(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】調理槽加熱器及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H05B6/12 318
(21)【出願番号】P 2020169899
(22)【出願日】2020-10-07
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6696198(JP,B2)
【文献】特開2010-027314(JP,A)
【文献】特開2005-353457(JP,A)
【文献】実開昭61-042089(JP,U)
【文献】特開2004-349188(JP,A)
【文献】特開2006-079916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0142780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理槽を加熱する調理槽加熱器であって、
前記調理槽を誘導加熱する環状の誘導加熱コイルと、
前記調理槽が接触した状態で前記調理槽の熱を受ける上端面を有する上端部と、前記上端部の周囲長よりも短い周囲長の下端部と、を含
み、上面視で前記誘導加熱コイルの内周部よりも内側に配置される受熱ヘッドと、
前記受熱ヘッドの温度を検出する温度検出部と、
前記誘導加熱コイルよりも上側に配置されるとともに前記受熱ヘッドの側方の少なくとも一部を取り囲む断熱材と、を備え、
前記断熱材は、前記受熱ヘッドを保持するヘッド保持部材と、前記ヘッド保持部材とは別個独立に構成されるとともに前記調理槽を下から支持可能に構成された槽支持部材と、を有し、
前記槽支持部材は、上下方向に貫通する貫通孔を有しており、
前記ヘッド保持部材は、前記受熱ヘッドを挿入させる部位を有し、前記部位が前記貫通孔に挿入されるように前記槽支持部材に装着されており、
前記受熱ヘッドは、前記上端面が前記
ヘッド保持部材から
上方に露出
する、調理槽加熱器。
【請求項2】
前記ヘッド保持部材は、前記部位に前記受熱ヘッドが挿入された状態で、前記槽支持部材から取り外しが可能である、請求項1に記載の調理槽加熱器。
【請求項3】
前記受熱ヘッドは、前記上端面が前記断熱材よりも上側に位置するように構成されている、請求項1
又は2に記載の調理槽加熱器。
【請求項4】
前記上端部には、前記温度検出部が配置され、
前記下端部は、前記上端部から下方に延出されている、請求項1
~3のいずれか1項に記載の調理槽加熱器。
【請求項5】
前記誘導加熱コイルと前記受熱ヘッドとの間を閉塞する閉塞部材を備える、請求項1~
4のいずれか1項に記載の調理槽加熱器。
【請求項6】
前記受熱ヘッドは、前記温度検出部を収容するための凹部を有し、
前記調理槽加熱器は、前記凹部を閉塞するシール部材を備える、請求項1~
5のいずれか1項に記載の調理槽加熱器。
【請求項7】
調理槽と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の調理槽加熱器と、を備える加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理槽を誘導加熱する誘導加熱コイルを備えた調理槽加熱器及び加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
調理槽内で食材の加熱調理を行う調理器の一例として、特許文献1に記載の加熱調理器がある。当該加熱調理器は、食材を収容する調理槽に相当する鍋と、鍋を誘導加熱するコイルと、鍋の底部に外側から当接する温度センサと、を備えている。
【0003】
この加熱調理器では、コイルによって誘導加熱される鍋の温度が、鍋の底部に当接する温度センサによって検出される。鍋の加熱制御の際には、温度センサの検出結果に基づいて、コイルに供給する高周波電流が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の加熱調理器では、温度センサは、コイルによって誘導加熱される鍋の熱を受けて当該鍋の温度を検出する。この温度センサは、鍋の底面に接触するように配置されるものの、鍋の熱を精度よく検出する上で、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、調理槽の温度を精度よく検出することが可能な調理槽加熱器及び加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る調理槽加熱器は、調理槽を加熱するものである。この調理槽加熱器は、前記調理槽を誘導加熱する環状の誘導加熱コイルと、前記調理槽が接触した状態で前記調理槽の熱を受ける上端面を有する上端部と、前記上端部の周囲長よりも短い周囲長の下端部と、を含む受熱ヘッドと、前記受熱ヘッドの温度を検出する温度検出部と、前記誘導加熱コイルよりも上側に配置されるとともに前記受熱ヘッドの側方の少なくとも一部を取り囲む断熱材と、を備える。前記受熱ヘッドは、前記上端面が前記断熱材から外方に露出し、且つ、上面視で前記誘導加熱コイルの内周部よりも内側に配置されている。
