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特許7435952容器のカウンタプレッシャ充填のための方法、および、カウンタプレッシャ充填機の充填システム
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  • 特許-容器のカウンタプレッシャ充填のための方法、および、カウンタプレッシャ充填機の充填システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】容器のカウンタプレッシャ充填のための方法、および、カウンタプレッシャ充填機の充填システム
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B67C3/00 E
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019200802
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2020075766
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10 2018 219 119.0
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506040652
【氏名又は名称】クロネス アクティェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ゼルナー
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公告第02722274(DE,B1)
【文献】西独国特許第01147863(DE,B)
【文献】実開昭62-065999(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増加された圧力下において液体を容器(140)に充填する方法であって、
充填されるべき容器(140)の容器開口(145)と充填要素(200)の流出開口(230)との間に気密な接触を確立するステップと、
プレロード圧力に達するまで、前記充填要素のガス用接続部(260)によりプレロードガスで充填されるべき前記容器(140)をプレロードするステップと、
前記充填要素の充填バルブ(210)により、前記液体で前記容器(140)を充填するステップと、
充填プロセスの完了の後に、前記容器開口(145)を前記流出開口(230)から分離するステップと
を含む方法において、
前記容器開口の分離前に、前記容器開口(145)と前記流出開口(230)との間の前記接触が、前記プレロード圧力を少なくとも部分的に放圧するために、一時的に解除されふたたび確立されることが少なくとも一回実施されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記接触が、前記充填要素(200)および/または前記容器(140)の相対移動によって解除される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充填要素(200)が、前記容器開口(145)から空気圧によって上昇される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接触が、前記充填要素(200)を前記容器開口(145)から一時的に上昇させることによって解除され、前記上昇の間の前記充填要素(200)の移動が、機械式ブロックによって制限される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記容器開口(145)が前記流出開口(230)から分離される前に、前記接触が一時的に解除されふたたび確立されることが繰り返し実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プレロードガスが、二酸化炭素自体または二酸化炭素を含むものであり、前記液体が、炭酸飲料である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記充填プロセスの間、前記プレロードガスが、前記ガス用接続部(260)を介して部分的に回収される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記液体が弱酸性の飲料である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
増加された圧力下において液体を容器(140)に充填するための、カウンタプレッシャ充填機の充填システムであって、
充填されるべき前記容器(140)の容器開口(145)に対して気密に押圧することができる流出開口(230)を有する少なくとも1つの充填要素(200)であり、
レロードガスのためのガス用接続部(260)、および、液体のための充填バルブ(210)を有する充填要素(200)と、
充填されるべき前記容器のための少なくとも1つの受容および/または保持デバイス(250)と
を備え、
前記充填要素(200)と前記受容および/または保持デバイス(250)とのうちの一方または両方が、前記充填要素の前記流出開口(230)と前記容器開口(145)とを、充填のために接触させることができるように、前記容器の長手方向の軸線に沿って、互いに対して移動可能であるように構成されている、充填システムにおいて、
前記充填システムは、前記充填要素(200)と前記受容および/または保持デバイスとのうちの一方または両方を前記軸線に沿って移動することにより、前記流出開口(230)と前記容器開口(145)との間の前記接触を、一時的に解除しふたたび確立するように構成されたリフティングデバイス(290)をさらに備え
前記充填要素(200)は、上昇している間の前記充填要素の前記移動を制限するための、切り換え可能である機械式ブロックを有することを特徴とする、充填システム。
【請求項10】
前記充填要素(200)が、前記軸線に沿って相対的に移動可能であり、前記リフティングデバイス(290)が、前記接触を解除するために、前記充填要素を前記容器開口(145)から上昇させるように構成されている、請求項9に記載の充填システム。
【請求項11】
前記充填バルブ(210)が、開放噴流バルブとして設計され、前記充填バルブの弁座(220)が前記流出開口(230)からオフセットしている、請求項10に記載の充填システム。
【請求項12】
前記ガス用接続部(260)が、前記軸線に対して、前記弁座(220)のレベルに配置された圧力ガスバルブ(270)を備える、請求項11に記載の充填システム。
【請求項13】
