(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/26 20060101AFI20240214BHJP
B60Q 1/52 20060101ALI20240214BHJP
B60Q 5/00 20060101ALI20240214BHJP
F21S 10/06 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60Q1/26 A
B60Q1/52
B60Q5/00 610B
B60Q5/00 680
F21S10/06
(21)【出願番号】P 2021086797
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】312001937
【氏名又は名称】株式会社パトライト
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅本 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】竹田 晃史
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-003565(JP,A)
【文献】特開平11-245718(JP,A)
【文献】実開昭55-048697(JP,U)
【文献】実開昭64-040104(JP,U)
【文献】実開平05-046575(JP,U)
【文献】特開平07-172235(JP,A)
【文献】特開2006-302536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
B60Q 5/00
F21S 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部外郭部材と、前記上部外郭部材と嵌合可能な底部材と、を有
し、密閉空間を形成する本体部と、
前記本体部を移動体の表面に着脱可能に装着するための取り付け部と、
前記本体部を前記取り付け部に締結する締結部材と、を含み、
前記取り付け部は、前記底部材と嵌合可能な
差し込み部を有する弾性体部材と、前記表面に装着可能な装着可能部材と、を有し、
前記本体部の前記底部材の外郭面には、前記取り付け部の前記
差し込み部を収納可能な空間を形成する凹部を有し、
前記締結部材が、前記
差し込み部を前記
凹部の中に
差し込んだ状態で、前記本体部と前記取り付け部と
を固定
し、前記本体部と前記取り付け部との固定および取り外しにおいて、前記密閉空間を形成する本体部を分解することがない、車載装置。
【請求項2】
前記本体部は、警告灯本体からなり、
前記弾性体部材および前記装着可能部材は、一体に形成され、
前記弾性体部材は、ゴム部材からなり、
前記装着可能部材は、磁性体からなる、請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記締結部材は、前記
凹部内に前記
差し込み部を押圧収納
する、請求項1または2記載の車載装置。
【請求項4】
前記底部材の凹部は、筒部および壁部により、円筒形状の前記空間が形成され、
前記空間に対して、前記
差し込み部が押圧される、請求項1から3のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項5】
前記取り付け部は、前記底部材と嵌合可能な前記
差し込み部に対して連続して肉厚に形成された、請求項1から4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記締結部材は、1または複数の螺子部材および1または複数の座金部材、または、1または複数からなる一体に形成された座金付き螺子部材からなり、前記1または複数の螺子部材のそれぞれに対して、インサートナットまたは溶着されたナットが設けられた、請求項1から5のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記移動体は、車両であり、
前記取り付け部は、平面を有し、
前記移動体の前記表面は、車両のボディ面である、請求項1から6のいずれか1項に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に警告灯、音および音声の報知装置、照明装置、無線装置等を含む車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パトロールカーのような緊急車両等においては、着脱可能な警告灯が用いられている。この警告灯については、種々の開発が行なわれている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平11-245718号公報)には、自動車の故障、事故等の緊急時に、迅速にフラッシュ発光警告を行なう事で、追突事故の防止器具として、又同じ本体で発光源を交換する事で、非常燈、夜間工事保安燈、等の標識燈として多用途に使用出来る警告、照明燈具について開示されている。