【0008】
この調理槽加熱器によれば、受熱ヘッドの上端面が断熱材から外方に露出しているため、受熱ヘッドの上端面が調理槽に接触する。また、断熱材が受熱ヘッドの側方の少なくとも一部を取り囲んでいる。すなわち、受熱ヘッドの側方周囲には断熱材が配置されている。このため、受熱ヘッドの上端面が調理槽に接触した状態において、受熱ヘッドの側方周囲領域への調理槽の熱の移動が断熱材によって抑制される。これにより、受熱ヘッドは、受熱面から受熱した調理槽の熱を、熱損失が抑制された状態で蓄積することができる。しかも、調理槽に接触する上端面を有する上端部の周囲長よりも下端部の周囲長の方が短いため、受熱ヘッドは調理槽からの熱以外の熱の影響を受け難い。すなわち、受熱ヘッドにおいて、上端部の周囲長が下端部の周囲長よりも長いので、上端部の上端面からの調理槽の熱の受熱性を高めることができるとともに、下端部からの熱的ノイズの影響を少なくすることができる。更に、受熱ヘッドは、上面視で誘導加熱コイルの内周部よりも内側に配置されている。すなわち、受熱ヘッドは、誘導加熱コイルとは対向した位置に配置されていない。このため、受熱ヘッドは、誘導加熱コイルにより誘起される渦電流に起因した自己発熱が抑制されたものとなる。
【0009】
これらの特徴を併せ持つことによって、調理槽の温度と受熱ヘッドの温度との温度差を極力小さくすることができる。特に、調理槽が昇温する温度変化過渡期においても、上記の温度差が生じることを抑制できる。このため、温度検出部による受熱ヘッドの温度の検出により調理槽の温度を精度よく検出でき、調理槽内の温度をより正確に把握することが可能となる。
【0010】
上記の調理槽加熱器において、前記受熱ヘッドは、前記上端面が前記断熱材よりも上側に位置するように構成されていてもよい。
【0011】
この態様では、受熱ヘッドの上端面が断熱材よりも上側に位置しているため、断熱材との関係で受熱ヘッドの上端面が調理槽に接触し難い状態になることを回避できる。
【0012】
上記の調理槽加熱器において、前記上端部には、前記温度検出部が配置され、前記下端部は、前記上端部から下方に延出されている構成であってもよい。
【0013】
この態様では、温度検出部が配置される上端部の周囲長よりも、その上端部から下方に延出された下端部の周囲長の方が短いため、下端部が周囲から受ける熱の影響を低減することができる。このため、上端部の温度を調理槽の温度により近づけることができる。したがって、上端部に配置される温度検出部による受熱ヘッドの検出温度が、より調理槽の温度に近いものとなる。
【0014】
上記の調理槽加熱器は、前記誘導加熱コイルと前記受熱ヘッドとの間を閉塞する閉塞部材を備えてもよい。
【0015】
例えば、誘導加熱コイルを冷却するために、外部空気を誘導加熱コイルに送風する場合がある。この場合、閉塞部材は、誘導加熱コイルに送風される外部空気が受熱ヘッドに接触して流れることを抑制する。これにより、誘導加熱コイルに送風される外部空気によって受熱ヘッドが冷却されることを抑制できる。この結果、受熱ヘッドと調理槽との間の温度差が、誘導加熱コイルに送風される外部空気に起因して増大されることを抑制できる。
【0016】
上記の調理槽加熱器において、前記受熱ヘッドは、前記温度検出部を収容するための凹部を有し、前記調理槽加熱器は、前記凹部を閉塞するシール部材を備える構成であってもよい。
【0017】
この態様では、受熱ヘッドの凹部がシール部材によって閉塞される。これにより、凹部内の空間をシール部材によって外部から隔離できる。このため、凹部内に収容される温度検出部が外気温度の影響を受け難くなり、温度検出部による受熱ヘッドの検出温度が、より調理槽の温度に近いものとなる。
【0018】
上記の調理槽加熱器において、前記断熱材は、貫通孔を有し、前記調理槽を下から支持可能な槽支持部材と、前記貫通孔を塞ぐように前記槽支持部材に装着され、前記受熱ヘッドが嵌合される嵌合孔を有するヘッド保持部材と、を含む構成であってもよい。
【0019】
この態様では、受熱ヘッドは、貫通孔を塞ぐように槽支持部材に装着されたヘッド保持部材の嵌合孔への嵌合によって固定されることにより、断熱材を構成する槽支持部材及びヘッド保持部材によって側方から取り囲まれる。すなわち、受熱ヘッドの側方周囲にはヘッド保持部材が配置され、そのヘッド保持部材の側方周囲には槽支持部材が配置されている。このため、受熱ヘッドの上端面が調理槽に当接した状態において、受熱ヘッドの側方周囲領域への調理槽の熱の移動が、断熱材を構成する槽支持部材及びヘッド保持部によって抑制される。
【0020】
また、調理槽を下から支持する槽支持部材の貫通孔がヘッド保持部材の装着によって塞がれ、そのヘッド保持部材の嵌合孔が受熱ヘッドの嵌合によって塞がれる。このため、調理槽内の液状物等が槽支持部材上にこぼれた場合などに、当該液状物が貫通孔や嵌合孔を介して下方に流通することを抑制できる。これにより、槽支持部材及びヘッド保持部材の下方に配置される誘導加熱コイルに液状物が接触することを抑制できる。
【0021】
