(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】固体電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/55 20210101AFI20240214BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240214BHJP
H01M 6/18 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/054 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20240214BHJP
H01M 50/547 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
H01M50/55 101
H01M4/13
H01M6/18 Z
H01M10/052
H01M10/054
H01M10/0562
H01M10/0585
H01M50/547 201
(21)【出願番号】P 2021564042
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2020046116
(87)【国際公開番号】W WO2021117828
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2019223852
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】朝重 陽介
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-001599(JP,A)
【文献】特開2010-118159(JP,A)
【文献】特開2013-077486(JP,A)
【文献】特開2019-185973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/543 - 567
H01M 10/052 - 0569
H01M 10/0585
H01M 4/13
H01M 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面をもつ固体電池であって、
正極層、負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を有する固体電池積層体を有して成り、
前記正極層と接続された正極外部端子と、
前記負極層と接続された負極外部端子と、を備え、
前記正極外部端子と前記負極外部端子との双方が、前記固体電池積層体の同一面に設けられており、
前記正極層は、前記同一面に向かって正極活物質領域が狭窄している正極狭窄部を有し、
前記負極層は、前記同一面に向かって負極活物質領域が狭窄している負極狭窄部を有し、ならびに
前記負極狭窄部が位置付けられている辺以外の全ての辺において、前記負極活物質領域が前記
固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで設けられている、固体電池。
【請求項2】
前記正極外部端子と前記負極外部端子とは、前記同一面において互いに同じ向きに延在している、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち、前記正極狭窄部が位置付けられている辺以外の少なくとも1つの辺において、前記正極活物質領域が該平面視輪郭に至るまで設けられている、請求項1または2に記載の固体電池。
【請求項4】
前記固体電池積層体において前記同一面以外の面は、前記正極外部端子および前記負極外部端子の外部端子で拘束されていない、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項5】
前記固体電池積層体が直方体の全体形状を有しており、前記同一面が該直方体の1つの側面に相当する、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項6】
前記正極外部端子および前記負極外部端子の各々が、前記同一面にのみ位置付けられており、該同一面以外の前記固体電池積層体の面にまでは延在していない、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項7】
前記固体電池が表面実装型の電池であり、前記同一面が実装側の面に相当する、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項8】
前記固体電池積層体が焼結体から成る、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項9】
前記正極層および前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項1~8のいずれか1項に記載の固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池に関する。より具体的には、本発明は、電池構成単位を成す各層が積層して構成された積層型固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、繰り返しの充放電が可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォンおよびノートパソコン等の電子機器の電源として用いられたりする。
【0003】
二次電池においては、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。しかしながら、そのような二次電池は、電解液の漏出防止点で安全性が一般に求められる。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質ゆえ、その点でも安全性が求められる。
【0004】
そこで、電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池について研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-181905号公報
【文献】特許2017-183052号公報
【文献】特開2011-198692号公報
【文献】国際公開(WO)2008/099508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間の固体電解質層から成る固体電池積層体を有して成る(上記の特許文献1~4参照)。より具体的には、正極層と負極層とが固体電解質層を介して交互に積層されている。正極層には正極活物質が含まれる一方、負極層には負極活物質が含まれており、それらは固体電池における電子の受け渡しに関与する。つまり、固体電解質を介してイオンが正極層と負極層との間で移動して電子の受け渡しが行われ、固体電池の充放電がなされることになる。このような固体電池は、正極端子と負極端子といった外部端子400が、上記積層体を間に挟むように互いに対向している(
図12参照)。
【0007】
本願発明者は、固体電池の実際の使用に鑑みると克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
【0008】
各種機器などを含め種々の電池用途では、固体電池は筐体内などの収容スペースに収められて使用され得る。つまり、限られた電池収容スペースを占めるように固体電池が設置されることが想定される。かかる場合、機器の種類もしくはその設計または電池収容スペースなどの制約等によって固体電池の従前の外部端子配置では十分に対応できなくなる虞がある。すなわち、固体電池積層体を間に挟んで互いに対向するといった正極外部端子および負極外部端子の従前配置では、十分に対応できなくなる場合がある。
