(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 11/076 20060101AFI20240214BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20240214BHJP
F16K 3/22 20060101ALI20240214BHJP
F16K 5/06 20060101ALI20240214BHJP
F16K 11/085 20060101ALI20240214BHJP
F16K 11/087 20060101ALI20240214BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F16K11/076 Z
F01P7/16 504A
F01P7/16 504E
F16K3/22 A
F16K5/06 Z
F16K11/085 Z
F16K11/087 Z
F16K31/04 K
(21)【出願番号】P 2023058877
(22)【出願日】2023-03-31
(62)【分割の表示】P 2018233924の分割
【原出願日】2018-12-13
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2018105551
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能村 亮
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205410(JP,A)
【文献】特開2018-025179(JP,A)
【文献】国際公開第2005/061867(WO,A2)
【文献】特開2017-057792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/00-11/24
F16K 3/20
F16K 3/22
F16K 5/06
F16K 31/04
F01P 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内部空間(200)、前記内部空間に接続し前記車両のラジエータ(5)に接続されるラジエータポート(221)、前記内部空間に接続し前記車両のヒータ(6)に接続されるヒータポート(222)、および、前記内部空間に接続し前記車両のデバイス(7)に接続されるデバイスポート(223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)を有し、前記弁体の回転位置により前記ラジエータポート、前記ヒータポートまたは前記デバイスポートを開閉可能なバルブ(30)と、
前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、
前記駆動部の作動を制御し前記弁体の回転駆動を制御することで、前記ラジエータポートと前記ラジエータとの間、前記ヒータポートと前記ヒータとの間、および、前記デバイスポートと前記デバイスとの間の冷却水の流れを制御可能な制御部(8)と、を備え、
前記制御部は、
車両環境および/または車両状態に応じて、前記弁体を回転方向の基準位置に対し一方側において回転させる通常モード、あるいは他方側において回転させる冷却優先モードで前記弁体を回転駆動し、
前記通常モードの前記弁体の特定の回転位置において、前記ラジエータポートのみ開度が、前記ヒータポートの開度および前記デバイスポートの開度より大きい所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能であるバルブ装置。
【請求項2】
前記弁体が前記特定の回転位置にあるとき、前記ヒータポートの開度および前記デバイスポートの開度は0である請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通常モードと前記冷却優先モードの両側において、前記ラジエータポートが前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である請求項1または2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ラジエータポート、前記ヒータポートまたは前記デバイスポートの開度がそれぞれ単独で前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通常モードにおいて、前記ラジエータポート、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートの全ての開度が前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である請求項1~4のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記所定開度は、60%以上に設定されている請求項1~5のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記弁体は、外周壁または内周壁が球面状または円筒状に形成され、
前記バルブは、前記弁体の内周壁の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され前記弁体の回転位置により前記ラジエータポートとの重合割合であるラジエータ重合割合が変化するラジエータ用開口部(410)、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され前記弁体の回転位置により前記ヒータポートとの重合割合であるヒータ重合割合が変化するヒータ用開口部(420)、および、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され前記弁体の回転位置により前記デバイスポートとの重合割合であるデバイス重合割合が変化するデバイス用開口部(430)を有している請求項1~6のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項8】
前記ラジエータ重合割合が0より大きいとき、前記ラジエータポートが開き、前記ラジエータ用開口部および前記ラジエータポートを経由して前記弁体内流路と前記ラジエータとが連通し、
前記ヒータ重合割合が0より大きいとき、前記ヒータポートが開き、前記ヒータ用開口部および前記ヒータポートを経由して前記弁体内流路と前記ヒータとが連通し、
前記デバイス重合割合が0より大きいとき、前記デバイスポートが開き、前記デバイス用開口部および前記デバイスポートを経由して前記弁体内流路と前記デバイスとが連通する請求項7に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転する弁体を有するバルブ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載されたバルブ装置では、制御部は、弁体の回転駆動を制御することで、バルブ装置のラジエータポートとラジエータとの間、ヒータポートとヒータとの間、および、デバイスポートと変速機等のデバイスとの間の冷却水の流れを制御可能である。
【0005】
特許文献1のバルブ装置では、ラジエータポートのみ全開、あるいは、開度が0より大きい所定開度になるモードがないため、車両のエンジン高負荷時の冷却効率の最大化を図ることができない。
【0006】
本発明の目的は、発熱体の冷却効率の高いバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<12-1>フローダイアグラム
本発明は、車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、ハウジング(20)とバルブ(30)と駆動部(70)と制御部(8)とを備える。
制御部は、駆動部の作動を制御し弁体の回転駆動を制御することで、ラジエータポートとラジエータとの間、ヒータポートとヒータとの間、および、デバイスポートとデバイスとの間の冷却水の流れを制御可能である。
【0008】
<12-5>
本発明では、制御部は、車両環境および/または車両状態に応じて、弁体を回転方向の基準位置に対し一方側において回転させる通常モード、あるいは他方側において回転させる冷却優先モードで弁体を回転駆動する。
制御部は、通常モードの弁体の特定の回転位置において、ラジエータポートのみ開度が、ヒータポートの開度およびデバイスポートの開度より大きい所定開度になるよう駆動部および弁体を制御可能である。
そのため、例えば環境温度が所定の温度以下の冬季においても、発熱体の冷却効率を高めることが可能な程度の開度に前記所定開度を設定し、ラジエータポートのみ開度が前記所定開度になるよう駆動部および弁体を制御することで、発熱体の高負荷時の冷却効率の最大化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のバルブ装置を適用した冷却システムを示す模式図。
【
図2】第1実施形態のバルブ装置の車両における配置を示す模式図。
【
図4】第1実施形態のバルブ装置のシールユニットの近傍を示す断面図。
【
図5】第1実施形態のバルブ装置を示す断面斜視図。
【
図7】第1実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置と弁体開口部の開閉状態との関係を示す図。
【
図10】第1実施形態のバルブ装置の一部を示す斜視図。
【
図11】第1実施形態のバルブ装置の駆動部の近傍を示す断面図。
【
図12】第1実施形態のバルブ装置の駆動部の近傍を示す断面図。
【
図13】第1実施形態のバルブ装置の駆動部の近傍を示す断面図。
【
図14】第1実施形態のバルブ装置の駆動部の近傍を示す断面図。
【
図15】第1実施形態のバルブ装置の駆動部を示す平面図。
【
図16】第1実施形態のバルブ装置の駆動部の近傍を示す断面図。
【
図17】第1実施形態のバルブ装置の駆動部カバーおよび駆動部の一部を示す分解斜視図。
【
図18】第1実施形態のバルブ装置の駆動部カバーおよび駆動部の一部を示す分解斜視図。
【
図19】第2実施形態のバルブ装置の駆動部を示す図。
【
図20】第3実施形態のバルブ装置のバルブを示す図。
【
図21】第3実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す図。
【
図22】第3実施形態のバルブ装置のバルブを示す斜視図。
【
図23】第3実施形態のバルブ装置のバルブを示す斜視図。
【
図24】第3実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す図。
【
図25】第3実施形態のバルブ装置のバルブの一部およびシールユニットを示す断面図。
【
図26】第3実施形態のバルブ装置のバルブおよびシールユニットを示す斜視図。
【
図27】第3実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す斜視図。
【
図28】第3実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す断面図。
【
図29】第3実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図30】第3実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図31】第3実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図32】第3実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図33】第4実施形態のバルブ装置のバルブの一部およびシールユニットを示す断面図。
【
図34】第5実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す断面図。
【
図35】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程で用いる型装置を示す斜視図。
【
図36】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程で用いる型装置の一部を示す斜視図。
【
図37】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程で用いる型装置の一部を示す斜視図。
【
図38】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程で用いる型装置の一部を示す斜視図。
【
図39】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図40】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図41】第5実施形態のバルブ装置のバルブの製造工程を説明するための図。
【
図44】第6実施形態のバルブ装置の車両における配置を示す模式図。
【
図49】第6実施形態のバルブ装置の一部を示す図。
【
図50】第6実施形態のバルブ装置のパイプ部材、シールユニット、ガスケットを示す断面図。
【
図51】第6実施形態のバルブ装置の一部を示す分解図。
【
図52】第6実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴の近傍を示す断面図。
【
図53】第7実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴の近傍を示す断面図。
【
図54】第8実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴の近傍を示す断面図。
【
図55】第9実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴の近傍を示す断面図。
【
図56】第10実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴を示す図。
【
図57】第10実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴を示す図。
【
図58】第11実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴を示す図。
【
図59】第12実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴の近傍を示す断面図。
【
図60】第13実施形態のバルブ装置の隔壁貫通穴を示す図。
【
図74】第14実施形態のバルブ装置を示す斜視図。
【
図75】第14実施形態のバルブ装置を示す斜視図。
【
図76】第14実施形態のバルブ装置を示す斜視図。
【
図77】第14実施形態のバルブ装置を示す斜視図。
【
図78】第14実施形態のバルブ装置の一部を示す分解図。
【
図80】第14実施形態のバルブ装置の駆動部カバーおよび駆動部の一部を示す図。
【
図81】第14実施形態のバルブ装置の保持部材を示す図。
【
図83】第14実施形態のバルブ装置の駆動部を示す平面図。
【
図85】第14実施形態のバルブ装置の駆動部カバーおよび駆動部の一部を示す分解斜視図。
【
図86】第14実施形態のバルブ装置の駆動部カバーおよび駆動部の一部を示す分解斜視図。
【
図87】第1実施形態のバルブ装置の駆動部カバーおよび駆動部の一部を示す図。
【
図88】第1実施形態のバルブ装置の保持部材を示す図。
【
図90】第14実施形態のバルブ装置のバルブを示す図。
【
図97】第14実施形態のバルブ装置のバルブを示す斜視図。
【
図98】第14実施形態のバルブ装置のバルブを示す斜視図。
【
図99】第14実施形態のバルブ装置のバルブおよびシールユニットを示す斜視図。
【
図100】第14実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す図。
【
図101】第14実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す斜視図。
【
図102】第14実施形態のバルブ装置のバルブの一部を示す分解斜視図。
【
図103】第14実施形態のバルブ装置の隔壁部を示す断面図。
【
図104】第14実施形態のバルブ装置の隔壁部の一部を示す斜視図。
【
図105】第14実施形態のバルブ装置のシャフト軸受部およびその近傍を示す断面図。
【
図106】第14実施形態のバルブ装置のシャフト軸受部およびその近傍を示す断面図。
【
図107】第14実施形態のバルブ装置のシャフト軸受部およびその近傍を示す断面斜視図。
【
図109】第14実施形態のバルブ装置の弁体とハウジング内壁との間の隙間を示す断面図。
【
図110】第14実施形態のバルブ装置のハウジングを示す図。
【
図111】第14実施形態のバルブ装置のハウジングを示す斜視図。
【
図113】第15実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置とポートの開度との関係を示す図。
【
図114】第15実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置と、弁体開口部とポートとの重合割合との関係を示す図。
【
図116】第17実施形態のバルブ装置のバルブを示す図。
【
図117】第18実施形態のバルブ装置のバルブを示す図。
【
図118】第19実施形態のバルブ装置の隔壁部の一部を示す断面図。
【
図119】第20実施形態のバルブ装置の隔壁部およびその近傍を示す断面図。
【
図120】第21実施形態のバルブ装置のハウジングを示す図。
【
図121】第21実施形態のバルブ装置のハウジングを示す斜視図。
【
図122】第22実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置と、弁体開口部とポートとの重合割合との関係を示す図。
【
図123】第23実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置と、弁体開口部とポートとの重合割合との関係を示す図。
【
図124】第24実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置とポートの開度との関係を示す図。
【
図125】第24実施形態のバルブ装置の弁体の回転位置と、弁体開口部とポートとの重合割合との関係を示す図。
【
図126】第25実施形態のバルブ装置のシャフトシール部およびその近傍を示す断面図。
【
図127】第26実施形態のバルブ装置を適用した冷却システムを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態によるバルブ装置を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位は、同一または同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるバルブ装置および冷却システムを
図1に示す。バルブ装置10は、車両1の冷却システム9に適用される。車両1は、発熱体としての内燃機関(以下、「エンジン」という。)2、冷却システム9、ヒータ6、デバイス7等を搭載している。
【0011】
<冷却システム>
冷却システム9は、バルブ装置10、ウォーターポンプ4、ラジエータ5、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)8等を備えている。ウォーターポンプ4は、冷却水をエンジン2のウォータージャケット3に向けて圧送する。バルブ装置10は、例えばウォータージャケット3の出口に設けられ、ラジエータ5、ヒータ6、デバイス7へ送る冷却水の流量を調整する。
【0012】
ラジエータ5は、熱交換器であり、冷却水と空気との間で熱交換を行い冷却水の温度を下げる。ヒータ6およびデバイス7は、バルブ装置10とウォーターポンプ4との間に設けられている。ここで、デバイス7は、例えばオイルクーラ、EGRクーラ、ATF(自動変速機油)クーラ等を含む。
【0013】
ヒータ6に冷却水を流すと車両1内の空気と冷却水との間で熱交換が行われる。デバイス7に冷却水を流すと、デバイス7を流れる流体(オイル、EGRガス等)と冷却水との間で熱交換が行われる。ECU8は、バルブ装置10の作動を制御し、ラジエータ5、ヒータ6、デバイス7へ送る冷却水の流量を制御可能である。
【0014】
<バルブ装置>
図3に示すように、バルブ装置10は、ハウジング20、バルブ30、シールユニット35、パイプ部材50、隔壁部60、駆動部70、駆動部カバー80等を備えている。
ハウジング20は、ハウジング本体21等を有している。ハウジング本体21は、例えば樹脂により形成され、内側に内部空間200を形成している。ハウジング本体21の外壁には、平面状の取付面201が形成されている。ハウジング本体21の取付面201とは反対側の外壁には、平面状のパイプ取付面202が形成されている。ここで、取付面201は、パイプ取付面202に対し概ね平行となるよう形成されている。
【0015】
ここで、ハウジング本体21は、ハウジング20の一部であって、内部空間200を形成する部位を意味する。そのため、後述する締結部231~233、ハウジング側固定部251~256、ハウジング接続部259、ハウジング側カバー固定部291~296は、ハウジング20を構成する部位ではあるものの、ハウジング本体21とは異なる部位として形成されている。
【0016】
ハウジング本体21には、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するハウジング開口部210が形成されている。また、ハウジング本体21は、一端がハウジング開口部210に接続し内部空間200を形成する筒状のハウジング内壁211を有している。ここで、ハウジング内壁211は、軸が取付面201およびパイプ取付面202に対し概ね平行となるよう形成されている。
【0017】
ハウジング本体21の長手方向の一端側にはハウジング開口部210が形成され、長手方向の他端側は閉塞面となっている。
【0018】
ハウジング20は、取付面201に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続する入口ポート220を有している。取付面201における入口ポート220の開口は、円形である。ここで、入口ポート220は、「ポート」、「第1ポート」に対応している。ハウジング20は、パイプ取付面202に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続する出口ポート221、222、223を有している。ここで、出口ポート221、222、223は、「ポート」、「第2ポート」に対応している。
【0019】
入口ポート220の開口は、ハウジング内壁211のうち出口ポート221~223の開口が形成された部位に対向する部位に形成されている。
【0020】
図8に示すように、ハウジング20は、パイプ取付面202に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するリリーフポート224を有している。
【0021】
入口ポート220の軸方向から見て、入口ポート220とリリーフポート224とは一部が重なり合っている(
図9参照)。
【0022】
出口ポート221、222、223は、ハウジング本体21のハウジング開口部210とは反対側の端部からハウジング開口部210側へ向かって、この順で並ぶよう形成されている。出口ポート221の内径は、出口ポート222、223の内径より大きい。
【0023】
バルブ30は、弁体31、シャフト32等を有している。弁体31は、例えば樹脂により形成されている。弁体31は、内部空間200において回転軸Axr1周りに回転可能に設けられている。ここで、回転軸Axr1は、ハウジング内壁211の軸と概ね平行になるよう設定されている。弁体31は、回転軸Axr1を含む仮想平面Vp1で2つに分割された第1分割体33と第2分割体34からなり、第1分割体33と第2分割体34とがそれぞれの接合面で接合されている(
図6参照)。
【0024】
弁体31は、ボールバルブ41、42、43、筒状接続部44、筒状バルブ接続部45を有している。ここで、ボールバルブ41、42、43は、それぞれ、「第1ボールバルブ」、「第2ボールバルブ」、「第3ボールバルブ」に対応している。また、筒状接続部44、筒状バルブ接続部45は、「筒状部」に対応している。ボールバルブ41、42、43は、それぞれ略球体状に形成され、内側に弁体内流路300を形成している。ボールバルブ41、42、43の外周壁は、回転軸Axr1の径外側へ凸となる球面状に形成されている。ボールバルブ41、42、43の内周壁は、回転軸Axr1の径外側へ凹むよう球面状に形成されている。
【0025】
筒状接続部44は、ボールバルブ41とボールバルブ42とを接続するよう筒状に形成されている。筒状バルブ接続部45は、ボールバルブ42とボールバルブ43とを接続するよう筒状に形成されている。ここで、筒状バルブ接続部45は、内側に弁体内流路300を形成している。ボールバルブ41、筒状接続部44、ボールバルブ42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43は、この順で一体に形成されている。
【0026】
ボールバルブ41、42、43のそれぞれには、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部410、420、430が形成されている。筒状接続部44の径方向外側においてボールバルブ41とボールバルブ42との間には、バルブ間空間400が形成されている。バルブ間空間400は、ボールバルブ41、42のそれぞれの弁体内流路300に連通している。
【0027】
弁体31は、回転軸Axr1方向において、弁体開口部410が出口ポート221の位置に対応し、バルブ間空間400が入口ポート220の位置に対応し、弁体開口部420が出口ポート222および入口ポート220の位置に対応し、弁体開口部430が出口ポート223の位置に対応するよう内部空間200に設けられる。
【0028】
シャフト32は、例えば金属により棒状に形成され、回転軸Axr1に設けられている。ここで、シャフト32は、弁体31と一体に設けられている。シャフト32は、弁体31とともに回転軸Axr1周りに回転可能である。
【0029】
シャフト32は、例えばSUS430系等のステンレスにより形成されている。
【0030】
図3に示すように、回転軸Axr1は、ハウジング本体21の外部から駆動部カバー80の外部まで延びるよう設定されている。つまり、回転軸Axr1は、内部空間200のみならず、ハウジング本体21の外部においても存在する直線として定義される。シャフト32は、軸が回転軸Axr1に沿うようにして回転軸Axr1上に設けられている。
【0031】
弁体31は、回転軸Axr1周りに回転可能なよう内部空間200に設けられている。シャフト32は、回転軸Axr1に沿う直線上に設けられている。つまり、シャフト32は、回転軸Axr1の少なくとも一部に設けられている。
【0032】
図3に示すように、本実施形態では、シャフト32は、弁体31の回転軸Axr1方向の一方の端面である第1最外端面301の外側から、弁体31の内部である弁体内流路300を通り、他方の端面である第2最外端面302の外側まで延びるよう設けられている。
【0033】
これに対し、他の実施形態では、シャフト32は、弁体31の第1最外端面301の外側から弁体31の内壁まで延び、弁体内流路300には突出しないよう設けてもよい。つまり、シャフト32は、弁体内流路300内または内部空間200内に存在していなくてもよく、回転軸Axr1に沿う直線上に設けられるのであれば、弁体31に対し、どの位置に設けられていてもよい。
【0034】
パイプ部材50は、例えば樹脂により形成されている。
図3、
図8に示すように、パイプ部材50は、パイプ部511~517、パイプ連結部52等を有している。パイプ部511~517は、それぞれ筒状に形成されている。パイプ部511は、一端が出口ポート221の内側に位置するよう設けられている。パイプ部512は、一端が出口ポート222の内側に位置するよう設けられている。パイプ部513は、一端が出口ポート223の内側に位置するよう設けられている。パイプ部514は、一端がリリーフポート224の位置に対応するよう設けられている。
【0035】
パイプ部515は、一端がパイプ部511とパイプ部514とに接続するよう設けられている。パイプ部516は、一端がパイプ部511に接続するよう設けられている。パイプ部517は、一端がパイプ部512に接続するよう設けられている。
【0036】
パイプ連結部52は、パイプ部511~515の一端側を連結するよう形成されている。パイプ部材50は、パイプ連結部52がパイプ取付面202に当接するようハウジング本体21に固定されている。パイプ連結部52とパイプ取付面202との間には、パイプ部材50とハウジング本体21との間を液密に保持可能なガスケット509が設けられている。
【0037】
パイプ部511、514、515の他端は、ホース等を介してラジエータ5に接続される。パイプ部512の他端は、ホース等を介してヒータ6に接続される。パイプ部513の他端は、ホース等を介してデバイス7に接続される。パイプ部516の他端は、ホース等を介して、図示しないリザーバタンクに接続される。パイプ部517の他端は、ホース等を介して、図示しないスロットルに接続される。
【0038】
シールユニット35は、出口ポート221、222、223のそれぞれに設けられている。
図4に示すように、シールユニット35は、バルブシール36、スリーブ371、スプリング372、シール部材373を有している。バルブシール36は、例えば樹脂により略円環状に形成され、内側にシール開口部360を有している。バルブシール36は、一方の面が弁体31の外周壁に当接するよう設けられ、弁体31の外周壁との間を液密に保持可能である。
【0039】
バルブシール36は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)に14%のグラファイトおよび1%のCF(カーボンファイバー)を混ぜた材料により形成されている。そのため、バルブシール36は、弁体31等と比べ、摩擦係数が低く、耐摩耗性、圧縮強度、耐クリープ性が向上している。
【0040】
スリーブ371は、例えば金属により筒状に形成され、一端でバルブシール36を保持している。スリーブ371の他端は、パイプ部511の一端の内側に位置している。スプリング372は、スリーブ371の一端とパイプ部511の一端との間に設けられ、スリーブ371とともにバルブシール36を弁体31側へ付勢している。シール部材373は、例えばゴムにより環状に形成され、パイプ部511の一端とスリーブ371の外周壁との間に設けられ、パイプ部511とスリーブ371との間を液密に保持可能である。
【0041】
スリーブ371は、例えばSUS430等のステンレスにより形成されている。そのため、スリーブ371の耐食性は、比較的高い。また、SUS430はプレス性が良いため、スリーブ371を容易にプレス加工できる。
【0042】
出口ポート222、223に設けられたシールユニット35も、出口ポート221に設けられたシールユニット35と同様の構成のため、説明を省略する。3つのシールユニット35は、それぞれ、パイプ部511、512、513の一端に組み付けられている。
【0043】
出口ポート222、223に設けられたシールユニット35のスリーブ371、スプリング372、バルブシール36は、出口ポート221に設けられたシールユニット35のスリーブ371、スプリング372、バルブシール36よりも外径が小さい。ここで、出口ポート221~223に設けられた各シールユニット35のスプリング372のスプリング荷重は、バルブシール36を圧縮してシールする必要漏れ量を満足する荷重に設定されている。出口ポート221~223に設けられた各シールユニット35のスプリング372については、大小で漏れ目標が異なり、体格も異なるため、ばね定数も大小で異なる。
【0044】
スプリング372は、例えばSUS316等のステンレスにより形成されている。そのため、スプリング372は、ばね性が良く、耐食性が高い。これにより、スプリング372の応力腐食割れを抑制できる。
【0045】
隔壁部60は、例えば樹脂により形成されている。隔壁部60は、ハウジング本体21とは別体に形成されている。隔壁部60は、隔壁部本体61等を有している。隔壁部本体61は、略円板状に形成されている。隔壁部60は、隔壁部本体61がハウジング開口部210を塞ぐようハウジング本体21に設けられている。隔壁部60は、隔壁部本体61の中央を板厚方向に貫くシャフト挿通穴62を有している。バルブ30は、シャフト32の一端がシャフト挿通穴62を挿通するようにして設けられている。シャフト32は、一端が隔壁部本体61により軸受けされ、他端がハウジング本体21により軸受けされている。
【0046】
駆動部カバー80は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、隔壁部60との間に駆動部空間800を形成している。
【0047】
駆動部70は、駆動部空間800に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。駆動部70は、モータ71、ギア部72等を有している。ギア部72は、シャフト32の一端に接続している。ECU8がモータ71への供給電力を制御すると、モータ71の駆動力は、ギア部72を経由してシャフト32に伝達する。これにより、弁体31が回転駆動する。
【0048】
図5に示すように、リリーフポート224には、リリーフ弁39が設けられている。リリーフ弁39は、所定の条件、例えば冷却水の温度が所定の温度以上となったとき、開弁し、リリーフポート224を経由した内部空間200とハウジング本体21の外部すなわちパイプ部515の内側の空間との連通を許容し、冷却水の温度が所定の温度より低くなったとき、上記連通を遮断する。
【0049】
図5に示すように、リリーフ弁39は、バルブ間空間400を間に挟んで入口ポート220と対向する位置に設けられている。すなわち、リリーフ弁39は、入口ポート220から目視可能な位置に設けられている。より具体的には、リリーフ弁39は、入口ポート220の軸方向から見たとき、少なくとも一部を目視可能である。
【0050】
そのため、入口ポート220から内部空間200に流入した冷却水をリリーフ弁39に直接当てることができ、冷却水の温度に応じてリリーフ弁39を速やかに開弁させることができる。
【0051】
図3、
図6に示すように、隔壁部60は、隔壁部本体61の内部空間200側の面から駆動部70側へ凹むC字状の規制凹部63が形成されている。規制凹部63の周方向の端部間には、規制部631が形成されている。
図3、
図6に示すように、弁体31には、駆動部70側の端面から規制凹部63側へ延びて先端部が規制凹部63内に位置する第1規制凸部332、第2規制凸部342が形成されている。そのため、弁体31は、第1規制凸部332が規制部631に当接したとき、および、第2規制凸部342が規制部631に当接したとき、その回転が規制される。つまり、弁体31は、第1規制凸部332が規制部631に当接する位置から第2規制凸部342が規制部631に当接する位置までの範囲で回転可能である。
【0052】
バルブ装置10は、入口ポート220がウォータージャケット3の出口に接続するようエンジン2に取り付けられる。そのため、入口ポート220から内部空間200に流入した冷却水は、バルブ間空間400を経由して弁体内流路300に流入する。また、弁体31の回転により、弁体開口部430、420、410とそれぞれのシール開口部360とが重なったとき、その重なり面積に応じて冷却水が弁体内流路300から弁体開口部430、420、410を経由してデバイス7、ヒータ6、ラジエータ5へ流れる。
【0053】
ECU8は、モータ71の作動を制御し、弁体31の回転位置を制御することにより、デバイス7に冷却水を流し、デバイス7において熱交換できるため、エンジンオイルやEGRガスを冷却して燃費を向上できる。また、ヒータ6に冷却水を流し、車両1内の空気と冷却水との間で熱交換できるため、車両1内を暖めることができる。
【0054】
図7は、弁体31の回転位置(横軸)と、弁体開口部430、420、410の開閉状態(縦軸)、すなわち、弁体開口部430、420、410とそれぞれのシール開口部360との重なり面積との関係を示す図である。ここで、弁体開口部430、420、410とそれぞれのシール開口部360との重なり面積は、デバイス7、ヒータ6、ラジエータ5への冷却水の流路面積に対応している。
【0055】
ECU8は、ヒータ6に冷却水を流す要求(ヒータ要求)がある場合に使用される「通常モード」と、ヒータ要求がない場合に使用される「ヒータカットモード」とを選択し、弁体31を回転させる。「通常モード」と「ヒータカットモード」とは、全ての弁体開口部430、420、410が弁体31の外周壁により閉じられて(全閉状態:
図3参照)、デバイス7、ヒータ6、ラジエータ5への冷却水の流量がゼロとなる領域(領域d)を隔てている。領域dでは、デバイス7、ヒータ6、ラジエータ5への冷却水の流れは遮断されている。
【0056】
「通常モード」では、ヒータ6への通水が最優先される。
図7において、領域dから右に進む方向に弁体31を回転させると、弁体31の回転位置が領域dの隣の領域(領域c)に移行する。領域cでは弁体開口部420が開き始め、ヒータ6に冷却水が流れ始める。さらに弁体31を回転させると、弁体開口部420が完全に開き、弁体31の回転位置が領域cの隣の領域(領域b)に移行する。領域bでは弁体開口部430が開き始め、デバイス7に冷却水が流れ始める。さらに弁体31を回転させると、弁体開口部430が完全に開き、弁体31の回転位置が領域bの隣の領域(領域a)に移行する。領域aでは弁体開口部410が開き始め、ラジエータ5に冷却水が流れ始める。さらに弁体31を回転させると、弁体開口部410が完全に開く(全開状態)。なお、弁体開口部410が完全に開かれる弁体31の回転位置が弁体31の回転限界(Rotation limit)に相当し、このとき、第1規制凸部332は規制部631に当接している(
図6参照)。
【0057】
「ヒータカットモード」では、ヒータ6への通水は行われず、ラジエータ5よりもデバイス7への通水が優先される。
図7において、領域dから左に進む方向に弁体31を回転させると、領域dの隣の領域(領域e)に移行する。領域eでは弁体開口部430が開き始め、デバイス7に冷却水が流れ始める。さらに弁体31を回転させると、弁体開口部430が完全に開き、弁体31の回転位置が領域eの隣の領域(領域f)に移行する。領域fでは弁体開口部430のみが開き、デバイス7にのみ冷却水が流れる。さらに弁体31を回転させると、弁体31の回転位置が領域fの隣の領域(領域g)に移行する。領域gでは弁体開口部410が開き始め、ラジエータ5に冷却水が流れ始める。さらに弁体31を回転させると、弁体開口部410が完全に開く。ECU8は、
図7に示す「通常モード」と「ヒータカットモード」とに基づき弁体31を回転駆動することにより、燃費と空調性能の両立を図ることが可能である。
【0058】
図2に示すように、エンジン2には、インテークマニホールド11、オルタネータ12、ウォーターポンプ4、コンプレッサ13、スタータ14、トランスミッション15等が組付けられている。バルブ装置10は、オルタネータ12とインテークマニホールド11との間の狭小空間A1においてエンジン2に取り付けられる。ここで、バルブ装置10は、駆動部70側が鉛直方向下側を向くようにしてエンジン2に取り付けられる。そのため、内部空間200等で発生したベーパ等の空気は、鉛直方向上側へ移動し、パイプ部516を経由してリザーバタンクに排出される。
【0059】
図2に示すように、バルブ装置10が配置される狭小空間A1は、水平方向に並ぶようにしてエンジン2に取り付けられるオルタネータ12とインテークマニホールド11との間に形成される。また、狭小空間A1の鉛直方向下側には、コンプレッサ13が配置される。そのため、狭小空間A1に設けられたバルブ装置10は、オルタネータ12、インテークマニホールド11およびコンプレッサ13により囲まれた状態となる。
【0060】
<1-2>ハウジング締結穴
図8、
図9、
図10に示すように、ハウジング20は、ハウジング本体21と一体に形成された締結部231、232、233を有している。締結部231、232、233は、ハウジング本体21の取付面201側の端部から取付面201の面方向に突出するよう形成されている。また、ハウジング20は、締結部231、232、233のそれぞれに対応して形成された締結穴241、242、243を有している。ここで、締結穴241、242、243は、それぞれ、「第1締結穴」、「第2締結穴」、「第3締結穴」に対応している。
【0061】
締結穴241、242、243には、締結部材240が挿通され、エンジン2に締結される。これにより、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられる。取付面201の入口ポート220の径方向外側には、環状ゴム製のポートシール部材209が設けられる。ポートシール部材209は、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられた状態において、締結部材240の軸力により圧縮された状態となる。これにより、ポートシール部材209は、取付面201とエンジン2との間を液密に保持し、入口ポート220から取付面201とエンジン2との間を経由して冷却水が漏れるのを抑制できる。
【0062】
ポートシール部材209は、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴムにより形成されている。そのため、コストを低減できる。なお、ポートシール部材209は、例えばH-NBRにより形成してもよい。この場合、ポートシール部材209の耐油性を向上できる。また、ポートシール部材209は、例えばFKMにより形成してもよい。この場合、ポートシール部材209の耐水性および耐熱性を向上できる。そのため、熱の影響を受けやすいエンジン部品として採用するのに好適である。
【0063】
図9、
図10に示すように、締結穴241は、取付面201における入口ポート220の開口の径方向外側に形成されている。締結穴242は、締結穴241との間に入口ポート220の開口を挟むようにして形成されている。締結穴243は、締結穴241、242に対し駆動部70側に形成されている。
【0064】
<1-2>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と隔壁部60と駆動部70とを備える。
【0065】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、ハウジング本体21の外壁に形成されエンジン2に取り付けられた状態においてエンジン2に対向する取付面201、取付面201に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続する入口ポート220、ハウジング本体21と一体に形成された複数の締結部(231、232、233)、および、複数の締結部のそれぞれに対応して形成された複数の締結穴(241、242、243)を有する。
【0066】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成され入口ポート220に連通可能な弁体内流路300、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有する。
【0067】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てる。
【0068】
駆動部70は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、シャフト32を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0069】
ハウジング本体21は、締結穴(241、242、243)を通りエンジン2に螺合する締結部材240によりエンジン2に固定される。
【0070】
締結穴は、入口ポート220の開口の径方向外側に形成された第1締結穴(241)、第1締結穴との間に入口ポート220の開口を挟むよう形成された第2締結穴(242)、および、第1締結穴および第2締結穴に対し駆動部70側に形成された第3締結穴(243)を含む。
【0071】
第1締結穴(241)は、第3締結穴(243)と同様、入口ポート220の中心よりも駆動部70側に形成されている。
【0072】
そのため、入口ポート220の周りに環状の弾性部材からなるポートシール部材209を設けた場合、締結穴241および締結穴242を通る締結部材240によりハウジング本体21をエンジン2に固定したとき、ポートシール部材209をバランスよく圧縮できる。これにより、入口ポート220周りのシール性を効果的に確保できる。
【0073】
また、締結穴243を通る締結部材240により締結部233がエンジン2に固定されることにより、エンジン2の振動の駆動部70への影響を抑制することができる。
【0074】
<1-2-1>
入口ポート220の開口の中心Cp1は、締結穴241と締結穴242とを結ぶ直線である第1直線Li1上に位置している。
【0075】
そのため、ポートシール部材209をよりバランスよく圧縮できる。
【0076】
本実施形態では、第1直線Li1は、締結穴241の中心と締結穴242の中心とを結ぶ。他の実施形態では、第1直線Li1は、締結穴241の中心以外の任意の点と締結穴242の中心以外の任意の点とを結ぶこととしてもよい。
【0077】
<1-2-2>
入口ポート220の開口の中心Cp1と締結穴241との距離は、入口ポート220の開口の中心Cp1と締結穴242との距離と同じである。
【0078】
締結穴241と締結穴242とは、入口ポート220を挟んで対向している。
【0079】
そのため、ポートシール部材209をよりバランスよく圧縮できる。
【0080】
<1-2-3>
締結穴243と駆動部70との距離は、締結穴243と入口ポート220の開口の中心Cp1との距離より短い。
【0081】
そのため、エンジン2の振動の駆動部70への影響をより抑制することができる。
【0082】
<1-2-4>
締結穴243は、中心が、出口ポート223の中心を通り回転軸Axr1に直交する仮想平面Vp2に対し駆動部70側に位置するよう形成されている(
図8参照)。なお、モータ71は、締結穴243の軸方向から見たとき、重心Cg1が回転軸Axr1に対し締結穴243側に位置するよう設けられている(
図8、
図9参照)。
【0083】
そのため、エンジン2の振動の駆動部70への影響をより抑制することができる。
【0084】
<1-3>
締結穴241と締結穴242とは、入口ポート220の開口の中心Cp1に対し点対称となるよう形成されている。
【0085】
締結穴241と締結穴242とは、同心円上にある。
【0086】
そのため、ポートシール部材209をよりバランスよく圧縮できる。
【0087】
<1-3-1>
入口ポート220の開口の中心Cp1に対し点対称となる締結穴241および締結穴242は、入口ポート220の開口面に垂直で、かつ、入口ポート220の開口の中心Cp1を通る直線が回転軸Axr1を通るよう形成されている。
【0088】
入口ポート220の開口の中心Cp1に対し点対称となる締結穴241および締結穴242は、「入口ポート220の開口面に垂直で、かつ、入口ポート220の開口の中心Cp1を通る直線」が回転軸Axr1を通るよう形成されている。