本発明の他の局面に係る加熱調理器は、調理槽と、上記の調理槽加熱器とを備える。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、調理槽の温度を精度よく検出することが可能な調理槽加熱器及び加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る調理槽加熱器が適用された加熱調理器の全体構成を示す断面図である。
【
図2】調理槽加熱器に備えられる受熱ヘッドの近傍を拡大して示す断面図である。
【
図3】受熱ヘッドの第1変形例を示す断面図である。
【
図4】受熱ヘッドの第2変形例を示す断面図である。
【
図5】加熱調理器に適用される調理槽加熱器の第1変形例において、受熱ヘッドの近傍を拡大して示す断面図である。
【
図6】加熱調理器に適用される調理槽加熱器の第2変形例において、受熱ヘッドの近傍を拡大して示す断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る調理槽加熱器が適用された加熱調理器の全体構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態に係る調理槽加熱器及び加熱調理器について、図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る調理槽加熱器1Aが適用された加熱調理器1の全体構成を示す断面図である。
図2は、調理槽加熱器1Aに備えられる受熱ヘッド6の近傍を拡大して示す断面図である。加熱調理器1は、調理槽CT内で食材の加熱調理を行う際に用いられる調理器であり、調理槽CTと調理槽加熱器1Aとを備える。調理槽加熱器1Aは、本体フレーム2と、誘導加熱コイル4と、槽支持部材51と、ヘッド保持部材52と、受熱ヘッド6と、温度センサ7とを備えている。
【0026】
本体フレーム2は、上部が開口した箱形の枠体である。本体フレーム2の内部には、内部フレーム3が配置されている。
【0027】
誘導加熱コイル4は、内部フレーム3の上面に配置されたコイル支持部材41に支持されることにより、本体フレーム2内に配設される。誘導加熱コイル4は、周回するように巻かれた巻線によって構成された環状のコイルである。誘導加熱コイル4は、高周波電流が供給されることにより、調理槽CTを誘導加熱する。なお、コイル支持部材41は、断熱性を有する非磁性体から構成されている。コイル支持部材41が断熱性を有することにより、誘導加熱コイル4自体の発熱が周囲に伝熱することを抑制できる。また、コイル支持部材41が非磁性体であることにより、誘導加熱コイル4により誘起される渦電流に起因した自己発熱が抑制される。
【0028】
ここで、調理槽CTについて説明する。調理槽CTは、上部が開口した槽本体CT1と、槽本体CT1の上部開口を開閉可能な蓋部CT2とを有している。槽本体CT1の上部開口が蓋部CT2によって閉じられることで、調理槽CT内に外部空間と区画された空間が形成される。槽本体CT1における少なくとも底部CT11の中央部が、誘導加熱コイル4により誘起される渦電流によって自己発熱する磁性体から構成されている。すなわち、槽本体CT1の全体が磁性体から構成されていてもよく、槽本体CT1の底部CT11の全面が磁性体から構成されていてもよく、あるいは槽本体CT1の底部CT11の中央部が磁性体から構成されていてもよい。槽本体CT1において、磁性体で構成される部位以外は非磁性体で構成されている。
【0029】
槽支持部材51とヘッド保持部材52とにより、後述の受熱ヘッド6が調理槽CT以外の熱を受けることを抑制するための断熱材5が構成されている。断熱材5は、受熱ヘッド6の周囲に配置されている。
【0030】
槽支持部材51は、誘導加熱コイル4から上方に離間して配置される。槽支持部材51は、断熱性を有する非磁性体から構成されている。槽支持部材51は、本体フレーム2の上部開口を塞ぐように、当該本体フレーム2の上端部に配置される。槽支持部材51は、調理槽CTを下から支持可能に構成される。具体的には、槽支持部材51は、上下方向に垂直な方向(水平方向)に広がる平板状のトッププレートであり、その上面に調理槽CTが載置される。槽支持部材51は、上面から下方に凹没した段差部512と、段差部512を上下方向に貫通した貫通孔511と、を有している。調理槽CTは、底部CT11の中央部が貫通孔511の上方に位置するように、槽支持部材51に載置される。
【0031】
ヘッド保持部材52は、誘導加熱コイル4から上方に離間して配置される。ヘッド保持部材52は、断熱性を有する非磁性体から構成されている。ヘッド保持部材52は、槽支持部材51とは別個独立に構成されている。ヘッド保持部材52は、貫通孔511を塞ぐように槽支持部材51に着脱可能に装着される。ヘッド保持部材52は、後述の受熱ヘッド6が嵌合される嵌合孔523が形成された上下方向に延びる筒状の筒部521と、筒部521の上端縁から水平方向(上下方向に垂直な方向)に延出したフランジ部522と、を有している。筒部521には、後述の受熱ヘッド6の受熱部61が収容される凹部が形成されている。あるいは、筒部521の嵌合孔523が、受熱部61を収容可能な段付き孔であってもよい。ヘッド保持部材52は、筒部521が貫通孔511に挿通されるとともに、フランジ部522が段差部512上に載置されることにより、槽支持部材51に装着される。ヘッド保持部材52が槽支持部材51に装着された状態において、フランジ部522の上面は、槽支持部材51の上面と面一であってもよいし、槽支持部材51の上面よりも上方に突出していてもよい。
