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特許7435742判断支援装置、判断支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】判断支援装置、判断支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240214BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022509811
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012933
(87)【国際公開番号】W WO2021192011
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 規史
(72)【発明者】
【氏名】直島 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】別府 重憲
(72)【発明者】
【氏名】生藤 大典
(72)【発明者】
【氏名】牧瀬 美樹子
(72)【発明者】
【氏名】仙田 裕三
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194968(JP,A)
【文献】特開2007-011161(JP,A)
【文献】特開2002-015099(JP,A)
【文献】特開2013-134663(JP,A)
【文献】特開2008-102252(JP,A)
【文献】特開2011-197978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に取得された災害関連情報を入力情報とし災害対応の優先度を出力情報とする分析モデルを用いて、災害時に取得される災害関連情報から災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図を分析するサイズに区切って設定された単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する分析手段と、
前記単位エリア毎に分析された災害対応の優先度と前記単位エリア同士の距離とに基づいて、前記地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し災害対応を必要とする重点エリアを、ユーザから指定された提示数だけ決定する集約手段と、
前記重点エリアを示した前記地図を出力装置に表示する表示処理手段と、
を有し、
前記集約手段は、
前記優先度の高さを表すレベルが同一であり、かつ、単位エリア同士が集約可能な距離内にある単位エリアを1つのグループに集約し、
集約して作成したグループから、前記優先度が閾値以上の単位エリアを集約したグループを前記重点エリアとする、判断支援装置。
【請求項2】
前記優先度が閾値以上の単位エリアを集約したグループの数が前記提示数より少ないとき、
前記集約手段は、前記優先度が閾値未満の単位エリアを集約したグループを、当該グループの面積の大きい順に前記重点エリアに含める、請求項に記載の判断支援装置。
【請求項3】
前記表示処理手段は、前記重点エリアの災害対応の優先度の高さに応じて前記重点エリアの表示形式を変更する、請求項1または2に記載の判断支援装置。
【請求項4】
前記表示処理手段は、前記重点エリアに関する情報として、少なくとも当該重点エリアの位置情報及び優先度を、前記地図とともに表示させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【請求項5】
前記災害関連情報は、時系列データとして取得されており、
前記分析手段は、前記分析モデルを用いて、前記災害関連情報の時系列データから各時点での災害対応の優先度を分析し、時間の経過に伴う前記優先度の変化から将来の災害対応の優先度を予測する、請求項1~のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【請求項6】
前記災害関連情報は、少なくとも人流情報を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【請求項7】
コンピュータにより、
過去に取得された災害関連情報を入力情報とし災害対応の優先度を出力情報とする分析モデルを用いて、災害時に取得される災害関連情報から、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図を分析するサイズに区切って設定された単位エリア毎に災害対応の優先度を分析し、
前記単位エリア毎に分析された災害対応の優先度と前記単位エリア同士の距離とに基づいて、前記地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し災害対応を必要とする重点エリアを、ユーザから指定された提示数だけ決定し、
前記重点エリアを示した前記地図を出力装置に表示する、
ことを含み、
前記重点エリアの決定においては、前記優先度の高さを表すレベルが同一であり、かつ、単位エリア同士が集約可能な距離内にある単位エリアを1つのグループに集約し、集約して作成したグループから、前記優先度が閾値以上の単位エリアを集約したグループを前記重点エリアとする、判断支援方法。
【請求項8】
コンピュータを、
過去に取得された災害関連情報を入力情報とし災害対応の優先度を出力情報とする分析モデルを用いて、災害時に取得される災害関連情報から災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図を分析するサイズに区切って設定された単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する分析手段と、
前記単位エリア毎に分析された災害対応の優先度と前記単位エリア同士の距離とに基づいて、前記地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し災害対応を必要とする重点エリアを、ユーザから指定された提示数だけ決定する集約手段と、
前記重点エリアを示した前記地図を出力装置に表示する表示処理手段と、
を有し、
前記集約手段は、
前記優先度の高さを表すレベルが同一であり、かつ、単位エリア同士が集約可能な距離内にある単位エリアを1つのグループに集約し、
