(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】載置ユニット
(51)【国際特許分類】
B41J 3/28 20060101AFI20240214BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240214BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240214BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240214BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240214BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240214BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B41J3/28
B05D1/26 Z
B05D3/00 B
B05D3/00 D
B41J2/165 101
B41J2/165 207
B41J3/36 Z
B41J29/00 E
B41J29/46 Z
(21)【出願番号】P 2022201865
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2019080232の分割
【原出願日】2019-04-19
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】小金 孝行
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-152521(JP,A)
【文献】特開2011-136271(JP,A)
【文献】特開2006-306042(JP,A)
【文献】特開2015-178223(JP,A)
【文献】特開2017-164926(JP,A)
【文献】特開平09-131926(JP,A)
【文献】特開2010-194950(JP,A)
【文献】特開2014-008669(JP,A)
【文献】特開2005-132023(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1822882(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0069620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/28
B41J 29/00
B41J 29/46
B41J 3/36
B05D 1/26
B05D 3/00
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルド方式の塗布装置が載置される載置ユニットであって、
前記塗布装置における吐出ヘッドの吐出口から廃塗料として吐出された塗料を溜めるための廃塗料エリアと、
前記吐出ヘッドの吐出口を覆うためのキャップと、
前記塗布装置がスライド移動されることによる前記吐出口の前記キャップに向けたスライド移動が、前記吐出口が前記廃塗料エリアに合わされた状態になってから
可能になるように構成されたガイドと、
を備
え、
前記ガイドは、前記キャップに前記吐出口が覆われている状態の前記塗布装置を前記載置ユニットから取り外す場合には、前記吐出口が一旦前記廃塗料エリアに向けてスライド移動されるように前記塗布装置がスライド移動されることで、前記塗布装置の前記載置ユニットからの取り外しが可能になるように構成されている、
ことを特徴とする載置ユニット。
【請求項2】
前記廃塗料エリアは、前記吐出ヘッドへの対向面における平面形状が長手方向と短手方向とを有する形状に形成されており、
前記ガイドは、前記スライド移動される方向が前記短手方向に沿う方向になるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の載置ユニット。
【請求項3】
前記載置ユニットを前記塗布装置に検出させるための被検出部を備え、
前記被検出部は、前記廃塗料エリアと前記キャップとの間の領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の載置ユニット。
【請求項4】
前記ガイドは、前記吐出ヘッドの吐出口が前記廃塗料エリアの直上に位置する状態のときに前記載置ユニットの上方から前記載置ユニットに向けて前記吐出ヘッドの吐出口を落とし込ませるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の載置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザにより塗布対象上に持ち運ばれて使用される塗布装置が知られている。例えば、特許文献1は、記録媒体上を手動走査されることにより記録媒体上に印刷を行う手動型の印刷装置を開示している。具体的に説明すると、特許文献1に開示された印刷装置は、ユーザによって装置が手動で記録媒体上を走査されると、装置の移動量に応じて記録ヘッドの先端に設けられた複数のノズルから記録媒体にインクを噴射することによって印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなノズルから塗料を吐出する方式で塗料を塗布する装置において、ノズル内の塗料が空気中に露出されると、塗料が固まってノズル詰まりを起こすことがある。ノズル詰まりが起きると、ノズルから塗料が正常に吐出されない、すなわち塗料の吐出不良が起き、塗布品質の低下を招く。特に、特許文献1に開示された装置のように、ユーザにより塗布対象上に持ち運ばれて使用される方式の塗布装置では、ノズル内の塗料が空気中に露出されやすいため、ノズル詰まりが起きやすい、との課題がある。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、塗料の吐出不良に伴う塗布品質の低下を抑制することが可能な載置ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る載置ユニットは、ハンドヘルド方式の塗布装置が載置される載置ユニットであって、前記塗布装置における吐出ヘッドの吐出口から廃塗料として吐出された塗料を溜めるための廃塗料エリアと、前記吐出ヘッドの吐出口を覆うためのキャップと、前記塗布装置がスライド移動されることによる前記吐出口の前記キャップに向けたスライド移動が、前記吐出口が前記廃塗料エリアに合わされた状態になってから可能になるように構成されたガイドと、を備え、前記ガイドは、前記キャップに前記吐出口が覆われている状態の前記塗布装置を前記載置ユニットから取り外す場合には、前記吐出口が一旦前記廃塗料エリアに向けてスライド移動されるように前記塗布装置がスライド移動されることで、前記塗布装置の前記載置ユニットからの取り外しが可能になるように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塗料の吐出不良に伴う塗布品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る塗布システムの外観模式図である。
【
図2】実施形態1に係る塗布装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る塗布装置の底面を模式的に示す図である。
【
図4】実施形態1に係る塗布装置を側面から見た様子を示す図である。
【
図5】実施形態1に係る載置ユニットの上面を模式的に示す図である。
【
図6】実施形態1に係る塗布装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態1に係る塗布装置により塗布対象に塗料が塗布される例を示す第1の図である。
