(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コネクタ格納装置
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20240214BHJP
B66C 23/36 20060101ALI20240214BHJP
B66C 23/64 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B66C23/26 F
B66C23/36 A
B66C23/64
(21)【出願番号】P 2021184310
(22)【出願日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】栗原 慎吾
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-035236(JP,A)
【文献】特開2003-341979(JP,A)
【文献】特開2017-007777(JP,A)
【文献】特開2019-182607(JP,A)
【文献】特開平10-194676(JP,A)
【文献】実開昭59-095083(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00 - 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのアタッチメントが分解された状態かつ輸送姿勢のときに前記アタッチメントの上面となる面に、分解された状態のガイラインのメスコネクタを格納するためのコネクタ格納装置であって、
使用状態と格納状態とに可変に前記アタッチメントに取り付けられたブラケットと、
前記使用状態の前記ブラケットと前記メスコネクタとに取り付けられ、前記ブラケットに前記メスコネクタを保持するコネクタ保持部材と、
を備え、
前記使用状態の前記ブラケットは、前記メスコネクタの二股状部
に挟まれるように前記二股状部の間に配置され、
前記格納状態の前記ブラケットは、前記使用状態の前記ブラケットよりも下側の位置で前記アタッチメントに格納される、
コネクタ格納装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ格納装置であって、
前記コネクタ保持部材は、前記ガイラインの前記メスコネクタと当該メスコネクタを含むガイラインとは異なるガイラインのオスコネクタとを接続するためのコネクタ接続ピン、と兼用される、
コネクタ格納装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコネクタ格納装置であって、
前記アタッチメントに対して前記ブラケットを固定するブラケット固定部材は、前記アタッチメントの上面に沿って延びるように設けられる足場の下側の端部よりも上側に配置される、
コネクタ格納装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のコネクタ格納装置であって、
前記アタッチメントに対して前記ブラケットを支持するブラケット支持部の上側端部は、前記アタッチメントの上面に沿って延びるように設けられる足場の上側の面の上下方向における位置に対して、同じ位置または下側である、
コネクタ格納装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のコネクタ格納装置であって、
前記コネクタ保持部材は、前記メスコネクタが有するピン孔であって分解された状態の前記ガイラインを連結するためのピン孔であるメスコネクタピン孔、および前記使用状態の前記ブラケットのそれぞれに差し込まれることで、前記ブラケットに前記メスコネクタを保持する、
コネクタ格納装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のコネクタ格納装置であって、
前記格納状態の前記ブラケットの上端部の上下方向における位置は、前記アタッチメントの上面に設けられた足場の上面の上下方向における位置に対して、同じ位置または下側である、
コネクタ格納装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項のいずれか1項に記載のコネクタ格納装置であって、
前記ブラケットは、前記アタッチメントに対して上下方向に回転することで、前記使用状態と前記格納状態とに可変になるように構成される、
コネクタ格納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメントの上面にメスコネクタを格納するためのコネクタ格納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来のコネクタ格納装置が記載されている。同文献に記載の技術では、アタッチメントの上面に、ガイラインのメスコネクタが格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の技術では、メスコネクタを格納するためのブラケットが、アタッチメントから上側に突出している(同文献の図面を参照)。その結果、コネクタ格納装置の不使用時に、アタッチメントの上面に有る物がブラケットに引っ掛かるなどのおそれがある。コネクタ格納装置の不使用時に、ブラケットがアタッチメントから取り外された場合は、アタッチメントの上面に有る物がブラケットに引っ掛からない。しかし、この場合は、アタッチメントに対してブラケットを着脱する作業に手間がかかる。また、コネクタ格納装置がコンパクトに構成されることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、アタッチメントに対してブラケットを着脱しなくても、コネクタ格納装置の不使用時のアタッチメントから上側へのブラケットの突出を抑制するとともに、コンパクトに構成することができる、コネクタ格納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コネクタ格納装置は、クレーンのアタッチメントが分解された状態かつ輸送姿勢のときに前記アタッチメントの上面となる面に、分解された状態のガイラインのメスコネクタを格納するためのものである。