【0009】
また、固体電池は、プリント配線板またはマザーボードなどの各種基板に実装されて使用されることがある。例えば、“表面実装”に供されるSMDタイプの電池として固体電池が使用されることが想定される。表面実装された固体電池は、充放電および/または熱膨張などに起因して膨張し得、基板に不都合に接触してしまう虞があり、実装基板において故障を誘発することが懸念される。
【0010】
本発明はかかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、電池収容スペースにおける使用の点のみならず、表面実装における使用の点でもより好適な固体電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された固体電池の発明に至った。
【0012】
本発明では、複数の面をもつ固体電池であって、
正極層、負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を有する固体電池積層体を有して成り、
正極層と接続された正極外部端子と、
負極層と接続された負極外部端子と、を備え、
正極外部端子と負極外部端子との双方が、固体電池積層体の同一面に設けられている、固体電池が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る固体電池は、電池収容スペースにおける使用の点のみならず、表面実装における使用の点でもより好適となっている。
【0014】
より具体的には、本発明の固体電池では、正極外部端子と負極外部端子との双方が、固体電池積層体の同一面に位置付けられており、従前の固体電池では対応し難い電池収容スペースにおいて使用が可能となる。また、そのような“同一面”を実装側の面として電池の基板実装を行えば、充放電および/または熱膨張などに起因する膨張が、固体電池と基板との対向方向に直交する方向に生じることになる。よって、本発明では、膨張によって固体電池が基板に接触するといった不都合な事象が回避され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体電池の特徴を説明するための模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る固体電池の特徴を説明するための模式的側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る固体電池の特徴を説明するための模式的平面図である。
【
図4】
図4は、表面実装される固体電池を説明するための模式的斜視図である。
【
図5】
図5は、非活物質領域を説明するための模式的斜視図である。
【
図6】
図6(a)~(f)は、正極活物質領域の種々の平面視形態を説明するための模式的平面図である。
【
図7】
図7(a)~(f)は、負極活物質領域の種々の平面視形態を説明するための模式的平面図である。
【
図8A】
図8Aは、3つの非負極狭窄辺に相当する輪郭にまで負極活物質領域が設けられていることを説明するための模式的平面図である。
【
図8B】
図8Bは、3つの非負極狭窄辺に相当する輪郭にまで負極活物質領域が設けられていることを説明するための模式的平面図である。
【
図9】
図9は、「電極狭窄部の幅寸法関係に関する態様」を説明するための模式的平面図である。
【
図10】
図10は、電極層に対して集電層が設けられた場合における狭窄部のある好適な特徴を説明するための模式的平面図である。
【
図11】
図11は、狭窄部の輪郭コーナーのある好適な特徴を説明するための模式的平面図である。
【
図12】
図12は、固体電池の基本的構成を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の固体電池を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解促進のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および/または寸法比などは実物と異なり得る。
【0017】
本明細書でいう「平面視」とは、固体電池(特に固体電池積層体)を構成する各層の積層方向に相当する厚み方向に沿って対象物を上側または下側から捉えた場合の形態に基づいている。又、本明細書でいう「断面視」とは、固体電池(特に固体電池積層体)を構成する各層の積層方向に対して略垂直な方向から捉えた場合の形態に基づいている。端的にいえば、断面視は、厚み方向に平行な面で切り取った場合に得られる形態に基づいている。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材もしくは部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」/「底面側」に相当し、その逆向きが「上方向」/「頂面側」に相当すると捉えることができる。
【0018】
本発明でいう「固体電池」は、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指している。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様に従うと「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、蓄電デバイスなどの電気化学デバイスをも包含し得る。
【0019】
以下では、まず、本発明を理解する上で必要と考えられる固体電池の基本的構成について説明する。ここで説明される固体電池の構成は、固体電池の前提となる事項を説明するための例示にすぎず、発明を限定するものではない。
【0020】
[固体電池の基本的構成]
固体電池は、正極および負極の電極層と固体電解質層とを少なくとも有して成る。具体的には
図12に示すように、固体電池は、正極層100、負極層200、およびそれらの間に少なくとも介在する固体電解質層300から成る電池構成単位を含んだ固体電池積層体500を有して成る。
【0021】
固体電池は、それを構成する各層を焼成によって形成することが好ましい。正極層、負極層および固体電解質層などが焼結層を成している。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質層は、それぞれ互いに一体焼成されており、それゆえ固体電池積層体が一体焼結体を成している。
【0022】
正極層100は、少なくとも正極活物質を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。一方、負極層は、少なくとも負極活物質を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
【0023】
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質層を介してイオンは正極層と負極層との間で移動(又は伝導)して電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層の各々は特にリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電池は、固体電解質層を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
【0024】
(正極活物質)