【
図8】実施形態1に係る塗布装置により塗布対象に塗料が塗布される例を示す第2の図である。
【
図9】実施形態1に係る塗布装置が載置ユニットに載置される例を示す第1の図である。
【
図10】実施形態1に係る塗布装置が載置ユニットに載置される例を示す第2の図である。
【
図11】実施形態1に係る塗布装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態2に係る塗布装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図13】実施形態2に係る塗布装置により表示される警告画像の例を示す図である。
【
図14】実施形態2に係る塗布装置によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
【0010】
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係る塗布システム1の外観を模式的に示す。
図1に示すように、塗布システム1は、塗布装置10と、載置ユニット30と、を備える。
【0011】
塗布装置10は、塗布対象50上に塗料を塗布することにより、塗布対象50の表面に画像を形成することが可能な装置である。塗布装置10は、いわゆるハンドヘルド方式の装置であって、ユーザによって装置全体が把持されて持ち運ばれ、塗布対象50上における塗料を塗布することを望む任意の位置に設置されて使用される。
【0012】
より詳細には、塗布装置10は、塗布対象50上における塗布装置10の移動に合わせて塗料を塗布することにより、塗布対象50に、文字、記号、図形、絵柄、模様等の画像を印刷することが可能な印刷装置である。このような方式の塗布装置10は、手動走査型の印刷装置、ハンディプリンタ又はダイレクトプリンタ等と呼ばれる。
【0013】
塗布対象50は、塗布装置10により塗料が塗布される対象である。塗布対象50は、例えば、印刷用紙、ラベル、段ボール等である。或いは、塗布対象50は、紙を材質とするものに限らず、プラスチック、金属、木材等であっても良いし、塗料を付着させることができるものであれば、どのような材質のものであっても良い。
【0014】
塗料は、塗布対象50に塗布される塗布剤であって、具体的には、印刷用のインクである。塗料は、塗布対象50の表面に印刷対象の画像を印刷可能なものであれば、どのような材質で構成されていても良い。塗布対象50における塗料が塗布される面は、平面状であることに限らず、曲面状、すなわち多少の膨らみ又は窪みを有する面であっても良い。
【0015】
なお、
図1において、X方向は、塗布装置10の幅方向(主走査方向)に相当し、Y方向は、塗布装置10の長手方向(副走査方向)に相当し、Z方向は、塗布装置10の高さ方向に相当する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。以降の図でも同様である。
【0016】
図2に示すように、塗布装置10は、制御部11と、記憶部12と、ユーザインタフェース13と、電源部14と、通信部15と、NFC(Near Field Communication)モジュール16と、移動検出部17と、吐出ヘッド19と、を備える。
【0017】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、例えばマイクロプロセッサ等であって、様々な処理及び演算を実行する中央演算処理部である。制御部11において、CPUは、システムバスを介して塗布装置10の各部に接続されており、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、塗布装置10全体の動作を制御する。また、制御部11は、RTC(Real Time Clock)等の時間を計測する計時部を備える。
【0018】
記憶部12は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部12は、制御部11が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部12は、文字、記号、絵文字等のような表示用及び塗布用のデータ、及び、塗布処理における設定を定めたテーブルを格納している。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0019】
ユーザインタフェース13は、入力キー、ボタン、スイッチ、タッチパッド、タッチパネル等のような入力受付部と、液晶パネル、LED(Light Emitting Diode)等の表示部と、を備える。ユーザインタフェース13は、入力受付部を介してユーザから各種の操作指示を受け付け、受け付けた操作指示を制御部11に送信する。また、ユーザインタフェース13は、各種の情報を制御部11から取得して、取得した情報を示す画像を表示部に表示する。例えば、ユーザインタフェース13は、メニュー画面を表示部に表示し、入力受付部を介してユーザからの塗布システム1に対する設定入力を受け付ける。
【0020】
電源部14は、電源IC(Integrated Circuit)等を備え、塗布装置10の動作に必要な電源を作り出して各部に供給する。
【0021】
通信部15は、塗布装置10が外部の機器と通信するためのインタフェースを備える。外部の機器とは、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の端末装置である。通信部15は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)等の無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等を介して外部の機器と通信する。通信部15は、制御部11の制御の下、このような有線又は無線による通信を介して、外部の機器から塗布データを含む各種データを取得する。
【0022】
NFCモジュール16は、NFCアンテナを備えており、NFCを介して外部の機器と通信する機能を有する。NFCは、近接無線通信(近接場型の無線通信又は非接触型の無線通信ともいう。)である。NFCの通信エリアは、数センチから数十センチ程度の極短距離の範囲に限られており、無線LANやBluetooth(登録商標)等のような近距離無線通信の通信エリアよりも狭い。通信部15とNFCモジュール16とは、それぞれ第1、第2の通信部と呼ぶことができる。
【0023】
塗布装置10は、NFCモジュール16を介して、載置ユニット30と近接無線通信を行う。具体的に説明すると、塗布装置10のNFCアンテナと載置ユニット30のNFCアンテナとがNFCによる通信が可能な通信エリア内にまで近接すると、塗布装置10と載置ユニット30との間でNFCによる通信が可能になる。以下では、塗布装置10が、NFCによる通信を開始するイニシエータとして機能し、載置ユニット30が、イニシエータの命令に受動的に従うターゲットとして機能する場合を例にとって、説明する。
【0024】
NFCモジュール16は、NFCタグに対してデータを読み書き可能なリーダ/ライタ機能を備え、NFCアンテナを介して、ターゲットとして機能する載置ユニット30と近接無線通信を行う。より詳細には、NFCモジュール16は、ターゲットのNFCタグを検出するための検出コマンドとして、自機の周りに磁界を、予め定められた周期で繰り返し発信する。そして、NFCモジュール16は、検出コマンドによって自機に近接したターゲットのNFCタグを検出すると、ターゲットのNFCタグに内蔵されたICチップに誘導電流を発生させることにより、NFCタグにデータを読み書き可能になる。
【0025】
