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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】定着装置および止水装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/64 20060101AFI20240214BHJP
   E04B 1/32 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E04H15/64
E04B1/32 102A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020078152
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173076
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000204192
【氏名又は名称】太陽工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】宮野 学
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-151827(JP,A)
【文献】特開2012-172374(JP,A)
【文献】実開平02-143466(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0820369(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/64
E04B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜体を支持部材に定着させるための定着装置であって、
第1被係止部を有する一方で、膜体の端部を保持する収納部材を収納する収納空間が形成された第1固定部材と、
前記第1固定部材とは別体に構成され、第2被係止部を有する一方で、膜体の端部を保持する収納部材を収納する収納空間が形成された第2固定部材と、
前記第1固定部材と前記第2固定部材の少なくとも一方に前記膜体の端部を保持する収納部材が収納された状態で前記第1固定部材及び前記第2固定部材を押えるカバーと、
楔部を有する操作部材と、を備え、
前記支持部材は、互いに対向する第1係止部及び第2係止部を有しており、
前記操作部材は、前記楔部が前記第1固定部材と前記第2固定部材との間に配置された状態で操作されることにより、前記楔部によって前記第1固定部材と前記第2固定部材とを互いに反対向きに移動させ、前記第1固定部材の前記第1被係止部が前記支持部材の前記第1係止部に係止されるとともに、前記第2固定部材の前記第2被係止部が前記支持部材の前記第2係止部に係止される、
定着装置。
【請求項2】
前記第1係止部及び前記第2係止部は、突条によって構成されており、
前記第1被係止部は、前記第1係止部を嵌め込み可能な形状であり、
前記第2被係止部は、前記第2係止部を嵌め込み可能な形状である、
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記楔部に押圧される傾斜状の受け面をそれぞれ有しており、
前記操作部材は、軸心が前記第1固定部材及び前記第2固定部材の移動方向に直交する方向に延びるボルトとナットとを有し、
前記楔部は、前記ボルトの頭部及び前記ナット間の間隔が変わるのに応じて、前記ボルトの軸心方向において、前記受け面との相対位置を変えるように構成されており、
前記ボルト又は前記ナットが操作されるに従って、前記ボルトの軸心方向において前記受け面に対する前記楔部の相対位置を変えつつ前記楔部が前記受け面を押圧し、前記第1固定部材と前記第2固定部材とを互いに反対向きに移動させる、
請求項1又は2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1固定部材は、前記受け面を有する第1内端部を有し、
前記第2固定部材は、前記受け面を有する第2内端部を有し、
前記操作部材は、前記楔部が前記受け面を押圧することにより前記第1内端部及び前記第2内端部が前記ボルトの軸心方向に受ける力を受け止める受け板を備えている、
請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の定着装置と、雨水を受けるための受け樋と、を備えた止水装置であって、
前記定着装置によって膜体が定着される支持部材は、支柱と前記支柱に設けられた前記受け樋とを有し、
前記受け樋は、前記支柱に一体に形成された底部と、前記底部の両側から上方に延びる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の内側に互いに対向するように設けられた前記第1係止部及び前記第2係止部と、を有し、
前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記立ち上がり部の間に配置された状態で前記操作部材が操作されることにより、前記受け樋に固定されている、
