(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
H04B 17/309 20150101AFI20240214BHJP
H04B 17/382 20150101ALI20240214BHJP
H04B 17/23 20150101ALI20240214BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H04B17/309
H04B17/382
H04B17/23
H04L27/26 113
(21)【出願番号】P 2021039040
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】錦織 明
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0194985(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0316422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0080427(US,A1)
【文献】特開2004-187089(JP,A)
【文献】特開平08-162982(JP,A)
【文献】特開2011-055097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/309
H04B 17/382
H04B 17/23
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数帯でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置で使用することを推奨する推奨周波数を表示部で表示する表示システムであって、
前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値未満となる前記電波の周波数を前記推奨周波数と判定し、前記推奨周波数を前記表示部に表示させる制御部と、
前記周波数帯に設定される複数の占有周波数帯を予め記憶する記憶部と、
を備え
、
前記制御部は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数を推奨しない非推奨周波数と判定し、更に、所定数以上の前記非推奨周波数を含む前記占有周波数帯の全ての周波数を前記非推奨周波数と判定し、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数以外の周波数を前記推奨周波数と判定する、表示システム。
【請求項2】
所定の周波数帯でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置で使用することを推奨する推奨周波数を表示部で表示する表示システムであって、
前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値未満となる前記電波の周波数を前記推奨周波数と判定し、前記推奨周波数を前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数を推奨しない非推奨周波数と判定し、更に、2つの前記非推奨周波数の差が所定差以下である場合に、2つの前記非推奨周波数の間の全ての周波数を前記非推奨周波数と判定し、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数以外の周波数を前記推奨周波数と判定する、表示システム。
【請求項3】
所定の周波数帯でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置で使用することを推奨する推奨周波数を表示部で表示する表示システムであって、
前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値未満となる前記電波の周波数を前記推奨周波数と判定し、前記推奨周波数を前記表示部に表示させる制御部と、
を備え、
前記測定部は、前記電波の周波数及び電力レベルを前記設定時間の間測定する処理を周期的に行い、
前記制御部は、
電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数を推奨しない非推奨周波数と判定するとともに、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数以外の前記周波数帯の周波数を前記推奨周波数と判定し、前記非推奨周波数と前記推奨周波数とを異なる表示形態で前記表示部に表示させ、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数の使用頻度を前記表示部に表示させる、表示システム。
【請求項4】
所定の周波数帯でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置で使用することを推奨する推奨周波数を表示部で表示する表示システムであって、
