(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240214BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240214BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240214BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/33
H02K7/14 C
F04B39/00 106Z
(21)【出願番号】P 2021055707
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】島田 賢
(72)【発明者】
【氏名】本田 和也
(72)【発明者】
【氏名】稲津 海
(72)【発明者】
【氏名】武藤 圭史朗
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/093544(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/130107(WO,A1)
【文献】特開2016-21838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
H02K 11/33
H02K 7/14
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータに接続された気密端子と、
前記気密端子を介して前記電動モータに電力を供給するインバータ装置と、
前記電動モータが収容されるモータ収容室を備えるハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記モータ収容室と区画されているとともに前記インバータ装置が収容されるインバータ収容室を備え、
前記インバータ装置は、開口部を備える回路基板と、前記回路基板に取り付けられるバスバーアセンブリと、を備え、
前記バスバーアセンブリは、バスバーと、前記バスバーを収容しているケースと、を備え、
前記バスバーは、前記回路基板に電気的に接続される基板接続部と、前記開口部を介して前記気密端子が挿入される端子挿入部と、を備え、
前記ケースは、前記端子挿入部を収容する端子収容部と、前記回路基板との位置決めをする位置決めピンと、前記回路基板に係止される爪部と、を備え、
前記回路基板は、前記基板接続部が挿入される接続孔と、前記位置決めピンが挿入される位置決め孔と、を備え、
前記開口部は、前記接続孔と前記位置決め孔との間に配置され、
前記爪部は、前記開口部又は前記位置決め孔に係止される、電動圧縮機。
【請求項2】
前記位置決めピンは、第1突起と、前記第1突起から離れている第2突起と、を備え、
前記第1突起は、前記回路基板に向かって延びる第1軸部を備え、
前記第2突起は、前記第1突起から第2突起に向かう変形方向に弾性変形可能であるとともに前記回路基板に向かって延びる第2軸部と、前記第2軸部に接続される前記爪部と、を備え、
前記爪部は、前記位置決め孔に係止され、
前記第1軸部が延びる方向に垂直な面における前記第1軸部の断面積は、前記第2軸部が延びる方向に垂直な面における前記第2軸部の断面積よりも大きい、請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記位置決めピンを第1位置決めピンとし、前記位置決め孔を第1位置決め孔とした場合に、
前記バスバーアセンブリは、前記回路基板との位置決めをする第2位置決めピンを備え、
前記回路基板は、前記第2位置決めピンが挿入される第2位置決め孔を備え、
前記第2位置決め孔は、前記接続孔と前記開口部との間に配置されている、請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記第2位置決めピンは、前記第1位置決めピンに対して前記変形方向に離れて配置されている、請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記爪部を第1爪部とし、前記変形方向を第1変形方向とした場合に、
前記第2位置決めピンは、第3突起と、前記第3突起から離れている第4突起と、を備え、
前記第3突起は、前記回路基板に向かって延びる第3軸部を備え、
前記第4突起は、前記第3突起から前記第4突起に向かう第2変形方向に弾性変形可能であるとともに前記回路基板に向かって延びる第4軸部と、前記第4軸部に接続されるとともに前記回路基板に係止される第2爪部と、を備え、
前記第3軸部が延びる方向に垂直な面における前記第3軸部の断面積は、前記第4軸部が延びる方向に垂直な面における前記第4軸部の断面積よりも大きく、
前記第1突起と前記第3突起とが互いに向かい合う、又は、前記第2突起と前記第4突起とが互いに向かい合う、請求項4に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記バスバーは、前記基板接続部と前記端子挿入部とを接続する板状の連結部と、を備え、
前記ケースは、前記連結部を収容する収容溝と、前記収容溝の内側面から前記収容溝の幅方向に突出することで前記連結部を支持する支持部と、を備える、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【請求項7】
前記開口部は、前記回路基板の外周縁に対して開口している、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するインバータ装置と、ハウジングと、気密端子と、を備える。インバータ装置は、回路基板と、回路基板に取り付けられるバスバーアセンブリと、を備える。バスバーアセンブリは、バスバーと、バスバーを収容するケースと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動圧縮機の振動などの衝撃によって、バスバーアセンブリが回路基板に対してずれることがある。このようなずれがバスバーアセンブリと回路基板との接続不良を引き起こすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータに接続された気密端子と、前記気密端子を介して前記電動モータに電力を供給するインバータ装置と、前記電動モータが収容されるモータ収容室を備えるハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記モータ収容室と区画されているとともに前記インバータ装置が収容されるインバータ収容室を備え、前記インバータ装置は、開口部を備える回路基板と、前記回路基板に取り付けられるバスバーアセンブリと、を備え、前記バスバーアセンブリは、バスバーと、前記バスバーを収容しているケースと、を備え、前記バスバーは、前記回路基板に電気的に接続される基板接続部と、前記開口部を介して前記気密端子が挿入される端子挿入部と、を備え、前記ケースは、前記端子挿入部を収容する端子収容部と、前記回路基板との位置決めをする位置決めピンと、前記回路基板に係止される爪部と、を備え、前記回路基板は、前記基板接続部が挿入される接続孔と、前記位置決めピンが挿入される位置決め孔と、を備え、前記開口部は、前記接続孔と前記位置決め孔との間に配置され、前記爪部は、前記開口部又は前記位置決め孔に係止される。
【0006】