止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に固定される定着装置および該定着装置と雨水を受けるための受け樋とを備えた止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアドームやテント等の膜構造建築物等の支持部材に膜体を定着させるための定着装置が知られている。例えば、特許文献1の定着装置は、受け樋に固定される固定部材と、前記固定部材に形成されたボルト受け部と、前記ボルト受け部に設けられたボルトと、を備える。前記支持部材は、支柱と前記支柱に設けられた前記受け樋とを有する。前記受け樋には、前記ボルトのねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられている。
【0003】
前記定着装置は、固定部材のボルト受け部に設けられたボルトのねじ部を受け樋の貫通孔に挿入してナットで締め付けることにより、支持部材に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-172374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の定着装置では、固定部材をボルトとナットにより受け樋に固定するので、固定部材と受け樋には、前記ボルト受け部や前記貫通孔を予め設けておく必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、その目的は、支持部材に差し込んで固定するためのボルトやボルト受け部を固定部材に設けなくても、固定部材を支持部材に固定することができる定着装置および該定着装置と雨水を受けるための受け樋とを備えた止水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る定着装置は、膜体を支持部材に定着させるためのものである。定着装置は、第1被係止部を有する一方で、膜体の端部を保持する収納部材を収納する収納空間が形成された第1固定部材と、前記第1固定部材とは別体に構成され、第2被係止部を有する一方で、膜体の端部を保持する収納部材を収納する収納空間が形成された第2固定部材と、前記第1固定部材と前記第2固定部材の少なくとも一方に前記膜体の端部を保持する収納部材が収納された状態で前記第1固定部材及び前記第2固定部材を押えるカバーと、楔部を有する操作部材と、を備える。前記支持部材は、互いに対向する第1係止部及び第2係止部を有している。前記操作部材は、前記楔部が前記第1固定部材と前記第2固定部材との間に配置された状態で操作されることにより、前記楔部によって前記第1固定部材と前記第2固定部材とを互いに反対向きに移動させ、前記第1固定部材の前記第1被係止部が前記支持部材の前記第1係止部に係止されるとともに、前記第2固定部材の前記第2被係止部が前記支持部材の前記第2係止部に係止される。
【0008】
本発明によれば、操作部材は、楔部が第1固定部材と第2固定部材との間に配置された状態で操作されることにより、楔部によって第1固定部材と第2固定部材とを互いに反対向きに移動させ、第1固定部材の第1被係止部が支持部材の第1係止部に係止されるとともに、第2固定部材の第2被係止部が支持部材の第2係止部に係止される。そのため、作業者は、操作部材の操作により、第1固定部材の第1被係止部を支持部材の第1係止部に押し付けた状態で係止させるとともに、第2固定部材の第2被係止部を支持部材の第2係止部に押し付けた状態で係止させることができるので、支持部材に差し込んで固定するためのボルトやボルト受け部を第1固定部材と第2固定部材とに設けなくても、第1固定部材と第2固定部材とを支持部材に固定することができる。そして、支持部材に固定された第1固定部材と、支持部材に固定された第2固定部材の少なくとも一方に膜体の端部を保持する収納部材を収納した状態で、第1固定部材と第2固定部材とをカバーによって押えることにより、膜体が支持部材に定着される。
【0009】
上記構成において、前記第1係止部及び前記第2係止部は、突条によって構成されてもよい。前記第1被係止部は、前記第1係止部を嵌め込み可能な形状であってもよい。前記第2被係止部は、前記第2係止部を嵌め込み可能な形状であってもよい。
【0010】
この構成によれば、第1被係止部及び第2被係止部に突条によって構成された第1係止部及び第2係止部が嵌め込まれることにより、第1被係止部と第2被係止部とがそれぞれ第1係止部と第2係止部に係止される。そのため、例えば、膜体が風雨などにより大きく揺れることにより、第1固定部材と第2固定部材に大きな力が作用したとしても、第1固定部材と第2固定部材とが支持部材から容易に抜けることが抑制される。
【0011】
上記構成において、前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記楔部に押圧される傾斜状の受け面をそれぞれ有していてもよい。前記操作部材は、軸心が前記第1固定部材及び前記第2固定部材の移動方向に直交する方向に延びるボルトとナットとを有してもよい。前記楔部は、前記ボルトの頭部及び前記ナット間の間隔が変わるのに応じて、前記ボルトの軸心方向において、前記受け面との相対位置を変えるように構成されてもよい。前記ボルト又は前記ナットが操作されるに従って、前記ボルトの軸心方向において前記受け面に対する前記楔部の相対位置を変えつつ前記楔部が前記受け面を押圧し、前記第1固定部材と前記第2固定部材とを互いに反対向きに移動させてもよい。
【0012】
この構成によれば、ボルト又はナットが操作されるに従って、ボルトの軸心方向において受け面に対する楔部の相対位置を変えつつ楔部が受け面を押圧する。このとき、受け面は傾斜状となっているので、ボルト又はナットの軸心方向に移動する力が第1固定部材と第2固定部材とを互いに反対向きに移動させる力に変換される。そのため、作業者は、ボルト又はナットを回転させるだけで、第1固定部材と第2固定部材とを支持部材に押し付けて固定することができるので、第1固定部材と第2固定部材の支持部材への固定作業が簡単になる。
