(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】平面保管設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2020204151
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】濱口 淳
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】横原 利至
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-135516(JP,A)
【文献】特開2018-043804(JP,A)
【文献】特開平02-182607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/04
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物品を
床面に載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を
上方から持ち上げて前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させる、平面保管設備。
【請求項2】
複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させ
、
前記対象物品が、複数を段積み可能な容器であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合において、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を移動させるための前記保管平面内の場所が不足している場合には、前記搬送装置によって、前記保管平面に保管されている前記対象物品の段積み数を増加させることで前記保管平面内の保管容量を増大させ、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を移動させるための場所を確保する処理を実行する、平面保管設備。
【請求項3】
複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させ
、
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合に、設定条件の指定を受け付け、指定された前記設定条件に従って前記通路エリアを設定し、
前記設定条件には、
前記外縁部から前記対象位置までの距離を最短にする最短距離条件、前記通路エリア内に載置された前記対象物品の数を最少にする最少物品条件、及び前記通路エリアの延在方向を設定する通路方向条件、の何れかが含まれる、平面保管設備。
【請求項4】
前記保管平面が矩形状に形成され、
前記外縁部が矩形状の前記保管平面の4つの辺に亘って形成され、
前記作業者が出入り可能な出入口が、前記外縁部を形成する4つの辺のうち何れかの辺に設けられ、
前記制御装置は、前記設定条件として前記最短距離条件及び前記最少物品条件のいずれかが指定された場合に、前記外縁部における前記出入口が設けられた辺が出発点となるように前記通路エリアを設定する、請求項
3に記載の平面保管設備。
【請求項5】
前記設定条件には、前記通路エリアの幅の大きさを設定する通路幅条件が含まれる、請求項
3に記載の平面保管設備。
【請求項6】
前記制御装置は、前記保管平面に保管されている全ての前記対象物品のそれぞれについて、前記対象物品を識別するための識別情報と前記対象物品が保管された位置を示す保管位置情報とを関連付けて記憶する記憶部を備え、
前記制御装置は、前記通路形成モードの実行により移動させた前記対象物品について、前記保管位置情報を更新する、請求項1
から5のいずれか一項に記載の平面保管設備。
【請求項7】
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合に、設定条件の指定を受け付け、指定された前記設定条件に従って前記通路エリアを設定する、請求項1又は2に記載の平面保管設備。
【請求項8】
前記保管平面に沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、前記保管平面に直交する方向をZ方向として、
前記搬送装置は、前記対象物品を把持する把持部と、前記把持部を前記X方向及び前記Y方向に移動させる移動機構と、前記把持部を前記Z方向に沿って昇降させる昇降機構と、を備えている、請求項1から
5のいずれか一項に記載の平面保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備えた平面保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような平面保管設備の一例が、特開2016-210526号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、複数の保管品(C)を載置して保管する載置用平面(1)を、複数の通路領域(PAa1~PAb3)によって複数の小エリア(SAa1~SAb4)に分割している。これにより、小エリア(SAa1~SAb4)に載置された保管品(C)を作業者による手作業で緊急出庫する場合に、作業者が、通路領域(PAa1~PAb3)を利用して、緊急出庫対象の保管品(C)が載置された位置まで迅速に立ち入ることができるようになっている。このように、特許文献1に開示された技術では、保管品(C)が載置される載置用平面(1)に、作業者が通行可能な通路領域(PAa1~PAb3)を形成することで、緊急時に作業者が所望の位置に立ち入る際の利便性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、載置用平面(1)において、保管品(C)が載置されない複数の通路領域(PAa1~PAb3)を形成している分、保管品(C)の保管効率の向上に向けて改善の余地があった。
【0006】
上記実状に鑑みて、複数の対象物品が保管される保管平面内において、対象物品の保管効率を向上させることができると共に必要に応じて作業者が通行可能な通路を形成することができる平面保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る平面保管設備は、
複数の対象物品を床面に載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を上方から持ち上げて前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させる。
【0008】