これによれば、バスバーアセンブリが回路基板に沿って移動すると、第1位置決めピンが第1位置決め孔と干渉する。また、バスバーアセンブリが回路基板に垂直な方向に移動すると、爪部が開口部又は第1位置決め孔に係止される。これにより、回路基板に対するバスバーアセンブリのずれが抑制される。
【0007】
上記電動圧縮機について、前記位置決めピンは、第1突起と、前記第1突起から離れている第2突起と、を備え、前記第1突起は、前記回路基板に向かって延びる第1軸部を備え、前記第2突起は、前記第1突起から第2突起に向かう変形方向に弾性変形可能であるとともに前記回路基板に向かって延びる第2軸部と、前記第2軸部に接続される前記爪部と、を備え、前記爪部は、前記位置決め孔に係止され、前記第1軸部が延びる方向に垂直な面における前記第1軸部の断面積は、前記第2軸部が延びる方向に垂直な面における前記第2軸部の断面積よりも大きくてもよい。
【0008】
これによれば、第1軸部は、第2軸部に比べて変形方向に変形しにくい。そのため、位置決めピンの第1軸部が位置決め孔と干渉することにより、バスバーアセンブリが回路基板に対するずれを抑制することができる。
【0009】
上記電動圧縮機について、前記位置決めピンを第1位置決めピンとし、前記位置決め孔を第1位置決め孔とした場合に、前記バスバーアセンブリは、前記回路基板との位置決めをする第2位置決めピンを備え、前記回路基板は、前記第2位置決めピンが挿入される第2位置決め孔を備え、前記第2位置決め孔は、前記接続孔と前記開口部との間に配置されていてもよい。
【0010】
これによれば、電動圧縮機の振動等によって、バスバーアセンブリが第1位置決めピンを中心として回路基板に対して回転しようとする場合に、当該回転が第2位置決めピンによって規制される。したがって、回路基板に対するバスバーアセンブリの回転方向のずれを抑制することができる。
【0011】
上記電動圧縮機について、前記第2位置決めピンは、前記第1位置決めピンに対して前記変形方向に離れて配置されている、ものであってもよい。
これによれば、バスバーアセンブリが回路基板に対して第2位置決めピンを中心に回転しようとすると、第1位置決めピンの第1突起が第1位置決め孔に干渉する。これにより、バスバーアセンブリが回路基板に対して第2位置決めピンを中心に回転することを抑制することができる。
【0012】
上記電動圧縮機について、前記爪部を第1爪部とし、前記変形方向を第1変形方向とした場合に、前記第2位置決めピンは、第3突起と、前記第3突起から離れている第4突起と、を備え、前記第3突起は、前記回路基板に向かって延びる第3軸部を備え、前記第4突起は、前記第3突起から前記第4突起に向かう第2変形方向に弾性変形可能であるとともに前記回路基板に向かって延びる第4軸部と、前記第4軸部に接続されるとともに前記回路基板に係止される第2爪部と、を備え、前記第3軸部が延びる方向に垂直な面における前記第3軸部の断面積は、前記第4軸部が延びる方向に垂直な面における前記第4軸部の断面積よりも大きく、前記第1突起と前記第3突起とが互いに向かい合う、又は、前記第2突起と前記第4突起とが互いに向かい合っていてもよい。
【0013】
これによれば、第1位置決めピンの第1爪部及び第2位置決めピンの第2爪部が、バスバーアセンブリが回路基板の厚さ方向へ移動することを規制する。第1位置決めピンの第2突起を変形させる方向のずれに対しては、第2位置決めピンの第3突起が第2位置決め孔と干渉する。第2位置決めピンの第4突起を変形させる方向のずれに対しては、第1位置決めピンの第1突起が第1位置決め孔と干渉する。したがって、バスバーアセンブリのずれをより抑制することができる。
【0014】
上記電動圧縮機について、前記バスバーは、前記基板接続部と前記端子挿入部とを接続する板状の連結部と、を備え、前記ケースは、前記連結部を収容する収容溝と、前記収容溝の内側面から前記収容溝の幅方向に突出することで前記連結部を支持する支持部と、を備えていてもよい。
【0015】
これにより、支持部が収容溝の幅方向から連結部を支持することによって、バスバーのケース内での移動が規制される。したがって、バスバーとケースとのずれを抑制することができる。
【0016】
上記電動圧縮機について、前記開口部は、前記回路基板の外周縁に対して開口していてもよい。
これによれば、回路基板に容易に開口部を設けることができる。したがって、電動圧縮機のインバータ装置の製造を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バスバーアセンブリと回路基板との接続不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】回路基板及びバスバーアセンブリの構成を示す分解斜視図。
【
図3】回路基板に取り付けられたバスバーアセンブリの斜視図。
【
図4】回路基板の厚さ方向から見た場合の回路基板及びバスバーアセンブリの平面図。
【
図6】バスバーアセンブリを設置面から見た平面図。
【
図7】第1位置決めピン又は第2位置決めピンの斜視図。
【
図8】第1位置決めピン又は第2位置決めピンを設置面から見た平面図。
【
図9】回路基板の第1面における第1位置決めピン又は第2位置決めピンの断面図。
【
図10】
図4の第1位置決めピンの10-10断面図。
【
図11】第1変形方向に垂直な方向から見た回路基板及びバスバーアセンブリの側面図、(a)は、バスバーアセンブリが回路基板に対してずれていない場合を示す図、(b)は、第1爪部が回路基板に干渉している場合を示す図。
【
図12】比較例として開口部を設けなかった場合における、第1変形方向に垂直な方向から見た回路基板及びバスバーアセンブリの側面図、(a)は、バスバーアセンブリが回路基板に対してずれていない場合を示す図、(b)は、第1爪部が回路基板に干渉している場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<構成>
以下、電動圧縮機の一実施形態について説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
【0020】
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11と、流体としての冷媒を圧縮する圧縮部20と、回転軸21と、電動モータ22と、気密端子23と、インバータ装置30と、を備える。
【0021】
ハウジング11は、モータハウジング12と、吐出ハウジング13と、インバータケース14と、を備える。モータハウジング12、吐出ハウジング13、及びインバータケース14は、アルミニウム等の金属によって形成されている。
【0022】
モータハウジング12は、平板状の底壁12aと、周壁12bと、ハウジング孔12cと、吸入口12dと、ボス12eと、を備える。
周壁12bは、底壁12aの外周縁から筒状に延びている。周壁12bの第1端は底壁12aによって閉塞され、周壁12bの第2端は開口している。
【0023】
ハウジング孔12cは、底壁12aをその厚さ方向に貫通している。
吸入口12dは、周壁12bに設けられている貫通孔である。吸入口12dは、図示しない冷媒回路に接続されている。
【0024】
ボス12eは、周壁12bと反対方向に底壁12aから延びている。ボス12eには、ボルトBが挿入されるネジ穴が設けられている。