【0013】
本発明に係る止水装置は、前記定着装置と、雨水を受けるための受け樋と、を備える。前記定着装置によって膜体が定着される支持部材は、支柱と前記支柱に設けられた前記受け樋とを有する。前記受け樋は、前記支柱に一体に形成された底部と、前記底部の両側から上方に延びる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の内側に互いに対向するように設けられた前記第1係止部及び前記第2係止部と、を有する。前記第1固定部材及び前記第2固定部材は、前記立ち上がり部の間に配置された状態で前記操作部材が操作されることにより、前記受け樋に固定されている。
【0014】
本発明によれば、第1固定部材及び第2固定部材は、立ち上がり部の間に配置された状態で操作部材が操作されることにより、受け樋に固定されているので、受け樋にボルトのねじ部を差し込んで第1固定部材と第2固定部材とを受け樋に固定しなくても、第1固定部材と第2固定部材とを受け樋に固定することができる。そのため、ボルトのねじ部を挿入するための貫通孔を受け樋に設ける必要がなくなるので、受け樋からの漏水のおそれをなくすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、支持部材に差し込んで固定するためのボルトやボルト受け部を第1固定部材と第2固定部材とに設けなくても、第1固定部材と第2固定部材とを支持部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る定着装置が支持部材に固定された状態を示す拡大図である。
図2図1の定着装置の周辺を示す拡大図である。
図3】本実施形態に係る定着装置の操作部材の楔部周辺を示す部分拡大図である。
図4】本実施形態の変形例に係る定着装置を示す図である。
図5】本実施形態の他の変形例に係る定着装置を示す図である。
図6】本実施形態の他の変形例に係る定着装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る定着装置と受け樋とを備えた止水装置について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態に係る定着装置および止水装置を説明するために必要となる主要な構成要素を簡略化して示したものである。したがって、本発明の実施形態に係る定着装置および止水装置は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成要素を備え得る。
【0018】
本実施形態に係る止水装置1は、図1、2に示すように、膜体2を支持部材10に定着させるための定着装置3を備える。膜体2は、外膜2aと内膜2bとを有する。膜体2の端部は、長尺状の芯材13を内包した状態で外膜2aの周縁部と内膜2bの周縁部とが互いに固着された構成である。これにより、外膜2aと内膜2bとの間は気密状態となっている。
【0019】
支持部材10は、エアドームやテント等の膜構造建築物等の構造物の一部を構成するものであり、図1の左右方向に所定の間隔を空けて複数並んでいる。各支持部材10は、図1の紙面における奥行方向に長いものである。具体的には、各支持部材10は、奥行方向に水平に延びる受け樋4と、この受け樋4を支持するために受け樋4の下側に奥行方向に所定の間隔を空けて並ぶ複数の支柱11と、を有する。
【0020】
受け樋4は、雨水を受けるためのものであり、一方向に長いC形鋼によって形成されている。受け樋4は、支柱11の上端に一体に形成された底部4aと、底部4aにおける幅方向両側の縁部から上方に延びる一対の立ち上がり部4b、4bと、一対の立ち上がり部4b、4bの上端から互いに近づく方向に屈曲した第1係止部4c及び第2係止部4dと、を有する。底部4aは、例えば、溶接によって支柱11の上端に固定されている。底部4aの固定方法は、支柱11の上端に底部4aが一体に形成されれば、どのような方法でもよい。第1係止部4c及び第2係止部4dは、互いに対向するように立ち上がり部4bの上端から互いに近づく方向に向かって突出する突条によって構成されている。この受け樋4と定着装置3とにより止水装置1が構成される。以下、第1及び第2係止部4c、4dの突出方向、すなわち、図1の左右方向を第1方向とする。また、図1の上下方向を第2方向とし、図1の奥行方向を第3方向と称する。本実施形態では、第2方向が鉛直になる姿勢で止水装置1が配置されている。
【0021】
尚、受け樋4は、C形鋼によって形成されていなくてもよい。この場合、第1係止部4c及び第2係止部4dの突出する位置は、立ち上がり部4bの上端でなくてもよい。例えば、第1係止部4c及び第2係止部4dは、立ち上がり部4bの上下方向の中間位置から第1方向の内側に向かって突出していてもよい。
【0022】
定着装置3は、立ち上がり部4b、4bの間において互いに第1方向に間隔を空けて配置された第1固定部材5及び第2固定部材6と、第1固定部材5と第2固定部材6との間に配置された楔部33を有する操作部材7と、膜体2の端部を保持する第1収納部材29及び第2収納部材30と、膜体2の周縁部を第1固定部材5及び第2固定部材6に押え付けるカバー8と、を備える。
【0023】
