(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】モニタ信号光出力装置、海底機器及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/077 20130101AFI20240214BHJP
H04B 10/291 20130101ALI20240214BHJP
【FI】
H04B10/077 170
H04B10/291
(21)【出願番号】P 2022504404
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2021007970
(87)【国際公開番号】W WO2021177309
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2020034976
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】河井 元良
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-278248(JP,A)
【文献】特開2008-294818(JP,A)
【文献】特開2008-288849(JP,A)
【文献】特開平02-270427(JP,A)
【文献】特開平02-253747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底機器が挿入された海底光ケーブルに含まれる第1の光ファイバに挿入され、前記第1の光ファイバで伝送される第1のモニタ信号光を分波する第1の光分波器と、
前記第1の光分波器で分波された前記第1のモニタ信号光を増幅するとともに、前記第1のモニタ信号光を変調する半導体光増幅器と、
前記海底機器の状態を示す制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づいて駆動信号を前記半導体光増幅器に出力して前記第1のモニタ信号光の変調動作を行わせる駆動部と、
前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記第1のモニタ信号光を、前記第1の光ファイバで伝送される信号光に合波する第1の光合波器と、
前記海底光ケーブルに含まれ、前記第1の光ファイバとは逆方向に信号光を伝送する第2の光ファイバに挿入され、前記第2の光ファイバで伝送される第2のモニタ信号光を分波し、前記半導体光増幅器へ出力する第2の光分波器と、
前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記第2のモニタ信号光を、前記第2の光ファイバで伝送される信号光に合波する第2の光合波器と、を備え、
前記半導体光増幅器は、前記第1のモニタ信号光に対して逆方向から入力される前記第2のモニタ信号光を増幅するとともに、前記第2のモニタ信号光を変調して、前記第2の光合波器へ出力し、
前記海底機器に搭載される、
モニタ信号光出力装置。
【請求項2】
前記第1の光分波器と前記半導体光増幅器との間を接続する光伝送路に挿入された、前記第1のモニタ信号光を通過させ、前記第1のモニタ信号光に対して逆方向に伝送される信号光を遮断する第1の光アイソレータと、
前記第2の光分波器と前記半導体光増幅器との間を接続する光伝送路に挿入された、前記第2のモニタ信号光を通過させ、前記第2のモニタ信号光に対して逆方向に伝送される信号光を遮断する第2の光アイソレータと、をさらに備える、
請求項
1に記載のモニタ信号光出力装置。
【請求項3】
海底光ケーブルに含まれる
第1の光ファイバに挿入され、前記
第1の光ファイバで伝送される
第1のモニタ信号光を分波する
第1の光分波器と、
前記光分波器で分波された前記
第1のモニタ信号光を増幅するとともに、前記
第1のモニタ信号光を変調する半導体光増幅器と、
海底機器の状態を示す制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づいて駆動信号を前記半導体光増幅器に出力して前記
第1のモニタ信号光の変調動作を行わせる駆動部と、
前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記
第1のモニタ信号光を、前記
第1の光ファイバで伝送される信号光に合波する
第1の光合波器と、
前記海底光ケーブルに含まれ、前記第1の光ファイバとは逆方向に信号光を伝送する第2の光ファイバに挿入され、前記第2の光ファイバで伝送される第2のモニタ信号光を分波し、前記半導体光増幅器へ出力する第2の光分波器と、
前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記第2のモニタ信号光を、前記第2の光ファイバで伝送される信号光に合波する第2の光合波器と、を備
