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特許7435944研修支援システム、研修支援方法、および研修支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】研修支援システム、研修支援方法、および研修支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240214BHJP
【FI】
G06Q50/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023128049
(22)【出願日】2023-08-04
【審査請求日】2023-08-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523299026
【氏名又は名称】AiO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花島 克彰
(72)【発明者】
【氏名】白石 真之
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-198430(JP,A)
【文献】伊藤 一希 外2名,議論支援システムAIR-VASのための文節構造を用いた情報提示機構の開発,電子情報通信学会技術研究報告[online],日本,一般社団法人電子情報通信学会,2022年01月13日,Vol.121 No.298,pp.35-39
【文献】由井薗 隆也 外1名,分散協調型KJ法におけるグループ知評価の検討,情報処理学会 研究報告 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)[online],日本,情報処理学会,2014年03月07日,Vol.2014-HCI-157 No.51,pp.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる個人ワークと、複数の前記受講者で構成されるグループにおいて各前記受講者の前記意見に基づいて前記受講者が議論するグループワークと、を含む前記研修を支援する研修支援システムであって、
前記研修支援システムは、
前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の各前記意見を集約する集約処理部と、
前記集約した前記意見について機械学習モデルを利用して要約する要約処理部と、を備え
前記要約処理部は、前記個人ワークのために定められた所定時間経過後、前記集約処理部によって集約された複数の意見を、前記機械学習モデルを利用して、前記グループワークにおいて前記グループに属する前記受講者が利用するために1つの要約結果として要約することを特徴とする研修支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載した研修支援システムにおいて、
前記要約処理部は、前記個人ワークによる各受講者の前記意見をそれぞれ要約し、
前記集約処理部は、要約された複数の意見を集約し、
前記要約処理部は、更に、集約された複数の意見を、前記グループに属する受講者が前記グループワークで利用するために1つの要約結果として要約することを特徴とする研修支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載した研修支援システムにおいて、さらに、
予め前記受講者を識別するための受講者識別情報および前記受講者が属するグループを識別するためのグループ識別情報をそれぞれ記憶する記憶部と、
前記受講者の前記意見および前記受講者の前記受講者識別情報を含む意見情報について前記受講者が使用する受講者端末から受信する受信部と、
前記グループ識別情報と前記受講者識別情報とを照合して前記受講者の属する前記グループを特定するグループ特定部と、を有することを特徴とする研修支援システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載した研修支援システムにおいて、さらに、
前記集約した前記意見を前記要約した要約結果に対してこの前記要約結果に基づく前記受講者の議論の結果を反映させる議論反映部を有することを特徴とする研修支援システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載した研修支援システムにおいて、
前記要約処理部は、
前記集約した前記意見を、前記グループワークの議論が活発になる観点を数値化した観点ポイントに基づく学習がされた機械学習モデルにより要約することを特徴とする研修支援システム。
【請求項6】
請求項に記載した研修支援システムにおいて、
前記議論反映部は、
前記個人ワークにおいて前記意見が要約された結果である回答に対して前記受講者がさらに考えた更なる意見を前記受講者が使用する前記受講者が使用する受講者端末から受け付けるとともに、前記回答にこの前記更なる意見を反映させることを特徴とする研修支援システム。
【請求項7】
請求項に記載した研修支援システムにおいて、
前記議論反映部は、
前記グループワークにおいて前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の操作に応じて前記議論の結果を前記要約結果に対し即時に反映する処理を行うことを特徴とする研修支援システム。
【請求項8】
請求項に記載した研修支援システムにおいて、さらに、
前記要約結果と、前記議論の結果が反映された議論反映結果と、を同一の領域に表示する表示処理部を有することを特徴とする研修支援システム。
【請求項9】
請求項に記載した研修支援システムにおいて、さらに、
前記意見、前記個人ワークにおいて前記意見が要約された結果である回答、前記個人ワークにおいて前記回答に対する前記受講者の更なる意見を前記回答に反映させた意見反映結果、前記要約結果、または前記議論の結果が反映された議論反映結果のいずれかもしくはこれらの組み合わせと前記研修の講師が前記受講者に伝達する伝達事項と、を同一の領域に表示する表示処理部を有することを特徴とする研修支援システム。
【請求項10】
研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる個人ワークと、複数の前記受講者で構成されるグループにおいて各前記受講者の前記意見に基づいて前記受講者が議論するグループワークと、を含む前記研修を支援する研修支援システムが実行する研修支援方法であって、
前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の各前記意見を集約する集約処理ステップと、
前記集約した前記意見について機械学習モデルを利用して要約する要約処理ステップと、を含み、
前記要約処理ステップは、前記個人ワークのために定められた所定時間経過後、前記集約処理ステップによって集約された複数の意見を、前記機械学習モデルを利用して、前記グループワークにおいて前記グループに属する前記受講者が利用するために1つの要約結果として要約することを特徴とする研修支援方法。
【請求項11】
研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる個人ワークと、複数の前記受講者で構成されるグループにおいて各前記受講者の前記意見に基づいて前記受講者が議論するグループワークと、を含む前記研修の支援をコンピュータ装置に実行させる研修支援プログラムであって、
前記コンピュータ装置に、
前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の各前記意見を集約する集約処理ステップと、
前記集約した前記意見について機械学習モデルを利用して要約する要約処理ステップと、を実行させ
前記要約処理ステップは、前記個人ワークのために定められた所定時間経過後、前記集約処理ステップによって集約された複数の意見を、前記機械学習モデルを利用して、前記グループワークにおいて前記グループに属する前記受講者が利用するために1つの要約結果として要約することを特徴とする研修支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループワークでの議論を効率化して議論の活性化を促し研修を支援するための研修支援システム、研修支援方法、および研修支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の者が特定のテーマについて話し合うグループワークにおいてその議論を効率化し議論の活性化を支援する研修支援システムが知られている。例えば、特許文献1に記載の教育支援システム(以下、「従来システム」という)は、ロボットを用いてグループワークでの議論の状況に応じた適切なアドバイスや誘導を行うことができるようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6637917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来システムによれば、議論を行う者は、グループの外部からその議論を最適化するためのアドバイスを受けて活発な議論を行うことができる。しかし、従来システムは、議論を行う際にまず個人の意見を順次他者へ共有する作業(以下、「共有作業」という)が必要であった。そのため、従来の議論では、議論を行う者が他者の意見を理解することに時間と労力がかかり、共有された意見に対して各自の見解を述べて論じ合うという議論の本質的な活動が阻害される問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、共有作業の煩雑さを解消し、議論の活性化を促すことができる研修支援システム(以下、「本研修システム」ともいう。本研修支援方法、および本研修支援プログラムについても同様に呼称する。)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、
