(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】送信装置、無線通信方法、無線通信システム、受信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 72/56 20230101AFI20240214BHJP
H04W 72/231 20230101ALI20240214BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20240214BHJP
H04W 72/512 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
H04W72/56
H04W72/231
H04W72/1268
H04W72/512
(21)【出願番号】P 2022200045
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2019571869の分割
【原出願日】2018-02-15
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147164
【氏名又は名称】向山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/172789(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置であって、
第一優先度を有する第一無線サービスと前記第一優先度より低い優先度である第二優先度を有する第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用して受信装置と無線通信することができる無線通信部と、
MAC(Medium Access Control - Protocol)レイヤにおけるLCP(Logical Channel Prioritization)により前記第二無線サービスの論理チャネルのバッファに格納された第二送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられ、前記MACレイヤにおいてMAC-PDU(Medium Access Control - Protocol Data Unit)が生成されている状態または生成できる状態において、前記MACレイヤにおける前記LCPを制御する第一情報要素の値
が、割込み通信を行うことを許容することを示す場合、前記第一無線サービスの論理チャネルのバッファに格納される第一送信データの割込み通信を行う
ように制御する処理部と、を有する送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記処理部は、前記第一情報要素の値に応じてバッファに格納される前記第一送信データの有無を繰り返し確認し、前記第一送信データの割当制御を行う割込み通信を行うか否かを制御する
ことを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記処理部は、
前記第二送信データに対して前記LCPを行うことで、前記上りリンクの無線リソースを前記第二送信データに割当て、前記第二送信データを含む前記MAC-PDUを生成し、
前記上りリンクの無線リソースを前記第二送信データに割当てた後に、前記第一情報要素が前記上りリンクの無線リソースを前記第一送信データに割当てることが可能であることを示しており、且つ前記第一無線サービスの前記第一送信データが発生した場合、前記
上りリンクの無線リソースの少なくとも一部を前記第一送信データに割当て、前記第二送信データを含む前記MAC-PDUに、前記第一送信データを多重する、
ことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の送信装置であって、
前記第一無線サービスはURLLC(Ultra-Reliable and Low
Latency Communications)であり、
前記第二無線サービスはeMBB(enhanced Mobile BroadBand)であり、
前記LCPは
前記MACレイヤにおいて実施される、
ことを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の送信装置であって、
前記処理部は、前記受信装置からのRRC(Radio Resource Control)メッセージを用いて、前記第一情報要素を取得する、
ことを特徴とする送信装置。
【請求項6】
受信装置であって、
第一優先度を有する第一無線サービスと前記第一優先度より低い優先度である第二優先度を有する第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用して送信装置と無線通信することができる無線通信部と、
LCP(Logical Channel Prioritization)を制御する第一情報要素を前記送信装置と共有する処理部と、を有し、
前記第一情報要素は、前記送信装置が、MAC(Medium Access Control - Protocol)レイヤにおけるLCP(LogicalChann
el Prioritization)により前記第二無線サービスの論理チャネルのバ
ッファに格納された第二送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられ、前記MACレイヤにおいてMAC-PDU(Medium Access Control
- Protocol Data Unit)が生成されている状態または生成できる状態において、前記MACレイヤにおける前記LCPを制御することで、前記第一無線サービスの論理チャネルのバッファに格納される第一送信データの割込み通信を行うか否かを制御するように構成された値を有
し、
前記第一情報要素の前記値が割込み通信を行うことを許容することを示す場合、前記第一無線サービスの論理チャネルのバッファに格納される前記第一送信データの割込み通信が行われるように制御される、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項7】
請求項6に記載の受信装置であって、
前記第一情報要素は、前記送信装置が、バッファに格納される前記第一送信データの有無を繰り返し確認し、前記第一送信データの割当制御を行う割込み通信を行うか否かを制御するように構成された前記値を有する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の受信装置であって、
前記処理部は、前記送信装置にRRC(Radio Resource Control)メッセージを用いて、前記第一情報要素を送信する
ことを特徴とする受信装置。
【請求項9】
無線通信方法であって、
第一優先度を有する第一無線サービスと前記第一優先度より低い優先度である第二優先度を有する第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用して受信装置と無線通信することができる送信装置が、
前記受信装置から受信したRRC(Radio Resource Control)メ
ッセージからLCP(Logical Channel Prioritization)を制御する第一情報要素を取得し、
MAC(Medium Access Control - Protocol)レイヤにおける前記LCPにより前記第二無線サービスの論理チャネルのバッファに格納された第二送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられ、前記MACレイヤにおいてMAC-PDU(Medium Access Control - Protocol Data Unit)が生成されている状態または生成できる状態において、前記MACレイヤにおける前記LCPを制御する第一情報要素の値
が、割込み通信を行うことを許容することを示す場合、前記第一無線サービスの論理チャネルのバッファに格納される第一送信データの割込み通信を行う
ように制御する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項10】
受信装置と送信装置との間で、第一優先度を有する第一無線サービスと前記第一優先度より低い優先度である第二優先度を有する第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを提供する無線通信システムであって、
前記受信装置と前記送信装置は、
LCP(Logical Channel Prioritization)を制御する第一情報要素を共有し、
前記送信装置は、
MAC(Medium Access Control - Protocol)レイヤにおける前記LCPにより前記第二無線サービスの論理チャネルのバッファに格納された第二送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられ、前記MACレイヤにおいてMAC-PDU(Medium Access Control - Protocol Data Unit)が生成されている状態または生成できる状態において、前記MACレイヤにおける前記LCPを制御する第一情報要素
が、割込み通信を行うことを許容することを示す場合、前記第一無線サービスの論理チャネルのバッファに格納される第一送信データの割込み通信を行う
ように制御する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項11】
請求項1に記載の送信装置であって、
前記処理部は、前記LCP(Logical Channel Prioritization)により前記第二無線サービスの論理チャネルのバッファに格納された前記第二送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられ、且つ前記第一情報要素の値が前記割込み通信を行うことを許容すること示す場合、前記第一送信データに対して設定された無線リソースに、前記第一送信データの割当てを行うように制御する
ことを特徴とする送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高信頼・低遅延通信に関する送信装置、無線通信方法、無線通信システム、受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話システム(セルラーシステム)等の無線通信システム(移動通信システムとも称され得る)について様々なユースケースを想定し、無線通信(移動通信とも称され得る)の更なる高速化・大容量化等を図るため、次世代の無線通信技術について議論が行われている。例えば、標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標)では、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる通信規格や、LTEの無線通信技術をベースとしたLTE-A(LTE-Advanced)と呼ばれる通信規格の仕様策定を既に行い、その機能の拡張のための検討作業が継続的に行なわれている。例えば、ITU-R(International Telecommunication Union Radio communications sector)から提示された運用シナリオや技術要件の内容を実現する第五世代移動通信システム(5Gシステムとも称され得る)の標準化に関する議論が行われている。
【0003】
無線通信システムの通信規格では、一般的に、無線通信の機能を一連の層(レイヤ)に分割したプロトコルスタック(階層型プロトコルとも称され得る)として、仕様が規定される。例えば、第一レイヤとして物理層が規定され、第二レイヤとしてデータリンク層が規定され、第三レイヤとしてネットワーク層が規定される。LTEなどの第四世代移動通信システム(4Gシステムとも称され得る)では、第二レイヤは、複数のサブレイヤに分割されており、第一サブレイヤ(PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤ)、第二サブレイヤ(RLC(Radio Link Control)レイヤ)、第三サブレイヤ(MAC(Medium Access Control)レイヤ)を有する。また、4Gシステムにおいて、第一レイヤは、PHY(Physical)レイヤと称されてもよい。また、第三レイヤは、RRC(Radio Resource Control)レイヤを有してもよい。
【0004】
無線通信システムの送信装置における各レイヤは、上位層からのデータブロック(サービスデータユニット(SDU:Service Data Unit)とも称され得る)に対して、ヘッダを付すなどの所定のプロトコルに準拠した処理を行うことで、受信装置におけるピアプロセス間で交換される情報単位であるプロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)を生成し、下位レイヤに転送する。例えば、LTEのRLCレイヤでは、上位層であるPDCPレイヤからのデータブロックであるPDCP-PDUをRLC-SDUとし、下位レイヤから通知されるTB(Transport Block)長に収まる範囲で複数のRLC-SDUを連結するなどして、RLC-PDUを生成する。その様なRLC-PDUは、RLCレイヤにおけるシーケンス番号(SN:Sequence Number)を有するRLCヘッダが付された状態で、下位レイヤであるMACレイヤに転送される。
【0005】
無線通信システムの受信装置における各レイヤは、下位レイヤからのデータブロック(PDUとも称され得る)を受けて、ヘッダを除去するなどして取り出したデータブロック(SDUとも称され得る)を上位層へ転送する。例えば、LTEのRLCでは、下位レイヤであるMACレイヤからのデータブロック(MAC-SDU、RLC-PDUとも称され得る)に付されたRLCヘッダを参照して、1個のRLC-PDUに格納された複数のRLC-SDUを再構成するなどの処理が行われ、上位層であるPDCPレイヤにRLC-SDUを転送する。その際、上位層に対してRLC-SDUの順序を補償するために、RLC-SDUの再構成において、RLCヘッダが有するRLCシーケンス番号に基づく整序処理が行われる。そして、RLCシーケンス番号に抜けが生じたことを検知した場合、送信装置に対してRLC-PDUの再送を要求するRLC再送制御が実行される。5Gシステムでも、基本的には、4Gシステムにおける上述のプロトコルスタックが踏襲されることが議論されている。
【0006】
ところで、5Gシステム以降の次世代移動通信システムにおいては、例えば、触覚通信や拡張現実など、従来と異なるレベルの低遅延が要求されるサービスの登場が期待されている。そのようなサービスの実現に向けて、5Gシステムでは、超高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra-Reliable and Low-Latency Communications)を機能要件の一つとしている。URLLCでは、上り回線及び下り回線におけるユーザプレーンの無線部遅延を0.5ミリ秒にすることが目標とされている。これは、4GシステムであるLTE(Long Term Evolution)で求められる遅延の1/10未満に相当する。
【0007】
3GPPの作業部会の一つであるTSG-RAN WG2(Technical Specification Group - Radio Access Network Working Group 2)では、5Gシステムにおける超高信頼・低遅延通信の実現に向けた検討が行われている。LTEでは、無線端末(UE:User Equipment)からの上り信号を送信する場合、無線端末は、例えば、上り信号の無線リソースの割当てを要求するSR信号(Scheduling Request信号)を無線基地局へ送信し、その応答としてグラント信号を無線基地局から受信し、グラント信号により割当てられた無線リソース量に応じた分量の一以上のRLC-PDUを所定の優先制御に従って取り出し、取り出した各RLC-PDUに対してMACヘッダを付与して連結するなどして、送信単位であるトランスポートブロック(TB)の生成が行われる。これに対し、5Gシステムの超高信頼・低遅延通信では、スケジューリングリクエストに係る一連のシーケンスを省略することで、遅延時間を削減することが検討されはじめたところである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】3GPP TS 36.211 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.212 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.213 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.300 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.321 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.322 V14.1.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.323 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.331 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.413 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.423 V14.4.0 (2017-09)
