(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】感震センサ
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20240214BHJP
G01V 1/01 20240101ALI20240214BHJP
【FI】
G01H1/00 E
G01V1/00 D
(21)【出願番号】P 2020194136
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 裕
(72)【発明者】
【氏名】成宮 章紀
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171708(WO,A1)
【文献】特開2007-232377(JP,A)
【文献】特開2000-009526(JP,A)
【文献】特開2014-077645(JP,A)
【文献】特開2000-162032(JP,A)
【文献】特開平09-318763(JP,A)
【文献】特開2007-322135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0234748(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 ー 17/00
G01V 1/00 - 1/52
G01P 15/00 - 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコントローラと加速度センサとを備えた感震センサであって、
前記加速度センサは、
測定される加速度が所定の条件を満たしたことを前記マイクロコントローラに通知する割り込み信号を出力する割り込み信号出力部と、
電源から該加速度センサに供給される電圧の所定の変動を検知して、該加速度センサを初期化する初期化回路と、
を有し、
前記割り込み信号は、該加速度センサが初期化された初期化状態と、振動を待機する振動待機状態とで論理レベルが逆となり、かつ、測定される加速度が前記所定の条件を満たした場合に論理レベルが該初期化状態と同一となることを特徴とする感震センサ。
【請求項2】
前記マイクロコントローラが前記加速度センサのレジスタの所定アドレスを所定の値に設定することにより、該加速度センサは前記初期化状態から前記振動待機状態に遷移し、
前記加速度センサが前記振動待機状態にある場合に、前記マイクロコントローラが、前記割り込み信号の論理レベルの変化を検知したときは、前記マイクロコントローラは、前記加速度センサの前記レジスタの前記所定アドレスの値を確認することを特徴とする請求項1に記載の感震センサ。
【請求項3】
外部装置に対する外部割り込み信号を出力する外部割り込み信号出力部を備え、
前記マイクロコントローラは、前記加速度センサから出力される前記割り込み信号の論理レベルが前記初期化状態と同一の論理レベルに変化するのに応じて、前記外部割り込み信号の論理レベルをアクティブに設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の感震センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感震センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度センサとマイクロコントローラ(MCU)とを備えた感震センサとして、加速度センサによる加速度の測定結果が所定の条件を満たした場合に、加速度センサからかMCUに割り込み信号を送信して所定条件の成立を通知し、通知を受けたMCUが加速度センサから測定された加速度情報を取得し、SI値等の指標を算出する感震センサが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような割り込み信号としては、加速度センサの測定結果が所定の条件を満たした場合に、Highとなる正論理を採用するのが一般的である。一方、加速度センサに対する電力を供給する電源がON/OFFされ、又は電源電圧が変動するのを検知し、加速度センサのレジスタ等を初期化する機能を有する初期化回路を加速度センサが搭載している場合がある。このような初期化回路は、電源から加速度センサに供給される電圧の所定の変動を検知した場合に作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、感震センサが、ガスメータ内部の基板に搭載され、地震を検知したときに遮断弁を閉じてガスの供給を停止させる等の機能を担う場合がある。ガスメータ内は電池駆動で動作しており、感震センサ以外のデバイスにも電力が供給される。このため、電源ON後に、電源から電力の供給を受ける他のデバイスでの消費電力が変化する等の原因により、電源から感震センサに供給される電力の電圧が変動する場合がある。このとき、初期化回路が、この電圧の変動を電源ON/OFFと解釈して、加速度センサのレジスタ等を初期化してしまうことがある。
【0006】
