(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/15 20060101AFI20240214BHJP
H01R 13/115 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01R13/15 A
H01R13/115 A
(21)【出願番号】P 2020194637
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-055839(JP,A)
【文献】特開平03-261080(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0038000(US,A1)
【文献】特開2001-351714(JP,A)
【文献】実公昭49-021591(JP,Y1)
【文献】国際公開第2022/113927(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/145447(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0163137(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/11
H01R13/115
H01R13/15
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子を有する第1コネクタと、
前記第1端子と接続される第2端子を有する第2コネクタと、
を備えたコネクタであって、
前記第2端子は、互いに対向する一対の第1ばね片を有する第1ばね部材と、前記一対の第1ばね片を挟む一対の第2ばね片を有する第2ばね部材と、を備え、
前記一対の第2ばね片は、前記一対の第1ばね片に対して互いに接近させる方向への押圧力を付与し、
前記第1端子が前記一対の第1ばね片にて挟まれることで、前記第1端子と前記第1ばね部材とが電気的に導通されており、
前記第2ばね部材は、前記一対の第1ばね片と接触することで前記一対の第1ばね片における互いの接近する方向への変位を規制するストッパ部を有して
おり、
前記第2ばね部材は、前記一対の第2ばね片同士を繋ぐ連結部を有し、
前記連結部は、縁部に前記ストッパ部を有する貫通孔を有し、
前記貫通孔には、前記第1ばね片が挿入されている、コネクタ。
【請求項2】
前記各第1ばね片は、前記各第1ばね片が互いに接近する方向に凸となるように屈曲された屈曲部を有し、
前記各第1ばね片は、前記屈曲部の凸側で前記第1端子に接触し、
前記各第2ばね片は、前記屈曲部の凹側に嵌まる押圧部を有し、
前記各押圧部は、前記屈曲部に前記押圧力を付与する、請求項
1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1ばね片は、複数の第1分割ばね片を有し、
前記第2ばね片は、前記複数の第1分割ばね片にそれぞれ接触する複数の第2分割ばね片を有し、
前記各第1分割ばね片は、前記第1端子に接触しており、
前記各第2分割ばね片は、それぞれ接触する前記第1分割ばね片に前記押圧力を付与する、請求項1
又は請求項
2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の車両用のコネクタが記載されている。同コネクタは、第1端子を有する第1コネクタと、第1端子と接続される第2端子を有する第2コネクタとを備えている。第2端子は、互いに対向する一対の接続部を有している。第1端子は、第2端子の一対の接続部の間に挿入されて各接続部に接触している。これにより、第1端子と第2端子との電気的導通が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記のようなコネクタにおいて、第1端子を一対の接続部の間に挿入する際の挿入力をいかに抑制するかを検討していた。当該挿入力が大きくなりすぎると、第1コネクタと第2コネクタとを組み付ける際の組付性が悪化してしまう。
【0005】