【0032】
ヘッド保持部材52は、槽支持部材51に装着された状態において、フランジ部522が段差部512に対してネジ部材SC1によってネジ止めされることにより、槽支持部材51に固定される。ヘッド保持部材52は、フランジ部522と段差部512との間のネジ部材SC1によるネジ止めを解除することにより、嵌合孔523に受熱ヘッド6が嵌合された状態で、槽支持部材51から取り外しが可能である。なお、フランジ部522と段差部512との間には、第1防水シール部材53が配置されている。
【0033】
槽支持部材51とヘッド保持部材52とは、断熱性を有する非磁性体から構成されている。槽支持部材51及びヘッド保持部材52を構成する材料は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。上述の通り、ヘッド保持部材52は、槽支持部材51に対してネジ部材SC1によってネジ止めされる。このため、槽支持部材51及びヘッド保持部材52は、ネジ切り加工が容易な材料から構成されることが望ましい。断熱性を有する非磁性体であって、ネジ切り加工が容易な材料としては、例えば、ベークライトなどの樹脂材料を挙げることができる。樹脂材料の中でも、黒色に着色された黒ベークライトは、調理槽加熱器1Aの美観も向上させる。
【0034】
受熱ヘッド6は、熱伝導率の高い非磁性体から構成されている。熱伝導率の高い非磁性体としては、銅を挙げることができる。また、受熱ヘッド6の表面には、防錆のためにニッケルメッキの保護層が形成されている。
【0035】
受熱ヘッド6は、上端面である受熱面611が断熱材5から外方に露出し且つ断熱材5から上方に突出するように配置された部材である。すなわち、受熱ヘッド6は、側方から断熱材5によって取り囲まれるとともに、受熱面611が断熱材5よりも上側に位置している。つまり、受熱ヘッド6の側方の一部が断熱材5によって取り囲まれている。受熱ヘッド6は、上方から見た平面視(上面視)において、環状の誘導加熱コイル4の内周部よりも内側に配置されている。受熱ヘッド6の受熱面611は、断熱材5から露出し且つ突出することにより、調理槽CTの底部CT11の中央部に調理槽CTの外側から接触する。受熱ヘッド6は、受熱面611が調理槽CTに接触することにより、調理槽CTの熱を受熱する。
【0036】
具体的には、受熱ヘッド6は、槽支持部材51に装着されたヘッド保持部材52の嵌合孔523に嵌合された状態において、ヘッド保持部材52(断熱材5)から上方に突出している。受熱ヘッド6がヘッド保持部材52の嵌合孔523に嵌合された状態において、受熱面611は、槽支持部材51及びヘッド保持部材52の各上面から突出することにより、調理槽CTの底部CT11の中央部に調理槽CTの外側から接触する。
【0037】
ここで、加熱調理器1に用いられる調理槽CTとしては、底部CT11の外面が平坦ではなく、中央部に僅かな窪みを有するものがある(
図2参照)。このため、受熱ヘッド6における受熱面611の、槽支持部材51の上面からの突出量が、底部CT11の中央部の窪み量よりも大きい値に設定されている。これにより、受熱ヘッド6の受熱面611が、調理槽CTの底部CT11の中央部に確実に接触する。
【0038】
また、受熱ヘッド6は、受熱面611の面積が下端面621の面積よりも大きくなるように構成されている。換言すると、受熱ヘッド6において、下端面621の面積が受熱面611の面積よりも小さい。具体的には、受熱ヘッド6は、上下方向に垂直な方向(水平方向)に広がる受熱面611を有する受熱部61(上端部)と、下端面621を有するとともに受熱部61から下方に延出される延出部62(下端部)と、を含む。受熱ヘッド6がヘッド保持部材52の嵌合孔523に嵌合された状態において、延出部62の下端面621は、下を向いた面であり、且つ、嵌合孔523の下側開口に対向する面となる。受熱ヘッド6では、延出部62の周囲長は受熱部61の周囲長よりも短い。受熱ヘッド6において、受熱面611の面積は、下端面621の面積の例えば5倍~10倍に設定される。
図2に示す例では、受熱ヘッド6は、受熱部61と、その受熱部61の下面中央から下方に延出される延出部62とによって構成され、縦断面形状がT字形に形成されている。この場合、延出部62の周囲長は、延出部62の受熱部61に対する接続部位から下端面621に至るまでの上下方向の全域で、一定である。延出部62の周囲長は、延出部62の全域において受熱部61の周囲長よりも短い。
【0039】
受熱ヘッド6は、受熱部61と延出部62とを含んで構成されるものであればよく、その縦断面形状がT字形であるものに限定されない。受熱ヘッド6は、例えば、
図3及び
図4に示されるような形状に形成されていてもよい。
図3に示される第1変形例に係る受熱ヘッド6の縦断面形状においては、延出部62の外形線が、受熱部61の下端外周縁から下方に向かうに従い内側に湾曲した曲線となっている。