え、
前記半導体光増幅器は、前記第1のモニタ信号光に対して逆方向から入力される前記第2のモニタ信号光を増幅するとともに、前記第2のモニタ信号光を変調して、前記第2の光合波器へ出力する、
海底機器。
【請求項4】
第1の光伝送装置と第2の光伝送装置との間を接続する海底光ケーブルと、
前記海底光ケーブルに挿入される海底機器と、を備え、
前記海底機器は、
前記海底光ケーブルに含まれる
第1の光ファイバに挿入され、前記第1の光伝送装置から出力されて前記
第1の光ファイバで伝送される
第1のモニタ信号光を分波する光分波器と、
前記光分波器で分波された前記
第1のモニタ信号光を増幅するとともに、前記
第1のモニタ信号光を変調する半導体光増幅器と、
海底機器の状態を示す制御信号を出力する制御部と、
前記制御信号に基づいて駆動信号を前記半導体光増幅器に出力して前記
第1のモニタ信号光の変調動作を行わせる駆動部と、
前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記
第1のモニタ信号光を、前記
第1の光ファイバで伝送される信号光に合波して前記第2の光伝送装置へ出力する光合波器と、
前記海底光ケーブルに含まれ、前記第1の光ファイバとは逆方向に信号光を伝送する第2の光ファイバに挿入され、前記第2の光ファイバで伝送される第2のモニタ信号光を分波し、前記半導体光増幅器へ出力する第2の光分波器と、
前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記第2のモニタ信号光を、前記第2の光ファイバで伝送される信号光に合波する第2の光合波器と、を備
え、
前記半導体光増幅器は、前記第1のモニタ信号光に対して逆方向から入力される前記第2のモニタ信号光を増幅するとともに、前記第2のモニタ信号光を変調して、前記第2の光合波器へ出力する、
光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタ信号光出力装置、海底機器及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
海底光ケーブルシステムにおけるネットワークの多様性化の進展に伴い、中継器、分岐装置及びROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)装置などの海底機器の高機能化が進んでいる。これにより、海底機器の状態や信号光のスペクトラム状態などの信号光の伝送品質をモニタし、モニタ結果を伝送する機能が求められている。
【0003】
こうしたモニタ結果の伝送手法として、光中継器などの海底機器に送信手段を設けて、モニタ結果を示す電気信号である監視信号を信号光に変換してから、光ファイバを介して陸上局などに出力する海底光ケーブルシステムが提案されている(特許文献1及び2)。このシステムでは、端局装置から、監視信号を重畳した信号光を海底機器へ送信し、海底機器に設けた受信器で電気信号に変換して周波数分離を行うことで、監視信号を分離している。そして、海底機器の状態などの情報に基づいて監視信号を変調し、変調した監視信号を信号光に変換して、光ファイバを通じて端局装置に送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平2-270427号公報
【文献】特開平2-253747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の海底光ケーブルシステムでは、海底機器に設けられた送信手段によって、電気信号を信号光に変換してモニタ信号光を送信するため、レーザ光源、波長制御機構及び変調器などの光部品を海底機器に設けなければならない。また、受け取った信号光を電気信号に変換した後に周波数分離を行って監視信号を受け取るため、光電変換及び周波数分離を行う機構も設けなければならない。また、モニタ信号光の品質を確保するため、モニタ信号光の波長制御には、厳しい公差と運用期間が求められる。そのため、海底機器の大型化や消費電力の増大が避けられず、かつ、部品点数の増加による信頼性の低下にもつながってしまう。
【0006】
他にも、モニタ信号光の伝送方法として、陸揚げ局などの端局から専用波長のモニタ光を出力し、海底機器に設けた光スイッチや変調器で変調することも考え得る。しかし、この方法では光スイッチや変調器による損失によって、モニタ信号光の光強度が低下してしまう問題点が有る。
【0007】