移動検出部17は、塗布装置10の下部に設けられており、塗布装置10が塗布対象50上を移動した際における塗布装置10の移動を検出する。具体的に説明すると、移動検出部17は、塗布対象50の表面に向けて光を発するLED等の発光部と、発光部から発せられて塗布対象50の表面で反射した光を読み取る光学センサと、を備える。移動検出部17は、LEDから発せられた光を光学センサによって読み取り、読み取った光の変化に基づいて塗布装置10の移動量と移動の向きとを検出する。
【0026】
吐出ヘッド19は、制御部11から出力された塗布データと制御信号とを受け取り、塗布対象50の表面に塗料を吐出する機構である。吐出ヘッド19は、カートリッジに充填された塗料を微滴化し、塗布対象50に対して塗料を直接に吹き付けるいわゆるインクジェット方式で塗布対象50の表面に塗料を塗布する。
【0027】
一例として、吐出ヘッド19は、サーマル方式によって塗料を吐出する。具体的に説明すると、吐出ヘッド19には、複数のノズルが主走査方向(X方向)及び副走査方向(Y方向)に沿って配列されている。複数のノズル内の塗料は、ヒータによって加熱されることで気泡を生じ、生じた気泡によって、複数のノズルのそれぞれから塗布対象50へ向けて(-Z方向に)塗料が吐出される。このような原理によって、吐出ヘッド19は、塗布対象50の表面に塗料を塗布する。
【0028】
図3に、塗布装置10の底面、すなわち塗布対象50の側に向けられる面を模式的に示す。また、
図4に、塗布対象50上を走査されている状態の塗布装置10を側面から見た様子を示す。なお、
図4では、塗布装置10において移動検出部17と、吐出ヘッド19と、カートリッジ21と、NFCモジュール16と、が設けられている位置を破線で示している。これら以外の構成については、理解を容易にするため、
図3及び
図4では図示を省略している。
【0029】
カートリッジ21は、塗料を収容している交換可能な塗料タンクである。吐出ヘッド19は、カートリッジ21の下部に搭載されており、カートリッジ21内の塗料をノズルから吐出する。ユーザは、塗料の色、材質等に応じてカートリッジ21を交換することにより、塗布対象50に塗布する塗料を自由に変更することができる。
【0030】
図3及び
図4に示すように、移動検出部17及び吐出ヘッド19は、塗布装置10が走査されている塗布対象50の表面に向けられるように、塗布装置10の下側に向けて設けられている。一方で、NFCモジュール16は、
図3及び
図4において破線で示しているように、筐体の内部に組み込まれている。
【0031】
図3に示すように、塗布装置10の底面における吐出ヘッド19の直下の位置には、吐出ヘッド19から塗料を塗布することができるように、開口23が設けられている。開口23からは、吐出ヘッド19における塗料の吐出口、すなわち吐出ヘッド19に設けられた複数のノズルの先端が露出している。塗布装置10は、塗布対象50上を走査された際に、開口23を通して吐出ヘッド19から塗料を塗布する。
【0032】
次に、
図1に示した塗布システム1に備えられている載置ユニット30について説明する。載置ユニット30は、塗布装置10が載置されるユニットである。載置ユニット30は、クレードルとも呼ばれ、塗布装置10をその非使用時に安定した状態で保持するためのホルダとして機能する。
【0033】
図5に、載置ユニット30の上面、すなわち塗布装置10が載置される側の面を模式的に示す。
図5に示すように、載置ユニット30は、キャップ32と、廃塗料エリア31と、NFCモジュール33と、を備える。キャップ32と廃塗料エリア31とは、載置ユニット30の上面に露出するように設けられている。一方で、NFCモジュール33は、
図5において破線で示しているように、載置ユニット30の筐体の内部に組み込まれている。
【0034】
廃塗料エリア31は、吐出ヘッド19から吐出される廃塗料を溜めるために設けられたエリアである。ここで、廃塗料とは、塗布対象50への塗布には用いられずに廃棄される塗料を意味する。廃塗料エリア31は、廃塗料を収容する収容部を備えており、ノズルの吐出不良を抑制するために吐出された廃塗料を、収容部に溜めておくことができる。
【0035】
具体的に説明すると、塗布装置10の使用時には、吐出ヘッド19は、キャップ32に覆われずに空気中に露出したままとなるため、吐出口付近の塗料が固まりやすい。そのため、塗布装置10は、載置ユニット30に載置される時に、吐出ヘッド19に設けられている複数のノズルのそれぞれから、予め定められた量の廃塗料を廃塗料エリア31に吐出する。これにより、固まっている可能性のある吐出口付近の塗料が廃塗料として吐出されるため、ノズルがクリーニングされる。
【0036】
キャップ32は、塗布装置10が載置ユニット30に載置された場合に、吐出ヘッド19における塗料の吐出口を覆う部材である。キャップ32は、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に塗料が吐出された後、吐出ヘッド19における塗料の吐出口を覆う。これにより、塗布装置10は、その非使用時に、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32により覆われた状態で保管される。
【0037】
具体的に説明すると、吐出ヘッド19の吐出口は開口23から空気中に露出しているため、乾燥、増粘等によって吐出口付近の塗料が固まりやすい。吐出口付近の塗料が固まると、ノズル詰まりによって吐出不良が引き起こされる。これを抑制するため、キャップ32は、塗布装置10が載置ユニット30に載置された場合に、吐出ヘッド19に設けられたノズルの先端が露出している開口23を覆って封をする。
【0038】
NFCモジュール33は、NFCアンテナを備えており、NFCを介して外部の機器と通信する機能を有する。載置ユニット30は、NFCモジュール33を介して、塗布装置10と近接無線通信を行う。
【0039】
NFCモジュール33は、載置ユニット30がターゲットとして機能するためのNFC-TAG(NFCタグ)を備え、NFCアンテナを介して、イニシエータとして機能する塗布装置10と近接無線通信を行う。NFCタグは、イニシエータによってデータが読み書きされるIC(Integrated Circuit)チップを内蔵したタグである。このICチップは、イニシエータとの間に生じる磁界によって誘導電流が流れるコイルを搭載し、コイルに流れる誘導電流によって、データが読み書き可能となる。例えば、塗布装置10がNFCにより通信可能な距離まで後述の廃塗料エリア31に近接すると、NFCタグに記憶されているデータが読み書きされる。
【0040】
なお、図示を省略するが、載置ユニット30は、塗布装置10が載置ユニット30に載置された際に、塗布装置10を充電する充電回路を備えていても良い。また、載置ユニット30は、塗布装置10が載置ユニット30に載置される際に、吐出ヘッド19に付着した汚れを除去するワイパーを備えていても良い。
【0041】
次に、
図6を参照して、塗布装置10の機能的な構成について説明する。
図6に示すように、塗布装置10は、機能的に、吐出制御部110と、近接判定部120と、を備える。制御部11において、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、これら各部として機能する。
【0042】
吐出制御部110は、吐出ヘッド19による塗料の吐出を制御する。吐出ヘッド19は、吐出制御部110による制御のもとで塗料を吐出する。具体的に説明すると、吐出制御部110は、移動検出部17により塗布対象50上における塗布装置10の移動が検出されると、検出された移動に応じて、指定された塗布データに従って吐出ヘッド19に塗料を吐出させる。これにより、吐出制御部110は、塗布対象50に塗料を塗布する。
【0043】