集約して作成したグループから、前記優先度が閾値以上の単位エリアを集約したグループを前記重点エリアとする、判断支援装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判断支援装置、これを用いた判断支援方法に関し、これらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害が発生したとき、気象情報や地理情報、人流情報、ハザード情報等の、空間的、時間的に多くの災害関連情報に基づき、災害の状況把握及び意思決定が行われる。しかし、災害関連情報は時々刻々と変化するため、その決定は容易ではない。このため、従来から、災害発生時の対応を支援するための技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、災害時の避難所の支援の要否を判断する被災者支援プログラムが開示されている。かかる被災者支援プログラムでは、避難所に対応づけられた複数の端末の通信の頻度を示す第1の情報と、端末の通信時における位置と避難所の位置との距離を示す第2の情報とを取得し、第1の情報と第2の情報とに基づいて避難所を支援対象外とするか否かを判定する。避難所の支援の要否を容易に把握することができるように、判定結果は例えば地図上に重ね合わせて表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-185345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のように地図上に情報を重ね合わせて表示させることで、情報の視覚的な認識が可能となり、ユーザは内容を把握しやすくなる。しかし、表示される情報が複雑であったり多すぎたりすると、ユーザは情報を把握することが難しくなる。また、情報が表示される地図の縮尺によっては、重要な情報が埋もれてしまう等、情報が適切に提示されない可能性がある。災害発生時には特に迅速かつ的確な対応が求められることから、対応の優先度に応じて適切な情報の提示ができれば、スムーズな災害の状況把握と意思決定が可能となると考えられる。
【0006】
本発明の目的の一例は、地図上に情報を適切に提示して、災害発生時の対応を支援することの可能な、判断支援装置、判断支援方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、
災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する分析部と、
優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の重点エリアとする集約部と、
を有する判断支援装置が提供される。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、
災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析し、
優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の重点エリアとする、判断支援方法が提供される。
【0009】
さらに、上記目的を達成するため、本発明の一側面によれば、
コンピュータ
災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する分析部と、
優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の重点エリアとする集約部と、
を有する判断支援装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、地図上に情報を適切に提示して、災害発生時の対応を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る判断支援装置の一構成例を示すブロック図である。
図2図2は、同実施形態に係る判断支援装置による処理の概要を示す説明図である。
図3図3は、同実施形態に係る判断支援装置の一構成例を示すブロック図である。
図4図4は、同実施形態に係る判断支援方法の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、分析を行う単位エリアを示す説明図である。
図6図6は、災害対応の優先度の一例を示す説明図である。
図7図7は、縮尺の異なる地図における、情報の集約例を示す説明図である。
図8図8は、重点エリアの一提示例を示す説明図である。
図9図9は、重点エリアの他の提示例を示す説明図である。
図10図10は、重点エリアの他の提示例を示す説明図である。
図11図11は、被災地への調査隊の人員配置の検討例を示す説明図である。
図12図12は、同実施形態に係る判断支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.概要]
まず、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る判断支援装置100の構成及び機能を説明する。図1は、本実施形態に係る判断支援装置100の一構成例を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態に係る判断支援装置100は、ユーザによる災害時の状況判断を支援する装置である。災害が発生したとき、ユーザは、気象情報や地理情報、人流情報、ハザード情報等の、空間的、時間的に多くの災害関連情報に基づき、災害の状況把握及び意思決定を行う。迅速かつ的確な対応が求められる状況において、刻々と変化する多くの災害関連情報を参照し、正しく状況を判断することは難しい。本実施形態に係る判断支援装置100では、災害対応が必要な被災エリアをユーザにわかりやすく提示することで、ユーザによる災害時の状況判断を支援する。
【0014】
より詳細には、判断支援装置100は、図1に示すように、分析部110と、集約部120とを有する。分析部110は、災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する。集約部120は、分析部110による分析結果として得られた優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の重点エリアとする。
【0015】