【0004】
特許文献1記載の警告、照明燈具においては、電子回路、発光源取り付け部、電池室、外部電源ソケットを内蔵した本体の上部に発光源を設けその外周に透光性の有る外装笠と底にマグネットを装備した底蓋を装着し、発光源取り付け部は、共通なソケットとし、各種発光源、フラッシュ発光源,LED発光源,電球,集光レンズと反射鏡付き指向性発光源及び外装笠等が交換出来ることを特徴とするものである。
【0005】
また、特許文献2(特開2010-3565号公報)には、緩衝効果が高くて共振の発生を抑制できる報知装置の取付構造について開示されている。
【0006】
特許文献2記載の報知装置の取付構造は、報知装置の底面を、取付対象部材の天面に取り付ける報知装置の取付構造であって、上記報知装置の底面および上記取付対象部材の天面間に介在する緩衝部材と、上記緩衝部材を上記報知装置の底面に取り付ける第1の固定部材と、上記緩衝部材を上記取付対象部材の天面に取り付ける第2の固定部材とを備え、上記緩衝部材は、上記報知装置の底面に対向する上面と、上記取付対象部材の天面に対向する下面と、上記第1の固定部材に近接して設けられ上記報知装置の底面に当接する第1の主緩衝部と、上記第2の固定部材に近接して設けられ上記取付対象部材の天面に当接する第2の主緩衝部と、上記報知装置の振動を減衰させる副緩衝部とを含み、上記副緩衝部は、上記第1の主緩衝部および上記第1の固定部材から離隔して設けられており上記上面から突出する少なくとも一つの弾性突起を有し上記報知装置の底面に当接する第1の副緩衝部と、上記第2の主緩衝部および上記第2の固定部材から離隔して設けられており上記下面から突出する少なくとも一つの弾性突起を有し上記取付対象部材の天面に当接する第2の副緩衝部との少なくとも一方を含むものである。
【0007】
また、特許文献3(特開平9-115311号公報)には、前方下方へ大きく傾斜した車両の屋根に対して、警告灯装置を略水平状態に搭載し、前後位置で厚みの異なるシートパッキンを用いても、警告灯装置を略水平の安定した搭載状態に維持する警告灯装置の取付構造について開示されている。
【0008】
特許文献3の警告灯装置の取付構造は、警告灯と、警告灯の下面に固定された取付台と、この取付台と車両の屋根の間に介装されるシートパッキンとを備えた警告灯装置において、前記シートパッキンが少なくとも車両の屋根の前後方向への傾斜に対応して上面側を略水平に保つことができるように、片側へ肉厚に成るように形成すると共に、前記シートパッキンの片側に厚いスペーサーを、また他側に薄いスペーサーを嵌合し得るように構成したものである。
【0009】
特許文献4(特開平9-118176号公報)には、本体に予めレンズが組み付けられた表示燈組立体を、直接スタツドへ組み込んで屋根板へ固定できる車両識別用表示燈の取付構造について開示されている。
【0010】
特許文献4の車両識別用表示燈の取付構造は、バルブを支持しかつドーム形のレンズにより覆われる本体が、板状のパツキンを介して屋根板に取り付けられる車両識別用表示燈の取付構造において、屋根板に固定したスタツドが貫通する通孔を前記パツキンと本体に設け、本体の前記通孔を囲む平坦な壁部に、板ばねからなるクリツプ板を結合し、クリツプ板から切り起されかつ前記通孔の斜め上方へ突出する1対の弾性係合片をスタツドのねし溝ヘ係合したものである。
【0011】
特許文献5(実公平4-25775号公報)には、車両のルーフ上に取付けられ、警告信号として回転閃光信号を発して注意喚起や通行者の案内等を目的として使用される車載用警告灯の支持具について開示されている。
【0012】
特許文献5記載の車載用警告灯の支持具は、車載用警告灯を車両のルーフ上に取付けるための支持具であって、警告灯を支承するホルダと車両ルーフ面上に取付けるブラケットから構成し、ブラケットの左右にリッセツした隔壁に縦長の長穴を設けてホルダ垂下片を高さ調節および回転自在に枢着して、警告灯の取付角度を任意調節するもので、該隔壁の内面にナット保持部を具備してナットを上下移動可能に遊嵌し、該隔壁の長穴を介して外方よりボルトを螺止することで、ホルダ垂下片を該隔壁に外嵌し、ホルダの警告灯締着部を中心軸線上から外すとともに各締着部を支持具中央に対して対象、且つ内方から警告灯締着部、金具間締着部、車両ルーフ締着部と配置して成るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開平11-245718号公報
【文献】特開2010-3565号公報
【文献】特開平9-115311号公報
【文献】特開平9-118176号公報
【文献】実公平4-25775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1記載の警告、照明燈具においては、
図1から