第1固定部材5は、第1収納部材29を収納する収納空間を有する部材であり、受け樋4の底部4aに支持される第1本体部5aと、第1本体部5aの側面から突出した第1内端部9と、第1内端部9とは反対側の第1本体部5aの側面から延出された第1アーム部5bと、第1係止部4cに係止する第1被係止部5cと、第1アーム部5bと同じ側の第1本体部5aの側面から突出した第1ストッパ部5dと、を有する。
【0024】
第1本体部5aは、第2方向に所定の長さを有するとともに、第3方向に延びる平板形状に形成されている。
【0025】
第1内端部9は、第1本体部5aの側面から第2固定部材6に向かって直角に突出している。第1内端部9は、第2方向における第1本体部5aの略中間位置に配置されている。第1内端部9は、第3方向に沿って第1本体部5aの第3方向の略全長に亘って延びるように形成されている。第1内端部9の先端面9aは、第1方向及び第2方向に対して傾斜している。尚、第1内端部9の先端面9aは、第3方向には傾斜していない。
【0026】
第1アーム部5bは、第1本体部5aから第1方向に延びる第1部位25と第1部位25の先端から斜めに延びる第2部位26と、を含む。この第1アーム部5bと第1本体部5aとにより、第1収納部材29を収納する前記収納空間が形成されている。
【0027】
第1被係止部5cは、第1アーム部5bの第2部位26における先端部に形成されている。第1被係止部5cは、第1係止部4cが突出する第1方向に向かって凹む第1凹部12を有する。第1凹部12は、第1係止部4cの突条が嵌め込み可能な形状である。
【0028】
第1ストッパ部5dは、第1アーム部5bに対して底部4aとは反対側に配置されている。第1ストッパ部5dは、前記収納空間内に突出している。
【0029】
第2固定部材6は、第1固定部材5とは別体に構成されたものであり、第1固定部材5から第1方向に間隔を空けて受け樋4に載置されている。第2固定部材6は、第1固定部材5と左右対称の構造である。第2固定部材6は、膜体2の端部を保持する第2収納部材30を収納する収納空間を有する部材であり、受け樋4の底部4aに支持される第2本体部6aと、第2本体部6aの側面から突出した第2内端部16と、第2内端部16とは反対側の第2本体部6aの側面から延出された第2アーム部6bと、第2係止部4dに係止する第2被係止部6cと、第2アーム部6b側の第2本体部6aの側面から突出した第2ストッパ部6dと、を有する。
【0030】
第2内端部16は、第2本体部6aの側面から第1固定部材5に向かって直角に突出している。第2内端部16は、第1内端部9と第1方向に対向するように配置されている。第2内端部16は、第3方向に沿って第2本体部6aの第3方向の略全長に亘って延びるように形成されている。第2内端部16の先端面16aは、第1方向及び第2方向に対して傾斜している。
【0031】
第2アーム部6bは、第1方向に延びる第1部位27と第1部位27の先端から斜めに延びる第2部位28と、を含む。第2本体部6aと第2アーム部6bとにより、第2収納部材30を収納する収納空間が形成されている。
【0032】
第2被係止部6cは、第2アーム部6bの第2部位28における先端部に形成されている。第2被係止部6cは、第2係止部4dが突出する第1方向に凹む第2凹部18を有する。第2凹部18は、第2係止部4dの突条が嵌め込み可能な形状である。
【0033】
第2ストッパ部6dは、第2アーム部6bに対して底部4aとは反対側に配置されている。第2ストッパ部6dは、前記収納空間内に突出している。
【0034】
操作部材7は、第1固定部材5と第2固定部材6との間に配置されたボルト7aと、ボルト7aに螺合するナット7bと、楔部33としての方向変換部材7cと、第1及び第2内端部9、16に載置される受け板7dと、を有する。
【0035】
ボルト7aは、第2方向に軸心が延びる向きに配置されている。ボルト7aは、第1及び第2内端部9、16の下方、つまり底部4a側に頭部が位置するとともに、第1内端部9と第2内端部16との間をねじ部が下方から上方に延びるように第1本体部5aと第2本体部6aとの間に配置されている。ボルト7aのねじ部には、先端面に開放し、ボルト7aの軸心方向に延びるねじ穴23が形成されている。ねじ穴23には、カバー8の後述のボルト8eのねじ部が螺合される。
【0036】
方向変換部材7cは、ボルト7aの頭部とナット7bとの間の間隔の変化に応じて、第2方向における第1及び第2固定部材5、6の第1及び第2内端部9、16における先端面9a、16aの位置に対する、方向変換部材7cの相対位置を変えるように構成されている。以下、具体的に説明する。
【0037】
方向変換部材7cは、図3に示すように、C字状の断面形状が一定の状態で一方向に延びる形状の部材によって構成されており、略平板状の基部35と、基部35の両側から基部35に略直交する方向に延びる一対の側部36、36と、一対の側部36、36の端部から互いに近づく方向に突出する一対の押え部37、37と、を有し、ボルト7aの頭部を収容する大きさを有する。一対の押え部37、37間の間隙は、ボルト7aのねじ部が挿通される幅となっており、かつ、ボルト7aの頭部の幅よりも狭い。これにより、一対の押え部37、37がボルト7aの頭部に係合することにより、ボルト7aの頭部が一対の押え部37、37間の間隙から抜けないようになっているとともに、方向変換部材7cがボルト7aと一体にボルト7aの軸心方向に移動するようになっている。
【0038】