少なくとも1つの圧縮空気用接続部(291、293)をさらに備え、
前記充填要素(200)が、前記充填要素(200)を、前記容器開口(145)から、前記圧縮空気用接続部を介して空気圧で上昇させることができるように設計されている、請求項10~12のいずれか一項に記載の充填システム。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか一項に記載の充填システムを複数備えたカウンタプレッシャ充填機であって、
周囲圧力へ放圧される前に、前記流出開口(230)と前記容器開口(145)との間の前記接触を解除しふたたび確立することを繰り返し実施するように構成された閉ループおよび/または開ループの制御ユニット(285)をさらに備える、カウンタプレッシャ充填機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増加された圧力下において容器に液体を充填する方法、および、本方法を実施するためのカウンタプレッシャ充填機の充填システムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力下で液体を容器内に充填する場合、例えば、炭酸入りの製品および飲料をボトルまたは缶に充填する場合、充填されるべき容器の口は、充填プロセスの間、使用される充填要素の流出部に対し、基本的に気密に押し付けられ、それにより、増加された圧力下で、充填製品を容器内に導入できるようになっている。
【0003】
例えば、ドイツの調査されていない最初の公報である独国特許第4134446号に記載のように、充填されるべき容器を適切な移動デバイスによって上昇させ、充填デバイス、すなわち、使用される充填要素の流出部に対して押し付けることができる。代替的には、例えば、ドイツの調査されていない最初の公報である独国特許第4101891号に記載のように、充填要素を、気密な接触が確立されるまで、容器の口に下降させることができる。適切に設計されたシーリングおよび心出しの手段により、流出開口が、充填されるべき容器の口に正確に配置され、充填プロセスの間、基本的に気密に維持されることを確実にすることができる。
【0004】
充填の前に、特に酸素と反応する製品の場合に、容器を、パージガス、例えば、窒素または二酸化炭素で予めパージすることができる。増加された圧力下で液体を充填することにより、容器内の圧力も、継続的に増加する。代替的または追加的に、容器には、圧力ガスチャネルを介して、圧力ガス、特に二酸化炭素により、プレロード圧力まで、予め加圧(プレロード)することができ、容器は、次いで、製品、特に炭酸入りの製品と等しい圧力下で、充填される。
【0005】
容器が液体または製品で充填された後に、容器の、加圧されたヘッドスペースは、放圧パスを介して、関連する放圧バルブによって放圧される。圧力は、概して、周囲圧力に減じられる。充填要素が放圧されると、放圧バルブが容器の口から取り外されるか、容器が下降され、それにより、充填された容器を充填マシンから、例えば、充填用回転コンベアから、取り外すことができるようになっている。
【0006】
最新技術で知られているような、カウンタプレッシャ充填機の充填システムは、例えば、図1に示されている。充填要素100は、保持デバイス152上に、高さ調整可能に配置されている。図に示す位置では、充填要素100は、すでに、圧力スリーブ128の流出開口130が、充填されるべき容器140の口145に下げられている。容器140は、容器保持デバイス150、例えば、首部を把持するクランプの形態の把持要素により、充填要素100の下に配置される。図1は、現地洗浄(CIP:Cleaning-In-Place)デバイス180をも示している。このCIPデバイス180により、充填要素100を洗浄することができる。
【0007】
圧力ガスチャネル160および関連する圧力ガスバルブ170を介し、容器140が、充填プロセスが開始される前に、プレロード圧力まで、プレロードされる。充填要素100の充填バルブ110は、次いで、弁棒115を移動することによって開かれる。弁棒115の上方への移動に起因して、充填バルブ110の閉鎖部125が、この閉鎖部125の弁座120から後退し、それにより、充填されるべき液体が、圧力スリーブ128および容器140に、閉鎖部125を通過して、充填チャネル105を通って入ることができるようになっている。弁座120の開口の断面が、圧力スリーブ128のチャネルよりも小さいことから、液体は、開放噴流として、口145を通って容器140に入る。
【0008】
充填の間、プレロードガスは、充填バルブ110を通過して、圧力ガスチャネル160を通り、また、圧力ガスバルブ170を介して、脇に逃がれる。例えば、圧力ガスとして使用される二酸化炭素は、この方法で回収することができ、貯蔵容器に戻すことができる。圧力ガスを、充填されるべき製品の上方のガスチャンバ内に、例えばリングボウル内に、戻すように供給することも知られている。この方法で、容器に等しい圧力下で充填を行うことができる。しかし、プレロードガスも、他所に逃がされ得るか、一部が容器内に残ったままであり得る。
【0009】
充填プロセスが完了した後に、従来一般の充填システムでは、放圧バルブ165は、増加された圧力下にある、充填された容器のヘッドスペースを放圧する。この目的のために、放圧バルブは、充填バルブ110を閉じた後に開かれ、それにより、ヘッドスペース内のプレロードガスを、プレロードチャネル160および放圧バルブ165を介して放圧することができる。図1に示すさらなる特別な発展形態では、充填要素100を上昇させる前に容器のヘッドスペースを放圧するための放圧チャネルは、プレロードチャネルと部分的に同一である。しかし、この放圧が周囲圧力で行われることから、従来一般の充填システムは、別々の放圧パスを提供する。この放圧パスを通して、プレロードガスをヘッドスペースから逃がすことができる。
【0010】
放圧パスは、充填機の回転コンベア内部にスペースを必要とし、また、洗浄回路に組み込んでもいなければならない。この目的のための、最新技術の充填システムの媒体分配器内に、別のトラックを設けなければならない。このことは、設置およびメンテナンスのコストを増加させる。接続部は、媒体分配器から、いくつかの分配ラインを介して行われる。この分配ラインは、リングチャネルに繋がっている。充填バルブは、このリングチャネルから個別に接続されている。充填要素毎に個別に開放させることを可能にするために、各充填要素は、その要素自体の放圧バルブを備えなければならない。
【0011】
