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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】集積回路装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/04 20060101AFI20240214BHJP
   H03L 7/095 20060101ALI20240214BHJP
   H03K 5/19 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G06F1/04 302A
H03L7/095
H03K5/19 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020204440
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091548
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志津 敦雄
(72)【発明者】
【氏名】河合 孝明
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-104884(JP,A)
【文献】特開2008-258861(JP,A)
【文献】特開昭62-035930(JP,A)
【文献】特開平01-233916(JP,A)
【文献】特開2000-009767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/04-1/14
H03K 5/00-5/02
H03K 5/08-5/1254
H03K 5/15-5/26
H03K 99/00
H03L 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン発振器(10)およびサブ発振器(20)を備える集積回路装置であって、
メインパルス信号を出力する前記メイン発振器と、
サブパルス信号を出力する前記サブ発振器と、
前記メイン発振器および前記サブ発振器と接続され、前記メイン発振器および前記サブ発振器の動作が停止しているか否かを判定する異常判定部(30)と、を備え、
前記異常判定部は、前記メインパルス信号が入力される第1カウンタ(31、311)と、前記サブパルス信号が入力される第2カウンタ(32、312)と、制御部(33、313)と、を有し、
前記第2カウンタには、前記メインパルス信号より周波数が小さい前記サブパルス信号が入力されるようになっており、
前記制御部は、前記第2カウンタの第2カウンタ値に基づいて前記第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力すると共に前記第1カウンタの第1カウンタ値に基づいて前記第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、前記第2カウンタの第2カウンタ値が所定値以上となった場合に前記メイン発振器の動作が停止していると判定し、さらに、前記第2カウンタの第2カウンタ値が判定開始値となった場合に前記第1カウンタの第1カウンタ値がクリア閾値であるか否かを判定し、前記第1カウンタ値が前記クリア閾値以上である場合に前記第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力すると共に前記第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、前記第2カウンタの第2カウンタ値が前記判定開始値より大きい所定値となった場合に前記メイン発振器の動作が停止したと判定する集積回路装置。
【請求項2】
前記異常判定部は、前記第1カウンタよりビット数が多くされ、前記第1カウンタと同じ前記メインパルス信号が入力される第3カウンタ(34)を有し、
前記制御部は、第2カウンタ値が第3カウンタ用所定値となった場合に前記第3カウンタをクリアする第3クリア信号を出力し、前記第3カウンタの第3カウンタ値が第3所定値以上となった場合にデッドロック状態であると判定する請求項1に記載の集積回路装置。
【請求項3】
メイン発振器(10)およびサブ発振器(20)を備える集積回路装置であって、
メインパルス信号を出力する前記メイン発振器と、
サブパルス信号を出力する前記サブ発振器と、
前記メイン発振器および前記サブ発振器と接続され、前記メイン発振器および前記サブ発振器の動作が停止しているか否かを判定する異常判定部(30)と、を備え、
前記異常判定部は、前記メインパルス信号が入力される第1カウンタ(31、311)と、前記サブパルス信号が入力される第2カウンタ(32、312)と、制御部(33、313)と、を有し、
前記第2カウンタには、前記メインパルス信号より周波数が小さい前記サブパルス信号が入力されるようになっており、
前記制御部は、前記第2カウンタの第2カウンタ値に基づいて前記第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力すると共に前記第1カウンタの第1カウンタ値に基づいて前記第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、前記第2カウンタの第2カウンタ値が所定値以上となった場合に前記メイン発振器の動作が停止していると判定し、
前記異常判定部は、前記第1カウンタよりビット数が多くされ、前記第1カウンタと同じ前記メインパルス信号が入力される第3カウンタ(34)を有し、
さらに、前記制御部は、第2カウンタ値が第3カウンタ用所定値となった場合に前記第3カウンタをクリアする第3クリア信号を出力し、前記第3カウンタの第3カウンタ値が第3所定値以上となった場合にデッドロック状態であると判定する集積回路装置。
【請求項4】
前記異常判定部は、第1異常判定部(310)および第2異常判定部(320)を備え、
前記第1異常判定部は、前記第1カウンタ、前記第2カウンタ、および前記制御部を有し、
