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特許7435641制御装置、ロボット、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】制御装置、ロボット、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/00 20060101AFI20240214BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
B25J13/08 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022017099
(22)【出願日】2022-02-07
(62)【分割の表示】P 2019056936の分割
【原出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2022060288
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】市川 英里奈
(72)【発明者】
【氏名】渥美 広城
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-010728(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016461(WO,A1)
【文献】特開2004-185080(JP,A)
【文献】特開2019-008510(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084170(WO,A1)
【文献】特開2018-134735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットに設けられ、所定の対象に関する情報を検出するための対象センサと、
記所定の対象が前記ロボットを撫でているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する制御手段と、
を備え
前記判定手段は、前記所定の対象が前記ロボットに接触しているか否かを更に判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットに接触していると判定したが前記所定の対象が前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記所定の対象が前記ロボットに接触していると判定した場合において、更に、前記所定の対象が前記ロボットを抱っこしているか、または、前記所定の対象が前記ロボットを撫でているかを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定するか、または、前記所定の対象が前記ロボットを抱っこしていると判定した場合、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットに接触していると判定したが、前記所定の対象が前記ロボットを撫でておらず、かつ、前記所定の対象が前記ロボットを抱っこしてもいないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する、
ことを特徴とする、請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記対象センサは、前記ロボットの互いに異なる複数の部位に対応させて設けられた複数の対象センサで構成されており、
前記制御手段は、前記複数の対象センサの各々の検出状態としてのオン/オフと感度との少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記対象センサは、前記所定の対象の音声を検出するマイクロフォンを含むことを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ロボットは、所定の動作を実行可能に構成され、
前記制御手段は、前記制御された前記対象センサの検出状態又は検出結果に応じて、前記ロボットによる前記所定の動作を制御する
ことを特徴とする、請求項1からの何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1からの何れか1項に記載の制御装置を備えるロボット。
【請求項7】
所定の対象に関する情報を検出するための対象センサが設けられたロボットの制御方法であって、
記所定の対象が前記ロボットを撫でているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する制御ステップと、
を含み、
前記判定ステップでは、前記所定の対象が前記ロボットに接触しているか否かを更に判定し、
前記制御ステップでは、前記判定ステップで前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記判定ステップで前記所定の対象が前記ロボットに接触していると判定したが前記所定の対象が前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
所定の対象に関する情報を検出するための対象センサが設けられたロボットを制御するためのコンピュータを、
記所定の対象が前記ロボットを撫でているか否かを判定する判定手段、および、
前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する制御手段、
として機能させ
前記判定手段は、前記所定の対象が前記ロボットに接触しているか否かを更に判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットに接触していると判定したが前記所定の対象が前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が保持することが可能で、人に関する情報を取得するロボットに適用される制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、癒やしを求める人のために、ペットに代わるロボットが提案されている。例えば、特許文献1には、ユーザが抱っこできるように構成されたロボットが開示されている。特許文献1の自律行動型ロボットは、その内部にマイクロフォンが、眼の部分にモニタが、それぞれ設けられており、マイクロフォンで取得したユーザの音声に応じて眼画像を生成するとともに、生成した眼画像をこのモニタに表示することによって、ロボットの目の表現力を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/097089号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自律行動型ロボットのような抱っこ可能なロボットでは、ユーザに保持されているロボットの保持状態によっては、ロボットの内部のマイクロフォンでユーザの音声を適切に検出することができないおそれがある。このような不具合は、マイクロフォンでユーザの音声を検出する場合に限らず、他の適当なユーザに関する情報、例えば、カメラでユーザの表情を検出するような場合にも、同様に当てはまる。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、所定の対象によるロボットの保持状態によらず、所定の対象に関する情報を適切に取得可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る制御装置は、
ロボットに設けられ、所定の対象に関する情報を検出するための対象センサと、
記所定の対象が前記ロボットを撫でているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する制御手段と、
を備え
前記判定手段は、前記所定の対象が前記ロボットに接触しているか否かを更に判定し、
前記制御手段は、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットを撫でていると判定した場合、前記判定手段により前記所定の対象が前記ロボットに接触していると判定したが前記所定の対象が前記ロボットを撫でていないと判定した場合よりも前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の対象によるロボットの保持状態によらず、所定の対象に関する情報を適切に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の実施の形態に係るロボットの概略構成を示す正面図である。
図1B図1Aに示されるロボットの背面図である。
図2】実施の形態に係るロボットの制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係るマイク・応答制御処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態に係る状態判定処理を示すフローチャートである。
図5A】実施の形態に係るロボットの持ち上げ状態を示す概念図である。
図5B】実施の形態に係るロボットの抱っこ状態を示す概念図である。
図5C】実施の形態に係るロボットの膝載せ状態を示す概念図である。
図5D】実施の形態に係るロボットの撫でられ状態を示す概念図である。
図5E】実施の形態に係るロボットの待機状態を示す概念図である。
図6】実施の形態に係るマイク制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一または相当する部分には同一の符号を付す。
【0010】
実施の形態.
