(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コンデンサアレイ
(51)【国際特許分類】
H01G 9/012 20060101AFI20240214BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240214BHJP
H01G 9/00 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
H01G9/012 303
H01G4/38 B
H01G9/00 290E
(21)【出願番号】P 2022564591
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022011855
(87)【国際公開番号】W WO2022264575
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2021100336
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】楠山 貴文
(72)【発明者】
【氏名】菊池 宏
(72)【発明者】
【氏名】吉川 真徳
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-167361(JP,A)
【文献】特開2010-171304(JP,A)
【文献】特開2010-183047(JP,A)
【文献】特開平2-301118(JP,A)
【文献】特開2002-299159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01G 4/38
H01G 9/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通部で区分されて平面配置された複数のコンデンサ部を有するコンデンサ層を備え、
前記コンデンサ部は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の間に設けられた誘電体層と、を有し、かつ、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有し、
前記複数の貫通部は、前記厚み方向に直交する第1方向に沿う第1貫通部と、前記厚み方向に直交しつつ前記第1方向と交差する第2方向に沿う第2貫通部と、を含み、
前記厚み方向に沿う断面を見たとき、前記第1貫通部及び前記第2貫通部は、各々独立して、前記コンデンサ部の前記第1主面及び前記第2主面の一方から他方に向かって幅が小さくなるテーパーを有し、
前記第1貫通部のテーパー角度と前記第2貫通部のテーパー角度とは、互いに異なる、ことを特徴とするコンデンサアレイ。
【請求項2】
前記第1電極は、少なくとも一方の主面に多孔質層を有する陽極板であり、
前記誘電体層は、前記多孔質層の表面上に設けられ、
前記第2電極は、前記誘電体層の表面上に設けられた陰極層である、請求項1に記載のコンデンサアレイ。
【請求項3】
前記第1貫通部及び前記第2貫通部は、いずれも、前記コンデンサ部の前記第1主面から前記第2主面に向かって幅が小さくなる、請求項1又は2に記載のコンデンサアレイ。
【請求項4】
前記第2貫通部のテーパー角度は、前記第1貫通部のテーパー角度よりも小さい、請求項3に記載のコンデンサアレイ。
【請求項5】
前記コンデンサ部の前記第1主面と同一平面において、前記第2貫通部の幅は、前記第1貫通部の幅よりも小さい、請求項3又は4に記載のコンデンサアレイ。
【請求項6】
前記コンデンサ層は、前記コンデンサ部の前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方主面上に設けられた第1絶縁部を更に有し、
前記第1絶縁部は、前記第1貫通部内に延在しており、かつ、前記第2貫通部内に延在していない、請求項1~5のいずれかに記載のコンデンサアレイ。
【請求項7】
前記コンデンサ層は、前記第1絶縁部の表面上に設けられた第2絶縁部を更に有し、
前記第2絶縁部は、前記第1貫通部内に延在しておらず、かつ、前記第2貫通部内に延在している、請求項6に記載のコンデンサアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品を実装するための基板として、コンデンサ部がアレイ状にされたコンデンサアレイを用いることが検討されている。
【0003】
コンデンサアレイの製造方法として、特許文献1には、アルミ化成箔シート上に固体電解コンデンサを形成する前に、予めアルミ化成箔の片面をレーザー装置や金型等の乾式機械加工にて分離分割用溝を形成し、更に同一面に保護用絶縁材料をシートの補強材を兼ねて形成した後に、固体電解コンデンサを形成し、次に裏面表面からアルミ化成箔を溝の底部が露出するまで削り、固体電解コンデンサと配線パターンを電気的に分離独立させてアルミ化成箔シート上に形成する、部品内蔵基板の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の部品内蔵基板の製造方法では、特許文献1の
図1(b)に記載されているように、アルミ化成箔に非貫通の分離分割用溝を形成している。しかしながら、レーザー装置を用いてアルミ化成箔に分離分割用溝を形成する場合、分離分割用溝の深さを、アルミ化成箔を貫通しない位置までに制御することが困難である。
【0006】
また、特許文献1に記載の部品内蔵基板の製造方法では、アルミ化成箔に分離分割用溝を形成した後、特許文献1の
図1(c)に記載されているように、分離分割用溝に保護用絶縁材料を形成している。特許文献1に記載の部品内蔵基板の製造方法では、この保護用絶縁材料により、アルミ化成箔が分離脱落することを防止する、とされている。しかしながら、特許文献1に記載の部品内蔵基板の製造方法において、このように形成された保護用絶縁材料では、アルミ化成箔が分離脱落しないように保持する点で不充分であるため、後工程において、アルミ化成箔が分離脱落してハンドリング性が低下したり、強い力で加工できない等の制約で加工性が低下したりしてしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、製造時のハンドリング性及び加工性に優れたコンデンサアレイを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンデンサアレイは、複数の貫通部で区分されて平面配置された複数のコンデンサ部を有するコンデンサ層を備え、上記コンデンサ部は、第1電極と、第2電極と、上記第1電極及び上記第2電極の間に設けられた誘電体層と、を有し、かつ、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有し、上記複数の貫通部は、上記厚み方向に直交する第1方向に沿う第1貫通部と、上記厚み方向に直交しつつ上記第1方向と交差する第2方向に沿う第2貫通部と、を含み、上記厚み方向に沿う断面を見たとき、上記第1貫通部及び上記第2貫通部は、各々独立して、上記コンデンサ部の上記第1主面及び上記第2主面の一方から他方に向かって幅が小さくなるテーパーを有し、上記第1貫通部のテーパー角度と上記第2貫通部のテーパー角度とは、互いに異なる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造時のハンドリング性及び加工性に優れたコンデンサアレイを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明のコンデンサアレイの一例を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、
図1中の線分a1-a2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図1中の線分b1-b2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。
【
図4】
図4は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例におけるコンデンサシートの作製工程を、
図2に示す断面の形成位置で示す断面模式図である。
【
図5】
図5は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例におけるコンデンサシートの作製工程を、
図3に示す断面の形成位置で示す断面模式図である。
【
図6】
図6は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第1貫通部用貫通孔の形成工程を、
図4に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【
図7】
図7は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第1絶縁部の形成工程を、
