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特許7435773システム、システムの制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】システム、システムの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240214BHJP
   B66B 1/20 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B66B3/00 M
B66B1/20 K
B66B1/20 R
B66B3/00 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022531285
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2020024628
(87)【国際公開番号】W WO2021260803
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】高田 果奈子
(72)【発明者】
【氏名】大澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 綾
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193998(JP,A)
【文献】特開2019-023124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0075914(US,A1)
【文献】特開2013-173595(JP,A)
【文献】特開平05-319704(JP,A)
【文献】特開昭62-096277(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260023(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0086596(US,A1)
【文献】特表2001-514610(JP,A)
【文献】特開2005-338833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00 - 3/02
B66B 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの待ち時間と前記エレベータの到着を待つ待機者数とを含む前記エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する、第1の生成部と、
外部のサーバから外部情報を取得する、外部情報取得部と、
成された前記エレベータ情報及び取得した前記外部情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する、第2の生成部と、
生成された前記移動時参考情報を表示画面に出力する、出力部と、
を備え
前記出力部は、前記エレベータ情報に基づく情報と前記外部情報に基づく情報が前記表示画面において区別して表示されるよう前記移動時参考情報を出力する、システム
【請求項2】
前記外部情報取得部は、気象情報、天気情報、災害情報及び交通情報のうち少なくとも1以上の情報を前記外部情報として取得する、請求項に記載のシステム
【請求項3】
前記第1の生成部は、エレベータホールに利用者が現れると、前記待ち時間の計測を開始し、前記エレベータホールに存在する利用者数が減少すると前記待ち時間の計測を終了する、請求項1または2に記載のシステム
【請求項4】
前記第1の生成部は、
前記エレベータを呼び出すための呼び出しボタンが押下されると前記呼び出しボタンの押下者を特定すると共に、前記待ち時間の計測を開始し、
前記呼び出しボタンの押下者がエレベータホールに到着した前記エレベータに乗り込むと前記待ち時間の計測を終了する、請求項1または2に記載のシステム
【請求項5】
前記第2の生成部は、前記エレベータ情報に含まれる前記待ち時間、前記待機者数に対して統計処理を行い、前記統計処理の結果に基づき前記移動時参考情報を生成する、請求項乃至4のいずれか一項に記載のシステム
【請求項6】
前記第2の生成部は、前記待ち時間、前記待機者数に関する平均値を算出する、請求項5に記載のシステム
【請求項7】
前記第2の生成部は、前記利用状況の高さが基準以上である時間帯において、前記利用状況の高さが基準未満である時間帯よりも、前記移動時参考情報に含まれる前記エレベータ情報の割合を高くするとともに、前記移動時参考情報に含まれる前記外部情報の割合を低くする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
エレベータホールに向かう利用者が写る画像データから前記エレベータホールに向かう利用者を特定すると共に、前記特定された利用者の予定情報に基づいて、前記エレベータの呼び出しを制御する、エレベータ制御部をさらに備える、請求項1または2に記載のシステム
【請求項9】
前記エレベータ制御部は、前記エレベータホールに向かう複数の利用者の個々の前記予定情報が示す予定の開始時刻までの時間が短い利用者ほど予定者の移動を優先するように前記エレベータの呼び出しを制御する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記出力部は、前記利用状況を示すアイコンを生成して前記表示画面に出力し、
前記アイコンの絵柄が前記待ち時間を表す場合に、前記アイコンの色彩は前記待機者数を表し、
前記アイコンの絵柄が前記待機者数を表す場合に、前記アイコンの色彩は前記待ち時間を表す、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム
【請求項11】
前記出力部は、前記利用状況を複数の段階に区分し、前記複数の段階それぞれに対応した前記アイコンを生成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記出力部は、前記利用状況を複数の段階に区分し、前記複数の段階それぞれに対応したアニメーションを生成し、生成された前記アニメーションを再生する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
システムにおいて、
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの待ち時間と前記エレベータの到着を待つ待機者数とを含む前記エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成し、
外部のサーバから外部情報を取得し、
成された前記エレベータ情報及び取得した前記外部情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成し、
生成された前記移動時参考情報を表示画面に出力する、
方法であって、
前記エレベータ情報に基づく情報と前記外部情報に基づく情報が前記表示画面において区別して表示されるよう前記移動時参考情報を出力する、
システムの制御方法。
【請求項14】
ンピュータに、
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの待ち時間と前記エレベータの到着を待つ待機者数とを含む前記エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する処理と、
外部のサーバから外部情報を取得する処理と、
成された前記エレベータ情報及び取得した前記外部情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する処理と、
生成された前記移動時参考情報を表示画面に出力する処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記表示画面に出力する処理は、前記エレベータ情報に基づく情報と前記外部情報に基づく情報が前記表示画面において区別して表示されるよう前記移動時参考情報を出力する、
プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、システム、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビルにおける移動にはエレベータが不可欠である。高層ビルにおけるエレベータの制御に関し、混雑緩和等を目的として様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、既設の高層オフィスビルであっても改修が可能であり、二方向のピークが重畳する昼食時の平均待ち時間を大幅に短縮できるエレベータシステムを提供する、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-019626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように混雑緩和を目的として種々の取り組みが行われているが、特許文献1に記載されたとおり昼食時等の時間帯によってはエレベータが混雑し、エレベータホールにて長時間待機しなければならないといった状況が生じ得る。
【0006】
オフィスで働く従業員等は、自席からエレベータホールの状況を視認できないのが通常である。また、従業員等は、エレベータの利用が混雑している場合にはエレベータを用いた利用を控えたいと思うことも多い。そのような従業員が混み合っているエレベータホールに赴くことは効率的とは言えない。
【0007】
本発明は、利用者がエレベータを利用するか否かを適切に判断できることに寄与する、サーバ装置、システム、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点によれば、少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する、第1の生成部と、少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する、第2の生成部と、前記生成された移動時参考情報をサイネージに出力する、出力部と、を備える、サーバ装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の視点によれば、外部から取得した情報を表示する、サイネージと、前記サイネージに接続されたサーバ装置と、を含み、前記サーバ装置は、少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する、第1の生成部と、少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する、第2の生成部と、前記生成された移動時参考情報を前記サイネージに出力する、出力部と、を備える、システムが提供される。
【0010】
本発明の第3の視点によれば、サーバ装置において、少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成し、少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成し、前記生成された移動時参考情報をサイネージに出力する、サーバ装置の制御方法が提供される。
【0011】
本発明の第4の視点によれば、サーバ装置に搭載されたコンピュータに、少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する処理と、少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する処理と、前記生成された移動時参考情報をサイネージに出力する処理と、を実行させるためのプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の各視点によれば、利用者がエレベータを利用するか否かを適切に判断できることに寄与する、サーバ装置、システム、サーバ装置の制御方法及び記憶媒体が提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の概要を説明するための図である。
図2】第1の実施形態に係る情報通知システムの概略構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係るエレベータ情報生成部の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態に係るエレベータ情報生成部の動作を説明するための図である。
図6】第1の実施形態に係るサイネージの処理構成の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態に係る移動時参考情報出力部の動作を説明するための図である。
図8】第1の実施形態に係る移動時参考情報出力部の動作を説明するための図である。
図9】第1の実施形態に係る移動時参考情報出力部の動作を説明するための図である。
図10】第2の実施形態に係る情報通知システムの概略構成の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係るエレベータ情報生成部の動作の一例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態に係る移動時参考情報出力部の動作を説明するための図である。
図13】第3の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図14】第3の実施形態に係る移動時参考情報出力部の動作を説明するための図である。
図15】第4の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図16】第4の実施形態に係る予定情報データベースの一例を示す図である。
図17】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0015】
一実施形態に係るサーバ装置100は、第1の生成部101と、第2の生成部102と、出力部103と、を備える(図1参照)。第1の生成部101は、少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する。第2の生成部102は、少なくとも生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する。出力部103は、生成された移動時参考情報をサイネージに出力する。
【0016】
サーバ装置100は、従業員等がエレベータホールに到達しなくともエレベータの利用状況が把握できるように情報を生成し、サイネージに出力する。従業員等は、サイネージに表示された表示を確認し、エレベータの混雑具合等を勘案してエレベータの利用を伴う移動を行うか否かを決めることができる。即ち、従業員等は、作業中の仕事内容や移動を要する要件等を総合的に判断し、エレベータを利用するか否かを適切に判断できる。
【0017】
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0019】
[システム構成]
図2は、第1の実施形態に係る情報通知システムの概略構成の一例を示す図である。図2を参照すると、情報通知システムは、サーバ装置10と、サイネージ20と、カメラ装置30と、を含む。
【0020】
図2に示す各装置は相互に接続されている。例えば、サーバ装置10とサイネージ20は、有線又は無線の通信手段により接続され、相互に通信が可能となるように構成されている。
【0021】
なお、サーバ装置10は、サイネージ20と同じフロアー、同じ建物に設置されていてもよいし、ネットワーク上(クラウド上)に設置されていてもよい。
【0022】
図2に示す情報通知システムは、オフィス等に勤務する従業員等にとって有益な情報を通知するシステムである。情報通知システムは、とりわけ、オフィス等からエレベータを利用して移動する従業員が参考にすると有益な情報(以下、移動時参考情報と表記する)を提供するシステムである。
【0023】
例えば、エレベータの利用状況等に関する情報(以下、エレベータ情報と表記する)が従業員等に通知される。例えば、エレベータホールにてエレベータを待つ人数、エレベータが到着するまでの待ち時間等がエレベータ情報として従業員等に通知される。より具体的には、エレベータ情報(待ち人数、待ち時間)がサイネージ20に表示される。