【文献】3GPP TS 36.425 V14.0.0 (2017-03)
【文献】3GPP TS 37.340 V2.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.201 V1.1.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.202 V1.1.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.211 V1.2.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.212 V1.2.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.213 V1.2.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.214 V1.2.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.215 V1.2.0(2017-11)
【文献】3GPP TS 38.300 V2.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.321 V2.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.322 V2.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.323 V2.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.331 V0.4.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.401 V1.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.410 V 0.6.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.413 V0.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.420 V0.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.423 V0.5.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.470 V1.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.473 V1.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-04)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0 (2017-04)
【文献】3GPP TR 38.900 V14.3.1 (2017-07)
【文献】3GPP TR 38.912 V14.1.0 (2017-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V14.3.0 (2017-06)
【文献】ITU-R: “IMT Vision - Framework and overall objectives of the future development of IMT for 2020 and beyond”, Recommendation ITU-R M.2083-0, September 2015,<http://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/m/R-REC-M.2083-0-201509-I!!PDF-E.pdf>
【文献】Qualcomm: “On reliable transmission of URLLC data” 3GPP TSG-RAN WG2 #99bis, R2-1709125, 11 August 2017, <http://www.3gpp.org/FTP/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_99/Docs/R2-1709125.zip>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の5Gシステムにおける議論はまだ開始されたばかりであり、当面は基本的なシステム設計が主に議論されていくことになると考えられる。そのため、オペレーター内において適宜実装される技術については十分な検討がなされていない。例えば、上りリンクの超高信頼・低遅延通信については検討が進んでおらず、実装上の課題などについては、議論があまり進んでいないのが実情である。
【0010】
開示の技術は、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決できる送信装置、無線通信方法、無線通信システム、受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示の一側面によれば、送信装置は、第一優先度を有する第一無線サービスと前記第一優先度より低い優先度である第二優先度を有する第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用して受信装置と無線通信することができる無線通信部と、MAC(Medium Access Control - Protocol)レイヤにおけるLCP(Logical Channel Prioritization)により前記第二無線サービスの論理チャネルのバッファに格納された第二送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられ、前記MACレイヤにおいてMAC-PDU(Medium Access Control - Protocol Data Unit)が生成されている状態または生成できる状態において、前記MACレイヤにおける前記LCPを制御する第一情報要素の値に応じて、前記第一無線サービスの論理チャネルのバッファに格納される第一送信データの割込み通信を行うか否かを制御する処理部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
開示の技術の一側面によれば、上りリンクの信号を送信する際の遅延をより削減でき、超高信頼・低遅延通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施例1に係る無線通信システム1におけるU-Planeプロト コルスタックの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る無線通信システム1におけるU-Planeプロト コルスタックのSDUとTBとの関係を示す図である。
【
図3】
図3は、上りリンクのU-PlaneプロトコルスタックにおけるUE10 の第一処理の流れの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当 ての一例を示す図(その1)である。
【
図5】
図5は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当 ての一例を示す図(その2)である。
【
図6】
図6は、上りリンクのU-PlaneプロトコルスタックにおけるUE10 の第二処理の流れの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当 ての一例を示す図(その3)である。
【
図8】
図8は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当 ての一例を示す図(その4)である。
【
図9】
図9は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当 ての一例を示す図(その5)である。
【
図10】
図10は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの 割当ての一例を示す図(その6)である。
【
図11】
図11は、実施例1に係るUE10におけるU-Planeプロトコルス タックの機能的構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例2に係るUE10におけるU-Planeプロトコルス タックの機能的構成の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施例2に係るUE10により送信される上りリンクのサブフ レームの構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施例2に係るUE10により送信される上りリンクの無線フ レームの構成例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例3に係るUE10におけるU-Planeプロトコルス タックの機能的構成の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施例4に係るUE10におけるU-Planeプロトコルス タックの機能的構成の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施例5に係る無線通信システム1における設定情報の通知シ ーケンスの一例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施例5に係る設定情報の内容例を示す図である。
【
図19】
図19は、実施例5に係る上りリンクのU-Planeプロトコルスタッ クにおけるUE10の第一処理の流れの一例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施例6に係るUE10におけるU-Planeプロトコルス タックの機能的構成の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施例6に係るUE10により送信される上りリンクのサブフ レームの構成例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施例7に係るUE10におけるU-Planeプロトコルス タックの機能的構成の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、無線通信システム1におけるUE10とgNB20とのハード ウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の如く、5Gシステムにおける議論はまだ開始されたばかりである。例えば、上りリンクの超高信頼・低遅延通信(URLLC)については検討が進んでおらず、実装上の課題などについては、議論があまり進んでいないのが実情である。
【0015】
本発明の発明者らは、上りリンクのURLLCを実行するようにした場合に生じ得る実装上の課題について独自の検討の結果、無線リソースの割当て量が確定した後に発生した上り送信データについて、次の無線リソースの割当てタイミングまでバッファに滞留することによる遅延が生じている、という不都合な点を見出した。
【0016】
例えば、無線端末(UE)は、無線基地局から受けたグラント信号に示される無線リソースの割当量を参照することで、上りリンクの無線リソースの割当量を確定し得る。UEは、割当てられた無線リソースを用いて新規の送信を実行する際に、論理チャネル優先制御(LCP:Logical Channel Prioritization)(論理チャネル優先順位化とも称され得る)の処理(優先制御処理とも称され得る)を実行する。LCPでは、バッファにデータが存在する論理チャネルについて、各論理チャネルの優先度に従って、無線リソースが割当てられる。別言すると、UEは、LCPの実行時点でバッファにデータが存在しない論理チャネルを、無線リソースの割当て対象から除外する。
【0017】
その結果、LCP実行時に無線リソースが割当てられなかった論理チャネルは、LCP実行後に新たなデータがバッファに追加されたとしても、次回の無線リソースの割当てタイミングまで待機することとなる。このことは、スケジューリングリクエストに係る一連のシーケンスを省略したとしても同様である。
【0018】
本発明の発明者らは、上述の技術的制約を、URLLCのような極めて低遅延が要求される無線サービスについても同様に適用すると、超高信頼・低遅延通信といった無線サービスを実現する上で障害となり得る、という独自の知見を得るに至った。なお、下りリンクにおいても、上述と同様の事象は生じ得る。
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態、実施例とも称する)について説明する。以下に示す実施形態の構成は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示したものであり、本発明をこの実施形態の構成に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも等しく適用し得るものである。例えば、PDCP、RLC、MAC等の種々のレイヤの名称については、今後の5Gシステムの仕様策定において、名称が変更され得ることも考えられる。第六世代以降の移動通信システムについても、各レイヤの名称が変更され得ることも考えられる。以下の開示では、無線通信のプロトコルスタックにおけるレイヤの一例として、PDCP、RLC、MAC等のレイヤの名称を用いるが、これらの名称のレイヤに限定する意図ではないことに留意されたい。
【0020】
また、以下に示す各実施例は、適宜組み合わせて実施してもよいことはいうまでもない。ここで、非特許文献1ないし非特許文献40の全ての内容は、参照することによりここに援用される。
【0021】
<実施例1> 実施例1に係る無線通信システム1では、無線端末(UE)10におけるLCP処理の実行後に発生した送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。
【0022】
図1は、実施例1に係る無線通信システム1におけるユーザプレーン(U-Plane)プロトコルスタックの概略を示す図である。なお、各層の名称は一例であり、5Gシステム以降の仕様策定において、名称が変更され得ることに留意されたい。
【0023】
図1に示される無線通信システム1は、無線端末(UE)10と無線基地局(gNB)20とを有する。
図1の無線通信システム1において上りリンクに着目すると、UE10は送信装置としての側面を有し、gNB20は受信装置としての側面を有する。また、
図1の無線通信システム1において下りリンクに着目すると、UE10は受信装置としての側面を有し、gNB20は送信装置としての側面を有する。
【0024】
UE10は、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤP101と、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤP102と、RLC(Radio Link Control)レイヤP103と、MAC(Medium Access Control)レイヤP104と、PHY(Physical)レイヤP105と、を有する。SDAPレイヤP101と、PDCPレイヤP102と、RLCレイヤP103と、MACレイヤP104とは、第二レイヤのサブレイヤに分類され得る。PHYレイヤP105は、第一レイヤに分類され得る。
【0025】
gNB20は、UE10のレイヤと対になるレイヤを備えており、例えば、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤP201と、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤP202と、RLC(Radio Link Control)レイヤP203と、MAC(Medium Access Control)レイヤP204と、PHY(Physical)レイヤP205と、を有する。SDAPレイヤP201と、PDCPレイヤP202と、RLCレイヤP203と、MACレイヤP204とは、第二レイヤのサブレイヤに分類され得る。PHYレイヤP205は、第一レイヤに分類され得る。
【0026】
図1に示す無線通信システム1では、例えば、UE10から上りリンクでIPパケットが送信される場合、上位レイヤからのIPパケットが、例えば、SDAPレイヤP101、PDCPレイヤP102、RLCレイヤP103、MACレイヤP104、PHYレイヤP105の順に処理されて、上りリンクの無線信号で送信される。この場合、無線通信システム1のgNB20では、UE10からの上りリンクの無線信号が、例えば、PHYレイヤP205、MACレイヤP204、RLCレイヤP203、PDCPレイヤP202、SDAPレイヤP201の順に処理されて、UE10からのIPパケットが取得される。
【0027】
U-Planeプロトコルスタックにおける各レイヤの詳細な説明は、非特許文献1ないし非特許文献40に詳しい。なお、5Gシステムの標準化に関する議論の動向次第では、各レイヤが有すべき機能が変更され得ることに留意されたい。