コネクタ格納装置は、ブラケットと、コネクタ保持部材と、を備える。前記ブラケットは、使用状態と格納状態とに可変に前記アタッチメントに取り付けられる。前記コネクタ保持部材は、前記使用状態の前記ブラケットと前記メスコネクタとに取り付けられ、前記ブラケットに前記メスコネクタを保持する。前記使用状態のブラケットは、前記メスコネクタの二股状部の間に配置される。前記格納状態の前記ブラケットは、前記使用状態の前記ブラケットよりも下側の位置で前記アタッチメントに格納される。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、アタッチメントに対してブラケットを着脱しなくても、コネクタ格納装置の不使用時のアタッチメントから上側へのブラケットの突出を抑制できるとともに、コネクタ格納装置をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示すアタッチメント30を横方向Yから見た図である。
【
図3】
図2に示すアタッチメント30を上側Z1から見た図である。
【
図4】
図3に示すコネクタ格納装置50などを示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すコネクタ格納装置50などを横方向Yから見た図である。
【
図6】
図5に示すコネクタ格納装置50などを前側X1から見た図である。
【
図7】
図4に示すコネクタ保持部材90がメスコネクタ43などから取り外された状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示すメスコネクタ43がブラケット70から取り外された状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8に示すブラケット固定部材80がブラケット70などから取り外された状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す使用状態のブラケット70が、格納状態に変えられた状態を示す斜視図である。
【
図11】
図10に示すブラケット固定部材80がブラケット70などに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す格納状態のブラケット70などを横方向Yから見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図12を参照して、コネクタ格納装置50(
図4参照)を備えるクレーン1(
図1参照)について説明する。
【0010】
クレーン1は、
図1に示すように、ブーム13などを用いて作業を行う建設機械である。クレーン1は、下部走行体11と、上部旋回体12と、ブーム13と、ブーム起伏装置14と、を備える。クレーン1は、
図2に示すように、アタッチメント30と、ガイライン40と、コネクタ格納装置50と、を備える。
【0011】
下部走行体11は、
図1に示すように、クレーン1を走行させる。下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。上部旋回体12は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。
【0012】
ブーム13は、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられる。ブーム13は、ブーム13の長手方向に延びるブーム13の中心軸が水平方向または略水平方向に延びるように伏せられた姿勢(倒伏姿勢)になることが可能である。ブーム13は、ブーム腹面13aと、ブーム背面13bと、を備える。ブーム腹面13aは、ブーム13が倒伏姿勢のときに、ブーム13の下面となる面である。ブーム背面13bは、ブーム13が倒伏姿勢のときに、ブーム13の上面となる面である。ブーム13は、ブーム13の長手方向に分解可能である。ブーム13は、下部ブーム13lと、中間ブーム13mと、上部ブーム13nと、を備える。下部ブーム13lは、ブーム13の基端部(上部旋回体12側の端部)に配置される。中間ブーム13mは、下部ブーム13lの先端部(上部旋回体12側とは反対側の端部)に連結される。上部ブーム13nは、中間ブーム13mの先端部に連結され、ブーム13の先端部に配置される。
【0013】
ブーム起伏装置14は、上部旋回体12に対してブーム13を起伏させる装置である。ブーム起伏装置14は、ガントリ14aと、下部スプレッダ14bと、上部スプレッダ14cと、ブームガイライン14dと、ブーム起伏ロープ14eと、を備える。ガントリ14aは、上部旋回体12に取り付けられるコンプレッションメンバ14a1と、コンプレッションメンバ14a1の先端部と上部旋回体12の後端部とに接続されるテンションメンバ14a2と、を備える。下部スプレッダ14bは、複数のシーブを有する装置であり、コンプレッションメンバ14a1の先端部に設けられる。上部スプレッダ14cは、複数のシーブを有する装置であり、コンプレッションメンバ14a1の先端部とブーム13の先端部との間に配置される。ブームガイライン14dは、上部スプレッダ14cとブーム13の先端部とに接続される。ブーム起伏ロープ14eは、下部スプレッダ14bのシーブと上部スプレッダ14cのシーブとに掛けられる。図示しないウインチが、ブーム起伏ロープ14eを、巻き取りおよび繰り出しする。すると、下部スプレッダ14bと上部スプレッダ14cとの間隔が変わる。上部スプレッダ14cとブーム13の先端部とがブームガイライン14dで接続されているので、下部スプレッダ14bと上部スプレッダ14cとの間隔が変わると、ブーム13が上部旋回体12に対して起伏する。
【0014】