【0089】
そのため、ポートシール部材209をよりバランスよく圧縮できる。
【0090】
<1-4>
ハウジング20は、取付面201に形成され他部材と係合することでハウジング本体21の位置決めが可能な位置決め部205、206を有している。位置決め部205、206は、取付面201から円形に凹むよう形成されている。ここで、位置決め部205、206は、それぞれ、「第1位置決め部」、「第2位置決め部」に対応している。また、前記他部材は、例えばバルブ装置10の製造工程において用いられるパレットや、バルブ装置10の取り付け対象としてのエンジン2等が対応する。パレットやエンジン2に形成された突起等に位置決め部205、206を係合させることで、パレットやエンジン2に対するハウジング本体21の位置決めが可能である。
【0091】
位置決め部205は、入口ポート220の開口の径方向外側に形成されている。位置決め部206は、位置決め部205との間に入口ポート220の開口を挟むよう形成されている。
【0092】
そのため、製造工程においてハウジング本体21を精度よく位置決めし、加工精度を向上できる。また、エンジン2への取り付け時、ハウジング本体21を精度よく位置決めし、バルブ装置10による冷却水の制御を高精度に行うことができる。また、エンジン2への取り付け後は、エンジン2に対するハウジング本体21の位置が安定し、ポートシール部材209によるシール性を向上できる。
【0093】
<1-4-1>
位置決め部205および位置決め部206は、締結穴241と締結穴242とを結ぶ第1直線Li1に対し、位置決め部205と位置決め部206とを結ぶ直線である第2直線Li2が直交するよう形成されている。
【0094】
そのため、エンジン2に対するハウジング本体21の位置をより安定にすることができる。
【0095】
<1-4-2>
第1直線Li1の中心と第2直線Li2の中心とは一致する。
【0096】
そのため、エンジン2に対するハウジング本体21の位置をより安定にすることができる。
【0097】
図9に示すように、取付面201は、ハウジング本体21、締結部231~233のパイプ部材50とは反対側の面に形成され、略長方形の部分、当該長方形の部分から幅方向に延びる3つの部分、および、入口ポート220の外周に沿った曲線状の部分からなる。位置決め部205、206は、取付面201の略長方形の部分に形成されている。位置決め部205、206は、距離を稼ぐと安定する。そのため、位置決め部205、206は、取付面201の略長方形の部分の外周部分に設けている。
【0098】
<1-5>
ハウジング20は、取付面201からエンジン2とは反対側へ凹む取付面凹部207を有している。
【0099】
そのため、エンジン2の熱を取付面凹部207により断熱し、エンジン2からの熱の駆動部70への影響を抑制できる。
【0100】
<1-5-1>
取付面凹部207は、複数形成され、複数の取付面凹部207の間には凹部間リブ208が形成されている。
【0101】
そのため、エンジン2の熱を取付面凹部207により断熱しつつ、取付面201のエンジン2との接触面積を確保できる。
【0102】
図9に示すように、取付面凹部207は、矩形状の矩形凹部275、略台形状の台形凹部276を有している。凹部間リブ208は、取付面201の略長方形の部分の短手方向に延びる短手方向リブ285、長手方向に延びる長手方向リブ286を有している。
【0103】
取付面201の略長方形の部分の入口ポート220に対し駆動部70とは反対側には、台形凹部276が短手方向に並ぶようにして2つ形成されている。当該台形凹部276に対し入口ポート220とは反対側には、矩形凹部275が短手方向に並ぶようにして2つ形成されている。当該矩形凹部275と台形凹部276との間に短手方向リブ285が形成されている。2つの台形凹部276との間、2つの矩形凹部275との間に長手方向リブ286が形成されている。台形凹部276は、矩形凹部275よりも小さい。
【0104】
取付面201の略長方形の部分の入口ポート220に対し駆動部70側には、矩形凹部275が短手方向に並ぶようにして2つ形成されている。当該矩形凹部275に対し入口ポート220とは反対側には、矩形凹部275が短手方向に並ぶようにして2つ形成されている。長手方向に並ぶ矩形凹部275の間に短手方向リブ285が形成されている。短手方向に並ぶ矩形凹部275の間に長手方向リブ286が形成されている。
【0105】
取付面201の略長方形の部分の入口ポート220に対し駆動部70とは反対側に形成された短手方向リブ285と入口ポート220との距離は、取付面201の略長方形の部分の入口ポート220に対し駆動部70側に形成された短手方向リブ285と入口ポート220との距離より小さい。
【0106】
締結部231~233の取付面201には、台形凹部276が2つずつ形成されている。締結部231~233において、2つの台形凹部276の間に短手方向リブ285が形成されている。
【0107】
取付面201の略長方形の部分の外縁部には、取付面凹部207を囲む外周リブ287が形成されている。
【0108】
締結部231~233の取付面201の外縁部には、取付面凹部207を囲む外周リブ287が形成されている。
【0109】
取付面凹部207が互いに独立して形成され、取付面凹部207間の凹部間リブ208、外周リブ287により、エンジン2の振動に対するロバスト性を向上できる。
【0110】
長手方向リブ286は、回転軸Axr1方向に延びている。つまり、入口ポート220の軸方向から見た場合、長手方向リブ286と回転軸Axr1とは重なっている(
図9参照)。そのため、取付面201に垂直な方向の変形を抑制できる。仮に、このような変形が生じた場合、バルブ装置10内部の部品がずれて、内部や外部への冷却水漏れを引き起こし、バルブ装置10の機能が悪化するおそれがある。本実施形態は、このような問題を抑制できる。
【0111】
本実施形態では、取付面凹部207の取付面201に対する大きさの割合は、5~9.5割である。
【0112】
取付面凹部207をバルブ30が設けられる内部空間200とは反対側に設けることにより、バルブ30が設けられる空間のない壁面が均肉になり、内部空間200の空間精度が向上する。内部空間200の空間精度が良いと壁面抵抗が減り、圧力損失を低減できる。
【0113】
<1-1-5-1>
ハウジング本体21は、フィラーを含むポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS)により形成されている。より具体的には、ハウジング本体21は、「PPS-GF50」(PPS:50%、ガラス繊維:50%)により形成されている。フィラーとしては、ガラス繊維の他、炭素繊維、シリカ、タルク、珪素等を採用することができる。
【0114】
そのため、ハウジング本体21の耐熱性、耐吸水性、強度、寸法精度を向上できる。
【0115】
ハウジング本体21の樹脂に対するガラスの占有率は、20~80%の範囲でもよい。
【0116】
弁体31、ハウジング本体21、隔壁部60は、いずれもPPSにより形成されている。
【0117】
弁体31、ハウジング本体21、隔壁部60を同じ樹脂材料で形成することにより、線膨張差をなくすことができ、かじりを少なくすることができる。仮に、各部材間に線膨張差があると、冷却水漏れが生じるおそれがある。本実施形態は、このような問題を抑制できる。
【0118】
弁体31、ハウジング本体21、隔壁部60をPPSにより形成することで、弁体31、ハウジング本体21、隔壁部60の強度、耐熱性、耐薬品性を向上できる。
【0119】
パイプ部材50は、例えばPPA(ポリフタルアミド)により形成されている。これにより、パイプ部材50を無理抜きにより形成できる。
【0120】
PPSで形成された弁体31、ハウジング本体21、隔壁部60の線膨張係数は、PPAで形成されたパイプ部材50の線膨張係数より小さい。そのため、熱がかかったときの歪みやアッシーへの影響を低減できる。
【0121】
他の実施形態では、弁体31、ハウジング本体21、隔壁部60は、PPAにより形成してもよい。
【0122】
<1-6>
図9に示すように、第3締結穴としての締結穴243が形成された締結部233は、隔壁部60に隣接した位置に形成されている。
【0123】
そのため、駆動部70の振動を低減できる。
【0124】
<1-7>
図9に示すように、締結部231、232、233は、エンジン2側に取付面201を有し、取付面201からエンジン2とは反対側へ凹む取付面凹部207を有している。
【0125】
そのため、締結部231、232、233の肉厚を均肉にすることができる。その結果、ボイドの発生を防ぐことができ、締結部231、232、233の締結穴241、242、243に設けられるカラー周りの樹脂強度が低下することを抑制できる。さらに、エンジン2からの振動でカラー周りの薄肉が先に割れた場合にも、取付面凹部207がある結果、割れが内部空間200まで至ることを抑制できる。
【0126】
<1-8>
図9に示すように、ハウジング20は、取付面201に形成され他部材と係合することでハウジング本体21の位置決めが可能な位置決め部205、206、および、複数の取付面凹部207の間に形成される凹部間リブ208を有している。位置決め部205、206は、凹部間リブ208の格子点204に形成されている。
【0127】
そのため、ハウジング本体21を安定して位置決めできる。
【0128】
<1-9>
図9に示すように、ハウジング20は、取付面201に形成され他部材と係合することでハウジング本体21の位置決めが可能な位置決め部205、206を有している。締結部は、ハウジング本体21の幅方向の一方の側に1つ(231)、ハウジング本体21の幅方向の他方の側に2つ(232、233)形成されている。位置決め部205は、締結部が1つ(231)形成されたハウジング本体21の幅方向の一方の側に形成されている。ここで、ハウジング本体21の幅方向とは、ハウジング本体21を取付面201に垂直な方向から見たとき、ハウジング本体21の短手方向に対応する方向である。
【0129】
そのため、3つの締結部のうち1つしかない側について、位置決め部205が4点目としてあることで、ハウジング本体21の左右両方向(幅方向)のバランスを確保できる。
【0130】
<1-10>
図9に示すように、入口ポート220は、複数の締結部のうち入口ポート220から最も離れた締結部233と位置決め部205との間に形成されている。
【0131】
そのため、ハウジング本体21の左右両方向(幅方向)のバランスをさらに確保できる。
【0132】
<2-1>駆動部S/A
図11に示すように、隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるようハウジング開口部210に設けられ、シャフト32を軸受け可能である。駆動部カバー80は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、隔壁部60との間に駆動部空間800を形成する。駆動部70は、駆動部空間800に設けられ、シャフト32を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0133】
<2-1>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と隔壁部60と駆動部カバー80と駆動部70とを備える。
【0134】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するハウジング開口部210を有する。
【0135】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成された弁体内流路300、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体開口部(410、420、430)を経由した弁体内流路300とポート(220、221、222、223)との連通状態を弁体31の回転位置により変更可能である。
【0136】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるようハウジング開口部210に設けられ、シャフト32を軸受け可能である。
【0137】
駆動部カバー80は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、隔壁部60との間に駆動部空間800を形成する。
【0138】
駆動部70は、駆動部空間800に設けられ、シャフト32を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0139】
本実施形態では、駆動部70とシャフト32との間に、接手等の部材は不要である。そのため、駆動部70周りの構成を簡単にできる。
【0140】
また、シャフト32を軸受けする部材、および、駆動部70を収容する部材として隔壁部60を共用することにより、駆動部70と弁体31との同軸精度を向上できる。また、部材点数を削減できる。
【0141】
図11に示すように、隔壁部本体61の内部空間200側の面のうち規制凹部63の内側の部分は、規制凹部63の外側の部分よりもやや内部空間200側に位置している。
【0142】
隔壁部本体61と対向するハウジング本体21の内周部分は、段差形状になっている。
【0143】
環状シール部材600が設けられる隔壁部本体61とハウジング開口部210との間の隙間は、テーパ状に形成されている。これにより、環状シール部材600を当該隙間に容易に設けることができる。当該隙間にエンジンオイルが侵入すると、環状シール部材600が膨潤し、切れ、冷却水が漏れるおそれがある。また、環状シール部材600が噛み込むと、環状シール部材600が切れ、冷却水が漏れ、外部から内部にエンジンオイルが侵入するおそれがある。本実施形態では、この問題を抑制できる。
【0144】
<2-1-1>
バルブ装置10は、ハウジング開口部210と隔壁部60との間に設けられ、ハウジング開口部210と隔壁部60との間を液密に保持可能な環状シール部材600をさらに備えている。環状シール部材600は、例えばゴム等の弾性部材により環状に形成されている。
【0145】
ハウジング開口部210は、内壁が筒状に形成されている。隔壁部60は、ハウジング開口部210の内側に位置し外壁が筒状に形成された隔壁部本体61を有している。環状シール部材600は、ハウジング開口部210と隔壁部本体61との間に設けられている。ハウジング開口部210の内径と隔壁部本体61の外径との差は、自由状態の環状シール部材600の内径と外径との差より小さい。よって、環状シール部材600は、ハウジング開口部210と隔壁部本体61との間において径方向に圧縮されている。
【0146】
図11に示すように、ハウジング開口部210には、環状の開口段差面604、605、606が形成されている。開口段差面604、605、606は、回転軸Axr1方向の内部空間200側から駆動部70側へ向かって、この順で形成されている。開口段差面604、606は、環状の平面状に形成されている。開口段差面605は、駆動部70側から内部空間200側に向かうに従い回転軸Axr1に近付くようテーパ状に形成されている。
【0147】
隔壁部本体61の外縁部には、環状の隔壁段差面611、612が形成されている。隔壁段差面611は、開口段差面604に対向するよう環状の平面状に形成されている。隔壁段差面612は、開口段差面605、606に対向するよう環状の平面状に形成されている。
【0148】
環状シール部材600は、開口段差面604と隔壁段差面611との間に設けられている。
【0149】
<2-2>
環状シール部材600は、ハウジング開口部210と隔壁部60との間において径方向に圧縮されている。
【0150】
そのため、環状シール部材600によりシャフト32が調芯され、弁体31の位置精度、および、後述する回転角センサ86の検出精度を向上できる。
【0151】
環状シール部材600の内周壁の中心と外周壁の中心は一致する。そのため、環状シール部材600によりシャフト32を効果的に調芯できる。
【0152】
また、後述する固定部材830の軸方向にかかる力を小さくでき、固定部材830の本数を低減できる。
【0153】
水圧がかかると隔壁部本体61が押し上がる方向に力がかかり、駆動部70が押し上げられる。この結果、固定部材830が押し上がることになる。しかし、本実施形態では、環状シールによって、環状シール部材600がつっぱっている状態になり、隔壁部本体61は、摺動抵抗で動きにくくなっている。そのため、固定部材830の軸方向にかかる力を小さくできる。
【0154】
<2-2-1>
環状シール部材600の軸方向においてハウジング本体21との間に軸方向隙間SAxが形成されている。
【0155】
そのため、環状シール部材600を、ハウジング開口部210と隔壁部60との間において径方向により効果的に圧縮できる。
【0156】
軸方向隙間SAxが小さいと、環状シール部材600が縦長になる。この場合、環状シール部材600の軸方向に力が発生する。これを防ぐため、環状シール部材600の径方向のみに力が発生するようにする必要がある。その関係として、本実施形態では、環状シール部材600の軸を含む平面による断面において、環状シール部材600の断面積/軸方向隙間SAxの断面積<1となるよう設定されている。
【0157】
<2-3>
バルブ装置10は、隔壁部60がハウジング本体21と駆動部カバー80との間に挟み込まれた状態でハウジング本体21と駆動部カバー80とを固定可能な固定部材830をさらに備えている。
【0158】
そのため、隔壁部60の位置が安定し、弁体31の軸精度を向上できる。
【0159】
本実施形態では、シャフト32の駆動部70とは反対側の端部が摺動軸受けとなっている(
図3参照)。軸精度が悪くなると摺動抵抗があがる。一方、スプリング372によりバルブシール36を弁体31に押し付けているが、軸精度が良いと、スプリング372によりバルブシール36を押し付ける力を小さくできる。さらに、軸がずれると、冷却水が弁体31とバルブシール36との間で漏れ、暖機が遅くなり、燃費が悪化するおそれがあるが、軸精度が良いと、このような問題を防ぐことができる。
【0160】
また、隔壁部60および駆動部カバー80をハウジング本体21に一度に組み付けでき、組付けを簡素化できる。また、固定部材の数を低減できる。
【0161】
固定部材830は、例えばねじであり、駆動部カバー80に形成されたカバー締結穴831を通り、ハウジング本体21の締結穴に螺合する。これにより、駆動部カバー80は、ハウジング本体21との間に隔壁部60を挟んだ状態でハウジング本体21に固定される。なお、カバー締結穴は、駆動部カバー80に複数形成され、それぞれに固定部材830が挿通されている。なお、駆動部カバー80の外縁部と隔壁部60との間には、ゴム製環状のカバーシール部材809が設けられている。これにより、駆動部空間800は気密液密に保持されている。
【0162】
<2-4>
図11に示すように、隔壁部60は、シャフト32の一端を挿通可能なシャフト挿通穴62を有している。バルブ装置10は、シャフト挿通穴62において隔壁部60にインサート成型された金属環601を備えている。金属環601は、金属により環状に形成されており、シャフト挿通穴62と同軸に設けられている。バルブ装置10は、金属環601の内側に設けられ、シャフト32の一端を軸受けする軸受部602を備えている。軸受部602は、例えばボールベアリングであり、金属環601の内側に圧入されている。
【0163】
そのため、樹脂(隔壁部60)と金属(軸受部602)との線膨張差や樹脂劣化により、軸受部602が保持できなくなるのを抑制でき、シャフト32の軸受け精度を維持できる。
【0164】
<2-5>
図12に示すように、隔壁部60は、金属環601の径方向外側において駆動部カバー80側の面609から駆動部カバー80とは反対側へ凹む隔壁凹部64を有している。ここで、面609は、隔壁部60の駆動部カバー80側において金属環601の駆動部カバー80側の端面と同一平面上に形成されている平面状の部位である。
【0165】
図11は、「回転軸Axr1を含む面」による断面を示す図である。
図12は、「回転軸Axr1を含みモータ71の軸Axm1に垂直な面」による断面を示す図である。
図13は、「モータ71の軸Axm1を含み回転軸Axr1に平行な面」による断面を示す図である。
図14は、「回転軸Axr1を含みモータ71の軸Axm1に平行な面」による断面を示す図である。
【0166】
そのため、隔壁部60の一体成型時のヒケや反り、軸受部602の圧入による変形を抑制できる。これにより、隔壁部60の外周部分の寸法精度を向上でき、弁体31の軸精度を向上できる。
【0167】
<2-6>
図12に示すように、駆動部70は、シャフト32を回転駆動可能なモータ71を有している。
【0168】
<2-7>
図12、
図13に示すように、バルブ装置10は、モータ71と隔壁部60との間において圧縮された状態で設けられた弾性部材74をさらに備えている。弾性部材74は、例えばゴム等により形成されている。
【0169】
そのため、弾性部材74のダンパ効果により、モータ71に作用する振動を減衰させることができ、接触不良を抑制するとともに、モータ71の作動状態を良好に保つことができる。
【0170】
モータ71の振動により、隔壁部60が動き、摺動抵抗が発生し、燃費が悪化するおそれがある。また、モータ71の振動で、後述する回転角センサ86の出力がずれ、燃費が悪化するおそれがある。本実施形態では、弾性部材74によりモータ71の振動を抑制することで、上述の問題の発生を抑制できる。
【0171】
また、モータ71の組付けを簡素化でき、部品点数を低減できる。
【0172】
図12に示すように、弾性部材74は、隔壁部本体61とモータ71との間に設けられ、隔壁部本体61を内部空間200側へ付勢している。
【0173】
そのため、弾性部材74によって、内部空間200側の冷却水の水圧が加わって隔壁部本体61が浮いてくるのを抑制できる。この結果、冷却水の漏れを防ぎ、当該漏れによる車両1のオーバーヒートを防ぐことができる。
【0174】
<2-8>
図14、
図15に示すように、モータ71は、軸Axm1がシャフト32の軸Axs1と直交するよう設けられている。より正確には、軸Axm1と軸Axs1とは捩れの関係において直交している。
【0175】
そのため、パイプ部材50の搭載自由度を向上できる。
【0176】
また、ハウジング本体21の幅方向の体格を小さくでき、バルブ装置10を狭いスペースに搭載できる。
【0177】
また、モータ71周りの電気部品を冷却水(内部空間200)から遠ざけ、水濡れによるショートの懸念を減らすことができる。
【0178】
また、モータ71を冷却水(内部空間200)から遠ざけることで、モータ71への熱害を抑制できる。
【0179】
<2-9>
図15、
図16に示すように、モータ71は、モータ本体710、モータシャフト711、ウォームギア712、モータ側端子713等を有している。モータ本体710は、略円筒状に形成され、図示しないステータ、コイル、ロータを内部に有している。モータシャフト711は、ロータの回転軸においてロータと一体に設けられ、一端がモータ本体710の軸方向の端部から突出している。モータ71の駆動力は、モータシャフト711から出力される。ここで、モータ71の軸Axm1は、モータシャフト711の軸と一致している。モータ71は、軸Axm1が駆動部カバー80の隔壁部60側を向く面808に対し平行となるよう設けられている(
図16参照)。
【0180】
ウォームギア712は、モータシャフト711の一端に設けられ、モータシャフト711と一体に回転可能である。モータ側端子713は、例えば金属により長尺の板状に形成されている。モータ側端子713は、モータ本体710のウォームギア712とは反対側の端部から突出し、間にモータ71の軸Axm1を挟むようにして2つ設けられている。ここで、2つのモータ側端子713は、面方向が互いに平行となるよう設けられている。モータ側端子713のモータ本体710内の端部は、コイルに電気的に接続している。
【0181】
図16、
図17に示すように、バルブ装置10は、給電端子85をさらに備えている。給電端子85は、例えば金属によりU字の平板状に形成され、端子開口851側の端部が隔壁部60側を向くよう駆動部カバー80にインサート成型されている。給電端子85は、間にモータ71の軸Axm1を挟むようにして2つ設けられている。ここで、2つの給電端子85は、同一平面上に設けられている。モータ71の2つのモータ側端子713は、2つの給電端子85の端子開口851のそれぞれに嵌合し、給電端子85と電気的に接続している。
【0182】
図12に示すように、駆動部カバー80は、コネクタ部84を有している。コネクタ部84は、内側に端子841を有している。端子841は、給電端子85に電気的に接続している。コネクタ部84には、図示しないワイヤーハーネスが接続される。これにより、車両1のバッテリからワイヤーハーネス、端子841、給電端子85、モータ側端子713を経由して電力が供給される。
【0183】
なお、駆動部カバー80の回転軸Axr1上には、回転角センサ86が設けられている。回転角センサ86は、端子841、ワイヤーハーネスを経由してECU8に電気的に接続される。回転角センサ86は、シャフト32の回転角に応じた信号をECU8に出力する。これにより、ECU8は、弁体31の回転位置を検出可能であり、弁体31の回転位置に応じてモータ71の作動を制御することができる。
【0184】
上述したように、バルブ装置10は、開口(端子開口851)側の端部が隔壁部60側を向くよう駆動部カバー80に設けられモータ71へ供給する電流が流れるU字状の給電端子85を備えている。モータ71は、軸方向の端部において給電端子85の開口(端子開口851)に接続するモータ側端子713を有し、軸Axm1が駆動部カバー80の隔壁部60側を向く面808に対し平行となるよう設けられている。
【0185】
そのため、モータ71を一方向から駆動部カバー80に容易に組み付けできる。また、部品点数を低減できる。
【0186】
<2-10>
図15に示すように、ギア部72は、第1ギア721、第2ギア722、第3ギア723を有している。第1ギア721は、モータ71のウォームギア712に噛み合うよう設けられている。第2ギア722は、外径が第1ギア721より大きく、第1ギア721に噛み合うようよう設けられている。第3ギア723は、外径が第2ギア722より大きく、第2ギア722に噛み合うようようシャフト32の一端に設けられている。第3ギア723は、シャフト32と同軸に設けられ、シャフト32と一体に回転可能である。
【0187】
第1ギア721、第2ギア722、第3ギア723は、軸がシャフト32の軸Axs1に対し平行となるよう、すなわち、モータ71の軸Axm1に対し直交するよう設けられている。モータ71の駆動力は、ウォームギア712、第1ギア721、第2ギア722、第3ギア723を経由してシャフト32に伝達される。
【0188】
図12、
図18に示すように、バルブ装置10は、保持部材73をさらに備えている。保持部材73は、駆動部カバー80に対しスナップフィット結合可能なスナップフィット部731を有している。保持部材73は、駆動部カバー80との間に、モータ71、ギア部72の第1ギア721および第2ギア722を保持するよう駆動部カバー80にスナップフィット結合されている。ここで、弾性部材74は、モータ本体710と保持部材73との間において、圧縮された状態で設けられている。
【0189】
上述したように、駆動部70は、モータ71の駆動力をシャフト32に伝達可能なギア部72を有している。また、バルブ装置10は、駆動部カバー80に対しスナップフィット結合可能なスナップフィット部731を有し駆動部カバー80との間にモータ71およびギア部72を保持する保持部材73をさらに備えている。
【0190】
そのため、モータ71およびギア部72を駆動部カバー80に保持したまま、隔壁部60側へ組み付けることができる。また、部品点数を低減できる。
【0191】
<6-7>
図3に示すように、隔壁部60には、シャフト挿通穴62から外側へ延びて隔壁部本体61の外壁に開口する隔壁貫通穴65を有している。また、ハウジング20は、ハウジング開口部210の内壁から外側へ延びてハウジング本体21の外壁に開口し、隔壁貫通穴65と連通可能に形成されたハウジング貫通穴270を有している。
【0192】
そのため、内部空間200からシャフト挿通穴62を通り駆動部70側へ向かって流れる冷却水を隔壁貫通穴65へ流すことができる。これにより、内部空間200の冷却水が駆動部70側へ流れるのを抑制可能である。なお、隔壁貫通穴65へ流れた冷却水は、ハウジング貫通穴270から外部へ排出される。
【0193】
本実施形態では、ハウジング貫通穴270は、取付面201に開口している。つまり、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられると、ハウジング貫通穴270は、エンジン2により覆われた状態となる。
【0194】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由してバルブ装置10の内部から外部に漏れる冷却水を取付面201部分でトラップできる。その結果、冷却水漏れが目立つのを抑制できる。
【0195】
<6-22>
ハウジング貫通穴270は、取付面201側に開口している。
【0196】
そのため、外部の水がハウジング貫通穴270、隔壁貫通穴65を経由してバルブ装置10の内部に侵入するのを抑制できる。
【0197】
駆動部空間800に設ける給電端子85等の金属部材は、メッキがされた部材をプレスで打ち抜いた部分を後メッキする。これにより、冷却水が駆動部空間800に侵入した場合でも、金属部材の腐食を抑制でき、導通不良を抑制できる。
【0198】
本実施形態のようにエンジン2の冷却水を制御するのに用いられるバルブ装置10では、冷却水の熱の影響を受ける。したがって、弁体31の厚さが不均一な肉厚である場合、膨張率が肉厚によって異なるため、弁体31の全体がゆがむおそれがある。特に本実施形態では、冷却水が流入する入口ポート220と弁体31の内周壁の一部とが対向しているため、弁体31の内周壁が熱の影響を受けやすい構造にある。
【0199】
<3-27>
そこで、
図3に示すように、弁体31は、内周壁のうち少なくとも、冷却水が流入する入口ポート220に対向する部分である対向部分310が外側へ凹むよう形成されている。より具体的には、弁体31は、内周壁のうち少なくとも、冷却水が流入する入口ポート220に、ボールバルブ42の弁体開口部420を経由して対向する部分である対向部分310が外側へ凹むよう形成されている。
【0200】
このように、弁体31の内周壁のうち少なくとも対向部分310を凹ませて均肉に近付ければ、弁体31全体の膨張率が弁体31の均一に近付くことになるため、弁体31がゆがむのを防ぐことができる。
【0201】
<3-28>
図3に示すように、バルブシール36は、弁体31の外周壁のうち少なくとも対向部分310に対応する部分に当接する。より具体的には、バルブシール36は、弁体31の外周壁のうち、少なくとも対向部分310の反対側の部分に当接する。
【0202】
弁体31が変形するとバルブシール36によるシール性が悪化し、暖気性能等が低下するが、本実施形態では、上記構成により、弁体31の特に対向部分310に対応する部分がゆがむのを防ぐことができるため、バルブシール36によるシール性を確保でき、暖気性能が向上する。
【0203】
<4-6>
ハウジング20は、複数のポート(221~223)を有している。ハウジング本体21がエンジン2に取り付けられた状態において、車両1のヒータ6に接続されるポートである出口ポート222は、複数のポートの中で鉛直方向の最も上側に位置しないよう形成されている(
図8参照)。
【0204】
そのため、冷却水中の空気がヒータ6に流れるのを抑制でき、車両1の車室内に異音が発生するのを抑制できる。
【0205】
(第2実施形態)
第2実施形態によるバルブ装置の一部を
図19に示す。
【0206】
<2-11>
図19に示すように、モータ71は、モータシャフト711がハウジング20の取付面201に対し垂直となるよう、かつ、ウォームギア712が取付面201とは反対側を向くよう駆動部空間800に設けられている。
【0207】
上述したように、モータ71は、駆動力を出力するモータシャフト711、および、モータシャフト711の先端に設けられたウォームギア712を有し、モータシャフト711が取付面201に対し垂直となるよう、かつ、ウォームギア712が取付面201とは反対側を向くよう設けられている。
【0208】
そのため、ギア高さを小さくでき、駆動部70の体格を小さくできる。
【0209】
また、モータ71のモータ本体710をエンジン2(取付面201)の近くに配置できるため、モータ71の耐振性を向上できるとともに、モータ71に作用する振動が小さくなり、断線に対するロバスト性を向上できる。
【0210】
また、モータ71、ギア部72を
図19に示すように駆動部空間800に配置することで、駆動部70および駆動部カバー80の取付面201に対し垂直な方向Dv1の幅を、取付面201に対し平行な方向Dp1の幅より小さくできる。
【0211】
より具体的には、
図19に示すように、第3ギア723をモータ本体710の径方向外側に配置し、第1ギア721および第2ギア722を、ウォームギア712の径方向外側に配置する。このように、外径の大きな第3ギア723を取付面201の近くに配置し、第1ギア721および第2ギア722をウォームギア712の径方向外側の空きスペースに配置することにより、駆動部70および駆動部カバー80の体格を小さくできる。
【0212】
(第3実施形態)
第3実施形態によるバルブ装置の一部を
図20に示す。
【0213】
<3-1>球面状弁体
第3実施形態では、シャフト32における弁体31のボールバルブ41、42、43、筒状接続部44、筒状バルブ接続部45の配置が第1実施形態と異なる。
図20に示すように、ボールバルブ41、筒状接続部44、ボールバルブ42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43が、回転軸Axr1方向の駆動部70側から駆動部70とは反対側へ、この順で並ぶよう配置されている。
【0214】
本実施形態では、出口ポート221、222、223は、回転軸Axr1方向の駆動部70側から駆動部70とは反対側へ、この順で並ぶようハウジング本体21に形成されている。ボールバルブ41、42、43は、それぞれ、出口ポート221、222、223を開閉可能に設けられている。
【0215】
弁体31のボールバルブ41、42、43は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成されている。
【0216】
<3-1>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とバルブシール36とを備えている。
【0217】
ハウジング20は、内部空間200と外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有する。
【0218】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成された弁体内流路300、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体開口部(410、420、430)を経由した弁体内流路300とポート(220、221、222、223)との連通状態を弁体31の回転位置により変更可能である。
【0219】
バルブシール36は、環状に形成され、弁体31の外周壁に当接可能なようポート(220、221、222、223)に対応する位置に設けられ、弁体31の回転位置により弁体開口部(410、420、430)に連通可能なシール開口部360を内側に形成し、弁体31の外周壁との間を液密に保持可能である。
【0220】
弁体31は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成されている。
【0221】
そのため、弁体31の外周壁の球面の成形精度を向上できる。これにより、弁体31の外周壁における冷却水の漏れを抑制可能である。
【0222】
また、弁体内流路300の流路面積を大きくでき、通水抵抗を小さくできる。
【0223】
<3-2>
弁体31のボールバルブ41、42、43は、内周壁の少なくとも一部が球面状に形成されている。
【0224】
そのため、弁体31の少なくとも一部を均肉に近付けることができる。これにより、弁体31の外周壁の球面の精度をより向上でき、弁体内流路300の流路面積をより大きくできる。
【0225】
<3-3>
弁体31のボールバルブ41、42、43は、回転軸Axr1方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、内周壁と外周壁との距離が同じである。すなわち、弁体31は、少なくとも前記範囲において肉厚が均一(均肉)となるよう形成されている。
【0226】
そのため、弁体31の少なくとも一部を均肉にすることができる。これにより、弁体31の外周壁の球面の精度をより向上でき、弁体内流路300の流路面積をより大きくできる。
【0227】
<3-4>
弁体31のボールバルブ41、42、43は、回転軸Axr1方向および周方向の少なくともシール開口部360に対応する範囲において、内周壁と外周壁との距離が同じである。
【0228】
そのため、前記範囲において弁体31を均肉にすることができる。これにより、弁体31の外周壁の球面の精度をより向上でき、バルブシール36のシール性を向上できる。
【0229】
<3-4-1>
弁体31のボールバルブ41、42、43は、シール開口部360の全てが弁体31の外周壁で塞がれた全閉状態のとき、回転軸Axr1方向および周方向の少なくともシール開口部360に対応する範囲において、内周壁と外周壁との距離が同じである。
【0230】
「シール開口部360に対応する範囲」とは、バルブシール36の軸方向にシール開口部360を投影したとき、この投影と重なる範囲を意味する。
【0231】
そのため、全閉状態のときのバルブシール36のシール性をより向上できる。
【0232】
<3-5>
シャフト32は、インサート成型により弁体31と一体に形成されている。
【0233】
そのため、弁体31の制御性を向上できる。
【0234】
また、シャフト32の組付け工数を低減できる。
【0235】
<3-6>
弁体31は、回転軸Axr1を含む仮想平面Vp1で2つに分割された第1分割体33と第2分割体34とを有し、第1分割体33と第2分割体34とがそれぞれの接合面331、341で接合されている。
【0236】
そのため、後述するダイスライドインジェクション(DSI)により、弁体31を精度よく製造できる。
【0237】
<3-7>
図20、
図23に示すように、第1分割体33は、隔壁部60側の面から規制凹部63側へ延びて先端部が規制凹部63に位置する第1規制凸部332を有している(規制凹部63については、
図3、
図6参照)。第2分割体34は、隔壁部60側の面から規制凹部63側へ延びて先端部が規制凹部63に位置する第2規制凸部342を有している。
【0238】
そのため、第1規制凸部332、第2規制凸部342が規制凹部63の規制部631に当接することにより、弁体31の回転を規制できる。ここで、第1規制凸部332、第2規制凸部342は、それぞれ、第1分割体33、第2分割体34に形成されているため、第1規制凸部332、第2規制凸部342が規制凹部63の規制部631に当接したとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れる(剥離する)のを抑制できる。
【0239】
図23、25等に示すように、第1規制凸部332、第2規制凸部342は、第1最外端面301の半径方向の中心に対し径方向外側に位置している。これにより、第1規制凸部332、第2規制凸部342の周方向の大きさを大きくできるため、第1規制凸部332、第2規制凸部342の強度を大きくすることができる。
【0240】
図6に示すように、規制部631の規制凹部63の周方向の端面には、規制面635、636が形成されている。第1規制凸部332の弁体31の周方向の端面には、規制面635に当接可能な凸部規制面333が形成されている。第2規制凸部342の弁体31の周方向の端面には、規制面636に当接可能な凸部規制面343が形成されている。弁体31は、凸部規制面333が規制面635に当接したとき、または、凸部規制面343が規制面636に当接したとき、回転が規制される。
【0241】
図23、25等に示すように、第1規制凸部332および第2規制凸部342の第1最外端面301とは反対側の角部は、第1最外端面301に対し傾斜するよう面取りされている。そのため、規制凹部63の第1規制凸部332および第2規制凸部342の近傍に砂等の異物があった場合でも、第1規制凸部332および第2規制凸部342の角部と規制凹部63との間に異物が噛み込むのを抑制できる。
【0242】
<3-8>
第1規制凸部332は、接合面331に沿って規制凹部63側へ延びている。第2規制凸部342は、第1規制凸部332に当接しつつ、接合面331に沿って規制凹部63側へ延びている。
【0243】
そのため、第1規制凸部332、第2規制凸部342が規制凹部63の規制部631に当接したとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れるのをより効果的に抑制できる。
【0244】
<3-9>
図20、
図21、
図22に示すように、弁体31は、弁体開口部410の内縁端を接続する弁体開口リブ411を有している。弁体31は、弁体開口部420の内縁端を接続する弁体開口リブ421、422を有している。弁体31は、弁体開口部430の内縁端を接続する弁体開口リブ431、432を有している。そのため、弁体開口部410、420、430の強度を向上できる。
【0245】
弁体開口リブ411、421、431は、シャフト32の軸Axs1(回転軸Axr1)を含む仮想平面、すなわち、接合面331、341を含む仮想平面Vp1上に形成されている。つまり、弁体開口リブ411、421、431は、接合面331、341を挟むようにして形成されている。弁体開口リブ422、432は、シャフト32の軸Axs1(回転軸Axr1)を含み仮想平面Vp1に直交する仮想平面上に形成されている。
【0246】
図24、
図25に示すように、弁体開口リブ411は、弁体31のボールバルブ41の外周壁に沿う仮想球面Vs1から径方向内側へ離れた位置に形成されている。
【0247】
仮想球面Vs1は、ボールバルブ41の外周壁を含む仮想的な球面である。
【0248】
そのため、弁体31の回転時、バルブシール36が弁体開口リブ411に引っ掛かり摺動抵抗が増大するのを抑制できる。
【0249】
<3-9-1>
図24、
図25に示すように、弁体開口リブ411は、仮想球面Vs1から所定の距離を空けて円弧状に形成されている。なお、弁体開口リブ421、422、および、弁体開口リブ431、432についても、ボールバルブ42、43の外周壁に沿う仮想球面から所定の距離を空けて円弧状に形成されている。
【0250】
そのため、弁体31の回転時の摺動抵抗の増大を抑制できるとともに、弁体開口リブ411、421、422、431、432の内側の流路面積を大きくできる。
【0251】
図24に示すように、弁体開口リブ411は、円弧状の平板状に形成されている。弁体開口リブ411の径方向外側の部位であるリブ外縁部401は、仮想球面Vs1からの距離が一定である。弁体開口リブ411の径方向内側の部位であるリブ内縁部402は、仮想球面Vs1からの距離が一定である。弁体開口リブ411の一方の端部であるリブ端部403は、弁体開口部410の内縁端のうち筒状接続部44とは反対側の部位に接続している。弁体開口リブ411の他方の端部であるリブ端部404は、弁体開口部410の内縁端のうち筒状接続部44側の部位に接続している。
【0252】
<3-11>
図26に示すように、接合面331、341は、全てのバルブシール36のシール開口部360の全てが弁体31の外周壁で塞がれた全閉状態のとき、バルブシール36から離れた位置にある。
【0253】
そのため、弁体31の接合面331、341において外周壁に形成され得る段差により、弁体31が全閉状態のとき、バルブシール36と弁体31の外周壁との間から冷却水が漏れるのを抑制できる。
【0254】
<3-12>
図20に示すように、弁体31は、筒状接続部44において接合面331、341上に形成され筒状接続部44の外周壁の曲率と曲率が異なる外壁を有する特定形状部441を有している。弁体31は、筒状バルブ接続部45において接合面331、341上に形成され筒状バルブ接続部45の外周壁の曲率と曲率が異なる外壁を有する特定形状部451を有している。
【0255】
そのため、弁体31の回転時、特定形状部441、451とバルブシール36とが摺動することはなく、弁体31の作動不良を抑制できるとともに、バルブシール36の摩耗を抑制できる。
【0256】
<3-12-1>
特定形状部441、451は、それぞれ、外壁が筒状接続部44、筒状バルブ接続部45の外周壁から外側へ突出するよう形成されている。
【0257】
<3-12-2>
特定形状部441、451は、それぞれ、外壁が筒状接続部44、筒状バルブ接続部45の外周壁から内側へ凹むよう形成されていてもよい。
【0258】
<3-12-3>
特定形状部441、451は、それぞれ、外壁が平面状に形成されていてもよい。
【0259】
図20に示すように、シャフト32の軸Axs1方向における特定形状部441の長さは、筒状接続部44の長さの1/10程度である。シャフト32の軸Axs1方向における特定形状部451の長さは、筒状バルブ接続部45の長さの1/3程度である。そのため、弁体31の大型化を抑制できる。
【0260】
<3-13>
図22に示すように、弁体31は、筒状接続部44の径方向外側においてボールバルブ41とボールバルブ42との間に形成されるバルブ間空間400とボールバルブ41の弁体内流路300とを接続するようボールバルブ41の回転軸Axr1方向の端面に形成された端面開口部415、および、バルブ間空間400とボールバルブ42の弁体内流路300とを接続するようボールバルブ42の回転軸Axr1方向の端面に形成された端面開口部425を有している。ここで、端面開口部415、425は、それぞれ、「第1端面開口部」、「第2端面開口部」に対応している。
【0261】
入口ポート220は(
図3参照)、バルブ間空間400に連通している。そのため、入口ポート220から内部空間200に流入した冷却水は、バルブ間空間400、端面開口部415、425を経由して弁体内流路300に流入可能である。
【0262】
バルブ間空間400は、周方向の全域にわたって開口している。そのため、入口ポート220から内部空間200に流入し弁体内流路300に向かう冷却水の通水抵抗を小さくできる。
【0263】
図9に示すように、バルブ間空間400は、回転軸Axr1方向において、入口ポート220およびリリーフポート224と重なっている。そのため、入口ポート220から流入した冷却水がリリーフポート224へ流れやすくなり、リリーフ弁39の反応性を向上できる。
【0264】
図20に示すように、バルブ間空間400は、弁体31の軸方向の第1最外端面301から第2最外端面302までの部位のうち最も外径が小さい部分である筒状接続部44の径方向外側に形成されている。また、バルブ間空間400の外径は、端面開口部415、425の径方向外側の径よりも小さい。
【0265】
<3-14>
図27に示すように、シャフト32は、筒状接続部44においてインサート成型により弁体31と一体に形成されている。つまり、シャフト32は、筒状接続部44には溶着されているが、弁体31の筒状接続部44以外の部位には溶着されていない。
