IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-充電口構造 図1
  • 特許-充電口構造 図2
  • 特許-充電口構造 図3
  • 特許-充電口構造 図4
  • 特許-充電口構造 図5
  • 特許-充電口構造 図6
  • 特許-充電口構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】充電口構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240214BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240214BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B60K1/04 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022557373
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2021036706
(87)【国際公開番号】W WO2022080171
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2020173575
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】沖野 真紘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雄高
(72)【発明者】
【氏名】林 真人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 佑介
(72)【発明者】
【氏名】李 磊
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088251(JP,A)
【文献】特開昭61-163019(JP,A)
【文献】特開2019-018671(JP,A)
【文献】特開2015-096354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の充電口の開口部を開閉可能に閉塞する横開き式のリッドを備える充電口構造であって、
前記リッドのヒンジアームの下端面に形成され、同ヒンジアームの延設方向に沿って下方に向かって突設されたリブと、
前記開口部の内側に設けられ、前記ヒンジアームと対向して形成されるとともに、前記リッドの開放時に前記開口部に対する前記リッドの相対位置が下降した場合に、前記リッドを閉じる過程で前記リブと当接することで同リブと協働して前記リッドを上方へ押し上げるリブ受け部とを備えることを特徴とする、充電口構造。
【請求項2】
前記リブが、前記リッドの回動中心とほぼ同軸の円弧状に延設されることを特徴とする、請求項1記載の充電口構造。
【請求項3】
前記リブが、前記リブ受け部と当接した状態で前記リッドを閉じるにつれて前記リッドの上方への移動量が増加する形状に形成されることを特徴とする、請求項1または2記載の充電口構造。
【請求項4】
記リブ受け部が前記ヒンジアームの下端面に対向して設けられ、
前記リブ受け部は、前記開口部に対する前記リッドの相対位置が下降した場合に、前記リブの下端と当接され、
前記リブは、その突出寸法が前記ヒンジアームの延設方向の前記リッド側に向かうにつれて次第に大きくなるよう形成された傾斜部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の充電口構造。
【請求項5】
前記リブ受け部が、前記リブの下端に当接する面状のリブ支持面を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の充電口構造。
【請求項6】
前記リッドの裏面から前記リッドの閉塞方向に向かって突設されたガイドと、
前記リッドを閉じる過程で前記ガイドと当接され、前記リッドが前記開口部を閉塞した状態において前記開口部に対する前記リッドの相対位置を規制するガイド受け部とを備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の充電口構造。
【請求項7】
前記ガイドは、前記リッドの前記ヒンジアームとは反対側の端部に配置されていることを特徴とする、請求項6記載の充電口構造。
【請求項8】
前記リブ及び前記リブ受け部は、前記開口部に対する前記リッドの相対位置が下降した場合に、少なくとも前記ガイドが前記ガイド受け部に当接可能な位置まで前記リッドを上方へ押し上げることを特徴とする、請求項6または7記載の充電口構造。
【請求項9】
前記ガイドの厚み寸法が、前記車両の内側から外側へと進むにつれて大きくなるように滑らかに傾斜して設定され、
前記ガイドが、前記リッドを閉じるにつれて前記リッドの上方への移動量が増加する形状に形成されることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の充電口構造。
【請求項10】
前記開口部の縁部から車両内側に延びる筒状を成し、前記開口部の内側に充電コネクタの周囲を囲む収容部を構成するブラケットをさらに備え、
前記ヒンジアームは、前記ブラケットに回動可能に支持され、