図4に示すように、底部にマグネットを装備した底蓋が設けられている。しかしながら、マグネットだけの交換、または、底蓋は、樹脂からなるため、車両のボディ面等に、すり傷等の影響が残るという問題が残る。
また、擦り傷を防止するため、ゴム製のブラケットを採用した製品でも警告灯本体と一体に形成されているため、ゴム製のブラケットが劣化した場合、警告灯全体を交換する必要があり、経済的または地球環境の観点からも適当ではない。
同様に、特許文献2乃至5に記載の取付構造または支持具等については、容易に着脱可能な構造等について開示されておらず、さらに取り付け部の劣化について対応することができない。
【0015】
本発明の目的は、容易に取り付け部を交換できる車載装置を提供することである。
本発明の他の目的は、取り付け面に擦り傷を残さず、脱着容易で、かつ、容易に取り付け部を交換できる車載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)
一局面に従う車載装置は、上部外郭部材と、上部外郭部材と嵌合可能な底部材と、を有する本体部と、本体部を移動体の表面に着脱可能に装着するための取り付け部と、締結部材と、を含み、取り付け部は、底部材と嵌合可能な部位を有する弾性体部材と、表面に装着可能な装着可能部材と、を有し、本体部の底部材の外郭面には、取り付け部の部位を収納可能な空間を形成する凹部を有し、部位を空間の中に差込み、締結部材により本体部と取り付け部とが固定されるものである。
【0017】
この場合、本体部は、上部外郭部材と底部材とが嵌合することにより形成される。また、取り付け部の部位は、締結部材により本体部の底部材の外郭面に固定される。
その結果、移動体の表面に取り付けられた車載装置の取り付け部のみが劣化した場合であっても、締結部材を取り外すことにより、容易に取り付け部の交換を実施することができる。
【0018】
(2)
第2の発明に係る車載装置は、一局面に従う車載装置において、本体部は、警告灯本体からなり、弾性体部材および装着可能部材は、一体に形成され、弾性体部材は、ゴム部材からなり、装着可能部材は、磁性体からなってもよい。
【0019】
この場合、弾性体部材および装着可能部材は、一体に形成され、弾性体部材はゴム部材からなり、装着可能部材は磁性体からなる。その結果、移動体の表面が金属の場合、容易に磁力で着脱することができる。
【0020】
(3)
第3の発明に係る車載装置は、一局面または第2の発明に係る車載装置において、締結部材は、空間内に部位を押圧収納し、上部外郭部材および底部材は、密閉空間を形成してもよい。
【0021】
この場合、底部材に形成された空間内に、弾性体部材の部位を押圧収納させ、上部外郭部材および底部材は、密閉空間を形成させる。この結果、上部外郭部材および底部材による密閉性と、底部材および取り付け部の部位との密閉性を可能にすることができる。
【0022】
(4)
第4の発明に係る車載装置は、一局面から第3の発明に係る車載装置において、底部材の凹部は、筒部および壁部により、円筒形状の空間が形成され、空間に対して、部位が押圧されてもよい。
【0023】
この場合、底部材の凹部は、筒部および壁部からなり、当該部位が収納可能な円筒形状の空間が形成される。また、部位は、円筒形状の当該一方向である鉛直方向に対して、0.5mm大きく形成されるため、押圧され、一方向と交差する方向である水平方向に対して、誤差程度に形成されるため、適度に押圧される。その結果、本体部および取り付け部の密閉性を確実に保持することができる。
なお、押圧割合は、1%以上20%以下の範囲内であることが望ましく、10%前後であることが望ましい。
【0024】
(5)
第5の発明に係る車載装置は、一局面から第4の発明に係る車載装置において、取り付け部は、底部材と嵌合可能な部位に対して連続して肉厚に形成されてもよい。
【0025】
この場合、取り付け部は、底部材と嵌合可能な部位に対して連続して肉厚に形成されるため、移動体の振動を吸収することができ、車載装置の揺れを適切に吸収することができる。
取り付け部の肉厚は、曲率的に大きく変化するように形成されており、大きく変化している最大肉厚部分は、他の部分の1.2倍以上5.0倍以下であることが好ましく、階段状に変化するように形成されていてもよく、その他、任意の曲がり方で変化してもよい。
【0026】
(6)
第6の発明に係る車載装置は、一局面から第5の発明に係る車載装置において、締結部材は、1または複数の螺子部材および1または複数の座金部材、または、1または複数からなる一体に形成された座金付き螺子部材からなり、1または複数の螺子部材のそれぞれに対して、インサートナットまたは溶着されたナットが設けられたことが好ましい。
【0027】
この場合、座金により部位を空間内に押圧させることができる。また、一体に形成された座金付き螺子部材の場合、容易に組み立てることができ、1または複数の螺子部材および1または複数の座金部材の場合、コストを削減することができる。