図1Aは、本発明の実施の形態に係るロボットの概略構成を示す正面図である。図1Bは、図1Aに示されるロボットの背面図である。ロボット1は、その前面に配置された前面マイクロフォン2、その背面に配置された背面マイクロフォン3、スピーカ4、および複数の接触センサ5を備える。例えば、前面マイクロフォン2は指向性を有しており、背面マイクロフォン3は指向性を有していない(無指向性)。ロボット1は、前面マイクロフォン2または背面マイクロフォン3で、所定の対象の発話を捉え、発話に応じた応答文を生成してスピーカ4から音声で出力する。
【0011】
ロボット1は、自装置の外部に存在する所定の対象からの呼び掛け、接触等の外部からの刺激に反応して、様々に動作する。これによって、ロボット1は、所定の対象とコミュニケーションをとり、所定の対象と交流することができる。所定の対象とは、ロボット1の外部に存在し、且つ、ロボット1とコミュニケーションおよび交流する相手となる対象である。所定の対象には、例えば、ロボット1の所有者であるユーザ、ユーザの周囲の人間(ユーザの親近者もしくは友人等)、および他のロボット等が含まれる。所定の対象は、コミュニケーション対象、コミュニケーション相手、交流対象、交流相手等とも言うことができる。
【0012】
ロボット1は、所定の対象と会話することを目的としている。ロボット1は、人間が抱っこできる大きさと重さである。ロボット1は、図1Aおよび図1Bに示される以外に、加速度センサおよびジャイロセンサを備える。
【0013】
家庭の中で共に過ごすコミュニケーションデバイスには、ちょっとした音に過剰に反応しない、不要な音に反応しない鈍感さと、話かけている人の声には機敏に反応する正確さを求められる。そのため、従来のコミュニケーションデバイスでは、特定のキーワードや意味ある会話かを判定し、それまではマイク・音検出の制御や内部処理の変更で対応している。しかし、必ず決められたキーワードを初めに発話しなければならない煩わしさや、常に内部処理を行わなければならない等の短所がある。
【0014】
そこで、実施の形態の制御装置は、接触センサ5、加速度センサ、ジャイロセンサで検出したデータから、ロボット1の状態を判定し、判定した状態に応じて、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態を制御する。
【0015】
図2は、実施の形態に係るロボットの制御装置の機能構成を示すブロック図である。制御装置10は、前面マイクロフォン2、背面マイクロフォン3、接触センサ5、加速度センサ6、ジャイロセンサ7、音声取得部11、音声認識部12、マイク制御部13、状態判定部14、音声出力部15、および、応答制御部16を備える。制御装置10は、例えば人の顔を認識するための撮像装置(カメラ)を備えていてもよい。
【0016】
音声取得部11は、所定の対象によって前面マイクロフォン2または背面マイクロフォン3から入力された音声信号を、所定の周波数でサンプリングし、A-D変換して音声データを生成する。音声取得部11は、音声データを音声認識部12に送る。
【0017】
音声認識部12は、音声データから、発声内容を示す文字列に変換して、発話された文の意味を解析する。音声認識部12は、解析した文の意味を表す情報を、応答制御部16に送る。応答制御部16は、文の意味を表す情報に応じて、多数の応答文を記憶するデータベースを検索して、発話した話者ごとに発話された内容に適した応答文を取得し、音声出力部15に送る。音声出力部15は、応答制御部16から指示された応答文を、周知の音声合成技術を用いて音声データに変換し、変換した音声データに基づく制御信号をスピーカ4に入力することによって、所定の対象に応答文を音声で出力する。
【0018】
状態判定部14は、接触センサ5、加速度センサ6およびジャイロセンサ7から、それぞれが検出したデータを入力する。接触センサ5は、例えば、静電容量の変化で所定の対象が接触しているか否かを検出する。加速度センサ6は、例えば、静電容量型またはピエゾ抵抗型の3軸加速度センサ6で、ロボット1の3軸の加速度を検出する。3軸の加速度は、互いに直交する3方向の座標軸(X,Y,Z)それぞれの方向の加速度である。ジャイロセンサ7は、例えば、圧電振動子またはシリコン振動子を用いて、ロボット1の角速度を検出する。
【0019】
状態判定部14は、接触センサ5、加速度センサ6およびジャイロセンサ7による検出信号に基づいて、ロボット1の状態を判定する。ここで、ロボット1の状態とは、所定の対象によって持ち上げられた状態、抱っこされた状態、手、膝もしくは体の上に置かれた状態、撫でられている状態、および、静止して触られていない状態、などである。状態判定部14は、ロボット1の保持状態を判定する第1判定手段として機能し、また、ロボット1が撫でられているかどうかを判定する第2判定手段として機能する。
【0020】