前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部と、
前記測定部によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値未満となる前記電波の周波数を前記推奨周波数と判定し、前記推奨周波数を前記表示部に表示させる制御部と、
ユーザ
が非推奨周波数の頻度閾値を入力するための
頻度閾値入力操作部
と、
を備え、
前記測定部は、前記電波の周波数及び電力レベルを前記設定時間の間測定する処理を周期的に行い、
前記制御部は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数のうち、使用頻度が前記頻度閾値以上となる周波数を前記非推奨周波数と判定し、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数以外の周波数を前記推奨周波数と判定
し、前記非推奨周波数と前記推奨周波数とを異なる表示形態で前記表示部に表示させる、表示システム。
【請求項5】
請求項1
~4のいずれか1項に記載の表示システムであって、
ユーザが前記設定時間を入力するための
設定時間入力操作部を備える、表示システム。
【請求項6】
請求項1
~5のいずれか1項に記載の表示システムであって、
ユーザが前記電力閾値を入力するための
電力閾値入力操作部を備える、表示システム。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれか1項に記載の表示システムであって、
前記制御部は、前記無線装置に対して、前記推奨周波数を使用周波数として設定する、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の周波数帯の周波数を表示する表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボット等を使用する産業設備において、マスターと複数のスレーブとが無線でデータの送受信を行うFA用ネットワークが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に開放された2.4GHzの周波数帯(ISMバンド)を利用してデータ通信を行う無線装置が増えている。このため、2.4GHzの周波数帯で電波干渉が発生する可能性も高くなってきている。
【0005】
産業設備を管理するユーザは、産業設備に新たに無線装置を設ける場合に、既に使用されている周波数を避けて無線装置の使用周波数を設定する必要がある。従って、複数のチャネルが使用されている場合、ユーザは使用されていない周波数、即ち空いている周波数を調べる必要がある。このような作業はユーザにとって煩わしい。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ユーザが所定の周波数帯の中で空いている周波数を容易に知ることができるようにする表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、所定の周波数帯でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置で使用することを推奨する推奨周波数を表示部で表示する表示システムであって、前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部と、前記測定部によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値未満となる前記電波の周波数を前記推奨周波数と判定し、前記推奨周波数を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様は、所定の周波数帯でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置で使用することを推奨しない非推奨周波数を表示部で表示する表示システムであって、前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部と、前記測定部によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値以上となる前記電波の周波数を前記非推奨周波数と判定し、前記非推奨周波数を前記表示部に表示させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザは所定の周波数帯の中で空いている周波数を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】表示システムが使用される産業用無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態による表示システムを示すブロック図である。
【
図4】表示システムが行う第1表示処理を示すフローチャートである。
【
図5】電力レベルの測定結果を周波数毎に示す図である。
【