【0028】
図2は、実施例1に係る無線通信システム1におけるU-PlaneプロトコルスタックのSDUとTBとの関係を示す図である。
図2では、無線ベアラRB[A](P10)と、無線ベアラRB[B](P11)とが示されている。無線ベアラRB[A](P10)と無線ベアラRB[B](P11)は、ユーザデータ用の無線ベアラの例であり、DRB(Data Radio Bearer)と称されてもよい。
【0029】
図2では、無線ベアラRB[A](P10)に対してIPパケットP10-1とIPパケットP10-2とが関連付け(マッピング)されており、無線ベアラRB[B](P11)に対してIPパケットP11-1がマッピングされている。
【0030】
例えば、UE10における上りリンクのU-Planeプロトコルスタックの場合、アプリケーションなどの上位レイヤからのIPパケットP10-1は、SDAPレイヤP101に入力される。SDAPレイヤP101は、上位レイヤからのIPパケットP10-1をSDAP-SDU(P101-2)とし、QoS(Quality of Service)フローを示す識別子(QFI:QoS Flow ID)などを有するヘッダ(SDAPヘッダ)P101-1を付与し、SDAP-PDU(P101-1、P101-2)を生成して、PDCPレイヤP102へ転送する。なお、SDAP-PDU(P101-1、P101-2)の構成については、例えば、3GPP TS37.324に詳しい。
【0031】
PDCPレイヤP102は、SDAPレイヤP101からのSDAP-PDU(P101-1、P101-2)をPDCP-SDU(P102-2)とし、PDCPヘッダP102-1を付与し、PDCP-PDU(P102-1、P102-2)を生成して、RLCレイヤP103へ転送する。なお、PDCP-PDU(P102-1、P102-2)の構成については、例えば、3GPP TS38.323に詳しい。
【0032】
RLCレイヤP103は、PDCPレイヤP102からのPDCP-PDU(P102-1、P102-2)をRLC-SDU(P103-2)とし、RLCヘッダP103-1を付与し、RLC-PDU(P103-1、P103-2)を生成して、MACレイヤP104へ転送する。なお、RLC-PDU(P103-1、P103-2)の構成については、例えば、3GPP TS38.322に詳しい。
【0033】
MACレイヤP104は、RLCレイヤP103からのRLC-PDU(P103-1、P103-2)を、無線ベアラ(RB[A](P10)、RB[B](P11))毎のバッファに格納する。MACレイヤP104において、無線ベアラ(RB[A](P10)、RB[B](P11))は、論理チャネル識別子(LCID:Logical Channel ID)により区別されてもよい。別言すると、RLCレイヤP103からのRLC-PDU(P103-1、P103-2)は、MAC-SDU(P104-2)として、LCIDにより識別される論理チャネル毎のバッファに格納される。
【0034】
MACレイヤP104は、上りリンクにおける無線リソースの割当量が確定すると、バッファに格納されたデータ(MAC-SDU)の新規送信に関する処理を実行する。例えば、MACレイヤP104は、論理チャネル優先制御(LCP)を実行する。LCPでは、論理チャネル毎(無線ベアラ毎であってもよい)に予め設定された優先度の高い順に、無線リソースの割当て対象となる論理チャネルが選択される。MACレイヤP104は、LCPにより選択された論理チャネルのバッファから、MAC-SDU(P104-2)を取得し、それにMACサブヘッダP104-1を付与して、MACサブPDU(P104-1、P104-2)を生成する。
図2の例では、IPパケットP10-1、IPパケットP10-2、IPパケットP11-1に対応するMACサブPDUが生成されており、これら3つのMACサブPDUを含むMAC-PDU(TB(Transport Block)と称されてもよい)が生成される。なお、MAC-PDU及びMACサブPDUの構成や、LCPアルゴリズムについては、例えば、3GPP TS38.321に詳しい。
【0035】
図3は、上りリンクのU-PlaneプロトコルスタックにおけるUE10の第一処理の流れの一例を示す図である。
図3に示される第一処理は、例えば、上りリンクの無線リソースの割当量が確定したことを、実行開始の契機の一つとしてもよい。例えば、UE10は、上りリンクの無線リソースの割当てを要求するスケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request)を送信し、gNB20から上りリンクの無線リソースの割当量を示す上りリンク送信許可信号(上りリンクグラントとも称され得る)を受信することで、上りリンクの無線リソースの割当量を確定し、
図3に示される第一処理を実行してもよい。このような無線リソースの割当て方式は、動的スケジューリングと称され得る。あるいは、UE10は、gNB20から予め通知された周期と割当量とに基づいて、上りリンクの無線リソースの割当量を確定し、
図3に示される第一処理を実行してもよい。このような無線リソースの割当て方式は、永続的スケジューリング、半永続的スケジューリングと称され得る。
【0036】
UE10は、上りリンクの無線リソースの割当量を取得し(S101)、LCPによる無線リソースの割当てを実行する(S102)。S102において、UE10は、論理チャネル毎(無線ベアラ毎であってもよい)に予め設定された優先度の高い順に、無線リソースの割当て対象となる論理チャネルを選択し、当該選択された論理チャネルのバッファから取得した送信データ(MAC-SDU)を含むMACサブPDUを生成する。そして、UE10は、無線リソースの割当量が枯渇していなければ、LCPに基づき他の論理チャネルを選択して、選択された論理チャネルのバッファから取得した送信データ(MAC-SDU)を含むMACサブPDUを生成する。なお、S102において、生成されたMACサブPDUには、MAC-SDUに対応するMACサブヘッダが付与されてもよいし、MACサブヘッダが付与されていなくてもよい。別言すると、後述するTBの生成(S104)において、TBに含まれる各MACサブPDUに対してMACサブヘッダを付与してもよい。
【0037】
図4は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当ての一例(その1)を示す図である。
図4の例では、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)の各々に対応するバッファA10、バッファB10、バッファC10、バッファD10が示される。論理チャネルLCH-Aには優先度「1」が設定されており、論理チャネルLCH-B、論理チャネルLCH-C、論理チャネルLCH-Dには、各々、優先度「2」、優先度「3」、優先度「0」が設定されている。なお、本例では、優先度の値が小さいほど、優先度が高いことを示す。例えば、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)は、高速大容量の無線サービスを示すeMBB(enhanced Mobile BroadBand)の用途に関連付けられており、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)は、超高信頼かつ低遅延の無線サービスを示すURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)の用途に関連付けられている。3GPP TR38.913によれば、URLLCについては、上りリンク及び下りリンクともにU-Planeの遅延として0.5ms(ミリ秒)が目指されており、eMBBについては4ms(ミリ秒)が目指されている。それゆえに、URLLCの用途に関連付けられた無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)は、
図4に示される例の様に、最優先に処理されるべきことを示す優先度「0」が設定されるべきかもしれないが、本実施例はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザデータの送信に用いられる複数の無線ベアラ(無線ベアラRB[A]、無線ベアラRB[B]、無線ベアラRB[C])との関係で相対的に高い優先度を示す値を、無線ベアラRB[D]に設定してもよい。なお、URLLCは、他の無線サービスよりも高い優先度(第一優先度とも称され得る)を有する第一無線サービスの一例であり、eMBBは、第一無線サービスよりも低い優先度(第二優先度とも称され得る)を有する第二無線サービスの一例である。
【0038】
図4において、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)の優先度「0」が最も高い優先度を示すが、無線ベアラRB[D]に対応するバッファD10には送信データが格納されていない。そのため、
図4の例では、無線ベアラRB[D]に対する上りリンクの無線リソースの割当ては行われず、優先度の高い順に、無線ベアラRB[A](優先度:1)、無線ベアラRB[B](優先度:2)、無線ベアラRB[C](優先度:3)に対して上りリンクの無線リソースが割当てられる。その結果、無線ベアラRB[A]のバッファA10から取得されたMAC-SDU(A21-2)を含むMACサブPDU(A21)と、無線ベアラRB[B]のバッファB10から取得されたMAC-SDU(B21-2)を含むMACサブPDU(B21)と、無線ベアラRB[C]のバッファC10から取得されたMAC-SDU(C21-2)を含むMACサブPDU(C21)が生成される。なお、
図4の例では、各MACサブPDU(A21、B21、C21)にMACサブヘッダ(A21-1、B21-1、C21-1)が含まれる態様が図示されているが、上述のようにS102の時点では、各MACサブPDU(A21、B21、C21)にMACサブヘッダ(A21-1、B21-1、C21-1)が付与されていなくてもよい。
【0039】
図3の説明に戻る。UE10は、LCPフラグをONに設定する(S103)。S103は、S102が完全に終了した後に実行されてもよいし、S102の実行が開始されるタイミングと同時に実行されてもよいし、S102の実行中の適当なタイミングで実行されてもよい。S103において、UE10は、LCPフラグに「1」を設定してもよい。この場合、LCPフラグの値が「1」であることは、LCPフラグがONであることを意味する。なお、LCPフラグの値の具体例は、これに限定されるものではないことに留意されたい。ここで、LCPフラグは、後述の割込み通信(IC:Interrupt Communication)を実行すべきか否かを示すフラグとしての側面を有する。この側面において、LCPフラグがON状態を示す場合、ICが実行されるべき状態であることを意味する。
【0040】
UE10は、S102により生成されたMACサブPDUに基づいて、TB(MAC-PDUと称されてもよい)を生成し(S104)、TBを下位レイヤであるPHYレイヤP105に転送し(S105)、LCPフラグをOFFに設定する(S106)。TBがPHYレイヤP105に転送されることで、TBに基づいて生成された無線信号がUE10のアンテナから送信される。
【0041】
S106において、UE10は、例えば、LCPフラグに「0」を設定してもよい。この場合、LCPフラグの値が「0」であることは、LCPフラグがOFFであることを意味する。なお、LCPフラグの値の具体例は、これに限定されるものではないことに留意されたい。ここで、LCPフラグは、ICを実行すべきか否かを示すフラグとしての側面を有する。この側面において、LCPフラグがOFF状態を示す場合、ICが実行されるべき状態ではないことを意味する。
図3の例では、S105の後にS106が図示されているが、本開示はこの順序に限定されるものではない。例えば、S106は、S105の前に実行されてもよいし、S105と並列的に実行されてもよい。
【0042】
図5は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当ての一例(その2)を示す図である。
図5に示されるように、UE10は、S102のLCPにより無線リソースが割当てられた論理チャネル(LCH-A、LCH-B、LCH-C)のバッファ(A10、B10、C10)のデータから生成されたMACサブPDU(A21、B21、C21)を含むTB(MACサブPDUと称されてもよい)を生成する。TBに含まれるMACサブPDUは、MACサブヘッダが付与されている。S102においてMACサブヘッダがMACサブPDUに付与されない場合、S104において、UE10は、MACサブPDUにMACサブヘッダを付与する処理を実行してもよい。
図5に例示されるTBは、MACサブPDU(A21、B21、C21)以外の情報要素を更に含んでもよい。
【0043】
図5の例示について、更に説明をつづける。
図5の例示では、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)に対して、上りリンクの無線リソースが割当てられており、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)に対しては、上りリンクの無線リソースが割当てられていない。その理由は、S102が実行される時点において、
図4に示されるように、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)のバッファD10に送信データが格納されていなかったためである。しかし、S104の実行が開始される時点、あるいは、S104の実行が完了した時点では、
図5に示されるように、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)のバッファD11に送信データが格納されている。なお、
図5に示される無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)のバッファD11は、
図4に示される無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)のバッファD10と異なる参照符号が付されているが、バッファD10と物理的に同じメモリ媒体であってもよい。
【0044】
従来の無線通信システム(例えば4Gシステム)では、無線リソースの割当てに関する処理が完了した後に、新たな送信データが発生した場合、無線リソースの次の割当てタイミングまで、新たな送信データはバッファに滞留することとなり、その分だけ遅延が生じる。これに対し、本実施例に係るUE10は、新たな送信データのIC(Interrupt Communication)を許容することで、新たな送信データの遅延を削減することができる。
【0045】
図6は、上りリンクのU-PlaneプロトコルスタックにおけるUE10の第二処理
の流れの一例を示す図である。
図6に示される第二処理は、例えば、割込み通信の対象で
ある無線サービス(第一無線サービスと称されてもよい)に関連付けられた無線ベアラ(
論理チャネル)のバッファに新たな送信データが格納されたことを、実行開始の契機の一
つとしてもよい。
【0046】
例えば、UE10は、第一無線サービスに関連付けられた無線ベアラ(第一無線ベアラ、第一論理チャネルとも称され得る)のバッファに新たなデータ(MAC-SDU)が格納されたか否かを繰り返し確認し、第一論理チャネルのバッファに新たなデータが格納されたことを検知した場合に、
図6に示される第二処理を実行してもよい。あるいは、UE10は、SDAPレイヤP101、PDCPレイヤP102、RLCレイヤP103の何れかから、第一無線サービスのIPパケットを含むPDUが生成されたことを示す通知を受けたことを、
図6に示される第二処理の実行開始の契機の一つとしてもよい。
【0047】
上述の第二処理の実行契機は、UE10がgNB20から第二無線サービスに対する無線リソースの割当量を示すグラントを受信し、当該グラントに従って第二無線サービスの送信データ(第二データとも称され得る)を含むTBが生成された後に、第一無線サービスの新たな送信データ(第一データとも称され得る)が発生し、第二データを含むTBに第一データを割込ませるべきと判断された場合に相当し得る。後述する他の実施例においても同様である。
【0048】
なお、UE10は、
図6に示される第二処理の実行開始の契機を検知した場合、第二処理が終了するまで、
図3に示される第一処理の実行を中断してもよい。別言すると、UE10は、
図3に示される第一処理と
図6に示される第二処理との何れか一方を、第二処理が優先的に実行されるように、排他的に実行してもよい。
【0049】
図6の説明に戻る。UE10は、LCPフラグがONであるかを判定する(S201)。S201において、例えばLCPフラグの値が「1」である場合、UE10は、LCPフラグがONであると判定してもよい。一方、LCPフラグの値が「0」である場合、UE10は、LCPフラグがOFFであると判定してもよい。なお、本開示はこれらの値に限定されるものではない。
【0050】
図3に示される第一処理のS103によりLCPフラグがONに設定されてから、第一処理のS106によりLCPフラグがOFFに設定されるまでの期間内に、
図6に示される第二処理が実行される場合、UE10は、S201において、LCPフラグがONであると判定し得る。一方、
図3に示される第一処理のS103によりLCPフラグがONに設定される前、あるいは、第一処理のS106によりLCPフラグがOFFに設定された後に、