本構成によれば、保管平面に、作業者が通行可能な通路を確保しておく必要がない。そのため、このような通路を確保しておく場合に比べて、対象物品を保管するために利用できる領域を広く確保することができ、対象物品の保管効率を向上させることができる。また、本構成によれば、保管平面において対象位置が指定された場合には、保管平面の外縁部から対象位置までを繋ぐ通路を形成する通路形成モードを実行する。これにより、搬送装置を用いて、任意の対象位置まで作業者が立ち入るための通路を形成することができる。例えば、保管平面の一部において対象物品の荷崩れ等があり、その荷崩れ等があった位置において作業者が作業をする必要が生じた場合には、当該荷崩れ等があった位置を対象位置として、この対象位置までの通路を保管平面に形成することができる。以上のように、本構成によれば、複数の対象物品が保管される保管平面内において、対象物品の保管効率を向上させることができると共に、必要に応じて作業者が通行可能な通路を形成することが可能な平面保管設備を実現できる。
【0009】
本開示に係る他の平面保管設備は、
複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させ、
前記対象物品が、複数を段積み可能な容器であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合において、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を移動させるための前記保管平面内の場所が不足している場合には、前記搬送装置によって、前記保管平面に保管されている前記対象物品の段積み数を増加させることで前記保管平面内の保管容量を増大させ、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を移動させるための場所を確保する処理を実行する。
【0010】
本開示に係る他の平面保管設備は、
複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させ、
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合に、設定条件の指定を受け付け、指定された前記設定条件に従って前記通路エリアを設定し、
前記設定条件には、
前記外縁部から前記対象位置までの距離を最短にする最短距離条件、前記通路エリア内に載置された前記対象物品の数を最少にする最少物品条件、及び前記通路エリアの延在方向を設定する通路方向条件、の何れかが含まれる。
【0011】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】通路形成モードを実行する場合の制御手順を示すフローチャート
【
図8】最短距離条件で通路形成モードを実行する場合の説明図
【
図9】最少物品条件で通路形成モードを実行する場合の説明図
【
図10】通路方向条件で通路形成モードを実行する場合の説明図
【
図11】通路方向条件で通路形成モードを実行する場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態に係る平面保管設備について図面を参照して説明する。
【0014】
〔平面保管設備の機械構成〕
図1に示すように、平面保管設備100は、複数の容器Cを載置して保管する保管平面Fと、容器Cを保管平面F内で移動させる搬送装置1と、搬送装置1の動作を制御する制御装置2(
図5参照)と、を備えている。本実施形態では、平面保管設備100は、保管平面Fに、容器C単体、又は複数の容器Cを段積み状態としてなる容器群Cgを載置して保管するように構成されている。平面保管設備100では、部品等の収容物が収容された容器C、或いは収容物が収容されていない空の容器Cを、対象物品として保管する。すなわち本実施形態では、対象物品が、複数を段積み可能な容器Cであり、容器Cが「対象物品」に相当する。
【0015】
以下では、保管平面Fに沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、保管平面Fに直交する方向をZ方向として説明する。X方向及びY方向は、水平方向に沿う方向であり、Z方向は、上下方向に沿う方向である。
【0016】
本実施形態では、
図1~
図3に示すように、搬送装置1は、容器Cを把持する把持部101と、把持部101をX方向及びY方向に移動させる移動機構11と、把持部101をZ方向に沿って昇降させる昇降機構12と、を備えている。
【0017】
本実施形態では、移動機構11は、保管平面FにおけるX方向に離間した位置においてY方向に沿って配置されると共に当該保管平面Fに固定される一対の固定ガイドレール11Rと、一対の固定ガイドレール11Rに支持されると共に把持部101をY方向に沿って移動させるY方向移動体11Yと、Y方向移動体11Yに支持されると共に把持部101をX方向に沿って移動させるX方向移動体11Xと、を備えている。
【0018】
本実施形態では、Y方向移動体11Yは、X方向に沿って延在する可動レールにより構成されている。図示の例では、可動レールは互いに平行に配置された一対のレール部11Yaを備えている。Y方向移動体11Yは、そのX方向における両端部のそれぞれが固定ガイドレール11Rに対して移動自在に支持されており、当該固定ガイドレール11Rに沿ってY方向に移動する。Y方向移動体11Yは、例えばモータ等により構成されるY方向移動駆動部(不図示)によって駆動される。
【0019】
本実施形態では、X方向移動体11Xは、Y方向移動体11Yを構成する可動レールに沿って走行する台車により構成されている。X方向移動体11Xは、X方向に沿って延在するY方向移動体11Yに沿って走行することで、X方向に沿って移動する。X方向移動体11Xは、例えばモータ等により構成されるX方向移動駆動部(不図示)によって駆動される。
【0020】
把持部101は、X方向移動体11Xによって支持されている。そのため、X方向移動体11XがX方向に沿って移動することにより、当該X方向移動体11Xに支持された把持部101もX方向に沿って移動する。また、上述のように、このX方向移動体11Xは、Y方向移動体11Yに支持されている。そのため、Y方向移動体11YがY方向に沿って移動することにより、X方向移動体11Xに支持された把持部101もY方向に沿って移動する。このようにして、把持部101は、X方向及びY方向に沿って移動可能に構成されている。
【0021】
昇降機構12は、把持部101をZ方向に沿って昇降させるように構成されており、本例では、X方向移動体11Xに支持されている。詳細な図示は省略するが、昇降機構12は、把持部101に連結されたベルトと、例えばモータ等により構成され、ベルトを駆動する昇降駆動部(不図示)と、を備えている。昇降駆動部によってベルトが駆動されることにより、把持部101はZ方向に昇降する。このように、本実施形態では、把持部101は、昇降機構12を介してX方向移動体11Xに支持されている。
【0022】
本実施形態では、搬送装置1は、把持機構10を備えている。把持機構10は、上述の把持部101と、例えばモータ等により構成され、把持部101を駆動する把持駆動部(不図示)と、を備えている。把持部101は、把持駆動部により駆動されて、容器Cを把持するための把持状態と、容器Cを把持しないための非把持状態と、に状態変化するように構成されている。
【0023】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、把持部101は、X方向に互いに接近又は離間する一対の把持ユニット101Uを備えている。一対の把持ユニット101Uのそれぞれは、Y方向移動体11Yの一対のレール部11Yaの間で同期して昇降するように、昇降機構12を介してX方向移動体11Xに支持されている。一対の把持ユニット101Uのそれぞれは、Y方向に並んで配置されると共にY方向に互いに接近又は離間する一対の位置決め具101aと、Y方向に並ぶ一対の位置決め具101aの間に配置された把持具101bと、を備えている。
