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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車両用ホルダ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240214BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20240214BHJP
   H04M 1/11 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60R11/02 W
B60R7/04 C
H04M1/11 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021017447
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120513
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】向井 貴大
(72)【発明者】
【氏名】波多野 亘
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-118368(JP,A)
【文献】実開平02-005355(JP,U)
【文献】実開昭60-106851(JP,U)
【文献】米国特許第06866328(US,B1)
【文献】特開2019-094027(JP,A)
【文献】特開2002-254983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 7/04
H04M 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内において座席の側方に配置される車両用ホルダ装置であって、
内部に収容空間を区画するケース状をなし、上方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡する物品出入開口と、側方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡するメンテナンス開口と、を有する収容部と、
前記メンテナンス開口を覆う閉状態と、前記メンテナンス開口を開き前記収容部のうち前記収容空間の底部を区画する底壁を露出する開状態と、の間を状態変化するリッドと、を有し、
前記収容部は、前記底壁と、前記収容空間の側部を区画するとともに前記メンテナンス開口が設けられる側壁と、を有する角型をなし、
前記側壁は、前記収容空間を挟んで互いに対面する第1側壁部および第2側壁部を有し、
前記第1側壁部および前記第2側壁部は下方から上方に向けて鉛直方向に交差する傾斜方向に延び、前記第1側壁部は前記第2側壁部に対して前記傾斜方向の先側に位置し、
前記底壁のうち前記第1側壁部側に位置する第1底端部は、前記底壁のうち前記第2側壁部側に位置する第2底端部よりも下方に配置される、車両用ホルダ装置。
【請求項2】
前記収容部は、幅よりも高さの大きな縦型、および/または、厚さよりも幅の大きな薄型である、請求項1に記載の車両用ホルダ装置。
【請求項3】
前記第2側壁部に設けられ、前記収容空間に向けて突出する方向に付勢されているサポート部材を有する、請求項1または請求項2に記載の車両用ホルダ装置。
【請求項4】
前記サポート部材は、前記底壁よりも上方に配置される底支持面を有する、請求項に記載の車両用ホルダ装置。
【請求項5】
前記リッドは、前記収容部に対して逆側に、衝撃吸収構造を有する、請求項1~請求項の何れか一項に記載の車両用ホルダ装置。
【請求項6】
さらに、前記収容部に収容保持されたモバイル端末に給電する無線給電装置を有する、請求項1~請求項の何れか一項に記載の車両用ホルダ装置。
【請求項7】
前記リッドに設けられ、前記収容部に前記モバイル端末が収容保持されていない場合に、前記無線給電装置から給電されて点灯する照明装置を有する、請求項に記載の車両用ホルダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両室内に配置される車両用ホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両室内における座席の側方には、物品を収容保持するための収容部を有する車両用ホルダ装置が配置される場合がある。当該車両用ホルダ装置は、例えば、センターコンソールボックスや、ドアパネルに一体化され得る。また、当該収容部に収容保持される物品としては、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末が例示される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-214087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にはスマートフォンを収容保持するための収容部を有する様々な車両用ホルダ装置が紹介され、当該車両用ホルダ装置の収容部としても様々な形状のものが紹介されている。
【0005】
ところで、車両の走行時等には、車両用ホルダ装置の収容部に外力が作用する。このため、スマートフォン等の物品を安定的に保持するためには、収容部によって物品を多方向から囲い込むことが肝要である。そして、この観点から、車両用ホルダ装置の収容部としてとしては、ケース状をなすものが好適だと考えられる。
【0006】
一方、ケース状をなす収容部は、物品を囲い込むことで物品を安定的の保持できる反面、外界からのアクセスが困難であり、メンテナンス性に劣る問題がある。
つまり、収容部がケース状であれば、当該収容部に硬貨やレシート等の小物を落とした場合に、当該収容空間の底部から小物を拾い上げるために煩雑な作業を要したり、または、小物を拾い上げること自体が困難であったりする。また、当該収容空間の底部に溜まった塵等を除去することも困難である。このため、収容部によって物品を安定的に保持でき、かつ、メンテナンス性にも優れる車両用ホルダ装置が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ケース状をなす収容部を有する車両用ホルダ装置であってメンテナンス性に優れるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の車両用ホルダ装置は、車両室内において座席の側方に配置される車両用ホルダ装置であって、
