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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車載用保護装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240214BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20240214BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60R16/02 650Y
H03K17/08 C
H02H9/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021041485
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022141263
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠実
(72)【発明者】
【氏名】樋口 豊
(72)【発明者】
【氏名】大島 滉平
(72)【発明者】
【氏名】河村 息吹
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-43276(JP,U)
【文献】特開2000-252803(JP,A)
【文献】特開2020-108142(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H03K 17/00 - 17/70
H02H 9/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内のグラウンド部に電気的に接続される導電路であるパワーグラウンド線と、前記パワーグラウンド線とは異なる導電路であるシグナルグラウンド線と、を備える車載システムに用いられる車載用保護装置であって、
電源に基づく電圧が自身のアノード側に印加されるダイオード部と、
一端に分岐部が設けられ、前記ダイオード部のカソードと前記分岐部と間の経路をなす中間導電路と、
前記分岐部と前記パワーグラウンド線との間に設けられる第1ツェナーダイオード部と、
前記分岐部と前記シグナルグラウンド線との間に設けられる第2ツェナーダイオード部と、
を備え、
前記第1ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記分岐部に電気的に接続され、自身のアノードが前記パワーグラウンド線に電気的に接続され、
前記第2ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記分岐部に電気的に接続され、自身のアノードが前記シグナルグラウンド線に電気的に接続される
車載用保護装置。
【請求項2】
前記中間導電路に設けられる第3ツェナーダイオード部を有し、
前記第3ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記ダイオード部のカソードに電気的に接続され、自身のアノードが前記分岐部に電気的に接続される
請求項1に記載の車載用保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載用保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、独立した複数のアースラインを使用する制御回路及び出力回路を備える自動車用電装機器が開示されている。特許文献1に開示される自動車用電装機器は、比較的大きい電流を扱う出力回路に対しては、アースとしてパワー系グラウンド線を使用し、制御回路のアース端子はシグナル系グラウンド線と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-132070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両内でパワー系のグラウンド(パワーグラウンド)を確保する場合、例えば、パワーグラウンドとなるべき配線が所定のアースポイント(例えば、ボディの所定部位)に対してボルト等の接続部材によって接続される構成が採用され得る。しかし、このような構成のものでは、何らかの原因によってパワーグラウンドがアースポイントから外れてしまった場合、パワーグラウンドにおいて突発的な電位変動が生じる懸念がある。
【0005】
本開示は、パワーグラウンドで生じる突発的な電位変動から回路を保護し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである車載用保護装置は、
車両内のグラウンド部に電気的に接続される導電路であるパワーグラウンド線と、前記パワーグラウンド線とは異なる導電路であるシグナルグラウンド線と、を備える車載システムに用いられる車載用保護装置であって、
電源に基づく電圧が自身のアノード側に印加されるダイオード部と、