正極層に含まれる正極活物質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、および、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3V2(PO4)3等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3Fe2(PO4)3、LiFePO4、LiMnPO4等が挙げられる。リチウム含有層状酸化物の一例としては、LiCoO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiMn2O4、LiNi0.5Mn1.5O4等が挙げられる。
【0025】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0026】
(負極活物質)
負極層200に含まれる負極活物質としては、例えば、Ti、Si、Sn、Cr、Fe、NbおよびMoから成る群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ならびに、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3V2(PO4)3、LiTi2(PO4)3等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li3Fe2(PO4)3、LiCuPO4等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、Li4Ti5O12等が挙げられる。
【0027】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0028】
正極層および/または負極層は、導電助剤を含んでいてもよい。正極層および負極層に含まれる導電助剤として、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケル等の金属材料、ならびに炭素などから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。特に限定されるわけではないが、銅は、正極活物質、負極活物質および固体電解質材などと反応し難く、固体電池の内部抵抗の低減に効果を奏するのでその点で好ましい。
【0029】
さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0030】
(固体電解質層)
固体電解質層300は、リチウムイオンまたはナトリウムイオンが伝導可能な材質を含んで成る。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質層は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成している。具体的な固体電解質の材質としては、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、LixMy(PO4)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO4)3等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO3等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、Li7La3Zr2O12等が挙げられる。
【0031】
なお、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質層の材質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、NaxMy(PO4)3(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
【0032】
固体電解質層は、焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0033】
(正極集電層および負極集電層)
必須ではないものの、正極層100および負極層200は、それぞれ正極集電層および負極集電層を備えていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼成による固体電池の製造コスト低減および固体電池の内部抵抗低減などの観点を重視すると、焼結体の形態(即ち、焼結層の形態)を有していることが好ましい。なお、正極集電層および負極集電層が焼結体の形態を有する場合、導電材および焼結助剤を含む焼結体により構成されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる導電材は、例えば、正極層および負極層に含まれ得る導電助剤と同様の材料から選択されてよい。正極集電層および負極集電層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。なお、固体電池において、正極集電層および負極集電層が必須というわけではなく、そのような正極集電層および/または負極集電層が設けられていない固体電池も考えられる。つまり、本発明における固体電池は、集電層レスの固体電池であってもよい。
【0034】
(外部端子)
固体電池には、一般に外部端子が設けられている。特に、固体電池の側面に外部端子400が設けられている。
図12では、特に従前の構成でみられる互いに対向して配置された一対の外部端子(400A,400B)の配置態様を示している。より具体的には、正極層100と接続された正極外部端子400Aと、負極層200と接続された負極外部端子400Bとが設けられている(
図12参照)。そのような外部端子は、導電率が大きい材料を含んで成ることが好ましい。外部端子の具体的な材質としては、特に制限されるわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0035】
[本発明の固体電池の特徴]
本発明の固体電池は、外部端子の配置に特徴を有している。特に、従前配置と異なる配置形態を有するように外部端子が設けられている点で本発明は特徴を有している。従前配置では、固体電池積層体を挟んで固体電池の正極外部端子と負極外部端子とが互いに向き合うように対向しているが、本発明に係る固体電池の外部端子は、そのような配置形態となっていない。
【0036】
図1~
図3に本発明の特徴を模式的に示す。本発明の固体電池は、複数の面を有するところ、正極層と接続された正極外部端子400Aと負極層と接続された負極外部端子400Bとの双方が、固体電池積層体500の同一面に設けられている(特に
図1参照)。つまり、正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとは、固体電池積層体500を挟むように対向するといった配置でなく、固体電池積層体500の1つの面で互いに隣接するように配置されている。ここでいう「複数の面」とは、広義には、固体電池(より具体的には固体電池積層体)が成す面のことを指している。狭義には、「複数の面」は、固体電池(より具体的には固体電池積層体)における主面および側面を含む面(例えば平面状および/または曲面状の面など)を指している。
【0037】
このような正極外部端子と負極外部端子との非対向な配置は、電池収容スペースにおける設置および/または表面実装の用途の双方に有利な効果をもたらす。
【0038】