塗布データは、塗布対象50に描画する画像を示す画像データ、及び画像データのサイズ等の情報を含むデータである。塗布データは、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の端末装置において、予めインストールされたプリンタドライバを介してユーザからの操作指示を受け付けることによって、生成される。吐出制御部110は、このようにして生成された塗布データを、通信部15を介して端末装置から取得する。或いは、ユーザがユーザインタフェース13の入力部を介して指示を入力することにより塗布データを生成しても良いし、塗布データが予め記憶部12に用意されていても良い。
【0044】
吐出制御部110は、移動検出部17によって予め定められた量の移動が検出される毎に、検出された移動の量に対応する長さの画像が形成されるように、取得された塗布データの内容を吐出ヘッド19に出力する。そして、吐出制御部110は、吐出ヘッド19の通電ドットを制御し、吐出ヘッド19のノズルから、塗布データにより示される濃度(量)の塗料を吐出させる。例えば、吐出制御部110は、吐出ヘッド19における1ドット分の距離を移動する毎に、1ライン分の塗布を実行する。吐出制御部110は、制御部11が移動検出部17及び吐出ヘッド19と協働することによって実現される。
【0045】
具体的に
図7及び
図8に、塗布対象50に塗料を塗布する例を示す。塗布対象50の表面に例えば「ABC」との文字列を表す画像を印刷することを望む場合、ユーザは、「ABC」との文字列を表す画像を印刷するための、塗料の濃度と塗布位置とを示す塗布データを、端末装置等を介して用意する。
【0046】
塗布データを用意すると、ユーザは、
図7に示すように、塗布装置10を、その下面を塗布対象50の表面に向けた状態で塗布対象50上に設置する。この状態で、ユーザは、塗布装置10を手で把持して、塗布装置10を塗布対象50の表面に沿って滑らすように移動させると、塗布装置10による塗料の塗布が実行される。
【0047】
具体的に説明すると、吐出制御部110は、塗布対象50上において塗布装置10が予め定められた距離を移動する毎に、吐出ヘッド19から、塗布データにより定められた濃度の塗料を、塗布データにより定められた塗布位置に塗布させる。その結果、
図8に示すように、塗布対象50の表面に、「ABC」との文字列を表す塗布画像53が印刷される。
【0048】
塗布装置10による塗布開始位置は、
図7に示すように右向き(+Y方向)に塗布装置10を移動させる場合には、塗布装置10の右端である。これに対して、左向き(-Y方向)に塗布装置10を移動させる場合には、塗布開始位置は、塗布装置10の左端である。なお、図示を省略するが、塗布装置10の移動方向(Y方向)における両端には、塗布開始位置と塗布装置10の移動の向きとをユーザが容易に確認することができるように、LED等の指示部が設けられている。右向きに移動させて塗料を塗布する場合には、右側の指示部が点灯し、左向きに移動させて塗料を塗布する場合には、左側の指示部が点灯する。
【0049】
このような塗布対象50への塗料の塗布に加えて、吐出制御部110は、塗布装置10が載置ユニット30に載置される際に、吐出ヘッド19から後述の廃塗料エリア31に塗料を吐出させる。具体的に
図9及び
図10に、塗布装置10が載置ユニット30に載置される様子を示す。ユーザは、塗布装置10を使用した後、塗布装置10を載置ユニット30に載置して保管する。
【0050】
塗布装置10載置ユニット30に載置する際、
図9に示すように、ユーザは、吐出ヘッド19の吐出口が載置ユニット30の廃塗料エリア31の直上に位置するように、塗布装置10の底面を載置ユニット30の上面に対向させる。そして、ユーザは、塗布装置10を、
図9における矢印の向きに、載置ユニット30の上から落とし込ませる。
【0051】
その後、
図10に示すように、ユーザは、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われる位置まで、
図10における矢印の向きに塗布装置10をスライドさせる。これにより、塗布装置10は、吐出ヘッド19の吐出口が乾燥を抑制するためにキャップ32で覆われた状態で保持される。載置ユニット30には、図示を省略するが、このような落とし込みとスライドの動作で塗布装置10を載置するためのガイドが設けられている。
【0052】
吐出制御部110は、このように塗布装置10が載置ユニット30に載置される動作における、吐出ヘッド19の吐出口が廃塗料エリア31の直上に位置するタイミングで、吐出ヘッド19から塗料を廃塗料エリア31に吐出する。具体的に説明すると、吐出制御部110は、吐出ヘッド19に設けられた複数のノズルのそれぞれから、予め定められた量の塗料を廃塗料として廃塗料エリア31に吐出する。
【0053】
このように、廃塗料エリア31の直上に位置する状態において、塗布装置10が載置ユニット30に載置されるタイミングで廃塗料を吐出することで、塗布装置10に使用中に空気に露出された吐出ヘッド19の吐出口をクリーニングすることができる。そのため、塗料が固まってノズル詰まりを引き起こすことを抑制することが可能となる。
【0054】
吐出制御部110が廃塗料を吐出するタイミングを決定するために、
図6に示した近接判定部120は、塗布装置10と廃塗料エリア31とが所定の距離以内に近接したか否かを、載置ユニット30との近接無線通信により判定する。具体的に説明すると、近接判定部120は、
図9に示したように塗布装置10が載置ユニット30に押し込まれて近付けられている際に、NFCモジュール16を介して、塗布装置10と廃塗料エリア31とが所定の距離以内に近接したか否かを判定する。
【0055】
ここで、所定の距離は設定された距離とも言い、塗布装置10に搭載されているNFCモジュール16と載置ユニット30に搭載されているNFCモジュール33との間で互いを検出可能な、数センチから数十センチ程度の距離である。上述したように、塗布装置10のNFCモジュール16は、予め定められた周期で磁界を発信している。この磁界を受信可能な距離以内に、載置ユニット30のNFCモジュール33に内蔵されているNFCタグが近接すると、NFCモジュール16は、NFCタグを検出することができる。
【0056】
近接判定部120は、塗布装置10が載置ユニット30に近付けられることで、NFCモジュール16がNFCタグを検出可能な所定の距離以内に近接すると、塗布装置10が廃塗料エリア31に近接したと判定する。そして、近接判定部120により塗布装置10が廃塗料エリア31に近接したと判定された場合、吐出制御部110は、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に塗料を吐出させる。近接判定部120は、制御部11がNFCモジュール16と協働することにより実現される。
【0057】
なお、塗布装置10を載置ユニット30から取り外す際は、ユーザは、
図9及び
図10に示した動作とは逆の動作を実行する。具体的に説明すると、ユーザは、塗布装置10を、吐出ヘッド19の吐出口にキャップ32が覆われた状態から、
図10に示した矢印とは逆向きにスライドさせる。そして、吐出ヘッド19の吐出口が廃塗料エリア31の直上まで到達すると、ユーザは、塗布装置10を、
図9に示した矢印とは逆向きに持ち上げる。これにより、塗布装置10は載置ユニット30から取り外される。
【0058】
塗布装置10が載置ユニット30に載置された状態、すなわち
図10に示したように吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われている状態では、NFCモジュール16がNFCタグを検出可能な所定の距離の外側に存在する。この状態では、近接判定部120は、塗布装置10が廃塗料エリア31に近接していないと判定する。この状態から、ユーザが塗布装置10をスライドさせて、吐出ヘッド19の吐出口が廃塗料エリア31の直上に位置すると、すなわち近接判定部120により塗布装置10が廃塗料エリア31に近接していると判定されると、再び吐出ヘッド19から塗料を廃塗料エリア31に吐出する。さらにここから持ち上げることにより、NFCモジュール16がNFCタグを検出可能な所定の距離の外側に遠ざけられると、近接判定部120は、塗布装置10が廃塗料エリア31に近接していないと判定する。
