(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 21/12 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B65G21/12 B
(21)【出願番号】P 2020168475
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-046010(JP,U)
【文献】特開平06-271037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に交差する搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、
前記搬送方向に沿って互いに離間して配置された複数のマストと、
複数の前記マストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、前記コンベヤを前記上下方向に支持する支持部と、を備え、
複数の前記支持部は、前記搬送方向に沿って互いに離間して配置され、
複数の前記支持部のうち少なくとも1つを対象支持部として、
前記対象支持部は、前記上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、前記コンベヤの相対移動を許容する移動許容機構を備え
、
前記移動許容機構は、
前記上下方向に交差する平面状に形成された平面部と、
前記平面部に接触しながら当該平面部と相対移動する移動体と、を備え、
前記平面部と前記移動体との相対移動により、前記コンベヤが前記対象支持部に対して相対移動する、物品搬送装置。
【請求項2】
上下方向に交差する搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、
前記搬送方向に沿って互いに離間して配置された複数のマストと、
複数の前記マストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、前記コンベヤを前記上下方向に支持する支持部と、を備え、
複数の前記支持部は、前記搬送方向に沿って互いに離間して配置され、
複数の前記支持部のうち少なくとも1つを対象支持部として、
前記対象支持部は、前記上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、前記コンベヤの相対移動を許容する移動許容機構を備え
、
前記移動許容機構は、
前記搬送方向に沿って配置された案内レールと、
前記案内レールの転動面を前記搬送方向に沿って転動する案内ローラと、
前記案内ローラと前記コンベヤとを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記案内ローラの転動に伴って前記搬送方向に移動する、物品搬送装置。
【請求項3】
上下方向に交差する搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、
前記搬送方向に沿って互いに離間して配置された複数のマストと、
複数の前記マストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、前記コンベヤを前記上下方向に支持する支持部と、を備え、
複数の前記支持部は、前記搬送方向に沿って互いに離間して配置され、
複数の前記支持部のうち少なくとも1つを対象支持部として、
前記対象支持部は、前記上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、前記コンベヤの相対移動を許容する移動許容機構を備え
、
前記移動許容機構は、
前記搬送方向に沿って配置された転動面と、
前記転動面を前記搬送方向に沿って転動する案内ローラと、
前記転動面と前記コンベヤとを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記案内ローラの転動に伴って前記搬送方向に移動する、物品搬送装置。
【請求項4】
前記搬送方向に対して前記上下方向に沿う上下方向視で直交する方向を幅方向として、
前記転動面は、
前記連結部材が前記案内ローラと前記コンベヤとを連結する場合は上方を向く面であり、
前記連結部材が前記転動面と前記コンベヤとを連結する場合は下方を向く面であり、
前記案内ローラは、前記幅方向に沿って配置されたローラ軸と、前記ローラ軸に支持されると共に前記ローラ軸の軸心まわりに回転するローラ体と、を備え、
前記ローラ体が、前記転動面に対して前記幅方向に摺動可能に構成されている、
請求項2又は3に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
上下方向に交差する搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、
前記搬送方向に沿って互いに離間して配置された複数のマストと、
複数の前記マストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、前記コンベヤを前記上下方向に支持する支持部と、を備え、
複数の前記支持部は、前記搬送方向に沿って互いに離間して配置され、
複数の前記支持部のうち少なくとも1つを対象支持部として、
前記対象支持部は、前記上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、前記コンベヤの相対移動を許容する移動許容機構を備え
、
前記搬送方向の一方側を搬送方向第1側とし、前記搬送方向の他方側を搬送方向第2側として、
前記コンベヤの前記搬送方向第1側の端部において、前記コンベヤとの間で物品の受け渡しを行う受渡装置が設けられ、
前記搬送方向に並ぶ複数の前記マストのうち最も前記搬送方向第1側に配置された前記マストを基準マストとし、前記基準マストに沿って昇降自在に設けられた前記支持部を基準支持部として、
前記基準支持部は、前記上下方向に交差する方向に沿う前記コンベヤの相対移動を規制する位置決め機構を備え、
前記基準支持部以外の全ての前記支持部が、前記対象支持部である、物品搬送装置。
【請求項6】
前記搬送方向の一方側を搬送方向第1側とし、前記搬送方向の他方側を搬送方向第2側として、
前記コンベヤの前記搬送方向第1側の端部において、前記コンベヤとの間で物品の受け渡しを行う受渡装置が設けられ、
前記搬送方向に並ぶ複数の前記マストのうち最も前記搬送方向第1側に配置された前記マストを基準マストとし、前記基準マストに沿って昇降自在に設けられた前記支持部を基準支持部として、
前記基準支持部は、前記上下方向に交差する方向に沿う前記コンベヤの相対移動を規制する位置決め機構を備え、
前記基準支持部以外の全ての前記支持部が、前記対象支持部である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記位置決め機構は、前記上下方向に沿う軸心まわりにおける前記コンベヤの相対回転を許容する、