具体的には、正極側と負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一面に位置付けられた本発明の固体電池は、特定の電池収容スペースに対して好適となり得る。より具体的には、本発明では、正極外部端子と負極外部端子とが同じ向きになることを要する電池収容スペースに対して固体電池の使用を可能とする。これは、従前の電池(例えば、いわゆる“LiB”と称されるような従前の電池)のための収容スペースがそのようなものとなっている場合、かかる電池に代替する固体電池の使用が容易となり得ることを意味している。
【0039】
また、正極側と負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一面に位置付けられた本発明の固体電池は、プリント配線板またはマザーボードなどの基板への実装により適した電池となり得る。特に、外部端子が設けられた“同一面”を実装側の面として電池を表面実装すると、固体電池の膨張収縮による不都合な影響が回避され得る。基板に実装された固体電池は、充放電および/または熱膨張などに起因した膨張があると、基板と接触又は衝突して故障を引き起こし得るところ、本発明では、そのような不都合な事象が回避され得る。双方の外部端子が設けられた“同一面”が実装側の面となって実装された場合、固体電池(特に固体電池積層体500)と基板600との対向方向に直交する方向において膨張が生じることになるからである(
図4参照)。
【0040】
正極側と負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一面に位置付けられた固体電池は、クラック発生抑制の効果も奏され得る。特に、固体電池は、その充放電および/または熱膨張などによる膨張およびそれに伴う収縮に起因してクラックなどが発生し得るが、本発明ではそのような物理的な欠陥が抑制され得る。これについて詳述しておく。従来の典型的な外部端子配置は、上述した通り、正極外部端子400Aと負極外部端子400Bが固体電池積層体を挟むように対向している(
図12参照)。かかる対向型の外部端子配置では、固体電池積層体の両サイドが対向する外部端子で拘束されたような構成となるので、固体電池の膨張収縮に起因する内部応力は、次第に蓄積される傾向となり得る。よって、従前の対向型の外部端子配置では、そのように蓄積される内部応力に起因して固体電池にクラックが生じやすくなっている。これに対して、本発明では、正極側および負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一面に位置付けられているので、正極外部端子と負極外部端子とが固体電池積層体を挟み込んでおらず非対向な配置であり、固体電池の膨張収縮に起因する不都合な内部応力は、蓄積されにくい。端的な表現でいえば、本発明の固体電池において“同一面”以外に相当する面は外部端子で拘束されておらず、それゆえ、固体電池の膨張収縮に起因して発生する内部応力が解放されやすくなっている。このようなことから、正極側および負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一面に位置付けられた本発明の固体電池は、その膨張収縮に起因するクラック発生などが抑制され得る。ここでいう「拘束」とは、固体電池積層体の側面に設けられた外部端子によって固体電池の膨張収縮が抑制又は抑え込まれることを実質的に意味している。換言すれば、かかる態様において、固体電池積層体の“同一面”以外の面(特に側面)では充放電および/または熱膨張などに起因する固体電池積層体の膨張および/または収縮が外部から抑制されていない(つまり、固体電池積層体の複数の面のうち上記“同一面”のみでそのような膨張収縮が抑制されている)。
【0041】
ある好適な態様では、正極外部端子と負極外部端子とが互いに並んで配置されている。つまり、
図1および
図2に示すように、固体電池積層体500の同一面に設けられている正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとは、互いに離隔しているものの、互いに近位に配置されていてよい。例えば、当該同一面を半分割する中間ライン(特に積層方向に延びるような中間ライン)を隔ててそれを挟むように正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとが隣接して又は隣り合うように設けられている。図示する態様から分かるように、この態様に従った正極外部端子および負極外部端子は、外観形態の点で互いに互換性を有するが如く設けられていてよい。好ましくは、正極外部端子と負極外部端子とは、固体電池積層体の同一面において互いに同じ又は同様な向きに延在するように配置されている。例えば、当該同一面において正極外部端子と負極外部端子とは互いに平行関係または並列関係を有するように延在(好ましくは積層方向に沿った向きに延在)していてよい。
図1および
図2に示されるように、固体電池積層体の同一面において固体電池積層体の積層方向に沿った向きに延在(好ましくはその方向に同じように延在)するように正極外部端子と負極外部端子とが設けられていてよい。なお、当該同一面において正極外部端子と負極外部端子とが互いに同じ又は同様の延在長さ(積層方向に沿うような延在長さ)で互いに同じ又は同様の幅寸法(延在長さに直交する方向の寸法)を有していてもよい。
【0042】
このような同一面の正極外部端子および負極外部端子は、全体としてよりコンパクトな外部端子配置に資するので、正極外部端子と負極外部端子とが同じ側になることを要する電池収容スペースに対して好適になり得る。また、“同一面”を実装側の面として電池を表面実装する際には、より精度良く又はより安定的に固体電池を実装することが可能となり得る。
【0043】
図1の上側図に示す形態から分かるように、本発明の固体電池では、固体電池積層体500が直方体の全体形状を有している。ここでいう「直方体」とは、完全な直方体に限らず、それに基づき変更されたとみなせる略直方体の立体的形状も含め広く解釈され得る。例えば、「直方体」は、その幾何学形状として完全な直方体に限らず、立方体も含んでおり、更にはそのような直方体形状または立方体形状が部分的に欠けていたり変形していたりする場合でも大きく捉えると直方体または立方体の概念に依然含めることができる形状をも含んでいる。説明の便宜上、以下では「直方体」を「略直方体」とも称して説明する。
【0044】
固体電池積層体がそのような略直方体の全体形状を有する場合、“同一面”はその略直方体の1つの側面に相当していてよい。本明細書でいう“側面”とは、固体電池積層体において、その積層方向に対して直交する方向に存在する積層体面を指している。つまり、正極側および負極側の双方の外部端子が位置付けられた固体電池積層体の同一面は、その固体電池積層体の略直方体を成す面の中から選択される1つに相当し得る(
図1の上側図参照)。あくまでも例示にすぎないが、そのような略直方体の面のなかでも相対的に面積が小さい側面に対して正極側と負極側の双方の外部端子が位置付けられてよい。例えば、固体電池積層体において最も面積が大きい主面(
図1に示す固体電池積層体でいえば、その上面および/または下面を成す面)よりも小さい面積を有する側面に対して正極側と負極側の双方の外部端子が位置付けられてよい。
【0045】
固体電池積層体が略直方体の全体形状を有し、“同一面”がその略直方体の1つの側面に相当する固体電池は、同様に略直方体状を有する電池収容スペースに対して好適になり得る。また、“同一面”を実装側の面として固体電池を表面実装する際の操作なども実施し易くなる。また、そもそも略直方体状の固体電池積層体というものは、固体電池が同様の形状を有することになり、それゆえ比較的安定的に電池を置いておく又は保存しておくこと等も可能となる。
【0046】