図6】第1表示処理において表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【
図7】第1表示処理において表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【
図8】第1表示処理において表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【
図9】表示システムが行う第2表示処理を示すフローチャートである。
【
図10】電力レベルの測定結果を周波数毎に示す図である。
【
図11】第2表示処理において表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【
図12】表示システムが行う第3表示処理を示すフローチャートである。
【
図13】表示システムが行う第4表示処理を示すフローチャートである。
【
図14】周期的に行われた電力レベルの測定結果を周波数毎に示す図である。
【
図15】第4表示処理において表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明に係る表示システムについて実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[1 産業用無線通信システム10]
図1は、表示システム18が使用される産業用無線通信システム10の構成を示す図である。産業用無線通信システム10には、1つのコンピュータ12と、複数のベース無線装置14と、複数のリモート無線装置16と、表示システム18とが備えられる。1つのコンピュータ12と複数のベース無線装置14と表示システム18は有線(例えばフィールドバス20)又は無線(例えば近距離無線通信等)で通信自在に接続される。1つのベース無線装置14には、複数のリモート無線装置16が同期接続される。ベース無線装置14毎に複数のリモート無線装置16が同期接続されることで、複数のネットワーク22が構成される。
【0013】
コンピュータ12は、産業設備の監視制御を行い得る。コンピュータ12は、例えば、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)によって構成されるが、これに限定されるものではない。コンピュータ12は、入出力インターフェース(不図示)を用いて他装置との間で通信を行い得る。
【0014】
ベース無線装置14、即ち、マスター無線装置は、入出力インターフェース(不図示)又は第1の通信部(不図示)を用いてコンピュータ12及び表示システム18との間で通信を行い得る。又は、ベース無線装置14は、2.4GHzの周波数帯で無線通信を行う第2の通信部(不図示)を用いてリモート無線装置16との間で通信を行い得る。
【0015】
リモート無線装置16、即ち、スレーブ無線装置は、産業設備を構成する複数の機器24(
図1参照)の各々に備えられる。機器24としては、センサ、バルブ等が挙げられるが、これに限定されるものではない。リモート無線装置16は、2.4GHzの周波数帯で無線通信を行う通信部(不図示)を用いてベース無線装置14との間で通信を行い得る。なお、
図1では、1つのリモート無線装置16に対して1つの機器24が設けられる例が示されるが、1つのリモート無線装置16に対して複数の機器24が設けられても良い。
【0016】
ベース無線装置14とリモート無線装置16との間では、周波数ホッピング方式の通信が行われる。即ち、ベース無線装置14とリモート無線装置16との間では、予め決められたホッピング周期でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信が行われる。
【0017】
[2 表示システム18]
図2は、本実施形態による表示システム18を示すブロック図である。表示システム18は、例えばパーソナルコンピュータ、又は、モバイル端末(タブレット型端末とスマートフォン等)によって構成される。パーソナルコンピュータ又はモバイル端末は、有線又は無線で他装置との間で通信を行い得る。
図1は、パーソナルコンピュータによって構成される表示システム18が、フィールドバス20で他装置と接続される状態を示す。なお、表示システム18は、パーソナルコンピュータ等で構成される代わりに、ベース無線装置14に設けられても良い。また、表示システム18は、複数の装置に跨って設けられても良い。例えば、表示システム18は、パーソナルコンピュータ又はモバイル端末と、ベース無線装置14に跨って設けられても良い。この場合、パーソナルコンピュータ又はモバイル端末と、ベース無線装置14とは有線又は無線で互いに通信を行い得る。また、表示システム18は、パーソナルコンピュータと周波数測定装置(周波数カウンタ、スペクトルアナライザ等)によって構成されても良い。
【0018】
表示システム18は、操作部30と、演算部32と、記憶部34と、表示部36と、入出力インターフェース38と、受信部40とを備える。以下では、表示システム18がパーソナルコンピュータである場合の実施形態の説明をする。なお、操作部30と、演算部32と、記憶部34と、表示部36と、入出力インターフェース38と、受信部40は、複数の装置に跨って設けられても良い。例えば、パーソナルコンピュータが操作部30と、表示部36とを備え、ベース無線装置14が演算部32と、記憶部34と、表示部36と、受信部40とを備えても良い。