【0024】
本実施形態では、位置決め具101aは、把持部101の把持状態において、容器Cの外縁に対して外側から接触して当該容器Cの位置決めを行うように構成されている。本例では、一対の把持ユニット101Uのそれぞれに備えられた一対の位置決め具101a、すなわち、合計で4つの位置決め具101aは、平面形状が矩形状を成す容器Cの四隅に対して接触するように構成されている。図示の例では、複数の位置決め具101aは、容器Cの四隅のそれぞれの外縁形状に合致するように、水平面に沿う断面の形状がL字状の柱状体として構成されている。
【0025】
本実施形態では、把持具101bは、容器Cの上端部外縁において全周に亘って張り出すフランジ状の被把持部Crを把持するように構成されている。本例では、把持具101bは、把持部101の把持状態において、容器Cの被把持部Crに係合する複数の突出体101pと、複数の突出体101pを支持する支持部材101sと、を備えている。
【0026】
本実施形態では、支持部材101sは、Z方向に沿って延在する柱状に形成されており、その下端部領域において複数の突出体101pを支持している。支持部材101sに支持された複数の突出体101pは、当該支持部材101sの下端部領域においてZ方向に並んで配置されると共に、X方向に対向して配置される他方の支持部材101sの側(内側)に向かって突出している。本例では、Z方向に並ぶ複数の突出体101pが、Y方向に複数列(
図2に示す例では2列)並んで配置されている。
【0027】
複数の突出体101pのそれぞれは、バネにより内側(他方の支持部材101sの側)に突出する方向に付勢されている。従って、
図4に示すように、把持部101の把持状態において、複数の突出体101pの一部が、容器Cの被把持部Crからの反力を受けることによってバネの力に抗して外側へ引っ込み、引っ込んだ一部の突出体101pよりも下方に配置された他の一部の突出体101pが、容器Cの被把持部Crを下方から支持する状態となる。また、この状態では、位置決め具101aは、容器Cの外縁に対して外側から接触或いは外側に近接して、当該容器CをX方向及びY方向に位置決めしている(
図3参照)。
【0028】
本実施形態では、搬送装置1は、容器C単体、又は、容器群Cgを構成する複数の容器Cを一度に移動させることが可能に構成されている。詳細には、搬送装置1は、把持対象となる1つの容器Cを把持部101が把持した状態で、当該把持された容器Cのみを、或いは当該把持された容器Cに加えてその上に段積みされた複数の容器Cを、移動させるように構成されている。
【0029】
図2及び
図3は、搬送装置1が、7つの容器Cにより構成される容器群Cgから、上部3つの容器Cを取り出して移動させる例を示している。搬送装置1は、容器群Cgから、単数又は複数の容器Cを分離して移動させることが可能であり、また、容器群Cgの上方へ、移動させてきた他の単数又は複数の容器Cを載置して積み上げることが可能となっている。
【0030】
ここで、上述のように、容器Cは、複数段に亘って積み上げて段積み状態とすることが可能なものとされる。上述のように、本実施形態では、容器Cは、平面視で矩形状に形成されたものであるが、これに限らず、容器Cは、平面視で矩形状以外の多角形状、円形状、又は楕円形状に形成されたものであっても良い。また、本実施形態では、
図1に示すように、底面の寸法及び高さの少なくとも一方が異なる複数種類の容器Cを保管平面Fに保管することが可能となっている。本例では、
図1に示すように、複数の容器Cを段積み状態としてなる容器群Cgのそれぞれは、底面の寸法及び高さが同一である同種類の容器Cにより構成される。但し、積み上げ可能であれば、互いに異なる複数種類の容器Cにより容器群Cgが構成されていても良い。このような容器Cは、例えば、工場の製造ラインで用いられる部品等の収容物を収容するためのプラスチック製のコンテナとされる。平面保管設備100では、このような収容物が収容された容器C、或いは収容物が収容されていない空の容器Cを、対象物品として保管する。
【0031】
図1に示すように、本例では、平面保管設備100は、保管平面Fと保管平面Fの外部との間で容器C(容器群Cg)を搬送する搬出入装置3を備えている。保管平面Fの外部とは、例えば、上述した工場の製造ラインである。
図1に示す例では、搬出入装置3は、保管平面Fの外部から保管平面Fに容器Cを搬入する搬入コンベヤ31と、保管平面Fから保管平面Fの外部に容器Cを搬出する搬出コンベヤ32と、を備えている。搬送装置1は、搬出入装置3との間、ここでは搬入コンベヤ31及び搬出コンベヤ32のそれぞれとの間で容器Cの受け渡しを行うように構成されている。なお、上記構成に限らず、搬出入装置3は、1つのコンベヤにより構成されていても良い。また、搬出入装置3は、搬送台車等の、コンベヤ以外の装置により構成されていても良い。
【0032】
図8等に示すように、保管平面Fの外縁部Eは、容器Cが載置されないエリアとなっている。そして、保管平面Fにおける外縁部Eに囲まれた領域は、容器Cを載置することが可能な保管エリアAFとなっている。すなわち、保管平面Fは、容器Cが載置されないエリア(外縁部E)と、容器Cを載置することが可能な保管エリアAFと、を備えている。
外縁部Eは、作業者が通行可能となっている。
【0033】
本実施形態では、保管平面Fが矩形状に形成され、外縁部Eが矩形状の保管平面Fの4つの辺に亘って形成されている。本例では、外縁部Eには、保管平面Fの各辺を構成する第1外縁部E1、第2外縁部E2、第3外縁部E3、及び第4外縁部E4、が含まれる。
図示の例では、第1外縁部E1と第2外縁部E2とが対向して配置され、第3外縁部E3と第4外縁部E4とが対向して配置されている。
【0034】
本実施形態では、作業者が出入り可能な出入口Gが、外縁部Eを形成する4つの辺のうち何れかの辺に設けられている。
図8、
図9、
図11では、第1外縁部E1に出入口Gが設けられている例を示している。作業者は、第1外縁部E1に設けられた出入口Gから保管平面Fに進入して、第1外縁部E1を含め、第2外縁部E2、第3外縁部E3、及び第4外縁部E4を通行可能となっている。詳細な図示は省略するが、保管平面Fは、フェンスによって囲まれ、保管平面Fへの出入りが可能な出入口Gには、通常時は封鎖される扉が設けられていると良い。なお、
図10では、第4外縁部E4に出入口Gが設けられている例を示している。
【0035】
〔平面保管設備の制御構成〕
図5に示すように、制御装置2は、搬送装置1との間で通信可能であり、搬送装置1を制御可能に構成されている。本例では、制御装置2は、搬出入装置3との間でも通信可能であり、搬出入装置3を制御可能に構成されている。また、制御装置2は、平面保管設備100の全体を統括して管理する。本実施形態では、制御装置2は、保管平面Fに載置された容器群Cgの位置、容器群Cgを構成する容器Cの種類、及び容器群Cgを構成する容器Cの数(段積み数)を管理している。なお、本実施形態では、制御装置2は、容器Cが単体で保管平面Fに載置されている場合にも、容器群Cgを構成する容器Cの数(段積み数)が「1」である容器群Cgとして管理することとしている。制御装置2は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0036】