また、海底機器内に光ファイバ増幅器などの光増幅器を設け、励起レーザを変調することで信号光全体を変調して、信号光にモニタ信号を重畳することも考え得る。しかし、専用の光増幅器を設けなければならず、部品点数が増加し、海底機器の大型化、消費電力の増大や信頼性の低下につながってしまう。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、簡易な構成でモニタ信号光を送信することができるモニタ信号出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様であるモニタ信号光出力装置は、海底機器が挿入された海底光ケーブルに含まれる第1の光ファイバに挿入され、前記第1の光ファイバで伝送される第1のモニタ信号光を分波する第1の光分波器と、前記第1の光分波器で分波された前記第1のモニタ信号光を増幅するとともに、前記第1のモニタ信号光を変調する半導体光増幅器と、前記海底機器の状態を示す制御信号を出力する制御部と、前記制御信号に基づいて駆動信号を前記半導体光増幅器に出力して前記第1のモニタ信号光の変調動作を行わせる駆動部と、前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記第1のモニタ信号光を、前記第1の光ファイバで伝送される信号光に合波する第1の光合波器と、を備えるものである。
【0010】
本発明の一態様である海底機器は、海底光ケーブルに含まれる光ファイバに挿入され、前記光ファイバで伝送されるモニタ信号光を分波する光分波器と、前記光分波器で分波された前記モニタ信号光を増幅するとともに、前記モニタ信号光を変調する半導体光増幅器と、海底機器の状態を示す制御信号を出力する制御部と、前記制御信号に基づいて駆動信号を前記半導体光増幅器に出力して前記モニタ信号光の変調動作を行わせる駆動部と、前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記モニタ信号光を、前記光ファイバで伝送される信号光に合波する光合波器と、を備えるものである。
【0011】
本発明の一態様である光通信システムは、第1の光伝送装置と第2の光伝送装置との間を接続する海底光ケーブルと、前記海底光ケーブルに挿入される海底機器と、を備え、前記海底機器は、前記海底光ケーブルに含まれる第1の光ファイバに挿入され、前記第1の光伝送装置から出力されて前記光ファイバで伝送されるモニタ信号光を分波する光分波器と、前記光分波器で分波された前記モニタ信号光を増幅するとともに、前記モニタ信号光を変調する半導体光増幅器と、海底機器の状態を示す制御信号を出力する制御部と、前記制御信号に基づいて駆動信号を前記半導体光増幅器に出力して前記モニタ信号光の変調動作を行わせる駆動部と、前記半導体光増幅器で増幅及び変調された前記モニタ信号光を、前記光ファイバで伝送される信号光に合波して前記第2の光伝送装置へ出力する光合波器と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成でモニタ信号光を送信することができるモニタ信号出力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1にかかるモニタ信号光出力装置を含む光通信システムの基本構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる光中継器の構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかるモニタ信号光出力装置の構成を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態2にかかる光中継器の構成を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態2にかかるモニタ信号光出力装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
実施の形態1
実施の形態1にかかるモニタ信号光出力装置について説明する説明する。本実施の形態におけるモニタ信号光出力装置は、複数の端局に設けられた複数の光伝送装置間を接続する、複数の光ファイバが収容された光ケーブルに挿入される、光中継器、光分岐挿入装置及びROADM装置などの機器に設けられるものである、この光ケーブルは、例えば、海底に敷設される海底光ケーブルであり、この場合、モニタ信号光出力装置は、光中継器、光分岐挿入装置及びROADM装置などの海底機器に設けられる。
【0016】
以下では、実施の形態1にかかるモニタ信号光出力装置100が光中継器110に設けられるものとして説明する。但し、モニタ信号光出力装置100の搭載は、光中継器に限られるものではなく、光分岐挿入装置やROADM装置などの各種の光機器に搭載可能である。
【0017】
図1に、実施の形態1にかかるモニタ信号光出力装置100を含む光通信システム1000の基本構成を示す。光通信システム1000は、一方の端局1030に設けられる光伝送装置1010、他方の端局1040に設けられる光伝送装置1020、光ケーブル1100及び光中継器110を有する。端局1030及び1040は、例えば海底光ケーブルの陸揚げ局として設けられるものである。