内部に収容空間を区画するケース状をなし、上方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡する物品出入開口と、側方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡するメンテナンス開口と、を有する収容部と、
前記メンテナンス開口を覆う閉状態と、前記メンテナンス開口を開き前記収容部のうち前記収容空間の底部を区画する底壁を露出する開状態と、の間を状態変化するリッドと、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用ホルダ装置はケース状をなす収容部を有しかつメンテナンス性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の車両用ホルダ装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
図2】実施例1の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図3】実施例1の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図4】実施例2の車両用ホルダ装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
図5】実施例2の車両用ホルダ装置を模式的に表す説明図である。
図6】実施例3の車両用ホルダ装置を上下方向および左右方向に延びる平面で切断した様子を模式的に表す説明図である。
図7】実施例4の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図8】実施例4の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図9】実施例4の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図10】実施例4の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図11】実施例4の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
図12】実施例4の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車両用ホルダ装置は、車両室内において座席の側方に配置されるものであり、収容部およびリッドを有する。
このうち収容部は、内部に収容空間を区画するケース状をなし、上方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡する物品出入開口と、側方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡するメンテナンス開口と、を有する。
リッドは、前記メンテナンス開口を覆う閉状態と、前記メンテナンス開口を開き前記収容部のうち前記収容空間の底部を区画する底壁を露出する開状態と、の間を状態変化するリッドと、を有する。
【0012】
本発明の車両用ホルダ装置における収容部は、内部に収容空間を区画するケース状をなすため、上方に開口する物品出入開口を経て収容空間に収容された物品を、安定的に保持することが可能である。
【0013】
また、収容部は側方に開口するメンテナンス開口を有し、当該メンテナンス開口はリッドにより開閉可能に覆われる。リッドを開状態に状態変化させてメンテナンス開口を開くと、収容部の底壁が露出する。このとき、収容空間の底部に落ち込んだ小物を拾い上げたり、収容空間の底部に溜まった塵等を取り除いたりする作業を容易に行うことが可能である。これにより、本発明の車両用ホルダ装置は優れたメンテナンス性を発揮する。
さらに、リッドを閉状態に状態変化させると、メンテナンス開口はリッドにより覆われる。このため、収容空間に収容保持された物品は、メンテナンス開口側においてはリッドにより支持され得る。したがって、本発明の車両用ホルダ装置は収容部にメンテナンス開口を有し優れたメンテナンス性を発揮するにも拘らず、物品を安定的に収容保持することが可能である。
【0014】
以下、本発明の車両用ホルダ装置をその構成要素毎に説明する。
【0015】
本発明の車両用ホルダ装置は、収容部及びリッドを有する。
収容部は、上記した物品出入開口およびメンテナンス開口を有するとともに内部に収容空間を区画するケース状をなせばよく、その余については特に問わない。但し、本発明の車両用ホルダ装置による優れたメンテナンス性は、収容部が幅よりも高さの大きな縦型、および/または、厚さよりも幅の大きな薄型である場合に、特に顕著である。
【0016】
つまり、収容部が縦型であったり薄型であったりする場合には、収容空間の底部にまでユーザーの手指が届き難く、当該底部に落ち込んだ小型の物品や塵等をユーザーが拾い上げることは非常に困難である。しかし本発明の車両用ホルダ装置によると、収容部がこのような縦型や薄型であったとしても、リッドを開位置に位置変化させれば、メンテナンス開口が車室内に露出し、さらに、当該メンテナンス開口を経て収容空間の底壁が車室内に露出する。したがってユーザーはメンテナンス開口を経て収容空間の底部に容易にアクセスでき、当該底部に落ち込んだ小型の物品等を容易に拾い上げることが可能である。収容部が縦型かつ薄型である場合、本発明の車両用ホルダ装置における当該効果はより一層顕著になる。
【0017】
ここで、収容部の高さとは鉛直方向における収容部の長さを意味し、収容部の厚さとはメンテナンス開口から収容空間方向に向けた収容部の長さを意味する。さらに、収容部の幅とは、高さ方向および厚さ方向に直交する方向における収容部の長さを意味する。なお、これらの方向は、何れも、本発明の車両用ホルダ装置を車両室内に配置したときの方向を意味する。
【0018】
収容部は、物品出入開口およびメンテナンス開口を有する。物品出入開口は収容空間に収容保持すべき物品を出し入れし得る形状であれば良く、その形状は特に限定しない。メンテナンス開口は、ユーザーの手指を差し込み得る形状であれば良く、その形状は特に限定しない。物品出入開口の形状、および、メンテナンス開口の形状の具体例として、矩形、円形、スリット状等の形状を例示できる。