前記第2異常判定部は、前記サブパルス信号が入力されるエッジ検出部(322)、前記メインパルス信号が入力され、前記エッジ検出部で前記サブパルス信号のエッジが検出されるとクリアされる周波数カウンタ(321)、前記周波数カウンタと接続され、前記エッジ検出部で前記サブパルス信号のエッジが検出されるとクリア前の前記周波数カウンタの周波数カウンタ値を保持するラッチ回路部(323)、および制御部(324)を有し、
前記第2異常判定部の制御部は、前記ラッチ回路部に保持されたカウンタ値と所定の閾値範囲とを比較し、前記カウンタ値が閾値範囲外であると判定した場合、前記メインパルス信号に周波数ズレが発生したと判定する請求項1ないしのいずれか1つに記載の集積回路装置。
【請求項5】
メイン発振器(10)およびサブ発振器(20)を備える集積回路装置であって、
メインパルス信号を出力する前記メイン発振器と、
サブパルス信号を出力する前記サブ発振器と、
前記メイン発振器および前記サブ発振器と接続され、前記メイン発振器および前記サブ発振器の動作が停止しているか否かを判定する異常判定部(30)と、を備え、
前記異常判定部は、前記メインパルス信号が入力される第1カウンタ(31、311)と、前記サブパルス信号が入力される第2カウンタ(32、312)と、制御部(33、313)と、を有し、
前記第2カウンタには、前記メインパルス信号より周波数が小さい前記サブパルス信号が入力されるようになっており、
前記制御部は、前記第2カウンタの第2カウンタ値に基づいて前記第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力すると共に前記第1カウンタの第1カウンタ値に基づいて前記第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、前記第2カウンタの第2カウンタ値が所定値以上となった場合に前記メイン発振器の動作が停止していると判定し、
前記異常判定部は、第1異常判定部(310)および第2異常判定部(320)を備え、
前記第1異常判定部は、前記第1カウンタ、前記第2カウンタ、および前記制御部を有し、
前記第2異常判定部は、前記サブパルス信号が入力されるエッジ検出部(322)、前記メインパルス信号が入力され、前記エッジ検出部で前記サブパルス信号のエッジが検出されるとクリアされる周波数カウンタ(321)、前記周波数カウンタと接続され、前記エッジ検出部で前記サブパルス信号のエッジが検出されるとクリア前の前記周波数カウンタの周波数カウンタ値を保持するラッチ回路部(323)、および制御部(324)を有し、
前記第2異常判定部の制御部は、前記ラッチ回路部に保持されたカウンタ値と所定の閾値範囲とを比較し、前記カウンタ値が閾値範囲外であると判定した場合、前記メインパルス信号に周波数ズレが発生したと判定する集積回路装置。
【請求項6】
前記第2異常判定部の制御部は、前記周波数カウンタの周波数カウンタ値が周波数所定値以上であると判定した場合、前記サブ発振器の処理が所定速度より遅くなったと判定する請求項4または5に記載の集積回路装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1カウンタの第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値となった場合に前記第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、前記第2カウンタの第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値となった場合に前記第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力し、前記第2カウンタ値が前記第1カウンタ用所定値より大きい第2所定値以上となった場合に前記メイン発振器の動作が停止したと判定し、前記制御部は、前記第1カウンタ値が前記第2カウンタ用所定値より大きい第1所定値以上となった場合に前記サブ発振器の動作が停止したと判定し、
前記第1カウンタ用所定値および前記第2カウンタ用所定値は、前記第1カウンタおよび前記第2カウンタが交互にクリアされる値に設定されている請求項3または5に記載の集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振器を有する集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、発振器を有する集積回路装置が提案されている。例えば、特許文献1には、2つの発振器を備え、各発振器から出力されるパルス信号の周波数を所定の閾値範囲と比較し、閾値範囲内にある一方を外部回路に出力する集積回路装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6013221号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現状では、発振器を有する集積回路装置において、発振器の動作停止に関する異常を検出したいという要望がある。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、発振器の動作停止に関する異常を検出できる集積回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1、3、5では、メイン発振器(10)およびサブ発振器(20)を備える集積回路装置であって、メインパルス信号を出力するメイン発振器と、サブパルス信号を出力するサブ発振器と、メイン発振器およびサブ発振器と接続され、メイン発振器およびサブ発振器の動作が停止しているか否かを判定する異常判定部(30)と、を備えている。そして、異常判定部は、メインパルス信号が入力される第1カウンタ(31、311)と、サブパルス信号が入力される第2カウンタ(32、312)と、制御部(33、313)と、を有し、第2カウンタには、メインパルス信号より周波数が小さいサブパルス信号が入力されるようになっており、制御部は、第2カウンタの第2カウンタ値に基づいて第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力すると共に第1カウンタの第1カウンタ値に基づいて第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、第2カウンタの第2カウンタ値が所定値以上となった場合にメイン発振器の動作が停止していると判定する。