【0059】
以上のように構成される塗布装置10において実行される処理の流れについて、
図11を参照して説明する。
【0060】
図11に示すフローチャートは、塗布装置10が載置ユニット30に載置された状態からの処理の流れを示している。ユーザが塗布装置10の電源を投入して、塗布装置10が正常に塗料を塗布可能な状態になると、
図11に示す処理は開始する。
【0061】
図11に示す処理を開始すると、制御部11は、NFCモジュール16がNFCタグを検出したか否かを判定する(ステップS11)。具体的に説明すると、ユーザは、吐出ヘッド19の吐出口が載置ユニット30のキャップ32に覆われた状態にある塗布装置10を、ガイド(図示せず)に沿ってスライドさせた後、持ち上げることにより、すなわち
図9及び
図10に示した動作とは逆の動作で取り外す。制御部11は、この取り外し動作において、塗布装置10に搭載されたNFCモジュール16が載置ユニット30に搭載されたNFCタグを検出可能な所定の距離の内側か否かを判定する。
【0062】
NFCモジュール16がNFCタグを検出していないと判定した場合(ステップS11;NO)、制御部11は、処理をステップS11に留めて、NFCモジュール16がNFCタグを検出するまで待機する。
【0063】
これに対して、NFCモジュール16がNFCタグを検出したと判定した場合(ステップS11;YES)、すなわち吐出ヘッド19の吐出口が廃塗料エリア31の直上に位置している場合、制御部11は、吐出ヘッド19から廃塗料を吐出させる(ステップS12)。具体的に説明すると、制御部11は、吐出ヘッド19に設けられている複数のノズルのそれぞれから、予め定められた量の塗料を、載置ユニット30の廃塗料エリア31に吐出させる。これにより、前回の廃塗料の吐出でも取り除けなかったノズル詰まりがある場合や、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32により覆われた状態で保管されていたにも関わらず、乾燥等により新たにノズル詰まりが発生した場合にも、ノズル詰まりによる吐出不良を防ぎ、良好に塗料の塗布を行うことができる。
【0064】
次に、制御部11は、塗布対象50上における塗布装置10の移動を検出したか否かを判定する(ステップS13)。ユーザは、例えば
図7に示したように、塗料を塗布することを望む塗布対象50上の位置に塗布装置10を設定し、塗布対象50の表面に沿って移動させる。制御部11は、このような塗布装置10の移動を移動検出部17によって検出したか否かを判定する。
【0065】
塗布対象50上における塗布装置10の移動を検出した場合(ステップS13;YES)、制御部11は、検出した塗布装置10の移動に応じて吐出ヘッド19から塗料を塗布する(ステップS14)。具体的に説明すると、制御部11は、移動検出部17により予め定められた量の移動を検出する毎に、ユーザから予め指定された塗布データに従って吐出ヘッド19から塗料を吐出させる。これにより、制御部11は、例えば
図8に示したような塗布画像53を塗布対象50の表面に形成する。
【0066】
一方で、塗布対象50上における塗布装置10の移動を検出していない場合(ステップS13;NO)、制御部11は、ステップS14の処理をスキップする。
【0067】
その後、制御部11は、NFCモジュール16がNFCタグを検出したか否かを判定する(ステップS15)。具体的に説明すると、ユーザは、塗布装置10を使用した後、塗布装置10を載置ユニット30に載置する。その際に、ユーザは、
図9に示したように、吐出ヘッド19の吐出口が廃塗料エリア31に対向させながら、塗布装置10を載置ユニット30に落とし込むようにして移動させる。制御部11は、このように塗布装置10が載置される過程において、塗布装置10に搭載されたNFCモジュール16が載置ユニット30に搭載されたNFCタグを検出可能な所定の距離以内に近付いたか否かを判定する。
【0068】
NFCモジュール16がNFCタグを検出していないと判定した場合(ステップS15;NO)、制御部11は、処理をステップS13に戻す。この場合、制御部11は、塗布対象50上における塗布装置10の移動を検出したか否かを再び判定する。そして、制御部11は、塗布対象50上における塗布装置10の移動を検出する毎に、検出した移動に応じて吐出ヘッド19から塗料を塗布する処理を実行する。
【0069】
これに対して、NFCモジュール16がNFCタグを検出したと判定した場合(ステップS15;YES)、制御部11は、吐出ヘッド19から廃塗料を吐出させる(ステップS16)。具体的に説明すると、制御部11は、吐出ヘッド19に設けられている複数のノズルのそれぞれから、予め定められた量の塗料を、載置ユニット30の廃塗料エリア31に吐出させる。これにより、ノズル詰まりの発生を抑制する。
【0070】
吐出ヘッド19から廃塗料を吐出した後、ユーザは、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われる位置まで、
図10における矢印の向きに塗布装置10をスライドさせる。これにより、塗布装置10は、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われた状態で、次に使用されるまで載置ユニット30に載置される。以上により、
図11に示した処理は終了する。
【0071】
以上説明したように、実施形態1に係る塗布装置10は、ユーザにより塗布対象50上に持ち運ばれて使用される装置であって、塗布装置10が載置ユニット30に載置される際に、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に塗料を吐出する。これにより、ノズル詰まりの発生及び塗料の吐出不良を抑制することができ、塗布の品質が低下することを抑制することができる。
【0072】
特に、ユーザにより持ち運ばれて使用されるハンドヘルド方式の塗布装置10では、ノズル内の塗料が空気中に露出される時間が長くなりやすいにもかかわらず、廃塗料を吐出する場所とタイミングとを確保することが難しい。これに対して、実施形態1に係る塗布装置10では、塗布装置10が載置ユニット30に載置されるタイミングで自動的に載置ユニット30に廃塗料が吐出されるため、廃塗料を吐出する場所とタイミングとを効果的に確保することができる。そのため、効果的に塗料の吐出不良を抑制することが可能になる。
【0073】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態1と同様の事項については適宜説明を省略する。
【0074】
図12に、実施形態2に係る塗布装置10aの機能的な構成を示す。
図12に示すように、塗布装置10aは、機能的に、吐出制御部110と、近接判定部120と、読み出し部130と、報知部140と、書き込み部150と、を備える。制御部11aにおいて、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、これら各部として機能する。なお、吐出制御部110及び近接判定部120の機能は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