請求項5又は6に記載の物品搬送装置。
【請求項8】
前記移動許容方向が、前記搬送方向に沿う方向に設定されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の物品搬送装置。
【請求項9】
前記搬送方向に対して前記上下方向に沿う上下方向視で直交する方向を幅方向として、
前記移動許容方向が、前記幅方向に沿う方向に設定されている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、前記コンベヤを支持する支持部が設けられたマストと、を備えた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送装置の一例が、特許第6241400号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1には、1本のマスト(8)に設けられた支持部によって支持された昇降台(6)が、当該マスト(8)に沿って昇降して物品(18)を上下方向に搬送する構成が開示されている。昇降台(6)は、コンベヤとして構成されており、上下方向だけでなく、上下方向に交差する搬送方向(X)にも物品(18)を搬送可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、コンベヤによる物品の搬送距離を長くするためには、その分、コンベヤを搬送方向に長く形成する必要がある。その場合、複数のマストを搬送方向に沿って互いに離間させて配置し、各マストに設けられた支持部によって、コンベヤを搬送方向の複数箇所で支持する構成とすることが考えられる。しかしながら、コンベヤに対する複数のマストの設置誤差や、複数のマスト同士の相対的な傾きがある場合には、コンベヤの昇降動作に伴って、コンベヤを支持するための複数の支持部の位置関係が変化する場合がある。また、コンベヤが長くなるほど、コンベヤの自重や昇降時の慣性によってコンベヤに撓みが生じ、各部の位置関係が変化し易くなる。そのため、コンベヤの昇降動作に伴って、コンベヤ、当該コンベヤを支持する支持部、マスト等に想定外の応力が作用することになる。
【0006】
上記実状に鑑みて、複数のマストに沿って昇降する支持部によってコンベヤを支持する構成において、コンベヤの昇降動作に伴ってコンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を低減することができる物品搬送装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品搬送装置は、
上下方向に交差する搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、
前記搬送方向に沿って互いに離間して配置された複数のマストと、
複数の前記マストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、前記コンベヤを前記上下方向に支持する支持部と、を備え、
複数の前記支持部は、前記搬送方向に沿って互いに離間して配置され、
複数の前記支持部のうち少なくとも1つを対象支持部として、
前記対象支持部は、前記上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、前記コンベヤの相対移動を許容する移動許容機構を備える。
【0008】
本構成によれば、複数のマストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、コンベヤを搬送方向の複数箇所で支持する複数の支持部のうち、少なくとも1つが対象支持部とされる。そして、この対象支持部によってコンベヤを支持する箇所では、コンベヤを上下方向に支持しつつ、移動許容機構によって、上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向のコンベヤの相対移動を許容することができる。従って、本構成によれば、コンベヤの昇降動作に伴って各部の位置関係に変化が生じる場合であっても、当該位置関係の変化を移動許容機構によって許容することができ、いずれかの部位に過大な応力が作用することを回避できる。これにより、コンベヤの昇降動作に伴ってコンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を低減することができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】物品搬送装置を備えた仕分けシステムの斜視図
【
図2】物品搬送装置を備えた仕分けシステムの平面図
【
図3】複数段仕分け装置の一部を模式的に示す斜視図
【
図4】物品搬送装置を備えた仕分けシステムの側面図
【
図10】その他の実施形態に係る物品搬送装置を模式的に示す幅方向視図
【
図11】その他の実施形態に係る物品搬送装置を模式的に示す幅方向視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、物品搬送装置が仕分け(アソート)システムに適用される場合を例示して、物品搬送装置の実施形態について説明する。
【0012】
〔仕分けシステム〕
まず、
図1~
図4を参照して、仕分けシステムPSについて説明する。
図1に示すように、仕分けシステムPSは、例えば通信販売を行う事業者が保有する物流設備に備えられ、保管されている複数の物品Gの中から必要な物品Gを仕分けして出庫する。仕分けシステムPSは、例えば、不図示の自動倉庫に保管された複数の物品Gから必要な物品Gを仕分けして出庫する。この場合、自動倉庫には、複数の物品Gが種別毎に容器に収容された状態で保管されている。そして、種別毎に容器に収容された複数の物品Gは、自動倉庫から自動で搬出され、不図示の物品ばらし部において個別の物品Gに分離される。その後、複数の物品Gのそれぞれが個別に搬送される。なお、「物品G」の概念には、例えば、食料品や生活用品などの各種商品、又は、工場の生産ライン等において用いられる仕掛品などが含まれる。すなわち、仕分け対象となる物品Gには様々な物が含まれる。
【0013】
仕分けシステムPSは、複数段仕分け装置5と、複数段仕分け装置5から物品Gを受け取り、受け取った物品Gを当該複数段仕分け装置5から離間する方向である第1方向Xに沿って搬送する搬出コンベヤ6と、搬出コンベヤ6から物品Gを受け取って当該物品Gを平面視で第1方向Xに交差する(図示の例では直交する)第2方向Yに沿って搬送する物品搬送装置100と、を備えている。更に、本例の仕分けシステムPSは、
図2に示すように、複数段仕分け装置5に物品Gを搬入する搬入装置4と、物品搬送装置100との間で物品Gの受け渡しを行う受渡装置7と、自動投入機8と、搬出装置9と、を備えている。本例では、受渡装置7は、物品搬送装置100から物品Gを受け取り、受け取った物品Gを自動投入機8へ搬送する。自動投入機8は、後述するオーダー情報に基づいて集められた複数又は単数の物品Gを物品群Ggとして、搬出装置9へ投入する。そして、搬出装置9は、物品群Ggを図外の搬出場所へ搬出する。
