(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240214BHJP
【FI】
G06T7/00 600
(21)【出願番号】P 2022553373
(86)(22)【出願日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2020037414
(87)【国際公開番号】W WO2022070381
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和幸
【審査官】藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204293(JP,A)
【文献】特開2008-078949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成手段と、
前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定手段と
を備え
、
前記判定手段は、前記影が前記画像に写り込んでいる場合に、前記身分証明書が本物であると判定する、証明書判定装置。
【請求項2】
前記影情報は、前記影の有無に関する情報を含み、
前記判定手段は
、前記影が前記画像に写り込んでいない場合に、前記身分証明書が本物でないと判
定する
請求項1に記載の証明書判定装置。
【請求項3】
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
前記影情報は、前記影の長さに関する情報を含み、
前記画像に基づいて、前記身分証明書が撮像された時点での前記身分証明書と前記光源及び前記撮像装置の夫々との位置関係を算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、
(i)前記位置関係が所定関係となる状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを示す推定長さデータに基づいて、前記算出手段が算出した位置関係が成立している状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを推定し、
(ii)前記推定された影の長さと前記影情報が示す前記影の長さとを比較することで、前記身分証明書が本物であるか否かを判定する
請求項1又は2に記載の証明書判定装置。
【請求項4】
前記判定手段は、(i)前記推定された影の長さと前記影情報が示す前記影の長さとの差分である第1差分が第1許容量よりも大きい場合に、前記身分証明書が本物でないと判定し、(ii)前記第1差分が前記第1許容量以下の第2許容量よりも小さい場合に、前記身分証明書が本物であると判定する
請求項3に記載の証明書判定装置。
【請求項5】
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
前記影情報は、前記影の長さに関する情報を含み、
前記画像に基づいて、前記身分証明書が撮像された時点での前記身分証明書と前記光源との位置関係を算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、
(i)前記位置関係が所定関係となる状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを示す推定長さデータに基づいて、前記影情報が示す長さの影が前記画像に写り込んでいると仮定した場合に成立する前記位置関係を推定し、
(ii)前記推定された位置関係と前記算出手段が算出した位置関係とを比較することで、前記身分証明書が本物であるか否かを判定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の証明書判定装置。
【請求項6】
前記判定手段は、(i)前記推定された位置関係と前記算出手段が算出した位置関係との差分である第2差分が第3許容量よりも大きい場合に、前記身分証明書が本物でないと判定し、(ii)前記第2差分が前記第3許容量以下の第4許容量よりも小さい場合に、前記身分証明書が本物であると判定する
請求項5に記載の証明書判定装置。
【請求項7】
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
前記生成手段は、前記身分証明書を前記撮像装置が撮像する動作と、前記身分証明書と前記光源及び前記撮像装置の少なくとも一方との位置関係を変更する動作とを繰り返すことで生成される複数の画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記影の変化に関する情報を前記影情報として生成する
請求項1から6のいずれか一項に記載の証明書判定装置。
【請求項8】
前記画像に基づいて、前記身分証明書が撮像された時点での前記身分証明書と前記光源及び前記撮像装置の夫々との位置関係を算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、
(i)前記位置関係が所定関係となる状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを示す推定長さデータと、前記算出手段が算出した位置関係とに基づいて、前記複数の画像の間での前記影の変化を推定し、
(ii)前記推定された影の変化と前記影情報が示す前記影の変化とを比較することで、前記身分証明書が本物であるか否かを判定する
請求項7に記載の証明書判定装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する証明書判定方法であって、
身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成することと、
前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定することと
を含
み、
前記判定することは、前記影が前記画像に写り込んでいる場合に、前記身分証明書が本物であると判定する、証明書判定方法。
【請求項10】
コンピュータに証明書判定方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記証明書判定方法は、
身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成することと、
前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定することと
を含
み、
前記判定することは、前記影が前記画像に写り込んでいる場合に、前記身分証明書が本物であると判定する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像に写り込んだ身分証明書が本物であるか否かを判定可能な証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの身分証明書を撮像することで得られる画像を用いてユーザの身分を証明する方法が、様々な分野において採用されている。一例として、オンラインで携帯電話の回線を契約する際に、契約者の身分証明書の画像の送付を契約者に対して要求し、送付された画像に写り込んだ身分証明書を用いて契約者の身分を証明する方法が採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ユーザの身分を適切に証明するためには、画像に写り込んだ身分証明書が本物であるか否かを適切に判定することが望まれる。つまり、ユーザの身分を証明するために用いる画像が、本物の身分証明書を撮像することで生成された画像であるか又は偽物の身分証明書(例えば、身分証明書がコピーされた文書)を撮像することで生成された画像であるかを適切に判定することが望まれる。しかしながら、現状では、人が画像を目視で確認することで画像に写り込んだ身分証明書が本物であるか否かを判定している。このため、画像に写り込んだ身分証明書が本物であるか否かを判定するためのコストが相対的に高くなるという技術的問題が生ずる。
【0004】
本開示は、上述した技術的問題を解決可能な証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体を提供することを課題とする。一例として、本開示は、相対的に低いコストで画像に写り込んだ身分証明書が本物であるか否かを判定可能な証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の証明書判定装置の一態様は、身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成手段と、前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定手段とを備える。
【0006】
本開示の証明書判定方法の一態様は、身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成工程と、前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定工程とを含む。
【0007】
