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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】固定子コア
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H02K1/18 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021508160
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2020003709
(87)【国際公開番号】W WO2020195158
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2019063587
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】本田 武
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005873(JP,A)
【文献】特開2013-158156(JP,A)
【文献】特開2016-220490(JP,A)
【文献】特開2015-100167(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175664(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/168610(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/136485(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びる環状の固定子コアであって、
少なくとも第1積層部材と第2積層部材とが積層されたコア片を含み、
前記第1積層部材は、
周方向に延びる第1コアバック部と、
前記第1コアバッグ部から径方向内側に向かって延びる第1ティース部と、
を備え、
前記第2積層部材は、
周方向に延びる第2コアバック部と、
前記第2コアバッグ部から径方向内側に向かって延びる第2ティース部と、
を備え、
前記第1コアバック部の周方向の両端位置と、前記第2コアバック部の周方向の両端位置とが異なり、
前記第1コアバック部と周方向に隣り合うコア片の第1コアバック部とのいずれか一方は、周方向に突出する第1凸部を有し、
前記第1コアバック部と前記隣り合うコア片の第1コアバック部とのいずれか他方は、周方向にへこむ第1凹部を有し、
前記第1凸部と前記第1凹部とが対向し、
前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の第2コアバック部とのいずれか一方は、周方向に突出する第2凸部を有し、
前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の第2コアバック部とのいずれか他方は、周方向にへこむ第2凹部を有し、
前記第2凸部と前記第2凹部とが対向し、
前記第1コアバック部と前記隣り合うコア片の第1コアバック部とは、前記第1凸部の頂点を挟む径方向外側と径方向内側とで接触し、
前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の第2コアバック部とは、前記第2凸部の頂点を挟む径方向外側と径方向内側とで接触し、
前記第1凸部は、
前記径方向内側に前記第1コアバック部の内周から前記頂点に向かう傾斜面を有し、
前記径方向外側に前記第1コアバック部の外周から前記頂点に向かう傾斜面を有し、
前記第2凸部は、
前記径方向内側に前記第2コアバック部の内周から前記頂点に向かう傾斜面を有し、
前記径方向外側に前記第2コアバック部の外周から前記頂点に向かう傾斜面を有する、
固定子コア。
【請求項2】
請求項1に記載の固定子コアにおいて、
前記第1コアバック部と前記隣り合うコア片の第1コアバック部とは前記第1凹部が、前記第1凸部の頂点を挟む径方向外側と径方向内側の二か所で接触し、
前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の前記第2コアバック部とは、前記第2凹部が、前記第2凸部の頂点を挟む径方向外側と径方向内側の二か所で接触する、
固定子コア。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の固定子コアにおいて、
前記第1凹部は、直線状の第1凹側接触部を有し、
前記第2凹部は、直線状の第2凹側接触部を有し、
前記第1凹側接触部には、前記隣り合うコア片における前記第1コアバック部の第1凸部が接触し、
前記第2凹側接触部には、前記隣り合うコア片における前記第2コアバック部の第2凸部が接触する、
固定子コア。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の固定子コアにおいて、