例えば、加速度センサが振動を待機する状態で加速度センサのレジスタ等が誤って初期化されると、振動を待機する状態で論理レベルがLowとなっている割り込み信号が、電源ON時の初期化状態と同じ論理レベルのLowとなり、MCUでは加速度センサが初期化されていることを認識できない。このように、MCUは、加速度センサの状態を正確に認識することができず、適切な処理を行うことができなくなるので、感震センサの動作に不具合が生じる。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、電源から供給される電圧の変動による感震センサの不具合の発生を防止する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明は、
マイクロコントローラと加速度センサとを備えた感震センサであって、
前記加速度センサは、
測定される加速度が所定の条件を満たしたことを前記マイクロコントローラに通知する割り込み信号を出力する割り込み信号出力部と、
電源から該加速度センサに供給される電圧の所定の変動を検知して、該加速度センサを初期化する初期化回路と、
を有し、
前記割り込み信号は、該加速度センサが初期化された初期化状態と、振動を待機する振動待機状態とで論理レベルが逆となり、かつ、測定される加速度が前記所定の条件を満たした場合に論理レベルが該初期化状態と同一となることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、加速度センサが振動待機状態にある場合に、初期化回路が、電源から加速度センサに供給される電圧の所定の変動を検知して加速度センサを初期化したときは、割り込み信号の論理レベルが振動待機状態に対応する論理レベルから初期化状態に対応する論理レベルに変更される。このため、マイクロコントローラは、割り込み信号の変化によって、加速度センサに何らの事象が発生したことを認識でき、必要に応じて適切な処理を行うことができるので、電源から供給される電圧の変動による感震センサの不具合を防止することができる。
ここで、測定される加速度が満たす所定の条件とは、例えば、加速度が所定の閾値を超えるという条件が挙げられるが、地震による振動を検知するための加速度に対する条件であればこれに限られない。
また、割り込み信号の論理レベルは、初期化状態でLow、振動待機状態でHigh、測定される加速度が所定の条件を満たした場合にLowとしてもよいし、初期化状態でHigh、振動待機状態でLow、測定される加速度が所定の条件を満たした場合にHighとしてもよい。
【0010】
また、本発明においては、
前記マイクロコントローラが前記加速度センサのレジスタの所定アドレスを所定の値に設定することにより、該加速度センサは前記初期化状態から前記振動待機状態に遷移し、
前記加速度センサが前記振動待機状態にある場合に、前記マイクロコントローラが、前記割り込み信号の論理レベルの変化を検知したときは、前記マイクロコントローラは、前記加速度センサの前記レジスタの前記所定アドレスの値を確認するようにしてもよい。
【0011】
これによれば、マイクロコントローラが割り込み信号の論理レベルが振動待機状態に対応する論理レベルから変化するのを検知し、加速度センサに何等かの事象が発生したことを認識した場合に、加速度センサのレジスタの所定アドレスの値を確認することにより、初期化回路により加速度センサが初期化されたことを認識することができる。このため、マイクロコントローラは、必要に応じて適切な処理を行うことができ、電源から供給される電圧の変動による感震センサの不具合を防止することができる。
【0012】
また、本発明においては、
外部装置に対する外部割り込み信号を出力する外部割り込み信号出力部を備え、
前記マイクロコントローラは、前記加速度センサから出力される前記割り込み信号の論理レベルが前記初期化状態と同一の論理レベルに変化するのに応じて、前記外部割り込み信号の論理レベルをアクティブに設定するようにしてもよい。
【0013】
これによれば、感震センサが外部装置に接続され、感震センサの外部割り込み信号出力部から出力された外部割り込み信号に応じて、外部装置が感震センサに対して所定の処理を行う場合に、外部装置においても、感震センサのマイクロコントローラと同様に状態を認識することができるので、感震センサに対して適切な処理が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電源から供給される電圧の変動による感震センサの不具合の発生を防止する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1に係るおける感震センサの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る加速度センサのブロック図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るMCUのブロック図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る感震センサのMCUと加速度センサにおける処理手順を説明するフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例1に係る感震センサのMCUと加速度センサにおける処理手順を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例1に係る感震センサの加速度センサが出力するINT信号のタイミングチャートであるである。