これにより、判断支援装置100は、表示する地図の縮尺によらず、災害対応が必要な重点エリアを、災害対応の優先度を考慮し、かつ、一定の情報量に集約して提示することができる。その結果、ユーザは、地図の縮尺の大小によらず、一定の情報量を受け取るため、情報の把握が容易となる。また、判断支援装置100は、災害対応の優先度を考慮して情報を集約していることから、集約された情報であっても、ユーザに対して災害対応の優先度の高いエリアを提示することができる。したがって、ユーザは、災害対応を早急に行うべき重点エリアを見落とすことなく、適切な対応をスムーズに判断することができる。
【0016】
[2.装置構成]
図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る判断支援装置100の構成及びその機能について説明する。図2は、本実施形態に係る判断支援装置100による処理の概要を示す説明図である。図3は、本実施形態に係る判断支援装置100の一構成例を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態に係る判断支援装置100は、図2に示すように、災害関連情報を分析し、重点エリアA1~A3を地図500に表示させる。災害関連情報としては、例えば、気象情報や人流情報、消防機関への緊急通報に関する情報、避難所情報、ライフライン情報、ハザードマップ、重要施設情報、災害関連SNS(social networking service)等がある。
【0018】
気象情報は、例えば、雨量情報、雨雲情報、積雪情報、風速情報、気温情報等である。人流情報は、時々刻々と変化する人の流れを表す情報であり、例えば人の動線により表される。消防機関への緊急通報に関する情報には、例えば、緊急通報件数や、通報による消防の出動履歴等の情報がある。避難所情報には、例えば、避難所の所在地や収容可能人数、現在の収容人数等の情報がある。ライフライン情報は、電気、水道、ガス、通信等のインフラ設備の被災に関する情報である。ハザードマップは、洪水土砂災害や津波のリスク情報、道路防災情報を地理情報と関連付けて表した情報である。重要施設情報は、病院等、被災時に重要な機関となる施設に関する情報である。災害関連SNSは、例えば、災害発生時に投稿されたSNSの投稿件数や投稿写真等である。
【0019】
災害関連情報は、例えば、エリア毎に、時系列データとして取得されてもよい。時系列データは、時間的に連続であってもよく不連続であってもよい。なお、判断支援装置100は、災害関連情報に加え、例えば、標高等の地形的情報を分析に用いてもよい。
【0020】
判断支援装置100は、災害関連情報を分析した結果として、例えば図2に示すような、重点エリアA1~A3が示された地図500を提示する。地図500に提示される重点エリアの提示数は、ユーザ等により予め指定されている。提示数は、任意に設定することができ、例えば、ユーザが容易に把握することができ、かつ、災害対応を決定するにあたり必要な数に設定される。具体的には、提示数は、災害状況を行う部隊の数や対応能力等に応じて設定されてもよい。このように、重点エリアの提示数が設定されていることで、ユーザは、提示された情報から災害対応を決定する判断を適切に行うことができる。なお、提示数は、任意のタイミングによって変更可能である。
【0021】
本実施形態に係る判断支援装置100の構成についてより詳細に説明する。判断支援装置100は、図3に示すように、分析部110と、集約部120と、災害関連情報取得部130と、地図情報取得部140と、表示処理部150と、記憶部160とを有する。
【0022】
分析部110は、図1にて説明したように、災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する。分析部110は、後述する災害関連情報取得部130から災害関連情報が入力されると、災害関連情報を分析する。分析部110は、予め、過去に発生した災害時に取得された災害関連情報を用いて機械学習により生成された分析モデルを用いて、災害関連情報を分析する。分析モデルは、例えば、決定木や多変量解析等の機械学習を用いて生成してもよい。なお、機械学習には、分析結果を説明可能なアルゴリズムを適用することが望ましい。
【0023】
また、本実施形態に係る判断支援装置100で用いる分析モデルの構築には、上述の災害関連情報を用いているが、災害関連情報として人流情報が含まれることで、被災状況をより的確に分析することができる。例えば、多くの人がある地域に向かっている人の流れがあり、これらの移動する人々が向かう地域には多くの避難所がある場合には、避難所は移動する人々を収容することができることから、災害対応の優先度は低くなる。また、例えば、気象情報やハザードマップから災害が発生している可能性が高い地域にいる人がほとんど動いていない場合、道路が不通になり、孤立している人がいると考えられ、災害対応の優先度は高くなる。このように、人流情報を考慮して分析モデルを構築し、優先度を分析することで、判断支援装置100は、被災状況がより的確に分析された優先度を出力することができる。
【0024】
分析部110は、分析結果として得られた単位エリア毎の災害対応の優先度を、集約部120へ出力する。
【0025】
集約部120は、図1にて説明したように、分析部110の分析により得られた単位エリア毎の災害対応の優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、当該地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の重点エリアを決定する。地図の縮尺は、後述する地図情報取得部140から集約部120へ入力される。すなわち、集約部120は、重点エリアを表示させる地図の縮尺によらず、災害対応を必要とする重点エリアを提示させる。集約部120による単位エリアの集約処理の詳細については後述する。
【0026】
集約部120は、集約処理を実行し、出力装置300を用いてユーザに提示される重点エリアに関する情報(以下、「提示情報」ともいう。)を求める。提示情報には、例えば、地図500に提示する重点エリアの位置情報、優先度等が含まれる。集約部120は、提示情報を、後述する表示処理部150へ出力する。
【0027】
災害関連情報取得部130は、判断支援装置100とネットワークを介して接続されたサーバ等から、災害関連情報を取得する。災害関連情報取得部130は、例えば、国や地方公共団体の行政機関やインフラ設備を提供する企業の発信する情報を収集したり、住民から発信されたSNSを収集したりする。災害関連情報取得部130は、定期的に災害関連情報を取得し、分析部110へ出力する。災害関連情報の取得タイミングは、ユーザによって適宜設定可能である。なお、取得した災害関連情報は、記憶部160に記録されてもよい。