さらに、請求項1では、制御部は、さらに、第2カウンタの第2カウンタ値が判定開始値となった場合に第1カウンタの第1カウンタ値がクリア閾値であるか否かを判定し、第1カウンタ値がクリア閾値以上である場合に第1カウンタをクリアする第1クリア信号を出力すると共に第2カウンタをクリアする第2クリア信号を出力し、第2カウンタの第2カウンタ値が判定開始値より大きい所定値となった場合にメイン発振器の動作が停止したと判定する。
請求項3では、異常判定部は、第1カウンタよりビット数が多くされ、第1カウンタと同じメインパルス信号が入力される第3カウンタ(34)を有し、さらに、制御部は、第2カウンタ値が第3カウンタ用所定値となった場合に第3カウンタをクリアする第3クリア信号を出力し、第3カウンタの第3カウンタ値が第3所定値以上となった場合にデッドロック状態であると判定する。
請求項5では、異常判定部は、第1異常判定部(310)および第2異常判定部(320)を備え、第1異常判定部は、第1カウンタ、第2カウンタ、および制御部を有し、第2異常判定部は、サブパルス信号が入力されるエッジ検出部(322)、メインパルス信号が入力され、エッジ検出部でサブパルス信号のエッジが検出されるとクリアされる周波数カウンタ(321)、周波数カウンタと接続され、エッジ検出部でサブパルス信号のエッジが検出されるとクリア前の周波数カウンタの周波数カウンタ値を保持するラッチ回路部(323)、および制御部(324)を有し、第2異常判定部の制御部は、ラッチ回路部に保持されたカウンタ値と所定の閾値範囲とを比較し、カウンタ値が閾値範囲外であると判定した場合、メインパルス信号に周波数ズレが発生したと判定する。
【0007】
これによれば、異常判定部は、第1カウンタおよび第2カウンタを備え、第2カウンタの第2カウンタ値に基づいて第1カウンタ31をクリアすると共に第2カウンタをクリアしている。そして、制御部は、第2カウンタ値が所定値以上である場合にメイン発振器の動作が停止していると判定している。したがって、メイン発振器の動作停止に関する異常を検出できる。また、この構成では、メイン発振器およびサブ発振器と共に、第1カウンタ、第2カウンタ、および制御部を備えればよいため、簡素な構成で発振器の動作停止に関する異常を検出できる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における集積回路装置のブロック図である。
図2】制御部の作動を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態における集積回路装置のブロック図である。
図4】制御部の作動を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態における集積回路装置のブロック図である。
図6】制御部の作動を示すフローチャートである。
図7】第4実施形態における集積回路装置のブロック図である。
図8】サブパルス信号、周波数カウンタ、ラッチ回路部のタイミングチャートである。
図9】閾値範囲を示す模式図である。
図10】第2制御部の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の集積回路装置1は、例えば、自動車等の車両に搭載される部品を駆動制御するために利用されると好適である。
【0012】
本実施形態の集積回路装置1は、図1に示されるように、メイン発振器10、サブ発振器20、異常判定部30、分周回路部40等を有する構成とされている。
【0013】
メイン発振器10およびサブ発振器20は、所定周波数のパルス信号を発振するものである。本実施形態では、メイン発振器10およびサブ発振器20は、9MHzのパルス信号を発振するように構成されている。なお、以下では、メイン発振器10から発振されたパルス信号をメインパルス信号ともいい、サブ発振器20から発振されたパルス信号をサブパルス信号ともいう。
【0014】
メイン発振器10は、異常判定部30と接続されていると共に、被駆動回路部50と接続されている。サブ発振器20は、分周回路部40を介して異常判定部30と接続されている。本実施形態の分周回路部40は、256分周回路部とされている。被駆動回路部50は、例えば、搭載される車種等に応じて処理内容を適宜変更可能なゲートアレイとされている。
【0015】
異常判定部30は、本実施形態では、第1カウンタ31、第2カウンタ32、制御部33等を有する構成とされており、メイン発振器10およびサブ発振器20が動作しているか否かの動作停止に関する異常判定を実行する。
【0016】
第1カウンタ31は、本実施形態では11ビットカウンタで構成されており、メイン発振器10および制御部33と接続されている。第2カウンタ32は、第1カウンタ31よりもビット数の小さいカウンタで構成され、本実施形態では3ビットカウンタとされている。そして、第2カウンタ32は、分周回路部40を介してサブ発振器20と接続されていると共に、制御部33と接続されている。
【0017】
制御部33は、詳細については図示しないが、CPUや、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等の非遷移的実体的記憶媒体で構成される記憶部等を備えたマイクロコンピュータ等で構成される。CPUは、Central Processing Unitの略であり、ROMは、Read Only Memoryの略であり、RAMは、Random Access Memoryの略であり、HDDはHard Disk Driveの略である。記憶部には、第1カウンタ用所定値、第2カウンタ用所定値、第1所定値、および第2所定値等が記憶されている。
【0018】