そこで、第1コネクタと第2コネクタとの組付性を向上可能としたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、第1端子を有する第1コネクタと、前記第1端子と接続される第2端子を有する第2コネクタと、を備えたコネクタであって、前記第2端子は、互いに対向する一対の第1ばね片を有する第1ばね部材と、前記一対の第1ばね片を挟む一対の第2ばね片を有する第2ばね部材と、を備え、前記一対の第2ばね片は、前記一対の第1ばね片に対して互いに接近させる方向への押圧力を付与し、前記第1端子が前記一対の第1ばね片にて挟まれることで、前記第1端子と前記第1ばね部材とが電気的に導通されており、前記第2ばね部材は、前記一対の第1ばね片と接触することで前記一対の第1ばね片における互いの接近する方向への変位を規制するストッパ部を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1コネクタと第2コネクタとの組付性を向上可能としたコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のコネクタの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態における第2コネクタの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態におけるコネクタの断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態における第2端子の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同実施形態における第1端子及び第2端子の断面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態における第1端子と第2端子の接続状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、同実施形態における第1端子と第2端子との組付態様を説明するための断面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態におけるコネクタの作用を説明するための断面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態におけるコネクタの作用を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]第1端子を有する第1コネクタと、前記第1端子と接続される第2端子を有する第2コネクタと、を備えたコネクタであって、前記第2端子は、互いに対向する一対の第1ばね片を有する第1ばね部材と、前記一対の第1ばね片を挟む一対の第2ばね片を有する第2ばね部材と、を備え、前記一対の第2ばね片は、前記一対の第1ばね片に対して互いに接近させる方向への押圧力を付与し、前記第1端子が前記一対の第1ばね片にて挟まれることで、前記第1端子と前記第1ばね部材とが電気的に導通されており、前記第2ばね部材は、前記一対の第1ばね片と接触することで前記一対の第1ばね片における互いの接近する方向への変位を規制するストッパ部を有している。
【0010】
この構成によれば、第1端子の未挿入状態において、第2ばね部材のストッパ部により一対の第1ばね片を互いに接触しないように保持することが可能となる。これにより、第1端子を一対の第1ばね片の間に挿入する際の挿入力が大きくなりすぎることを抑制でき、その結果、第1コネクタと第2コネクタとの組付性を向上させることが可能となる。
【0011】
[2]前記第2ばね部材は、前記一対の第2ばね片同士を繋ぐ連結部を有し、前記連結部は、縁部に前記ストッパ部を有する貫通孔を有し、前記貫通孔には、前記第1ばね片が挿入されている。
【0012】
この構成によれば、第1ばね片がストッパ部としての貫通孔の縁部に接触することで、各第1ばね片の互いに接近する方向への変位を規制することができる。この構成では、第1ばね片を貫通孔に挿入するだけの簡易な構成で、第1ばね片の変位を規制することができる。
【0013】
[3]前記各第1ばね片は、前記各第1ばね片が互いに接近する方向に凸となるように屈曲された屈曲部を有し、前記各第1ばね片は、前記屈曲部の凸側で前記第1端子に接触し、前記各第2ばね片は、前記屈曲部の凹側に嵌まる押圧部を有し、前記各押圧部は、前記屈曲部に前記押圧力を付与する。
【0014】
この構成によれば、第2ばね片の押圧部が屈曲部の凹側に嵌まることで、第1ばね片に対する押圧部の位置決めが可能となる。また、第2ばね片の押圧部が、第1端子に接触する屈曲部に位置決めされる。このため、第2ばね片のばね力を好適に第1端子に作用させることが可能となる。