【0019】
リッドは開状態と閉状態との間を状態変化する。
閉状態において、リッドは、収容部のメンテナンス開口を覆う。このとき収容部の収容空間と車両室内とは、リッドによって隔てられる。
開状態において、リッドは、収容部のメンテナンス開口を開き、収容部の底壁、すなわち、収容部のうち収容空間の底部を区画する部分を露出する。換言すると、リッドが開状態に状態変化すると、収容空間と車両室内とを隔てるものがなくなるために、収容空間および当該収容空間の下縁を区画する収容部の底壁が露出する。
【0020】
本発明の車両用ホルダ装置においては、リッドが開状態と閉状態とを状態変化する機構は特に限定しない。リッドは、開状態と閉状態との間を自在に状態変化可能であっても良いが、開状態および/または閉状態にロックされるのが好ましい。この場合、本発明の車両用ホルダ装置は、リッドを開状態および/または閉状態にロックするロック機構を有すれば良い。当該ロック機構としてはプッシュロック機構等の既知の機構を採用することができる。
【0021】
例えば、リッドは、収容部に枢支され、収容部に対して回動することによって、開状態と閉状態との間を状態変化しても良い。この場合、リッドの回動方向は特に限定されず、リッドの回動軸は、例えば、既述した高さ方向(または鉛直方向)、幅方向、後述する傾斜方向、または、後述する第1底端部と第2底端部とをむすぶ方向の何れに沿って設けても良い。勿論、これ以外の方向に沿って回動軸を設けても良い。
【0022】
または、リッドは、収容部に対してスライド可能に保持され、収容部に対してスライドすることによって、開状態と閉状態との間を状態変化しても良い。この場合のリッドのスライド方向は特に限定されないが、当該スライド方向として、車両進行方向に沿った方向を例示できる。
【0023】
さらには、リッドは、収容部に対して脱着可能に取り付けられ、収容部に取り付けられたり収容部から取り外されたりすることによって、開状態と閉状態との間を状態変化しても良い。
【0024】
収容部の形状は、角型のケース状であっても良い。この場合、収容部は、収容空間の底部を区画する底壁に加えて、収容空間の側部を区画する側壁を有する。そして、メンテナンス開口は、側壁に設けられる。
【0025】
この種の収容部における側壁の延びる方向は、鉛直方向に交差する方向であるのが好ましい。この場合には、物品は、傾斜した状態で収容空間に収容保持される。これにより、物品を収容空間から取り出し易くなる利点がある。
【0026】
また、この種の収容部における底壁の延びる方向は、水平方向に交差する方向であるのが好ましい。この場合には、収容空間の底部に落ち込んだ小型の物品や塵等が、重力に因って、底壁の特定の位置に集まる。これにより、収容空間の底部に落ち込んだ小型の物品や塵等を容易に回収できるために、本発明の車両用ホルダ装置のメンテナンス性がより一層向上する利点がある。
【0027】
上記した形状の収容部における側壁として、具体的には、収容空間を挟んで互いに対面する第1側壁部および第2側壁部を有するものを例示することができる。当該第1側壁部および第2側壁部は、下方から上方に向けて鉛直方向に交差する傾斜方向に延び、このうち、第1側壁部は、第2側壁部に対して当該傾斜方向の先側に位置すれば良い。そして、底壁のうち第1側壁部側に位置する部分である第1底端部は、同じく底壁のうち第2側壁部側に位置する部分である第2底端部よりも、下方に配置されれば良い。
【0028】
さらに、上記した第1側壁部および第2側壁部の傾斜方向は、車両進行方向の後側に向く方向であるのが好ましい。第1側壁部および第2側壁部がこのような方向に傾斜することに因り、収容部から物品を取り出す方向は車両進行方向の後側となる。
【0029】
ここで、車両の急制動時には、保持部の収容空間に収容保持された物品は、慣性に因り車両進行方向の先側に飛び出そうとする。しかし、第1側壁部および第2側壁部の傾斜方向を、車両進行方向の後側に向く方向とすることで、急制動時においても物品が収容部から飛び出すことを抑止し、物品を収容空間に安定的に収容保持することが可能である。
【0030】
さらに、本発明の車両用ホルダ装置は、物品を収容空間に安定的に保持するためのサポート部材を有するのが好ましい。当該サポート部材は、収容空間に向けて突出する方向に付勢されるのが好ましい。サポート部材は、収容部に設けても良いしリッドに設けても良いが、動作の安定性を考慮すると、可動側の部材であるリッドよりも固定側の部材である収容部に設けるのが好ましい。より具体的には、サポート部材は、収容部の側壁に設けるのが好ましい。このようなサポート部材は、側壁から収容空間に向けて突出することで、モバイル端末等の物品の側面を押圧し、これにより当該物品を安定的に保持することが可能である。
【0031】
本発明の車両用ホルダ装置は、サポート部材を一つのみ有しても良いし、複数有しても良い。
本発明の車両用ホルダ装置が一つのみのサポート部材を有する場合、サポート部材と側壁とで物品を挟み込むことにより、物品を安定的に保持することが可能である。また、本発明の車両用ホルダ装置が複数のサポート部材を有する場合、当該複数のサポート部材によって物品を挟み込むことにより、物品を安定的に保持することが可能である。
なお、本発明の車両用ホルダ装置が複数のサポート部材を有する場合、各サポート部材は互いに間隔を置いて配置され、各々異なる方向に向けて突出するのが好ましい。
【0032】
サポート部材が一つのみである場合には、本発明の車両用ホルダ装置における収容部の内部がシンプルであるために、当該収容部に塵等が溜まり難い。これにより、サポート部材が一つのみである場合には、本発明の車両用ホルダ装置のメンテナンス性がより向上する利点がある。また、この場合には、部品点数の増大を抑制することにより本発明の車両用ホルダ装置の製造コストを低減できる利点もある。
【0033】
収容部が上記した角型のケース状をなす場合、サポート部材は、第2側壁部に設けられるのが好ましい。この場合、サポート部材の突出方向は、当該第2側壁部と対面する第1側壁部方向となり、収容空間からの物品の取り出し方向と概略一致する。これにより、ユーザーは、サポート部材により押圧された状態の物品を収容空間から取り出す操作を、快適に行うことが可能である。なおこの場合、物品の取り出し操作の快適性を考慮すると、収容部は一つのみのサポート部材を有するのが好ましい。
