(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/04 20060101AFI20240214BHJP
F04B 45/047 20060101ALI20240214BHJP
F04B 53/08 20060101ALI20240214BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F04B43/04 B
F04B45/047 C
F04B53/08 E
F04B39/06 A
(21)【出願番号】P 2023500911
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2022006291
(87)【国際公開番号】W WO2022176932
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021025858
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 友徳
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038565(WO,A1)
【文献】特開平7-301182(JP,A)
【文献】特開2006-336641(JP,A)
【文献】特開2016-200067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/04
F04B 45/047
F04B 53/08
F04B 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子の駆動によって振動する振動板が内部の空間に配置された筐体と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の一方主面と前記筐体によって囲まれた第1空間に連通する吸入口と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の他方主面と前記筐体によって囲まれた第2空間に連通する吐出口と、をそれぞれに備えた第1圧電ポンプおよび第2圧電ポンプと、
前記第1圧電ポンプの吐出口と前記第2圧電ポンプの吸入口とを連通させる接続管と、
を備え、
前記第1圧電ポンプと前記第2圧電ポンプとは、
前記第1圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面と、前記第2圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面とが対向するように、配置さ
れ、
前記第1圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、第1空間側の壁よりも高い熱伝導性を有し、
前記第2圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、第1空間側の壁よりも高い熱伝導性を有する、
ポンプ装置。
【請求項2】
前記第1圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、金属であり、
前記第1圧電ポンプの筐体における第1空間側の壁は、樹脂であり、
前記第2圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、金属であり、
前記第2圧電ポンプの筐体における第1空間側の壁は、樹脂である、
請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
圧電素子の駆動によって振動する振動板が内部の空間に配置された筐体と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の一方主面と前記筐体によって囲まれた第1空間に連通する吸入口と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の他方主面と前記筐体によって囲まれた第2空間に連通する吐出口と、をそれぞれに備えた第1圧電ポンプおよび第2圧電ポンプと、
前記第1圧電ポンプの吐出口と前記第2圧電ポンプの吸入口とを連通させる接続管と、
前記筐体よりも熱伝導性の高い熱伝導部材と、
を備え、
前記第1圧電ポンプと前記第2圧電ポンプとは、
前記第1圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面と、前記第2圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面とが対向するように、配置され、
前記熱伝導部材は、
前記第1圧電ポンプの第1空間側の外壁面と前記第2圧電ポンプの第1空間側の外壁面とによって挟持される、
ポンプ装置。
【請求項4】
圧電素子の駆動によって振動する振動板が内部の空間に配置された筐体と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の一方主面と前記筐体とによって囲まれた第1空間に連通する吸入口と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の他方主面と前記筐体とによって囲まれた第2空間に連通する吐出口と、をそれぞれに備えた第1圧電ポンプおよび第2圧電ポンプと、
前記第1圧電ポンプの吐出口と前記第2圧電ポンプの吸入口とを連通させる接続管と、
前記筐体よりも熱伝導性の高い熱伝導部材と、
を備え、
前記第1圧電ポンプと前記第2圧電ポンプとは、
前記第1圧電ポンプの筐体における第2空間側の外壁面と、前記第
2圧電ポンプの筐体における第2空間側の外壁面とが対向するように、配置され、
前記熱伝導部材は、
前記第1圧電ポンプの第2空間側の外壁面と前記第2圧電ポンプの第2空間側の外壁面とによって挟持される、
ポンプ装置。
【請求項5】
前記第1圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、第1空間側の壁よりも高い熱伝導性を有し、
前記第2圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、第1空間側の壁よりも高い熱伝導性を有する、
請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記第1圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、金属であり、
前記第1圧電ポンプの筐体における第1空間側の壁は、樹脂であり、
前記第2圧電ポンプの筐体における第2空間側の壁は、金属であり、
前記第2圧電ポンプの筐体における第1空間側の壁は、樹脂である、
請求項5に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記熱伝導部材は、金属板である、