【0014】
〔搬入装置〕
搬入装置4は、種別毎に容器に収容された状態で上記自動倉庫から搬出されると共に上記物品ばらし部において個別に分離された物品Gを、順次、複数段仕分け装置5に搬入する。
図2に示す例では、搬入装置4は、コンベヤとして構成されている。
【0015】
〔複数段仕分け装置〕
複数段仕分け装置5は、搬入装置4から搬入された物品Gを仕分けるための装置である。
図3に示すように、複数段仕分け装置5は、上下方向の高さが異なる複数段の間口51を有し、物品Gを複数段の間口51のいずれかに仕分けして排出する。図示の例では、複数段仕分け装置5は、複数段及び複数列からなる直交格子状配列の複数の間口51を有している。
【0016】
複数段仕分け装置5は、オーダー情報に基づいて、物品Gを複数の間口51のいずれかに仕分ける。本例では、複数段仕分け装置5は、オーダー情報に基づいて決定された特定の間口51から物品Gを排出して搬出コンベヤ6に引き渡すことで、物品Gの仕分けを行う。なお、ここでのオーダー情報とは、例えば、出荷すべき物品G(単一種であっても良いし、複数種の組み合わせであっても良い。)の種別及び数量を指定したオーダー(ピッキングオーダー)を示す情報である。そして、複数段仕分け装置5は、各オーダーによって指定された1つ以上の物品Gを、オーダー毎に異なる間口51に排出することで、物品Gの仕分けを行う。
【0017】
詳細な図示は省略するが、例えば、複数段仕分け装置5は、物品Gを判別するための物品判別部を備えている。複数段仕分け装置5は、物品判別部による判別結果に基づいて、物品Gを仕分ける。例えば、物品判別部は、物品Gを撮像するカメラを備えており、このカメラで取得された画像データに対する画像認識処理を行うことにより物品Gを判別するように構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、例えば、物品情報を記憶するICタグやバーコード等(記憶部)が物品Gに付されていると共に、物品判別部が、当該物品情報を読み取るリーダー(読取部)を備え、このリーダーにより読み取った物品情報に基づいて物品Gを判別するように構成されていても良い。
【0018】
本実施形態では、
図2~
図4に示すように、複数段仕分け装置5は、レール52と、当該レール52に沿って移動する複数の搬送台車53と、を備えている。レール52は、間口51が設けられる複数段毎に、水平方向(第2方向Y)に沿って設けられる水平部分を備えている。搬送台車53は、レール52の水平部分に沿って走行するように構成され、これにより、物品Gを第2方向Yに搬送する。また、レール52は、上下方向に延在すると共に、複数段毎に配置される水平部分を接続する上下部分を備えていても良い。この場合、搬送台車53は、レール52の上下部分に沿って昇降するように構成され、これにより、複数段毎に配置される水平部分のそれぞれに移動可能となる。この場合には、搬送台車53の数は、間口51が設けられる段数に制限されない。そのため、例えば、間口51が設けられる段数よりも少ない台数や多い台数の搬送台車53を配置することも可能である。なお、
図3に示す例では、8段の間口51に対して8台の搬送台車53が配置されている。
【0019】
本実施形態では、搬送台車53のそれぞれは、物品Gを下方から支持すると共に当該物品Gを間口51から排出する排出コンベヤ54を備えている。排出コンベヤ54は、搬送台車53の走行経路から第1方向Xに物品Gを移動させる。
【0020】
〔搬出コンベヤ〕
搬出コンベヤ6は、複数段仕分け装置5によって仕分けられた物品Gを搬送するための装置である。本実施形態では、搬出コンベヤ6は、複数段の間口51のそれぞれに対応して設けられており、複数段仕分け装置5によって間口51から排出された物品Gを一時的に貯留すると共に、当該貯留した物品Gを第1方向Xに搬送するように構成されている。本実施形態では、複数の搬出コンベヤ6が、複数段のそれぞれにおいて、複数列の間口51のそれぞれに対応するように第2方向Yに並んで配置されている。
【0021】
図2及び
図4に示すように、搬出コンベヤ6は、オーダー毎の複数の物品Gの集合である物品群Gg単位で物品Gを搬送し、物品搬送装置100へ排出する。1つの物品群Ggを構成する物品Gの数は、オーダー毎に異なる。例えば、オーダーによっては、1つの物品Gによって1つの物品群Ggが構成される場合もある。
【0022】
〔受渡装置〕
受渡装置7は、物品搬送装置100との間で物品Gの受け渡しを行う装置である。受渡装置7は、物品搬送装置100に対して第2方向Yに隣接して配置されている。本実施形態では、受渡装置7は、物品搬送装置100によって搬送された物品Gを当該物品搬送装置100から受け取るように構成されている。本例では、受渡装置7は、コンベヤにより構成されている。
【0023】
〔物品搬送装置〕
次に、本開示に係る物品搬送装置100の構成について説明する。
【0024】
物品搬送装置100は、物品Gを搬送するための装置である。ここでは、物品搬送装置100が仕分けシステムPSに適用された場合を例示して説明しており、物品搬送装置100は、搬出コンベヤ6から排出された物品Gを第2方向Yに搬送するように構成されている。
【0025】
以下の説明では、上下方向に交差する方向であって物品搬送装置100によって物品Gが搬送される方向を「搬送方向T」とし、搬送方向Tに対して上下方向に沿う上下方向視で直交する方向を「幅方向W」とする。すなわち本実施形態では、「搬送方向T」は、上述の仕分けシステムPS全体の構成を説明するのに用いた「第2方向Y」に等しく、「幅方向W」は、「第1方向X」に等しい。また、ここでは、搬送方向Tの一方側を搬送方向第1側T1、搬送方向Tの他方側を搬送方向第2側T2とする。
【0026】
図1、
図2、及び
図4に示すように、物品搬送装置100は、上下方向に交差する搬送方向Tに物品を搬送する昇降コンベヤ1と、搬送方向Tに沿って互いに離間して配置された複数のマスト2と、複数のマスト2のそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、昇降コンベヤ1を上下方向に支持する支持部3と、を備えている。本例では、搬送方向Tは、上下方向に直交する方向である。すなわち、搬送方向T及びこれに直交する幅方向Wは、水平に沿う方向である。
【0027】
昇降コンベヤ1は、複数の支持部3がマスト2のそれぞれに沿って昇降することに伴って昇降するように構成されている。これにより本実施形態では、昇降コンベヤ1は、複数段に配置された複数の搬出コンベヤ6のそれぞれに対応した高さに移動して、複数段の各搬出コンベヤ6から物品Gを受け取ることが可能に構成されている。また、昇降コンベヤ1は、複数の支持部3に支持された搬送方向Tの全域において連続して配置されている。これにより、搬送方向T(第2方向Y)に沿って並んで配置された全ての搬出コンベヤ6から物品Gを受け取ることが可能に構成されている。本実施形態では、昇降コンベヤ1が「コンベヤ」に相当する。