【0019】
操作部30は、例えばキーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル及びマイクロホンの少なくとも1つによって構成される。操作部30は、ユーザが表示システム18にデータ及び指示を入力するためのヒューマンマシンインターフェースである。操作部30によって入力されたデータは、記憶部34で記憶される。
【0020】
演算部32は、CPU等のプロセッサ、即ち、処理回路によって構成される。演算部32は、表示システム18の全体の制御を司る。演算部32は、記憶部34に記憶されているプログラムを実行することによって測定部42及び制御部44として機能する。測定部42は、無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを測定する。制御部44は非推奨周波数52(
図5等)と推奨周波数54(
図5等)とを判定し、各々を表示部36に表示させる。非推奨周波数52というのは、2.4GHzの周波数帯のうちの使用されている周波数のことをいう。推奨周波数54というのは、2.4GHzの周波数帯のうちの使用されていない周波数のことをいう。なお、演算部32の少なくとも一部が、ASIC、FPGA等の集積回路によって実現されるようにしても良い。また、制御部44の少なくとも一部が、ディスクリートデバイスを含む電子回路によって構成されるようにしても良い。なお、測定部42は、周波数測定装置によって構成されても良いい。
【0021】
記憶部34は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリによって構成される。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。揮発性メモリは、例えばデータ等を記憶する。不揮発性メモリは、例えばプログラム、テーブル、マップ等を記憶する。記憶部34の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ、集積回路等に備えられていても良い。
【0022】
記憶部34の不揮発性メモリは、周波数情報46を記憶する。例えば、周波数情報46は、2.4GHzの周波数帯に割り当てられるチャネルの番号(チャネル番号)と、チャネルに設定される22MHz毎に区切られた占有周波数帯の情報(中心周波数と上限周波数と下限周波数)とを対応付けた情報である。例えば、通信規格がIEEE802.11bである無線LANの場合、
図3に示されるように、周波数情報46は、1ch~14chのチャネル番号と各々のチャネルの占有周波数帯とを対応付ける。他の無線規格についても同様である。なお、本実施形態の不揮発性メモリは、周波数情報46として、IEEE802.11bである無線LANのチャネルと占有周波数帯を記憶する。なお、2.4GHzの周波数帯で使用されるチャネルの数は国によって独自に定められる場合がある。周波数情報46は、産業用無線通信システム10が設けられる国に合わせて設定される。
【0023】
表示部36は、例えば液晶ディスプレイ等のモニタによって構成される。表示部36は、制御部44から出力される表示指令に応じて画像50(
図6等)を表示する。例えば、表示部36は、非推奨周波数52及び推奨周波数54を含む画像50を表示する。
【0024】
入出力インターフェース38は、フィールドバス接続を実現するためのインターフェース(例えばコネクタ、モデム等)によって構成される。
【0025】
受信部40は、例えばアンテナ及び通信モジュールによって構成される。受信部40は、産業設備が設置される空間を伝搬する電波を受信する。
【0026】
[3 推奨周波数54及び非推奨周波数52の表示処理]
[3.1 第1表示処理]
図4は、表示システム18が行う第1表示処理を示すフローチャートである。
図5は、電力レベルの測定結果を周波数毎に示す図である。
図6~
図8は、第1表示処理において表示部36が表示する画像50の一例を示す図である。ユーザは、産業設備に新たに無線装置を設ける場合に、表示システム18を用いて使用されていない周波数を調べる。この際、ユーザは、操作部30を用いて設定時間や電力閾値等のデータの入力操作を行う。操作部30は、ユーザの入力操作に応じて、設定時間及び電力閾値等のデータを記憶部34に出力する。記憶部34は、操作部30から出力されたデータを記憶する。なお、記憶部34が予め設定時間と電力閾値を記憶していても良い。ユーザが操作部30で所定操作を行うと、表示システム18は以下の第1表示処理を開始する。
【0027】
ステップS1において、受信部40は、産業設備が設けられる空間を伝播する電波を受信する。測定部42は、受信部40が受信した電波の周波数及び電力レベルを、入力された設定時間の間測定する。測定が終了すると、処理はステップS2に移行する。
【0028】