【0028】
地図情報取得部140は、ユーザに提示される地図に関する情報(以下、「地図情報」ともいう。)を取得する。地図情報は、ユーザに対して重点エリアを示した地図を提示するために必要な情報であり、例えば、地図データ、出力装置300に地図を表示させるときの縮尺等がある。地図データに関しては、地図情報取得部140は、例えば地図データを記憶する地図サーバ(図示せず。)から取得可能である。また、地図の縮尺に関しては、地図情報取得部140は、例えば、ユーザが入力装置200を操作して指定した地図の縮尺を取得してもよい。地図情報取得部140は、取得した地図情報を、集約部120及び表示処理部150へ出力する。
【0029】
表示処理部150は、出力装置300に重点エリアが示された地図を表示させるための処理を行う。表示処理部150は、重点エリアを地図に重ね合わせ、出力装置300へ出力する。また、表示処理部150は、地図に表示する重点エリアの表示形式を、災害対応の優先度に応じて変化させてもよい。さらに、表示処理部150は、地図とともに、重点エリアに関する情報を、地図とは別の表示ウィンドウまたはポップアップウィンドウ等により表示するようにしてもよい。表示処理部150による表示処理の詳細については後述する。表示処理部150は、表示処理した情報を、出力装置300に出力する。
【0030】
記憶部160は、判断支援装置100により実施される処理において必要となる各種情報を記憶する。記憶部160は、例えば、分析を行う単位エリアの大きさや、重点エリアの提示数、優先度のレベル、重点エリアの表示形式等の情報を記憶する。これらの情報は、ユーザが任意のタイミングで、入力装置200より更新可能であってもよい。記憶部160に記録された情報は、判断支援装置100を構成する各機能部により参照可能である。
【0031】
かかる判断支援装置100は、入力装置200及び出力装置300と接続されている。入力装置200は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバー等の、ユーザが情報を入力するために操作するインターフェイスである。出力装置300は、ユーザに情報を提示するための装置であり、例えば、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置等の表示装置であってもよい。あるいは、出力装置300は、プリンターや移動通信端末、ファクシミリ等であってもよい。
【0032】
[3.判断支援方法]
以下、図4図10に基づいて、本実施形態に係る判断支援方法について説明する。図4は、本実施形態に係る判断支援方法の一例を示すフローチャートである。図5は、分析を行う単位エリアを示す説明図である。図6は、災害対応の優先度の一例を示す説明図である。図7は、縮尺の異なる地図における、情報の集約例を示す説明図である。図8図10は、重点エリアの提示例を示す説明図である。本実施形態に係る判断支援方法は、判断支援装置100を動作させることによって実施される。
【0033】
(S100:災害関連情報取得)
本実施形態に係る判断支援方法では、図4に示すように、まず、災害関連情報取得部130により、災害関連情報が取得される(S100)。災害関連情報取得部130は、所定のタイミングで、判断支援装置100とネットワークを介して接続されたサーバ等から、災害関連情報を取得する。災害関連情報取得部130は、取得した災害関連情報を分析部110へ出力する。取得した災害関連情報は、記憶部160に記録されてもよい。
【0034】
(S110:災害対応の優先度分析)
次いで、分析部110は、災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する(S110)。分析を行う単位エリアは、図5に示すように、地図を、同一サイズのメッシュで区切って設定されてもよい。あるいは、単位エリアは、例えば行政区画や施設単位で区切って設定された区画のように、異なるサイズ及び形状であってもよい。単位エリアは、予め設定され、例えば記憶部160に記録されていてもよい。
【0035】
分析部110は、単位エリア毎に、同時期に取得された災害関連情報に基づいて、分析モデルを用いて、災害対応の優先度を分析する。同時期に取得された災害関連情報とは、同一日時に取得された災害関連情報と、その前後に取得され、同一日時の現象とみなすことの可能な災害関連情報とをいう。分析部110は、分析結果として、分析を行った単位エリアの災害対応の優先度を出力する。
【0036】
災害対応の優先度は、対応に求められる迅速性を表す指標、あるいは、被害の大きさを表す指標によって表される。例えば、災害対応の優先度は、人的被害、解決までに要する時間等により表してもよい。図6は、図5に示した各単位エリアの人的被害を表している。図6において、人的被害は、最大値を1、最小値を0で表している。人的被害の値が大きいほど、早急な対応が必要であることを示す。図6に示す分析結果では、単位エリアA-1が最も人的被害が大きく、対応の優先度が高いことがわかる。このように、分析部110は、単位エリア毎に、災害対応の優先度を算出する。
【0037】
(S120:地図情報取得)
図4の説明に戻り、ステップS110にて各単位エリアの災害対応の優先度が分析されると、ユーザに対し、災害対応を必要とする重点エリアを提示するための処理が行われる。まず、地図情報取得部140は、地図情報を取得する(S120)。地図情報取得部140は、例えば、地図データを地図サーバから取得し、地図の縮尺を入力装置200から入力された情報より取得する。地図情報取得部140は、取得した地図情報を、集約部120及び表示処理部150へ出力する。
【0038】
(S130:表示処理)
次いで、集約部120は、ステップS110にて得られた単位エリア毎の災害対応の優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、当該地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の重点エリアとする(S130)。具体的には、集約部120は、まず、地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを、同一レベルの優先度を有し、かつ、集約可能な距離内にあるもの同士で集約する。
【0039】