図6に示される第二処理が実行される場合、UE10は、S201において、LCPフラグがOFFであると判定し得る。
【0051】
S201において、LCPフラグがONであると判定した場合(S201でYES)、UE10は、ICに関する処理(S202~S205)(IC処理とも称され得る)を実行する。例えば、UE10は、第一無線サービス(例えばURLLC)に関連付けられた無線ベアラ(論理チャネル)のバッファに格納された送信データ(第一データとも称され得る)のサイズを取得し(S202)、第一処理のS104により生成されたTBの領域からパンクチャ対象の領域(第一領域とも称され得る)を選択する(S203)。ここで、第一データは、例えば、URLLCのユーザデータを含むMAC-SDUであってもよい。第一領域は、S102により無線リソースが割当てられた無線ベアラ(論理チャネル)のうち、優先度が低い無線ベアラに割当てられた領域の全部又は一部であってもよい。あるいは、第一領域は、gNB20から事前に通知される設定情報に基づいて特定される領域であってもよい。別言すると、第一領域は、gNB20とUE10とで事前に共有された設定情報に基づいて決定されてもよい。あるいは、第一領域は、第一処理のS104により生成されたTBの領域における所定の位置及び所定のサイズで特定される領域であってもよい。例えば、第一領域は、S104で生成されたTBの領域の末尾において、固定長を有する領域であってもよい。この場合、第一領域の固定長は、第一データのサイズと同じであってもよい。別言すると、固定長の第一領域に多重される第一データは、MACサブヘッダが省略されてもよい。これにより、少なくともMACサブヘッダが省略される分だけ、第一領域のサイズを最小化できる。
【0052】
UE10は、第一処理のS104により生成されたTBのデータから、S203により選択された領域(第一領域、パンクチャ領域とも称され得る)に相当するデータをパンクチャし(S204)、パンクチャ領域に第一データ(第一無線サービスの送信データとも称され得る)を多重する(S205)。なお、S204とS205とは、一つの処理であってもよい。別言すると、S205において、UE10は、TBのデータのうち第一領域に相当するデータを、第一データで上書きしてもよい。この場合、UE10は、S204の実装を省略してもよい。
【0053】
以上により、
図3に示される第一処理のS103によりLCPフラグがONに設定されてから、第一処理のS106によりLCPフラグがOFFに設定されるまでの期間内に、第一無線サービスの新たな第一データが発生した場合、第一データのIC処理が実行される。そのため、無線リソースの次の割当てタイミングまで待つことなく、第一データを送信することができる。
【0054】
一方、S201において、LCPフラグがOFFであると判定した場合(S201でNO)、UE10は、IC処理により第一データを多重させるTBがまだ生成されていないため、S202ないしS205をスキップして、第二処理を終了してもよい。この場合、
図3に示される第一処理において、第一無線サービスの無線ベアラ(論理チャネル)に対して無線リソースが割当てられ(S102)、第一データを含むTBが生成され(S104)、第一データを含むTBが下位レイヤであるPHYレイヤP105に転送されることで(S105)、第一データがUE10からgNB20へ送信される。
【0055】
図7は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当ての一例を示す図(その3)である。
図7の例示では、優先度「3」を示す無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)の一部の領域C21-3が、第一領域として選択されている。ここで、第一領域C21-3のサイズは、固定長であってもよいし、第一無線サービス(例えばURLLC)の無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)に対応するバッファD11のデータ長に基づいて動的に決められてもよい。また、第一領域C21-3の位置は、規格で定められた固定的な位置であってもよいし、gNB20から事前に通知される設定情報に基づいて決められる位置であってもよい。別言すると、第一領域C21-3の位置は、gNB20とUE10とで事前に共有された設定情報に基づいて決定されてもよい。
【0056】
図8は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当ての一例を示す図(その4)である。
図8の例示では、
図7に例示する第一領域C21-3に相当する領域に、第一無線サービス(例えばURLLC)の無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)に対応するバッファD11の送信データ(第一データ)を含むMAC-SDU(D21-2)と、MACサブヘッダD21-1(第一データのMACサブヘッダとも称され得る)とを含むMACサブPDUが多重される。上述したように、第一データのMACサブヘッダD21-1は省略されてもよい。
【0057】
図8に示されるように、第一無線サービス以外の他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)の何れかの無線ベアラに対応する送信データが格納されたMACサブPDUの一部がパンクチャされた領域(第一領域、パンクチャ領域とも称され得る)に、第一無線サービスのデータ(第一データ)が多重され得る。gNB20は、このような構成のTBを受信した場合、第二無線サービスの領域の一部に多重された第一無線サービスの第一データを取得できる。例えば、gNB20は、UE10に対して事前に通知した設定情報に従って、第一データが多重された領域を特定してもよい。別言すると、gNB20は、gNB20とUE10とで事前に共有された設定情報に従って、第一データが多重された領域を判定してもよい。
【0058】
図9は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当ての一例を示す図(その5)である。
図9では、第一データのMACサブヘッダD21-1が省略されている。これにより、MACサブPDU(C21)において、パンクチャ対象の領域(
図7に例示される第一領域C21-3)を縮小することができる。別言すると、
図9の例示では、MACサブPDU(C21)における第一領域C21-3は、第一データが多重される領域D21-2を有すればよく、第一データのMACサブヘッダが格納される領域D21-1を有さなくてもよい。なお、
図9の例示のように、MACサブヘッダが省略された第一データD21-2は、トランスペアレントMAC(transparent MAC(Medium Access Control))としての側面を有する。別言すると、第一データD21-2のMACサブヘッダを省略することは、第一データD21-2について、MACサブレイヤをトランスペアレントにすることと等価である。このように、URLLCのような比較的小さなデータを低遅延で送信する無線サービスでは、ヘッダを省略することでヘッダー・オーバヘッドを削減することは、伝送効率の向上に貢献し得る。例えば、URLLCデータの送信時には、PDCP-duplicationを適用してもよい。
【0059】
図10は、実施例1に係るUE10における上りリンクの無線リソースの割当ての一例を示す図(その6)である。
図10では、
図9の例示と同様に、第一データに対するMACサブヘッダD21-1が省略されている。
図10のMAC-PDUは、
図9の例示と同様に、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)からの送信データを含むMAC-SDU(A21-2)とMACサブヘッダA21-1とを含むMACサブPDU(A21)と、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)からの送信データを含むMAC-SDU(B21-2)(図示を省略)とMACサブヘッダB21-1(図示を省略)とを含むMACサブPDU(B21)(図示を省略)と、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)からの送信データを含むMAC-SDU(C21-2)とMACサブヘッダC21-1とを含むMACサブPDU(C21)と、を含む。
図10のMAC-SDU(C21)は、一部の領域である第一領域C21-3において無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)からの送信データがパンクチャされている。
図10の第一領域C21-3は、第一無線サービスとして用いられる無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)からの送信データ(第一データとも称され得る)を有するMAC-SDU(D21-2)を含む。上述の如く、
図10の第一領域C21-3は、MAC-SDU(D21-2)に対応するMACサブヘッダを有さなくてもよい。なお、
図10のMAC-PDUは、MACコントロール・エレメント(MAC-CE(Control Element))を含むMACサブPDUを有してもよい。
【0060】
図9及び
図10に例示されるような、第一領域(パンクチャ領域)に多重される第一データのMACサブPDUにおいて、MACサブヘッダが省略されたデータ構造は、第一領域が配置される位置を示す設定情報(第一設定情報とも称され得る)がgNB20によりUE10に事前に設定されている場合に有効となるようにしてもよい。別言すると、UE10は、gNB20から第一領域が配置される位置を示す設定情報を受信する前は、上述のMACサブヘッダが省略されたデータ構造を利用しないように構成されてもよい。別言すると、UE10は、第一領域が配置される位置を示す設定情報を、gNB20と共有する前の時点では、上述のMACサブヘッダが省略されたデータ構造を利用しないように構成されてもよい。MACサブヘッダが省略された第一データを任意の領域にマッピングした場合、受信局であるgNB20が第一データのデコードに失敗するかもしれないためである。さらに別言すると、MACサブヘッダが省略された第一データを任意の領域にマッピングした場合、受信局であるgNB20は、第一データを受信信号からブラインドサーチで見つけ出す必要があるため、gNB20のハードウェアリソースを酷使することになるかもしれない。このような不都合を解消するために、第一領域が配置される位置を示す設定情報(第一設定情報)をUE10とgNB20とで事前に共有させることは有用である。このような第一設定情報は、例えば、第一無線サービス(例えばURLLC)の送信データに対する無線リソースを半永久的に割当てるSPS(Semi-Persistent Scheduling)の設定情報(パラメータ)であってもよい。
【0061】
UE10は、第二無線サービスの送信データが格納された領域の一部に確保された第一領域に第一データを多重する際に、第一データの先頭に既知の信号系列を付加してもよい。gNB20は、受信信号からTBを復元し、TBに格納されたデータから既知の信号系列を探索することで、TBに第一データが多重されているかを判定してもよい。
【0062】
なお、第一データが多重された第二無線サービスの上りリンクデータ(UE10における送信データ)の受信処理において、第一データはノイズとなり得る。しかし、第二無線サービスの誤り訂正機能によりノイズ成分が正しく訂正される程度に、第一無線サービスの第一データが少量であれば、gNB20は、第二無線サービスの上りリンクデータの受信処理を成功し得る。また、gNB20は、第一データが多重された第二無線サービスの上りリンクデータの受信処理に失敗したとしても、第二無線サービスの上りリンクデータの再送処理により当該データを受信することができる。上述したように、5Gシステムにおいて、URLLCの遅延は0.5ms(ミリ秒)が目指されているのに対し、eMBBの遅延は4ms(ミリ秒)とされている。例えば、第一無線サービスをURLLCとし、第二無線サービスをeMBBとすることは、5Gシステムで目指されている要求仕様の実現に好適である。ただし、本開示は、これらに限定されるものではないことに留意されたい。
【0063】
図11は、実施例1に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例を示す図である。
図11に示されるUE10は、U-Planeプロトコルスタックの機能的構成として、上位レイヤ(P101、P102、P103)と、MACレイヤP104と、下位レイヤP105とを有する。
【0064】
図11の上位レイヤ(P101、P102、P103)では、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)の各々に対応するバッファが示される。
図11に例示される無線ベアラのうち、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)はURLLCの無線サービスに割当てられており、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)はeMBBの無線サービスに割当てられている。ここで、URLLCは、第一無線サービスの一例であり、eMBBは、第二無線サービスの一例である。
【0065】
図11のMACレイヤP104は、LCPアルゴリズム・モジュールP401と、TB生成モジュールP402と、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403と、割込検知モジュールP404とを有する。なお、LCPアルゴリズム・モジュールP401と割込検知モジュールP404とを包括して、優先制御モジュールP405と称され得る。
【0066】
優先制御モジュールP405は、U-Planeプロトコルスタックにおける上位レイヤ(P101~P103)から各無線ベアラの送信データの入力を受け、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当てを行うように構成される。LCPアルゴリズム・モジュールP401は、
図3に例示される処理の流れにおけるS102に相当する。
【0067】
また、優先制御モジュールP405は、第一無線サービス(URLLC)の無線ベアラからの送信データの入力を受けた場合、割込検知モジュールP404を実行するように構成される。割込検知モジュールP404は、LCPフラグ(LCP_flg)がONに設定されているかOFFに設定されているかに応じて、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データの処理系統を切り替えるように構成される。割込検知モジュールP404は、
図6に例示される処理の流れにおけるS201に相当する。なお、処理系統は、サブチャネル(論理チャネル、サブ論理チャネルとも称され得る)として実装してもよい。
【0068】
例えば、LCPフラグがOFFの場合(
図11でLCP_flg=OFF)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、LCPアルゴリズム・モジュールP401に供給する。これにより、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、他の無線サービス(第二無線サービス)の無線ベアラからの送信データと同様に、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当てが実行されるまで、バッファに待機することになる。
図3に例示されるように、LCPフラグは、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当て(
図3のS102)の実行後にONに設定され(
図3のS103)、上りリンクの無線リソースの割当てにより生成されたTBが下位レイヤに転送(
図3のS105)された後にOFFに設定される(
図3のS106)。すなわち、一側面によれば、OFF値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべきTBがまだ用意できていないことを示す。それゆえ、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データが入力された時点でLCPフラグがOFFの場合、第一無線サービスの送信データは、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当てが実行されるのを待つ。
【0069】
なお、LCPフラグがOFFの場合に選択される処理系統として、サブチャネルA(第一のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。サブチャネルAは、LCPアルゴリズム・モジュールP401において、第二無線サービスの論理チャネルとともにLCPによる無線リソースの選択が行われるチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがOFFの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルAを介して、LCPアルゴリズム・モジュールP401に供給してもよい。
【0070】
一方、LCPフラグがONの場合(