ステップS2において、制御部44は、測定部42の測定結果に基づいて、電力が電力閾値以上となる電波の周波数と、電力閾値未満となる電波の周波数とを識別する。制御部44は、電力が電力閾値以上となる電波の周波数を非推奨周波数52と判定し、電力が電力閾値未満となる電波の周波数を推奨周波数54と判定する。
図5に示される例では、周波数が2404MHzと2456MHzと2457MHzである電波の電力レベルが電力閾値(Vth)以上である。
図5に示される例において、制御部44は、2404MHzと2456MHzと2457MHzを非推奨周波数52と判定し、それ以外の周波数を推奨周波数54と判定する。ステップS2が終了すると、処理はステップS3に移行する。
【0029】
ステップS3において、制御部44は、非推奨周波数52と推奨周波数54とを区別して表示部36に表示させる。表示部36は、制御部44から出力される表示指令に応じて、例えば
図6に示される画像50を表示する。画像50には、横方向に2403MHz~2481MHzの各周波数を並べ、縦方向に非推奨周波数52と推奨周波数54とを区別して示すグラフが示される。
図6の画像50では、2403MHz~2481MHzの周波数帯のうち、2404MHzと2456MHzと2457MHzを除く周波数が推奨周波数54として実線で表示される。個々の推奨周波数54の帯域幅は1MHzである。一方、2404MHzと2456MHzと2457MHzは非推奨周波数52として破線で表示される。
【0030】
図6に示されるように、表示部36は、一例として、非推奨周波数52を破線で表示し、推奨周波数54を実線で表示する。しかし、表示部36は、非推奨周波数52と推奨周波数54の色を変えて表示しても良い。又は、表示部36は、非推奨周波数52と推奨周波数54を数値で表示しても良い。
【0031】
表示部36は、非推奨周波数52と推奨周波数54を異なる表示形態で表示しても良い。例えば、
図7で示されるように、表示部36は、非推奨周波数52を縦軸のプラス側に突出する凸部60にして表示するとともに、推奨周波数54を平坦部62にして表示しても良い。逆に、
図8で示されるように、表示部36は、推奨周波数54を縦軸のプラス側に突出する凸部60にして表示するとともに、非推奨周波数52を平坦部62にして表示しても良い。この場合、表示部36は、
図7に示される画像50と、
図8に示される画像50とを切り替えて表示しても良い。この画像50の切り替えは、操作部30で行われる操作によって行われても良い。
【0032】
第1表示処理によれば、産業設備で使用されていない周波数が表示部36に表示される。このため、ユーザは所定の周波数帯、例えば2.4GHzの周波数帯の中で空いている周波数を容易に知ることができる。
【0033】
[3.2 第2表示処理]
使用される周波数は刻々と変化するため、第1表示処理のステップS1の測定のタイミングによって、測定される周波数が異なる場合がある。そこで、第2表示処理は、チャネルに対応する占有周波数帯の中に所定数以上の非推奨周波数52(電力レベルが電力閾値以上)が存在する場合に、そのチャネルに対応する占有周波数帯に含まれる全ての周波数を非推奨周波数52として表示するというものである。これにより、産業設備で既に使用されている周波数帯に含まれる周波数を推奨周波数54と誤判定することを防止することができる。
【0034】
図9は、表示システム18が行う第2表示処理を示すフローチャートである。
図10は、電力レベルの測定結果を周波数毎に示す図である。
図11は、第2表示処理において表示部36が表示する画像50の一例を示す図である。
図9に示されるステップS11及びステップS12の処理は、
図4に示されるステップS1及びステップS2の処理と同じである。このため、以下では第2表示処理が第1表示処理と異なるステップS13~ステップS15の処理の説明をする。
【0035】
ステップS13において、制御部44は、記憶部34に記憶される周波数情報46を読み出す。そして、制御部44は、ステップS12で判定した非推奨周波数52と、周波数情報46で示されるチャネルに対応付けられた占有周波数帯との関係の有無を判定する。例えば、制御部44は、個々の占有周波数帯に含まれる非推奨周波数52の数を判定する。そして、制御部44は、所定数の非推奨周波数52を含む占有周波数帯の有無を判定する。所定数は記憶部34に予め記憶されていても良いし、ユーザが設定しても良い。所定数の非推奨周波数52を含む占有周波数帯がある場合(ステップS13:YES)、処理はステップS14に移行する。一方、所定数の非推奨周波数52を含む占有周波数帯がない場合(ステップS13:NO)、処理はステップS15に移行する。
【0036】
ステップS14において、制御部44は、所定数の非推奨周波数52を含む占有周波数帯に含まれる全ての周波数を非推奨周波数52と判定する。周知のとおり、2401MHz~2483MHzの周波数帯に割り当てられる1ch~13chの各チャネルは、1MHz毎に区分され、22の周波数から構成される。