本実施形態では、制御装置2は、各種情報を記憶する記憶部21と、後述する通路形成モードにおいて通路エリアAR(
図8等参照)を設定するエリア設定部22と、を備えている。
【0037】
記憶部21は、保管平面Fに保管されている全ての容器Cのそれぞれについて、容器Cを識別するための識別情報Iiと容器Cが保管された位置を示す保管位置情報Ipとを関連付けて記憶している。これにより、制御装置2は、保管平面Fに保管されている全ての容器Cのそれぞれについて、保管平面Fにおける何れの位置に保管されているかを把握可能となっている。
【0038】
また本実施形態では、記憶部21は、容器群Cgにおける容器Cの段積み数を示す段数情報In及び容器Cの高さ寸法を示す高さ寸法情報Ihを、保管位置情報Ipと関連付けて記憶している。制御装置2は、段数情報Inによって、容器群Cgを構成する容器Cの数を把握可能となっている。これに併せて、制御装置2は、高さ寸法情報Ihによって、容器群Cgを構成する複数の容器Cそれぞれの高さ寸法を把握可能となっている。従って、制御装置2は、複数の容器Cが段積みされて構成される容器群Cgの高さを、当該容器群Cgが保管されている位置と関連付けて把握可能となっている。この平面保管設備100では、搬送装置1の設置位置との関係上、稼働中の搬送装置1と容器群Cgとが干渉しないように、保管平面Fにおける容器群Cgの上限高さが決まっている。或いは、容器群Cgの上限高さは、保管平面Fに保管されている容器群Cgを安定して載置できるような高さとされる。本実施形態に係る制御装置2は、上記の上限高さを超えないように、容器群Cgを構成する容器Cの数を管理している。
【0039】
本実施形態では、記憶部21は、容器Cの底面寸法を示す底面寸法情報Isを、保管位置情報Ipと関連付けて記憶している。これにより、制御装置2は、保管平面Fに載置されている容器C(容器群Cg)の保管平面Fにおける占有領域、及びその位置を把握可能となっている。
【0040】
制御装置2は、保管平面Fの外部から保管平面Fに容器群Cgを搬入する搬入制御、及び、保管平面Fから保管平面Fの外部に容器群Cgを搬出する搬出制御を実行可能に構成されている。本実施形態では、制御装置2は、搬送装置1及び搬出入装置3を制御することにより、搬入制御または搬出制御を実行する。
【0041】
具体的には、搬入制御では、保管平面Fの外部から搬入コンベヤ31により搬入されてきた容器群Cgを、搬送装置1により保管平面Fに搬入して、保管平面Fに直接載置し、或いは、保管平面Fに既に載置されている他の容器群Cgの上に載置する。そして、制御装置2は、搬入した容器群Cgについての保管位置情報Ipを記憶部21に記憶させる。
【0042】
また、搬出制御では、搬送装置1により保管平面Fから容器群Cgを取り出して搬出コンベヤ32に載せ、当該搬出コンベヤ32により保管平面Fの外部に搬出する。そして、制御装置2は、搬出した容器群Cgについての保管位置情報Ipを記憶部21に削除させる。保管平面Fの外部に搬出された容器群Cgは、例えば、工場の製造ライン等の各所に搬送される。
【0043】
また、この制御装置2は、保管平面F内に作業者が通行可能な通路Rを形成する通路形成モードを実行可能に構成されている。この通路形成モードでは、制御装置2は、保管平面F内における対象位置Pt(
図8等参照)の指定を受け付け、対象位置Ptが指定された場合に、保管平面Fの外縁部Eから対象位置Ptまでを繋ぐ、作業者が通行可能な通路Rを形成する。対象位置Ptは、保管平面Fにおける任意の位置であり、例えば作業者によって指定される。例えば、保管平面Fの一部において容器C(容器群Cg)の荷崩れ等があり、その荷崩れ等があった位置において作業者が作業をする必要が生じた場合には、当該荷崩れ等があった位置が対象位置Ptとして指定される。
【0044】
図8~
図11に示すように、制御装置2は、通路形成モードにおいて、通路Rを確保するための通路エリアARを設定し、搬送装置1によって、通路エリアAR内に載置された全ての容器C(容器群Cg)を保管平面F内における通路エリアAR以外の場所へ移動させる。本実施形態では、上述のエリア設定部22が、通路エリアARを設定する。なお、上述のように、保管平面Fに載置された容器C単体は、段積み数が「1」である「容器群Cg」として制御装置2に把握されている。従って、以下では、容器C単体のことを容器群Cgと称する場合がある。
【0045】
通路エリアARは、対象位置Ptと外縁部Eとを繋ぐ仮想的なエリアであり、実際に容器Cが載置されているか否かに関係なく設定される。通路形成モードの実行後には、通路エリアARには容器Cが存在しない状態となり、この通路エリアARに対応する領域に、作業者が通行可能な通路Rが形成される。
【0046】
本実施形態では、通路形成モードの実行により、搬送装置1は、通路エリアAR内に載置された全ての容器Cを、通路エリアAR以外の場所における容器C(容器群Cg)が載置されていない空き領域Sに移動させ、又は、通路エリアAR以外の場所に載置された容器群Cgの上に移動させる。
【0047】
そして、本実施形態では、制御装置2は、通路形成モードの実行により移動させた容器Cについて、記憶部21に記憶された保管位置情報Ipを更新する。例えば、対象位置Ptから外縁部Eまでの通路Rの形成を作業者による手作業によって行う場合には、通路Rの形成のために移動させた容器Cの種類や移動前の容器Cの位置を、制御装置2により把握することは困難である。このような情報を制御装置2に把握させるためには、作業者が、移動させた容器Cについての保管位置情報Ipを入力する等して、記憶部21に記憶させる作業を改めて行う必要があった。しかし、上記構成のように、制御装置2が、通路形成モードの実行により移動させた容器Cの保管位置情報Ipを更新することで、移動後の容器Cの種類や位置を容易に把握することが可能となる。従って、通路形成モードの実行により移動させた容器Cを移動前の位置に戻す必要もなく、そのまま運用を継続することが可能となる。
【0048】
本実施形態では、制御装置2は、通路形成モードを実行する場合に、設定条件Tの指定を受け付け、指定された設定条件Tに従って通路エリアARを設定する。制御装置2は、例えば、作業者によって設定条件Tの指定があった場合にその指定を受け付け、指定された設定条件Tに従って、エリア設定部22により通路エリアARを設定する。
【0049】
本実施形態では、設定条件Tには、外縁部Eから対象位置Ptまでの距離を最短にする最短距離条件Ta、通路エリアAR内に載置された容器Cの数を最少にする最少物品条件Tb、及び通路エリアARの延在方向を設定する通路方向条件Tc、の何れかが含まれる。なお、本実施形態では、最少物品条件Tbは、通路エリアAR内に載置された容器群Cgの数を最少にする条件である。
【0050】
図5に示すように、本実施形態では、設定条件Tには、通路エリアARの幅(通路幅Rw:
図8等参照)の大きさを設定する通路幅条件Tdが含まれる。通路エリアARの通路幅Rwは、