【0024】
サーバ装置10は、カメラ装置30を初めとする外部装置から種々の情報を取得する。サーバ装置10は、当該取得した外部情報に基づきサイネージ20に出力する移動時参考情報を生成する。例えば、サーバ装置10は、エレベータホールの全体を撮像可能なカメラ装置30から得られる画像データを解析することで、エレベータ情報を生成する。サーバ装置10は、当該エレベータ情報から「移動時参考情報」を生成し、当該情報をサイネージ20に提供する。
【0025】
サイネージ20は、外部(サーバ装置10)から取得した情報を表示する装置である。サイネージ20は、フロアーの目立つ場所に設置される。より具体的には、オフィスで働く従業員等が容易に視認可能な位置にサイネージ20は設置される。サイネージ20は、サーバ装置10から取得した「移動時参考情報」を表示し、エレベータの利用状況等を従業員等に通知する。
【0026】
なお、図2に示す情報通知システムの構成は例示であって、システムの構成を限定する趣旨ではない。例えば、図2には1台のサイネージ20を図示しているが、複数のサイネージ20が設置されていてもよい。例えば、図2の例では、4つの机それぞれの近傍にサイネージ20が設置されていてもよい。
【0027】
続いて、第1の実施形態に係る情報通知システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
【0028】
[サーバ装置]
図3は、第1の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図3を参照すると、サーバ装置10は、通信制御部201と、エレベータ情報生成部202と、移動時参考情報生成部203と、記憶部204と、を備える。
【0029】
通信制御部201は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、サイネージ20からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部201は、サイネージ20に向けてデータを送信する。通信制御部201は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部201は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部201を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0030】
エレベータ情報生成部202は、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する手段(第1の生成手段、第1の生成部)である。例えば、エレベータ情報生成部202は、カメラ装置30から取得した画像データを解析し、エレベータ情報を生成する。
【0031】
なお、エレベータ情報生成部202が画像データを解析する際、画像データから顔画像を抽出する必要がある。当該顔画像の抽出処理には既存の技術を用いることができるので詳細な説明を省略する。例えば、エレベータ情報生成部202は、CNN(Convolutional Neural Network)により学習された学習モデルを用いて、画像データの中から顔画像(顔領域)を抽出してもよい。あるいは、エレベータ情報生成部202は、テンプレートマッチング等の手法を用いて顔画像を抽出してもよい。
【0032】
エレベータ情報生成部202は、図4に示すフローチャートに従い、エレベータの待ち時間、エレベータホールにおいてエレベータの到着を待つ利用者の数を計算する。なお、エレベータの待ち時間は、エレベータ利用者がボタンを押下してエレベータを呼び出し、エレベータに利用者が乗り込むまでの時間である。
【0033】
エレベータ情報生成部202は、エレベータホール内の利用者(エレベータ待機者、以下、単に「待機者」とも表記する)の数を計数する(ステップS101)。具体的には、エレベータ情報生成部202は、画像データから抽出された顔画像の数を計数することでエレベータ待機者の数を計数する。
【0034】
エレベータ情報生成部202は、待機者の有無を判定する(ステップS102)。
【0035】
待機者が存在しなければ(ステップS102、No分岐)、エレベータ情報生成部202は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0036】
待機者が存在すれば(ステップS102、Yes分岐)、エレベータ情報生成部202は、エレベータ待ち時間(以下、単に「待ち時間」とも表記する)の計測を開始する(ステップS103)。具体的には、エレベータ情報生成部202は、待ち時間計測用のタイマーをスタートする。待機者がエレベータホールに現れたという事実は、当該待機者がエレベータを呼び出したと判断できるためである。
【0037】
エレベータ情報生成部202は、引き続きエレベータ待機者の数を計数する(ステップS104)。
【0038】
エレベータ情報生成部202は、待ち時間の計測を開始してからエレベータ待機者の数が減少したか否かを判定する(ステップS105)。
【0039】
待機者の数が減少していなければ(ステップS105、No分岐)、エレベータ情報生成部202は、ステップS104の処理を繰り返す。
【0040】
待機者の数が減少していれば(ステップS105、Yes分岐)、エレベータ情報生成部202は、エレベータ待ち時間の計測を終了する(ステップS106)。エレベータ待機者の数が減ったという事実は、エレベータが到着し、利用者がエレベータに乗り込んだことを示すと判断できるためである。
【0041】
その後、エレベータ情報生成部202は、ステップS101に戻り処理を継続する。即ち、エレベータ待機者の数が減少しても待機者が存在すれば(ステップS102、Yes分岐)、エレベータ情報生成部202は、新たな待ち時間の計測を開始する(ステップS103)。対して、エレベータ待機者の数が「0」となれば(ステップS102、No分岐)、エレベータ情報生成部202はエレベータホールに利用者が移動してくるまで待ち時間の計測を行わない。
【0042】
このように、エレベータ情報生成部202は、エレベータホールに利用者が現れると、待ち時間の計測を開始し、エレベータホールに存在する利用者数が減少すると待ち時間の計測を終了する。待ち時間の計測開始から計測終了までの期間が「待ち時間」に相当する。
【0043】
図5を参照して、エレベータ情報生成部202の動作を具体的に説明する。なお、図5において点線で囲まれた領域はエレベータホールを示す。
【0044】
時刻t01にて1人の利用者がエレベータホールに入ってくる。エレベータ情報生成部202は、当該利用者を検出するとエレベータ待ち時間の計測を開始する。
【0045】
その後、時刻t02において、待機者の数は「3」となる。さらに時間が経過すると、エレベータが到着して、時刻t03において待機者の数が「1」となる。時刻t03において待機者の数が減っているので、エレベータ情報生成部202は待ち時間の計測を終了する。この場合、エレベータ待ち時間は「t03-t01」で確定する。
【0046】
時刻t03において待機者が存在するので、エレベータ情報生成部202は、新たな待ち時間の計測を開始する。時刻t03において、エレベータホールに残る利用者がエレベータ呼び出しボタンを押下したと考えられるためである。
【0047】
さらにその後、時刻t04において待機者の数は「0」となる。時刻t04においても待機者の数が減っているので、エレベータ情報生成部202は待ち時間の計測を終了する。この場合、エレベータの待ち時間は「t04-t03」で確定する。
【0048】
同様に、エレベータ情報生成部202は、エレベータホールに利用者の存在を検出すると(時刻t05)、待ち時間の計測を開始し、待機者が減少したタイミング(時刻t06)で計測を終了する。
【0049】
エレベータ情報生成部202は、定期的又は所定のタイミングでエレベータ情報(待ち時間、待機者数を含む情報)を移動時参考情報生成部203に引き渡す。エレベータ情報生成部202は、例えば、エレベータ待機者の数に変更があったタイミングや待ち時間が確定したタイミング(待ち時間の計測が終了したタイミング)で上記情報を移動時参考情報生成部203に引き渡す。