一定の間隔で必要とされるクリーニングの間、従来一般の充填システムは、十分な洗浄および殺菌の媒体が各放圧チャネルにわたって搬送されることを保証しない。温度上昇に起因して、例えば切り替わらないか詰まる放圧バルブは、概して、容易に見つけることができない。計量によるモニタリングは、例えば、充填要素毎の温度および流量のモニタリングによる、非常に大きい労力でのみ、確実にすることができ、したがって、経済的な観点から実施することができない。計量によるモニタリングは、必要なスペースが増大する結果にもなる。
【0012】
弱酸性の飲料用の充填システムのために、放圧チャネルを有する充填バルブを使用することは、さらに衛生的な方策を使用することを伴ってのみ、考えられる。炭酸入りではない飲料の製造のために、個別の放圧チャネルの温度および流量をモニタリングすることに加え、例えば、蒸気バリアの形態で、環境に対して、放圧チャネルの熱を遮断しなければならない。全体として、充填要素のために、別々の放圧チャネルを設けることにより、充填システム全体の、設置と、洗浄およびメンテナンスとの、両方のコストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明は、増加された圧力下において液体を容器に充填する方法、および、本方法を実施するためのカウンタプレッシャ充填機の充填システムを提供する目的に基づくものである。本発明により、上述の欠点が回避される。具体的には、充填された容器のヘッドスペースは、設置およびメンテナンスのコストが高くなることなく、放圧されるものとする。さらに、充填システムのクリーニングは、単純化されることになる。概して、本発明は、特に、メンテナンスのコストが高価にならずに、高い衛生上の基準の下で使用することができる、炭酸飲料を充填するための方法および充填システムを提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的は、増加された圧力下において液体を容器に充填する方法であって、充填されるべき容器の容器開口と、充填要素の流出開口との間に、特に容器開口を流出開口に対して押圧することにより、実質的に気密な接触を確立するステップと、プレロード圧力に達するまで、充填要素のガス用接続部により、プレロードガスで充填されるべき容器にプレロードするステップと、充填要素の充填バルブにより、液体を容器に充填するステップと、充填プロセスの完了の後に、容器開口を流出開口から分離するステップ、特に引き抜くステップと、を含む、方法において、容器開口の分離または引抜きの前の、容器開口と流出開口との間の接触が、プレロード圧力を少なくとも部分的に放圧するために、少なくとも1回、一時的に解除される方法によって解決される。
【0015】
容器は、例えば、ボトルまたは缶とすることができる。増加された圧力とは、ここでは、また以下において、周囲圧力よりも高い圧力を意味している。液体は、特に、飲料などの液体食品である場合がある。エマルジョンまたは懸濁液も、増加された圧力下で充填することができる。最後に、化粧品、清掃用品、または同様の製品など、食品ではない液体製品も、圧力下で容器に充填することができる。
【0016】
すでに述べたように、容器開口、例えばボトルの口は、最初に、充填要素の流出開口に対して押圧され、こうして、基本的に気密な接触が形成される。すでに記載したように、この圧力は、容器を上昇させること、および/または、充填要素を下降させることによって印加することができる。充填要素は、回転マシンとして設計された充填ラインの周囲に沿って配置された多数の充填要素の一部とすることができる。充填要素の流出開口は、それに応じて、基本的に気密な接触を確実にするように、形成および配置されている。基本的に気密な接触は、ここで、および以下では、充填プロセスの間に支配的な充填圧力の下でさえも、ガスが逃れることをブロックする機械的接触として理解される。充填要素の流出開口は、例えば図1に示すように、別に設けられた圧力スリーブ上に設けることができ、それにより、圧力スリーブは、別の容器タイプに変更する際にフォーマットする部品として、交換することができる。
【0017】
充填の間の炭酸飲料の望ましくない発泡を防止するために、充填されるべき容器には、充填プロセスが開始される前に、周囲圧力より高いプレロード圧力に、プレロードガスをプレロードする。プレロードガスは、例えば、図1に示すプレロードガスチャネルを介して、所望のプレロード圧力に達するまで圧力下で容器内に供給される。充填要素には、ガス用接続部を介して供給される。上述のように、プレロードガスは、好ましくは、二酸化炭素などの不活性ガスであるか、不活性ガスを含む。プレロード圧力は、充填圧力に応じて選択できる。具体的には、カウンタプレッシャ充填は、プレロード圧力によって与えられた一定の圧力で実施することができる。このケースでは、プレロードガスは、充填の間、容器から圧力ガスチャネルを介して連続的に戻され、例えば、液体の供給部の上方のガスチャンバ内に、貯蔵される。特別なさらなる発展形態では、容器と、圧力ガスチャネルと、ストレージ、例えばリングストレージとが、充填されるべき製品に関して平衡である圧力で連通するシステムを形成する。
【0018】
充填要素の充填バルブを開くことにより、容器に液体が充填され、それにより、デバイスが、所望の充填量で充填することを確実にするように提供される場合がある。多数のそのようなデバイスが、最新技術において既知であり、したがって、本明細書では詳細に記載されない。例えば、プローブを、所望の充填レベルに達したことを伝える充填レベルセンサとして容器内に挿入することができる。リターンガスチューブも、特に圧力ガスチャネルと連通させて設けることができる。圧力ガスチャネルは、容器に挿入され、その下端部を通して、最大の充填レベルを判定する。代替的には、上述のように、充填を、開放噴流の原理に従って行うことができる。すなわち、特にリターンガスチューブなしで行うことができる。流れセンサ、または、充填量の分配により、所望の充填量を保証することができる。充填プロセスの一部として、制御された再充填により、充填量の調整をも行うことができる。
【0019】
充填プロセスが完了した後、特に、容器内に充填された液体の上方のヘッドスペースが放圧された後に、容器開口が、例えば、抜き取ることにより、流出開口から分離され、それにより、充填された容器を、さらなる処理のために、最終的に取り外せるようになっている。充填要素に押圧するための手順に応じて、容器を下降させること、および/または、充填要素もしくは充填バルブを上昇させることにより、充填要素が抜き取られる。
【0020】