図8等に示すように、通路エリアARが延在する方向に対して直交する方向の寸法である。上記構成によれば、各種状況に応じた通路幅Rwの大きさを設定することで、適切な通路幅Rwを有する通路Rを形成することができる。ここで考慮される状況としては、例えば、台車等の機器を対象位置Ptに到達させる必要がある場合には当該機器の大きさ、或いは、複数人の作業者が対象位置Ptに向かう場合にはその人数等が含まれる。
【0051】
図5及び
図6に示すように、本実施形態に係る制御装置2は、作業者が操作可能な操作部23を備えている。操作部23は、作業者の操作によって対象位置Ptの指定を受け付ける。本例では、操作部23は、対象位置Ptに加えて、作業者の操作によって設定条件Tの指定を受け付ける。また、操作部23は、作業者の操作によって通路幅条件Tdの指定も受け付ける。
【0052】
図6に示すように、本実施形態では、操作部23は、操作画面23Sを備えている。本例では、操作画面23Sは、タッチパネルとして構成されている。操作画面23Sでは、対象位置Ptの設定が可能であり、本例では、作業者が対象位置Ptを入力または選択可能な対象位置設定画像23aが表示される。また、操作画面23Sでは、設定条件Tの設定が可能であり、本例では、作業者が最短距離条件Ta、最少物品条件Tb、及び通路方向条件Tcの中から設定条件Tを入力または選択可能な設定条件設定画像23bが表示される。さらに、操作画面23Sでは、通路エリアARの通路幅Rwの設定が可能であり、本例では、作業者が通路幅Rwを入力または選択可能な通路幅設定画像23cが表示される。
図6に示す例では、操作画面23Sには、対象位置Pt、設定条件T、通路幅Rwの順に、作業者が入力又は選択可能な画像(対象位置設定画像23a、設定条件設定画像23b、通路幅設定画像23c)が表示される。なお、操作部23は、キーボード及びモニタ等を用いて各種入力が行われるように構成されていても良い。
【0053】
次に、制御装置2が通路形成モードを実行する場合の手順について、
図7のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
制御装置2は、通路形成モードを実行する場合、対象位置Ptが選択されたか否かを判断する(ステップ#1)。制御装置2は、対象位置Ptが選択されていると判断した場合には(ステップ#1:Yes)、設定条件Tが選択されたか否かを判断する(ステップ#2)。そして、制御装置2は、設定条件Tが選択されていると判断した場合には(ステップ#2:Yes)、通路幅Rwが選択されたか否かを判断する(ステップ#3)。
【0055】
制御装置2は、通路幅Rwが選択されていないと判断した場合には(ステップ#3:No)、既定の通路幅Rwを設定し(ステップ#4)、それぞれ選択された対象位置Pt及び設定条件Tと、規定の通路幅Rwとに基づいて、通路エリアARを設定する(ステップ#5)。一方、制御装置2は、通路幅Rwが選択されていると判断した場合には(ステップ#3:Yes)、それぞれ選択された対象位置Pt、設定条件T、及び通路幅Rwに基づいて、通路エリアARを設定する(ステップ#5)。なお、ステップ#4の工程において設定される既定の通路幅Rwは、作業者が通行可能な幅とされれば良く、例えば、500ミリメートル~1500ミリメートルの範囲で設定されると良い。
【0056】
制御装置2は、通路エリアARを設定した後(ステップ#5)、当該通路エリアARに容器Cが有るか否かを判断する(ステップ#6)。この判断は、保管位置情報Ipに基づいて行われる。制御装置2は、通路エリアARに容器Cが有ると判断した場合には(ステップ#6:Yes)、容器Cを保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に移動させる(ステップ#7)。そして、制御装置2は、当該移動させた容器Cの保管位置情報Ipを更新する(ステップ#8)。その後、制御装置2は、通路エリアARに容器Cが無いと判断した場合には(ステップ#9:Yes)、通路形成モードを終了する。一方、制御装置2は、通路エリアARに未だ容器Cが有ると判断した場合には(ステップ#9:No)、ステップ#7及びステップ#8の工程を繰り返し行う。なお、制御装置2は、通路エリアARを設定し(ステップ#5)、その後のステップ#6において、通路エリアARに容器Cが無いと判断した場合には(ステップ#6:No)、上記同様に通路形成モードを終了する。
【0057】
次に、各設定条件Tに基づいた通路形成モードの実行により、保管平面Fに通路Rを形成する例について説明する。
【0058】
図8は、最短距離条件Taで通路形成モードを実行する場合を示している。制御装置2は、対象位置Ptが指定された場合であって設定条件Tとして最短距離条件Taが指定された場合に、当該最短距離条件Taに従って通路エリアARを設定する。
【0059】
本実施形態では、制御装置2は、設定条件Tとして最短距離条件Taが指定された場合に、対象位置Ptに載置された容器群Cgの保管位置情報Ipに基づいて、外縁部Eにおける対象位置Ptから最も近くなる位置を算出し、当該算出位置から対象位置Ptまでの間に通路エリアARを設定する。
図8において二点鎖線で囲まれた領域が、最短距離条件Taを満たすように設定された通路エリアARである。図示の例では、対象位置Ptから第1外縁部E1までの間に通路エリアARが設定され、通路エリアAR内の8箇所に、容器群Cgが載置されている。制御装置2は、当該8箇所に載置された容器群Cgを、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に移動させる。上述のように、容器群Cgの移動先となる場所は、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に載置された他の容器群Cgの上、或いは、空き領域Sである。通路形成モードの実行により、
図8の下図に示すように、通路エリアARに載置されていた全ての容器Cが取り除かれ、通路エリアARに対応する領域に、作業者が通行可能な通路Rが形成される。このように設定条件Tを最短距離条件Taとすることで、作業者が外縁部Eから対象位置Ptまで最短距離で到達する通路Rを形成できる。
【0060】
また本実施形態では、制御装置2は、設定条件Tとして最短距離条件Taが指定された場合に、外縁部Eにおける出入口Gが設けられた辺が出発点となるように通路エリアARを設定する。詳細には、制御装置2は、出入口Gが設けられた辺(外縁部E)における対象位置Ptから最も近い位置を出発点として、通路エリアARを設定する。これにより、出入口Gに近い位置から通路Rを形成することができる。
図8は、設定条件Tとして最短距離条件Taが指定され、出入口Gが設けられた第1外縁部E1を出発点として通路エリアARを設定している例を示している。なお、
図8に示す例では、外縁部Eにおける出入口Gが設けられた辺(第1外縁部E1)を出発点とするという条件の有無によって、設定される通路エリアARが異なることがないが、対象位置Ptとして指定される箇所がいずれであるかによっては、上記とは異なる通路エリアARが設定される場合もある。例えば、