図10に示される例では、2chの占有周波数帯(2406MHz~2428MHz)に含まれる周波数のうち、18の周波数の電力レベルが電力閾値以上となっている。仮に、所定数として18未満の数値が設定されている場合、制御部44は、2chの占有周波数帯に含まれる全ての周波数を非推奨周波数52と判定する。ステップS14が終了すると、処理はステップS15に移行する。
【0037】
ステップS15において、制御部44は、非推奨周波数52と推奨周波数54とを区別して表示部36に表示させる。表示部36は、制御部44から出力される表示指令に応じて、例えば、
図11に示される画像50を表示する。
図11の画像50では、2403MHz~2481MHzの周波数帯のうち、2chの占有周波数帯(2406MHz~2428MHz)と2457MHzを除く周波数が推奨周波数54として実線で表示される。一方、2chの占有周波数帯(2406MHz~2428MHz)と2457MHzは非推奨周波数52として破線で表示される。
【0038】
第2表示処理によれば、あるチャネルが使用されている場合に、そのチャネルの占有周波数帯に含まれる一部の周波数が測定時に検出されなくても、その占有周波数帯に含まれる全ての周波数を非推奨周波数52と判定することが可能となる。従って、産業設備で既に使用されている周波数を推奨周波数54と誤判定することを防止することができる。
【0039】
[3.3 第3表示処理]
第3表示処理は、第2表示処理を簡易にしたものである。第3表示処理は、2つの非推奨周波数52の差が所定差(MHz)以下である場合、2つの非推奨周波数52の間の全ての周波数を非推奨周波数52として表示するというものである。
【0040】
図12は、表示システム18が行う第3表示処理を示すフローチャートである。
図12に示されるステップS21、ステップS22の処理は、
図4に示されるステップS1、ステップS2の処理と同じである。このため、以下では第3表示処理が第2表示処理と異なるステップS23~ステップS25の処理の説明をする。
【0041】
ステップS23において、制御部44は、複数の非推奨周波数52が存在する場合に、周波数の差が所定差以下となる2つの非推奨周波数52の有無を判定する。なお、所定差は記憶部34に予め記憶されていても良いし、ユーザが設定しても良い。周波数の差が所定差以下となる2つの非推奨周波数52がある場合(ステップS23:YES)、処理はステップS24に移行する。一方、周波数の差が所定差以下となる2つの非推奨周波数52がない場合(ステップS23:NO)、処理はステップS25に移行する。
【0042】
ステップS24において、制御部44は、周波数の差が所定差以下となる2つの非推奨周波数52の間の全ての周波数を非推奨周波数52と判定する。ステップS24が終了すると、処理はステップS25に移行する。
【0043】
ステップS25において、制御部44は、非推奨周波数52と推奨周波数54とを区別して表示部36に表示させる。表示部36は、制御部44から出力される表示指令に応じて、非推奨周波数52と推奨周波数54とを区別して表示する。
【0044】
第3表示処理によれば、2つの非推奨周波数52の差が所定差以下である場合に、2つの非推奨周波数52の間の全ての周波数を非推奨周波数52と判定する。従って、産業設備で既に使用されている周波数を推奨周波数54と誤判定することを防止することができる。
【0045】
[3.4 第4表示処理]
図13は、表示システム18が行う第4表示処理を示すフローチャートである。
図14は、周期的に行われた電力レベルの測定結果を周波数毎に示す図である。
図15は第4表示処理において表示部36が表示する画像50の一例を示す図である。ユーザは、第1~第3表示処理と同様に、操作部30を用いて各種のデータの入力操作を行う。なお、第4表示処理特有のデータとして、測定回数の最大値Nmaxと頻度閾値がある。操作部30は、ユーザが入力した最大値Nmax及び頻度閾値等のデータを記憶部34に出力する。ユーザが操作部30で所定操作を行うと、表示システム18は以下の第4表示処理を開始する。
【0046】
ステップS31において、測定部42は、カウント数Nを0にする。ステップS32において、測定部42は、
図4のステップS1と同様に、受信部40が受信した電波の周波数及び電力レベルを、入力された設定時間の間測定する。ステップS33において、測定部42は、カウント数Nに1を加算する。ステップS34において、測定部42は、カウント数Nが最大値Nmax以上である否かを判定する。カウント数Nが最大値Nmax以上である場合(ステップS34:YES)、処理はステップS35に移行する。一方、カウント数Nが最大値Nmax以上でない場合(ステップS34:NO)、処理はステップS32に戻る。つまり、第4表示処理では、ステップS32の処理がユーザによって設定された回数だけ行われる。この際、ステップS32の処理は周期的に行われる。また、n回目の測定とn+1回目の測定の間隔は20[μs]~5[ms]程度である。記憶部34は、測定毎に測定結果を保存する。
【0047】