前記第1凸部は、直線状の第1凸側接触部を有し、
前記第2凸部は、直線状の第2凸側接触部を有し、
前記第1凸側接触部には、隣り合うコア片にける前記第1コアバック部の第1凹側接触部が接触し、
前記第2凸側接触部には、隣り合うコア片における前記第2コアバック部の第2凹側接触部が接触する、
固定子コア。
【請求項5】
中心軸に沿って延びる円環状の固定子コアであって、
少なくとも第1積層部材と第2積層部材とが積層されたコア片を含み、
前記第1積層部材は、
周方向に延びる第1コアバック部と、
前記第1コアバッグ部から径方向内側に向かって延びる第1ティース部と、
を備え、
前記第2積層部材は、
周方向に延びる第2コアバック部と、
前記第2コアバッグ部から径方向内側に向かって延びる第2ティース部と、
を備え、
前記軸方向から見て、前記第1コアバック部の周方向の両端位置と、前記第2コアバック部の周方向の両端位置とが異なり、
前記第1コアバック部は、周方向両側端部に連続する曲面から構成される第1凹凸部を有し、
前記第1凹凸部は、周方向に突出する円弧状の凸部と、周方向にへこむ円弧状の凹部とを有し、
前記第2コアバック部は、周方向両側端部に連続する曲面から構成される第2凹凸部を有し、
前記第2凹凸部は、周方向に突出する円弧状の凸部と、周方向にへこむ円弧状の凹部とを有し、
前記第1コアバック部の前記第1凹凸部と前記第1コアバック部と周方向に隣り合うコア片における前記第1コアバック部の第1凹凸部が接触し、
前記第2コアバック部の前記第2凹凸部と前記第2コアバック部と周方向に隣り合うコア片における前記第2コアバック部の第2凹凸部が接触する、
固定子コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子コアに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの固定子コアとして、プレス装置等によって固定子コアの形状に打ち抜いた固定子コア板を厚み方向に複数枚積層した固定子コアが知られている。固定子コアは、放射状に設けられた複数のティースと、ティースの径方向外側で各ティースを環状に連結するコアバックとを備える。また、ティースと分割コアバックとを有する複数のコア片を環状に配列した固定子コアが知られている。
【0003】
このような固定子コアにおいて、例えば特許文献1に開示されるように、互いに形状が異なる固定子コア板が交互に積層されたコア片を環状に配列した固定子コアがある。この固定子コアを構成しているコア片は、分割コアバックを構成するコアバック部における周方向端部の凸部が固定子コア板の厚み方向のテーパ形状に形成されている。すなわち、コア片を構成している固定子コア板におけるコアバック部の厚みが周方向端に向かうにつれて薄くなっている。このため、隣り合うコア片において、一方のコア片の端部の凸部が、他方のコア片の端部の凹部にスムーズに案内される。このように構成される固定子コアは、各コア片同士の結合を容易かつ確実に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-222383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されている構成は、固定子コア板の積層によってコア片に厚み方向の累積誤差が生じてもコア片同士を容易に結合することができる。しかしながら、コア片同士の径方向の位置合わせを迅速に且つ精度よく行うのが難しく、固定子コアの真円度の精度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、コア片間の径方向の位置合わせを迅速かつ容易に行うことができる固定子コアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る固定子コアは、中心軸に沿って延びる環状のステータコアである。この固定子コアは、少なくとも第1積層部材と第2積層部材とが積層されたコア片を含み、前記第1積層部材は、周方向に延びる第1コアバック部と、前記第1コアバッグ部から径方向内側に向かって延びる第1ティース部と、を備え、前記第2積層部材は、周方向に延びる第2コアバック部と、前記第2コアバッグ部から径方向内側に向かって延びる第2ティース部と、を備え、前記第1コアバック部の周方向の両端位置と、前記第2コアバック部の周方向の両端位置とが異なり、前記第1コアバック部と周方向に隣り合うコア片の第1コアバック部とのいずれか一方は、周方向に突出する第1凸部を有し、前記第1コアバック部と前記隣り合うコア片の第1コアバック部とのいずれか他方は、周方向にへこむ第1凹部を有し、前記第1凸部と前記第1凹部とが対向し、前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の第2コアバック部とのいずれか一方は、周方向に突出する第2凸部を有し、前