【0050】
図5の例では、待ち時間が確定する時刻t03、t04、t06において、エレベータ待ち時間が移動時参考情報生成部203に通知される。あるいは、待機者数が変化する時刻t01~t06のそれぞれにおいて待機者数が移動時参考情報生成部203に通知されてもよい。
【0051】
移動時参考情報生成部203は、少なくともエレベータ情報に基づき、利用者がエレベータを利用して移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する手段(第2の生成手段、第2の生成部)である。例えば、移動時参考情報生成部203は、エレベータ情報をそのまま含むような移動時参考情報を生成してもよい。
【0052】
移動時参考情報生成部203は、当該生成した移動時参考情報を通信制御部201に引き渡す。通信制御部201は、移動時参考情報をサイネージ20に出力する。即ち、通信制御部201は、「出力部」としての機能を備える。
【0053】
移動時参考情報生成部203は、取得したエレベータ情報(待ち時間、待機者数)に対して統計処理を行いその結果に基づき移動時参考情報を生成してもよい。例えば、移動時参考情報生成部203は、取得したエレベータ情報を蓄積して得られる時系列データを用いて待ち時間や待機者数の平均値を計算してもよい。その際、移動時参考情報生成部203は、所定時間前から情報生成時までの間(例えば、10分間)の待ち時間、待機者数に関する平均値を計算すればよい。
【0054】
移動時参考情報生成部203は、待ち時間、待機者数に関する最頻値や中央値を計算してもよい。移動時参考情報生成部203は、最新の待ち時間や待機者数を重要視するような重みを時系列データに与え、待ち時間や待機者数に関する加重平均を計算してもよい。
【0055】
移動時参考情報生成部203は、所定期間における待ち時間、待機者数の最大値又は最小値を含む移動時参考情報を生成してもよい。
【0056】
移動時参考情報生成部203は、待ち時間、待機者数の「ばらつき」を示す指標(分散、標準偏差)を計算し、ばらつきが所定値よりも小さい場合に待ち時間、待機者数の平均値を移動時参考情報として用いてもよい。ばらつきが大きい場合には、平均値(待ち時間の平均値、待機者数の平均値)の信頼性が欠けるためである。
【0057】
記憶部204は、サーバ装置10の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0058】
[サイネージ]
サイネージ20は、外部参考情報を表示するデジタル掲示板である。
【0059】
図6は、第1の実施形態に係るサイネージ20の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図6を参照すると、サイネージ20は、通信制御部301と、移動時参考情報出力部302と、記憶部303と、を備える。
【0060】
通信制御部301は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部301は、サーバ装置10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部301は、サーバ装置10に向けてデータを送信する。通信制御部301は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部301は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部301を介して他の装置とデータの送受信を行う。
【0061】
移動時参考情報出力部302は、サーバ装置10から取得した移動時参考情報を出力する手段である。例えば、移動時参考情報出力部302は、サーバ装置10から情報を取得したタイミングで図7に示すような表示を出力する(表示を更新する)。
【0062】
サーバ装置10から待ち時間や待機者数の平均値に関する移動時参考情報を取得した場合には、移動時参考情報出力部302は、図8に示すような表示を出力してもよい。
【0063】
あるいは、移動時参考情報出力部302は、エレベータの利用状況を端的に示す「アイコン」を生成し、表示してもよい。例えば、移動時参考情報出力部302は、図9(a)に示すように「アイコン表示エリア」を設け、当該表示エリアにアイコンを表示してもよい。
【0064】
なお、エレベータの利用状況を示すアイコンの生成には種々の形態が考えられる。例えば、移動時参考情報出力部302は、エレベータ待ち時間及び/又はエレベータ待機者数に対して閾値処理を実行し、その結果に基づいて上記アイコンを生成してもよい。
【0065】
例えば、待ち時間や待機者数が閾値TH1より小さければ、移動時参考情報出力部302は、エレベータ(エレベータホール)が閑散としていると判断し、図9(b)のようなアイコンを生成する。待ち時間や待機者数が閾値TH2よりも大きければ、移動時参考情報出力部302は、エレベータが混雑していると判断し、図9(d)のようなアイコンを生成する。待ち時間や待機者数が閾値TH1以上、且つ、閾値TH2以下の場合には、移動時参考情報出力部302は、エレベータの混雑度は平常(普通)と判断し、図9(c)のようなアイコンを生成する。
【0066】
このように、移動時参考情報出力部302は、エレベータの利用状況(待ち時間、待機者数)を複数の段階に区分し、当該複数の段階それぞれに対応したアイコンを生成してもよい。即ち、移動時参考情報出力部302は、待ち時間や待機者数をエレベータの混雑度を示す指標として扱い、混雑の程度(混雑度が小さい、通常、大きい)に応じたアイコンを生成してもよい。
【0067】
移動時参考情報出力部302は、静止画によるアイコンに代えて、上記エレベータの状況(閑散、平常、混雑)を表すような動画(アニメーション)をアイコン表示エリアに表示してもよい。即ち、移動時参考情報出力部302は、エレベータの利用状況を複数の段階に区分し、複数の段階それぞれに対応したアニメーションを生成してもよい。移動時参考情報出力部302は、当該生成されたアニメーションを図9に示すアイコン表示エリアにて再生すればよい。
【0068】
移動時参考情報出力部302は、サイネージ20の表示エリアの全部又は一部の色彩等をエレベータの利用状況に応じて変更してもよい。例えば、エレベータが空いている場合には、移動時参考情報出力部302は、表示エリアの全体を青色に設定する。エレベータが混んでいる場合には、移動時参考情報出力部302は、表示エリアの全体を赤色に設定する。移動時参考情報出力部302は、上記説明したアイコンの色をエレベータの利用状況に応じて変更してもよい。
【0069】
移動時参考情報出力部302は、アイコンの絵柄(模様;図9に示すようにエレベータを擬人化した場合は表情)とアイコンの色彩を独立に制御してもよい。例えば、移動時参考情報出力部302は、待ち時間をアイコンの絵柄に対応させ、待機者数をアイコンの色に対応させて制御してもよい。例えば、移動時参考情報出力部302は、待ち時間を混雑度として扱い、混雑度(閑散、平常、混雑)に対応してアイコンの表情を変更する。さらに、移動時参考情報出力部302は、待機者数に基づいてアイコンの色を変更する。例えば、移動時参考情報出力部302は、待機者数が多い場合は赤、通常の場合は青、少ない場合はグレー等にアイコンを着色する。
【0070】
あるいは、移動時参考情報出力部302は、待機者数をアイコンの絵柄に対応させ、待ち時間をアイコンの色に対応させて制御してもよい。例えば、移動時参考情報出力部302は、待機者数に基づいてアイコンの表情を変更する。さらに、移動時参考情報出力部302は、待ち時間に基づいてアイコンの色を変化させてもよい。例えば、移動時参考情報出力部302は、待ち時間が長い場合は赤、通常の場合は青、短い場合はグレー等にアイコンを着色する。
【0071】
このように、移動時参考情報出力部302は、アイコンの図柄と色彩をそれぞれ異なるパラメータにより制御(変更)してもよい。このような対応により、利用者(フロアーからの移動を検討している利用者)は、サイネージ20に表示されたアイコンの図柄(表情)と色を確認することで、エレベータの状況(待ち時間、待機者数)を容易に確認することができる。即ち、移動時参考情報出力部302は、エレベータの状況を視覚化することで、利用者の利便性を向上させている。