図11でLCP_flg=ON)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403に供給する。これにより、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、TB生成モジュールP402により生成されたTBに多重され、下位レイヤP105を経由して、UE10のアンテナから無線送信される。一側面によれば、ON値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべきTBが用意済みであることを示す。それゆえ、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データが入力された時点でLCPフラグがONの場合、割込検知モジュールP404は、当該第一無線サービスの送信データについて、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当て処理をスキップし、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403に当該送信データを供給する。
【0071】
なお、LCPフラグがONの場合に選択される処理系統として、サブチャネルB(第二のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。サブチャネルBは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403に供給するチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがONの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルBを介して、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403に供給してもよい。
【0072】
一側面によれば、LCPフラグがONの場合、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、LCPアルゴリズム・モジュールP401をスキップして、無線リソースを割当てられる。別言すれば、LCPフラグがONであることは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データに対するLCPをスキップ(LCPスキップ、スキッピングと称されてもよい)することを意味すると解釈し得る。
【0073】
TB生成モジュールP402は、LCPアルゴリズム・モジュールP401により上りリンク無線リソースが割当てられた無線ベアラの送信データに基づいて、TBを生成するように構成される。TB生成モジュールP402は、
図3に例示される処理の流れにおけるS104に相当する。
【0074】
パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403は、割込検知モジュールP404から第一無線サービスの送信データが供給された場合、TB生成モジュールP402により生成されたTBの一部の領域をパンクチャし、当該パンクチャされたTBに第一無線サービスの送信データを多重するように構成される。パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403は、
図6に例示される処理の流れにおけるS202ないしS205に相当する。なお、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403は、割込検知モジュールP404から第一無線サービスの送信データの供給がない場合、TB生成モジュールP402により生成されたTBをパンクチャすることなく、下位レイヤP105に転送してもよい。
【0075】
以上が、実施例1に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例である。
【0076】
以上に開示される実施例1の一側面によれば、UE10におけるLCP処理の実行後に発生した送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0077】
以上に開示される実施例1の他の一側面によれば、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)よりも高い優先度を有する第一無線サービスと第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用してgNB20と無線通信することができるUE10において、上りリンクの無線信号を送信する際に、第二無線サービスの送信データに対して割当てられた無線リソースの一部に、第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、第二無線サービスの送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられた後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0078】
以上に開示される実施例1の更なる他の一側面によれば、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、TB生成モジュールP402により生成されたTBが既にある場合、TBの一部をパンクチャした領域(パンクチャ領域)に当該第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンクの無線リソースの割当て処理が完了した後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0079】
<実施例2> 実施例2では、UE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一部が、下位レイヤP105で実装される。別言すると、実施例2に係るUE10は、割込み通信に関する処理を、上りリンクのU-Planeプロトコルスタックにおける複数のレイヤ間で連携して実行する。
【0080】
図12は、実施例2に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例を示す図である。
図12に示す実施例2に係るUE10は、
図11と同様に、U-Planeプロトコルスタックの機能的構成として、上位レイヤ(P101、P102、P103)と、MACレイヤP104と、下位レイヤP105とを有する。
【0081】
図12の上位レイヤ(P101、P102、P103)では、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)の各々に対応するバッファが示される。
図11に例示される無線ベアラのうち、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)はURLLCの無線サービスに割当てられており、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)はeMBBの無線サービスに割当てられている。ここで、URLLCは、第一無線サービスの一例であり、eMBBは、第二無線サービスの一例である。
【0082】
図11に示される実施例1の構成例では、割込み通信(IC:Interrupt Communication)に関するモジュールが、MACレイヤP104に集中的に実装されていたが、
図12に示される実施例2に係るUE10は、割込み通信に関するモジュールをMACレイヤP104と下位レイヤP105とに実装する。
【0083】
すなわち、
図12のMACレイヤP104は、LCPアルゴリズム・モジュールP401と、TB生成モジュールP402(第一のTB生成モジュールP402とも称され得る)と、割込検知モジュールP404とを有するが、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403を有さない。また、
図12のMACレイヤP104は、割込検知モジュールP404からの第一無線サービスの送信データの供給先(LCPフラグがONの場合)として、第二のTB生成モジュールP407Aを有する。
【0084】
図12の下位レイヤP105には、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aが追加される。これにより、実施例2に係るUE10では、下位レイヤP105のパンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aにより、第一無線サービスの送信データが、下位レイヤP105に転送された後のTBの一部の領域に多重させることができる。
【0085】
図12に示されるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の全体の流れは、
図11に示される例と同様である。例えば、優先制御モジュールP405は、U-Planeプロトコルスタックにおける上位レイヤ(P101~P103)から各無線ベアラの送信データの入力を受け、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当てを行う。
【0086】
また、優先制御モジュールP405は、第一無線サービス(URLLC)の無線ベアラからの送信データの入力を受けた場合、割込検知モジュールP404を実行する。割込検知モジュールP404は、LCPフラグ(LCP_flg)がONに設定されているかOFFに設定されているかに応じて、第一無線サービスの無線ベアラからの上りリンクの送信データの処理系統を切り替える。なお、処理系統は、サブチャネル(論理チャネル、サブ論理チャネルとも称され得る)として実装してもよい。
【0087】
例えば、LCPフラグがOFFの場合(
図12でLCP_flg=OFF)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、LCPアルゴリズム・モジュールP401に供給する。これにより、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、他の無線サービス(第二無線サービス)の無線ベアラからの送信データと同様に、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当てが実行されるまで、バッファに待機することになる。一側面によれば、OFF値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべきTBがまだ用意できていないことを示す。
【0088】
なお、LCPフラグがOFFの場合に選択される処理系統として、サブチャネルA(第一のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。サブチャネルAは、LCPアルゴリズム・モジュールP401において、第二無線サービスの論理チャネルとともにLCPによる無線リソースの選択が行われるチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがOFFの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルAを介して、LCPアルゴリズム・モジュールP401に供給してもよい。
【0089】
一方、LCPフラグがONの場合(
図12でLCP_flg=ON)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第二のTB生成モジュールP407Aに供給する。第二のTB生成モジュールP407Aは、LCPアルゴリズム・モジュールP401からの供給を受けてTB(第一のTBとも称され得る)を生成する第一のTB生成モジュールP402とは異なり、割込検知モジュールP404から供給された第一無線サービスの上りリンクの送信データに基づいてTB(第二のTBとも称され得る)を生成し、下位レイヤP105のパンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aに第二のTBを供給するように構成される。そのため、第二のTB生成モジュールP407Aは、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当て処理の実行契機とは異なるタイミングで実行され得る。
【0090】
なお、LCPフラグがONの場合に選択される処理系統として、サブチャネルB(第二のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。サブチャネルBは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第二のTB生成モジュールP407Aに供給するチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがONの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルBを介して、第二のTB生成モジュールP407Aに供給してもよい。
【0091】
図12のパンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aは、第一のTB生成モジュールP402から供給された第一のTBの一部の領域をパンクチャし、当該パンクチャされた領域に、第二のTB生成モジュールP407Aから供給された第二のTBを多重するように構成される。第一のTBと第二のTBとが多重された無線信号は、アンテナから無線送信される。また、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aは、第二のTB生成モジュールP407Aから第二のTBの供給がされない場合、第一のTB生成モジュールP402から供給された第一のTBを用いて生成した無線信号を、アンテナから無線送信してもよい。
【0092】
図13は、実施例2に係るUE10により送信される上りリンクのサブフレームP300の構成例を示す図である。
図13に例示される上りリンクのサブフレームP300は、時間軸方向にn個のシンボルと周波数軸方向に複数のサブキャリアとにより特定される複数の無線リソースを有する。
図13において、上りリンクのサブフレームP300は、制御信号用の無線チャネル(PUCCH(Physical Uplink Control Channel)と称されてもよい)に割当てるための無線リソースの領域(P301-1、P301-2)と、ユーザデータ用の無線チャネル(PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と称されてもよい)に割当てるための無線リソースの領域P302(データ領域P302とも称され得る)とを有する。パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aは、第一のTB生成モジュールP402から供給された第一のTBを、データ領域P302の無線リソースに格納する。その際、所定の符号化方式に基づく符号化・変調処理などが実行されてもよい。
【0093】
パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Aは、第二のTB生成モジュールP407Aから供給された第二のTBを、データ領域P303の一部がパンクチャされた領域P303(パンクチャ領域P303)に格納(多重)する。その際、パンクチャ領域P303において、第二のTBの復調に用いられる既知信号(パイロット信号、参照信号、復調用参照信号と称されてもよい)を、所定のサブキャリア間隔で挿入してもよい。
【0094】
なお、パンクチャ領域P303の位置は、gNB20と事前に共有される設定情報に基づいて決定されてもよい。UE10は、このような設定情報をgNB20と共有するために、gNB20から送信される設定情報を受信してもよい。設定情報では、サブフレームの先頭シンボルから何番目のシンボルを、パンクチャ領域P303の開始位置とするかを、Offset値により設定してもよい。また、パンクチャ領域P303に複数のシンボルを割当てる場合、パンクチャ領域P303に割当てるシンボル数を示すlength値により設定してもよい。あるいは、REG(Resource Element Group)などの所定の単位により、パンクチャ領域P303に割当てる無線リソースの位置を設定してもよい。
【0095】
図14は、実施例2に係るUE10により送信される上りリンクの無線フレームの構成例を示す図である。
図14では、複数のサブフレームが時間方向に並べられており、第一無線サービスに対する上りリンクの無線リソースが所定の周期で半永続的に予約されたタイミングに合致するサブフレーム(P300-1、P300-2、P300-3)が太線で図示されている。サブフレーム(P300-1、P300-2、P300-3)では、
図13に例示される様に、第一無線サービスの送信データが存在する場合、領域P303に第一無線サービスの送信データが格納される。
【0096】
図14の例において、サブフレームP300-1とサブフレームP300-3は、第一無線サービスの送信データが格納された領域P303を有する。一方、サブフレームP300-2では、第一無線サービスの送信データが未発生であるため、第一無線サービスの送信データが領域P303に格納されておらず、他の無線サービス(第二無線サービス)の送信データが領域P303に格納される。このように、第一無線サービスに対して所定の周期で半永続的に上りリンクの無線リソースが予約されていても、第一無線サービスの上りリンクの送信データが必ずしも送信されるとは限らない。