研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる個人ワークと、複数の前記受講者で構成されるグループにおいて各前記受講者の前記意見に基づいて前記受講者が議論するグループワークと、を含む前記研修を支援する研修支援システムであって、
前記研修支援システムは、
前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の各前記意見を集約する集約処理部と、
前記集約した前記意見について機械学習モデルを利用して要約する要約処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明は、
研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる個人ワークと、複数の前記受講者で構成されるグループにおいて各前記受講者の前記意見に基づいて前記受講者が議論するグループワークと、を含む前記研修を支援する研修支援システムが実行する研修支援方法であって、
前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の各前記意見を集約する集約処理ステップと、
前記集約した前記意見について機械学習モデルを利用して要約する要約処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明は、
研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる個人ワークと、複数の前記受講者で構成されるグループにおいて各前記受講者の前記意見に基づいて前記受講者が議論するグループワークと、を含む前記研修の支援をコンピュータ装置に実行させる研修支援プログラムであって、
前記コンピュータ装置に、
前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の各前記意見を集約する集約処理ステップと、
前記集約した前記意見について機械学習モデルを利用して要約する要約処理ステップと、を実行させることを特徴とする。
【0009】
本研修支援システム、本研修支援方法、および本研修支援プログラム(以下「本研修システム等」という)は、研修を受ける受講者がテーマについて個人で考える個人ワークと、複数の受講者からなるグループにおいてグループを構成するメンバー各自の意見を基にテーマについて議論を行うグループワークと、を含む研修に用いられる。
【0010】
このように構成することで、本研修システム等は、前記個人ワークにおいて生まれた個人の意見を集約して要約した要約の結果についてグループ内で共有することができる。よって、受講者は、それぞれの意見をグループの他のメンバーへ順次共有せずとも、意見がまとめて要約された結果を理解して迅速に共有作業を完了することができる。したがって、従来の議論において受講者が共有作業に費やしていた時間と手間が抑制され、受講者は、テーマに関する本質的な話し合いを重点的に行うことができるようになる。
また、本研修システム等は、本質的な話し合いにより受講者間の議論を深めることができるため、受講者の満足感や達成感、納得感などの議論に対する高揚感を向上させることができ、ひいては議論での学びを受講者の印象により残しやすくすることがきる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、研修支援システムにおいて、さらに、
予め前記受講者を識別するための受講者識別情報および前記受講者が属するグループを識別するためのグループ識別情報をそれぞれ記憶する記憶部と、
前記受講者の前記意見および前記受講者の前記受講者識別情報を含む意見情報について前記受講者が使用する受講者端末から受信する受信部と、
前記グループ識別情報と前記受講者識別情報とを照合して前記受講者の属する前記グループを特定するグループ特定部と、を有することを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、本研修システムは、受信部で受信した意見情報と記憶部に記憶されている受講者識別情報およびグループ識別情報と、を読み出して、グループ特定部により各意見に係るグループを特定することができる。よって、本研修システムは、各受講者の意見についてコンピュータを利用してグループを特定することができ、人手による意見の収集やグループへの選り分けを必要とすることなく、各受講者の意見をグループごとに円滑に分けることができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、研修支援システムにおいて、さらに、
前記集約した前記意見を前記要約した要約結果に対してこの前記要約結果に基づく前記受講者の議論の結果を反映させる議論反映部を有することを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、受講者は、要約された意見に基づいてグループワークを行った後、要約された意見に反映された結果(議論の結果)を確認することができる。よって、受講者は、議論をする前の意見から議論した後の意見へとグループワークによってメンバーの意見がどのように変化したのかを認識することができる。これより、本研修システは、議論の深化や発展の程度についてより容易に受講者に認識させることができるとともに、議論に対する受講者の高揚感をより向上させることができ、議論の活性化を効率的に促すことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記要約処理部は、
前記個人ワークにおける前記意見について前記機械学習モデルを利用して要約することを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、受講者は、グループワークでの議論の前に受講者自身の個人的な意見についての要約後の結果を確認することができる。よって、受講者は議論の前に自分の考えを容易に整理することができる。また、受講者は、自分の意見について機械学習モデルがどのように理解したのか要約の結果を見て確認することができる。そのため、本研修システムは、個人的な意見に対する受講者の客観性を向上させることができ、要約の結果を踏まえて受講者が話し合うことで議論の活性化を効率的に促すことができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記要約処理部は、
前記集約した前記意見を前記グループワークの評価に用いる観点で前記機械学習モデルにより要約することを特徴とする。
【0018】
このように構成することで、本発明は、特定の観点を用いてグループワークを評価し、これを機械学習することで、グループワークの評価と観点との関係性について機械学習モデルを用いて予測することができる。よって、本研修システムは、グループワークの評価が高くなると思われる要約手法を機械学習により予測し、この手法に基づいて個人的な意見を要約処理することができる。したがって、本研修システムは、高い評価を得ることができる議論、すなわち活発な議論を促す可能性がある要約処理の結果に基づいて受講者に議論を行わせることができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記議論反映部は、
前記個人ワークにおいて前記意見が要約された結果である回答に対して前記受講者がさらに考えた更なる意見を前記受講者端末から受け付けるとともに、前記回答にこの前記更なる意見を反映させることを特徴とする。
【0020】
このように構成することで、受講者は、要約の結果について個人ワーク内で確認し、その内容を再度検討して要約の結果にその考えを反映することができる。よって、本研修システムは、受講者に個人ワーク内で個人的な意見を再度考え直し要約の内容を加筆修正する機会を与えることで、受講者が議論の前により洗練された個人の意見をまとめることができる。そのため、本研修システムは、より洗練された意見に基づいてグループワークのための要約処理を行うことができ、議論の活性化をさらに効率的に促すことができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記議論反映部は、
前記グループワークにおいて前記グループを構成する少なくとも二人以上の前記受講者の操作に応じて前記議論の結果を前記要約結果に対し即時に反映する処理を行うことを特徴とする。
【0022】