本発明によれば、容器開口と流出開口との間の気密の接触は、少なくとも部分的にプレロード圧力を放圧するために、最終的な容器開口の分離の前に、少なくとも1回、一時的に解除される。換言すると、容器、および/または、充填要素もしくは充填要素の部品は、容器開口と流出開口とが、ある隙間またはスロットにより、ある範囲まで互いから一時的に分離されるように、少なくとも1回移動される。この範囲は、容器のヘッドスペース内に存在する、増加された圧力下のガスの一部、特にプレロードガスの一部が、この形成された隙間またはスロットを通して逃れることができるような範囲である。ヘッドスペース内のこのガスの一部、すなわち容器の内側の充填レベルよりも上方の容器の容積部内のこのガスの一部は、環境内に直接逃れる。
【0021】
少なくとも最初は、接触は、突発的な圧力低下に起因する容器内の液体の発泡を、接触がふたたび解除される前か、最終的に解除される前に、ふたたび和らげることができるように、一時的にのみ開放され、ふたたび確立される。特に、容器開口が最終的に流出開口から分離されるまで、数回、接触を一時的に解除し、ふたたび確立することができる。これにより、ヘッドスペースを、周囲圧力に近い圧力に連続的に放圧するか、周囲圧力に完全に放圧することができ、それにより、充填された製品のわずかな発泡のみが最終的な分離の間に生じるようになっている。
【0022】
ヘッドスペース内のガスが、結果として生じるスロットを通して周囲に直接逃れることから、本発明によれば、別に設けられる放圧バルブを通してのさらなる放圧が、明確に存在しない。特に、そのような放圧バルブを完全に省略することができ、これにより、設置の労力が顕著に低減され、必要とされる定期的な洗浄が簡略化される。
【0023】
さらなる発展形態によれば、接触は、充填要素および/または容器の相対移動によって解除することができる。相対移動は、特に、容器または充填要素の長手方向の軸線に沿って行われる。例えば、充填要素は、空気圧によって容器開口から上昇させることができる。この目的のために、圧縮空気を、充填要素を変位させるために、充填マシンの閉ループおよび/または開ループのユニットにより、この目的のために設けられたチャンバ内に選択的に導入することができる。代替的には、充填要素は、例えば、サーボモータまたは制御カムにより、機械的に上昇させることができる。
【0024】
さらなる発展形態によれば、接触は、充填要素を容器開口から一時的に上昇させることによって解除され得、それにより、上昇の間の充填要素の移動が、機械的ブロックによって制限されている。このさらなる発展形態によれば、容器は、接触を解除するように下降しないが、充填要素が上昇する。例えば、容器は、適切な受容および/または保持デバイスにより、容器の長手方向の軸線に沿って移動しないように保持される場合があり、一方、充填要素を長手方向の軸線に沿って変位させるように、適切な手段が設けられる。例えば、充填要素は、充填要素の、適切に設計された要素、例えばロック要素が、機械式ブロックと機械的に係合するまで、圧縮空気を、この目的のために設けられたチャンバ内にブローすることにより、長手方向の軸線に沿って上昇させることができる。機械式ブロックは、接触部が上昇される際の、充填要素の相対移動、そしてひいては、容器開口に形成される環状スロットの幅を制限する。この方法で、ヘッドスペース内の圧力が放圧される速度を効率的に制限することができる。
【0025】
特に、容器開口が最終的に流出開口から分離されるか、持ち上げられて外されるまで、繰り返し、接触を一時的に解除することができる。接触が一時的に解除される毎に、容器のヘッドスペース内の圧力がさらに和らげられる。接触部を繰り返し上昇させることにより、充填された炭酸入りの製品が発泡してあふれることを防止することができる。
【0026】
プレロードガスは、特に、二酸化炭素であるか、二酸化炭素を含む場合があり、液体は特に、炭酸飲料である。例えば、炭酸飲料は、ビール、スパークリングワイン、ソフトドリンクなどである場合がある。二酸化炭素をプレロードガスとして使用することにより、充填されるべき容器から、酸素または他の外部のガスを排出し、充填プロセスの間、充填される飲料の二酸化炭素の含有量を維持する。二酸化炭素、または、窒素などの任意の他の不活性ガスを、プレロードガスとして、またはプレロードガスの一部として使用することにより、充填される製品の貯蔵寿命をも伸ばす。
【0027】
すでに述べたように、プレロードガスは、充填プロセスの間、ガス用接続部を介して部分的に回収され得る。この目的のために、適切な圧力ガスバルブを、充填プロセスの間に開くことができ、それにより、プレロードガスの一部が、容器から、圧力ガスバルブを介して、例えば貯蔵用容器内に逆流させることができる。この方法で、プレロードガスの必要性を低減することができる。
【0028】
記載の方法は、容器に弱酸性の飲料を充填するためにも使用することができる。ミルク、または、プラントベースのミルクの代替品などの、弱酸性の飲料は、概して、炭酸飲料よりも高い衛生上の規格が必要である。記載の方法は、そのような弱酸性の飲料を充填するためにも使用することができる。この理由は、洗浄が困難である従来一般の充填機の放圧チャネルがもはや必要ないためである。
【0029】
上述の目的は、上述の方法の1つを実施するためのカウンタプレッシャ充填機の充填システムであり、それにより、充填システムが、充填されるべき容器の容器開口に対して実質的に気密に押圧することができる流出開口を有する、少なくとも1つの充填要素と、プレロードガスのためのガス用接続部、および、液体のための充填バルブを有する充填要素と、充填されるべき容器のための、少なくとも1つの受容および/または保持デバイスとを備え、充填要素と受容および/または保持デバイスとのうちの一方または両方が、充填要素の流出開口と容器開口とを、充填のために接触させることができるように、軸線、特に、容器の長手方向の軸線に沿って、互いに対して移動可能であるように構成されている、充填システムにおいて、充填要素と受容および/または保持デバイスとのうちの一方または両方を、軸線に沿って移動することにより、流出開口と容器開口との間の接触を、一時的に解除するように構成されたリフティングデバイスが設けられている、充填システムによっても解決される。
【0030】
ここで、容器を充填するための、本発明に係る方法に関連して上述した、同じ変形形態、および、さらなる発展形態が、充填システムにも適用され得る。例えば、流出開口は、充填要素の、適切な形状の圧力スリーブに形成することができる。代替的には、充填バルブの流出開口自体は、容器開口と気密に接触させることができる。この目的のために、流出開口は、それぞれの容器開口と接触した、充填圧力下での必要とされる気密を確実にするために、適切な形状および配置とされている。
【0031】