【0015】
[4]前記第1ばね片は、複数の第1分割ばね片を有し、前記第2ばね片は、前記複数の第1分割ばね片にそれぞれ接触する複数の第2分割ばね片を有し、前記各第1分割ばね片は、前記第1端子に接触しており、前記各第2分割ばね片は、それぞれ接触する前記第1分割ばね片に前記押圧力を付与する。
【0016】
この構成によれば、挿入方向に沿った軸線を中心とする回転方向への第1端子の相対的な位置ずれに応じて、各第1分割ばね片及び各第2分割ばね片を個別に変位させることが可能となる。これにより、当該回転方向への位置ずれが生じても、第1端子に対する各第1ばね片の接圧が低下することを極力抑えることが可能となる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。また、本明細書における「平板状」には、角部や稜線部が面取りされた形状、角部や稜線部が丸められた形状、形状を構成する面の一部又は全部に凹凸などが形成されている形状も含まれる。また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のコネクタ10は、第1コネクタ11と第2コネクタ12とを備えている。第1コネクタ11は、第1端子13を備えている。第2コネクタ12は、
図2に示す第2端子14を備えている。第1コネクタ11と第2コネクタ12とが互いに連結された状態において、第1端子13と第2端子14とが互いに接続される。
【0019】
図1に示す第1コネクタ11は、例えば、第1車載機器に設けられる。当該第1車載機器は、例えば、電気自動車やハイブリッド車などにおける走行駆動用モータである。第2コネクタ12は、例えば、前記第1車載機器に接続される第2車載機器に設けられる。当該第2車載機器は、例えば、前記走行駆動用モータの駆動を制御するパワーコントロールユニットである。第1コネクタ11及び第2コネクタ12は、高電圧用のコネクタである。
【0020】
なお、図面中の互いに直交するXYZ軸におけるX軸は、コネクタ10の幅方向に沿っている。また、Y軸はコネクタ10の奥行方向に沿っている。また、Z軸はコネクタ10の前後方向に沿っている。以下の説明では、X軸に沿った方向、Y軸に沿った方向、及びZ軸に沿った方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向と言う。
【0021】
(第1コネクタ11の構成)
図1及び
図3に示すように、第1コネクタ11は、第1端子13を保持する第1ハウジング15を備えている。第1ハウジング15は、例えば合成樹脂などの絶縁体にて構成されている。第1ハウジング15は、例えば、
図1に示す複数のねじ16によって台座部17に固定されている。第1ハウジング15に保持された第1端子13は、先端部が第1ハウジング15から露出されている。第1端子13は、例えば、平板状をなしている。第1端子13は、その板面がX軸方向に対して直交するように設けられている。複数の第1端子13は、例えば、X軸方向において2列、Y軸方向において3列の計6つ設けられている。また、第1端子13は、例えば複数設けられている。第1ハウジング15は、複数の第1端子13の露出部位の周囲を囲む周壁18を有している。
【0022】
(第2コネクタ12の構成)
図2及び
図3に示すように、第2コネクタ12は、第2端子14を保持する第2ハウジング21と、第2ハウジング21に組み付けられたカバー22とを備えている。カバー22は、第2端子14の一部位を覆っている。カバー22は、第2ハウジング21に対して着脱可能である。カバー22は、第1端子13が挿通される開口22aを有している。第2ハウジング21は、
図3に示す取付部材19に固定されている。取付部材19は、台座部17に固定されている。すなわち、第2ハウジング21は、取付部材19を介して台座部17に支持されている。
【0023】
(第2端子14の構成)
図4及び
図5に示すように、第2端子14は、第1ばね部材23と、第2ばね部材24とを備えている。第2ばね部材24は、第1ばね部材23に取り付けられている。第2ばね部材24は、例えば、第1ばね部材23にのみ支持されている。すなわち、第2ばね部材24は、例えば、第1ばね部材23以外に接点を持たない。
【0024】
(第1ばね部材23の構成)
第1ばね部材23は、例えば、金属板をプレス加工することによって形成されている。第1ばね部材23は、第1端子13に対する電気的な接点を構成する。このため、第1ばね部材23は、導体にて構成されている。第1ばね部材23の構成材料は、例えば、銅または銅系の金属である。
