項11】
水中電動ポンプ本体と、
前記水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、
前記水中電動ポンプ本体に設けられた第1通信部と、
前記水中電動ポンプ本体に設けられ、前記第1通信部よりも高い位置に配置された第2通信部と、を備え、
前記第1通信部および前記第2通信部は、他の水中電動ポンプの通信部と互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、
前記制御部は、前記第1通信部、前記第2通信部および前記他の水中電動ポンプの通信部のうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、前記水中電動ポンプ本体を、
前記他の水中電動ポンプと交互に運転
させるように始動および停止させる制御を行うように構成されている、水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中電動ポンプシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水位センサと、制御コントローラとを含む水中ポンプを2台備える水中ポンプシステム(水中電動ポンプシステム)が開示されている。上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位センサは、水中ポンプの外部に露出した電極を有する静電容量型の水位センサにより構成されている。また、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、水位センサにより検知した水位に基づいて、運転と休止とを交互に行うことにより、2台の水中ポンプにより交互に運転する制御を行うように構成されている。また、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、互いに独立して水中ポンプの運転を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位センサが、水中ポンプの外部に露出した電極を有する静電容量型の水位センサにより構成されている。このため、水位センサの電極が腐食したり、電極に汚れが付着しやすいため、水位センサが故障しやすく、また電極に異物が絡みつきやすいという不都合がある。また、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、互いに独立して水中ポンプの運転を制御するように構成されている。このため、2台の水中ポンプのうち一方の水中ポンプの水位センサに故障が発生した場合に、水位センサが故障した一方の水中ポンプについては、運転を継続させることができなくなるため、2台の水中ポンプによる交互運転を継続させることが困難であるという不都合がある。これらのため、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位を検知する水位センサが故障しやすいとともに、水位センサに故障が発生した場合に、2台の水中ポンプによる交互運転を継続させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、水位を検知する要素が故障するのを抑制するとともに、水位を検知する要素の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプによる交互運転を継続させることが可能な水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプシステムは、第1制御部を含む第1水中電動ポンプと、第2制御部を含み、第1水中電動ポンプと交互に運転を行う第2水中電動ポンプと、第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、第1水中電動ポンプに設けられ、第1通信部よりも高い位置に配置された第2通信部と、第2水中電動ポンプに設けられた第3通信部と、第2水中電動ポンプに設けられ、第3通信部よりも高い位置に配置された第4通信部と、を備え、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部は、互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、第1制御部および第2制御部は、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部のうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを、交互に運転させるように始動および停止させる制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプシステムでは、上記のように、第1制御部および第2制御部を、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部のうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを、交互に運転または休止させる制御を行うように構成する。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着したり電極に異物が絡みつくことがない。その結果、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部)が腐食等により故障するのを抑制することができる。また、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部)のうち1つに故障が発生した場合でも、故障が発生していない残りの要素の少なくとも2つの無線通信により水位を検知することができるので、複数の水中電動ポンプによる交互運転を継続させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部)が故障するのを抑制することができるとともに、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部)の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプによる交互運転を継続させることができる。
【0009】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部は、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている。このように構成すれば、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部の無線通信が、影響を受けやすい部分(たとえば、モータ部分)により阻害されるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、第2水中電動ポンプに設けられた第3通信部とは、互いに略同じ高さ位置に配置されており、第1水中電動ポンプに設けられた第2通信部と、第2水中電動ポンプに設けられた第4通信部とは、互いに略同じ高さ位置に配置されている。このように構成すれば、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1通信部および第3通信部が配置された高さ位置の水位を検知することができるとともに、第2通信部および第4通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第2通信部および第4通信部が配置された高さ位置の水位を検知することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、第1制御部および第2制御部は、第2通信部および第4通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転を開始させる制御を行うとともに、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転を停止させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第2通信部および第4通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転を開始させる高い位置の水位を検知することができる。また、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転を停止させる低い位置の水位を検知することができる。