図6に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【
図8】
図8は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第1絶縁部の形成工程を、
図5に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【
図9】
図9は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第2貫通部用貫通孔の形成工程を、
図8に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【
図10】
図10は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第2絶縁部の形成工程を、
図7に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【
図11】
図11は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第2絶縁部の形成工程を、
図9に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【
図12】
図12は、
図1中の線分A1-A2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。
【
図13】
図13は、
図1中の線分B1-B2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコンデンサアレイについて説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
本発明のコンデンサアレイは、複数の貫通部で区分されて平面配置された複数のコンデンサ部を有するコンデンサ層を備える。
【0013】
図1は、本発明のコンデンサアレイの一例を示す斜視模式図である。
【0014】
図1に示すコンデンサアレイ1は、コンデンサ層10を有している。
【0015】
コンデンサ層10は、複数のコンデンサ部30を有している。
【0016】
複数のコンデンサ部30は、複数の貫通部15で区分されて平面配置されている。
【0017】
コンデンサ部30の数は、2つ以上であれば特に限定されない。
【0018】
複数のコンデンサ部30は、直線状に配置されていてもよいし、平面状に配置されていてもよい。また、複数のコンデンサ部30は、規則的に配置されていてもよいし、不規則に配置されていてもよい。複数のコンデンサ部30の大きさ及び平面形状等は、全部が同じであってもよいし、一部又は全部が異なっていてもよい。
【0019】
コンデンサ層10には、面積が異なる2種以上のコンデンサ部30が含まれていてもよい。
【0020】
コンデンサ層10には、平面形状が矩形ではないコンデンサ部30が含まれていてもよい。本明細書中、矩形は、正方形又は長方形を意味する。したがって、コンデンサ層10には、平面形状が、例えば、矩形以外の四角形、三角形、五角形、六角形等の多角形、曲線部を含む形状、円形、楕円形等のコンデンサ部30が含まれていてもよい。この場合、コンデンサ層10には、平面形状が異なる2種以上のコンデンサ部30が含まれていてもよい。また、コンデンサ層10には、平面形状が矩形ではないコンデンサ部30に加えて、平面形状が矩形であるコンデンサ部30が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0021】
本発明のコンデンサアレイにおいて、コンデンサ部は、第1電極と、第2電極と、第1電極及び第2電極の間に設けられた誘電体層と、を有し、かつ、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有する。
【0022】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1電極は、少なくとも一方の主面に多孔質層を有する陽極板であってもよく、誘電体層は、多孔質層の表面上に設けられていてもよく、第2電極は、誘電体層の表面上に設けられた陰極層であってもよい。この場合、コンデンサ部は、電解コンデンサを構成することになる。以下では、本発明のコンデンサアレイにおいて、コンデンサ部が電解コンデンサを構成している態様の一例について説明する。
【0023】
図2は、
図1中の線分a1-a2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。なお、
図2中の線分a1-a2は、
図1中の線分a1-a2に対応している。
【0024】
図3は、
図1中の線分b1-b2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。なお、
図3中の線分b1-b2は、
図1中の線分b1-b2に対応している。
【0025】
図2及び
図3に示すように、コンデンサ部30は、陽極板(第1電極)31と、誘電体層35と、陰極層(第2電極)36と、を有している。
【0026】
陽極板31は、芯部32と、多孔質層34と、を有している。
【0027】
芯部32は、金属からなることが好ましく、中でも弁作用金属からなることが好ましい。
【0028】
弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム等の金属単体、これらの金属単体の少なくとも1種を含有する合金等が挙げられる。中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
【0029】
多孔質層34は、芯部32の少なくとも一方の主面に設けられている。つまり、多孔質層34は、芯部32の一方の主面のみに設けられていてもよいし、
図2及び
図3に示すように芯部32の両方の主面に設けられていてもよい。このように、陽極板31は、少なくとも一方の主面に多孔質層34を有している。
【0030】
多孔質層34は、陽極板31の表面がエッチング処理されてなるエッチング層であることが好ましい。
【0031】
陽極板31の形状は、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。このように、本明細書中では、「板状」に「箔状」も含まれる。
【0032】
誘電体層35は、多孔質層34の表面上に設けられている。
【0033】
誘電体層35は、上述した弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、陽極板31がアルミニウム箔である場合、陽極板31に対して、アジピン酸アンモニウム等を含む水溶液中で陽極酸化処理(化成処理とも呼ばれる)を行うことにより、誘電体層35となる酸化皮膜が形成される。誘電体層35は多孔質層34の表面に沿って形成されるため、誘電体層35には、細孔(凹部)が設けられることになる。
【0034】
陰極層36は、誘電体層35の表面上に設けられている。
【0035】
図2及び
図3に示すように、陰極層36は、誘電体層35の表面上に設けられた固体電解質層36Aと、固体電解質層36Aの表面上に設けられた導電体層36Bと、を有することが好ましい。
【0036】
固体電解質層36Aの構成材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が挙げられる。中でも、ポリチオフェン類が好ましく、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が特に好ましい。また、導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。
【0037】
固体電解質層36Aは、誘電体層35の細孔(凹部)に充填される内層と、誘電体層35の表面を覆う外層と、を含むことが好ましい。
【0038】
導電体層36Bは、導電性樹脂層及び金属層の少なくとも一方を含むことが好ましい。つまり、導電体層36Bは、導電性樹脂層のみを含んでいてもよいし、金属層のみを含んでいてもよいし、導電性樹脂層及び金属層の両方を含んでいてもよい。
【0039】
導電性樹脂層としては、例えば、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー、及び、カーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーを含む導電性接着剤層等が挙げられる。
【0040】
金属層としては、例えば、金属めっき膜、金属箔等が挙げられる。金属層は、ニッケル、銅、銀、及び、これらの金属の少なくとも1種を主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなることが好ましい。