なお、ブーム起伏装置14の構成は、様々に変更可能である。例えば、ガントリ14aに代えてマスト(図示なし)が設けられてもよい。この場合、マストは、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられ、コンプレッションメンバ14a1と同様の位置に配置される。ブームガイライン14dは、マストの先端部とブーム13の先端部とに接続される。ブーム起伏ロープ14eは、マストの先端部に設けられたシーブと、上部旋回体12の後端部に設けられたシーブと、に掛けられる。そして、図示しないウインチが、ブーム起伏ロープ14eを巻き取りおよび繰り出しする。すると、マストが上部旋回体12に対して起伏する結果、ブーム13が、上部旋回体12に対して起伏する。また、クレーン1は、複数のマストを備えてもよく、ガントリ14aとマストとを備えてもよい。
【0015】
アタッチメント30は、アタッチメント30の長手方向に分解可能である。以下では、分解された状態のアタッチメント30について説明する。アタッチメント30は、例えば、ブーム13の一部(例えば中間ブーム13m、上部ブーム13n)でもよい。アタッチメント30は、ブーム13に対して起伏するジブ(図示なし)でもよい。このジブは、ブーム13の先端部に取り付けられる。アタッチメント30は、マスト(図示なし)でもよい。
図2に示すように、アタッチメント30が輸送姿勢のとき、アタッチメント30は、腹面(例えばブーム腹面13a)がアタッチメント下面30a、背面(例えばブーム背面13b)がアタッチメント上面30b、となるように配置される。アタッチメント30の「輸送姿勢」は、クレーン1(
図1参照)が分解された状態で輸送される際のアタッチメント30の姿勢である。アタッチメント下面30aは、アタッチメント30が輸送姿勢のときにアタッチメント30の下面となる面である。アタッチメント上面30bは、アタッチメント30が輸送姿勢のときにアタッチメント30の上面となる面である。コネクタ格納装置50が使用される際に、アタッチメント30が輸送姿勢である必要はない(詳細は後述)。以下では、特に断らない限り、アタッチメント30が輸送姿勢である場合について説明する。アタッチメント30は、ラチス構造を備える。アタッチメント30は、主柱31と、接続材33と、足場35と、を備える。
【0016】
(方向)
アタッチメント30の長手方向を前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、前後方向Xの一方側(例えばブーム13(
図1参照)の先端側)を前側X1とし、その逆側(例えばブーム13(
図1参照)の基端側)を後側X2とする。なお、前側X1と後側X2とは互いに逆でもよい。アタッチメント下面30aとアタッチメント上面30bとが対向する方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、アタッチメント30が輸送姿勢のときにアタッチメント下面30aからアタッチメント上面30bに向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。前後方向Xおよび上下方向Zのそれぞれに直交する方向を横方向Yとする。
【0017】
主柱31は、
図3に示すように、前後方向Xに延び、4本設けられる。前後方向Xから見たアタッチメント30の断面は長方形であるところ、主柱31は、この長方形の4つの角の位置に配置される。主柱31は、パイプである(接続材33も同様)。
【0018】
接続材33は、複数の主柱31どうしをつなぐように主柱31に固定される。例えば、接続材33は、上下方向Zに延びるように設けられる縦材と、横方向Yに延びるように設けられる横材と、主柱31が延びる方向に対して傾斜した方向に延びるように設けられる斜材と、を備える。アタッチメント上面30bは、主柱31および接続材33により構成される。
【0019】
足場35は、作業者がアタッチメント上面30bに乗るための部分である。足場35は、アタッチメント上面30b(さらに詳しくはアタッチメント上面30bを構成する接続材33など)に載せられ、アタッチメント上面30bに固定される。足場35は、例えば板状であり、アタッチメント上面30bに沿って延びるように設けられる。
【0020】
ガイライン40は、
図1に示すように、アタッチメント30(組み立てられた状態のアタッチメント30、例えばブーム13)を起伏させるための部材である。ガイライン40は、例えばブームガイライン14dでもよく、ジブ(図示なし)を起伏させるものでもよく、ジブを起伏させるためのストラット(図示なし)を起伏させるものでもよい。ガイライン40は、ガイライン40の長手方向に分解可能である。
図2に示すように、ガイライン40は、輸送姿勢のときにアタッチメント上面30bとなる面に載せられ、アタッチメント上面30bに格納される。以下では、分解された状態のガイライン40であってアタッチメント上面30bに格納された状態(格納状態)のガイライン40について説明する。
図3に示すように、ガイライン40は、例えば、アタッチメント30の横方向Yの両側(左右)に配置(格納)され、例えば、アタッチメント30の左右に2本ずつ(合計4本)配置される。なお、ガイライン40は、アタッチメント30の左右に1本ずつ配置されてもよく、3本以上ずつ配置されてもよい。ガイライン40は、アタッチメント30の左右に配置される必要はなく、左右いずれかのみに配置されてもよく、横方向Yの中央部などに配置されてもよい。以下では、主に1本のガイライン40について説明する。また、ガイライン40が前後方向Xに略延びるように配置されている場合について説明する。ガイライン40は、ケーブル41と、メスコネクタ43と、コネクタ接続ピン45(
図4参照)と、オスコネクタ47と、を備える。
【0021】
ケーブル41は、ワイヤケーブルである。なお、ガイライン40は、ケーブル41の一部または全部に代えて、リンク部材を備えてもよい。ガイライン40は、ガイケーブルでもよく、ガイリンクでもよい。
【0022】
メスコネクタ43は、分解された状態の複数のガイライン40どうしを連結するための部材である(
図1参照)。メスコネクタ43は、ガイライン40の前側X1の端部(さらに詳しくは、ガイライン40が格納状態のときのガイライン40の前側X1の端部)に設けられる。