そして、制御部33は、CPUが記憶部から各種データを読み出してメイン発振器10およびサブ発振器20の動作停止に関する異常判定を行う。具体的には後述するが、制御部33は、第1カウンタ31の第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値であると判定すると、第2カウンタ32をクリアする第2クリア信号を第2カウンタ32に出力する。なお、本実施形態では、例えば、第2カウンタ用所定値が1500とされ、制御部33は、第1カウンタ値が1500であると判定した場合、第2クリア信号を出力する。また、制御部33は、第2カウンタ32の第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値であると判定すると、第1カウンタ31をクリアする第1クリア信号を第1カウンタ31に出力する。本実施形態では、例えば、第1カウンタ用所定値が1とされ、制御部33は、第2カウンタ値が1であると判定した場合、第1クリア信号を出力する。
【0019】
そして、制御部33は、第1カウンタ値および第2カウンタ値に基づき、メイン発振器10およびサブ発振器20の動作停止に関する異常判定を実行する。本実施形態では、制御部33は、第1カウンタ値が第1所定値以上となった場合にサブ発振器20の動作が停止していると判定し、第2カウンタ値が第2所定値以上となった場合にメイン発振器10の動作が停止していると判定する。第1所定値は、第2カウンタ用所定値より大きい値とされ、第2所定値は、第1カウンタ用所定値より大きい値とされている。本実施形態では、制御部33は、第1カウンタ値の最上位ビット(すなわち、MSB)が「1」である場合に第1カウンタ値が第1所定値以上であると判定し、第2カウンタ値の最上位ビットが「1」である場合に第2カウンタ値が第2所定値以上であると判定する。
【0020】
なお、本実施形態では、上記のように、第1カウンタ31は、第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値に達した場合にクリアされ、第2カウンタ32は、第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値に達した場合にクリアされる。そして、メイン発振器10およびサブ発振器20の動作停止に関する異常は、第1カウンタ値が第1所定値以上となった場合にサブ発振器20の動作が停止していると判定され、第2カウンタ値が第2所定値以上となった場合にメイン発振器10の動作が停止していると判定される。このため、第1カウンタ用所定値および第2カウンタ用所定値は、メイン発振器10およびサブ発振器20が正常状態である場合には、第1カウンタ31および第2カウンタ32が相互に順にクリアされるように値が設定されている。
【0021】
以上が本実施形態における集積回路装置1の構成である。次に、上記集積回路装置1における制御部33の作動について、図2を参照しつつ説明する。なお、制御部33は、例えば、被駆動回路部50における所定処理の実行に合わせて下記処理を実行する。
【0022】
制御部33は、ステップS101にて、第1カウンタ値および第2カウンタ値を取得し、ステップS102にて、第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値であるか否かを判定する。そして、制御部33は、第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値であると判定すると(すなわち、ステップS102:YES)、ステップS103にて、第2カウンタ32をクリアする第2クリア信号を出力する。本実施形態では、上記のように、第2カウンタ用所定値が1500とされ、制御部33は、第1カウンタ値が1500であると判定した場合、第2クリア信号を出力する。
【0023】
制御部33は、第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値でないと判定した場合(すなわち、ステップS102:NO)、またはステップS103にて第2クリア信号を送信した後は、ステップS104にて、第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値であるか否かを判定する。そして、制御部33は、第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値であると判定すると(すなわち、ステップS104:YES)、ステップS105にて、第1カウンタ31をクリアする第1クリア信号を出力する。本実施形態では、上記のように、第1カウンタ用所定値が1とされ、制御部33は、第2カウンタ値が1であると判定した場合、第1クリア信号を出力する。
【0024】
制御部33は、第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値でないと判定した場合(すなわち、ステップS104:NO)、またはステップS105にて第1クリア信号を送信した後は、ステップS106にて、第2カウンタ値が第2所定値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、制御部33は、例えば、最上位ビットが「1」である場合に第2カウンタ値が第2所定値以上であると判定する。この場合、制御部33は、例えば、第2カウンタ32がオーバーフローした場合に第2カウンタ値が第2所定値以上であると判定してもよい。なお、第2カウンタ値が第2所定値以上になる場合とは、第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値に到達せずに第2カウンタ32がクリアされない場合であり、メイン発振器10から適切にメインパルス信号が第1カウンタ31に入力されていない場合である。このため、制御部33は、第2カウンタ値が第2所定値以上であると判定した場合には(ステップS106:YES)、ステップS107にて、メイン発振器10が動作停止による異常状態であると判定する。
【0025】
制御部33は、第2カウンタ値が第2所定値未満であると判定した場合(すなわち、ステップS106:NO)、またはステップS107にてメイン発振器10が異常であると判定した場合には、ステップS108にて、第1カウンタ値が第1所定値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、制御部33は、例えば、最上位ビットが「1」である場合に第1カウンタ値が第1所定値以上であると判定する。この場合、制御部33は、例えば、第1カウンタ31がオーバーフローした場合に第1カウンタ値が第1所定値以上であると判定してもよい。なお、第1カウンタ値が第1所定値以上になる場合とは、第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値に到達せずに第1カウンタ31がクリアされない場合であり、サブ発振器20から適切にサブパルス信号が第2カウンタ32に入力されていない場合である。このため、制御部33は、第1カウンタ値が第1所定値以上であると判定した場合には(ステップS108:YES)、ステップS109にて、サブ発振器20が動作停止による異常状態であると判定する。