前記一方向における方向変換部材7cの長さは、第1固定部5と第2固定部材6とが第1方向に間隔を空けて受け樋4に載置された状態での第1固定部材5の第1内端部9と第2固定部材6の第2内端部16との間の第1方向の間隔よりも短い。一方、前記一方向と直交する方向における方向変換部材7cの長さは、第1内端部9と第2内端部16との間の間隔よりも長い。このため、方向変換部材7cは、前記一方向が第1方向に沿う姿勢で第1固定部材5と第2固定部材6との間に挿入することができ、その後、90度向きを変えることにより、図2、3の状態にすることができる。
【0039】
両側部36、36の外面には、それぞれ、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aと同じ傾斜状の押圧面22、22が形成されている。押圧面22、22はそれぞれ、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aに対向する位置に配置されている。押圧面22、22は、操作部材7の操作によって第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aを押圧するため、先端面9a、16aは、楔部33としての方向変換部材7cに押圧される受け面として機能する。
【0040】
受け板7dは、ボルト7aの頭部とナット7bとの間に配置されるとともに、第1及び第2内端部9、16における第2方向を向く側面17、17に載置されている。具体的に、図1の形態では、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aが、上側ほど突出するように傾斜した傾斜面として形成されているので、受け板7dは、第2方向における上側の第1及び第2内端部9、16の側面17、17に接触するように配置されている。したがって、受け板7dは、第1及び第2内端部9、16と第1及び第2内端部9、16の上方に位置するナット7bとの間に位置している。
【0041】
受け板7dは、矩形板状によって構成されている。受け板7dの第1方向の長さは、第1本体部5aと第2本体部6aとの間の間隔に略等しくなるように設定されている。受け板7dの第3方向の長さは、第1及び第2内端部9、16の第3方向の長さに略等しくなるように設定されている。受け板7dは、ボルト7aのねじ部を第2方向に移動自在に挿通させる挿通孔(図示省略)を有する。受け板7dの第2方向の上側の面には、前記挿通孔に挿通されたボルト7aのねじ部に螺合したナット7bが当接する。
【0042】
方向変換部材7cが図1の姿勢で配置されているときには、一方の押圧面22が第1固定部材5の第1内端部9の先端面9aに対向し、他方の押圧面22が第2固定部材6の第1内端部16の先端面16aに対向する。そして、ナット7bが回動されてボルト7aの頭部がナット7bに近づいたとき(図1の上向きに移動したとき)には、それに応じて、方向変換部材7cの押え部37、37がボルト7aの頭部から上向きに押されて方向変換部材7cがボルト7aと一体的に上向きに移動する。このため、押圧面22、22は、第2方向において、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aとの相対位置を変化させ、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aを下から押圧する。
【0043】
このとき、第1及び第2内端部9、16の側面17、17には、受け板7dが載置されていて、ナット7bと第1及び第2内端部9、16とによって受け板7dが挟まれているため、第1及び第2内端部9、16、すなわち、第1及び第2固定部材5、6は、第1方向において互いに反対向きに移動する。つまり、方向変換部材7cは、ボルト7aとナット7bの第2方向における動きを、第1及び第2固定部材5、6の第1方向における反対向きの動きに変換するように構成されている。
【0044】
第1収納部材29は、第1固定部材5の前記収納空間に配置されている。第1収納部材29は、断面形状が一定の状態で一方向に延びる形状の部材によって構成されている。第1収納部材29は、前記一方向に沿って延び、芯材13を内包した膜体2の端部を前記一方向に挿入可能な本体部14と、本体部14の外面から突出する被係止片15と、を有する。
【0045】
本体部14は、断面C字状であり、本体部14に挿入された膜体2の端部から延出する膜体2の内側部を挿通させる間隙が形成されている。前記間隙は、本体部14の前記一方向の全体に亘って形成される。前記間隙は、膜体2の端部に内包された心材13が前記間隙を通して本体部14の内側から外側に抜けない大きさに設定されている。
【0046】
第1収納部材29は、第1固定部材5の前記収納空間に挿入された状態において、被係止片15が第1ストッパ部5dに係止するとともに、本体部14が第1アーム部5bに当接することにより、第1固定部材5に固定されている。
【0047】
第2収納部材30は、第2固定部材6の前記収納空間に配置されている。第2収納部材30は、第1収納部材29と左右対称の構造であるため、第1収納部材29と対応する要素については第1収納部材29と同様の符号を付してその説明を省略する。尚、第1収納部材29及び第2収納部材30は、それぞれ第1固定部材5及び第2固定部材6に一体に固定されていてもよい。
【0048】