ある好適な態様では、電極層は活物質領域に狭窄部を有している。より具体的には、正極層は、“同一面”に向かって正極活物質領域が狭窄している正極狭窄部を好ましくは有している。同様にして、負極層は、“同一面”に向かって負極活物質領域が狭窄している負極狭窄部を好ましくは有している。つまり、
図3に示すように、正極層100の平面視において、正極活物質領域110が部分的に幅狭くなることでもたらされる正極活物質領域の一部形状が正極狭窄部115に相当する。同様にして、負極層200の平面視において、負極活物質領域220が部分的に幅狭くなることでもたらされる負極活物質領域の一部形状が負極狭窄部225に相当する。図示する態様から分かるように、正極狭窄部115および負極狭窄部225は、積層方向では互いに非対向に位置付けられている(つまり、平面視において正極層と負極層とを重ね合わせると、正極狭窄部115と負極狭窄部225とは互いにオーバーラップしないようになっている)。
【0047】
このような電極狭窄部が設けられる場合、正極狭窄部には正極外部端子がそれと接するように設けられ、負極狭窄部には負極外部端子がそれと接するように設けられる。特に、正極外部端子の内側面と正極狭窄部の端面とが互いに接するようになっていることが好ましく、同様にして負極外部端子の内側面と負極狭窄部の端面とが互いに接するようになっていることが好ましい。換言すれば、“同一面”に設けられている正極外部端子および負極外部端子は、その“同一面”で露出し得る正極狭窄部および負極狭窄部の端面とそれぞれ電気的に接続されている。
【0048】
図3および
図5に示すように、正極層100において正極狭窄部115の周囲の周縁部分170は、正極活物質が設けられていない領域(非活物質領域)が設けられてよい。同様にして、負極層200において負極狭窄部225の周囲の周縁部分270は、負極活物質が設けられていない領域(非活物質領域)が設けられてよい。このような非活物質領域は、絶縁性を有する領域となっている。より具体的には、非活物質領域は、少なくとも電子絶縁性を有することが好ましい。非活物質領域の材料としては、固体電池の“非活物質”として常套的に用いられている材質を用いてよく、例えば樹脂材、ガラス材および/またはセラミック材などを含んで成るものであってよい。所望の電子絶縁性が担保されていれば、非活物質領域は、その材質として固体電解質材を付加的に含んでいてもよい。焼成によって製造する観点でいえば、非活物質領域は、焼結体の形態を有していてよい。あくまでも例示にすぎないが、非活物質領域部に含まれる材質としては、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、ホウケイ酸バリウム系ガラス、ホウ酸ビスマス亜鉛系ガラス、ビスマスケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス、および、リン酸亜鉛系ガラスから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。また、非活物質領域部に含まれるセラミック材としては、特に限定されるものではないが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素およびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。なお、非活性物質部は、その形態ゆえ“余白部”または“ネガ部”などと称すこともできる。
図3および
図5から分かるように、非活物質領域は、その形態ゆえ“余白部”または“ネガ部”などと称すこともできる。例えば、平面視において非活物質領域(余白部/ネガ部)の幅寸法は、0.2mm~0.8mm程度であってよく、好ましくは0.3mm~0.6mm程度である。
【0049】
このように正極狭窄部および負極狭窄部が設けられていると、正極外部端子および負極外部端子の同一面配置に好適に資する。なぜなら、正極狭窄部および負極狭窄部は、電池積層体では積層方向に互いに非対向となるので、“同一面配置”であっても正極外部端子と負極外部端子とのショートが好適に防止され得るからである。
【0050】
ある好適な態様では、固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち、正極狭窄部が位置付けられている辺以外の少なくとも1つの辺において、正極活物質領域が当該平面視輪郭に至るまで設けられている。より具体的に説明すると、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち正極狭窄部が位置付けられている辺」とは、
図3の平面視でいえば、正極層100に関する上側の図で参照番号550Iにより示される辺である。そして、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち正極狭窄部が位置付けられている辺」以外の辺は、参照番号550II,550III,550IVで示される辺である。したがって、かかる好適態様は、例えば
図6(a)~(f)に示される形態を有し得る。図示する形態から分かるように、正極狭窄部115が位置付けられている辺以外の少なくとも1つの辺では、正極活物質領域110が、固体電池積層体において最外周縁に至るまで設けられている。よって、「輪郭に至るまで」とは、固体電池積層体を形造る外面(特に正極層が位置している層レベルにおける外側面部分)に至るまで正極活物質領域(すなわち、正極活物質)が存在していることを意味している。端的にいえば、固体電池積層体の平面視輪郭を成す箇所にまで正極活物質がより広範に設けられているともいえる。
【0051】
より具体的に詳述しておく。なお、説明の便宜上、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち正極狭窄部が位置付けられている辺」を正極狭窄辺と称す一方、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち正極狭窄部が位置付けられている辺と異なり、それ以外に相当する辺」を非正極狭窄辺と称する。
図6(a)では、3つの非正極狭窄辺のうちの1つにおいて正極活物質領域が固体電池積層体の輪郭(すなわち、最外周縁)に至るまで設けられている。図示する態様では、非正極狭窄辺550IIに相当する固体電池積層体の輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている。
図6(b)でも、3つの非正極狭窄辺のうちの1つにおいて正極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非正極狭窄辺550IIIに相当する固体電池積層体の輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている。
図6(c)でも、3つの非正極狭窄辺のうちの1つにおいて正極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非正極狭窄辺550IVに相当する固体電池積層体の輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている。
図6(d)では、3つの非正極狭窄辺のうちの2つにおいて正極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非正極狭窄辺550IIおよび550IIIに相当する固体電池積層体の輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている。
図6(e)でも、3つの非正極狭窄辺のうちの2つにおいて正極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非正極狭窄辺550IIIおよび550IVに相当する固体電池積層体の輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている。