請求項3乃至
請求項6のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記熱伝導部材の面積は、前記第1圧電ポンプにおける前記熱伝導部材側の外壁面の面積、および、前記第
2圧電ポンプにおける前記熱伝導部材側の外壁面の面積よりも大きい、
請求項3乃至
請求項7のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記熱伝導部材は、
前記第2圧電ポンプの吐出口から吐出される流体が当たる形状である、
請求項3乃至
請求項8のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項10】
圧電素子の駆動によって振動する振動板が内部の空間に配置された筐体と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の一方主面と前記筐体によって囲まれた第1空間に連通する吸入口と、前記筐体の内部の空間における前記振動板の他方主面と前記筐体によって囲まれた第2空間に連通する吐出口と、をそれぞれに備えた第1圧電ポンプおよび第2圧電ポンプと、
前記第1圧電ポンプの吐出口と前記第2圧電ポンプの吸入口とを連通させる接続管と、
を備え、
前記第1圧電ポンプと前記第2圧電ポンプとは、
前記第1圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面と、前記第2圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面とが対向するように、配置され、
前記接続管は、前記筐体よりも熱伝導性が高い、
ポンプ装置。
【請求項11】
前記接続管は、金属である、
請求項10に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のポンプを接続したポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬液等の液体を噴霧するネブライザが記載されている。特許文献1に記載のネブライザは、噴霧のための駆動部として、超音波振動子を備える。
【0003】
このようなネブライザに対して、駆動部として、圧電ポンプを採用することが可能である。そして、所定の噴霧性能を実現するため、複数の圧電ポンプを用いることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、圧電ポンプは、駆動時に発熱するので、放熱機構を用いることが好ましい。特に、ネブライザ等の圧電ポンプを装着する装置を小型化する場合、複数の圧電ポンプの配置領域を省スペースにすることが望ましい。
【0006】
したがって、本発明の目的は、複数の圧電ポンプを省スペースに配置しながら、複数の圧電ポンプを効果的に放熱する構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のポンプ装置は、第1圧電ポンプ、第2圧電ポンプ、および、接続管を備える。第1圧電ポンプおよび第2圧電ポンプは、圧電素子の駆動によって振動する振動板が内部の空間に配置された筐体と、筐体の内部の空間における振動板の一方主面と筐体によって囲まれた第1空間に連通する吸入口と、筐体の内部の空間における振動板の他方主面と筐体とによって囲まれた第2空間に連通する吐出口と、をそれぞれに備える。接続管は、第1圧電ポンプの吐出口と第2圧電ポンプの吸入口とを連通させる。
【0008】
第1圧電ポンプと第2圧電ポンプとは、第1圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面と、第2圧電ポンプの筐体における第1空間側の外壁面とが対向するように、配置される。
【0009】
この構成では、第1圧電ポンプと第2圧電ポンプとを、その筐体同士が近接するように配置しても、第1圧電ポンプの筐体と第2圧電ポンプの筐体における高温側の部分が対向せず、離間される。したがって、第1圧電ポンプの筐体からの熱と第2圧電ポンプの筐体からの熱とは、放散され易い。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数の圧電ポンプを省スペースに配置しながら、効果的に放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る圧電ポンプの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る圧電ポンプにおける流体の流れを示す側断面の概略図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【
図6】
図6は、第4の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【
図7】
図7は、第5の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。なお、本実施形態を含む各実施形態に示す図は、ポンプ装置の構成を分かり易くするため、それぞれの構成要素の形状を部分的または全体として誇張して記載している。
【0013】
図1に示すように、ポンプ装置1は、圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、接続管80を備える。圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bは、同じ構成を備える。圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、接続管80によって、流体の流れに対して直列に接続される。圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとの組が、本発明の「第1圧電ポンプ」と「第2圧電ポンプ」の組に対応する。
【0014】
(圧電ポンプの構成例)
図2は、第1の実施形態に係る圧電ポンプの分解斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る圧電ポンプにおける流体の流れを示す側断面の概略図である。なお、
図2、
図3では、圧電ポンプ10A、10Bに代えて、圧電ポンプ10として説明する。
【0015】
圧電ポンプ10は、ポンプ本体20、ベース筐体30、および、蓋部材40を備える。ベース筐体30と蓋部材40とによって、本発明の「筐体」が構成される。
【0016】
ポンプ本体20は、振動板211、枠体212、支持部213、および、圧電素子22を備える。振動板211は、平面視して円形である。枠体212は、振動板211の外周縁を囲む形状であり、振動板211の外周縁から離間する位置に配置される。支持部213は、振動板211と枠体212との間に配置される。支持部213は、梁形状であり、枠体212に対して振動板211を振動可能に支持する。