【0012】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部は、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部の無線通信の状態に応じて、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部の異常を判定して、異常を検知した場合に、異常を検知した通信部以外の通信部を用いて、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転を開始または停止させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、異常が発生した通信部を水位の検知に用いることから除外することができるので、一部の通信部に異常が発生して無線通信ができなくなった場合に、水位が上がって無線通信ができなくなった場合と誤認して、水中電動ポンプを運転させることを抑制することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、第1制御部は、第1通信部と第2通信部とが無線通信可能な状態において、第1通信部または第2通信部と第3通信部または第4通信部とが無線通信できない場合に、第1通信部または第2通信部と無線通信ができない第3通信部または第4通信部に異常が発生していると判定するように構成されており、第2制御部は、第3通信部と第4通信部とが無線通信可能な状態において、第3通信部または第4通信部と第1通信部または第2通信部とが無線通信できない場合に、第3通信部または第4通信部と無線通信ができない第1通信部または第2通信部に異常が発生していると判定するように構成されている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプの第1制御部が、第2水中電動ポンプの第3通信部および第4通信部の異常を検知することができるとともに、第2水中電動ポンプの第2制御部が、第1水中電動ポンプの第1通信部および第2通信部の異常を検知することができるので、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部のうち1つに異常が発生した場合に、第1制御部および第2制御部の両方が異常を検知することができる。これにより、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部のうち1つに異常が発生した場合に、第1制御部および第2制御部の両方が、異常が発生した通信部以外の通信部を用いて水位を検知する制御に切り替えることができる。これにより、通信部の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプによる交互運転を確実に継続させることができる。
【0014】
上記第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部の無線通信の状態に応じて、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部の異常を判定する構成の水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部は、第1通信部と第2通信部とが無線通信可能な状態において、第1通信部または第2通信部と第3通信部および第4通信部の両方とが無線通信できない場合に、第2水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されており、第2制御部は、第3通信部と第4通信部とが無線通信可能な状態において、第3通信部または第4通信部と第1通信部および第2通信部の両方とが無線通信できない場合に、第1水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、第3通信部および第4通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、交互運転の制御をやめて、単独運転の制御に切り替えることができる。これにより、残りの水中電動ポンプが交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。つまり、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残されたもう1台の水中電動ポンプにより単独で運転を継続する際に、残された1台の水中電動ポンプの運転タイミングが後から運転するタイミングに設定されるのを抑制することができる。これにより、排水が追い付かず設置位置から水が溢れる(オーバーフローする)のを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1水中電動ポンプと、前記第2水中電動ポンプとは、同一の構成をしている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを設置する際に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの各々に対する通信部等の設置位置の変更をユーザーが行う必要がない。これにより、ユーザーにおいては第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを設置するのみでよいので、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの設置の際の作業負担が増大するのを抑制することができる。その結果、ユーザー側で2種類以上のポンプを購入する必要もなくなり、管理面におけるメリットもある。
【0016】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部は、第1通信部または第2通信部と第3通信部または第4通信部とが無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。このように構成すれば、複数の水中電動ポンプの各々により、交互運転の際の運転および休止のタイミングが独立して決定される場合と異なり、相互の通信により、交互運転の際の運転および休止の順番を決定することができるので、第1水中電動ポンプと第2水中電動ポンプとの運転および休止のタイミングが同じになるのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1通信部および第2通信部は、第1水中電動ポンプの金属部分を避けて第1水中電動ポンプに配置されており、第3通信部および第4通信部は、第2水中電動ポンプの金属部分を避けて第2水中電動ポンプに配置されている。このように構成すれば、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部の無線通信が金属部分により阻害されるのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプは、水中電動ポンプ本体と、水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、水中電動ポンプ本体に設けられた第1通信部と、水中電動ポンプ本体に設けられ、第1通信部よりも高い位置に配置された第2通信部と、を備え、第1通信部および第2通信部は、他の水中電動ポンプの通信部と互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、制御部は、第1通信部、第2通信部および他の水中電動ポンプの通信部のうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ本体を、他の水中電動ポンプと交互に運転させるように始動および停止させる制御を行うように構成されている。
【0019】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、制御部を、第1通信部、第2通信部および他の水中電動ポンプの通信部のうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ本体を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成する。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着したり電極に異物が絡みつくことがない。その結果、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部および他の水中電動ポンプの通信部)が腐食等により故障するのを抑制することができる。また、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部および他の水中電動ポンプの通信部)のうち1つに故障が発生した場合でも、故障が発生していない残りの要素の無線通信により水位を検知することができるので、複数の水中電動ポンプによる交互運転を継続させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部および他の水中電動ポンプの通信部)が故障するのを抑制するとともに、水位を検知する要素(第1通信部、第2通信部および他の水中電動ポンプの通信部)の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプによる交互運転を継続させることが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、水位を検知する要素が故障するのを抑制することができるとともに、水位を検知する要素の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプによる交互運転を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した模式図である。
【
図2】本発明の実施形態による水中電動ポンプの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの水中電動ポンプの配置を示した平面図である。