【0041】
本明細書中、主成分は、重量割合が最も大きい元素成分を意味する。
【0042】
導電体層36Bは、例えば、固体電解質層36Aの表面上に設けられたカーボン層と、カーボン層の表面上に設けられた銅層と、を含んでいてもよい。
【0043】
カーボン層は、例えば、カーボンペーストを、スポンジ転写法、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法、インクジェット印刷法等で固体電解質層36Aの表面に塗工することにより、所定の領域に形成される。
【0044】
銅層は、例えば、銅ペーストを、スポンジ転写法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ディスペンサ塗布法、インクジェット印刷法等でカーボン層の表面に塗工することにより、所定の領域に形成される。
【0045】
以上のように、
図2及び
図3に示すコンデンサ部30は、少なくとも一方の主面に多孔質層34を有する陽極板31と、多孔質層34の表面上に設けられた誘電体層35と、誘電体層35の表面上に設けられた陰極層36と、を有している。これにより、コンデンサ部30は、電解コンデンサを構成している。なお、陰極層36が固体電解質層36Aを有する場合、コンデンサ部30は、固体電解コンデンサを構成することになる。
【0046】
図2及び
図3に示すコンデンサ部30は、厚み方向Tに相対する第1主面30a及び第2主面30bを有している。
【0047】
本発明のコンデンサアレイにおいて、複数の貫通部は、厚み方向に直交する第1方向に沿う第1貫通部と、厚み方向に直交しつつ第1方向と交差する第2方向に沿う第2貫通部と、を含む。
【0048】
図1に示すように、複数の貫通部15は、第1方向Uに沿う第1貫通部15Aと、第2方向Vに沿う第2貫通部15Bと、を含んでいる。
【0049】
第1方向Uは、厚み方向Tに直交している。
【0050】
第2方向Vは、厚み方向Tに直交しつつ第1方向Uと交差している。
【0051】
第1方向Uと第2方向Vとは、
図1等に示すように直交していてもよいし、90°以外の角度をなすように交差していてもよい。
【0052】
本明細書中、貫通部は、コンデンサ部を厚み方向に貫通する部分を指す。なお、貫通部は、コンデンサ部を厚み方向に貫通する貫通部用貫通孔内に充填物が存在する状態と、コンデンサ部を厚み方向に貫通する貫通部用貫通孔内に充填物が存在しない状態と、を含む。
【0053】
本発明のコンデンサアレイにおいて、厚み方向に沿う断面を見たとき、第1貫通部及び第2貫通部は、各々独立して、コンデンサ部の第1主面及び第2主面の一方から他方に向かって幅が小さくなるテーパーを有する。
【0054】
図2に示すように、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、より具体的には、厚み方向T及び第2方向Vに沿う断面を見たとき、第1貫通部15Aは、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの一方から他方に向かって幅(ここでは、第2方向Vにおける寸法)が小さくなるテーパーを有している。
【0055】
第1貫通部15Aは、
図2に示すようにコンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっていてもよいし、コンデンサ部30の第2主面30bから第1主面30aに向かって幅が小さくなっていてもよい。
【0056】
第1貫通部15Aは、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの一方から他方に向かって幅が小さくなる限り、厚み方向Tに沿う断面形状が、
図2に示すように対称形状であってもよいし、非対称形状であってもよい。
【0057】
図3に示すように、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、より具体的には、厚み方向T及び第1方向Uに沿う断面を見たとき、第2貫通部15Bは、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの一方から他方に向かって幅(ここでは、第1方向Uにおける寸法)が小さくなるテーパーを有している。
【0058】
第2貫通部15Bは、
図3に示すようにコンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっていてもよいし、コンデンサ部30の第2主面30bから第1主面30aに向かって幅が小さくなっていてもよい。
【0059】
第2貫通部15Bは、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの一方から他方に向かって幅が小さくなる限り、厚み方向Tに沿う断面形状が、
図3に示すように対称形状であってもよいし、非対称形状であってもよい。
【0060】
第1貫通部15A及び第2貫通部15Bは、各々独立して、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの一方から他方に向かって幅が小さくなるテーパーを有していればよい。つまり、第1貫通部15A及び第2貫通部15Bは、以下に示す(1)~(4)のいずれかの態様であればよい。
(1)第1貫通部15A及び第2貫通部15Bは、いずれも、コンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっている。
(2)第1貫通部15A及び第2貫通部15Bは、いずれも、コンデンサ部30の第2主面30bから第1主面30aに向かって幅が小さくなっている。
(3)第1貫通部15Aはコンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっており、第2貫通部15Bはコンデンサ部30の第2主面30bから第1主面30aに向かって幅が小さくなっている。
(4)第1貫通部15Aはコンデンサ部30の第2主面30bから第1主面30aに向かって幅が小さくなっており、第2貫通部15Bはコンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっている。
【0061】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1貫通部及び第2貫通部は、いずれも、コンデンサ部の第1主面から第2主面に向かって幅が小さくなることが好ましい。
【0062】
図2及び
図3に示すように、第1貫通部15A及び第2貫通部15Bは、いずれも、コンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなることが好ましい。この態様は、上述した(1)の態様に該当する。
【0063】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1貫通部のテーパー角度と第2貫通部のテーパー角度とは、互いに異なる。
【0064】
図2及び
図3に示すように、第1貫通部15Aのテーパー角度θ1と、第2貫通部15Bのテーパー角度θ2とは、互いに異なっている。
【0065】
本明細書中、貫通部のテーパー角度は、厚み方向に沿う断面を見たときに、貫通部の輪郭を構成して相対する2辺のなす角度を指す。
【0066】
本発明のコンデンサアレイにおいて、第1貫通部及び第2貫通部が、いずれも、コンデンサ部の第1主面から第2主面に向かって幅が小さくなる場合、第2貫通部のテーパー角度は、第1貫通部のテーパー角度よりも小さいことが好ましい。
【0067】
図2及び
図3に示すように、第1貫通部15A及び第2貫通部15Bが、いずれも、コンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっている場合、第2貫通部15Bのテーパー角度θ2は、第1貫通部15Aのテーパー角度θ1よりも小さいことが好ましい。この場合、厚み方向Tに対するコンデンサ部30の第2貫通部15B側の端面の傾斜角度が小さくなるため、コンデンサ部30の有効領域を、第2貫通部15B側で大きくできる。
【0068】
本発明のコンデンサアレイでは、第1貫通部及び第2貫通部が、いずれも、コンデンサ部の第1主面から第2主面に向かって幅が小さくなる場合、コンデンサ部の第1主面と同一平面において、第2貫通部の幅は、第1貫通部の幅よりも小さいことが好ましい。
【0069】
図2及び
図3に示すように、第1貫通部15A及び第2貫通部15Bが、いずれも、コンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなっている場合、コンデンサ部30の第1主面30aと同一平面において、第2貫通部15Bの幅W2は、第1貫通部15Aの幅W1よりも小さいことが好ましい。この場合、コンデンサ層10において、コンデンサ部30が存在しない領域、すなわち、第1貫通部15A及び第2貫通部15Bが存在する領域のうち、少なくとも第2貫通部15Bが存在する領域を小さくできるため、コンデンサ層10において、コンデンサ部30が存在する領域を大きく確保できる。