プレロードガスのためのガス用接続部は、圧力ガスバルブを有することができる。この圧力ガスバルブは、容器にプレロードするように、制御された方式で開くことができる。ガス用接続部は、圧力ガスチャネルに接続することができる。この圧力ガスチャネルは、例えば、充填されるべき液体のための貯蔵容器内の充填製品の上方の、圧力ガスのための貯蔵容器、または、ガスチャンバに接続することができる。充填されるべき容器のための受容および/または保持デバイスは、容器を上昇させて、流出開口に対して押圧させることができるように設計することができる。代替的には、受容および/または保持デバイスは、軸線方向において固定されている場合があり、充填要素は、それに応じて、流出開口と容器開口との間の接触を確立するように、下降される。受容および/または保持デバイスは、例えば、特にプラスチックボトルの首部を把持するための把持要素を有している場合がある。
【0032】
特に、リフティングデバイスは、このリフティングデバイスが、充填要素と受容および/または保持デバイスとのうちの一方または両方を、軸線に沿って、制御された方式で移動できるように、設計されている場合がある。例えば、リフティングデバイスは、充填要素と受容および/または保持デバイスとのうちの一方または両方に空気圧によって作用する場合があり、それにより、適切な圧力チャンバ、供給ライン、排出ライン、バルブ、ポンプなどが、充填要素と、受容および/または保持デバイスとの相対的な変位を有効にするように設けられる場合がある。代替的には、制御カム、レバー、および/またはモータなどの機械的手段を設けることができる。この機械的手段は、例えば、回転ユニットとして設計された充填マシンに関する、充填要素の角度位置の関数として、相対的な変位を生じる。
【0033】
さらなる発展形態によれば、充填要素は、軸線に沿って相対的に移動可能であり、それにより、リフティングデバイスが、接触を解除するために、充填要素を容器開口から上昇させるように設計されている。このさらなる発展形態によれば、充填されるべき容器のための受容および/または保持デバイスは、特に軸線方向の移動に関し、静止するように形成される場合がある。
【0034】
完成した充填要素を軸線方向に移動させる際に、より大である断面積が、このさらなる発展形態のために利用可能である。この断面上には、例えば、圧力チャンバでは、リフティングデバイスを空気圧で動作させるガスの圧力が作用できる。このことは、充填バルブを容器開口に対して押圧する充填圧力に抗して、充填要素を容器開口から上昇させることもできることを意味している。特別なさらなる発展形態によれば、充填バルブ自体を、前述の圧力スリーブの代わりに、容器開口に対して押圧することができる。充填要素により、充填バルブも、容器開口から一時的に上昇される。
【0035】
すでに述べたように、充填バルブは、いわゆる開放噴流バルブとして設計され得、それにより、特に、充填バルブの弁座が流出開口から後退してオフセットしている。このため、流出開口と、充填バルブの弁座との間に軸線方向の間隔が存在し、それにより、充填バルブが開かれた際に、充填されるべき製品が、開放噴流の形態で容器に入るようになっている。ここで、および以下では、開放噴流の原理を使用した充填は、充填噴流の断面が、容器開口の断面より小であり、それにより、充填された製品によって置き換えられるプレロードガスが、容器開口から充填噴流を通過して逃れることができるようになっていることを意味する。
【0036】
充填要素のガス用接続部は、軸線方向に見た際に、弁座の高さに配置された圧力ガスバルブを有する場合がある。弁座の高さにおける配置は、圧力ガスバルブが、弁座から2cm未満の軸線方向の距離内に配置されていることを意味する。さらに、圧力ガスバルブの径方向の距離、すなわち、上述の軸線に対して垂直な距離は、2cm未満である場合がある。圧力ガスバルブの記載の配置により、充填要素上のデッドスペースが最小に低減され、こうして、望ましくない汚染を回避する。
【0037】
充填要素には、上昇の間の充填要素の移動を制限するために、機械式ブロック、特に、切り替え可能なブロックが設けられている場合がある。例えば、カムが、軸線に沿う充填要素の上昇を制限するために設けられる場合がある。充填要素を容器開口から一時的に上昇させることにより、ヘッドスペースを放圧するために、わずかなストロークのみが必要であることから、機械式ブロックは、充填要素を容器開口に下降させた後に、オンに切り換え、充填プロセスの完了の後に、オフに切り換えることができ、それにより、充填要素を、最終的に、容器開口から離して上昇させることができるようになっている。機械式ブロックは、例えば、カム制御を介して切り換えることができる。
【0038】
充填システムは、圧縮空気のための少なくとも1つの接続部をも含む場合があり、充填要素は、充填要素を容器開口から、圧縮空気用接続部を介して、空気圧で上昇させることができるように設計されている。圧縮空気は、周囲の空気か、窒素などの適切なガスとすることができる。充填システムは、圧縮空気を供給するか排出するために、充填ラインの閉ループおよび/または開ループのユニットによって開放および閉鎖することができる、1つまたは複数の調整可能なバルブを有することができる。圧縮空気のための対応する供給ラインおよび排出ラインは、概して既知であるように提供することができる。充填要素の断面がより大であることに起因して、わずかな量の圧縮空気の圧力が、充填要素を空気圧で上昇させるために十分である。
【0039】
本発明は、周囲圧力へ放圧される前に、流出開口と容器開口との間の接触を繰り返し解除するように設計された、閉ループおよび/または開ループのユニットをさらに備えた、上述のさらなる発展形態の1つに係る充填システムを複数有するカウンタプレッシャ充填機をも提供する。周囲圧力への放圧は、特に、流出開口と容器開口とを最終的に分離することによって達成することができる。上述のように、接触を繰り返し解除することは、充填された液体が発泡してあふれることなく、ヘッドスペースを連続的に放圧する結果となり得る。閉ループおよび/または開ループのユニットは、例えば、プログラマブルロジックコントローラとして設計することができる。このプログラマブルロジックコントローラは、充填製品、充填圧力、および/または容器タイプに応じて、充填要素と容器との相対移動の数および周期を判定する。
【0040】
記載の充填システムは、別の放圧チャネルなしで、または、放圧バルブなしで、明確に設計することができ、それにより、一方では、設置の労力が低減され、他方では、複雑な洗浄システムを省略することができるようになっている。このことは、記載のカウンタプレッシャ充填機を、弱酸性の飲料を容器に充填するためにも適切なものとする。
【0041】
さらなる特徴および例示的実施形態、ならびに、本発明の利点が、図面を使用して、以下により詳細に説明される。実施形態が本発明の範囲を論じ尽くすことがないことは、言うまでもない。以下に記載の特徴のいくつかまたはすべてが、他の方法で組み合わせられ得ることも、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】別々の放圧バルブを有する、従来一般の充填要素を概略的に示す図である。