一端に分岐部が設けられ、前記ダイオード部のカソードと前記分岐部と間の経路をなす中間導電路と、
前記分岐部と前記パワーグラウンド線との間に設けられる第1ツェナーダイオード部と、
前記分岐部と前記シグナルグラウンド線との間に設けられる第2ツェナーダイオード部と、
を備え、
前記第1ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記分岐部に電気的に接続され、自身のアノードが前記パワーグラウンド線に電気的に接続され、
前記第2ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記分岐部に電気的に接続され、自身のアノードが前記シグナルグラウンド線に電気的に接続される。
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術は、パワーグラウンドで生じる突発的な電位変動から回路を保護し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の車載用保護装置を含む車載システムの一例を概略的に示す回路図である。
図2図2は、パワーグラウンド線の端子が外れた場合の動作の一例について説明する説明図である。
図3図3は、電源にサージ電圧が印加された場合の動作の一例について説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
以下では、本開示に係る実施形態が列記されて例示される。
【0010】
〔1〕 車両内のグラウンド部に電気的に接続される導電路であるパワーグラウンド線と、前記パワーグラウンド線とは異なる導電路であるシグナルグラウンド線と、を備える車載システムに用いられる車載用保護装置であって、
電源に基づく電圧が自身のアノード側に印加されるダイオード部と、
一端に分岐部が設けられ、前記ダイオード部のカソードと前記分岐部と間の経路をなす中間導電路と、
前記分岐部と前記パワーグラウンド線との間に設けられる第1ツェナーダイオード部と、
前記分岐部と前記シグナルグラウンド線との間に設けられる第2ツェナーダイオード部と、
を備え、
前記第1ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記分岐部に電気的に接続され、自身のアノードが前記パワーグラウンド線に電気的に接続され、
前記第2ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記分岐部に電気的に接続され、自身のアノードが前記シグナルグラウンド線に電気的に接続される
車載用保護装置。
【0011】
上記〔1〕の車載用保護装置は、第2ツェナーダイオード部がブレークダウンする程度にパワーグラウンド線の電位が急上昇した場合には、第1ツェナーダイオード部、分岐部、第2ツェナーダイオード部を介してシグナルグラウンド線へと電流を流すことができる。よって、上記〔1〕の車載用保護装置は、パワーグラウンド線にサージ電圧が印加された場合に、サージ電圧を吸収して回路を保護することができる。また、上記〔1〕の車載用保護装置は、電源にサージ電圧が印加された場合、第1ツェナーダイオード部及び第2ツェナーダイオード部をいずれもブレークダウンさせ、電源からシグナルグラウンド線及びパワーグラウンド線のそれぞれに電流を流すことができる。従って、上記〔1〕の車載用保護装置は、電源に生じるサージ電圧からも回路を保護することができる。しかも、上記〔1〕の車載用保護装置は、電源にサージ電圧が印加された場合に、2つの経路によってサージ電圧を吸収することができるため、冗長性の面で有利である。更に、上記〔1〕の車載用保護装置は、電源が逆接続されることにより各グラウンド線の電位に対して導電路12の電位が低くなってしまった場合であっても、ダイオード部によって電流の逆流を防ぐことができる。
【0012】
〔2〕 〔2〕の車載用保護装置は、〔1〕に記載の車載用保護装置であって、更に、前記中間導電路に設けられる第3ツェナーダイオード部を有する。前記第3ツェナーダイオード部は、自身のカソードが前記ダイオード部のカソードに電気的に接続され、自身のアノードが前記分岐部に電気的に接続される。
【0013】
上記〔2〕の車載用保護装置は、電源電圧にサージ電圧が重畳された場合に、第1ツェナーダイオード部を通る経路によって吸収する場合でも、第2ツェナーダイオード部を通る経路によって吸収する場合でも、第3ツェナーダイオード部が兼用される。従って、上記〔2〕の車載用保護装置は、第1ツェナーダイオード部及び第2ツェナーダイオード部のサイズを抑えやすい構成である。
[本開示の実施形態の詳細]
【0014】
<第1実施形態>
1.車載システムの概要
図1には、車載システム2が示される。図1の車載システム2は、主に、負荷駆動装置20と負荷4、6と電源3とを備える。図1では、車載用の負荷の一例として負荷4,6が例示されるが、車載システム2にはこれら以外の負荷が設けられていてもよい。
【0015】