カバー8は、第1固定部材5と第2固定部材6の前記収納空間に第1及び第2収納部材29、30の少なくとも一方が収納された状態で膜体2の周縁部を第1固定部材5及び第2固定部材6に押え付けるものである。具体的には、カバー8は、第1固定部材5及び第2固定部材6の上面に宛がう押え部材8aと、押え部材8aの裏面に取り付けられた防水カバー8bと、第1被係止部5cの上面に取り付けられた第1防水部8cと、第2被係止部6cの上面に取り付けられた第2防水部8dと、押え部材8aと防水カバー8bとを貫通して操作部材7のボルト7aのねじ穴23と螺合するボルト8eと、を有する。
【0049】
第1及び第2防水部8c、8dと防水カバー8bは、ゴムによって形成されている。これにより、第1及び第2防水部8c、8dと防水カバー8bは、第1及び第2収納部材29、30によって保持された膜体2の周縁部を密着した状態で挟み込むことにより、膜体2に沿って雨水等が流れてきても前記収納空間内への雨水等の浸入を防ぐことができる。
【0050】
尚、カバー8のボルト8eは、押え部材8aを第1固定部材5および第2固定部材6に固定できれば、操作部材7のボルト7aのねじ穴23に螺合しなくてもよい。この場合、操作部材7のボルト7aのねじ穴23は、省略されてもよい。
【0051】
上記のように構成された定着装置3は、次のようにして膜体2を支持部材10に定着させる。
【0052】
まず、第1被係止部5cの第1凹部12に受け樋4の第1係止部4cが嵌め込まれるように第1固定部材5を受け樋4の底部4aに置く。次いで、第2被係止部6cの第2凹部18に受け樋4の第2係止部4dが嵌め込まれるように第2固定部材6を受け樋4の底部4aに置く。これにより、第1固定部材5と第2固定部材6とが第1方向に間隔を空けて底部4aに載置される。
【0053】
次に、操作部材7を第1固定部材5と第2固定部材6との間に配置する。具体的には、まず、ボルト7aの頭部が収容された状態の方向変換部材7cの前記一方向が第1方向に沿う姿勢で、方向変換部材7cを第1内端部9と第2内端部16との間を上方から下方に通過させて受け板7dを第1及び第2内端部9、16の側面17、17に載置する。次いで、ボルト7aを90度回転させることにより、方向変換部材7cの前記一方向が第3方向に向くように方向変換部材7cを回転させる。これにより、方向変換部材7cが第1内端部9と第2内端部16との間から上方に抜けないようにする。
【0054】
次に、操作部材7を操作することにより、第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に固定させる。具体的には、まず、ボルト7aの頭部とナット7bとの間の間隔が狭くなる方向にナット7bを回転させる。このとき、ボルト7aが第2方向の上方に移動することによって楔部33としての方向変換部材7cの押え部37、37がボルト7aの頭部によって上向きに押されて方向変換部材7cが上向きに押し上げられる。方向変換部材7cが押し上げられると、方向変換部材7cの押圧面22、22が第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aを上方に押圧する。このとき、受け板7dには、ナット7bからボルト7aの第2方向の下向きの力が作用しているので、第1内端部9と第2内端部16がボルト7aの第2方向の上向きに受ける力が受け板7dによって受け止められる。これにより、ボルト7aの第2方向の上向きに移動する力が第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに反対向きに移動させる力に変換される。その結果、第1固定部材5と第2固定部材6とが互いに反対向きに移動して、第1固定部材5の第1被係止部5cが受け樋4の第1係止部4cに押し付けられた状態で係止されるとともに、第2固定部材6の第2被係止部6cが受け樋4の第2係止部4dに押し付けられた状態で係止される。
【0055】
次に、膜体2の端部を保持した第1収納部材29を第1固定部材5に固定する。具体的には、芯材13を内包した膜体2の端部を保持した第1収納部材29を第1アーム部5bと第1本体部5aとの間の前記収納空間に挿入して、第1収納部材29の被係止片15を第1ストッパ部5dに係止させるとともに、本体部14を第1アーム部5bに当接させる。これにより、第1収納部材29が第1固定部材5に固定されるとともに、膜体2の周縁部が第1防水部8cの上に配置された状態になる。同様の方法により、第2収納部材30が第2固定部材6に固定される。尚、第1方向の最も端に位置する支持部材10に固定される定着装置3においては、第2収納部材30の第2固定部材6への固定は省略されてもよい。
【0056】
次に、裏面に防水カバー8bが取り付けられた押え部材8aを第1固定部材5及び第2固定部材6の上面に宛がう。この状態で、ボルト7aを押え部材8aの上面から差し込み、操作部材7のボルト7aのねじ部のねじ穴23にボルト7aを螺合させる。これにより、第1固定部材5及び第2固定部材6の上面に押え部材8aが押え付けられ、防水カバー8bと第1及び第2防水部8c、8dとの間で膜体2の周縁部が密着した状態で挟み込まれる。
【0057】
以上のようにして、膜体2が支持部材10に定着される。最後に、外膜2aと内膜2bとの間に空気を充填する。
【0058】