吐出ハウジング13は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。これにより、モータハウジング12及び吐出ハウジング13が、モータ収容室V1を形成する。したがって、ハウジング11は、モータ収容室V1を備える。吐出ハウジング13は、吐出口13aを備える。吐出口13aは、図示しない冷媒回路に接続されている。
【0025】
インバータケース14は、モータハウジング12のボス12eに取り付けられる。これにより、モータハウジング12及びインバータケース14がインバータ収容室V2を形成する。したがって、ハウジング11は、インバータ収容室V2を備える。インバータ収容室V2は、底壁12aによってモータ収容室V1と区画されている。インバータ収容室V2は、ハウジング孔12cを介してモータ収容室V1と連続している。
【0026】
電動モータ22は、電力が供給されることにより、圧縮部20及び回転軸21を駆動する。詳細には、電動モータ22は、圧縮部20及び回転軸21を回転させる。当該回転によって、冷媒回路が供給する冷媒は、吸入口12dから吸入される。吸入された冷媒は、圧縮部20によって圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出口13aからハウジング11の外に吐出される。
【0027】
気密端子23は、ハウジング孔12cに挿入されている。気密端子23は、モータ収容室V1とインバータ収容室V2との気密を保つ端子である。気密端子23は、電動モータ22に接続される3つの導電部材24を備える。各導電部材24の一部は、インバータ収容室V2の内部に突出している。
【0028】
図1に示すように、インバータ装置30は、インバータ収容室V2に収容されている。インバータ装置30は、気密端子23を介して電動モータ22に電力を供給する電力変換装置である。インバータ装置30は、ボルトBによってボス12eに締結されている。インバータ装置30は、回路基板31と、バスバーアセンブリ40と、を備える。
【0029】
図1及び
図2に示すように、回路基板31は、インバータ回路素子Iと、第1面31aと、第2面31bと、外縁部31cと、開口部32と、2つの基板締結孔33a,33bと、3つの接続孔34と、第1位置決め孔35と、第2位置決め孔36と、を備える。
【0030】
インバータ回路素子Iは、図示しない外部電源からの電力を交流電力に変換するものである。
開口部32、両基板締結孔33a,33b、接続孔34、第1位置決め孔35、及び第2位置決め孔36は、それぞれ回路基板31をその厚さ方向に貫通している。両基板締結孔33a,33b、接続孔34、及び両位置決め孔35,36の形状は任意であるが、例えば円形である。
【0031】
図1に示すように、第1面31aは、モータハウジング12の底壁12aに向かい合っている。
第2面31bは、回路基板31の厚さ方向において第1面31aの反対に位置する。
【0032】
図2に示すように、外縁部31cは、回路基板31の外周縁のうち、直線状の縁部の1つである。
開口部32は、回路基板31の外縁部31cに対して開口している。開口部32は、第1辺部32aと、第2辺部32bと、第3辺部32cと、を備える。
【0033】
第1辺部32a及び第2辺部32bは、外縁部31cと接続されている。第1辺部32a及び第2辺部32bは、外縁部31cが延びる方向に離間している。
第3辺部32cは、第1辺部32aと第2辺部32bとを接続している。
【0034】
第1辺部32a、第2辺部32b、及び第3辺部32cが、開口32dを画定している。
2つの基板締結孔33a,33bは、それぞれボルトBを挿入するための孔である。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第1基板締結孔33aから第2辺部32bまでの距離は、第1基板締結孔33aから第1辺部32aまでの距離より短い。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第1基板締結孔33aから第3辺部32cまでの距離は、第1基板締結孔33aから外縁部31cまでの距離より短い。
【0035】
回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第2基板締結孔33bから第1辺部32aまでの距離は、第2基板締結孔33bから第2辺部32bまでの距離より短い。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第1基板締結孔33aから第3辺部32cまでの距離は、第1基板締結孔33aから外縁部31cまでの距離より短い。
【0036】
接続孔34は、第2辺部32bから第1辺部32aに向かう方向に、第1辺部32aから離れた位置に設けられている。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、接続孔34から第1辺部32aまでの距離は、接続孔34から第2辺部32bまでの距離より短い。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、接続孔34から第1辺部32aまでの距離は、第2基板締結孔33bから第2辺部32bまでの距離より短い。
【0037】
第1位置決め孔35は、第1辺部32aから第2辺部32bに向かう方向に、第2辺部32bから離れた位置に設けられている。また、接続孔34と第1位置決め孔35との間には、開口部32が配置されている。
【0038】
第2位置決め孔36は、第2辺部32bから第1辺部32aに向かう方向に、第1辺部32aから離れた位置に設けられている。第2位置決め孔36は、接続孔34と開口部32との間に配置されている。第2辺部32bから第1辺部32aに向かう方向に、第1位置決め孔35、開口部32、第2位置決め孔36、及び接続孔34が順に配置されている。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第2位置決め孔36から第1辺部32aまでの距離は、第2位置決め孔36から第2辺部32bまでの距離より短い。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第2位置決め孔36から第1辺部32aまでの距離は、接続孔34から第1辺部32aまでの距離より短い。回路基板31の第1面31aに沿う方向において、第2位置決め孔36から外縁部31cまでの距離は、接続孔34から第3辺部32cまでの距離より短い。
【0039】
図2~
図5に示すように、バスバーアセンブリ40は、気密端子23と回路基板31とを接続するコネクタである。
図2及び
図3に示すように、バスバーアセンブリ40は、回路基板31の第2面31bに取り付けられている。バスバーアセンブリ40は、3つのバスバー41と、ケース50と、を備える。
【0040】
3つのバスバー41は、それぞれ回路基板31からの電力を気密端子23に伝える導電部材である。各バスバー41は、端子挿入部42と、基板接続部43と、板状の連結部44と、を備える。
【0041】
端子挿入部42は、気密端子23の導電部材24を挿入することができる筒状の端子である。各端子挿入部42には、開口部32が画定する開口32dを介して気密端子23の導電部材24が1つずつ挿入されている。
【0042】
基板接続部43は、回路基板31の第2面31bから第1面31aに向かう方向に延びる突起である。基板接続部43は、接続孔34に挿入されている。したがって、接続孔34は、基板接続部43が挿入される孔である。基板接続部43の一部は、第1面31aから回路基板31の厚さ方向に突出している。基板接続部43の当該一部は、はんだSを用いたはんだ付け等により回路基板31に接続されている。これにより、基板接続部43は、回路基板31に電気的に接続される。