優先度のレベルは、ステップS110にて求められる優先度に対して予め設定されているものとする。例えば、優先度を図6に示した人的被害によって表した場合、人的被害の値が0~0.3の範囲を「レベル0」、0.3~0.5の範囲を「レベル1」、0.5~0.7の範囲を「レベル2」、0.7~0.9の範囲を「レベル3」、0.9~1.0の範囲を「レベル4」と、5段階の優先度のレベルを設定してもよい。また、集約可能な距離内にある単位エリアとは、例えば、隣接するエリアとしてもよく、実距離において所定の距離内(例えば半径2km以内)にあるエリアとしてもよい。
【0040】
集約部120により、同一レベルの優先度を有し、かつ、集約可能な距離内にある単位エリアが集約されることで、同一レベルの1または複数の単位エリアからなるグループが作成される。
【0041】
集約部120は、同一レベルの単位エリアを集約すると、ユーザに提示する、指定された提示数の重点エリアを決定する。本実施形態に係る判断支援方法では、ユーザに提示する重点エリアは指定された提示数に限っている。これは、提示する重点エリアが多くなると、ユーザがスムーズに災害対応を判断することが難しくなるためである。一方で、本実施形態に係る判断支援方法では、重点エリアを表示させる地図の縮尺によらず、早急に災害対応を必要とする重点エリアが提示されるようにする。このように重点エリアが提示されることで、ユーザは、災害対応を早急に行うべき重点エリアを見落とすことなく、適切な対応をスムーズに判断することができる。
【0042】
具体的には、集約部120は、まず、集約処理により作成されたグループから、予め設定された閾値以上の優先度を有するグループを、ユーザに提示する重点エリアとする。優先度の閾値は、例えば、最も高い優先度のレベルの単位エリアを含むように設定してもよい。例えば、優先度に対して上述した5段階のレベルが設定されるとする。このとき、最も高いレベル4に含まれる単位エリアの優先度は0.9~1.0であることから、優先度の閾値は0.9と設定することができる。集約部120は、優先度が閾値以上のグループを重点エリアとすることで、早急に災害対応を必要とする重点エリアがユーザに提示されるようにする。
【0043】
次いで、集約部120は、優先度が閾値以上のグループの数が提示数より少ないとき、優先度が閾値未満のグループを、面積の大きい順に重点エリアとする。災害対応の優先度が高くない場合にも、被災範囲が大きい場合には、災害対応に人員や時間が必要と考えられる。そこで、本実施形態では、最も高い優先度のレベルのグループを提示してもなお、提示数に余裕がある場合には、指定された提示数内で、優先度が閾値未満のグループを面積の大きい順に重点エリアとする。
【0044】
図7に、情報の集約例を示す。図7上側は、縮尺aの地図500Aにおける重点エリア510を示しており、図7下側は、縮尺bの地図500Bにおける重点エリア510を示している。縮尺aは縮尺bよりも大縮尺である。各地図のメッシュは単位エリアを示している。重点エリアの提示数は4、優先度の閾値は0.8に設定されている。なお、単位エリアの集約は既に行われているとする。
【0045】
縮尺aの地図500Aについては、集約部120は、まず、優先度が閾値以上である単位エリアA-1、A-3の2つを重点エリアとする。提示数は4であることから、集約部120は、優先度が閾値未満のグループから2つのグループを重点エリアとする。地図500Aでは、単位エリアD-1、C-1が重点エリアに設定されている。なお、面積が同一の場合には、優先度の高いグループを優先して重点エリアとしてもよい。
【0046】
縮尺bの地図500Bは、縮尺aの地図500Aを含む広域の地図である。集約部120は、まず、優先度が閾値以上であるグループとして、単位エリアA-1、A-3及びグループg1の3つを重点エリアとする。提示数は4であることから、集約部120は、優先度が閾値未満のグループから1つのグループを重点エリアとする。地図500Bでは、グループg2が重点エリアに設定されている。
【0047】
このように、地図の縮尺が異なると、ユーザに提示する重点エリアが変化する。地図500Bは広域を示しているため、単位エリアA-1、A-3は全体に対して小さなエリアとなるが、災害対応の優先度が高いため、地図500Bにおいても表示される。
【0048】
なお、ユーザに提示する重点エリアの決定の仕方は、上記例に限定されるものではない。例えば、集約部120は、同一レベルの単位エリアを集約したグループの面積の大きさよりも優先度の高さを優先して、重点エリアを決定するようにしてもよい。
【0049】
また、優先度が閾値以上のグループの数が提示数よりも多いことも考えられる。この場合、集約部120は、例えば、優先度が閾値以上のグループのすべてを重点エリアとして表示させるようにしてもよく、優先度の高い順から指定された提示数のグループを重点エリアとしてもよい。後者の場合、重点エリアから外れたグループについては、例えば表示色を変更する等、重点エリアとは異なる表示を行ったり、重点エリアの他に災害対応の優先度が高いエリアがあることをユーザに通知し、ユーザの指示を受けて地図に表示させたりしてもよい。
【0050】
あるいは、グループの優先度に時間的な差がある場合には、時間が早い順(すなわち、早期の段階から災害対応が必要とされているグループ)から提示するようにしてもよい。提示数を超えた場合、優先度は閾値以上であるが提示されていないグループは、提示可能なグループとして記憶部160に記録しストックしてもよい。例えば、先に重点エリアとして提示されたグループの災害対応が完了した場合、災害対応が完了した重点エリアの表示を消去して、代わりにストックしたグループを表示させるようにしてもよい。
【0051】
さらに、地図上に表示されていない重点エリアがあることを、ストック情報としてユーザに提示してもよい。ストック情報は、例えば、ストック件数であってもよく、場所情報等の主要情報を表したリストであってもよい。ストック情報を提示することにより、地図上の視認性、解釈性を低下させずに、ユーザが災害対応の必要なエリアの全容を把握することができる。なお、記憶部160に記録したグループは、装置内部に保持するにとどめてもよい。
【0052】
集約部120は、ユーザに提示する重点エリアを決定すると、重点エリアを出力装置300に表示させるために必要な提示情報を、表示処理部150に出力する。提示情報には、例えば、地図に提示する重点エリアの位置情報、優先度等が含まれる。
【0053】
(S140:重点エリアの提示)
その後、表示処理部150は、出力装置300に重点エリアが示された地図を表示させるための処理を行う(S140)。表示処理部150は、ステップS130にて決定された重点エリアを地図に表示させ、出力装置300へ出力する。