【0072】
移動時参考情報出力部302は、待ち時間及び待機者数の2つの情報を総合的に判断してエレベータの利用状況を算出してもよい。例えば、移動時参考情報出力部302は、待ち時間、待機者数を入力パラメータとし、エレベータの利用状況(閑散、平常、混雑)を出力するような関数を用意してもよい。当該関数は、待ち時間と待機者数の加算、乗算等の演算結果に対して閾値処理を実行し、上記利用状況を出力してもよい。
【0073】
機械学習により生成された学習モデルに基づきエレベータ利用状況が算出されてもよい。具体的には、管理者等は、待ち時間と待機者数の組み合わせに対してラベル(利用状況;閑散、平常、混雑)が付与された教師データを用いて機械学習を行い、学習モデル(分類モデル)を生成する。移動時参考情報出力部302は、当該生成された学習モデルに待ち時間、待機者数を入力し、利用状況を取得する。なお、学習モデルの生成には、サポートベクタマシン、ブースティングやニューラルネットワーク等の任意のアルゴリズムを用いることができる。なお、上記サポートベクタマシン等のアルゴリズムは公知の技術を使用することができるので、その説明を省略する。
【0074】
記憶部303は、サイネージ20の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0075】
以上のように、第1の実施形態に係るサーバ装置10は、エレベータの利用状況等を含む移動時参考情報をサイネージ20に出力する。オフィス等で働く従業員等は、サイネージ20に表示されたエレベータに関する情報(待ち時間、待機者数)を確認することで、エレベータホール(エレベータ乗り場)に移動するか否かを決定することができる。そのため、従業員等は、エレベータの利用を伴う移動を行うべきか否かを柔軟に判断することができる。
【0076】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0077】
第1の実施形態では、エレベータホールを俯瞰するカメラ装置30から得られる画像データを用いてエレベータ情報を生成することを説明した。第2の実施形態では、生体情報を用いてボタン押下者を特定し、エレベータホールにおける待ち時間を算出する場合について説明する。
【0078】
図10は、第2の実施形態に係る情報通知システムの概略構成の一例を示す図である。図10に示すように、サーバ装置10と接続された3台のカメラ装置30-1~30-3がシステムに含まれる。
【0079】
なお、第2の実施形態に係るサーバ装置10、サイネージ20の処理構成は第1の実施形態と同一とすることができるので、図3図6に相当する図面の説明を省略する。
【0080】
以下、第1及び第2の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0081】
カメラ装置30-1は、第1の実施形態と同様に、エレベータホールの全体を撮像可能に設置されている。カメラ装置30-2は、エレベータの呼び出しボタンの画像と当該呼び出しボタンを押下する利用者の顔画像を同時に取得可能に設置されている。カメラ装置30-3は、エレベータに乗り込む利用者の顔画像が取得可能に設置されている。より具体的には、呼び出しボタンが設置された面に鏡を設置すると共に、ボタン押下者の後方から呼び出しボタンを撮影するようにカメラ装置30-3は設置されている。当該カメラ装置30-3から得られる画像データには、呼び出しボタンと鏡に映るボタン押下者の顔画像が同時に含まれる。
【0082】
サーバ装置10は、これら3台のカメラ装置30-1~30-3から得られる画像データを解析することで、エレベータ情報(待ち時間、待機者数)を生成する。
【0083】
図11は、第2の実施形態に係るエレベータ情報生成部202の動作の一例を示すフローチャートである。なお、図11は、2つのエレベータ呼び出しボタンのうち上ボタンが押下された場合の動作の一例を示す。
【0084】
エレベータ情報生成部202は、カメラ装置30-2から得られる画像データを解析し、上ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS201)。例えば、エレベータ情報生成部202は、上ボタンが押下されていない画像とカメラ装置30-2から得られる画像の差分を算出し、上ボタンの領域に変化があれば(ボタンの色等に変化があれば)、上ボタンが押下されたと判断する。
【0085】
上ボタンが押下されていなければ(ステップS201、No分岐)、エレベータ情報生成部202は、ステップS201の処理を繰り返す。
【0086】
上ボタンが押下されていれば(ステップS201、Yes分岐)、エレベータ情報生成部202は、上ボタン押下者の特定を行う(ステップS202)。具体的には、エレベータ情報生成部202は、上ボタンが押された画像に写る利用者の顔画像を抽出し、当該顔画像から特徴量を生成する。
【0087】
エレベータ情報生成部202は、抽出された顔画像から当該顔画像を特徴付ける特徴量(複数の特徴量からなる特徴ベクトル)を生成する。具体的には、エレベータ情報生成部202は、顔画像から特徴点を抽出する。なお、特徴点の抽出処理に関しては既存の技術を用いることができるのでその詳細な説明を省略する。例えば、エレベータ情報生成部202は、顔画像から目、鼻、口等を特徴点として抽出する。その後、エレベータ情報生成部202は、特徴点それぞれの位置や各特徴点間の距離を特徴量として計算し、複数の特徴量からなる特徴ベクトル(顔画像を特徴づけるベクトル情報)を生成する。
【0088】
その後、エレベータ情報生成部202は、上階に向かうエレベータの待ち時間(以下、上待ち時間と表記する)の計測を開始する(ステップS203)。具体的には、エレベータ情報生成部202は、上待ち時間計測用のタイマーをスタートする。
【0089】
エレベータ情報生成部202は、カメラ装置30-3から得られる画像データを解析し、上ボタン押下者がエレベータに乗り込んだか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、エレベータ情報生成部202は、カメラ装置30-3から得られる画像データから顔画像の抽出を試みる。エレベータ情報生成部202は、当該顔画像から抽出された顔画像の中にステップS202にて特定された顔画像が含まれるか否かを判定する。具体的には、エレベータ情報生成部202は、カメラ装置30-3から得られる画像データに含まれる顔画像と上ボタン押下者の顔画像の類似度を計算する。当該計算された類似度が所定の閾値以上である場合に、エレベータ情報生成部202は、2つの顔画像は実質的に一致すると判断する。エレベータ情報生成部202は、2つの顔画像が実質的に一致する場合に、上ボタン押下者がエレベータに乗り込んだと判定する。
【0090】
なお、エレベータ情報生成部202が計算する類似度には、カイ二乗距離やユークリッド距離等を用いることができる。なお、距離が離れているほど類似度は低く、距離が近いほど類似度が高い。
【0091】
上ボタン押下者がエレベータに乗り込んでなければ(ステップS204、No分岐)、エレベータ情報生成部202は、ステップS204の処理を繰り返す。
【0092】
上ボタン押下者がエレベータに乗り込んでいれば(ステップS204、Yes分岐)、エレベータ情報生成部202は、上待ち時間の計測を終了する(ステップS205)。具体的には、エレベータ情報生成部202は、上待ち時間計測用のタイマーをストップする。
【0093】
このように、エレベータ情報生成部202は、エレベータを呼び出すための呼び出しボタンが押下されると当該呼び出しボタンの押下者を特定すると共に、待ち時間の計測を開始する。画像データを解析した結果、呼び出しボタンの押下者がエレベータホールに到着したエレベータに乗り込んだと判断された場合に、エレベータ情報生成部202は、待ち時間の計測を終了する。
【0094】
エレベータ情報生成部202は、同様に、下階に向かうエレベータの待ち時間(下待ち時間)を計算できる。なお、図11に記載された「上ボタン」を「下ボタン」、「上待ち時間」を「下待ち時間」と読み替えればよいので、下待ち時間の計算に関する詳細な説明を省略する。