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の第2コアバック部とのいずれか他方は、周方向にへこむ第2凹部を有し、前記第2凸部と前記第2凹部とが対向し、前記第1コアバック部と前記隣り合うコア片の第1コアバック部とは、前記第1凸部の頂点を挟む径方向外側と径方向内側とで接触し、前記第2コアバック部と前記隣り合うコア片の第2コアバック部とは、前記第2凸部の頂点を挟む径方向外側と径方向内側とで接触する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る固定子コアによれば、コア片間の径方向の位置合わせを迅速かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る固定子コアの概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、第1積層部材の概略構成を示す平面図である。
図3図3は、第2積層部材の概略構成を示す平面図である。
図4図4は、コア片同士の連結状態を示す部分側面図である。
図5図5は、第1実施形態におけるコア片間の径方向の位置が調整される状態を示す部分拡大平面図である。
図6図6は、第2実施形態において(a)第1積層部材の形状を示す平面図、(b)第2積層部材の形状を示す平面図である。
図7図7は、第2実施形態におけるコア片間の径方向の位置が調整される状態を示す部分拡大平面図である。
図8図8は、第3実施形態において(a)第1積層部材の形状を示す平面図、(b)第2積層部材の形状を示す平面図である。
図9図9は、第3実施形態におけるコア片間の連結状態を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0011】
なお、以下の説明では、固定子コア1の中心軸Pと平行な方向を「軸方向」、中心軸Pに直交する方向を「径方向」、中心軸Pを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、この方向の定義により、本発明に係る固定子コア1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0012】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0013】
本発明の実施形態は、モータに用いられる固定子コア1の構成に関するものである。本明細書において、「固定子コア1」とは、中心軸Pを中心とする環状に連結された状態の複数のコア片2の集合を指す。「コア片2」とは、導線が巻回されていないティース4と、連結された状態において環状になるコアバック部とを有する部分を指す。また、積層されることでコア片2を形成するコア片2の各層を、「積層部材」と呼ぶ。なお、「積層部材」とは、必ずしもコア片2を構成する部材の一層の部材のみを指すものではなく、連続して積層された同形状または略同形状の複数層の部材をも含む。
【0014】
図1に、本発明の実施形態に係る固定子コア1の概略構成を示す。
【0015】
図1に示すように、固定子コア1は、固定子を構成する鉄心である。固定子コア1は、中心軸Pを中心に環状に配置された複数のコア片2を有する。固定子コア1は、3個のコア片2を有する。各コア片2は、筒状のコアバックの一部を構成する分割コアバック3と、ティース4とを有する。
【0016】
なお、固定子コア1を構成するコア片2の数は、ティース4の数に応じて適宜決められる。すなわち、固定子コア1のティース4の数が3個よりも多ければ、コア片2の数は3個よりも多い。
【0017】
コア片2は、電磁鋼板からなる第1積層部材5と第2積層部材10とを有する。コア片2は、第1積層部材5と第2積層部材10とが厚み方向に2枚ずつ交互に積層されている。なお、本実施形態において、コア片2は、第1積層部材5と第2積層部材10とが交互に積層される構成であれば、第1積層部材5と第2積層部材10との積層する単位枚数等を任意に設定してもよい。第1積層部材5と第2積層部材10とは、厚み方向に交互に積層された状態で、かしめ部2aをかしめられて、互いに連結されている。
【0018】
一のコア片2における分割コアバック3の周方向の端部は、該分割コアバック3と周方向に隣り合う他のコア片2における分割コアバック3の周方向の端部に接触する。これにより、複数のコア片2における分割コアバック3によって、固定子コア1の円環状のコアバックが構成される。このように、複数のコア片2は、互いに接触することで、複数の分割コアバック3からなるコアバックと複数のティース4を有する固定子コア1を構成する。
【0019】
次に、図2から図4を用いて、上述のコア片2を構成する第1積層部材5と第2積層部材10及びコア片2について詳細に説明する。
【0020】
図2に示すように、コア片2の第1積層部材5は、第1コアバック部6と第1ティース部9と、を有する。
【0021】