本開示の記録媒体の一態様は、コンピュータに証明書判定方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体であって、前記証明書判定方法は、身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成工程と、前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の証明書判定システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、身分証明書を撮像する光源及びカメラの一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、証明書画像の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の判定サーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の判定サーバが行う証明書判定動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、光源によって照明されている偽物の身分証明書を示す側面図である。
【
図7】
図7は、光源によって照明されている本物の身分証明書を示す側面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の判定サーバの構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、カメラ角度及び光源角度を示す側面図である。
【
図10】
図10は、影長DBのデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の判定サーバが行う証明書判定動作の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、カメラ角度が相対的に大きい状況下で生成される証明書画像を示す平面図である。
【
図13】
図13は、カメラ角度が相対的に小さい状況下で生成される証明書画像を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本物の身分証明書の影の長さを示す側面図である。
【
図15】
図15は、偽物の身分証明書の影の長さを示す側面図である。
【
図16】
図16は、影が延びる方向が変化する様子を示す平面図である。
【
図17】
図17は、第1変形例における影長DBのデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態の判定サーバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体の実施形態について説明する。以下では、証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体の実施形態が適用された証明書判定システムSYSについて説明する。
【0010】
(1)第1実施形態の証明書判定システムSYS
はじめに、第1実施形態の証明書判定システムSYSについて説明する。以下の説明では、第1実施形態の証明書判定システムSYSを、“証明書判定システムSYSa”と称する。
【0011】
(1-1)第1実施形態の証明書判定システムSYSaの構成
はじめに、
図1を参照しながら、第1実施形態の証明書判定システムSYSaの構成について説明する。
図1は、第1実施形態の証明書判定システムSYSaの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、証明書判定システムSYSaは、光源1と、「撮像装置」の一具体例であるカメラ2と、「証明書判定装置」の一具体例である判定サーバ3とを備える。光源1及びカメラ2の少なくとも一方は、通信ネットワーク(或いは、任意の制御ライン)4を介して判定サーバ3と通信可能である。通信ネットワーク4は、有線の通信ネットワークを含んでいてもよいし、無線の通信ネットワークを含んでいてもよい。
【0013】
光源1及びカメラ2は、ユーザの身分証明書5(
図2参照)を撮像するために用いられる。第1実施形態では、身分証明書5は、ユーザの身分(言い換えれば、身元又は本人性)を照明するために利用可能な物理的な文書を意味していてもよい。身分証明書の5の一例として、運転免許証、パスポート(旅券)、保険証、個人番号カード及びIDカードの少なくとも一つがあげられる。
【0014】
身分証明書5を撮像する光源1及びカメラ2の一例が、
図2に示されている。
図2に示すように、光源1は、照明光ILで身分証明書5を照明する。カメラ2は、光源1からの照明光ILで照明された身分証明書5を撮像する。その結果、カメラ2は、身分証明書5が写り込んだ画像(以下、適宜“証明書画像21”と称する)を生成する。カメラ2は、生成した証明書画像21を、通信ネットワーク4を介して判定サーバ3に送信する。
【0015】
光源1とカメラ2との位置関係は、固定されていることが好ましい。つまり、光源1とカメラ2との位置関係は、変化しないことが好ましい。この場合、光源1とカメラ2との位置関係は、判定サーバ3にとって既知の情報であることが好ましい。光源1とカメラ2との位置関係が固定されている場合、単一の装置が光源1及びカメラ2を備えていてもよい。つまり、単一の装置が備える光源及びカメラが、光源1及びカメラ2として用いられてもよい。一例として、スマートフォン又はタブレット端末が備える光源及びカメラが、光源1及びカメラ2として用いられてもよい。
【0016】
但し、光源1とカメラ2との位置関係は固定されていなくてもよい。つまり、光源1とカメラ2との位置関係は、変化してもよい。この場合においても、光源1とカメラ2との位置関係は、判定サーバ3にとって既知の情報であることが好ましい。つまり、光源1とカメラ2との位置関係が変化した場合には、判定サーバ3は、変化後の光源1とカメラ2との位置関係を特定できることが好ましい。
【0017】
判定サーバ3は、証明書画像21に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定するための証明書判定動作を行う。具体的には、判定サーバ3は、証明書画像21に基づいて、証明書画像21が、本物の身分証明書5(以降、適宜、“身分証明書5_real”と称する)を撮像することで生成された画像であるか又は偽物の身分証明書5(以降、適宜、“身分証明書5_fake”と称する)を撮像することで生成された画像であるかを判定する。尚、第1実施形態における本物の身分証明書5_realは、身分証明書5そのもの(言い換えれば、身分証明書5の原本)を意味していてもよい。一方で、第1実施形態における偽物の身分証明書5_fakeは、身分証明書5そのものではないものの身分証明書5を模したものを意味していてもよい。身分証明書5_fakeの一例として、身分証明書5_realがコピーされた文書及び身分証明書5_realが写り込んだ画像が表示されたディスプレイの少なくとも一方があげられる。
【0018】
第1実施形態では特に、判定サーバ3は、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の影51に関する影情報を生成し、生成した影情報に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する。具体的には、上述した
図2に示すように、光源1が身分証明書5_realを照明光ILで照明している場合には、通常、身分証明書5_realの影51が生ずる。その結果、証明書画像21の一例である
図3に示すように、身分証明書5_realが写り込んだ証明書画像21には、身分証明書5_realの影51もまた写り込んでいる。一方で、身分証明書5_fakeは、一般的には、身分証明書5_realと比較して、厚みが異なることが多い。例えば、上述したように身分証明書5_realがコピーされた文書が身分証明書5_fakeとして用いられる場合には、身分証明書5_fakeの厚みは、身分証明書5_realの厚みよりも薄い。その結果、光源1が身分証明書5_fakeを照明光ILで照明している場合に生ずる身分証明書5_fakeの影51の状態は、光源1が身分証明書5_realを照明光ILで照明している場合に生ずる身分証明書5_fakeの影51の状態と異なる可能性が高くなる。このため、判定サーバ3は、影情報に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定可能である。
【0019】
このような証明書判定動作を行う判定サーバ3の構成の一例が
図4に示されている。
図4に示すように、判定サーバ3は、演算装置31と、記憶装置32と、通信装置33とを備えている。演算装置31と、記憶装置32と、通信装置33とは、データバス34を介して接続されている。
【0020】