【0034】
サポート部材は、側壁から収容空間に向けて突出することで、モバイル端末等の物品の側面を押圧するだけであっても良いが、当該物品の側面を押圧するとともに底面を支持しても良い。この場合、サポート部材に、物品の底面を支持するための底支持面を設ければ良い。本発明の車両用ホルダ装置は、物品の側面を押圧するためのサポート部材と物品の底面を支持するためのサポート部材とを別々に有しても良いが、収容部の内部をシンプルにして車両用ホルダ装置のメンテナンス性を高めるためには、一つのサポート部材によって物品の側面を押圧しかつ物品の底面を支持するのが好適である。
【0035】
サポート部材の底支持面は、収容部の底壁よりも上方に配置されるのが好ましい。この場合、重力に因り塵等がサポート部材よりも下側に落ち込んで、収容部の底壁に集められるため、塵等を容易に回収することが可能である。
【0036】
本発明の車両用ホルダ装置におけるリッドは、既述したように開状態と閉状態との間を状態変化するものであれば良く、開状態および/または閉状態にある時に何らかの機能を有するものであっても良い。例えば、リッドは、閉状態にある時にニーパッドとして機能しても良い。
【0037】
リッドがニーパッドとして機能する場合、当該リッドは衝撃吸収構造を有するのが良い。ニーパッドとしてのリッドは乗員の膝が当たる部分であるために、乗員の快適性を重視すると、当該衝撃吸収構造は、自身が弾性的に変形することに因って衝撃を吸収する、クッション性を有するのが好ましい。また、事故等の衝撃発生時において乗員保護を図ることを重視すると、衝撃吸収構造は、自身が崩壊することに因って衝撃を吸収する、崩壊性を有するのが好ましい。衝撃吸収構造は、座席に面する位置にあるのが好適であり、リッドのうち収容部に対して逆側の位置にあるのが好適である。
【0038】
なお、衝撃吸収構造を乗員に対して適宜適切な位置に配置するために、衝撃吸収構造はリッドに対して位置変化可能であるのが好ましい。例えば、衝撃吸収構造がリッドに対してスライド可能であれば、リッドでメンテナンス開口を覆いつつ、衝撃吸収構造の位置をリッドに対して適宜調整することが可能である。
【0039】
本発明の車両用ホルダ装置がモバイル端末を収容保持するものである場合、本発明の車両用ホルダ装置は当該モバイル端末に給電するための給電装置を有するのが好ましい。
当該給電装置は無線であっても良いし有線であっても良いが、塵等の除去を容易にしてメンテナンス性の向上を図るためには、給電装置として無線のものを選択するのが好ましい。
【0040】
無線給電装置は収容部およびリッドの何れに配置しても良い。車両用の電源から無線給電装置に給電するためのリード線等を設けることを考慮すると、無線給電装置は収容部の側壁に配置するのが望ましい。
さらに、特に収容部が薄型である場合には、当該側壁のうちメンテナンス開口に対面し、かつ、既述した第1側壁部および第2側壁部に挟まれる部分である第3側壁部に、無線給電装置を配置するのが好適である。
【0041】
本発明の車両用ホルダ装置は、夜間や曇天下でのメンテナンス作業に対応するために、照明装置を有するのが好ましい。当該照明装置は、収容部に配置しても良いしリッドに配置しても良いが、塵等は主として収容部に溜まるために、作業性を考慮すると、収容部を避けたリッドに配置するのが好ましい。
【0042】
当該照明装置への給電は無線で行っても良いし有線で行っても良いが、リッドに照明装置を配置する場合には、リッドの状態変化に対応すべく、無線での給電を行うのが好ましい。この場合、リッドに対面する側壁の第3側壁部に無線給電装置を配置するのが好ましく、当該無線給電装置によってモバイル端末への給電と照明装置への給電との両方を行うのが望ましい。
【0043】
側壁の第3側壁部に無線給電装置を配置し、当該無線給電装置によってモバイル端末への給電と照明装置への給電との両方を行う場合、照明装置への給電時にはモバイル端末への給電を停止し、モバイル端末への給電時には照明装置への給電を停止するのが好ましい。具体的には、収容部にモバイル端末が収容保持されていない場合に、無線給電装置から照明装置への給電を行うのが好ましい。
【0044】
この場合、収容部にモバイル端末が収容保持されていない場合には、自動的に、照明装置への給電が行われ、照明装置が点灯するのが好ましい。そして、収容部にモバイル端末が収容保持されると、モバイル端末への給電が自動的に開始するとともに照明装置への給電が停止して、照明装置が消灯するのが好ましい。
【0045】
収容部にモバイル端末が収容保持されている場合には、モバイル端末に阻まれるために、ユーザーはメンテナンス作業を行い難い。このため、収容部にモバイル端末が収容保持されている場合には、照明装置が消灯していても構わない。また、収容部にモバイル端末が収容保持されていない場合に照明装置を点灯すること、すなわち、収容部にモバイル端末が収容保持されている場合には照明装置を消灯することに因り、車両の消費電力増大を抑制できる利点もある。
【0046】
本発明の車両用ホルダ装置は、車両室内において座席の側方に配置される。このような本発明の車両用ホルダ装置は、センターコンソールボックスやドアパネル等の各種の車両用内装部品に一体化することができる。
なお、本明細書の記載事項から、以下の発明を抽出することが可能である。
【0047】
車両室内において座席の側方に配置される車両用内装部品であって、
内部に収容空間を区画するケース状をなし、上方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡する物品出入開口と、側方に開口し前記収容空間と前記車両室内とを連絡するメンテナンス開口と、を有する収容部と、
前記メンテナンス開口を覆う閉状態と、前記メンテナンス開口を開き前記収容部のうち前記収容空間の底部を区画する底壁を露出する開状態と、の間を状態変化するリッドと、を有する車両用ホルダ装置を具備する、車両用内装部品。
【0048】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用ホルダ装置を説明する。
【0049】
(実施例1)