第1コアバック部6は、固定子コア1の環状部分を構成する部分である。第1コアバック部6は、中心軸Pを通る直線Aを中心として直線Aに垂直な方向に延びる直線部6aと、中心軸Pを中心とする円弧の周方向に沿って直線部6aの両端部からそれぞれ延びる一側円弧部6bと他側円弧部6cと、を有する。直線部6aは、直線Aに対して線対称になっている。すなわち、直線部6aは、直線Aを対称線として両方向に等しい長さで延びている。直線部6aの一側端部から延びている一側円弧部6bは、直線部6aの他側端部から延びている他側円弧部6cよりも周方向に所定長さ分だけ長い。
【0022】
第1コアバック部6は、周方向一側端部に周方向に突出する第1凸部7を有する。第1凸部7は、周方向に突出している頂点7aを有する。また、第1凸部7は、直線状の第1凸側接触部として、第1コアバック部6の内周から第1凸部7の頂点7aに向かう凸側上り傾斜面7bと、第1コアバック部6の外周から第1凸部7の頂点7aに向かう凸側下り傾斜面7cとを有する。つまり、第1凸部7は、頂点7aを挟んで径方向内側に、中心軸Pからの半径が増えていく勾配と、頂点7aを挟んで径方向外側に、中心軸Pからの半径が減っていく勾配とを含む形状である。
【0023】
第1コアバック部6は、周方向他側端部に周方向にへこむ第1凹部8を有する。第1凹部8は、周方向にへこんでいる頂点8aを有する。また、第1凹部8は、直線状の第1凹側接触部として、第1コアバック部6の内周から第1凹部8の頂点8aに向かう凹側上り傾斜面8bと、第1コアバック部6の外周から第1凹部8の頂点8aに向かう凹側下り傾斜面8cとを有する。つまり、第1凹部8は、頂点8aを挟んで径方向内側に、中心軸Pからの半径が増えていく勾配と、頂点8aを挟んで径方向外側に、中心軸Pからの半径が減っていく勾配とを含む形状である。第1凹側接触部の外形は、第1凸側接触部の外形と同一である。これにより、第1コアバック部6の第1凹部8に、隣り合う第1コアバック部6の第1凸部7が勘合することで、第1凹側接触部と第1凸側接触部とが接触する。
【0024】
第1ティース部9は、固定子コア1の複数のティース4の一つを構成する部分である。第1ティース部9は、第1コアバック部6の直線部6aの中心から径方向内側に向かって延びている。第1ティース部9は、中心軸Pを通る直線Aを中心に、線対称になっている。第1ティース部9は、径方向内側の端部が周方向に広がった形状をしている。
【0025】
図3に示すように、コア片2の第2積層部材10は、第2コアバック部11と第2ティース部14と、を有する。
【0026】
第2コアバック部11は、固定子コア1の環状部分を構成する部分である。第2コアバック部11は、中心軸Pを通る直線Aを中心として直線Aに垂直な方向に延びる直線部11aと、中心軸Pを中心とする円弧の周方向に沿って直線部11aの両端部からそれぞれ延びる一側円弧部11bと他側円弧部11cと、を有する。直線部11aは、直線Aに対して線対称になっている。すなわち、直線部11aは、直線Aを対称線として両方向に等しい長さで延びている。直線部11aの一側端部から延びている一側円弧部11bは、直線部11aの他側端部から延びている他側円弧部11cよりも周方向に所定長さ分だけ短い。
【0027】
第2コアバック部11は、周方向一側端部に周方向に突出する第2凸部12を有する。第2凸部12は、周方向に突出している頂点12aを有する。また、第2凸部12は、直線状の第2凸側接触部として、第2コアバック部11の内周から第2凸部12の頂点12aに向かう凸側上り傾斜面12bと、第2コアバック部11の外周から第2凸部12の頂点12aに向かう凸側下
り傾斜面12cとを有する。つまり、第2凸部12は、頂点12aを挟んで径方向内側に、中心軸Pからの半径が増えていく勾配と、頂点12aを挟んで径方向外側に、中心軸Pからの半径が減っていく勾配とを含む形状である。
【0028】
第2コアバック部11は、周方向他側端部に周方向にへこむ第2凹部13を有する。第2凹部13は、周方向にへこんでいる頂点13aを有する。また、第2凹部13は、直線状の第2凹側接触部として、第2コアバック部11の内周から第2凹部13の頂点13aに向かう凹側上り傾斜面13bと、第2コアバック部11の外周から第2凹部13の頂点13aに向かう凹側下り傾斜面13cとを有する。つまり、第2凹部13は、頂点13aを挟んで径方向内側に、中心軸Pからの半径が増えていく勾配と、頂点13aを挟んで径方向外側に、中心軸Pからの半径が減っていく勾配とを含む形状である。第2凹側接触部の外形は、第2凸側接触部の外形と同一である。これにより、第2コアバック部11の第2凹部13に、隣り合う第2コアバック部11の第2凸部12が勘合することで、第2凹側接触部と第2凸側接触部とが接触する。
【0029】
第2ティース部14は、固定子コア1の複数のティース4の一つを構成する部分である。第2ティース部14は、第2コアバック部11の直線部11aの中心から径方向内側に向かって延びている。第2ティース部14は、中心軸Pを通る直線Aを中心に、線対称になっている。第2ティース部14は、径方向内側の端部が周方向に広がった形状をしている。