【
図4】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの第1動作例を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの第2動作例を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの第3動作例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの第4動作例を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態の第1変形例による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した模式図である。
【
図9】本発明の実施形態の第2変形例による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した模式図である。
【
図10】本発明の実施形態の第3変形例による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した模式図である。
【
図11】本発明の実施形態の第4変形例による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1~
図7を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
(水中電動ポンプシステムの構成)
本実施形態による水中電動ポンプシステム100は、タンク1に流入する水を排水するように構成されている。水中電動ポンプシステム100は、
図1に示すように、水中電動ポンプ3aおよび3bを備えている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源2から供給される電力により駆動するように構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、同一の構成を有している。水中電動ポンプ3aおよび3bは、各々、水中電動ポンプ本体31と、制御部32(32a、32b)と、通信部33(33a、33b)と、通信部34(34a、34b)と、ポンプ制御回路35(
図2参照)と、モータ36(
図2参照)と、を含んでいる。なお、水中電動ポンプ3aは、特許請求の範囲の「第1水中電動ポンプ」の一例であり、水中電動ポンプ3bは、特許請求の範囲の「第2水中電動ポンプ」の一例である。また、制御部32aは、特許請求の範囲の「第1制御部」の一例であり、制御部32bは、特許請求の範囲の「第2制御部」の一例である。また、通信部33aは、特許請求の範囲の「第1通信部」の一例であり、通信部34aは、特許請求の範囲の「第2通信部」の一例である。また、通信部33bは、特許請求の範囲の「第3通信部」の一例であり、通信部34bは、特許請求の範囲の「第4通信部」の一例である。
【0025】
タンク1は、流入する水を貯留するように構成されている。タンク1に流入した水は、水中電動ポンプ3aおよび3bにより排水される。
【0026】
交流電源2は、水中電動ポンプ3aおよび3bに電力を供給するように構成されている。なお、交流電源2は、商用電力を供給してもよいし、バッテリなどから電力を供給してもよい。交流電源2は、水中電動ポンプ本体31に接続される電源コードおよび電源コードの先端に設けられたプラグを介して水中電動ポンプ本体31に電力を供給する。つまり、プラグが交流電源2に挿入された場合に、水中電動ポンプ本体31に電力が供給され、プラグが交流電源2から抜かれた場合に、水中電動ポンプ本体31への電力の供給が停止される。
【0027】
水中電動ポンプ3aおよび3bは、タンク1内に配置されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、タンク1内の水を外部に排水するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源2から電力が供給させることにより運転するように構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、水位が上昇して排水する場合に、一方を運転させ、一方を休止させることを交互に行う交互運転を行うように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、一方の運転により排水を開始してから、所定の時間経過した場合でも、運転を停止させる水位まで下がらない場合に、他方を追掛け運転させて、2台の運転により排水させるように構成されている。
【0028】
図2に示すように、水中電動ポンプ3a(3b)は、モータ36に交流電源2から交流電力が供給されることにより運転する。制御部32(32a、32b)は、水中電動ポンプ3aおよび3b(水中電動ポンプ本体31)の運転を制御する。具体的には、制御部32(32a、32b)は、ポンプ制御回路35を介して、モータ36に交流電力を供給する制御を行う。制御部32(32a、32b)は、CPU(中央演算処理ユニット)321と、メモリ322とを有している。CPU321は、メモリ322内に記憶された制御プログラムを実行して、水中電動ポンプ本体31の制御を行う。
【0029】
通信部33a、34a、33bおよび34bは、互いに無線通信可能に構成されている。具体的には、通信部33a、34a、33bおよび34bは、互いに常時もしくは定期的に無線通信を行うように構成されている。通信部33a、34a、33bおよび34bは、たとえば、Bluetooth(登録商標)規格による通信を行うように構成されている。通信部33a、34a、33bおよび34bは、水位が上がって水中(水面下)に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されている。
【0030】
通信部33aおよび34aは、
図1示すように、水中電動ポンプ3aに設けられている。通信部34aは、通信部33aよりも高い位置に配置されている。通信部33aは、水中電動ポンプ3aの下部に配置されている。具体的には、通信部33aは、水中電動ポンプ3aのオイルケーシングの外側に配置されている。通信部34aは、水中電動ポンプ3aの上部に配置されている。具体的には、通信部34aは、制御部32aおよびポンプ制御回路35を覆うカバーの外側に配置されている。また、通信部33aおよび34aは、水中電動ポンプ3aの金属部分を避けて配置されている。つまり、通信部33aおよび34aは、モータ36などの金属を含む部分を避けて配置されている。
【0031】
通信部33bおよび34bは、水中電動ポンプ3bに設けられている。通信部34bは、通信部33bよりも高い位置に配置されている。通信部33bは、水中電動ポンプ3bの下部に配置されている。具体的には、通信部33bは、水中電動ポンプ3bのオイルケーシングの外側に配置されている。通信部34bは、水中電動ポンプ3bの上部に配置されている。具体的には、通信部34bは、制御部32bおよびポンプ制御回路35を覆うカバーの外側に配置されている。また、通信部33bおよび34bは、水中電動ポンプ3bの金属部分を避けて配置されている。つまり、通信部33bおよび34bは、モータ36などの金属を含む部分を避けて配置されている。言い換えると、通信部33a、34a、33bおよび34bは、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている。
【0032】
図1に示すように、水中電動ポンプ3aに設けられた通信部33aと、水中電動ポンプ3bに設けられた通信部33bとは、互いに略同じ高さ位置に配置されている。また、水中電動ポンプ3aに設けられた通信部34aと、水中電動ポンプ3bに設けられた通信部34bとは、互いに略同じ高さ位置に配置されている。つまり、
図4に示すように、通信部33aおよび33bは、略水平な方向に無線通信が行われる。また、通信部34aおよび34bは、略水平な方向に無線通信が行われる。また、通信部33aおよび34aは、上下方向に無線通信が行われる。また、通信部33bおよび34bは、上下方向に無線通信が行われる。また、通信部33aおよび34bは、水平方向に対して傾斜した斜め方向に無線通信が行われる。また、通信部34aおよび33bは、水平方向に対して傾斜した斜め方向に無線通信が行われる。
【0033】
図3に示すように、通信部33a、34aは、平面視において、水中電動ポンプ3aの背面側(管37とは反対側)に配置されている。また、通信部33b、34bは、平面視において、水中電動ポンプ3bの背面側(管37とは反対側)に配置されている。そして、一対の水中電動ポンプ3aおよび3bは、背面側を同じ方向に向けて、側面を対向させるようにタンク1内に配置されている。これにより、通信部33aおよび34aと、通信部33bおよび34bとの通信のための電波が、水中電動ポンプ3a(3b)の水中電動ポンプ本体31(特に、モータなどの金属部分)により遮られるのを抑制することが可能である。なお、
図1および
図4~
図8の例は、水中電動ポンプ3a(3b)の構成が分かりやすいように記載した模式図である。したがって、
図1および
図4~
図8の例は、水中電動ポンプ3aおよび3bの配置の向きを正確に記載したものではない。
【0034】