【0025】
第1ばね部材23は、一対の支持部25と、一対の第1ばね片26と、連結部27と、接続部28とを備えている。
一対の支持部25は、X軸方向において互いに対向している。連結部27は、一対の支持部25を互いに連結している。一対の支持部25は、連結部27から例えばZ軸方向に沿って延びている。第1ばね片26は、一対の支持部25からそれぞれ延びている。各第1ばね片26は、一対の支持部25の間に位置している。一対の第1ばね片26は、X軸方向において互いに対向している。
【0026】
接続部28は、連結部27から延びている。接続部28は、例えば、支持部25が設けられた側とは反対側に延びている。接続部28は、例えばZ軸方向に沿って延びている。接続部28は、前記第2車載機器の図示しない端子に接続される。接続部28は、例えば、X軸方向における連結部27の中央部から延びている。また、支持部25は、X軸方向における連結部27の両端部からそれぞれ延びている。連結部27において、接続部28から一方の支持部25までの長さと、接続部28から他方の支持部25までの長さとは、例えば同一長さに設定されている。
【0027】
一対の支持部25は、例えば互いに同一形状をなしている。また、一対の第1ばね片26は、例えば互いに同一形状をなしている。支持部25は、Z軸方向の一端部である基端部と、Z軸方向の他端部である先端部とを有している。支持部25の基端部は、連結部27に繋がっている。支持部25の先端部は、第1ばね片26に繋がっている。第1ばね片26は、支持部25の先端部から連結部27に向かって延びている。第1ばね片26は、各支持部25の先端部が内側に折り返されることで形成されている。すなわち、第1ばね片26は、支持部25に繋がる基端部と、開放端である先端部とを有している。各第1ばね片26は、第2ばね部材24の弾性によって互いに接近する方向に付勢されている。
【0028】
(第1ばね片26の構成)
各第1ばね片26は、第1傾斜部31と、第2傾斜部32と、屈曲部33と、係合凸部34とを有している。
【0029】
屈曲部33は、第1ばね片26のZ軸方向の一部が互いに接近する方向に凸となるように屈曲されることで形成されている。屈曲部33は、Y軸方向視で屈曲している。第1傾斜部31は、例えば、第1ばね片26における基端部から屈曲部33までの部位である。第2傾斜部32は、例えば、第1ばね片26における屈曲部33から先端部までの部位である。屈曲部33は、第1傾斜部31と第2傾斜部32との間に形成されている。Z軸方向において、第1傾斜部31の長さは、第2傾斜部32の長さよりも長く設定されている。換言すると、屈曲部33は、第1ばね片26においてZ軸方向の中央よりも先端側に設けられている。
【0030】
各第1傾斜部31は、X軸方向において互いに対向している。各第1ばね片26は、第1ばね片26の先端側に向かって互いに接近するように傾斜している。各第2傾斜部32は、第1ばね片26の先端側に向かって互いに離間するように傾斜している。係合凸部34は、各第1ばね片26の先端部に設けられている。係合凸部34は、例えば、第2傾斜部32の先端部よりも幅が狭く構成されている。
【0031】
屈曲部33は、第1傾斜部31と第2傾斜部32とがなす角部である。各屈曲部33は、一対の第1ばね片26の内側に向かって突出する。すなわち、各屈曲部33における凸側とは互いに接近する側であり、凹側とはその裏面側である。第1傾斜部31と第2傾斜部32とがなす角部である屈曲部33の裏側には、凹部35が形成されている。
【0032】
各屈曲部33の凸側の頂部には、第1端子13に接触する接触部36が設けられている。各接触部36は、例えば、各屈曲部33の一部を、互いに接近する側に窪むように変形させることで形成されている。各第1ばね片26において、各接触部36は、Z軸方向において同位置に設けられている。一対の第1ばね片26は、各接触部36において互いに最も近づいている。
【0033】
なお、第1ばね部材23は、例えば、2つの部品から構成されている。当該2つの部品を第1部品A1及び第2部品A2とする。第1部品A1及び第2部品A2の各々は、例えば、金属板をプレス加工することによって形成される。第1部品A1及び第2部品A2の各々は、連結部27の一部と、1つの支持部25と、1つの第1ばね片26とを含んでいる。また、第1部品A1と第2部品A2とは、接続部28において互いに貼り合わされている。