読み出し部130は、載置ユニット30の廃塗料エリア31に溜められている塗料の総量Sumを、載置ユニット30との近接無線通信を介して載置ユニット30から読み出す。廃塗料エリア31に溜められている塗料の総量Sumとは、過去に塗布装置10が載置ユニット30に載置された際に吐出された結果として、廃塗料エリア31に蓄積された廃塗料の総量である。読み出し部130は、塗布装置10aが載置ユニット30に載置される際における、近接判定部120により塗布装置10aが廃塗料エリア31に近接したと判定されたタイミングで、載置ユニット30から廃塗料の総量Sumを読み出す。
【0076】
ここで、廃塗料の総量Sumのデータは、NFCモジュール33に搭載されているNFCタグの記憶領域に記憶されている。そのため、読み出し部130は、NFCモジュール16のリーダ機能を用いて、NFCタグに記憶されている廃塗料の総量Sumを読み出す。読み出し部130は、制御部11がNFCモジュール16と協働することにより実現される。
【0077】
報知部140は、廃塗料エリア31に溜められている塗料の総量Sumが予め定められた閾値THを超えた場合に、廃塗料エリア31に溜められている塗料の総量Sumが閾値THを超えている旨を報知する。ここで、閾値THは、廃塗料エリア31に溜めることが可能な許容量に相当する値である。
【0078】
一般的に、ハンドヘルド方式の塗布装置10aは、据え置き方式の装置に比べて筐体のサイズが小さいため、その載置ユニット30に廃塗料を溜める大きなスペースを確保することが難しい。そのため、実施形態2に係る塗布装置10aは、報知部140を備えており、廃塗料エリア31内の廃塗料の量が閾値THを超えた場合にその旨を報知することで、廃塗料エリア31に廃塗料が溜まりすぎて溢れることを予防する。
【0079】
具体的に説明すると、報知部140は、吐出制御部110により吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に塗料が吐出された場合、当該吐出された塗料の量Lを、読み出し部130により読み出された塗料の総量Sumに加算した加算値が閾値THを超えているか否かを判定する。そして、報知部140は、加算値が閾値THを超えていると判定した場合に、その旨を報知する。言い換えると、報知部140は、加算値を、廃塗料エリア31に溜められている塗料の新たな総量Sumに置き換えて、新たな総量Sumが閾値THを超えた場合に、その旨を報知する。吐出された塗料の量Lは、塗料を吐出したノズルの数と1ノズル当たりの吐出量とから計算することができる。
【0080】
一例として、
図13に、報知部140により表示される警告画像60を示す。
図13に示すように、報知部140は、廃塗料エリア31に溜められている廃塗料が許容量を超えているため、廃塗料エリア31の清掃を促す警告メッセージを表示する。これにより、廃塗料エリア31から廃塗料が溢れることを予防する。報知部140は、制御部11がユーザインタフェース13の表示部と協働することにより実現される。
【0081】
図12に戻って、書き込み部150は、吐出された塗料の量Lを読み出し部130により読み出された塗料の総量Sumに加算した加算値を、載置ユニット30と近接無線通信を介して、載置ユニット30に書き込む。具体的に説明すると、書き込み部150は、塗布装置10aが載置ユニット30に載置される際に、NFCモジュール16のライタ機能を用いて、載置ユニット30のNFCタグに加算値を書き込む。これにより、書き込み部150は、NFCタグに記憶されている廃塗料の総量Sumの値を、廃塗料を吐出した後の新たな値に更新する。NFCタグに記憶されている廃塗料の総量Sumは、載置ユニット30に載置される毎に更新される。書き込み部150は、制御部11がNFCモジュール16と協働することにより実現される。
【0082】
次に、
図14を参照して、実施形態2に係る塗布装置10aにおいて実行される廃塗料の吐出処理の流れについて説明する。
【0083】
図14に示すフローチャートは、塗布装置10aのNFCモジュール16がNFCタグを検出した後、すなわちユーザが塗布装置10aをキャップ32から廃塗料エリア31の上面までスライドした後又はユーザが塗布装置10aを載置ユニット30に載置するために廃塗料エリア31の直上に位置させた後、の処理の流れを示している。塗布時の処理については、実施形態1で説明した
図11のステップS13からステップS14と同様である。塗布装置10aの電源が投入された状態で、NFCモジュール16がNFCタグを検出すると、
図14に示す処理は開始する。
【0084】
NFCモジュール16がNFCタグを検出することで、
図14に示す処理を開始すると、制御部11aは、廃塗料エリア31に溜められている廃塗料の総量Sumを読み出す(ステップS21)。具体的に説明すると、制御部11aは、NFCモジュール16による近接無線通信を介して、載置ユニット30のNFCタグに記憶されている現在の廃塗料の総量Sumのデータを読み出す。
【0085】
廃塗料の総量Sumを読み出すと、制御部11aは、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に廃塗料を吐出する(ステップS22)。具体的に説明すると、制御部11aは、吐出ヘッド19に設けられている複数のノズルのそれぞれから、予め定められた量の塗料を、載置ユニット30の廃塗料エリア31に吐出させる。これにより、ノズル詰まりの発生を抑制する。
【0086】
廃塗料を吐出すると、制御部11は、廃塗料の吐出量Lを、ステップS21で読み出した総量Sumに加算する(ステップS23)。そして、制御部11aは、加算後の総量Sumが閾値THよりも大きいか否かを判定する(ステップS24)。
【0087】
加算後の総量Sumが閾値THよりも大きい場合(ステップS24;YES)、制御部11aは、その旨の報知を行う(ステップS25)。制御部11aは、具体的には
図13に示した警告画像60を、ユーザインタフェース13の表示部に表示する。これにより、制御部11aは、廃塗料エリア31内の廃塗料を清掃するようにユーザに促す。
【0088】
一方で、加算後の総量Sumが閾値TH以下である場合(ステップS24;NO)、制御部11aは、ステップS25の処理をスキップする。すなわち、この場合は、載置ユニット30の廃塗料エリア31に溜められている廃塗料の量に余裕があるため、制御部11aは、報知を行わない。
【0089】
その後、制御部11aは、加算後の総量Sumを載置ユニットに書き込む(ステップS26)。具体的に説明すると、制御部11aは、NFCモジュール16による近接無線通信を介して、載置ユニット30のNFCタグに加算後の総量Sumを書き込む。これにより、制御部11aは、NFCタグに記憶されている廃塗料の総量Sumのデータを、最新のデータに更新する。以上により、
図14に示した処理は終了し、この後塗布対象50への塗布を行う場合には、
図11のステップS13からステップS14の処理を行うものである。
【0090】
以上説明したように、実施形態2に係る塗布装置10aは、載置ユニット30に溜められている廃塗料の総量が閾値よりも大きいか否かを判定し、廃塗料の総量が閾値よりも大きい場合に、廃塗料エリア31の清掃をユーザに促す。これにより、廃塗料エリア31から廃塗料が溢れることを予防することができる。
【0091】
特に、廃塗料の総量のデータが載置ユニット30のNFCタグに記憶されているため、NFCタグの記憶領域を有効に活用することができ、利便性が向上する。また、廃塗料の総量のデータが、塗布装置10aではなく載置ユニット30に記憶されていることで、たとえ前回に載置された塗布装置10aとは別の塗布装置10aが載置された場合であっても、その別の塗布装置10aは、現在の廃塗料の総量を読み出すことができるため、廃塗料エリア31に溜められている廃塗料の総量が閾値を超えている場合に的確にその旨を報知することができる。
【0092】
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
【0093】