なお、通信部33a、34aを、平面視において、水中電動ポンプ3aの一方の側面に配置してもよい。また、通信部33b、34bを、平面視において、水中電動ポンプ3bの一方の側面に配置してもよい。この場合、水中電動ポンプ3aの通信部33aおよび34aが設けられた側面と、水中電動ポンプ3bの通信部33bおよび34bが設けられた側面と、を対向させるようにしてタンク1内に配置することが好ましい。
【0035】
ポンプ制御回路35は、交流電源2からモータ36への電力の供給・停止を制御するように構成されている。具体的には、ポンプ制御回路35は、スイッチ351を制御して、モータ36への電力の供給・停止を制御する。また、ポンプ制御回路35は、交流電源2から供給される電力を変換して制御部32(32a、32b)に供給するように構成されている。また、ポンプ制御回路35は、交流電源2から供給される電力を変換して通信部33に供給するように構成されている。
【0036】
ポンプ制御回路35は、コンデンサ、抵抗を含んでいる。また、ポンプ制御回路35は、たとえば、コンデンサおよび抵抗を用いて、交流電源2から供給される電力の電圧を下げて、制御部32(32a、32b)、通信部33(33a、33b)および通信部34(34a、34b)に電力を供給する。また、ポンプ制御回路35は、トランスを用いて交流電源2から供給される電力の電圧を下げるよう構成してもよい。
【0037】
モータ36は、交流電源2から供給される電力により回転駆動するように構成されている。モータ36は、羽根車を回転させることにより、タンク1から水を吸入して管37を介して吸入した水を吐出させる。
【0038】
制御部32(32a、32b)は、通信部33a、34a、33bおよび34bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて水位を検知するように構成されている。ここで、無線電波は、水中では飛びにくくなるため、互いに無線通信を行う通信部のうち少なくとも一方が水中にある場合には、無線通信強度が減衰する状態となる。つまり、制御部32(32a、32b)は、通信部33a、34a、33bおよび34bによる無線通信強度が減衰することに基づいて、タンク1内の水位が、対応する通信部33a、34a、33bおよび34bよりも上方の位置の水位であることを検知するように構成されている。また、制御部32(32a、32b)は、通信部33a、34a、33bおよび34bによる無線通信ができる(無線通信強度が所定値以上である)ことに基づいて、タンク1内の水位が、対応する通信部33a、34a、33bおよび34bよりも下方の位置の水位であることを検知するように構成されている。
【0039】
通信部33a、34a、33bおよび34bの通信は、一方の通信部からパルス信号を送信し、パルス信号に対する他方の通信部からの応答信号を一方の通信部が受信する。つまり、制御部32(32a、32b)は、パルス信号の送信に対して応答信号を受信することにより、通信が可能であると判断する。また、制御部32(32a、32b)は、パルス信号に対する応答信号を受信しない場合に、通信ができていないと判断する。
【0040】
ここで、本実施形態では、制御部32(32a、32b)は、通信部33a、34a、33bおよび34bのうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。つまり、タンク1内の水位がON水位以上になった(無線通信強度が所定値未満となった)ことに基づいて、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち一方が運転されてタンク1内の水を排水させる。その後、タンク1内の水位がOFF水位以下になった(無線通信強度が所定値以上に復帰した)ことに基づいて、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。具体的には、無線通信強度が所定値以上に復帰してから、所定時間運転後に、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。そして、次に、タンク1内の水位がON水位以上になった場合は、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち他方が運転されてタンク1内の水を排水させる。その後、同様に水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転させながら、タンク1内の水が排水される。
【0041】
また、水中電動ポンプ3aの制御部32aと、水中電動ポンプ3bの制御部32bとは、互いに独立して、各々の水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。つまり、交互運転させる場合に、タンク1内の水位がON水位以上となった場合に、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番の制御部32aまたは32bは、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。また、タンク1内の水位がON水位以上となった場合でも、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32aまたは32bは、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)ように制御する。
【0042】
なお、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32aまたは32bは、タンク1内の水位がON水位以上となった後、所定時間経過後に、タンク1内の水位がOFF水位以下とならない(無線通信が再開しない)場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。つまり、休止中の水中電動ポンプ3aおよび3bの他方は、運転中の水中電動ポンプ3aおよび3bの一方に対して追掛けるようにして運転を開始する。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bの両方により排水が行われる。
【0043】
また、制御部32(32a、32b)は、通信部33aまたは34aと通信部33bまたは34bとが無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。
【0044】
具体的には、制御部32(32a、32b)は、通信部33aまたは34aと通信部33bまたは34bとの無線通信による信号の発信と受信との順番により、水中電動ポンプ3aおよび3bの交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。
【0045】
詳細には、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ本体31に電力が供給された場合に、所定時間経過後に、通信部33aまたは34a(33bまたは34b)から信号を発信する。その際に、制御部32a(32b)は、他の水中電動ポンプ3b(3a)からの同様の信号を受信するタイミングに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する。制御部32a(32b)は、通信部33aまたは34a(33bまたは34b)から信号を発信した後に、他の水中電動ポンプ3b(3a)からの同様の信号を受信した場合は、自身の水中電動ポンプ本体31を先に運転させる先行ポンプとして順番を決定する。一方、制御部32a(32b)は、通信部33aまたは34a(33bまたは34b)から信号を発信するより前に、他の水中電動ポンプ3b(3a)からの同様の信号を受信した場合は、自身の水中電動ポンプ本体31を後に運転させる(先に休止させる)後行ポンプとして順番を決定する。つまり、先に通信部33aまたは34a(33bまたは34b)から信号を発信した(先に電力が投入された)水中電動ポンプ3aまたは3bが、先行ポンプとして決定され、後に通信部33aまたは34a(33bまたは34b)から信号を発信した(後に電力が投入された)水中電動ポンプ3aまたは3bが、後行ポンプとして決定される。
【0046】
なお、この場合、水中電動ポンプ3aおよび3bに同時に電力が供給された場合でも、ポンプ制御回路35の抵抗やコンデンサの個体差により、制御部32aおよび32bに電力が供給される時間に差が生じる。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち、いずれか一方が先行ポンプとして決定され、他方が後行ポンプとして決定される。
【0047】
制御部32a(32b)は、通信部34aおよび34b通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部32a(32b)は、通信部34aおよび34bの無線通信ができなくなった場合、または、無線通信の信号強度が水位がない場合に比べて所定の割合だけ減少した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる制御を行うように構成されている。つまり、