【0070】
第1貫通部及び第2貫通部のテーパー形状、テーパー角度、及び、幅については、
図2及び
図3に示すような厚み方向に沿う断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより確認される。
【0071】
図2及び
図3に示すように、コンデンサ層10は、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの少なくとも一方主面側で、陰極層36が設けられていない誘電体層35の表面上に設けられた絶縁層24を更に有していることが好ましい。この場合、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が確保され、両者間の短絡が防止される。
【0072】
絶縁層24は、コンデンサ部30の第1主面30a側の誘電体層35の表面上に設けられていてもよいし、コンデンサ部30の第2主面30b側の誘電体層35の表面上に設けられていてもよいし、
図2及び
図3に示すようにコンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの両主面側の誘電体層35の表面上に設けられていてもよい。
【0073】
絶縁層24の構成材料としては、例えば、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料、あるいは、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料と、シリカ、アルミナ等の無機フィラーとの混合材料等が挙げられる。
【0074】
本発明のコンデンサアレイにおいて、コンデンサ層は、コンデンサ部の第1主面及び第2主面の少なくとも一方主面上に設けられた第1絶縁部を更に有し、第1絶縁部は、第1貫通部内に延在しており、かつ、第2貫通部内に延在していない、ことが好ましい。
【0075】
図2及び
図3に示すように、コンデンサ層10は、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの少なくとも一方主面上に設けられた第1絶縁部25Aを更に有していることが好ましい。
【0076】
第1絶縁部25Aは、コンデンサ部30の第1主面30a上に設けられていてもよいし、コンデンサ部30の第2主面30b上に設けられていてもよいし、
図2及び
図3に示すようにコンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの両主面上に設けられていてもよい。
【0077】
図2に示すように、第1絶縁部25Aは、第1貫通部15A内に延在していることが好ましい。
【0078】
図3に示すように、第1絶縁部25Aは、第2貫通部15B内に延在していないことが好ましい。
【0079】
本発明のコンデンサアレイにおいて、コンデンサ層は、第1絶縁部の表面上に設けられた第2絶縁部を更に有し、第2絶縁部は、第1貫通部内に延在しておらず、かつ、第2貫通部内に延在している、ことが好ましい。
【0080】
図2及び
図3に示すように、コンデンサ層10は、第1絶縁部25Aの表面上に設けられた第2絶縁部25Bを更に有していることが好ましい。
【0081】
図2に示すように、第2絶縁部25Bは、第1貫通部15A内に延在していないことが好ましい。
【0082】
図3に示すように、第2絶縁部25Bは、第2貫通部15B内に延在していることが好ましい。
【0083】
以上のことから、
図2に示すように、第1貫通部15A内には、第1絶縁部25Aが延在しており、かつ、第2絶縁部25Bが延在していない、ことが好ましい。
【0084】
更に、
図3に示すように、第2貫通部15B内には、第1絶縁部25Aが延在しておらず、かつ、第2絶縁部25Bが延在している、ことが好ましい。つまり、
図3に示すように、第1絶縁部25Aは、第2貫通部15Bと厚み方向Tに重なる位置で第2絶縁部25Bにより分離されていることが好ましい。
【0085】
第1絶縁部25A及び第2絶縁部25Bの構成材料としては、例えば、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料、あるいは、エポキシ、フェノール、ポリイミド等の樹脂材料と、シリカ、アルミナ等の無機フィラーとの混合材料等が挙げられる。
【0086】
第1絶縁部25Aの構成材料と第2絶縁部25Bの構成材料とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0087】
以上のように、コンデンサ層10は、コンデンサ部30の第1主面30a及び第2主面30bの少なくとも一方主面上に設けられた、第1絶縁部25A及び第2絶縁部25Bを含む絶縁部25を更に有していることが好ましい。
【0088】
本発明のコンデンサアレイが、第1貫通部のテーパー角度と第2貫通部のテーパー角度とが互いに異なる、という特徴を有することにより得られる作用効果について、
図2及び
図3に示す断面を有するコンデンサアレイ1の製造方法の一例を示しつつ、以下に説明する。
【0089】
<コンデンサシートの作製工程>
図4は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例におけるコンデンサシートの作製工程を、
図2に示す断面の形成位置で示す断面模式図である。
図5は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例におけるコンデンサシートの作製工程を、
図3に示す断面の形成位置で示す断面模式図である。
【0090】
まず、少なくとも一方の主面に多孔質層34を有する陽極板31を準備する。
【0091】
次に、陽極板31に対して陽極酸化処理を行うことにより、誘電体層35を多孔質層34の表面上に形成する。
【0092】
陽極板31の多孔質層34の表面上に誘電体層35が設けられたものとして、化成箔を準備してもよい。
【0093】
次に、コンデンサ部の有効領域を区分するために、絶縁性樹脂を、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法等で誘電体層35の表面に塗工することにより、絶縁層24を所定の領域に形成する。
【0094】
次に、固体電解質層36Aを、誘電体層35の表面上で絶縁層24が設けられていない領域に形成する。例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含む処理液を用いて誘電体層35の表面上にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の重合膜を形成する方法、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等のポリマーの分散液を誘電体層35の表面に塗工した後で乾燥させる方法、等により、固体電解質層36Aを形成する。なお、固体電解質層36Aとして、誘電体層35の細孔(凹部)に充填される内層を形成した後、誘電体層35の表面を覆う外層を形成することが好ましい。
【0095】
更に、導電体層36Bを、固体電解質層36Aの表面上に形成する。例えば、導電体層36Bとして、カーボン層及び銅層を、固体電解質層36A側から順に形成する。この場合、例えば、カーボンペーストを、スポンジ転写法、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法、インクジェット印刷法等で固体電解質層36Aの表面に塗工することにより、カーボン層を所定の領域に形成する。その後、銅ペーストを、スポンジ転写法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ディスペンサ塗布法、インクジェット印刷法等でカーボン層の表面に塗工することにより、銅層を所定の領域に形成する。
【0096】
このようにして、固体電解質層36A及び導電体層36Bを有する陰極層36を、誘電体層35の表面上に形成する。
【0097】
以上により、
図4及び
図5に示すような、陽極板31と、陽極板31の多孔質層34の表面上に設けられた誘電体層35と、誘電体層35の表面上に設けられた陰極層36と、を有するコンデンサシート130を作製する。
【0098】
図4及び
図5に示すように、コンデンサシート130は、厚み方向Tに相対する第1主面130a及び第2主面130bを有している。
【0099】
<第1貫通部用貫通孔の形成工程>
図6は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第1貫通部用貫通孔の形成工程を、
図4に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【0100】