【0054】
このとき、表示処理部150は、地図に表示する被災エリアの表示形式を、災害対応の優先度に応じて変化させてもよい。例えば、図8に示すように、災害対応の優先度に応じて、重点エリアの表示色や色の濃淡を変化させてもよい。図8は、図7と同様、縮尺aの地図500Aと、縮尺bの地図500Bとを示している。図8において重点エリアの提示数は3であり、地図500Aには3つの重点エリアa1~a3が提示され、地図500Bには3つの重点エリアA1~A3が提示されている。
【0055】
図8では、重点エリアの災害対応の優先度を、色の濃淡により表している。色が濃いほど、優先度が高いことを示す。これにより、ユーザは、重点エリアの災害対応の優先度を容易に把握することができる。ここで、詳細な地図500Aには、優先度の高い重点エリアa1と、中程度の優先度を有する重点エリアa2と、優先度の低い重点エリアa3とが示されている。一方、広域の地図500Bでは、地図500Aに重点エリアa1として表示されていた優先度の高い重点エリアA1と、中程度の優先度を有する重点エリアA2及び優先度の低い重点エリアA3とが示されている。このように、優先度の高い重点エリアA1は、広域の地図500Bにおいても表示される。また、地図500Aに表示されていた重点エリアa1~a3は、優先度のレベルが異なることから集約されず、優先度の高い重点エリアa1のみが地図500Bに表示される。これにより、各重点エリアの災害対応の優先度を的確にユーザに通知することができる。
【0056】
あるいは、表示処理部150は、地図とともに、提示対象の被災エリアに関する情報を、地図とは別の表示ウィンドウまたはポップアップウィンドウ等により表示するようにしてもよい。例えば図9に示すように、地図500上に重点エリアA1~A3を表示させるとともに、地図500とは異なる表示ウィンドウ520に、重点エリアA1~A3に関するコメントを表示させてもよい。これにより、判断支援装置100は、ユーザに対して重点エリアの状況をより詳細に通知することができる。
【0057】
また、例えば図10に示すように、地図500上の重点エリアに対応する位置に、ポップアップウィンドウ530を表示させてもよい。図10では、3つの重点エリアに対応して、それぞれポップアップウィンドウ531~533が表示されている。ポップアップウィンドウ531~533内には、例えば図9の表示ウィンドウ520内に示したような各重点エリアに関するコメントを表示させてもよい。かかる表示によっても、ユーザに対して重点エリアの状況をより詳細に通知することができる。
【0058】
表示処理部150は、表示処理した情報を、出力装置300に出力する。出力装置300は、入力された情報に基づき、指定された提示数の重点エリアが表示された地図を提示する。
【0059】
以上、本実施形態に係る判断支援方法について説明した。本実施形態に係る判断支援方法によれば、表示する地図の縮尺によらず、災害対応が必要な重点エリアを、災害対応の優先度を考慮し、かつ、一定の情報量に集約して提示することができる。その結果、ユーザは、地図の縮尺の大小によらず、一定の情報量を受け取るため、情報の把握が容易となる。また、本実施形態に係る判断支援方法では、災害対応の優先度を考慮して情報を集約していることから、集約された情報であっても、ユーザに対して災害対応の優先度の高いエリアを提示することができる。したがって、ユーザは、災害対応を早急に行うべき重点エリアを見落とすことなく、適切な対応をスムーズに判断することができる。
【0060】
[4.判断支援例]
ユーザによる災害対応を決定する判断を判断支援装置100により支援する一例として、判断支援装置100を用いて、災害関連情報を分析し、重点エリアとして、被災状況を調査する必要のある重点調査エリアを提示する場合を考える。災害の状況を把握するために調査隊を被災地に派遣する際、行政機関は、災害関連情報を参照し、調査の優先度や被災範囲の大きさを考慮して、重点調査エリアを決定する。このとき、刻々と変化する多くの災害関連情報から重点調査エリアを決定することは容易ではない。そこで、判断支援装置100を用いて災害関連情報を分析し、重点調査エリアを提示する。これにより、ユーザは、重点調査エリアを決定した後に検討する、調査隊の人員配置を速やかに実施することができる。
【0061】
ここで、上述したように、本実施形態に係る判断支援方法では、同一レベルの優先度を有し、かつ、集約可能な距離内にある単位エリアは、1つのグループに集約される。同一レベルの優先度を有する単位エリアを集約することで、ユーザに適切な判断を促すことができる。
【0062】
例えば、被災地に調査隊を派遣するにあたり、ユーザに、図11に示すような重点エリアA1~A3が表示された地図500Cまたは500Dが提示されるとする。ユーザは、地図500Cまたは500Dを参照して、6つの調査隊T1~T6の配置を決定する。ここで、地図500Cには、災害対応の優先度のレベルに関係なく、集約可能な距離にある単位エリアを集約して決定された重点エリアA1~A3が表示されている。一方、地図500Dには、上述したように、災害対応の優先度のレベルが同一であり、かつ、集約可能な距離にある単位エリアを集約して決定された重点エリアA1~A3が表示されている。このため、地図500Cの重点エリアA1は、優先度のレベルの異なる3つの単位エリアa1~a3を含んでいる。単位エリアa1、a2、a3の順に優先度が高いとする。
【0063】
図500Cを参照して6つの調査隊T1~T6の配置を決定すると、重点エリアA1~A3の大きさが同程度であることから、ユーザは、例えば、各重点エリアA1~A3にそれぞれ2つの調査隊を配置すると考えられる。
【0064】
これに対して、上述した判断支援方法に基づき重点エリアA~A3を決定すれば、地図500Dに示すように、重点エリアA1は、優先度の高い単位エリアa1のみを含み、地図500D全体において優先度の低い単位エリアa2、a3は含まない。さらに、各重点エリアA1~A3の優先度を例えば図8に示したように色の濃淡で表せば、ユーザは、重点エリアA1~A3の優先度も考慮して調査隊T1~T6の配置を決定することができる。色が濃いほど、優先度が高いことを示す。
【0065】
図500Dを参照したユーザは、例えば、重点エリアA1は、優先度は高いが調査範囲は狭いことから、少ない調査隊で対応可能と判断することができる。重点エリアA2については、ユーザは、優先度は中程度であるが、調査範囲が広いため、ある程度の調査隊数が必要と判断することができる。重点エリアA3については、ユーザは、調査範囲は広いが優先度は低いことから、少ない調査隊で対応可能と判断することができる。これより、ユーザは、例えば、重点エリアA1、A3にはそれぞれ1つの調査隊を配置し、重点エリアA2には4つの調査隊を配置することを決定することが考えられる。