このように構成することで、受講者らは、要約の結果を受けて行った議論の内容をリアルタイムで要約の結果へ反映させることができる。よって、本研修システムは、議論の中で生まれた意見をリアルタイムに要約の結果へ反映させながらグループで話し合いを進めることで、受講者は話し合いの内容を逐次整理または確認しながら議論を行うことができる。したがって、本研修システムは、受講者が考えをまとめながら議論できるため議論の活性化を効率的に促すことができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、研修支援システムにおいて、さらに、
前記要約結果と、前記議論の結果が反映された議論反映結果と、を同一の領域に表示する表示処理部を有することを特徴とする。
【0024】
このように構成することで、本研修システムは、集約を経て要約した要約の結果と議論の結果が反映された意見とについて同一の領域に表示するため、それらの内容を一目で確認することできる。よって、本研修システムは、受講者が手間取ることなくグループに属する受講者の考えの変化や議論の変遷を一見して確認することができる。そのため、受講者は迅速に議論を進めることができ、議論の活性化を効率的に促すことができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、研修支援システムにおいて、さらに、
前記意見、前記個人ワークにおいて前記意見が要約された結果である回答、前記個人ワークにおいて前記回答に対する前記受講者の更なる意見を前記回答に反映させた意見反映結果、前記要約結果、または前記議論の結果が反映された議論反映結果のいずれかもしくはこれらの組み合わせと前記研修の講師が前記受講者に伝達する伝達事項と、を同一の領域に表示する表示処理部を有することを特徴とする。
【0026】
このような構成にすることで、受講者は、それぞれの前記意見と講師からの伝達事項とについて同一の領域に表示するため、それらの内容を一目で確認することできる。よって、受講者は、個人ワークまたはグループワークにおいて、講師からの伝達事項を聞くために別途時間や手間を取られることなくテーマについて検討することができる。また、本研修システムは、伝達事項が表示されることで講師の話によって受講者の作業が中断されることを低減でき、表示された伝達事項を受講者の任意のタイミングで確認することができる。そのため、本研修システムは、受講者の思考が中断されることを防ぎ議論の効率的な進行または活性化を促すことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の受講者が参加する研修において受講者らの意見を集約し機械学習モデルを利用して要約を行うことで、研修支援システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成の概略を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置および端末のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る研修支援システムが利用される研修の流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態に係る研修支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態に係る研修支援システムで利用される各情報の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る研修支援システムで利用される各情報の一例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る研修支援システムにおいて表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る研修支援システム、研修支援方法、および研修支援プログラムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
本実施形態では研修支援システムの構成や動作などについて説明するが、実行する方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラムなどについても同様の作用効果を奏することができる。また、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータ(コンピュータ装置)が読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0031】
また、本実施形態において「部」とは、例えば広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理と、を合わせたものも含み得る。
【0032】
本実施形態において情報とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0もしくは1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ、いわゆる量子ビットによって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0033】
前記広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)などを適宜組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを含むものである。
【0034】
<研修について>
一般に、研修はその実施形式によって、講師と講師の指導を受ける受講者が対面で行う対面研修と、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの携帯端末をネットワークに接続してオンラインで行うオンライン研修とに分けられる。また、研修はその目的ごとに、組織の階層に沿って受講者を分類しそれぞれの階層に属する受講者に必要とされる考え方や知識、技術を受講者に習得させることを目的とする階層別研修と、特定の目的に基づいてテーマを設定しその目的に関係する者を受講者として実施する目的別研修とに分けることもできる。
【0035】
さらに、研修内で使用される手法には、研修のなかで与えられたテーマに対して個人で取り組む個人ワークや特定の場面を設定し定められた役割を演じることで考え方や知識、技術を学ぶロールプレイング、研修内で課せられるテーマに対して複数の受講者で構成されるグループに分かれて協議や課題解決、発表などを行うグループワークなど様々な手法が実施されている。
【0036】
ここで、本明細書において個人ワークとは、研修を受講する受講者が研修のテーマについて個人的な意見をまとめる作業を指す。よって、個人ワークでは、受講者が研修のテーマについて個人的に考えればよく、研修の前にこの作業を宿題として受講者に行わせ研修当日には個人ワークの時間を設けない場合でも個人ワークが行われているといえる。また、本明細書においてグループワークとは、複数の受講者で構成されるグループにおいて各受講者の個人的な意見に基づき受講者が議論を行う作業を指す。
【0037】
よって、研修中に個人ワークのための時間が設けられずグループワークのみが行われた場合であっても、グループワークの中で各受講者が個人的な意見を考え他者に伝えつつ、他者の意見への見解を述べて話し合いを行う場合には、個人ワークとグループワークとが行われているといえる。
【0038】
この点、本明細書における研修は、実施形式や受講者の階層にかかわらず、前記個人ワークと前記グループワークと、を含む講習であればよい。
【0039】
また、研修は、職業上の必要な知識や技能を高めるための教育を指すだけでなく、就職活動を行う者や実務能力の向上を目的とする者が一定期間企業や団体などの組織で仕事を体験するインターンシップや特定の課題について参加する者同士で話し合い意見を分かち合うワークショップも含む。
【0040】
<システム構成>
図1に示す研修支援システム1は、複数の者が受講する研修において用いられる。本実施形態においては、新たに社会人として労働に従事する新社会人を対象とした研修を想定して説明する。
図1に示すように研修支援システム1は、情報処理装置10とデータベースDBを備える。
【0041】
情報処理装置10は、研修支援システム1を提供する者が管理するサーバであり、研修支援システム1を実行した結果を受講者や講師など研修を利用する者に提供する。情報処理装置10には、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ(コンピュータ装置)などを採用することができ、さらに後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させて研修支援システム1を構成することもできる。また、情報処理装置10は、複数の受講者端末2(a)~2(c)(以下、「受講者端末2」という)、講師端末3、および担当者端末4とネットワークNWを介して相互に通信可能に接続されている。
【0042】