【0026】
以上説明した本実施形態によれば、異常判定部30は、第1カウンタ31および第2カウンタ32を備え、第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値に達した場合に第2カウンタ32をクリアし、第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値に達した場合に第1カウンタ31をクリアしている。そして、制御部33は、第2カウンタ値が第2所定値以上である場合にメイン発振器10の動作が停止していると判定し、第1カウンタ値が第1所定値以上である場合にサブ発振器20の動作が停止していると判定している。つまり、本実施形態によれば、第1カウンタ値および第2カウンタ値に基づいてメイン発振器10およびサブ発振器20の動作異常を判定できる。また、本実施形態の異常判定は、メインパルス信号およびサブパルス信号のカウンタ値に基づいたアナログ処理が中心であるため、デジタル処理で異常判定を行う場合と比較して、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0027】
(1)本実施形態では、第1カウンタ用所定値を1としている。つまり、第1カウンタ用所定値を0以外としている。このため、第2カウンタ32に第2クリア信号が入力された際に第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値となることを無くすことができる。つまり、サブ発振器20の動作に関わらずに第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値となることを無くすことができる。同様に、第2カウンタ用所定値を0以外としている。このため、第1カウンタ31に第1クリア信号が入力された際に第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値となることを無くすことができる。つまり、メイン発振器10の動作に関わらずに第1カウンタ値が第2カウンタ用所定値となることを無くすことができ、サブ発振器20の動作に関わらずに第2カウンタ値が第1カウンタ用所定値となることを無くすことができる。したがって、判定精度の向上を図ることができる。
【0028】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第1カウンタ31および第2カウンタ32のクリア方法を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
本実施形態の集積回路装置1は、図3に示されるように、第1実施形態の集積回路装置1と同様の構成とされている。
【0030】
制御部33は、上記第1実施形態と同様の構成とされている。記憶部には、判定開始値、クリア閾値、第2所定値が記憶されている。なお、本実施形態では、記憶部に第1カウンタ用所定値、第2カウンタ用所定値、第1所定値は記憶されていない。判定開始値は、第2カウンタ値に基づいて第1カウンタ値とクリア閾値との比較を開始する値であり、例えば、3とされる。クリア閾値は、第2カウンタ32の第2カウンタ値が判定開始値に達する際に想定される第1カウンタ31の第1カウンタ値に基づいて設定され、例えば、1000とされる。第2所定値は、判定開始値より大きい値とされ、例えば、4とされる。
【0031】
そして、制御部33は、第2カウンタ値に基づいてメイン発振器10の動作停止に関する異常判定を実行する。本実施形態では、制御部33は、第1カウンタ値がクリア閾値以上であると判定すると第1クリア信号および第2クリア信号を出力する。また、制御部33は、第2カウンタ値が第2所定値以上となった場合にメイン発振器10の動作が停止していると判定する。なお、本実施形態では、サブ発振器20の動作停止に関する異常判定は実行しない。
【0032】
以上が本実施形態における集積回路装置1の構成である。次に、上記集積回路装置1における制御部33の作動について、図4を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様である処理については説明を簡略化する。
【0033】
制御部33は、ステップS101にて、第1カウンタ値および第2カウンタ値を取得する。そして、制御部33は、ステップS121にて、第2カウンタ値が判定開始値以上であるか否かを判定する。制御部33は、第2カウンタ値が判定開始値未満であると判定すると(すなわち、S121:NO)、処理を終了する。制御部33は、第2カウンタ値が判定開始値以上であると判定した場合(すなわち、S121:YES)、ステップS122にて、第1カウンタ値がクリア閾値以上であるか否かを判定する。そして、制御部33は、第1カウンタ値がクリア閾値以上であると判定すると(すなわち、ステップS122:YES)、ステップS123にて第1クリア信号および第2クリア信号を出力し、処理を終了する。なお、本実施形態では、このように、第2カウンタ値に基づいて第1カウンタ値の判定が開始されるため、第2カウンタ値に基づいて第2クリア信号が出力されるともいえる。
【0034】
一方、制御部33は、第1カウンタ値がクリア閾値未満であると判定すると(すなわち、ステップS122:NO)、ステップS124にて、第2カウンタ値が第2所定値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第2カウンタ値が4以上であるか否かを判定する。なお、第2カウンタ値が第2所定値以上になる場合とは、第1カウンタ値がクリア閾値に到達せずに第2カウンタ32がクリアされない場合であり、メイン発振器10から適切にメインパルス信号が第1カウンタ31に入力されていない場合である。