図4に示すように、メスコネクタ43は、二股状部43aと、メスコネクタピン孔43c(
図6参照)と、を備える。
【0023】
二股状部43aは、メスコネクタ43の先端部(前側X1の端部)に設けられる。二股状部43aは、二股状であり、上下方向Zから見て例えばU字状などである。二股状部43aは、凹部43a1と、二股部分43a2・43a2と、を備える。凹部43a1は、後側X2に凹むように設けられる。凹部43a1の内面は、上下方向Zから見て例えばU字状などである。二股部分43a2・43a2は、二股状部43aの前側X1部分の横方向Y両側(左右)部分に設けられる。二股部分43a2は、凹部43a1から前側X1に延びるように設けられる。
【0024】
メスコネクタピン孔43cは、
図8に示すように、コネクタ接続ピン45(
図7参照)を差し込み可能なピン孔である。メスコネクタピン孔43cは、二股部分43a2・43a2を横方向Yに貫通する。メスコネクタピン孔43cは、分解された状態のガイライン40(
図2参照)どうしを連結するためのピン孔である。
【0025】
コネクタ接続ピン45(
図7参照)は、分解された状態のガイライン40(
図2参照)どうしを接続するためのピンである。
図7に示すコネクタ接続ピン45は、メスコネクタ43と、オスコネクタ47(
図1参照)(さらに詳しくは、このメスコネクタ43を含むガイライン40とは異なるガイライン40のオスコネクタ47)と、を接続するためのピンである。コネクタ接続ピン45は、メスコネクタピン孔43c、およびオスコネクタ47(
図1参照)のピン孔のそれぞれに差し込まれる。コネクタ接続ピン45は、横方向Yに延びるように配置される。
【0026】
オスコネクタ47は、
図1に示すように、分解された状態の複数のガイライン40どうしを連結するための部材である。
図3に示すように、オスコネクタ47は、ガイライン40の後側X2の端部に設けられる。さらに詳しくは、オスコネクタ47は、ガイライン40の長手方向の端部であってメスコネクタ43が設けられる側とは反対側の端部に設けられる。オスコネクタ47は、メスコネクタ43(さらに詳しくは、このオスコネクタ47を含むガイライン40とは異なるガイライン40のメスコネクタ43)に着脱可能である。
【0027】
コネクタ格納装置50は、アタッチメント上面30bに、分解された状態のガイライン40を格納するための装置(ガイライン格納装置)である。コネクタ格納装置50は、アタッチメント上面30bにガイライン40が載せられた状態で、アタッチメント上面30bにガイライン40を格納するための装置である。さらに詳しくは、コネクタ格納装置50は、アタッチメント上面30bに、分解された状態のガイライン40のメスコネクタ43を格納する(固縛する、保持する)ための装置である。以下では、主に、メスコネクタ43がコネクタ格納装置50に格納された状態(固縛状態)について説明する。
【0028】
このコネクタ格納装置50は、アタッチメント30の輸送時に使用されてもよく、輸送時以外に使用されてもよい。コネクタ格納装置50は、クレーン1(
図1参照)の分解時および組立時に、アタッチメント30を吊り上げて搬送する際に使用されてもよい。コネクタ格納装置50は、クレーン1を保管するヤードで、アタッチメント30を積み重ねて保管する際や、積み重ねたアタッチメント30を降ろす際などに、アタッチメント30を吊り上げて搬送する際に使用されてもよい。
【0029】
このコネクタ格納装置50は、アタッチメント上面30bに設けられる。コネクタ格納装置50は、アタッチメント30の前側X1端部に設けられる。
図4に示すように、コネクタ格納装置50は、ブラケット支持部60と、ブラケット70と、ブラケット固定部材80と、コネクタ保持部材90と、を備える。
【0030】
ブラケット支持部60は、アタッチメント30に対してブラケット70を支持する。ブラケット支持部60は、ブラケット70が使用状態と格納状態(
図11参照)とに可変になるように、ブラケット70を支持する(詳細は後述)。ブラケット支持部60は、アタッチメント30に設けられる。
図5に示すように、ブラケット支持部60は、例えば足場35に取り付けられ、例えば足場35に固定される。例えば、ブラケット支持部60は、足場35の前側X1端部から前側X1に突出する。ブラケット支持部60は、
図4に示すアタッチメント上面30bを構成するパイプ(例えば接続材33など)に取り付けられてもよい。
図6に示すように、ブラケット支持部60は、ブラケット支持部本体部61と、ブラケット取付部63と、支持部側固定部65と、を備える。
【0031】
ブラケット支持部本体部61は、ブラケット支持部60の本体部分である。例えば、ブラケット支持部本体部61は、ブロック状でもよく、板状でもよい。
【0032】
ブラケット取付部63は、ブラケット70が取り付けられる部分である。例えば、ブラケット取付部63は、ブラケット70が回転可能に取り付けられる部分である。具体的には例えば、ブラケット取付部63は、ブラケット支持部本体部61に設けられたピン孔と、このピン孔に差し込まれたピン状の部材と、を備えるものなどである。
【0033】
支持部側固定部65は、アタッチメント30に対して(さらに詳しくはブラケット支持部60に対して)ブラケット70を固定するための部分である(詳細は後述)。支持部側固定部65は、ブラケット固定部材80を取り付け可能である。例えば、支持部側固定部65は、ブラケット固定部材80を差し込み可能なピン孔などである。この場合、支持部側固定部65は、ブラケット支持部本体部61を横方向Yに貫通する。
図5に示すように、支持部側固定部65は、使用状態固定部65aと、格納状態固定部65bと、を備える。使用状態固定部65aは、ブラケット70を使用状態で固定するための部分である(詳細は後述)。
図12に示すように、格納状態固定部65bは、ブラケット70を格納状態で固定するための部分である(詳細は後述)。
【0034】
ブラケット70は、