ステップS35において、制御部44は、記憶部34からステップS32の各測定結果を読みだす。そして、制御部44は、電力レベルが電力閾値以上となる電波の周波数のうち、使用頻度が頻度閾値以上となる周波数を非推奨周波数52と判定し、2.4GHzの周波数帯に含まれ且つ非推奨周波数52以外の周波数を推奨周波数54と判定する。詳細を以下で説明する。
【0048】
図14は、X軸を周波数とし、Y軸を電力レベルとし、Z軸を時間とする。Z軸の時間というのは、1回目のステップS32の測定開始からNmax回目のステップS32の測定終了までの経過時間に相当する。
図14は、電力レベルが電力閾値以上となる電波の周波数の電力レベルのみを示す。この例では、周波数f1の使用頻度は5回であり、周波数f2の使用頻度は2回であり、周波数f3の使用頻度は4回である。例えば、頻度閾値として3回が設定された場合、周波数f1の使用頻度(5回)と周波数f3の使用頻度(4回)は頻度閾値以上である。この場合、制御部44は、周波数f1と周波数f3を非推奨周波数52と判定し、それ以外の周波数を推奨周波数54と判定する。ステップS35が終了すると、処理はステップS36に移行する。
【0049】
ステップS36において、制御部44は、非推奨周波数52と推奨周波数54とを表示部36に表示させる。更に、制御部44は、周波数に使用頻度を付加して表示させる。表示部36は、制御部44から出力される表示指令に応じて、例えば
図15に示される画像50を表示する。
図15の画像50には、非推奨周波数52と推奨周波数54とが区別して表示される。非推奨周波数52は、使用頻度の情報(使用頻度多)とともに表示される。更に、推奨周波数54のうちの一部周波数(周波数f2)は、使用頻度の情報(使用頻度少)とともに表示される。
【0050】
制御部44は、ベース無線装置14に対して、推奨周波数54を使用周波数として設定することも可能である。推奨周波数54が複数ある場合、制御部44は、使用頻度が最も少ない周波数を設定しても良いし、任意の周波数を設定しても良い。
【0051】
なお、表示システム18は、使用頻度を百分率で表示することもできる。この場合、制御部44は、周波数毎に電波の電力レベルが電力閾値以上となる回数をカウントする。更に、制御部44は、ステップS36において、周波数毎にカウントした回数を総測定回数(=Nmax)で除算した値を使用頻度(%)として表示部36に表示させる。
【0052】
第4表示処理によれば、ユーザは、産業設備で既に使用されている周波数の使用頻度を知ることができる。また、ユーザは、産業設備で既に使用されている周波数のうち、使用頻度が多い周波数を避けて周波数の設定をすることができる。
【0053】
[4 周波数の設定]
ユーザは、操作部30を操作して、ベース無線装置14を指定するとともに、表示部36で表示された推奨周波数54の中から任意の周波数を設定することができる。制御部44は、ユーザが選択したベース無線装置14に対してユーザが選択した周波数を送信する。ベース無線装置14は、その周波数を用いて無線通信を行う。
【0054】
[5 実施形態から得られる技術的思想]
上記実施形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0055】
本発明の第1の態様は、所定の周波数帯(例えば2.4GHzの周波数帯)でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置(ベース無線装置14及びリモート無線装置16)で使用することを推奨する推奨周波数54を表示部36で表示する表示システム18であって、前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部42と、前記測定部42によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値未満となる前記電波の周波数を前記推奨周波数54と判定し、前記推奨周波数54を前記表示部36に表示させる制御部44と、を備える。
【0056】
上記構成によれば、使用されていない周波数が表示部36に表示されるため、ユーザは所定の周波数帯、例えば2.4GHzの周波数帯の中で空いている周波数を容易に知ることができる。
【0057】
本発明の第1の態様において、ユーザが前記設定時間を入力するための操作部30を備えても良い。
【0058】
上記構成によれば、ユーザは、産業設備の稼働状況に応じて適切な設定時間を設定することができる。例えば、産業設備で無線通信が頻繁に行われる場合は設定時間を短くしても良いが、無線通信があまり行われない場合は設定時間を長くすると良い。
【0059】
本発明の第1の態様において、ユーザが前記電力閾値を入力するための操作部30を備えても良い。
【0060】
上記構成によれば、ユーザは、産業設備の電波状況に応じて適切に電力閾値を設定することができる。例えば、電波の強度が強い場合は電力閾値を高くし、電波の強度が低い場合は電力閾値を低くすると良い。
【0061】