【0266】
弁体内流路300にシャフト32とのインサート成型部を設けた場合、弁体内流路300の流路面積が小さくなり通水抵抗が大きくなるおそれがあるが、本実施形態では、弁体内流路300の外の筒状接続部44にシャフト32とのインサート成型部が設けられているため、通水抵抗を小さくできる。
【0267】
<3-15>
図27に示すように、シャフト32は、筒状接続部44との相対回転を規制可能な回り止め部321を有している。回り止め部321は、断面形状が多角形となるよう形成されている。本実施形態では、断面形状が六角形となるよう形成されている。ここで、回り止め部321は、例えば円柱状のシャフト32の外周壁を周方向に6箇所、平面状に切削等することにより形成されている。そのため、回り止め部321の外壁は、シャフト32の外周壁に対し径方向内側に位置している。なお、筒状接続部44の内壁は、回り止め部321の形状に対応するよう断面形状が六角形となるよう形成されている。
【0268】
そのため、簡単な構成で、弁体31とシャフト32との相対回転を規制できる。
【0269】
<3-16>
図28に示すように、弁体31は、ボールバルブ42に対し筒状接続部44とは反対側においてボールバルブ42に接続し外周壁および内周壁が筒状に形成され内側に弁体内流路300を形成する筒状バルブ接続部45、および、筒状バルブ接続部45に対しボールバルブ42とは反対側において筒状バルブ接続部45に接続し外周壁が球面状に形成されたボールバルブ43を有している。
【0270】
筒状バルブ接続部45は、外周壁および内周壁が筒状に形成されている。そのため、内側の弁体内流路300の流路面積を確保できる。
【0271】
<3-17>
図20に示すように、ボールバルブ41の外周壁の外径は、ボールバルブ43の外周壁の外径と同じである。なお、ボールバルブ42の外周壁の外径も、ボールバルブ41の外周壁の外径、ボールバルブ43の外周壁の外径と同じである。
【0272】
ボールバルブ41の回転軸Axr1方向のボールバルブ43とは反対側の端面である第1最外端面301の面積は、ボールバルブ43の回転軸Axr1方向のボールバルブ41とは反対側の端面である第2最外端面302の面積と異なる。ここで、第2最外端面302の面積は、第1最外端面301の面積より大きい。よって、回転軸Axr1方向におけるボールバルブ43の長さは、ボールバルブ41の長さより短い。
【0273】
そのため、弁体31の軸方向の大きさを小さくでき、バルブ装置10の体格を小さくできる。
【0274】
<3-18>
図20、
図22に示すように、弁体31は、ボールバルブ42の弁体開口部420の内縁端を接続する弁体開口リブ422、および、ボールバルブ43の弁体開口部430の内縁端を接続する弁体開口リブ432を有している。ここで、弁体開口リブ422、弁体開口リブ432は、それぞれ「第2弁体開口リブ」、「第3弁体開口リブ」に対応している。
【0275】
弁体開口リブ422と弁体開口リブ432とは、弁体31の周方向において同じ位置に形成されている。つまり、弁体開口リブ422、432は、回転軸Axr1と平行な方向に並ぶよう形成されている。なお、弁体開口リブ411と弁体開口リブ421とは、弁体31の周方向において同じ位置に形成されている。
【0276】
そのため、弁体開口リブ422、432の周囲を流れる冷却水の乱れを抑制でき、通水抵抗を低減できる。
【0277】
<3-19>
図20、
図21、
図22に示すように、弁体31は、端面開口部415を跨ぐようにして筒状接続部44とボールバルブ41とを接続する端面開口リブ416、417、および、端面開口部425を跨ぐようにして筒状接続部44とボールバルブ42とを接続する端面開口リブ426、427を有している。ここで、端面開口リブ416、417は「第1端面開口リブ」に対応し、端面開口リブ426、427は「第2端面開口リブ」に対応している。
【0278】
端面開口リブ416、426は、それぞれ、間に筒状接続部44を挟むようにして2つずつ形成されている。端面開口リブ417、427は、それぞれ、間に筒状接続部44を挟むようにして2つずつ形成されている。
【0279】
なお、端面開口リブ416、426は、仮想平面Vp1上に形成されている。つまり、端面開口リブ416、426は、接合面331、341を挟むようにして形成されている。よって、弁体開口リブ411、421、および、端面開口リブ416、426は、弁体31の周方向において同じ位置に形成されている。
【0280】
図21に示すように、端面開口リブ426、427の開始位置は、ボールバルブ42のボールバルブ41側の端面の外縁部である。端面開口リブ426、427の終端位置は、筒状接続部44のボールバルブ42側の端部の外周壁である。
【0281】
図21に示すように、弁体開口リブ421の最も径方向外側に膨らんだ部分は、端面開口リブ426の開始位置のボールバルブ42の外周壁外側よりも外側に出ている。弁体開口リブ411は、端面開口リブ426の直線部よりも径方向外側に設けられている。
【0282】
図21に示すように、端面開口リブ426は、回転軸Axr1方向の弁体内流路300側の辺が直線状に形成されている。端面開口リブ426は、回転軸Axr1方向のバルブ間空間400側の辺が、ボールバルブ42の径方向外側において曲線状に形成され、径方向内側において直線状に形成されている。
【0283】
図28に示すように、端面開口リブ427は、回転軸Axr1方向の弁体内流路300側の辺が直線状に形成されている。端面開口リブ427は、回転軸Axr1方向のバルブ間空間400側の辺が、ボールバルブ42の径方向外側において曲線状に形成され、径方向内側において回転軸Axr1に対し傾斜するよう直線状に形成されている。
【0284】
<3-19-1>
図20、
図22に示すように、端面開口リブ417と端面開口リブ427と弁体開口リブ422と弁体開口リブ432とは、弁体31の周方向において同じ位置に形成されている。つまり、端面開口リブ417、427、弁体開口リブ422、432は、回転軸Axr1と平行な方向に並ぶよう形成されている。なお、端面開口リブ417、427、弁体開口リブ422、432は、シャフト32の軸Axs1(回転軸Axr1)を含み仮想平面Vp1に直交する仮想平面上に形成されている。
【0285】
そのため、端面開口リブ417、427、弁体開口リブ422、432の周囲を流れる冷却水の乱れを抑制でき、通水抵抗を低減できる。
【0286】
<3-20>
図20、
図21、
図22に示すように、端面開口リブ416、417は、ボールバルブ41の回転軸Axr1方向の端面であるバルブ端面419との間にリブ端面隙間418を形成している。端面開口リブ426、427は、ボールバルブ42の回転軸Axr1方向の端面であるバルブ端面429との間にリブ端面隙間428を形成している。ここで、リブ端面隙間418は「第1リブ端面隙間」に対応し、リブ端面隙間428は「第2リブ端面隙間」に対応している。
【0287】
図20、
図21に示すように、回転軸Axr1に対し垂直な方向から見た場合、端面開口リブ426、427と、ボールバルブ42の回転軸Axr1方向の端面との間にリブ端面隙間428を目視することができる。
【0288】
そのため、端面開口部415、425における通水抵抗を低減できる。
【0289】
<3-21>
図20、
図22に示すように、端面開口リブ417は、ボールバルブ42側の面が回転軸Axr1に対し傾斜するよう形成されている。端面開口リブ427は、ボールバルブ41側の面が回転軸Axr1に対し傾斜するよう形成されている。
【0290】
そのため、端面開口リブ417、427の周囲における通水抵抗を低減できる。
【0291】
次に、バルブ30の製造方法について説明する。本実施形態では、所謂ダイスライドインジェクション(DSI)を用いてバルブ30を製造する。
【0292】
図29に示すように、型装置100は、第1型110、第2型120等を備えている。第1型110は、第1外型111、第1内型112を有している。第2型120は、第2外型121、第2内型122を有している。
【0293】
第1外型111は、第1内型112側の端面から半球面状に凹む第1凹面113を有している。第1凹面113は、第1分割体33の外周壁のうちボールバルブ41、42、43の外周壁の形状に対応するよう形成されている。
【0294】
第1内型112は、第1外型111側の端面から半球面状に突出する第1凸面114を有している。第1凸面114は、第1分割体33の外周壁のうちボールバルブ41、42、43の内周壁の形状に対応するよう形成されている。ここで、第1外型111と第1内型112とが当接しているとき、弁体31の回転軸Axr1方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、第1凹面113と第1凸面114との距離が同じになるよう設定されている。
【0295】
第2外型121は、第2内型122側の端面から半球面状に凹む第2凹面123を有している。第2凹面123は、第2分割体34の外周壁のうちボールバルブ41、42、43の外周壁の形状に対応するよう形成されている。
【0296】
第2内型122は、第2外型121側の端面から半球面状に突出する第2凸面124を有している。第2凸面124は、第2分割体34の外周壁のうちボールバルブ41、42、43の内周壁の形状に対応するよう形成されている。ここで、第2外型121と第2内型122とが当接しているとき、弁体31の回転軸Axr1方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、第2凹面123と第2凸面124との距離が同じになるよう設定されている。
【0297】
バルブ30の製造方法は、以下の工程を含む。
【0298】
<3-22>球面状弁体製造方法
(1次成形工程)
1次成形工程では、第1分割体33と第2分割体34とをそれぞれ第1型110と第2型120とにより樹脂成形する。具体的には、
図29の(A)に示すように、第1外型111と第1内型112とを当接させ、第2外型121と第2内型122とを当接させ、第1凹面113と第1凸面114との間、および、第2凹面123と第2凸面171との間に溶融した樹脂を射出する。
【0299】
図30に示すように、型装置100の射出部130から射出された樹脂は、スプール131、ランナー132、ゲート133、134を経由して第1型110、第2型120に流れる。第1分割体33、第2分割体34が冷え固まると、1次成形工程が完了する。
【0300】
<3-22-1>
1次成形工程において第1分割体33と第2分割体34とを樹脂成形するとき、回転軸Axr1方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、第1凹面113と第1凸面114との距離、ならびに、第2凹面123と第2凸面124との距離は同じである。
【0301】
そのため、弁体31の少なくとも一部を均肉にすることができる。これにより、弁体31の外周壁の球面の精度をより向上でき、弁体内流路300の流路面積をより大きくできる。
【0302】
<3-23>
(スライド工程)
1次成形工程の後のスライド工程では、第1分割体33と第2分割体34とのそれぞれの接合面331、341が対向するよう、第1分割体33または第2分割体34を第1型110または第2型120ごとスライドさせる。具体的には、
図29の(B)に示すように、第1内型112を第1外型111から外し、第2内型122を第2外型121から外し、第1分割体33と第2分割体34とのそれぞれの接合面331、341が対向するよう、第1分割体33を第1外型111ごとスライドさせる。
【0303】
スライド工程により、バルブ30を効率よく製造できる。
【0304】
<3-24>
(シャフト配置工程)
スライド工程の後のシャフト配置工程では、シャフト32を弁体31の回転軸Axr1に配置する。具体的には、
図29の(C)に示すように、第1分割体33と第2分割体34との間の回転軸Axr1にシャフト32を配置する。
【0305】
そのため、弁体31成型後にシャフト32を組み付ける場合と比べ、シャフト32の組付け工数等を低減できる。
【0306】
<3-22>
(2次成形工程)
シャフト配置工程の後の2次成形工程では、第1分割体33の接合面における溶着部と第2分割体34の接合面における溶着部との間に樹脂を射出し、第1分割体33と第2分割体34とを溶着する。
【0307】
図31に示すように、1次成形工程後の第2分割体34には、接合面341において溶着部311、312、313が形成されている。溶着部311は、第2分割体34のボールバルブ41に対応する部位の接合面341から凹むよう溝状に形成されている。溶着部312は、第2分割体34の筒状接続部44に対応する部位の接合面341から凹むよう溝状に形成されている。溶着部313は、第2分割体34のボールバルブ42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43に対応する部位の接合面341から凹むよう溝状に形成されている。第1分割体33にも、第2分割体34と同様に、溶着部311、312、313が形成されている。
【0308】
溶着部311の一端には型装置100のゲート入口141が配置され、溶着部311の他端にはゲート出口145が配置される。溶着部312の一端には型装置100のゲート入口142が配置され、溶着部312の他端にはゲート出口146が配置される。溶着部313の中央には型装置100のゲート入口143が配置され、溶着部313の両端にはゲート出口147が配置される。ここで、ゲート入口142、ゲート出口146は、筒状接続部44の軸方向の中央に配置される。また、ゲート入口143は、筒状バルブ接続部45の軸方向の中央に配置される。なお、ゲート入口141は、ボールバルブ41の第1最外端面301に配置される。ゲート出口145は、ボールバルブ41の第1最外端面301とは反対側の端面に配置される。ゲート出口147は、ボールバルブ43の第2最外端面302、および、ボールバルブ42のボールバルブ41側の端面に配置される。
【0309】
図32に示すように、2次成形工程では、型装置100の射出部140からゲート入口141、142、143を経由して溶着部311、312、313に、溶融した樹脂を射出する。ゲート入口141、142、143から溶着部311、312、313に流入した樹脂は、それぞれ、ゲート出口145、146、147へ向かって流れ、ゲート出口145、146、147から流出する。溶着部311、312、313内の樹脂が冷え固まると、第1分割体33と第2分割体34とシャフト32とが溶着され、2次成形工程が完了する。ここで、弁体31の筒状接続部44のゲート入口142、ゲート出口146に対応する位置に残存した樹脂は、特定形状部441を形成する。また、弁体31の筒状バルブ接続部45のゲート入口143に対応する位置に残存した樹脂は、特定形状部451を形成する。
【0310】
<3-22>
上述のように、本実施形態は、回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、弁体31の内側に形成された弁体内流路300を有するバルブ30の製造方法であって、1次成形工程と第2成形工程とを含む。
【0311】
弁体31は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成され、回転軸Axr1を含む仮想平面Vp1で2つに分割された第1分割体33と第2分割体34とを有し、第1分割体33と第2分割体34とがそれぞれの接合面331、341で接合される。
【0312】
1次成形工程では、第1分割体33と第2分割体34とをそれぞれ第1型110と第2型120とにより樹脂成形する。
【0313】
第2成形工程では、第1分割体33の接合面331における溶着部(311、312、313)と第2分割体34の接合面341における溶着部(311、312、313)との間に樹脂を射出し、第1分割体33と第2分割体34とを溶着する。
【0314】
上記製造方法でバルブ30を製造することにより、弁体31の外周壁の球面の成形精度を向上できる。これにより、弁体31の外周壁における冷却水の漏れを抑制可能である。
【0315】
また、弁体内流路300の流路面積を大きくでき、通水抵抗を小さくできる。
【0316】
上述のように、本実施形態では、ダイスライドインジェクション(DSI)によりバルブ30を製造する。DSI成型では、弁体31が2つに分離している。そのため、弁体31の軸方向で型抜きする通常の製造方法の場合と比べ、型の抜き方向を増やすことなく弁体31の開口数等を変更できる。この結果、複雑なフローダイアグラムに対応できる。なお、弁体31が一体に形成される場合、開口数が増えると、抜く型の数が増える。
【0317】
DSI成型では、型を抜く方向が弁体31の径方向であるため、弁体31の軸方向で型抜きする通常の製造方法の場合と比べ、型が製品の表面に擦れることにより変改してしまうのを防ぐことができる。加えて、製品の表面の変形を防ぐことができるため、シール性の向上にもつながる。
【0318】
(第4実施形態)
第4実施形態によるバルブ装置の一部を
図33に示す。
【0319】
<3-10>
図33に示すように、弁体開口リブ411は、仮想球面Vs1から所定の距離を空けて直線状に形成されている。なお、弁体開口リブ421、422、および、弁体開口リブ431、432についても、ボールバルブ42、43の外周壁に沿う仮想球面から所定の距離を空けて直線状に形成されている。
【0320】
そのため、弁体31の回転時、バルブシール36が弁体開口リブ411に引っ掛かり摺動抵抗が増大するのをより効果的に抑制できる。
【0321】
図33に示すように、弁体開口リブ411は、直線状の平板状に形成されている。弁体開口リブ411の径方向外側の部位であるリブ外縁部401は、回転軸Axr1に対し平行となるよう直線状に形成され、仮想球面Vs1からの距離が回転軸Axr1方向において変化する。弁体開口リブ411の径方向内側の部位であるリブ内縁部402は、回転軸Axr1に対し平行となるよう直線状に形成され、仮想球面Vs1からの距離が回転軸Axr1方向において変化する。弁体開口リブ411の一方の端部であるリブ端部403は、弁体開口部410の内縁端のうち筒状接続部44とは反対側の部位に接続している。弁体開口リブ411の他方の端部であるリブ端部404は、弁体開口部410の内縁端のうち筒状接続部44側の部位に接続している。
【0322】
図33に示すように、弁体開口リブ411は、第2規制凸部342に対しボールバルブ41の径方向外側に位置している。
【0323】
(第5実施形態)
第5実施形態によるバルブ装置の一部を
図34に示す。
【0324】
バルブ30の弁体31は、ボールバルブ46を有している。シャフト32は、弁体31の回転軸Axr1に設けられている。ボールバルブ46は、外周壁461、内周壁462を有している。外周壁461は、ボールバルブ46の径方向外側へ膨らむよう球面状に形成されている。内周壁462は、ボールバルブ46の径方向外側へ凹むよう球面状に形成されている。ここで、弁体31は、回転軸Axr1方向および周方向の少なくとも一部の範囲において外周壁461と内周壁462との距離が同じである。すなわち、弁体31は、少なくとも前記範囲において肉厚が均一(均肉)となるよう形成されている。
【0325】
次に、バルブ30の製造方法について説明する。
【0326】
図35に示すように、型装置150は、上ベース151、下ベース152、上支持柱153、下支持柱154、型駆動体155、第1内側型160、第2内側型170、外側型180等を備えている。
【0327】
上ベース151は、板状に形成されている。下ベース152は、板状に形成され、上ベース151に対し平行となるよう設けられている。上支持柱153は、棒状に形成され、一端が上ベース151の下ベース152とは反対側に接続している。上支持柱153は、一端が上ベース151において型装置150の中心軸CAx1周りに環状をなすよう8本設けられている(
図36参照)。上支持柱153は、一端を支点として他端側が中心軸CAx1側へ揺動可能である。
【0328】
下支持柱154は、棒状に形成され、一端が下ベース152の上ベース151側に接続している。下支持柱154は、他端が上ベース151の穴を通り上ベース151に対し下ベース152とは反対側に位置するよう設けられている。下支持柱154は、一端が下ベース152において中心軸CAx1周りに環状をなすよう8本設けられている(
図37参照)。下支持柱154は、一端を支点として他端側が中心軸CAx1側へ揺動可能である。
【0329】
第1内側型160は、8本の上支持柱153のそれぞれの他端に設けられている。すなわち、第1内側型160は、合計8個設けられている。第2内側型170は、8本の下支持柱154のそれぞれの他端に設けられている。すなわち、第2内側型170は、合計8個設けられている。
【0330】
図38に示すように、第1内側型160は、外壁の一部に第1凸面161を有している。第1凸面161は、球面状に形成されている。第2内側型170は、外壁の一部に第2凸面171を有している。第2凸面171は、球面状に形成されている。
【0331】
図35に示すように、第1内側型160と第2内側型170とは、第1凸面161、第2凸面171が中心軸CAx1とは反対側を向くよう周方向に交互に配置されている。これにより、第1凸面161と第2凸面171とは、周方向に連続する球面を形成可能である。
【0332】
外側型180は、内壁に凹面181を有している(
図39参照)。凹面181は、球面状に形成されている。外側型180は、凹面181が第1凸面161および第2凸面171に対向するよう第1内側型160および第2内側型170の外側に配置される。
【0333】
型駆動体155は、筒状に形成されている。型駆動体155は、中心軸CAx1と同軸に第1内側型160および第2内側型170の内側に配置される。型駆動体155の外周壁には、係合溝部156が形成されている。係合溝部156は、型駆動体155の一端から他端へ延びるよう形成されている。係合溝部156は、型駆動体155の周方向に等間隔で8つ形成されている。
【0334】
第1内側型160は、第1凸面161とは反対側に係合凸部162を有している。係合凸部162は、型駆動体155の係合溝部156に係合可能である。また、型駆動体155は、係合溝部156に係合凸部162が係合した状態で、中心軸CAx1方向に移動可能である。型駆動体155の外周壁は、テーパ状に形成されている。そのため、型駆動体155が第1内側型160および第2内側型170に対し中心軸CAx1方向の上ベース151側へ相対移動すると、8個の第1内側型160は、中心軸CAx1側へ集まるようにして移動する(
図39、
図40参照)。これにより、第1凸面161で形成される球状の面の内径が縮小する。なお、第1内側型160が中心軸CAx1側へ集まるようにして移動すると、8個の第2内側型170も中心軸CAx1側へ集まるようにして移動可能である。すなわち、第1内側型160と第2内側型170とが中心軸CAx1側へ集まるようにして移動すると、第1凸面161および第2凸面171で形成される球状の面の内径が縮小する。
【0335】
バルブ30の製造方法は、以下の工程を含む。
【0336】
<3-25>球面状弁体製造方法
(樹脂成形工程)
樹脂成形工程では、外側型180と外側型180の内側に配置される第1内側型160および第2内側型170との間において弁体31を樹脂成形する。具体的には、
図35、
図39の(A)に示すように、第1凸面161および第2凸面171で形成される球状の面と外側型180の凹面181との間に形成される空間に、溶融した樹脂を射出する。当該樹脂が冷え固まると、樹脂成形工程が完了する。
【0337】
<3-25-1>
樹脂成形工程において弁体31を樹脂成形するとき、回転軸Axr1方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、凹面181と第1凸面161および第2凸面171との距離が同じである(
図39の(A)参照)。
【0338】
そのため、弁体31の少なくとも一部を均肉にすることができる。これにより、弁体31の外周壁の球面の精度をより向上でき、弁体内流路300の流路面積をより大きくできる。
【0339】
(型移動工程)
樹脂成形工程の後の型移動工程では、第1内側型160および第2内側型170を弁体31の内側へ移動させる。具体的には、
図39の(A)、(B)、
図40の(A)~(E)に示すように、第1内側型160および第2内側型170に対し型駆動体155を中心軸CAx1方向へ相対移動させ、第1内側型160および第2内側型170を中心軸CAx1側へ移動させ、第1凸面161および第2凸面171により形成される球状の面を縮径させる。これにより、弁体31の内周壁462と第1凸面161および第2凸面171との間に隙間が形成される。そして、弁体31に対し第1内側型160および第2内側型170を中心軸CAx1方向に相対移動させることで、第1内側型160および第2内側型170を弁体31内から抜き出す。
【0340】
<3-26>
図41の(A)、(B)に示すように、第1凸面161および第2凸面171の突出高さH1は、型移動工程において第1内側型160および第2内側型170が移動可能な距離Dm1より小さく設定されている。
【0341】
そのため、第1内側型160および第2内側型170を弁体31内から抜き出すとき、第1凸面161および第2凸面171が弁体31の内周壁462に干渉することなく、第1内側型160および第2内側型170を弁体31から容易に抜き出すことができる。
【0342】
<3-25>
上述のように、本実施形態は、回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、弁体31の内側に形成された弁体内流路300を有するバルブ30の製造方法であって、樹脂成形工程と型移動工程とを含む。
【0343】
弁体31は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成される。
【0344】
樹脂成形工程では、外側型180と外側型180の内側に配置される内側型(160、170)との間において弁体31を樹脂成形する。
【0345】
型移動工程では、樹脂成形工程の後、内側型(160、170)を弁体31の内側へ移動させる。
【0346】
上記製造方法でバルブ30を製造することにより、弁体31の外周壁の球面の成形精度を向上できる。これにより、弁体31の外周壁における冷却水の漏れを抑制可能である。
【0347】
また、弁体内流路300の流路面積を大きくでき、通水抵抗を小さくできる。
【0348】
(第6実施形態)
第6実施形態によるバルブ装置を
図42に示す。第6実施形態は、バルブ30の構成等が第1実施形態と異なる。
【0349】
弁体31のボールバルブ41、42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43は、回転軸Axr1方向の駆動部70側から駆動部70とは反対側へ向かって、この順で並ぶよう一体に形成されている。弁体31は、筒状に形成され、ボールバルブ41、42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43の内周壁が、回転軸Axr1を中心とする略円筒面状に形成されている。なお、弁体31の内周壁は、回転軸Axr1方向の駆動部70側から駆動部70とは反対側へ向かうに従い内径が大きくなるようテーパ状に形成されている。弁体31は、ボールバルブ41、42、43において外周壁が球面状となるよう形成されている。シャフト32は、回転軸Axr1において弁体31と一体に設けられている。
【0350】
出口ポート221、222、223は、それぞれ、ボールバルブ41、42、43に対応する位置に形成されている。パイプ部511の出口ポート221とは反対側の端部は、ホース等を経由してラジエータ5に接続される。パイプ部512の出口ポート222とは反対側の端部は、ホース等を経由してヒータ6に接続される。パイプ部513の出口ポート223とは反対側の端部は、ホース等を経由してデバイス7に接続される。
【0351】
図42に示すように、ボールバルブ41、42、43は、それぞれ、出口ポート221、222、223に対応する位置に設けられている。ここで、「出口ポート221、222、223に対応する位置」とは、出口ポート221、222、223の軸方向に出口ポート221、222、223を投影したとき、この投影と重なる範囲を意味する。
【0352】
図42に示すように、筒状バルブ接続部45は、回転軸Axr1方向において、出口ポート222と出口ポート223との間に設けられている。
【0353】
取付面201は、パイプ取付面202に対し直交するよう形成されている(
図43参照)。入口ポート220は、取付面201に開口するよう形成されている。取付面201における入口ポート220の開口は、円形である。
【0354】
図44に示すように、バルブ装置10は、エンジン2とインバータ16との間の狭小空間A2においてエンジン2に取り付けられる。ここで、バルブ装置10は、パイプ部材50がバルブ30に対し鉛直方向上側に位置するようにしてエンジン2に取り付けられる。
【0355】
<1-1>ハウジング締結穴
図42、
図43に示すように、ハウジング20は、ハウジング本体21と一体に形成された締結部231、232、233を有している。締結部231、232、233は、ハウジング本体21の取付面201側の端部から取付面201の面方向に突出するよう形成されている。また、ハウジング20は、締結部231、232、233のそれぞれに対応して形成された締結穴241、242、243を有している。
【0356】
締結穴241、242、243には、締結部材240が挿通され、エンジン2に締結される。これにより、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられる。取付面201の入口ポート220の径方向外側には、ゴム製のポートシール部材209が設けられる。ポートシール部材209は、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられた状態において、締結部材240の軸力により圧縮された状態となる。これにより、ポートシール部材209は、取付面201とエンジン2との間を液密に保持し、入口ポート220から取付面201とエンジン2との間を経由して冷却水が漏れるのを抑制できる。
【0357】
図43に示すように、入口ポート220の開口は、3つの締結穴、すなわち、締結穴241、242、243を結んで形成される三角形Ti1の内側に形成されている。
【0358】
<1-1>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とを備える。
【0359】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、エンジン2に取り付けられた状態においてエンジン2に対向するようハウジング本体21の外壁に形成された取付面201、取付面201に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続する入口ポート220、ハウジング本体21と一体に形成された複数の締結部(231、232、233)、および、複数の締結部のそれぞれに対応して形成された複数の締結穴(241、242、243)を有する。
【0360】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、弁体31の内側に形成され入口ポート220に連通可能な弁体内流路300を有する。
【0361】
ハウジング本体21は、締結穴(241、242、243)を通りエンジン2に螺合する締結部材240によりエンジン2に固定される。
【0362】
締結穴は、少なくとも3つ形成されている。
【0363】
入口ポート220の開口は、3つの締結穴(241、242、243)を結んで形成される三角形Ti1の内側に形成されている。
【0364】
そのため、入口ポート220の周りに環状の弾性部材からなるポートシール部材209を設けた場合、3つの締結穴(231、232、233)を通る締結部材240によりハウジング本体21をエンジン2に固定したとき、ポートシール部材209をバランスよく圧縮できる。これにより、入口ポート220周りのシール性を効果的に確保できる。
【0365】
図43に示すように、締結部231は、ハウジング本体21からハウジング本体21の長手方向に突出するよう形成されている。締結部232、233は、ハウジング本体21からハウジング本体21の短手方向に突出するよう形成されている。
【0366】
図43に示すように、締結部231の突出開始位置は、ハウジング本体21の入口ポート220が形成された矩形状の取付面201の駆動部70とは反対側の角部である。締結部232の突出開始位置は、ハウジング本体21の入口ポート220が形成された矩形状の取付面201の長手方向に延びる2つの辺のうち締結部233とは反対側の辺の入口ポート220の近傍の部分である。締結部233の突出開始位置は、ハウジング本体21の短手方向の端部の駆動部70側の部分である。
【0367】
図43に示すように、三角形Ti1の辺のうち締結穴241の中心と締結穴242の中心とを結ぶ辺と入口ポート220の中心Cp1との距離は、締結穴242の中心と締結穴243の中心とを結ぶ辺と中心Cp1との距離より小さい。締結穴242の中心と締結穴243の中心とを結ぶ辺と中心Cp1との距離は、締結穴243の中心と締結穴241の中心とを結ぶ辺と中心Cp1との距離より小さい。
【0368】
<4-1>カバー固定部突出抑制
図45、
図46に示すように、駆動部カバー80は、駆動部空間800を形成するカバー本体81、および、カバー本体81の外縁部に形成されハウジング本体21に固定されるカバー固定部821~826を有している。
【0369】
カバー固定部821~826のそれぞれには、カバー締結穴831~836が形成されている。カバー締結穴831~836には、固定部材830が挿通され、ハウジング本体21に締結される。
【0370】
ここで、カバー固定部823、824は、ハウジング本体21の取付面201に対し垂直な方向Dv1の両端部のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。
【0371】
具体的には、カバー固定部823、824は、ハウジング本体21の取付面201に対し垂直な方向Dv1の取付面201とは反対側の端部であるハウジング端部215より外側、すなわち、取付面201とは反対側へ突出しないよう形成されている。
【0372】
図45に示す仮想平面Vp3は、ハウジング端部215を通り取付面201に対し平行な仮想平面である。カバー固定部823、824は、当該仮想平面Vp3に対し取付面201側に位置している。
【0373】
また、カバー固定部821、826は、ハウジング本体21の取付面201に対し垂直な方向Dv1の取付面201側の端部であるハウジング端部216より外側、すなわち、取付面201側へ突出しないよう形成されている。つまり、カバー固定部821、826は、取付面201に対し仮想平面Vp3側に位置している。
【0374】
ここで、カバー本体81は、駆動部カバー80の一部であって、駆動部空間800を形成する部位を意味する。そのため、カバー固定部821~826は、駆動部カバー80を構成する部位ではあるものの、カバー本体81とは異なる部位として形成されている。
【0375】
図45に示すように、カバー本体81の外壁には、カバー平面部811、812、813、カバー曲面部814が形成されている。カバー平面部811は、回転軸Axr1に直交するよう平面状に1つ形成されている。カバー平面部812は、回転軸Axr1に対し平行となるよう平面状に複数形成されている。カバー平面部813は、回転軸Axr1に対し傾斜するよう平面状に1つ形成されている。カバー曲面部814は、回転軸Axr1に対し平行となるよう曲面状に複数形成されている。ここで、複数のカバー曲面部814は、互いに接続している。
【0376】
図45に示すように、カバー締結穴831~833は、モータ71の軸Axm1に対しパイプ部材50側に形成されている。カバー締結穴834~836は、モータ71の軸Axm1に対しコネクタ部84側に形成されている。カバー締結穴833は、カバー締結穴831、832よりもモータ71の軸Axm1に近い位置に形成されている。カバー締結穴834は、カバー締結穴835、836よりもモータ71の軸Axm1に近い位置に形成されている。
【0377】
<4-1>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と隔壁部60と駆動部カバー80と駆動部70とを備える。
【0378】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、エンジン2に取り付けられた状態においてエンジン2に対向するようハウジング本体21の外壁に形成された取付面201、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有する。
【0379】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成された弁体内流路300、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体開口部(410、420、430)を経由した弁体内流路300とポート(220、221、222、223)との連通状態を弁体31の回転位置により変更可能である。
【0380】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるよう設けられ、シャフト32の一端を挿通可能なよう形成されたシャフト挿通穴62を有する。
【0381】
駆動部カバー80は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、隔壁部60との間に駆動部空間800を形成する。
【0382】
駆動部70は、駆動部空間800に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0383】
駆動部カバー80は、駆動部空間800を形成するカバー本体81、および、カバー本体81の外縁部に形成されハウジング本体21に固定されるカバー固定部(821~826)を有する。
【0384】
カバー固定部(821~826)は、ハウジング本体21の取付面201に垂直な方向Dv1の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。
【0385】
そのため、駆動部カバー80の取付面201に垂直な方向Dv1の体格を小さくでき、バルブ装置10の取付面201に垂直な方向Dv1の体格を小さくできる。これにより、バルブ装置10を車両1の狭小空間A2に搭載できる。
【0386】
図44に示すように、エンジン2の周りには、様々な装置等が搭載される。そのため、バルブ装置10を配置できるスペースはエンジンルーム内において限られている。本実施形態では、バルブ装置10の体格を小さくできるため、バルブ装置10を車両1の狭小空間A2に容易に搭載できる(
図44参照)。
【0387】
<4-1-1>
図45に示すように、カバー固定部821~826は、取付面201に対し垂直な仮想平面Vp4上に位置している。なお、仮想平面Vp4は、回転軸Axr1、シャフト32の軸Axs1に対しても垂直な平面である。
【0388】
そのため、駆動部カバー80の高さを小さくできる。
【0389】
<4-2>
図45に示すように、ハウジング本体21の取付面201とは反対側の端部であるハウジング端部215は、カバー本体81の取付面201とは反対側の端部であるカバー端部815より外側へ突出しないよう形成されている。なお、カバー端部815は、仮想平面Vp3に沿うよう形成されている。
【0390】
そのため、ハウジング本体21の取付面201に垂直な方向Dv1の体格を小さくでき、バルブ装置10の取付面201に垂直な方向Dv1の体格をより小さくできる。
【0391】
<4-2-1>
図46に示すように、ハウジング本体21は、取付面201とは反対側の端部であるハウジング端部215において隔壁部60が露出する程度の切欠き部212を有している。
【0392】
そのため、バルブ装置10の取付面201に垂直な方向Dv1の体格をより小さくできる。
【0393】
図45に示すように、切欠き部212は、カバー固定部823とカバー固定部824との間に形成されている。
【0394】
<4-3>
図45に示すように、コネクタ部84は、カバー本体81の取付面201に垂直な方向Dv1の両端部のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。
【0395】
具体的には、コネクタ部84は、カバー本体81の取付面201に垂直な方向Dv1の取付面201とは反対側の端部であるカバー端部815より外側、すなわち、取付面201とは反対側へ突出しないよう形成されている。つまり、コネクタ部84は、仮想平面Vp3に対し取付面201側に位置している。
【0396】
また、コネクタ部84は、カバー本体81の取付面201に垂直な方向Dv1の取付面201側の端部であるカバー端部816より外側、すなわち、取付面201側へ突出しないよう形成されている。つまり、コネクタ部84は、取付面201に対し仮想平面Vp3側に位置している。
【0397】
<4-3-1>
図45に示すように、コネクタ部84は、カバー本体81の外縁部から取付面201に対し垂直な方向Dv1以外の方向へ突出するよう形成されている。
【0398】
<4-3-2>
具体的には、コネクタ部84は、カバー本体81の外縁部から取付面201に対し平行な方向Dp1へ突出するよう形成されている。なお、平行な方向Dp1は、回転軸Axr1、シャフト32の軸Axs1に対して垂直な方向である。
【0399】
そのため、駆動部カバー80の取付面201に垂直な方向Dv1の体格をより小さくでき、バルブ装置10の取付面201に垂直な方向Dv1の体格をより小さくできる。
【0400】
図45に示すように、コネクタ部84は、カバー本体81の外縁部のうちカバー固定部825とカバー固定部826との間の部分から方向Dp1へ突出するよう形成されている。
【0401】
<4-4>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と隔壁部60と駆動部カバー80と駆動部70とを備える。
【0402】
図45に示すように、ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、ハウジング本体21の外壁から突出するようハウジング本体21とは異なる部位として形成されたハウジング側カバー固定部(291~296)、エンジン2に取り付けられた状態においてエンジン2に対向するようハウジング本体21の外壁に形成された取付面201、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有する。
【0403】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成された弁体内流路300、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体開口部(410、420、430)を経由した弁体内流路300とポート(220、221、222、223)との連通状態を弁体31の回転位置により変更可能である。
【0404】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるよう設けられ、シャフト32の一端を挿通可能なよう形成されたシャフト挿通穴62を有する。
【0405】
駆動部カバー80は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、隔壁部60との間に駆動部空間800を形成する。
【0406】
駆動部70は、駆動部空間800に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0407】
図45に示すように、駆動部カバー80は、駆動部空間800を形成するカバー本体81、および、カバー本体81の外壁から突出するようカバー本体81とは異なる部位として形成されハウジング側カバー固定部(291~296)に固定されるカバー固定部(821~826)を有する。ここで、カバー固定部821~826は、固定部材830により、それぞれ、ハウジング側カバー固定部291~296に固定される。
【0408】
カバー固定部(821~826)は、ハウジング本体21の取付面201に垂直な方向Dv1の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。ここで、ハウジング本体21の取付面201に垂直な方向Dv1の両端部であるハウジング端部215、216は、ハウジング側カバー固定部291~296とは異なる部位としてハウジング本体21に形成されている。
【0409】
そのため、駆動部カバー80の取付面201に垂直な方向Dv1の体格を小さくでき、バルブ装置10の取付面201に垂直な方向Dv1の体格を小さくできる。これにより、バルブ装置10を車両1の狭小空間A2に搭載できる。
【0410】
<4-5>
図45に示すように、ハウジング本体21がエンジン2に取り付けられた状態において、カバー固定部821~826は、ハウジング本体21の取付面201に垂直な方向Dv1かつ水平方向の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。つまり、カバー固定部821~826は、ハウジング端部215よりも、ハウジング本体21の最薄方向である取付面201に垂直な方向Dv1に関して突出しないよう形成されている。
【0411】
そのため、駆動部カバー80の取付面201に垂直な方向Dv1かつ水平方向の体格を小さくでき、バルブ装置10の取付面201に垂直な方向Dv1かつ水平方向の体格を小さくできる。これにより、取付面201に垂直な方向Dv1かつ水平方向に狭い狭小空間A2にバルブ装置10を搭載できる。
【0412】
<5-1>ハウジング側固定部隙間
図47に示すように、ハウジング20は、ハウジング本体21と一体に形成されたハウジング側固定部251~256を有している。ここで、ハウジング側固定部251~253は、回転軸Axr1を含み取付面201に対し平行な仮想平面Vp5に対し取付面201とは反対側において回転軸Axr1と平行な方向に並ぶよう形成されている。また、ハウジング側固定部254~256は、仮想平面Vp5に対し取付面201側において回転軸Axr1と平行な方向に並ぶよう形成されている。つまり、ハウジング側固定部251~253とハウジング側固定部254~256とは、間に仮想平面Vp5を挟むようにして形成されている。
【0413】
なお、ハウジング側固定部251とハウジング側固定部252との距離は、ハウジング側固定部252とハウジング側固定部253との距離より大きい。ハウジング側固定部254とハウジング側固定部255との距離は、ハウジング側固定部255とハウジング側固定部256との距離と同じである。また、ハウジング側固定部252とハウジング側固定部253との距離は、ハウジング側固定部255とハウジング側固定部256との距離より小さい。
【0414】
また、ハウジング側固定部251は、回転軸Axr1方向においてハウジング側固定部254に対し駆動部70側に形成されている。ハウジング側固定部252は、回転軸Axr1方向においてハウジング側固定部255に対しハウジング側固定部256側に形成されている。ハウジング側固定部253は、回転軸Axr1方向においてハウジング側固定部256に対しやや駆動部70とは反対側に形成されている。
【0415】