【0028】
本実施形態では、昇降コンベヤ1は、互いに搬送方向Tに沿って配置された第1コンベヤ部11及び第2コンベヤ部12を備えている。第1コンベヤ部11と第2コンベヤ部12とは、互いに接続されて搬送方向Tの同領域に配置されている。本実施形態では、第1コンベヤ部11と第2コンベヤ部12との双方は、ベルトコンベヤにより構成されている。
【0029】
第1コンベヤ部11は、搬送対象の物品Gが接触する第1搬送面11Fと、第1搬送面11Fを駆動する第1駆動部(不図示)と、を有している。第1搬送面11Fは、搬送対象の物品Gを載置するように構成されている。本実施形態では、第1コンベヤ部11は、第1搬送面11Fによって物品Gを載置した状態で、当該物品Gを搬送方向第1側T1に向けて搬送する。
図4に示すように、本例では、第1搬送面11Fは、搬送方向T視において水平面に対して傾斜している。より詳細には、第1搬送面11Fは、幅方向Wにおける搬出コンベヤ6から離間する側に向かうに従って下方へ向かうように傾斜している。これにより、搬出コンベヤ6から排出される物品Gを、第1搬送面11Fによって適切に受け取ることができると共に、幅方向Wにおける搬出コンベヤ6から離間した位置に寄せた状態で搬送することができる。
【0030】
第2コンベヤ部12は、搬送対象の物品Gが接触する第2搬送面12Fと、第2搬送面12Fを駆動する第2駆動部(不図示)と、を有している。第2コンベヤ部12は、第1コンベヤ部11に対して幅方向Wの一方側に配置されており、第2搬送面12Fは、第1搬送面11Fに載置されている物品Gに対して幅方向Wから接触するように構成されている。本例では、第2コンベヤ部12は、幅方向Wにおける第1コンベヤ部11を挟んで搬出コンベヤ6とは反対側に配置されており、第2搬送面12Fは、第1搬送面11Fに載置された物品Gに対して上記幅方向Wの反対側から接触する。これにより、搬出コンベヤ6から第1コンベヤ部11の第1搬送面11Fに排出された物品Gを、第2搬送面12Fに接触させて、第1搬送面11Fから幅方向Wの外側に脱落しないようにできる。本実施形態では、第2コンベヤ部12は、第2搬送面12Fによって幅方向Wから物品Gに接触した状態で、当該物品Gを搬送方向第1側T1に向けて搬送する。本例では、第1搬送面11Fと第2搬送面12Fとの成す角が略直角となるように、第1コンベヤ部11と第2コンベヤ部12とが配置されている。
【0031】
複数(図示の例では3つ)のマスト2のそれぞれは、上下方向に沿う姿勢で設備の床面に固定されている。本実施形態では、複数のマスト2は、幅方向Wの同じ位置において搬送方向Tに沿って互いに離間して配置されている。複数のマスト2同士の搬送方向Tの間隔は、図示のように等間隔であっても良いし、異なる間隔であっても良い。
【0032】
複数のマスト2のそれぞれには、昇降コンベヤ1を支持する支持部3が昇降自在に設けられている。すなわち、物品搬送装置100は、複数の支持部3を備えており、複数の支持部3は、搬送方向Tに沿って互いに離間して配置されている。昇降コンベヤ1は、複数の支持部3によって、搬送方向Tにおける複数箇所で支持されている。
【0033】
マスト2には、支持部3を昇降させる昇降駆動部20が設けられている。昇降駆動部20は、昇降モータ20Mと、昇降モータ20Mにより回転駆動される回転体(不図示)と、回転体に巻回された無端体(不図示)と、を備えている。無端体は、支持部3に連結されている。昇降モータ20Mにより回転体が回転することで無端体が駆動され、支持部3が昇降するように構成されている。例えば、回転体はプーリとされ、無端体はベルトとされる。但し、支持部3を昇降させる昇降駆動部20の構造としては、上記に限定されることなく公知の構造を採用することができる。
【0034】
本実施形態では、複数のマスト2のそれぞれに、上記の回転体及び無端体が設けられており、複数のマスト2のうち何れか1つに、昇降モータ20Mが設けられている。そして、昇降モータ20Mは、駆動連結軸21によって、複数のマスト2のそれぞれに設けられた回転体と駆動連結されている。これにより、複数のマスト2のそれぞれに設けられた支持部3が、互いに同期して昇降するように構成されている。
【0035】
本開示に係る物品搬送装置100は、上記のように複数のマスト2に沿って昇降する支持部3によって昇降コンベヤ1を支持する構成において、昇降コンベヤ1の昇降動作に伴って昇降コンベヤ1、支持部3、又はマスト2に作用する応力を低減することが可能となっている。物品搬送装置100は、搬送方向Tの複数箇所において、上記応力を低減可能に昇降コンベヤ1を支持する構造を備えている。以下、詳細に説明する。
【0036】
図5及び
図6は、物品搬送装置100を模式的に示す図である。
図5は平面図を、
図6は幅方向W視図を、それぞれ示している。
【0037】
ここでは、搬送方向Tに並ぶ複数のマスト2のうち少なくとも1つを基準マスト2Aとし、複数の支持部3のうち少なくとも1つを基準支持部3Aとする。本例では、搬送方向Tに並ぶ複数のマスト2のうち最も搬送方向第1側T1に配置されたマスト2を基準マスト2Aとし、当該基準マスト2Aに沿って昇降自在に設けられた支持部3を基準支持部3Aとしている。本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、昇降コンベヤ1の搬送方向第1側T1の端部において、昇降コンベヤ1との間で物品Gの受け渡しを行う上述の受渡装置7が設けられている。従って、複数のマスト2のうち搬送方向Tにおいて受渡装置7に最も近い位置に配置されたマスト2が、基準マスト2Aであり、当該基準マスト2Aに設けられた支持部3が基準支持部3Aである。基準支持部3Aは、上下方向に交差する方向に沿う昇降コンベヤ1の相対移動を規制する位置決め機構PMを備えている。
【0038】
またここでは、搬送方向Tに並ぶ複数のマスト2のうち少なくとも1つを対象マスト2Bとし、複数の支持部3のうち少なくとも1つを対象支持部3Bとする。すなわち、対象マスト2Bに沿って昇降自在に設けられた支持部3を対象支持部3Bとしている。本例では、基準マスト2A以外の全てのマスト2が対象マスト2Bであり、基準支持部3A以外の全ての支持部3が対象支持部3Bである。対象支持部3Bは、上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、昇降コンベヤ1の相対移動を許容する移動許容機構MMを備えている。
【0039】
図7は、対象支持部3Bの構造、及び移動許容機構MMを示す斜視図である。
図7に示すように、対象支持部3Bは、対象マスト2B(マスト2)に連結された支持フレーム30を備えている。本実施形態では、一対の支持フレーム30が、対象マスト2B(マスト2)から幅方向Wに突出すると共に互いに搬送方向Tに離間するように、対象マスト2B(マスト2)に連結されている。一対の支持フレーム30は、対象マスト2B(マスト2)に沿って昇降するように構成されている。