マイク制御部13は、状態判定部14で判定したロボット1の状態に応じて、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態を制御する。ここで、検出状態とは、検出のオン/オフや、検出感度のレベルを指す。マイク制御部13は、例えば、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの感度を切り換えたり、オン/オフを切り換えたりする。マイク制御部13は、対象センサである前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態を制御する制御手段として機能する。なお、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度は、それらで検出される音声信号のレベルを決定するので、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度を制御することは、それらの検出状態を制御する手段の1つである。
【0021】
制御装置10は、I/Oインターフェース、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、例えばマイクロプロセッサ等であって、様々な処理や演算を実行する中央演算処理部である。制御装置10は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、CPUで制御プログラムを実行することによって、前面マイクロフォン2及び背面マイクロフォン3の検出状態と、ロボット1の動作とを制御する。
【0022】
次に、図3を参照しながら、制御装置10によって実行されるマイク・応答制御処理について説明する。マイク・応答制御処理は、ロボット1の制御を開始すると起動され、繰り返し実行される。まず、状態判定部14は、接触センサ5から接触データを、加速度センサ6から加速度データを、ジャイロセンサ7から角速度データをそれぞれ取得する(ステップS301)。状態判定部14は、接触データ、加速度データおよび角速度データから、ロボット1が前述のような状態のいずれにあるかを判定する(ステップS302)。この状態判定処理については後述する。
【0023】
状態判定部14は、ステップS302における状態判定による判定結果に基づいて、ロボット1の現在の状態が直前の状態から変化したか否かを判別する(ステップS303)。ロボット1の状態が変化しているとき(ステップS303;Y)には、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態をロボット1の現在の状態に基づいて制御して(ステップS304)、直前の状態を現在の状態に置き換える(ステップS305)。そして、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の少なくとも1つから音声信号を入力し、音声信号から音声データを取得する(ステップS306)。ロボット1の現在の状態が直前の状態から変化していなければ(ステップS303;N)、マイク制御も状態の置き換えもせずに、音声データを取得する(ステップS306)。
【0024】
音声取得部11は、音声データを取得した(ステップS306)のち、取得した音声データのレベルが設定値より小さいか否かを判別する(ステップS307)。音声データのレベルが設定値より小さいとき(ステップS307;Y)、所定の対象が発話していないと判定して、ステップS301に戻り、接触データ取得から繰り返す。
【0025】
一方、ステップS307で音声データのレベルが設定値以上であるとき(ステップS307;N)には、所定の対象が発話したと判定して、音声取得部11で取得した(ステップS306で取得した)音声データを、音声認識部12で音声認識する(ステップS308)。応答制御部16は、ステップS308で音声認識した内容に合わせて応答を判断し、応答文を選択する(ステップS309)。音声出力部15は、スピーカ4から、ステップS309で選択した応答文を音声で出力する(ステップS310)。応答を出力したら、制御装置10はステップS301に戻り、接触データ取得から繰り返す。
【0026】
図4は、実施の形態に係る状態判定処理を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、図3のフローチャートのステップS302の内容を示す。図4の説明では、加速度センサ6からの加速度データから重力加速度を引いたロボット1の移動の加速度(ベクトル)の絶対値を、単に加速度といい、ロボット1の角速度(ベクトル)の絶対値を単に角速度という。
【0027】
状態判定部14は、上記の加速度(の絶対値)が、閾値TAより大きいか否かを判別する(ステップS401)。加速度が閾値TAより大きければ(ステップS401;Y)、状態判定部14はロボット1が持ち上げ状態にあると判定して、ロボット1の状態を表す変数(以下、状態という)に“1”をセットして(ステップS405)、本処理を終了する。
【0028】
図5Aは、ロボット1の持ち上げられた状態を示す。持ち上げ状態は、ロボット1の姿勢が変化せず、上に持ち上げられた状態であって、加速度が検出される状態である。持ち上げ状態では、所定の対象がコミュニケーションを開始する意思があると想定される。