【0018】
光伝送装置1010(第1の光伝送装置とも称する)と光伝送装置1020(第2の光伝送装置とも称する)との間は、複数の光ファイバが収容された光ケーブル1100によって接続される。光伝送装置1010及び1020は、信号光の送受信が可能な1つ以上のトランスポンダや光合分波回路などが設けられ、光ケーブル1100を通じて双方向の光通信を行うものとして構成される。
【0019】
光ケーブル1100には、伝送によって減衰した信号光を増幅するため、光中継器110が挿入される。
【0020】
次いで、実施の形態1にかかる光中継器110の構成について説明する。
図2に、実施の形態1にかかる光中継器110の構成を模式的に示す。
図2では、図面及び説明の簡略化のため、光ケーブル1100に収容される光ファイバのうち、光伝送装置1010から光伝送装置1020への下り方向の通信に用いられる光ファイバF1(第1の光ファイバとも称する)のみを表示している。光中継器110には、光ファイバF1に挿入されたモニタ信号光出力装置100を有する。
【0021】
なお、海底機器の一例である光中継器110には、光ファイバF1によって伝送される信号光の減衰を補償するために、例えば、光ファイバF1に光増幅器が挿入されてもよい。
図2では、例として、モニタ信号光出力装置100の出力側、すなわち、モニタ信号光出力装置100と光伝送装置1020との間に、光増幅器120が挿入されている。
【0022】
光増幅器120は、例えば、エルビウム添加ファイバ光増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)として構成される。EDFAは、励起光源から励起光をエルビウム添加光ファイバ(EDF:Erbium Doped Fiber)へ出力してEDFを励起し、EDFに信号光を入力することで信号光を増幅する。光増幅器120は、入力される光を増幅して、光ファイバF1を介して、光伝送装置1020へ出力する。
【0023】
光伝送装置1010は、光ファイバF1を通じて、光中継器110のモニタ信号光出力装置100へ、通信データに応じて変調されたデータ信号光D1と、モニタ信号光M1(第1のモニタ信号光とも称する)と、を出力する。モニタ信号光M1は、データ信号光D1の波長帯とは異なる、無変調の信号光として出力される。
【0024】
モニタ信号光出力装置100は、光中継器110の状態を示す情報をモニタ信号光M1によって伝送するためにモニタ信号光M1を変調し、変調後のモニタ信号光M1とデータ信号光D1とを出力する。この例では、変調後のモニタ信号光M1とデータ信号光D1とは、光増幅器120で増幅された後、光伝送装置1020へ出力される。
【0025】
次いで、モニタ信号光出力装置100の構成について説明する。
図3に、実施の形態1にかかるモニタ信号光出力装置100の構成を模式的に示す。モニタ信号光出力装置100は、光分波器11、光伝送路12、半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)13、SOA駆動部14、制御部15、光伝送路16及び光合波器17を有する。
【0026】
図3に示すように、光ファイバF1には、光伝送装置1010の側に光分波器11(第1の光分波器とも称する)が、光伝送装置1020の側に光合波器17(第1の光合波器とも称する)が挿入される。
図3では、便宜上、光伝送装置1010と光分波器11との間を接続する光ファイバF1を光ファイバF11、光分波器11と光合波器17との間を接続する光ファイバF1を光ファイバF12、光合波器17と光伝送装置1020との間を接続する光ファイバF1を光ファイバF13とする。
【0027】
光伝送装置1010から出力されたデータ信号光D1及びモニタ信号光M1は、光ファイバF11を通じて、光分波器11に入力する。光分波器11は、例えば、WSS(Wavelength Selective Switch)などの入力した信号光を選択的に波長分離する光スイッチとして構成される。光分波器11は、モニタ信号光M1を選択的に波長分離して、分岐経路である光伝送路12へ出力する。分波されたモニタ信号光M1は、光伝送路12を通じてSOA13へ出力される。データ信号光D1は、光ファイバF12を通じて、光合波器17へ出力される。
【0028】
制御部15は、光中継器110の状態をモニタし、モニタ結果を示す信号S1をSOA駆動部14へ出力する。上述したように、モニタされる光中継器の状態は、例えば、光中継器110に設けられる光増幅器120の入出力レベルや、励起光源の励起光出力レベル及び励起光源の電流値などである。
【0029】
SOA駆動部14は、信号S1に応じてSOA13を変調駆動するため、駆動信号S2をSOA13へ出力する。
【0030】