【
図7】本発明の実施例1に関心センサのMCUが出力するINT1信号及びINT2信号のタイミングチャートである。
【
図8】従来例に係る感震センサの加速度センサが出力するINT信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
本発明は、
図1に示すように、加速度センサ2とMCU3と、電源電圧V
CCを電圧V
CCに変換して加速度センサ2及びMCU3に供給する電圧レギュレータ4とを備え、加速度センサ2によって測定された加速度に基づいて地震の規模の指標値の算出等を行う感震センサ1である。
【0017】
加速度センサ2とMCU3は、信号線11及び信号線12によって接続されている。加速度センサ2は、信号線11を通じてSPI方式によりMCU3と通信を行う。また、加速度センサ2からは、信号線12を通じて割り込み信号であるINT信号をMCUに対して出力する。このINT信号は、加速度センサが初期化された状態では論理レベルがLowである。そして、INT信号は、MCU3によって加速度センサ2のレジスタ221が設定されると、加速度を測定し得る振動待機状態で論理レベルがインアクティブに設定され、所定の閾値を超える加速度が測定された場合には論理レベルがアクティブに設定される。
【0018】
従来の感震センサでは、このINT信号は、
図8に示すように、レジスタ221(
図2参照)が設定(T
11)されると論理レベルがLowに設定され、所定の閾値を超える加速度が測定された(T
12)場合には、論理レベルがHighに設定され、測定モードの終了により(T
13)、論理レベルがLowとなるように設定されていた。すなわち、加速度が所定の閾値を超えたことをMCU3に通知する割り込み信号としてのINT信号は、正論理に従って論理レベルが変化するように設定されており、MCU3はINT信号の立ち上がりにより割り込みを認識していた。
【0019】
図2に示すように、加速度センサ2には、電圧レギュレータ4を介して電源から供給された電圧V
DDの、電源ON時における変化を検知して加速度センサ2を初期化する機能を有する初期化回路24が設けられている。この初期化回路24は、電圧V
DDの変動が所定の条件を満たすか否かにより電源ON又はOFF若しくは電源電圧が変動するのを検知するので、他の負荷の消費電力の増加等の原因により、電圧V
DDが所定の条件を満たすように変動する場合には、誤って加速度センサ2が初期化されてしまう可能性があった。
【0020】
図8のタイミングT
14で電源電圧の変動で初期化回路24が誤って作動することによ
り、加速度センサ2のレジスタ221が初期化されてしまうと、加速度センサ2は電源ON時に初期化された状態と同じようにINT信号の論理レベルはLowになってしまう。しかし、正論理に従って論理レベルが変化するINT信号では、測定モードの終了(T
13)により、既に論理レベルがインアクティブを示すLowになっている。このため、INT信号が入力されるMCU3では、初期化回路24が誤作動してもINT信号は変化しないので、初期化回路24の誤作動により加速度センサ2が初期化されていることを認識できないという不具合が生じる。また、感震センサ1に接続された外部装置が、INT信号に対応する論理レベルのINT2信号が出力される信号線15を通じて加速度センサ2の状態を認識し、信号線13によって接続された外部装置が感震センサ1から指標値等を読み出す等の通信を行う場合にも支障が生じる。
【0021】
本発明に係る感震センサ1では、
図6に示すように、INT信号の論理レベルが、レジスタ221が設定(T
11)され、加速度センサ2が振動待機状態に遷移すると論理レベルがHighに設定され、所定の閾値を超える加速度が測定された(T
12)場合には、感震状態に遷移し論理レベルがLowに設定され、測定モードの終了により(T
13)、振動待機状態に遷移し論理レベルがHighに戻るように設定されている。すなわち、加速度が所定の閾値を超えたことをMCU3に通知する割り込み信号としてのINT信号は、振動待機状態及び感震状態を含む振動検知可能状態では、負論理に従って論理レベルが変化するように設定されている。
【0022】