【0095】
エレベータ待機者数の算出に関しては、第1の実施形態と同様とすることができるので詳細な説明は省略する。エレベータ情報生成部202は、カメラ装置30-1から得られる画像データを解析し、エレベータホールに存在する利用者の数を計数すればよい。
【0096】
エレベータ情報生成部202は、上待ち時間及び下待ち時間のそれぞれを区別なく、「エレベータ待ち時間」として移動時参考情報生成部203に引き渡してもよいし、これらの時間を区別して移動時参考情報生成部203に引き渡してもよい。
【0097】
また、移動時参考情報生成部203を介して上待ち時間と下待ち時間のそれぞれがサイネージ20に提供された場合には、サイネージ20は、上階に向かうエレベータの待ち時間と下階に向かうエレベータの待ち時間をそれぞれ表示してもよい(図12参照)。
【0098】
以上のように、第2の実施形態に係るサーバ装置10も第1の実施形態と同様に移動時参考情報を従業員等に提示できる。そのため、従業員等は、エレベータの利用を伴う移動を行うべきか否かを柔軟に判断することができる。
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0099】
第3の実施形態では、エレベータ情報以外の情報も加えて外出参照情報を生成する場合について説明する。
【0100】
なお、第3の実施形態に係る情報通知システムの構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図2に相当する説明を省略する。また、第3の実施形態に係るサイネージ20の処理構成も第1の実施形態と同一とすることができるのでその説明を省略する。
【0101】
図13は、第3の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図13を参照すると、第1の実施形態に係るサーバ装置10に外部情報取得部205が追加されている。
【0102】
以下、第1乃至第3の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0103】
外部情報取得部205は、外部のサーバ等にアクセスし主に外部の情報を取得する手段である。なお、下記の例示する外部情報のソースとなる外部のサーバは、当業者にとってその存在は明らかであるので詳細な説明を省略する。例えば、外部情報取得部205は、ネットワーク上の気象情報、天気情報を提供するサーバにアクセスすればよい。
【0104】
例えば、外部情報取得部205は、日時や曜日等に関する時刻情報を外部のサーバ等から取得する。
【0105】
あるいは、外部情報取得部205は、オフィスを含む地域の気温、湿度等に関する気象情報を外部のサーバ等から取得する。
【0106】
あるいは、外部情報取得部205は、オフィスを含む地域の天気(晴れ、雨、曇り等)等に関する天気情報を外部のサーバ等から取得する。
【0107】
あるいは、外部情報取得部205は、オフィスを含む地域の災害(地震、津波、大雨等)等に関する災害情報を外部のサーバ等から取得する。
【0108】
あるいは、外部情報取得部205は、オフィスに最寄りの路線等に発生した事故等に関する交通情報を外部のサーバ等から取得する。
【0109】
あるいは、外部情報取得部205は、食堂、お手洗い、休憩室等の混雑に関する混雑情報を外部のサーバ、他のサーバ等から取得する。あるいは、上記施設の出入り口にカメラ装置を設置し、外部情報取得部205は当該カメラ装置から得られる画像を解析して食堂等の利用者数を計数し混雑情報としてもよい。
【0110】
外部情報取得部205は、上記取得した外部情報(気象情報、天気情報、災害情報、交通情報等)を移動時参考情報生成部203に引き渡す。
【0111】
移動時参考情報生成部203は、エレベータ情報及び外部情報の少なくとも一方を用いて移動時参考情報を生成し、サイネージ20に提供する。
【0112】
サイネージ20は、取得した移動時参考情報を表示する。例えば、エレベータ情報と天気情報を含む移動時参考情報を取得したサイネージ20は、図14に示すような表示を行う。なお、サイネージは、外部情報の要素を表示する際、文字による通知に代えてアイコンを用いて外部情報の内容を従業員等に通知してもよい。図14の例では、「雨」という文言に代えて「傘」のアイコンが表示されてもよい。
【0113】
以上のように、第3の実施形態に係るサーバ装置10は、エレベータ情報だけでなく、時刻情報、気候情報、天気情報等の外部情報をサイネージ20に出力する。従業員等は、サイネージ20に表示された情報(気候情報、天気情報等)を総合的に判断して移動の要否等を決定することができる。例えば、利用者は、気温に応じて移動を止めたり、上着を持って移動したりすることができる。あるいは、利用者は、雨が降っていれば傘を持って出かける等の判断もすることができる。
[第4の実施形態]
続いて、第4の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0114】
第4の実施形態では、利用者の予定に基づいてエレベータを制御する場合について説明する。
【0115】
なお、第4の実施形態に係る情報通知システムの構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図2に相当する説明を省略する。但し、第4の実施形態では、オフィス(フロアー)からエレベータホールに向かう利用者(特に、利用者の顔)の撮影が可能となるようにカメラ装置が設置されている。例えば、当該カメラ装置は通路等に設置される。第4の実施形態に係るサイネージ20の処理構成も第1の実施形態と同一とすることができるのでその説明を省略する。
【0116】
図15は、第3の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図15を参照すると、第1の実施形態に係るサーバ装置10に外部情報取得部205、利用者情報取得部206及びエレベータ制御部207が追加されている。
【0117】
以下、第1乃至第4の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0118】
利用者情報取得部206は、利用者の生体情報(例えば、顔画像)と、利用者の予定情報(例えば、会議や外出に関する予定)を、任意の手段を用いて取得する。
【0119】
例えば、利用者情報取得部206は、利用者が所持する端末(スマートフォン等の端末)から利用者の顔画像を取得する。利用者は、当該端末を操作して自身の顔を撮影し、画像データをサーバ装置10に送信する。あるいは、利用者情報取得部206は、顔画像を取得するためのGUI(Graphical User Interface)や入力フォームを利用者の端末に表示して生体情報を取得してもよい。その際、利用者情報取得部206は、利用者の識別情報(ユーザID、例えば、社員番号)も併せて取得し、顔画像と対応付けて記憶する。
【0120】
利用者情報取得部206は、利用者の予定に関する情報(予定情報)を取得する。例えば、利用者情報取得部206は、利用者の予定情報を記憶しているデータベースにユーザIDを送信することで、対応する予定情報を取得してもよい。あるいは、利用者は、所持する端末を操作して、予定情報を直接、サーバ装置10に入力してもよい。利用者情報取得部206は、利用者が予定情報を入力するためのGUI等を提供すればよい。
【0121】
利用者情報取得部206は、任意の手段により取得した生体情報と予定情報を予定情報データベースに登録する。
【0122】
図16は、予定情報データベースの一例を示す図である。図16に示すように、予定情報データベースは、ユーザID、利用者の生体情報(例えば、顔画像、特徴量)と予定情報を対応付けて記憶する。なお、予定情報には、利用者がオフィスやフロアーから離れる時間(予定の開始時刻、終了時刻)や行き先等の情報が含まれる。
【0123】
エレベータ制御部207は、利用者の予定情報に基づいてエレベータの制御、とりわけ、エレベータの呼び出しに関する制御を行う。エレベータ制御部207は、通路等に設置されたカメラ装置から画像データを取得する。エレベータ制御部207は、当該画像データから顔画像を抽出する。エレベータ制御部207は、当該顔画像から特徴量(複数の特徴量からなる特徴ベクトル)を生成する。