SOA13は、伝送によるモニタ信号光M1の減衰を補償するため、モニタ信号光M1を所定の強度まで増幅する。また、SOA13は、駆動信号S2に応じてモニタ信号光M1を変調する。これにより、モニタ信号光M1は、光中継器110の状態を示す信号光として、SOA13から出力される。
【0031】
SOA13から出力されたモニタ信号光M1は、光伝送路16を通じて、光合波器17へ出力される。光合波器17は、入力するデータ信号光D1とモニタ信号光M1とを合波して、出力する。光増幅器120は、光合波器17から出力されたモニタ信号光M1とデータ信号光D1とを増幅して、光伝送装置1020へ出力する。
【0032】
以上、本構成によれば、光伝送装置1010が出力するモニタ信号光をモニタ信号光出力装置によって変調することで、モニタ信号光によって光中継器の状態を外部の装置に伝送することが可能となる。
【0033】
また、モニタ信号光をSOAによって十分な強度に増幅することができるので、所望の信号品質を維持した状態で、モニタ信号光を例えば光伝送装置1020などの相手先へ伝送することが可能となる。
【0034】
本構成では、モニタ信号光の生成は、光中継器などの海底機器ではなく、陸上局などに設けられた光伝送装置によって行われる。よって、モニタ信号光の生成に必要な光源や信号光の波長制御機構などを海底機器に設けずともよい。よって、海底機器の小型化、低消費電力化及び高信頼性化を実現することができる。
【0035】
本構成では、光増幅器としてSOA13を設けているが、光増幅器と変調器とを分けて設ける必要がないので、上述した一般的な手法と比較して部品点数を削減することができ、海底機器の小型化、低消費電力化及び高信頼性化の観点から、有利である。また、SOAは、EDFAなどの光ファイバ増幅器と比較して寸法が小さいため、海底機器の寸法抑制の観点から有利である。
【0036】
実施の形態2
上述の実施の形態1では、下り通信に用いる光ファイバを通じたモニタ信号光の伝送について説明したが、本実施の形態では下り通信及び上り通信に用いる光ファイバペアを通じたモニタ信号光の伝送について説明する。
図4に、実施の形態2にかかる光中継器210の構成を模式的に示す。光中継器210は、光ファイバF1及びF2、モニタ信号光出力装置200を有する。なお、
図4では、説明の簡略化のため、光増幅器120を含む他の構成については省略している。
【0037】
光ファイバF1は、実施の形態1と同様に、光伝送装置1010から光伝送装置1020への下り方向の通信に用いられる光ファイバである。光ファイバF2(第2の光ファイバとも称する)は、光伝送装置1020から光伝送装置1010への上り方向の通信に用いられる光ファイバである。モニタ信号光出力装置200は、光ファイバF1及びF2に挿入される。
【0038】
光伝送装置1010は、光ファイバF1を通じて、光中継器210のモニタ信号光出力装置200へ、通信データに応じて変調されたデータ信号光D1と、モニタ信号光M1と、を出力する。光伝送装置1020は、光ファイバF2を通じて、光中継器210のモニタ信号光出力装置200へ、通信データに応じて変調されたデータ信号光D2と、モニタ信号光M2(第2のモニタ信号光とも称する)と、を出力する。モニタ信号光M1及びM2は、それぞれデータ信号光D1及びD2とは波長帯が異なる、無変調の信号光として出力される。
【0039】
図5に、実施の形態2にかかるモニタ信号光出力装置200の構成を模式的に示す。モニタ信号光出力装置200は、モニタ信号光出力装置100に光分波器21、光伝送路22及び26、光合波器27、光アイソレータ31及び32を追加した構成を有する。
【0040】
光ファイバF2には、光伝送装置1020の側に光分波器21(第2の光分波器とも称する)が、光伝送装置1010の側に光合波器27(第2の光合波器とも称する)が挿入される。
【0041】
図5では、便宜上、光伝送装置1020と光分波器21との間を接続する光ファイバF2を光ファイバF21、光分波器21と光合波器27との間を接続する光ファイバF2を光ファイバF22、光合波器27と光伝送装置1010との間を接続する光ファイバF2を光ファイバF23とする。
【0042】
なお、光ファイバF1を構成する光ファイバF11~F13は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0043】
光伝送装置1020から出力されたデータ信号光D2及びモニタ信号光M2は、光ファイバF21を通じて、光分波器21に入力する。光分波器21は、光分波器11と同様に、例えばWSSなどの入力した信号光を選択的に波長分離する光スイッチとして構成される。光分波器21は、モニタ信号光M2を選択的に波長分離して、分岐経路である光伝送路22へ出力する。分波されたモニタ信号光M2は、光伝送路22を通じてSOA13へ出力される。データ信号光D2は、光ファイバF22を通じて、光合波器27へ出力される。
【0044】