【0040】
移動許容機構MMは、上下方向に交差する平面状に形成された平面部Fと、平面部Fに接触しながら当該平面部Fと相対移動する移動体Mと、を備えている。そして、平面部Fと移動体Mとの相対移動により、昇降コンベヤ1が対象支持部3Bに対して相対移動するように構成されている。本実施形態では、移動体Mは、昇降コンベヤ1に連結されている。そして、平面部Fは、移動体Mに対向して設けられている。これにより、移動体Mが平面部F上を移動することで、昇降コンベヤ1を、対象支持部3Bに対して上下方向に交差する方向に相対移動させることができる。本実施形態では、移動許容機構MMは、搬送方向Tに沿って配置された案内レール31と、案内レール31の転動面31Fを搬送方向Tに沿って転動する案内ローラ32と、案内ローラ32と昇降コンベヤ1とを連結する連結部材33と、を備えている。本例では、転動面31Fが上述の平面部Fに相当し、案内ローラ32が上述の移動体Mに相当している。連結部材33は、案内ローラ32の転動に伴って搬送方向Tに移動する。本例では、連結部材33は、案内ローラ32に連結された案内連結部材330と、案内連結部材330に連結されると共に昇降コンベヤ1を支持及び連結する支持連結部材331と、を備えている。上述のように本例では、昇降コンベヤ1は、第1コンベヤ部11と第2コンベヤ部12とを備えている。そして本例では、支持連結部材331は、第1コンベヤ部11を支持する第1コンベヤ支持部331aと、第2コンベヤ部12を支持する第2コンベヤ支持部331bと、を備えている。
【0041】
本実施形態では、案内レール31は、一対の支持フレーム30の搬送方向Tの間に配置され、当該一対の支持フレーム30に連結されている。図示の例では、移動許容機構MMは、幅方向Wに離間して配置された一対の案内レール31を備えている。
図7では案内レール31の背後に隠れて見えないが、一対の案内レール31のそれぞれに、案内ローラ32と案内連結部材330とが設けられている。支持連結部材331は、一対の案内連結部材330のそれぞれに対して、幅方向Wの両側で連結されている。このように本例では、移動許容機構MMは、一対の案内レール31と、一対の案内ローラ32と、一対の案内連結部材330と、1つの支持連結部材331と、を備えている。なお、
図7では、一対の案内レール31のうち一方側の案内レール31の周辺構造のみが示されているが、他方側の構造についても同様の構造である。以下では、
図7に示された一方側の案内レール31の周辺構造について説明する。
【0042】
図7及び
図8に示すように、本実施形態では、案内レール31の転動面31Fは、上方を向く面である。ここでは、転動面31Fは、水平面に沿って配置されている。また、転動面31Fは、搬送方向Tに沿って延在するように形成されている。更に、本実施形態では、案内レール31は、転動面31Fから上方に立ち上がると共に搬送方向Tに沿って形成された案内壁310を備えている。案内壁310は、案内ローラ32が幅方向Wに移動し過ぎることを規制する。
【0043】
本実施形態では、案内ローラ32は、転動面31Fに載置された状態で、当該転動面31Fを搬送方向Tに沿って転動するように構成されている。本例では、案内ローラ32は、幅方向W(本例では水平方向)に沿って配置されたローラ軸321と、ローラ軸321に支持されると共にローラ軸321の軸心まわりに回転するローラ体322と、を備えている。
【0044】
ローラ体322は、搬送方向Tに沿って転動面31Fを転動可能に構成されている。ローラ体322(案内ローラ32)が搬送方向Tに沿って転動面31Fを転動することにより、案内連結部材330を介してローラ体322に連結された支持連結部材331が搬送方向Tに移動すると共に、支持連結部材331に支持された昇降コンベヤ1も搬送方向Tに移動する。従って、昇降コンベヤ1は、対象マスト2B(マスト2)に対して搬送方向Tに相対移動可能となっている。すなわち本実施形態では、移動許容方向が、少なくとも搬送方向Tに沿う方向に設定されており、移動許容機構MMは、昇降コンベヤ1の搬送方向Tの相対移動を許容するように構成されている。
【0045】
また、本実施形態では、ローラ体322は、転動面31Fに対して幅方向Wに摺動可能に構成されている。
図8に示すように、転動面31Fの幅方向Wの寸法は、ローラ体322の幅方向Wの寸法よりも大きい。これにより、ローラ体322の幅方向Wの移動代が確保されている。そして、ローラ体322(案内ローラ32)が幅方向Wに沿って転動面31Fを摺動することにより、案内連結部材330を介してローラ体322に連結された支持連結部材331が幅方向Wに移動すると共に、支持連結部材331に支持された昇降コンベヤ1が幅方向Wに移動する。従って、昇降コンベヤ1は、対象マスト2B(マスト2)に対して幅方向Wに相対移動可能となっている。すなわち本実施形態では、移動許容方向が、搬送方向Tに加えて、幅方向Wに沿う方向にも設定されており、移動許容機構MMは、昇降コンベヤ1の幅方向Wの相対移動を許容するように構成されている。
【0046】
このように、本実施形態では、移動許容機構MMは、昇降コンベヤ1の搬送方向T及び幅方向Wの相対移動を許容するように構成されている。換言すれば、移動許容機構MMは、搬送方向T及び幅方向Wの双方に重複する面内での昇降コンベヤ1の相対移動を許容しており、本例では、水平面に沿う全方向に、昇降コンベヤ1の相対移動を許容している。
【0047】
本実施形態では、案内連結部材330は、案内ローラ32に対してローラ軸321の軸方向(本例では幅方向W)に並んで配置されている。本例では、案内連結部材330は、幅方向Wを向く面を有すると共に搬送方向Tに沿って延在する縦壁部330aと、縦壁部330aの上部から幅方向Wに沿って突出する上壁部330bと、を備えている。案内連結部材330は、縦壁部330aにおいて案内ローラ32に連結されており、上壁部330bにおいて支持連結部材331に連結されている。図示の例では、上壁部330bは、縦壁部330aから幅方向Wの外側(昇降コンベヤ1から離れる側)に突出している。そして、案内ローラ32は、縦壁部330aに対して幅方向Wの内側に配置されている。
【0048】
本実施形態では、案内連結部材330は、案内部材330cを備えている。案内部材330cは、縦壁部330aに連結されており、当該縦壁部330aと案内レール31における案内壁310との幅方向Wの間に配置されている。本例では、案内部材330cは、低摩擦性の樹脂部材により構成されている。案内部材330cの幅方向Wの寸法は、転動面31Fの幅方向Wの寸法よりも小さく、ローラ体322の幅方向Wの寸法よりも大きい。ローラ体322が、案内壁310に接近するように摺動した場合に、案内部材330cがローラ体322よりも先に案内壁310に接触する。これにより、案内壁310とローラ体322との接触を回避することができる。また、案内部材330cは低摩擦性の樹脂部材により構成されているため、案内壁310と接触した状態であっても、搬送方向Tの移動が妨げられない。従って、案内部材330cと案内壁310とが接触した状態であっても、昇降コンベヤ1を搬送方向Tに移動させることができる。