このようにINT信号の論理レベルを設定することにより、本発明に係る感震センサ1では、初期化回路24の誤動作により加速度センサ2が初期化されると(T14)、INT信号の論理レベルがLowに変化する。ここでは、タイミングT13で測定モードが終了し振動待機状態となっている加速度センサ2のINT信号の論理レベルはHighとなっているので、INT信号の論理レベルのLowへの変化により、MUC3は何らかの事象の発生を認識することができる。そこで、信号線11を通じてMUC3が加速度センサ2のレジスタの所定アドレスの値を確認し、その値が初期されていれば初期化回路24の誤動作であることを認識することができので、それに応じた対処が可能となり不具合の発生を防止することができる。
【0023】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る感震センサについて、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0024】
図1に、実施例1に係る感震センサ1の概略構成を示す。
【0025】
実施例1に係る感震センサ1は、地震の規模の指標値の算出等を行う装置である。
図1に示すように、感震センサ1は加速度センサ2と、マイクロコントローラ(MCU)3と、電圧レギュレータ4とを備える。加速度センサ2とMCU3とは信号線11及び信号線12によって接続されている。また、感震センサ1のMCU3からは外部装置は信号線13、信号線14、信号線15によって接続されている。ここでは、感震センサ1が電圧レギュレータ4を備える例について説明するが、電圧レギュレータ4を省略することもできる。感震センサ1が電圧レギュレータ4を備えない場合には、加速度センサ2及びMCU3に対して、電圧レギュレータ4を介した電圧V
DDではなく、電源電圧V
CCが直接供給される。
【0026】
電圧レギュレータ4は、外部の電源(乾電池等)から感震センサ1に供給された電圧VCCを電圧VDDに変換し、加速度センサ2及びMCU3に供給する。
【0027】
図2に、加速度センサ2の概略構成を示す。
加速度センサ2は、デジタル出力タイプの3軸加速度センサである。加速度センサ2は、主として、加速度測定部21と、制御部22と、割り込み信号出力部23、初期化回路24を有する。電圧レギュレータ4に接続された制御部22及び初期化回路24には、電圧V
DDが供給される。
【0028】
加速度測定部21は、3軸方向の加速度を測定する。制御部22は、プロセッサ及びレジスタ221等のメモリを有し、加速度測定部21による加速度測定を司る。また、制御部22は、信号線11によりSPI方式によりMCU3と通信を行うように接続され、さらに信号線12によりMCU3に対して割り込み信号INTを出力するように接続されている。制御部22は、起動条件が満たされるのを監視し、起動条件が満たされたことを検出したときに、信号線12を通じて割り込み信号をMCU3に出力する。また、MCU3からは、信号線11を通じたSPI方式の通信により、加速度測定部21の各軸方向のオフセットや、サンプリング周波数を設定する。具体的には、MCU3が制御部22のレジスタ221の所定アドレスを所定値に設定することにより、制御部22が当該設定値を読み取り、設定値に基づいて加速度測定部21による加速度測定を制御する。そして、加速度センサ2からは、サンプリング周波数によって測定され、レジスタ221の所定領域に記憶された各軸方向の加速度情報が、信号線11を通じてMCU3に送信される。
【0029】
初期化回路24は、電圧レギュレータ4を介して電源から供給される電圧VDDにおける所定の変動を検出した場合に、レジスタ221の所定アドレスの値を初期化することにより、加速度センサ2を初期化する機能を有する。初期化回路24が、初期化するための、電圧VDDの変動に関する条件は特に限定されないが、この判断条件を同様に満たすような電圧のVDDの変動が発生した場合にも、初期化回路24は、レジスタ221の所定アドレスの値を初期化する。
【0030】
【0031】
MCU3は、加速度センサ2による加速度の測定結果に基づき、発生している地震の規模の指標値を算出する処理等を行うユニットである。本実施例では、指標値として、SI(Spectral Intensity)値及びPGA(最大加速度)を算出する。
具体的には、MCU3は、他装置(他のMCU等)から入力される指示に従って、加速度センサ設定部31、指標値算出部32、割り込み信号出力部33、記憶部34等として
機能する。MCU3は、信号線13によって他装置と接続され、I2C通信方式によりデータの送受信を行う。また、MCU3は、信号線14及び信号線15によって他装置と接続され、他装置に対して、それぞれINT1信号及びINT2信号を出力する。ここでは、割り込み信号出力部33が本発明の外部割り込み信号出力部に相当し、INT2信号が本発明の外部割り込み信号に相当する。
【0032】
図4及び
図5は、感震センサ1による地震測定処理の手順を示すフローチャートである。
図6は、加速度センサ2のINT信号のタイミングチャート、