なお、モニタ信号光M1とモニタ信号光M2とは、同じ波長帯の信号光であってもよいし、異なる波長帯の信号光であってもよい。
【0045】
制御部15は、実施の形態1と同様に、光中継器210の状態をモニタし、モニタ結果を示す信号S1をSOA駆動部14へ出力する。SOA駆動部14は、信号S1に応じてSOA13を変調駆動するため、駆動信号S2をSOA13へ出力する。
【0046】
SOA13は、伝送によるモニタ信号光M1及びM2の減衰を補償するため、モニタ信号光M1及びM2を所定の強度まで増幅する。また、SOA13は、駆動信号S2に応じてモニタ信号光M1及びM2を変調する。これにより、モニタ信号光M1及びM2は、光中継器210の状態を示す信号光として、SOA13から出力される。
【0047】
SOA13は、モニタ信号光M1とモニタ信号光M2とで入力タイミングが異なる場合には、モニタ信号光M1とモニタ信号光M2とを分別して変調できることは言うまでもない。また、モニタ信号光M1及びM2は、SOAに適用可能な任意の変調方式を用いて変調することができる。さらに、SOA13は、モニタ信号光M1とモニタ信号光M2とを同じ増幅率で増幅してもよいし、異なる増幅率で増幅してもよい。
【0048】
本構成では、光伝送路12に光アイソレータ31(第1の光アイソレータとも称する)が挿入され、光伝送路26に光アイソレータ32(第2の光アイソレータとも称する)が挿入されている。これにより、SOA13から出力されたモニタ信号光M1が、光伝送路22を通じて、上り通信用の光ファイバF2を逆方向に伝搬することを防止できる。また、SOA13から出力されたモニタ信号光M2が、光伝送路12を通じて、下り通信用の光ファイバF1を逆方向に伝搬することを防止できる。
【0049】
SOA13から出力されたモニタ信号光M2は、光伝送路26を通じて、光合波器27へ出力される。光合波器27は、入力するデータ信号光D2とモニタ信号光M2とを合波して、出力する。なお、SOA13から出力されたモニタ信号光M1については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0050】
なお、図示していないが、光ファイバF23には光増幅器が挿入されていてもよく、挿入された光増幅器は、光合波器27から出力されたモニタ信号光M2とデータ信号光D2とを増幅して、光ファイバF23を介して光伝送装置1010へ出力する。
【0051】
以上、本構成によれば、上り通信経路及び下り通信経路を通じてモニタ信号光を伝送することで、光中継器などの海底機器の状態を外部の装置に送信することが可能となる。
【0052】
実施の形態1と同様に、モニタ信号光の生成は陸上局などに設けられた光伝送装置によって行われるので、モニタ信号光の生成に必要な光源や信号光の波長制御機構などを海底機器に設けずとも、上り通信経路及び下り通信経路の両方にモニタ信号光を出力できる。これにより、上り通信経路及び下り通信経路の一方に障害がある場合でも、光中継器のモニタ結果を送信することが可能な冗長構成を実現することができる。
【0053】
以上、本構成においても、実施の形態1と同様に、海底機器などの光機器の、小型化、低消費電力化及び高信頼性化を実現することができる。
【0054】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、光中継器に設けられる光伝送路は、光ファイバであってもよい、光ファイバ以外の石英導波路などの任意の光伝送路として構成してもよい。
【0055】
上述の実施の形態では、海底機器の一例である光中継器について説明したが、光分岐装置やROADM装置などの他の海底機器にも、上述のモニタ信号光出力装置を適用可能である。例えば、光分岐装置の場合には、分岐装置に設けられる光スイッチや電気リレーなどの状態が、モニタ信号光によって伝送される。ROADM装置の場合には、ROADM装置に設けられたWSSなどの光スイッチの状態やスペクトラムのモニタ結果などが、モニタ信号光によって伝送される。
【0056】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0057】
この出願は、2020年3月2日に出願された日本出願特願2020-34976を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0058】
11、21 光分波器
12、22 光伝送路
13 半導体光増幅器(SOA)
14 SOA駆動部
15 制御部
16、26 光伝送路
17、27 光合波器
31、32 光アイソレータ
100、200 モニタ信号光出力装置
110、210 光中継器
120 光増幅器
F1、F11~F13、F2、F21~F23 光ファイバ
1000 光通信システム
1010、1020 光伝送装置
1100 光ケーブル
D1、D2 データ信号光
M1、M2 モニタ信号光
S1 信号
S2 駆動信号