例えば、上記実施形態では、塗布装置10,10aがNFCのリーダ/ライタ機能を備えており、載置ユニット30がNFCタグを備えていた。しかしながら、本発明において、載置ユニット30がUSB等で給電される場合には、載置ユニット30がNFCのリーダ/ライタ機能を備えており、塗布装置10,10aがNFCタグを備えていても良い。すなわち、載置ユニット30がイニシエータとして機能し、塗布装置10,10aがターゲットとして機能しても良い。この場合でも、近接判定部120は、塗布装置10,10aと載置ユニット30とが所定の距離以内に近接したか否かを判定することができる。
【0094】
上記実施形態では、近接判定部120は、近接無線通信により、塗布装置10,10aと載置ユニット30とが所定の距離以内に近接したかを判定し、吐出制御部110は、近接判定部120により塗布装置10,10aと載置ユニット30とが所定の距離以内に近接したと判定された場合に、吐出ヘッド19から載置ユニット30に廃塗料を吐出させた。しかしながら、本発明において、塗布装置10,10aは、近接無線通信に限らず、他の手法によって、吐出ヘッド19から載置ユニット30に廃塗料を吐出するタイミングを判定しても良い。例えば、塗布装置10,10aが載置ユニット30に載置される際に押圧される機械的なスイッチが載置ユニット30に設けられており、吐出制御部110は、スイッチが押圧された場合に、吐出ヘッド19から載置ユニット30に廃塗料を吐出しても良い。
【0095】
上記実施形態では、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に廃塗料が吐出された後、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われる位置まで、ユーザが塗布装置10,10aをスライドさせた。しかしながら、本発明において、塗布装置10,10aが載置ユニット30に載置される方法は、これに限らない。例えば、塗布装置10,10aが吐出ヘッド19を移動させる駆動機構を備えており、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に廃塗料が吐出された後、吐出ヘッド19がキャップ32の位置に移動することで、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われても良い。或いは、載置ユニット30がキャップ32を移動させる駆動機構を備えており、吐出ヘッド19から廃塗料エリア31に廃塗料が吐出された後、キャップ32が吐出ヘッド19の位置に移動することで、吐出ヘッド19の吐出口がキャップ32に覆われても良い。
【0096】
上記実施形態では、塗布装置10,10aは、塗布対象50上における塗布装置10,10aの移動に応じて塗布対象50に塗料を塗布することにより、「ABC」等のような画像を印刷する装置であった。しかしながら、塗布装置10,10aは、このような文字列の画像を印刷することに限らない。例えば、塗布装置10,10aは、塗料を塗布することにより、塗布対象50に所望の模様、絵柄等のパターンを形成する装置であっても良い。また、塗布装置10,10aは、印刷用紙等に描かれた誤記の上からインクを塗布して誤記を修正する用途に用いられても良い。
【0097】
或いは、塗布装置10,10aは、皮膚に存在する染み、アザ、クマ、汚れ等の上から塗料を塗布することにより、染み、アザ、クマ、汚れ等を覆い隠して目立たなくするための装置、すなわちいわゆるコンシーラであっても良い。塗布装置10,10aがコンシーラである場合、塗布対象50は人間、動物等の皮膚(肌)であり、塗料は皮膚に塗って着色するための化粧料、着色料等である。
【0098】
塗布装置10,10aがコンシーラである場合、塗布装置10,10aは、塗布対象50の表面を撮像する撮像部を備えており、撮像部の撮像により得られた撮像画像に基づいて、塗料を塗布しても良い。具体的に説明すると、塗布制御部140は、撮像画像に基づいて、塗布対象50上に存在する染み等を検出する。そして、吐出ヘッド19は、塗布制御部140による制御のもと、検出された染み等の領域に塗料を塗布することで、染み等を目立たなくする。
【0099】
上記実施形態では、塗布装置10,10aは、移動検出部17を備えており、塗布対象50上における塗布装置10,10aの移動に応じて塗料を塗布した。しかしながら、本発明において、塗布装置10,10aは、移動検出部17を備えていなくても良い。言い換えると、塗布装置10,10aは、ユーザにより塗布対象50上に持ち運ばれて使用されるものであれば、手動走査方式以外の方式で塗料を塗布するものであっても良い。例えば、塗布装置10,10aは、塗布装置10,10aが塗布対象50上に設置された状態で、ユーザにより押圧スイッチが押圧された場合に塗料を塗布しても良い。或いは、塗布装置10,10aは、塗布装置10,10aが塗布対象50上に設置された状態で、塗布対象50に対して基準値よりも大きい圧力がかけられたことが圧力センサにより検出された場合に塗料を塗布しても良い。
【0100】
或いは、塗布装置10,10aが移動検出部17を備えない場合、塗布装置10,10aの筐体内で吐出ヘッド19が移動しても良い。具体的に説明すると、塗布装置10,10aがコンシーラである場合において、撮像部の撮像により得られた撮像画像に基づいて塗布対象50の表面に染み等が検出されると、塗布制御部140は、検出された染み等の領域上に吐出ヘッド19を移動させて、塗料を吐出させても良い。塗布装置10,10aの筐体内で吐出ヘッド19が移動することで、ユーザが塗布対象50上で塗布装置10,10aの筐体を移動させなくても、塗布対象50上の所望の位置に塗料を塗布することができる。
【0101】
更に、塗布装置10,10aがコンシーラであって、且つ、塗布装置10,10aの筐体内で吐出ヘッド19が移動する場合、塗布制御部140は、検出された染み等の領域上で吐出ヘッド19を往復移動させることにより、複数回に亘って塗料を塗布させても良い。そして、塗布制御部140は、塗布状況に応じて塗料を塗布する回数を変化させても良い。具体的に説明すると、塗布制御部140は、吐出ヘッド19から塗料を塗布する毎に、検出された染み等が塗料によって覆い隠されたか否かを撮像部の撮像により判定する。そして、塗布制御部140は、検出された染み等が塗料によって覆い隠されたと撮像により判定されるまで、検出された染み等の領域上で吐出ヘッド19を往復移動させることで、複数回に亘って吐出ヘッド19から塗料を塗布させる。
【0102】
上記実施形態では、吐出ヘッド19は、サーマル方式によって吐出ヘッド19から塗料を吐出した。しかしながら、本発明において、吐出ヘッド19は、サーマル方式に限らず、他の方式により塗料を吐出しても良い。例えば、吐出ヘッド19は、ピエゾ素子を用いたピエゾ方式により塗料を吐出しても良い。また、塗布装置10,10a及び載置ユニット30の形状は、
図1に示したような四角柱状に限らず、どのような形状をしていても良い。
【0103】
上記実施形態では、吐出ヘッド19は、吐出ヘッド19に設けられている複数のノズルのそれぞれから、予め定められた量の廃塗料を廃塗料エリア31に吐出する。しかしながら、本発明において、吐出ヘッド19は、予め定められた量に限らず、各ノズルで廃塗料を吐出する量を変化させてもよい。例えば、塗布データに基づき、塗布対象50への塗料の塗布で使用しなかったノズルからは廃塗料を吐出しなくても良い。また、使用したノズルは使用しなかったノズルに比べて廃塗料を吐出する量を多くしても良い。
【0104】
上記実施形態2では、報知部140は、載置ユニット30に溜められている塗料の量が閾値を超えた場合に、