【0029】
図4のステップS401で、加速度が閾値TA以下であれば(ステップS401;N)、上記の角速度(ロボット1の角速度の絶対値)が閾値TVより大きいか否かを判別する(ステップS402)。加速度が閾値TA以下で、かつ、角速度が閾値TVより大きければ(ステップS402;Y)、状態判定部14は、いずれかの接触センサ5の接触データがオンであるか否かを判別する(ステップS403)。いずれかの接触データがオンであれば(ステップS403;Y)、状態判定部14はロボット1が対象に抱っこされていると判定して、状態に“2”をセットして(ステップS406)、本処理を終了する。
【0030】
図5Bは、ロボット1が所定の対象に抱っこされた状態を示す。この抱っこの状態では、ロボット1は、所定の対象の上体に接して、所定の対象の手で保持されている状態にある。このとき、ロボット1の加速度は小さいが、ロボット1の角速度が発生し、ロボット1が所定の対象の手で保持されているので、いずれかの接触センサ5の接触データがオンになる。抱っこの状態では、所定の対象との積極的なコミュニケーションが想定される。
【0031】
図4のステップS403で、いずれの接触センサ5の接触データもオフであれば(ステップS403;N)、状態判定部14はロボット1が対象の手、膝または体の上に置かれた状態と判定して、状態に“3”をセットして(ステップS407)、本処理を終了する。
【0032】
図5Cは、ロボットが手、膝または体の上に置かれた状態を示す。ロボット1が所定の対象の手、膝または体の上に置かれた状態では、抱っこの状態と同じように加速度は小さいが角速度が発生し、所定の対象の手は触れていないので接触センサ5の接触データはいずれもオフである。この状態では、所定の対象はコミュニケーションする意欲が小さいと想定される。
【0033】
図4のステップS402で角速度が閾値TV以下であれば(ステップS402;N)、状態判定部14は、いずれかの接触センサ5の接触データがオンであるかどうかを判別する(ステップS404)。加速度が閾値TA以下で、角速度が閾値TV以下であり、かつ、いずれかの接触データがオンであれば(ステップS404;Y)、状態判定部14はロボット1が対象に撫でられていると判定して、状態に“4”をセットして(ステップS408)、本処理を終了する。
【0034】
図5Dは、ロボットの撫でられ状態を示す。ロボット1が所定の対象に撫でられている状態では、加速度および角速度は発生せず、いずれかの接触センサ5の接触データがオンの状態である。一般に撫でられるとは、手のストロークを伴うことを指すと考えられるが、単に所定の対象の手がロボット1に置かれた場合も撫でられ状態に含めてもよい。撫でられ状態では、所定の対象の積極的なコミュニケーションが想定される。
【0035】
図4のステップS404で、加速度が閾値TA以下で、角速度が閾値TV以下であり、かつ、いずれの接触センサ5の接触データもオフであれば(ステップS404;N)、状態判定部14はロボット1が待機状態であると判定して、状態に“0”をセットして(ステップS409)、本処理を終了する。
【0036】
図5Eは、ロボットが待機状態であることを示す。ロボット1の待機状態は、ロボット1が床または台の上に置かれて静止しており、所定の対象がロボット1に触れていない状態である。このとき、加速度および角速度は発生せず、すべての接触センサ5の接触データはオフである。待機状態では、所定の対象がコミュニケーションを積極的に欲していないと想定される。
【0037】
図4の状態判定処理を終了したら、図3のフローチャートに戻って、ステップS303からマイク・応答制御処理を再開する。なお、制御装置10の電源オンになった初期には、ロボット1の直前の状態が待機状態に設定される。
【0038】
図6は、実施の形態に係るマイク制御処理を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、図3のフローチャートのステップS304の内容を示す。状態を表す変数は、状態判定部14からマイク制御部13に送られる。マイク制御部13は、状態を表す変数の値に応じて、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態としての感度を制御する。以下、状態を表す変数を「状態」という。
【0039】
まず、状態=1であるか否かを判別する(ステップS601)。状態=1であれば(ステップS601;Y)、ロボット1が持ち上げ状態にあるので、マイク制御部13は前面マイクロフォン2の感度を“中”に設定し(ステップS605)、背面マイクロフォン3の感度を“中”に設定して(ステップS606)、マイク制御を終了する。ロボット1が持ち上げ状態にある場合は、多様な抱き上げ方・多方向からの話かけに対応するため、マイク制御部13は、全てのマイクロフォンの感度レベルを、通常レベルである“中”に設定し、様々な話しかけに対応できるように制御する。
【0040】