コンデンサシート130における、
図4に示す断面が形成された部分に対して、第1主面130a側からレーザー加工を行う。これにより、
図6に示すように、コンデンサシート130を厚み方向Tに貫通する第1貫通部用貫通孔115Aを、陰極層36と厚み方向Tに重ならない位置で第1方向Uに沿って形成する。
【0101】
このようにして形成された第1貫通部用貫通孔115Aは、
図6に示すように、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、より具体的には、厚み方向T及び第2方向Vに沿う断面を見たとき、コンデンサシート130の第1主面130aから第2主面130bに向かって幅が小さくなるテーパーを有している。
【0102】
なお、コンデンサシート130における、
図4に示す断面が形成された部分に対して、第2主面130b側からレーザー加工を行うことにより、第1貫通部用貫通孔を形成してもよい。この場合、形成された第1貫通部用貫通孔は、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、より具体的には、厚み方向T及び第2方向Vに沿う断面を見たとき、コンデンサシート130の第2主面130bから第1主面130aに向かって幅が小さくなるテーパーを有することになる。
【0103】
上述したように、コンデンサシート130に対して、第1方向Uに沿う第1貫通部用貫通孔115Aを形成することにより、コンデンサシート130は、第1方向Uに沿って切断される。ただし、この際、コンデンサシート130が第1方向Uに沿って一端から他端まで連続的に切断されないように、第1貫通部用貫通孔115Aを第1方向Uに沿って形成する。これにより、コンデンサシート130が完全に分離して複数部分の独立状態になることを防止できるため、後工程におけるハンドリング性が向上する。
【0104】
なお、コンデンサシート130における、
図5に示す断面が形成された部分に対しては、本工程を行わない。
【0105】
<第1絶縁部の形成工程>
図7は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第1絶縁部の形成工程を、
図6に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
図8は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第1絶縁部の形成工程を、
図5に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【0106】
図5及び
図6に示す断面を有するコンデンサシート130における、
図6に示す断面が形成された部分に対して、絶縁材料をプレス加工で設けることにより、
図7に示すように、第1絶縁部25Aを、コンデンサシート130の第1主面130a及び第2主面130bの両主面上に形成しつつ、第1貫通部用貫通孔115A内に形成する。同時に、コンデンサシート130における、
図5に示す断面が形成された部分に対して、
図8に示すように、第1絶縁部25Aを、コンデンサシート130の第1主面130a及び第2主面130bの両主面上に形成する。以上により、コンデンサシート130が、第1貫通部用貫通孔115Aで部分的に分離された状態で、第1絶縁部25Aにより固定される。
【0107】
このようにして形成された第1絶縁部25Aは、
図7及び
図8に示すようにコンデンサシート130の第1主面130a及び第2主面130bの両主面上に設けられているとともに、
図7に示すように第1貫通部用貫通孔115A内に延在している。
【0108】
これにより、
図7に示すように、第1貫通部用貫通孔115A内に第1絶縁部25Aが設けられた状態として、第1貫通部15Aが形成される。このようにして形成された第1貫通部15Aの形状は、第1貫通部用貫通孔115Aの形状が反映されたものとなる。つまり、
図7に示すように、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、第1貫通部15Aは、コンデンサシート130の第1主面130aから第2主面130bに向かって幅が小さくなるテーパーを有することになる。また、上述したように、第1貫通部用貫通孔115Aは第1方向Uに沿って形成されるため、第1貫通部15Aは、第1方向Uに沿って形成されることになる(
図1参照)。
【0109】
なお、第1絶縁部25Aを、コンデンサシート130の第1主面130a及び第2主面130bの一方主面上に形成しつつ、第1貫通部用貫通孔115A内に形成してもよい。
【0110】
第1絶縁部25Aを形成する際、上述したように、コンデンサシート130は、第1貫通部用貫通孔115Aが設けられているものの、完全に分離しておらず複数部分の独立状態になっていない。そのため、第1絶縁部25Aを形成する際、コンデンサシート130において、第1貫通部用貫通孔115Aで分離された部分同士が、第1絶縁部25Aの構成材料(例えば、樹脂材料)の流れの影響で位置が移動して接触する、という不具合を防止できる。よって、後に得られるコンデンサアレイにおいて、コンデンサ部間での短絡が生じることを防止できる。
【0111】
更に、第1絶縁部25Aをプレス加工により形成する場合には、プレス加工を高圧で行っても、上述した不具合を防止できる。よって、第1絶縁部25Aを形成する際の加工マージンを大きく確保できるため、加工性が向上する。第1絶縁部25Aを高圧のプレス加工により形成できると、第1絶縁部25Aとコンデンサシート130との間の密着性を向上させたり、第1絶縁部25A内のボイドを低減させたりすることができるため、後に得られるコンデンサアレイの信頼性向上につながる。
【0112】
<第2貫通部用貫通孔の形成工程>
図9は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第2貫通部用貫通孔の形成工程を、
図8に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【0113】
第1絶縁部25Aが設けられたコンデンサシート130における、
図8に示す断面が形成された部分に対して、第1主面130a側からレーザー加工を行うことにより、
図9に示すように、コンデンサシート130及び第1絶縁部25Aを厚み方向Tに貫通する第2貫通部用貫通孔115Bを、陰極層36と厚み方向Tに重ならない位置で第2方向Vに沿って形成する。
【0114】
このようにして形成された第2貫通部用貫通孔115Bは、
図9に示すように、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、より具体的には、厚み方向T及び第1方向Uに沿う断面を見たとき、コンデンサシート130の第1主面130aから第2主面130bに向かって幅が小さくなるテーパーを有している。
【0115】
なお、第1絶縁部25Aが設けられたコンデンサシート130における、
図8に示す断面が形成された部分に対して、第2主面130b側からレーザー加工を行うことにより、第2貫通部用貫通孔を形成してもよい。この場合、形成された第2貫通部用貫通孔は、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、より具体的には、厚み方向T及び第1方向Uに沿う断面を見たとき、コンデンサシート130の第2主面130bから第1主面130aに向かって幅が小さくなるテーパーを有することになる。
【0116】
上述したように、第1絶縁部25Aが設けられたコンデンサシート130に対して、第2方向Vに沿う第2貫通部用貫通孔115Bを形成することにより、コンデンサシート130及び第1絶縁部25Aは、第2方向Vに沿って一括して切断される。ただし、この際、第1絶縁部25Aが設けられたコンデンサシート130が第2方向Vに沿って一端から他端まで連続的に切断されないように、第2貫通部用貫通孔115Bを第2方向Vに沿って形成する。これにより、第1絶縁部25Aが設けられたコンデンサシート130が完全に分離して複数部分の独立状態になることを防止できるため、後工程におけるハンドリング性が向上する。
【0117】
なお、コンデンサシート130における、
図7に示す断面が形成された部分に対しては、本工程を行わない。
【0118】
<第2絶縁部の形成工程>
図10は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第2絶縁部の形成工程を、
図7に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
図11は、本発明のコンデンサアレイの製造方法の一例における第2絶縁部の形成工程を、
図9に示す断面に対して行う様子を示す断面模式図である。
【0119】
図7及び