さらに、1または複数の螺子部材のそれぞれに対して、インサートナットまたは熱溶着または振動溶着されたナットが設けられているので、取り付け部と本体部との密閉性を保持することができる。すなわち、1または複数の螺子部材周辺の気密性を確保することができる。
また、気密性を保持することで、車載装置全体の防水効果を確保することができる。さらに車両ボディ面(ルーフ面)に車載装置を装着時、取り付け部と車両ボディ面の気密性を高めることができ、車載装置の車両ボディ面への取り付け安定性を確保することができる。
【0028】
(7)
第7の発明に係る車載装置は、一局面から第6の発明に係る車載装置において、移動体は、車両であり、取り付け部は、平面を有し、移動体の表面は、車両のボディ面であってもよい。
【0029】
この場合、移動体の表面に、取り付け部の平面が取り付けられるので、表面と平面とが接触することで、吸盤効果を生じさせ、確実に取り付けることができる。
【0030】
(A)
移動体の表面に着脱可能に装着される車載装置であって、灯体を収容する上部外郭部材と、灯体を支持し、かつ上部外郭部材と嵌合可能な底部材と、を有する車載装置本体と、車載装置本体を移動体の表面に着脱可能に装着するための取付部材と、取付部材に車載装置本体を取り付ける締結部材と、を含み、取付部材は、底部材と嵌合可能な嵌合部を有する弾性体部材と、移動体の表面に装着可能な装着可能部材と、を有し、車載装置本体の底部材の底面には、取付部材の嵌合部を収納可能な嵌合空間が形成された被嵌合部が形成され、被嵌合部が嵌合空間の中に配置され、締結部材により車載装置本体と取付部材とが固定されてもよい。締結部材としては、ボルトおよびナット、ネジおよびナットなどを含むことができる。取付部材の嵌合部としては、略筒状の部材で形成してもよい。また、底部材の底面に形成された嵌合空間としては、上記略筒状の部材が挿入配置されるリング状の溝で形成してもよい。
【0031】
(B)
移動体の表面に着脱可能に装着される車載装置であって、灯体を支持する底部材と、底部材との間に収容空間を形成して収容空間内に灯体を収容するカバーと、を有する車載装置本体と、車載装置本体を移動体の表面に着脱可能に装着するための取付部材と、取付部材に車載装置本体を取り付ける締結部材と、を含み、底部材の底面に突部が形成され、突部の周囲に筒部が形成され、取付部材は、底部材の突部と筒部との間に形成された嵌合凹部に嵌合可能な嵌合部が突設された弾性体と、移動体の表面に装着可能な装着可能部材と、を有し、底部材の突部に通孔が形成され、取付部材の嵌合部が嵌合凹部に配置され、底部材の通孔に挿通された締結部材により底部材が取付部材に固定されてもよい。
【0032】
(C)
締結部材は、通孔に配置されたナットと、座付ネジとを有し、座付ネジを突部の通孔に挿通しナットに螺合することにより、座付ネジと底部材との間で取付部材が挟持されてもよい。
座付ネジは底部材の底面に確実に固定される。また、座付ネジと底部材との間で取付部材が挟持されるので、底部材と取付部材はシール性良く連結される。
【0033】
(D)
取付部材の嵌合部は突部を囲む略筒状に形成され、移動体の表面、座付ネジおよび嵌合部によって気密空間が形成されてもよい。この気密空間によって、移動体の表面に車載装置本体を吸着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る警告灯の外観の一例を説明するための模式図である。
【
図2】警告灯の内部構造の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図4】警告灯における本体部に、取り付け部を固定する状態の一例を示す模式図である。
【
図5】本体部に、取り付け部を固定する状態の一例を示す模式的拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0036】
本実施の形態において、「車両」とは、パトロールカー、他の緊急車両、道路維持作業車、消防自動車、トラック、フォークリフト、建設機械などの他の任意の車両である。
また、本実施の形態において、車載装置の一例として、「警告灯」を例示するが、車載装置は、これに限定されず、音および音声の報知装置、照明装置、無線装置、センサ等を含むものである。
【0037】
(実施の形態)
図1は、本発明に係る警告灯100の外観の一例を説明するための模式図であり、
図2は、警告灯100の内部構造の一例を説明するための模式的断面図である。
【0038】
図1および
図2に示すように、警告灯100は、主に、警告灯100の本体部200および取り付け部300を含む。警告灯100は、一般的に車両のボディ面500等(例えば、ルーフ面)に着脱可能に取り付けられる。
【0039】
図1および