図13に示した警告画像60を、ユーザインタフェース13の表示部に表示した。しかしながら、本発明では、報知部140は、警告画像60を塗布装置10,10aで表示することに限らない。例えば、報知部140は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の端末装置と通信部15を介して通信し、警告を示す画像を端末装置に表示させても良い。警告を示す画像を端末装置等の外部の装置に表示させる場合、塗布装置10,10aは、表示部を備えていなくても良い。或いは、報知部140は、警告画像60のような画像に表示することに限らず、スピーカから音声を発することで報知を行っても良い。
【0105】
上記実施形態2では、読み出し部130は、近接無線通信により廃塗料の総量Sumを載置ユニット30から読み取り、書き込み部150は、近接無線通信により廃塗料の総量Sumを載置ユニット30に書き込んだ。しかしながら、本発明において、読み出し部130及び書き込み部150は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等のような、近接無線通信以外の通信手段により、廃塗料の総量Sumの読み取り及び書き込みの処理を実行しても良い。或いは、廃塗料の総量Sumのデータは、載置ユニット30内に記憶されることに限らず、塗布装置10,10aの記憶部12等に記憶されていても良い。その場合は、載置ユニット30と通信しなくても、廃塗料の総量Sumの読み取り及び書き込みの処理を実行することができる。
【0106】
上記実施形態では、制御部11,11aにおいて、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することによって、
図6及び
図12に示した各部として機能した。しかしながら、本発明において、制御部11,11aは、CPUの代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、
図6及び
図12に示した各部として機能しても良い。この場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現しても良いし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現しても良い。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現しても良い。
【0107】
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた塗布装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の情報処理装置等を、本発明に係る塗布装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した塗布装置10,10aによる各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することで、本発明に係る塗布装置として機能させることができる。
【0108】
また、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
塗料を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドの動作を制御する吐出制御部と、
を有し、ユーザにより塗布対象上に持ち運ばれて使用される塗布装置と、
前記塗料を溜める廃塗料エリアを有し、前記塗布装置を載置する載置ユニットと、
を備えることを特徴とする塗布システム。
(付記2)
前記吐出制御部は、前記塗布装置が前記廃塗料エリア上に位置する際に、前記吐出ヘッドから前記載置ユニットの廃塗料エリアに前記塗料を吐出させる、
ことを特徴とする付記1に記載の塗布システム。
(付記3)
前記塗布装置は、前記塗布装置と前記廃塗料エリアとが設定された距離以内に近接したか否かを判定する近接判定部、を更に有し、
前記吐出制御部は、前記近接判定部により前記塗布装置と前記廃塗料エリアとが前記設定された距離以内に近接したと判定された場合、前記吐出ヘッドから前記廃塗料エリアに前記塗料を吐出させる、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の塗布システム。
(付記4)
前記近接判定部は、前記載置ユニットとの近接無線通信により、前記塗布装置と前記廃塗料エリアとが前記設定された距離以内に近接したか否かを判定する、
ことを特徴とする付記3に記載の塗布システム。
(付記5)
前記塗布装置は、前記廃塗料エリアに溜められている前記塗料の総量が予め定められた閾値を超えている場合に、前記廃塗料エリアに溜められている前記塗料の総量が前記閾値を超えている旨を報知する報知部、を更に有する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の塗布システム。
(付記6)
前記報知部は、前記吐出制御部により前記吐出ヘッドから前記廃塗料エリアに前記塗料が吐出された場合、当該吐出された塗料の量を前記総量に加算した加算値が前記閾値を超えているか否かを判定し、前記加算値が前記閾値を超えていると判定した場合に、前記旨を報知する、
ことを特徴とする付記5に記載の塗布システム。
(付記7)
前記塗布装置は、前記載置ユニットとの近接無線通信を介して、前記廃塗料エリアに溜められている前記塗料の総量を読み出す読み出し部、を更に有する、
ことを特徴とする付記6に記載の塗布システム。
(付記8)
前記塗布装置は、前記載置ユニットとの近接無線通信を介して、前記加算値を前記載置ユニットに書き込む書き込み部、を更に有する、
ことを特徴とする付記6に記載の塗布システム。
(付記9)
前記塗布装置は、前記塗布対象上における前記塗布装置の移動を検出する移動検出部、を更に有し、
前記吐出制御部は、前記移動検出部により検出された前記塗布装置の移動に応じて前記吐出ヘッドから前記塗料を吐出させることにより、前記塗布対象に前記塗料を塗布する、
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の塗布システム。
(付記10)
前記載置ユニットは、前記吐出ヘッドにおける前記塗料の吐出口を覆うキャップ、を更に有する、
ことを特徴とする付記1から9のいずれか1つに記載の塗布システム。
(付記11)
塗料を吐出する吐出ヘッドを有し、ユーザにより塗布対象上に持ち運ばれて使用される塗布装置と、
塗料を溜める廃塗料エリアを有し、前記塗布装置を載置する載置ユニットと、
を備える塗布システムの制御方法であって、
前記吐出ヘッドから前記塗料を吐出させることにより、前記塗布対象に前記塗料を塗布するステップと、
前記塗布装置が前記廃塗料エリア上に位置する際に、前記吐出ヘッドから前記廃塗料エリアに前記塗料を吐出させるステップと、
を含むことを特徴とする塗布システムの制御方法。
(付記12)
塗料を吐出する吐出ヘッドを有し、ユーザにより塗布対象上に持ち運ばれて使用される塗布装置と、
塗料を溜める廃塗料エリアを有し、前記塗布装置を載置する載置ユニットと、
を備える塗布システムのコンピュータに、
前記吐出ヘッドから前記塗料を吐出させることにより、前記塗布対象に前記塗料を塗布する機能と、
前記塗布装置が前記廃塗料エリア上に位置する際に、前記吐出ヘッドから前記廃塗料エリアに前記塗料を吐出させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0110】
1…塗布システム、10,10a…塗布装置、11,11a…制御部、12…記憶部、13…ユーザインタフェース、14…電源部、15…通信部、16…NFCモジュール、17…移動検出部、19…吐出ヘッド、21…カートリッジ、23…開口、30…載置ユニット、31…廃塗料エリア、32…キャップ、33…NFCモジュール、50…塗布対象、53…塗布画像、60…警告画像、110…吐出制御部、120…近接判定部、130…読み出し部、140…報知部、150…書き込み部