【0097】
以上が、実施例2に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例である。
【0098】
以上に開示される実施例2の一側面によれば、UE10におけるLCP処理の実行後に発生した送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0099】
以上に開示される実施例2の他の一側面によれば、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)よりも高い優先度を有する第一無線サービスと第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用してgNB20と無線通信することができるUE10において、上りリンクの無線信号を送信する際に、第二無線サービスの送信データに対して割当てられた無線リソースの一部に、第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、第二無線サービスの送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられた後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0100】
以上に開示される実施例2の更なる他の一側面によれば、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第一のTB生成モジュールP402により生成された第一のTBが既にある場合、第一のTBが格納されるデータ領域P302の一部をパンクチャした領域P303(パンクチャ領域P303)に当該第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンクの無線リソースの割当て処理が完了した後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0101】
<実施例3> 実施例3では、UE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の更なる変形例が示される。実施例3に係るUE10は、第一無線サービスの上りリンクの送信データを処理する第一処理系統と、第二無線サービスの上りリンクの送信データを処理する第二処理系統とを有する。そして、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第二処理系統のTB生成モジュールP402により生成されたTBが存する場合、第一無線サービスの上りリンクの送信データは、第二処理系統のTBに多重される。一方、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第二処理系統のTB生成モジュールP402により生成されたTBがまだ用意されていない場合、第一無線サービスの上りリンクの送信データは、第一処理系統により処理される。
【0102】
図15は、実施例3に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例を示す図である。
図15に示す実施例3に係るUE10は、
図11と同様に、U-Planeプロトコルスタックの機能的構成として、上位レイヤ(P101、P102、P103)と、MACレイヤP104と、下位レイヤP105とを有する。
【0103】
図15の上位レイヤ(P101、P102、P103)では、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)の各々に対応するバッファが示される。
図11に例示される無線ベアラのうち、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)はURLLCの無線サービスに割当てられており、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)はeMBBの無線サービスに割当てられている。ここで、URLLCは、第一無線サービスの一例であり、eMBBは、第二無線サービスの一例である。
【0104】
図11に示される実施例1の構成例では、LCPアルゴリズム・モジュールP401を有する処理系統が一つであったが、
図15に示される実施例3に係るUE10では、LCPアルゴリズム・モジュールP408Bを有する第一処理系統と、LCPアルゴリズム・モジュールP401を有する第二処理系統とが存在する。
図15の第一処理系統では、第一無線サービスの上りリンクの送信データが、LCPアルゴリズム・モジュールP408B、TB生成モジュールP407B、Numerology2モジュールP503Bにより、第一のサブキャリア空間にマッピングされて無線送信される。また、第二処理系統では、第二無線サービスの上りリンクの送信データ及び/又は第一無線サービスの上りリンクの送信データが、LCPアルゴリズム・モジュールP401、TB生成モジュールP402、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403、Numerology1モジュールP502Bにより、第二のサブキャリア空間にマッピングされて無線送信される。ここで、Numerologyは、サブキャリア間隔やTTI(Transmission Time Interval)長などの無線パラメータの総称である。Numerology1モジュールP502Bで使用される無線パラメータは、Numerology2モジュールP503Bで使用される無線パラメータとは少なくとも一部が異なる値である。
【0105】
図15の構成例において、第二処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当て処理が実行されたことに応じて、LCPフラグ(LCP_flg)がONに設定される。第二処理系統のTB生成モジュールP402により生成されたTBが下位レイヤP105に転送された後に、LCPフラグがOFFに設定される。すなわち、実施例3の構成において、第一無線サービスの上りリンクの送信データの処理系統の選択に影響を与えるLCPフラグの値は、第二処理系統の動作に連動して設定される。
【0106】
実施例3の割込検知モジュールP404は、LCPフラグ(LCP_flg)がONに設定されているかOFFに設定されているかに応じて、第一無線サービスの無線ベアラからの上りリンクの送信データの処理系統を切り替えるように構成される。なお、処理系統は、サブチャネル(論理チャネル、サブ論理チャネルとも称され得る)として実装してもよい。
【0107】
例えば、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、LCPフラグがOFFの場合(
図15でLCP_flg=OFF)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第一処理系統に供給する。一側面によれば、OFF値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべき第二処理系統のTBがまだ用意できていないことを示す。この場合、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、LCPアルゴリズム・モジュールP408Bにより上りリンクの無線リソースを割当てられ、TB生成モジュールP407Bにより第一無線サービスの送信データのTB(第一のTBとも称され得る)が生成される。そして、第一のTBは、Numerology2モジュールP503Bにより、第一のサブキャリア空間にマッピングされて、アンテナから無線送信される。
【0108】
なお、LCPフラグがOFFの場合に選択される処理系統として、サブチャネルA(第一のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。本実施例に係るサブチャネルAは、第一の処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP408Bにおいて、LCPによる無線リソースの選択が行われるチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがOFFの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルAを介して、第一の処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP408Bに供給してもよい。
【0109】
一方、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、LCPフラグがONの場合(
図15でLCP_flg=ON)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第二処理系統に供給する。一側面によれば、ON値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべき第二処理系統のTBが用意済みであるか、実質的に間もなく用意できることを示す。この場合、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403により、第二処理系統のTB生成モジュールP402により生成されたTBに多重される。これにより、第一無線サービスの送信データと第二無線サービスの送信データとを含むTB(第二のTBとも称され得る)が生成される。そして、第二のTBは、Numerology1モジュールP502Bにより、第二のサブキャリア空間にマッピングされて、アンテナから無線送信される。なお、第二のサブキャリア空間は、Numerology2モジュールP503Bによる第一のサブキャリア空間とは少なくとも一部が異なる無線リソースである。
【0110】
なお、LCPフラグがONの場合に選択される処理系統として、サブチャネルB(第二のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。サブチャネルBは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403に供給するチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがONの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルBを介して、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403に供給してもよい。
【0111】
以上が、実施例3に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例である。
【0112】
以上に開示される実施例3の一側面によれば、UE10におけるLCP処理の実行後に発生した送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0113】
以上に開示される実施例3の他の一側面によれば、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)よりも高い優先度を有する第一無線サービスと第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用してgNB20と無線通信することができるUE10において、上りリンクの無線信号を送信する際に、第二無線サービスの送信データに対して割当てられた無線リソースの一部に、第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、第二無線サービスの送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられた後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0114】
以上に開示される実施例3の更なる他の一側面によれば、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、TB生成モジュールP402により生成されたTBが既にある場合、TBの一部をパンクチャした領域(パンクチャ領域)に当該第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンクの無線リソースの割当て処理が完了した後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0115】
以上に開示される実施例3のまた更なる他の一側面によれば、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)よりも高い優先度を有する第一無線サービスと第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用してgNB20と無線通信することができるUE10において、第一無線サービスの上りリンクの処理系統である第一処理系統と、第二無線サービスの上りリンクの処理系統である第二処理系統とが実装される。これにより、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第二処理系統のTBが既に用意されている場合、第二処理系統のTBの一部をパンクチャした領域(パンクチャ領域)に第一無線サービスの送信データが多重される。一方、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第二処理系統のTBがまだ用意されていない場合、第一無線サービスの送信データは、第一処理系統で処理される。このような構成により、第一無線サービスの上りリンクの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0116】
<実施例4> 実施例4では、UE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成について、実施例2と実施例3とを組合せた変形例が示される。すなわち、実施例4に係るUE10は、第一無線サービスの上りリンクの送信データを処理する第一処理系統と、第二無線サービスの上りリンクの送信データを処理する第二処理系統とを有する。実施例4に係る第二処理系統では、第一無線サービスの送信データと第二無線サービスの送信データとを多重するパンクチャ&マルチプレクシング・モジュールが、下位レイヤP105で実装される。
【0117】
図16は、実施例4に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例を示す図である。
図16に示す実施例4に係るUE10は、
図11と同様に、U-Planeプロトコルスタックの機能的構成として、上位レイヤ(P101、P102、P103)と、MACレイヤP104と、下位レイヤP105とを有する。
【0118】
図16の上位レイヤ(P101、P102、P103)では、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)の各々に対応するバッファが示される。
図11に例示される無線ベアラのうち、無線ベアラRB[D](論理チャネルLCH-D)はURLLCの無線サービスに割当てられており、無線ベアラRB[A](論理チャネルLCH-A)、無線ベアラRB[B](論理チャネルLCH-B)、無線ベアラRB[C](論理チャネルLCH-C)はeMBBの無線サービスに割当てられている。ここで、URLLCは、第一無線サービスの一例であり、eMBBは、第二無線サービスの一例である。
【0119】
図16に示される実施例4に係るUE10では、LCPアルゴリズム・モジュールP408Cを有する第一処理系統と、LCPアルゴリズム・モジュールP401を有する第二処理系統とが存在する。
図16の第一処理系統では、第一無線サービスの上りリンクの送信データが、LCPアルゴリズム・モジュールP408C、TB生成モジュールP407C、Numerology2モジュールP503Cにより、第一のサブキャリア空間にマッピングされて無線送信される。また、第二処理系統では、第二無線サービスの上りリンクの送信データ及び/又は第一無線サービスの上りリンクの送信データが、LCPアルゴリズム・モジュールP401、TB生成モジュールP402、TB生成モジュールP409C、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501C、Numerology1モジュールP502Cにより、第二のサブキャリア空間にマッピングされて無線送信される。ここで、Numerologyは、サブキャリア間隔やTTI(Transmission Time Interval)長などの無線パラメータの総称である。Numerology1モジュールP502Cで使用される無線パラメータは、Numerology2モジュールP503Cで使用される無線パラメータとは少なくとも一部が異なる値である。
【0120】
図16の構成例において、第二処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンク無線リソースの割当て処理が実行されたことに応じて、LCPフラグ(LCP_flg)がONに設定される。第二処理系統のTB生成モジュールP402により生成されたTBが下位レイヤP105に転送された後に、LCPフラグがOFFに設定される。すなわち、実施例4の構成において、第一無線サービスの上りリンクの送信データの処理系統の選択に影響を与えるLCPフラグの値は、第二処理系統の動作に連動して設定される。