受講者端末2は、研修を受ける受講者が操作する端末(コンピュータ装置)である。具体的には、据え置き型のパーソナルコンピュータや持ち運び可能な可搬型のパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイスなどの携帯端末装置を採用することができる。なお、本実施形態においては、本研修システムは、受講者端末2を含む端末50のウェブブラウザアプリケーションによって作動することを想定しているが、本研修システム等を実施するための専用のアプリケーションを端末50にインストールして本研修システムの作動を実現することとしてもよい。
【0043】
講師端末3は、研修で受講者を指導する講師が操作する端末である。また、担当者端末4は、講師に対し受講者の指導を依頼した担当者が使用する端末である。講師端末3および担当者端末4は、前記受講者端末2と同様の装置を採用することができる。
【0044】
なお、研修支援システム1は、任意の数の受講者端末2、講師端末3、および担当者端末4と接続でき、受講者端末2のみと接続されてもよい。
【0045】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、さらにネットワークの種類や規模にも制限はない。
【0046】
データベースDBは、研修支援システム1を実行するための各種情報が記憶されている。記憶する詳しい情報については、後述する機能構成において説明する。
【0047】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13とを備える。ただし、情報処理装置10は、前記構成に加えて既知のコンピュータが備える各種の機能を担う機能部、例えば音声入力デバイスや音声出力デバイスなどを備えていてもよい。
【0048】
制御部11は、CPUやMPUなどの1または2以上のプロセッサを含み、本発明に係る研修支援システム、OS、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0049】
記憶部12は、HDDや光ディスクなどの記憶装置またはSSD、ROM、RAMなどの半導体メモリ素子であって、本発明に係る研修支援プログラムおよび制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータやソフトウェアなどの様々なデータを記憶する。
【0050】
通信部13は、情報処理装置10がネットワークNWに接続されるためのインターフェースである。具体的には、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などを採用することができる。
【0051】
図2(b)は端末50(図1における受講者端末2、講師端末3、担当者端末4)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末50は、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、入力部54と、出力部55とを備える。
【0052】
端末50の制御部51は、CPUやMPUなどの1以上のプロセッサを含み、端末50の動作処理全体を制御する。
【0053】
端末50の記憶部52は、HDDや光ディスクなどの記憶装置またはSSD、ROM、RAMなどの半導体メモリ素子であって、前記ウェブブラウザアプリケーション並びに制御部51がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータなどを記憶する。
【0054】
端末50の通信部53は、ネットワークNWとの通信を制御する。
【0055】
端末50の入力部54は、キーボード、マウス、タッチパネル、OCR(Optical Character Reader)またはマイクなどの入力装置であって、ユーザによる操作要求を制御部51に入力する。
【0056】
端末50の出力部55は、ディスプレイ、プロジェクタまたはスピーカなどの出力装置であって、制御部51の処理の結果などを表示する。
【0057】
<機能構成>
図2(a)に示すように情報処理装置10は、機能構成として、受信部101と、送信部102と、グループ特定部103と、集約処理部104、要約処理部105と、議論反映部106と、表示処理部107と、を備える。これらは、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、制御部11や記憶部12などのハードウェアによって具体的に実現されたものである。
【0058】
受信部101は、外部からの各種情報を受け付ける。本実施形態における受信部101は、受講者端末2から個人的な意見(以下、「個人意見」という)および受講者識別情報を受信する。
【0059】
送信部102は、本研修システムの作動に必要な情報を送信する。本実施形態における送信部102は、個人意見について要約処理を行った結果を記憶部12に送信する。
【0060】
グループ特定部103、個人意見を考えた受講者がどのグループに属しているのかを特定する。本実施形態におけるグループ特定部103は、受信した意見情報に含まれる受講者識別情報と、グループ識別情報に紐づけられている受講者識別情報と、を照合して個人意見を考えた受講者が属するグループを特定する。
【0061】
集約処理部104は、受講者それぞれの個人意見を集約する。本実施形態において集約処理部104は、グループを構成する少なくとも二人以上の受講者を集約単位として各個人意見を集約する。
【0062】
要約処理部105は、個人意見について要約する処理を行う。本実施形態において要約処理部105は、記憶部12から読み出した学習済みの機械学習モデルを用いて集約単位ごとに集約された個人意見を要約する処理を行う。
【0063】
議論反映部106は、受講者の議論の結果(以下、「議論結果」という)を要約処理した結果(以下、「要約結果」という)に反映させる処理を行う。本実施形態において議論反映部106は、要約結果を基に受講者がグループにおいて議論した議論結果をこれに対応する要約結果に反映させる反映処理を行う。
【0064】
表示処理部107は、個人意見や要約結果などの本研修システムを利用する際に必要となる情報を表示処理する。本実施形態において表示処理部107は、要約結果と対応する要約結果に議論結果を反映処理した議論反映結果とに基づいてグループワーク画面(以下、「GW画面」という)を表示処理し、その結果を受講者端末2に送信する。
【0065】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、図5(a)に示す受講者に関する受講者情報、図5(b)に示す受講者が属するグループに関するグループ情報、図5(c)に示す受講者が所属する会社や学校などの組織に関する組織情報、図5(d)に示す受講者と組織の構成員とを対応づけるための構成員情報(例えば、社員に関する情報や生徒に関する情報など)、図6(a)に示す講師に関する情報(以下、「講師情報」という)、図6(b)に示す研修に関する情報(以下、「研修情報」という)を格納する。
【0066】
また、データベースDBは、以下の図示しない情報も格納され得る。具体的には、研修のテキストに関する情報、受講者を識別するための受講者識別情報、受講者が属するグループを識別するためのグループ識別情報、担当者に関する情報(以下、「担当者情報」という)、個人意見に関する情報、更なる意見に関する情報、特定結果に関する情報、集約単位に関する情報(以下、「集約単位情報」という)、各個人意見をそれぞれ要約した結果(以下、「回答」という)および要約結果に関する情報、議論結果に関する情報、回答に更なる意見を反映した結果(以下、「意見反映結果」という)および議論反映結果に関する情報、グループワークを評価する観点に関する情報、グループワークの議論の評価に関する情報、機械学習モデルに関する情報、表示処理した結果に関する情報、その他の本研修システム等に必要なデータやプログラムなどの情報を格納する。
【0067】
前記各種情報の一部又は全部は、記憶部12や受講者端末2、講師端末3、担当者端末4の記憶部52に格納されてもよく、これらの一部が別の記憶装置に格納されてもよい。
【0068】
<研修の流れ>
図3を参照しながら、本実施形態における研修の流れを説明する。
本実施形態における研修は対面での実施を想定して説明する。
研修が始まると、ステップ601(以下、S601として参照する。他のステップについても同様に符号のみで参照する。)において、講師が受講者に対して研修の内容について説明を行う。本実施形態においては、講師が研修の流れや目的、研修内で実施する作業の内容、それぞれの作業に対する時間配分、注意事項、講師の自己紹介などについて受講者に伝える。次に、S602において、講師は研修内で受講者に考えさせたいテーマの導入を行ったのち、テーマの内容を具体的に説明し(S603)、受講者に個人ワークの時間を与える(S604)。
【0069】
S604における個人ワークでは、受講者それぞれがテーマについて考えて各自の個人意見を受講者端末2の入力部54に入力する。また、図示しないが本研修システムは、入力された各個人意見について要約処理を行った結果(回答)を出力部55に表示することができる。さらに、本研修システムは、前記要約処理された結果(回答)に基づいて個人ワーク内で受講者がさらに考えた意見(更なる意見)を前記回答に反映した内容(意見反映結果)についても出力部55に表示することができる。
【0070】