実施例1の車両用ホルダ装置は、モバイル端末92を収容保持するためのものであり、車両の車両用内装部品であるセンターコンソールボックスに一体化されたものである。実施例1の車両用ホルダ装置を分解した様子を模式的に表す説明図を図1に示し、実施例1の車両用ホルダ装置の動作を模式的に表す説明図を図2および図3に示す。以下、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を指すものとする。なお、上下方向は鉛直方向と一致し、左右方向は車両の運転席側-助手席側方向と一致する。前後方向は、車両進行方向の先側-後側方向と一致する。
【0050】
図1に示すように、実施例1の車両用ホルダ装置1は、収容部2、リッド3、サポート部材4、サポート支持部材5、サポート付勢部材6、および、無線給電装置70を有し、センターコンソールボックス90の左側壁90Lに一体化されている。実施例1の車両用ホルダ装置1は車両左側に図略の運転席を有する所謂左ハンドル車であり、センターコンソールボックス90および車両用ホルダ装置1は、運転席の右側方に配置される。
【0051】
より具体的には、収容部2は、内部に収容空間20を区画する箱状をなし、センターコンソールボックス90の左側壁90Lの一部からなる。収容部2は、収容空間20の底部を区画する底壁21と、収容空間20の側部を区画する側壁22と、を有する角型をなし、上方に開口する物品出入開口28と、左側方に開口するメンテナンス開口29とを有する。メンテナンス開口29は、収容部2の側壁22のうちの左側部分に設けられている。
なお、収容部2は、幅すなわち前後方向の長さよりも高さすなわち上下方向の長さの大きな縦型であり、かつ、厚さすなわち左右方向の長さよりも幅の大きな薄型でもある。
【0052】
収容部2の側壁22は、第1側壁部22f、第2側壁部22sおよび第3側壁部22tで構成されている。
第1側壁部22fと第2側壁部22sとは前後方向に離れて配置されている。このうち第1側壁部22fは収容空間20よりも後側に配置され、第2側壁部22sは収容空間20よりも前側に配置されている。第1側壁部22fおよび第2側壁部22sは、収容空間20を挟んで互いに対面するといい得る。
第3側壁部22tは、第1側壁部22fおよび第2側壁部22sに挟まれ、収容空間20よりも右側に配置されている。当該第3側壁部22tは、メンテナンス開口29に対面している。
【0053】
第1側壁部22fおよび前記第2側壁部22sは、鉛直方向に交差し前方かつ下方から後方かつ上方に向けて傾斜する方向に延びる。当該方向は、実施例1の車両用ホルダ装置1における傾斜方向である。第1側壁部22fは第2側壁部22sの後側に配置されているため、第1側壁部22fは第2側壁部22sに対して当該傾斜方向の先側に位置するといい得る。
【0054】
底壁21のうち後側の端部は、底壁21のうち第1側壁部22f側に位置する端部ともいい得る。当該端部を第1底端部21fと称する。また、底壁21のうち前側の端部は、底壁21のうち第2側壁部22s側に位置する端部ともいい得る。当該端部を第2底端部21sと称する。第1底端部21fは、第2底端部21sよりも下方に配置されている。つまり底壁21は、前方かつ上方から後方かつ下方に向けて傾斜している。このため、収容部2の内部すなわち収容空間20に入り込んだ小型の物品や塵等は、底壁21に案内されて、後方かつ下方に集められる。
【0055】
収容部2は、上記したように、物品出入開口28およびメンテナンス開口29を有する。このうち物品出入開口28は、収容空間20の上側において、収容空間20と車両室内91とを連絡する。このためユーザーは、物品出入開口28を通じて車両室内91から収容空間20に物品を出し入れすることが可能である。またメンテナンス開口29は、収容空間20の側方において、収容空間20と車両室内91とを連絡する。このためユーザーは、当該メンテナンス開口29を通じて車両室内91から収容部2の内部すなわち収容空間20にアクセスすることが可能である。
【0056】
リッド3は、略板状をなすリッド本体部30と、当該リッド本体部30の下端に一体に設けられている凸状の回動軸31と、を有する。回動軸31は、収容部2の底壁21に設けられている孔状の枢支部27に枢支される。リッド3は、回動軸31を中心として回動することで、図2に示す閉状態と図3に示す開状態との間を状態変化する。
【0057】
図2に示す閉状態において、リッド3はメンテナンス開口29を覆い、収容空間20と車両室内91とを隔てる。また、図3に示す開状態において、リッド3はメンテナンス開口29を開き、収容空間20と車両室内91と連絡する。
【0058】
図1に示すように、第2側壁部22sにはスリット状のサポート出入開口2323が設けられている。第2側壁部22sの前方かつ外方には、当該サポート出入開口23に対面する位置に、略箱状をなすサポート支持部材5が取り付けられている。
サポート支持部材5には略L字の板状をなすサポート部材4が支持されている。サポート支持部材5の内部と収容空間20とは、サポート出入開口23を通じて連絡している。このためサポート部材4は、サポート出入開口23を通じて、収容空間20の内部と、収容空間20の外部かつサポート支持部材5の内部とを出入りする。
【0059】
サポート支持部材5とサポート部材4との間には、サポート付勢部材6が介在している。サポート付勢部材6は、圧縮状態で付勢力を蓄積するつる巻きばねからなる。サポート部材4は、サポート付勢部材6によって、収容空間20に向けて突出する方向、より具体的には後方かつ上方に付勢されている。
【0060】
既述したように、サポート部材4は略L字の板状をなす。より具体的には、サポート部材4は上下に延びる側支持面40sと、前後に延びる底支持面40bとを有し、側支持面40sを後方に向け底支持面40bを上方に向ける。
【0061】
収容部2の右方かつ外方において、第3側壁部22tには無線給電装置70が取り付けられている。無線給電装置70は図略の車両用電源から給電され、かつ、図略の送電コイルを有する電磁誘導方式の給電装置である。無線給電装置70の送電コイル(図略)は軸方向を左右に向ける。図2に示されるように、モバイル端末92を収容空間20に収容保持しているときに、図1に示す無線給電装置70の送電コイル(図略)と、モバイル端末92に設けられている受電コイル(図略)との間で誘電磁束が生じることで、モバイル端末92が充電される。
【0062】