前記ブラケットは、同ブラケットに貫通形成されて前記リッドの開閉時に前記ヒンジアームが通過する挿通孔を有し、
前記リブ受け部は、前記挿通孔の下部に前記ヒンジアームの下面部と対向して設けられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の充電口構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の充電口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の充電ポートの周囲に平板状のガイド部材を配置した充電口構造が知られている。ガイド部材は、外部から衝撃を受けたときに充電ポートを覆うように変形するように構成される。これにより、例えば車両衝突後の不用意な充電が妨げられ、充電に起因する不具合の発生が防止されうる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/153413号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、外力や衝撃荷重を受けていなくても、充電口のリッドが変形する場合がある。例えば、炎天下での外部充電時にはリッドの樹脂部分が軟化しやすく、熱クリープによってリッドが変形することがある。この場合、リッドが正しく閉まらなくなり、無理に閉じようとすればリッドや充電口まわりの構造に破損が生じるおそれがある。特に、リッドのヒンジアームやヒンジが樹脂製である場合には、このような熱クリープによる不具合が顕在化しやすいという課題がある。
【0005】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、簡素な構成でリッドの位置を矯正できるようにした充電口構造を提供することである。なおこの目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の充電口構造は、車両の充電口の開口部を開閉可能に閉塞する横開き式のリッドを備える充電口構造であって、リッドのヒンジアームに形成され、ヒンジアームの延設方向に沿って突設されたリブと、開口部の内側に設けられ、ヒンジアームと対向して形成されるとともに、リッドの開放時に開口部に対するリッドの相対位置が下降した場合に、リッドを閉じる過程でリブと当接することでリブと協働してリッドを上方へ押し上げるリブ受け部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の充電口構造によれば、簡素な構成でリッドの位置を矯正できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例としての充電口構造が適用された車両の斜視図である。
図2図1に示す車両の充電口構造を説明するための分解斜視図である。
図3図2に示すリッドの斜視図である。
図4図2に示すブラケットの斜視図である。
図5図3に示すリッドの下面図である。
図6】(A)はリブ及びリブ受け部の断面図、(B)~(D)はその側面図である。
図7】(A)~(C)はガイド及びガイド受け部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.構成]
図1は、実施例としての充電口構造が適用された車両10の斜視図である。この車両10には、外部充電用の接続端子20(充電コネクタ)を内蔵する充電口11が設けられる。充電口11は、例えば図1に示すように、車両10の側面部分の後方に配置される。あるいは、充電口11は、車両10の前方側面部分(フェンダー部分)や後面(リヤハッチ部分),前面(フード部分)などに配置される。充電ガンや充電ケーブルを充電口11の接続端子20に接続することで、車載バッテリが充電されるようになっている。車載バッテリは、車両10に搭載される走行用モーターや各種補機類に供給される電力を蓄える二次電池である。
【0010】
図2は、充電口11の構造を分解して示す斜視図である。充電口11は、アウターパネル12に形成された開口部13と、開口部13の内側に接続端子20を収容する収容部を構成するブラケット14と、開口部13を開閉可能に閉塞する横開き式のリッド15と、を備える。ブラケット14は、開口部13の縁部から車幅方向内側に延設された樹脂製の部材であり、アウターパネル12に対して固定される。このブラケット14は、アウターパネル12から車両10の内側に向かって接続端子20の周囲を囲むように筒状に立設されて収容部を形成している。ブラケット14の車幅方向外側の端部は、開口部13に対応する形状(例えば角を丸めた四角形状)の挿通孔として形成される。一方、車幅方向内側の端部19における断面形状は、接続端子20を囲む形状(例えばひょうたん形状)に形成される。
【0011】
リッド15は、ブラケット14に回動可能に支持されて充電口11の開口部13を開閉可能に閉塞する蓋状の部材である。このリッド15は、開口部13を覆う大きさの面状に形成される板金製のアウタ部材と、アウタ部材の裏面を覆う樹脂製のインナ部材とから構成され、インナ部材には、ブラケット14に対しヒンジ18を介して回動可能に支持されるヒンジアーム16が設けられる。ヒンジアーム16は、リッド15の裏面側における一側(図3中では左上側の端部)から開口部13の内側(収容部内)に向かって延設される腕状の部材である。ヒンジアーム16のうちリッド15から遠い側の端部にはヒンジ18が設けられる。