【0035】
そして、制御部33は、第2カウンタ値が第2所定値以上であると判定した場合には(すなわち、ステップS124:YES)、メイン発振器10が動作停止による異常状態であると判定する。
【0036】
以上説明した本実施形態によれば、第1カウンタ31、第2カウンタ32、および制御部33を備えているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、第3カウンタを備えたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0038】
本実施形態の集積回路装置1では、図5に示されるように、異常判定部30に第3カウンタ34が備えられている。第3カウンタ34は、第1カウンタ31よりもビット数の多いカウンタで構成されており、本実施形態では12ビットカウンタで構成されている。そして、第3カウンタ34は、メイン発振器10と接続されていると共に、制御部33と接続されている。
【0039】
制御部33は、上記第1実施形態と同様の構成とされており、記憶部に、第3カウンタ用所定値および第3所定値が設定されている。そして、制御部33は、第1~第3カウンタ31、32、34の第1~第3カウンタ値を取得し、第1~第3カウンタ値に基づき、メイン発振器10およびサブ発振器20の動作停止に関する異常判定を行う。なお、第3カウンタ用所定値は、第1カウンタ31がクリアされてから第1カウント値が第2カウンタ用所定値に達する前に第2カウンタ32がカウント可能な値とされ、本実施形態では、例えば、4とされる。そして、制御部33は、第2カウンタ値が4であると判定した場合に第3カウンタ値をクリアする第3クリア信号を出力する。また、第3所定値は、第1所定値より大きい値とされている。そして、制御部33は、第3カウンタ値が第3所定値以上であると判定した場合、第1カウンタ31および第2カウンタ32に異常が発生していると判定する。
【0040】
以上が本実施形態における集積回路装置1の構成である。次に、上記集積回路装置1における制御部33の作動について、図6を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様である処理については説明を簡略化する。
【0041】
制御部33は、ステップS110にて、第1~第3カウンタ値を取得する。そして、制御部33は、ステップS102~S105の処理を適宜実行した後、ステップS111にて、第2カウンタ値が第3カウンタ用所定値であるか否かを判定する。そして、制御部33は、第2カウンタ値が第3カウンタ用所定値であると判定すると(すなわち、ステップS111:YES)、ステップS112にて、第3カウンタ34をクリアする第3クリア信号を出力する。本実施形態では、上記のように、第3カウンタ用所定値が4とされ、制御部33は、第2カウンタ値が4であると判定した場合、第3クリア信号を出力する。
【0042】
その後、制御部33は、ステップS106~S108の処理を適宜実行した後、ステップS113にて、第3カウンタ値が第3所定値以上であるか否かを判定する。そして、本実施形態では、制御部33は、例えば、最上位ビットが「1」である場合に第3カウンタ値が第3所定値以上であると判定する。この場合、制御部33は、例えば、第3カウンタ34がオーバーフローした場合に第3カウンタ値が第3所定値以上であると判定してもよい。なお、第3カウンタ値が第3所定値以上になる場合とは、第2カウンタ値が第3カウンタ用所定値に到達せずに第3カウンタ34がクリアされない場合である。
【0043】
ここで、上記のように、制御部33は、第1カウンタ値および第2カウンタ値に基づいて第1カウンタ31および第2カウンタ32を相互にクリアする処理を行う。しかしながら、メイン発振器10およびサブ発振器20が正常であるにも関わらず、何らかの要因により、第1カウンタ31および第2カウンタ32がクリア状態から抜け出せなくなるデッドロック状態となる可能性がある。
【0044】
このため、第3カウンタ値が第3所定値以上であるか否かを判定することにより、第1カウンタ31および第2カウンタ32がデッドロック状態であるか否かを判定することができる。したがって、制御部33は、第3カウンタ値が第3所定値以上であると判定した場合には(ステップS113:YES)、ステップS114にて、第1カウンタ31および第2カウンタ32がデッドロック状態であるとする異常判定を行う。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、第1カウンタ31、第2カウンタ32、および制御部33を備えているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(1)本実施形態では、第3カウンタ34を備えているため、制御部33は、第3カウンタ値に基づいて第1カウンタ31および第2カウンタ32がデッドロック状態であるか否かの異常判定を行うことができる。このため、さらに判定精度の向上を図ることができる。
【0047】
(2)本実施形態では、第3カウンタ34を第1カウンタ31よりもビット数の多いカウンタとし、第3所定値が第1所定値よりも大きくなるようにしている。このため、第1カウント値が第1所定値に達する前に第3カウンタ値が第3所定値に達することを抑制でき、判定精度が低下することを抑制できる。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、メイン発振器10の周波数ズレを検出できるようにしたものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
本実施形態の集積回路装置1は、図7に示されるように、メイン発振器10、サブ発振器20、第1分周回路部41、第2分周回路部42、第3分周回路部43、第1被駆動回路部51、第2被駆動回路部52、異常判定部30等を有している。
【0050】