図7に示す例では、このような案内部材330cが、搬送方向Tにおいて案内ローラ32を挟んだ両側に配置されている。
【0049】
移動許容機構MMは、以上説明した構成により、昇降コンベヤ1の相対移動を許容している。従って、昇降コンベヤ1が撓みなどにより変形した場合であっても、当該変形した部分において昇降コンベヤ1の移動を許容できる。また、昇降コンベヤ1の昇降動作に伴って各部の位置関係に変化が生じる場合であっても、当該位置関係の変化を移動許容機構MMによって許容することができ、いずれかの部位に過大な応力が作用することを回避できる。これにより、昇降コンベヤ1、対象支持部3B、又は対象マスト2Bに作用する応力を低減することができる。
【0050】
上述のように、本実施形態では、昇降コンベヤ1の搬送方向第1側T1の端部において、昇降コンベヤ1との間で物品Gの受け渡しを行う受渡装置7が設けられている(
図5及び
図6参照)。そして、複数のマスト2のうち搬送方向Tにおいて受渡装置7に最も近い位置に、基準マスト2Aが配置されており、当該基準マスト2Aに基準支持部3Aが設けられている。上述のように、基準支持部3Aは、上下方向に交差する方向に沿う昇降コンベヤ1の相対移動を規制する位置決め機構PMを備えている。
【0051】
図9は、基準支持部3Aの構造、及び位置決め機構PMを示す斜視図である。
図9に示すように、基準支持部3Aは、対象支持部3Bと同等の構成に加えて位置決め機構PMを備えている。従って、基準支持部3Aは、基準マスト2A(マスト2)に連結された支持フレーム30を備えている。本実施形態では、一対の支持フレーム30が、基準マスト2A(マスト2)から幅方向Wに突出すると共に互いに搬送方向Tに離間するように、基準マスト2A(マスト2)に連結されている。一対の支持フレーム30は、基準マスト2A(マスト2)に沿って昇降するように構成されている。
【0052】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、位置決め機構PMは、一対の案内レール31と、一対の案内ローラ32と、一対の案内連結部材330と、1つの支持連結部材331と、を備えている。これらの構造については、上記で説明した移動許容機構MMの構成と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、位置決め機構PMは、上下方向に交差する方向(本例では、搬送方向T及び幅方向W)に沿う昇降コンベヤ1の相対移動を規制しつつ、上下方向に沿う軸心まわりにおける昇降コンベヤ1の相対回転を許容するように構成されている。本例では、位置決め機構PMは、移動許容機構MMと同様の構成に加えて、支持連結部材331(連結部材33)に連結された回転軸35と、回転軸35が係合する軸係合部360を有する固定部材36と、を備えている。
【0054】
回転軸35は、支持連結部材331の底部から下方に突出するように形成されている。本例では、回転軸35は、支持連結部材331と一体的に回転するように構成されている。すなわち、回転軸35が固定部材36に対して回転可能に支持されていることで、支持連結部材331に支持された昇降コンベヤ1が回転軸35の軸心まわりに回転することができるようになっている。
【0055】
本実施形態では、固定部材36は、一対の支持フレーム30に連結されており、一対の支持フレーム30に対する位置が固定されている。固定部材36は、支持連結部材331の下方に配置されている。そして、回転軸35が係合する軸係合部360は、固定部材36の上面に形成されている。本例では、軸係合部360は、固定部材36の上面から下方に凹む孔部とされており、回転軸35は、軸係合部360に対して上方から回転自在に係合している。
【0056】
以上説明したように、基準支持部3A(基準マスト2A)は、複数の支持部3(マスト2)のうち搬送方向Tにおいて受渡装置7に最も近い位置に配置されている。そして、基準支持部3Aが備える位置決め機構PMは、上下方向に交差する方向に沿う昇降コンベヤ1の相対移動を規制する。そのため、昇降コンベヤ1と受渡装置7とが物品Gを受け渡す位置の近傍において、上下方向に交差する方向への昇降コンベヤ1の相対移動を規制することができる。これにより、昇降コンベヤ1と受渡装置7との上下方向に交差する方向の位置関係の変動を少なく抑えることができ、昇降コンベヤ1と受渡装置7との間での物品Gの受け渡しを適切に行うことが容易となる。一方、対象支持部3Bの支持箇所においては、移動許容機構MMによって上下方向に交差する方向に沿う昇降コンベヤ1の相対移動が許容されている。そして、基準支持部3Aの支持箇所においては、位置決め機構PMによって上下方向に沿う軸心まわりにおける昇降コンベヤ1の相対回転が許容されている。そのため、昇降コンベヤ1が撓みなどにより変形して各部の位置関係に変化が生じた場合や昇降コンベヤ1の昇降動作に伴って各部の位置関係に変化が生じた場合であっても、当該位置関係の変化を、基準支持部3Aを基準とした各対象支持部3Bの相対移動によって許容することができる。
【0057】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送装置のその他の実施形態について説明する。
【0058】
(1)上記の実施形態では、複数のマスト2のうち何れか1つに、昇降モータ20Mが設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図10に示すように、複数のマスト2のそれぞれに昇降モータ20Mが設けられていても良い。この場合、複数の昇降モータ20Mのそれぞれを制御することにより、複数の支持部3を互いに同期させて昇降させるように構成すると良い。
【0059】
(2)上記の実施形態では、昇降コンベヤ1が、複数の支持部3に支持された搬送方向Tの全域において連続して配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図11に示すように、昇降コンベヤ1は、搬送方向Tの少なくとも一部において分割された構成であっても良い。換言すれば、昇降コンベヤ1は、搬送方向Tに並んで配置された複数の第1コンベヤ部11、及び、搬送方向Tに並んで配置された複数の第2コンベヤ部12を備えて構成されていても良い。この場合であっても昇降コンベヤ1は、搬送方向Tの全域に亘って物品Gを搬送可能に構成される。
【0060】
(3)上記の実施形態では、移動許容機構MMは、幅方向Wに離間して配置された一対の案内レール31を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移動許容機構MMは、1つ又は3つ以上の案内レール31を備えていても良い。
【0061】