図4に示すように、アタッチメント30とメスコネクタ43とをつなぐ部材(リンク)である。ブラケット70は、コネクタ保持部材90を取り付け(例えば差し込み)可能な部材である。ブラケット70は、アタッチメント30に取り付けられる。さらに詳しくは、ブラケット70は、ブラケット支持部60を介してアタッチメント30に取り付けられる。ブラケット70は、使用状態と格納状態(
図11参照)とに可変にアタッチメント30に取り付けられる。
【0035】
このブラケット70は、例えば、アタッチメント30に対して上下方向Zに回転することで、使用状態と格納状態とに可変に構成される。ブラケット70のアタッチメント30に対する回転軸が延びる方向は、横方向Yである。ブラケット70は、アタッチメント30に対して上下方向Zにスライドすることなどにより、使用状態と格納状態とに可変に構成されてもよい。メスコネクタ43がコネクタ格納装置50に格納された状態(固縛状態)のとき、ブラケット70は、使用状態である。以下では、主に、ブラケット70が使用状態である場合について説明し、格納状態については後述する。また、以下では、ブラケット70が、アタッチメント30に対して上下方向Zに回転する場合について説明する。
【0036】
このブラケット70(さらに詳しくは使用状態のブラケット70)は、二股状部43aの間(さらに詳しくは二股部分43a2・43a2の間)に配置される。この配置により、1つのメスコネクタ43を1つのブラケット70で保持することができる。ブラケット70は、連結部71と、コネクタ保持部材取付部73と、ブラケット側固定部75と、を備える。
【0037】
連結部71は、ブラケット支持部60(さらに詳しくはブラケット取付部63)とコネクタ保持部材取付部73とを連結する。
図5に示すように、連結部71は、連結部本体部71aと、ブラケット回転軸部71bと、を備える。
【0038】
連結部本体部71aは、連結部71の本体部分である。例えば、連結部本体部71aは、板状(
図6参照)でもよく、棒状でもよく、ブロック状でもよい。例えば、
図6に示すように、連結部本体部71aは、横方向Yに対向する2つの部材(例えば2枚の板状部材)を備える。2つの連結部本体部71a・71aは、ブラケット支持部60を横方向Yから挟むように配置される。なお、ブラケット支持部60が横方向Yに対向する2つの部材を備えてもよく、2つのブラケット支持部60が、連結部本体部71aを横方向Yから挟むように配置されてもよい。
【0039】
ブラケット回転軸部71bは、
図5に示すように、アタッチメント30に対する(さらに詳しくはブラケット支持部60に対する)ブラケット70の回転軸となる部分である。例えば、ブラケット回転軸部71bは、ブラケット取付部63のピン状の部分(
図6参照)に取り付けられる。この場合、ブラケット回転軸部71bは、連結部本体部71aを横方向Yに貫通する孔(例えばピン孔)などである。なお、ブラケット取付部63のピン状の部分が、ブラケット70の構成要素(ブラケット回転軸部71b)であってもよい。
【0040】
コネクタ保持部材取付部73は、
図4に示すように、ブラケット固定部材80が取り付けられる(例えば差し込まれる)部分である。例えば、コネクタ保持部材取付部73は、二股状部43aの間(さらに詳しくは二股部分43a2・43a2の間)に配置される。コネクタ保持部材取付部73は、連結部71に取り付けられ、さらに詳しくは、連結部71の上側Z1端部(ブラケット回転軸部71bとは反対側の端部)に固定される。
図5に示すように、コネクタ保持部材取付部73は、ブラケット取付部63よりも上側Z1(例えば真上)に配置される。例えば、コネクタ保持部材取付部73は、足場35の上側Z1の面よりも上側Z1に配置される。
【0041】
このコネクタ保持部材取付部73は、コネクタ保持部材90を取り付け可能な形状を有し、例えば、コネクタ保持部材90を差し込み可能な形状を有する。具体的には例えば、
図8に示すように、コネクタ保持部材取付部73は、筒状であり、円筒状(パイプ状)でもよく、角筒状でもよい。コネクタ保持部材取付部73は、ブラケット側ピン孔73aを備える。ブラケット側ピン孔73aは、コネクタ保持部材90(
図7参照)を差し込み可能な孔である。
図6に示すように、ブラケット側ピン孔73aは、メスコネクタピン孔43cと連通するように配置される(ブラケット側ピン孔73aとメスコネクタピン孔43cとが連通するようにメスコネクタ43が配置される)。
【0042】
ブラケット側固定部75は、ブラケット固定部材80が取り付けられる部分である。例えば、ブラケット側固定部75は、連結部71に設けられる。例えば、ブラケット側固定部75は、連結部本体部71aを横方向Yに貫通する孔(例えばピン孔)などである(
図9参照)。例えば、ブラケット側固定部75は、ブラケット回転軸部71bよりも上側Z1(コネクタ保持部材取付部73側)に配置される。
【0043】
ブラケット固定部材80は、
図4に示すように、アタッチメント30に対して(さらに詳しくはブラケット支持部60に対して)ブラケット70を固定する部材である。ブラケット70の「固定」は、使用状態と格納状態(
図11参照)とにブラケット70が可変ではない状態であり、ブラケット70が使用状態または格納状態で保持される状態である。例えば、ブラケット固定部材80は、アタッチメント30に対するブラケット70の回転を制限する。
図6に示すように、ブラケット固定部材80は、支持部側固定部65と、ブラケット側固定部75(
図9参照)と、に取り付けられる(例えば差し込まれる)。ブラケット固定部材80は、例えばピンであり、
図9に示す例ではスプリングピン(スプリングを含む抜け止め部を含むピン)である。
【0044】
コネクタ保持部材90は、
図4に示すように、ブラケット70(さらに詳しくは使用状態のブラケット70)にメスコネクタ43を保持させるための部材である。コネクタ保持部材90は、ブラケット70とメスコネクタ43とに取り付けられる(例えば差し込まれる)。コネクタ保持部材90は、例えば円柱状、略円柱状、円筒状、または略円筒状の部分を有する部材であり、例えばピンである。