【0012】
図3に示すように、ヒンジアーム16の全体形状は、緩やかに湾曲しながらリッド15とヒンジ18との間を接続する形状とされる。また、ヒンジ18の位置は、開口部13よりも車両10の内側であって、開口部13の縁から離れた位置(例えば、リッド15を開放したときに車両10の外側から見えない位置)に配置される。ヒンジアーム16の湾曲形状により、リッド15の開閉時におけるヒンジアーム16と開口部13の縁との干渉が防止される。なお、リッド15やヒンジアーム16の剛性,強度を確保することを目的として、これらの表面に凸条,凹溝などの補強構造を形成してもよい。
【0013】
ヒンジアーム16の表面には、筋状のリブ1が突設される。リブ1の位置は、例えばヒンジアーム16の下部に設定される。図3に示す例では、ヒンジアーム16の下端面17(下面部)から下方に向かって筋状に突出するとともに、ヒンジアーム16の延設方向に沿って突設されたリブ1が形成されている。一方、これに対応するように、ブラケット14にはリブ受け部2が形成される。図4に示す例では、ブラケット14のうちヒンジ18によって支えられるヒンジアーム16の下部となる位置にリブ受け部2が突設される。
【0014】
リブ受け部2は、例えばヒンジアーム16の熱変形により開口部13(ブラケット14)に対するリッド15の相対位置が下降したような場合に、リブ1と協働してリッド15を上方へ押し上げるための部位である。リブ受け部2は、開口部13の内側において、リッド15を閉じる過程でリブ1の下方となる位置に設けられ、ヒンジアーム16の下端面17に対向して設けられる。これにより、下降したリッド15側のリブ1とリブ受け部2とが当接するようになっている。なお、ブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降していない状態では、リブ受け部2がリブ1に対して所定の間隔をあけるように配置される。これにより、例えばヒンジアーム16が熱変形していない状態においては、図6(A)に示すように、リブ1とリブ受け部2とが非接触になる。
【0015】
図3及び図5に示すように、リブ1の全体形状は、リッド15をその回動軸C(回動中心)に平行な方向に眺めたときに、円弧状になるように形成される。すなわち、リッド15の回動軸Cとほぼ同軸の円弧状にリブ1が延設される。図5中の二点鎖線は、リブ1の延在方向に対応する円弧を表す。このように、リブ1の形状をリッド15の回動中心に対応させることで、リッド15の回動状態にかかわらず、ブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降した場合のリブ1とリブ受け部2との接触箇所の位置がほとんど変化しなくなり、リブ受け部2によるリッド15の持ち上げ機能が安定する。
【0016】
本実施例のリブ1の形状は、リブ受け部2と当接した状態でリッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に設定される。ヒンジアーム16の下端面17を基準としたリブ1の突出寸法が、ヒンジ18側よりもリッド15側で大きくなるように設定される。図6(B)に示す例では、ヒンジ18側の突出寸法Hが最も小さく、リッド15側の突出寸法Hが最も大きくなるように設定されている。また、ヒンジ18側からリッド15側へと進むにつれて、突出寸法が徐々に増大するようになっている。これにより、リブ下面5(リブ1の下端面)がヒンジアーム16の下端面17に対して傾斜する面状となる。別言すれば、リブ1は、ヒンジアーム16の延設方向におけるリッド15側に向かうにつれて次第に大きくなるよう形成された傾斜部としてのリブ下面5を有している。
【0017】
リブ受け部2の上端部には、リブ支持面6が形成される。リブ支持面6は、ブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降したような場合にリブ下面5に当接する面状の部位であり、リブ下面5に対向するように配置される。図6(B)に示す例では、リブ1の延在方向に沿った断面において、ブラケット14から立設される壁状のリブ受け部2に対して直交するようにリブ支持面6が配置され、リブ受け部2とリブ支持面6とが全体としてL字状断面を形成するように接続されている。リブ支持面6は、リブ下面5に対して滑動しうる滑らかな面状に形成される。
【0018】
図6(C)は、ヒンジアーム16の熱変形によってブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降している状態において、リッド15を閉じたときに、リブ1のリブ下面5とリブ受け部2のリブ支持面6とが接触した状態を示している。このとき、ヒンジアーム16の下端面17の位置は、リブ支持面6から上方へ突出寸法H分だけ移動した位置になる。その後、リッド15を徐々に閉じるにつれて、リッド15が徐々に上方へと移動する。最終的には、図6(D)に示すように、ヒンジアーム16の下端面17の位置が最大でリブ支持面6から上方へ突出寸法H分だけ移動した位置になる。
【0019】