【0043】
連結部44は、端子挿入部42と基板接続部43とを接続している。本実施形態では、連結部44は、端子挿入部42と基板接続部43との間に直線的に延びている。連結部44の厚さ方向は、回路基板31の厚さ方向と垂直である。
【0044】
図2~
図6に示すように、ケース50は、バスバー41を収容する絶縁部材である。本実施形態のケース50は、直方体状の樹脂部材である。
図6に示すように、ケース50の形状は、回路基板31の厚さ方向から平面視した場合に、長方形状となる。回路基板31の厚さ方向から平面視した場合のケース50の長辺を単に「ケース50の長辺」と称することがある。同様に、回路基板31の厚さ方向から平面視した場合のケース50の短辺を単に「ケース50の短辺」と称することがある。
【0045】
本実施形態では、ケース50の長辺が延びる方向は、外縁部31cの延びる方向と一致している。また、ケース50の長辺が延びる方向は、連結部44が延びる方向と一致している。
【0046】
図2に示すように、ケース50は、設置面50aと、対向面50bと、第1長辺面50cと、第2長辺面50dと、第1短辺面50eと、第2短辺面50fと、バスバー収容部51と、2つのホルダー締結孔55a,55bと、第1位置決めピン60と、第2位置決めピン70と、を備える。
【0047】
設置面50aは、回路基板31の第2面31bと向かい合っている。設置面50aは、第2面31bと平行である。設置面50aの一部は、開口部32と面している。
対向面50bは、ケース50の厚さ方向において設置面50aの反対に位置する。以下の説明では、設置面50aから対向面50bに向かう方向を「ケース50の厚さ方向」と称することがある。ケース50の厚さ方向は、回路基板31の厚さ方向と一致している。
【0048】
第1長辺面50c及び第2長辺面50dは、回路基板31の厚さ方向から平面視した場合にケース50の長辺を構成する面である。第1長辺面50c及び第2長辺面50dは、それぞれ設置面50aと対向面50bとを接続している。第1長辺面50cと第2長辺面50dとは互いにケース50の短辺方向においてケース50の反対に位置している。設置面50aに沿う方向において、回路基板31の外縁部31cとケース50の第1長辺面50cとの間の距離は、回路基板31の外縁部31cとケース50の第2長辺面50dとの間の距離よりも短い。
【0049】
第1短辺面50e及び第2短辺面50fは、回路基板31の厚さ方向から平面視した場合にケース50の短辺を構成する面である。第1短辺面50e及び第2短辺面50fは、それぞれ設置面50aと対向面50bとを接続している。第1短辺面50e及び第2短辺面50fは、それぞれ第1長辺面50cと第2長辺面50dとを接続している。第1短辺面50eと第2短辺面50fとは、互いにケース50の短辺方向においてケース50の反対に位置している。設置面50aに沿う方向において、第1短辺面50eから回路基板31の第1辺部32aまでの距離は、第2短辺面50fから回路基板31の第1辺部32aまでの距離より長い。設置面50aに沿う方向において、第2短辺面50fから回路基板31の第2辺部32bまでの距離は、第1短辺面50eから回路基板31の第2辺部32bまでの距離より長い。
【0050】
図5及び
図6に示すように、バスバー収容部51は、バスバー41を収容している凹みである。バスバー収容部51の数は、バスバー41の数と等しく、3つである。各バスバー収容部51には、1つのバスバー41が収容されている。各バスバー収容部51は、設置面50aに接続されており、ケース50の長辺方向に延びている。言い換えれば、ケース50の長辺方向とは、バスバー収容部51が延びている方向である。3つのバスバー収容部51は、ケース50の短辺方向に並んでいる。言い換えれば、ケース50の短辺方向とは、バスバー収容部51の並ぶ方向である。バスバー収容部51は、それぞれ、端子収容部52と、収容溝53と、一対の支持部54と、を備える。
【0051】
端子収容部52は、端子挿入部42を収容している凹みである。端子収容部52は、収容部周壁52aと、収容部底壁52bと、を備える。
収容部周壁52aは、筒状の周壁である。収容部周壁52aの第1端は、設置面50aに接続されている。収容部周壁52aの第1端は、設置面50aに開口を画定している。収容部周壁52aの開口は、長方形状である。収容部周壁52aの開口の長辺方向は、ケース50の長辺方向と一致している。収容部周壁52aの開口の短辺方向は、ケース50の短辺方向と一致している。
【0052】
収容部底壁52bは、収容部周壁52aの第2端を閉塞している。収容部周壁52aの第2端とは、収容部周壁52aの第1端と反対の端部である。
図4に示すように、端子収容部52は、開口部32と面している。これに伴い、端子収容部52に収容されている端子挿入部42は、開口部32に面している。端子挿入部42には、開口部32の開口32dを介して、気密端子23が挿入される。
【0053】
収容溝53は、連結部44を収容している凹みである。収容溝53の形状は、角U字状である。収容溝53は、設置面50aに接続されており、ケース50の第1短辺面50eから収容部周壁52aまで直線状に延びている。収容溝53は、設置面50aに対して垂直な方向に深い。
【0054】
収容溝53は、2つの内側面53aを備える。内側面53aは、設置面50aに接続されている周面である。なお、2つの内側面53aは対向面50bを形成するケース50の壁部によって接続されている。内側面53aは、互いにケース50の短辺方向に向かい合う。収容溝53の幅、すなわち向かい合う内側面53aの間隔は、連結部44の厚さより広い。そのため、収容溝53は、連結部44に対して収容溝53の幅方向のクリアランスを有する。
【0055】
図4及び
図5に示すように、一対の支持部54は、それぞれ異なる内側面53aから収容溝53の幅方向に突出している。支持部54は、それぞれ内側面53aから垂直に延びている。一対の支持部54は、互いに向かい合っている。このため、収容溝53の幅方向クリアランスは、支持部54の設けられている位置において小さくなっている。これにより、一対の支持部54は、連結部44を支持している。本実施形態では、バスバー収容部51が延びる方向において、収容部周壁52aからの支持部54までの距離は、ケース50の第1短辺面50eから支持部54までの距離より長い。なお、収容溝53の内側面53aにおいて支持部54の設けられる位置は任意である。
【0056】
このように構成された3つのバスバー収容部51には、それぞれバスバー41が1つずつ収容される。以下の説明では、バスバー収容部51は、第1長辺面50cから第2長辺面50dに向かう方向に配置されている順にそれぞれ、第1バスバー収容部51a、第2バスバー収容部51b、第3バスバー収容部51cと称することがある。
【0057】
2つのホルダー締結孔55a,55bは、ボルトBが挿入される貫通孔である。両ホルダー締結孔55a,55bは、それぞれ設置面50aから対向面50bまで貫通している。
【0058】