図6(f)でも、3つの非正極狭窄辺のうちの2つにおいて正極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非正極狭窄辺550IIおよび550IVに相当する固体電池積層体の輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている。
図6(a)~(f)の形態から分かるように、非正極狭窄辺では、その全ての部分に至るように正極活物質領域110が固体電池積層体の輪郭にまで設けられていることに限らず、その辺の少なくとも一部に至るように正極活物質領域110が固体電池積層体の輪郭に対して設けられていてよい。
【0052】
このように非正極狭窄辺に至るまで正極活物質領域が設けられていると、電池容量が増すことになり得る。つまり、固体電池の体積エネルギー密度の向上を好適に図ることができる。
図6で例示する態様でいえば、1つの非正極狭窄辺に相当する輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている場合(
図6(a)~(c))よりも、2つの非正極狭窄辺に相当する輪郭にまで正極活物質領域110が設けられている場合(
図6(d)~(f))の方が、より増した電池容量となり易く、それゆえ、体積エネルギー密度がより向上し易くなる。
【0053】
ある好適な態様では、固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち、負極狭窄部が位置付けられている辺以外の少なくとも1つの辺において、負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。より具体的に説明すると、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち負極狭窄部が位置付けられている辺」とは、
図3の平面視でいえば、負極層200に関する下側の図で参照番号550Iにより示される辺である。そして、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち負極狭窄部が位置付けられている辺」以外の辺は、参照番号550II,550III,550IVで示される辺である。したがって、かかる好適態様は、例えば
図7(a)~(f)に示される形態を有し得る。図示する形態から分かるように、負極狭窄部が位置付けられている辺以外の少なくとも1つの辺では、負極活物質領域が、固体電池積層体において最外周縁に至るまで設けられている。よって、「輪郭に至るまで」とは、固体電池積層体を形造る外面(特に負極層が位置している層レベルにおける外側面部分)に至るまで負極活物質領域(すなわち、負極活物質)が存在していることを意味している。端的にいえば、固体電池積層体の平面視輪郭を成す箇所にまで負極活物質がより広範に設けられているともいえる。
【0054】
より具体的に詳述しておく。説明の便宜上、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち負極狭窄部が位置付けられている辺」を負極狭窄辺と称す一方、「固体電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち負極狭窄部が位置付けられている辺と異なり、それ以外に相当する辺」を非負極狭窄辺と称する。
図7(a)では、3つの非負極狭窄辺のうちの1つにおいて負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭(すなわち、最外周縁)に至るまで設けられている。図示する態様では、非負極狭窄辺550IIに相当する固体電池積層体の輪郭にまで負極活物質領域220が設けられている。
図7(b)でも、3つの非負極狭窄辺のうちの1つにおいて負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非負極狭窄辺550IIIに相当する負極層の輪郭にまで負極活物質領域220が設けられている。
図7(c)でも、3つの非負極狭窄辺のうちの1つにおいて負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非負極狭窄辺550IVに相当する固体電池積層体の輪郭にまで負極活物質領域220が設けられている。
図7(d)では、3つの非負極狭窄辺のうちの2つにおいて負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非負極狭窄辺550IIおよび550IIIに相当する固体電池積層体の輪郭にまで負極活物質領域220が設けられている。
図7(e)でも、3つの非負極狭窄辺のうちの2つにおいて負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非負極狭窄辺550IIIおよび550IVに相当する固体電池積層体の輪郭にまで負極活物質領域220が設けられている。
図7(f)でも、3つの非負極狭窄辺のうちの2つにおいて負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。図示する態様では、非負極狭窄辺550IIおよび550IVに相当する固体電池積層体の輪郭にまで負極活物質領域220が設けられている。
図7(a)~(f)の形態から分かるように、非負極狭窄辺では、その全ての部分に至るように負極活物質領域220が固体電池積層体の輪郭にまで設けられていることに限らず、その辺の少なくとも一部に至るように負極活物質領域220が固体電池積層体の輪郭にまで設けられていてよい。
【0055】
このように非負極狭窄辺に至るまで負極活物質領域が設けられていると、電池容量が増すことになり得る。つまり、固体電池の体積エネルギー密度の向上を好適に図ることができる。
図7で例示する態様でいえば、1つの非負極狭窄辺に相当する輪郭にまで負極活物質領域が設けられている場合(
図7(a)~(c))よりも、2つの非負極狭窄辺に相当する輪郭にまで負極活物質領域が設けられている場合(
図7(d)~(f))の方が、より増した電池容量となり易く、それゆえ、体積エネルギー密度がより向上し易い。
【0056】
このような効果をより重視するならば、負極狭窄部が位置付けられている辺以外の全ての辺において、負極活物質領域が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられていることが好ましい。電池容量の最大化を図りやすいからである。つまり、正極側と負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一面に位置付けられた固体電池において、電池容量が最大化しやすく、それゆえ、体積エネルギー密度が最も向上しやすくなる。例えば、
図8(A)および(B)の下側図に示されるように、3つの非負極狭窄辺550II,550III,550IVに相当する固体電池積層体の輪郭(すなわち、最外周縁)にまで負極活物質領域220が設けられていてよい。
【0057】
図8(A)に示されている形態では、非正極狭窄辺550II,550III,550IVに相当する固体電池積層体の輪郭では、その輪郭まで正極活物質領域110が設けられていない。一方、負極狭窄部225が位置付けられている辺以外の全ての辺では、負極活物質領域220が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。
【0058】
電池容量の最大化の観点でいえば、