演算装置31は、例えば、CPU(Central Proecssing Unit)を含む。演算装置31は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、演算装置31は、記憶装置32が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、演算装置31は、コンピュータで読み取り可能であって且つ一時的でない記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。演算装置31は、通信装置33を介して、判定サーバ3の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。演算装置31は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、演算装置31内には、判定サーバ3が行うべき動作(例えば、上述した証明書判定動作)を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、演算装置31は、判定サーバ3が行うべき動作を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0021】
図4には、証明書判定動作を実行するために演算装置31内に実現される論理的な機能ブロックの一例が示されている。
図4に示すように、演算装置31内には、画像解析部311と、「判定手段」の一具体例である判定部312とが実現されている。更に、画像解析部311は、論理的な機能ブロックとして、「生成手段」の一具体例である影検出部313が実現されている。尚、画像解析部311及び判定部312の動作については、
図5等を参照しながら後に詳述する。
【0022】
記憶装置32は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置32は、演算装置31が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置32は、演算装置31がコンピュータプログラムを実行している際に演算装置31が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置32は、判定サーバ3が長期的に保存するデータを記憶してもよい。尚、記憶装置32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0023】
通信装置33は、通信ネットワーク4を介して光源1及びカメラ2の少なくとも一方と通信可能である。例えば、通信装置33は、通信ネットワーク4を介してカメラ2から送信される証明書画像21を受信してもよい。
【0024】
(1-2)判定サーバ3が行う証明書判定動作
続いて、
図5を参照しながら、第1実施形態の判定サーバ3が行う証明書判定動作について説明する。
図5は、第1実施形態の判定サーバ3が行う証明書判定動作の流れを示すフローチャートである。
【0025】
図5に示すように、画像解析部311は、通信装置33を用いて、通信ネットワーク4を介してカメラ2から送信される証明書画像21を取得する(ステップS11)。
【0026】
その後、画像解析部311の影検出部313は、ステップS11で取得された証明書画像21に基づいて、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の影51を検出する(ステップS12)。具体的には、影検出部313は、証明書画像21を解析することで、証明書画像21のうち身分証明書5が写り込んだ画像領域(以降、“証明書領域22”と称する、
図3参照)を特定する。その後、影検出部313は、証明書画像21を解析することで、証明書領域22から外側に向かって延びており且つ身分証明書5の影51が写り込んだ画像領域(以降、“影領域23”と称する、
図3参照)が存在するか否かを判定する。影領域23が存在する場合には、影検出部313は、証明書画像21に身分証明書5の影51が写り込んでいると判定する。他方で、影領域23が存在しない場合には、影検出部313は、証明書画像21に身分証明書5の影51が写り込んでいないと判定する。ステップS12における影検出部313による影51の検出結果は、影情報として、影検出部313から判定部312に出力される。つまり、第1実施形態では、証明書画像21における影51の有無に関する情報を含む影情報が、影検出部313から判定部312に出力される。
【0027】
その後、判定部312は、影情報に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、上述したように、身分証明書5_fakeの厚みは、身分証明書5_realの厚みよりも薄い(特に、ずっと薄い)可能性が相対的に高い。このため、光源1によって照明されている身分証明書5_fakeを示す側面図である
図6に示すように、光源1が身分証明書5_fakeを照明光ILで照明している場合には、身分証明書5_fakeの影51が殆ど生じない可能性が高い。その結果、身分証明書5_fakeが写り込んでいる証明書画像21には、身分証明書5_fakeの影51が写り込んでない可能性が高い。一方で、光源1によって照明されている身分証明書5_realを示す側面図である
図7に示すように、光源1が身分証明書5_realを照明光ILで照明している場合には、身分証明書5_fakeの影51が生ずる可能性が高い。なぜならば、身分証明書5_realは、一定の厚みを有しているからである。その結果、身分証明書5_realが写り込んでいる証明書画像21には、身分証明書5_realの影51が写り込んでいる可能性が高い。そこで、判定部312は、影情報に基づいて、影51が証明書画像21に写り込んでいない場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が偽物であると判定してもよい。つまり、判定部312は、証明書画像21には、身分証明書5_fakeが写り込んでいると判定してもよい。一方で、判定部312は、影情報に基づいて、影51が証明書画像21に写り込んでいる場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であると判定してもよい。つまり、判定部312は、証明書画像21には、身分証明書5_realが写り込んでいると判定してもよい。
【0028】
(1-3)証明書判定システムSYSaの技術的効果
以上説明したように、第1実施形態の証明書判定システムSYSa(特に、判定サーバ3)は、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の影51の有無に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定することができる。このため、人が証明書画像21を目視で確認することで証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する場合と比較して、証明書判定システムSYSa(特に、判定サーバ3)は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを、相対的に低いコストで判定することができる。
【0029】
(2)第2実施形態の証明書判定システムSYS
続いて、第2実施形態の証明書判定システムSYSについて説明する。以下の説明では、第2実施形態の証明書判定システムSYSを、“証明書判定システムSYSb”と称する。
【0030】
(2-1)第2実施形態の証明書判定システムSYSbの構成
第2実施形態の証明書判定システムSYSbは、第1実施形態の証明書判定システムSYSaと比較して、判定サーバ3に代えて判定サーバ3bを備えているという点で異なる。証明書判定システムSYSbのその他の特徴は、証明書判定システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。
【0031】
判定サーバ3bは、判定サーバ3と同様に、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の影51に関する影情報を生成し、生成した影情報に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定するための証明書判定動作を行う。但し、判定サーバ3bは、身分証明書5の影51の長さLに関する情報を含む影情報を生成するという点で、身分証明書5の影51の有無に関する情報を含む影情報を生成する判定サーバ3とは異なる。判定サーバ3bのその他の特徴は、判定サーバ3のその他の特徴と同一であってもよい。このため、以下では、
図8を参照しながら、判定サーバ3bと判定サーバ3との相違点を中心に第2実施形態の判定サーバ3bについて説明する。
図8は、第2実施形態の判定サーバ3bの構成を示すブロック図である。
【0032】
図8に示すように、判定サーバ3bは、判定サーバ3と比較して、画像解析部311に代えて画像解析部311bが演算装置31内に実現されるという点で異なる。更に、判定サーバ3bは、判定サーバ3と比較して、「推定長さデータ」の一具体例である影長DB321bを記憶装置32が記憶しているという点で異なる。判定サーバ3bのその他の構成は、判定サーバ3のその他の構成と同一であってもよい。
【0033】