図8に示す第2の対象位置Pt2について、外縁部Eにおける出入口Gが設けられた辺を考慮せずに、最短距離条件Taに従って通路エリアARを設定する場合、
図8に「AR2」で示すようなエリアが設定される。
【0061】
図9は、最少物品条件Tbで通路形成モードを実行する場合を示している。制御装置2は、対象位置Ptが指定された場合であって設定条件Tとして最少物品条件Tbが指定された場合に、当該最少物品条件Tbに従って通路エリアARを設定する。
【0062】
本実施形態では、制御装置2は、設定条件Tとして最少物品条件Tbが指定された場合に、保管平面Fに載置された全ての容器群Cgの保管位置情報Ipに基づいて、対象位置Ptから外縁部Eまでの間に載置された容器群Cgの数が最少となる領域に通路エリアARを設定する。
図9において二点鎖線で囲まれた領域が、最少物品条件Tbを満たすように設定された通路エリアARである。図示の例では、対象位置Ptから第2外縁部E2までの間に通路エリアARが設定され、通路エリアAR内の4箇所に、容器群Cgが載置されている。制御装置2は、当該4箇所に載置された容器群Cgを、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に移動させる。これにより、
図9の下図に示すように、通路エリアARに載置されていた全ての容器Cが取り除かれ、通路エリアARに対応する領域に、作業者が通行可能な通路Rが形成される。このように設定条件Tを最短距離条件Taとすることで、搬送装置1により容器群Cg(或いは容器C単体)を移動させる数を少なく抑えることができると共に搬送装置1が通路Rを形成するための時間を短くすることができる。
【0063】
なお、上記では、外縁部Eにおける出入口Gが設けられた辺を考慮せずに、最少物品条件Tbに従って通路エリアARを設定する場合について説明した。しかし、設定条件Tとして最少物品条件Tbが指定された場合に、外縁部Eにおける出入口Gが設けられた辺が出発点となるように通路エリアARを設定しても良い。この場合、本例では、出入口Gが設けられた第1外縁部E1を出発点として、対象位置Ptまでに存在する容器群Cgの数が最少となるように、
図9に「AR2」で示すようなエリアが設定される。
【0064】
以上では、設定条件Tを最短距離条件Taとした場合、又は、設定条件Tを最少物品条件Tbとした場合のそれぞれに、通路エリアARを設定する例について説明した。しかし、最短距離条件Taを満たす通路エリアARが1つであるとは限らず、また、最少物品条件Tbを満たす通路エリアARが1つであるとは限らない。
【0065】
そこで、例えば、設定条件Tを最短距離条件Taとした場合であって、最短距離条件Taを満たす2つ以上の通路エリアARを設定可能である場合には、制御装置2は、最短距離条件Taを満たす2つ以上の通路エリアARの候補のうち、各候補に含まれる容器群Cgの数が最少である候補を、通路エリアARに設定すると好適である。これにより、外縁部Eから対象位置Ptまでの距離が最短である通路Rの候補の中で、搬送装置1による通路Rの形成時間が最短となる候補を、通路Rとして形成することができる。
【0066】
また、例えば、設定条件Tを最少物品条件Tbとした場合であって、最少物品条件Tbを満たす2つ以上の通路エリアARを設定可能である場合には、制御装置2は、最少物品条件Tbを満たす2つ以上の通路エリアARの候補のうち、外縁部Eから対象位置Ptまでの距離が最短である候補を、通路エリアARに設定すると好適である。これにより、搬送装置1による通路Rの形成時間が最短となる候補の中で、外縁部Eから対象位置Ptまでの距離が最短となる候補を、通路Rとして形成することができる。
【0067】
なお、上記のような条件を設定しても、複数の通路エリアARが設定可能である場合には、更に他の条件を付加しても良いし、或いは、当該複数の通路エリアARの中から作業者が選択した通路エリアARを設定するようにしても良い。
【0068】
図10は、通路方向条件Tcで通路形成モードを実行する場合を示している。制御装置2は、対象位置Ptが指定された場合であって設定条件Tとして通路方向条件Tcが指定された場合に、当該通路方向条件Tcに従って通路エリアARを設定する。
【0069】
本実施形態では、制御装置2は、設定条件Tとして通路方向条件Tcが指定された場合に、対象位置Ptから通路方向条件Tcによって指定された方向に沿って、通路エリアARを設定する。設定条件Tを通路方向条件Tcとすることで、例えば作業者の現在位置や保管平面Fへの出入口Gの位置等の状況を考慮して、各種状況に応じた方向に沿って通路Rを形成できる。例えば、
図10では、通路方向条件Tcとして、Y方向に沿う方向が指定されている。なお、図示の例では、第4外縁部E4に出入口Gが設けられている。
図10において二点鎖線で囲まれた領域が、この通路方向条件Tcを満たすように設定された通路エリアARである。図示の例では、対象位置PtからY方向に延在して第4外縁部E4に到達するように通路エリアARが設定されており、通路エリアAR内の5箇所に、容器群Cgが載置されている。制御装置2は、当該5箇所に載置された容器群Cgを、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に移動させる。上述のように、容器群Cgの移動先となる場所は、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に載置された他の容器群Cgの上、或いは、空き領域Sである。通路形成モードの実行により、
図10の下図に示すように、通路エリアARに載置されていた全ての容器Cが取り除かれ、通路エリアARに対応する領域に、作業者が通行可能な通路Rが形成される。
【0070】
また、
図11には、設定条件Tを通路方向条件Tcとした場合における他の例が示されている。この例では、第1外縁部E1に出入口Gが設けられている。
【0071】
この例では、通路方向条件Tcには、対象位置Ptから延在する方向及びその距離の条件が含まれる。制御装置2は、設定条件Tとして通路方向条件Tcが指定された場合に、通路方向条件Tcに含まれる、対象位置Ptからの延在方向及びその距離に従って、通路エリアARを設定する。
図11において二点鎖線で囲まれた領域が、通路方向条件Tcを満たすように設定された通路エリアARである。
図11には、対象位置Ptからの延在方向がY方向に指定されると共にその距離が第1延在距離Lyに指定され、更にそこからの延在方向がX方向に指定されると共にその距離が第2延在距離Lxに指定されて、通路エリアARが設定されている例が示されている。図示の例では、通路エリアARの5箇所に、容器群Cgが載置されている。制御装置2は、当該5箇所に載置された容器群Cgを、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に移動させる。これにより、
図11の下図に示すように、通路エリアARに載置されていた全ての容器Cが取り除かれ、通路エリアARに対応する領域に、作業者が通行可能な通路Rが形成される。
図11に示す例では、設定条件Tを通路方向条件Tcとすることで、第1外縁部E1(外縁部E)における出入口Gから最も近い位置と対象位置Ptとを繋ぐように通路Rを形成している。
【0072】