図6に示すように、コネクタ保持部材90は、ブラケット70のブラケット側ピン孔73aに差し込まれる。
【0045】
このコネクタ保持部材90は、ガイライン40(
図1参照)の連結用のピン孔であるメスコネクタピン孔43cに差し込まれる。この場合、メスコネクタ43をブラケット70に保持させるためのピン孔と、ガイライン40の連結用のピン孔と、を兼用することができる。なお、これらは兼用されなくてもよい。メスコネクタ43は、ガイライン40の連結用のピン孔とは別に、コネクタ保持部材90を取り付け可能な部分(例えばピン孔)を備えてもよい。
【0046】
このコネクタ保持部材90は、メスコネクタ43とオスコネクタ47とを接続するためのコネクタ接続ピン45と兼用される。なお、コネクタ保持部材90は、コネクタ接続ピン45と兼用されなくてもよい(メスコネクタ43をアタッチメント30に保持するための専用の部材でもよい)。
【0047】
このコネクタ保持部材90には、メスコネクタ43およびブラケット70からの脱落を防ぐ部材(例えばコネクタ保持部材抜止部P90)が設けられてもよい。コネクタ保持部材抜止部P90は、例えばピンであり、
図4に示す例ではスプリットピン(割りピン)である。
【0048】
(メスコネクタ43の固縛状態)
上記のように、メスコネクタ43がコネクタ格納装置50に格納された状態(固縛状態)のとき、ブラケット70は、ブラケット固定部材80により、使用状態で固定される。そして、コネクタ保持部材90は、
図6に示すように、コネクタ保持部材取付部73(ブラケット側ピン孔73a)およびメスコネクタピン孔43cに取り付けられる(例えば差し込まれる)。よって、
図4に示すように、コネクタ格納装置50が、メスコネクタ43の前後方向Xおよび上下方向Zの移動(ズレ)を抑制することができる。
【0049】
また、メスコネクタ43が固縛状態のとき、コネクタ保持部材取付部73は、二股状部43aの間に配置される。この場合、コネクタ保持部材取付部73は、メスコネクタ43の横方向Yの移動(ズレ)を抑制することができる。
【0050】
メスコネクタ43が固縛状態のときの各部の配置は、例えば次の通りである。メスコネクタ43は、アタッチメント30の前側X1(アタッチメント30の長手方向における外側)端部に配置される。メスコネクタ43は、足場35に載せられてもよく、足場35との間に隙間をあけて足場35よりも上側Z1に配置されてもよい。メスコネクタ43の前側X1部分(二股状部43aの少なくとも一部)は、足場35よりも前側X1に配置される。ブラケット70(例えばブラケット70の全体)は、足場35よりも前側X1に配置される(ブラケット支持部60も同様)。
【0051】
(メスコネクタ43の取り外しなど)
メスコネクタ43は、次のようにコネクタ格納装置50から取り外される。
図4に示す例では、複数のメスコネクタ43・43が、横方向Yに隣り合うように配置され、複数のコネクタ保持部材90・90が隣り合う。この場合、複数のコネクタ保持部材90・90のうち、先に外すことが可能な方のコネクタ保持部材90が、メスコネクタ43から取り外される。
図7に示す例では、コネクタ保持部材90は、
図7における右側に抜くことが可能に構成される。よって、この例では、複数のコネクタ保持部材90・90のうち、
図7における右側のコネクタ保持部材90が、先に外すことが可能な方のコネクタ保持部材90である。
【0052】
コネクタ保持部材抜止部P90が、コネクタ保持部材90から取り外される。次に、コネクタ保持部材90が、メスコネクタ43およびブラケット70から取り外される。次に、
図8に示すように、メスコネクタ43が、ブラケット70から取り外される。
【0053】
図9に示すように、ブラケット固定部材80が、ブラケット支持部60およびブラケット70から取り外される。さらに詳しくは、ブラケット固定部材80が、ブラケット側固定部75、および支持部側固定部65(
図6参照)の使用状態固定部65a(
図6参照)から取り外される。
【0054】
図9に示すように、メスコネクタ43からコネクタ保持部材90が取り外され、ブラケット支持部60およびブラケット70からブラケット固定部材80が取り外された状態で、
図10に示すように、ブラケット70が、使用状態から格納状態に変えられる。具体的には、
図9に示す使用状態のブラケット70が、下側Z2に移動(例えば回転)させられる。具体的には例えば、使用状態のブラケット70が、ブラケット取付部63(ブラケット回転軸部71b)を中心として、コネクタ保持部材取付部73が下側Z2に移動する向きに回転させられる。
【0055】
図11に示すように、ブラケット固定部材80が、ブラケット支持部60および格納状態のブラケット70に取り付けられる。さらに詳しくは、
図10に示す、ブラケット固定部材80が、ブラケット側固定部75、および、
図12に示す支持部側固定部65の格納状態固定部65bに取り付けられる。その結果、ブラケット70は、格納状態で保持される。よって、例えば、アタッチメント30が移動(例えば輸送など)させられるときに、アタッチメント30に対してブラケット70が揺れることが抑制される。
【0056】
同様に、
図4に示す複数のメスコネクタ43・43のうち、残りのメスコネクタ43(例えば
図4における左側のメスコネクタ43)が、コネクタ格納装置50から取り外される。また、残りのメスコネクタ43を固縛していたブラケット70が、
図12に示すように、格納状態に変えられ、ブラケット固定部材80により保持される。
【0057】
図4に示すコネクタ格納装置50からのメスコネクタ43の取り外しの手順とは逆または略逆の手順により、メスコネクタ43がコネクタ格納装置50に格納(固縛)される。
【0058】
(格納状態のブラケット70の配置など)
図12に示すように、格納状態のブラケット70は、使用状態のブラケット70(
図5参照)よりも下側Z2の位置で、アタッチメント30に格納される。例えば、ブラケット70が格納状態のとき、コネクタ保持部材取付部73は、ブラケット回転軸部71bよりも下側Z2(例えば真下)に配置される。
【0059】