図2に示すように、警告灯100の本体部200は、主に、上部ケース210(グローブとも呼ばれる。)および底ケース220からなる。本実施の形態においては、上部ケース210および底ケース220により密閉空間が形成される。
【0040】
また、
図2に示すように、上部ケース210および底ケース220により形成された密閉空間内に発光部250が内蔵される。発光部250は、底ケース220に取付けられる。また、発光部250は、発光して点滅、点灯し、上部ケース210を透過して、周囲に警告を促すことができる。
【0041】
さらに、
図2に示すように、取り付け部300(ゴムブラケットとも呼ばれる。)は、主に、ゴム部材310および磁力板320を含む。本実施の形態においては、ゴム部材310および磁力板320は、一体に形成されている。
また、ゴム部材310および磁力板320は、移動体である車両のボディ面500に対して、面で接触するように形成されている。すなわち、ゴム部材310および磁力板320により面一の平面が形成されている。
なお、本実施の形態においては、ゴム部材310および磁力板320は一体に形成されていることとしているが、これに限定されず、別体で形成されていてもよい。さらに、ゴム部材310および磁力板320の表面は、平面度または耐候性を高めるため、コーティング処理等、任意の処理が施されていても良い。取り付け部300の磁力板320が車両のボディ面500に接触するよう取り付け部300は車両のボディ面500に装着される。
【0042】
その結果、ボディ面500と面接触することにより気密性が生じて吸着力が生み出され、吸盤効果を生じさせることができ、警告灯100をボディ面500にしっかりと固定することができる。
また、磁力板320により金属からなるボディ面500に磁力でしっかりと警告灯100を固定することができる。
両者の相乗効果により警告灯100をボディ面500にしっかりと固定することができる。
【0043】
図3は、
図2のA部の拡大的模式図である。
図3に示すように、底ケース220の下部には、円筒形状部222および円周壁224が形成されている。
また、当該円筒形状部222の密閉空間側には、インサートナットNが挿入されており、密閉状態を維持可能に形成されている。つまり、円筒形状部222に形成されたネジ孔にインサートナットNの通孔が合致するようにインサートナットNは底ケース220内に埋設されている。
【0044】
また、当該円筒形状部222および円周壁224により形成された空間内に、ゴム部材310の円筒形状の差し込み部312が挿入される。さらに、ゴム部材310の凹部350を介して座金Zにより差し込み部312が保持され、ボルトBが、インサートナットNに締結される。
【0045】
次いで、
図4は、警告灯100における本体部200に、取り付け部300を固定する状態の一例を示す模式図であり、
図5は、本体部200に、取り付け部300を固定する状態の一例を示す模式的拡大断面図である。
【0046】
図4に示すように、本実施の形態にかかる警告灯100は、本体部200の底ケース220の下面に3か所の円筒形状部222および円周壁224が形成されている。
同様に、取り付け部300にも、3か所の凹部350が形成されている。なお、
図4では図示していないが、
図3のA部の拡大的模式図に示した差し込み部312が3か所形成されている。
【0047】
図4に示すように、本実施の形態における警告灯100は、本体部200を分解することなく、取り付け部300を3個のボルトBおよび座金Zで本体部200に取付けることができる。
なお、本実施の形態においては、警告灯100の本体部200と、取り付け部300とを3か所で固定することとしているが、これに限定されず、1か所、2か所、n箇所(nは、任意の整数)で固定してもよい。
【0048】
次に、
図5において、本実施の形態にかかる本体部200と、取り付け部300との詳細について説明を行う。
図5に示すように、底ケース220の下面に形成された円筒形状部222および円周壁224により形成された円筒形状の空間は、奥行が、奥行H1で形成され、幅が、幅L1で形成される。
【0049】
一方、当該円筒形状の空間に、取り付け部300の嵌合される差し込み部312の長さは、奥行H1に相当する長さH2からなり、差し込み部312の幅は、幅L1に相当する幅L2からなる。
本実施の形態においては、奥行H1×110%=長さH2で形成され、幅L1+誤差=幅L2で形成される。
【0050】
また、円筒形状からなる差し込み部312の外周幅は、外周幅T1からなり、差し込み部312の内周幅は、内周幅T2からなる。また、当該内周幅T2は、円筒形状部222の外周幅が挿入可能な大きさからなる。また、凹部350の内周幅は、内周幅T3からなる。
本実施の形態においては、(外周幅T1-内周幅T2)×50%≦(内周幅T3-内周幅T2)を満たすように、形成される。
【0051】
さらに、内周幅T3に対して、座金Zの幅T4は、内周幅T3≒幅T4からなる。但し、内周幅T3より幅T4が小さいことが条件となる。すなわち、凹部350に座金Zが入る状態が好ましい。