上記定着装置3では、操作部材7は、楔部33としての方向変換部材7cが第1固定部材5と第2固定部材6との間に配置された状態で操作されることにより、方向変換部材7cによって第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに反対向きに移動させ、第1固定部材5の第1被係止部5cが支持部材10の第1係止部4cに係止されるとともに、第2固定部材6の第2被係止部6cが支持部材10の第2係止部4dに係止される。そのため、作業者は、操作部材7の操作により、第1固定部材5の第1被係止部5cを受け樋4の第1係止部4cに押し付けた状態で係止させるとともに、第2固定部材6の第2被係止部6cを受け樋4の第2係止部4dに押し付けた状態で係止させることができるので、受け樋4に差し込んで固定するためのボルトやボルト受け部を第1固定部材5と第2固定部材6とに設けなくても、第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に固定することができる。
【0059】
上記定着装置3では、第1被係止部5c及び第2被係止部6cに突条によって構成された第1係止部4c及び第2係止部4dが嵌め込まれることにより、第1被係止部5cと第2被係止部6cとがそれぞれ第1係止部4cと第2係止部4dに係止される。そのため、例えば、膜体2が風雨などにより大きく揺れることにより、第1固定部材5と第2固定部材6に大きな力が作用したとしても、第1固定部材5と第2固定部材6とが受け樋4から容易に抜けることが抑制される。
【0060】
上記定着装置3では、ナット7bが操作されるに従って、第2方向において先端面9a、16aに対する楔部33としての方向変換部材7cの相対位置を変えつつ方向変換部材7cが先端面9a、16aを押圧する。このとき、先端面9a、16aは傾斜状となっているので、ボルト7aの軸心方向の上向きに移動する力が第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに反対向きに移動させる力に変換される。そのため、作業者は、ナット7bを回転させるだけで、第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に押し付けて固定することができるので、第1固定部材5と第2固定部材6の受け樋4への固定作業が簡単である。
【0061】
上記定着装置3では、第1内端部9及び第2内端部16がボルト7aの第2方向の上向きに受ける力が受け板7dによって受け止められることにより、ボルト7aの第2方向の上向きに移動する力が第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに第1方向の反対向きに移動させる力に変換される。そのため、第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に確実に固定することができる。
【0062】
上記止水装置1では、第1固定部材5及び第2固定部材6は、立ち上がり部4bの間に配置された状態で操作部材7が操作されることにより、受け樋4に固定されているので、受け樋4にボルトのねじ部を差し込んで第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に固定しなくても、第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に固定することができる。そのため、ボルトのねじ部を挿入するための貫通孔を受け樋4に設ける必要がないので、受け樋4からの漏水のおそれがない。
【0063】
以上に説明した定着装置3および止水装置1は、本発明の一実施形態であり、その具体的構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、本発明の上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態の変形例において上記実施形態の定着装置3および止水装置1と対応する要素は、上記実施形態と同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
上記実施形態では、楔部33に押圧される受け面は、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aによって形成されたが、楔部33が、第1固定部材5と第2固定部材6との間に配置された状態で第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに反対向きに移動させることができれば、他の部位に形成されてもよい。この場合、第1及び第2内端部9、16は省略されてもよい。
【0065】
上記実施形態では、受け樋4は、図1に示すように、鉛直方向に延びる支柱11の上端に設けられたが、例えば、膜体2が屋根の傾斜部分を構成する場合には、鉛直方向に対して斜めに延びる支柱11の上端に設けられてもよい。
【0066】
上記実施形態では、第1係止部4cと第2係止部4dとは、受け樋4に設けられたが、受け樋4に設けられる構成に限定されることはない。第1係止部4cと第2係止部4dとは、例えば、支柱11に設けられてもよい。
【0067】
上記実施形態では、第1及び第2係止部4c、4dの突条が第1及び第2被係止部5c、6cの第1及び第2凹部6、18に嵌め込まれたが、第1及び第2被係止部5c、6cが突条によって構成され、第1及び第2係止部4c、4dが第1及び第2被係止部5c、6cの突条が嵌め込み可能な凹部を有してもよい。
【0068】
上記実施形態では、楔部33としての方向変換部材7cが先端面9a、16aを上方に押圧するようにしたが、図4に示すように、方向変換部材7cは省略されてもよい。この場合、ボルト7aの頭部が楔部33として先端面9a、16aを上方に押圧するように構成される。ボルト7aの頭部における先端面9a、16aに接触する部分は、先端面9a、16aと同じ傾斜した押圧面22、22とされる。さらに、受け板7dも省略されてもよい。この場合、ナット7bが第1及び第2内端部9、16の側面17、17に載置される。