図4に示すように、第1ホルダー締結孔55aは、回路基板31の第1面31aを平面視した場合に、第1基板締結孔33aと重なり合う。第2ホルダー締結孔55bは、回路基板31の第1面31aを平面視した場合に、第2基板締結孔33bと重なり合う。回路基板31及びバスバーアセンブリ40は、両基板締結孔33a,33b及び両ホルダー締結孔55a,55bに挿入されたボルトBをボス12eのネジ穴に締結することにより、モータハウジング12に締結される。
【0059】
図3~
図5に示すように、第1位置決めピン60は、回路基板31との位置決めをする突起である。
図3に示すように、第1位置決めピン60は、第1位置決め孔35に挿入されている。したがって、第1位置決め孔35は、第1位置決めピン60が挿入される孔である。なお、第1位置決めピン60と第1位置決め孔35との間には、所定のクリアランスが設けられている。
【0060】
第1位置決めピン60は、設置面50aに対して垂直な方向に、設置面50aから延びている。第1位置決めピン60と第2短辺面50fとの距離は、第1位置決めピン60と第1短辺面50eとの距離より短い。第1位置決めピン60と第2長辺面50dとの距離は、第1位置決めピン60と第1長辺面50cとの距離より短い。
【0061】
図5~
図10に示すように、第1位置決めピン60は、第1突起61と、第2突起63と、を備える。
図5及び
図6に示すように、第1突起61は、ケース50の設置面50aから回路基板31に向かって延びている。
【0062】
図7~
図10に示すように、第1突起61は、第1軸部62を備える。
図7に示すように、第1軸部62は、ケース50の設置面50aに接続されている柱状の突起である。
【0063】
図7及び
図9に示すように、第1軸部62は、ケース50を設置面50aから平面視した場合に半円形状となる。第1軸部62の周面は、第1曲周面62aと、第1平周面62bと、を含む。
【0064】
図9に示すように、第1曲周面62aは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第1軸部62の弧を形成している。
第1平周面62bは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第1軸部62の弦を形成している。
【0065】
図5及び
図6に示すように、第2突起63は、ケース50の設置面50aから回路基板31に向かって延びている。第2突起63は、第1突起61から離れている。以下、第1突起61から第2突起63に向かう方向を、変形方向としての第1変形方向D1と称することがある。第1変形方向D1は、ケース50の厚さ方向に垂直である。
【0066】
図7~
図10に示すように、第2突起63は、第2軸部64と、第1爪部65と、を備える。
図7に示すように、第2軸部64は、設置面50aに接続されている柱状の突起である。第1軸部62は、ケース50の設置面50aから回路基板31に向かって延びている。第2軸部64は、第1変形方向D1に弾性変形可能である。
【0067】
図7及び
図9に示すように、第2軸部64の周面は、第2曲周面64aと、第2平周面64bと、を含む。
図9に示すように、第2曲周面64aは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第2軸部64の弧を形成している。
【0068】
第2平周面64bは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第2軸部64の弦を形成している。第2平周面64bは、第1変形方向D1において第1平周面62bと向かい合っている。
【0069】
図9に示すように、第1軸部62が延びる方向に垂直な面における第1軸部62の断面積は、第2軸部64が延びる方向に垂直な面における第2軸部64の断面積よりも大きい。第1変形方向D1における第1軸部62の最大の厚さは、第1変形方向D1における第2軸部64の最大の厚さより長い。このため、第1突起61は、第2突起63に比べて、第1変形方向D1に変形しにくい突起となっている。
【0070】
図10に示すように、第2軸部64のケース50の厚さ方向の長さは、回路基板31の厚さより所定のクリアランス距離dだけ長い。換言すれば、第2軸部64は、第1位置決め孔35からクリアランス距離dだけ突出している。
【0071】
図7、
図8、及び
図10に示すように、第1爪部65は、回路基板31に係止される突起である。第1爪部65は、第2軸部64に接続されている。本実施形態では、第1爪部65は半円錐状であり、第1爪部65の底面は第2軸部64の先端に接続されている。なお、第1爪部65の角は面取りされている。第1爪部65は、第1端面65aと、第1段差面65bと、第1傾斜面65cと、を備える。
【0072】
第1端面65aは、第2平周面64bに連続する平面である。第1端面65aは、第2平周面64bと面一に設けられている。第1端面65aは、第1変形方向D1において第2平周面64bと向かい合っている。第1端面65aと第2平周面64bとが、第1位置決めピン60に第1溝60aを画定している。第1溝60aは、第1変形方向D1に垂直に延びている。
【0073】
第1段差面65bは、少なくとも第1変形方向D1に第2曲周面64aから突出している面である。本実施形態では、第1段差面65bは、第1爪部65の底面に相当する。第1段差面65bは、第2曲周面64aに接続されている。第1段差面65bは、ケース50の厚さ方向において設置面50aと平行に向かい合っている。第1爪部65は、第1段差面65bにおいて、回路基板31の第1位置決め孔35に係止される。なお、「第1爪部65が第1位置決め孔35に係止される」とは、第1爪部65が第1位置決め孔35を貫通するように挿入された状態で、第1爪部65が第1位置決め孔35の開口端の周縁に係止されることをいう。本実施形態では、第1位置決め孔35の開口端の周縁は、第1面31aに含まれる。
【0074】
第1傾斜面65cは、第1段差面65bの外周縁に接続されている傾斜面である。第1傾斜面65cは、第2軸部64の延びる方向に、第1段差面65bから離れるにつれて、第1変形方向D1における第1端面65aとの最大の距離が短くなる。本実施形態では、第1傾斜面65cは、第1爪部65の側面のうちの曲面に相当する。第1傾斜面65cは、第1端面65aの先端から第2曲周面64aに向かうにつれて、第1端面65aの先端から第1軸部62に向かうにつれて広がっている。なお、第1段差面65bと第1傾斜面65cとの間には、面取りされた周面が設けられている。
【0075】
図3~
図5に示すように、第2位置決めピン70は、回路基板31との位置決めをする突起である。
図3に示すように、第2位置決めピン70は、第2位置決め孔36に挿入されている。したがって、第2位置決め孔36は、第2位置決めピン70が挿入される孔である。なお、第2位置決めピン70と第2位置決め孔36との間には、所定のクリアランスが設けられている。
【0076】
第2位置決めピン70は、設置面50aから垂直に延びている。第2位置決めピン70と第2短辺面50fとの距離は、第2位置決めピン70と第1短辺面50eとの距離より短い。第2位置決めピン70と第1長辺面50cとの距離は、第2位置決めピン70と第2長辺面50dとの距離より短い。
【0077】
図6に示すように、第2位置決めピン70は、第1位置決めピン60に対して第1変形方向D1に離れて配置されている。本実施形態では、第2位置決めピン70は、第1バスバー収容部51aの収容溝53と第2バスバー収容部51bの収容溝53との間に配置されている。
【0078】
図5~