図9に示す断面を有するコンデンサシート130に対して、絶縁材料をプレス加工で設ける。これにより、
図7に示す断面が形成された部分については、
図10に示すように、第2絶縁部25Bが、第1絶縁部25Aの表面上に形成される。同時に、
図9に示す断面が形成された部分については、
図11に示すように、第2絶縁部25Bが、第1絶縁部25Aの表面上に形成されつつ、第2貫通部用貫通孔115B内に形成される。
【0120】
このようにして形成された第2絶縁部25Bは、
図10及び
図11に示すように第1絶縁部25Aの表面上に設けられているとともに、
図10に示すように第1貫通部15A内に延在しておらず、
図11に示すように第2貫通部用貫通孔115B内に延在している。
【0121】
これにより、
図11に示すように、第2貫通部用貫通孔115B内に第2絶縁部25Bが設けられた状態として、第2貫通部15Bが形成される。このようにして形成された第2貫通部15Bの形状は、第2貫通部用貫通孔115Bの形状が反映されたものとなる。つまり、
図11に示すように、厚み方向Tに沿う断面を見たとき、第2貫通部15Bは、コンデンサ部30の第1主面30aから第2主面30bに向かって幅が小さくなるテーパーを有することになる。また、上述したように、第2貫通部用貫通孔115Bは第2方向Vに沿って形成されるため、第2貫通部15Bは、第2方向Vに沿って形成されることになる(
図1参照)。
【0122】
以上により、
図10及び
図11に示すように、第1貫通部15A及び第2貫通部15Bで複数のコンデンサ部30に区分されて平面配置された状態のコンデンサ層10が作製され、複数のコンデンサ部30が第1絶縁部25A及び第2絶縁部25Bにより一体化される。その結果、
図2及び
図3に示す断面を有するコンデンサアレイ1が製造される。
【0123】
上述したコンデンサアレイ1の製造方法では、コンデンサシート130を複数のコンデンサ部30に区分するためのレーザー加工による切断工程を、第1方向Uに沿う切断を行う<第1貫通部用貫通孔の形成工程>と、第2方向Vに沿う切断を行う<第2貫通部用貫通孔の形成工程>とに分けており、更に、これらの工程間で<第1絶縁部の形成工程>を行っている。これにより、製造途中で、コンデンサシート130が完全に分離して複数部分の独立状態になることを防止できるため、ハンドリング性が向上する。更に、<第1絶縁部の形成工程>において、第1絶縁部25Aを形成する際のプレス加工を高圧で行えるため、加工性が向上するとともに、コンデンサアレイ1の信頼性向上にもつながる。
【0124】
上述したコンデンサアレイ1の製造方法において、<第1貫通部用貫通孔の形成工程>と<第2貫通部用貫通孔の形成工程>とを、<第1絶縁部の形成工程>を間に入れて別々に行うと、<第1貫通部用貫通孔の形成工程>で第1貫通部用貫通孔115Aが形成される対象物の厚み、すなわち、コンデンサシート130の厚みと、<第2貫通部用貫通孔の形成工程>で第2貫通部用貫通孔115Bが形成される対象物の厚み、すなわち、第1絶縁部25Aが設けられたコンデンサシート130の厚みとが、互いに異なることになる。よって、
図6及び
図9に示すように、<第1貫通部用貫通孔の形成工程>で形成された第1貫通部用貫通孔115Aのテーパー角度と、<第2貫通部用貫通孔の形成工程>で形成された第2貫通部用貫通孔115Bのテーパー角度とは、互いに異なることになる。
【0125】
つまり、上述したコンデンサアレイ1の製造方法において、<第1貫通部用貫通孔の形成工程>と<第2貫通部用貫通孔の形成工程>とを、<第1絶縁部の形成工程>を間に入れて別々に行うことは、製造されたコンデンサアレイ1において、
図2及び
図3に示すように、第1貫通部15Aのテーパー角度θ1と第2貫通部15Bのテーパー角度θ2とが互いに異なる、という特徴として現れる。
【0126】
以上のことから、第1貫通部15Aのテーパー角度θ1と第2貫通部15Bのテーパー角度θ2とが互いに異なる、という特徴を有するコンデンサアレイ1は、製造時のハンドリング性及び加工性に優れたものである、と言える。
【0127】
以下では、本発明のコンデンサアレイにおける、コンデンサ部の陽極板及び陰極層の各導出構造の一例について説明する。
【0128】
図1に示すコンデンサアレイ1は、スルーホール導体60、より具体的には、第1スルーホール導体62及び第2スルーホール導体64を更に有していることが好ましい。
【0129】
スルーホール導体60、より具体的には、第1スルーホール導体62及び第2スルーホール導体64は、各々、コンデンサ層10の厚み方向Tにコンデンサ部30を貫通するように設けられていることが好ましい。
【0130】
コンデンサ部30の陽極板31及び陰極層36は、各々、第1スルーホール導体62及び第2スルーホール導体64を利用して導出される。
【0131】
まず、コンデンサ部30の陽極板31の導出構造の一例について、以下に説明する。
【0132】
図12は、
図1中の線分A1-A2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。なお、
図12中の線分A1-A2は、
図1中の線分A1-A2に対応している。
【0133】
図12に示すように、第1スルーホール導体62は、コンデンサ層10の厚み方向Tにコンデンサ部30を貫通するように設けられていることが好ましい。より具体的には、第1スルーホール導体62は、コンデンサ部30を厚み方向Tに貫通する第1貫通孔63の少なくとも内壁面上に設けられていることが好ましい。
【0134】
第1スルーホール導体62は、厚み方向Tに直交する面方向において第1貫通孔63の内壁面に対向する陽極板31の端面に電気的に接続されていることが好ましい。
【0135】
面方向は、厚み方向Tに直交する第1方向U及び第2方向Vを包含する方向である。
【0136】
第1スルーホール導体62に電気的に接続する陽極板31の端面には、芯部32及び多孔質層34が露出していることが好ましい。この場合、芯部32に加えて多孔質層34でも、第1スルーホール導体62との電気的な接続がなされる。
【0137】
第1スルーホール導体62は、例えば、以下のようにして形成される。まず、第1スルーホール導体62を形成しようとする部分に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、第1貫通孔63を形成する。そして、第1貫通孔63の内壁面を、銅、金、銀等の低抵抗の金属でメタライズすることにより、第1スルーホール導体62を形成する。第1スルーホール導体62を形成する際、例えば、第1貫通孔63の内壁面を、無電解銅めっき処理、電解銅めっき処理等でメタライズすることにより、加工が容易になる。なお、第1スルーホール導体62を形成する方法については、第1貫通孔63の内壁面をメタライズする方法以外に、金属、金属と樹脂との複合材料等を第1貫通孔63に充填する方法であってもよい。
【0138】
図12に示すように、コンデンサアレイ1は、第1スルーホール導体62と陽極板31の端面との間に設けられた陽極接続層68を更に有していることが好ましい。
図12に示す例では、陽極接続層68が、第1スルーホール導体62と陽極板31の端面との両方に接している。
【0139】
陽極接続層68が第1スルーホール導体62と陽極板31の端面との間に設けられていることにより、陽極接続層68が、陽極板31に対するバリア層、より具体的には、芯部32及び多孔質層34に対するバリア層として機能する。このような陽極接続層68を利用することにより、後述する導電部20等を形成するための薬液処理時に生じる陽極板31の溶解が抑制され、ひいては、コンデンサ部30への薬液の浸入が抑制されるため、コンデンサアレイ1の信頼性が向上しやすくなる。
【0140】
図12に示すように、第1スルーホール導体62と陽極板31の端面とは、陽極接続層68を介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0141】
図12に示すように、陽極接続層68は、陽極板31の端面側から順に、第1陽極接続層68Aと、第2陽極接続層68Bと、を含んでいてもよい。
【0142】
陽極接続層68において、例えば、第1陽極接続層68Aは亜鉛を主成分とする層であってもよく、第2陽極接続層68Bはニッケル又は銅を主成分とする層であってもよい。この場合、第1陽極接続層68Aは、例えば、ジンケート処理で亜鉛を置換析出させることにより陽極板31の端面上に形成され、その後、第2陽極接続層68Bは、例えば、無電解ニッケルめっき処理又は無電解銅めっき処理により第1陽極接続層68Aの表面上に形成される。なお、第2陽極接続層68Bの形成時に第1陽極接続層68Aが消失する場合があり、この場合は、陽極接続層68が第2陽極接続層68Bのみからなってもよい。
【0143】
陽極接続層68は、ニッケルを主成分とする層を含むことが好ましい。この場合、陽極板31を構成する金属(例えば、アルミニウム)等へのダメージが低減されるため、陽極板31に対する陽極接続層68のバリア性が向上しやすくなる。