図4に示される第2変形例に係る受熱ヘッド6の縦断面形状においては、延出部62の外形線が、受熱部61の下端外周縁から下方に向かうに従い内側に傾斜した傾斜線となっている。第1変形例及び第2変形例の何れにおいても、延出部62の周囲長は、下方に向かうに従い短くなり、且つ、延出部62の全域において受熱部61の周囲長よりも短い。
【0040】
図2に示されるように、受熱ヘッド6がヘッド保持部材52の嵌合孔523に嵌合された状態において、受熱部61とヘッド保持部材52との間隙が第2防水シール部材54によって閉塞される。更に、受熱ヘッド6の延出部62が、ヘッド保持部材52の筒部521に挿入されたセットボルトSC2によって水平方向に押圧される。これにより、受熱ヘッド6は、嵌合孔523に嵌合された状態でヘッド保持部材52に固定される。
【0041】
また、受熱ヘッド6は、延出部62の下端面621から受熱部61の受熱面611の近傍まで上下方向に延びる凹部63を有している。この凹部63には、温度センサ7の温度検出部712,722が収容される。
【0042】
温度センサ7は、受熱ヘッド6の温度を検出するセンサである。温度センサ7は、第1熱電対71と第2熱電対72とを含む。
【0043】
第1熱電対71は、第1熱電対素線711と第1温度検出部712とを有している。第1熱電対71は、第1温度検出部712が受熱部61に配置されるように、第1熱電対素線711が受熱ヘッド6の凹部63に挿入される。第1熱電対素線711は、異種の金属からなる一対(又は複数対)の素線を有している。第1熱電対素線711は、第1温度検出部712が検出する温度に応じて熱起電力を発生する。第1熱電対71は、第1熱電対素線711が発生する熱起電力に基づいて、受熱ヘッド6の温度を検出することができる。第1熱電対71の検出結果は、後述のコントローラ12に入力され、誘導加熱コイル4に供給する高周波電流の制御の際に参照される。
【0044】
第2熱電対72は、第2熱電対素線721と第2温度検出部722とを有している。第2熱電対72は、第2温度検出部722が受熱部61に配置されるように、第2熱電対素線721が受熱ヘッド6の凹部63に挿入される。第2熱電対72は、上記の第1熱電対71と同様に構成されているため、その詳細な説明を省略する。第2熱電対72は、第2熱電対素線721が発生する熱起電力に基づいて、受熱ヘッド6の温度を検出することができる。第1熱電対71の検出結果が誘導加熱コイル4の制御に用いられるのに対し、第2熱電対72の検出結果は、調理槽CTの過昇温の感知に用いられる。
【0045】
なお、以下の説明では、第1熱電対71及び第2熱電対72を「温度センサ7」と総称することがある。また、第1熱電対71の第1温度検出部712と第2熱電対72の第2温度検出部722とを、「温度センサ7の温度検出部712,722」と総称することがある。
【0046】
以上説明したように、第1実施形態に係る加熱調理器1に適用される調理槽加熱器1Aでは、誘導加熱コイル4によって誘導加熱される調理槽CTの熱を受熱ヘッド6が受熱し、当該受熱ヘッド6の温度を温度センサ7の温度検出部712,722が検出する。
【0047】
受熱ヘッド6は、受熱面611が断熱材5(槽支持部材51及びヘッド保持部材52)から上方に突出するように配置されている。受熱面611が断熱材5から上方に突出して当該断熱材5よりも上側に位置しているため、断熱材5との関係で受熱面611が調理槽CTに接触し難い状態になることを回避できる。また、受熱ヘッド6が断熱材5の内部から突出しているので、断熱材5が受熱ヘッド6の側方の一部を取り囲んでいることになる。すなわち、受熱ヘッド6の側方周囲には、断熱材5が配置されている。このため、受熱ヘッド6の受熱面611が調理槽CTの底部CT11の中央部に接触した状態において、受熱ヘッド6の側方周囲領域への調理槽CTの熱の移動が断熱材5によって抑制される。これにより、受熱ヘッド6は、受熱面611から受熱した調理槽CTの熱を、熱損失が抑制された状態で蓄積することができる。しかも、調理槽CTに接触する受熱面611の面積よりも下端面621の面積の方が小さいため、受熱ヘッド6は調理槽CTからの熱以外の熱の影響を受け難い。すなわち、受熱ヘッド6において、受熱面611の面積が下端面621の面積よりも大きいので、受熱面611からの調理槽CTの熱の受熱性を高めることができるとともに、下端面621からの熱的ノイズ(冷却又は加熱)の影響を少なくすることができる。更に、受熱ヘッド6は、上面視で誘導加熱コイル4の内周部よりも内側に配置されている。すなわち、受熱ヘッド6は、誘導加熱コイル4とは対向する位置関係にはない。このため、受熱ヘッド6は、誘導加熱コイル4により誘起される渦電流に起因した自己発熱が抑制されたものとなる。
【0048】
受熱ヘッド6は、誘導加熱コイル4による自己発熱が抑制され、且つ、受熱面611から受熱した調理槽CTの熱を熱損失が抑制された状態で蓄積することができるものである。このため、受熱ヘッド6の温度と調理槽CT内の温度との温度差を、極力小さくすることができる。特に、調理槽CTが昇温する温度変化過渡期においても、上記の温度差が生じることを抑制できる。このため、温度センサ7の温度検出部712,722による受熱ヘッド6の温度検出により調理槽CT内の温度を精度よく検出でき、調理槽CT内の温度をより正確に把握することが可能となる。温度センサ7の温度検出部712,722による受熱ヘッド6の温度の検出結果は、調理槽CT内の温度を精度よく表したものとなる。