【0121】
実施例4の割込検知モジュールP404は、LCPフラグ(LCP_flg)がONに設定されているかOFFに設定されているかに応じて、第一無線サービスの無線ベアラからの上りリンクの送信データの処理系統を切り替えるように構成される。なお、処理系統は、サブチャネル(論理チャネル、サブ論理チャネルとも称され得る)として実装してもよい。
【0122】
例えば、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、LCPフラグがOFFの場合(
図16でLCP_flg=OFF)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第一処理系統に供給する。一側面によれば、OFF値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべき第二処理系統のTBがまだ用意できていないことを示す。この場合、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、LCPアルゴリズム・モジュールP408Cにより上りリンクの無線リソースを割当てられ、TB生成モジュールP407Cにより第一無線サービスの送信データのTB(第一のTBとも称され得る)が生成される。そして、第一のTBは、Numerology2モジュールP503Cにより、第一のサブキャリア空間にマッピングされて、アンテナから無線送信される。
【0123】
なお、LCPフラグがOFFの場合に選択される処理系統として、本実施例に係るサブチャネルA(第一のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。本実施例に係るサブチャネルAは、第一処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP408Cにおいて、LCPによる無線リソースの選択が行われるチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがOFFの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルAを介して、第一処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP408Cに供給してもよい。
【0124】
一方、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、LCPフラグがONの場合(
図16でLCP_flg=ON)、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第二処理系統に供給する。一側面によれば、ON値が設定されたLCPフラグは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを多重させるべき第二処理系統のTBが用意済みであるか、実質的に間もなく用意できることを示す。この場合、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データは、第二処理系統のTB生成モジュールP409Cに供給される。第二処理系統のTB生成モジュールP409Cは、第一無線サービスの送信データを含むTBを生成し、下位レイヤP105のパンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Cに供給する。そして、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP501Cは、第二処理系統のTB生成モジュールP402により生成されたTBに、第二処理系統のTB生成モジュールP409Cにより生成されたTBを多重する。これにより、第一無線サービスの送信データと第二無線サービスの送信データとを含むTB(第二のTBとも称され得る)が生成される。そして、第二のTBは、Numerology1モジュールP502Cにより、第二のサブキャリア空間にマッピングされて、アンテナから無線送信される。なお、第二のサブキャリア空間は、Numerology2モジュールP503Cによる第一のサブキャリア空間とは少なくとも一部が異なる無線リソースである。
【0125】
なお、LCPフラグがONの場合に選択される処理系統として、サブチャネルB(第二のサブチャネルとも称され得る)が用いられてもよい。サブチャネルBは、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、第二処理系統のTB生成モジュールP409Cに供給するチャネルとしての作用を有する。例えば、LCPフラグがONの場合、割込検知モジュールP404は、第一無線サービスの無線ベアラからの送信データを、サブチャネルBを介して、第二処理系統のTB生成モジュールP409Cに供給してもよい。
【0126】
以上が、実施例4に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例である。
【0127】
以上に開示される実施例4の一側面によれば、UE10におけるLCP処理の実行後に発生した送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0128】
以上に開示される実施例4の他の一側面によれば、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)よりも高い優先度を有する第一無線サービスと第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用してgNB20と無線通信することができるUE10において、上りリンクの無線信号を送信する際に、第二無線サービスの送信データに対して割当てられた無線リソースの一部に、第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、第二無線サービスの送信データに対して上りリンクの無線リソースが割当てられた後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0129】
以上に開示される実施例4の更なる他の一側面によれば、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第一のTB生成モジュールP402により生成された第一のTBが既にある場合、第一のTBが格納されるデータ領域の一部をパンクチャした領域(パンクチャ領域)に当該第一無線サービスの送信データが多重される。これにより、LCPアルゴリズム・モジュールP401による上りリンクの無線リソースの割当て処理が完了した後に発生した第一無線サービスの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0130】
以上に開示される実施例4のまた更なる他の一側面によれば、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)よりも高い優先度を有する第一無線サービスと第二無線サービスとを含む複数の無線サービスを利用してgNB20と無線通信することができるUE10において、第一無線サービスの上りリンクの処理系統である第一処理系統と、第二無線サービスの上りリンクの処理系統である第二処理系統とが実装される。これにより、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第二処理系統のTBが既に用意されている場合、第二処理系統のTBの一部をパンクチャした領域(パンクチャ領域)に第一無線サービスの送信データが多重される。一方、第一無線サービスの上りリンクの送信データが発生した時点において、第二処理系統のTBがまだ用意されていない場合、第一無線サービスの送信データは、第一処理系統で処理される。このような構成により、第一無線サービスの上りリンクの送信データについて、送信遅延を短縮することができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0131】
<実施例5> 実施例5では、LCPフラグの値をRRCシグナリングにより制御する構成が示される。上述のように、LCPフラグは、割込み通信を実行するか否かの制御に用いられる(
図6のS201)。
【0132】
図17は、実施例5に係る無線通信システム1における設定情報の通知シーケンスの一例を示す図である。
図17において、gNB20からUE10に対して、実施例5に係る設定情報(第二設定情報とも称され得る)を含むRRCメッセージ(RRC msg)が送信される(S401)。UE10は、gNB20から送信されるRRCメッセージを受信することで、第二設定情報をgNB20と共有し得る。
図17において、第二設定情報を含むRRCメッセージは、例えば、UE10とgNB20との間での無線通信の設定時に送受信されるRRCメッセージであってもよい。このようなRRCメッセージは、例えば、RRC Connection Reconfigurationメッセージ、RRC Connection Setupメッセージ、Security Mode Commandメッセージの何れかであってもよい。また、
図17では、RRCメッセージを用いて第二設定情報を通知する例を示したが、これに限定されるわけではない。例えば、実施例5に係る無線通信システム1において、第二設定情報は、報知信号を用いてgNB20からUE10へ送信されてもよい。このような報知情報は、例えば、MIB(Master Information Block)や、各種のSIB(System Information Block)の何れかであってもよい。
【0133】
図18は、実施例5に係る設定情報の内容例を示す図である。
図18の設定情報では、情報要素「LCP-skip-activation」(P41)に対する値(P42)として、「1」又は「0」が設定される。例えば、情報要素「LCP-skip-activation」(P41)の値(P42)が「1」の場合、UE10は、LCPフラグをONに設定してもよい。一方、情報要素「LCP-skip-activation」(P41)の値(P42)が「0」の場合、UE10は、LCPフラグをOFFに設定してもよい。このように、RRCシグナリングで通知される設定情報の値(すなわち、情報要素「LCP-skip-activation」(P41)の値(P42))に応じて、UE10は、LCPフラグの値を制御してもよい。なお、情報要素「LCP-skip-activation」(P41)は、第一情報要素と称されてもよい。
【0134】
なお、
図18には図示していないが、実施例5に係る設定情報は、情報要素「LCP-skip-activation」(P41)だけでなく、他の情報要素も含んでよい。例えば、実施例5に係る設定情報は、第一データを多重させるパンクチャ領域(第一領域)の位置を設定する情報要素(第二情報要素とも称され得る)を含んでもよい。
【0135】
図19は、実施例5に係る上りリンクのU-PlaneプロトコルスタックにおけるUE10の第一処理の流れの一例を示す図である。
図19において、
図3の例示と同様の箇所については同じ参照符号を付している。
図19の第一処理は、
図3におけるS103とS106とが省略されている点で
図3と相違し、その他の点では
図3と同様である。すなわち、
図19の第一処理では、LCPフラグをONに設定する処理(S103)が省略され、LCPによる無線リソースの割当て処理(S102)の後に、TBを生成する処理(S104)が実行される。また、
図19の第一処理では、LCPフラグをOFFに設定する処理(S106)が省略され、TBを下位レイヤに転送する処理(S105)の実行後は、次の実行契機が到来するまで、第一処理が終了される。
【0136】
なお、実施例5に係るUE10は、
図17に例示される第二設定情報を含む通知を受信したタイミングで、第二設定情報の第一情報要素に示される値に応じて、LCPフラグの値を設定してもよい。
【0137】
上述の実施例の変形例として、第二設定情報を含む通知は、下り制御情報(DCI(Downlink Control Information))によりgNB20からUE10へ送信されてもよい。
【0138】
以上に開示される実施例5の一側面によれば、UE10における第二処理系統のLCP処理の実行後に発生した第一無線サービスの上りリンクの送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0139】
以上に開示される実施例5の他の一側面によれば、特定の無線サービス(第一無線サービスとも称され得る)の送信データに対する処理系統を、無線基地局からの設定情報に従って、柔軟に変更することができる。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延をさらに短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0140】
<実施例6> 実施例6では、特定の無線サービス(第一無線サービスとも称され得る)の送信データに対する処理系統が、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)の処理系統とは独立して実装される。
【0141】
図20は、実施例6に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例を示す図である。
図20の構成は、
図15の例示と比較すると、割込検知モジュールP404、パンクチャ&マルチプレクシング・モジュールP403が省略されている点で、
図15の構成と相違し、その他の点では
図15の構成と同様である。
【0142】
図20に例示される実施例6に係るUE10は、第一無線サービス(例えば、URLLC)の上りリンクの送信データを処理する第一処理系統と、第二無線サービス(例えば、eMBB)の上りリンクの送信データを処理する第二処理系統とを有する。
【0143】
図20の第一処理系統では、第一無線サービスの上りリンクの送信データ(第一データとも称され得る)が、LCPアルゴリズム・モジュールP408D、TB生成モジュールP407D、Numerology2モジュールP503Dにより、第一のサブキャリア空間(第一SCS(Sub-Carrier Spacing)とも称され得る)にマッピングされて無線送信される。
【0144】
図20の第二処理系統では、第二無線サービスの上りリンクの送信データ(第二データとも称され得る)が、LCPアルゴリズム・モジュールP401、TB生成モジュールP402、Numerology1モジュールP502Dにより、第二のサブキャリア空間(第二SCSとも称され得る)にマッピングされて無線送信される。
【0145】
図20に例示されるUE10は、実施例6に係る優先制御モジュールP405を有してもよい。実施例6に係る優先制御モジュールP405は、第一無線サービスの上りリンクの送信データ(いわゆる第一データ)が発生した場合、第一データを第一処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP408Dに供給する。また、実施例6に係る優先制御モジュールP405は、第二無線サービスの上りリンクの送信データ(いわゆる第二データ)が発生した場合、第二データを第二処理系統のLCPアルゴリズム・モジュールP401に供給する。
【0146】
なお、上述の第一のサブキャリア空間は、第二のサブキャリア空間の一部の無線リソースにオーバーラップして配置されてもよい。
図21は、実施例6に係るUE10により送信される上りリンクのサブフレームP300Dの構成例を示す図である。
図21において、サブフレームP300Dは、第一のサブキャリア空間P301Dと、第二のサブキャリア空間P302Dとを有する。例えば第一のサブキャリア空間P301Dにおけるサブキャリア間隔は、第二のサブキャリア空間P302Dにおけるサブキャリア間隔よりも短くてもよい。例えば、第一のサブキャリア空間P301Dにおけるシンボル長は、第二のサブキャリア空間P302Dにおけるシンボル長よりも長くてもよい。
【0147】
以上に開示される実施例6の一側面によれば、UE10における第二処理系統のLCP処理の実行後に発生した第一無線サービスの上りリンクの送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0148】
以上に開示される実施例6の他の一側面によれば、特定の無線サービス(第一無線サービスとも称され得る)の送信データに対する処理系統が、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)の処理系統とは独立して実装される。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0149】
<実施例7> 実施例7に係るUE10は、第一無線サービスの上りリンクの送信データを、第一のサブキャリア空間及び第二のサブキャリア空間の何れかにマッピングして無線送信することができるように構成される。
【0150】
図22は、実施例7に係るUE10におけるU-Planeプロトコルスタックの機能的構成の一例を示す図である。
図22において、
図20の例示と同様の箇所については同じ参照符号を付している。
図22に例示される構成は、
図20の例示と比較すると、Numerologyマッピング・モジュールP504Eが追加されている点で、
図20の構成と相違し、その他の点では
図20の構成と同様である。