【0030】
なお、本願の各実施形態において、第1凸部7の頂点7aと第2凸部12の頂点12aとは、傾斜面と傾斜面とが交差している部分を言うが、平面と平面とが交差している部分に限らず、周方向に最も突出している部分の中心であればよい。たとえば、頂点7aまたは頂点12aが湾曲面である場合や、第1凸部7または第2凸部12が円弧形状、台形形状である場合も含む。第1凸部7の頂点7aまたは第2凸部の頂点12aが湾曲面である場合は、曲面の接線と接線との交点である仮想点を含む。第1凸部7または第2凸部12が台形形状等であり、周方向に最も突出した部分が平坦である場合は、その平坦部分の中心とする。
【0031】
また、本願の各実施形態において、第1凹部8の頂点8aと第2凹部13の頂点13aとは、傾斜面と傾斜面とが交差している部分を言うが、平面と平面とが交差している部分に限らず、周方向に最もへこんでいる部分の中心であればよい。たとえば、頂点8aまたは頂点13aが湾曲面である場合や第1凹部8または第2凹部13が円弧形状、台形形状である場合も含む。頂点8aまたは頂点13aが湾曲面である場合は、曲面の接線と接線との交点である仮想点を含む。第1凹部8または第2凹部13が台形形状等であり、周方向に最もへこんでいる部分が平坦である場合は、その平坦部分の中心とする。
【0032】
図1に示すように、第1積層部材5と第2積層部材10は、二枚ずつ交互に所定枚数だけ積層されている。第1積層部材5と第2積層部材10とは、第1ティース部9と第2ティース部14とを一致させた状態で積層されている。コア片2の分割コアバック3は、積層された第1積層部材5の第1コアバック部6と第2積層部材10の第2コアバック部11とから構成されている。コア片2のティース4は、積層された第1積層部材5の第1ティース部9と第2積層部材10の第2ティース部14とから構成されている。
【0033】
図2から図4に示すように、第1積層部材5の第1コアバック部6は、一側円弧部6bの長さが他側円弧部6cの長さよりも所定長さだけ長い。同様に、第2積層部材10の第2コアバック部11は、一側円弧部11bの長さが他側円弧部11cの長さよりも所定長さだけ短い。従って、コア片2は、第1コアバック部6の周方向の両端位置と、第2コアバック部11の周方向の両端位置とが異なる。コア片2の周方向一側は、第1コアバック部6が第2コアバック部11よりも周方向に突出している。コア片2の周方向他側は、第2コアバック部11が第1コアバック部6よりも周方向に突出している。つまり、コア片2の周方向一側は、第1コアバック部6が櫛歯状に配置されている。コア片2の周方向他側は、第2コアバック部11が櫛歯状に配置されている。
【0034】
図4に示すように、一のコア片2における分割コアバック3の周方向一側端部は、周方向一側に隣り合う他のコア片2における分割コアバック3の周方向他側端部が連結されている。分割コアバック3の周方向一側端部は、第1コアバック部6と第1コアバック部6との間に、隣り合う分割コアバック3における第2コアバック部11が入りこんでいる。また、一のコア片2における分割コアバック3の周方向他側端部は、周方向他側に隣り合う他のコア片2における分割コアバック3の周方向一側端部が連結されている。分割コアバック3の周方向他側端部は、第2コアバック部11と第2コアバック部11との間に、隣り合う分割コアバック3における第1コアバック部6が入りこんでいる。これにより、一のコア片2と周方向に隣り合う他のコア片2とは、第1コアバック部6と第2コアバック部11とが厚み方向に重なった状態で連結されている。
【0035】
図2図3とに示すように、一のコア片2における分割コアバック3は、第1コアバック部6に、隣り合う他のコア片2の分割コアバック3における第1コアバック部6が接触し、第2コアバック部11に、隣り合う他のコア片2の分割コアバック3における第2コアバック部11が接触している。つまり、一のコア片2の分割コアバック3と隣り合う他のコア片2の分割コアバック3とは、第1コアバック部6の第1凸部7と隣り合う第1コアバック部6の第1凹部8とが対向し、第2コアバック部11の第2凸部12と隣り合う第2コアバック部11の第2凹部13とが対向している。
【0036】
さらに、一のコア片2における第1コアバック部6の第1凸部7は、隣り合う他のコア片2における第1コアバック部6の第1凹部8に接触している。また、一のコア片2における第1コアバック部6の第1凹部8は、隣り合う他のコア片2における第1コアバック部6の第1凸部7に接触している。同様に、一のコア片2における第2コアバック部11の第2凸部12は、隣り合う他のコア片2における第2コアバック部11の第2凹部13に接触している。また、一のコア片2における第2コアバック部11の第2凹部13は、隣り合う他のコア片2における第2コアバック部11の第2凸部12に接触している。
【0037】