【0017】
圧電素子22は、円板状の圧電体と駆動用電極とを備える。圧電素子22は、振動板211における一方主面に設置される。圧電素子22には、駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252によって、駆動信号が印加される。
【0018】
ベース筐体30は、主部材31、吸入側ノズル321、吐出側ノズル322、および、端子載置部35を備える。主部材31、吸入側ノズル321、吐出側ノズル322、および、端子載置部35は、例えば、絶縁性の樹脂材料によって一体成型されている。
【0019】
主部材31は、底壁311と側壁312とを備える。主部材31は、底壁311と側壁312とによって囲まれる凹部33を備える。凹部33は、平面視した中央の凹部333、その外周に配置される凹部332、さらにその外周に配置され、側壁312の内縁に接する凹部331からなる。凹部333は、凹部332よりも深く、凹部332は、凹部331よりも深い。
【0020】
吸入側ノズル321および吐出側ノズル322は、主部材31の側壁312の外面に取り付けられている。吸入側ノズル321に設けられた吸入口3210は、側壁312を厚み方向に貫通する貫通孔を通じて、主部材31の凹部333に連通する。吐出側ノズル322に設けられた吐出口3220は、側壁312を厚み方向に貫通する貫通孔を通じて、凹部332に連通する。
【0021】
端子載置部35は、主部材31の側壁312の外面における吸入側ノズル321および吐出側ノズル322が接続される位置と異なる位置に配置される。端子載置部35は、主部材31の側壁312から外方に突出する形状である。端子載置部35には、駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252の一方端が載置される。この駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252における端子載置部35に載置される部分が、外部からの駆動信号の供給部となる。
【0022】
蓋部材40は、平板であり、例えば、金属からなる。蓋部材40の外形形状は、ベース筐体30の側壁312の内側の形状、すなわち、凹部331の外形形状と略同じである。なお、蓋部材40は、ベース筐体30よりも熱伝導率が高ければ、金属以外の材料であってもよい。また、蓋部材40の熱伝導率がベース筐体30の熱伝導率よりも高ければ、蓋部材40の全てが金属で、ベース筐体30の全てが樹脂でなくてもよい。例えば、蓋部材40とベース筐体30とがそれぞれに金属部と樹脂部とを備えていても、蓋部材40の熱伝導率がベース筐体30の熱伝導率よりも高ければよい。ただし、蓋部材40は、全てが金属であることによって、放熱効率がより向上し、有効である。
【0023】
ポンプ本体20は、ベース筐体30の凹部332に嵌め込まれる。この際、枠体212が凹部332の表面に当接し、振動板211および支持部213は、凹部332に当接しない。すなわち、振動板211および支持部213と凹部331の表面との間には、
図3に示すように、吸引側空間101が形成される。吸引側空間101が、本発明の「第1空間」に対応する。
【0024】
蓋部材40は、ベース筐体30の凹部331にはめ込まれる。この際、凹部332の高さが調整されていることによって、蓋部材40とポンプ本体20の振動板211および支持部213との間には、
図3に示すように、吐出側空間102が形成される。吐出側空間102が、本発明の「第2空間」に対応する。
【0025】
このような構成によって、ポンプ本体20は、振動板211が振動可能な状態で、筐体の内部空間内に配置される。そして、筐体における吸引側空間101側の外壁面が吸入側外壁面130となり、吐出側空間102側の外壁面が吐出側外壁面140となる。
【0026】
このような構成の圧電ポンプ10に対して、駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252によって駆動信号が印加されることで、圧電素子22の圧電体がひずみ、振動板211がベンディング振動する。このベンディング振動によって、主として吸引側空間101の圧力分布が変化する。
【0027】
これにより、
図3の太矢印に示すように、流体(例えば、空気)は、吸入側ノズル321の吸入口3210から、吸引側空間101に流入する。吸引側空間101に流入した流体は、支持部213の間の連通口103を通じて、吐出側空間102に搬送される。吐出側空間102に搬送された流体は、吐出側ノズル322の吐出口3220に搬出され、外部に吐出される。
【0028】
この際、圧電素子22の駆動によって、圧電素子22が発熱し、筐体の内部空間の温度が上昇する。特に、流体の搬送方向の下流側となる吐出側空間102の温度は大きく上昇し易い。
【0029】
(圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bの構成)
図1に示すように、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、接続管80によって接続される。より具体的には、圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bとは、接続管80によって接続される。圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aの吐出口と、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bの吸入口とは、接続管80の空洞を通じて連通する。
【0030】
この構成において、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bを駆動する。これにより、圧電ポンプ10Aの吸入側ノズル321Aの吸入口から流体が、圧電ポンプ10Aに吸入される。圧電ポンプ10Aは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aの吐出口から接続管80に吐出する。接続管80に吐出された流体は、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bの吸入口から、圧電ポンプ10Bに吸入される。圧電ポンプ10Bは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Bの吐出側ノズル322Bの吐出口から外部に吐出する。
【0031】
このような構成によって、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとによって流体が搬送されるので、圧電ポンプ10Aまたは圧電ポンプ10Bを単体で用いるよりも、大きな流量および圧力を実現できる。
【0032】
(圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとの配置態様)