負荷4,6は、車両に搭載される電気部品である。負荷4は、導電路14を介して供給される電力を受けて動作する。負荷6は、導電路16を介して供給される電力を受けて動作する。負荷4,6の種類は限定されない。負荷4,6としては、公知の様々な車載部品が採用され得る。負荷4,6は、複数の電気部品を有していてもよく、単一の電気部品であってもよい。負荷4は、例えばインダクタンス成分を有する誘導性負荷であり、例えばモータ等である。図1では、コイルによって負荷4を概念的に例示しているが、負荷4は、コイル以外の電気部品を有していてもよい。
【0016】
電源3は、例えば、直流電圧を出力する鉛バッテリ等の車載用のバッテリである。電源3は、導電路12の電位を所定値(例えば、12V)に保つ。
【0017】
導電路12は、電源3から出力電圧が印加される導電路である。導電路12は、例えば、電源3を構成する車載用バッテリの正極に電気的に接続される。導電路12は、電源3とダイオード部46のアノードとの間を短絡する。導電路12は、電源3の出力電圧にサージ電圧が重畳された場合に、グラウンド線に向けて電流を流す経路をなす。
【0018】
本明細書において、電圧とは、特に限定が無い限り、グラウンド電位との電位差を意味する。
【0019】
導電路14は、所定の電源電位に維持される導電路である。例えば、導電路14は、電源3によって所定電位(例えば、12V)に保たれる。導電路14は、スイッチ26がオン状態のときに負荷4に電流を流す経路として機能する。なお、導電路14は、電源3とは異なる電源によって直流電圧が印加される導電路であってもよい。
【0020】
導電路16は、所定の電源電位に維持される導電路である。例えば、導電路16は、電源3によって所定電位(例えば、12V)に保たれる。導電路16は、スイッチ28がオン状態のときに負荷6に電流を流す経路として機能する。なお、導電路16は、電源3とは異なる電源によって直流電圧が印加される導電路であってもよい。
【0021】
パワーグラウンド線31は、車両内のグラウンド部8に電気的に接続される導電路である。グラウンド部8は、車両内においてグラウンド電位(0V)付近に安定的に保たれる部位であり、例えば、車両のボディである。パワーグラウンド線31は、パワー系のグラウンドである。パワーグラウンド線31は、負荷4,6から電流が流れ込む配線である。パワーグラウンド線31は、グラウンド部8における第1位置8Aに接続される。パワーグラウンド線31の端部に設けられた端子31Aは、例えば、ねじ、ボルト等の締結部材によってグラウンド部8の第1位置8Aに固定される。
【0022】
シグナルグラウンド線32は、パワーグラウンド線31とは異なる導電路である。シグナルグラウンド線32は、グラウンド部8における第2位置8Bに接続される。シグナルグラウンド線32は、制御系のグラウンドである。シグナルグラウンド線32は、例えば、制御部22に電気的に接続され、制御部22のグラウンドとして機能する。シグナルグラウンド線32の端部に設けられた端子32Aは、例えば、ねじ、ボルト等の締結部材によってグラウンド部8の第2位置8Bに固定される。シグナルグラウンド線32は、パワーグラウンド線31とは独立して電位が変動し得る。逆に、パワーグラウンド線31は、シグナルグラウンド線32とは独立して電位が変動し得る。
【0023】
負荷駆動装置20は、車載用保護装置40、制御部22、駆動回路24、スイッチ26,28などを備える。車載用保護装置40は、単に保護装置40とも称される。
【0024】
スイッチ26は、導電路14を通電状態と非通電状態とに切り替えるスイッチである。スイッチ26がオン状態のときに、電源(導電路14に電圧を印加する電源)から導電路14を介して負荷4に電流が流れる。スイッチ26がオフ状態のときには、上記電源から負荷4へは電流は流れない。
【0025】
スイッチ28は、導電路16を通電状態と非通電状態とに切り替えるスイッチである。スイッチ28がオン状態のときに、電源(導電路16に電圧を印加する電源)から導電路16を介して負荷6に電流が流れる。スイッチ28がオフ状態のときには、上記電源から負荷6へは電流は流れない。
【0026】
制御部22は、情報処理機能、演算機能、制御機能などを有する情報処理装置である。制御部22は、スイッチ26のオンオフを制御する。制御部22は、スイッチ26をオン状態にするためのオン信号とオフ状態にするためのオフ信号とを出力し得る。制御部22は、スイッチ28のオンオフを制御する機能を有していてもよい。
【0027】
駆動回路24は、スイッチ26をオン状態にするために第1電圧信号と、スイッチ26をオフ状態にするために第2電圧信号と、を切り替え得る回路である。制御部22がオン信号を出力している場合に駆動回路24は第1電圧信号を出力し、スイッチ26がオン状態で維持される。制御部22がオフ信号を出力している場合に駆動回路24は第2電圧信号を出力し、スイッチ26がオフ状態で維持される。
【0028】
2.車載用保護装置の構成
保護装置40は、ダイオード部46と、第1ツェナーダイオード部41と、第2ツェナーダイオード部42と、第3ツェナーダイオード部43と、を備える。
【0029】