(4)上記の実施形態では、案内レール31の転動面31Fが、上方を向く面である例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、転動面31Fは、垂直面、又は、水平面に対して傾斜した面であっても良い。何れにしても、転動面31Fは、案内ローラ32が転動するための面として機能する。
【0062】
(5)上記の実施形態では、移動許容機構MMは、昇降コンベヤ1の搬送方向T及び幅方向Wの相対移動を許容するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移動許容機構MMは、昇降コンベヤ1の搬送方向T及び幅方向Wの何れか一方のみの相対移動を許容するように構成されていても良い。換言すれば、上記の実施形態では、移動許容方向が、搬送方向Tに沿う方向および幅方向Wに沿う方向の双方に設定されている例について説明したが、移動許容方向は、搬送方向Tに沿う方向および幅方向Wに沿う方向の何れか1つに設定されていても良い。
【0063】
(6)上記の実施形態では、移動許容機構MMが、搬送方向Tに沿って配置された案内レール31と、案内レール31の転動面31Fを搬送方向Tに沿って転動する案内ローラ32と、を備えることにより、昇降コンベヤ1の搬送方向Tの相対移動を許容可能な構成を実現している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、案内レール31が、幅方向Wに沿って配置され、案内ローラ32が、この案内レール31の転動面31Fを幅方向Wに沿って転動するように構成されていても良い。この構成によれば、案内ローラ32の転動によって昇降コンベヤ1の幅方向Wの相対移動を許容可能な構成を実現できる。
【0064】
(7)上記の実施形態では、幅方向Wに沿って配置されたローラ軸321の軸心まわりに回転するローラ体322が、転動面31Fに対して幅方向Wに摺動可能に構成されていることにより、昇降コンベヤ1の幅方向Wの相対移動を許容可能な構成を実現している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、ローラ軸321が、搬送方向Tに沿って配置され、ローラ体322が、当該ローラ軸321の軸心まわりに回転するように構成されていても良い。この場合、ローラ体322が、転動面31Fに対して搬送方向Tに摺動可能に構成されることで、昇降コンベヤ1の搬送方向Tの相対移動を許容可能な構成を実現しても良い。また、この場合には、ローラ体322が幅方向Wに沿って転動面31Fを転動可能となっていることで、昇降コンベヤ1の幅方向Wの相対移動を許容可能な構成を実現できている。また、ローラ体322が、例えばボールキャスターのように、全方向に回転可能な構成とされていても良い。この構成によれば、ローラ体322の転動により、搬送方向Tにも幅方向Wにも相対移動を許容可能な構成を容易に実現できる。
【0065】
(8)上記の実施形態では、平面部Fが、案内レール31に設けられた転動面31Fであり、移動体Mが、昇降コンベヤ1に連結された案内ローラ32である例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、平面部Fと移動体Mとの関係は上記とは逆であっても良い。すなわち、平面部Fは、昇降コンベヤ1を支持及び連結する支持連結部材331に設けられ、移動体Mは、案内レール31に設けられていても良い。この場合、平面部Fは、支持連結部材331における下方(案内レール31側)を向く面部であり、移動体Mは、案内レール31に対して固定配置されたローラであると良い。
【0066】
(9)上記の実施形態では、平面部F上を移動する移動体Mが、案内ローラ32である例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、移動許容機構MMは、案内ローラ32を備えず、連結部材33の一部、例えば上記実施形態での案内部材330cが移動体Mとされていても良い。この場合、案内部材330cは、平面部F上を摺動するように構成される。この場合の案内部材330cは、低摩擦性で耐久性の高い部材により構成されていると好適であり、平面部Fとの間での摩擦抵抗が比較的小さい状態で平面部F上を摺動する。
【0067】
(10)上記の実施形態では、基準マスト2A以外の全てのマスト2が対象マスト2Bであり、基準支持部3A以外の全ての支持部3が対象支持部3Bである例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、基準マスト2A以外のマスト2のうち一部が対象マスト2Bであり、基準支持部3A以外の支持部3のうち一部が対象支持部3Bであっても良い。また、複数のマスト2の全てが対象マスト2Bであり、複数の支持部3の全てが対象支持部3Bであっても良い。すなわち、基準マスト2A及び基準支持部3Aは、無くても良い。
【0068】
(11)上記の実施形態では、受渡装置7がコンベヤにより構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、受渡装置7は、物品搬送装置100との間で物品Gの受け渡しを行う装置であれば良い。例えば、受渡装置7は、物品Gを保持可能な保持部(例えばアーム)を有するロボットや、スタッカークレーンなどにより構成されていても良い。
【0069】
(12)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0070】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送装置について説明する。
【0071】
物品搬送装置は、
上下方向に交差する搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、
前記搬送方向に沿って互いに離間して配置された複数のマストと、
複数の前記マストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、前記コンベヤを前記上下方向に支持する支持部と、を備え、
複数の前記支持部は、前記搬送方向に沿って互いに離間して配置され、
複数の前記支持部のうち少なくとも1つを対象支持部として、
前記対象支持部は、前記上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向に沿う、前記コンベヤの相対移動を許容する移動許容機構を備える。
【0072】
本構成によれば、複数のマストのそれぞれに沿って昇降自在に設けられ、コンベヤを搬送方向の複数箇所で支持する複数の支持部のうち、少なくとも1つが対象支持部とされる。そして、この対象支持部によってコンベヤを支持する箇所では、コンベヤを上下方向に支持しつつ、移動許容機構によって、上下方向に交差する方向に設定された移動許容方向のコンベヤの相対移動を許容することができる。従って、本構成によれば、コンベヤの昇降動作に伴って各部の位置関係に変化が生じる場合であっても、当該位置関係の変化を移動許容機構によって許容することができ、いずれかの部位に過大な応力が作用することを回避できる。これにより、コンベヤの昇降動作に伴ってコンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を低減することができる。