図8(B)に示される形態も考えられる。かかる形態では、正極狭窄部115が位置付けられている辺以外の全ての辺において、正極活物質領域110が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられていると共に、負極狭窄部225が位置付けられている辺以外の全ての辺においても、負極活物質領域220が固体電池積層体の輪郭に至るまで設けられている。
【0059】
なお、図示されるような平面視において、負極活物質領域および正極活物質領域は、その面積に違いがあるものであってよい。例えば、負極活物質領域の平面視面積は、正極活物質領域の平面視面積よりも大きくてよく、それによって、いわゆるデンドライト発生等の不都合な事象をより抑制することができる。例えば
図3または
図5を参照して説明すると、負極層200において負極狭窄部225の周囲の非活物質領域270であるネガ部の幅寸法は、正極層100において正極狭窄部115の周囲の非活物質領域170であるネガ部の幅寸法よりも小さくてよい。負極活物質領域110の相対的に大きな平面視面積に効果的に寄与するからである。
【0060】
本発明は種々の態様で具現化できる。以下それについて説明する。
【0061】
(表面実装型の固体電池の態様)
本態様は、固体電池が実装可能な電池となっている態様である。特に、本態様に従った固体電池はプリント配線板またはマザーボードなどの基板上に実装することができる。例えば半田リフローなどを通じで、外部端子を介して固体電池を基板に表面実装できる。このような点で本発明の固体電池は、表面実装型の電池、すなわち、SMD(Surface Mount Device)タイプの電池となっている。表面実装ゆえ、固体電池は基板に実装できるサイズを有している。例えば、基板に実装される他の電子部品(例えば、能動素子および/または受動素子)と同等のサイズを有していてよい。あくまでも1つの例示にすぎないが、直方体状の固体電池積層体の少なくとも1つの辺寸法が1cm未満となっていてもよい。
【0062】
本発明に係るSMDタイプの固体電池は、好ましくは“同一面”が実装側の面に相当する。つまり、本態様の固体電池では、正極側と負極側の双方の外部端子が位置付けられた固体電池積層体の面(例えば、側面)が実装に際して基板に最も近位する面となる。
【0063】
したがって、本態様の固体電池は、
図4に例示される如く実装できるところ、充放電および/または熱膨張などに起因する膨張による悪影響が減じられたSMDタイプの表面実装部品となる。固体電池の膨張は、特に積層方向に沿った方向に生じやすい。正極側と負極側の外部端子が基板に半田で接合されて実装されると固体電池の積層方向は、基板と固体電池との対向方向に対して略直交するような方向に向くことになる(
図4参照)。よって、固体電池が膨張したとしても固体電池が基板に接触または衝突することがなく、実装された電池に関連する故障などが引き起こされにくい。
図4に示す如く、かかる態様では、固体電池または固体電池積層体において最も大きい主面よりも小さい面積を有する側面が“実装側の面”となっていてもよい。つまり、外部端子が設けられた当該側面が、全体として基板に最も近づく面(すなわち、最近位な面)となってよい。
【0064】
(短延在の外部端子の態様)
本態様は、外部端子が相対的に短く設けられた態様である。上述の固体電池で参照した図面では、外部端子が“同一面”から部分的にはみ出すように設けられている。例えば
図1を参照すると分かるように、上述の固体電池では、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々が、“同一面”510を介して固体電池積層体500の対向する主面にまで延在している。これに対して、本態様に従った固体電池は、
図4に示すように、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々が、“同一面”510にのみ位置付けられており、かかる同一面以外の固体電池積層体500の面にまでは延在していない。つまり、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々は“同一面”に設けられているところ、当該同一面に連続する他の面にまで及ぶようには設けられていない。
図4に示すように、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々が、“同一面”510と当該同一面に連続する主面(例えば、固体電池積層体の対向する両主面の各々)との間の境界エッジにて終端していてよい。
【0065】
本態様の固体電池は、“同一面”以外にまで外部端子が長く延びていないので、全体として固体電池の低背化または小型化などを図ることができる(
図4の上側図参照)。また、
図4の下側図に示すような表面実装された固体電池の形態から分かるように、主面にまで外部端子が延びていない固体電池がSMDタイプの固体電池である場合、基板と固体電池との間にのみ外部端子が位置付けられることになる。よって、実装された固体電池は他の電子部品との間で非所望な相互作用を引き起こしにくくなり、より信頼性の高い固体電池がもたらされ得る。
【0066】
(電極狭窄部の幅寸法関係に関する態様)
本態様は、正極狭窄部および負極狭窄部の相対的な幅寸法関係に特徴を有する態様である。具体的には
図9に示すように、正極狭窄部115の幅寸法が負極狭窄部225の幅寸法よりも大きくなっている。つまり、図示する平面視において、正極狭窄部115の幅寸法を「Wa」とし、負極狭窄部225の幅寸法を「Wb」とすると、Wa>Wbとなっている。
【0067】
このような電極狭窄部の幅寸法関係の態様は、電極の電子伝導性の点でより好適になり得る。具体的には、材質的な点で正極層が負極層よりも電子伝導性が低い場合があるが、そのような場合には正極狭窄部の幅寸法が負極狭窄部の幅寸法よりも大きくなることで、正極層の電子導電性を向上させ易くなる。
【0068】
[固体電池の製造方法]
本発明の固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの電極間に固体電解質層を有する固体電池積層体を作製するプロセスを通じて得ることができる。
【0069】
固体電池積層体は、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。つまり、固体電池積層体は、常套的な固体電池の製法に準じて作製することができる。よって、下記で説明する固体電解質、有機バインダー、溶剤、任意の添加剤、正極活物質、負極活物質などの原料物質は、既知の固体電池の製造で用いられるものを採用してよい。
【0070】
以下では、本発明のより良い理解のために、ある1つの製法を例示説明するが、本発明は当該方法に限定されない。また、以下の記載順序など経時的な事項は、あくまでも説明のための便宜上のものにすぎず、必ずしもそれに拘束されるわけではない。
【0071】
(積層体ブロック形成)
・固体電解質、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合してスラリーを調製する。次いで、調製されたスラリーからシート成形によって、焼成後の厚みが例えば5μm~50μm程度のシートを得る。当該シートは、最終的には固体電池積層体において固体電解質層を成すことになる。
・正極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して正極用ペーストを作成する。同様にして、負極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して負極用ペーストを作成する。ここで用いる有機バインダー、溶剤および添加剤などは、固体電池の製造に常套的に用いられるものを利用してよい。