図9に示すように、本実施形態の第2位置決めピン70の形状は、第1位置決めピン60の形状と同一のものである。第2位置決めピン70は、第3突起71と、第4突起73と、を備える。
【0079】
図5及び
図6に示すように、第3突起71は、ケース50の設置面50aから回路基板31に向かって延びている。
図7~
図9に示すように、第3突起71は、第3軸部72を備える。
【0080】
図7に示すように、第3軸部72は、ケース50の設置面50aに接続されている柱状の突起である。
図8及び
図9に示すように、第3軸部72は、ケース50を設置面50aから平面視した場合に半円形状となる。第3軸部72の周面は、第3曲周面72aと、第3平周面72bと、を含む。
【0081】
図8に示すように、第3曲周面72aは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第3軸部72の弧を形成している。
第3平周面72bは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第3軸部72の弦を形成している。
【0082】
図5及び
図6に示すように、第4突起73は、ケース50の設置面50aから回路基板31に向かって延びている。第4突起73は、第3突起71から離れている。以下、第3突起71から第4突起73に向かう方向を、第2変形方向D2と称することがある。第2変形方向D2は、ケース50の厚さ方向に垂直である。なお、本実施形態では、第2変形方向D2は、第1変形方向D1と反平行である。第4突起73は、第2変形方向D2に弾性変形可能である。
【0083】
図7~
図9に示すように、第4突起73は、第4軸部74と、第2爪部75と、を備える。
第4軸部74は、設置面50aに接続されている柱状の突起である。第3軸部72は、ケース50から回路基板31に向かって延びている。第4軸部74は、第2変形方向D2に弾性変形可能である。
【0084】
図7~
図9に示すように、第4軸部74の周面は、第4曲周面74aと、第4平周面74bと、を含む。
図7及び
図9に示すように、第4曲周面74aは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第4軸部74の弧を形成している。
【0085】
第4平周面74bは、ケース50を設置面50aから平面視した場合に第4軸部74の弦を形成している。第4平周面74bは、第2変形方向D2において第3平周面72bと向かい合っている。
【0086】
図9に示すように、第3軸部72が延びる方向に垂直な面おける第3軸部72の断面積は、第4軸部74が延びる方向に垂直な面における第4軸部74の断面積よりも大きい。第2変形方向D2における第3軸部72の最大の厚さは、第2変形方向D2における第4軸部74の厚さより長い。このため、第3突起71は、第4軸部74に比べて、第2変形方向D2に変形しにくい突起となっている。第4軸部74のケース50の厚さ方向の長さは、第2軸部64と同様に、回路基板31の厚さより所定のクリアランス距離dだけ長い。換言すれば、第4軸部74は、第2位置決め孔36からクリアランス距離dだけ突出している。
【0087】
図7及び
図8に示すように、第2爪部75は、回路基板31に係止される突起である。第2爪部75は、第4軸部74に接続されている。本実施形態では、第2爪部75は半円錐状であり、第2爪部75の底面は第4軸部74の先端に接続されている。なお、第2爪部75の角は面取りされている。第2爪部75は、第2端面75aと、第2段差面75bと、第2傾斜面75cと、を備える。
【0088】
第2端面75aは、第4平周面74bに連続する平面である。第2端面75aは、第4平周面74bと面一に設けられている。第2端面75aは、第2変形方向D2において第4平周面74bと向かい合っている。第2端面75aと第4平周面74bとが、第2位置決めピン70に第2溝70aを画定している。第2溝70aは、第2変形方向D2に垂直に延びている。
【0089】
第2段差面75bは、少なくとも第2変形方向D2に第4曲周面74aから突出している面である。本実施形態では、第2段差面75bは、第2爪部75の底面に相当する。第2段差面75bは、第4曲周面74aに接続されている。第2段差面75bは、ケース50の厚さ方向において設置面50aと平行に向かい合っている。第2爪部75は、第2段差面75bにおいて、回路基板31の第2位置決め孔36に係止される。なお、「第2爪部75が第2位置決め孔36に係止される」とは、第2爪部75が第2位置決め孔36を貫通するように挿入された状態で、第2爪部75が第2位置決め孔36の開口端の周縁に係止されることをいう。本実施形態では、第2位置決め孔36の開口端の周縁は、第1面31aに含まれる。
【0090】
第2傾斜面75cは、第2段差面75bの外周縁に接続されている傾斜面である。第2傾斜面75cは、第4軸部74の延びる方向に、第2段差面75bから離れるにつれて、第2変形方向D2における第2端面75aとの最大の距離が短くなる。本実施形態では、第2傾斜面75cは、第2爪部75の側面のうちの曲面に相当する。第2傾斜面75cは、第2端面75aの先端から第4曲周面74aに向かうにつれて、第2端面75aの先端から第3軸部72に向かうにつれて広がっている。なお、第2段差面75bと第2傾斜面75cとの間には、面取りされた周面が設けられている。
【0091】
図6に示すように、第2位置決めピン70は、第1位置決めピン60に対して第1突起61と第3突起71とが互いに向かい合うように配置されている。第2短辺面50fから第1変形方向D1に向かって順に、第2突起63、第1突起61、第3突起71、及び第4突起73が配置されている。本実施形態では、第2突起63、第1突起61、第3突起71、及び第4突起73は、第2変形方向D2と第1変形方向D1とが反平行となるように配置されている。
【0092】
なお、第2位置決めピン70は、第1位置決めピン60に対して、第2突起63と第4突起73とが互いに向かい合うように配置されていてもよい。例えば、第2短辺面50fから第1変形方向D1に向かって順に第1突起61、第2突起63、第4突起73、第3突起71の順に配置されていてもよい。
【0093】
<作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
図11(a)に示すように、回路基板31とバスバーアセンブリ40とのずれが生じていない状態では、設置面50aが回路基板31と接している。そのため、第1爪部65の第1段差面65bは、回路基板31の第2面31bから回路基板31の厚さ方向にクリアランス距離dだけ離れている。なお、バスバーアセンブリ40は、基板接続部43において、はんだSを用いたはんだ付け等により回路基板31と接続されている。
【0094】
仮に、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して回路基板31の第2面31bに平行な方向に移動すると、第1位置決めピン60の第1軸部62又は第2軸部64が第1位置決め孔35に干渉する。このように、第1位置決めピン60は、バスバーアセンブリ40が回路基板31の第2面31bに沿って移動することを規制している。
【0095】
図11(b)に示すように、バスバーアセンブリ40が回路基板31の厚さ方向にずれることがある。このようなずれの原因は、例えば、圧縮部20の駆動による電動圧縮機10の振動や、外部から電動圧縮機10への衝撃が挙げられる。
【0096】