ダイオード部46は、PN接合ダイオードなどの整流ダイオードによって構成されている。ダイオード部46は、電源3から第3ツェナーダイオード部43に向かう方向に電流を流し、第3ツェナーダイオード部43から電源3に向かう方向に電流を流さない1以上の整流ダイオードによって構成される。ダイオード部46は、例えば、整流ダイオードによって構成されている。ダイオード部46のアノードには、電源3に基づく電圧が印加される。図1の例では、ダイオード部46のアノードが導電路12に電気的に接続され、ダイオード部46のアノードが導電路12と同電位とされる。
【0030】
中間導電路52は、ダイオード部46のカソードと分岐部54と間において電流が流れ得る経路をなす導電路である。中間導電路52の一端には、分岐部54が設けられる。中間導電路52の他端は、ダイオード部46のカソードに電気的に接続される。中間導電路52は、第1導電路52Aと第2導電路52Bとを備える。第1導電路52Aは、一方側の端部がダイオード部46のカソードに電気的に接続され、他方側の端部が第3ツェナーダイオード部43のカソードに電気的に接続される。第1導電路52Aは、ダイオード部46のカソードと第3ツェナーダイオード部43のカソードとの間を短絡する。第2導電路52Bは、一方側の端部が第3ツェナーダイオード部43のアノードに電気的に接続され、他方側の端部に分岐部54が設けられる。分岐部54は、電源3側からダイオード部46を介してグラウンド側に電流が流れる場合に、電流が分岐する起点である。
【0031】
第3ツェナーダイオード部43は、中間導電路52において第1導電路52Aと第2導電路52Bとの間に設けられる。第3ツェナーダイオード部43は、公知のツェナーダイオードによって構成される。第3ツェナーダイオード部43のカソードは、第1導電路52Aを介してダイオード部46のカソードに電気的に接続される。第3ツェナーダイオード部43のアノードは分岐部54に電気的に接続される。第3ツェナーダイオード部43のアノードは、分岐部54を介して第1ツェナーダイオード部41のカソードに短絡し、分岐部54を介して第2ツェナーダイオード部42のカソードに短絡する。
【0032】
第1ツェナーダイオード部41は、分岐部54とパワーグラウンド線31との間に設けられる。第1ツェナーダイオード部41は、公知のツェナーダイオードによって構成される。第1ツェナーダイオード部41のカソードは、分岐部54に電気的に接続され、分岐部54に短絡する。第1ツェナーダイオード部41のアノードは、パワーグラウンド線31に電気的に接続され、パワーグラウンド線31に短絡する。
【0033】
第2ツェナーダイオード部42は、分岐部54とシグナルグラウンド線32との間に設けられる。第2ツェナーダイオード部42は、公知のツェナーダイオードによって構成される。第2ツェナーダイオード部42のカソードは、分岐部54に電気的に接続され、分岐部54に短絡する。第2ツェナーダイオード部42のアノードは、シグナルグラウンド線32に電気的に接続され、シグナルグラウンド線32に短絡する。
【0034】
3.車載用保護装置による保護動作
保護装置40は、パワーグラウンド線31の電位が急上昇することで分岐部54の電位が急上昇し、第2ツェナーダイオード部42がブレークダウンした場合、第1ツェナーダイオード部41、分岐部54、第2ツェナーダイオード部42を介してシグナルグラウンド線32へと電流を流すことができる。よって、保護装置40は、パワーグラウンド線31にサージ電圧が印加された場合に、サージ電圧を吸収して回路を保護することができる。
【0035】
例えば、誘導性負荷である負荷4においてグラウンド部8に向かって電流が流れている状態で端子31Aがグラウンド部8から外れて離間した場合、負荷4からグラウンド部8への流れ込みが突然遮断される。このような事態が生じると、パワーグラウンド線31の電位が急上昇する懸念がある。しかし、このような事態が場合には、保護装置40は、図2のように電流を流し、負荷4に起因する電流を、シグナルグラウンド線32を介してグラウンド部8に還流することができる。従って、保護装置40は、パワーグラウンド線31に印加されるサージ電圧によって回路が故障することを防ぐことができる。
【0036】
また、保護装置40は、電源3に印加されるサージ電圧からも回路を保護することができる。この保護装置40では、電源3に印加されるサージ電圧によって導電路12の電位が急上昇し、ある一定の値を超えると、第1ツェナーダイオード部41、第2ツェナーダイオード部42、第3ツェナーダイオード部43がいずれもブレークダウンするため、図3のように、電源3からシグナルグラウンド線32及びパワーグラウンド線31のそれぞれに電流を流すことができる。従って、保護装置40は、電源3に印加されるサージ電圧によって回路が故障することを防ぐことができる。しかも、保護装置40は、電源3にサージ電圧が印加された場合に、2つの経路によってサージ電圧を吸収することができるため、冗長性の面で有利である。
【0037】
保護装置40は、電源3が逆接続されることにより各グラウンド線の電位に対して導電路12の電位が低くなってしまった場合であっても、ダイオード部46によって電流の逆流を防ぐことができる。