【0049】
また、受熱ヘッド6において延出部62の周囲長が受熱部61における周囲長よりも短いため、延出部62が周囲から受ける熱の影響を低減することができる。このため、受熱部61の温度を調理槽CTの温度により近づけることができる。したがって、受熱ヘッド6の凹部63内において受熱部61に配置された温度センサ7の温度検出部712,722の検出温度が、より調理槽CTの温度に近いものとなる。
【0050】
また、調理槽CTが載置される槽支持部材51の貫通孔511がヘッド保持部材52の装着によって塞がれ、そのヘッド保持部材52の嵌合孔523が受熱ヘッド6の嵌合によって塞がれる。このため、調理槽CT内の液状物等が槽支持部材51上にこぼれた場合などに、当該液状物が貫通孔511や嵌合孔523を介して下方に流通することを抑制することができる。これにより、槽支持部材51及びヘッド保持部材52の下方に配置される誘導加熱コイル4や後述するコントローラ12などの電気電子機器に液状物が接触することを抑制することができる。
【0051】
また、ヘッド保持部材52は、嵌合孔523に受熱ヘッド6が嵌合された状態で、槽支持部材51から取り外しが可能である。槽支持部材51からヘッド保持部材52が取り外された状態では、温度センサ7の温度検出部712,722が、槽支持部材51の貫通孔511から露出する。これにより、温度センサ7のメンテナンスを行うことができる。
【0052】
また、ヘッド保持部材52のうち、受熱ヘッド6の延出部62を囲む部位によって、受熱ヘッド6の受熱部61を支持できるので、調理槽CTの重みを受ける受熱ヘッド6がヘッド保持部材52から下に抜けることを防止できる。
【0053】
図1に示されるように、第1実施形態に係る加熱調理器1に適用される調理槽加熱器1Aは、第1閉塞部材8と、第2閉塞部材9と、シール栓10と、送風機11と、コントローラ12と、を更に備える。
【0054】
送風機11は、本体フレーム2内に配置されている。送風機11は、本体フレーム2の外側の空気(外部空気)を吸引し、その吸引した外部空気を誘導加熱コイル4に送風する。送風機11から送風される外部空気は、コイル支持部材41に支持された誘導加熱コイル4を下方側から冷却する。
【0055】
第1閉塞部材8は、シリコンスポンジなどの断熱性及び弾性を有する非磁性体から構成される環状の部材である。第1閉塞部材8は、誘導加熱コイル4の内周部よりも内側において、コイル支持部材41と槽支持部材51との間に挟み込まれるように配置される。第1閉塞部材8は、誘導加熱コイル4と受熱ヘッド6との間を閉塞する。
【0056】
第2閉塞部材9は、第1閉塞部材8と同様に、シリコンスポンジなどの断熱性及び弾性を有する非磁性体から構成される環状の部材である。第2閉塞部材9は、誘導加熱コイル4の外周部よりも外側において、コイル支持部材41と槽支持部材51との間に挟み込まれるように配置される。
【0057】
第1閉塞部材8及び第2閉塞部材9は、送風機11から送風される外部空気が受熱ヘッド6に接触して流れることを抑制する。これにより、送風機11から送風される外部空気によって受熱ヘッド6が冷却されることを抑制することができる。この結果、受熱ヘッド6と調理槽CTとの間の温度差が、送風機11から送風される外部空気に起因して増大されることを抑制することができる。
【0058】
シール栓10は、シリコンゴムなどの断熱性及び弾性を有する非磁性体から構成されるシール部材である。シール栓10は、受熱ヘッド6の下端面621に下方側から当接するように配置される(
図2参照)。シール栓10は、受熱ヘッド6の凹部63に挿入される第1熱電対素線711及び第2熱電対素線721を保持する。また、シール栓10は、凹部63の開口を閉塞して、凹部63内の空間を外部から隔離する。このため、凹部63内に収容される温度センサ7の温度検出部712,722が外気温度の影響を受け難い。したがって、温度センサ7の温度検出部712,722による受熱ヘッド6の検出温度が、より調理槽CTの温度に近いものとなる。
【0059】
コントローラ12は、内部フレーム3に収容されている。コントローラ12は、CPU(Central Pocessing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。
【0060】
コントローラ12には、調理槽加熱器1Aを用いて食材を調理するときの調理条件が入力されるとともに、温度センサ7を構成する第1熱電対71及び第2熱電対72の検出結果が入力される。調理条件には、調理開始から調理終了までの調理温度の変化パターンなどが含まれる。
【0061】
コントローラ12は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、調理条件に応じて誘導加熱コイル4を制御する。具体的には、コントローラ12は、第1熱電対71の検出結果に基づいて、誘導加熱コイル4に対する高周波電流の供給を制御する。既述の通り、第1熱電対71による受熱ヘッド6の温度の検出結果は、調理槽CTの温度を精度よく表したものである。このため、コントローラ12は、調理槽CTの温度を高精度に把握しつつ、誘導加熱コイル4に対する高周波電流の供給を制御することができる。