画像解析部311bは、画像解析部311と比較して、影検出部313に代えて、証明書特定部314bと、「算出手段」の一具体例であるカメラ角度算出部315bと、「算出手段」の一具体例である光源角度算出部316bと、「生成手段」の一具体例である影長算出部317bとを備えているという点で異なる。尚、証明書特定部314b、カメラ角度算出部315b、光源角度算出部316b及び影長算出部317bの動作については、
図10等を参照しながら後に詳述するが、以下にその概要について説明する。証明書特定部314bは、証明書画像21に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5の種類を特定する。カメラ角度算出部315bは、証明書画像21に基づいて、身分証明書5に対するカメラ2の角度(以降、“カメラ角度θc”と称する)を算出する。光源角度算出部316bは、証明書画像21に基づいて、身分証明書5に対する光源1の角度(以降、“光源角度θo”と称する)を算出する。影長算出部317bは、証明書画像21に基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5の影51の長さLを算出する。判定部312は、カメラ角度算出部315bが算出したカメラ角度θc、光源角度算出部316bが算出した光源角度θo及び影長算出部317bが算出した影51の長さLに基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する。
【0034】
カメラ角度θcは、カメラ2と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表すパラメータ(言い換えれば、指標)である。カメラ角度θcの一例が、
図9に示されている。
図9に示すように、カメラ角度θcは、例えば、カメラ2から延びるカメラ軸ACと身分証明書5の表面とがなす角度を示していてもよい。カメラ角度θcは、例えば、カメラ軸ACと身分証明書5の表面に沿った軸(例えば、身分証明書5の短辺及び長辺のいずれか一方に沿った軸)とが垂直方向においてなす角度(
図9参照)と、カメラ軸ACと身分証明書5の表面に沿った軸とが水平方向においてなす角度(
図9には不図示)との少なくとも一方を示していてもよい。カメラ軸ACは、カメラ2から身分証明書5の所定の位置(
図9に示す例では、身分証明書5の上端)に向かって延びる軸であってもよい。カメラ軸ACは、カメラ2が備える光学系(例えば、レンズ)の光軸に沿った軸であってもよい。
【0035】
光源角度θoは、光源1と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表すパラメータ(言い換えれば、指標)である。光源角度θoの一例が、
図9に示されている。
図9に示すように、光源角度θoは、例えば、光源1から延びる光源軸OCと身分証明書5の表面とがなす角度を示していてもよい。光源角度θoは、例えば、光源軸OCと身分証明書5の表面に沿った軸(例えば、身分証明書5の短辺及び長辺のいずれか一方に沿った軸)とが垂直方向においてなす角度(
図9参照)と、光源軸OCと身分証明書5の表面に沿った軸とが水平方向においてなす角度(
図9には不図示)との少なくとも一方を示していてもよい。光源軸OCは、光源1から身分証明書5の所定の位置(
図9に示す例では、身分証明書5の上端)に向かって延びる軸であってもよい。光源軸OCは、光源1が備える光学系(例えば、レンズ)の光軸に沿った軸であってもよい。光源軸OCは、光源1から射出される照明光ILの進行方向に沿った軸であってもよい。
【0036】
影長DB321bは、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定するために判定部312によって参照されるデータベースである。具体的には、影長DB321bは、カメラ角度算出部315bが算出したカメラ角度θc及び光源角度算出部316bが算出した光源角度θoから、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5の影51の長さLを推定するために用いられる。このため、影長DB321bは、カメラ角度θc及び光源角度θoと影51の長さLとの関係を示すデータベースである。影長DB321bのデータ構造の一例が
図10に示されている。
図10に示すように、影長DB321bは、複数のレコードデータ322bを含む。各レコードデータ322bは、カメラ角度θcが所定の第1角度であり且つ光源角度θoが所定の第2角度である状況下で光源1によって照明された本物の身分証明書5_realをカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の長さLを、カメラ角度θc及び光源角度θoと関連付けている。つまり、各レコードデータ322bは、光源角度θoが所定の第2角度となるように配置された光源1によって照明された身分証明書5_realをカメラ角度θcが所定の第2角度となるように配置されたカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の理論上の(言い換えれば、設計上の)長さLを、カメラ角度θc及び光源角度θoと関連付けている。
図10に示す例では、影長DB321bは、例えば、(i)光源角度θoが角度a2となるように配置された光源1によって照明された身分証明書5_realを、カメラ角度θcが角度a1となるように配置されたカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の長さLがa4であることを示すレコードデータ322bと、(ii)光源角度θoが角度b2となるように配置された光源1によって照明された身分証明書5_realを、カメラ角度θcが角度b1となるように配置されたカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の長さLがb4であることを示すレコードデータ322bとを含んでいる。
【0037】
身分証明書5_realの影51の長さLは、光源角度θo及びカメラ角度θcに加えて、光源1とカメラ2との間の距離(つまり、間隔)Dにも依存して変わる可能性がある。このため、各レコードデータ322bは、カメラ角度θcが所定の第1角度であり、光源角度θoが所定の第2角度であり且つ光源1とカメラ2との間の距離Dが所定の距離である状況下で光源1によって照明された本物の身分証明書5_realをカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の長さLを、カメラ角度θc、光源角度θo及び光源1とカメラ2との間の距離Dと関連付けていてもよい。尚、第2実施形態における「距離」は、互いに直交するXYZ座標系におけるX軸に沿った距離、Y軸に沿った距離及びZ軸に沿った距離の少なくとも一つを含んでいてもよい。
図10に示す例では、影長DB321bは、例えば、(i)光源角度θoが角度a2となるように配置された光源1によって照明された身分証明書5_realを、カメラ角度θcが角度a1となり且つ光源1から距離a3だけ離れるように配置されたカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の長さLがa4であることを示すレコードデータ322bと、(ii)光源角度θoが角度b2となるように配置された光源1によって照明された身分証明書5_realを、カメラ角度θcが角度b1となり且つ光源1から距離b3だけ離れるように配置されたカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の長さLがb4であることを示すレコードデータ322bとを含んでいる。
【0038】
身分証明書5_realの影51の長さLは、光源角度θo及びカメラ角度θcに加えて、身分証明書5_realの厚みにも依存して変わる可能性がある。身分証明書5_realの厚みは、身分証明書5_realの種類に依存する。例えば、身分証明書5_realの一例である運転免許証の厚みは、身分証明書5_realの一例であるパスポートの厚みとは異なる。このため、影長DB321bは、身分証明書5_realの種類毎にレコードデータ322bを含んでいてもよい。つまり、影長DB321bは、第1の種類の身分証明書5_realの影51の長さを示すレコードデータ322bと、第1の種類とは異なる第2の種類の身分証明書5_realの影51の長さを示すレコードデータ322bとを含んでいてもよい。
図10に示す例では、影長DB321bは、身分証明書5_realの一例である運転免許証の影51の長さLを示すレコードデータ322bと、身分証明書5_realの一例であるパスポートの影51の長さLを示すレコードデータ322bとを含んでいる。
【0039】
判定部312は、このような影長DB321b、カメラ角度算出部315bが算出したカメラ角度θc及び光源角度算出部316bが算出した光源角度θoに基づいて、証明書画像21に写り込んでいるであろうと推定される身分証明書5の影51の長さL(つまり、影51の長さLの推定値)を推定する。つまり、判定部312は、証明書画像21に本物の身分証明書5_realが写り込んでいると仮定した場合に証明書画像21に写り込む影51の長さL(つまり、影51の長さLの推定値)を推定する。その後、判定部312は、判定部312が推定した影51の長さL(つまり、影51の長さLの推定値)と、影長算出部317bが算出した影51の長さL(つまり、影51の長さLの算出値)とに基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する。