【0124】
エレベータ制御部207は、当該生成した特徴量と予定情報データベースに登録された特徴量を用いて1対N照合(Nは正の整数、以下同じ)を実行する。エレベータ制御部207は、1対N照合により、画像データに写る利用者の生体情報と実質的に一致する特徴量を持つエントリを特定する。
【0125】
なお、エレベータ制御部207による顔画像の抽出処理、特徴量の生成処理、1対N照合処理は既存の技術を用いることができ、且つ、当業者にとって明らかであるので詳細な説明を省略する。
【0126】
エレベータ制御部207は、特定したエントリの予定フィールドに値が設定されている場合には、利用者はエレベータを利用して移動するものと判断する。エレベータ制御部207は、想定される利用者の移動に適合するようにエレベータの制御(エレベータの呼び出し)を行う。
【0127】
利用者が上階に移動すると想定される場合には、エレベータ制御部207は、上ボタンが押下された場合と等価となるようにエレベータを制御する。利用者が下階に移動すると想定される場合には、エレベータ制御部207は、下ボタンが押下された場合と等価となるようにエレベータを制御する。
【0128】
なお、エレベータ制御部207によるエレベータ制御の詳細な説明は省略する。当該エレベータ制御の実現は、既存のエレベータ制御システムに、呼び出しボタン(上ボタン、下ボタン)押下を入力するインターフェイス(API;Application Programming Interface)を設けることで実現できる。
【0129】
エレベータ制御部207は、予定情報の時刻情報を用いてエレベータを制御してもよい。例えば、エレベータ制御部207は、現在時刻と予定の開始時刻を比較し、現在時刻が開始時刻の所定期間前(例えば、5分前)である場合や現在時刻が開始時刻を過ぎている場合に、エレベータの呼び出し制御を行ってもよい。
【0130】
サーバ装置10は、エレベータの制御とサイネージ20の制御を連携させてもよい。例えば、エレベータ制御部207が、エレベータの呼び出し制御を行った場合、エレベータが呼び出された事実がサイネージ20を通じてフロアー滞在者に周知されてもよい。この場合、移動時参考情報生成部203は、サイネージ20が「エレベータ呼び出し中」といった表示を行えるような情報をサイネージ20に送信する。この場合、サイネージ20は、呼び出しボタン(上ボタン、下ボタン)が光っているような表示を行う。このように、エレベータ制御部207が顔認証と利用者の予定情報に基づいてエレベータ利用者を特定し、エレベータの呼び出しを周知するような表示(例えば、呼び出しボタンを光らせるような表示)がサイネージ20にて行われてもよい。あるいは、エレベータ呼び出しの契機となった人物(顔認証により特定された利用者)の氏名等がサイネージ20に表示されてもよい。
【0131】
画像データから複数の利用者を抽出し、各利用者が予定を有している場合には、エレベータ制御部207は、予定開始までの時間に応じて呼び出すエレベータの行き先を決定してもよい。例えば、利用者Aと利用者Bが画像データに含まれ、利用者Aの会議が利用者Bの会議よりも先に始まる場合には、エレベータ制御部207は、時間的に余裕のない利用者Aの移動を優先するようにエレベータを制御する。
【0132】
エレベータ制御部207は、通路に設置されたカメラ装置から得られる画像データだけでなく、他のカメラ装置から得られる画像データを使用してもよい。例えば、サイネージ20にカメラ装置が設置されている。エレベータ制御部207は、サイネージ20のカメラ装置から利用者の認証(特定)を行い、当該利用者の予定を確認する。エレベータ制御部207は、当該利用者の予定を確認した結果、エレベータが利用されると判断すればエレベータを呼び出す。エレベータの利用予定がない、あるいは、予定開始時刻まで時間がある利用者に関しては、移動時参考情報生成部203は、これらの利用者を引き留めておくためにサイネージ20にコンテンツ(例えば、ニュースなど)を表示してもよい。
【0133】
以上のように、第4の実施形態に係るサーバ装置10は、エレベータホールに向かう利用者が写る画像データからエレベータホールに向かう利用者を特定する。サーバ装置10は、当該特定された利用者の予定情報に基づいて、エレベータの呼び出しを制御する。即ち、サーバ装置10は、生体認証(顔認証)を用いてエレベータホールに向かう利用者を特定する。サーバ装置10は、当該特定した利用者の予定情報を参照し、利用者がエレベータを利用して移動すると判断した場合には、エレベータを呼び出す。その結果、利用者がエレベータホールで待機する時間が短縮され、企業等の生産効率の向上が期待できる。
【0134】
続いて、情報通知システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図17は、サーバ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0135】
サーバ装置10は、図17に例示する構成を備える。例えば、サーバ装置10は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0136】
但し、図17に示す構成は、サーバ装置10のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。サーバ装置10は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス313を備えていなくともよい。また、サーバ装置10に含まれるプロセッサ311等の数も図17の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311がサーバ装置10に含まれていてもよい。
【0137】
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
【0138】
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
【0139】
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0140】
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、NIC(Network Interface Card)等を備える。
【0141】
サーバ装置10の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
【0142】
なお、サイネージ20もサーバ装置10と同様に構成可能であり、その基本的なハードウェア構成はサーバ装置10と相違する点はないので説明を省略する。
【0143】
サーバ装置10は、コンピュータを搭載し、当該コンピュータにプログラムを実行させることでサーバ装置10の機能が実現できる。また、サーバ装置10は、当該プログラムによりサーバ装置の制御方法を実行する。
【0144】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した情報通知システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。
【0145】
例えば、サーバ装置10とサイネージ20が統合され、当該統合された一台の装置が移動時参考情報をオフィス内の従業員等に通知してもよい。
【0146】
上記実施形態では、1台のエレベータが稼働する場合を想定して説明したが、2台以上のエレベータが稼働している場合にも同様にエレベータ情報を生成すればよい。例えば、1か所のエレベータホールに複数のエレベータが到着する場合には、サーバ装置10は、第2の実施形態にて説明した上り用と下り用のエレベータ待ち時間算出処理を並行して実行すればよい。
【0147】
複数のエレベータが稼働する場合には、サーバ装置10は、各エレベータについてのエレベータ情報、移動時参考情報を生成してもよい。
【0148】