【0073】
ここで、前記移動許容方向が、前記搬送方向に沿う方向に設定されている、と好適である。
【0074】
本構成によれば、移動許容機構によって、搬送方向に沿う、対象支持部とコンベヤとの相対移動を許容することができる。従って、コンベヤの昇降動作に伴って各部の搬送方向の位置関係に変化が生じる場合であっても、当該位置関係の変化を移動許容機構によって許容することができる。よって、コンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を適切に低減することができる。
【0075】
また、前記搬送方向に対して前記上下方向に沿う上下方向視で直交する方向を幅方向として、
前記移動許容方向が、前記幅方向に沿う方向に設定されている、と好適である。
【0076】
本構成によれば、移動許容機構によって、幅方向に沿う、対象支持部とコンベヤとの相対移動を許容することができる。従って、コンベヤの昇降動作に伴って各部の幅方向の位置関係に変化が生じる場合であっても、当該位置関係の変化を移動許容機構によって許容することができる。よって、コンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を適切に低減することができる。
【0077】
また、前記移動許容機構は、
前記上下方向に交差する平面状に形成された平面部と、
前記平面部に接触しながら当該平面部と相対移動する移動体と、を備え、
前記平面部と前記移動体との相対移動により、前記コンベヤが前記対象支持部に対して相対移動する、と好適である。
【0078】
本構成によれば、平面部と移動体とが相対移動することで、コンベヤを、対象支持部に対して上下方向に交差する方向に相対移動させることができる。よって、コンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を適切に低減することができる。
【0079】
また、前記移動許容機構は、
前記搬送方向に沿って配置された案内レールと、
前記案内レールの転動面を前記搬送方向に沿って転動する案内ローラと、
前記案内ローラと前記コンベヤとを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記案内ローラの転動に伴って前記搬送方向に移動する、と好適である。
【0080】
本構成によれば、案内ローラが案内レールの転動面を搬送方向に転動することによって、連結部材を介して当該案内ローラに連結されたコンベヤを、対象支持部に対して搬送方向に相対移動させることができる。従って、搬送方向に沿う方向を移動許容方向とする移動許容機構を適切に実現することができる。
【0081】
また、前記移動許容機構が、前記案内レールと、前記案内ローラと、前記連結部材と、を備えた構成において、
前記搬送方向に対して前記上下方向に沿う上下方向視で直交する方向を幅方向として、
前記転動面は、上方を向く面であり、
前記案内ローラは、前記幅方向に沿って配置されたローラ軸と、前記ローラ軸に支持されると共に前記ローラ軸の軸心まわりに回転するローラ体と、を備え、
前記ローラ体が、前記転動面に対して前記幅方向に摺動可能に構成されている、と好適である。
【0082】
本構成によれば、案内ローラにおけるローラ体が案内レールの転動面を幅方向に摺動することによって、連結部材を介して案内ローラに連結されたコンベヤを、対象支持部に対して幅方向に相対移動させることができる。従って、搬送方向に沿う方向に加えて幅方向に沿う方向を移動許容方向とする移動許容機構を適切に実現することができる。
【0083】
また、前記搬送方向の一方側を搬送方向第1側とし、前記搬送方向の他方側を搬送方向第2側として、
前記コンベヤの前記搬送方向第1側の端部において、前記コンベヤとの間で物品の受け渡しを行う受渡装置が設けられ、
前記搬送方向に並ぶ複数の前記マストのうち最も前記搬送方向第1側に配置された前記マストを基準マストとし、前記基準マストに沿って昇降自在に設けられた前記支持部を基準支持部として、
前記基準支持部は、前記上下方向に交差する方向に沿う前記コンベヤの相対移動を規制する位置決め機構を備え、
前記基準支持部以外の全ての前記支持部が、前記対象支持部である、と好適である。
【0084】
本構成によれば、複数のマストのうち最も受渡装置に近い位置に配置された基準マストに、位置決め機構を備えた基準支持部が設けられている。そのため、コンベヤと受渡装置とが物品を受け渡す位置の近傍において、上下方向に交差する方向へのコンベヤの相対移動を規制することができる。これにより、コンベヤと受渡装置との上下方向に交差する方向の位置関係の変動を少なく抑えることができ、コンベヤと受渡装置との間での物品の受け渡しを適切に行うことが容易となる。また、1つの基準支持部以外の全ての支持部が対象支持部であり、対象支持部の支持箇所においてはコンベヤの相対移動が許容される。そのため、コンベヤの昇降動作に伴って各部の位置関係に変化が生じる場合であっても、当該位置関係の変化を、基準支持部を基準とした各対象支持部の相対移動によって許容することができる。よって、コンベヤ、支持部、又はマストに作用する応力を適切に低減することができる。
【0085】
また、前記基準支持部が、前記位置決め機構を備えた構成において、
前記位置決め機構は、前記上下方向に沿う軸心まわりにおける前記コンベヤの相対回転を許容する、と好適である。
【0086】
本構成によれば、基準支持部の支持箇所では、上下方向に沿う軸心まわりにおけるコンベヤの相対回転が許容され、上下方向に交差する方向に沿うコンベヤの相対移動が規制される。そのため、基準支持部以外の対象支持部とコンベヤとが移動許容方向に相対移動する場合には、基準支持部を支点としたコンベヤの相対回転が許容される。そのため、コンベヤと受渡装置との上下方向に交差する方向の位置関係の変動を少なく抑えつつ、コンベヤの基準支持部に支持された部分、基準支持部、又は基準マストに作用する応力についても適切に低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示に係る技術は、搬送方向に物品を搬送するコンベヤと、前記コンベヤを支持する支持部が設けられたマストと、を備えた物品搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
100 :物品搬送装置
1 :昇降コンベヤ(コンベヤ)
2 :マスト
2A :基準マスト
3 :支持部
3A :基準支持部
3B :対象支持部
31 :案内レール
31F :転動面
32 :案内ローラ
33 :連結部材
7 :受渡装置
321 :ローラ軸
322 :ローラ体
F :平面部
M :移動体
G :物品
MM :移動許容機構
PM :位置決め機構
T :搬送方向
T1 :搬送方向第1側
T2 :搬送方向第2側
W :幅方向