ここで、保管平面Fにおける容器Cの保管状況によっては、通路エリアARを設定した後において、通路エリアAR内に載置された容器Cを移動させるための空き領域Sが不足している場合がある。
【0073】
そこで、本実施形態では、
図12に示すように、制御装置2は、通路形成モードを実行する場合において、通路エリアAR内に載置された全ての容器Cを移動させるための保管平面F内の場所(空き領域S)が不足している場合には、搬送装置1によって、保管平面Fに保管されている容器Cの段積み数を増加させることで保管平面F内の保管容量を増大させ、通路エリアAR内に載置された全ての容器Cを移動させるための場所(空き領域S)を確保する処理(空き領域確保処理)を実行する。本例では、制御装置2は、空き領域確保処理において、予め設定された容器Cの段積み数の上限である上限段積み数以下となる範囲で、保管平面Fにおける通路エリアAR以外の場所に載置された容器Cの段積み数を増加させ、空き領域Sを確保する。
【0074】
図12には、保管平面Fにおける上限段積み数が「10」である場合が例示されており、図中の容器群Cgの内部に示された数字は、各容器群Cgにおける現状の容器Cの段積み数を示している。なお、説明の便宜上、
図12では、複数の容器群Cgのそれぞれが保管されている位置を、第1~第9保管位置(P1~P9)として示している。
【0075】
図12に示す例では、保管平面Fにおける、少なくとも通路エリアARの周辺には、容器Cが載置されていない空き領域Sが存在していない。この場合、制御装置2は、空き領域確保処理を実行し、通路エリアARの周辺において上限段積み数以下の段積み数である複数の容器群Cgであって、互いに段積みすることが可能な複数の容器群Cgを互いに組み合わせて、上限段積み数以下の段積み数となる新たな容器群Cgを形成することで、容器群Cgの数を減少させるように、搬送装置1を制御する。なお、
図12には、全ての容器群Cgが同じ大きさの容器Cで構成され、互いに段積み可能である場合を例示している。なお、互いに段積みできないような、大きさが異なる容器Cにより構成された容器群Cgが混在する場合には、段積み可能な容器群Cg同士のみで上記制御を行う。
【0076】
図12に示す例では、第2保管位置P2に載置された容器群Cg(段積み数:3)に、第3保管位置P3に載置された容器群Cg(段積み数:2)と第6保管位置P6に載置された容器群Cg(段積み数:2)と第7保管位置P7に載置された容器群Cg(段積み数:3)とを組み合わせることで、段積み数が「10」となる新たな容器群Cgを第2保管位置P2に形成している。これにより、第3保管位置P3、第6保管位置P6、及び第7保管位置P7のそれぞれに、容器Cが載置されない空き領域Sを形成している。また、第4保管位置P4に載置された容器群Cg(段積み数:6)に、第8保管位置P8に載置された容器群Cg(段積み数:4)を組み合わせることで、段積み数が「10」となる新たな容器群Cgを第4保管位置P4に形成している。これにより、第8保管位置P8に、容器Cが載置されない空き領域Sを形成している。そして、制御装置2は、上記のように形成した複数の空き領域Sに、通路エリアAR内に載置された容器Cを移動させるように、搬送装置1を制御する。
【0077】
〔その他の実施形態〕
次に、平面保管設備のその他の実施形態について説明する。
【0078】
(1)上記の実施形態では、最少物品条件Tbが、通路エリアAR内に載置された容器群Cgの数を最少にする条件である例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、最少物品条件Tbは、通路エリアAR内に載置された容器Cの数を最少にする条件であっても良い。すなわちこの場合、制御装置2は、通路エリアAR内に載置された容器群Cgの数とその段積み数を考慮して、通路エリアAR内における容器Cの数が最少となるように、通路エリアARを設定する。
【0079】
(2)上記の実施形態では、保管平面Fが矩形状に形成され、外縁部Eが矩形状の保管平面Fの4つの辺に亘って形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、保管平面Fの形状として、多角形状、円形状、楕円形状などの様々な形状を採用することができる。また、保管平面Fが何れの形状であっても、作業者が通行可能な外縁部Eは必須ではなく、保管平面Fの全体が保管エリアAFとされていても良い。
【0080】
(3)上記の実施形態では、第1外縁部E1に出入口Gが設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、保管平面Fが矩形状に形成されている場合において、第2外縁部E2、第3外縁部E3、又は第4外縁部E4に、出入口Gが設けられていても良い。また、出入口Gの数は、単数であっても複数であっても良い。
【0081】
(4)上記の実施形態では、制御装置2は、通路形成モードを実行する場合に、設定条件Tの指定を受け付け、指定された設定条件Tに従って通路エリアARを設定する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御装置2は、設定条件Tを受け付けることなく、自動で通路エリアARを設定しても良い。この場合、制御装置2は、予め定められた条件に従って通路エリアARを設定する。予め定められた条件は、上述した最短距離条件Ta、最少物品条件Tb、及び通路方向条件Tcのいずれかであっても良いし、これらとは異なる条件であっても良い。
【0082】
(5)上記の実施形態では、対象物品が、複数を段積み可能な容器Cである例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、対象物品は、段積みのできない容器Cであっても良いし、或いは、容器C以外の各種物品であっても良い。
【0083】
(6)上記の実施形態では、移動機構11が、レール状に形成されたY方向移動体11Yと、Y方向移動体11Yに沿って走行する台車により構成されたX方向移動体11Xと、を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移動機構11は、容器Cを把持するための把持部101を、X方向及びY方向の双方に移動可能に構成されていれば良い。例えば、移動機構11は、把持部101をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させることが可能なロボットアームなどにより構成されていても良い。
【0084】
(7)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0085】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した平面保管設備について説明する。
【0086】
本開示に係る平面保管設備は、
複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、