【0069】
上記実施形態では、操作部材7のボルト7aは、第1及び第2内端部9、16の側面17、17の下方に頭部が位置するとともに、第1内端部9と第2内端部16との間をねじ部が下から上に延びるように第1本体部5aと第2本体部6aとの間に配置されたが、図5に示すように、第1及び第2内端部9、16の側面17、17の上側に頭部が位置するとともに、第1内端部9と第2内端部16との間をねじ部が上から下に向かって延びるように第1本体部5aと第2本体部6aとの間に配置されてもよい。この場合、ボルト7aの頭部が受け板7dの上面に当接されるとともに、ナット7bが方向変換部材7cに挿入される。
【0070】
このようにしても、ボルト7aの頭部とナット7bとの間の間隔が狭くなる方向にボルト7aを回転させることによりナット7bを第2方向の上方に移動させれば、楔部33としての方向変換部材7cが先端面9a、16aを上方に押圧することができるので、ナット7bの第2方向の上向きに移動する力を第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに第1方向の反対向きに移動させる力に変換することができる。そのため、第1固定部材5と第2固定部材6とを受け樋4に固定することができる。
【0071】
尚、カバー8のボルト8eは、ボルト7aのねじ部に形成されたねじ穴23と螺合できなくなるため、ボルト7aの頭部にねじ穴(図示省略)を形成しておき、このねじ穴にボルト8eを螺合させることにより押え部材8aを第1及び第2固定部材5、6に固定する。また、押え部材8aを第1固定部材5および第2固定部材6に固定できれば、ボルト7aの頭部にねじ穴は形成されなくてもよい。
【0072】
上記実施形態では、第1及び第2内端部9、16の先端面9a、16aは、上側ほど突出するように傾斜させたが、上下逆、すなわち、図6に示すように、下側ほど突出するように傾斜させてもよい。この変形例では、楔部33として先端面9a、16aを押圧する方向変換部材7cは、先端面9a、16aの第2方向の上側に位置し、方向変換部材7cが先端面9a、16aを押圧する力を受け止める受け板7dは、第1及び第2内端部9、16における第2方向の下側の側面17、17に位置している。この場合、方向変換部材7cには、ボルト7aのねじ部が第2方向に移動自在に挿通されるとともに、方向変換部材7cの押圧面22、22は、先端面9a、16aと同じ傾斜状に形成される。さらに、方向変換部材7cの第2方向の上面にはボルト7aのねじ部と螺合するナット7bが当接するように構成される。受け板7dは、ボルト7aの頭部を収容するように構成される。
【0073】
この場合、ボルト7aの頭部とナット7bとの間の間隔が狭くなる方向にナット7bを回転させると、ナット7bが第2方向の下方に移動しようとする力によって方向変換部材7cの押圧面22、22が先端面9a、16aを第2方向の下方に押圧するとともに、ボルト7aが第2方向の上方に移動する力によって一対の押え部37、37が上向きに押されて受け板7dが第1及び第2内端部9、16における第2方向の下側の側面17、17に当接する。このとき、押圧面22、22が先端面9a、16aを第2方向の下方に押圧する力が受け板7dによって受け止められることにより、ナット7bの第2方向の下向きに移動しようとする力が第1固定部材5と第2固定部材6とを互いに反対向きに移動させる力に変換される。その結果、上記実施形態と同様に、第1及び第2固定部材5、6が互いに反対向きに移動して、第1及び第2固定部材5、6が受け樋4に固定される。
【0074】
上記実施形態では、操作部材7は、第1固定部材5と第2固定部材6とが受け樋4の底部4aに第1方向に間隔を空けて配置された後、方向変換部材7cを第1内端部9と第2内端部16との間を上方から下方に通過させて受け板7dを第1及び第2内端部9、16の側面17に載置することにより、第1固定部材5と第2固定部材6との間に設置されたが、操作部材7の設置方法は、上記方法に限定されることはない。例えば、操作部材7は、第2固定部材6が受け樋4の底部4aに置かれる前に組み込むようにしてもよい。
【0075】
具体的には、まず、上記と同様に第1被係止部5cの第1凹部12に受け樋4の第1係止部4cの突条を嵌め込んで第1固定部材5を底部4aに置く。この状態で、方向変換部材7cの長手方向を第1方向に向けた状態で第1固定部材5の第1内端部9の側面17に受け板7dを載置する。次いで、第1固定部材5とは第3方向にずれた位置における第2係止部4dの突条を第2固定部材6の第2被係止部6cに差し込むとともに、第2内端部16が第1内端部9と第1方向に対向する位置まで第2固定部材6を第3方向に移動させる。この状態で、第2内端部16の側面17に受け板7dを載置する。このようにして、操作部材7が第1固定部材5と第2固定部材6との間に設置される。
【符号の説明】
【0076】
1 止水装置
2 膜体
3 定着装置
4 受け樋
4a 底部
4b 立ち上がり部
4c 第1係止部
4d 第2係止部
5 第1固定部材
5c 第1被係止部
6 第2固定部材
6c 第2被係止部
7 操作部材
7a ボルト
7b ナット
7d 受け板
8 カバー
9 第1内端部
9a 受け面
16 第2内端部
16a 受け面
29 収納部材
33 楔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6