図7は、MCU3のINT1信号及びINT2信号のタイミングチャートである。これらの図面を参照しながら、感震センサ1による地震測定処理の手順について説明する。以下の説明では、加速度センサ2の初期化状態におけるINT信号の論理レベルがLow、振動待機状態におけるINT信号の論理レベルがHighに設定される場合について説明する。ただし、加速度センサ2の初期化状態におけるINT信号の論理レベルと振動待機状態における論理レベルが逆であればよいので、初期化状態におけるINT信号の論理レベルがHigh、振動待機状態におけるINT信号の論理レベルがLowに設定することもできる。
【0033】
電源がONされると、MCU3は加速度センサ2のレジスタ221を設定する(ステップS101,S201)。加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスが所定の値に
設定されることにより、加速度センサ2は、初期化状態から振動を待機する振動待機状態となる。
加速度センサ2の割り込み信号出力部23から出力されるINT信号としては、電源ON時には論理レベルLowである信号が出力されるが、ステップS201においてレジスタ221が設定されることにより論理レベルはHighに変更され(ステップS202)。
図6は、加速度センサ2に作用する振動と、加速度センサ2の状態と、加速度センサ2からMCU3に出力されるINT信号を時系列で示している。
図6に示すように、電源ON時(T
10)の時点では加速度センサ2のレジスタ221は初期化された状態であり、INT信号としては論理レベルLowが出力される。そして、加速度センサ2のレジスタ221が設定(T
11)されることにより、加速度センサ2は振動待機状態となり、INT信号の論理レベルはHighとなる。
【0034】
振動待機状態となった加速度センサ2によって加速度が測定される(ステップS203)。
そして、加速度センサ2の制御部22によって、測定された加速度が所定の閾値を超える(起動条件)と判断された場合、又は、電源電圧の変動により初期化回路24が作動して初期化された場合には割り込み信号出力部23は論理レベルをLowに変更したINT信号を出力する(ステップS204,S205)。ここでは、測定された加速度が所定の閾値を超えること(起動条件)が、本発明の測定される加速度が満たすべき所定の条件に相当する。
所定の閾値を超える加速度が測定されず、かつ、初期化回路24による初期化も行われない場合には、加速度センサ2は、ステップS203に戻り、加速度の測定を継続する。
図6では、T
12のタイミングで、所定の閾値を超える振動が測定されINT信号の論理レベルはLowに変更される。すなわち、加速度が所定の閾値を超えたことをMCU3に通知する割り込み信号としてのINT信号は、振動待機状態において論理レベルがインアクティブでHighとなり、所定の閾値を超える加速度が測定された感震状態において論理レベルがアクティブでLowとなる。このように、加速度が所定の閾値を超えたことをMCU3に通知する割り込み信号としてのINT信号の論理レベルは、振動待機状態及び感震状態を含む振動検知可能状態において負論理に設定されている。また、
図6では、T
14のタイミングで、加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスが初期化され、INT信号として論理レベルがLowの信号が出力される。
【0035】
MCU3の指標値算出部32は、INT信号がLowへと変化する立下りを割り込み信号として検出する。加速度センサ2はINT信号の論理レベルをLowに変更し、感震状態に遷移する。これにより、加速度センサ2は、測定モードで動作する。そして、MCU3の割り込み信号出力部33は、信号線15を通じて論理レベルHighが出力されていたINT2信号の論理レベルをLowに変更する(ステップS102)。
図7は、MCU3の割り込み信号出力部33から出力されるINT1信号及びINT2信号を時系列で示す。
図7に示すように、所定の閾値を超える振動が検出されるとINT信号の論理レベルがLowに変化するタイミング(T
12)で、感震状態に移行し、割り込み信号出力部33は、INT2信号の論理レベルをHighからLowに変更する。
【0036】
INT信号がLowに変化したのを検出したMCU3の指標値算出部32は、信号線11を通じて加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスの値をチェックする(ステップS103)。
加速度センサ2は、レジスタ221の所定アドレスへのMCU3のアクセスを検出すると(ステップ206)、INT信号の論理レベルをHighに変更し(ステップS207)、測定した加速度情報を、信号線11を通じてSPI方式でMCU3に送信する(ステップS207)。
【0037】
MCU3の指標値算出部32は、加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスが初期化されているか否かを判断する(ステップS104)。
ステップS104において、Yesと判断された場合、すなわち、加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスが初期化されていた場合には、異常処理を行う(ステップS105)。