【0062】
調理槽加熱器1Aを用いた加熱調理器1での加熱調理中に調理槽CT内が空焚き状態となった場合、調理槽CTの温度が過度に上昇する過昇温の状態となる。この場合、コントローラ12は、第2熱電対72の検出結果に基づいて、調理槽CTの過昇温を感知し、誘導加熱コイル4に対する高周波電流の供給を停止する。これにより、調理槽CT内が空焚き状態となったとしても、安全性が確保できる。
【0063】
(第1実施形態の第1変形例)
第1実施形態に係る加熱調理器1に適用される調理槽加熱器の構造は、上記の調理槽加熱器1Aの構造に限られない。
図5は、加熱調理器1に適用される調理槽加熱器1Aの第1変形例において、受熱ヘッド6の近傍を拡大して示す断面図である。第1変形例に係る調理槽加熱器1Aでは、槽支持部材51に装着されたヘッド保持部材52と受熱ヘッド6との位置関係が、上記の調理槽加熱器1Aとは異なっている。
【0064】
図5に示されるように、第1変形例に係る調理槽加熱器1Aでは、ヘッド保持部材52は、筒部521が貫通孔511に挿通されるとともに、フランジ部522が段差部512上に載置されることにより、槽支持部材51に装着される。ヘッド保持部材52が槽支持部材51に装着された状態において、フランジ部522の上面は、槽支持部材51の上面よりも上方に突出している。
【0065】
受熱ヘッド6は、槽支持部材51に装着されたヘッド保持部材52の嵌合孔523に嵌合されている。受熱ヘッド6が嵌合孔523に嵌合された状態において、受熱面611は、フランジ部522の上面と面一の状態でヘッド保持部材52から外方に露出している。つまり、受熱ヘッド6の側方の全体が断熱材5であるヘッド保持部材52によって取り囲まれている。
【0066】
図5に示される第1変形例に係る調理槽加熱器1Aにおいても、受熱ヘッド6は、誘導加熱コイル4による自己発熱が抑制され、且つ、受熱面611から受熱した調理槽CTの熱を熱損失が抑制された状態で蓄積することができる。このため、受熱ヘッド6の温度と調理槽CT内の温度との温度差を、極力小さくすることができる。この結果、温度センサ7の温度検出部712,722による受熱ヘッド6の温度検出により調理槽CT内の温度を精度よく検出でき、調理槽CT内の温度をより正確に把握することが可能となる。
【0067】
(第1実施形態の第2変形例)
図6は、加熱調理器1に適用される調理槽加熱器1Aの第2変形例において、受熱ヘッド6の近傍を拡大して示す断面図である。第2変形例に係る調理槽加熱器1Aでは、槽支持部材51に装着されたヘッド保持部材52の構造が、上記の調理槽加熱器1Aとは異なっている。
【0068】
図6に示されるように、第2変形例に係る調理槽加熱器1Aでは、ヘッド保持部材52は、筒部521が貫通孔511に挿通されるとともに、フランジ部522が段差部512上に載置されることにより、槽支持部材51に装着される。ヘッド保持部材52のフランジ部522の上面は、槽支持部材51の上面と面一となっている。また、ヘッド保持部材52の筒部521は、フランジ部522の上面と連なり、且つ、嵌合孔523の上縁に沿った領域部分において、槽支持部材51の上面よりも上方に突出した環状の突部5221を有している。
【0069】
受熱ヘッド6は、槽支持部材51に装着されたヘッド保持部材52の嵌合孔523に嵌合されている。受熱ヘッド6が嵌合孔523に嵌合された状態において、受熱面611は、突部5221の上面と面一の状態でヘッド保持部材52から外方に露出している。つまり、受熱ヘッド6の側方の全体が断熱材5であるヘッド保持部材52によって取り囲まれている。
【0070】
図6に示される第2変形例に係る調理槽加熱器1Aにおいても、受熱ヘッド6は、誘導加熱コイル4による自己発熱が抑制され、且つ、受熱面611から受熱した調理槽CTの熱を熱損失が抑制された状態で蓄積することができる。このため、受熱ヘッド6の温度と調理槽CT内の温度との温度差を、極力小さくすることができる。この結果、温度センサ7の温度検出部712,722による受熱ヘッド6の温度検出により調理槽CT内の温度を精度よく検出でき、調理槽CT内の温度をより正確に把握することが可能となる。
【0071】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る調理槽加熱器1Aが適用された加熱調理器1の全体構成を示す断面図である。ここでは、第1実施形態と異なる構成要素について説明し、その他の構成要素については説明を省略する。
【0072】
第2実施形態に係る調理槽加熱器1Aにおいては、槽支持部材51の形状が、第1実施形態とは異なっている。
図7に示されるように、第2実施形態の槽支持部材51は、調理槽CTの外周面の全体を覆うような形状に形成される。
【0073】