図4に示すように、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3aおよび3bの上部にそれぞれ設けられた通信部34aおよび34bの無線通信の信号強度が減衰して、水位が水位L3よりも高くなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。
【0048】
また、制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bの無線通信ができるようになった場合、または、無線通信の信号強度が水位がない状態の信号強度まで増加(復帰)した場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる制御を行うように構成されている。つまり、
図4に示すように、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3aおよび3bの下部にそれぞれ設けられた通信部33aおよび33bの無線通信の信号強度が増加して、水位が水位L1よりも低くなった場合に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。
【0049】
また、本実施形態では、制御部32a(32b)は、通信部33a、34a、33bおよび34bの無線通信の状態に応じて、通信部33a、34a、33bおよび34bの異常を判定するように構成されている。また、制御部32a(32b)は、異常を検知した場合に、異常を検知した通信部以外の通信部を用いて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始または停止させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部32a(32b)は、通信部33a、34a、33bおよび34bの無線通信の可否に基づいて、通信部33a、34a、33bおよび34bの故障の発生を検知するように構成されている。
【0050】
制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態において、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と通信部33b(33a)または通信部34b(34a)とが無線通信できない場合に、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と無線通信ができない通信部33b(33a)または通信部34b(34a)に異常が発生していると判定するように構成されている。
【0051】
具体的には、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態において、通信部33a(33b)と通信部33b(33a)とが無線通信できない場合に、通信部33b(33a)が故障していると判定するように構成されている。また、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態において、通信部34a(34b)と通信部34b(34a)とが無線通信できない場合に、通信部34b(34a)が故障していると判定するように構成されている。
【0052】
つまり、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態では、通信部33a(33b)が水面より上にある状態(水位が水位L1より低い状態)である。この場合において、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と通信部33b(33a)または通信部34b(34a)とが無線通信できないため、通信部33b(33a)または34b(34a)に故障が発生していると判定される。
【0053】
また、本実施形態では、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態において、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と通信部33b(33a)および通信部34b(34a)の両方とが無線通信できない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)に異常が発生している、あるいは水中電動ポンプ3b(3a)の電源がOFFになっていると判定するように構成されている。また、この場合、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)および通信部34a(34b)の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成されている。
【0054】
つまり、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態では、通信部33a(33b)が水面より上にある状態(水位が水位L1より低い状態)である。この場合において、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と通信部33b(33a)および通信部34b(34a)の両方とが無線通信できないため、通信部33b(33a)および34b(34a)が設けられた水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生していると判定される。
【0055】
(第1動作例)
図4を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第1動作例について説明する。第1動作例では、通信部33a、34a、33bおよび34bのいずれにも異常が発生しておらず、水中電動ポンプ3aおよび3bにより通常に交互運転を行う場合の例について説明する。
【0056】
通常に交互運転を行う場合は、通信部33aおよび33bの無線通信と、通信部34aおよび34bの無線通信と、通信部33aおよび34aの無線通信と、通信部33bおよび34bの無線通信とが行われる。通信部33aおよび33bの無線通信に基づいて、停止水位が検知される。通信部34aおよび34bの無線通信に基づいて、始動水位が検知される。通信部33aおよび34aの無線通信は、水中電動ポンプ3aの制御部32aが、他の水中電動ポンプ3b、通信部33bおよび34bに異常が発生しているか否かを判定するのに用いられる。通信部33bおよび34bの無線通信は、水中電動ポンプ3bの制御部32bが、他の水中電動ポンプ3a、通信部33aおよび34aに異常が発生しているか否かを判定するのに用いられる。
【0057】
通信部33aおよび33bが無線通信可能であり、通信部34aおよび34bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信可能であり、通信部33bおよび34bが無線通信可能である場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させない。
【0058】
その後、通信部33aおよび33bが無線通信できなくなり、通信部34aおよび34bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信できなくなり、通信部33bおよび34bが無線通信できなくなった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L2より高くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させない。
【0059】
その後、通信部33aおよび33bが無線通信できなく、通信部34aおよび34bが無線通信できなくなり、通信部33aおよび34aが無線通信できなく、通信部33bおよび34bが無線通信できない場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L3より高くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。
【0060】
その後、通信部33aおよび33bが無線通信できなく、通信部34aおよび34bが無線通信可能となり、通信部33aおよび34aが無線通信できなく、通信部33bおよび34bが無線通信できない場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L3より低くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って運転している水中電動ポンプ3a(3b)の運転を継続させる。つまり、通信部33aおよび33bの無線通信と、通信部34aおよび34bの無線通信と、通信部33aおよび34aの無線通信と、通信部33bおよび34bの無線通信との全てが無線通信できない状態から、通信部34aおよび34bの無線通信ができるようになった場合には、排水途中であるため、運転が継続される。
【0061】
その後、通信部33aおよび33bが無線通信可能となり、通信部34aおよび34bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信可能となり、通信部33bおよび34bが無線通信可能となった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って運転している水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。その後、水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転/休止させながら上記動作が繰り返される。