【0040】
(2-2)判定サーバ3bが行う証明書判定動作
続いて、
図11を参照しながら、第2実施形態の判定サーバ3が行う証明書判定動作について説明する。
図11は、第2実施形態の判定サーバ3が行う証明書判定動作の流れを示すフローチャートである。
【0041】
図11に示すように、画像解析部311は、通信装置33を用いて、通信ネットワーク4を介してカメラ2から送信される証明書画像21を取得する(ステップS21)。
【0042】
その後、画像解析部311の証明書特定部314bは、ステップS11で取得された証明書画像21に基づいて、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の種類を特定する(ステップS22)。つまり、証明書特定部314bは、証明書画像21を解析することで、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の種類を特定する(ステップS22)。例えば、証明書特定部314bは、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の特性(例えば、大きさ、色及び形状の少なくとも一つ)に基づいて、身分証明書5の種類を特定してもよい。例えば、証明書特定部314bは、証明書画像21に対して、身分証明書5のフォーマットに準拠したテンプレートを用いたパターンマッチング処理を行うことで、身分証明書5の種類を特定してもよい。この際、証明書特定部314bは、第1実施形態の影検出部313と同様に、証明書画像21のうち身分証明書5が写り込んだ画像領域(つまり、証明書領域22)を特定してもよい。尚、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の種類が判定サーバ3にとって既知である場合には、画像解析部311は、身分証明書5の種類を特定しなくてもよい。この場合、画像解析部311は、証明書特定部314bを備えていなくてもよい。
【0043】
その後、影長算出部317bは、ステップS11で取得された証明書画像21に基づいて、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の影51の長さLを算出する(ステップS23)。具体的には、身分証明書5の大きさは、身分証明書5の種類に依存した固有値である。このため、身分証明書5の大きさは、影51の長さLを算出する際の基準長として用いることができる。そこで、まずは、影長算出部317bは、証明書特定部314bが特定した身分証明書5の種類に基づいて、身分証明書5の大きさ(例えば、長辺及び短辺の少なくとも一方の長さ)を特定する。身分証明書5の大きさは、証明書画像21中での証明書領域22の大きさと等価である。更に、影長算出部317bは、第1実施形態で説明した影検出部313と同様に、証明書領域22から外側に向かって延びる影が写り込んだ画像領域(つまり、影領域23)を検出する。その後、影長算出部317bは、検出した影領域23の大きさを、証明書領域22の大きさに基づいて算出する。影領域23の大きさは、例えば、証明書領域22に隣接する影領域23の一方の端部から、照明光ILの進行方向に沿って証明書領域22から離れた影領域23の他方の端部までの距離であってもよい。算出された影領域23の大きさは、影51の長さLとして用いられる。ステップS23における影長算出部317bによる影51の長さLの算出結果は、影情報として、影長算出部317bから判定部312に出力される。つまり、第2実施形態では、証明書画像21における影51の長さLに関する情報を含む影情報が、影長算出部317bから判定部312に出力される。
【0044】
ステップS23の動作と並行して又は相前後して、カメラ角度算出部315bは、ステップS11で取得された証明書画像21に基づいて、身分証明書5に対するカメラ2の角度(つまり、カメラ角度θc)を算出する(ステップS24)。具体的には、カメラ角度θcが変わると、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5の交差する二つの辺(例えば、長辺及び短辺)の長さの比が変わる。例えば、
図12は、カメラ軸ACと身分証明書5の表面とがなすカメラ角度θcが相対的に大きい状況下で生成される証明書画像21を示しており、
図13は、カメラ軸ACと身分証明書5の表面とがなすカメラ角度θcが相対的に小さい状況下で生成される証明書画像21を示している。
図12及び
図13に示すように、カメラ角度θcが小さくなるほど、身分証明書5の長辺(
図12及び
図13に示す例では、左右方向に延びる辺)に対する身分証明書5の短辺(
図12及び
図13に示す例では、上下方向に延びる辺)の比が小さくなる。このため、カメラ角度算出部315bは、身分証明書5の交差する二つの辺の長さの比に基づいて、カメラ角度θcを算出してもよい。ここで算出されるカメラ角度θcは、カメラ2が身分証明書5を撮像した時点でのカメラ角度θcに相当する。ステップS24において算出されたカメラ角度θcは、カメラ角度算出部315bから判定部312に出力される。
【0045】
その後、光源角度算出部316bは、ステップS24で特定されたカメラ角度θcに基づいて、身分証明書5に対する光源1の角度(つまり、光源角度θo)を算出する(ステップS25)。具体的には、上述したように光源1とカメラ2との位置関係が固定されている場合には、カメラ角度θcが決まると、光源角度θoもまた一義的に決まる。或いは、光源1とカメラ2との位置関係が固定されていない場合であっても、光源1とカメラ2との位置関係が判定サーバ3にとって既知の情報である場合には、カメラ角度θcが決まると、光源角度θoもまた一義的に決まる。このため、光源角度算出部316bは、カメラ角度θcに基づいて(更には、必要に応じて光源1とカメラ2との位置関係にも基づいて)、光源角度θoを算出することができる。ここで算出される光源角度θoは、カメラ2が身分証明書5を撮像した時点での光源角度θoに相当する。ステップS25において算出された光源角度θoは、光源角度算出部316bから判定部312に出力される。
【0046】
その後、判定部312は、ステップS24で算出されたカメラ角度θcと、ステップS25で算出された光源角度θoと、影長DB321bとに基づいて、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5の影51の長さLを推定する(ステップS26)。つまり、判定部312は、証明書画像21に本物の身分証明書5_realが写り込んでいると仮定した場合に証明書画像21に写り込む影51の長さL(つまり、影51の長さLの推定値)を推定する。具体的には、判定部312は、ステップS25で算出された光源角度θoに基づく位置に配置された光源1によって照明された本物の身分証明書5_realをステップS24で算出されたカメラ角度θcに基づく位置に配置されたカメラ2が撮像したと仮定した場合に、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51の理論上の(言い換えれば、設計上の)長さLを推定する。影51の長さLを推定するために、例えば、判定部312は、影長DB321bから、ステップS24で算出されたカメラ角度θc及びステップS25で算出された光源角度θoに対応するレコードデータ322bを抽出する。その後、判定部312は、抽出したレコードデータ322bが示す影51の長さLを、影51の長さLの推定値として用いる。
【0047】
尚、上述したようにレコードデータ322bが光源1とカメラ2との間の距離Dに関する情報を含んでいる場合には、判定部312は、光源1とカメラ2との間の距離Dを特定し、影長DB321bから、特定した距離Dに対応するレコードデータ322bを抽出してもよい。光源1とカメラ2との間の距離Dは、光源1とカメラ2との間の位置関係が固定されている場合には、固定値となる。一方で、光源1とカメラ2との間の位置関係が固定されていない場合には、光源1とカメラ2との間の距離Dは、可変値となる。但し、上述したように光源1とカメラ2との位置関係が判定サーバ3にとって既知の情報である場合には、判定サーバ3は、光源1とカメラ2との間の距離Dを特定することができる。
【0048】
その後、判定部312は、ステップS23で算出された影51の長さLの算出値と、ステップS26で推定された影51の長さLの推定値とに基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する(ステップS27)。具体的には、
図14に示すように、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物である(つまり、身分証明書5_realである)場合には、影51の長さLの算出値L1は、影51の長さLの推定値(つまり、理論上の長さL)と概ね同じような値になる。一方で、