サイネージ20は、時間帯に応じて表示する移動時参考情報の内容を変更してもよい。例えば、昼食時や帰宅時間帯等のエレベータ利用が増加すると想定される時間帯では、サイネージ20は、エレベータ情報を中心に表示する。対して、エレベータが混み合わないと想定される時間帯では、サイネージ20は、交通情報や天気情報等を中心に表示する。
【0149】
上記実施形態では、サーバ装置10がサイネージ20に移動時参考情報を送信する場合について説明したが、サーバ装置10は従業員等が使用する端末(例えば、パーソナルコンピューター、スマートフォン等)に当該情報を送信してもよい。
【0150】
第2の実施形態では、複数のカメラ装置を用いてエレベータの待ち時間を計算する場合について説明した。しかし、1台のカメラ装置30によりエレベータ情報の算出に必要な画像データを取得できる場合には、複数のカメラ装置は不要である。
【0151】
上記実施形態ではエレベータホールに設置されたカメラ装置から得られる画像データを解析することで、エレベータ情報を生成する場合について説明した。サーバ装置10は、画像データの解析に替えて、又は、加えてエレベータ制御システムから得られる情報に基づきエレベータ情報を生成してもよい。即ち、サーバ装置10は、エレベータ制御システムと連動(連携、協働)してエレベータ情報を生成してもよい。例えば、サーバ装置10は、画像データを解析することで利用者が呼び出しボタンを押下したか否かを判定するのではなく、エレベータ制御システムからのボタン押下通知を利用してもよい。例えば、呼び出しボタンの近傍(例えば、呼び出しボタンの真上)にカメラ装置が設置される。サーバ装置10は、エレベータ制御システムからボタンが押下された旨の通知を受信すると、上記ボタンの近傍に設置されたカメラ装置に利用者の撮影を指示する。サーバ装置10は、得られた画像データに写る人物をボタン押下者に設定する。このように、サーバ装置10とエレベータ制御システムが連携することで、ボタン押下者を正確に特定することができる。
【0152】
上記実施形態では、カメラ装置30-2と鏡を使ってボタン押下者を特定する場合について説明したが、鏡を使用することなく1つのカメラ装置によりボタン押下者を特定することもできる。具体的には、呼び出しボタンの側にカメラ装置を設置し、利用者を撮影する。サーバ装置10は、当該カメラ装置から得られる画像に対してテンプレートマッチング処理を実行し、腕を伸ばして呼び出しボタンを押すような姿勢の人物を特定する。サーバ装置10は、予め定められた姿勢の人物をボタン押下者と扱ってもよい。
【0153】
上記説明で用いた流れ図(フローチャート、シーケンス図)では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0154】
上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。
【0155】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、企業等の情報通知システムなどに好適に適用可能である。
【0156】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する、第1の生成部と、
少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する、第2の生成部と、
前記生成された移動時参考情報をサイネージに出力する、出力部と、
を備える、サーバ装置。
[付記2]
前記第1の生成部は、前記エレベータの待ち時間と、前記エレベータの到着を待つ待機者数と、を含む前記エレベータ情報を生成する、付記1に記載のサーバ装置。
[付記3]
前記第1の生成部は、エレベータホールに利用者が現れると、前記待ち時間の計測を開始し、前記エレベータホールに存在する利用者数が減少すると前記待ち時間の計測を終了する、付記2に記載のサーバ装置。
[付記4]
前記第1の生成部は、
前記エレベータを呼び出すための呼び出しボタンが押下されると前記呼び出しボタンの押下者を特定すると共に、前記待ち時間の計測を開始し、
前記呼び出しボタンの押下者がエレベータホールに到着した前記エレベータに乗り込むと前記待ち時間の計測を終了する、付記2に記載のサーバ装置。
[付記5]
前記第2の生成部は、前記エレベータ情報に含まれる前記待ち時間、前記待機者数に対して統計処理を行い、前記統計処理の結果に基づき前記移動時参考情報を生成する、付記2乃至4のいずれか一に記載のサーバ装置。
[付記6]
前記第2の生成部は、前記待ち時間、前記待機者数に関する平均値を算出する、付記5に記載のサーバ装置。
[付記7]
外部のサーバから外部情報を取得する、外部情報取得部をさらに備え、
前記第2の生成部は、前記エレベータ情報及び前記外部情報の少なくとも一方を用いて前記移動時参考情報を生成する、付記1乃至6のいずれか一に記載のサーバ装置。
[付記8]
前記外部情報取得部は、気象情報、天気情報、災害情報及び交通情報のうち少なくとも1以上の情報を前記外部情報として取得する、付記7に記載のサーバ装置。
[付記9]
エレベータホールに向かう利用者が写る画像データから前記エレベータホールに向かう利用者を特定すると共に、前記特定された利用者の予定情報に基づいて、前記エレベータの呼び出しを制御する、エレベータ制御部をさらに備える、付記1に記載のサーバ装置。
[付記10]
外部から取得した情報を表示する、サイネージと、
前記サイネージに接続されたサーバ装置と、
を含み、
前記サーバ装置は、
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する、第1の生成部と、
少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する、第2の生成部と、
前記生成された移動時参考情報を前記サイネージに出力する、出力部と、
を備える、システム。
[付記11]
前記サイネージは、前記エレベータの利用状況を示すアイコンを生成し、前記生成されたアイコンを表示する、付記9に記載のシステム。
[付記12]
前記サイネージは、前記エレベータの利用状況を複数の段階に区分し、前記複数の段階それぞれに対応したアイコンを生成する、付記10に記載のシステム。
[付記13]
前記サイネージは、前記エレベータの利用状況を複数の段階に区分し、前記複数の段階それぞれに対応したアニメーションを生成し、前記生成されたアニメーションを再生する付記9に記載のシステム。
[付記14]
サーバ装置において、
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成し、
少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成し、
前記生成された移動時参考情報をサイネージに出力する、サーバ装置の制御方法。
[付記15]
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
少なくとも1以上のカメラ装置から得られる画像データを解析し、エレベータの利用状況に関するエレベータ情報を生成する処理と、
少なくとも前記生成されたエレベータ情報に基づき、利用者が移動する際に参考にする移動時参考情報を生成する処理と、
前記生成された移動時参考情報をサイネージに出力する処理と、
を実行させるためのプログラムを記憶する、コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【0157】
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0158】
10、100 サーバ装置
20 サイネージ
30、30-1~30-3 カメラ装置
101 第1の生成部
102 第2の生成部
103 出力部
201、301 通信制御部
202 エレベータ情報生成部
203 移動時参考情報生成部
204、303 記憶部
205 外部情報取得部
206 利用者情報取得部
207 エレベータ制御部
302 移動時参考情報出力部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス
図1
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