図2】本発明に係る充填要素を概略的に示す図である。
図3】本発明に係る、容器を充填する方法の順序を示す図である。
図4】本発明に係る、容器を充填する方法の順序を示す図である。
図5】本発明に係る、容器を充填する方法の順序を示す図である。
図6】本発明に係る、容器を充填する方法の順序を示す図である。
図7】本発明に係る、容器を充填する方法の順序を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に記載する図では、同一の参照符号は、同一の要素を示す。より明確にするために、同じ要素は、その要素が最初に出現した際にのみ記載する。しかし、図面の1つを参照して記載した要素の変形形態および実施形態が、他の図における対応する要素にも適用され得ることは、言うまでもない。
【0044】
図2は、本発明に係る充填要素200を概略的に示す図である。図1に示す従来一般の充填要素のように、本発明に係る充填要素も、閉鎖部225を伴う充填バルブ210を有する。閉鎖部225は、二重の矢印によって示すように、弁棒215により、充填バルブ210の弁座220から後退することができる。しかし、本発明は、上述の充填バルブのさらなる発展形態には限定されず、また、他の周知の充填バルブとともに使用することができる。しかし、従来一般の充填要素とは異なり、図2に示す充填要素は、別の圧力スリーブを有していない。代わりに、それ自体の流出開口230を有する充填バルブ210は、充填されるべき容器140の容器開口145上に直接下降される。
【0045】
本明細書に示す非限定的なさらなる発展形態では、充填バルブ210の開口自体は、環状開口によって囲まれている。この環状開口を通して、プレロードガスを、容器140内に、圧力ガスチャネル260を介して導入することができる。逆に、充填プロセスの開始時に容器内に存在するガスは、充填製品を容器に充填する間、この開口、および、圧力ガスチャネル260を介して逃される。充填製品は、容器140内に、充填チャネル205を介して、開放噴流として弁座220を通過して充填される。しかし、本発明が、上述のさらなる発展形態には限定されず、特に、圧力スリーブが、充填バルブ210と、容器140の口との間に設けられる場合があることを理解されたい。
【0046】
既知のように、圧力ガスチャネル260には、バルブ270が備えられている。このバルブ270は、容器内へのプレロードガスの導入、および、容器内からのガスの退避を制御できるように、制御された方式で開放および閉鎖することができる。具体的には、充填プロセスの間に容器内で支配的である圧力は、バルブ270によって調整することができる。バルブ270は、充填システムの閉ループおよび/または開ループのユニット285によって制御することができる。閉ループおよび/または開ループのユニット285は、例えば、プロセッサおよび少なくとも1つの貯蔵媒体を有する、プログラマブルロジックコントローラである場合がある。しかし、従来一般の充填要素とは対照的に、図2に示す充填要素は、容器が取り外される前に、充填された容器のヘッドスペースを放圧するために使用できる放圧バルブを有していない。
【0047】
代わりに、図示の充填要素は、リフティングデバイス290を有する。このリフティングデバイス290により、充填要素200全体を、充填要素または容器の長手方向の軸線に沿って空気圧で移動させることができる。リフティングデバイス290には、本明細書で上に示すさらなる発展形態において、充填要素200のための保持デバイス252が設けられる。この保持デバイス252は、特に垂直方向に固定され、それにより、リフティングデバイス290が保持デバイス252にしっかりと接続され、一方、充填要素200をリフティングデバイス290内で垂直に移動させることができる。充填要素の空気圧式の移動のために、リフティングデバイス290は、圧縮空気のための供給ライン291および供給ライン293を備える。この供給ライン291と供給ライン293とは、対応するリングチャンバ292とリングチャンバ294とに接続される。図示されていないが、本質的に既知であるように、適切な制御可能なバルブ、圧縮空気の供給装置、および/または、1つもしくは複数のポンプが、供給ライン291および293に圧縮空気を印加するように設けられ得る。供給ライン291および293は、同時に、排出ラインとしての役割を果たすことができる。供給ライン291および293を介しての、バルブまたは圧縮空気供給装置の制御は、閉ループおよび/または開ループのユニット285によって代替もされ得る。圧力ガスチャネル260の、充填要素との接続部は、充填要素の垂直方向の移動が保証されるように設計される。この目的のために、適切に設計されたシーリング要素を使用することができ、かつ/または、圧力ガスチャネルの一部を、柔軟に設計することができる。
【0048】
実質的に円筒状の形状である、充填要素200の表面は、上述のさらなる実施形態によれば、環状の肩、レールなどの形態の、環状の突起295を有する。この環状の突起295は、リフティングデバイス290の筒状キャビティ内を垂直方向に移動することができる。本明細書に示す非限定的なさらなる発展形態では、2つの突起295が設けられている。この2つの突起295間には、封止リング296が配置されている。この封止リング296は、上方圧力チャンバ292を下方圧力チャンバ294から、気密な方式で分離する。
【0049】
供給ライン291を介して環状圧力チャンバ292内に圧縮空気を導入することにより、突起295、そしてひいては、充填要素200上に、下向きに力が生じる。この下向きの力により、2重の矢印で示すように、充填要素が下方に移動し、流出開口230が、充填されるべき容器140の口145上にある状態で充填要素を配置する。逆に、供給ライン293を介して環状圧力チャンバ294内に圧縮空気を導入することにより、上向きの力を下方突起295上に発生させることができる。この上向きの力により、充填要素200を、その長手方向の軸線に沿って上方に変位させる。特に、充填要素200は、上述のように、圧力チャンバ294内に圧縮空気を制御しつつ導入することにより、容器開口145から一時的に上昇させることができ、充填要素の容器開口145と流出開口230との間に環状のスロットを形成する。
【0050】
この環状スロットを通して、容器のヘッドスペース内のガスの一部を逃すことができ、こうして、ヘッドスペース内のガス圧力を部分的に放圧する。圧縮空気を下方圧力チャンバ294内に放出し、同時に、上方圧力チャンバ292内に圧縮空気を導入することにより、充填要素と容器開口145との間の接触を、容器内の液体をふたたび落ち着かせることができるように、ふたたび確立することができる。このプロセスは、繰り返すことができ、それにより、上昇移動の高さと、接触の解除の持続時間とを、ヘッドスペース内のガスの圧力をどの程度だけ放圧するかを判定するために使用することができる。