【0062】
(第2動作例)
図5を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第2動作例について説明する。第2動作例では、水中電動ポンプ3bの通信部34bに異常が発生した場合において、水中電動ポンプ3aおよび3bにより交互運転を行う場合の例について説明する。
【0063】
図5に示すように、通信部34bに異常が発生して、通信部34bによる無線通信ができなくなった場合に、水中電動ポンプ3bの制御部32bは、通信部34bにより無線通信ができなくなったことに基づいて、通信部34bが故障していると判定する。また、水中電動ポンプ3aの制御部32aは、通信部33aおよび34aの無線通信が可能である状態において、通信部34aと通信部34bとが無線通信できなくなったことに基づいて、通信部34bが故障していると判定する。
【0064】
第2動作例では、通信部33aおよび33bの無線通信と、通信部33aおよび34aの無線通信と、通信部33bおよび34aの無線通信とが行われる。通信部33aおよび33bの無線通信に基づいて、停止水位が検知される。通信部33aおよび34aの無線通信に基づいて、水中電動ポンプ3aの始動水位が検知される。通信部33bおよび34aの無線通信に基づいて、水中電動ポンプ3bの始動水位が検知される。
【0065】
通信部33aおよび33bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信可能であり、通信部33bおよび34aが無線通信可能である場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させない。
【0066】
通信部33aおよび33bが無線通信できなくなり、通信部33aおよび34aが無線通信できなくなり、通信部33bおよび34aが無線通信できなくなった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L2より高くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。なお、通信部33aおよび33bが無線通信できなくなり、通信部33aおよび34aが無線通信できなくなり、通信部33bおよび34aが無線通信できなくなった場合に、制御部32a(32b)は、所定時間経過後に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させてもよい。
【0067】
通信部33aおよび33bが無線通信可能となり、通信部33aおよび34aが無線通信可能となり、通信部33bおよび34aが無線通信可能となった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って運転している水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。その後、水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転/休止させながら上記動作が繰り返される。
【0068】
なお、水中電動ポンプ3aの通信部34aに異常が発生した場合も、水中電動ポンプ3aおよび3bの状態が逆となり上記第2動作例と同様の動作が行われる。
【0069】
(第3動作例)
図6を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第3動作例について説明する。第3動作例では、水中電動ポンプ3bの通信部33bに異常が発生した場合において、水中電動ポンプ3aおよび3bにより交互運転を行う場合の例について説明する。
【0070】
図6に示すように、通信部33bに異常が発生して、通信部33bによる無線通信ができなくなった場合に、水中電動ポンプ3bの制御部32bは、通信部33bにより無線通信ができなくなったことに基づいて、通信部33bが故障していると判定する。また、水中電動ポンプ3aの制御部32aは、通信部33aおよび34aの無線通信が可能である状態において、通信部33aと通信部33bとが無線通信できなくなったことに基づいて、通信部33bが故障していると判定する。
【0071】
第3動作例では、通信部34aおよび34bの無線通信と、通信部33aおよび34aの無線通信と、通信部33aおよび34bの無線通信とが行われる。通信部34aおよび34bの無線通信に基づいて、始動水位が検知される。通信部33aおよび34aの無線通信に基づいて、水中電動ポンプ3aの停止水位が検知される。通信部33aおよび34bの無線通信に基づいて、水中電動ポンプ3bの停止水位が検知される。
【0072】
通信部34aおよび34bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信可能であり、通信部33aおよび34bが無線通信可能である場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させない。
【0073】
その後、通信部34aおよび34bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信できなくなり、通信部33aおよび34bが無線通信できなくなった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L2より高くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させない。
【0074】
その後、通信部34aおよび34bが無線通信できなくなり、通信部33aおよび34aが無線通信できなく、通信部33aおよび34bが無線通信できない場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L3より高くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。
【0075】
その後、通信部34aおよび34bが無線通信可能となり、通信部33aおよび34aが無線通信できなく、通信部33aおよび34bが無線通信できない場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L3より低くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って運転している水中電動ポンプ3a(3b)の運転を継続させる。つまり、通信部34aおよび34bの無線通信と、通信部33aおよび34aの無線通信と、通信部33aおよび34bの無線通信との全てが無線通信できない状態から、通信部34aおよび34bの無線通信ができるようになった場合には、排水途中であるため、運転が継続される。
【0076】
その後、通信部34aおよび34bが無線通信可能であり、通信部33aおよび34aが無線通信可能となり、通信部33aおよび34bが無線通信可能となった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って運転している水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。その後、水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転/休止させながら上記動作が繰り返される。
【0077】
なお、水中電動ポンプ3aの通信部33aに異常が発生した場合も、水中電動ポンプ3aおよび3bの状態が逆となり上記第3動作例と同様の動作が行われる。
【0078】
(第4動作例)
図7を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第4動作例について説明する。第4動作例では、水中電動ポンプ3bに異常が発生した場合において、水中電動ポンプ3aにより単独運転を行う場合の例について説明する。単独運転を行う場合、水中電動ポンプ3aは、交互運転の際の運転休止の順番に従うことなく、水位が高くなった場合に、常に運転を行う。
【0079】
図7に示すように、水中電動ポンプ3bに異常が発生して、通信部33bおよび通信部34bによる無線通信ができなくなった場合に、水中電動ポンプ3aの制御部32aは、通信部33aおよび34aの無線通信が可能である状態において、通信部33aと通信部33bとが無線通信できなくなったとともに、通信部34aと通信部34bとが無線通信できなくなったことに基づいて、水中電動ポンプ3bが故障していると判定する。
【0080】
第4動作例では、通信部33aおよび34aの無線通信が行われる。通信部33aおよび34aの無線通信に基づいて、水中電動ポンプ3aの始動水位および停止水位が検知される。
【0081】
通信部33aおよび34aが無線通信可能である場合に、制御部32aは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32aは、水中電動ポンプ3aを運転させない。
【0082】
その後、通信部33aおよび34aが無線通信できなくなった場合に、制御部32aは、水位が水位L2より高くなったと判定する。この場合、制御部32aは、水中電動ポンプ3aの運転を開始させる。なお、通信部33aおよび34aが無線通信できなくなった場合に、制御部32aは、所定時間経過後に、水中電動ポンプ3aの運転を開始させてもよい。