図3図5に示すように、リッド15の裏面側(内側)には、リッド15の閉塞方向である収容部に向かって突設されたガイド3が設けられる。ガイド3の概形は、例えば図3に示すように、断面形状が四分円である扁平な柱状に形成される。あるいは、四角形(例えば一つ以上の角が丸められた長方形や台形)を断面とした扁平な柱状に形成される。また、リッド15が車両10に取り付けられた姿勢において、ガイド3の下面側は滑らかな曲面状に形成される。以下、この曲面状の部位をガイド下面7と呼ぶ。
【0020】
ガイド3は、ヒンジアーム16が接続されたリッド15の一側とは反対側の他側(図3中では右下側の端部)に配置される。また、これに対応するように、ブラケット14にはガイド受け部4が形成される。図4に示す例では、ブラケット14のうちヒンジ18が配置される側とは反対側の位置(ヒンジ18から遠い側)にガイド受け部4が凹設される。ガイド受け部4は、リッド15を閉じる過程でガイド3と当接する位置に配置され、リッド15が充電口11を閉塞した状態においてガイド3と係合する形状に形成される。これにより、開口部13に対するリッド15の相対位置の下降が規制される。
【0021】
本実施例のガイド3の形状は、ガイド受け部4と当接した状態でリッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に設定される。図7(A)に示すように、本実施例ではガイド下面7(ガイド3の下端面)の形状が下方に向かって膨出した湾曲形状に形成され、このガイド下面7に対してガイド支持面8が接触しうるようになっている。図7(A)に示すガイド3の縦方向の寸法である厚み寸法は、車両10の内側から外側へと進むにつれて大きくなるように設定される。また、ガイド下面7の形状は、滑らかに傾斜した曲面形状とされる。ガイド支持面8は、ブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降したような場合に、ガイド下面7に当接する面状の部位であり、ガイド下面7に対向するように配置される。ガイド支持面8は、ガイド下面7に対して滑動しうる滑らかな面状に形成される。ガイド支持面8とガイド下面7との位置関係は、例えばリブ支持面6をリブ下面5に接触させながらリッド15を閉じているときに、ガイド支持面8がガイド下面7に対して接触するように設定される。
【0022】
図7(B)は、ヒンジアーム16の熱変形によってブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降している状態において、リッド15を閉じたときに、ガイド3のガイド下面7とガイド受け部4のガイド支持面8とが接触した状態を示している。すなわち、リブ1及びリブ受け部2によってリッド15が上方へ持ち上げられた結果、ガイド下面7とガイド支持面8とが接触するようになっている。その後、リッド15を徐々に閉じるにつれて、リッド15が徐々に上方へと移動する。最終的には、図7(C)に示すように、ガイド3の全体がガイド受け部4の内側に挿入されて係合する状態となる。
【0023】
[2.作用,効果]
(1)上記の充電口構造には、図3図4に示すように、リブ1とリブ受け部2とが設けられる。リブ1はリッド15のヒンジアーム16の延設方向に沿って(ヒンジアーム16から筋状に)突設され、リブ受け部2は開口部13の内側(本実施例ではヒンジアーム16を支持するブラケット14)に形成される。また、リブ受け部2は、開口部13(ブラケット14)に対するリッド15の相対位置が下降した場合に、リッド15を閉じる過程でリブ1と当接することでリブ1と協動してリッド15を上方へ押し上げるように働く。
【0024】
このような構造により、例えばヒンジアーム16の熱変形によってリッド15が下方へ移動した場合に、リッド15を閉じる過程でリッド15を持ち上げることができ、正しい位置に近づけることができる。したがって、簡素な構成でリッド15の位置を矯正可能な充電口構造を提供することができ、リッド15や充電口11まわりの破損を防止することができる。
【0025】
(2)上記の実施例では、図5に示すように、リブ1がリッド15の回動中心とほぼ同軸の円弧状に延設されている。これにより、リッド15を閉める際におけるリブ1とリブ受け部2との接触位置をほぼ一定の位置にすることができ、リブ受け部2によるリッド15の持ち上げ機能を安定させることができる。また、リブ受け部2に対するリブ1の接触位置がほとんど変化しないことから、リブ受け部2のサイズを小さくすることができ、ブラケット14の成形性や設計自由度を向上させることができるとともに、製造コストを削減することができる。
【0026】
(3)上記の実施例では、図6(B)に示すように、リブ1は、リッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に形成されている。これにより、リッド15を閉じる過程でそのリッド15を徐々に持ち上げることができ、リッド15の位置を無理なく矯正することができる。また、矯正用の荷重がヒンジアーム16の比較的広い範囲に分散されるため、リッド15やヒンジアーム16の破損を防止することができる。
【0027】
(4)上記の実施例では、図6(B)に示すように、リブ受け部2にリブ支持面6が形成される。リブ支持面6は、リブ1の下端(リブ下面5)に当接する面状に形成される。このように、リブ1の下端を面で支えることにより、リブ下面5とリブ支持面6との間に作用する圧力を減少させることができ、リッド15を持ち上げやすくすることができる。また、ある程度広い面積でリブ1の下端を支えるようにすることで、リブ1がリブ受け部2から脱落するような事態を回避することができ、リブ受け部2によるリッド15の持ち上げ機能を安定させることができる。