一方、状態=1でなければ(ステップS601;N)、状態=2であるか否かを判別する(ステップS602)。状態=2であれば(ステップS602;Y)、ロボット1が抱っこ状態にあるから、前面マイクロフォン2の感度を“高”に設定し(ステップS607)、背面マイクロフォン3をオフにして(ステップS608)、マイク制御を終了する。ロボット1が抱っこ状態にある場合には、所定の対象に話しかけられる機会の増加が想定されるので、小さい声にも敏感に反応し、人に密着している分周囲の音には鈍感に対応するため、マイク制御部13はこのように、指向性の前面マイクロフォン2のみ感度を高い状態に上げ、サブの背面マイクロフォン3をオフにする。これにより、一緒にいる所定の対象の声のみに繊細に反応し、余計な音に反応しないように、前面マイクロフォン2及び背面マイクロフォン3の検出状態を制御する。
【0041】
状態=1でも状態=2でもなければ(ステップS601;N、ステップS602;N)、状態=3であるか否かを判別する(ステップS603)。状態=3であれば(ステップS603;Y)、ロボット1は手、膝または体の上に置かれた状態にあるので、前面マイクロフォン2の感度を“中”に設定し(ステップS609)、背面マイクロフォン3の感度を“中”に設定して(ステップS610)、マイク制御を終了する。ロボット1が、所定の対象の手、膝または体の上に置かれた状態にある場合は、所定の対象は一緒にいるが積極的なコミュニケーションは取らないリラックスタイムの対応として、マイク制御部13は、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度レベルを、通常レベルである“中”に設定し、時折の話しかけにも対応できるよう検出状態を制御する。
【0042】
ステップS603で状態=3でなければ(ステップS603;N)、状態=4であるか否かを判別する(ステップS604)。状態=4であれば(ステップS604;Y)、ロボット1は所定の対象に撫でられている状態にあるから、前面マイクロフォン2の感度を“高”に設定し(ステップS611)、背面マイクロフォン3の感度を“高”に設定する(ステップS612)。ロボット1が撫でられ状態にある場合は、ロボット1は台または床に置かれている状態で所定の対象に撫でられており、多方向からの話かけに敏感に反応するため、マイク制御部13は、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度レベルを高い状態に上げ、様々な話しかけに対応できるよう検出状態を制御する。
【0043】
ステップS604で状態=4でなければ(ステップS604;N)、状態=0であって、ロボット1は待機状態にあるから、前面マイクロフォン2の感度を“低”に設定し(ステップS613)、背面マイクロフォン3の感度を“低”に設定する(ステップS614)。ロボット1が待機状態にある場合は、所定の対象がコミュニケーションを積極的に欲していないと想定されるので、全てのマイクロフォンの感度を下げ、周囲の音に敏感に反応しないよう検出状態を制御する。なお、制御装置10の電源オンになった初期には、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度が、待機状態に対応する“低”に設定される。
【0044】
以上説明したように、実施の形態の制御装置10によれば、制御装置10が前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3を備え、加速度センサ6で検出したロボット1の加速度、ジャイロセンサ7で検出したロボット1の角速度、および接触センサ5で検出した所定の対象の接触の有無で、状態判定部14がロボット1の保持状態を判定し、判定した状態に基づいてマイク制御部13が前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの検出状態である感度を制御するので、それぞれの保持状態で適切に所定の対象の発話を音声認識して、対応する応答文を選択して出力することができる。その結果、所定の対象によるロボット1の保持状態によらず、所定の対象に関する情報を適切に取得することができる。
【0045】
実施の形態の制御装置10では、保持または接触の状態によってロボット1の反応が所定の対象に求められているかどうかを判定し、それに応じてマイクロフォンや音検出のレベルを制御することで、所定の対象に関する情報を適切に取得し、それに対応した応答文を音声で出力するので、所定の対象は何も意識せずに自分にとって快適な音声コミュニケーションを行うことができる。ロボット1はまた、所定の対象に対するロボット1の位置および状態によって制御するマイクロフォンを切り替えることで、本当に必要な音声にのみ敏感に応答することができる。
【0046】
実施の形態によれば、ロボット1に対する所定の対象の自然な動作で制御されるので、ロボット1は、内部処理として、常時、検出されている音声(発話)がコミュニケーションとして、対応を求められているかどうかを解析する必要がない。
【0047】