【0151】
実施例7に係るNumerologyマッピング・モジュールP504Eは、設定情報(第三設定情報とも称され得る)に従って、第一処理系統のTB生成モジュールP407Dから供給されるTB(第一のTBとも称され得る)を、Numerology1モジュールP502D及びNumerology2モジュールP503Dの何れかに供給する。また、実施例7に係るNumerologyマッピング・モジュールP504Eは、第三設定情報に従って、第二処理系統のTB生成モジュールP402から供給されるTB(第二のTBとも称され得る)を、Numerology1モジュールP502D及びNumerology2モジュールP503Dの何れかに供給する。
【0152】
第三設定情報は、例えば、
図17に例示されるように、gNB20からのRRC信号や報知信号を用いて、設定されてもよい。
【0153】
図22において、Numerologyマッピング・モジュールP504Eは下位レイヤP105で実装されているが、これは実施例7の一例に過ぎない。例えば、実施例7に係るNumerologyマッピング・モジュールP504Eは、MACレイヤP104で実装されてもよい。
【0154】
以上に開示される実施例7の一側面によれば、UE10における第二処理系統のLCP処理の実行後に発生した第一無線サービスの上りリンクの送信データに対して、上りリンク無線リソースの割当てが許容される。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0155】
以上に開示される実施例7の他の一側面によれば、特定の無線サービス(第一無線サービスとも称され得る)の送信データに対する処理系統が、他の無線サービス(第二無線サービスとも称され得る)の処理系統とは独立して実装される。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延を短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0156】
以上に開示される実施例7の更なる他の一側面によれば、特定の無線サービス(第一無線サービスとも称され得る)の送信データに対するサブキャリア空間を、設定情報に従って、柔軟に変更することができる。これにより、UE10における第一無線サービスの上りリンクのデータ送信の遅延をさらに短縮させることができる。このような作用は、5Gシステムにおける上りリンクの超高信頼・低遅延通信を実現するうえで有用である。
【0157】
<ハードウェア構成> 最後に、以上に開示する各実施例に用いられる装置のハードウェア構成について、簡単に説明する。
図23は、無線通信システム1における無線端末(UE)10と無線基地局(gNB)20とのハードウェア構成の一例を示す図である。UE10は、上りリンクにおける送信装置の一例であり、下りリンクにおける受信装置の一例である。gNB20は、上りリンクにおける受信装置の一例であり、下りリンクにおける送信装置の一例である。
【0158】
図23におけるUE10は、無線通信回路101、処理回路102、メモリ103を有する。なお、
図23におけるUE10では、アンテナなどの一部の構成について、図示を省略している。また、UE10は、液晶ディスプレイなどの表示装置や、タッチパネルなどの入力装置や、リチウムイオン二次電池(lithium-ion rechargeable battery)などのバッテリなどを備えてもよい。
【0159】
無線通信回路101は、処理回路102からベースバンド信号(無線信号、デジタル無線信号と称されてもよい)の供給を受けて、当該ベースバンド信号から所定の出力レベルの無線信号(第二の無線信号、アナログ無線信号と称されてもよい)を生成し、アンテナを介して無線信号を空間に放射するように構成される。これにより、UE10は、gNB20に無線信号を送信することができる。また、無線通信回路101は、アンテナから入力される無線信号を受信し、無線信号をベースバンド信号に変換し、処理回路102にベースバンド信号を供給するように構成される。これにより、UE10は、gNB20からの無線信号を受信することができる。上述のように、無線通信回路101は、無線信号の送受信が可能となるように構成され、gNB20との無線通信を行う機能を有する。
【0160】
無線通信回路101は、UE10内部に実装された伝送回路を介して処理回路102と通信可能に接続され得る。この様な伝送回路としては、例えば、M-PHY、Dig-RFなどの規格に準拠した伝送回路が挙げられる。
【0161】
処理回路102(プロセッサ回路、演算回路と称されてもよい)は、ベースバンド信号処理を行うように構成される回路である。処理回路102は、無線通信システム1におけるプロトコルスタックに基づいてベースバンド信号(無線信号、デジタル無線信号と称されてもよい)を生成し、無線通信回路101にベースバンド信号を出力するように構成される。また、処理回路102は、無線通信回路101から入力されたベースバンド信号に対して、無線通信システム1におけるプロトコルスタックに基づいて復調・復号などの受信処理を行うように構成される。別言すれば、上りリンクにおいて、処理回路102は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、gNB20宛ての第一データを上位層から下位レイヤへと送信データを順次処理して得られた第二データに基づいて、無線通信回路101に無線信号を送信させる回路としての側面を有する。また、処理回路102は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、無線通信回路101を介して受信した無線信号を、下位レイヤから上位層へと順次処理する回路としての側面を有する。ここで、無線通信回路101からベースバンド信号の入力を受けることは、無線通信回路101を介してgNB20からの無線信号を受信するという側面を有する。
【0162】
処理回路102は、例えば、メモリ103に格納されたプログラムを読みだして実行することで、上述の各実施例に係るUE10の動作を実現する演算装置であってもよい。別言すると、処理回路102は、
図3、
図6に例示されるUE10における処理の流れの実行主体としての側面を有する。処理回路102として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、これらの組合せなどが挙げられる。なお、処理回路102は、二以上のコアを含むマルチコアプロセッサであっても良い。また、処理回路102は、無線通信システム1のプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上の処理回路102を実装してもよい。例えば、処理回路102は、第一副層(PDCPレイヤ)に属する第一副層エンティティ(PDCPエンティティ)としての処理を実行する処理回路102と、第二副層(RLCレイヤ)に属する第二副層エンティティ(RLCエンティティ)としての処理を実行する処理回路102と、第三副層(MACレイヤ)に属する第三副層エンティティ(MACエンティティ)としての処理を実行する処理回路102とを、個別に実装してもよい。
【0163】
処理回路102は、C-CPUと称されてもよい。UE10は、処理回路102の他に、アプリケーションを実行するA-CPUとも称され得るプロセッサ回路を実装してもよい。なお、処理回路102は、A-CPUとも称され得るプロセッサ回路とともに1チップで実装してもよいし、個別のチップとして実装してもよい。上述のように、処理回路102は、UE10の動作を制御する機能を有する制御部としての側面を有する。
【0164】
メモリ103は、処理回路102で実行されるベースバンド信号処理に係るデータやプログラムを記憶保持するように構成される回路である。メモリ103は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。
図23において、メモリ103は、主記憶装置及び補助記憶装置などの各種記憶装置を総称したものである。なお、メモリ103は、処理回路102と同様に、無線通信システム1のプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上のメモリ103を実装してもよい。例えば、第一副層(PDCPレイヤ)に属する第一副層エンティティ(PDCPエンティティ)としての処理に用いられるメモリ103と、第二副層(RLCレイヤ)に属する第二副層エンティティ(RLCエンティティ)としての処理に用いられるメモリ103と、第三副層(MACレイヤ)に属する第三副層エンティティ(MACエンティティ)としての処理に用いられるメモリ103とを、個別に実装してもよい。
【0165】
図23に例示されるgNB20は、無線通信回路201、処理回路202、メモリ203、有線通信回路204、を有する。
【0166】
無線通信回路201は、ダウンリンクにおいて、処理回路202からのベースバンド信号を受けて、ベースバンド信号から所定の出力レベルの無線信号を生成し、アンテナを介して無線信号を空間に放射するように構成される。また、無線通信回路201は、アップリンクにおいて、アンテナから入力される無線信号を受信し、無線信号をベースバンド信号に変換し、処理回路202へベースバンド信号を供給するように構成される。無線通信回路201は、CPRI(Common Public Radio Interface)などの伝送路を介して処理回路202と通信可能に接続させることも可能であり、RRH(Remote Radii Head)、RRE(Remote Radio Equipment)とも称され得る。また、無線通信回路201と処理回路202との組み合わせは、一対一に限定されるものではなく、一つの無線通信回路201に複数の処理回路202を対応付けたり、複数の無線通信回路201を一つの処理回路202に対応付けたり、複数の無線通信回路201を複数の処理回路202に対応付けることも可能である。上述のように、無線通信回路201は、UE10との無線通信を行う機能を有する通信部(送受信部、第二の送受信部とも称され得る)としての側面を有する。
【0167】
処理回路202は、ベースバンド信号処理を行うように構成される回路である。処理回路202は、ダウンリンクにおいて、無線通信システムにおけるプロトコルスタックに基づいてベースバンド信号を生成し、無線通信回路201にベースバンド信号を出力するように構成される。また、処理回路202は、アップリンクにおいて、無線通信回路201から入力されたベースバンド信号に対して、無線通信システムにおけるプロトコルスタックに基づいて復調・復号などの受信処理を行うように構成される。別言すると、下りリンクにおいて、処理回路202は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、受信装置としてのUE10宛ての送信データを、上位レイヤから下位レイヤへと順次処理して、無線通信回路201を介して送信する回路としての側面を有する。また、上りリンクにおいて、処理回路202は、無線通信の機能を複数のレイヤに分割したプロトコルスタックの手順に従って、無線通信回路201を介して受信した無線信号を、下位レイヤから上位レイヤへと順次処理する回路としての側面を有する。ここで、アップリンクにおいて、無線通信回路201からベースバンド信号の入力を受けることは、無線通信回路201を介してUE10からの無線信号を受信するという側面を有する。
【0168】
処理回路202は、例えば、メモリ203に格納されたプログラムを読みだして実行することで、上述の各実施例に係るgNB20の動作を実現する演算装置であってもよい。処理回路202として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。なお、処理回路202は、二以上のコアを含むマルチコアプロセッサであっても良い。また、処理回路202は、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上の処理回路202を実装してもよい。例えば、MACレイヤに属するMACエンティティとしての処理を実行する処理回路202と、RLCレイヤに属するRLCエンティティとしての処理を実行する処理回路202と、PDCPレイヤに属するPDCPエンティティとしての処理を実行する処理回路202とを、個別に実装してもよい。上述のように、処理回路202は、無線基地局20の動作を制御する機能を有する制御部(UE10の制御部と区別するために、第二の制御部と称されてもよい)としての側面を有する。例えば、処理回路202は、各種の設定情報(例えば第一の設定情報、第二の設定情報)をUE10に送信する処理を実行する。なお、各種の設定情報は、制御信号と称されてもよい。
【0169】
メモリ203は、処理回路202で実行されるベースバンド信号処理に係るデータやプログラムを記憶保持するように構成される回路である。メモリ203は、不揮発性記憶装置と揮発性記憶装置の両方あるいは一方を少なくとも含んで構成される。たとえば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などが挙げられる。
図23において、メモリ203は、主記憶装置及び補助記憶装置などの各種記憶装置を総称したものである。なお、メモリ203は、処理回路202と同様に、無線通信システムのプロトコルスタックにおける各レイヤに応じて、二以上のメモリ203を実装してもよい。例えば、MACレイヤに属するMACエンティティとしての処理に用いられるメモリ203と、RLCレイヤに属するRLCエンティティとしての処理に用いられるメモリ203と、PDCPレイヤに属するPDCPエンティティとしての処理に用いられるメモリ203とを、個別に実装してもよい。
【0170】
有線通信回路204は、他の装置へ出力可能なフォーマットのパケットデータに変換して他の装置へ送信したり、他の装置から受信したパケットデータからデータなどを抽出して、メモリ203や処理回路202などに出力したりする。他の装置の例としては、他の無線基地局やMME(Mobility Management Entity)やSGW(Serving Gateway)などがあり得る。MMEやSGWはコアノードとも称され、コアノードとの通信に用いられる論理的な通信インタフェースはS1インタフェースとも称され得る。他の無線基地局との通信に用いられる論理的な通信インタフェースはX2インタフェースとも称され得る。
【0171】
以上の詳細な説明により、本開示の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神及び権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような本開示の特徴点及び利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良及び変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する開示の範囲を前述したものに限定する意図はなく、本明細書に開示された範囲に含まれる適当な改良物及び均等物に拠ることも可能である。例えば、本明細書に開示の各工程は、必ずしも処理の流れの一例として説明された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、工程の順序を入れ替えてもよく、あるいは複数の工程を並列的に実行してもよい。なお、以上の詳細な説明で明らかにされる5Gシステムに生じ得る事情は、5Gシステムを一側面から検討した場合に見出し得るものであり、他の側面から検討した場合には、他の事情が見出され得ることに留意されたい。別言すると、本発明の特徴点及び利点は、以上の詳細な説明に明記された事情を解決する用途に限定されるものではない。
【0172】
例えば、上述の説明では、上りリンク(ULとも称され得る)に関する構成について説明したが、本発明の趣旨は下りリンク(DLとも称され得る)にも適用し得ることは言うまでもない。本発明を下りリンクに適用した場合、上述の説明における無線基地局gNB20は無線端末UE10として読み替えればよい。また、無線端末UE10は無線基地局gNB20として読み替えればよい。別言すると、下りリンクに着目した場合、UE10は本開示に係る無線通信システム1の送信装置の一例であり、gNB20は受信装置の一例である。したがって、本開示に係る技術思想を下りリンクに適用する場合、上りリンクにおける送信装置の一例としてのUE10について説明された機能を、下りリンクにおける送信装置の一例としてのgNB20に適用すればよい。なお、本開示に係る技術思想を下りリンクに適用する場合であっても、制御情報の通知は、gNB20からUE10に送信されることに留意されたい。
【0173】
最後に、本開示における各実施例及び変形例の構成は、本発明の技術的思想を具体化するための一例を示したものであり、本発明をこれら各実施例及び変形例の構成に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも等しく適用し得るものである。例えば、本開示における用語は、今後の5Gシステムの仕様策定において、名称が変更され得ることに留意されたい。また、本開示における用語に対して列挙される一以上の別称は、相互に同義であり得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0174】
1 無線通信システム
10 無線端末(UE)
101 無線通信回路
102 処理回路
103 メモリ
20 無線基地局(gNB)
201 無線通信回路
202 処理回路
203 メモリ
204 有線通信回路