【0051】
図示のさらなる実施形態に従って、充填バルブ210のみではなく、充填要素200全体が、長手方向の軸線に沿って移動することから、図2の破線によって示すような、より大である断面Qが、上昇移動の空気圧による制御のために利用可能である。この方法で、圧力チャンバ294内の低い圧力でさえ、充填圧力に抗して、充填要素200を垂直方向上方に持ち上げるのに十分である。
【0052】
しかし、本発明が、空気圧式のリフティングデバイスを伴う、上述のさらなる発展形態には限定されないが、例えば機械式レバー、制御カム、および/または、1つもしくは複数のサーボモータによる、機械式リフティングデバイスによって実施することもできることを理解されたい。
【0053】
充填要素200を容器開口145から空気圧によって上昇させることにより、プレロードガスを、結果として得られる環状スロットを介して、環境内に直接逃すことができる。特に、従来一般の充填要素によって提供される放圧パスおよび放圧バルブを省くことができる。このことは、媒体分配器内の追加の分配トラックの必要性、ならびに、充填システムの洗浄および殺菌の間のそれぞれの放圧パスをオンとオフとで切り換えるために必要なバルブも除去する。
【0054】
図2に示すさらなる発展形態は、ベローズ255をも含む。ベローズ255は、充填要素200の下端部に設けられ、容器開口145を介して、充填要素とともに下降させることができる。ベローズ255は、充填バルブ210と容器開口145との間のエリアに汚染物質が入ることを防止する。
【0055】
図示のさらなる発展形態では、圧力ガスバルブ270は、圧力ガスチャネル260の側部に設けられている。しかし、上述のように、ガスバルブは、特に弁座220の高さに、例えば弁座のすぐ近くに、配置されている場合がある。この方法で、圧力ガスチャネル260内のデッドスペースを最小に低下させることができる。
【0056】
図3から図7は、本発明に係る、容器を充填する手順の順序を示す図である。より理解できるようにするために、これら図は、理解のために必須の要素に限定されている。
【0057】
図3は、充填プロセスが開始される前の基本的な位置における、本発明に係る充填要素を示している。本明細書に示す、非限定的なさらなる発展形態では、充填要素は、圧力スリーブ228を有する。この圧力スリーブ228により、流出開口と、容器140の容器開口との間の気密な接触が確立される。この基本的な位置では、充填要素は、容器開口から分離されている。図示のさらなる発展形態では、容器140は、把持デバイス250として設計された受容および/または保持デバイスにより、充填要素の下に配置されている。把持デバイス250は、バルブキャリアプレート252に取り付けられている。このキャリアプレート252は、図示の充填要素に加え、多数の他の充填要素を、例えば、ロータリユニットとして設計された充填マシンの一部として、保持している。
【0058】
さらに、図3は、圧力ガスチャネル260、前述のベローズ255、および充填バルブ210を概略的に示している。充填バルブ210は、その概略的に示された弁座220を伴っている。基本的な位置では、充填バルブの、黒く示された閉鎖部が、弁座220を閉じている。同様に、この基本的な位置では、圧力ガスチャネル260は、図示されていない圧力ガスバルブによって閉じられている。
【0059】
充填プロセスの開始時に、図4に示すように、充填要素は、圧力スリーブ228と容器開口との間に気密な接触が形成されるように、最初に、矢印で示す方向に、容器開口上に下降される。充填バルブ210は、最初は、接触が確立された後は閉じたままである。しかし、圧力ガスチャネル260は、それに応じて、圧力ガスバルブを作動させることによって開かれ、それにより、プレロードガスが、圧力下で、容器140内に導入され、また、プレロード圧力へ、このガスをプレロードするようになっている。
【0060】
プレロード圧力に達すると、充填バルブ210は、図5の矢印によって示すように、閉鎖部を垂直に移動することによって開かれ、それにより、製品が容器140内に、弁座220および圧力スリーブ228の開口を通して入るようになっている。同時に、容器内のプレロードガスは、圧力ガスチャネル260を介して逃れることができ、また、再利用することができる。充填プロセス全体の間、充填要素の流出開口は、矢印によって示すように、容器の開口と気密な機械的接触を維持している。充填プロセスは、図5に示すように、容器内の所望の充填レベルに達するまで継続される。この充填レベルの上の容積部は、概して、ヘッドスペース142と称される。所望の充填レベルに達すると、充填バルブ210は、閉鎖部を弁座220に対して移動することにより、図6の矢印によって示すように閉じられる。圧力ガスチャネル260も、圧力ガスバルブによって閉じられる。
【0061】
カウンタプレッシャ充填の間、ガス、特に、実際の充填プロセスが完了した後にヘッドスペース142内に存在する、プレロードガスは、増加された圧力下にある。従来一般の方法とは対照的に、この増加された圧力は、図6に示す本発明に係る方法に従うが、充填要素を容器開口から一時的に上昇させることにより、放圧される。このことは、例えば、上述のように、図中の矢印によって示されるように、充填要素を制限された上昇量だけ、空気圧によって上昇させることにより、行うことができる。こうして、上昇により、圧力スリーブ228と容器開口との間の環状スロットが開かれる。この環状スロットを通して、ガスがヘッドスペース142から部分的に逃れることができる。この方法で、ヘッドスペース内のガスの圧力が部分的に放圧される。
【0062】
上述のように、充填要素は、この充填要素が短時間だけ上昇された後に、容器開口にふたたび下降され、それにより、圧力スリーブ228と容器開口との間の気密な接触がふたたび確立されるようになっている。このことは、プロセスが繰り返されるか、接触が最終的に解除される前に、放圧プロセスの間に発泡する炭酸入りの飲料を、ふたたび穏やかにさせる。放圧は、接触が最終的に解除される前に、上述のように、1回、または、繰り返し実施することができる。
【0063】
最終的に、図7の矢印によって示されるように、充填要素は、完全に上昇され、こうして、充填された容器から分離される。充填された容器は、次いで、適切なデバイスによって取り外され、例えば、把持デバイス250から流出部の星形車、または、ふた締め機などの下流の容器処理マシンに移送される。充填要素は、次いで、その最初の位置に戻される。