なお、実施の形態では、ロボット1の保持状態に応じて、マイク制御部13が前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度を設定することで、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態を制御したが、例えば、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの感度およびオン/オフを制御する代わりに、前面マイクロフォン2または背面マイクロフォン3で検出した音声信号を音声データに変換しなかったり、または、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の音声信号から取得した音声データを音声認識部12に送らなかったりして、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの音声信号を音声認識に用いないことによって、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの検出結果を制御してもよい。あるいは、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度を変化させて検出状態を制御する代わりに、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの音声信号を増大させたり、減少させたり(振幅=0を含む)して、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの検出結果を制御してもよい。
【0048】
実施の形態では、ロボット1の制御装置10が前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3を備え、加速度センサ6で検出した加速度、ジャイロセンサ7で検出した角速度および接触センサで検出した接触の有無で、状態判定部14がロボット1の保持状態を判定し、判定した保持状態に基づいてマイク制御部13が前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3それぞれの感度を制御したが、この構成以外に様々な変形が可能である。例えば、制御装置10が備えるマイクロフォンは2つに限らず、1つまたは3つ以上のマイクロフォンを備えて、それぞれの検出状態または検出結果を制御してもよい。また、制御装置10がステレオマイクロフォンを備え、ロボット1に対する所定の対象の方位を推定してもよい。
【0049】
制御装置10は、検出状態または検出結果を制御する対象センサとして、マイクロフォン以外に撮像装置(カメラ)を備えてもよい。撮像装置を用いて所定の対象の表情、姿勢または動きを捉え、それに応じたコミュニケーションを生成することができる。撮像装置を備える場合、ロボット1の状態によって、複数の撮像装置の切替、撮像装置それぞれのオン/オフ、画角の広狭、および撮像装置の向きなどを制御することができる。また、撮像装置の画像から、所定の対象の位置を把握し、所定の対象の位置に応じてマイクロフォンの検出状態または検出結果を制御してもよい。
【0050】
ロボット1の保持および接触の状態を検出するのは、加速度センサ6、ジャイロセンサ7および接触センサ5に限らない。前述の撮像装置の他、例えば、赤外線センサを備えて、ロボット1に対する所定の対象の位置を把握し、所定の対象の位置に応じてマイクロフォンの検出状態または検出結果を制御することができる。
【0051】
変形例.
ロボット1の状態を判定するのは、図4に示す状態判定処理に限らない。例えば、以下のように保持状態を判定することができる。
【0052】
まず、加速度センサ6で検出する値が変化せず、かつ、ジャイロセンサ7で検出する角速度が0である状態が一定時間継続したときに、状態判定部14はロボット1が静止していると判定する。そのときの加速度(ベクトル)を重力加速度(ベクトル)として、加速度センサ6の座標軸に対する重力加速度の方向を設定する。座標軸に対する重力加速度の方向、あるいは逆に、重力加速度に対する座標軸の向きが、ロボット1の姿勢を表している。
【0053】
状態判定部14は、静止状態の時刻Tから現在時刻tまでジャイロセンサ7で検出した角速度を積分して、Tからtまでの方位変化θ(t)を計測する。静止時刻Tから現在時刻tまでの方位変化θ(t)で加速度センサ6の値(ベクトル)を静止状態の座標に変換し、重力加速度を引いて、時刻tにおける移動の加速度(ベクトル)a(t)を算出できる。
【0054】
状態判定部14は、静止時刻Tから現在時刻tまで移動の加速度a(t)を積分して、時刻tにおける速度v(t)を得る。Tからtまで速度v(t)を積分して、Tからtまでの変位x(t)を得る。速度vが0になったとき(時刻T)、静止したと判定できる。時刻Tで静止して、加速度センサ6で検出する値が変化せず、かつ、角速度=0の状態が一定時間継続したときにときに、重力加速度(ベクトル)=姿勢を再設定する(誤差補正)。
【0055】