次に、S605において、講師は受講者にグループごとに分かれるよう指示し、受講者はグループごとにテーマについてグループワークを行う。S605におけるグループワークでは、前記個人ワークにて各受講者により入力された個人意見を要約処理した結果(要約結果)が受講者端末2の出力部55に表示され、これに基づいて受講者は意見を述べて議論を行う。また、図示しないが本研修システムは、グループワーク内において、議論の結果出た意見(議論結果)を要約結果に反映した内容(議論反映結果)を出力部55に表示することもできる。
【0071】
次に、S606において、受講者はグループごとにグループワークでの議論の結果を発表する。その後、S607において、講師はテーマについて解説を行う。本実施形態における研修は、以上の流れを研修の終了時間まで(S608)または講師が研修のために準備したすべてのテーマについて作業が終了するまで繰り返し行う。ただし、研修の形態は上記実施形態に限られず、グループワークの前に複数回の個人ワークを繰り返してもよいし、グループワークの後に個人ワークを再度行ってもよい。また、全体発表は適宜省略することができる。
【0072】
本実施形態における研修支援システムの研修は、概略以上のような流れである。以下、図4~7を参照して、本実施形態における研修支援システムの具体的な処理手順について詳しく説明する。
【0073】
<各種登録>
図4のS701において、本研修システムを利用しようとする受講者や講師、担当者、本研修システムの管理を行う者などの利用者は、受講者情報を事前にデータベースDBに登録する。
【0074】
図5(a)に示すように、受講者情報は、受講者の氏名、連絡先などの情報を含み受講者IDで管理される。また、受講者情報には、受講者端末を識別するための番号(受講者端末ID)、受講者が所属する組織に関する組織情報(後述する会社ID)、受講者と組織の構成員とを対応づけるための構成員情報(後述する社員ID)、職務に関する情報、能力検査や性格検査などの受講者に対して行われる検査の結果に関する情報、登録日、更新日、入社日、言語、ニックネーム、性別、性格、顔写真、誕生日などの情報を含むことができる。
【0075】
この能力検査および性格検査は、受講者が所属する組織において行われる検査に限らず、受講者の能力や性格もしくは人柄を診断する検査であればよい。具体的に能力検査で調査する能力とは、コミュニケーションを円滑に進める力、質問をする力、傾聴する力、論理的に思考する力、理解力、他人を指導する力、ストレスを自分で制御する力、説明する力、効果的に営業を行う力、意見を調整する力、文章で表現する力などの受講者が業務を行う際に求められる才能や学力を指す。
このように、受講者の能力や性格が判断できる情報を登録する構成とすることで、本研修システムで利用する機械学習モデルは、同一の研修テーマに対する受講者の考え方の傾向について受講者の能力等との関係から分析して学習することができる。また、同機械学習モデルは、グループに属する受講者の能力等について解析することで、グループごとにおける考え方の傾向(以下、「グループの性格」という)についても学習することができる。そのため、前記構成によれば本研修システムは、受講者の能力等やグループの性格が受講者の意見に及ぼす影響を考慮して議論が活発になり得る要約処理の方法を予測し実施することができる。
【0076】
ここで、受講者の一例としては、新たに社会人として労働に従事する新社会人、勤務経験が3年以内の若手職員、組織を構成する部門ごとの職員、部下を初めて持った新人上司、役職に初めてついた新人役員または管理職に就いている職員などの組織に属してその組織の業務に従事する社会人、使用者との間で期間の定めのない労働契約を締結している契約社員、派遣労働者、パートタイマー、アルバイトなどの非正規労働者、高校や大学などの教育機関で就学している学生または無償で社会活動を行うボランティアが含まれる。
【0077】
加えて、利用者は、S702において、グループ情報を事前にデータベースDBに登録する。
【0078】
図5(b)に示すように、グループ情報は、人数、グループを構成する受講者のIDなどの情報を含みグループIDで管理される。また、会社ID、グループ名、受講者の役割名などの情報を含むことができる。この役割名とは、例えば、グループの代表者、司会者、発表係、書記係、計時係などが挙げられる。
【0079】
さらに、利用者は、S703において、組織情報、構成員情報、講師情報、研修情報、集約単位情報などの情報を事前にデータベースDBに登録する。
【0080】
図5(c)に示すように、組織情報は、株式会社AやB工業などの組織名(会社名)、組織の連絡先(会社連絡先)などの情報を含み会社IDで管理される。また、組織の業種または活動の種別、組織の規模、組織のロゴ、組織の住所を含むことができる。この会社の規模とは、例えば、従業員の人数、資本金の金額、売上高、営業利益や当期純利益などの利益の額、総資産、活動分野でのランキングなどが挙げられる。
このように、組織の業種または活動内容や規模を登録する構成とすることで、同一の研修テーマに対する受講者の意見の傾向を組織ごとに分析して機械学習することができる。そのため、前記構成によれば本研修システムは、組織の特徴が受講者の意見に及ぼす影響を考慮して議論が活発になり得る要約処理の方法を予測し実施することができる。
【0081】
図5(d)に示すように、構成員情報は、氏名、会社IDなどの情報を含み社員IDで管理される。また、構成員情報は、性別、構成員が割り当てられた役割の場所(部署)、構成員が従事する職務の内容、所属期間、職務の場所などの情報を含むことができる。構成員が従事する職務の内容は、受講者が学生の場合には受講者が主に専門としている学問の内容や、得意としている学問の分野を含めることもできる。さらに、受講者IDの代替として社員IDを利用することもできる。
【0082】
図6(a)に示すように、講師情報は、講師の氏名、講師の連絡先などの情報を含み講師IDで管理される。また、講師情報には、性別、受講者の階層や研修のテーマで分類した研修の分野であって講師がこれまで最も多く担当した分野(研修分野)、得意とする研修の手法などの情報を含むことができる。
このように、講師の性別や研修分野について登録する構成とすることで、講師の属性やこれまでの経歴に基づく研修の進行の方法と同一の研修テーマに対する受講者の意見の傾向との関係性を分析して機械学習することができる。そのため、前記構成によれば本研修システムは、講師の属性や経歴が受講者の意見に及ぼす影響を考慮して議論が活発になり得る要約処理の方法を予測し実施することができる。
【0083】
図6(b)に示すように、研修情報は、研修名、研修の内容または受講者の階層や研修のテーマで分類した研修の分野(研修分野)などの情報を含み研修IDで管理される。また、研修情報は、研修で用いられている手法を示す研修の種別、講師ID、会社ID、研修の開催日、研修の開始時間、研修の終了時間、研修で収集された意見などの情報を含むことができる。
このように、研修ごとに研修の内容や意見を登録する構成とすることで、研修の内容等(内容または研修分野、種別、開催日からわかる季節、開始時間および終了時間からわかる研修時間の長さ)ごとに受講者の意見の傾向を分析して機械学習することができる。そのため、前記構成によれば本研修システムは、研修の内容等が受講者の意見に及ぼす影響を考慮して議論が活発になり得る要約処理の方法を予測し実施することができる。
【0084】
図示しない集約単位情報は、個人意見を一定のまとまりで集約する際の単位(以下、「集約単位」という)に関する情報である。集約単位情報には、人数、集約単位を構成する受講者のID、グループIDなどの情報を含み集約IDで管理される。また、集約単位情報は、会社ID、集約単位名などの情報を含むことができる。
【0085】
<個人ワークでの処理>
次に、受講者は、図3のS600~S604を経て個人ワークを進め、個人ワークで考えた個人意見を受講者端末2の入力部54に入力する。この入力を受け付けた受講者端末2の制御部51は、個人意見と受講者識別情報(受講者ID)とを紐づけた意見情報を情報処理装置10の通信部13に送信する。通信部13は、受信した意見情報を受信部101に送信する。図4のS704において、受信部101は通信部13を介して受講者端末2から意見情報を受信すると意見情報を記憶部12に送信する。記憶部12は受信した意見情報を記録する。
【0086】
S705において、グループ特定部103は、記憶部12に記憶されている意見情報および予め登録されているグループ情報を読み出して意見情報とグループ情報とを照合しグループを特定する。
【0087】
本実施形態においてグループ特定部103は、意見情報に含まれる受講者IDとグループ情報に含まれる受講者IDとが一致した場合は、照合したグループに受講者IDに係る受講者が属すると判定し、不一致の場合には受講者はグループに属さないと判定して一致するまで同様の照合処理を繰り返し行う。グループ特定部103は、この処理をすべての意見情報に対して行い、各個人意見がどのグループに属する受講者から入力されたものかを特定する。また、グループ特定部103は、意見情報に含まれる個人意見に関する情報を受講者識別情報(受講者ID)と紐づけグループごとに個人意見をまとめた特定結果を記憶部12に送信する。記憶部12は受信した特定結果を記録する。
【0088】