図2に示すように、実施例1の車両用ホルダ装置1における物品出入開口28は、リッド3が閉状態にあるときにも車両室内91と収容空間20とを連絡する。したがって、通常の使用時においては、リッド3を閉状態に維持しつつ、物品出入開口28を通じてモバイル端末92を収容空間20に出し入れすることができる。リッド3は、収容部2の第3側壁部22tとともにモバイル端末92を支持するための支持壁としても機能する。このため、このときモバイル端末92は収容空間20に安定的に収容保持される。
【0063】
収容空間20に落とした小銭等の小型の物品や、収容空間20に溜まった塵等を回収する場合には、リッド3を図2に示す閉状態から図3に示す開状態に状態変化させる。すると、収容部2の底壁21がメンテナンス開口29を通じて露出する。これにより、ユーザーは、メンテナンス開口29を通じて収容空間20にアクセスでき、当該収容空間20の底部に落ち込んだ小型の物品等を容易に回収することが可能である。
【0064】
図1および図3に示すように、実施例1の車両用ホルダ装置1はサポート部材4を有し、当該サポート部材4は、図1に示すサポート付勢部材6によって、後方かつ上方に付勢される。
図3に示すように収容空間20にモバイル端末92が収容保持されている場合、サポート部材4は、側支持面40sによってモバイル端末92の側面92sを後方かつ上方に押圧する。またサポート部材4は、底支持面40bによってモバイル端末92の底面92bを支持する。これにより、実施例1の車両用ホルダ装置1は、サポート部材4の側支持面40sと収容部2の第1側壁部22fとによってモバイル端末92を挟み込み、かつ、サポート部材4の底支持面40bによってモバイル端末92の底面92bを支持する。このため、実施例1の車両用ホルダ装置1は、モバイル端末92を収容空間20にさらに安定的に収容保持できる。
【0065】
実施例1の車両用ホルダ装置1は無線給電装置70を有する。当該無線給電装置70は収容部2の第3側壁部22tに取り付けられており、無線給電装置70の送電コイルは、収容空間20に収容保持されたモバイル端末92の受電コイルに対応する位置に配置される。このため、収容空間20にモバイル端末92を収容保持すると、無線給電装置70からモバイル端末92への給電が行われる。
【0066】
実施例1の車両用ホルダ装置1によると、サポート部材4によってモバイル端末92の側面92sを押圧することで、収容空間20内のモバイル端末92の位置を適宜適切にコントロールできる。これにより、無線給電装置70の送電コイルとモバイル端末92の受電コイルとの位置をも適宜適切にコントロールでき、モバイル端末92に対して効率よく充電を行うことが可能である。また、サポート部材4によってモバイル端末92の底面92bを支持することによって、収容空間20内のモバイル端末92の位置をさらに精密にコントロールできる。これにより、モバイル端末92に対してさらに効率よく充電を行い得る利点がある。
【0067】
実施例1の車両用ホルダ装置1におけるリッド3は下側に位置する回動軸31を中心として回動するため、図3に示すように、開状態にあるときにも、リッド3はメンテナンス開口29の下側に配置される。換言すると、開状態において、リッド3はメンテナンス開口29の下側にあてがわれる。これにより、収容空間20の底部に落ち込んだ小型の物品等は、リッド3を開状態に状態変化させたときにも、当該リッド3によって堰き止められる。つまりこのときリッド3は、小型の物品等が収容空間20の外に転がり出ることを抑制し得る。このため、実施例1の車両用ホルダ装置1によると、小型の物品等を、回収時に紛失することなく信頼性高く回収できる。
【0068】
(実施例2)
実施例2の車両用ホルダ装置1は、収容部2へのリッド3の取り付け機構、および、リッド3の形状以外は、実施例1の車両用ホルダ装置1と概略同じものである。
実施例2の車両用ホルダ装置1を分解した様子を模式的に表す説明図を図4に示し、実施例2の車両用ホルダ装置1を模式的に表す説明図を図5に示す。
以下、実施例1の車両用ホルダ装置1との相違点を中心に、実施例2の車両用ホルダ装置1を説明する。
【0069】
図4に示すように、実施例2の車両用ホルダ装置1におけるリッド3は、衝撃吸収構造38を有する。具体的には、実施例2の車両用ホルダ装置1におけるリッド3は、略板状のベース体32と、当該ベース体32よりもやや大型のパッド体33と、ベース体32とパッド体33との間に介在するスライドピン34と、を有する。パッド体33は、弾性変形可能な衝撃吸収構造38を有する。
【0070】
ベース体32は、前後方向に延び左方に開口するガイドレール32gを有する。
スライドピン34は、板ばねからなる荷重体34Lと、枠状のスライド体34sと、ピン状をなす固定体34fと、を有する、スライド体34sはベース体32のガイドレール32gに取り付けられ、ガイドレール32g内を前後にスライドする。固定体34fは、荷重体34Lとスライド体34sとを固定する。荷重体34Lはパッド体33の右面に取り付けられる。これにより、パッド体33は、ベース体32に対して前後方向にスライドする(図5)。
【0071】
ここで、荷重体34Lは、圧縮され付勢力を蓄積した状態でスライド体34sとパッド体33との間に介在し、パッド体33を左方向に押圧する。したがってパッド体33をスライドさせる際には、荷重体34Lによる適切な荷重が生じ、パッド体33の意図せぬスライドを抑制する。換言すると、荷重体34Lはパッド体33用のブレーキとして機能する。
【0072】
パッド体33は、弾性変形可能な衝撃吸収構造38を有する。当該衝撃吸収構造38はリッド3の左側部分を構成し、収容部2に対して逆側に位置するとともに、図略の座席に対面する。したがって、当該パッド体33はニーパッドとして機能する。パッド体33がベース体32に対してスライドすることにより、乗員の膝の位置に応じてパッド体33を位置調整することが可能である。
【0073】
ベース体32は、略板状をなすリッド本体部30と、当該リッド本体部30の下端に一体に設けられているリッド側係合部3eと、を有する。リッド側係合部3eは、収容部2の底壁21に設けられている収容部側係合部2eに脱着可能に係合する。リッド3によりメンテナンス開口29を覆いリッド側係合部3eを収容部側係合部2eに係合させることで、リッド3を閉状態にすることができる。また、リッド側係合部3eと収容部側係合部2eとの係合を解除し、リッド3を収容部2から取り外すことで、リッド3を開状態にすることができる。