図3を参照し、
図1に示すように、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bは、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとが対向するように、配置される。より具体的には、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとが対向、近接し、且つ、互いに略平行になるように、配置される。
【0033】
言い換えれば、圧電ポンプ10Aは、吐出側外壁面140Aが圧電ポンプ10B側と反対側を向くように配置される。圧電ポンプ10Bは、吐出側外壁面140Bが圧電ポンプ10A側と反対側を向くように配置される。
【0034】
上述のように、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bは、吐出側空間102の温度が上昇し易い。したがって、上述のような圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとの配置を用いることによって、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bが近接対向する場合であっても、それぞれの温度上昇し易い箇所が、対向、近接することを防止できる。また、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bの温度上昇し易い箇所の外壁面(吐出側外壁面140A、140B)は、ポンプ装置1(圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、接続管80からなる構造体)における外方に露出する。
【0035】
これにより、ポンプ装置1は、熱が籠りにくく、効果的な放熱を実現できる。さらに、この構成では、蓋部材40が金属であるので、圧電ポンプ10A、10Bの吐出側空間102の熱は、蓋部材40を通じて、吐出側外壁面に効果的に伝搬される。したがって、吐出側空間102の熱は、より効果的に外部に放熱される。
【0036】
また、この構成では、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとが、互いの吐出側ノズルと吸入側ノズルとが向かい合うように配置されていない。したがって、ポンプ装置1として一方向に大幅に長い形状とならず、空間的にまとまった形状となり、ポンプ装置1を省スペース化できる。空間的にまとまった形状とは、直交三方向の寸法の差が小さいことを意味する。
【0037】
さらに、上述の構成では、接続管80が金属である。これにより、接続管80においても放熱できる。したがって、ポンプ装置1は、さらに効果的に放熱できる。
【0038】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図4は、第2の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【0039】
図4に示すように、第2の実施形態に係るポンプ装置1Aは、第1の実施形態に係るポンプ装置1に対して、熱伝導部材70を追加した点で異なる。ポンプ装置1Aの他の構成は、ポンプ装置1と同様であり同様の箇所の説明は、省略する。
【0040】
ポンプ装置1Aは、熱伝導部材70を備える。熱伝導部材70は、例えば、金属板である。熱伝導部材70は、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとの間に配置される。より具体的には、熱伝導部材70は、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとに挟持される。
【0041】
このような構成によって、圧電ポンプ10Aは、吸入側外壁面130Aから熱伝導部材70を通じて、放熱できる。同様に、圧電ポンプ10Bは、吸入側外壁面130Bから熱伝導部材70を通じて、放熱できる。
【0042】
したがって、圧電ポンプ10Aは、さらに効果的に放熱できる。
【0043】
なお、熱伝導部材70の平面面積は、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bを平面視した面積よりも大きいことが好ましい。そして、平面視において、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bは、熱伝導部材70に重なることが好ましい。これにより、圧電ポンプ10Bは、さらに効果的に放熱できる。
【0044】
また、熱伝導部材70の熱伝導率は、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bの熱伝導率よりも高ければ、金属に限るものではない。なお、ここでの圧電ポンプ10A、10Bの熱伝導率とは、熱伝導部材70が対面するベース筐体30の熱伝導率である。
【0045】
また、
図4の構成では、熱伝導部材70が圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bに直接接ししているが、間接的に接していたり、隙間等があってもよい。間接的に接する場合、例えば、熱伝導性を有するグリースや接着剤を用いればよい。
【0046】
また、熱伝導部材70は、圧電ポンプ10Bの吐出側ノズル322Bから吐出される流体がその表面を通過するような形状、配置とするとよい。これにより、熱伝導部材70は、ポンプ装置1Aから吐出された流体によっても放熱される。
【0047】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図5は、第3の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【0048】
図5に示すように、第3の実施形態に係るポンプ装置1Bは、第2の実施形態に係るポンプ装置1Aに対して、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bの配置において異なる。ポンプ装置1Bの他の構成は、ポンプ装置1Aと同様であり同様の箇所の説明は、省略する。
【0049】
ポンプ装置1Bでは、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、圧電ポンプ10Aの吐出側外壁面140Aと、圧電ポンプ10Bの吐出側外壁面140Bとが対向、近接し、且つ、互いに略平行になるように、配置される。
【0050】
熱伝導部材70は、吐出側外壁面140Aと吐出側外壁面140Bとに挟持される。
【0051】
このような構成によって、ポンプ装置1Bは、吐出側外壁面140Aからの熱、および、吐出側外壁面140Bからの熱を、熱伝導部材70を通じて、外部に効果的に放熱できる。