回路基板31に対するバスバーアセンブリ40の厚さ方向のずれがクリアランス距離dに達すると、第1爪部65が回路基板31の第1面31aに係止される。これにより、第1爪部65は、バスバーアセンブリ40が回路基板31の第2面31bに垂直な方向に移動することを規制している。したがって、バスバーアセンブリ40は、第1位置決めピン60の第1爪部65において、回路基板31と結合している。
【0097】
バスバーアセンブリ40は、基板接続部43及び第1位置決めピン60において、回路基板31と結合している。言い換えれば、回路基板31は、接続孔34及び第1位置決め孔35において、バスバーアセンブリ40と結合している。
【0098】
バスバーアセンブリ40が回路基板31の厚さ方向にずれると、設置面50aが第2面31bに対して傾斜する。
このとき、設置面50aと第2面31bとのなす角は、回路基板31に対するバスバーアセンブリ40のずれが大きくなるほど大きくなる。したがって、設置面50aと第2面31bとのなす角の大きさは、回路基板31に対するバスバーアセンブリ40のずれを反映している。そのため、以下の説明では、設置面50aと第2面31bとのなす角を、「ずれ量」と称することがある。
【0099】
本実施形態におけるずれ量θ1が最大となるのは、第1爪部65が回路基板31の第1面31aに係止されているときである。このとき、接続孔34と第1位置決め孔35との間の距離をL1とすると、ずれ量θ1は、θ1=arctan(d/L1)で表される。
【0100】
比較例として回路基板31に開口部32を設けない場合の一例として、バスバーアセンブリ40の端子収容部52が、回路基板31の第1面31aに沿う方向において、回路基板31の外縁部31cから突出している場合について説明する。
【0101】
図12(a)に示すように、設置面50aのうち、回路基板31の外縁部31cから突出している領域には、第1位置決めピン60を設けることができない。当該領域には、設置面50aにおいて端子収容部52よりも第2短辺面50fに近い領域が含まれる。したがって、第1位置決めピン60は、端子収容部52よりも第1短辺面50eに近い領域に設けざるを得ない。これに伴い、比較例における接続孔34と第1位置決め孔35との距離L2は、本実施形態の距離L1よりも短くなる。
【0102】
そのため、
図12(b)に示すように、比較例における第1爪部65が第2面31bに係止されている場合のずれ量θ2は、arctan(d/L2)となるため、比較例における最大のずれ量θ2は、本実施形態における最大のずれ量θ1よりも大きくなる。
【0103】
さらに、
図4に示すように、第1爪部65は、第1位置決め孔35に係止されている。これにより、回路基板31の第1面31aを平面視した場合に第1爪部65が外縁部31cから突出しない。そのため、外縁部31cに対して他の部材が干渉する場合に、当該部材の第1爪部65に対する干渉が抑制される。
【0104】
<効果>
以下、本実施形態の効果について説明する。
(1)ケース50は、端子挿入部42を収容する端子収容部52と、回路基板31との位置決めを行う第1位置決めピン60と、回路基板31に係止される第1爪部65と、を備える。回路基板31は、基板接続部43が挿入される接続孔34と、第1位置決めピン60が挿入される第1位置決め孔35を備える。開口部32は、接続孔34と第1位置決め孔35との間に配置される。第1爪部65は、第1位置決め孔35に係止される。
【0105】
これによれば、バスバーアセンブリ40が回路基板31の第2面31bに沿って移動すると、第1位置決めピン60が第1位置決め孔35と干渉する。これにより、バスバーアセンブリ40が回路基板31の第2面31bに沿って移動することが、規制される。
【0106】
バスバーアセンブリ40が回路基板31の第2面31bに垂直な方向に移動すると、第1爪部65が第1位置決め孔35に係止される。これにより、バスバーアセンブリ40が回路基板31の第2面31bに垂直な方向に移動することが、規制される。
【0107】
第1爪部65が回路基板31の第1位置決め孔35に係止されることにより、第1爪部65が回路基板31の外縁部31cに係止される場合に比べて、第1爪部65に他の部材が干渉しにくくなる。そのため、回路基板31に対するバスバーアセンブリ40のずれが抑制される。
【0108】
したがって、バスバーアセンブリ40と回路基板31との接続不良を抑制することができる。
(2)第1位置決めピン60は、第1突起61と、第1突起61から離れている第2突起63と、を備える。
【0109】
第1突起61は、回路基板31に向かって延びる第1軸部62を備える。第2突起63は、第1突起61から第2突起63に向かう第1変形方向D1に弾性変形可能であるとともに回路基板31に向かって延びる第2軸部64と、第2軸部64に接続される第1爪部65と、を備える。第1爪部65は、第1位置決め孔35に係止される。
【0110】
これによれば、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して回路基板31の厚さ方向にずれると、第1位置決めピン60の第1爪部65が回路基板31に係止される。このとき、開口部32が接続孔34と第1位置決め孔35との間に配置されているため、開口部32と接続孔34との間に第1位置決め孔35が配置されている場合に比べて、接続孔34と第1位置決め孔35との間の距離L1が長くなる。したがって、バスバーアセンブリ40のずれ量θ1を低減することができる。
【0111】
(3)第1軸部62が延びる方向に垂直な面における第1軸部62の断面積は、第2軸部64が延びる方向に垂直な面における第2軸部64の断面積よりも大きい。
これによれば、第1軸部62は、第2軸部64よりも変形しにくい。そのため、第1位置決めピン60の第1軸部62が第1位置決め孔35と干渉することにより、バスバーアセンブリ40の回路基板31に対するずれを抑制することができる。
【0112】
(4)バスバーアセンブリ40は、第2位置決めピン70を備える。回路基板31は、第2位置決めピン70が挿入される第2位置決め孔36を備える。第2位置決め孔36は、接続孔34と開口部32との間に配置されている。
【0113】
これによれば、電動圧縮機10の振動等によって、バスバーアセンブリ40が第1位置決めピン60を中心として回路基板31に対して回転しようとする場合に、当該回転が第2位置決めピン70によって規制される。したがって、回路基板31に対するバスバーアセンブリ40の回転方向のずれを抑制することができる。
【0114】
(5)第2位置決めピン70は、第1位置決めピン60に対して第1変形方向D1に離れて配置されている。
これによれば、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して第1変形方向D1にずれることで第2突起63の弾性変形が引き起こされると、第2位置決めピン70が第2位置決め孔36に干渉する。したがって、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して第1変形方向D1にずれることを抑制することができる。
【0115】
(6)第2位置決めピン70は、第3突起71と、第3突起71から離れている第4突起73と、を備える。第3突起71は、回路基板31に向かって延びる第3軸部72を備える。第4突起73は、第3突起71から第4突起73に向かう第2変形方向D2に弾性変形可能であるとともに回路基板31に向かって延びる第4軸部74と、第4軸部74に接続されるとともに回路基板31に係止される第2爪部75と、を備える。