【0074】
実施例2の車両用ホルダ装置1においても、実施例1の車両用ホルダ装置1と同様に、リッド3を開状態に状態変化させることで、収容部2の底壁21がメンテナンス開口29を通じて露出する。これにより、ユーザーは、メンテナンス開口29を通じて収容空間20にアクセスでき、当該収容空間20の底部に落ち込んだ小型の物品等を容易に回収することが可能である。
実施例1の車両用ホルダ装置1では、リッド3を収容部2から取り外すことにより、リッド3を開状態から閉状態に状態変化させる。これにより、実施例2の車両用ホルダ装置1は、ニーパッドとして機能する比較的大型のパッド体33を有するリッド3を用いるにも拘らず、メンテナンス開口29を十分に開くことが可能である。
【0075】
(実施例3)
実施例3の車両用ホルダ装置1は、照明装置50を有すること以外は、実施例2の車両用ホルダ装置1と概略同じものである。
実施例3の車両用ホルダ装置1を上下方向および左右方向に延びる平面で切断した様子を模式的に表す説明図を図6に示す。
以下、実施例2の車両用ホルダ装置1との相違点を中心に、実施例3の車両用ホルダ装置1を説明する。
【0076】
図6に示すように、実施例3の車両用ホルダ装置1は、リッド3に設けられた照明装置50を有する。照明装置50は、光源51を収容空間20に向け、無線給電装置70の送電コイル71に対応する位置に、照明用受電コイル52を有する。このため、照明装置50は無線給電装置70からの給電を受けて点灯する。これにより、収容空間20は夜間や曇天下等の光量の少ない環境においても明るく照らされ、ユーザーは夜間等においても、収容空間20の底部に落ち込んだ小型の物品等を容易に回収できる。
【0077】
ここで、実施例3の車両用ホルダ装置1における照明装置50は、収容部2に図略のモバイル端末92が収容保持されていない場合に、無線給電装置70から給電されて点灯する。換言すると、収容部2にモバイル端末92が収容保持されている場合には、無線給電装置70から照明装置50への給電は停止し、照明装置50は消灯する。これにより、車両の消費電力増大を抑制することが可能である。
【0078】
(実施例4)
実施例4の車両用ホルダ装置1は、収容部2に2つのサポート出入開口23が設けられている点、2つのサポート部材4を有する点、および、サポート部材4の形状やその動作機構において、実施例1の車両用ホルダ装置1とは異なり、その余においては実施例1の車両用ホルダ装置1と概略同じものである。
実施例4の車両用ホルダ装置1の動作を模式的に表す説明図を図7図12に示す。なお、図7および図8は収容空間20にモバイル端末92を収容保持していないときの車両用ホルダ装置1を表す。図9および図10は収容空間20にモバイル端末92を差し込んでいるときの車両用ホルダ装置1を表す。図11および図12は収容空間20にモバイル端末92を収容保持しているときの車両用ホルダ装置1を表す。なお、図7、9、11は実施例4の車両用ホルダ装置1を左側からみた様子を模式的に表し、図8、10、12は実施例4の車両用ホルダ装置1を前後方向および上下方向に延びる平面で切断した様子を模式的に表す。
以下、実施例1の車両用ホルダ装置1との相違点を中心に、実施例4の車両用ホルダ装置1を説明する。
【0079】
図7および図8に示すように、実施例4の車両用ホルダ装置1における収容部2は、2つのサポート出入開口23を有する。一方のサポート出入開口23である第1サポート出入開口23fは、第1側壁部22fから底壁21にわたって延びている。他方のサポート出入開口23である第2サポート出入開口23sは、第2側壁部22sから底壁21にわたって延びている。第1サポート出入開口23fと第2サポート出入開口23sとは前後対称である。
【0080】
実施例4の車両用ホルダ装置1は、2つのサポート部材4を有する。一方のサポート部材4である第1サポート部材4fは、収容空間20の後方に配置され、収容部2の第1サポート出入開口23fを通じて収容空間20に出入りする。他方のサポート部材4である第2サポート部材4sは、収容空間20の前方に配置され、収容部2の第2サポート出入開口23sを通じて収容空間20に出入りする。第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sは前後対称である。
【0081】
第1サポート部材4fは、第1脚部41fおよび第1支持部42fを有する。図8に示すように、第1脚部41fは、上下方向に延びる側支持面40sと、前後方向に延びる底支持面40bと、を有する略L字の板状をなす。図7に示す第1支持部42fは、第1脚部41fの上側部分から右側に延び屈曲してさらに前側に延びる、略L字状をなす。第1支持部42fには、上前側から下後側に向けて傾斜する第1長孔43fが設けられている。第1長孔43fには、収容部2の第3側壁部22tに取り付けられているピン状の第1サポート支持部44fが挿入されている。これにより、第1サポート部材4fは収容部2に対して上方かつ前方、および、下方かつ後方にスライド可能である。
【0082】
第2サポート部材4sは、第2脚部41sおよび第2支持部42sを有する。図8に示すように、第2脚部41sは、上下方向に延びる側支持面40sと、前後方向に延びる底支持面40bと、を有する略L字の板状をなす。図7に示す第2支持部42sは、第2脚部41sの上側部分から右側に延び屈曲してさらに後側に延びる、略L字状をなす。第2支持部42sには、上後側から下前側に向けて傾斜する第2長孔43sが設けられている。当該第2長孔43sには、収容部2の第3側壁部22tに取り付けられているピン状の第2サポート支持部44sが挿入されている。これにより、第2サポート部材4sは収容部2に対して上方かつ後方、および、下方かつ前方にスライド可能である。
【0083】
さらに、実施例4の車両用ホルダ装置1はリンク機構80およびロック機構88を有する。リンク機構80はラックアンドピニオン機構によるものであり、第3側壁部22tに枢支されている第2ピニオン81sと、当該第2ピニオン81sに噛み合う第1ピニオン81fを有するオイルダンパ82と、第1サポート部材4fの第1支持部42fに設けられ第1ピニオン81fに噛み合う第1ラック83fと、第2サポート部材4sの第2支持部42sに設けられ第2ピニオン81sに噛み合う第2ラック83sと、を有する。
【0084】