【0034】
図2に示すように、第2端子14は、例えば、複数設けられている。第2コネクタ12が備える第2端子14の数は、第1コネクタ11が備える第1端子13の数と同数である。複数の第2端子14は、例えば、X軸方向において2列、Y軸方向において3列の計6つ設けられている。
【0035】
図3に示すように、第2ハウジング21は、第1ばね部材23の連結部27における接続部28側の側面を支持している。また、第2ハウジング21は、各支持部25の基端部における外側面を支持している。
【0036】
図5に示すように、第1端子13は、一対の第1ばね片26の間に挿入される。第1端子13の挿入方向Dは、例えばZ軸に沿っている。各第1傾斜部31の基端部の間の隙間は、第1端子13を第1ばね部材23に挿入する際の挿入口37を構成している。各第1傾斜部31は、第1端子13の挿入方向Dに対して傾斜している。一対の第1ばね片26の間に挿入された状態では、第1端子13は、一対の第1ばね片26にて挟まれている。このとき、各第1ばね片26の接触部36は、第1端子13に接している。これにより、第1端子13と第1ばね片26とが電気的に導通されている。
【0037】
図4及び
図6に示すように、各第1ばね片26は、例えば、複数の第1分割ばね片26aを有している。本実施形態では、例えば、1つの支持部25から2つの第1分割ばね片26aが延びている。すなわち、各第1ばね片26は2つの第1分割ばね片26aを有し、1つの第1ばね部材23は4つの第1分割ばね片26aを有している。各第1ばね片26において、第1分割ばね片26aは、Y軸方向に並設されている。各第1分割ばね片26aは、上記した第1ばね片26の構成、すなわち、第1傾斜部31と、第2傾斜部32と、凹部35及び接触部36を含む屈曲部33と、係合凸部34とを有している。
【0038】
(第2ばね部材24の構成)
第2ばね部材24は、一対の第1ばね片26の先端部に保持されている。第2ばね部材24は、例えば、金属板をプレス加工することによって形成されている。なお、第2ばね部材24は、コネクタ10における電気的な回路を構成するものではない。このため、第2ばね部材24の構成材料には、電気を通しにくい材料や絶縁体を用いることが可能である。第2ばね部材24の構成材料は、例えばステンレス鋼である。
【0039】
図4及び
図5に示すように、第2ばね部材24は、一対の第2ばね片41と、一対の第2ばね片41同士を繋ぐ連結部42とを備えている。各第2ばね片41は、連結部42から延びている。第2ばね片41は、連結部42に繋がる基端部と、基端部の反対側の開放端である先端部とを有している。各第2ばね片41は、互いに対向している。各第2ばね片41は、例えば、先端側に向かって互いに接近する方向に傾斜している。なお、各第2ばね片41は、例えば、連結部42のX軸方向の両端部を屈曲することで形成されている。一対の第2ばね片41は、互いに近づく方向にばね力を発生させる。
【0040】
第2ばね部材24は、一対の第2ばね片41にて一対の第1ばね片26を挟む態様で取り付けられている。第2ばね部材24は、各第2ばね片41の先端部に押圧部43を有している。各第2ばね片41は、各第2ばね片41の先端部において、例えば、Y軸方向から見て筒状をなす筒部44を有している。筒部44は、例えば、C字状のように周方向の一部に隙間が空いている。筒部44は、Y軸方向から見て円弧状をなしている。
【0041】
第2ばね部材24を第1ばね片26に組み付ける際、各第2ばね片41の筒部44には、図示しない棒状の治具が挿入される。そして、当該棒状の治具によって第2ばね片41の間隔を広げ、その状態で一対の第2ばね片41の間に一対の第1ばね片26が配置される。
【0042】
各第2ばね片41において、押圧部43は、筒部44の周方向の一部である。すなわち、本実施形態の押圧部43は、Y軸方向から見て円弧状をなしている。押圧部43は、各第1ばね片26の凹部35に嵌まっている。各押圧部43は、各屈曲部33に対して互いに接近する方向への押圧力を付与する。すなわち、各第2ばね片41は、押圧部43にて第1ばね片26の屈曲部33を互いに接近させる方向に押圧する。
【0043】
また、押圧部43は、Z軸方向の一方側において第1傾斜部31に接触し、Z軸方向の他方側において第2傾斜部32に接触する。つまり、押圧部43が凹部35に嵌まっていることで、第2ばね部材24がZ軸方向において位置決めされている。