図15に示すように、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない(つまり、身分証明書5_fakeである)場合には、影51の長さLの算出値L2は、影51の長さLの推定値(つまり、理論上の長さL)とは異なる値になる。なぜならば、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない場合には、影51の長さLの算出値は、身分証明書5_realとは厚みが異なる身分証明書5_fakeの影51の長さLを示すからである。従って、身分証明書5_fakeの影51の長さLの算出値L2は、身分証明書5_realの影51の長さL1(或いは、身分証明書5_realの影51の長さL1の理論値に相当する、影51の長さLの推定値)とは異なる値になる。このため、判定部312は、ステップS23で算出された影51の長さLの算出値とステップS26で推定された影51の長さLの推定値とを比較することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定することができる。例えば、判定部312は、影51の長さLの算出値と影51の長さLの推定値との差分が所定の第1許容量よりも大きい(つまり、影51の長さLの算出値が、影51の長さLの推定値と大きく異なる)場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でないと判定してもよい。例えば、判定部312は、影51の長さLの算出値と影51の長さLの推定値との差分が第1許容量以下の所定の第2許容量よりも小さい(つまり、影51の長さLの算出値が、影51の長さLの推定値と大きく異ならない又は概ね同じになる)場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であると判定してもよい。
【0049】
尚、第1及び第2許容量は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物である状態と、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない状態とを、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5の影51の長さLから区別可能な適切な値に設定されていてもよい。このような第1及び第2許容量は、実験又はシミュレーションによって設定されてもよい。第1許容量は、第2許容量と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0050】
(2-3)証明書判定システムSYSbの技術的効果
以上説明したように、第2実施形態の証明書判定システムSYSb(特に、判定サーバ3b)は、証明書画像21に写り込んだ身分証明書5の影51の長さLに基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定することができる。このため、人が証明書画像21を目視で確認することで証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する場合と比較して、証明書判定システムSYSb(特に、判定サーバ3b)は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを、相対的に低いコストで判定することができる。
【0051】
更には、第2実施形態では、証明書画像21に身分証明書5の影51が写り込んでいる場合であっても、証明書画像21に写り込んでいる影51の長さLが本物の身分証明書5_realの影51の長さLとは異なる場合には、判定サーバ3bは、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でないと判定する。このため、証明書判定システムSYSb(特に、判定サーバ3b)は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを、より高精度に判定することができる。
【0052】
(2-4)第2実施形態の証明書判定システムSYSbの変形例
続いて、第2実施形態の証明書判定システムSYSbの変形例について説明する。
【0053】
(2-4-1)第1変形例
第1変形例では、判定サーバ3bは、身分証明書5の影51の長さLの変化(典型的には、時系列変化)に関する情報を含む影情報を生成してもよい。具体的には、判定サーバ3bは、カメラ2から送信される複数の証明書画像21を取得する。複数の証明書画像21は、カメラ2が身分証明書5を撮像する動作と、身分証明書5と光源1及びカメラ2の少なくとも一方との位置関係を変更する動作とが繰り返されることで生成される。つまり、第1変形例では、身分証明書5と光源1及びカメラ2の少なくとも一方との位置関係が変更される都度、カメラ2が身分証明書5を撮像する。尚、複数の証明書画像21は、動画を構成する複数の画像であってもよい。その後、判定サーバ3bの影長算出部317bは、複数の証明書画像21の夫々に写り込んだ身分証明書5の影51の長さLを算出する。その結果、影長算出部317bは、影51の長さLの時系列変化を算出することができる。影長算出部317bによる影51の長さLの算出結果は、影情報として、影長算出部317bから判定部312に出力される。
【0054】
また、カメラ角度算出部315bは、複数の証明書画像21の夫々に基づいて、カメラ角度θcを算出する。その結果、カメラ角度算出部315bは、カメラ角度θcの時系列変化を算出する。同様に、光源角度算出部316bは、カメラ角度θcの時系列変化に基づいて、光源角度θoの時系列変化を算出する。
【0055】
その後、判定部312は、カメラ角度θcの時系列変化と、光源角度θoの時系列変化と、影長DB321bとに基づいて、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5の影51の長さLの時系列変化を推定する。つまり、判定部312は、証明書画像21に本物の身分証明書5_realが写り込んでいると仮定した場合に証明書画像21に写り込む影51の長さLの時系列変化(つまり、影51の長さLの時系列変化の推定値)を推定する。
【0056】
その後、判定部312は、影長算出部317bが算出した影51の長さLの時系列変化の算出値と判定部312が推定した影51の長さLの時系列変化の推定値とを比較することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する。つまり、第1変形例では、判定部312は、証明書画像21に実際に写り込んでいる影51の長さLの変化パターン(以降、“実変化パターン”と称する)と、証明書画像21に写り込んでいると推定される影51の長さLの変化パターン(以降、“推定変化パターン”と称する)とを比較することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定する。例えば、判定部312は、影51の長さLの実変化パターンと影51の長さLの推定変化パターンとの類似度が第1閾値よりも高い場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であると判定してもよい。例えば、判定部312は、影51の長さLの実変化パターンと影51の長さLの推定変化パターンとの類似度が第1閾値以下の第2閾値よりも低い場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でないと判定してもよい。
【0057】
尚、第1及び第2閾値は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物である状態と、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない状態とを、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5の影51の長さLの変化パターン(つまり、時系列変化)から区別可能な適切な値に設定されていてもよい。このような第1及び第2閾値は、実験又はシミュレーションによって設定されてもよい。第1閾値は、第2閾値と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0058】
尚、上述した説明では、判定サーバ3bは、影51の長さLの時系列変化を用いて証明書判定動作を行っている。しかしながら、判定サーバ3bは、影51の任意の時系列変化を用いて証明書判定動作を行ってもよい。つまり、判定サーバ3bは、影51の状態を表す任意のパラメータの時系列変化を用いて証明書判定動作を行ってもよい。例えば、身分証明書5と光源1及びカメラ2の少なくとも一方との位置関係が変更されると、身分証明書5から影51が延びる方向(つまり、影51の向き)が変わる可能性がある。例えば、