第1サポート部材4fが上方かつ前方にスライドすると、第1ラック83fに噛み合う第1ピニオン81fが図7中の時計回りに回転する。すると、第1ピニオン81fに噛み合う第2ピニオン81sが図7中の反時計回りに回転し、第2ピニオン81sに噛み合う第2ラックを有する第2サポート部材4sが上方かつ後方にスライドする。このとき第1サポート部材4fと第2サポート部材4sとは互いに近づく。
【0085】
第1サポート部材4fが下方かつ後方にスライドすると、第1ラック83fに噛み合う第1ピニオン81fが図7中の反時計回りに回転する。すると、第1ピニオン81fに噛み合う第2ピニオン81sが図7中の時計回りに回転し、第2ピニオン81sに噛み合う第2ラックを有する第2サポート部材4sが下方かつ前方にスライドする。このとき第1サポート部材4fと第2サポート部材4sとは互いに遠ざかる。
【0086】
第1サポート部材4fの第1支持部42fと、収容部2の第3側壁部22tとの間にはサポート付勢部材6が介在している。サポート付勢部材6は、伸長して付勢力を蓄積するつる巻きばねからなり、第1サポート部材4fを上方かつ前方に付勢する。上記したように第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sの動作は、リンク機構80によってリンクしているため、サポート付勢部材6は第2サポート部材4sを上方かつ後方に間接的に付勢する。
換言すると、サポート付勢部材6は、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sを互いに近づく方向に付勢する。
【0087】
ロック機構88は、第1サポート部材4fの第1支持部42fに取り付けられたロックピン88pと、収容部2の第3側壁部22tに取り付けられたロック溝部88gと、を有するプッシュロック機構からなる。
ロック機構88は、第1サポート部材4fのおよび/または第2サポート部材4sを下側に押圧することによって、ロックし、またはロック解除する。ロック機構88は、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sを、図7に示すように、互いに離れた状態でロックできる。
実施例4の車両用ホルダ装置1の動作を以下に説明する。
【0088】
まず、図7および図8に示すように、収容空間20にモバイル端末92を収容保持せず、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sが互いに離れた状態でロックされている場合、収容空間20には、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sが僅かに露出している。
【0089】
このとき物品出入開口28から収容空間20にモバイル端末92を差し込むと、先ず、モバイル端末92の底面92bが第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sを押圧する。
【0090】
ここで、図8に示すように、第1サポート部材4fの上部には、上側かつ後側から下側かつ前側に向けて傾斜する傾斜面45fが設けられている。また、第2サポート部材4sの上部には、上側かつ前側から下側かつ後側に向けて傾斜する傾斜面45sが設けられている。このため、モバイル端末92によって下側に押圧された第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sには、下方かつ互いに離れる方向に向けた力が作用し、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sは下方かつ互いに離れる方向にスライドする(図9図10)。
また、このとき、第1サポート部材4fの位置変化に伴って、ロック機構88のロックが解除される。
【0091】
ロック機構88のロック解除に伴い、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sは、サポート付勢部材6の付勢力によって、上方かつ互いに近づく方向にスライドする(図11図12)。そして、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sが上方かつ互いに近づく方向にスライドすることにより、モバイル端末92の側面92sが第1サポート部材4fの側支持面40sおよび第2サポート部材4sの側支持面40sに押圧され、モバイル端末92が第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sによって挟み込まれる。また、モバイル端末92の底面92bが第1サポート部材4fの底支持面40bと第2サポート部材4sの底支持面40bとによって支持される。
これにより、実施例4の車両用ホルダ装置1はモバイル端末92を安定的に保持できる。
【0092】
なお、このとき、第1サポート部材4fの底支持面40bおよび第2サポート部材4sの底支持面40bは、収容部2の底壁21よりも上方に配置される。これにより、収容空間20の底部に落ち込んだ塵等は、重力に因り、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sよりもさらに下方に移動し、収容部2の底壁21に集められる。このため、ユーザーは塵等を容易に回収することが可能である。つまり、実施例4の車両用ホルダ装置1は優れたメンテナンス性を発揮する。
実施例4の車両用ホルダ装置1においては、第1サポート部材4fおよび第2サポート部材4sの間に隙間sが設けられている。当該隙間sは、収容部2の底壁21に至る塵等の移動経路として機能し得る。このことによっても、実施例4の車両用ホルダ装置1は優れたメンテナンス性を発揮する。
【0093】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0094】
1:車両用ホルダ装置 2:収容部
20:収容空間 21:底壁
21f:第1底端部 21s:第2底端部
22:側壁
22f:第1側壁部 22s:第2側壁部
28:物品出入開口 29:メンテナンス開口
3:リッド 38:衝撃吸収構造
4:サポート部材 40b:底支持面
50:照明装置 70:無線給電装置
91:車両室内
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12