【0052】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図6は、第4の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【0053】
図6に示すように、第4の実施形態に係るポンプ装置1Cは、第1の実施形態に係るポンプ装置1に対して、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bの配置において異なる。ポンプ装置1Cの他の構成は、ポンプ装置1と同様であり同様の箇所の説明は、省略する。
【0054】
ポンプ装置1Cでは、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとが平行に配置されておらず、所定の角度をなすように配置される。例えば、
図6に示すように、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとは、90°よりも小さな角度を成す。
【0055】
このような構成であっても、ポンプ装置1Cは、効果的に放熱できる。
【0056】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図7は、第5の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【0057】
図7に示すように、第5の実施形態に係るポンプ装置1Dは、3個の圧電ポンプを用いる点で、第1の実施形態に係るポンプ装置1および第3の実施形態に係るポンプ装置1Bと異なる。ポンプ装置1Dの他の構成は、ポンプ装置1、1Bと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0058】
ポンプ装置1Dは、圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、圧電ポンプ10C、接続管81、接続管82、および、熱伝導部材70を備える。圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、圧電ポンプ10Cは、同じ構成を備える。
【0059】
圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとが対向、近接するように配置される。圧電ポンプ10Bと圧電ポンプ10Cとは、圧電ポンプ10Bの吐出側外壁面140Bと圧電ポンプ10Cの吐出側外壁面140Cとが対向、近接するように配置される。圧電ポンプ10Aは、吐出側外壁面140Aが外方に露出する。圧電ポンプ10Cは、吸入側外壁面130Cが外方に露出する。
【0060】
圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bとは、接続管81によって、接続、連通される。圧電ポンプ10Bの吐出側ノズル322Bと、圧電ポンプ10Cの吸入側ノズル321Cとは、接続管82によって、接続、連通される。
【0061】
熱伝導部材70は、圧電ポンプ10Bの吐出側外壁面140Bと圧電ポンプ10Cの吐出側外壁面140Cとに挟持される。
【0062】
この構成において、圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、圧電ポンプ10Cを駆動する。これにより、圧電ポンプ10Aの吸入側ノズル321Aの吸入口から流体が、圧電ポンプ10Aに吸入される。圧電ポンプ10Aは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aの吐出口から接続管81に吐出する。
【0063】
接続管81に吐出された流体は、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bの吸入口から、圧電ポンプ10Bに吸入される。圧電ポンプ10Bは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Bの吐出側ノズル322Bの吐出口から接続管82に吐出する。
【0064】
接続管82に吐出された流体は、圧電ポンプ10Cの吸入側ノズル321Cの吸入口から、圧電ポンプ10Cに吸入される。圧電ポンプ10Cは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Cの吐出側ノズル322Cの吐出口から外部に吐出する。
【0065】
このような構成によって、圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、圧電ポンプ10Cによって流体が搬送されるので、さらに大きな流量を実現できる。
【0066】
また、圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、圧電ポンプ10Cが上述の配置態様であることで、ポンプ装置1Dとして一方向に大幅に長い形状とならず、空間的にまとまった形状となり、ポンプ装置1Dを省スペース化できる。
【0067】
また、上述の配置態様によって、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとでは、吐出側外壁面140Aと吐出側外壁面140Bとが近接、対向しない。さらに、圧電ポンプ10Bと圧電ポンプ10Cとでは、吐出側外壁面140Bと吐出側外壁面140Cとが近接、対向するが、熱伝導部材70を挟持する。
【0068】
これにより、ポンプ装置1Dは、3個の圧電ポンプ10A、10B、10Cを備える構成であっても、効果的に放熱できる。
【0069】
なお、ポンプ装置1Dにおいて、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとの間にも、熱伝導部材70を配置してもよい。
【0070】
また、この構成を適用することで、圧電ポンプの個数が4個以上であっても、ポンプ装置は、効果的な放熱を実現できる。
【0071】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組合せが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0072】
1、1A、1B、1C、1D:ポンプ装置
10、10A、10B、10C:圧電ポンプ
20:ポンプ本体
22:圧電素子
30:ベース筐体
31:主部材
33:凹部
35:端子載置部
40:蓋部材
70:熱伝導部材
80、81、82:接続管
101:吸引側空間
102:吐出側空間
103:連通口
130、130A、130B、130C:吸入側外壁面
140、140A、140B、140C:吐出側外壁面
211:振動板
212:枠体
213:支持部
251、252:駆動信号印加電極
311:底壁
312:側壁
321、321A、321B、321C:吸入側ノズル
322、322A、322B、322C:吐出側ノズル
331、332、333:凹部
3210:吸入口
3220:吐出口