【0038】
保護装置40は、電源3の電圧にサージ電圧が重畳された場合に、第1ツェナーダイオード部41を通る経路によってサージ電圧の一部を吸収する場合でも、第2ツェナーダイオード部42を通る経路によってサージ電圧の一部を吸収する場合でも、第3ツェナーダイオード部43が兼用される。従って、保護装置40は、第1ツェナーダイオード部41及び第2ツェナーダイオード部42のサイズを抑えやすく、素子数を抑えやすい構成である。
【0039】
<他の実施形態>
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0040】
第1実施形態ではダイオード部46として単一の整流ダイオードを例示したが、ダイオード部は、複数の整流ダイオードが各々のアノードを電源3側とする構成で同じ方向に並び直列に接続されていてもよい。この場合、ダイオード部のアノードとは、直列に並ぶ複数の整流ダイオードのうちの最も電源3側に配置された整流ダイオードのアノードを指し、具体的には、導電路12に短絡する整流ダイオードのアノードを指す。また、複数の整流ダイオードが直列に接続された構成でダイオード部が構成されている場合、ダイオード部のカソードとは、複数の整流ダイオードのうちの最も第3ツェナーダイオード部43側に配置された整流ダイオードのカソードを指し、具体的には第1導電路52Aに短絡する整流ダイオードのカソードを指す。
【0041】
第1実施形態では第1ツェナーダイオード部41として単一のツェナーダイオードを例示したが、第1ツェナーダイオード部41は、複数のツェナーダイオードが各々のカソードを分岐部54側とする構成で同じ方向に並び直列に接続されていてもよい。この場合、第1ツェナーダイオード部41のカソードとは、それら直列に並ぶ複数のツェナーダイオードのうちの最も分岐部54側に配置されたツェナーダイオードのカソードを指し、具体的には、分岐部54に短絡するツェナーダイオードのカソードを指す。また、複数のツェナーダイオードが直列に接続された構成で第1ツェナーダイオード部が構成されている場合、第1ツェナーダイオード部のアノードとは、それら直列に接続された複数のツェナーダイオードのうちの最もパワーグラウンド線31側に配置されたツェナーダイオードのアノードを指し、具体的にはパワーグラウンド線31に短絡するツェナーダイオードのアノードを指す。
【0042】
第1実施形態では第2ツェナーダイオード部42として単一のツェナーダイオードを例示したが、第2ツェナーダイオード部42は、複数のツェナーダイオードが各々のカソードを分岐部54側とする構成で同じ方向に並び直列に接続されていてもよい。この場合、第2ツェナーダイオード部42のカソードとは、それら直列に並ぶ複数のツェナーダイオードのうちの最も分岐部54側に配置されたツェナーダイオードのカソードを指し、具体的には、分岐部54に短絡するツェナーダイオードのカソードを指す。また、複数のツェナーダイオードが直列に接続された構成で第2ツェナーダイオード部が構成されている場合、第2ツェナーダイオード部のアノードとは、それら直列に接続された複数のツェナーダイオードのうちの最もシグナルグラウンド線32側に配置されたツェナーダイオードのアノードを指し、具体的にはシグナルグラウンド線32に短絡するツェナーダイオードのアノードを指す。
【0043】
第1実施形態では第3ツェナーダイオード部43として単一のツェナーダイオードを例示したが、第3ツェナーダイオード部43は、複数のツェナーダイオードが各々のカソードをダイオード部46側とする構成で同じ方向に並び直列に接続されていてもよい。この場合、第3ツェナーダイオード部43のカソードとは、それら直列に並ぶ複数のツェナーダイオードのうちの最もダイオード部46側に配置されたツェナーダイオードのカソードを指し、具体的には、ダイオード部46のカソードに短絡するツェナーダイオードのカソードを指す。また、複数のツェナーダイオードが直列に接続された構成で第3ツェナーダイオード部が構成されている場合、第3ツェナーダイオード部のアノードとは、それら直列に接続された複数のツェナーダイオードのうちの最も分岐部54側に配置されたツェナーダイオードのアノードを指し、具体的には分岐部54に短絡するツェナーダイオードのアノードを指す。
【0044】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
2 :車載システム
3 :電源
4 :負荷
6 :負荷
8 :グラウンド部
8A :第1位置
8B :第2位置
12 :導電路
14 :導電路
16 :導電路
20 :負荷駆動装置
22 :制御部
24 :駆動回路
26 :スイッチ
28 :スイッチ
31 :パワーグラウンド線
31A :端子
32 :シグナルグラウンド線
32A :端子
40 :車載用保護装置
41 :第1ツェナーダイオード部
42 :第2ツェナーダイオード部
43 :第3ツェナーダイオード部
46 :ダイオード部
52 :中間導電路
52A :第1導電路
52B :第2導電路
54 :分岐部
図1
図2
図3