・シート上に正極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層を印刷する。特に、正極用ペーストから得られる正極活物質領域の前駆体は、それが狭窄部を有する形状となるように印刷形成されることが好ましい。また、正極層の周縁の“余白部”については、絶縁性ペーストの印刷により、その前駆体を得ることが好ましい。このような形態については例えば
図5の下側図を参照されたい。
・同様にして、シート上に負極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層を印刷する。特に、負極用ペーストから得られる負極活物質領域の前駆体は、それが狭窄部を有する形状となるように印刷形成されることが好ましい。また、負極層の周縁の“余白部”については、絶縁性ペーストの印刷により、その前駆体を得ることが好ましい。このような形態については例えば
図5の下側図を参照されたい。
・正極用ペーストを印刷したシート(即ち、正極層の前駆体)と、負極用ペーストを印刷したシート(即ち、負極層の前駆体)とを交互に積層して積層体を得る。なお、積層体の最外層(最上層および/または最下層)についていえば、それが固体電解質層となる若しくは絶縁層となるものでよく、あるいは、電極層となるものでもよい。
【0072】
なお、正極層の前駆体では、平面視輪郭のある1つの辺に至るまで正極用ペーストが設けられることが好ましく、例えば、その辺に向かって狭窄するように正極用ペーストが設けられてよい。例えば印刷法でそのように設けることができる。この「平面視輪郭のある1つの辺」は、最終的に固体電池積層体にて「正極外部端子と負極外部端子との双方が設けられる同一面」を構成することになる。同様にして、負極層の前駆体では、平面視輪郭のある1つの辺に至るまで負極用ペーストが設けられることが好ましく、例えば、その辺に向かって狭窄するように負極用ペーストが設けられてよい。例えば印刷法でそのように設けることができる。この「平面視輪郭のある1つの辺」も、最終的に固体電池積層体にて「正極外部端子と負極外部端子との双方が設けられる同一面」を構成することになる。正極層の前駆体は複数用いてよいが、その複数の正極層の前駆体では、互いに平面視輪郭の同じ辺に向かって狭窄するように正極用ペーストが設けられることが好ましい。同様に、負極層の前駆体は複数用いてよいが、その複数の負極層の前駆体では、互いに平面視輪郭の同じ辺に向かって狭窄するように負極用ペーストが設けられることが好ましい。なお、固体電池積層体とした際に正極層の狭窄部分と負極層の狭窄部分とが積層方向で対向しない非対向な位置関係を有することが好ましい。
【0073】
(電池焼結体形成)
得られた積層体は圧着一体化させた後、積層体を脱脂および焼成に付す。これにより、焼結された固体電池積層体を得る。なお、必要に応じてカット処理に付してよい(かかるカット処理は、脱脂および/または焼成の前に行ってよく、あるいは、脱脂および/または焼成の後に行ってもよい)。
【0074】
(外部端子の形成)
正極側の外部端子は、例えば、焼結積層体における正極露出側面に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成できる。同様にして、負極側の外部端子は、例えば、焼結積層体における負極露出側面に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成してよい。かかる塗布自体は、常套的な手法を利用してよい。別法にて、所定の金属部材を貼り付けるように配置することで外部端子を設けてもよい。このような外部端子の主材質としては、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから選択される少なくとも一種から選択され得る。なお、得られた積層体では、上述の正極層側の狭窄部分と負極層側の狭窄部分とが同一面に位置付けられるので、かかる同一面に対して正極外部端子と負極外部端子の双方を設けてよい。
【0075】
なお、正極側および負極側の外部端子は、積層体の焼結後に形成することに限らず、焼成前に形成し、同時焼結に付してもよい。
【0076】
以上の如くの工程を経ることによって、最終的に所望の固体電池積層体を得ることができる。本発明の固体電池は、固体電池積層体そのものであってよいものの、必要に応じて固体電池積層体の表面に付加的な保護被膜などを形成したり、あるいは、適当な外装体に封入することなどの付加的な処理により得られ得る。このような付加的な保護被膜または付加的な処理自体は、常套的なものであってよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0078】
例えば、上記説明で参照した図においては、電極層に集電層が含まれる形態となっていないが、本発明はそれに限定されない。電池反応に起因して活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する層として集電層を付加的に設けてもよい。つまり、正極層に対して正極集電層を設けたり、および/または、負極層に対して負極集電層を設けたりしてよい。例えば、負極層には集電層を設けない一方、正極層にのみ集電層(すなわち、正極集電層)を設けてよい。このように集電層を設ける場合、集電層が狭窄部を成すようになっていてよい。例えば、正極層に正極集電層が設けられる場合、
図10の平面視に示すように正極集電層の部分115’が“同一面”に突出するような形態となることで正極狭窄部がもたらされてよい。
【0079】
例えば、上記説明で参照した図において、電極狭窄部は、その輪郭が角張った形態を有しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、狭窄部の輪郭は、直線状であることに限らず、曲線状であってよく、あるいは、そのような曲線状の部分を一部に含むものであってもよい。
図11に示すように、平面視において、狭窄部の輪郭コーナー(118,228)に部にRが付けられているかRが付けられていてもよい。かかる場合、その輪郭コーナーでの不都合な応力集中を減じることができるといった効果が奏され得る。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る固体電池は、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池は、エレクトロニクス実装分野で用いることができる。また、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパー、ウェアラブルデバイスなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などにも本発明の固体電池を利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
100 正極層
110 正極活物質領域
115 正極狭窄部
118 狭窄部の輪郭コーナー
170 非活物質領域(正極側)
200 負極層
220 負極活物質領域
225 負極狭窄部
228 狭窄部の輪郭コーナー
270 非活物質領域(負極側)
300 固体電解質層
400 外部端子
400A 正極外部端子
400A’正極引き出し部
400B 負極外部端子
400B’負極引き出し部
500 固体電池積層体
510 同一面
550I 正極狭窄辺/負極狭窄辺
550II 非正極狭窄辺/非負極狭窄辺
550III 非正極狭窄辺/非負極狭窄辺
550IV 非正極狭窄辺/非負極狭窄辺
600 基板