S706において、集約処理部104は、記憶部12に記憶されている意見情報および予め登録されている集約単位情報を読み出し、集約単位ごとに個人意見を集約処理する。
【0089】
具体的に、集約処理部104は、集約単位情報における一つの集約IDに一つのグループIDが紐づけられているか否かを判定して集約単位とグループとが同一の要素から構成される集団であるか否かを特定する。要素とは、例えば集約単位情報に含まれる受講者IDとグループ情報に含まれる受講者IDとが挙げられる。集約単位とグループとが同一の場合には、集約処理部104は、記憶部12に記憶されている特定結果を読み出してグループ(集約単位)ごとの個人意見を取得する。他方、集約単位とグループとが異なる場合には、集約処理部104は、意見情報に含まれる受講者IDと集約単位情報に含まれる受講者IDとを照合して集約単位ごとに個人意見を取得する。
【0090】
次に、集約処理部104は、前記取得した個人意見を各個人意見の記載内容を変えることなく羅列した一文章からなる一纏りの集約ファイルを作成する。集約処理部104は、この集約処理をすべてのグループ(集約単位)に対して行い、集約単位ごとに一つの集約ファイルを作成する。集約処理部104は、作成した集約ファイルと特定結果とを紐づけた集約結果を記憶部12に送信する。記憶部12は受信した集約結果を記録する。
【0091】
S707において、要約処理部105は、記憶部12に記憶されている集約結果および予め登録されている機械学習モデルを読み出し、集約結果に含まれる個人意見に基づいて機械学習モデルが予測した要約処理の方法を用い集約ファイルごとに要約処理を行う。要約処理部105は、要約処理を行った要約結果と対応する集約結果とを紐づけた要約情報を記憶部12に送信する。記憶部12は受信した要約情報を記録する。
【0092】
<機械学習モデル1>
ここで、図示しない機械学習モデル1および機械学習モデル2の作成について説明する。
【0093】
まず、機械学習モデル1では、利用者は学習データとして研修において受講者の意見が記載された文書(以下、「意見文書」という)を収集し記憶部12に記憶させる。この収集は、受講者が意見を入力した端末から自動で収集して記憶してもよいし、人手で集めて記憶させてもよい。
【0094】
学習データとして用いる意見文書としては、本研修システムの利用時に受講者によって受講者端末2に入力または情報処理装置10の処理によって少なくとも受講者端末に表示される文章と同種のものであることが好ましい。同種のものとは、すなわち、本実施形態において個人意見、回答、更なる意見、意見反映結果、要約結果、議論結果、議論反映結果を指す。
【0095】
さらに、情報処理装置10は、収集した意見文書を利用して学習データを作成する。この点、本発明は意見文書をそのまま学習データとして用いてもよいが、本実施形態においては学習精度向上のために、全角や半角の表記を統一したり、誤字脱字などの誤記を訂正したりして前処理を行った学習データを作成する。
【0096】
次に、情報処理装置10は、要約処理を行った結果とその結果に基づいて受講者が議論した結果との差分についてその差の程度から、その後のグループワークにおける議論の活発さ(以下、「活発度」ともいう)を推定する。
【0097】
具体的に、情報処理装置10が議論結果、議論結果に対応する要約結果、および要約結果に対応する個人意見等(個人意見、回答、または意見反映結果)を記憶部12から取得する。取得したこれら議論結果等に基づき、情報処理装置10は、議論結果によって要約結果に変更が加えられた箇所と変更の内容(以下、「変更内容」という)とについて分析を行う。
【0098】
例えば、変更内容が、句読点の追加や単語の修正、助詞の書き換えなどの文法に関する校正や自然な文章へ体裁を整えたもの(以下、「形式的な変更」という)である場合は、その議論結果に対応する議論の活発度は低いものと推定する。他方、変更内容が、要約結果における文章の趣旨を変えるものや要約結果に加えて新たな意見が付け加えられたものである場合は、その議論結果に係る議論の活発度は高いものと推定し、その活発度について数値で表した推定結果を記憶部12に送信する。
【0099】
この場合において、文書の意味を理解するための分析には、文章内の単語同士の関連性を解析して単語や文節間の係り受けの構造を解析し(構文解析)、この構造を基に事前のリストから文章中の固有名を結びつけその意味を認識する機械学習(意味解析)に利用される任意の手法を用いることができる。
【0100】
次に、情報処理装置10は、グループワークでの議論が活発になると考えられる観点について議論ごとに数値(以下、「観点ポイント」という)を付与して議論を評価する。本実施形態においてこの観点には、議論中の講師による助言、要約結果を作成した機械学習による助言(以下、「AIによる助言」という)、グループを構成する受講者の組み合わせ、テーマの質、要約の質、講師の質、担当者や受講者の研修に対するモチベーション、研修を実施する会場の印象のうち少なくとも一つを示す情報が含まれる。
【0101】
具体的に、議論中の講師による助言は、議論中に講師が助言したタイミングや表現、助言を送った受講者、助言の伝達手法などが数値を付与するための指標として含まれる。AIによる助言は、受講者への要約結果についての補足や要約結果に反映されなかった個人意見等(個人意見、回答、または意見反映結果)について伝達するものであり、前記講師による助言と同様の指標が含まれる。
【0102】
また、グループを構成する受講者の組み合わせは、受講者の能力や性格、人数などが指標として含まれる。加えて、受講者の能力や性格をグループごとに分析し、グループごとの傾向を指標として用いてもよい。
【0103】
テーマの質は、テーマの導入の方法や導入に掛けた時間、テーマを受講者に伝えたタイミング、テーマの議論のしやすさ(今までに受講者が考えた経験があるテーマか、受講者の通性を考慮したテーマかなど)、テーマの表現の方法などが指標として含まれる。要約の質は、変更内容や形式的な変更の回数、変更内容の単語数、変更された箇所などが指標として含まれる。
【0104】
講師の質は、講師の専門分野や研修の指導を行った回数、講師の経歴、講師の話し方から他者に与える印象、講師の話すスピード、研修を円滑に進める力(ファシリテーション力)の高低などが指標として含まれる。担当者や受講者の研修に対するモチベーションは、研修の予算や担当者の人数、担当者から講師への要望の数、担当者における研修の目的の明確性、担当者による受講者への追跡調査、経過観察または再教育の有無、受講者の出席率、受講者の遅刻の有無、講師から受講者への問いかけに対する反応の程度、アンケートの回答率などが指標として含まれる。
【0105】
研修を実施する会場の印象は、会場の設備(屋内または屋外、照明の明るさ、適温への調整の有無、会場の広さ、窓の有無)、立地などが指標として含まれる。
【0106】
以上で説明した観点については、研修を実施したのちに受講者や講師、担当者などに対して行われるアンケートの結果によって数値に変換してもよいし、事前に基準を決めて数値に変換してもよい。
【0107】
最後に、情報処理装置10は、記憶部12に記憶された推定結果と学習データとを用いてニューラルネットワークを利用した機械学習モデル1を作成する。本実施形態における機械学習では、入力された複数の個人意見等(個人意見、回答、または意見反映結果)に基づいてある要約処理を実行した際に、議論に対する推定結果および議論の観点ポイントの値がどの値をとるのか予測することをタスクとして、学習データを用いて学習し機械学習モデル1を作成する。
【0108】
よって、学習データに基づき学習済の機械学習モデル1が、さらに追加の学習データとして意見文章を与えられた際には、要約結果と推定結果および観点ポイントとの関係から推定結果および観点ポイントが高くなる要約処理の方法について推定することができる。また、前記機械学習モデル1は、少なくとも個人意見と機械学習モデル1を使用して作成された要約結果とその要約結果に係る議論反映結果とに基づいて実際に議論の活性化が促されたのかを検証することで更新される。
【0109】
<機械学習モデル2>
次に、図示しない機械学習モデル2の作成について説明する。まず、利用者は学習データとして個人意見、更なる意見、意見反映結果、議論結果、または議論反映結果と、入力したデータ(以下、「入力データ」という)に基づいてモデルが出力した処理方法と、その処理の結果作成された回答または要約結果と、を収集して記憶部12に記憶させる。なお、前記機械学習モデル1で記載した学習データの収集と記憶、学習データの作成、および機械学習モデルの更新は、機械学習モデル2においても同様に行う。
【0110】
ここで、モデルが出力した処理方法とは、個人意見等(個人意見、回答、または意見反映結果)をモデルに入力した場合に、この個人意見等から議論を活性化する可能性の高い結果を得るためモデルによって予測された個人意見等に対する処理の方法、換言すればモデルが情報処理装置10に対して行った入力データを処理するための指示を指す。
【0111】
よって、モデルが出力した処理方法(以下、「処理方法」という)は、要約処理の方法だけでなく、グループ特定部で特定処理が行われた後の個人意見等について、集約して要約する一連の処理の方法を含む。
【0112】