【0064】
記載の充填要素および充填方法は、別に提供される放圧パスを必要とせず、これにより、設置および洗浄の労力を著しく低減する。放圧パスが省略されることから、以前の従来一般の放圧パスの洗浄および殺菌のモニタリングの欠如から生じる、顕著なプロセスの不確実性も不要になる。このため、本発明に係る充填要素を、衛生状態にさらなる微生物学的要求をする弱酸性の製品を充填するために使用することもできる。記載の方法は、炭酸入りの飲料と、炭酸入りではない飲料との両方、および、食品ではない製品に使用することができる。
[発明の項目]
[項目1]
増加された圧力下において液体を容器(140)に充填する方法であって、
充填されるべき容器(140)の容器開口(145)と充填要素(200)の流出開口(230)との間に実質的に気密な接触を確立するステップと、
プレロード圧力に達するまで、前記充填要素のガス用接続部(260)によりプレロードガスで充填されるべき前記容器(140)をプレロードするステップと、
前記充填要素の充填バルブ(210)により、前記液体で前記容器(140)を充填するステップと、
充填プロセスの完了の後に、前記容器開口(145)を前記流出開口(230)から分離するステップと
を含む方法において、
前記容器開口の分離前の、前記容器開口(145)と前記流出開口(230)との間の前記接触が、前記プレロード圧力を少なくとも部分的に放圧するために、少なくとも1回、一時的に解除されることを特徴とする、方法。
[項目2]
前記接触が、前記充填要素(200)および/または前記容器(140)の相対移動によって解除される、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記充填要素(200)が、前記容器開口(145)から空気圧によって上昇される、項目2に記載の方法。
[項目4]
前記接触が、前記充填要素(200)を前記容器開口(145)から一時的に上昇させることによって解除され、前記上昇の間の前記充填要素(200)の移動が、機械式ブロックによって制限される、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
前記容器開口(145)が前記流出開口(230)から分離される前に、前記接触が繰り返され、一時的に解除される、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項目6]
前記プレロードガスが、二酸化炭素自体または二酸化炭素を含むものであり、前記液体が、特に炭酸飲料である、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項目7]
前記充填プロセスの間、前記プレロードガスが、前記ガス用接続部(260)を介して部分的に回収される、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記液体が弱酸性の飲料である、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
[項目9]
項目1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するための、カウンタプレッシャ充填機の充填システムであって、
充填されるべき前記容器(140)の前記容器開口(145)に対して実質的に気密に押圧することができる前記流出開口(230)を有する少なくとも1つの前記充填要素(200)と、
前記プレロードガスのための前記ガス用接続部(260)、および、前記液体のための前記充填バルブ(210)を有する前記充填要素(200)と、
充填されるべき前記容器のための少なくとも1つの受容および/または保持デバイス(250)と
を備え、
前記充填要素(200)と前記受容および/または保持デバイス(250)とのうちの一方または両方が、前記充填要素の前記流出開口(230)と前記容器開口(145)とを、充填のために接触させることができるように、軸線、特に、前記容器の長手方向の軸線に沿って、互いに対して移動可能であるように構成されている、充填システムにおいて、
前記充填要素(200)と前記受容および/または保持デバイスとのうちの一方または両方を前記軸線に沿って移動することにより、前記流出開口(230)と前記容器開口(145)との間の前記接触を、一時的に解除するように構成されたリフティングデバイス(290)を備えることを特徴とする、充填システム。
[項目10]
前記充填要素(200)が、前記軸線に沿って相対的に移動可能であり、前記リフティングデバイス(290)が、前記接触を解除するために、前記充填要素を前記容器開口(145)から上昇させるように構成されている、項目9に記載の充填システム。
[項目11]
前記充填バルブ(210)が、開放噴流バルブとして設計され、特に、前記充填バルブの弁座(220)が前記流出開口(230)からオフセットしている、項目10に記載の充填システム。
[項目12]
前記ガス用接続部(260)が、前記軸線に対して、前記弁座(220)のレベルに配置された圧力ガスバルブ(270)を備える、項目11に記載の充填システム。
[項目13]
前記充填要素(200)が、前記上昇の間、前記充填要素の前記移動を制限するための、特に切り換え可能である、機械式ブロックを有する、項目10~12のいずれか一項に記載の充填システム。
[項目14]
少なくとも1つの圧縮空気用接続部(291、293)をさらに備え、
前記充填要素(200)が、前記充填要素(200)を、前記容器開口(145)から、前記圧縮空気用接続部を介して空気圧で上昇させることができるように設計されている、項目10~13のいずれか一項に記載の充填システム。
[項目15]
項目9~14のいずれか一項に記載の充填システムを複数備えたカウンタプレッシャ充填機であって、
周囲圧力へ放圧される前に、前記流出開口(230)と前記容器開口(145)との間の前記接触を繰り返し解除するように構成された閉ループおよび/または開ループの制御ユニット(285)をさらに備える、カウンタプレッシャ充填機。
【符号の説明】
【0065】
200…充填要素、205…充填チャネル、210…充填バルブ、215…弁棒、220…弁座、225…閉鎖部、228…圧力スリーブ、230…流出開口、250…把持デバイス、252…受容および/または保持デバイス、252…バルブキャリアプレート、255…ベローズ、260…圧力ガスチャネル、270…圧力ガスバルブ、285…制御ユニット、290…リフティングデバイス、291,293…供給ライン、292…上方圧力チャンバ、294…下方圧力チャンバ、296…封止リング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7