【0083】
その後、通信部33aおよび34aが無線通信可能となった場合に、制御部32aは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32aは、水中電動ポンプ3aの運転を停止させる。その後、上記動作が繰り返される。
【0084】
なお、水中電動ポンプ3aに異常が発生した場合も、水中電動ポンプ3aおよび3bの状態が逆となり上記第4動作例と同様の動作が行われる。
【0085】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0086】
本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33a、34a、33bおよび34bのうち少なくとも2つの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成する。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着したり電極に異物が絡みつくことがない。その結果、水位を検知する要素(通信部33a、34a、33bおよび34b)が腐食等により故障するのを抑制することができる。また、水位を検知する要素(通信部33a、34a、33bおよび34b)のうち1つに故障が発生した場合でも、故障が発生していない残りの要素の少なくとも2つの無線通信により水位を検知することができるので、複数の水中電動ポンプ3aおよび3bによる交互運転を継続させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(通信部33a、34a、33bおよび34b)が故障するのを抑制することができるとともに、水位を検知する要素(通信部33a、34a、33bおよび34b)の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプ3aおよび3bによる交互運転を継続させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、通信部33a、34a、33bおよび34bは、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている。これにより、通信部33a、34a、33bおよび34bの無線通信が、影響を受けやすい部分(たとえば、モータ36部分)により阻害されるのを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ3aに設けられた通信部33aと、水中電動ポンプ3bに設けられた通信部33bとを、互いに略同じ高さ位置に配置する。また、水中電動ポンプ3aに設けられた通信部34aと、水中電動ポンプ3bに設けられた通信部34bとを、互いに略同じ高さ位置に配置する。これにより、通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、通信部33aおよび33bが配置された高さ位置の水位を検知することができるとともに、通信部34aおよび34bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、通信部34aおよび34bが配置された高さ位置の水位を検知することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部34aおよび34b通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる制御を行うとともに、通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる制御を行うように構成する。これにより、通信部34aおよび34bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる高い位置の水位を検知することができる。また、通信部33aおよび通信部33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる低い位置の水位を検知することができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33a、34a、33bおよび34bの無線通信の状態に応じて、通信部33a、34a、33bおよび34bの異常を判定して、異常を検知した場合に、異常を検知した通信部以外の通信部を用いて、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始または停止させる制御を行うように構成する。これにより、異常が発生した通信部を水位の検知に用いることから除外することができるので、一部の通信部に異常が発生して無線通信ができなくなった場合に、水位が上がって無線通信ができなくなった場合と誤認して、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させることを抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態において、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と通信部33b(33a)または通信部34b(34a)とが無線通信できない場合に、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と無線通信ができない通信部33b(33a)または通信部34b(34a)に異常が発生していると判定するように構成する。これにより、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32a(32b)が、水中電動ポンプ3b(3a)の通信部33b(33a)および通信部34b(34a)の異常を検知することができるので、通信部33a、34a、33bおよび34bのうち1つに異常が発生した場合に、制御部32aおよび制御部32bの両方が異常を検知することができる。これにより、通信部33a、34a、33bおよび34bのうち1つに異常が発生した場合に、制御部32aおよび32bの両方が、異常が発生した通信部以外の通信部を用いて水位を検知する制御に切り替えることができる。これにより、通信部の一部に故障が発生した場合でも、複数の水中電動ポンプ3aおよび3bによる交互運転を確実に継続させることができる。
【0092】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33a(33b)と通信部34a(34b)とが無線通信可能な状態において、通信部33a(33b)または通信部34a(34b)と通信部33b(33a)および通信部34b(34a)の両方とが無線通信できない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)に異常が発生していると判定するとともに、通信部33a(33b)および通信部34a(34b)の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成する。これにより、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、交互運転の制御をやめて、単独運転の制御に切り替えることができる。これにより、残りの水中電動ポンプが交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。つまり、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残されたもう1台の水中電動ポンプにより単独で運転を継続する際に、残された1台の水中電動ポンプの運転タイミングが後から運転するタイミングに設定されるのを抑制することができる。これにより、排水が追い付かず設置位置から水が溢れる(オーバーフローする)のを抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ3aと、水中電動ポンプ3bとは、同一の構成をしている。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bを設置する際に、水中電動ポンプ3aおよび3bの各々に対する通信部33aおよび34a(33bおよび34b)等の設置位置の変更をユーザーが行う必要がない。これにより、ユーザーにおいては水中電動ポンプ3aおよび3bを設置するのみでよいので、水中電動ポンプ3aおよび3bの設置の際の作業負担が増大するのを抑制することができる。その結果、ユーザー側で2種類以上のポンプを購入する必要もなくなり、管理面におけるメリットもある。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32aおよび32bを、通信部33aまたは34aと通信部33bまたは34bとが無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成する。これにより、複数の水中電動ポンプ3aおよび3bの各々により、交互運転の際の運転および休止のタイミングが独立して決定される場合と異なり、相互の通信により、交互運転の際の運転および休止の順番を決定することができるので、水中電動ポンプ3aと水中電動ポンプ3bとの運転および休止のタイミングが同じになるのを抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、通信部33aおよび34aを、水中電動ポンプ3aの金属部分を避けて水中電動ポンプ3aに配置する。また、通信部33bおよび34bを、水中電動ポンプ3bの金属部分を避けて水中電動ポンプ3bに配置する。これにより、通信部33a、34a、33bおよび34bの無線通信が金属部分により阻害されるのを抑制することができる。