本実施形態では、第1分周回路部41は、6分周回路部とされ、第2分周回路部42は、3分周回路部とされ、第3分周回路部43は、256分周回路部とされている。第1被駆動回路部51は、例えば、上記第1実施形態の被駆動回路部50と同様の構成のゲートアレイとされ、メイン発振器10と接続されている。第2被駆動回路部52は、例えば、アナログ信号処理回路部521とデジタル信号処理回路部522とを有する構成とされている。そして、アナログ信号処理回路部521は、第1分周回路部41を介してメイン発振器10と接続されており、デジタル信号処理回路部522は、第2分周回路部42を介してメイン発振器10と接続されている。
【0051】
異常判定部30は、第1異常判定部310と、第2異常判定部320とを有する構成とされている。第1異常判定部310は、上記第1実施形態の異常判定部30と同様の構成とされており、第1カウンタ311、第2カウンタ312、および第1制御部313等を有する構成とされている。第1カウンタ311は、第2分周回路部42を介してメイン発振器10と接続されている。第2カウンタ312は、第3分周回路部43を介してサブ発振器20と接続されている。なお、本実施形態では、第1カウンタ311は、5ビットカウンタとされ、第2カウンタ312は、3ビットカウンタとされている。そして、第1制御部313は、上記第1実施形態の制御部33と同様に、第1カウンタ値および第2カウンタ値に基づき、メイン発振器10およびサブ発振器20の動作停止に関する異常判定を実行する。なお、動作停止に関する第1カウンタ用所定値、第2カウンタ用所定値、第1所定値、第2所定値は、第1カウンタ311および第2カウンタ312のビット数に合わせて適宜設定される。
【0052】
第2異常判定部320は、周波数カウンタ321、エッジ検出部322、ラッチ回路部323、および第2制御部324等を有している。本実施形態では、周波数カウンタ321は、8ビットカウンタとされ、第2分周回路部42を介してメイン発振器10と接続されている。
【0053】
エッジ検出部322は、第3分周回路部43を介してサブ発振器20と接続されている。そして、エッジ検出部322は、本実施形態では、第3分周回路部43で分周されたサブパルス信号の立ち上がりエッジを検出する。なお、以下では、エッジ検出部322がサブパルス信号の立ち上がりエッジを検出する例を説明するが、エッジ検出部322は、サブパルス信号の立下りエッジを検出するように構成されていてもよい。
【0054】
ラッチ回路部323は、周波数カウンタ321およびエッジ検出部322と接続されており、第3分周回路部43でサブパルス信号の立ち上がりエッジが検出されると、クリアされる前の周波数カウンタ321のカウンタ値を保持する。
【0055】
第2制御部324は、上記第1実施形態の制御部33と同様に、CPUや記憶部等を有するマイクロコンピュータ等で構成されており、周波数カウンタ321、エッジ検出部322、ラッチ回路部323と接続されている。なお、第2制御部324の記憶部には、メイン発振器10の周波数ズレを判定するための閾値範囲が設定されている。閾値範囲については後述する。また、第2制御部324の記憶部には、サブ発振器20の動作速度に関する周波数閾値が記憶されている。
【0056】
そして、第2制御部324は、エッジ検出部322でサブパルス信号の立ち上がりエッジが検出されると、周波数カウンタ321をクリアするクリア信号を出力すると共に、ラッチ回路部323に保持されたカウンタ値と記憶部に記憶されている範囲閾値とを比較する。第2制御部324は、カウンタ値が範囲閾値内に存在しないと判定した場合には、メイン発振器10に周波数ズレが発生したと判定する。また、第2制御部324は、周波数カウンタ値に基づき、サブ発振器20の動作速度に関する異常判定を行う。
【0057】
次に、第2制御部324の記憶部に記憶される閾値範囲について説明する。
【0058】
まず、本実施形態では、第1カウンタ311および周波数カウンタ321には、第2分周回路部42で3分周されたメインパルス信号が入力される。例えば、本実施形態では、メイン発振器10で生成されるパルス信号の周波数が9MHzであり、メイン発振器10に備えられている調整部によってパルス信号の周波数が9MHz±5%に維持されるとする。この場合、3分周されて第1カウンタ311および周波数カウンタ321に入力されるメインパルス信号は、周波数が2.85~3.15MHzとなり、周期が316.67~350.00nsになる。
【0059】
同様に、本実施形態では、第2カウンタ312およびエッジ検出部322には、256分周されたサブパルス信号が入力される。例えば、本実施形態では、サブ発振器20で生成されるパルス信号の周波数が9MHzであり、サブ発振器20に備えられている調整部によってパルス信号の周波数が9MHz±20%に維持されるとする。この場合、256分周されて第2カウンタ312およびエッジ検出部322に入力されるサブパルス信号は、周波数が0.028~0.042MHzとなり、周期が22.76~34.19μsになる。
【0060】
また、周波数カウンタ321、エッジ検出部322、ラッチ回路部323は、上記のように接続されている。そして、エッジ検出部322では、サブパルス信号の立ち上がりエッジが検出され、周波数カウンタ321は、エッジ検出部322でサブパルス信号の立ち上がりエッジが検出されるとクリアされる。
【0061】
このため、図8に示されるように、周波数カウンタ321では、サブパルス信号の立ち上がりエッジが検出される各期間内において、3分周されたメインパルス信号がカウントされる。具体的には、周波数カウンタ321のカウンタ値は、256分周されたサブパルス信号の周期である22.76~34.19μsの期間に、3分周されたメインパルス信号がカウントされる値となる。そして、ラッチ回路部323では、エッジ検出部322でサブパルス信号の立ち上がりエッジが検出されると、周波数カウンタの周波数カウンタ値を保持する。
【0062】
この場合、3分周されたメインパルス信号の周期が316.67~350.00nsであり、256分周されたサブパルス信号の周期が22.76~34.19μsである。このため、エッジ検出部322でサブパルス信号が検出される間隔の周波数カウンタ321の理想値は、図9に示されるように、65~107となる。したがって、第2制御部324の記憶部には、理想値である65~107が閾値範囲として記憶されている。なお、閾値範囲は、理想値である65~107に対し、さらに、±5%程度のマージンを考慮して設定されてもよい。そして、第2制御部324は、周波数カウンタ値が閾値範囲外にあると判定すると、メイン発振器10に周波数ズレが発生していると判定する。