図5に示すように、第1コアバック部6の第1凸部7と隣り合う第1コアバック部6の第1凹部8とは、第1凸側接触部と第1凹側接触部とが接触している。すなわち、第1凸部7と第1凹部8とは、第1凸側接触部の凸側上り傾斜面7bと第1凹側接触部の凹側上り傾斜面8b、及び第1凸側接触部の凸側下り傾斜面7cと第1凹側接触部の凹側下り傾斜面8cとが接触する。つまり、第1凸部7と第1凹部8とは、第1凸部7の頂点7aを挟んで、径方向内側の凸側上り傾斜面7bと凹側上り傾斜面8b、及び径方向外側の凸側下り傾斜面7cと凹側下り傾斜面8cとの二か所が接触している。
【0038】
第2コアバック部11の第2凸部12と隣り合う第2コアバック部11の第2凹部13とは、第2凸側接触部と第2凹側接触部とが接触している。すなわち、第2凸部12と第2凹部13とは、第2凸側接触部の凸側上り傾斜面12bと第2凹側接触部の凹側上り傾斜面13b、及び第2凸側接触部の凸側下り傾斜面12cと第2凹側接触部の凹側下り傾斜面13cとが接触する。つまり、第2凸部12と第2凹部13とは、第2凸部12の頂点12aを挟んで、径方向内側の凸側上り傾斜面12bと凹側上り傾斜面13b、及び径方向外側の凸側下り傾斜面12cと凹側下り傾斜面13cとの二か所が接触している。
【0039】
一のコア片2の分割コアバック3と隣り合う他のコア片2の分割コアバック3とに黒塗矢印で示す周方向の力が加わった場合、分割コアバック3の一部である第1コアバック部6には、隣り合う第1コアバック部6に対して、凹側上り傾斜面8bに沿って矢印で示す第1凹部8の頂点8aに向かう分力と、凹側下り傾斜面8cに沿って矢印で示す第1凹部8の頂点8aに向かう分力とが発生する。第1コアバック部6は、径方向内側から第1凹部8の頂点8aに向かう径方向外向きの力と径方向外側から第1凹部8の頂点8aに向かう径方向内向きの力とが釣り合うことで隣り合う第1コアバック部6に対する径方向の位置が定まる。同様にして、分割コアバック3の一部である第2コアバック部11は、矢印で示す径方向内側から第2凹部13の頂点13aに向かう分力と径方向外側から第2凹部13の頂点13aに向かう分力とが釣り合うことで隣り合う第2コアバック部11に対する径方向の位置が定まる。つまり、一のコア片2は、周方向の力を加えることで、隣り合う他のコア片2に対する径方向の位置が定まる。
【0040】
このような複数のコア片2から構成される固定子コア1は、一のコア片2の分割コアバック3における第1コアバック部6の第1凸部7と隣り合う第1コアバック部6の第1凹部8、及び第2コアバック部11の第2凸部12と隣り合う第2コアバック部11の第2凹部13が各凸部の頂点を挟む2か所のみで接触しているので、径方向内向きの力と径方向外向きの力による調心機能が阻害されない。また、直線状の第1凸側接触部と直線状の第1凹側接触部、及び直線状の第2凸側接触部と直線状の第2凹側接触部が接触するので径方向内向きの力と径方向外向きの力が第1凸部7と第2凸部12、及び第1凹部8と第2凹部13の形状によって定まる。これにより、コア片2間の径方向位置を適切な位置に調整することができる。
【0041】
次に、図6図7とを用いて、本発明に係る固定子コア1の第二実施形態である固定子コア1について説明する。なお、以下の実施形態に係固定子コア1は、図1から図7に示す固定子コア1において、固定子コア1に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0042】
図6(a)に示すように、第1コアバック部6は、周方向一側端部に周方向に突出する第1凸部15を有する。第1凸部15は、周方向に突出している円弧部分を有する。第1凸部15において、円弧部分のうち周方向に最も突出している点を頂点15aとする。第1凸部15は、第1凸側接触部として、第1コアバック部6の内周から第1凸部15の頂点15aに向かう凸側上り湾曲面15bと、第1コアバック部6の外周から第1凸部15の頂点15aに向かう凸側下り湾曲面15cとを有する。
【0043】
図6(b)に示すように、第2コアバック部11は、周方向一側端部に周方向に突出する第2凸部16を有する。第2凸部16は、周方向に突出している円弧部分を有する。第2凸部16において、円弧部分のうち周方向に最も突出している点を頂点16aとする。第2凸部16は、第2凸側接触部として、第2コアバック部11の内周から第2凸部16の頂点16aに向かう凸側上り湾曲面16bと、第2コアバック部11の外周から第2凸部16の頂点16aに向かう凸側下り湾曲面16cとを有する。
【0044】
図7に示すように、第1コアバック部6の第1凸部15と隣り合う第1コアバック部6の第1凹部8とは、第1凸側接触部の凸側上り湾曲面16bと第1凹側接触部の凹側上り傾斜面8b、及び第1凸側接触部の凸側下り湾曲面16cと第1凹側接触部の凹側下り傾斜面8cとが接触する。つまり、第1コアバック部6の第1凸部15が隣り合う第1コアバック部6の直線状の第1凹側接触部に接触している。第1凸部15と第1凹部8とは、第1凸部15の頂点15aを挟んで、径方向内側の凸側上り湾曲面16bと凹側上り傾斜面8b、及び径方向外側の凸側下り湾曲面16cと凹側下り傾斜面8cとの二か所が接触し