静止状態(時刻T)で、移動の加速度aおよび角速度の少なくとも1つに0でない値が検出されたか、あるいは、接触センサ5に変化が検出されてから、再び静止状態になったとき(時刻T)に、状態判定部14は、ロボット1の状態を判定する。状態判定部14は、直前の静止(時刻T)から現在の静止(時刻T)までの間の変位x(T)および方位変化θ(T)、ならびに時刻Tにおける接触センサ5の接触データのオン/オフ(接触有無)で、ロボット1の状態を判定する。状態の判定条件は、例えば、以下のとおりである。
【0056】
(1)変位あり、方位変化なし、接触あり:状態=移動&撫でられ(保持)
(2)変位あり、方位変化なし、接触なし:状態=移動
(3)変位あり、方位変化あり、接触あり:状態=抱っこ
(4)変位あり、方位変化あり、接触なし:状態=手、膝、体の上
(5)変位なし、方位変化なし、接触あり:状態=撫でられ
(6)変位なし、方位変化なし、接触なし:状態=待機
(6)の状態=待機は、状態=撫でられからの変化と考えられるので、一定時間、所定の対象の発話が検出されなかったときに待機状態に遷移する。
【0057】
変位なし、かつ、方位変化ありの条件は通常考えられないが、その場合を状態=移動に含めてもよい。すなわち、以下のとおりである。
(7)変位なし、方位変化あり、接触あり:状態=移動&撫でられ
(8)変位なし、方位変化あり、接触なし:状態=移動
【0058】
(5)の変位なし、方位変化なしかつ接触なしの判定では、接触センサ5だけがオンになった場合は、直ちに、または検出を確定する時間の後に、状態=撫でられと判定する。なお、(2)状態=移動、および(8)状態=移動ののち、加速度変化、角速度変化および接触変化がなく、所定の対象者の発話がない状態が一定時間継続した場合は、待機状態に遷移する。
【0059】
なお、ロボット1がいずれの状態にあっても、所定の対象者の発話を検出した場合には、マイク制御部13は、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3のそれぞれを、発話を認識できる適度な感度に設定する。その状態で会話が終了し、所定の対象者の発話が一定時間検出されなかったときに、制御装置10は、元の状態に復帰する。
【0060】
上述のとおり、状態判定したのち、状態に応じてマイクロフォンを制御するのは、実施の形態と同様である。変形例によれば、動いている間は状態が変化せず、動作が安定する。
【0061】
変形例ではさらに、加速度または角速度に基づく状態判定と組み合わせてもよい。状態判定部14は、例えば、静止状態(T)から移動の加速度aおよび角速度の少なくとも1つに0でない値が検出されたときに、ロボット1の状態を移動中と判定し、その後、静止状態(速度=0)になるまで、状態=移動中を維持する。状態=移動中では、マイク制御部13は、例えば実施の形態の持ち上げ状態と同様に、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の感度を“中”に設定する。状態=移動中から静止状態になったとき(時刻T)に、状態判定部14は、上述の(1)~(8)の条件でロボット1の状態を判定する。
【0062】
このように、加速度または角速度に基づく状態判定と組み合わせることによって、移動中または方位が変化しているときでも、前面マイクロフォン2および背面マイクロフォン3の検出状態または検出結果を適切に制御することができる。
【0063】
以上の構成の変化および変形例のほか、さまざまな変形と派生が可能である。例えば、ロボット1の形状は、図1Aおよび図1Bに示した形状に限らない。例えば、犬または猫をはじめとして、ペットを模した形状とすることができる。ロボット1は、また、ぬいぐるみやアニメなどのキャラクタの形状であってもよい。
【0064】
あるいはさらに、ロボット1は、スマートフォンまたはタブレットなどの画面に表示されるアバターであってもよい。ロボット1がアバターである場合、状態判定部14は、スマートフォンまたはタブレットの加速度および角速度、ならびに画面上に表示されたアバター部分への接触などで、ロボット1としてのアバターの保持状態を判定できる。その場合、制御装置10は、スマートフォンまたはタブレットにインストールされるアプリケーションプログラムで実現することができる。
【0065】
制御装置10が所定の対象に応答する手段は、応答文を音声で出力することに限らず、ロボット1が備える頭、手または腕などの動作でもよい。応答する手段は、また、眉、目、鼻、口などを動かして、顔の表情を変えたり、ディスプレイ式の目の表示態様を変えるものでもよい。応答文を音声で出力する場合でも、ロボット1の保持状態に応じて、発声する声音、イントネーション、リズムなどを変化させて、音声に表情をつけてもよい。
【0066】
制御装置10は、CPUの代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、図2に示した各部として機能してもよい。この場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現することもできる。また、各部の機能のうちの、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアによって実現してもよい。