【0044】
図5に示すように、Z軸方向、すなわち、第1端子13の挿入方向Dに沿った方向において、第2ばね片41の基端部から接触部36までの長さL2は、第1ばね片26の基端部から接触部36までの長さL1よりも短く設定されている。
【0045】
図4に示すように、各第2ばね片41は、例えば、複数の第2分割ばね片41aを有している。第2分割ばね片41aは、複数の第1分割ばね片26aにそれぞれ対応して設けられている。すなわち、第1分割ばね片26aの数と同数設けられている。各第2ばね片41は、例えば、Y軸方向に並ぶ2つの第2分割ばね片41aを有している。各第2分割ばね片41aは、上記した第2ばね片41の構成、すなわち、押圧部43を含む筒部44を有している。各第2分割ばね片41aは、各第1分割ばね片26aに対してそれぞれ接触する。そして、各第2分割ばね片41aは、それぞれ接触する第1分割ばね片26aに対して互いに接近する方向に押圧力を付与する。
【0046】
第2ばね部材24を第1ばね部材23に組み付ける際には、各第2ばね片41において、Y軸方向に並ぶ各第2分割ばね片41aの筒部44に前記棒状の治具を挿入する。そして、当該棒状の治具によって各第2分割ばね片41aを広げて、互いに向かい合う一対の第2分割ばね片41aの間に、一対の第1分割ばね片26aを配置する。
【0047】
図4及び
図5に示すように、連結部42は、各第1ばね片26の変位を規制するストッパ部45を有している。ストッパ部45は、係合凸部34に接触することで、各第1ばね片26の互いに接近する方向への変位を規制する。
【0048】
連結部42は、例えば、Z軸に直交する平面に沿って延びる平板状をなしている。連結部42は、例えば、連結部42をZ軸方向に貫通する貫通孔46を有している。貫通孔46には、係合凸部34が挿入されている。ストッパ部45は、貫通孔46の縁部である。1つの第2ばね部材24が持つ貫通孔46の数は、1つの第1ばね部材23が持つ第1分割ばね片26aの数と同数である。本実施形態では、各第2ばね部材24に、貫通孔46が4つ設けられている。各第2ばね部材24において、各貫通孔46には、各係合凸部34が挿入されている。
【0049】
本実施形態の作用について説明する。
図7には、第1端子13の未挿入状態における第2端子14を図示している。同未挿入状態では、X軸方向に対向する一対の第1ばね片26が、一対の第2ばね片41のばね力によって互いに接近する方向に付勢される。そして、同未挿入状態では、例えば、各第1分割ばね片26aの係合凸部34が、各ストッパ部45に引っ掛かっている。つまり、各ストッパ部45は、各第2分割ばね片41aによって互いに接近する方向に付勢されている各第1分割ばね片26aのX軸方向への変位を規制している。これにより、同未挿入状態において、X軸方向に対向する一対の第1分割ばね片26a同士が接触しない。すなわち、X軸方向に対向する一対の第1分割ばね片26aの間に隙間が確保されている。
【0050】
第1端子13を第2端子14に挿入する際、第1端子13の先端部は、各第1ばね片26の第1傾斜部31に接触する。そして、第1端子13は、第1傾斜部31の傾斜により、一対の第1ばね片26をX軸方向の外側に押し広げながら、挿入方向Dに挿入される。このとき、X軸方向に対向する一対の第1ばね片26の間には、ストッパ部45によって隙間が確保されている。これにより、一対の第1ばね片26において、各第1傾斜部31の挿入方向Dに対する傾斜が浅いまま保持される。このため、第1端子13を、各第1傾斜部31を押し広げつつ挿入する際の挿入力の低減が可能である。
【0051】
第1コネクタ11と第2コネクタ12との間の製造公差などによって、第1端子13と第2端子14との間に例えばX軸方向の位置ずれが生じる場合がある。
図8は、第1端子13が、第2端子14に対してX軸方向に相対的に位置ずれした状態を示している。このとき、X軸方向に対向する一対の第1ばね片26は、第1端子13の位置ずれに伴いX軸方向に変位する。そして、当該一対の第1ばね片26に保持された第2ばね部材24は、一対の第1ばね片26の変位に伴い、X軸方向に変位する。これにより、第1端子13がX軸方向に相対的に位置ずれした場合でも、第2ばね部材24の第2ばね片41が一対の第1ばね片26を挟む力が極力変化しない。このため、第1端子13がX軸方向に相対的に位置ずれしても、各第1ばね片26の接触部36が第1端子13から離間せず、さらには、第1端子13に対する接触部36の接圧が極力変化しないように構成可能である。