図16は、影51が延びる方向が、身分証明書5から右上に向かって延びる第1方向、身分証明書5から上に向かって延びる第2方向及び身分証明書5から左上に向かって延びる第3方向へと順に変化する様子を示している。このため、判定サーバ3bは、影51の延びる方向の時系列変化を用いて証明書判定動作を行ってもよい。例えば、判定サーバ3bの影長算出部317bは、複数の証明書画像21の夫々に写り込んだ身分証明書5の影51が延びる方向を算出してもよい。その結果、影長算出部317bは、影51の延びる方向の時系列変化を算出することができる。一方で、判定部312は、カメラ角度θcの時系列変化と、光源角度θoの時系列変化と、影長DB321bとに基づいて、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5の影51の延びる方向の時系列変化を推定する。但し、この場合には、影長DB321bの各レコードデータ322bは、影長DB321bの他の例を示す
図17に示すように、証明書画像21に写り込むであろうと推定される身分証明書5_realの影51が延びる方向を、カメラ角度θc及び光源角度θoと関連付けていることが好ましい。その後、判定部312は、影長算出部317bが算出した影51の延びる方向の時系列変化の算出値と判定部312が推定した影51の延びる方向の時系列変化の推定値とを比較することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定してもよい。例えば、判定部312は、影51の延びる方向の実変化パターンと影51の延びる方向の推定変化パターンとの類似度が第3閾値よりも高い場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であると判定してもよい。例えば、判定部312は、影51の延びる方向の実変化パターンと影51の延びる方向の推定変化パターンとの類似度が第3閾値以下の第4閾値よりも低い場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でないと判定してもよい。尚、第3及び第4閾値は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物である状態と、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない状態とを、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5の影51の延びる方向の変化パターンから区別可能な適切な値に設定されていてもよい。このような第3及び第4閾値は、実験又はシミュレーションによって設定されてもよい。第3閾値は、第4閾値と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
(2-4-2)第2変形例
上述した説明では、
図11のステップS26において、判定部312は、カメラ角度θc、光源角度θo及び影長DB321bに基づいて、身分証明書5の影51の長さLを推定している。その後、判定部312は、
図11のステップS27において、ステップS23において影長算出部317bが算出した影51の長さLの算出値とステップS26において判定部312が推定した影51の長さLの推定値とを比較することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定している。
【0060】
しかしながら、ステップS26において、判定部312は、ステップS23において影長算出部317bが算出した影51の長さL及び影長DB321bに基づいて、影長算出部317bが算出した長さLを有する影51が証明書画像21に写り込んでいると仮定した場合に、光源1が身分証明書5_realとなすであろうと推定される光源角度θoを推定してもよい。つまり、判定部312は、光源角度θoの推定値を推定してもよい。
【0061】
その後、ステップS27において、判定部312は、ステップS25で算出された光源角度θoの実際の算出値と、ステップS26で推定された光源角度θoの推定値とに基づいて、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定してもよい。
【0062】
具体的には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物である(つまり、身分証明書5_realである)場合には、ステップS26で推定された光源角度θoの推定値は、光源角度θoの実際の算出値と概ね同じような値になる。一方で、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない(つまり、身分証明書5_fakeである)場合には、ステップS26で推定された光源角度θoの推定値は、光源角度θoの実際の算出値とは異なる値になる。なぜならば、身分証明書5_fakeの影51の状態と身分証明書5_fakeの影51の状態とが異なるがゆえに、偽物の身分証明書5_fakeの影51の長さLから逆算される光源角度θoは、本物の身分証明書5_realの影51の長さLから逆算される光源角度θoとは当然異なるからである。このため、判定部312は、ステップS24で算出された光源角度θoの算出値とステップS26で推定された光源角度θoの推定値とを比較することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定することができる。つまり、判定部312は、ステップS24で算出された実際の光源角度θoが、ステップS23で算出された長さLを有する影51を形成する理想的な(言い換えれば、設計上の)光源角度θoから見て尤もらしいか否かを判定することで、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であるか否かを判定することができる。例えば、判定部312は、光源角度θoの算出値と光源角度θoの推定値との差分が所定の第3許容量よりも大きい(つまり、光源角度θoの算出値が、光源角度θoの推定値と大きく異なる)場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でないと判定してもよい。例えば、判定部312は、光源角度θoの算出値と光源角度θoの推定値との差分が第3許容量以下の所定の第4許容量よりも小さい(つまり、光源角度θoの算出値が、光源角度θoの推定値と大きく異ならない又は概ね同じになる)場合には、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物であると判定してもよい。
【0063】
尚、第3及び第4許容量は、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物である状態と、証明書画像21に写り込んでいる身分証明書5が本物でない状態とを、光源角度θoから区別可能な適切な値に設定されていてもよい。このような第3及び第4許容量は、実験又はシミュレーションによって設定されてもよい。第3許容量は、第4許容量と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
また、第2変形例では、カメラ角度算出部315bは、カメラ角度θcを算出しなくてもよい。この場合、画像解析部311は、カメラ角度算出部315bを備えていなくてもよい。
【0065】
(2-4-3)その他の変形例
上述した説明では、判定サーバ3bは、カメラ角度θcを用いて証明書判定動作を行っている。一方で、上述したように、カメラ角度θcは、カメラ2と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表すパラメータの一具体例である。このため、判定サーバ3bは、カメラ角度θcに加えて又は代えて、カメラ2と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表す任意のパラメータを用いて、証明書判定動作を行ってもよい。カメラ2と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表す任意のパラメータの一例として、身分証明書5からのカメラ2までの距離及び身分証明書5に対してカメラ2が位置する方位の少なくとも一方があげられる。
【0066】
また、上述した説明では、判定サーバ3bは、光源角度θoを用いて証明書判定動作を行っている。一方で、上述したように、光源角度θoは、光源1と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表すパラメータの一具体例である。このため、判定サーバ3bは、光源角度θoに加えて又は代えて、光源1と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表す任意のパラメータを用いて、証明書判定動作を行ってもよい。光源1と身分証明書5との間の相対的な位置関係を表す任意のパラメータの一例として、身分証明書5からの光源1までの距離及び身分証明書5に対して光源1が位置する方位の少なくとも一方があげられる。
【0067】
(3)第3実施形態の証明書判定システムSYS