図6に示す例では、MCU3の指標値算出部32が、T
14のタイミングでのINT信号のLowレベルへの変化を検出した場合には、ステップS103において、加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスのチェックし、ステップS104において、当該レジスタ値が初期化されていると判断するので、ステップS105に進み、異常処理を行う。
ステップS104において、Noと判断された場合、すなわち、加速度センサ2のレジスタ221に所定アドレスが初期化されていない場合に、MCU3の指標値算出部32では、加速度センサ2から受信した加速度情報を受信し(ステップS106)、受信した加速度情報に基づいて、SI値及びPGAを算出する(ステップS107)。算出されたSI値及びPGAは、記憶部34に記憶される。このとき、MCU3に接続された外部装置(例えば、他のマイクロコントローラ)には、信号線15を通じて、INT2信号が入力され、INT2信号の論理レベルがLowであることにより、感震センサ1が感震状態であることを認識し、必要に応じて、信号線13を通じてI2C方式により感震センサ1の記憶部34に記憶されたSI値等を読み出すことができる。
【0038】
MCU3の指標値算出部32では、算出したSI値等の指標に基づいて、地震判定が成立するか否か、すなわわち、加速度センサ2で検知された振動が地震であるか否を所定の条件に従って判定する(ステップ108)。
ステップS108においてNoと判断された場合には、MCU3の指標値算出部32は、ステップS107に戻り、加速度センサ2から送信される加速度情報に基づく指標値の算出を継続する。
ステップS108においてYesと判断された場合、例えば、指標が遮断条件、すなわち遮断信号を出力すべき条件(日本配線器具工業会規格JWDS 0007付2)を満たすと判断した場合には、指標値算出部32は、信号線14にINT1信号として論理レベルLowを出力する(ステップS109)。このINT1信号の立下りが遮断信号であり、外部装置は、INT1信号の論理レベルがLow(アクティブ)となることにより、遮断条件が満たされたことを認識し、遮断弁を閉じる等の必要な動作を指示する。
図7に示すように、遮断条件が成立すると(T
21)、High(インアクティブ)となっていたINT1信号の論理レベルがLow(アクティブ)に変更される。
図6では、測定モードが終了すると(T
13)、加速度センサ2は感震状態から振動待機状態に遷移し、INT信号の論理レベルはHighに変更される。
図7に示すように、測定モード終了(T
13)により、INT1信号及びINT2信号の論理レベルは、いずれもLowに変更される。
【0039】
上述したように、測定モードが終了し、又は、地震の発生が検出されず振動待機状態が継続している場合には、INT信号としては、インアクティブであることを示す論理レベルがHighの信号が加速度センサ2の割り込み信号出力部23から出力されている。しかし、電源ON時ではないにもかかわらず、加速度センサ2に供給される電圧VDDが変動して初期化回路24が作動すると、加速度センサ2のレジスタ221が初期化される。このようにレジスタ221が初期化されると、加速度センサ2は振動検知可能状態から初期化状態に強制的に遷移してしまい、感震センサ1が地震を検知できないという不具合が発生する。このとき、加速度センサ2は電源ON時と同様に初期化された状態となり、INT信号として論理レベルがLowの信号を出力する。本実施例では、MCU3によってINT信号を監視することにより、INT信号の割り込み、すなわち、INT信号の論理レベルが、インアクティブを示すHighからアクティブを示すLowに変化することを
検知し、加速度センサ2のレジスタ221の所定アドレスの値をチェックするようにしている。これにより、電源ON時ではないにもかかわらず初期化回路24が作動したか否かを確認することができるので、状態に応じた適切な対応が可能となり、不具合の発生を防止することができる。
【0040】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
マイクロコントローラ(3)と加速度センサ(2)とを備えた感震センサ(1)であって、
前記加速度センサ(2)は、
測定される加速度が所定の条件を満たしたことを前記マイクロコントローラ(3)に通知する割り込み信号を出力する割り込み信号出力部(23)と、
電源から該加速度センサ(2)に供給される電圧の所定の変動を検知して、該加速度センサを初期化する初期化回路(24)と、
を有し、
前記割り込み信号は、該加速度センサが初期化された初期化状態と、振動を待機する振動待機状態とで論理レベルが逆となり、かつ、測定される加速度が前記所定の条件を満たした場合に論理レベルが該初期化状態と同一となることを特徴とする感震センサ(1)。
【符号の説明】
【0041】
1 :感震センサ
2 :加速度センサ
3 :マイクロコントローラ
23 :割り込み信号出力部
24 :初期化回路
33 :割り込み信号出力部