ハウジング側固定部251~256のそれぞれには、ハウジング側締結穴261~266が形成されている。なお、ハウジング側締結穴261~266は、略円筒状に形成され、軸が取付面201、仮想平面Vp5、鉛直方向に対し平行となるよう形成されている。また、ハウジング側締結穴261~266の内周壁には、ねじ溝は予め形成されていない。
【0416】
図47に示すように、パイプ部材50は、パイプ部511~514、パイプ連結部52、パイプ側固定部531~536等を有している。パイプ部511~513は、それぞれ、内側の空間が出口ポート221~223に連通するよう設けられている。パイプ部514は、内側の空間がリリーフポート224に連通するよう設けられている。パイプ部511とパイプ部514とは、一体に形成され、内側の空間が互いに連通している。なお、パイプ部512とパイプ部514とは、外壁が接続するよう一体に形成されているものの、内側の空間は互いに連通していない。パイプ連結部52は、パイプ部511~514のハウジング本体21側の端部を互いに連結するようパイプ部511~514と一体に形成されている。
【0417】
パイプ側固定部531~536は、それぞれ、パイプ連結部52の外縁部においてハウジング側固定部251~256に対応する位置に形成されている。パイプ側固定部531~536のそれぞれには、パイプ側締結穴541~546が形成されている。なお、パイプ側締結穴541~546は、略円筒状に形成され、それぞれの軸がハウジング側締結穴261~266の軸と概ね一致するよう形成されている。
【0418】
バルブ装置10は、パイプ締結部材540を備えている。パイプ締結部材540は、パイプ側締結穴541~546を通りハウジング側締結穴261~266に螺合することでパイプ側固定部531~536とハウジング側固定部251~256とを固定する。
【0419】
図48、
図49に示すように、ハウジング側固定部251~256は、略円柱状に形成されている。ハウジング側固定部251~256は、軸方向の一方の端面がパイプ取付面202と同一平面上に位置するよう設けられている。ハウジング20は、ハウジング側固定部251~256の軸方向の他方の端部側の外周壁とハウジング本体21の外壁とを接続するハウジング接続部259を有している。これにより、ハウジング側固定部251~256は、ハウジング本体21の外壁との間に隙間としてのハウジング間隙間Sh1を形成している。ハウジング間隙間Sh1は、ハウジング接続部259とパイプ側固定部531~536との間に形成されている。
【0420】
より詳細には、ハウジング間隙間Sh1は、ハウジング側固定部251~256とハウジング本体21の外壁とハウジング接続部259とパイプ側固定部531~536との間に形成されている。
【0421】
なお、ハウジング側締結穴261~266は、それぞれ、ハウジング側固定部251~256と同軸となるよう形成されている。また、ハウジング側締結穴261~266のパイプ部材50とは反対側の端部は、ハウジング接続部259よりパイプ部材50側に位置している。
【0422】
<5-1>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とパイプ部材50とパイプ締結部材540とを備える。
【0423】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、ハウジング本体21と一体に形成されたハウジング側固定部(251~256)、ハウジング側固定部に形成されたハウジング側締結穴(261~266)、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223、224)を有する。
【0424】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成された弁体内流路300、および、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)を有し、弁体開口部を経由した弁体内流路300とポートとの連通状態を弁体31の回転位置により変更可能である。
【0425】
パイプ部材50は、内側の空間がポート(221、222、223、224)に連通する筒状のパイプ部(511、512、513、514)、パイプ部と一体に形成されハウジング側固定部に固定されるパイプ側固定部(531~536)、および、パイプ側固定部に形成されたパイプ側締結穴(541~546)を有する。
【0426】
パイプ締結部材540は、パイプ側締結穴(541~546)を通りハウジング側締結穴(261~266)に螺合することでパイプ側固定部(531~536)とハウジング側固定部(251~256)とを固定する。
【0427】
ハウジング側固定部(251~256)は、ハウジング本体21の外壁との間に隙間(Sh1)を形成している。
【0428】
そのため、パイプ部材50をパイプ締結部材540によりハウジング20に締結したとき、ハウジング側固定部(251~256)に割れが生じても、この割れがハウジング本体21にまで及ぶことを抑制できる。これにより、ハウジング20へのパイプ部材50の締結によって生じ得る冷却水の漏れを抑制できる。
【0429】
本実施形態では、出口ポート221がラジエータ5と接続され流量が多いため、ハウジング側固定部(251~256)のうち特に出口ポート221近傍のハウジング側固定部251、254からの割れがハウジング本体21に及ぶのを抑制することで、冷却水の漏れを効果的に抑制できる。
【0430】
図47に示すように、ハウジング側固定部251とハウジング側固定部254とは、間に出口ポート221を挟むようにして形成されている。ここで、ハウジング側固定部251、254は、ハウジング側固定部252、253、255、256と比べ、出口ポート221に近い位置、すなわち、出口ポート221近傍に形成されている。なお、出口ポート221の中心は、ハウジング側締結穴261、264の外縁に接する平行な2つの接線の間に位置している。
【0431】
<5-2>
図42に示すように、ハウジング20は、出口ポート221~223を有している。
図42、
図50、
図51に示すように、パイプ部材50は、互いに連結するパイプ部511~513を有している。バルブ装置10は、パイプ部511~513のそれぞれに設けられ、弁体31の外周壁との間を液密に保持可能な複数のシールユニット35を備えている。
【0432】
そのため、タッピング等について部品点数を低減できる。また、パイプ部材50の組付け工数を低減できる。
【0433】
パイプ部511~513のシールユニット35が設けられる端部は、パイプ連結部52により互いに連結されている。パイプ部511~513のシールユニット35が設けられる端部は、それぞれの軸が互いに平行となるよう形成されている。
【0434】
<5-2-1>
図42に示すように、入口ポート220、出口ポート221~223のうちシールユニット35が設けられた出口ポート221~223は、互いの軸が平行となり、パイプ取付面202に開口するよう形成されている。出口ポート221~223は、パイプ部511~513のシールユニット35が設けられる端部と同軸となるよう形成されている。
【0435】
そのため、複数のシールユニット35を組み付けたパイプ部材50を一方向からハウジング本体21に組み付けることができる。
【0436】
<5-3>
図42、
図50、
図51に示すように、バルブ装置10は、ガスケット509を備えている。ガスケット509は、例えばゴム等の弾性部材により形成され、パイプ部511~513のそれぞれの径方向外側においてパイプ部材50とハウジング本体21のパイプ取付面202との間に設けられ、パイプ部材50とハウジング本体21との間を液密に保持可能である。
【0437】
図51に示すように、パイプ部材50は、3つのシールユニット35をパイプ部511~513に保持した状態で、ハウジング本体21に組み付けることが可能である。ここで、ガスケット509は、パイプ連結部52に形成されたガスケット溝521に嵌め込まれた状態でパイプ部材50とともにハウジング本体21に組み付けられる。すなわち、複数のシールユニット35およびガスケット509を組み付けたパイプ部材50を一方向からハウジング本体21に対し一度に組み付けることができる。
【0438】
また、複数の部材を一度に組み付けることで組付け工数を低減することにより、複数の部材の組付け時に発生し得る複数の不具合を1つにでき、バルブ装置10の品質を向上できる。このことは、車両1に搭載される装置には高い品質が求められるため、重要である。
【0439】
図50に示すように、パイプ部511~513のそれぞれに設けられた3つのシールユニット35は、パイプ部511~513の内径の大きさに応じて、外径が設定されている。パイプ部511に設けられたシールユニット35の外径は、パイプ部512、513に設けられたシールユニット35の外径より大きい。パイプ部512に設けられたシールユニット35の外径は、パイプ部513に設けられたシールユニット35の外径と略同じである。
【0440】
<5-4>
図47に示すように、出口ポート221~223、リリーフポート224は、複数のハウジング側締結穴(261~266)のうち2つのハウジング側締結穴を結ぶ直線上、または、3つのハウジング側締結穴で形成される三角形の内側に中心が位置するよう形成されている。
【0441】
具体的には、出口ポート221は、ハウジング側締結穴261の中心とハウジング側締結穴262の中心とハウジング側締結穴264の中心とを結んで形成される三角形To1の内側に中心が位置するよう形成されている。出口ポート222は、ハウジング側締結穴262の中心とハウジング側締結穴265の中心とを結ぶ直線Lo1上に中心が位置するよう形成されている。出口ポート223は、ハウジング側締結穴262の中心とハウジング側締結穴263の中心とハウジング側締結穴266の中心とを結んで形成される三角形To2の内側に中心が位置するよう形成されている。リリーフポート224は、三角形To1の内側に中心が位置するよう形成されている。
【0442】
そのため、出口ポート221~223、リリーフポート224の径方向外側におけるガスケット509のシール荷重を分散および安定化できる。
【0443】
<5-5>
図42に示すように、ハウジング20は、ハウジング本体21にパイプ部材50が取り付けられた状態においてパイプ部材50に対向するようハウジング本体21の外壁に形成されたパイプ取付面202を有している。ハウジング本体21に形成されるポートは、パイプ取付面202に開口する3つの出口ポート(221~223)、および、1つのリリーフポート224を含む。
【0444】
図47に示すように、バルブ装置10は、リリーフ弁39を備える。リリーフ弁39は、リリーフポート224に設けられ、条件に応じてリリーフポート224を経由した内部空間200とハウジング本体21の外部との連通を許容または遮断する。具体的には、リリーフ弁39は、所定の条件、例えば冷却水の温度が所定の温度以上となったとき、開弁し、リリーフポート224を経由した内部空間200とハウジング本体21の外部すなわちパイプ部511の内側の空間との連通を許容し、冷却水の温度が所定の温度より低くなったとき、上記連通を遮断する。
【0445】
図47に示すように、3つの出口ポート(221~223)のうち少なくとも2つ(221~223)は、それぞれの開口の中心が、パイプ取付面202上の1つの直線であるポート配列直線Lp1上に位置するよう形成されている。ここで、ポート配列直線Lp1は、取付面201に対し平行であって、仮想平面Vp5上に位置している。
【0446】
つまり、3つの出口ポート(221~223)のうち少なくとも2つ(221~223)は、それぞれの開口の中心が、パイプ取付面202上において、回転軸Axr1方向に直線状に並ぶよう形成されている。
【0447】
リリーフポート224は、開口の中心が、ポート配列直線Lp1から取付面201とは反対側へ離れた位置に位置するよう形成されている。
【0448】
図42に示すように、回転軸Axr1方向において、入口ポート220とリリーフポート224とバルブ間空間400とは重なっている。そのため、入口ポート220から流入した冷却水をリリーフポート224に導く際、ボールバルブ41、42が障害となることを抑制でき、入口ポート220からの冷却水の温度をリリーフ弁39にスムーズに伝達し、リリーフ弁39の反応性を向上できる。
【0449】
そのため、3つの出口ポート(221~223)を直線状に並べて配置することでハウジング本体21の体格を小さくしつつ、ハウジング本体21にリリーフポート224を形成できる。
【0450】
なお、リリーフポート224は、出口ポート221と出口ポート222との間に一部が位置するようハウジング本体21に形成されている。
【0451】
図47に示すように、出口ポート221の外縁と出口ポート222の外縁とを結ぶ2つの接線が形成する領域にリリーフポート224の一部が形成されている。
【0452】
<5-6>
図47に示すように、ポート配列直線Lp1の方向から見たとき、3つの出口ポート(221~223)のうち少なくとも2つ(221~223)と、リリーフポート224とは、一部が重なるよう形成されている。
【0453】
そのため、リリーフポート224を形成したハウジング本体21の体格をより小さくできる。
【0454】
<5-7>
図47に示すように、リリーフポート224は、開口の中心が、ポート配列直線Lp1に平行なパイプ取付面202上の直線であるリリーフ配置直線Lr1上に位置するよう形成されている。ここで、リリーフ配置直線Lr1は、ポート配列直線Lp1に対し取付面201とは反対側に位置している。
【0455】
つまり、取付面201からリリーフポート224の中心までの距離は、取付面201から出口ポート221、222、223それぞれの中心までの距離より大きい。
【0456】
ポート配列直線Lp1の方向から見たとき、3つの出口ポート(221~223)のうち少なくとも2つ(221~223)のポート配列直線Lp1に対しリリーフ配置直線Lr1側の部位と、リリーフポート224のリリーフ配置直線Lr1に対しポート配列直線Lp1側の部位とは、一部が重なるようにして形成されている。
【0457】
つまり、回転軸Axr1方向から見たとき、3つの出口ポート(221~223)のうち少なくとも2つ(221~223)の中心に対し取付面201とは反対側の部位は、リリーフポート224の中心に対し取付面201側の部位と重なる。
【0458】
なお、3つの出口ポートの中心がパイプ取付面202において三角形を形成する場合は、回転軸Axr1方向から見て、取付面201から遠い2つの出口ポートの中心に対し取付面201とは反対側の部位が、リリーフポート224の中心に対し取付面201側の部位と重なる。
【0459】
そのため、リリーフポート224を形成したハウジング本体21の体格をより小さくできる。
【0460】
<5-8>
図47に示すように、複数のハウジング側締結穴(261~266)のうち少なくとも2つ(261~263)は、ポート配列直線Lp1に対しリリーフポート224側に位置する直線である締結穴配列直線Lh1上に形成されている。ここで、締結穴配列直線Lh1は、ポート配列直線Lp1およびリリーフ配置直線Lr1に対し平行で、リリーフ配置直線Lr1に対しポート配列直線Lp1とは反対側に位置している。
【0461】
図47に示すように、リリーフポート224は、締結穴配列直線Lh1の一部と重なるよう形成されている。
【0462】
そのため、リリーフポート224を形成したハウジング本体21の体格をより小さくできる。
【0463】
<5-9>
図50に示すように、パイプ部511~513は、パイプ部本体501、および、パイプ部本体501の出口ポート221~223(パイプ連結部52)とは反対側に形成され内径がパイプ部本体501の内径より大きく外径がパイプ部本体501の外径より大きいパイプ部端部502を有している。
【0464】
そのため、パイプ部端部502を例えば無理抜きにより形成する場合、パイプ部端部502を内側へ容易に変形させつつ型を抜くことができ、パイプ部端部502の割れを抑制できる。これにより、パイプ部端部502からの冷却水の漏れを抑制できる。
【0465】
なお、パイプ部端部502の外径がパイプ部本体501の外径より大きいため、パイプ部端部502に接続したホース等の抜けを抑制できる。
【0466】
図42に示すように、パイプ部511は、パイプ取付面202から出口ポート221とは反対側へ延びるようにして形成されている。パイプ部512は、パイプ取付面202から出口ポート222とは反対側へ延びるようにして形成されている。パイプ部513は、パイプ取付面202から出口ポート223とは反対側へ延びた後、折れ曲がり、回転軸Axr1に平行な方向のパイプ部512とは反対側へ延びるようにして形成されている。
【0467】
パイプ部513は、パイプ部512の軸方向の中央に対応する位置で曲がるよう形成されている。そのため、パイプ部512のパイプ取付面202側の部位とパイプ部513との間には隙間Sp1が形成されている。
【0468】
<5-10>
図50に示すように、パイプ部511~513は、パイプ部本体501の外壁から外側へ突出するパイプ部突起503を有している。
【0469】
パイプ部突起503により、パイプ部511~513に対するホースの固定位置を容易に決定でき、かつ、パイプ部511~513にホースが深く刺さり過ぎるのを抑制できる。
【0470】
<5-11>
図47に示すように、パイプ部突起503は、取付面201に対し平行な仮想平面Vp5上に形成されている。
【0471】
つまり、
図47に示すように、出口ポート221~223の軸方向から見て、パイプ部突起503は、回転軸Axr1方向に直線状に並ぶよう形成されている。
【0472】
そのため、パイプ部材50の取付面201に対し垂直な方向の大きさを小さくでき、バルブ装置10の体格を小さくできる。
【0473】
なお、パイプ部突起503は、パイプ部511に対し1つ形成されている。パイプ部突起503は、パイプ部512を間に挟むようにしてパイプ部512に対し2つ形成されている。パイプ部突起503は、パイプ部513を間に挟むようにしてパイプ部513に対し2つ形成されている(
図50参照)。
【0474】
パイプ部511におけるホースの端部の位置を制限できさえすればよいため、パイプ部突起503は、パイプ部511には1つのみ形成されている。パイプ部511にパイプ部突起503を1つのみ形成することで、材料費を削減できる。なお、他の実施形態では、パイプ部511にパイプ部突起503を2つ形成してもよい。
【0475】
<5-12>
図50に示すように、パイプ部材50は、複数のパイプ部(511~514)、および、複数のパイプ部(511~514)のハウジング本体21側の部位を連結するパイプ連結部52を有している。
【0476】
そのため、部材点数を低減できるとともに、パイプ連結部52とハウジング本体21との間にガスケット509を配置することでパイプ部材50とハウジング本体21との間のシール性を確保できる。
【0477】
図50に示すように、パイプ連結部52は、パイプ部511~513に形成されたパイプ部突起503に対しシールユニット35側に形成されている。また、パイプ連結部52の外縁部は、パイプ部511~514のパイプ取付面202側の端部の径方向外側へ延びるよう形成されている(
図47、50参照)。
【0478】
<5-13>
図42に示すように、ハウジング20は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するハウジング開口部210、および、一端がハウジング開口部210に接続し内部空間200を形成する筒状のハウジング内壁211を有している。バルブ30は、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有している。
【0479】
バルブ装置10は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるようハウジング開口部210に設けられた隔壁部本体61、および、シャフト32の一端を挿通可能なよう隔壁部本体61に形成されたシャフト挿通穴62を有する隔壁部60を備えている。
【0480】
ハウジング開口部210の内径は、ハウジング内壁211のハウジング開口部210とは反対側の端部の内径より大きい。
【0481】
そのため、内部空間200のハウジング開口部210側の流路面積を大きくできる。これにより、特にハウジング開口部210側に形成された出口ポート221(ラジエータ5)側へ流す冷却水の流量を増大できる。
【0482】
<5-13-1>
図42に示すように、ハウジング開口部210と隔壁部60の隔壁部本体61との間に設けられ、ハウジング開口部210と隔壁部60との間を液密に保持可能な環状シール部材600を備えている。
【0483】
そのため、ハウジング開口部210の内径を一定に形成すれば、内径および外径が一定の標準的な形状の環状シール部材600を採用でき、コストを低減できる。
【0484】
<5-14>
図42に示すように、ハウジング内壁211は、ハウジング開口部210側からハウジング開口部210とは反対側へ向かうに従い内径が小さくなるようテーパ状に形成されている。
【0485】
そのため、内部空間200の流路面積を、ハウジング開口部210側へ向かって徐々に大きくすることができる。また、ハウジング内壁211に段差が形成されないことにより、内部空間200における通水抵抗を低減できる。
【0486】
<5-15>
図47に示すように、ハウジング本体21に形成された複数のポートのうち少なくとも2つ(出口ポート221~223)は、取付面201に対し平行な方向へ並ぶよう形成されている。
【0487】
そのため、ハウジング本体21の取付面201に対し垂直な方向の大きさを小さくでき、バルブ装置10の体格を小さくできる。
【0488】
<5-16>
図49に示すように、パイプ締結部材540は、ハウジング側締結穴261~266に対しねじ立てしながら螺合可能なタッピングスクリューである。
【0489】
そのため、ねじ溝を有する金属部材等をハウジング側固定部251~256にインサート成型する必要がない。また、ハウジング側固定部251~256とハウジング本体21の外壁との間にはハウジング間隙間Sh1が形成されているため、パイプ締結部材540のハウジング側締結穴261~266への螺合時にハウジング側固定部251~256が割れたとしても、この割れがハウジング本体21に及ぶのを抑制できる。
【0490】
<6-1>隔壁貫通穴
図52に示すように、隔壁部60は、シャフト挿通穴62から外側へ延びて隔壁部本体61の外壁に開口する隔壁貫通穴65を有している。
【0491】
<6-1>
上述のように、本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と隔壁部60と駆動部70とを備える。
【0492】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するハウジング開口部210を有する。
【0493】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、弁体31の内側に形成された弁体内流路300、弁体内流路300と弁体31の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体開口部を経由した弁体内流路300とポートとの連通状態を弁体31の回転位置により変更可能である。
【0494】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるようハウジング開口部210に設けられた隔壁部本体61、および、シャフト32の一端を挿通可能なよう隔壁部本体61に形成されたシャフト挿通穴62を有する。
【0495】
駆動部70は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0496】
隔壁部60は、シャフト挿通穴62から外側へ延びて隔壁部本体61の外壁に開口する隔壁貫通穴65を有している。
【0497】
そのため、内部空間200からシャフト挿通穴62を通り駆動部70側へ向かって流れる冷却水を隔壁貫通穴65へ流すことができる。これにより、内部空間200の冷却水が駆動部70側へ流れるのを抑制可能である。
【0498】
<6-1-1>
隔壁貫通穴65は、軸に垂直な断面形状が長円形または長方形となるよう形成されている。
【0499】
そのため、隔壁部本体61の体格を小さくしつつ、隔壁貫通穴65における表面張力の影響を抑制し、隔壁貫通穴65において冷却水が流れ易くすることができる。
【0500】
なお、隔壁貫通穴65は、断面の短手方向がシャフト挿通穴62の軸Axh1に対し平行となるよう形成されている。そのため、隔壁部本体61の軸Axh1方向の体格を小さくできる。
【0501】
<6-2>
図52に示すように、ハウジング20は、ハウジング開口部210の内壁から外側へ延びてハウジング本体21の外壁に開口し、隔壁貫通穴65と連通可能に形成されたハウジング貫通穴270を有している。なお、ハウジング貫通穴270は、ハウジング本体21のパイプ取付面202とは反対側の端面に開口している。
【0502】
そのため、隔壁貫通穴65へ流れた冷却水を、ハウジング貫通穴270から外部へ排出できる。また、隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270との二重構造により、外部からの水の侵入を抑制できる。
【0503】
ここで、内部空間200から駆動部70側へ流れる冷却水の量が多い場合、隔壁貫通穴65、ハウジング貫通穴270を経由して冷却水を外部に排出でき、シャフト挿通穴62における冷却水の漏れをユーザに気付かせることができる。これにより、対応の必要がある漏れについて、ユーザに対応させることができる。
【0504】
一方、内部空間200から駆動部70側へ流れる冷却水の量が少ない場合、隔壁貫通穴65、ハウジング貫通穴270に冷却水を留めておくことができ、シャフト挿通穴62における冷却水の漏れをユーザに気付かせないようにすることができる。これにより、対応の必要がない漏れについてまで、ユーザに対応させることを抑制できる。
【0505】
<6-2-1>
ハウジング貫通穴270は、軸に垂直な断面形状が長円形または長方形となるよう形成されている。
【0506】
そのため、ハウジング本体21の体格を小さくしつつ、ハウジング貫通穴270における表面張力の影響を抑制し、ハウジング貫通穴270において冷却水が流れ易くすることができる。
【0507】
なお、ハウジング貫通穴270は、断面の短手方向がシャフト挿通穴62の軸Axh1に対し平行となるよう形成されている。そのため、ハウジング本体21の軸Axh1方向の体格を小さくできる。
【0508】
<6-2-2>
図52に示すように、隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270とは、同軸に形成されている。
【0509】
そのため、隔壁貫通穴65へ流れた冷却水を、ハウジング貫通穴270から外部へ容易に排出できる。
【0510】
<6-3>
図52に示すように、バルブ装置10は、軸シール部材603、環状シール部材600を備えている。軸シール部材603は、例えば主にゴム等の弾性部材から環状に形成され、隔壁貫通穴65に対し内部空間200側においてシャフト32とシャフト挿通穴62との間に設けられ、シャフト32とシャフト挿通穴62との間を液密に保持可能である。
【0511】
環状シール部材600は、例えばゴム等の弾性部材により環状に形成され、ハウジング貫通穴270に対し内部空間200側において隔壁部本体61とハウジング開口部210の内壁との間に設けられ、隔壁部本体61とハウジング開口部210の内壁との間を液密に保持可能である。ここで、軸シール部材603、環状シール部材600は、それぞれ、「第1シール部材」、「第2シール部材」に対応している。
【0512】
そのため、軸シール部材603により、シャフト挿通穴62を経由した内部空間200から駆動部70側への冷却水の漏れを抑制できる。また、環状シール部材600により、隔壁部本体61とハウジング開口部210との間を経由した内部空間200から外部への冷却水の漏れを抑制できる。
【0513】
また、軸シール部材603は、隔壁貫通穴65に対し内部空間200側へ所定距離離れた位置に設けられているため、隔壁貫通穴65と軸シール部材603との間に空間を形成できる。そのため、冷却水の漏れが少ない場合、当該空間に冷却水を留めておき、ユーザに気付かせないようにすることができる。
【0514】
また、環状シール部材600は、ハウジング貫通穴270に対し内部空間200側へ所定距離離れた位置に設けられているため、ハウジング貫通穴270と環状シール部材600との間に空間を形成できる。そのため、冷却水の漏れが少ない場合、当該空間に冷却水を留めておき、ユーザに気付かせないようにすることができる。
【0515】
<6-4>
図52に示すように、軸シール部材603と隔壁貫通穴65との距離Ds1は、環状シール部材600とハウジング貫通穴270との距離Ds2より短い。
【0516】
そのため、ハウジング貫通穴270と環状シール部材600との間に形成される空間を、隔壁貫通穴65と軸シール部材603との間に形成される空間より大きくすることができる。これにより、ハウジング貫通穴270と環状シール部材600との間に形成される空間側に、より多くの冷却水を留めておくことができる。
【0517】
<6-5>
図52に示すように、隔壁部60は、シャフト挿通穴62の隔壁貫通穴65と軸シール部材603との間において段差を形成する隔壁内側段差面661を有している。ここで、隔壁内側段差面661は、内部空間200側を向くよう環状の平面状に形成されている。軸シール部材603は、隔壁内側段差面661に当接可能に設けられている。
【0518】
ハウジング20は、ハウジング開口部210の内壁のハウジング貫通穴270と環状シール部材600との間において段差を形成するハウジング段差面281を有している。ここで、ハウジング段差面281は、駆動部70側を向くよう環状に形成されている。
【0519】
そのため、冷却水の漏れが少ない場合、隔壁内側段差面661、ハウジング段差面281に冷却水を留めておくことで、少量の漏れについてユーザに気付かせないようにすることができる。
【0520】
また、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、隔壁内側段差面661、ハウジング段差面281に水等を留めておくことで、水等が軸シール部材603、環状シール部材600まで流れるのを抑制できる。
【0521】
<6-6>
図52に示すように、ハウジング段差面281は、内部空間200側から駆動部70側へ向かうに従い内径が大きくなるようテーパ状に形成されている。
【0522】
そのため、ハウジング貫通穴270と環状シール部材600との間に形成される空間を大きくでき、当該空間に多くの冷却水を留めておくことができる。
【0523】
なお、ハウジング20は、ハウジング開口部210の内壁のハウジング貫通穴270の駆動部70側において段差を形成するハウジング段差面282を有している。ハウジング段差面282は、駆動部70側を向くよう環状に形成されている。
【0524】
また、隔壁部60は、隔壁部本体61の外壁の隔壁貫通穴65の駆動部70側において段差を形成する隔壁外側段差面671を有している。隔壁外側段差面671は、内部空間200およびハウジング段差面281、282側を向くよう環状に形成されている。
【0525】
図52に示すように、隔壁部本体61の外壁とハウジング開口部210の内壁との間においてハウジング段差面281と隔壁外側段差面671との間には、略円筒状の筒状空間St1が形成されている。隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270とは、筒状空間St1を経由して連通している。
【0526】
冷却水の漏れが少ない場合、筒状空間St1に冷却水を留めておくことができる。
【0527】
図52に示すように、ハウジング開口部210には、ハウジング段差面281、ハウジング貫通穴270、ハウジング段差面282が、内部空間200側から駆動部70側に向かって、この順で形成されている。環状シール部材600は、ハウジング段差面281に対し内部空間200側に向けられている。
【0528】
図52に示すように、隔壁貫通穴65のシャフト32とは反対側の端部は、内縁部がテーパ状に面取りされている。これにより、隔壁貫通穴65の内側の冷却水を容易に排出できる。
【0529】
<6-8>
図52に示すように、ハウジング20がエンジン2に取り付けられた状態において、隔壁貫通穴65は、シャフト32に対し鉛直方向下側に位置する。
【0530】
そのため、冷却水の漏れが多い場合、冷却水を隔壁貫通穴65へ速やかに流すことができる。
【0531】
<6-9>
図52に示すように、ハウジング20がエンジン2に取り付けられた状態において、ハウジング貫通穴270は、シャフト32に対し鉛直方向下側に位置する。
【0532】
そのため、冷却水の漏れが多い場合、冷却水をハウジング貫通穴270から外部へ速やかに排出できる。
【0533】
<6-10>
図52に示すように、隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270とは、軸に垂直な断面において互いに断面積が異なる。ここで、ハウジング貫通穴270の断面積は、隔壁貫通穴65の断面積より大きい。
【0534】
そのため、ハウジング本体21と隔壁部60とが位置ずれしても、隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270との連通を確保できる。また、ハウジング貫通穴270の断面積が隔壁貫通穴65の断面積より大きいため、冷却水をハウジング貫通穴270から外部へ速やかに排出できる。また、外部からハウジング貫通穴270、隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62側に水等が侵入するのを抑制できる。
【0535】
<6-18>
図52に示すように、ハウジング20がエンジン2に取り付けられた状態において、隔壁貫通穴65は、シャフト32の下側に位置する。
【0536】
そのため、冷却水の漏れが多い場合、冷却水を隔壁貫通穴65へ速やかに流すことができる。
【0537】
<6-19>
図52に示すように、ハウジング20がエンジン2に取り付けられた状態において、ハウジング貫通穴270は、シャフト32の下側に位置する。
【0538】
そのため、冷却水の漏れが多い場合、冷却水をハウジング貫通穴270から外部へ速やかに排出できる。
【0539】
ここで、シャフト32の下側とは、例えばシャフト32の軸Axs1を含む水平面より下側であって、シャフト32の鉛直方向の真下のみならず、シャフト32の下側の所定の範囲を含むことを意味する。
【0540】
<6-20>
シャフト32の軸Axs1の真下方向を0度とすると、隔壁貫通穴65は、シャフト32の周方向の0~80度の範囲に形成されている。本実施形態では、隔壁貫通穴65は、シャフト32側から0度の方向へ延びるよう形成されている。そのため、冷却水の漏れが多い場合、冷却水を速やかに排出できる。
【0541】
なお、隔壁貫通穴65は、シャフト32の周方向の30~80度の範囲に形成されていてもよい。この場合、隔壁貫通穴65の角度がある程度緩やかになり、冷却水がにじむように排出できる。そのため、不用意に冷却水が漏れて、問題が生じた場合であっても、ユーザが必要以上に異常と敏感に反応する事態を回避できる。
【0542】
<6-21>
シャフト32の軸Axs1の真下方向を0度とすると、ハウジング貫通穴270は、シャフト32の周方向の0~80度の範囲に形成されている。本実施形態では、ハウジング貫通穴270は、シャフト32側から0度の方向へ延びるよう形成されている。そのため、冷却水の漏れが多い場合、冷却水を速やかに排出できる。
【0543】
なお、ハウジング貫通穴270は、隔壁貫通穴65と同様に、シャフト32の周方向の30~80度の範囲に形成されていてもよい。この場合、ハウジング貫通穴270の角度がある程度緩やかになり、冷却水がにじむように排出できる。そのため、不用意に冷却水が漏れて、問題が生じた場合であっても、ユーザが必要以上に異常と敏感に反応する事態を回避できる。
【0544】
(第7実施形態)
第7実施形態によるバルブ装置の一部を
図53に示す。
【0545】
<6-5>
図53に示すように、隔壁部60は、シャフト挿通穴62の隔壁貫通穴65と軸シール部材603との間において段差を形成する隔壁内側段差面662を有している。ここで、隔壁内側段差面662は、内部空間200側を向くよう環状の平面状に形成されている。隔壁内側段差面662は、隔壁内側段差面661に対し隔壁貫通穴65側に形成されている。
【0546】
そのため、隔壁内側段差面662と軸シール部材603との間に空間を形成できる。これにより、冷却水の漏れが少ない場合、当該空間に冷却水を留めておくことで、少量の漏れについてユーザに気付かせないようにすることができる。
【0547】
また、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、当該空間に水等を留めておくことで、水等が軸シール部材603まで流れるのを抑制できる。
【0548】
ハウジング段差面281は、内部空間200側を向くよう環状に形成されている。隔壁外側段差面671は、ハウジング段差面281と環状シール部材600との間において駆動部70およびハウジング段差面281側を向くよう環状に形成されている。ここで、隔壁外側段差面671とハウジング段差面281とは、対向しながら所定距離離れている。そのため、隔壁部本体61の外壁とハウジング開口部210の内壁との間において環状シール部材600とハウジング貫通穴270との間にラビリンス状の通路P1が形成されている。
【0549】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、通路P1に水等を留めておくことで、水等が環状シール部材600まで流れるのを抑制できる。
【0550】
図53に示すように、ハウジング開口部210の径方向において、ラビリンス状の通路P1の駆動部70側の部位の高さHp1は、通路P1の内部空間200側の部位の高さHp2より小さい。そのため、ハウジング貫通穴270側から見ると、通路P1は、狭い部位から広い部位となるよう変化している。そのため、通路P1の狭い部位により、ハウジング貫通穴270側から環状シール部材600側へ水が流れにくくなる。また、通路P1の狭い部位により、内部空間200側からハウジング貫通穴270側へ水が流れにくくなる。
【0551】
(第8実施形態)
第8実施形態によるバルブ装置の一部を
図54に示す。第8実施形態は、ハウジング貫通穴270の位置等が第6実施形態と異なる。
【0552】
<6-11>
図54に示すように、隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270とは、シャフト挿通穴62の軸(Axh1)方向において互いの軸の位置が異なる。ここで、ハウジング貫通穴270は、隔壁貫通穴65に対し駆動部70側に形成されている。
【0553】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62側へ水等が流れるのを抑制できる。
【0554】
<6-11-1>
図54に示すように、隔壁貫通穴65の軸とハウジング貫通穴270の軸との距離をL、シャフト挿通穴62の軸(Axh1)方向におけるハウジング貫通穴270の大きさをDとすると、隔壁貫通穴65およびハウジング貫通穴270は、D≦L≦10Dの関係を満たすよう形成されている。
【0555】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62側へ水等が流れるのをより効果的に抑制できる。
【0556】
<6-12>
図54に示すように、隔壁部60は、隔壁部本体61の外壁の隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270との間において段差を形成する隔壁外側段差面671を有している。
【0557】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、隔壁外側段差面671に水等を留めておくことで、隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62側へ水等が流れるのを抑制できる。
【0558】
図54に示すように、ハウジング貫通穴270は、ハウジング段差面282、隔壁外側段差面671に対し駆動部70側に形成されている。ここで、隔壁外側段差面671とハウジング段差面282とは、対向しながら所定距離離れている。そのため、隔壁部本体61の外壁とハウジング開口部210の内壁との間においてハウジング貫通穴270と隔壁貫通穴65との間にラビリンス状の通路P2が形成されている。
【0559】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、通路P2に水等を留めておくことで、隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62側へ水等が流れるのを抑制できる。
【0560】
図54に示すように、ハウジング開口部210の径方向において、ラビリンス状の通路P2の駆動部70側の部位の高さHp1は、通路P2の内部空間200側の部位の高さHp2より小さい。そのため、ハウジング貫通穴270側から見ると、通路P2は、狭い部位から広い部位となるよう変化している。そのため、通路P2の狭い部位により、ハウジング貫通穴270側から隔壁貫通穴65側へ水が流れにくくなる。また、通路P2の狭い部位により、隔壁貫通穴65側からハウジング貫通穴270側へ水が流れにくくなる。
【0561】
他の実施形態では、ハウジング開口部210の径方向において、ラビリンス状の通路P2の駆動部70側の部位の高さHp1は、通路P2の内部空間200側の部位の高さHp2より大きくてもよい。この場合、ハウジング貫通穴270側から見ると、通路P2は、広い部位から狭い部位となるよう変化することになる。そのため、ハウジング貫通穴270から侵入した外部の水は、通路P2の狭い部位でトラップされ、隔壁貫通穴65側へ流れにくくなる。一方、隔壁貫通穴65側の水は、通路P2を経由してハウジング貫通穴270側へ流れやすくなる。
【0562】
(第9実施形態)
第9実施形態によるバルブ装置の一部を
図55に示す。
【0563】
<6-13>
図55に示すように、バルブ装置10は、軸受部602を備えている。軸受部602は、シャフト挿通穴62の隔壁貫通穴65に対し駆動部70側に設けられ、シャフト32の一端を軸受けする。
【0564】
そのため、内部空間200から駆動部70側へ流れる冷却水を隔壁貫通穴65へ流すことで、冷却水が軸受部602まで流れるのを抑制できる。
【0565】
<6-14>
図55に示すように、シャフト挿通穴62は、内側に軸受部602が設けられる小径部621、小径部621より内径が大きく隔壁貫通穴65が開口する大径部622、および、小径部621と大径部622との間に形成された挿通穴内段差面623を有している。
【0566】
挿通穴内段差面623は、内部空間200側を向くよう環状に形成されている。
図55に示すように、シャフト32の径方向外側において軸シール部材603と軸受部602との間には、略円筒状の筒状空間St2が形成されている。隔壁貫通穴65は、筒状空間St2に接続している。
【0567】
そのため、内部空間200から駆動部70側へ流れる冷却水を筒状空間St2に留めておくことで、冷却水が軸受部602まで流れるのを抑制できる。また、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、当該水等を筒状空間St2に留めておくことで、水等が軸受部602まで流れるのを抑制できる。
【0568】
(第10実施形態)
第10実施形態によるバルブ装置の一部を
図56、
図57に示す。
【0569】
<6-15>
図56、
図57に示すように、隔壁貫通穴65には、隔壁貫通穴65の一端と他端との間において段差を形成する隔壁貫通穴内段差面651が形成されている。
【0570】
隔壁貫通穴内段差面651は、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられた状態において、鉛直方向下側を向くよう形成されている。よって、隔壁貫通穴65の鉛直方向下側の断面積は、鉛直方向上側の断面積より大きい。
【0571】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、当該水等を隔壁貫通穴内段差面651に留めておくことで、水等がシャフト挿通穴62まで流れるのを抑制できる。
【0572】
(第11実施形態)
第11実施形態によるバルブ装置の一部を
図58に示す。
【0573】
<6-15>
図58に示すように、隔壁貫通穴内段差面651は、バルブ装置10がエンジン2に取り付けられた状態において、鉛直方向上側を向くよう形成されている。よって、隔壁貫通穴65の鉛直方向上側の断面積は、鉛直方向下側の断面積より大きい。
【0574】
そのため、冷却水の漏れが少ない場合、隔壁貫通穴内段差面651に冷却水を留めておくことで、少量の漏れについてユーザに気付かせないようにすることができる。
【0575】
(第12実施形態)
第12実施形態によるバルブ装置の一部を
図59に示す。
【0576】
<6-16>
図59に示すように、隔壁貫通穴65およびハウジング貫通穴270は、それぞれの軸が、シャフト挿通穴62の軸Axh1に対し直交しないよう形成されている。
【0577】
そのため、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、当該水等が隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62まで流れるのを抑制できる。
【0578】
なお、隔壁貫通穴65とハウジング貫通穴270とは、互いの軸が交差するよう形成されている。
【0579】
(第13実施形態)
第13実施形態によるバルブ装置の一部を
図60に示す。
【0580】
<6-17>
図60に示すように、隔壁貫通穴65は、シャフト挿通穴62の径方向内側から径方向外側へ向かうに従い、その断面積が徐々に大きくなるよう形成されている。
【0581】
そのため、冷却水の漏れが多い場合、隔壁貫通穴65を経由して冷却水をハウジング貫通穴270から外部へ速やかに排出できる。
【0582】
(第14実施形態)
第14実施形態によるバルブ装置を
図61~77に示す。
【0583】
本実施形態は、ハウジング20、バルブ30、パイプ部材50、駆動部カバー80等の形状等が第1実施形態と異なる。
【0584】
図61に示すように、本実施形態のバルブ装置10は、駆動部カバー80がハウジング本体21に対し鉛直方向下側となり、取付面201がエンジン2に対向するよう狭小空間A1に設けられる。
【0585】
図65に示すように、取付面201に垂直な方向から見て略三角形形状の締結部231の2つの辺(h11、h12)のうち一方の辺h11の基部は、ハウジング本体21の長手方向で見て、入口ポート220と重なる位置に形成されている。また、締結部232の2つの辺(h21、h22)のうち一方の辺h21の基部は、ハウジング本体21の長手方向で見て、入口ポート220と重なる位置に形成されている。
【0586】
すなわち、入口ポート220に最も近い2つの締結穴(241、242)の締結部(231、232)の開始位置の一方は、ハウジング本体21の長手方向で見て、入口ポート220と重なる位置に形成されている。
【0587】
そのため、ハウジング本体21をエンジン2に安定して固定できる。
【0588】