格納状態のブラケット70は、足場35の上側Z1の面よりも上側Z1にはみ出ないことが好ましい。さらに詳しくは、格納状態のブラケット70の上側Z1端部(上端部)の上下方向Zにおける位置は、足場35の上側Z1の面(上面)の上下方向Zにおける位置に対して、同じ位置または下側Z2であることが好ましい。この場合、足場35の上面に有る物(例えば、上面に置かれたガイライン40、巻上ロープ、上面に乗る作業者など)がブラケット70に引っ掛かることが抑制される。同様に、ブラケット70が格納状態のとき、コネクタ格納装置50の全体が、足場35の上側Z1の面よりも上側Z1にはみ出さないことが好ましい。
【0060】
上記「足場35の上側Z1の面」は、足場35のうち、コネクタ格納装置50に隣接する部分(コネクタ格納装置50の近傍の部分)の、足場35の上側Z1の面である(以下同様)。格納状態のブラケット70の上下方向Zにおける位置は、コネクタ格納装置50から十分離れた位置の足場35の上側Z1の面に対して、上側Z1でも下側Z2でも同じ位置でもよい。
【0061】
例えば、ブラケット支持部60は、足場35の上側Z1の面よりも上側Z1にはみ出さないことが好ましい。さらに詳しくは、ブラケット支持部60の上側Z1端部は、足場35の上側Z1の面の上下方向Zにおける位置に対して、同じ位置または下側Z2であることが好ましい。
図12に示す例では、格納状態のブラケット70の上側Z1端部は、ブラケット支持部60の上側Z1端部の上下方向Zにおける位置に対して、同じ位置または下側Z2である。例えば、ブラケット70が格納状態のとき、ブラケット70の全体(または大部分)は、足場35よりも前側X1に配置される。
【0062】
(作業者が作業を行う位置)
図4に示すコネクタ格納装置50に対するメスコネクタ43の格納および取り外しの作業を、作業者が、アタッチメント上面30bで(例えば足場35上で)完結できることが好ましい。さらに詳しくは、足場35に乗っている作業者が、ブラケット70の状態変化(例えば回転)、ブラケット固定部材80の着脱、およびコネクタ保持部材90の着脱を行えることが好ましい。作業者がアタッチメント上面30bで作業を完結できる場合、作業者がアタッチメント30から降りて作業する必要がある場合に比べ、作業者の作業性が向上する。例えば、コネクタ格納装置50が足場35の近傍に配置されることが好ましい。例えば、
図5に示すように、使用状態のブラケット70が、足場35の下側Z2の端部よりも上側Z1に配置されることが好ましい。例えば、ブラケット70に取り付けられたブラケット固定部材80が、足場35の下側Z2の端部よりも上側Z1に配置されることが好ましい。例えば、ブラケット70に取り付けられたコネクタ保持部材90が、足場35の下側Z2の端部よりも上側Z1に配置されることが好ましい。
【0063】
(検討1:作業性)
例えば特許文献1(同文献の
図1参照)に記載のように、1本の固定ピンにより、複数のコネクタがまとめてアタッチメントに対して着脱される場合について検討する。この場合、アタッチメントに対してコネクタを着脱する作業が行われる際に、複数のコネクタおよび複数本のケーブル(コネクタにつながれたケーブル)を、作業者が持ち上げる必要が生じる場合がある。具体的には例えば、複数のコネクタに1本の固定ピンが差し込まれた状態で、この固定ピンがアタッチメントに対して(同文献におけるブラケットに対して)着脱される。このとき、作業者は、固定ピンを着脱するために、複数のコネクタおよび複数本のケーブルを持ち上げる必要がある。このような作業は、作業者にとって重労働になるおそれがあり、作業が困難である。
【0064】
一方、
図4に示すように、本実施形態のコネクタ格納装置50では、1つのブラケット70に1つのメスコネクタ43が格納される。よって、アタッチメント30に対してメスコネクタ43を着脱する作業が行われる際に、メスコネクタ43およびケーブル41を作業者が持ち上げる必要がある場合でも、作業者は、1つのメスコネクタ43および1本のケーブル41を持ち上げればよい。よって、特許文献1に記載の技術に比べ、作業者に容易に作業を行わせることができる。
【0065】
(検討2:ピン)
また、1本の固定ピンにより、複数のコネクタがまとめてアタッチメントに対して着脱される場合は、固定ピンとして、ガイラインを連結するためのピン(本実施形態におけるコネクタ接続ピン45)を用いることができない。そのため、ガイラインを連結するためのピンとは別に、コネクタをアタッチメントに格納するための固定ピン(専用のピン)が必要になる。一方、本実施形態では、上記のように、コネクタ保持部材90として、コネクタ接続ピン45を用いることができる。
【0066】
(検討3:ガイライン40の本数)
ガイライン40の本数は、クレーン1(
図1参照)の仕様によって変えられる場合がある。例えば、ガイライン40が、アタッチメント30の左右に1本ずつ設けられる場合も、複数本ずつ設けられる場合もある。ここで、1本の固定ピンにより、複数のコネクタがまとめてアタッチメント30に対して着脱される場合について検討する。この場合、固定ピンに格納可能なコネクタの数に対して、アタッチメント30上にあるコネクタの数が少ない(足りない)場合が考えられる。この場合、固定ピンにコネクタが格納されたときに、固定ピンの長手方向に沿ってコネクタが移動するおそれがある。または、コネクタが移動しないようにするために、複数のコネクタを格納可能な固定ピンとは別に、1つのコネクタを格納するための固定ピンを設けたり、固定ピンにスペーサを取り付けたりする必要が生じる。
【0067】
一方、本実施形態のコネクタ格納装置50では、1つのブラケット70に1つのメスコネクタ43が格納される。よって、ブラケット70の数に対してメスコネクタ43の数が少ないことによる問題は生じない。
【0068】
(第1の発明の効果)
図2に示すコネクタ格納装置50による効果は、次の通りである。コネクタ格納装置50は、クレーン1(
図1参照)のアタッチメント30が分解された状態かつ輸送姿勢のときにアタッチメント上面30bとなる面に、分解された状態のガイライン40のメスコネクタ43を格納するためのものである。