【0067】
制御装置10の各機能を実現するプログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0069】
(付記1)
ロボットに設けられ、所定の対象に関する情報を検出するための対象センサと、
前記所定の対象による前記ロボットの保持状態を判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段により判定された前記ロボットの保持状態に応じて、前記対象センサの検出状態又は検出結果を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【0070】
(付記2)
前記対象センサは、前記ロボットの互いに異なる複数の部位に対応させて設けられた複数の対象センサで構成されており、
前記制御手段は、前記ロボットの保持状態に応じて、前記複数の対象センサの各々の検出状態としてのオン/オフと感度との少なくとも一方を制御する
ことを特徴とする、付記1に記載の制御装置。
【0071】
(付記3)
前記所定の対象が前記ロボットを保持せずに撫でているか否かを判定する第2判定手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2判定手段が、前記所定の対象が前記ロボットを保持せずに撫でていると判定している場合に、前記所定の対象が前記ロボットを保持せずに撫でていない場合よりも、前記対象センサの検出状態としての感度を高めるように制御する
ことを特徴とする、付記1又は2に記載の制御装置。
【0072】
(付記4)
前記第1判定手段は、前記所定の対象により前記ロボットが保持されているか否かを判定し、
前記制御手段は、前記所定の対象により前記ロボットが保持されていると判定されている場合と、前記所定の対象により前記ロボットが保持されていないと判定されている場合とで、前記対象センサの検出状態又は検出結果を互いに異ならせるように制御する
ことを特徴とする、付記1から3の何れか1つに記載の制御装置。
【0073】
(付記5)
前記第1判定手段は、前記所定の対象に保持されている前記ロボットの保持状態の種類を判定し、
前記制御手段は、前記第1判定手段により判定された前記ロボットの保持状態の種類に応じて、前記対象センサの検出状態又は検出結果を制御する
ことを特徴とする、付記1から3の何れか1つに記載の制御装置。
【0074】
(付記6)
前記対象センサは、前記所定の対象の音声を検出するマイクロフォンを含むことを特徴とする、付記1から5の何れか1つに記載の制御装置。
【0075】
(付記7)
前記対象センサとは異なる、前記ロボットの加速度を検出する加速度センサ、前記ロボットの角速度を検出するジャイロセンサ、及び、前記ロボットへの所定の対象の接触を検出する接触センサのうちの少なくとも1つのセンサをさらに備え、
前記第1判定手段は、前記少なくとも1つのセンサの検出結果に基づいて、前記所定の対象による前記ロボットの保持状態を判定する
ことを特徴とする、付記1から6の何れか1つに記載の制御装置。
【0076】
(付記8)
前記ロボットは、所定の動作を実行可能に構成され、
前記制御手段は、前記制御された前記対象センサの検出状態又は検出結果に応じて、前記ロボットによる前記所定の動作を制御する
ことを特徴とする、付記1から7の何れか1つに記載の制御装置。
【0077】
(付記9)
付記1から8の何れか1つに記載の制御装置を備えるロボット。
【0078】
(付記10)
所定の対象に関する情報を検出するための対象センサが設けられたロボットの制御方法であって、
前記所定の対象による前記ロボットの保持状態を判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより判定された前記ロボットの保持状態に応じて、前記対象センサの検出状態又は検出結果を制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【0079】
(付記11)
所定の対象に関する情報を検出するための対象センサが設けられたロボットを制御するためのコンピュータを、
前記所定の対象による前記ロボットの保持状態を判定する第1判定手段、および
前記第1判定手段により判定された前記ロボットの保持状態に応じて、前記対象センサの検出状態又は検出結果を制御する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0080】
1…ロボット、2…前面マイクロフォン、3…背面マイクロフォン、4…スピーカ、5…接触センサ、6…加速度センサ、7…ジャイロセンサ、10…制御装置、11…音声取得部、12…音声認識部、13…マイク制御部、14…状態判定部、15…音声出力部、16…応答制御部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6