前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記保管平面内における対象位置の指定を受け付け、前記対象位置が指定された場合に、前記保管平面の外縁部から前記対象位置までを繋ぐ、作業者が通行可能な通路を形成する通路形成モードを実行可能であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードにおいて、前記通路を確保するための通路エリアを設定し、前記搬送装置によって、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を前記保管平面内における前記通路エリア以外の場所へ移動させる。
【0087】
本構成によれば、保管平面に、作業者が通行可能な通路を確保しておく必要がない。そのため、このような通路を確保しておく場合に比べて、対象物品を保管するために利用できる領域を広く確保することができ、対象物品の保管効率を向上させることができる。また、本構成によれば、保管平面において対象位置が指定された場合には、保管平面の外縁部から対象位置までを繋ぐ通路を形成する通路形成モードを実行する。これにより、搬送装置を用いて、任意の対象位置まで作業者が立ち入るための通路を形成することができる。例えば、保管平面の一部において対象物品の荷崩れ等があり、その荷崩れ等があった位置において作業者が作業をする必要が生じた場合には、当該荷崩れ等があった位置を対象位置として、この対象位置までの通路を保管平面に形成することができる。以上のように、本構成によれば、複数の対象物品が保管される保管平面内において、対象物品の保管効率を向上させることができると共に、必要に応じて作業者が通行可能な通路を形成することが可能な平面保管設備を実現できる。
【0088】
ここで、
前記制御装置は、前記保管平面に保管されている全ての前記対象物品のそれぞれについて、前記対象物品を識別するための識別情報と前記対象物品が保管された位置を示す保管位置情報とを関連付けて記憶する記憶部を備え、
前記制御装置は、前記通路形成モードの実行により移動させた前記対象物品について、前記保管位置情報を更新する、と好適である。
【0089】
本構成によれば、保管平面に保管されている対象物品の管理を行い易い。さらに、通路形成モードの実行により移動させた対象物品について保管位置情報を更新するため、移動させた対象物品がどの位置に保管されているかを把握することができる。従って、通路形成モードの実行により移動させた対象物品を移動前の位置に戻す必要もなく、そのまま運用を継続することが可能となる。
【0090】
また、
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合に、設定条件の指定を受け付け、指定された前記設定条件に従って前記通路エリアを設定する、と好適である。
【0091】
本構成によれば、設定条件に応じて設定された通路エリアに、通路を形成することができる。
【0092】
また、前記制御装置が、指定された前記設定条件に従って前記通路エリアを設定する構成において、
前記設定条件には、
前記外縁部から前記対象位置までの距離を最短にする最短距離条件、前記通路エリア内に載置された前記対象物品の数を最少にする最少物品条件、及び前記通路エリアの延在方向を設定する通路方向条件、の何れかが含まれる、と好適である。
【0093】
本構成によれば、その時々の状況に応じて適切な設定条件を選択して通路エリアを設定することができる。例えば、設定条件を最短距離条件とすることで、作業者が外縁部から対象位置まで最短距離で到達する通路を形成できる。また、設定条件を最少物品条件とすることで、搬送装置により対象物品を移動させる数を少なく抑えることができると共に搬送装置が通路を形成するための時間を短くすることができる。また、設定条件を通路方向条件とすることで、例えば作業者の現在位置や保管平面への出入り口の位置等の状況を考慮して、各種状況に応じた方向に沿って通路を形成できる。
【0094】
また、前記設置条件に、前記最短距離条件、前記最少物品条件、及び通路方向条件、の何れかが含まれる構成において、
前記保管平面が矩形状に形成され、
前記外縁部が矩形状の前記保管平面の4つの辺に亘って形成され、
前記作業者が出入り可能な出入口が、前記外縁部を形成する4つの辺のうち何れかの辺に設けられ、
前記制御装置は、前記設定条件として前記最短距離条件及び前記最少物品条件のいずれかが指定された場合に、前記外縁部における前記出入口が設けられた辺が出発点となるように前記通路エリアを設定する、と好適である。
【0095】
本構成によれば、設定条件として最短距離条件及び最少物品条件のいずれかが指定された場合において、出入口に近い位置から通路を形成することができる。
【0096】
また、前記制御装置が、指定された前記設定条件に従って前記通路エリアを設定する構成において、
前記設定条件には、前記通路エリアの幅の大きさを設定する通路幅条件が含まれる、と好適である。
【0097】
本構成によれば、各種状況に応じて、通路の幅を設定することができる。ここで考慮される状況としては、例えば、台車等の機器を対象位置に到達させる必要がある場合には当該機器の大きさ、或いは、複数人の作業者が対象位置に向かう場合にはその人数等が含まれる。
【0098】
また、
前記対象物品が、複数を段積み可能な容器であり、
前記制御装置は、前記通路形成モードを実行する場合において、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を移動させるための前記保管平面内の場所が不足している場合には、前記搬送装置によって、前記保管平面に保管されている前記対象物品の段積み数を増加させることで前記保管平面内の保管容量を増大させ、前記通路エリア内に載置された全ての前記対象物品を移動させるための場所を確保する処理を実行する、と好適である。
【0099】
本構成によれば、通路エリア内に載置された全ての対象物品を移動させるための場所が保管平面内に不足している場合であっても、その不足分の場所を確保する処理を実行するため、適切に通路を形成することができる。
【0100】
また、
前記保管平面に沿う方向であって互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、前記保管平面に直交する方向をZ方向として、
前記搬送装置は、前記対象物品を把持する把持部と、前記把持部を前記X方向及び前記Y方向に移動させる移動機構と、前記把持部を前記Z方向に沿って昇降させる昇降機構と、を備えていると好適である。
【0101】
本構成によれば、対象物品を保管平面内の各位置へ適切に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示に係る技術は、複数の対象物品を載置して保管する保管平面と、前記対象物品を前記保管平面内で移動させる搬送装置と、前記搬送装置の動作を制御する制御装置と、を備えた平面保管設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
100 :平面保管設備
1 :搬送装置
11 :移動機構
101 :把持部
12 :昇降機構
2 :制御装置
21 :記憶部
AR :通路エリア
R :通路
Rw :通路幅
F :保管平面
E :外縁部
G :出入口
S :空き領域
C :容器(対象物品)
Pt :対象位置
Ii :識別情報
Ip :保管位置情報
T :設定条件
Ta :最短距離条件
Tb :最少物品条件
Tc :通路方向条件
Td :通路幅条件