【0052】
また、
図9に示すように、第1端子13が、Z軸に沿った軸線を中心とする回転方向に相対的に位置ずれする場合がある。ここで、各第1ばね片26は、Y軸方向に並ぶ2つの第1分割ばね片26aに分かれている。さらに、各第2ばね片41は、各第1分割ばね片26aに対応して、
図4に示すように、Y軸方向に並ぶ2つの第2分割ばね片41aに分かれている。このため、
図9に示すように、各第1分割ばね片26a及び各第2分割ばね片41aが、第1端子13の前記回転方向への位置ずれに応じて、個別に変位することが可能である。従って、各第1分割ばね片26a及び各第2分割ばね片41aが、第1端子13の前記回転方向への位置ずれに応じて個別に変位することで、前記回転方向への位置ずれが生じても第1端子13に対する各第1ばね片26の接圧が低下することを極力抑えることが可能である。
【0053】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第2端子14は、互いに対向する一対の第1ばね片26を有する第1ばね部材23と、一対の第1ばね片26を挟む一対の第2ばね片41を有する第2ばね部材24と、を備える。一対の第1ばね片26は、第2ばね部材24の弾性によって互いに接近する方向に付勢されている。一対の第2ばね片41は、一対の第1ばね片26に対して互いに接近させる方向への押圧力を付与する。そして、第1端子13が一対の第1ばね片26にて挟まれることで、第1端子13と第1ばね部材23とが電気的に導通されている。そして、第2ばね部材24は、一対の第1ばね片26と接触することで一対の第1ばね片26における互いの接近する方向への変位を規制するストッパ部45を有している。
【0054】
この構成によれば、第1端子13の未挿入状態において、第2ばね部材24のストッパ部45により一対の第1ばね片26を互いに接触しないように保持することが可能となる。これにより、第1端子13と第2端子14との大きな接圧を得るために第2ばね片41の力を大きくした場合でも、第1端子13を一対の第1ばね片26の間に挿入する際の挿入力が大きくなりすぎることを抑制でき、その結果、第1コネクタと第2コネクタとの組付性を向上させることが可能となる。
【0055】
(2)第2ばね部材24は、一対の第2ばね片41同士を繋ぐ連結部42を有している。連結部42は、縁部にストッパ部45を有する貫通孔46を有している。そして、貫通孔46には、第1ばね片26が挿入されている。この構成によれば、第1ばね片26がストッパ部45としての貫通孔46の縁部に接触することで、各第1ばね片26の互いに接近する方向への変位を規制することができる。この構成では、第1ばね片26を貫通孔46に挿入するだけの簡易な構成で、第1ばね片26の変位を規制することができる。
【0056】
(3)各第1ばね片26は、各第1ばね片26が互いに接近する方向に凸となるように屈曲された屈曲部33を有している。各第1ばね片26は、屈曲部33の凸側で第1端子13に接触する。各第2ばね片41は、屈曲部33の凹側に嵌まる押圧部43を有している。そして、各押圧部43は、屈曲部33に押圧力を付与する。この構成によれば、第2ばね片41の押圧部43が屈曲部33の凹側に嵌まることで、第1ばね片26に対する押圧部43の位置決めが可能となる。また、第2ばね片41の押圧部43が、第1端子13に接触する屈曲部33に位置決めされる。このため、第2ばね片41のばね力を好適に第1端子13に作用させることが可能となる。
【0057】
(4)第1ばね片26は、複数の第1分割ばね片26aを有している。第2ばね片41は、複数の第1分割ばね片26aにそれぞれ接触する複数の第2分割ばね片41aを有している。各第1分割ばね片26aは、第1端子13に接触している。そして、各第2分割ばね片41aは、それぞれ接触する第1分割ばね片26aに押圧力を付与する。この構成によれば、挿入方向Dに沿った軸線を中心とする回転方向への第1端子13の相対的な位置ずれに応じて、各第1分割ばね片26a及び各第2分割ばね片41aを個別に変位させることが可能となる。これにより、当該回転方向への位置ずれが生じても第1端子13に対する各第1ばね片26の接圧が低下することを極力抑えることが可能となる。
【0058】