締結部233の2つの辺(h31、h32)のうち一方の辺h32の基部は、ハウジング本体21の長手方向で見て、入口ポート220と重ならない位置に形成されている。
【0589】
すなわち、入口ポート220から最も遠い締結穴(243)の締結部(233)の開始位置の一方は、ハウジング本体21の長手方向で見て、入口ポート220と重ならない位置に形成されている。
【0590】
図65に示すように、締結部231の2つの辺(h11、h12)に沿う直線である辺直線Lth11、Lth12で囲まれた領域R1内に、他の2つの締結部(232、233)の締結穴(242、243)が存在している。
【0591】
図65に示すように、締結部231の辺h11に沿う直線である辺直線Lth11、締結部232の辺h21に沿う直線である辺直線Lth21、締結部233の辺h32に沿う直線である辺直線Lth32は、入口ポート220と交わる。
【0592】
すなわち、締結穴241~243のそれぞれにおいて、締結部231~233の辺h11、辺h21、辺h32を延長すると、入口ポート220と交わる。
【0593】
図65に示すように、入口ポート220から最も離れた締結穴(243)の締結部233の入口ポート220側の辺h32は、他の辺(h11、h12、h21、h22、h31)と比べ、ハウジング本体21の長手方向に対する傾斜角が最も小さい。
【0594】
図65に示すように、位置決め部205は、締結部231の辺h12の延長線上に形成されている。また、位置決め部206は、締結部232の辺h22の延長線上に形成されている。
【0595】
すなわち、他部材と係合することでハウジング本体21の位置決めが可能な位置決め部(205、206)は、締結部(231、232)の辺(h12、h22)の延長線上に形成されている。
【0596】
<2-12>
図79~82に示すように、保持部材73は、スナップフィット部731を1つ有している。
図79、80に示すように、保持部材73は、スナップフィット部731がウォームギア712の径方向外側に位置するよう形成されている。
【0597】
そのため、モータ本体710の両側にスナップフィット部731が2つずつ形成される第1実施形態の保持部材73(
図87~89参照)と比べ、モータ71の軸Axm1に垂直な方向、すなわち、取付面201に対し垂直な方向Dv1における保持部材73の体格を小さくすることができる。そのため、取付面201に対し垂直な方向Dv1における駆動部カバー80およびバルブ装置10の体格を小さくできる。
【0598】
また、モータ本体710の両側にスナップフィット部731が2つずつ形成される第1実施形態(
図87参照)と比べ、モータ71を取付面201、すなわち、エンジン2に近付けることができるため、モータ71にかかる振動が小さくなり、断線に対するロバスト性を向上できる。
【0599】
図61~65に示すように、パイプ部材50のパイプ部512は、駆動部カバー80に向かって傾斜しながら延びるよう形成されている。
【0600】
<2-13>
図67に示すように、保持部材73は、スナップフィット部731が回転軸Axr1に対しパイプ部材50側に位置するよう形成されている。
【0601】
そのため、取付面201に対し垂直な方向Dv1における駆動部カバー80の体格を小さくでき、駆動部カバー80がパイプ部材50の特にパイプ部512に干渉するのを抑制できる。
【0602】
他の実施形態では、スナップフィット部731は、第3ギア723とモータ側端子713との間に位置するよう形成されていてもよい(
図80、83参照)。
【0603】
この場合でも、モータ本体710の両側にスナップフィット部731が2つずつ形成される第1実施形態の保持部材73(
図87~89参照)と比べ、モータ71の軸Axm1に垂直な方向、すなわち、取付面201に対し垂直な方向Dv1における保持部材73の体格を小さくすることができる。
【0604】
図90~102に、本実施形態のバルブ30およびその一部を示す。
【0605】
本実施形態のバルブ30は、弁体31の形状等が第1、3実施形態のバルブ30と類似する。本実施形態のバルブ30は、ボールバルブ41、筒状接続部44、ボールバルブ42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43の並び方向が第3実施形態と異なり、第1実施形態と同様である。すなわち、本実施形態のバルブ30は、回転軸Axr1方向の駆動部70とは反対側から駆動部70側に向かって、ボールバルブ41、筒状接続部44、ボールバルブ42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43の順で並ぶようにして形成されている。ボールバルブ41、42、43は、それぞれ、出口ポート221、222、223を開閉可能に設けられている(
図67参照)。
【0606】
図93、94等に示すように、ボールバルブ41の弁体開口部410は、大開口部412、延伸開口部413を有している。大開口部412は、第1分割体33の周方向の一端から他端側へ向かって延びるよう形成されている。延伸開口部413は、大開口部412の他端から第1分割体33の周方向の他端近傍まで延びるよう形成されている。延伸開口部413の回転軸Axr1方向の大きさは、大開口部412の回転軸Axr1方向の大きさより小さい。弁体開口部410の開口面積は、大開口部412の開口面積と延伸開口部413の開口面積とを合わせた面積である。
【0607】
弁体開口部410が延伸開口部413を有していることにより、出口ポート221の開弁初期において、ラジエータ5への冷却水の流量を徐々に大きくすることができる。これにより、ラジエータ5の熱交換による冷却水の急激な温度変化を抑制することができる。
【0608】
本実施形態では、弁体開口部410のみ、延伸開口部413を有している。これに対し、他の実施形態では、弁体開口部420、430にも延伸開口部413と同様の開口部を設けてもよい。この場合、ヒータ6、デバイス7の熱交換による冷却水の急激な温度変化を抑制することができる。
【0609】
<3-29>
第1ボールバルブとしてのボールバルブ41の弁体開口部410の大きさは、第2ボールバルブとしてのボールバルブ42の弁体開口部420の大きさ、および、第3ボールバルブとしてのボールバルブ43の弁体開口部430の大きさより大きい。
【0610】
すなわち、2つのボールバルブが連続するよう形成されたボールバルブ42、43の弁体開口部420、430は小さく、1つのボールバルブとして形成されたボールバルブ41の弁体開口部410は最も大きい。
【0611】
ボールバルブ42、43とボールバルブ41との間のバルブ間空間400には、入口ポート220からの冷却水が流入する。その後、冷却水は、ボールバルブ42、43側とボールバルブ41側とに分配される。ここで、ボールバルブ42、43側とボールバルブ41側とで必要とされる冷却水の量が偏ると、冷却水の分配が適切にできないため、最も開口の大きい弁体開口部410が形成されたボールバルブ41は、必要とされる冷却水が多いため、他の開口の小さい弁体開口部420、430が形成されたボールバルブ42、43とは連続させていない。つまり、ボールバルブを2連とすると、2つのボールバルブの開口分の冷却水が必要となるため、極力、開口の小さいボールバルブ(42、43)同士を連続させたものである。
【0612】
<4-4>
図62に示すように、ハウジング20は、ハウジング本体21の外壁から突出するようハウジング本体21とは異なる部位として形成されたハウジング側カバー固定部(291~296)を有する。
【0613】
駆動部カバー80は、駆動部空間800を形成するカバー本体81、および、カバー本体81の外壁から突出するようカバー本体81とは異なる部位として形成されハウジング側カバー固定部(291~296)に固定されるカバー固定部(821~826)を有する。
【0614】
カバー固定部(821~826)は、ハウジング本体21の取付面201に平行な方向Dp1の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。本実施形態では、カバー固定部(821~826)は、ハウジング本体21の取付面201に平行な方向Dp1の両端部(215、216)より外側へ突出しないよう形成されている。ここで、ハウジング本体21の取付面201に平行な方向Dp1の両端部であるハウジング端部215、216は、ハウジング側カバー固定部291~296とは異なる部位としてハウジング本体21に形成されている。
【0615】
そのため、駆動部カバー80の取付面201に平行な方向Dp1の体格を小さくでき、バルブ装置10の取付面201に平行な方向Dp1の体格を小さくできる。これにより、バルブ装置10を車両1の狭小空間A1に搭載できる。
【0616】
本実施形態では、取付面201に平行な方向Dp1は、鉛直方向に対し垂直な方向、すなわち、水平方向に平行な方向である。また、取付面201に平行な方向Dp1は、取付面201に対し垂直な方向Dv1に対し垂直である。
【0617】
<4-5>
図62に示すように、ハウジング本体21がエンジン2に取り付けられた状態において、カバー固定部821~826は、ハウジング本体21の取付面201に平行な方向Dp1かつ水平方向の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている。本実施形態では、カバー固定部821~826は、ハウジング本体21の取付面201に平行な方向Dp1かつ水平方向の両端部(215、216)より外側へ突出しないよう形成されている。つまり、カバー固定部821~826は、ハウジング端部215、216よりも、ハウジング本体21の最薄方向である取付面201に平行な方向Dp1に関して突出しないよう形成されている。
【0618】
そのため、駆動部カバー80の取付面201に平行な方向Dp1かつ水平方向の体格を小さくでき、バルブ装置10の取付面201に平行な方向Dp1かつ水平方向の体格を小さくできる。これにより、取付面201に平行な方向Dp1かつ水平方向に狭い狭小空間A1にバルブ装置10を搭載できる。
【0619】
本実施形態では、オルタネータ12とインテークマニホールド11との間の狭小空間A1(
図2、62参照)にバルブ装置10が設けられるため、バルブ装置10の取付面201に平行な方向Dp1の体格を小さくすることで、バルブ装置10をオルタネータ12とインテークマニホールド11とに干渉することなく狭小空間A1に設けることができる。
【0620】
<7-1>ハウジング側カバー固定部
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とパイプ部材50と隔壁部60と駆動部カバー80と駆動部70と固定部材830とを備える。
【0621】
図61、62、64~68、73~78に示すように、ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223、224)、ハウジング本体21の外壁から突出するようハウジング本体21とは異なる部位として形成されたハウジング側カバー固定部291~296、および、ハウジング側カバー固定部291~296に形成されたハウジング側カバー締結穴290を有する。
【0622】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体31の回転位置によりポート(221、222、223)を開閉可能である。
【0623】
パイプ部材50は、内側の空間がポート(221、222、223、224)に連通する筒状のパイプ部(511、512、513、514)を有し、ハウジング本体21に取り付けられている。
【0624】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるよう設けられ、シャフト32の一端を挿通可能なよう形成されたシャフト挿通穴62を有する。
【0625】
駆動部カバー80は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、隔壁部60との間に駆動部空間800を形成するカバー本体81、カバー本体81の外壁から突出するようカバー本体81とは異なる部位として形成されたカバー固定部821~826、および、カバー固定部821~826に形成されたカバー締結穴831~836を有する。
【0626】
駆動部70は、駆動部空間800に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0627】
固定部材830は、カバー締結穴831~836を通りハウジング側カバー締結穴290に螺合することでカバー固定部821~826とハウジング側カバー固定部291~296とを固定する。
【0628】
ハウジング側カバー固定部291~296は、ハウジング本体21の外壁から突出するカバー固定基部298、および、カバー固定基部298からカバー固定部821~826側へ突出しカバー固定部821~826に固定されるカバー固定突出部299を有している。
【0629】
図64等に示すように、パイプ部材50の少なくとも一部は、カバー固定基部298に対しカバー固定突出部299とは反対側に位置している。
【0630】
このように、カバー固定突出部299がカバー固定基部298からパイプ部材50とは反対側へ突出するよう形成されているため、ハウジング側カバー固定部291~296とパイプ部材50との干渉を抑制でき、パイプ部材50の搭載自由度を向上できる。また、バルブ装置10の回転軸Axr1方向の体格を小さくできる。したがって、車両1の狭小空間A1にバルブ装置10を容易に搭載することができる。
【0631】
なお、本実施形態では、パイプ部材50の少なくとも一部は、ハウジング側カバー固定部291~293のカバー固定基部298に対しカバー固定突出部299とは反対側に位置している(
図64等参照)。
【0632】
<7-2>
図73等に示すように、カバー固定突出部299は、カバー本体81の外壁との間に隙間としてのカバー間隙間Sc1を形成している。
【0633】
そのため、駆動部カバー80を固定部材830によりハウジング20に締結したとき、ハウジング側カバー固定部291~296のカバー固定突出部299に割れが生じても、この割れがハウジング本体21にまで及ぶことを抑制できる。これにより、ハウジング20への駆動部カバー80の締結によって生じ得る冷却水の漏れを効果的に抑制できる。
【0634】
<7-3>
図73に示すように、ハウジング側カバー締結穴290の軸方向の長さL4は、ハウジング側カバー締結穴290の軸方向におけるカバー固定基部298の長さL1とカバー固定突出部299の長さL2とを合わせた長さL3より短い。すなわち、L4<L3=L1+L2である。
【0635】
そのため、ハウジング側カバー固定部291~296の強度を確保できる。
【0636】
<7-4>
図73に示すように、ハウジング側カバー締結穴290の内側における固定部材830の軸方向の長さL5は、ハウジング側カバー締結穴290の軸方向の長さL4より短い。すなわち、L5<L4である。
【0637】
そのため、ハウジング側カバー締結穴290への固定部材830の螺合時にハウジング側カバー固定部291~296が割れるのを抑制できる。また、固定部材830の先端がカバー固定基部298に対しカバー固定突出部299とは反対側へ飛び出すことがないため、固定部材830の先端がパイプ部材50に干渉するのを抑制できる。
【0638】
<7-5>
図73に示すように、固定部材830は、ハウジング側カバー締結穴290に対しねじ立てしながら螺合可能なタッピングスクリューである。
【0639】
そのため、ねじ溝を有する金属部材等をハウジング側カバー固定部291~296にインサート成型する必要がない。また、ハウジング側カバー固定部291~296のカバー固定突出部299とカバー本体81の外壁との間にはカバー間隙間Sc1が形成されているため、ハウジング側カバー締結穴290への固定部材830の螺合時にハウジング側カバー固定部291~296が割れたとしても、この割れがハウジング本体21に及ぶのを抑制できる。
【0640】
なお、ハウジング側カバー締結穴290の内側における固定部材830の軸方向の長さL5は、固定部材830のタッピング必要掛け長さに対応する。
【0641】
図64に示すように、パイプ部512は、駆動部カバー80側へ延びるよう形成されている。パイプ部512は、ハウジング本体21の短手方向の両側のうち締結部が1つ(231)設けられている側へ延びるよう形成されている。パイプ部512は、ハウジング本体21の取付面201に対し平行な方向Dp1の両端部(215、216)のうち回転軸Axr1から遠い方の端部、すなわち、ハウジング本体21のうち内部空間200を形成する部分の外壁よりも方向Dp1へ突出する端部であるハウジング端部215側へ延びるよう形成されている。
【0642】
パイプ部512は、ハウジング本体21において直線上に並ぶ出口ポート221、222、223のうち真ん中のポートである出口ポート222から延びるよう形成されている。パイプ部512は、ハウジング本体21の長手方向の中心に対し駆動部カバー80寄りのポートである出口ポート222から延びるよう形成されている。
【0643】
パイプ部512の先端部は、ハウジング突出部219よりもハウジング本体21の反対側に位置している。パイプ部512の先端部側は、ハウジング側カバー固定部293のカバー固定基部298に対しカバー固定突出部299とは反対側に位置している。
【0644】
図62に示すように、ハウジング側カバー固定部291~293は、回転軸Axr1を含み取付面201に対し平行な仮想平面Vp6に対しパイプ部材50側に形成されている。ハウジング側カバー固定部294~296は、仮想平面Vp6に対し取付面201側に形成されている。
【0645】
ハウジング側カバー固定部291、296は、回転軸Axr1を含み取付面201に垂直な仮想平面Vp7に対しパイプ部516の先端部が位置する側に形成されている。ハウジング側カバー固定部292~295は、仮想平面Vp7に対しパイプ部512の先端部が位置する側に形成されている。
【0646】
カバー間隙間Sc1は、上述のように形成されたハウジング側カバー固定部291~296のカバー固定突出部299とカバー本体81の外壁との間に形成されている。
【0647】
<8-1>異物堆積部
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と隔壁部60と駆動部70とを備える。
【0648】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するハウジング開口部210を有する。
【0649】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体31の回転位置によりポート(221、222、223)を開閉可能である。
【0650】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるようハウジング開口部210に設けられた隔壁部本体61、および、シャフト32の一端を挿通可能なよう隔壁部本体61に形成されたシャフト挿通穴62を有する。
【0651】
駆動部70は、隔壁部60に対し内部空間200とは反対側に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0652】
図69に示すように、バルブ30は、弁体31に形成された被規制部としての第1規制凸部332、第2規制凸部342を有している。
【0653】
図69、103、104に示すように、隔壁部60は、シャフト挿通穴62の径方向外側において隔壁部本体61の内部空間200側の面から駆動部70側へ凹む環状の規制凹部63、規制凹部63の周方向の一部に形成され第1規制凸部332、第2規制凸部342に当接することで弁体31の回転を規制可能な規制部631、および、規制凹部63の底面630から駆動部70側へ凹む異物堆積部68を有している。
【0654】
そのため、規制凹部63内に存在する異物や規制凹部63の底面630に溜まった異物を異物堆積部68に堆積させることができる。これにより、被規制部としての第1規制凸部332、第2規制凸部342、および、規制部631から異物を遠ざけ、第1規制凸部332、第2規制凸部342と規制部631との間に異物が挟まるのを抑制することができる。したがって、規制部631への異物の堆積による弁体31の駆動精度の悪化を抑制することができる。また、規制部631への異物の堆積による回転角センサ86のセンサ精度の悪化を抑制することができる。
【0655】
<8-2>
図103、104に示すように、規制凹部63は、径方向内側に形成された筒状の壁面である内筒壁面632、および、径方向外側に形成された筒状の壁面である外筒壁面633を有している。
【0656】
そのため、規制凹部63内の異物がシャフト挿通穴62へ侵入するのを抑制できる。これにより、軸シール部材603によるシール性を確保できる。
【0657】
<8-3>
図103、104に示すように、異物堆積部68は、規制凹部63の底面630の少なくとも一部に対し外筒壁面633側に形成されている。
【0658】
そのため、規制凹部63の底面630上の異物を規制凹部63の径方向外側の異物堆積部68に導き、異物をシャフト挿通穴62から遠ざけることができる。これにより、軸シール部材603によるシール性を確保できる。
【0659】
<8-5>
図69に示すように、内筒壁面632は、被規制部としての第1規制凸部332、第2規制凸部342と摺動することで弁体31の回転を案内可能である。
【0660】
そのため、弁体31の回転を安定させることができる。また、異物堆積部68に異物を堆積させることにより、内筒壁面632と第1規制凸部332、第2規制凸部342との間に異物が挟まるのを抑制し、内筒壁面632と第1規制凸部332、第2規制凸部342との摺動性が悪化するのを抑制できる。
【0661】
<8-6>
図103、104に示すように、規制部631は、内筒壁面632から外筒壁面633まで延びるよう形成されている。
【0662】
そのため、規制部631の強度を確保できる。
【0663】
<8-7>
図103、104に示すように、規制凹部63の径方向における規制部631の長さL11は、規制凹部63の径方向における異物堆積部68の長さL12より大きい。
【0664】
そのため、規制部631の強度を確保できる。
【0665】
<8-12>
図104に示すように、異物堆積部68は、シャフト挿通穴62の軸に垂直な断面においてC字状に形成されている。
【0666】
そのため、異物堆積部68の周方向の端部間に隔壁貫通穴65を形成できる。
【0667】
<8-13>
図103、104に示すように、隔壁部60は、シャフト挿通穴62から外側へ延びて隔壁部本体61の外壁に開口する隔壁貫通穴65を有している。隔壁貫通穴65は、異物堆積部68の周方向の端部間に形成されている。
【0668】
そのため、スペースを有効活用でき、隔壁部本体61を小型化できる。
【0669】
<8-14>
図104に示すように、規制凹部63の底面630は、異物堆積部68の周方向の端部間において、径方向外側へ向かうに従い周方向の長さL21が大きくなるよう形成されている。
【0670】
そのため、異物堆積部68の周方向の端部間において、隔壁部本体61の外筒壁面633側の部分の強度を確保できる。
【0671】
<8-15>
図103、104に示すように、規制部631は、規制凹部63の底面630上を径方向外側へ向かって延びるよう形成されている。
【0672】
<8-16>
図104に示すように、規制部631は、規制凹部63の径方向外側へ向かうに従い周方向の長さL22が大きくなるよう形成されている。
【0673】
そのため、規制部631の外筒壁面633側の部分の強度を確保できる。
【0674】
<8-17>
図67、103に示すように、ハウジング20がエンジン2に取り付けられた状態において、異物堆積部68は、弁体31の下側に位置する。
【0675】
より具体的には、異物堆積部68は、弁体31に対し鉛直方向下側に位置する。
【0676】
そのため、異物堆積部68は、規制凹部63の底面630に対し下側に位置することになる。これにより、規制凹部63内の異物を異物堆積部68に効果的に導くことができる。
【0677】
隔壁部本体61は、ハウジング本体21と同様、例えば「PPS-GF50」により形成されている。
【0678】
そのため、隔壁部本体61の耐熱性、耐吸水性、強度、寸法精度を向上できる。
【0679】
<9-1>シャフト軸受部流路
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とシャフト軸受部90とを備えている。
【0680】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有する。
【0681】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有し、弁体31の回転位置によりポート(221、222、223)を開閉可能である。
【0682】
図105~107に示すように、シャフト軸受部90は、内部空間200を形成するハウジング本体21の内壁のうちシャフト32の端部に対向する内壁である対向内壁213から筒状に延び内側でシャフト32の端部を軸受け可能な軸受部本体91、および、軸受部本体91の内周壁と外周壁とを接続するよう形成された軸受部流路92を有する。
【0683】
そのため、軸受部本体91の内側に空気が溜まったとしても、軸受部流路92を経由して当該空気を軸受部本体91の外側へ排出することができる。これにより、シャフト32の端部とシャフト軸受部90とが乾燥した状態で摺動するのを抑制することができる。したがって、シャフト32の端部またはシャフト軸受部90が摩耗するのを抑制することができる。
【0684】
<9-2>
図107に示すように、軸受部流路92は、軸受部本体91の対向内壁213側の部位から対向内壁213とは反対側の端部まで延びるよう形成されている。
【0685】
そのため、軸受部本体91の内側に空気が溜まったとしても、軸受部流路92を経由して当該空気を軸受部本体91の外側へ速やかに排出することができる。
【0686】
<9-3>
図105、106に示すように、弁体31は、内側にシャフト32の端部および軸受部本体91が位置するよう形成された弁体端部穴部314を有している。
【0687】
そのため、弁体端部穴部314の内側に軸受部本体91を配置することにより、ハウジング本体21の回転軸Axr1方向の体格を小さくできる。これにより、バルブ装置10を小型化できる。
【0688】
<9-4>
図105、106に示すように、シャフト軸受部90は、軸受部本体91の内側に設けられ内側でシャフト32の端部を軸受け可能な筒状の内側軸受部93を有している。
【0689】
そのため、軸受部本体91の摩耗を抑制できる。
【0690】
<9-5>
図105、106に示すように、弁体31は、内側にシャフト32の端部および軸受部本体91が位置するよう形成された弁体端部穴部314を有している。シャフト軸受部90は、軸受部本体91の内側に設けられ内側でシャフト32の端部を軸受け可能な筒状の内側軸受部93を有している。弁体端部穴部314の内径と軸受部本体91の外径との差は、軸受部本体91の内径とシャフト32の端部の外径との差より小さい。
【0691】
つまり、弁体端部穴部314と軸受部本体91との間の筒状の隙間S1は、比較的小さく、冷却水を積極的に流通させる程度の大きさには形成されていない。
【0692】
<9-6>
図105、106に示すように、ハウジング20がエンジン2に取り付けられた状態において、シャフト軸受部90は、対向内壁213の下側に位置する。
【0693】
より具体的には、シャフト軸受部90は、対向内壁213に対し鉛直方向下側に位置する。
【0694】
そのため、シャフト軸受部90は内部空間200の鉛直方向上側に位置し、内部空間200内の冷却水中の空気は、軸受部本体91の内側に溜まりやすい。しかしながら、軸受部本体91の内側に空気が溜まったとしても、軸受部流路92を経由して当該空気を軸受部本体91の外側へ排出することができる。
【0695】
本実施形態では、軸受部本体91は、略円筒状に形成されている。軸受部流路92は、軸受部本体91の対向内壁213側の端部から対向内壁213とは反対側の端部まで延びるよう形成されている。軸受部流路92は、軸受部本体91の軸を挟むようにして軸受部本体91の周方向に等間隔で2つ形成されている(
図107参照)。
【0696】
図107に示すように、内側軸受部93には、軸受切欠き部931が形成されている。内側軸受部93は、例えばPPS等の樹脂により、略円筒状に形成されている。軸受切欠き部931は、内側軸受部93の内周壁と外周壁とを接続しつつ、内側軸受部93の一方の端部から他方の端部まで延びるよう形成されている。
【0697】
そのため、内側軸受部93の内側に空気が溜まったとしても、軸受切欠き部931を経由して当該空気を内側軸受部93の外側へ排出することができる。また、内側軸受部93に軸受切欠き部931が形成されていることにより、内側軸受部93をシャフト32の端部と軸受部本体91との間に容易に配置できる。
【0698】
軸受切欠き部931は、内側軸受部93の一方の端部から他方の端部まで、内側軸受部93の軸に対し傾斜しながら延びるよう形成されている。
【0699】
そのため、内側軸受部93の周方向の任意の部位において、軸方向の位置に関係なく、内側軸受部93の内周壁をシャフト32の端部の外周壁に当接させることができる。これにより、内側軸受部93に軸受切欠き部931を形成した構成において、シャフト32を安定して軸受けできる。
【0700】
図105、106に示すように、軸受部本体91は、出口ポート221の鉛直方向上側の端部の下側まで延びるよう形成されている。つまり、軸受部本体91の先端部は、出口ポート221の鉛直方向上側の端部よりも下側に位置している。
【0701】
そのため、軸受部本体91の内側の空気を、出口ポート221を経由してハウジング本体21の外部へ容易に排出できる。
【0702】
<10-1>非真円ハウジング内壁
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とを備えている。
【0703】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成する筒状のハウジング内壁211が形成されたハウジング本体21、ハウジング内壁211に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有する。
【0704】
図67、108に示すように、バルブ30は、内部空間200内においてハウジング内壁211の軸Axn1に沿う回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、弁体31の外周壁と内周壁とを接続するよう形成された弁体開口部(410、420、430)を有し、弁体31の回転位置によりポートを開閉可能である。本実施形態では、軸Axn1と回転軸Axr1とは一致する。
【0705】
図108、109に示すように、ハウジング内壁211は、軸Axn1からの距離Dna1が周方向で異なるよう形成されている。
【0706】
そのため、弁体31の回転軸Axr1に垂直な断面における弁体31の外周壁の形状が円形の場合、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1は、周方向で異なる。すなわち、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1は周方向で一定ではなく、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10は、周方向で大きな部分(隙間Sb01)と小さな部分(隙間Sb02)とが形成される(
図109参照)。これにより、内部空間200の冷却水中の異物が弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10に入り込んだ場合でも、弁体31が回転することにより異物は大きな隙間Sb01に移動し、当該隙間Sb01から異物を容易に排出することができる。したがって、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10に異物が留まり続けることによる弁体31の作動不良を抑制することができる。また、弁体31の駆動に関する負荷トルクの増大、および、圧損抵抗の増大を抑制することができる。
【0707】
<10-2>
図108、109に示すように、弁体31は、回転軸Axr1から外周壁までの距離Dga1が周方向で同じになるよう形成されている。つまり、弁体31の外周壁は、回転軸Axr1に垂直な断面において円形となるよう形成されている。
【0708】
そのため、上述のように、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1は、周方向で異なる。弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10は、周方向で大きな部分(隙間Sb01)と小さな部分(隙間Sb02)とが形成される。したがって、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10に異物が留まり続けることによる弁体31の作動不良を抑制することができる。
【0709】
<10-3>
図108に示すように、ハウジング内壁211は、軸Axn1に垂直な断面において非真円となるよう形成されている。
【0710】
そのため、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10は、周方向で大きな部分(隙間Sb01)と小さな部分(隙間Sb02)とが形成される。
【0711】
<10-4>
図108に示すように、ハウジング内壁211は、軸Axn1に垂直な断面において多角形となるよう形成されている。
【0712】
そのため、ハウジング内壁211の断面を円形に近付けハウジング本体21の径方向の体格を小さくしつつ、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10に周方向で大きな部分(隙間Sb01)と小さな部分(隙間Sb02)とを形成できる。
【0713】
なお、本実施形態では、ハウジング内壁211は、軸Axn1に垂直な断面において八角形となるよう形成されている。また、断面八角形のハウジング内壁211の各辺の接続部分である角部214は、滑らかな曲線状になっている(
図108、109参照)。
【0714】
そのため、ハウジング本体21の径方向の体格をより小さくすることができる。また、ハウジング内壁211の角部214に異物が留まるのを抑制できる。
【0715】
<10-5>
図67に示すように、「弁体31の外径が最も大きい部分を含み、かつ、ハウジング内壁211の軸Axn1に垂直な断面(例えば
図67においてPd1で示す面による断面)」において、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1は、周方向で異なる。
【0716】
そのため、異物の影響が大きい「弁体31の外径が最も大きい部分」において、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10から異物を排出できる。
【0717】
<10-6>
図67に示すように、「ハウジング内壁211のうちポート(220、221、222、223)が開口している部分以外の部分、および、弁体31のうち弁体開口部(410、420、430)が形成されている部分以外の部分を含み、かつ、ハウジング内壁211の軸Axn1に垂直な断面(例えば
図67においてPd2で示す面による断面)」において、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1は、周方向で異なる。
【0718】
そのため、異物の影響が大きい「弁体31の周方向の全域にわたり閉塞された隙間Sb10の部分」において、隙間Sb10から異物を排出できる。
【0719】
<10-7>
図68に示すように、ハウジング20は、ハウジング内壁211に開口し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するリリーフポート224を有している。
【0720】
本実施形態は、リリーフ弁39をさらに備える。リリーフ弁39は、リリーフポート224に設けられ、条件に応じてリリーフポート224を開閉する。
【0721】
冷却水の流れに沿って異物を除去できない状況では、内部空間200に異物が溜まり、リリーフ弁39が開いたときに、異物が挟まることでリリーフ弁39が開いたままの状態になるおそれがある。
【0722】
そこで、本実施形態では、ハウジング内壁211を、軸Axn1からの距離Dna1が周方向で異なるよう形成すること等により、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1を周方向で異なるようにし、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10から異物を容易に排出できるようにしている。これにより、リリーフ弁39に異物が挟まりリリーフ弁39が開いたままの状態になるのを抑制できる。
【0723】
<10-8>
図67に示すように、本実施形態は、バルブシール36をさらに備えている。バルブシール36は、環状に形成され、弁体31の外周壁と摺動可能なようポート(221、222、223)に対応する位置に設けられ、弁体31の外周壁との間を液密に保持可能である。
【0724】
「バルブシール36を含み、かつ、ハウジング内壁211の軸Axn1に垂直な断面(例えば
図67においてPd1で示す面による断面)」において、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との距離Dgn1は、周方向で異なる。
【0725】
そのため、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10におけるバルブシール36の周囲から異物を除去することができる。これにより、弁体31の外周壁とバルブシール36との間に異物が挟み込まれることによる弁体31の外周壁の損傷を抑制できる。
【0726】
<10-9>
図67に示すように、ハウジング20は、内周面がハウジング内壁211の軸Axn1方向の端部に接続し内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するハウジング開口部210を有している。
【0727】
バルブ30は、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有している。
【0728】
隔壁部60は、内部空間200とハウジング本体21の外部とを隔てるようハウジング開口部210に設けられた隔壁部本体61、および、シャフト32の一端を挿通可能なよう隔壁部本体61に形成されたシャフト挿通穴62を有する。
【0729】
駆動部70は、隔壁部本体61に対し内部空間200とは反対側に設けられ、シャフト32の一端を経由して弁体31を回転駆動可能である。
【0730】
環状シール部材600は、ハウジング開口部210と隔壁部本体61との間に設けられ、ハウジング開口部210と隔壁部本体61との間を液密に保持可能である。
【0731】
ハウジング開口部210の内周面は、円筒状に形成されている。
【0732】
このように、ハウジング内壁211を断面が非真円となるよう形成しつつ、ハウジング開口部210の内周面を円筒状に形成することにより、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10からの異物の除去を容易にしつつ、ハウジング開口部210と隔壁部本体61とのシール性を確保することができる。
【0733】
本実施形態では、弁体31は内周壁および外周壁が球面状のボールバルブ41、42、43を含む。これに対し、他の実施形態では、弁体31は、例えば円筒状に形成されていてもよい。この場合でも、ハウジング内壁211等を上述のように形成することにより、弁体31の外周壁とハウジング内壁211との間の隙間Sb10から異物を容易に除去することができる。
【0734】
<11-1>リリーフ弁遮蔽部
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30とリリーフ弁39と遮蔽部95とを備える。
【0735】
ハウジング20は、内側に内部空間200を形成するハウジング本体21、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続し冷却水が流入する入口ポート220、および、内部空間200とハウジング本体21の外部とを接続するリリーフポート224を有する。
【0736】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31、および、回転軸Axr1に設けられたシャフト32を有する。
【0737】
リリーフ弁39は、リリーフポート224に設けられ、条件に応じて開弁または閉弁し、リリーフポート224を経由した内部空間200とハウジング本体21の外部との連通を許容または遮断する。
【0738】
ここで、リリーフ弁39の開弁条件は、例えば「周囲の温度が所定の温度以上になったとき」である。リリーフ弁39は、例えば冷却水の温度が所定の温度以上となったとき、開弁し、リリーフポート224を経由した内部空間200とハウジング本体21の外部すなわちパイプ部515の内側の空間との連通を許容し、冷却水の温度が所定の温度より低くなったとき、上記連通を遮断する。これにより、車両1のオーバーヒート時等、冷却水の温度が過度に上昇した場合、冷却水を内部空間200から外部のラジエータ5へ流し、冷却水を冷却することができる。
【0739】
図112に示すように、遮蔽部95は、入口ポート220からリリーフ弁39が目視できないようリリーフ弁39を遮蔽可能である。より具体的には、リリーフ弁39は、入口ポート220の軸方向から見たとき、遮蔽部95によって遮蔽され、全体が目視不能である。
【0740】
そのため、入口ポート220から内部空間200に流入した冷却水がリリーフ弁39に直撃するのを抑制することができる。これにより、瞬間的に温度の高い冷却水が流入したとき、または、局所的に温度の高い冷却水が流入したときでも、リリーフ弁39がオーバーヒートと誤認し誤作動により開弁するのを抑制することができる。したがって、リリーフ弁39により、車両1のオーバーヒートを適切に抑制可能である。
【0741】
<11-2>
図112に示すように、遮蔽部95は、シャフト32に対しリリーフポート224側に位置するようハウジング本体21に設けられている。
【0742】
そのため、遮蔽部95をリリーフ弁39に近付けて配置でき、リリーフ弁39への冷却水の直撃をより効果的に抑制できる。
【0743】
<11-4>
図110、112に示すように、遮蔽部95は、入口ポート220の軸方向またはリリーフポート224の軸方向に入口ポート220、リリーフ弁39および遮蔽部95を投影したとき、入口ポート220の投影とリリーフ弁39の投影とが重なる部分B1(
図110において格子で示す部分)の面積以上の面積の投影となるよう形成されている。
【0744】
そのため、リリーフ弁39への冷却水の直撃を確実に防ぎつつ、必要以上に流路面積を絞らないことで通水性を確保できる。
【0745】
<11-5>
図112に示すように、遮蔽部95のバルブ30側の面951は、内部空間200を形成するハウジング本体21の内壁であるハウジング内壁211の形状にならう形状となるよう形成されている。
【0746】
そのため、遮蔽部95による内部空間200内の流体流れの乱れの発生を抑制できる。また、遮蔽部95への応力集中を防ぎ、ハウジング本体21の耐久性を高めることができる。
【0747】
<11-6>
図112に示すように、遮蔽部95は、板状に形成され、板厚が均一である。
【0748】
そのため、遮蔽部95への応力集中を防ぎ、ハウジング本体21の耐久性を高めることができる。
【0749】
本実施形態では、リリーフ弁39は、「周囲の温度が所定の温度以上になったとき」開弁する。これに対し、他の実施形態では、リリーフ弁39は、「圧力が所定の圧力以上になったとき」開弁することとしてもよい。あるいは、リリーフ弁39は、「周囲の温度が所定の温度以上になったとき」、かつ、「圧力が所定の圧力以上になったとき」開弁することとしてもよい。この場合でも、遮蔽部95によりリリーフ弁39への冷却水の直撃を抑制することで、リリーフ弁39の誤作動を抑制できる。
【0750】
(第15実施形態)
第15実施形態によるバルブ装置について
図113、114に基づき説明する。第15実施形態は、弁体31の構成等が第14実施形態と異なる。
【0751】
本実施形態では、弁体31の周方向における弁体開口部410、420、430の形成位置および大きさが第14実施形態と異なる。
【0752】
本実施形態では、ボールバルブ41、筒状接続部44、ボールバルブ42、筒状バルブ接続部45、ボールバルブ43の並び方向および形状等は、第14実施形態と同様である(
図90~102等参照)。また、本実施形態では、弁体開口部410は、第14実施形態と同様、大開口部412および延伸開口部413を有している(
図93、94等参照)。
【0753】
<12-1>フローダイアグラム
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と駆動部70と制御部としてのECU8とを備える。
【0754】
ハウジング20は、内部空間200、内部空間200に接続し車両1のラジエータ5に接続されるラジエータポートとしての出口ポート221、内部空間200に接続し車両1のヒータ6に接続されるヒータポートとしての出口ポート222、および、内部空間200に接続し車両1のデバイス7に接続されるデバイスポートとしての出口ポート223を有する。以下、簡単のため、適宜、出口ポート221、222、223を、それぞれ、ラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223と読み替える。
【0755】
バルブ30は、内部空間200内において回転軸Axr1周りに回転可能な弁体31を有し、弁体31の回転位置によりラジエータポート221、ヒータポート222またはデバイスポート223を開閉可能である。
【0756】
駆動部70は、弁体31を回転駆動可能である。
【0757】
ECU8は、駆動部70の作動を制御し弁体31の回転駆動を制御することで、ラジエータポート221とラジエータ5との間、ヒータポート222とヒータ6との間、および、デバイスポート223とデバイス7との間の冷却水の流れを制御可能である。
【0758】
図113、114に示すように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が0より大きい所定開度になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223が閉じ、ラジエータポート221のみ開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0759】
そのため、エンジン2の冷却効率を高めることが可能な程度の開度に前記所定開度を設定し、ラジエータポート221のみ開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、エンジン2の高負荷時の冷却効率の最大化を図ることができる。
【0760】
<12-2>
図113、114に示すように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223がヒータポート222、デバイスポート223の順で閉じるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0761】