【0028】
(5)上記の充電口構造には、図3図4に示すように、ガイド3とガイド受け部4とが設けられる。ガイド3は、リッド15からリッド15の閉塞方向に向かって突設される。また、ガイド受け部4は、リッド15を閉じる過程でガイド3と当接する位置に配置され、リッド15が充電口11を閉塞した状態においてリッド15の相対位置を規制する(例えばガイド3と係合する)ように形成される。ここで、リブ1及びリブ受け部2が「第一のリッド持ち上げ構造」であるとすれば、ガイド3及びガイド受け部4は「第二のリッド持ち上げ構造」であるといえる。このようなリッド持ち上げ構造を追加することで、リッド15をより確実に正しい位置まで近づけることができ、リッド15の位置矯正効果を高めることができる。なお、第二のリッド持ち上げ構造による矯正用の荷重は、リッド15の全体に分散されるため、リッド15やヒンジアーム16の破損を防止することができる。
【0029】
(6)上記の実施例では、ブラケット14に対するリッド15の相対位置が下降した場合に、少なくともガイド3がガイド受け部4と当接可能な位置まで、リブ受け部2がリッド15を上方へ押し上げるようになっている。つまり、第一のリッド持ち上げ構造がリッド15を上方へ押し上げた後に、第二のリッド持ち上げ構造がリッド15をさらに上方へと押し上げる構造になっている。これにより、リッド15の上方への押し上げ寸法を増大させることができ、リッド15の位置矯正効果を高めることができる。
【0030】
(7)上記の実施例では、図7(A)に示すように、ガイド3は、リッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に形成されている。これにより、第二のリッド持ち上げ構造においても、リッド15を閉じる過程でそのリッド15を徐々に持ち上げることができ、リッド15の位置を無理なく矯正することができる。したがって、簡素な構成でリッド15の位置を矯正可能な充電口構造を提供することができ、リッド15や充電口11まわりの破損を防止することができる。
【0031】
[3.変形例]
上記の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0032】
例えば、上述の実施例ではヒンジアーム16の下端面17にリブ1が形成されているが、リブ1が形成される位置はヒンジアーム16の下端面17に限定されない。少なくともヒンジアーム16から筋状にリブ1を突設させ、そのリブ1と当接しうるリブ受け部2をブラケット14側にあらかじめ形成しておくことで、上述の実施例と同様の作用,効果を得ることができる。
【0033】
また、上述の実施例ではブラケット14にリブ受け部2やガイド受け部4が形成された構造を例示したが、ブラケット14は省略してもよい。この場合、リブ受け部2やガイド受け部4を収容部内に形成しておくことで、上述の実施例と同様の作用,効果を得ることができる。なお、ガイド3及びガイド受け部4についても省略可能である。少なくとも、リッド15のヒンジアーム16にリブ1を形成するとともに、開口部13の内側でこれに対向する位置にリブ受け部2を設けることで、リッド15を閉じる過程でリッド15を上方へ押し上げることができ、簡素な構成でリッド15の位置を適切に矯正することができる。
【0034】
また、上述の実施例では、リブ1が、リブ受け部2と当接した状態でリッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に形成された構造を例示したが(図6(A)~(D)参照)、リブ受け部2が、リブ1と当接した状態でリッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に形成された構造としても構わない。この場合、例えばリブ受け部2のリブ支持面6は、ヒンジアーム16の延設方向におけるリッド15側に向かうにつれて次第に大きくなるよう形成された傾斜部とされる。
【0035】
また、上述の実施例では、ガイド3が、ガイド受け部4と接触した状態でリッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に形成された構造を例示したが(図7(A)~(C)参照)、ガイド受け部4が、ガイド3と接触した状態でリッド15を閉じるにつれてリッド15の上方への移動量が増加する形状に形成された構造としても構わない。この場合、例えばガイド受け部4のガイド支持面8は、車幅方向内側に向かうにつれて上方に延出するように形成された傾斜部とされる。
【0036】
本出願は、2020年10月14日出願の日本特許出願2020-173575に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 リブ
2 リブ受け部
3 ガイド
4 ガイド受け部
5 リブ下面(傾斜部)
6 リブ支持面
7 ガイド下面
8 ガイド支持面
10 車両
11 充電口
12 アウターパネル
13 開口部
14 ブラケット
15 リッド
16 ヒンジアーム
17 下端面(下面部)
18 ヒンジ
19 端部
20 接続端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7