本発明の第1の態様において、前記周波数帯に設定される複数の占有周波数帯を予め記憶する記憶部34を備え、前記制御部44は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数を推奨しない非推奨周波数52と判定し、更に、所定数以上の前記非推奨周波数52を含む前記占有周波数帯の全ての周波数を前記非推奨周波数52と判定し、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数52以外の周波数を前記推奨周波数54と判定しても良い。
【0062】
所定の通信規格のチャネルが使用されている場合、制御部44は、そのチャネルの占有周波数帯に含まれる全ての周波数を非推奨周波数52とすることが好ましい。上記構成によれば、あるチャネルが使用されている場合に、そのチャネルの占有周波数帯に含まれる一部の周波数が測定時に検出されなくても、その占有周波数帯に含まれる全ての周波数を非推奨周波数52と判定することが可能となる。従って、既に使用されている周波数を推奨周波数54と誤判定することを防止することができる。
【0063】
本発明の第1の態様において、前記制御部44は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数を推奨しない非推奨周波数52と判定し、更に、2つの前記非推奨周波数52の差が所定差以下である場合に、2つの前記非推奨周波数52の間の全ての周波数を前記非推奨周波数52と判定し、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数52以外の周波数を前記推奨周波数54と判定しても良い。
【0064】
電力レベルが電力閾値以上となる2つの電波の周波数が近接している場合、2つの周波数の間の周波数に使用されている可能性がある。上記構成によれば、2つの非推奨周波数52の差が所定差以下である場合に、2つの非推奨周波数52の間の全ての周波数を非推奨周波数52と判定する。従って、既に使用されている周波数を推奨周波数54と誤判定することを防止することができる。
【0065】
本発明の第1の態様において、前記制御部44は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数を推奨しない非推奨周波数52と判定するとともに、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数52以外の前記周波数帯の周波数を前記推奨周波数54と判定し、前記非推奨周波数52と前記推奨周波数54とを異なる表示形態で前記表示部36に表示させても良い。
【0066】
本発明の第1の態様において、前記測定部42は、前記電波の周波数及び電力レベルを前記設定時間の間測定する処理を周期的に行い、前記制御部44は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数の使用頻度を前記表示部36に表示させても良い。
【0067】
上記構成によれば、ユーザが既に使用されている周波数の使用頻度を知ることができる。
【0068】
本発明の第1の態様において、ユーザが前記非推奨周波数の頻度閾値を入力するための操作部30を備え、前記測定部42は、前記電波の周波数及び電力レベルを前記設定時間の間測定する処理を周期的に行い、前記制御部44は、電力レベルが前記電力閾値以上となる前記電波の周波数のうち、使用頻度が前記頻度閾値以上となる周波数を前記非推奨周波数52と判定し、前記周波数帯に含まれ且つ前記非推奨周波数52以外の周波数を前記推奨周波数54と判定しても良い。
【0069】
上記構成によれば、ユーザは既に使用されている周波数のうち、使用頻度が多い周波数を避けて周波数の設定をすることができる。
【0070】
本発明の第1の態様において、前記制御部44は、前記無線装置(ベース無線装置14)に対して、前記推奨周波数54を使用周波数として設定しても良い。
【0071】
本発明の第2の態様は、所定の周波数帯(例えば2.4GHzの周波数帯)でホッピング周波数を切り替えてデータの送受信を行う無線装置(ベース無線装置14及びリモート無線装置16)で使用することを推奨しない非推奨周波数52を表示部36で表示する表示システム18であって、前記無線装置の周辺で伝搬する電波の周波数及び電力レベルを予め設定された設定時間の間測定する測定部42と、前記測定部42によって測定された電力レベルが予め設定された電力閾値以上となる前記電波の周波数を前記非推奨周波数52と判定し、前記非推奨周波数52を前記表示部36に表示させる制御部44と、を備える。
【0072】
上記構成によれば、使用されている周波数が表示部36に表示されるため、ユーザは所定の周波数帯、例えば2.4GHzの周波数帯の中で使用されている周波数を容易に知ることができ、その結果、空いている周波数も容易に知ることができる。
【0073】
なお、本発明に係る表示システムは、前述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0074】
14…ベース無線装置(無線装置)
16…リモート無線装置(無線装置)
18…表示システム 30…操作部
36…表示部 42…測定部
44…制御部 52…非推奨周波数
54…推奨周波数