続いて、第3実施形態の証明書判定システムSYSについて説明する。以下の説明では、第3実施形態の証明書判定システムSYSを、“証明書判定システムSYSc”と称する。第3実施形態の証明書判定システムSYScは、第1実施形態の証明書判定システムSYSaと比較して、判定サーバ3に代えて判定サーバ3cを備えているという点で異なる。証明書判定システムSYScのその他の特徴は、証明書判定システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。このため、以下では、
図18を参照しながら、判定サーバ3cと判定サーバ3との相違点を中心に第3実施形態の判定サーバ3cについて説明する。
図18は、第3実施形態の判定サーバ3cの構成を示すブロック図である。
【0068】
図18に示すように、判定サーバ3cは、判定サーバ3と比較して、「制御手段」の一具体例である光源制御部318cが論理的な処理ブロックとして演算装置31内に実現されるという点で異なる。判定サーバ3cのその他の構成は、判定サーバ3のその他の構成と同一であってもよい。
【0069】
光源制御部318cは、通信ネットワーク4を介して光源1を制御可能である。第3実施形態では、光源制御部318cは、光源1を制御することで、照明光ILの特性(例えば、強度)を制御してもよい。例えば、光源制御部318cは、照明光ILの特性を制御する前と比較して、影51が証明書画像21に適切に写り込むように、照明光ILの特性を制御してもよい。尚、「影51が証明書画像21に適切に写り込む」状態は、例えば、画像解析部311が影51を適切に検出できる程度に影51が証明書画像21に写り込む状態を意味していてもよい。典型的には、「影51が証明書画像21に適切に写り込む」状態は、影51が写り込む影領域23と影領域23以外の他の画像領域とのコントラストが一定量以上になる程度に影51が証明書画像21に鮮明に写り込む状態を意味していてもよい。
【0070】
このような第3実施形態の証明書判定システムSYScは、上述した第1実施形態の証明書判定システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受しながら、証明書画像21に写り込んだ影51を適切に検出できる。
【0071】
尚、光源制御部318cは、光源1を制御することに加えて又は代えて、通信ネットワーク4を介してカメラ2を制御してもよい。光源制御部318cは、カメラ2を制御することで、カメラ2の光学特性(例えば、感度)を制御してもよい。例えば、光源制御部318cは、カメラ2の光学特性を制御する前と比較して、影51が証明書画像21に適切に写り込むように、カメラ2の光学特性を制御してもよい。この場合においても、証明書判定システムSYScは、上述した第1実施形態の証明書判定システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受しながら、証明書画像21に写り込んだ影51を適切に検出できる。
【0072】
(4)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成手段と、
前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定手段と
を備える証明書判定装置。
[付記2]
前記影情報は、前記影の有無に関する情報を含み、
前記判定手段は、(i)前記影が前記画像に写り込んでいない場合に、前記身分証明書が本物でないと判定し、(ii)前記影が前記画像に写り込んでいる場合に、前記身分証明書が本物であると判定する
付記1に記載の証明書判定装置。
[付記3]
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
前記影情報は、前記影の長さに関する情報を含み、
前記画像に基づいて、前記身分証明書が撮像された時点での前記身分証明書と前記光源及び前記撮像装置の夫々との位置関係を算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、
(i)前記位置関係が所定関係となる状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを示す推定長さデータに基づいて、前記算出手段が算出した位置関係が成立している状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを推定し、
(ii)前記推定された影の長さと前記影情報が示す前記影の長さとを比較することで、前記身分証明書が本物であるか否かを判定する
付記1又は2に記載の証明書判定装置。
[付記4]
前記判定手段は、(i)前記推定された影の長さと前記影情報が示す前記影の長さとの差分である第1差分が第1許容量よりも大きい場合に、前記身分証明書が本物でないと判定し、(ii)前記第1差分が前記第1許容量以下の第2許容量よりも小さい場合に、前記身分証明書が本物であると判定する
付記3に記載の証明書判定装置。
[付記5]
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
前記影情報は、前記影の長さに関する情報を含み、
前記画像に基づいて、前記身分証明書が撮像された時点での前記身分証明書と前記光源との位置関係を算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、
(i)前記位置関係が所定関係となる状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを示す推定長さデータに基づいて、前記影情報が示す長さの影が前記画像に写り込んでいると仮定した場合に成立する前記位置関係を推定し、
(ii)前記推定された位置関係と前記算出手段が算出した位置関係とを比較することで、前記身分証明書が本物であるか否かを判定する
付記1から4に記載の証明書判定装置。
[付記6]
前記判定手段は、(i)前記推定された位置関係と前記算出手段が算出した位置関係との差分である第2差分が第3許容量よりも大きい場合に、前記身分証明書が本物でないと判定し、(ii)前記第2差分が前記第3許容量以下の第4許容量よりも小さい場合に、前記身分証明書が本物であると判定する
付記5に記載の証明書判定装置。
[付記7]
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
前記生成手段は、前記身分証明書を前記撮像装置が撮像する動作と、前記身分証明書と前記光源及び前記撮像装置の少なくとも一方との位置関係を変更する動作とを繰り返すことで生成される複数の画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記影の変化に関する情報を前記影情報として生成する
付記1から6のいずれか一項に記載の証明書判定装置。
[付記8]
前記画像に基づいて、前記身分証明書が撮像された時点での前記身分証明書と前記光源及び前記撮像装置の夫々との位置関係を算出する算出手段を更に備え、
前記判定手段は、
(i)前記位置関係が所定関係となる状況下で前記身分証明書が撮像されたと仮定した場合に前記画像に写り込むと推定される前記影の長さを示す推定長さデータと、前記算出手段が算出した位置関係とに基づいて、前記複数の画像の間での前記影の変化を推定し、
(ii)前記推定された影の変化と前記影情報が示す前記影の変化とを比較することで、前記身分証明書が本物であるか否かを判定する
付記7に記載の証明書判定装置。
[付記9]
前記影の変化の様子は、前記影の長さの変化及び前記影が延びる方向の変化のうちの少なくとも一方を含む
付記7又は8に記載の証明書判定装置。
[付記10]
前記画像は、光源からの照明光で照明された前記身分証明書を撮像装置が撮像することで生成され、
光源の強度及び前記撮像装置の撮像感度の少なくとも一方を制御可能な制御手段を更に備える
付記1から9のいずれか一項に記載の証明書判定装置。
[付記11]
身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成工程と、
前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定工程と
を含む証明書判定方法。
[付記12]
コンピュータに証明書判定方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体であって、
前記証明書判定方法は、
身分証明書が写り込んだ画像に基づいて、前記画像に写り込んだ前記身分証明書の影に関する影情報を生成する生成工程と、
前記影情報に基づいて、前記画像に写り込んでいる前記身分証明書が本物であるか否かを判定する判定工程と
を含む記録媒体。
【0073】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う証明書判定装置、証明書判定方法及び記録媒体もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
SYS 証明書判定システム
1 光源
2 カメラ
21 証明書画像
3 判定サーバ
31 演算装置
311 画像解析部
312 判定部
313 影検出部
314b 証明書特定部
315b カメラ角度算出部
316b 光源角度算出部
317b 影長算出部
318c 光源制御部
32 記憶装置
321b 影長DB
5 身分証明書
51 影