【0116】
第3軸部72が延びる方向に垂直な面における第3軸部72の断面積は、第4軸部74が延びる方向に垂直な面における第4軸部74の断面積よりも大きい。
これによれば、第1位置決めピン60の第1爪部65に加え、第2位置決めピン70の第2爪部75が、バスバーアセンブリ40の回路基板31の厚さ方向への移動を規制する。これにより、当該規制の際に第1爪部65にかかる力を第2爪部75に分散させることができる。したがって、ずれを抑制する際にバスバーアセンブリ40にかかる負担を軽減することができる。
【0117】
(7)さらに、第1突起61と第3突起71とは、互いに向かい合う。
これによれば、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して第1変形方向D1にずれようとすると、第1突起61が第1位置決め孔35と干渉し、又は第3突起71が第2位置決め孔36と干渉する。例えば、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して第1位置決めピン60から第2位置決めピン70に向かってずれると、第1突起61が第1位置決め孔35と干渉する。一方、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して第2位置決めピン70から第1位置決めピン60に向かってずれると、第3突起71が第2位置決め孔36と干渉する。したがって、バスバーアセンブリ40が回路基板31に対して第1変形方向D1にずれることを抑制することができる。
【0118】
(8)バスバー41は、端子挿入部42と基板接続部43とを接続する板状の連結部44を備える。ケース50は、連結部44を収容する収容溝53と、収容溝53の内側面53aから収容溝53の幅方向に突出することで連結部44を支持する支持部54と、を備える。
【0119】
これによれば、支持部54が収容溝53の幅方向から連結部44を支持することによって、バスバー41のケース50内での移動が規制される。したがって、バスバー41とケース50とのずれを抑制することができる。
【0120】
(9)開口部32は、回路基板31の外縁部31cに対して開口している。
これによれば、開口部32が回路基板31の内部を貫通する場合に比べて、開口部32の形成が容易となる。したがって、電動圧縮機10に取り付けるインバータ装置30の製造を容易にすることができる。
【0121】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0122】
○開口部32の形状は、実施形態のものに限らず、例えば、三角形状の切り欠きや半円形状の切り欠きでもよい。
○開口部32は、外縁部31cに対して開口していない貫通孔であってもよい。
【0123】
○ケース50は、支持部54を備えていなくてもよい。言い換えれば、内側面53aは、収容溝53の幅方向に突出しない平面であってもよい。
○ケース50は、連結部44を収容する収容溝53を備えていなくてもよい。この場合、連結部44は、回路基板31及び他のバスバー41との絶縁性が確保されていれば、ケース50から露出していてもよい。
【0124】
○第2変形方向D2は、第1変形方向D1と反平行でなくてもよい。例えば、第2変形方向D2は、第1変形方向D1に対して垂直であってもよい。
○第2位置決めピン70は、第1位置決めピン60と同じ形状でなくてもよく、任意の形状を採用することができる。例えば、
図13に示すように、第2位置決めピン70は、例えば、円柱状の突起であってもよい。言い換えれば、第2位置決めピン70は、第4突起73を備えていなくてもよい。
【0125】
○第2位置決めピン70とは、第1位置決めピン60に対して第1変形方向D1に離れて配置されていなくてもよい。例えば、第2位置決めピン70は、第1バスバー収容部51aと第2バスバー収容部51bとの間に設けられていてもよい。
【0126】
○バスバーアセンブリ40は、第2位置決めピン70を備えていなくてもよい。これに伴い、回路基板31は第2位置決め孔36を備えていなくてもよい。この場合であっても、回路基板31とバスバーアセンブリ40とは、接続孔34と基板接続部43とで結合されており、かつ、第1位置決め孔35と第1位置決めピン60とで結合されている。これら2箇所の結合が、回路基板31とバスバーアセンブリ40とのずれを抑制している。
【0127】
○第1位置決めピン60の形状は、回路基板31に係止される第1爪部65が設けられていれば任意である。例えば、第1位置決めピン60は、第1突起61を備えていなくてもよく、第2突起63を備えていればよい。
【0128】
○第1位置決めピン60の形状は、第1位置決め孔35に挿入可能であって、挿入されている状態で第1爪部65が回路基板31に係止されることができれば任意である。例えば、第1位置決めピン60は、四角柱状の突起に第1爪部65が設けられていても良い。
【0129】
○第1爪部65は、第1位置決め孔35に係止されていなくてもよく、開口部32に係止されていてもよい。この場合、第1爪部65は、第1位置決めピン60に設けられていなくてもよい。なお、「第1爪部65が開口部32に係止される」とは、第1爪部65が開口部32を貫通するように挿入された状態で、第1爪部65が開口部32の端部の周縁に係止されることをいう。本実施形態では、開口部32の端部の周縁は、回路基板31の第1面31aに含まれる。
【0130】
図14に示すように、例えば、第1爪部65は、開口部32の第2辺部32bに係止されていてもよい。この場合、第1爪部65は第1位置決めピン60と異なる突起に設けられていてもよい。また、第1爪部65と同様に、第2爪部75は、開口部32の第1辺部32aに係止されていてもよい。この場合、第2爪部75は第2位置決めピン70と異なる突起に設けられていてもよい。なお、第2位置決めピン70及び第2爪部75は設けられていなくてもよい。この場合、回路基板31のうち第1爪部65に係止される領域と接続孔34との間に、開口部32が設けられているとよい。
【0131】
○各基板締結孔33a,33bの数及び位置は、実施形態のものに限らず、任意である。
○バスバー収容部51は、ケース50の短辺方向に並ぶように設けられなくてもよい。バスバー収容部51の延びる方向に対して垂直な方向に並ぶように設けられなくてもよい。例えば、バスバー収容部51は、設置面50aの面内において、隣り合う他のバスバー収容部51とケース50の長辺方向において離れた位置に配置されていてもよい。
【0132】
○圧縮部20が圧縮するものは、冷媒に限られない。例えば、圧縮部20が圧縮するものは、酸素、窒素、又は空気などの冷媒以外の流体でもよい。
【符号の説明】
【0133】
10…電動圧縮機、20…圧縮部、30…インバータ装置、31…回路基板、32…開口部、34…接続孔、35…第1位置決め孔、36…第2位置決め孔、40…バスバーアセンブリ、41…バスバー、42…端子挿入部、43…基板接続部。44…連結部、50…ケース、53…収容溝、53a…内側面53a、54…支持部、60…第1位置決めピン、61…第1突起、62…第1軸部、63…第2突起、64…第2軸部、65…第1爪部、70…第2位置決めピン、71…第3突起、72…第3軸部、73…第4突起、74…第4軸部、75…第2爪部、D1…第1変形方向、D2…第2変形方向。