ている。
【0045】
第2コアバック部11の第2凸部16と隣り合う第2コアバック部11の第2凹部13とは、第2凸側接触部の凸側上り湾曲面16bと第2凹側接触部の凹側上り傾斜面8b、及び第2凸側接触部の凸側下り湾曲面16cと第2凹側接触部の凹側下り傾斜面8cとが接触する。つまり、第2コアバック部11の第2凸部16が隣り合う第2コアバック部11の直線状の第2凹側接触部に接触している。第2凸部16と第2凹部13とは、第2凸部16の頂点16aを挟んで、径方向内側の凸側上り湾曲面16bと凹側上り傾斜面8b、及び径方向外側の凸側下り湾曲面16cと凹側下り傾斜面8cとの二か所が接触している。
【0046】
このように構成することで、第1コアハック部6の直線状の第1凹側接触部に、隣り合う第1コアハック部6の第1凸部15が接触し、第2コアバック部11の直線状の第2凹側接触部に、隣り合う第2コアバック部11の第2凸部16が接触するので径方向内向きの力と径方向外向きの力が第1凹側接触部及び第2凹側接触部の形状によって定まる。これにより、コア片2間の径方向位置を適切な位置に調整することができる。
【0047】
次に、図8図9とを用いて、本発明に係る固定子コア1の第三実施形態である固定子コア1について説明する。
【0048】
図8(a)に示すように、第1コアバック部6は、周方向一側端部に周方向に突出する円弧状の凸部と周方向にへこむ円弧状の凹部とが連続している曲面からなる第1の一側凹凸部17を有する。第1の一側凹凸部17は、第1凸側接触部として、周方向に突出する凸側湾曲面17aを有し、第1凹側接触部として周方向にへこむ凹側湾曲面17bを有する。また、第1コアバック部6は、周方向他側端部に周方向に突出する円弧状の凸部と周方向にへこむ円弧状の凹部とが連続している曲面からなる第1の他側凹凸部18を有する。第1の他側凹凸部18は、第1凸側接触部として、周方向に突出する凸側湾曲面18aを有し、第1凹側接触部として周方向にへこむ凹側湾曲面18bを有する。
【0049】
第1コアバック部6の周方向一側端部には、径方向外側から径方向内側に向かって第1凸側接触部と第1凹側接触部とが並んでいる。また、第1コアバック部6の周方向他側端部には、径方向外側から径方向内側に向かって第1凹側接触部と第1凸側接触部とが並んでいる。第1凹側接触部の外形は、第1凸側接触部の外形と同一である。これにより、第1コアバック部6の第1の一側凹凸部17は、隣り合う第1コアバック部6の第1の他側凹凸部18に勘合する。
【0050】
図8(b)に示すように、第2コアバック部11は、周方向一側端部に周方向に突出する円弧状の凸部と周方向にへこむ円弧状の凹部とが連続している曲面からなる第2の一側凹凸部19を有する。第2の一側凹凸部19は、第2凸側接触部として、周方向に突出する凸側湾曲面19aを有し、第2凹側接触部として周方向にへこむ凹側湾曲面19bを有する。また、第2コアバック部11は、周方向他側端部に周方向に突出する円弧状の凸部と周方向にへこむ円弧状の凹部とが連続している曲面からなる第2の他側凹凸部20を有する。第2の他側凹凸部20は、第2凸側接触部として、周方向に突出する凸側湾曲面20aを有し、第2凹側接触部として周方向にへこむ凹側湾曲面20bを有する。
【0051】
第2コアバック部11の周方向一側端部には、径方向外側から径方向内側に向かって第2凸側接触部と第2凹側接触部とが並んでいる。また、第2コアバック部11の周方向他側端部には、径方向外側から径方向内側に向かって第2凹側接触部と第2凸側接触部とが並んでいる。第2凹側接触部の外形は、第2凸側接触部の外形と同一である。これにより、第2コアバック部11の第2凹凸部18に、隣り合う第2コアバック部11の第2凹凸部18が隙間なく勘合する。
【0052】
図9に示すように、第1コアバック部6の第1の一側凹凸部17と、隣り合う第1コアバック部6の第1の他側凸凹部18とは、第1凸側接触部と第1凹側接触部とがそれぞれ接触する。つまり、第1コアバック部6の周方向一側端部は、径方向外側の第1凸側接触部に、隣り合う第1コアバック部6の第1凹側接触部が接触する。さらに、第1コアバック部6の周方向一側端部は、径方向内側の第1凹側接触部に、隣り合う第1コアバック部6の第1凸側接触部が接触している。また、第1コアバック部6の周方向他側端部は、径方向外側の第1凹側接触部に、隣り合う第1コアバック部6の第1凸側接触部が接触している。さらに、第1コアバック部6の周方向他側端部は、径方向内側の第1凸側接触部に、隣り合う第1コアバック部6の第1凹側接触部が接触している。
【0053】