次に、情報処理装置10は、処理方法に従って処理が行われた結果とその結果に基づいて受講者が議論した結果との差分についてその差の程度から、その後のグループワークにおける議論の活発度を推定する。推定の具体的な方法については、前記機械学習モデル1と同様の手法を採用することができる。
【0113】
次に、情報処理装置10は、グループワークでの議論が活発になると考えられる観点について議論ごとに観点ポイントを付与して議論を評価する。本実施形態においてこの観点は、前記機械学習モデル1と同様の観点を採用することができる。
【0114】
最後に、情報処理装置10は、記憶部12に記憶された推定結果と学習データとを用いてニューラルネットワークを利用した機械学習モデル2を作成する。本実施形態における機械学習では、入力された複数の個人意見等(個人意見、回答、または意見反映結果)に基づいて処理方法を実行した際に、議論に対する推定結果および議論の観点ポイントの値がどの値をとるのか予測することをタスクとして、学習データを用いて学習し機械学習モデル2を作成する。
【0115】
具体的には、機械学習モデル2が入力データに基づいて特定のグループの全メンバーの個人意見を集約して要約処理することを指示した際に、その結果作成された要約結果に基づく議論は、高い推定結果と観点ポイントを得られない場合がある。機械学習モデル2は、このような場合を学習データとしてさらに学び、再度同じ入力データを得た際には各メンバーの個人意見の内容を解析して意見の趣旨が似通った意見ごとに要約処理を行うような指示へと出力する処理方法を変更することができる。
【0116】
さらに具体的には、特定のグループに4人の受講者が所属している場合において、本研修システムは4人の意見を集約し、4人全員の意見に対応した要約処理をする。この要約処理の結果は、グループワークの議論を活性化させる内容であることが望ましいところ、議論の活性化が望めない場面もあり得る。この場合、グループの2人分の意見のみに対応した要約処理をすることでその要約結果が議論を活性化させる内容になることがある。
このように、機械学習モデル2では、特定の処理方法は議論の活性化が望めないがその後に提示した新たな処理方法では議論の活性化が望めたことまでの一連の流れについて学習データとして学習させる。
【0117】
また、機械学習モデル2では、前記特定のグループにおいて4人の意見を要約処理すること、4人の意見を任意の集約単位(例えば受講者の属性や意見の趣旨の違いなど)で分けて要約処理すること、すなわち推定結果や観点ポイントの評価が高くなる集約方法を学習しその学習した条件で集約した集約単位ごとに要約処理すること、グループ内または同じテーマにおいて少数派の意見として分類される意見の内容を組み入れまたは追記した要約方法で要約処理することなどを処理方法として出力してもよく、これら出力した処理方法を再度学習データとして繰り返し学習することで、推定結果や観点ポイントの評価がより高くなる処理方法の推定を行ってもよい。
【0118】
前記の通り機械学習モデル2を作成することで、機械学習モデル2は、推定結果および観点ポイントとの関係から議論の活性化を望むことができる一連の処理方法について学習して精度の良い推定を行うことができる。
【0119】
なお、本発明における機械学習モデルは、上記機械学習モデル1および機械学習モデル2に限られず、他の学習によって得られた機械学習モデルを利用することもできる。
【0120】
<グループワークでの処理>
次に、受講者は、図3のS605において前記要約結果を参照しながら議論を行い、その議論の結果(議論結果)を受講者端末2の入力部54に入力する。この入力を受け付けた受講者端末2の制御部51は、議論結果と受講者識別情報(受講者ID)とを紐づけた議論情報を情報処理装置10の通信部13に送信する。通信部13は、受信した議論情報を受信部101に送信する。図4のS708において、受信部101は通信部13を介して受講者端末2から議論情報を受信すると議論情報を記憶部12に送信する。記憶部12は受信した議論情報を記録する。
【0121】
S709において、議論反映部106は、記憶部12に記憶されている議論情報および要約情報を読み出して各議論結果に対応する要約結果を特定し、特定した要約結果に議論結果を反映させる処理を行う。
【0122】
具体的に、議論反映部106は、議論情報に含まれる受講者識別情報(受講者ID)と要約情報に含まれる受講者識別情報(受講者ID)とを照合し、両IDが一致した場合は要約情報に含まれる要約結果を取得し、不一致の場合には一致するまで同様の照合処理を繰り返し行って一致した時点の要約結果を取得する。議論反映部106は、この処理をすべての議論情報に対して行い、各議論結果を入力した受講者が属する集約単位に対応する要約結果を特定する。すなわち、議論反映部106は、前記特定により議論の結果を反映する対象となる要約結果を特定する。
【0123】
次に、議論反映部106は、特定した要約結果に対応する議論結果を反映させる。具体的に、議論反映部106は、特定された要約結果と対応する議論結果とを対比し、一致している文言には変更を加えず一致しない文言については要約結果の文言を議論結果の文言に更新して要約結果に議論結果を反映する処理を行う。議論反映部106は、前記反映処理に基づき作成した議論反映結果を、議論情報に含まれる議論結果に関する情報およびこれに対応する要約結果を含む要約情報と紐づけて記憶部12に送信する。記憶部12は受信したこれら情報(議論反映結果等)を記録する。
【0124】
<表示処理>
S710において、表示処理部107は、記憶部12に記憶されている議論反映結果等を読み出して要約情報の集約結果に含まれるグループIDから、議論反映結果と各グループの対応関係とに関する情報を取得する。前記取得した情報に基づいて表示処理部107は、議論反映結果に対応する各グループの受講者を特定する。併せて、表示処理部107は、対応関係にある要約結果および議論反映結果を議論反映結果等より取得しこれらを含むGW画面(後述するGW画面90)を表示処理して、前記特定した受講者が使用する受講者端末2の出力部55に表示処理した結果を送信する。制御部51は、この表示処理した結果について送信部102を介して表示処理部107から受信すると、出力部55に議論反映結果が入力されたGW画面を表示させる。
前記表示処理は、S707とS708の間において要約結果を表示処理する場合も同様である(図示しない)。この場合、前記議論反映結果は要約結果と、前記要約結果は要約情報の集約結果と紐づく個人意見すなわち要約される前の個人意見と、GW画面は個人ワーク画面と、それぞれ読み替えることができる。
【0125】
<個人ワーク画面>
図7(a)に示すように、個人ワーク画面80は、個人ワークのテーマおよび個人ワークでテーマについて受講者が考えた意見を入力するための欄(図7(a)に示す「個人のメモ」、以下「個人メモ欄」という)が表示される。
【0126】
また、更なる意見を入力するための欄(以下、「更なる意見欄」)や回答を表示するための欄(図7(a)に示す「回答」、以下「回答欄」という)が表示されてもよく、個人メモ欄と更なる意見欄と回答欄とを同一の領域によって構成してもよい。この場合は、表示する内容に合わせて前記同一の領域内の表示部分を分けるか、もしくは特定の操作に基づいて表示部分の内容を入れ替える構成にしてもよい。
【0127】
さらに、個人ワーク画面80は、講師から受講者への伝達事項を表示するための欄(図7(a)に示す「講師からのコメント」、以下「講師欄」という)、個人ワークの制限時間、終了時間、または残り時間などを表示する欄(図7(a)に示す「残り 5分」、以下「時間表示欄」という)、個人意見に基づく回答の作成を指示するためのボタン(図7(a)に示す「回答をAIで作成」、以下「回答作成ボタン」という)、テーマについて受講者が考えた意見から要約結果の作成を指示するためのボタン(図7(a)に示す「送信」、以下「送信ボタン」という)を含んでもよい。なお、個人ワーク画面80およびGW画面における各表示欄や各ボタンの配置および表示形態は、図7(a)に示した構成に限られず、任意に選択してよいことは当然である。
【0128】
<グループワーク画面>
図7(b)に示すように、GW画面90は、グループワークのテーマ、要約結果を表示するための欄(図7(b)に示す「要約」下部の枠、以下「要約欄」という)、および議論反映結果を表示するための欄(図7(b)に示す「まとめ」下部の枠、以下「まとめ欄」という)が表示される。
【0129】
また、グループワークで要約結果に基づき受講者が考えた意見(議論結果)を入力するための欄(以下、「議論結果欄」という)やメンバーそれぞれの個人意見または回答を表示するための欄(図7(b)に示す「Aさん」「Bさん」「Cさん」下部の枠)が表示されてもよく、まとめ欄と議論結果欄とを同一の領域によって構成してもよい。この場合、議論結果欄は、予め要約結果を表示することで受講者が要約結果について変更したい最小限の部分のみを入力すれば議論反映結果が表示されるように構成してもよい。
【0130】