そのため、ヒータ6からの熱交換を即座に遮断し、エンジン2の冷却効率を高めることができる。
【0762】
<12-9>
前記所定開度は、60%以上に設定されている。
【0763】
そのため、ラジエータポート221のみ開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、エンジン2の高負荷時の冷却効率の最大化を適切に図ることができる。
【0764】
なお、本実施形態では、エンジン2の冷却効率を最大限に高めるため、前記所定開度は100%に設定されている。
【0765】
そのため、ラジエータポート221のみ開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、エンジン2の高負荷時の冷却効率を最大限に高めることができる。
【0766】
<12-10>
弁体31は、外周壁および内周壁が球面状に形成されている(
図67等参照)。
【0767】
バルブ30は、弁体31の内周壁の内側に形成された弁体内流路300、弁体31の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され弁体31の回転位置によりラジエータポート221との重合割合であるラジエータ重合割合が変化するラジエータ用開口部としての弁体開口部410、弁体31の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され弁体31の回転位置によりヒータポート222との重合割合であるヒータ重合割合が変化するヒータ用開口部としての弁体開口部420、および、弁体31の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され弁体31の回転位置によりデバイスポート223との重合割合であるデバイス重合割合が変化するデバイス用開口部としての弁体開口部430を有している。以下、簡単のため、適宜、弁体開口部410、420、430を、それぞれ、ラジエータ用開口部410、ヒータ用開口部420、デバイス用開口部430と読み替える。
【0768】
このように、本実施形態は、外周壁および内周壁が球面状の弁体31であるロータリーバルブにより実現可能である。
【0769】
ここで、ラジエータ重合割合は、より詳細には、ラジエータポート221に設けられたシールユニット35のバルブシール36のシール開口部360とラジエータ用開口部410との重なり面積の最大値に対するシール開口部360とラジエータ用開口部410との重なり面積の割合であり、ラジエータポート221の開度に対応している。
【0770】
ヒータ重合割合は、より詳細には、ヒータポート222に設けられたシールユニット35のバルブシール36のシール開口部360とヒータ用開口部420との重なり面積の最大値に対するシール開口部360とヒータ用開口部420との重なり面積の割合であり、ヒータポート222の開度に対応している。
【0771】
デバイス重合割合は、より詳細には、デバイスポート223に設けられたシールユニット35のバルブシール36のシール開口部360とデバイス用開口部430との重なり面積の最大値に対するシール開口部360とデバイス用開口部430との重なり面積の割合であり、デバイスポート223の開度に対応している。
【0772】
<12-11>
ラジエータ重合割合が0より大きいとき、ラジエータポート221が開き、ラジエータ用開口部410およびラジエータポート221を経由して弁体内流路300とラジエータ5とが連通する。これにより、このとき、弁体内流路300からラジエータ5側へ冷却水が流れる。
【0773】
ヒータ重合割合が0より大きいとき、ヒータポート222が開き、ヒータ用開口部420およびヒータポート222を経由して弁体内流路300とヒータ6とが連通する。これにより、このとき、弁体内流路300からヒータ6側へ冷却水が流れる。
【0774】
デバイス重合割合が0より大きいとき、デバイスポート223が開き、デバイス用開口部430およびデバイスポート223を経由して弁体内流路300とデバイス7とが連通する。これにより、このとき、弁体内流路300からデバイス7側へ冷却水が流れる。
【0775】
次に、本実施形態のバルブ装置10における冷却水のフローダイアグラムについて、
図113、114に基づき詳細に説明する。
【0776】
図113、114に示すように、弁体31の回転位置が基準位置である0(度)のとき(
図114における回転位置Pr0のとき)、すなわち、第1規制凸部332または第2規制凸部342の一方が規制部631に当接し弁体31の回転が規制されているとき、ラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223の開度は、いずれも、0%(全閉)である。以下、Pr0~13と記載した場合、
図114における回転位置Pr0~13を意味する。
【0777】
ECU8による駆動部70の制御によって、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動し、弁体31の回転位置が0から大きくなると、Pr2とPr3との間で、ヒータポート222の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、ヒータポート222の開度に応じた量の冷却水がヒータ6側に流れる。ヒータポート222の開度は、Pr3で100%(全開:前記所定開度)に達する。
【0778】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr4とPr5との間で、デバイスポート223の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、デバイスポート223の開度に応じた量の冷却水がデバイス7側に流れる。デバイスポート223の開度は、Pr5で100%(全開:前記所定開度)に達する。
【0779】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr2とPr3との間におけるヒータポート222の開度の増大割合は、Pr4とPr5との間におけるデバイスポート223の開度の増大割合と同じである(
図113、114参照)。
【0780】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr6とPr7との間で、ラジエータポート221の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、ラジエータポート221の開度に応じた量の冷却水がラジエータ5側に流れる。
【0781】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr7とPr8との間で、ラジエータポート221の開度が所定の割合でさらに増大する。ラジエータポート221の開度は、Pr8で100%(全開:前記所定開度)に達する。そのため、Pr8において、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度すなわち100%になる。
【0782】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr6とPr7との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合は、Pr7とPr8との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合より小さい(
図113、114参照)。これは、ラジエータ用開口部410が延伸開口部413と大開口部412とから形成されていることによる(
図93、94等参照)。つまり、ラジエータポート221の開度の増大割合は、延伸開口部413とシール開口部360とが重なるとき小さく、大開口部412とシール開口部360とが重なるとき大きくなる。
【0783】
そのため、ラジエータポート221の開弁初期において、ラジエータ5への冷却水の流量を徐々に大きくすることができる。これにより、ラジエータ5の熱交換による冷却水の急激な温度変化を抑制することができる。
【0784】
また、弁体31の単位回転角度当りのPr6とPr7との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合、および、Pr7とPr8との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合は、Pr2とPr3との間におけるヒータポート222の開度の増大割合、Pr4とPr5との間におけるデバイスポート223の開度の増大割合より小さい(
図113、114参照)。
【0785】
そのため、開弁初期におけるラジエータ5への冷却水の流量変化を、ヒータ6、デバイス7への冷却水の流量変化と比べ、緩やかにすることができる。これにより、ラジエータ5の熱交換による冷却水の急激な温度変化を抑制することができる。
【0786】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr9とPr10との間で、ヒータポート222の開度が100%から所定の割合で減少する。これにより、ヒータ6側に流れる冷却水の量がヒータポート222の開度に応じて減少する。ヒータポート222の開度は、Pr10で0%(全閉)になる。これにより、ヒータポート222が閉じ、ヒータ6側への冷却水の流れが遮断される。
【0787】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr11とPr12との間で、デバイスポート223の開度が100%から所定の割合で減少する。これにより、デバイス7側に流れる冷却水の量がデバイスポート223の開度に応じて減少する。デバイスポート223の開度は、Pr12で0%(全閉)になる。これにより、デバイスポート223が閉じ、デバイス7側への冷却水の流れが遮断される。
【0788】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr9とPr10との間におけるヒータポート222の開度の減少割合は、Pr11とPr12との間におけるデバイスポート223の開度の減少割合と同じである(
図113、114参照)。
【0789】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr13で、第1規制凸部332または第2規制凸部342の他方が規制部631に当接し、弁体31の回転駆動が停止する。このとき、ラジエータポート221の開度は、100%のままである。すなわち、このとき、ラジエータポート221のみ開度が100%(全開:前記所定開度)になっている。
【0790】
本実施形態では、上述のように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr8で前記所定開度(100%)になった後、Pr10、Pr12でヒータポート222およびデバイスポート223が閉じ、Pr13でラジエータポート221のみ開度が前記所定開度(100%)になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0791】
また、本実施形態では、上述のように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr8で前記所定開度(100%)になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223がヒータポート222、デバイスポート223の順(Pr10、Pr12)で閉じるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0792】
(第16実施形態)
第16実施形態によるバルブ装置を
図115に示す。第16実施形態は、締結部231~233の形状等が第14実施形態と異なる。
【0793】
<1-11>
締結部231は、締結穴241に垂直な面による断面における形状が直線状となる2つの外壁(234、235)を有し、当該2つの外壁(234、235)の成す角θ1が鈍角となるよう形成されている。
【0794】
締結部232は、締結穴242に垂直な面による断面における形状が直線状となる2つの外壁(236、237)を有し、当該2つの外壁(236、237)の成す角θ2が鈍角となるよう形成されている。
【0795】
締結部233は、締結穴243に垂直な面による断面における形状が直線状となる2つの外壁(238、239)を有し、当該2つの外壁(238、239)の成す角θ3が鈍角となるよう形成されている。
【0796】
そのため、締結部231~233の強度を向上でき、バルブ装置10の耐震性を向上できる。なお、バルブ装置10は、使用時、内部空間200に冷却水が流入するため、冷却水を含む装置の重量が比較的大きくなる。そのため、締結部231~233の強度を向上することにより、限られた搭載スペース(狭小空間A1)においてバルブ装置10を確実に固定できる。
【0797】
図115に示すように、弁体31の回転軸Axr1方向において、締結部231が形成されている範囲は、締結部232と締結部233が形成されている範囲と重複している。
【0798】
そのため、ハウジング本体21をエンジン2に安定して固定できる。
【0799】
弁体31の回転軸Axr1方向における締結部231、232、233の長さは、入口ポート220の直径より大きい。
【0800】
そのため、ハウジング本体21をエンジン2に安定して固定できる。
【0801】
弁体31の回転軸Axr1方向における締結部231の長さは、弁体31の回転軸Axr1方向における締結部232または締結部233の長さより大きい。
【0802】
そのため、3つの締結部のうち1つしかない側について、ハウジング本体21をエンジン2に固定したときのハウジング本体21の左右両方向(幅方向)のバランスを確保できる。
【0803】
弁体31の回転軸Axr1方向における締結部231の中心、および、弁体31の回転軸Axr1方向における締結部233の中心は、入口ポート220の中心より駆動部70側にある。
【0804】
そのため、駆動部70による振動を効果的に抑制できる。
【0805】
締結部233の外壁238の駆動部70側の端部は、外壁239の入口ポート220側の端部に対し回転軸Axr1とは反対側に位置している。
【0806】
そのため、駆動部70による振動を効果的に抑制できる。
【0807】
締結部232、233は、取付面201のうち取付面凹部207が形成された範囲の弁体31の回転軸Axr1方向の一端から他端にわたり形成されている。
【0808】
そのため、ハウジング本体21をエンジン2に安定して固定できる。
【0809】
(第17実施形態)
第17実施形態によるバルブ装置の一部を
図116に示す。第17実施形態は、バルブ30の構成等が第3実施形態と異なる。
【0810】
<3-30>
隔壁部60は、内部空間200とハウジング20の外部とを隔てる隔壁部本体61、シャフト32の一端を挿通可能なよう隔壁部本体61に形成されたシャフト挿通穴62、および、隔壁部本体61の内部空間200側の面から内部空間200とは反対側へ凹む規制凹部63を有する。
【0811】
弁体31は、第2分割体34の隔壁部60側の面である第1最外端面301から規制凹部63側へ延びて先端部が規制凹部63に位置する規制凸部344を有している。
【0812】
第3実施形態では、第1規制凸部332と第2規制凸部342とが当接するようにして規制凸部を形成する例を示した(
図23参照)。これに対し、本実施形態では、上述のように、規制凸部344は、第2分割体34から延びるよう1つ形成されている。
【0813】
本実施形態においても、規制部631により弁体31の回転を規制するとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れる(剥離する)方向の力が弁体31に作用するのを抑制できる。そのため、規制凸部344が規制凹部63の規制部631に当接したとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れるのを抑制できる。
【0814】
本実施形態では、規制凸部344は、「回転軸Axr1を含み接合面331、341に垂直な仮想平面Vp8」上に形成されている(
図116参照)。
【0815】
そのため、規制部631により弁体31の回転を規制するとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れる(剥離する)方向の力が弁体31に作用するのを確実に抑制できる。
【0816】
(第18実施形態)
第18実施形態によるバルブ装置の一部を
図117に示す。第18実施形態は、バルブ30の構成等が第3実施形態と異なる。
【0817】
<3-31>
第1規制凸部332は、接合面331の面方向に沿って規制凹部63側へ延びている。第2規制凸部342は、第1規制凸部332に当接することなく、接合面341の面方向に沿って規制凹部63側へ延びている。
【0818】
本実施形態においても、第3実施形態と同様、規制部631により弁体31の回転を規制するとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れる(剥離する)方向の力は作用しない。そのため、第1規制凸部332または第2規制凸部342が規制凹部63の規制部631に当接したとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れるのを抑制できる。
【0819】
本実施形態では、「回転軸Axr1を含み接合面331、341に垂直な仮想平面Vp8」で弁体31を2つの領域に分けたとき、第1規制凸部332および第2規制凸部342は、2つの領域の一方側に形成されている(
図117参照)。
【0820】
そのため、規制部631により弁体31の回転を規制するとき、第1分割体33と第2分割体34とが接合面331、341で離れる(剥離する)方向の力が弁体31に作用するのを確実に抑制できる。
【0821】
また、回転軸Axr1と第1規制凸部332との距離は、回転軸Axr1と第2規制凸部342との距離より小さい(
図117参照)。
【0822】
(第19実施形態)
第19実施形態によるバルブ装置の一部を
図118に示す。第19実施形態は、規制凹部63の形状が第14実施形態と異なる。
【0823】
<8-4>
図118に示すように、規制凹部63の底面630は、内筒壁面632側から外筒壁面633側へ向かうに従い駆動部70に近付くようテーパ状に形成されている。
【0824】
そのため、規制凹部63の底面630上の異物を規制凹部63の径方向外側の異物堆積部68に積極的に導き、異物をシャフト挿通穴62から遠ざけることができる。これにより、軸シール部材603によるシール性を効果的に確保できる。
【0825】
(第20実施形態)
第20実施形態によるバルブ装置の一部を
図119に示す。第20実施形態は、バルブ30、規制部631の構成等が第14実施形態と異なる。
【0826】
<8-8>
図119に示すように、バルブ30は、弁体31から駆動部70側へ筒状に延びる弁体筒部315を有している。弁体筒部315の先端部は、内筒壁面632の径方向外側に位置している。
【0827】
そのため、規制凹部63の異物がシャフト挿通穴62に侵入するのを抑制できる。これにより、軸シール部材603によるシール性を確保できる。
【0828】
<8-9>
バルブ30は、弁体筒部315に形成され内筒壁面632との間にラビリンス状の空間Sr1を形成可能なラビリンス形成部316を有している。
【0829】
そのため、規制凹部63の異物がシャフト挿通穴62に侵入するのを効果的に抑制できる。これにより、軸シール部材603によるシール性を効果的に確保できる。
【0830】
<8-10>
ラビリンス形成部316は、弁体筒部315の先端部から径方向内側へ向かって突出するよう環状に形成されている。
【0831】
そのため、簡単な構成で、規制凹部63の異物がシャフト挿通穴62に侵入するのを効果的に抑制できる。
【0832】
<8-11>
弁体筒部315は、規制凹部63の径方向において規制部631に対し内筒壁面632側に位置するよう形成されている。
【0833】
そのため、弁体31の回転時、弁体筒部315と規制部631とが干渉するのを抑制できる。
【0834】
(第21実施形態)
第21実施形態によるバルブ装置の一部を
図120、121に示す。第21実施形態は、遮蔽部95の配置等が第14実施形態と異なる。
【0835】
<11-3>
遮蔽部95は、シャフト32に対し入口ポート220側に位置するようハウジング本体21に設けられている。
【0836】
そのため、遮蔽部95をリリーフ弁39から適度に離して配置でき、リリーフ弁39への冷却水の直撃を抑制しつつ、リリーフ弁39の反応性を確保できる。
【0837】
<11-4>
本実施形態では、遮蔽部95は、入口ポート220の軸方向またはリリーフポート224の軸方向に入口ポート220、リリーフ弁39および遮蔽部95を投影したとき、入口ポート220の投影とリリーフ弁39の投影とが重なる部分B2の面積以上の面積の投影となるよう形成されている。
【0838】
そのため、リリーフ弁39への冷却水の直撃を確実に防ぎつつ、必要以上に流路面積を絞らないことで通水性を確保できる。
【0839】
<11-6>
図120、121に示すように、遮蔽部95は、板状に形成され、板厚が均一である。
【0840】
そのため、遮蔽部95への応力集中を防ぎ、ハウジング本体21の耐久性を高めることができる。
【0841】
(第22実施形態)
第22実施形態によるバルブ装置について
図122に基づき説明する。第22実施形態は、弁体31の構成、駆動部70および弁体31の制御の仕方等が第15実施形態と異なる。
【0842】
本実施形態では、弁体31の周方向における弁体開口部410、420、430の形成位置および大きさが第15実施形態と異なる。
【0843】
<12-3>
図122に示すように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223がデバイスポート223、ヒータポート222の順で閉じるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0844】
そのため、例えば冬季の暖房性能を保持したまま、エンジン2の冷却効率を高めることができる。
【0845】
次に、本実施形態のバルブ装置10における冷却水のフローダイアグラムについて、
図122に基づき詳細に説明する。
【0846】
図122に示すように、弁体31の回転位置が基準位置である0のとき(
図122における回転位置Pr0のとき)、すなわち、第1規制凸部332または第2規制凸部342の一方が規制部631に当接し弁体31の回転が規制されているとき、ラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223の開度は、いずれも、0%(全閉)である。以下、Pr0~13と記載した場合、
図122における回転位置Pr0~13を意味する。
【0847】
弁体31の回転に伴うラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223の開度の変化の仕方は、弁体31の回転位置がPr0~8までは、第15実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0848】
弁体31がPr8から回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr9とPr10との間で、デバイスポート223の開度が100%から所定の割合で減少する。これにより、デバイス7側に流れる冷却水の量がデバイスポート223の開度に応じて減少する。デバイスポート223の開度は、Pr10で0%(全閉)になる。これにより、デバイスポート223が閉じ、デバイス7側への冷却水の流れが遮断される。
【0849】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr11とPr12との間で、ヒータポート222の開度が100%から所定の割合で減少する。これにより、ヒータ6側に流れる冷却水の量がヒータポート222の開度に応じて減少する。ヒータポート222の開度は、Pr12で0%(全閉)になる。これにより、ヒータポート222が閉じ、ヒータ6側への冷却水の流れが遮断される。
【0850】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr9とPr10との間におけるデバイスポート223の開度の減少割合は、Pr11とPr12との間におけるヒータポート222の開度の減少割合と同じである。
【0851】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr13で、第1規制凸部332または第2規制凸部342の他方が規制部631に当接し、弁体31の回転駆動が停止する。このとき、ラジエータポート221の開度は、100%のままである。すなわち、このとき、ラジエータポート221のみ開度が100%(全開:前記所定開度)になっている。
【0852】
本実施形態では、上述のように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr8で前記所定開度(100%)になった後、Pr10、Pr12でデバイスポート223およびヒータポート222が閉じ、Pr13でラジエータポート221のみ開度が前記所定開度(100%)になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0853】
また、本実施形態では、上述のように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr8で前記所定開度(100%)になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223がデバイスポート223、ヒータポート222の順(Pr10、Pr12)で閉じるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0854】
(第23実施形態)
第23実施形態によるバルブ装置について
図123に基づき説明する。第23実施形態は、弁体31の構成、駆動部70および弁体31の制御の仕方等が第15実施形態と異なる。
【0855】
本実施形態では、弁体31の周方向における弁体開口部410、420、430の形成位置および大きさが第15実施形態と異なる。
【0856】
<12-4>
図123に示すように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223が同時に閉じるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0857】
そのため、エンジン2の高負荷時、ヒータ6、デバイス7からの熱交換を即座に遮断し、エンジン2の冷却速度および冷却効率を高めることができる。
【0858】
次に、本実施形態のバルブ装置10における冷却水のフローダイアグラムについて、
図123に基づき詳細に説明する。
【0859】
図123に示すように、弁体31の回転位置が基準位置である0のとき(
図123における回転位置Pr0のとき)、すなわち、第1規制凸部332または第2規制凸部342の一方が規制部631に当接し弁体31の回転が規制されているとき、ラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223の開度は、いずれも、0%(全閉)である。以下、Pr0~11と記載した場合、
図123における回転位置Pr0~11を意味する。
【0860】
弁体31の回転に伴うラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223の開度の変化の仕方は、弁体31の回転位置がPr0~8までは、第15実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0861】
弁体31がPr8から回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr9とPr10との間で、ヒータポート222の開度およびデバイスポート223の開度が100%から所定の割合で減少する。これにより、ヒータ6側およびデバイス7側に流れる冷却水の量がヒータポート222の開度およびデバイスポート223の開度に応じて減少する。ヒータポート222の開度およびデバイスポート223の開度は、Pr10で0%(全閉)になる。これにより、ヒータポート222およびデバイスポート223が閉じ、ヒータ6側およびデバイス7側への冷却水の流れが遮断される。
【0862】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr9とPr10との間におけるヒータポート222の開度の減少割合は、Pr9とPr10との間におけるデバイスポート223の開度の減少割合と同じである。
【0863】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr11で、第1規制凸部332または第2規制凸部342の他方が規制部631に当接し、弁体31の回転駆動が停止する。このとき、ラジエータポート221の開度は、100%のままである。すなわち、このとき、ラジエータポート221のみ開度が100%(全開:前記所定開度)になっている。
【0864】
本実施形態では、上述のように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr8で前記所定開度(100%)になった後、Pr10でヒータポート222およびデバイスポート223が閉じ、Pr11でラジエータポート221のみ開度が前記所定開度(100%)になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0865】
また、本実施形態では、上述のように、ECU8は、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr8で前記所定開度(100%)になった後、ヒータポート222およびデバイスポート223が同時(Pr10)に閉じるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0866】
(第24実施形態)
第24実施形態によるバルブ装置について
図124、125に基づき説明する。第24実施形態は、弁体31の構成、駆動部70および弁体31の制御の仕方等が第15実施形態と異なる。
【0867】
本実施形態では、弁体31の周方向における弁体開口部410、420、430の形成位置および大きさが第15実施形態と異なる。
【0868】
<12-5>フローダイアグラム
本実施形態は、車両1のエンジン2の冷却水を制御可能なバルブ装置10であって、ハウジング20とバルブ30と駆動部70と制御部としてのECU8とを備える。
【0869】
図124、125に示すように、ECU8は、例えば環境温度が所定の温度以下のときである冬季、弁体31を回転方向の基準位置である0(度)に対し一方側において回転させる通常モードで弁体31を回転駆動し、例えば環境温度が所定の温度より高いときである夏季、弁体31を回転方向の基準位置に対し他方側において回転させる冷却優先モードで弁体31を回転駆動する。なお、他の実施形態では、ECU8は、例えばエアコンがオフのとき通常モード、エアコンがオンのとき冷却優先モードで弁体31を回転駆動する等、車両状態としてのエアコンの作動状態に応じて、通常モードと冷却優先モードとを切り替えてもよい。また、ECU8は、車両環境および車両状態の両方に応じて、通常モードと冷却優先モードとを切り替えてもよい。さらに、ECU8は、「外気温、車室内の温度、または、外気温と車室内の温度との温度差等の車両環境」および/または「エンジン2の負荷状態、車速、または、車両1の加速状態等、エアコンの作動状態以外の車両状態」に応じて、通常モードと冷却優先モードとを切り替えてもよい。
【0870】
ECU8は、通常モードの弁体31の特定の回転位置において、ラジエータポート221のみ開度が0より大きい所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0871】
そのため、通常モードにおいても、エンジン2の冷却効率を高めることが可能な程度の開度に前記所定開度を設定し、ラジエータポート221のみ開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、エンジン2の高負荷時の冷却効率の最大化を図ることができる。
【0872】
<12-6>
図124、125に示すように、ECU8は、通常モードと冷却優先モードの両側において、ラジエータポート221が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0873】
そのため、通常モードまたは冷却優先モードのいずれにおいても、エンジン2の高負荷時の冷却効率を高めることができる。
【0874】
<12-7>
図124、125に示すように、ECU8は、ラジエータポート221、ヒータポート222またはデバイスポート223の開度がそれぞれ単独で前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0875】
そのため、必要な部位に冷却水の回りを集中させ、熱交換の効率を高めることができる。
【0876】
<12-8>
図124、125に示すように、ECU8は、通常モードにおいて、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0877】
そのため、通常モードにおいて、ラジエータ5、ヒータ6およびデバイス7の全てにおいて熱交換することができ、暖房性能を確保しつつ、エンジン2の冷却等を行うことができる。
【0878】
<12-9>
前記所定開度は、60%以上に設定されている。
【0879】
そのため、通常モードの弁体31の特定の回転位置において、ラジエータポート221のみ開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、通常モードにおいても、エンジン2の高負荷時の冷却効率の最大化を適切に図ることができる。
【0880】
また、通常モードと冷却優先モードの両側において、ラジエータポート221が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、通常モードまたは冷却優先モードのいずれにおいても、エンジン2の高負荷時の冷却効率を適切に高めることができる。
【0881】
また、ラジエータポート221、ヒータポート222またはデバイスポート223の開度がそれぞれ単独で前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、必要な部位に冷却水の回りを集中させ、熱交換の効率を適切に高めることができる。
【0882】
また、通常モードにおいて、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御することで、通常モードにおいて、ラジエータ5、ヒータ6およびデバイス7の全てにおいて熱交換することができ、暖房性能を確保しつつ、エンジン2の冷却等を適切に行うことができる。
【0883】
なお、本実施形態では、エンジン2の冷却効率を最大限に高めるため、前記所定開度は100%に設定されている。
【0884】
そのため、エンジン2の高負荷時の冷却効率を最大限に高めることができる。
【0885】
次に、本実施形態のバルブ装置10における冷却水のフローダイアグラムについて、
図124、125に基づき詳細に説明する。
【0886】
図124、125に示すように、弁体31の回転位置が基準位置である0(度)のとき(
図125における回転位置Pr0のとき)、ラジエータポート221、ヒータポート222、デバイスポート223の開度は、いずれも、0%(全閉)である。以下、Pr-5~10と記載した場合、
図125における回転位置Pr-5~10を意味する。
【0887】
上述のように、ECU8は、車両環境および/または車両状態に応じて、弁体31を回転方向の基準位置である0(度)に対し一方側(Pr0~10)において回転させる通常モード、あるいは回転方向の基準位置に対し他方側(Pr0~-5)において回転させる冷却優先モードで弁体31を回転駆動する。
【0888】
ECU8の通常モードによる弁体31の制御によって、弁体31が回転方向の一方側に回転駆動し、弁体31の回転位置が0から大きくなると、Pr1とPr2との間で、ヒータポート222の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、ヒータポート222の開度に応じた量の冷却水がヒータ6側に流れる。ヒータポート222の開度は、Pr2で100%(全開:前記所定開度)に達する。
【0889】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr3とPr4との間で、デバイスポート223の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、デバイスポート223の開度に応じた量の冷却水がデバイス7側に流れる。デバイスポート223の開度は、Pr4で100%(全開:前記所定開度)に達する。
【0890】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr1とPr2との間におけるヒータポート222の開度の増大割合は、Pr3とPr4との間におけるデバイスポート223の開度の増大割合と同じである(
図124、125参照)。
【0891】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr5とPr6との間で、ラジエータポート221の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、ラジエータポート221の開度に応じた量の冷却水がラジエータ5側に流れる。
【0892】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr6とPr7との間で、ラジエータポート221の開度が所定の割合でさらに増大する。ラジエータポート221の開度は、Pr7で100%(全開:前記所定開度)に達する。そのため、Pr7において、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度が前記所定開度すなわち100%になる。
【0893】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr5とPr6との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合は、Pr6とPr7との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合より小さい(
図124、125参照)。これは、ラジエータ用開口部410が延伸開口部413と大開口部412とから形成されていることによる(
図93、94等参照)。
【0894】
そのため、ラジエータポート221の開弁初期において、ラジエータ5への冷却水の流量を徐々に大きくすることができる。これにより、通常モードにおいて、ラジエータ5の熱交換による冷却水の急激な温度変化を抑制することができる。
【0895】
また、弁体31の単位回転角度当りのPr5とPr6との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合、および、Pr6とPr7との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合は、Pr1とPr2との間におけるヒータポート222の開度の増大割合、Pr3とPr4との間におけるデバイスポート223の開度の増大割合より小さい(
図124、125参照)。
【0896】
そのため、開弁初期におけるラジエータ5への冷却水の流量変化を、ヒータ6、デバイス7への冷却水の流量変化と比べ、緩やかにすることができる。これにより、通常モードにおいて、ラジエータ5の熱交換による冷却水の急激な温度変化を抑制することができる。
【0897】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr8とPr9との間で、ヒータポート222の開度およびデバイスポート223の開度が100%から所定の割合で減少する。これにより、ヒータ6側およびデバイス7側に流れる冷却水の量がヒータポート222の開度およびデバイスポート223の開度に応じて減少する。ヒータポート222の開度およびデバイスポート223の開度は、Pr9で0%(全閉)になる。これにより、ヒータポート222およびデバイスポート223が閉じ、ヒータ6側およびデバイス7側への冷却水の流れが遮断される。
【0898】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr8とPr9との間におけるヒータポート222の開度の減少割合は、Pr8とPr9との間におけるデバイスポート223の開度の減少割合と同じである(
図124、125参照)。
【0899】
弁体31が回転方向の一方側にさらに回転駆動すると、Pr10で、第1規制凸部332または第2規制凸部342の一方が規制部631に当接し、弁体31の回転駆動が停止する。このとき、ラジエータポート221の開度は、100%のままである。すなわち、このとき、ラジエータポート221のみ開度が100%(全開:前記所定開度)になっている。
【0900】
ECU8の冷却優先モードによる弁体31の制御によって、弁体31が回転方向の他方側に回転駆動し、弁体31の回転位置が0から小さくなると、Pr-1とPr-2との間で、デバイスポート223の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、デバイスポート223の開度に応じた量の冷却水がデバイス7側に流れる。デバイスポート223の開度は、Pr-2で100%(全開:前記所定開度)に達する。
【0901】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr-1とPr-2との間におけるデバイスポート223の開度の増大割合は、Pr3とPr4との間におけるデバイスポート223の開度の増大割合と同じである(
図124、125参照)。
【0902】
弁体31が回転方向の他方側にさらに回転駆動すると、Pr-3とPr-4との間で、ラジエータポート221の開度が0(%)から所定の割合で増大する。これにより、ラジエータポート221の開度に応じた量の冷却水がラジエータ5側に流れる。ラジエータポート221の開度は、Pr-4で100%(全開:前記所定開度)に達する。そのため、Pr-4において、ラジエータポート221およびデバイスポート223の開度が前記所定開度すなわち100%になる。
【0903】
ここで、弁体31の単位回転角度当りのPr-3とPr-4との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合は、Pr6とPr7との間におけるラジエータポート221の開度の増大割合と同じである(
図124、125参照)。
【0904】
弁体31が回転方向の他方側にさらに回転駆動すると、Pr-5で、第1規制凸部332または第2規制凸部342の他方が規制部631に当接し、弁体31の回転駆動が停止する。このとき、ラジエータポート221の開度およびデバイスポート223の開度は、100%のままである。すなわち、このとき、ラジエータポート221の開度およびデバイスポート223の開度は100%(全開:前記所定開度)になっている。
【0905】
本実施形態では、上述のように、ECU8は、通常モードの弁体31の特定の回転位置であるPr9~10において、ラジエータポート221のみ開度が0より大きい所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0906】
また、ECU8は、通常モードのPr7~10、および、冷却優先モードのPr-4~-5において、ラジエータポート221が前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0907】
また、ECU8は、ラジエータポート221、ヒータポート222またはデバイスポート223の開度がそれぞれ、Pr9~10、Pr2~3、Pr-2~-3において、単独で前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0908】
また、ECU8は、通常モードにおいて、ラジエータポート221、ヒータポート222およびデバイスポート223の全ての開度がPr7~8において前記所定開度になるよう駆動部70および弁体31を制御可能である。
【0909】
(第25実施形態)
第25実施形態によるバルブ装置の一部を
図126に示す。第25実施形態は、軸受部602近傍の構成が第1実施形態と異なる。
【0910】
<6-23>
図126に示すように、本実施形態は、軸シール部材603に代えて、シャフトシール部96を備えている。
【0911】
シャフトシール部96は、シャフト挿通穴62に設けられ、内縁部がシャフト32の外周壁に当接可能な環状のシール部環状部材97、および、シール部環状部材97より柔らかく内縁部がシャフト32の外周壁に当接しシャフト32との間を液密に保持可能な環状のシャフトシール部材98を有する。
【0912】
本実施形態では、シャフト32の径方向外側に入口ポート220が形成されている。そのため、入口ポート220から内部空間200に流入した冷却水がシャフト32の外周壁にぶつかり、シャフト32の軸ブレが生じやすい。シャフト32に軸ブレが生じると、シャフトシール部材98への負荷が増大するおそれがある。
【0913】
そこで、本実施形態では、上記構成のシャフトシール部96を設け、シール部環状部材97によりシャフト32の軸ブレを抑制し、軸ブレによるシャフトシール部材98への負荷の低減を図っている。これにより、シャフトシール部材98の劣化、摩耗、変形等によるシール性の低下を抑制できる。
【0914】
<6-24>
シャフトシール部96は、シール部環状部材97より硬くシャフト挿通穴62においてシール部環状部材97およびシャフトシール部材98を保持可能なシール部保持部材99をさらに有している。
【0915】
そのため、シャフト挿通穴62におけるシール部環状部材97およびシャフトシール部材98の位置を安定させることができる。したがって、シール部環状部材97によりシャフト32の軸ブレを効果的に抑制するとともに、軸ブレによるシャフトシール部材98への負荷を効果的に低減できる。
【0916】
<6-25>
シール部環状部材97は、樹脂により形成されている。シャフトシール部材98は、ゴムにより形成されている。シール部保持部材99は、金属により形成されている。
【0917】
そのため、シール部環状部材97によりシャフト32の軸ブレを効果的に抑制し、シャフトシール部材98のシール性を確保し、シール部保持部材99によりシール部環状部材97およびシャフトシール部材98を安定して保持することができる。
【0918】
<6-26>
シャフトシール部材98は、シール部環状部材97とシャフト32の外周壁との当接箇所に対し弁体31側においてシャフト32の外周壁に当接する第1シャフトシール部材981、および、シール部環状部材97とシャフト32の外周壁との当接箇所に対し駆動部70側においてシャフト32の外周壁に当接する第2シャフトシール部材982を有する。
【0919】