第2コアバック部11の第2の一側凹凸部19と、隣り合う第2コアバック部11の第2の他側凸凹部20とは、第2凸側接触部と第2凹側接触部とがそれぞれ接触する。つまり、第2コアバック部11の周方向一側端部は、径方向外側の第2凸側接触部に、隣り合う第2コアバック部11の第2凹側接触部が接触している。さらに、第2コアバック部11の周方向一側端部は、径方向内側の第2凹側接触部に、隣り合う第2コアバック部11の第2凸側接触部が接触している。また、第2コアバック部11の周方向他側端部は、径方向外側の第2凹側接触部に、隣り合う第2コアバック部11の第2凸側接触部が接触している。さらに、第2コアバック部11の周方向他側端部は、径方向内側の第2凸側接触部に、隣り合う第2コアバック部11の第2凹側接触部が接触している。
【0054】
このような複数のコア片2から構成される固定子コア1は、第1コアバック部6と第2コアバック部11の径方向に並んだ第1凹側接触部と第1凸側接触部及び第2凹側接触部と第2凸側接触部とで接触しているので、コア片2間の相対位置が定まる。これにより、コア片2間の軸方向の位置ずれを抑制するとともに、コア片2の径方向位置を適切な位置に調整することができる。
【0055】
なお、第一実施形態において、第1コアバック部6は、周方向一側端部に第1凸部7を有し、周方向他側端部に第1凹部8を有しているが、第1コアバック部6における第1凸部7と第1凹部8との位置を限定するものではない。第1コアバック部6と周方向に隣り合うコア片2の第1コアハック部とは、いずれか一方が第1凸部7を有し、いずれか他方が第1凹部8を有し、かつ第1凸部7と第1凹部8とが互いに対向していればよい。例えば、第1コアバック部6は、両側端部が第1凸部7であっても、第1凹部8であってもよい。第2コアバック部11についても同様である。さらに、第1コアバック部6における第1凸部7と第1凹部8との配置は、第2コアバック部11における第2凸部12と第2凹部13との配置を定めるものではない。すなわち、第1コアバック部6の周方向一側端部に第1凸部7を有し、第2コアバック部11の周方向一側端部に第2凹部13を有する構成でもよい。また、第二実施形態においても、第1コアバック部6の第1の一側凹凸部と第1の他側凹凸部との位置と形状を限定するものではない。
【0056】
このように構成される環状の固定子コア1は、第一実施形態において、少なくとも第1積層部材5と第2積層部材10とが積層されたコア片2を含む。第1積層部材5は、周方向に延びる第1コアバック部6と、第1コアバッグ部6から径方向内側に向かって延びる第1ティース部9と、を備える。第2積層部材10は、周方向に延びる第2コアバック部11と、第2コアバック部11から径方向内側に向かって延びる第2ティース部14と、を備える。第1コアバック部6の周方向の両端位置は、第2コアバック部11の周方向の両端位置と異なる。第1コアバック部6と周方向に隣り合うコア片2の第1コアバック部6とのいずれか一方は、周方向に突出する第1凸部7を有し、第1コアバック部6と隣り合うコア片2の第1コアバック部6とのいずれか他方は、周方向にへこむ第1凹部8を有し、第1凸部7と第1凹部8とが対向し、第2コアバック部11と隣り合うコア片2の第2コアバック部11とのいずれか一方は、周方向に突出する第2凸部12有し、第2コアバック部11と隣り合うコア片2の第2コアバック部11とのいずれか他方は、周方向にへこむ第2凹部13を有し、第2凸部12と第2凹部13とが対向し、第1コアバック部6と隣り合うコア片2の第1コアバック部6とは、第1凸部7の頂点7aを挟む径方向外側と径方向内側とで接触し、第2コアバック部11と隣り合うコア片2の第2コアバック部11とは、第2凸部12の頂点12aを挟む径方向外側と径方向内側とで接触する。
【0057】
このように構成される一のコア片2と隣り合う他のコア片2とは、コア片2を構成する第1積層部材5と第2積層部材10の周方向の両端部位置が互い違いになるように構成されているので、隣り合うコア片2同士が互いに噛み合い連結されて中心軸P方向の位置が定まる。また、第1コアバック部6の第1凸部7と第1凹部8及び第2コアバック部11の第2凸部12と第2凹部13とが各凸部の頂点を挟む2か所で接触しているので、径方向内向きの力と径方向外向きの力が第1コアバック部6と第2コアバック部11に生じる。これにより、固定子コア1は、コア片2同士を連結するだけで、コア片2間の軸方向の位置ずれを抑制するとともに、コア片2間の径方向位置を適切な位置に調整することができる。
【0058】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、環状の固定子コア1に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 固定子コア、2 コア片、5 第1積層部材、6 第1コアバック部、7 第1凸部、8 第1凹部、9 第1ティース部、10 第2積層部材、11 第2コアバック部、12 第2凸部、12a 頂点、13 第2凹部、14 第2ティース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9