そして、第2実施形態に係る調理槽加熱器1Aは、調理槽CTの底部CT11を誘導加熱する誘導加熱コイル4に加えて、調理槽CTの側部を誘導加熱するサイド加熱コイル4Aを備えている。サイド加熱コイル4Aは、内部フレーム3から延出したサイド延出フレーム31に配置されたサイドコイル支持部材4A1に支持されている。サイド加熱コイル4Aは、高周波電流が供給されることにより、調理槽CTの側部を誘導加熱する。
【0074】
第2実施形態に係る調理槽加熱器1Aでは、誘導加熱コイル4及びサイド加熱コイル4Aによって誘導加熱される調理槽CTの熱を、調理槽CTの底部CT11の中央部に接触する受熱ヘッド6が受熱し、当該受熱ヘッド6の温度を温度センサ7の温度検出部712,722が検出する。
【0075】
第2実施形態に係る調理槽加熱器1Aにおいても第1実施形態と同様に、受熱ヘッド6は、受熱面611から受熱した調理槽CTの熱を熱損失が抑制された状態で蓄積することができる。このため、受熱ヘッド6と調理槽CT内との間の温度差を、極力小さくすることができる。このため、温度センサ7の温度検出部712,722による受熱ヘッド6の温度検出により調理槽CT内の温度を精度よく検出でき、調理槽CT内の温度をより正確に把握することが可能となる。
【0076】
以上、本発明の実施形態に係る調理槽加熱器1A及び加熱調理器1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0077】
上記の実施形態では、断熱材5が、別個独立の槽支持部材51とヘッド保持部材52とを含む構成について説明したが、このような構成に限定されない。槽支持部材51とヘッド保持部材52とは、一体に構成されていてもよい。このような一体構造の断熱材5は、槽支持部材51の貫通孔511に相当するものを有しておらず、槽支持部材51とヘッド保持部材52とが一体に連なった構造となり、ヘッド保持部材52の嵌合孔523に相当する所定の孔が形成されたものとなる。この場合、受熱ヘッド6は、一体構造の断熱材5における前記所定の孔に嵌合される。
【0078】
上記の実施形態では、槽支持部材51及びヘッド保持部材52が、断熱性を有する非磁性体から構成されている例について説明したが、このような構成に限定されない。例えば、ヘッド保持部材52が調理槽CTの底部CT11くらい大きい又はヘッド保持部材52が調理槽CTの底部CT11よりも大きいようなときは、槽支持部材51は、断熱性を有しない非磁性体から構成されていてもよい。
【0079】
上記の実施形態では、受熱ヘッド6において、延出部62の周囲長が、延出部62の全域で受熱部61の周囲長よりも短い構成について説明したが、このような構成に限定されない。受熱ヘッド6の側方が断熱材5であるヘッド保持部材52によって取り囲まれた構成においては、延出部62は、少なくとも、ヘッド保持部材52の嵌合孔523の下側開口に対向する最下部(下端面621を規定する部分)の周囲長が、受熱部61の周囲長よりも短くなるように構成されていればよい。つまり、延出部62の周囲長は、延出部62の受熱部61に対する接続部位から前記最下部に至るまでの間の途中部分で、受熱部61の周囲長よりも長くなっていてもよい。このような構成であっても、受熱ヘッド6の側方周囲には断熱材5であるヘッド保持部材52が配置されているので、延出部62が周囲から受ける熱の影響を低減することができる。
【0080】
上記の実施形態では、受熱ヘッド6がヘッド保持部材52に固定される構成について説明したが、このような構成に限定されない。受熱ヘッド6は、弾性部材の弾性力によって上下方向に変位可能に構成されていてもよい。
【0081】
上記の実施形態では、温度センサ7の温度検出部712,722が受熱ヘッド6の凹部63内において受熱部61に配置される構成について説明したが、このような構成に限定されない。受熱ヘッド6の凹部63は下端面621から延出部62まで形成されるものであってもよい。この場合、温度センサ7の温度検出部712,722は、受熱ヘッド6の凹部63内において延出部62に配置される。また、受熱ヘッド6の凹部63が下端面621から受熱部61まで形成される構成において、温度センサ7の温度検出部712,722は、受熱ヘッド6の凹部63内において延出部62に配置されていてもよい。
【0082】
また、温度センサ7の温度検出部712,722が、受熱ヘッド6の外面に取り付けられていてもよい。この場合、受熱ヘッド6は凹部63を有さなくてもよい。
【0083】
上記の実施形態では、調理槽加熱器1Aが誘導加熱コイル4と受熱ヘッド6との間を閉塞する第1閉塞部材8を備える構成について説明したが、このような構成に限定されない。受熱ヘッド6が送風機11から送風される外部空気の影響を受け難い配置であれば、第1閉塞部材8を省略しても構わない。また、第2閉塞部材9も省略可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 加熱調理器
1A 調理槽加熱器
4 誘導加熱コイル
5 断熱材
51 槽支持部材
511 貫通孔
52 ヘッド保持部材
523 嵌合孔
6 受熱ヘッド
61 受熱部(上端部)
611 受熱面(上端面)
62 延出部(下端部)
621 下端面
63 凹部
7 温度センサ
712 第1温度検出部
722 第2温度検出部
8 第1閉塞部材
9 第2閉塞部材
10 シール栓(シール部材)
CT 調理槽