図4に示すように、コネクタ格納装置50は、ブラケット70と、コネクタ保持部材90と、を備える。
【0069】
[構成1-1]ブラケット70は、使用状態と格納状態(
図11参照)とに可変にアタッチメント30に取り付けられる。
【0070】
[構成1-2]コネクタ保持部材90は、使用状態のブラケット70とメスコネクタ43とに取り付けられ、ブラケット70にメスコネクタ43を保持する。
【0071】
[構成1-3]使用状態のブラケット70は、メスコネクタ43の二股状部43aの間に配置される。
【0072】
[構成1-4]
図11に示すように、格納状態のブラケット70は、使用状態のブラケット70(
図4参照)よりも下側Z2の位置でアタッチメント30に格納される。
【0073】
上記[構成1-1]では、
図4に示すブラケット70は、使用状態と格納状態(
図11参照)とに可変にアタッチメント30に取り付けられる。よって、コネクタ格納装置50が、メスコネクタ43を格納する状態と、メスコネクタ43を格納しない状態と、に変えられる際に、アタッチメント30に対してブラケット70を着脱する作業を作業者が行う必要がない。
【0074】
上記[構成1-4]では、
図11に示す格納状態のブラケット70は、使用状態(
図4参照)のブラケット70よりも下側Z2に配置される。よって、コネクタ格納装置50の不使用時(メスコネクタ43(
図4参照)を格納しない状態のとき)の、アタッチメント30から上側Z1へのブラケット70の突出を抑制することができる。その結果、アタッチメント上面30bに有る物(例えば、ガイライン40、巻上ロープ、作業者など)が、ブラケット70に引っ掛かることを抑制することができる。
【0075】
上記[構成1-3]では、
図4に示すように、使用状態のブラケット70は、メスコネクタ43の二股状部43aの間に配置される。よって、メスコネクタ43の横方向Yの外側両側(左右)にブラケット70を設ける必要がない。よって、メスコネクタ43の左右にブラケット70を設ける必要がある場合に比べ、コネクタ格納装置50の横方向Yの寸法を抑制することができる。よって、コネクタ格納装置50をコンパクトに構成することができる。
【0076】
したがって、コネクタ格納装置50では、アタッチメント30に対してブラケット70を着脱しなくても、コネクタ格納装置50の不使用時のアタッチメント30から上側Z1へのブラケット70の突出を抑制することができる。さらに、コネクタ格納装置50をコンパクトに構成することができる。
【0077】
なお、コネクタ格納装置50では、アタッチメント30に対してブラケット70を着脱する必要がなければよく、ブラケット70がアタッチメント30から取り外される場合(場面、状況)があってもよい。
【0078】
(第2の発明の効果)
[構成2]
図5に示すコネクタ保持部材90は、メスコネクタピン孔43c、および使用状態のブラケット70のそれぞれに差し込まれることで、ブラケット70にメスコネクタ43を保持する。メスコネクタピン孔43cは、メスコネクタ43が有するピン孔であって、分解された状態のガイライン40を連結(
図1参照)するためのピン孔である。
【0079】
上記[構成2]では、コネクタ保持部材90をメスコネクタ43に差し込む部分として、ガイライン40を連結するためのメスコネクタピン孔43cが利用される。よって、コネクタ保持部材90を取り付けるための部分(ピン孔など)を、メスコネクタピン孔43cとは別にメスコネクタ43に設ける必要がない。
【0080】
上記[構成2]により、コネクタ保持部材90として、ガイライン40を連結(
図1参照)するためのピン(コネクタ接続ピン45)を用いることができる。さらに詳しくは、例えば、メスコネクタ43の左右にブラケットが配置される場合(上記[構成1-3]を備えない場合)は、メスコネクタ43の左右のブラケットの間隔に対してコネクタ接続ピン45の長さが足りない可能性がある。一方、上記[構成1-3]では、ブラケット70は二股状部43aの間に配置されるので、コネクタ接続ピン45の長さが足りる。また、上記[構成2]では、
図5に示すように、コネクタ保持部材90が差し込まれる部分が、メスコネクタピン孔43cである。このメスコネクタピン孔43cは、本来、コネクタ接続ピン45を差し込むためのピン孔である。したがって、上記[構成1-3]および[構成2]により、コネクタ保持部材90として、ガイライン40を連結するためのコネクタ接続ピン45を用いることができる。
【0081】
(第3の発明の効果)
[構成3]
図12に示すように、格納状態のブラケット70の上側Z1端部の上下方向Zにおける位置は、アタッチメント上面30bに設けられた足場35の上側Z1の面(上面)の上下方向Zにおける位置に対して、同じ位置または下側Z2である。
【0082】
上記[構成3]により、格納状態のブラケット70は、足場35よりも上側Z1にはみ出ることがない。よって、足場35の上側Z1の面に有る物(例えば、ガイライン40、巻上ロープ、作業者など)がブラケット70に引っ掛かることを抑制することができる。
【0083】
(第4の発明の効果)
[構成4]
図4に示すブラケット70は、アタッチメント30に対して上下方向Zに回転することで、使用状態と格納状態(
図11参照)とに可変になるように構成される。
【0084】
上記[構成4]では、ブラケット70の状態を、ブラケット70を回転させることで変えることができる。よって、ブラケット70を使用状態と格納状態とに変える作業を、作業者に容易に行わせることができる。
【0085】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の各構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 クレーン
30 アタッチメント
30b アタッチメント上面(アタッチメントの上面)
35 足場
43 メスコネクタ
43a 二股状部
43c メスコネクタピン孔
50 コネクタ格納装置
70 ブラケット
90 コネクタ保持部材