(5)第2端子14の一対の第1ばね片26にて第1端子13をX軸方向に挟むように構成することで、第1端子13のX軸方向の両側面に第2端子14に対する接点を構成している。これにより、第1端子13が第2端子14に対してZ軸方向及びY軸方向に相対的に位置ずれしても、第1端子13と一対の第1ばね片26とが離間することなく、接続が安定する。
【0059】
第2ばね部材24は、第2端子14に対する第1端子13のX軸方向への位置ずれに伴い、X軸方向に移動可能である。これにより、第1端子13が第2端子14に対してX軸方向に相対的に位置ずれした場合には、その位置ずれに伴って第2ばね部材24がX軸方向に移動するため、各第1ばね片26の接触部36を第1端子13から離間させることなく、第1端子13と各第1ばね片26との接圧を確保することが可能となる。
【0060】
つまり、本実施形態のコネクタ10では、第2端子14自体の構成によって、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向への位置ずれ、及び前記回転方向への位置ずれに対応可能である。従って、本実施形態のコネクタ10では、電気的な経路の一部を、位置ずれを吸収するための撚り線や編組線などの柔軟導体で構成するとともに、端子を保持するハウジングを可動式にする必要がない。このため、本実施形態のコネクタ10は、構成の簡素化を可能にしつつも、上記の位置ずれに対応することが可能となる。
【0061】
(6)各第2ばね片41の押圧部43は円弧状をなしている。これにより、第1端子13のX軸方向への位置ずれに伴い、第2ばね部材24がX軸方向に移動した場合であっても、各押圧部43を各第1ばね片26に好適に接触させることが可能となる。
【0062】
(7)第1端子13の挿入方向Dに沿った方向において、第2ばね片41の基端部から接触部36までの長さL2は、第1ばね片26の基端部から接触部36までの長さL1よりも短く設定されている。この構成によれば、接触部36に作用する第2ばね片41のばね力が、接触部36に作用する第1ばね片26のばね力よりも大きくなるように構成しやすい。従って、第1ばね片26のばね力を補助する第2ばね片41のばね力を大きくすることで、第1端子13に対する各第1ばね片26の接圧を好適に確保することが可能となる。
【0063】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1端子13の数、及び、第2端子14の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、コネクタ10の構成に応じて適宜変更可能である。
【0064】
・各第1ばね片26における第1分割ばね片26aの数、及び、各第2ばね片41における第2分割ばね片41aの数は、上記実施形態に限定されるものではなく、第1端子13のY軸方向の寸法などに応じて適宜変更可能である。すなわち、第1分割ばね片26aの数及び第2分割ばね片41aの数はそれぞれ1つ、または、それぞれ3つ以上であってもよい。
【0065】
・上記実施形態では、第2ばね部材24が第1ばね片26のみに保持される構成としたが、これに限らず、例えば、第1ばね片26の他に第2ハウジング21やカバー22にも第2ばね部材24が支持される構成としてもよい。
【0066】
・上記実施形態において、各第1ばね片26の力と各第2ばね片41の力とを足し合わせて、第1端子13と第2端子14との間の大きな接圧を得ることも可能である。
・上記実施形態の第1ばね部材23は、第1部品A1と第2部品A2の2つの部品から構成されたが、これ以外に例えば、第1ばね部材23を1つの部品、または3つ以上の部品で構成してもよい。
【0067】
・今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10 コネクタ
11 第1コネクタ
12 第2コネクタ
13 第1端子
14 第2端子
15 第1ハウジング
16 ねじ
17 台座部
18 周壁
19 取付部材
21 第2ハウジング
22 カバー
22a 開口
23 第1ばね部材
24 第2ばね部材
25 支持部
26 第1ばね片
26a 第1分割ばね片
27 連結部
28 接続部
31 第1傾斜部
32 第2傾斜部
33 屈曲部
34 係合凸部
35 凹部
36 接触部
37 挿入口
41 第2ばね片
41a 第2分割ばね片
42 連結部
43 押圧部
44 筒部
45 ストッパ部
46 貫通孔
A1 第1部品
A2 第2部品
D 挿入方向
L1 長さ
L2 長さ