そのため、1つのシール部環状部材97により、シャフト32の軸ブレを抑制し、軸ブレによる第1シャフトシール部材981および第2シャフトシール部材982への負荷を低減できる。また、シール部環状部材97の弁体31側および駆動部70側においてシャフト32の外周壁に当接する第1シャフトシール部材981および第2シャフトシール部材982により、シャフト32の外周のシール性をより高めることができる。
【0920】
以下、シャフトシール部96の構成について、より詳細に説明する。
【0921】
シール部環状部材97は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂により環状に形成されている。シール部環状部材97は、内縁部がシャフト32の外周壁に当接および摺動可能に設けられている。シール部環状部材97を摩擦係数の小さいPTFEで形成することにより、シャフト32は、シール部環状部材97の内側で円滑に回転可能である。なお、シール部環状部材97は、隔壁貫通穴65に対し弁体31側に設けられている(
図126参照)。
【0922】
第1シャフトシール部材981は、例えばEPDM(エチレンプロピレンゴム)等のゴムにより、弾性変形可能なよう環状に形成されている。第1シャフトシール部材981は、シール部環状部材97とシャフト32の外周壁との当接箇所に対し弁体31側において内縁部がシャフト32の外周壁に密着するよう当接する。ここで、第1シャフトシール部材981の内縁部は、シャフト32の外周壁と摺動可能である。なお、シール部環状部材97は、第1シャフトシール部材981の内側に位置している(
図126参照)。
【0923】
第2シャフトシール部材982は、例えばNBR(ニトリルゴム)等のゴムにより、弾性変形可能なよう環状に形成されている。第2シャフトシール部材982は、シール部環状部材97とシャフト32の外周壁との当接箇所に対し駆動部70側において内縁部がシャフト32の外周壁に密着するよう当接する。ここで、第2シャフトシール部材982の内縁部は、シャフト32の外周壁と摺動可能である。なお、第2シャフトシール部材982は、シャフト32の軸方向において隔壁貫通穴65と軸受部602との間に設けられている(
図126参照)。
【0924】
シール部保持部材99は、外側シール部保持部材990、内側シール部保持部材991、992、993を有している。外側シール部保持部材990、内側シール部保持部材991、992、993は、例えば金属により形成されている。
【0925】
外側シール部保持部材990は、筒状に形成され、外周壁がシャフト挿通穴62に嵌合するよう設けられている。外側シール部保持部材990は、内周壁が第1シャフトシール部材981の外周壁に当接するようにして第1シャフトシール部材981を保持している。
【0926】
内側シール部保持部材991は、環状に形成され、外縁部が外側シール部保持部材990の内周壁に嵌合するよう第1シャフトシール部材981の弁体31側の端部と外側シール部保持部材990との間に設けられている。内側シール部保持部材991は、第1シャフトシール部材981の弁体31側の端部を保持している。
【0927】
内側シール部保持部材992は、筒状に形成され、外周壁が第1シャフトシール部材981の駆動部70側の端部の内周壁に当接するよう、外側シール部保持部材990および第1シャフトシール部材981の駆動部70側の端部の内側に設けられている。内側シール部保持部材992は、内周壁がシール部環状部材97の外縁部に当接するようにしてシール部環状部材97を保持している。
【0928】
内側シール部保持部材993は、環状に形成され、外縁部が内側シール部保持部材992の内周壁に嵌合するよう、内側シール部保持部材992の駆動部70側の端部の内側に設けられている。内側シール部保持部材993は、弁体31側の端部がシール部環状部材97の駆動部70側の面に当接するようにしてシール部環状部材97を保持している。
【0929】
ここで、シール部環状部材97、内側シール部保持部材992、993は、弾性変形可能な第1シャフトシール部材981の内側に設けられていることにより、シャフト挿通穴62の内側において、径方向に一体的に移動可能である。そのため、シール部環状部材97により、シャフト32の軸ブレをより一層効果的に抑制することができる。
【0930】
上述のように、本実施形態では、第1シャフトシール部材981がEPDMにより形成され、第2シャフトシール部材982がNBRにより形成される例を示した。これに対し、他の実施形態では、第1シャフトシール部材981をNBRにより形成し、第2シャフトシール部材982をEPDMにより形成してもよい。また、他の実施形態では、第1シャフトシール部材981および第2シャフトシール部材982をいずれもNBRにより形成してもよい。さらに他の実施形態では、第1シャフトシール部材981および第2シャフトシール部材982をいずれもEPDMにより形成してもよい。
【0931】
また、本実施形態では、シャフト32が鉛直方向に沿うようにしてバルブ装置10をエンジン2に取り付ける例を示した。これに対し、他の実施形態では、シャフト32が鉛直方向に対し垂直になるよう、または、傾斜するようにしてバルブ装置10をエンジン2に取り付けてもよい。この場合、重力によるシャフト32の軸の偏りが生じるおそれがあるものの、シール部環状部材97により、重力によるシャフト32の軸の偏りを抑制できる。
【0932】
(第26実施形態)
第26実施形態によるバルブ装置および冷却システムを
図127に示す。第26実施形態は、ウォーターポンプ4の配置、および、冷却水の流れる方向等が第1実施形態と異なる。
【0933】
本実施形態では、ウォーターポンプ4の吸入口と吐出口が第1実施形態と逆になるよう設けられている。ウォーターポンプ4は、ウォータージャケット3の出口側に設けられ、ウォータージャケット3を流れた冷却水を吸入し、吸入した冷却水をラジエータ5、ヒータ6、デバイス7に向けて圧送する。
【0934】
ラジエータ5の出口は、バルブ装置10の出口ポート221に接続される。ヒータ6の出口は、バルブ装置10の出口ポート222に接続される。デバイス7の出口は、バルブ装置10の出口ポート223に接続される。バルブ装置10は、入口ポート220がウォータージャケット3の入口に接続するようエンジン2に取り付けられる。
【0935】
ラジエータ5、ヒータ6、デバイス7を流れた冷却水は、出口ポート221、222、223からバルブ装置10に流入し、入口ポート220からウォータージャケット3に流入する。バルブ装置10は、ラジエータ5、ヒータ6、デバイス7からウォータージャケット3に流れる冷却水の流量を調整する。
【0936】
このように、バルブ装置10は、3つの出口ポート(221~223)から冷却水が流入し、1つの入口ポート(220)から冷却水が流出するような使い方もできる。
【0937】
上述の実施形態では、バルブ装置10を、入口ポート220がウォータージャケット3の入口に接続するようエンジン2に取り付ける例を示した。これに対し、他の実施形態では、パイプ等の部材を介して入口ポート220とウォータージャケット3とを接続し、バルブ装置10のハウジング20をエンジン2から離して設けてもよい。
【0938】
(他の実施形態)
<3-7-1>
第3実施形態に対し、第1規制凸部332は、第2規制凸部342から離れた位置に形成されていてもよい。
【0939】
<3-7-2>
また、第1規制凸部332と回転軸Axr1との距離は、第2規制凸部342と回転軸Axr1との距離と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0940】
なお、第1規制凸部332と回転軸Axr1との距離と、第2規制凸部342と回転軸Axr1との距離とが同じ場合、第1規制凸部332、第2規制凸部342が規制部631に当接し弁体31の回転が規制されるときの当接荷重を同じにすることができる。
【0941】
<6-1-16-1>
第13実施形態に対し、隔壁貫通穴65は、シャフト挿通穴62の径方向外側から径方向内側へ向かうに従い、その断面積が徐々に大きくなるよう形成されていてもよい。
【0942】
この場合、ハウジング貫通穴270を経由して外部から水等が侵入したとしても、当該水等が隔壁貫通穴65を経由してシャフト挿通穴62まで流れるのを抑制できる。
【0943】
上述の実施形態では、ハウジング本体21と隔壁部60とを別体に形成する例を示した。これに対し、他の実施形態では、ハウジング本体21と隔壁部60とを一体に形成してもよい。
【0944】
また、上述の実施形態では、入口ポート220、出口ポート221~223、リリーフポート224がシャフト32の軸に対し直交する方向に形成される例を示した。これに対し、他の実施形態では、入口ポート220、出口ポート221~223、リリーフポート224は、シャフト32の軸方向に形成されていてもよい。また、出口ポート221~223から冷却水が流入し、入口ポート220から冷却水が流出するようバルブ装置10を用いてもよい。また、入口ポート、出口ポート、リリーフポートは、ハウジング本体21にいくつ形成されていてもよい。
【0945】
上述の実施形態では、バルブ装置10を発熱体としてのエンジン2に適用する例を示した。これに対し、他の実施形態では、ハイブリッド車や電気自動車等に搭載される発熱体としてのバッテリの冷却水を制御するバルブ装置として採用してもよい。
【0946】
また、バルブ装置10は、発熱体に対し、どのような姿勢で取り付けてもよい。
【0947】
上述の実施形態では、駆動部カバー80が6つのカバー固定部を有する例を示した。これに対し、他の実施形態では、カバー固定部は、カバー本体81に対し、6つに限らず、5つ等、いくつ形成されていてもよい。
【0948】
<12-10>
上述の第15実施形態では、弁体31の外周壁および内周壁を球面状に形成する例を示した。これに対し、他の実施形態では、弁体31は、外周壁および内周壁が円筒状に形成されていてもよい。また、弁体31は、少なくとも外周壁の一部が球面状または円筒状に形成されていてもよい。このような形状のロータリーバルブであっても、第15実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0949】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0950】
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【0951】
<1><課題>
例えば特許文献1に記載されたバルブ装置では、インレットポートまたはアウトレットポートは、ホース等を介して車両の内燃機関に接続される。ここで、ホース等を介さず、インレットポートまたはアウトレットポートを内燃機関に直接接続する場合、バルブ装置と内燃機関との締結箇所の配置によっては、インレットポートまたはアウトレットポートと内燃機関との間のシール性が低下し、冷却水が外部に漏れるおそれがある。
【0952】
本開示の目的は、車両の発熱体との間からの冷却水の漏れを抑制可能なバルブ装置を提供することにある。
【0953】
<1><手段>
<1-1>
本開示の第1の態様は、車両の発熱体の冷却水を制御可能なバルブ装置であって、ハウジングとバルブとを備える。ハウジング本体は、締結穴を通り発熱体に螺合する締結部材により発熱体に固定される。締結穴は、少なくとも3つ形成されている。ポートの開口は、3つの締結穴を結んで形成される三角形の内側に形成されている。
【0954】
そのため、ポートの周りに環状の弾性部材からなるシール部材を設けた場合、3つの締結穴を通る締結部材によりハウジング本体を発熱体に固定したとき、シール部材をバランスよく圧縮できる。これにより、ポート周りのシール性を効果的に確保できる。
【0955】
<1-2>
本開示の第2の態様は、車両の発熱体の冷却水を制御可能なバルブ装置であって、ハウジングとバルブと隔壁部と駆動部とを備える。ハウジング本体は、締結穴を通り発熱体に螺合する締結部材により発熱体に固定される。締結穴は、ポートの開口の径方向外側に形成された第1締結穴、第1締結穴との間にポートの開口を挟むよう形成された第2締結穴、および、第1締結穴および第2締結穴に対し駆動部側に形成された第3締結穴を含む。
【0956】
そのため、ポートの周りに環状の弾性部材からなるシール部材を設けた場合、第1締結穴および第2締結穴を通る締結部材によりハウジング本体を発熱体に固定したとき、シール部材をバランスよく圧縮できる。これにより、ポート周りのシール性を効果的に確保できる。
【0957】
また、第3締結穴を通る締結部材により締結部が発熱体に固定されることにより、発熱体の振動の駆動部への影響を抑制することができる。
【0958】
以下、各実施形態から把握される特許請求の範囲に記載した以外の技術的思想について説明する。
【0959】
<1-2-1>
前記ポートの開口の中心は、前記第1締結穴と前記第2締結穴とを結ぶ直線上に位置しているバルブ装置。
【0960】
<1-2-2>
前記ポートの開口の中心と前記第1締結穴との距離は、前記ポートの開口の中心と前記第2締結穴との距離と同じであるバルブ装置。
【0961】
<1-2-3>
前記第3締結穴と前記駆動部との距離は、前記第3締結穴と前記ポートの開口の中心との距離より短いバルブ装置。
【0962】
<1-2-4>
前記第3締結穴は、中心が、出口ポート223の中心を通り回転軸Axr1に直交する仮想平面に対し駆動部70側に位置するよう形成されているバルブ装置。
【0963】
<1-3-1>
前記ポートの開口の中心に対し点対称となる前記第1締結穴および前記第2締結穴は、前記ポートの開口面に垂直で、かつ、前記ポートの開口の中心を通る直線が前記回転軸を通るよう形成されているバルブ装置。
【0964】
<1-4-1>
前記第1位置決め部および前記第2位置決め部は、前記第1締結穴と前記第2締結穴とを結ぶ第1直線に対し、前記第1位置決め部と前記第2位置決め部とを結ぶ第2直線が直交するよう形成されているバルブ装置。
【0965】
<1-4-2>
前記第1直線の中心と前記第2直線の中心とは一致するバルブ装置。
【0966】
<1-5-1>
前記取付面凹部は、複数形成され、複数の前記取付面凹部の間には凹部間リブが形成されているバルブ装置。
【0967】
<1-1-5-1>
前記ハウジング本体は、フィラーを含むポリフェニレンスルファイド樹脂により形成されているバルブ装置。
【0968】
<2-1-1>
前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間に設けられ、前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間を液密に保持可能な環状シール部材をさらに備え、
前記ハウジング開口部は、内壁が筒状に形成され、
前記隔壁部は、前記ハウジング開口部の内側に位置し外壁が筒状に形成された隔壁部本体を有し、
前記環状シール部材は、前記ハウジング開口部と前記隔壁部本体との間に設けられ、
前記ハウジング開口部の内径と前記隔壁部本体の外径との差は、自由状態の前記環状シール部材の内径と外径との差より小さいバルブ装置。
【0969】
<2-2-1>
前記環状シール部材の軸方向において前記ハウジング本体または前記隔壁部との間の少なくとも一方に軸方向隙間が形成されているバルブ装置。
【0970】
<3-4-1>
前記弁体は、前記シール開口部の全てが前記弁体の外周壁で塞がれた全閉状態のとき、前記回転軸方向および周方向の少なくとも前記シール開口部に対応する範囲において、内周壁と外周壁との距離が同じであるバルブ装置。
【0971】
<3-7-1>
前記第1規制凸部は、前記第2規制凸部から離れた位置に形成されているバルブ装置。
【0972】
<3-7-2>
前記第1規制凸部と前記回転軸との距離は、前記第2規制凸部と前記回転軸との距離と同じであるバルブ装置。
【0973】
<3-9-1>
前記弁体開口リブは、前記仮想球面から所定の距離を空けて円弧状に形成されているバルブ装置。
【0974】
<3-12-1>
前記特定形状部は、外壁が前記筒状部の外周壁から外側へ突出するよう形成されているバルブ装置。
【0975】
<3-12-2>
前記特定形状部は、外壁が前記筒状部の外周壁から内側へ凹むよう形成されているバルブ装置。
【0976】
<3-12-3>
前記特定形状部は、外壁が平面状に形成されているバルブ装置。
【0977】
<3-17-1>
前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部をさらに備え、
前記バルブは、前記第2最外端面が前記駆動部側を向くよう設けられ、
前記第2最外端面の面積は、前記第1最外端面の面積より大きいバルブ装置。
【0978】
<3-19-1>
前記第1端面開口リブと前記第2端面開口リブと前記第2弁体開口リブと前記第3弁体開口リブとは、前記弁体の周方向において同じ位置に形成されているバルブ装置。
【0979】
<3-22-23-1>
前記第1型は、前記第1分割体の外周壁の形状に対応する第1凹面が形成された第1外型、および、前記第1分割体の内周壁の形状に対応する第1凸面が形成された第1内型を有し、
前記第2型は、前記第2分割体の外周壁の形状に対応する第2凹面が形成された第2外型、および、前記第2分割体の内周壁の形状に対応する第2凸面が形成された第2内型を有し、
前記1次成形工程において前記第1分割体と前記第2分割体とを樹脂成形するとき、前記回転軸方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、前記第1凹面と前記第1凸面との距離、ならびに、前記第2凹面と前記第2凸面との距離は同じであるバルブの製造方法。
【0980】
<3-25-1>
前記外側型は、前記弁体の外周壁の形状に対応する凹面を有し、
前記内側型は、前記弁体の内周壁の形状に対応する凸面を有し、
前記樹脂成形工程において前記弁体を樹脂成形するとき、前記回転軸方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、前記凹面と前記凸面との距離が同じであるバルブの製造方法。
【0981】
<4-1-1>
前記カバー固定部は、複数形成されており、
複数の前記カバー固定部は、前記取付面に対し垂直な仮想平面上に位置しているバルブ装置。
【0982】
<4-2-1>
前記隔壁部は、前記ハウジング本体と別体に形成され、
前記ハウジング本体は、前記取付面とは反対側の端部において前記隔壁部が露出する程度の切欠き部を有しているバルブ装置。
【0983】
<4-3-1>
前記コネクタ部は、前記カバー本体の外縁部から前記取付面に対し垂直な方向以外の方向へ突出するよう形成されているバルブ装置。
【0984】
<4-3-2>
前記コネクタ部は、前記カバー本体の外縁部から前記取付面に対し平行な方向へ突出するよう形成されているバルブ装置。
【0985】
<5-2-1>
複数の前記ポートのうち少なくとも前記シールユニットが設けられた前記ポートは、互いの軸が平行となるよう形成されているバルブ装置。
【0986】
<5-13-1>
前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間に設けられ、前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間を液密に保持可能な環状シール部材を備えるバルブ装置。
【0987】
<6-1-1>
前記隔壁貫通穴は、断面形状が長円形または長方形となるよう形成されているバルブ装置。
【0988】
<6-2-1>
前記ハウジング貫通穴は、断面形状が長円形または長方形となるよう形成されているバルブ装置。
【0989】
<6-2-2>
前記隔壁貫通穴と前記ハウジング貫通穴とは、同軸に形成されているバルブ装置。
【0990】
<6-11-1>
前記隔壁貫通穴の軸と前記ハウジング貫通穴の軸との距離をL、前記シャフト挿通穴の軸方向における前記ハウジング貫通穴の大きさをDとすると、
前記隔壁貫通穴および前記ハウジング貫通穴は、D≦L≦10Dの関係を満たすよう形成されているバルブ装置。
【0991】
<6-1-16-1>
前記隔壁貫通穴は、前記シャフト挿通穴の径方向外側から径方向内側へ向かうに従い、その断面積が徐々に大きくなるよう形成されているバルブ装置。
【0992】
各実施形態の最小の基本構成を以下に示す。
【0993】
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に形成された内部空間(200)、前記内部空間と外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有するハウジング(20)と、
回転軸(Axr1)周りに回転可能なよう前記内部空間内に設けられた弁体(31)を有し、前記弁体の回転位置により前記ポートを開閉可能なバルブ(30)と、
を備えるバルブ装置。
【0994】
つまり、上記最小の基本構成に示した構成要素以外の構成要素は、各実施形態の必須要素ではない。
【0995】
各実施形態に記載されている課題を解決するために、適宜、実施形態に記載されている技術的思想を上記最小の基本構成に組み合わせることができる。
【0996】
以下、各実施形態から把握される代表的な技術的思想について説明する。
【0997】
<1>
[A01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)、前記取付面に開口し前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220)、前記ハウジング本体と一体に形成された複数の締結部(231、232、233)、および、複数の前記締結部のそれぞれに対応して形成された複数の締結穴(241、242、243)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記弁体の内側に形成され前記ポートに連通可能な弁体内流路(300)を有するバルブ(30)と、を備え、
前記ハウジング本体は、前記締結穴を通り前記発熱体に螺合する締結部材(240)により前記発熱体に固定され、
前記締結穴は、少なくとも3つ形成されており、
前記ポートの開口は、3つの前記締結穴を結んで形成される三角形(Ti1)の内側に形成されているバルブ装置。
【0998】
[A02]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記ハウジング本体の外壁に形成され前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向する取付面(201)、前記取付面に開口し前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220)、前記ハウジング本体と一体に形成された複数の締結部(231、232、233)、および、複数の前記締結部のそれぞれに対応して形成された複数の締結穴(241、242、243)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成され前記ポートに連通可能な弁体内流路(300)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有するバルブ(30)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てる隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記シャフトを経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、を備え、
前記ハウジング本体は、前記締結穴を通り前記発熱体に螺合する締結部材(240)により前記発熱体に固定され、
前記締結穴は、前記ポートの開口の径方向外側に形成された第1締結穴(241)、前記第1締結穴との間に前記ポートの開口を挟むよう形成された第2締結穴(242)、および、前記第1締結穴および前記第2締結穴に対し前記駆動部側に形成された第3締結穴(243)を含むバルブ装置。
【0999】
[A03]
前記第1締結穴と前記第2締結穴とは、前記ポートの開口の中心(Cp1)に対し点対称となるよう形成されている[A02]に記載のバルブ装置。
【1000】
[A04]
前記ハウジングは、前記取付面に形成され他部材と係合することで前記ハウジング本体の位置決めが可能な位置決め部(205、206)を有し、
前記位置決め部は、前記ポートの開口の径方向外側に形成された第1位置決め部(205)、および、前記第1位置決め部との間に前記ポートの開口を挟むよう形成された第2位置決め部(206)を含む[A02]または[A03]に記載のバルブ装置。
【1001】
[A05]
前記ハウジングは、前記取付面から前記発熱体とは反対側へ凹む取付面凹部(207)を有している[A01]~[A04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1002】
[A06]
前記第3締結穴が形成された前記締結部(233)は、前記隔壁部に隣接した位置に形成されている[A02]~[A04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1003】
[A07]
前記締結部は、前記発熱体側に前記取付面を有し、前記取付面から前記発熱体とは反対側へ凹む前記取付面凹部を有している[A05]に記載のバルブ装置。
【1004】
[A08]
前記ハウジングは、前記取付面に形成され他部材と係合することで前記ハウジング本体の位置決めが可能な位置決め部(205、206)、および、複数の前記取付面凹部の間に形成される凹部間リブ(208)を有し、
前記位置決め部は、前記凹部間リブの格子点(204)に形成されている[A07]に記載のバルブ装置。
【1005】
[A09]
前記ハウジングは、前記取付面に形成され他部材と係合することで前記ハウジング本体の位置決めが可能な位置決め部(205、206)を有し、
前記締結部は、前記ハウジング本体の幅方向の一方の側に1つ、前記ハウジング本体の幅方向の他方の側に2つ形成されており、
前記位置決め部は、前記締結部が1つ形成された前記ハウジング本体の幅方向の一方の側に形成されている[A01]~[A08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1006】
[A10]
前記ポートは、複数の前記締結部のうち前記ポートから最も離れた前記締結部と前記位置決め部との間に形成されている[A09]に記載のバルブ装置。
【1007】
[A11]
前記締結部は、前記締結穴に垂直な面による断面における形状が直線状となる2つの外壁を有し、当該2つの外壁の成す角が鈍角となるよう形成されている[A01]~[A10]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1008】
<2>
[B01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するハウジング開口部(210)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体内流路と前記弁体の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体開口部を経由した前記弁体内流路と前記ポートとの連通状態を前記弁体の回転位置により変更可能なバルブ(30)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう前記ハウジング開口部に設けられ、前記シャフトを軸受け可能な隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記隔壁部との間に駆動部空間(800)を形成する駆動部カバー(80)と、
前記駆動部空間に設けられ、前記シャフトを経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、
を備えるバルブ装置。
【1009】
[B02]
前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間に設けられ、前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間を液密に保持可能な環状シール部材(600)をさらに備え、
前記環状シール部材は、前記ハウジング開口部と前記隔壁部との間において径方向に圧縮されている[B01]に記載のバルブ装置。
【1010】
[B03]
前記隔壁部が前記ハウジング本体と前記駆動部カバーとの間に挟み込まれた状態で前記ハウジング本体と前記駆動部カバーとを固定可能な固定部材(830)をさらに備える[B01]または[B02]に記載のバルブ装置。
【1011】
[B04]
前記隔壁部は、前記シャフトの一端を挿通可能なシャフト挿通穴(62)を有し、
前記シャフト挿通穴において前記隔壁部にインサート成型された金属環(601)と、
前記金属環の内側に設けられ、前記シャフトの一端を軸受けする軸受部(602)と、
をさらに備える[B01]~[B03]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1012】
[B05]
前記隔壁部は、前記金属環の径方向外側において前記駆動部カバー側の面(609)から前記駆動部カバーとは反対側へ凹む隔壁凹部(64)を有している[B04]に記載のバルブ装置。
【1013】
[B06]
前記駆動部は、前記シャフトを回転駆動可能なモータ(71)を有している[B01]~[B05]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1014】
[B07]
前記モータと前記隔壁部との間において圧縮された状態で設けられた弾性部材(74)をさらに備える[B06]に記載のバルブ装置。
【1015】
[B08]
前記モータは、軸(Axm1)が前記シャフトの軸(Axs1)と直交するよう設けられている[B06]または[B07]に記載のバルブ装置。
【1016】
[B09]
開口側の端部が前記隔壁部側を向くよう前記駆動部カバーに設けられ、前記モータへ供給する電流が流れるU字状の給電端子(85)をさらに備え、
前記モータは、軸方向の端部において前記給電端子の開口に接続するモータ側端子(713)を有し、軸(Axm1)が前記駆動部カバーの前記隔壁部側を向く面(808)に対し平行となるよう設けられている[B06]~[B08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1017】
[B10]
前記駆動部は、前記モータの駆動力を前記シャフトに伝達可能なギア部(72)を有し、
前記駆動部カバーに対しスナップフィット結合可能なスナップフィット部(731)を有し、前記駆動部カバーとの間に前記モータおよび前記ギア部を保持する保持部材(73)をさらに備える[B06]~[B09]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1018】
[B11]
前記ハウジングは、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)を有し、
前記モータは、駆動力を出力するモータシャフト(711)、および、前記モータシャフトの先端に設けられたウォームギア(712)を有し、前記モータシャフトが前記取付面に対し垂直となるよう、かつ、前記ウォームギアが前記取付面とは反対側を向くよう設けられている[B06]~[B10]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1019】
[B12]
前記モータは、駆動力を出力するモータシャフト(711)、および、前記モータシャフトの先端に設けられたウォームギア(712)を有し、
前記保持部材は、前記スナップフィット部が前記ウォームギアの径方向外側に位置するよう形成されている[B10]に記載のバルブ装置。
【1020】
[B13]
内側の空間が前記ポートに連通する筒状のパイプ部(511、512、513)を有し、前記ハウジング本体に取り付けられるパイプ部材(50)を備え、
前記保持部材は、前記スナップフィット部が前記回転軸に対し前記パイプ部材側に位置するよう形成されている[B12]に記載のバルブ装置。
【1021】
<3>
[C01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内部空間(200)と外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体内流路と前記弁体の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体開口部を経由した前記弁体内流路と前記ポートとの連通状態を前記弁体の回転位置により変更可能なバルブ(30)と、
前記弁体の外周壁に当接可能なよう前記ポートに対応する位置に設けられ、前記弁体の回転位置により前記弁体開口部に連通可能なシール開口部(360)を内側に形成し、前記弁体の外周壁との間を液密に保持可能な環状のバルブシール(36)と、を備え、
前記弁体は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成されているバルブ装置。
【1022】
[C02]
前記弁体は、内周壁の少なくとも一部が球面状に形成されている[C01]に記載のバルブ装置。
【1023】
[C03]
前記弁体は、前記回転軸方向および周方向の少なくとも一部の範囲において、内周壁と外周壁との距離が同じである[C02]に記載のバルブ装置。
【1024】
[C04]
前記弁体は、前記回転軸方向および周方向の少なくとも前記シール開口部に対応する範囲において、内周壁と外周壁との距離が同じである[C03]に記載のバルブ装置。
【1025】
[C05]
前記弁体は、樹脂により形成され、
前記シャフトは、インサート成型により前記弁体と一体に形成されている[C01]~[C04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1026】
[C06]
前記弁体は、前記回転軸を含む仮想平面(Vp1)で2つに分割された第1分割体(33)と第2分割体(34)とを有し、前記第1分割体と前記第2分割体とがそれぞれの接合面(331、341)で接合されている[C01]~[C05]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1027】
[C07]
前記内部空間と前記ハウジングの外部とを隔てる隔壁部本体(61)、前記シャフトの一端を挿通可能なよう前記隔壁部本体に形成されたシャフト挿通穴(62)、および、前記隔壁部本体の前記内部空間側の面から前記内部空間とは反対側へ凹む規制凹部(63)を有する隔壁部(60)をさらに備え、
前記第1分割体は、前記隔壁部側の面から前記規制凹部側へ延びて先端部が前記規制凹部に位置する第1規制凸部(332)を有し、
前記第2分割体は、前記隔壁部側の面から前記規制凹部側へ延びて先端部が前記規制凹部に位置する第2規制凸部(342)を有している[C06]に記載のバルブ装置。
【1028】
[C08]
前記第1規制凸部は、前記接合面の面方向に沿って前記規制凹部側へ延び、
前記第2規制凸部は、前記第1規制凸部に当接しつつ、前記接合面の面方向に沿って前記規制凹部側へ延びている[C07]に記載のバルブ装置。
【1029】
[C09]
前記弁体は、前記弁体開口部の内縁端を接続する弁体開口リブ(411、421、422、431、432)を有し、
前記弁体開口リブは、前記弁体の外周壁に沿う仮想球面(Vs1)から径方向内側へ離れた位置に形成されている[C06]~[C08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1030】
[C10]
前記弁体開口リブは、直線状に形成されている[C09]に記載のバルブ装置。
【1031】
[C11]
前記接合面は、前記シール開口部の全てが前記弁体の外周壁で塞がれた全閉状態のとき、前記バルブシールから離れた位置にある[C06]~[C10]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1032】
[C12]
前記弁体は、外周壁が球面状に形成されたボールバルブ(41、42、43)、前記ボールバルブに対し前記回転軸方向に位置し外周壁が筒状に形成された筒状部(44、45)、および、前記筒状部において前記接合面上に形成され前記筒状部の外周壁の曲率と曲率が異なる外壁を有する特定形状部(441、451)を有している[C06]~[C11]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1033】
[C13]
前記弁体は、外周壁が球面状に形成された第1ボールバルブ(41)、前記回転軸方向において前記第1ボールバルブに接続し外周壁が筒状に形成された筒状接続部(44)、前記筒状接続部に対し前記第1ボールバルブとは反対側において前記筒状接続部に接続し外周壁が球面状に形成された第2ボールバルブ(42)、前記筒状接続部の径方向外側において前記第1ボールバルブと前記第2ボールバルブとの間に形成されるバルブ間空間(400)と前記第1ボールバルブの前記弁体内流路とを接続するよう前記第1ボールバルブの前記回転軸方向の端面に形成された第1端面開口部(415)、および、前記バルブ間空間と前記第2ボールバルブの前記弁体内流路とを接続するよう前記第2ボールバルブの前記回転軸方向の端面に形成された第2端面開口部(425)を有し、
前記ポート(220)は、前記バルブ間空間に連通している[C06]~[C12]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1034】
[C14]
前記弁体は、樹脂により形成され、
前記シャフトは、前記筒状接続部においてインサート成型により前記弁体と一体に形成されている[C13]に記載のバルブ装置。
【1035】
[C15]
前記シャフトは、前記筒状接続部との相対回転を規制可能な回り止め部(321)を有し、
前記回り止め部は、断面形状が多角形または非真円形状となるよう形成されている[C14]に記載のバルブ装置。
【1036】
[C16]
前記弁体は、前記第2ボールバルブに対し前記筒状接続部とは反対側において前記第2ボールバルブに接続し外周壁および内周壁が筒状に形成され内側に前記弁体内流路を形成する筒状バルブ接続部(45)、および、前記筒状バルブ接続部に対し前記第2ボールバルブとは反対側において前記筒状バルブ接続部に接続し外周壁が球面状に形成された第3ボールバルブ(43)を有している[C13]~[C15]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1037】
[C17]
前記第1ボールバルブの外周壁の外径は、前記第3ボールバルブの外周壁の外径と同じであり、
前記第1ボールバルブの前記回転軸方向の前記第3ボールバルブとは反対側の端面である第1最外端面(301)の面積は、前記第3ボールバルブの前記回転軸方向の前記第1ボールバルブとは反対側の端面である第2最外端面(302)の面積と異なる[C16]に記載のバルブ装置。
【1038】
[C18]
前記弁体は、前記第2ボールバルブの前記弁体開口部の内縁端を接続する第2弁体開口リブ(422)、および、前記第3ボールバルブの前記弁体開口部の内縁端を接続する第3弁体開口リブ(432)を有し、
前記第2弁体開口リブと前記第3弁体開口リブとは、前記弁体の周方向において同じ位置に形成されている[C16]または[C17]に記載のバルブ装置。
【1039】
[C19]
前記弁体は、前記第1端面開口部を跨ぐようにして前記筒状接続部と前記第1ボールバルブとを接続する第1端面開口リブ(416、417)、および、前記第2端面開口部を跨ぐようにして前記筒状接続部と前記第2ボールバルブとを接続する第2端面開口リブ(426、427)を有している[C13]~[C18]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1040】
[C20]
前記第1端面開口リブは、前記第1ボールバルブの前記回転軸方向の端面との間に第1リブ端面隙間(418)を形成し、
前記第2端面開口リブは、前記第2ボールバルブの前記回転軸方向の端面との間に第2リブ端面隙間(428)を形成している[C19]に記載のバルブ装置。
【1041】
[C21]
前記第1端面開口リブは、前記第2ボールバルブ側の面が前記回転軸に対し傾斜するよう形成され、
前記第2端面開口リブは、前記第1ボールバルブ側の面が前記回転軸に対し傾斜するよう形成されている[C19]または[C20]に記載のバルブ装置。
【1042】
[C22]
回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)を有するバルブ(30)の製造方法であって、
前記弁体は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成され、前記回転軸を含む仮想平面(Vp1)で2つに分割された第1分割体(33)と第2分割体(34)とを有し、前記第1分割体と前記第2分割体とがそれぞれの接合面(331、341)で接合され、
前記第1分割体と前記第2分割体とをそれぞれ第1型(110)と第2型(120)とにより樹脂成形する1次成形工程と、
前記第1分割体の前記接合面における溶着部と前記第2分割体の前記接合面における溶着部との間に樹脂を射出し、前記第1分割体と前記第2分割体とを溶着する第2成形工程と、
を含むバルブの製造方法。
【1043】
[C23]
前記1次成形工程と前記第2成形工程との間において、前記第1分割体と前記第2分割体とのそれぞれの前記接合面が対向するよう、前記第1分割体または前記第2分割体を前記第1型または前記第2型ごとスライドさせるスライド工程をさらに含む[C22]に記載のバルブの製造方法。
【1044】
[C24]
前記バルブは、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、
前記1次成形工程と前記第2成形工程との間において、前記シャフトを前記回転軸に配置するシャフト配置工程をさらに含む[C22]または[C23]に記載のバルブの製造方法。
【1045】
[C25]
回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)を有するバルブ(30)の製造方法であって、
前記弁体は、外周壁の少なくとも一部が球面状に形成され、内周壁の少なくとも一部が外側へ凹むよう形成され、
外側型(180)と前記外側型の内側に配置される内側型(160、170)との間において前記弁体を樹脂成形する樹脂成形工程と、
前記樹脂成形工程の後、前記内側型を前記弁体の内側へ移動させる型移動工程と、
を含むバルブの製造方法。
【1046】
[C26]
前記内側型は、前記弁体の内周壁の形状に対応する凸面(161、171)を有し、
前記凸面の突出高さ(H1)は、前記型移動工程において前記内側型が移動可能な距離(Dm1)より小さく設定されている[C25]に記載のバルブの製造方法。
【1047】
[C27]
前記弁体は、内周壁のうち少なくとも、冷却水が流入する前記ポートに対向する部分である対向部分が外側へ凹むよう形成されている[C01]~[C21]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1048】
[C28]
前記バルブシールは、前記弁体の外周壁のうち少なくとも前記対向部分に対応する部分に当接する[C27]に記載のバルブ装置。
【1049】
[C29]
前記第1ボールバルブの前記弁体開口部の大きさは、前記第2ボールバルブの前記弁体開口部の大きさ、および、前記第3ボールバルブの前記弁体開口部の大きさより大きい[C16]~[C18]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1050】
[C30]
前記内部空間と前記ハウジングの外部とを隔てる隔壁部本体(61)、前記シャフトの一端を挿通可能なよう前記隔壁部本体に形成されたシャフト挿通穴(62)、および、前記隔壁部本体の前記内部空間側の面から前記内部空間とは反対側へ凹む規制凹部(63)を有する隔壁部(60)をさらに備え、
前記弁体は、前記第1分割体または前記第2分割体の前記隔壁部側の面から前記規制凹部側へ延びて先端部が前記規制凹部に位置する規制凸部(343)を有している[C06]に記載のバルブ装置。
【1051】
[C31]
前記第1規制凸部は、前記接合面の面方向に沿って前記規制凹部側へ延び、
前記第2規制凸部は、前記第1規制凸部に当接することなく、前記接合面の面方向に沿って前記規制凹部側へ延びている[C07]に記載のバルブ装置。
【1052】
<4>
[D01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体内流路と前記弁体の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体開口部を経由した前記弁体内流路と前記ポートとの連通状態を前記弁体の回転位置により変更可能なバルブ(30)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう設けられ、前記シャフトの一端を挿通可能なよう形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記隔壁部との間に駆動部空間(800)を形成する駆動部カバー(80)と、
前記駆動部空間に設けられ、前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、を備え、
前記駆動部カバーは、前記駆動部空間を形成するカバー本体(81)、および、前記カバー本体の外縁部に形成され前記ハウジング本体に固定されるカバー固定部(821~826)を有し、
前記カバー固定部は、前記ハウジング本体の前記取付面に垂直な方向(Dv1)の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されているバルブ装置。
【1053】
[D02]
前記ハウジング本体の前記取付面とは反対側の端部(215)は、前記カバー本体の前記取付面とは反対側の端部(815)より外側へ突出しないよう形成されている[D01]に記載のバルブ装置。
【1054】
[D03]
前記駆動部カバーは、前記カバー本体の外縁部に形成され外部と電気的に接続する端子(841)を有するコネクタ部(84)を有し、
前記コネクタ部は、前記カバー本体の前記取付面に垂直な方向の両端部(815、816)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている[D01]または[D02]に記載のバルブ装置。
【1055】
[D04]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記ハウジング本体の外壁から突出するよう前記ハウジング本体とは異なる部位として形成されたハウジング側カバー固定部(291~296)、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体内流路と前記弁体の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体開口部を経由した前記弁体内流路と前記ポートとの連通状態を前記弁体の回転位置により変更可能なバルブ(30)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう設けられ、前記シャフトの一端を挿通可能なよう形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記隔壁部との間に駆動部空間(800)を形成する駆動部カバー(80)と、