【0052】
この場合、取り付け部300の差し込み部312が、底ケース220の形成された円筒形状の空間内に挿入される。また、円筒形状部222が、取り付け部300の差し込み部312の内周幅T2内に挿入される。
そして、差し込み部312の長さH2が奥行H1よりも大きいため、(図面において上下方向へ)空間から少し突出する。
本実施の形態においては、突出量は、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましい。なお、警告灯100のサイズまたは取り付け部300の素材に応じて突出量は、数%または数ミリ前後で、変動してもよい。
【0053】
次に、座金Zにより、差し込み部312の内周幅T3-内周幅T2の水平面が保持され、ボルトBを、インサートナットNに挿入して締結されることにより、座金Zにより当該突出量が空間内に押し込まれる。また、座金Zが、円筒形状部222の端部に接触することにより、ボルトBがインサートナットNに確実に締結され、緩み留め効果を得ることができる。すなわち、座金Zと円筒形状部222の端部との間にゴム素材を挟むことを防止することができる。
その結果、取り付け部300の差し込み部312が底ケース220に確実に保持される。
また、
図3および
図5に示すように、取り付け部300の凹部350の内部空間が密閉に形成されているため、ボディ面500に取り付けた場合に、凹部350内の体積が減少し、凹部350内が減圧され、さらにボディ面500に確実に吸盤効果を生じて密着させることができる。
また、警告灯100をボディ面500から、取り外す場合には、
図1に示す操作部360を、掴み引くことで警告灯100を容易に取り外すことができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、インサートナットNを用いることとしているが、これに限定されず、底ケース220にボルトBと締結可能なナット形状を形成してもよく、振動溶着または熱溶着等によりナットを取り付けるようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、ボルトBおよび座金Zからなることとしているが、これに限定されず、座金ZとボルトBとが一体となった、座金Z付のボルトBからなってもよい。
【0055】
次に、取り付け部300の差し込み部312の周囲部分311には、富士山形状が形成されている。すなわち、富士山形状または曲率的に大きく変化する肉厚形状311Rが形成されている。
当該、肉厚形状311Rは、警告灯100を車両のボディ面500に取付けた場合に伝達される、車両による振動、移動時の風による影響等の振動を吸収するためのものである。
【0056】
以上のように、本発明に係る警告灯100の本体部200は、上部ケース210および底ケース220が嵌合することにより形成される。また、取り付け部300の差し込み部312は、複数のボルトBおよび座金Zにより本体部200の底ケース220の外側に固定される。
その結果、車両のボディ面500の表面に取り付けられた警告灯100の取り付け部300のみが劣化した場合であっても、複数のボルトBおよび座金Zを取り外すことにより、容易に取り付け部300の交換を実施することができる。
すなわち、ゴム素材等の弾性体からなる取り付け部300が、劣化した場合でも、本体部200を分解することなく、取り付け部300の交換を容易に実施することができる。
【0057】
本発明においては、上部ケース210が、「上部外郭部材」に相当し、底ケース220が、「底部材」に相当し、本体部200が、「本体部」に相当し、ボディ面500が、「移動体の表面、車両のボディ面」に相当し、取り付け部300が、「取り付け部」に相当し、ボルトB、インサートナットNおよび座金Zが、「締結部材」に相当し、ゴム部材310が、「弾性体部材、ゴム部材」に相当し、磁力板320が、「装着可能部材、磁性体」に相当し、差し込み部312が、「部位」に相当し、円筒形状部222および円周壁224が、「凹部」に相当し、警告灯100が、「車載装置」に相当し、円筒形状部222が、「筒部」に相当し、円周壁224が、「壁部」に相当し、肉厚形状311Rが、「部位に対して連続して肉厚に形成」に相当し、ボルトBが、「螺子部材」に相当し、座金Zが、「座金部材」に相当し、インサートナットNが、「インサートナット」に相当する。
【0058】
本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0059】
100 警告灯
200 本体部
210 上部ケース
220 底ケース
222 円筒形状部
224 円周壁
300 取り付け部
310 ゴム部材
311R 肉厚形状
312 差し込み部
320 磁力板
500 ボディ面
B ボルト
N インサートナット
Z 座金