【0066】
このように、本実施形態に係る判断支援装置100は、同一レベルの優先度を有する単位エリアを集約することで、ユーザに適切な判断を促すことができる。また、図11下側の地図500Dのように災害対応の優先度に応じて重点エリアの表示形式を変更したり、図9図10に示したように重点エリアに関する情報をさらに表示させたりすることで、ユーザがより適切に判断することを可能にする。
【0067】
また、上述の説明では、判断支援装置100では、分析部110による分析時点での災害対応の優先度を分析していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、災害関連情報は、時系列データとして取得可能であることから、時間の経過に伴う災害関連情報の変化に基づき、各単位エリアにおける将来的な災害対応の優先度を予測することも可能である。災害対応の優先度を予測する場合にも、現在の災害対応の優先度を分析する際と同様に、予め、過去に発生した災害時に取得された災害関連情報を用いて機械学習により生成された分析モデルを用いればよい。
【0068】
[5.プログラム]
本実施形態に係るプログラムは、コンピュータを、図1または図3に示す機能部として実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態に係る判断支援装置100と判断支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、判断支援装置100の分析部110、集約部120、さらには災害関連情報取得部130、地図情報取得部140、表示処理部150として機能し、処理を行う。
【0069】
また、本実施形態では、記憶部160は、コンピュータに備えられたハードディスク等の記憶装置に、これらを構成するデータファイルを格納することによって実現されていてもよいし、別のコンピュータの記憶装置によって実現されていてもよい。コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0070】
さらに、本実施形態に係るプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、判断支援装置100の分析部110、集約部120、災害関連情報取得部130、地図情報取得部140、表示処理部150のいずれかとして機能してもよい。
【0071】
[6.物理構成]
上記実施形態に係るプログラムを実行することによって、判断支援装置100を実現するコンピュータの物理構成について、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態に係る判断支援装置100を実現するコンピュータ900の一例を示すブロック図である。
【0072】
図12に示すように、コンピュータ900は、CPU(Central Processing Unit)901と、メインメモリ902と、記憶装置903と、入力インターフェイス904と、表示コントローラ905と、データリーダ/ライタ906と、通信インターフェイス907とを備える。これらの各部は、バス911を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0073】
また、コンピュータ900は、CPU901に加えて、又はCPU901に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。この態様では、GPU又はFPGAが、上記実施形態におけるプログラムを実行することができる。
【0074】
CPU901は、記憶装置903に格納された、コード群で構成された実施の形態におけるプログラムをメインメモリ902に展開し、各コードを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ902は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。
【0075】
また、上記実施形態に係るプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体910に格納された状態で提供される。なお、上記実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス907を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0076】
また、記憶装置903の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス904は、CPU901と、キーボード及びマウスといった入力機器908との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ905は、ディスプレイ装置909と接続され、ディスプレイ装置909での表示を制御する。
【0077】
データリーダ/ライタ906は、CPU901と記録媒体910との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体910からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ900における処理結果の記録媒体910への書き込みを実行する。通信インターフェイス907は、CPU901と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0078】
また、記録媒体910の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
【0079】
なお、上記実施形態に係る判断支援装置100は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。さらに、判断支援装置100は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
【0080】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記24)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0081】