【0096】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0097】
たとえば、上記実施形態では、水中電動ポンプシステムに水中電動ポンプを2台設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプシステムに3台以上の水中電動ポンプを設けてもよい。この場合、水中電動ポンプを1台ずつ順番に交互に運転させてもよいし、水中電動ポンプを複数台ずつ順番に交互に運転させてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、2台の水中電動ポンプの通信部による信号の送信および受信の順番に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の水中電動ポンプの通信部により互いに異なる個体識別情報を無線通信により送受信することにより、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成してもよい。たとえば、数字、アルファベットなどにより表される個体識別情報を通信部を介して送受信して、送信した自身の個体識別情報と、受信した相手方の個体識別情報とを比較して、所定の法則に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプに交流電力が供給される構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに直流電力が供給されてもよい。この場合、水中電動ポンプは、直流電力を交流電力に変換する電力変換部を備えていてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、複数の通信部がBluetooth規格により無線通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の通信部がBluetooth規格以外の規格により無線通信を行ってもよい。たとえば、複数の通信部がZigBee規格や、WiFi規格などの規格により無線通信を行ってもよい。また、複数の通信部が赤外線通信により無線通信を行ってもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプをタンク内に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプをタンク以外の排水が必要な領域に配置してもよい。たとえば、池、河川、湖などに水中電動ポンプを配置してもよいし、上水設備または下水設備に水中電動ポンプを配置してもよい。
【0102】
また、本実施形態では、
図8に示す第1変形例のように、通信部33a(33b)を、水中電動ポンプ3a(3b)のオイルケーシングの外側に、オイルケーシングから外側に突出しないように設けてもよい。具体的には、通信部33a(33b)を、オイルケーシングのくぼみ部分に設けてもよい。また、通信部34a(34b)を、水中電動ポンプ3a(3b)のヘッドカバーの外側に、ヘッドカバーから外側に突出しないように設けてもい。具体的には、通信部34a(34b)を、ヘッドカバーのくぼみ部分に設けてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、通信部33aおよび34a(33bおよび34b)を、水中電動ポンプ3a(3b)の背面側に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1通信部、第2通信部、第3通信部および第4通信部は、無線通信が金属部分の影響を受けにくく、かつ、互いに近い位置に配置されていれば、水中電動ポンプの背面側以外に設けてもよい。
【0104】
たとえば、
図9に示す第2変形例のように、通信部33a(第1通信部)および通信部34a(第2通信部)(通信部33b(第3通信部)および通信部34b(第4通信部))を、水中電動ポンプ3a(3b)の側面側に配置してもよい。水を吐出する管37を向かい合わせる場合、通信部33a(第1通信部)および通信部34a(第2通信部)を、水中電動ポンプ3a(第1水中電動ポンプ)の一方側の側面に設け、通信部33b(第3通信部)および通信部34b(第4通信部)を、水中電動ポンプ3b(第2水中電動ポンプ)の他方側の側面に設けてもよい。
【0105】
また、
図10に示す第3変形例のように、水を吐出する管37を向かい合わせる場合、管37が金属でなければ、通信部33a(第1通信部)および通信部34a(第2通信部)(通信部33b(第3通信部)および通信部34b(第4通信部))を、水中電動ポンプ3a(3b)の前面側(管37側)に配置してもよい。
【0106】
また、
図11に示す第4変形例のように、水を吐出する管37を同じ方向に向ける場合、通信部33a(第1通信部)および通信部34a(第2通信部)を、水中電動ポンプ3a(第1水中電動ポンプ)の一方側の側面に設け、通信部33b(第3通信部)および通信部34b(第4通信部)を、水中電動ポンプ3b(第2水中電動ポンプ)も一方側の側面に設けてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、上部に設けた通信部(第2通信部および第4通信部)を水中電動ポンプのカバー外に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第2通信部と第1通信部もしくは第3通信部との通信(第4通信部と第1通信部もしくは第3通信部との通信)が、水中電動ポンプの金属部分で阻害されないようにしながら、第2通信部および第4通信部を水中電動ポンプのカバー内に設けてもよい。この場合、通信部を通信の影響を受けない樹脂製筐体内部に設置すれば、異物の絡みつきが生じることが無い。なお、通信部を水中電動ポンプの筐体に対して外付けにし、突起形状になったとしても金属のような電波を遮断するような異物が絡みつかない限り動作に影響することなく構成することができる。なお、カバー内に通信部を設けるにあたり、カバー内の空間に通信部を設けたり、カバーの筐体に通信部を埋め込む等形態は特に限定しない。
【0108】
また、上記実施形態では、下部に設けた通信部(第1通信部および第3通信部)を水中電動ポンプのオイルケーシングの外側に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第2通信部と第1通信部もしくは第3通信部との通信(第4通信部と第1通信部もしくは第3通信部との通信)が、水中電動ポンプの金属部分で阻害されないようにしながら、第1通信部および第3通信部を水中電動ポンプのオイルケーシングの内側に設けてもよい。なお、オイルケーシング内に通信部を設けるにあたり、オイルケーシング内の空間(オイル室内)に通信部を設けたり、オイルケーシングに通信部を埋め込む等形態は特に限定しない。
【0109】
また、上記実施形態では、下部に設けた通信部(第1通信部および第3通信部)を水中電動ポンプのオイルケーシングに設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1通信部および第3通信部を水中電動ポンプのポンプケーシングに設けてもよい。この場合、第1通信部および第3通信部は、ポンプケーシングから外側に突出しないようにポンプケーシングの上部に設けてもよい。また、第1通信部および第3通信部は、水中電動ポンプ本体の最大径からはみ出さないように取り付けられることが好ましい。また、第2通信部と第1通信部もしくは第3通信部との通信(第4通信部と第1通信部もしくは第3通信部との通信)が、水中電動ポンプの金属部分で阻害されないようにしながら、第1通信部および第3通信部を水中電動ポンプのポンプケーシングの内側に設けてもよい。なお、ポンプケーシング内に通信部を設けるにあたり、ポンプケーシング内の空間に通信部を設けたり、ポンプケーシングに通信部を埋め込む等形態は特に限定しない。
【0110】
また、上記実施形態では、2つの水中電動ポンプが同一の構成を有する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、2つの水中電動ポンプは、ポンプ本体の構成が同一であれば通信部の設置高さ位置は互いに異なっていてもよい。この場合、ヘッドカバーやオイルケーシングに対する通信部の設置する高さ位置を変更したり、付属品(たとえば、マンホールポンプにおけるフロート係留用のバー)を用いて通信部の設置する高さ位置を変更してもよい。
【符号の説明】
【0111】
3a 水中電動ポンプ(第1水中電動ポンプ)
3b 水中電動ポンプ(第2水中電動ポンプ)
31 水中電動ポンプ本体
32a 制御部(第1制御部)
32b 制御部(第2制御部)
33a 通信部(第1通信部)
33b 通信部(第3通信部)
34a 通信部(第2通信部)
34b 通信部(第4通信部)
100 水中電動ポンプシステム