【0063】
以上が本実施形態における集積回路装置1の構成である。次に、上記集積回路装置1における第2制御部324の作動について、図10を参照しつつ説明する。なお、第1制御部313の作動は、上記第1実施形態の制御部33と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、第1制御部313および第2制御部324は、例えば、第2被駆動回路部52の処理に合わせて下記処理を実行する。この場合、第1制御部313および第2制御部324は、例えば、第2被駆動回路部52のデジタル信号処理回路部522が1つの処理を行う際に下記処理を1回実行する。
【0064】
まず、上記集積回路装置1では、エッジ検出部322でサブパルス信号の立ち上がりエッジが検出されると、その時点の周波数カウンタ値がラッチ回路部323で保持される。このため、第2制御部324は、ステップS201にて、エッジ検出部322でサブパルス信号の立ち上がりが検出されたか否かを判定する。そして、第2制御部324は、立ち上がりエッジが検出されたと判定すると(すなわち、ステップS201:YES)、ステップS202にて、ラッチ回路部323から周波数カウンタ値を取得し、周波数カウンタ321をクリアするクリア信号を出力する。一方、第2制御部324は、立ち上がりエッジが検出されていないと判定した場合には(すなわち、ステップS201:NO)、処理を終了する。
【0065】
第2制御部324は、周波数カウンタ値を取得した後は、ステップS203にて、周波数カウンタ値と閾値範囲とを比較し、周波数カウンタ値が閾値範囲内にあると判定した場合には(すなわち、ステップS203:YES)、メイン発振器10およびサブ発振器20が正常に作動しているため、処理を終了する。一方、第2制御部324は、周波数カウンタ値が閾値範囲外にあると判定した場合(すなわち、ステップS203:NO)、ステップS204にて、メイン発振器10から出力されるメインパルス信号に周波数ズレが発生していると判定する。
【0066】
そして、第2制御部324は、周波数ズレが発生していると判定すると、ステップS205にて、周波数カウンタ値が周波数所定値以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第2制御部324は、例えば、最上位ビットが「1」である場合に周波数カウンタ値が周波数所定値以上であると判定する。この場合、第2制御部324は、例えば、周波数カウンタ321がオーバーフローした場合に周波数カウンタ値が周波数カウンタ値以上であると判定してもよい。なお、周波数カウンタ値が周波数所定値以上になる場合とは、立ち上がりエッジを検出する期間が長くなり過ぎる場合であり、サブ発振器20から適切にサブパルス信号がエッジ検出部322に入力されていない場合である。このため、第2制御部324は、周波数カウンタ値が周波数所定値以上であると判定した場合には(ステップS205:YES)、ステップS206にて、サブ発振器20の動作が極めて遅くなっている(すなわち、所定速度より遅くなっている)ことによる動作速度の異常が発生していると判定する。
【0067】
以上説明した本実施形態によれば、第1カウンタ31、第2カウンタ32、および制御部33を備えているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(1)本実施形態では、第2異常判定部320を備えている。第2異常判定部320は、周波数カウンタ321、エッジ検出部322、ラッチ回路部323、第2制御部324等を備え、第2制御部324は、周波数カウンタのカウンタ値が閾値範囲外であると判定した場合、メインパルス信号に周波数ずれが発生していると判定する。つまり、本実施形態によれば、メイン発振器10の周波数ずれも検出することができる。
【0069】
また、第2異常判定部320は、周波数カウンタ321、エッジ検出部322、ラッチ回路部323、第2制御部324等を備える簡素な構成により、メイン発振器10から出力されるメインパルス信号の周波数ずれを検出できる。このため、第2異常判定部320は、アナログ処理が中心となるため、デジタル処理で異常判定を行う場合と比較して、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0070】
(2)本実施形態では、第2異常判定部320は、上記の構成とされていることにより、周波数カウンタ値に基づいてサブ発振器20の動作速度に関する異常判定を行うこともできる。
【0071】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0072】
例えば、上記各実施形態において、各カウンタのビット数、各カウンタ用所定値、各所定値、分周回路部の構成等は適宜変更可能である。また、上記第3実施形態において、閾値範囲は適宜変更可能である。
【0073】
さらに、上記第3実施形態では、周波数ズレが発生している場合に周波数カウンタ値が周波数所定値以上であるか否かを判定する例について説明した。しかしながら、周波数カウンタ値が周波数所定値であるか否かの判定は、周波数ズレが発生しているか否かに関わらずに行うようにしてもよい。また、上記第3実施形態では、第1異常判定部310にてメイン発振器10およびサブ発振器20の動作停止に関する異常が判定されるため、周波数カウンタ値が周波数所定値であるか否かの判定を行わないようにしてもよい。
【0074】
そして、上記各実施形態を組み合わせることもできる。例えば、上記第2実施形態を上記第3、上記第4実施形態を組み合わせ、制御部33の判定方法を変更するようにしてもよい。また、上記第3実施形態に上記第4実施形態を組み合わせ、第1異常判定部310に第3カウンタ34を備えるようにしてもよい。
【0075】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 メイン発振器
20 サブ発振器
30 異常判定部
31、311 第1カウンタ
32、312 第2カウンタ
33、313 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10