【0144】
図12に示すように、厚み方向Tにおいて、陽極接続層68の寸法は、陽極板31の寸法よりも大きいことが好ましい。この場合、陽極板31の端面全体が陽極接続層68で覆われるため、陽極板31に対する陽極接続層68のバリア性が向上しやすくなる。
【0145】
厚み方向Tにおいて、陽極接続層68の寸法は、好ましくは陽極板31の寸法の100%よりも大きく、200%以下である。
【0146】
厚み方向Tにおいて、陽極接続層68の寸法は、陽極板31の寸法と同じであってもよいし、陽極板31の寸法よりも小さくてもよい。
【0147】
なお、第1スルーホール導体62と陽極板31の端面との間に陽極接続層68が設けられていなくてもよい。この場合、第1スルーホール導体62は、陽極板31の端面に直に接続されていてもよい。
【0148】
図1及び
図12に示すように、厚み方向Tから見たとき、第1スルーホール導体62は、第1貫通孔63の全周にわたって陽極板31の端面に電気的に接続されていることが好ましい。
図12に示すように、第1スルーホール導体62と陽極板31の端面との間に陽極接続層68が設けられている場合、厚み方向Tから見たとき、第1スルーホール導体62は、第1貫通孔63の全周にわたって陽極接続層68に接続されていることが好ましい。この場合、第1スルーホール導体62と陽極接続層68との接触面積が大きくなるため、第1スルーホール導体62と陽極接続層68との接続抵抗が低減しやすくなる。その結果、第1スルーホール導体62と陽極板31との接続抵抗が低減しやすくなるため、コンデンサ部30の等価直列抵抗(ESR)が低減しやすくなる。更に、第1スルーホール導体62と陽極接続層68との間の密着性が向上しやすくなるため、熱応力による第1スルーホール導体62と陽極接続層68との間の剥離等の不具合が生じにくくなる。
【0149】
図12に示すように、コンデンサアレイ1は、第1スルーホール導体62に電気的に接続された導電部20を更に有していることが好ましい。
図12に示す例では、導電部20が、第1スルーホール導体62の表面上に設けられている。導電部20は、コンデンサアレイ1(コンデンサ部30)の接続端子として機能できる。
【0150】
導電部20の構成材料としては、例えば、銀、金、銅等の低抵抗の金属が挙げられる。この場合、導電部20は、例えば、第1スルーホール導体62の表面にめっき処理を行うことにより形成される。
【0151】
導電部20と他の部材との間の密着性、ここでは、導電部20と第1スルーホール導体62との間の密着性を向上させるために、導電部20の構成材料として、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー、及び、カーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーと樹脂との混合材料が用いられてもよい。
【0152】
図1及び
図12に示すように、コンデンサアレイ1は、第1貫通孔63に樹脂材料が充填されてなる第1樹脂充填部29Aを更に有していることが好ましい。
図1及び
図12に示す例では、第1樹脂充填部29Aが、第1貫通孔63の内壁面上の第1スルーホール導体62で囲まれた空間に設けられている。第1樹脂充填部29Aが設けられることで第1貫通孔63内の空間が解消されると、第1スルーホール導体62のデラミネーションの発生が抑制される。
【0153】
第1樹脂充填部29Aの熱膨張率は、第1スルーホール導体62の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。より具体的には、第1貫通孔63に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第1スルーホール導体62の構成材料(例えば、銅)の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。この場合、第1樹脂充填部29A、より具体的には、第1貫通孔63に充填された樹脂材料が高温環境下で膨張することにより、第1スルーホール導体62が第1貫通孔63の内側から外側に向かって第1貫通孔63の内壁面に押さえつけられるため、第1スルーホール導体62のデラミネーションの発生が充分に抑制される。
【0154】
第1樹脂充填部29Aの熱膨張率は、第1スルーホール導体62の熱膨張率と同じであってもよいし、第1スルーホール導体62の熱膨張率よりも小さくてもよい。より具体的には、第1貫通孔63に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第1スルーホール導体62の構成材料の熱膨張率と同じであってもよいし、第1スルーホール導体62の構成材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0155】
コンデンサアレイ1は、第1樹脂充填部29Aを有していなくてもよい。この場合、第1スルーホール導体62は、第1貫通孔63の内壁面上だけではなく、第1貫通孔63の内部全体に設けられていることが好ましい。
【0156】
次に、コンデンサ部30の陰極層36の導出構造の一例について、以下に説明する。
【0157】
図13は、
図1中の線分B1-B2に沿う断面を含むコンデンサアレイの断面の一例を示す断面模式図である。なお、
図13中の線分B1-B2は、
図1中の線分B1-B2に対応している。
【0158】
図13に示すように、第2スルーホール導体64は、コンデンサ層10の厚み方向Tにコンデンサ部30を貫通するように設けられていることが好ましい。より具体的には、第2スルーホール導体64は、
図12等に示す第1スルーホール導体62が設けられたコンデンサ部30を厚み方向Tに貫通する第2貫通孔65の少なくとも内壁面上に設けられていることが好ましい。
【0159】
図13に示すように、第2スルーホール導体64は、陰極層36に電気的に接続されていることが好ましい。ここで、
図13に示す例では、導電部40が、第2スルーホール導体64の表面上に設けられており、コンデンサアレイ1(コンデンサ部30)の接続端子として機能できる。また、
図13に示す例では、ビア導体42が、絶縁部25を厚み方向Tに貫通して導電部40と陰極層36とに接続されるように設けられている。よって、
図13に示す例では、第2スルーホール導体64が、導電部40及びビア導体42を介して陰極層36に電気的に接続されている。この場合、コンデンサアレイ1の小型化が可能となる。
【0160】
第2スルーホール導体64は、例えば、以下のようにして形成される。まず、第2スルーホール導体64を形成しようとする部分に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、貫通孔を形成する。次に、形成された貫通孔に、第2絶縁部25Bの構成材料(例えば、樹脂材料)を充填することにより、絶縁層を形成する。そして、形成された絶縁層に対して、ドリル加工、レーザー加工等を行うことにより、第2貫通孔65を形成する。この際、第2貫通孔65の直径を絶縁層の直径よりも小さくすることにより、先に形成された貫通孔と第2貫通孔65との間に、第2絶縁部25Bの構成材料が存在する状態にする。その後、第2貫通孔65の内壁面を、銅、金、銀等の低抵抗の金属でメタライズすることにより、第2スルーホール導体64を形成する。第2スルーホール導体64を形成する際、例えば、第2貫通孔65の内壁面を、無電解銅めっき処理、電解銅めっき処理等でメタライズすることにより、加工が容易になる。なお、第2スルーホール導体64を形成する方法については、第2貫通孔65の内壁面をメタライズする方法以外に、金属、金属と樹脂との複合材料等を第2貫通孔65に充填する方法であってもよい。
【0161】
導電部40の構成材料としては、例えば、銀、金、銅等の低抵抗の金属が挙げられる。この場合、導電部40は、例えば、第2スルーホール導体64の表面にめっき処理を行うことにより形成される。
【0162】
導電部40と他の部材との間の密着性、ここでは、導電部40と第2スルーホール導体64との間の密着性を向上させるために、導電部40の構成材料として、銀フィラー、銅フィラー、ニッケルフィラー、及び、カーボンフィラーからなる群より選択される少なくとも1種の導電性フィラーと樹脂との混合材料が用いられてもよい。
【0163】
ビア導体42の構成材料としては、例えば、導電部40の構成材料と同様のものが挙げられる。
【0164】
ビア導体42は、例えば、絶縁部25を厚み方向Tに貫通するように設けられた貫通孔に対して、内壁面にめっき処理を行ったり、導電性ペーストを充填した後に熱処理を行ったりすることにより形成される。
【0165】
コンデンサアレイ1は、
図1及び
図13に示すように、第2貫通孔65に樹脂材料が充填されてなる第2樹脂充填部29Bを更に有していることが好ましい。
図1及び