前記駆動部空間に設けられ、前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、を備え、
前記駆動部カバーは、前記駆動部空間を形成するカバー本体(81)、および、前記カバー本体の外壁から突出するよう前記カバー本体とは異なる部位として形成され前記ハウジング側カバー固定部に固定されるカバー固定部(821~826)を有し、
前記カバー固定部は、前記ハウジング本体の前記取付面に垂直な方向(Dv1)の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう、または、前記ハウジング本体の前記取付面に平行な方向(Dp1)の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されているバルブ装置。
【1056】
[D05]
前記ハウジング本体が前記発熱体に取り付けられた状態において、前記カバー固定部は、前記ハウジング本体の前記取付面に垂直な方向(Dv1)かつ水平方向の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう、または、前記ハウジング本体の前記取付面に平行な方向(Dp1)かつ水平方向の両端部(215、216)のうち少なくとも一方より外側へ突出しないよう形成されている[D04]に記載のバルブ装置。
【1057】
[D06]
前記ハウジングは、複数の前記ポートを有し、
前記ハウジング本体が前記発熱体に取り付けられた状態において、前記車両のヒータ(6)に接続される前記ポートは、複数の前記ポートの中で鉛直方向の最も上側に位置しないよう形成されている[D04]または[D05]に記載のバルブ装置。
【1058】
<5>
[E01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記ハウジング本体と一体に形成されたハウジング側固定部(251~256)、前記ハウジング側固定部に形成されたハウジング側締結穴(261~266)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223、224)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)、および、前記弁体内流路と前記弁体の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)を有し、前記弁体開口部を経由した前記弁体内流路と前記ポートとの連通状態を前記弁体の回転位置により変更可能なバルブ(30)と、
内側の空間が前記ポート(221、222、223、224)に連通する筒状のパイプ部(511、512、513、514)、前記パイプ部と一体に形成され前記ハウジング側固定部に固定されるパイプ側固定部(531~536)、および、前記パイプ側固定部に形成されたパイプ側締結穴(541~546)を有するパイプ部材(50)と、
前記パイプ側締結穴を通り前記ハウジング側締結穴に螺合することで前記パイプ側固定部と前記ハウジング側固定部とを固定するパイプ締結部材(540)と、を備え、
前記ハウジング側固定部は、前記ハウジング本体の外壁との間に隙間(Sh1)を形成しているバルブ装置。
【1059】
[E02]
前記ハウジングは、複数の前記ポートを有し、
前記パイプ部材は、互いに連結する複数の前記パイプ部を有し、
複数の前記パイプ部(511~513)のそれぞれに設けられ、前記弁体の外周壁との間を液密に保持可能な複数のシールユニット(35)を備える[E01]に記載のバルブ装置。
【1060】
[E03]
複数の前記パイプ部のそれぞれの径方向外側において前記パイプ部材と前記ハウジング本体との間に設けられ、前記パイプ部材と前記ハウジング本体との間を液密に保持可能なガスケット(509)を備える[E02]に記載のバルブ装置。
【1061】
[E04]
前記ハウジングは、複数の前記ハウジング側締結穴を有し、
前記ポートは、複数の前記ハウジング側締結穴のうち2つの前記ハウジング側締結穴を結ぶ直線(Lo1)上、または、3つの前記ハウジング側締結穴を結んで形成される三角形(To1、To2)の内側に前記ポートの中心が位置するよう形成されている[E01]~[E03]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1062】
[E05]
前記ハウジングは、前記ハウジング本体に前記パイプ部材が取り付けられた状態において前記パイプ部材に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成されたパイプ取付面(202)を有し、
前記ポートは、前記パイプ取付面に開口する3つの出口ポート(221~223)、および、1つのリリーフポート(224)を含み、
前記リリーフポートに設けられ、条件に応じて前記リリーフポートを経由した前記内部空間と前記ハウジング本体の外部との連通を許容または遮断するリリーフ弁(39)を備え、
3つの前記出口ポートのうち少なくとも2つは、それぞれの開口の中心が、前記パイプ取付面上の1つの直線であるポート配列直線(Lp1)上に位置するよう形成され、
前記リリーフポートは、開口の中心が、前記ポート配列直線から離れた位置に位置するよう形成されている[E01]~[E04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1063】
[E06]
前記ポート配列直線の方向から見たとき、3つの前記出口ポートのうち少なくとも2つと、前記リリーフポートとは、一部が重なるよう形成されている[E05]に記載のバルブ装置。
【1064】
[E07]
前記リリーフポートは、開口の中心が、前記ポート配列直線に平行な前記パイプ取付面上の直線であるリリーフ配置直線(Lr1)上に位置するよう形成され、
前記ポート配列直線の方向から見たとき、3つの前記出口ポートのうち少なくとも2つの前記ポート配列直線に対し前記リリーフ配置直線側の部位と、前記リリーフポートの前記リリーフ配置直線に対し前記ポート配列直線側の部位とは、一部が重なるようにして形成されている[E05]または[E06]に記載のバルブ装置。
【1065】
[E08]
前記ハウジングは、複数の前記ハウジング側締結穴を有し、
複数の前記ハウジング側締結穴のうち少なくとも2つは、前記ポート配列直線に対し前記リリーフポート側に位置する直線である締結穴配列直線(Lh1)上に形成され、
前記リリーフポートは、前記締結穴配列直線の一部と重なるよう形成されている[E05]~[E07]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1066】
[E09]
前記パイプ部は、パイプ部本体(501)、および、前記パイプ部本体の前記ポートとは反対側に形成され内径が前記パイプ部本体の内径より大きく外径が前記パイプ部本体の外径より大きいパイプ部端部(502)を有している[E01]~[E08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1067】
[E10]
前記パイプ部は、パイプ部本体(501)、および、前記パイプ部本体の外壁から外側へ突出するパイプ部突起(503)を有している[E01]~[E09]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1068】
[E11]
前記ハウジングは、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)を有し、
前記パイプ部突起は、前記取付面に対し平行な仮想平面(Vp5)上に形成されている[E10]に記載のバルブ装置。
【1069】
[E12]
前記パイプ部材は、複数の前記パイプ部、および、複数の前記パイプ部のハウジング本体側の部位を連結するパイプ連結部(52)を有している[E01]~[E11]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1070】
[E13]
前記ハウジングは、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するハウジング開口部(210)、および、一端が前記ハウジング開口部に接続し前記内部空間を形成する筒状のハウジング内壁(211)を有し、
前記バルブは、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう前記ハウジング開口部に設けられた隔壁部本体(61)、および、前記シャフトの一端を挿通可能なよう前記隔壁部本体に形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)を備え、
前記ハウジング開口部の内径は、前記ハウジング内壁の前記ハウジング開口部とは反対側の端部の内径より大きい[E01]~[E12]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1071】
[E14]
前記ハウジング内壁は、前記ハウジング開口部側から前記ハウジング開口部とは反対側へ向かうに従い内径が小さくなるようテーパ状に形成されている[E13]に記載のバルブ装置。
【1072】
[E15]
前記ハウジングは、複数の前記ポート、および、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)を有し、
複数の前記ポートのうち少なくとも2つは、前記取付面に対し平行な方向へ並ぶよう形成されている[E01]~[E14]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1073】
[E16]
前記パイプ締結部材は、前記ハウジング側締結穴に対しねじ立てしながら螺合可能なタッピングスクリューである[E01]~[E15]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1074】
<6>
[F01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するハウジング開口部(210)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、前記弁体の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体内流路と前記弁体の外側とを接続する弁体開口部(410、420、430)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体開口部を経由した前記弁体内流路と前記ポートとの連通状態を前記弁体の回転位置により変更可能なバルブ(30)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう前記ハウジング開口部に設けられた隔壁部本体(61)、および、前記シャフトの一端を挿通可能なよう前記隔壁部本体に形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、を備え、
前記隔壁部は、前記シャフト挿通穴から外側へ延びて前記隔壁部本体の外壁に開口する隔壁貫通穴(65)を有しているバルブ装置。
【1075】
[F02]
前記ハウジングは、前記ハウジング開口部の内壁から外側へ延びて前記ハウジング本体の外壁に開口し、前記隔壁貫通穴と連通可能に形成されたハウジング貫通穴(270)を有している[F01]に記載のバルブ装置。
【1076】
[F03]
前記隔壁貫通穴に対し前記内部空間側に設けられ、前記シャフトと前記シャフト挿通穴との間を液密に保持可能な第1シール部材(603)と、
前記ハウジング貫通穴に対し前記内部空間側に設けられ、前記隔壁部本体と前記ハウジング開口部の内壁との間を液密に保持可能な第2シール部材(600)と、
をさらに備える[F02]に記載のバルブ装置。
【1077】
[F04]
前記第1シール部材と前記隔壁貫通穴との距離(Ds1)は、前記第2シール部材と前記ハウジング貫通穴との距離(Ds2)より短い[F03]に記載のバルブ装置。
【1078】
[F05]
前記隔壁部は、前記シャフト挿通穴の前記隔壁貫通穴と前記第1シール部材との間において段差を形成する隔壁内側段差面(661)を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジング開口部の内壁の前記ハウジング貫通穴と前記第2シール部材との間において段差を形成するハウジング段差面(281)を有している[F03]または[F04]に記載のバルブ装置。
【1079】
[F06]
前記ハウジング段差面は、前記内部空間側から前記駆動部側へ向かうに従い内径が大きくなるようテーパ状に形成されている[F05]に記載のバルブ装置。
【1080】
[F07]
前記ハウジングは、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)を有し、
前記ハウジング貫通穴は、前記取付面に開口している[F02]~[F06]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1081】
[F08]
前記ハウジングが前記発熱体に取り付けられた状態において、前記隔壁貫通穴は、前記シャフトに対し鉛直方向下側に位置する[F02]~[F07]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1082】
[F09]
前記ハウジングが前記発熱体に取り付けられた状態において、前記ハウジング貫通穴は、前記シャフトに対し鉛直方向下側に位置する[F02]~[F08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1083】
[F10]
前記隔壁貫通穴と前記ハウジング貫通穴とは、互いに断面積が異なる[F02]~[F09]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1084】
[F11]
前記隔壁貫通穴と前記ハウジング貫通穴とは、前記シャフト挿通穴の軸(Axh1)方向において互いの軸の位置が異なる[F02]~[F10]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1085】
[F12]
前記隔壁部は、前記隔壁部本体の外壁の前記隔壁貫通穴と前記ハウジング貫通穴との間において段差を形成する隔壁外側段差面(671)を有している[F11]に記載のバルブ装置。
【1086】
[F13]
前記シャフト挿通穴の前記隔壁貫通穴に対し前記駆動部側に設けられ、前記シャフトの一端を軸受けする軸受部(602)をさらに備える[F02]~[F12]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1087】
[F14]
前記シャフト挿通穴は、内側に前記軸受部が設けられる小径部(621)、前記小径部より内径が大きく前記隔壁貫通穴が開口する大径部(622)、および、前記小径部と前記大径部との間に形成された挿通穴内段差面(623)を有している[F13]に記載のバルブ装置。
【1088】
[F15]
前記隔壁部は、前記隔壁貫通穴の一端と他端との間において段差を形成する隔壁貫通穴内段差面(651)を有している[F02]~[F14]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1089】
[F16]
前記隔壁貫通穴および前記ハウジング貫通穴は、それぞれの軸が、前記シャフト挿通穴の軸に対し直交しないよう形成されている[F02]~[F15]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1090】
[F17]
前記隔壁貫通穴は、前記シャフト挿通穴の径方向内側から径方向外側へ向かうに従い、その断面積が徐々に大きくなるよう形成されている[F01]~[F16]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1091】
[F18]
前記ハウジングが前記発熱体に取り付けられた状態において、前記隔壁貫通穴は、前記シャフトの下側に位置する[F02]~[F07]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1092】
[F19]
前記ハウジングが前記発熱体に取り付けられた状態において、前記ハウジング貫通穴は、前記シャフトの下側に位置する[F02]~[F07]、[F18]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1093】
[F20]
前記シャフトの軸の真下方向を0度とすると、前記隔壁貫通穴は、前記シャフトの周方向の0~80度の範囲に形成されている[F18]に記載のバルブ装置。
【1094】
[F21]
前記シャフトの軸の真下方向を0度とすると、前記ハウジング貫通穴は、前記シャフトの周方向の0~80度の範囲に形成されている[F19]に記載のバルブ装置。
【1095】
[F22]
前記ハウジングは、前記発熱体に取り付けられた状態において前記発熱体に対向するよう前記ハウジング本体の外壁に形成された取付面(201)を有し、
前記ハウジング貫通穴は、前記取付面側に開口している[F02]~[F06]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1096】
[F23]
前記シャフト挿通穴に設けられ、内縁部が前記シャフトの外周壁に当接可能な環状のシール部環状部材(97)、および、前記シール部環状部材より柔らかく内縁部が前記シャフトの外周壁に当接し前記シャフトとの間を液密に保持可能な環状のシャフトシール部材(98)を有するシャフトシール部(96)をさらに備える[F01]~[F22]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1097】
[F24]
前記シャフトシール部は、前記シール部環状部材より硬く前記シャフト挿通穴において前記シール部環状部材および前記シャフトシール部材を保持可能なシール部保持部材(99)をさらに有する[F23]に記載のバルブ装置。
【1098】
[F25]
前記シール部環状部材は、樹脂により形成され、
前記シャフトシール部材は、ゴムにより形成され、
前記シール部保持部材は、金属により形成されている[F24]に記載のバルブ装置。
【1099】
[F26]
前記シャフトシール部材は、前記シール部環状部材と前記シャフトの外周壁との当接箇所に対し前記弁体側において前記シャフトの外周壁に当接する第1シャフトシール部材(981)、および、前記シール部環状部材と前記シャフトの外周壁との当接箇所に対し前記駆動部側において前記シャフトの外周壁と当接する第2シャフトシール部材(982)を有する[F23]~[F25]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1100】
<7>
[G01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223、224)、前記ハウジング本体の外壁から突出するよう前記ハウジング本体とは異なる部位として形成されたハウジング側カバー固定部(291~296)、および、前記ハウジング側カバー固定部に形成されたハウジング側カバー締結穴(290)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体の回転位置により前記ポートを開閉可能なバルブ(30)と、
内側の空間が前記ポート(221、222、223、224)に連通する筒状のパイプ部(511、512、513、514)を有し、前記ハウジング本体に取り付けられたパイプ部材(50)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう設けられ、前記シャフトの一端を挿通可能なよう形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記隔壁部との間に駆動部空間(800)を形成するカバー本体(81)、前記カバー本体の外壁から突出するよう前記カバー本体とは異なる部位として形成されたカバー固定部(821~826)、および、前記カバー固定部に形成されたカバー締結穴(831~836)を有する駆動部カバー(80)と、
前記駆動部空間に設けられ、前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、
前記カバー締結穴を通り前記ハウジング側カバー締結穴に螺合することで前記カバー固定部と前記ハウジング側カバー固定部とを固定する固定部材(830)と、を備え、
前記ハウジング側カバー固定部は、前記ハウジング本体の外壁から突出するカバー固定基部(298)、および、前記カバー固定基部から前記カバー固定部側へ突出し前記カバー固定部に固定されるカバー固定突出部(299)を有し、
前記パイプ部材の少なくとも一部は、前記カバー固定基部に対し前記カバー固定突出部とは反対側に位置しているバルブ装置。
【1101】
[G02]
前記カバー固定突出部は、前記カバー本体の外壁との間に隙間(Sc1)を形成している[G01]に記載のバルブ装置。
【1102】
[G03]
前記ハウジング側カバー締結穴の軸方向の長さは、前記ハウジング側カバー締結穴の軸方向における前記カバー固定基部の長さと前記カバー固定突出部の長さとを合わせた長さより短い[G01]または[G02]に記載のバルブ装置。
【1103】
[G04]
前記ハウジング側カバー締結穴の内側における前記固定部材の軸方向の長さは、前記ハウジング側カバー締結穴の軸方向の長さより短い[G03]に記載のバルブ装置。
【1104】
[G05]
前記固定部材は、前記ハウジング側カバー締結穴に対しねじ立てしながら螺合可能なタッピングスクリューである[G01]~[G04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1105】
<8>
[H01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するハウジング開口部(210)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体の回転位置により前記ポートを開閉可能なバルブ(30)と、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう前記ハウジング開口部に設けられた隔壁部本体(61)、および、前記シャフトの一端を挿通可能なよう前記隔壁部本体に形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)と、
前記隔壁部に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、を備え、
前記バルブは、前記弁体に形成された被規制部(332、342)を有し、
前記隔壁部は、前記シャフト挿通穴の径方向外側において前記隔壁部本体の前記内部空間側の面から前記駆動部側へ凹む環状の規制凹部(63)、前記規制凹部の周方向の一部に形成され前記被規制部に当接することで前記弁体の回転を規制可能な規制部(631)、および、前記規制凹部の底面(630)から前記駆動部側へ凹む異物堆積部(68)を有しているバルブ装置。
【1106】
[H02]
前記規制凹部は、径方向内側に形成された筒状の壁面である内筒壁面(632)、および、径方向外側に形成された筒状の壁面である外筒壁面(633)を有している[H01]に記載のバルブ装置。
【1107】
[H03]
前記異物堆積部は、前記規制凹部の底面(630)の少なくとも一部に対し前記外筒壁面側に形成されている[H02]に記載のバルブ装置。
【1108】
[H04]
前記規制凹部の底面(630)は、前記内筒壁面側から前記外筒壁面側へ向かうに従い前記駆動部に近付くようテーパ状に形成されている[H02]または[H03]に記載のバルブ装置。
【1109】
[H05]
前記内筒壁面は、前記被規制部と摺動することで前記弁体の回転を案内可能である[H02]~[H04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1110】
[H06]
前記規制部は、前記内筒壁面から前記外筒壁面まで延びるよう形成されている[H02]~[H05]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1111】
[H07]
前記規制凹部の径方向における前記規制部の長さは、前記規制凹部の径方向における前記異物堆積部の長さより大きい[H06]に記載のバルブ装置。
【1112】
[H08]
前記バルブは、前記弁体から前記駆動部側へ筒状に延びる弁体筒部(315)を有し、
前記弁体筒部の先端部は、前記内筒壁面の径方向外側に位置している[H02]~[H07]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1113】
[H09]
前記バルブは、前記弁体筒部に形成され前記内筒壁面との間にラビリンス状の空間(Sr1)を形成可能なラビリンス形成部(316)を有している[H08]に記載のバルブ装置。
【1114】
[H10]
前記ラビリンス形成部は、前記弁体筒部の先端部から径方向内側へ向かって突出するよう形成されている[H09]に記載のバルブ装置。
【1115】
[H11]
前記弁体筒部は、前記規制凹部の径方向において前記規制部に対し前記内筒壁面側に位置するよう形成されている[H08]~[H10]請求項8~10のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1116】
[H12]
前記異物堆積部は、前記シャフト挿通穴の軸に垂直な断面においてC字状に形成されている[H01]~[H11]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1117】
[H13]
前記隔壁部は、前記シャフト挿通穴から外側へ延びて前記隔壁部本体の外壁に開口する隔壁貫通穴(65)を有し、
前記隔壁貫通穴は、前記異物堆積部の周方向の端部間に形成されている[H12]に記載のバルブ装置。
【1118】
[H14]
前記規制凹部の底面は、前記異物堆積部の周方向の端部間において、径方向外側へ向かうに従い周方向の長さが大きくなるよう形成されている[H12]または[H13]に記載のバルブ装置。
【1119】
[H15]
前記規制部は、前記規制凹部の底面上を径方向外側へ向かって延びるよう形成されている[H01]~[H14]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1120】
[H16]
前記規制部は、前記規制凹部の径方向外側へ向かうに従い周方向の長さが大きくなるよう形成されている[H15]に記載のバルブ装置。
【1121】
[H17]
前記ハウジングが前記発熱体に取り付けられた状態において、前記異物堆積部は、前記弁体の下側に位置する[H01]~[H16]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1122】
<9>
[I01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、前記弁体の回転位置により前記ポートを開閉可能なバルブ(30)と、
前記内部空間を形成する前記ハウジング本体の内壁のうち前記シャフトの端部に対向する内壁である対向内壁(213)から筒状に延び内側で前記シャフトの端部を軸受け可能な軸受部本体(91)、および、前記軸受部本体の内周壁と外周壁とを接続するよう形成された軸受部流路(92)を有するシャフト軸受部(90)と、
を備えるバルブ装置。
【1123】
[I02]
前記軸受部流路は、前記軸受部本体の前記対向内壁側の部位から前記対向内壁とは反対側の端部まで延びるよう形成されている[I01]に記載のバルブ装置。
【1124】
[I03]
前記弁体は、内側に前記シャフトの端部および前記軸受部本体が位置するよう形成された弁体端部穴部(314)を有している[I01]または[I02]に記載のバルブ装置。
【1125】
[I04]
前記シャフト軸受部は、前記軸受部本体の内側に設けられ内側で前記シャフトの端部を軸受け可能な筒状の内側軸受部(93)を有している[I01]~[I03]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1126】
[I05]
前記弁体は、内側に前記シャフトの端部および前記軸受部本体が位置するよう形成された弁体端部穴部(314)を有し、
前記シャフト軸受部は、前記軸受部本体の内側に設けられ内側で前記シャフトの端部を軸受け可能な筒状の内側軸受部(93)を有し、
前記弁体端部穴部の内径と前記軸受部本体の外径との差は、前記軸受部本体の内径と前記シャフトの端部の外径との差より小さい[I01]または[I02]に記載のバルブ装置。
【1127】
[I06]
前記ハウジングが前記発熱体に取り付けられた状態において、前記シャフト軸受部は、前記対向内壁の下側に位置する[I01]~[I05]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1128】
<10>
[J01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成する筒状のハウジング内壁(211)が形成されたハウジング本体(21)、前記ハウジング内壁に開口し前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するポート(220、221、222、223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において前記ハウジング内壁の軸(Axn1)に沿う回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成された弁体開口部(410、420、430)を有し、前記弁体の回転位置により前記ポートを開閉可能なバルブ(30)と、を備え、
前記ハウジング内壁は、軸からの距離が周方向で異なるよう形成されているバルブ装置。
【1129】
[J02]
前記弁体は、前記回転軸から外周壁までの距離が周方向で同じになるよう形成されている[J01]に記載のバルブ装置。
【1130】
[J03]
前記ハウジング内壁は、軸に垂直な断面において非真円となるよう形成されている[J01]または[J02]に記載のバルブ装置。
【1131】
[J04]
前記ハウジング内壁は、軸に垂直な断面において多角形となるよう形成されている[J03]に記載のバルブ装置。
【1132】
[J05]
「前記弁体の外径が最も大きい部分を含み、かつ、前記ハウジング内壁の軸に垂直な断面」において、前記弁体の外周壁と前記ハウジング内壁との距離は、周方向で異なる[J01]~[J04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1133】
[J06]
「前記ハウジング内壁のうち前記ポートが開口している部分以外の部分、および、前記弁体のうち前記弁体開口部が形成されている部分以外の部分を含み、かつ、前記ハウジング内壁の軸に垂直な断面」において、前記弁体の外周壁と前記ハウジング内壁との距離は、周方向で異なる[J01]~[J05]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1134】
[J07]
前記ハウジングは、前記ハウジング内壁に開口し前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するリリーフポート(224)を有し、
前記リリーフポートに設けられ、条件に応じて前記リリーフポートを開閉するリリーフ弁(39)をさらに備える[J01]~[J06]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1135】
[J08]
前記弁体の外周壁と摺動可能なよう前記ポートに対応する位置に設けられ、前記弁体の外周壁との間を液密に保持可能な環状のバルブシール(36)をさらに備え、
「前記バルブシールを含み、かつ、前記ハウジング内壁の軸に垂直な断面」において、前記弁体の外周壁と前記ハウジング内壁との距離は、周方向で異なる[J01]~[J07]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1136】
[J09]
前記ハウジングは、内周面が前記ハウジング内壁の軸方向の端部に接続し前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するハウジング開口部(210)を有し、
前記バルブは、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有し、
前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを隔てるよう前記ハウジング開口部に設けられた隔壁部本体(61)、および、前記シャフトの一端を挿通可能なよう前記隔壁部本体に形成されたシャフト挿通穴(62)を有する隔壁部(60)と、
前記隔壁部本体に対し前記内部空間とは反対側に設けられ、前記シャフトの一端を経由して前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、
前記ハウジング開口部と前記隔壁部本体との間に設けられ、前記ハウジング開口部と前記隔壁部本体との間を液密に保持可能な環状シール部材(600)と、をさらに備え、
前記ハウジング開口部の内周面は、円筒状に形成されている[J01]~[J08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1137】
<11>
[K01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内側に内部空間(200)を形成するハウジング本体(21)、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続し冷却水が流入する入口ポート(220)、および、前記内部空間と前記ハウジング本体の外部とを接続するリリーフポート(224)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)、および、前記回転軸に設けられたシャフト(32)を有するバルブ(30)と、
前記リリーフポートに設けられ、条件に応じて開弁または閉弁し、前記リリーフポートを経由した前記内部空間と前記ハウジング本体の外部との連通を許容または遮断するリリーフ弁(39)と、
前記入口ポートから前記リリーフ弁が目視できないよう前記リリーフ弁を遮蔽可能な遮蔽部(95)と、
を備えるバルブ装置。
【1138】
[K02]
前記遮蔽部は、前記シャフトに対し前記リリーフポート側に位置するよう前記ハウジング本体に設けられている[K01]に記載のバルブ装置。
【1139】
[K03]
前記遮蔽部は、前記シャフトに対し前記入口ポート側に位置するよう前記ハウジング本体に設けられている[K01]に記載のバルブ装置。
【1140】
[K04]
前記遮蔽部は、前記入口ポートの軸方向または前記リリーフポートの軸方向に前記入口ポート、前記リリーフ弁および前記遮蔽部を投影したとき、前記入口ポートの投影と前記リリーフ弁の投影とが重なる部分の面積以上の面積の投影となるよう形成されている[K01]~[K03]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1141】
[K05]
前記遮蔽部の前記バルブ側の面(951)は、前記内部空間を形成する前記ハウジング本体の内壁(211)の形状にならう形状となるよう形成されている[K01]~[K04]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1142】
[K06]
前記遮蔽部は、板状に形成され、板厚が均一である[K01]~[K05]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1143】
<12>
[L01]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内部空間(200)、前記内部空間に接続し前記車両のラジエータ(5)に接続されるラジエータポート(221)、前記内部空間に接続し前記車両のヒータ(6)に接続されるヒータポート(222)、および、前記内部空間に接続し前記車両のデバイス(7)に接続されるデバイスポート(223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)を有し、前記弁体の回転位置により前記ラジエータポート、前記ヒータポートまたは前記デバイスポートを開閉可能なバルブ(30)と、
前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、
前記駆動部の作動を制御し前記弁体の回転駆動を制御することで、前記ラジエータポートと前記ラジエータとの間、前記ヒータポートと前記ヒータとの間、および、前記デバイスポートと前記デバイスとの間の冷却水の流れを制御可能な制御部(8)と、を備え、
前記制御部は、前記弁体が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、前記ラジエータポート、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートの全ての開度が所定開度になった後、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートが閉じ、前記ラジエータポートのみ開度が前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能であるバルブ装置。
【1144】
[L02]
前記制御部は、前記弁体が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、前記ラジエータポート、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートの全ての開度が前記所定開度になった後、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートが前記ヒータポート、前記デバイスポートの順で閉じるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である[L01]に記載のバルブ装置。
【1145】
[L03]
前記制御部は、前記弁体が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、前記ラジエータポート、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートの全ての開度が前記所定開度になった後、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートが前記デバイスポート、前記ヒータポートの順で閉じるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である[L01]に記載のバルブ装置。
【1146】
[L04]
前記制御部は、前記弁体が回転方向の一方側に回転駆動するに従い、前記ラジエータポート、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートの全ての開度が前記所定開度になった後、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートが同時に閉じるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である[L01]に記載のバルブ装置。
【1147】
[L05]
車両(1)の発熱体(2)の冷却水を制御可能なバルブ装置(10)であって、
内部空間(200)、前記内部空間に接続し前記車両のラジエータ(5)に接続されるラジエータポート(221)、前記内部空間に接続し前記車両のヒータ(6)に接続されるヒータポート(222)、および、前記内部空間に接続し前記車両のデバイス(7)に接続されるデバイスポート(223)を有するハウジング(20)と、
前記内部空間内において回転軸(Axr1)周りに回転可能な弁体(31)を有し、前記弁体の回転位置により前記ラジエータポート、前記ヒータポートまたは前記デバイスポートを開閉可能なバルブ(30)と、
前記弁体を回転駆動可能な駆動部(70)と、
前記駆動部の作動を制御し前記弁体の回転駆動を制御することで、前記ラジエータポートと前記ラジエータとの間、前記ヒータポートと前記ヒータとの間、および、前記デバイスポートと前記デバイスとの間の冷却水の流れを制御可能な制御部(8)と、を備え、
前記制御部は、
車両環境および/または車両状態に応じて、前記弁体を回転方向の基準位置に対し一方側において回転させる通常モード、あるいは他方側において回転させる冷却優先モードで前記弁体を回転駆動し、
前記通常モードの前記弁体の特定の回転位置において、前記ラジエータポートのみ開度が所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能であるバルブ装置。
【1148】
[L06]
前記制御部は、前記通常モードと前記冷却優先モードの両側において、前記ラジエータポートが前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である[L05]に記載のバルブ装置。
【1149】
[L07]
前記制御部は、前記ラジエータポート、前記ヒータポートまたは前記デバイスポートの開度がそれぞれ単独で前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である[L06]に記載のバルブ装置。
【1150】
[L08]
前記制御部は、前記通常モードにおいて、前記ラジエータポート、前記ヒータポートおよび前記デバイスポートの全ての開度が前記所定開度になるよう前記駆動部および前記弁体を制御可能である[L05]~[L07]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1151】
[L09]
前記所定開度は、60%以上に設定されている[L01]~[L08]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1152】
[L10]
前記弁体は、外周壁または内周壁が球面状または円筒状に形成され、
前記バルブは、前記弁体の内周壁の内側に形成された弁体内流路(300)、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され前記弁体の回転位置により前記ラジエータポートとの重合割合であるラジエータ重合割合が変化するラジエータ用開口部(410)、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され前記弁体の回転位置により前記ヒータポートとの重合割合であるヒータ重合割合が変化するヒータ用開口部(420)、および、前記弁体の外周壁と内周壁とを接続するよう形成され前記弁体の回転位置により前記デバイスポートとの重合割合であるデバイス重合割合が変化するデバイス用開口部(430)を有している[L01]~[L09]のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【1153】
[L11]
前記ラジエータ重合割合が0より大きいとき、前記ラジエータポートが開き、前記ラジエータ用開口部および前記ラジエータポートを経由して前記弁体内流路と前記ラジエータとが連通し、
前記ヒータ重合割合が0より大きいとき、前記ヒータポートが開き、前記ヒータ用開口部および前記ヒータポートを経由して前記弁体内流路と前記ヒータとが連通し、
前記デバイス重合割合が0より大きいとき、前記デバイスポートが開き、前記デバイス用開口部および前記デバイスポートを経由して前記弁体内流路と前記デバイスとが連通する[L10]に記載のバルブ装置。
【符号の説明】
【1154】
<1>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、21 ハウジング本体、220 入口ポート(ポート)、30 バルブ、240 締結部材、241 締結穴(第1締結穴)、242 締結穴(第2締結穴)、243 締結穴(第3締結穴)、Ti1 三角形
【1155】
<2>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、21 ハウジング本体、200 内部空間、210 ハウジング開口部、30 バルブ、32 シャフト、60 隔壁部、70 駆動部、80 駆動部カバー、800 駆動部空間
【1156】
<3>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、31 弁体、36 バルブシール、Axr1 回転軸、300 弁体内流路、Vp1 仮想平面、33 第1分割体、34 第2分割体、331、341 接合面、110 第1型、120 第2型、180 外側型、160 第1内側型(内側型)、170 第2内側型(内側型)
【1157】
<4>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、60 隔壁部、80 駆動部カバー、70 駆動部、81 カバー本体、21 ハウジング本体、821~826 カバー固定部
【1158】
<5>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、50 パイプ部材、540 パイプ締結部材、541~546 パイプ側締結穴、261~266 ハウジング側締結穴、531~536 パイプ側固定部、531~536 ハウジング側固定部、21 ハウジング本体、Sh1 ハウジング間隙間(隙間)
【1159】
<6>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、60 隔壁部、70 駆動部、62 シャフト挿通穴、61 隔壁部本体、65 隔壁貫通穴、200 内部空間
【1160】
<7>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、50 パイプ部材、60 隔壁部、80 駆動部カバー、70 駆動部、830 固定部材、21 ハウジング本体、291~296 ハウジング側カバー固定部、290 ハウジング側カバー締結穴、81 カバー本体、821~826 カバー固定部、831~836 カバー締結穴、298 カバー固定基部、299 カバー固定突出部
【1161】
<8>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、60 隔壁部、70 駆動部、332 第1規制凸部(被規制部)、342 第2規制凸部(被規制部)、63 規制凹部、631 規制部、630 底面、68 異物堆積部
【1162】
<9>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、90 シャフト軸受部、213 対向内壁、91 軸受部本体、92 軸受部流路
【1163】
<10>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、21 ハウジング本体、211 ハウジング内壁、31 弁体
【1164】
<11>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、39 リリーフ弁、95 遮蔽部、21 ハウジング本体、220 入口ポート、224 リリーフポート
【1165】
<12>
1 車両、2 エンジン(発熱体)、10 バルブ装置、20 ハウジング、30 バルブ、70 駆動部、8 ECU(制御部)