議論結果欄は、受講者によって新たに入力された内容を要約結果と識別できるように表示してもよい。この構成により、受講者は議論の成果をより明確に認識でき受講者の議論に対する高揚感をより高めて議論の活性化につなげることができる。また、議論結果欄は、複数の受講者が要約結果への変更内容を同時に入力してもよい。この場合、表示処理部107は、議論結果を入力するための欄に受講者ごとの変更内容を表示するための欄を設けように構成してもよい。この構成により、受講者それぞれが議論の内容をどのように捉えているのかをメンバーが確認し理解することができる。また、議論反映結果は、まとめ作成ボタンが操作されずとも、受講者による変更内容の入力に基づいてリアルタイムに表示されるように構成されてもよい。
【0131】
さらに、GW画面90は、個人ワーク画面80と同様に講師欄(図7(b)に示す「講師からのコメント」)、グループワークに係る時間表示欄(図7(b)に示す「残り 8分」)を含むように構成することもできる。
【0132】
回答作成ボタン、送信ボタン、およびまとめ作成ボタンは、個人ワークまたはグループワークの制限時間が終了したことに起因してそれぞれの処理を行ってよく、必ずしも各ボタンの操作を必要としない。
【0133】
本実施形態における研修では、上記流れ(S601~S607、S701~S710)を研修の終了時間まで繰り返し行う(S608)。
これにより、本研修システムは作動を終了することができる。
【0134】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、本研修支援システムは、議論の活発度を測る推定結果および観点ポイントの指標に基づき機械学習モデルを利用して議論が活性化する可能性の高い個人意見の要約処理の方法を予測するとともに、その方法を用いて要約した結果をグループ内の受講者に共有している。これにより、本発明に係る研修支援システムは、受講者各自において個人意見が要約された結果を理解するという簡易な作業によって煩雑な共有作業を効率化することができる。よって、受講者は、グループ内で個人意見について論じ合う本質的な話し合いを円滑に始めることができるとともに、議論を活性化する可能性の高い要約結果が作成されることで議論の活性化だけでなく発展をも促すことができる。
【0135】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0136】
例えば、上記実施形態においては、グループ特定部103は、各個人意見がどのグループに属する受講者から入力されたものかを特定する特定処理について意見情報を受信したあとかつ集約処理の前に行うように構成した。しかし、この特定処理は、要約処理の後にその要約結果を送信する対象となる出力部55を特定するときまでに行われればよく、処理のタイミングは本実施形態に限定されない。なお、集約単位としてグループが指定されている場合には、特定処理は集約処理の前に行われる必要があるのは当然である。
【0137】
また、上記実施形態においては、グループ特定部103は、意見情報とグループ情報とを照合しグループを特定するように構成した。しかし、グループ特定部103は、受講者IDにグループIDが紐づけて登録されている場合には、前記照合を行うことなく意見情報の受講者IDに紐づくグループIDからグループを特定してもよい。
【0138】
また、上記実施形態においては、意見情報および要約情報に含まれる受講者識別情報として受講者IDを使用した。しかし、受講者識別情報は、受講者を識別することができる情報であればよく、例えば研修で使用される端末を識別するための番号と各受講者との関係を示した情報であってもよい。また、グループ識別情報についても同様である。
【0139】
また、上記実施形態においては、要約処理部105は、学習済みの機械学習モデルにより予測した要約処理の方法に基づいて集約単位ごとに要約処理を行うように構成した。しかし、要約処理部105は、個人ワークの中で個人意見ごとに要約処理を行い、集約処理部104がこの要約した結果(回答)を基にして集約単位ごとに再度要約処理を行うように構成してもよい。この構成により、受講者は、グループワークでの議論の前に個人意見について要約結果を確認することで自分の考えを整理して、思い付きの状態から思料した結果へと意見の内容を受講者のみで深めることができる。また、受講者は、自分の意見について機械学習モデルがどのように理解したのか知ることができ、誤解が生まれそうな表現に注意して話し合うことで議論を円滑に進めることができる。
【0140】
また、上記実施形態においては、議論反映部106は、回答または要約結果に対応する議論結果をこれらの回答または要約結果に反映する処理を行うように構成した。しかし、議論反映部106は、前記回答に基づき受講者が個人ワーク内で考えた更なる意見を前記回答に反映する処理を行うように構成してもよい。この構成により、受講者は、個人ワーク内で個人意見を再度見直してブラッシュアップした内容で議論に臨むことができる。
【0141】
また、上記実施形態においては、集約処理部104は、集約単位とグループが同一の場合を想定してグループごとに個人意見を集約するように構成した。しかし、集約処理部104は、グループを構成する少なくとも二人以上の受講者のまとまりを集約単位として個人意見を集約するように構成すればよく、必ずしも、グループを集約単位とする必要はない。例えば、図5(b)に示すグループID20001において受講者ID10001および受講者ID10002を第一の集約単位、その他の受講者を第二の集約単位として同一のグループ内に集約単位が複数存在していてもよい。この場合、表示処理部107は、要約結果ごとに表示領域を分けた表示形態で表示処理してもよいし、複数の要約結果を一つにまとめ、かつそれぞれが識別できる表示形態で表示処理してもよい。
【0142】
また、上記実施形態においては、集約処理部104は、各個人意見の記載内容を変えることなく羅列した一文章(集約ファイル)として集約するように構成した。しかし、集約処理部104は、集約単位に属する複数の個人意見等(個人意見、回答、意見反映結果)の内容を解析して同様の趣旨を含む文または意見ごとに集め、集約単位内で趣旨に基づいた纏りに分けて集約する構成としてもよい。この構成により、要約処理部105の機械学習モデルは、同様の趣旨で意見がまとめられた纏りに基づいて集約単位内の意見を理解するため、正確に意見の内容を把握してより議論の活発化を望み得る要約の方法を予測することができる。また、要約処理部105は、受講者が入力した意見についてより正確に理解できることから、意見に含まれるそれぞれの趣旨が要約処理で過剰に省かれることを抑制し、意見として少数派に分類される主張も要約結果に反映することができる。よって、少数派の意見を持つことで積極的に話し合うことができなかった受講者の議論への参加を促すことができるとともに、議論で埋もれがちな少数派の意見が議論を活性化するか否かを評価することもできる。
【0143】
また、上記実施形態においては、表示処理部107は、個人ワーク画面80またはGW画面90の各表示領域の配置や表現方法について図7(a),(b)に示す表示態様で画面データを生成するように構成した。しかし、表示処理部107は、少なくとも個人意見と要約結果と議論反映結果と、を同一の領域に表示する態様で表示処理するように構成してもよい。
【0144】
さらに、表示処理部107は、個人意見、個人ワークにおいて個人意見を要約した回答、回答に基づく受講者の更なる意見を反映した意見反映結果、要約結果または議論反映結果のいずれかもしくはこれらの組み合わせと講師から受講者への伝達事項と、を同一の領域に表示する態様で表示処理するように構成してもよい。
【0145】
また、上記実施形態においては、本研修システム等を研修で使用することを前提として説明した。しかし、本研修システム等は、組織が労働者として採用する者を選抜するための試験や組織内の構成員を評価するための議論の場面においても上記研修の場合と同様の効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0146】
1…研修支援システム、2…受講者端末、3…講師端末、4…担当者端末、10…情報処理装置、NW…ネットワーク、DB…データベース、
11…制御部、12…記憶部、13…通信部、
101…受信部、102…送信部、103…グループ特定部、104…集約処理部、105…要約処理部、106…議論反映部、107…表示処理部、
50…端末、51…制御部、52…記憶部、53…通信部、54…入力部、55…出力部、
80…個人ワーク画面、90…グループワーク画面(GW画面)
【要約】
【課題】研修内の議論における共有作業の煩雑さを解消し議論の活性化を促すことができる研修支援システムを提供する。
【解決手段】研修支援システム1は、1つの情報処理装置10およびデータベースDBをそれぞれ備えている。情報処理装置10は、受講者端末2から研修のテーマについて受講者が考えた意見を受信する受信部101と、各処理を行った結果を外部へ送信する送信部102と、受信した意見がどのグループに属する受講者によるものかを特定する特定部103と、受講者の意見を特定の単位ごとに集約する処理を行う集約処理部104と、集約単位ごとに機械学習モデルを用いて要約処理する要約処理部105と、要約結果に基づいて受講者がグループ内で議論した結果を対応する要約結果に反映させる処理を行う議論反映部106と、外部の出力部55に出力するデータの表示処理を行う表示処理部107と、を備えている。
【選択図】図2
図1
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図7