図13に示す例では、第2樹脂充填部29Bが、第2貫通孔65の内壁面上の第2スルーホール導体64で囲まれた空間に設けられている。第2樹脂充填部29Bが設けられることで第2貫通孔65内の空間が解消されると、第2スルーホール導体64のデラミネーションの発生が抑制される。
【0166】
第2樹脂充填部29Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。より具体的には、第2貫通孔65に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料(例えば、銅)の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。この場合、第2樹脂充填部29B、より具体的には、第2貫通孔65に充填された樹脂材料が高温環境下で膨張することにより、第2スルーホール導体64が第2貫通孔65の内側から外側に向かって第2貫通孔65の内壁面に押さえつけられるため、第2スルーホール導体64のデラミネーションの発生が充分に抑制される。
【0167】
第2樹脂充填部29Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも小さくてもよい。より具体的には、第2貫通孔65に充填された樹脂材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0168】
コンデンサアレイ1は、第2樹脂充填部29Bを有していなくてもよい。この場合、第2スルーホール導体64は、第2貫通孔65の内壁面上だけではなく、第2貫通孔65の内部全体に設けられていることが好ましい。
【0169】
図13に示すように、第2絶縁部25Bは、陽極板31と第2スルーホール導体64との間に延在していることが好ましい。
図13に示す例では、第2絶縁部25Bが、陽極板31と第2スルーホール導体64との両方に接している。第2絶縁部25Bが陽極板31と第2スルーホール導体64との間に延在していることにより、陽極板31と第2スルーホール導体64との間の絶縁性、ひいては、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が確保され、両者間の短絡が防止される。
【0170】
第2絶縁部25Bが陽極板31と第2スルーホール導体64との間に延在している場合、
図13に示すように、第2絶縁部25Bに接する陽極板31の端面には、芯部32及び多孔質層34が露出していることが好ましい。この場合、第2絶縁部25Bと多孔質層34との接触面積が大きくなることで両者間の密着性が向上するため、第2絶縁部25Bと多孔質層34との間の剥離等の不具合が生じにくくなる。
【0171】
第2絶縁部25Bに接する陽極板31の端面に、芯部32及び多孔質層34が露出している場合、絶縁層24の構成材料が多孔質層34の空孔に入り込むことで多孔質層34の内部に広がった絶縁層24が、第2スルーホール導体64の周囲に設けられていることが好ましい。この場合、陽極板31と第2スルーホール導体64との間の絶縁性、ひいては、陽極板31と陰極層36との間の絶縁性が充分に確保され、両者間の短絡が充分に防止される。
【0172】
第2絶縁部25Bに接する陽極板31の端面に、芯部32及び多孔質層34が露出している場合、第2絶縁部25Bの構成材料は、多孔質層34の空孔に入り込んでいることが好ましい。この場合、多孔質層34の機械的強度が向上しつつ、多孔質層34の空孔に起因するデラミネーションの発生が抑制される。
【0173】
第2絶縁部25Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。より具体的には、第2絶縁部25Bの構成材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料(例えば、銅)の熱膨張率よりも大きいことが好ましい。この場合、第2絶縁部25B、より具体的には、第2絶縁部25Bの構成材料が高温環境下で膨張することにより、多孔質層34及び第2スルーホール導体64が押さえつけられるため、デラミネーションの発生が充分に抑制される。
【0174】
第2絶縁部25Bの熱膨張率は、第2スルーホール導体64の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の熱膨張率よりも小さくてもよい。より具体的には、第2絶縁部25Bの構成材料の熱膨張率は、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率と同じであってもよいし、第2スルーホール導体64の構成材料の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0175】
本発明のコンデンサアレイにおいて、コンデンサ部は、上述した固体電解コンデンサを含む電解コンデンサに限定されない。本発明のコンデンサアレイにおいて、コンデンサ部は、例えば、MIM(Metal Insulator Metal)構造を有するトレンチキャパシタ等の薄膜キャパシタを構成していてもよいし、セラミックキャパシタを構成していてもよい。
【0176】
本発明のコンデンサアレイは、例えば、複合電子部品に用いられる。このような複合電子部品は、例えば、本発明のコンデンサアレイと、本発明のコンデンサアレイの外側に設けられ、かつ、第1電極(例えば、陽極板)及び第2電極(例えば、陰極層)の各々に電気的に接続された外部電極と、外部電極に電気的に接続された電子部品と、を有する。
【0177】
複合電子部品において、外部電極に電気的に接続される電子部品は、受動素子であってもよいし、能動素子であってもよいし、受動素子及び能動素子の両方であってもよいし、受動素子及び能動素子の複合体であってもよい。
【0178】
受動素子としては、例えば、インダクタ等が挙げられる。
【0179】
能動素子としては、メモリ、GPU(Graphical Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、PMIC(Power Management IC)等が挙げられる。
【0180】
本発明のコンデンサアレイが複合電子部品に用いられる場合、本発明のコンデンサアレイは、例えば、上述したように、電子部品を実装するための基板として扱われる。そのため、本発明のコンデンサアレイを全体としてシート状にし、更に、本発明のコンデンサアレイに実装される電子部品をシート状にすることにより、電子部品を厚み方向に貫通するスルーホール導体を介して、本発明のコンデンサアレイと電子部品とを厚み方向に電気的に接続することが可能となる。その結果、電子部品としての受動素子及び能動素子を一括のモジュールのように構成することが可能となる。
【0181】
例えば、半導体アクティブ素子を含むボルテージレギュレータと、変換された直流電圧が供給される負荷との間に本発明のコンデンサアレイを電気的に接続することにより、スイッチングレギュレータを形成することができる。
【0182】
複合電子部品においては、本発明のコンデンサアレイが複数個レイアウトされたコンデンサマトリクスシートの一方の主面上に回路層を形成した上で、その回路層を、電子部品としての受動素子又は能動素子に電気的に接続してもよい。
【0183】
また、基板に予め設けられたキャビティ部に本発明のコンデンサアレイを配置し、樹脂で埋め込んだ後、その樹脂上に回路層を形成してもよい。同基板の別のキャビティ部には、別の電子部品としての受動素子又は能動素子が搭載されていてもよい。
【0184】
あるいは、本発明のコンデンサアレイをウエハ、ガラス等の平滑なキャリアに実装し、樹脂による外層部を形成した後、回路層を形成した上で、その回路層を、電子部品としての受動素子又は能動素子に電気的に接続してもよい。
【符号の説明】
【0185】
1 コンデンサアレイ
10 コンデンサ層
15 貫通部
15A 第1貫通部
15B 第2貫通部
20、40 導電部
24 絶縁層
25 絶縁部
25A 第1絶縁部
25B 第2絶縁部
29A 第1樹脂充填部
29B 第2樹脂充填部
30 コンデンサ部
30a コンデンサ部の第1主面
30b コンデンサ部の第2主面
31 陽極板(第1電極)
32 芯部
34 多孔質層
35 誘電体層
36 陰極層(第2電極)
36A 固体電解質層
36B 導電体層
42 ビア導体
60 スルーホール導体
62 第1スルーホール導体
63 第1貫通孔
64 第2スルーホール導体
65 第2貫通孔
68 陽極接続層
68A 第1陽極接続層
68B 第2陽極接続層
115A 第1貫通部用貫通孔
115B 第2貫通部用貫通孔
130 コンデンサシート
130a コンデンサシートの第1主面
130b コンデンサシートの第2主面
θ1 第1貫通部のテーパー角度
θ2 第2貫通部のテーパー角度
T 厚み方向
U 第1方向
V 第2方向
W1 第1貫通部の幅
W2 第2貫通部の幅