(付記1)
災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する分析部と、
前記優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、前記地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の前記重点エリアとする集約部と、
を有する判断支援装置。
【0082】
(付記2)
前記集約部は、
同一レベルの優先度を有し、かつ、集約可能な距離内にある単位エリアを1つのグループに集約し、
前記優先度が閾値以上のグループを前記重点エリアとする、付記1に記載の判断支援装置。
【0083】
(付記3)
前記優先度が閾値以上のグループの数が前記提示数より少ないとき、
前記集約部は、前記優先度が閾値未満のグループを、面積の大きい順に前記重点エリアとする、付記2に記載の判断支援装置。
【0084】
(付記4)
出力装置に、前記重点エリアが示された地図を表示させる表示処理部を有する、付記1~3のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【0085】
(付記5)
前記表示処理部は、前記優先度に応じて前記重点エリアの表示形式を変更する、付記4に記載の判断支援装置。
【0086】
(付記6)
前記表示処理部は、前記重点エリアに関する情報を、前記地図とともに表示させる、付記4または5に記載の判断支援装置。
【0087】
(付記7)
前記災害関連情報は、時系列データとして取得されており、
前記分析部は、前記災害関連情報の時系列データから、将来の災害対応の優先度を予測する、付記1~6のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【0088】
(付記8)
前記災害関連情報は、少なくとも人流情報を含む、付記1~7のいずれか1項に記載の判断支援装置。
【0089】
(付記9)
災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析し、
前記優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、前記地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の前記重点エリアとする、判断支援方法。
【0090】
(付記10)
同一レベルの優先度を有し、かつ、集約可能な距離内にある単位エリアを1つのグループに集約し、
前記優先度が閾値以上のグループを前記重点エリアとする、付記9に記載の判断支援方法。
【0091】
(付記11)
前記優先度が閾値以上のグループの数が前記提示数より少ないとき、
前記優先度が閾値未満のグループを、面積の大きい順に前記重点エリアとする、付記10に記載の判断支援方法。
【0092】
(付記12)
出力装置に、前記重点エリアが示された地図を表示させる、付記9~11のいずれか1項に記載の判断支援方法。
【0093】
(付記13)
前記優先度に応じて前記重点エリアの表示形式を変更する、付記12に記載の判断支援方法。
【0094】
(付記14)
前記重点エリアに関する情報を、前記地図とともに表示させる、付記12または13に記載の判断支援方法。
【0095】
(付記15)
前記災害関連情報は、時系列データとして取得されており、
前記災害関連情報の時系列データから、将来の災害対応の優先度を予測する、付記9~14のいずれか1項に記載の判断支援方法。
【0096】
(付記16)
前記災害関連情報は、少なくとも人流情報を含む、付記9~15のいずれか1項に記載の判断支援方法。
【0097】
(付記17)
コンピュータ
災害関連情報に基づいて、単位エリア毎に災害対応の優先度を分析する分析部と、
前記優先度と、災害対応を必要とする重点エリアが表示される縮尺の地図とに基づいて、前記地図の表示範囲内に含まれる単位エリアを集約し、指定された提示数の前記重点エリアとする集約部と、
を有する判断支援装置として機能させるためのプログラム。
【0098】
(付記18)
記集約部
同一レベルの優先度を有し、かつ、集約可能な距離内にある単位エリアを1つのグループに集約し、
前記優先度が閾値以上のグループを前記重点エリアとす、付記17に記載のプログラム
【0099】
(付記19)
記優先度が閾値以上のグループの数が前記提示数より少ないとき、
前記集約部、前記優先度が閾値未満のグループを、面積の大きい順に前記重点エリアとする、付記18に記載のプログラム
【0100】
(付記20)
コンピュータ、出力装置に、前記重点エリアが示された地図を表示させる表示処理部をさらに有する判断支援装置として機能させる、付記17~19のいずれか1項に記載のプログラム
【0101】
(付記21)
記表示処理部、前記優先度に応じて前記重点エリアの表示形式を変更する、付記20に記載のプログラム
【0102】
(付記22)
記表示処理部、前記重点エリアに関する情報を、前記地図とともに表示させる、付記20または21に記載のプログラム
【0103】
(付記23)
前記災害関連情報は、時系列データとして取得されており、
記分析部、前記災害関連情報の時系列データから、将来の災害対応の優先度を予測する、付記17~22のいずれか1項に記載のプログラム
【0104】
(付記24)
前記災害関連情報は、少なくとも人流情報を含む、付記17~23のいずれか1項に記載のプログラム
【0105】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上のように本発明によれば、災害発生時の対応を支援することができる。本発明は、災害対応支援分野に有用である。
【符号の説明】
【0107】
100 判断支援装置
110 分析部
120 集約部
130 災害関連情報取得部
140 地図情報取得部
150 表示処理部
160 記憶部
200 入力装置
300 出力装置
500、500A~500D 地図
510 重点エリア
520 表示ウィンドウ
530 ポップアップウィンドウ
900 コンピュータ
901 CPU
902 メインメモリ
903 記憶装置
904 入力インターフェイス
905 表示コントローラ
906 データリーダ/ライタ
907 通信インターフェイス
908 入力機器
909 ディスプレイ装置
910 記録媒体
911 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12