(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】蒸気供給システム用のアトマイザエンクロージャ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20240214BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240214BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/10
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2021551537
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 GB2020050587
(87)【国際公開番号】W WO2020188245
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-27
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0280778(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0132531(US,A1)
【文献】特表2015-519903(JP,A)
【文献】特表2017-501682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/10
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにより画定された、エアロゾル化可能な基材材料のためのリザーバと、
前記リザーバからの前記エアロゾル化可能な基材材料をエアロゾル化するためのアトマイザであって、前記リザーバの外寸の外側に配置されたアトマイザと、
前記アトマイザの周りにエアロゾルチャンバを画定するように前記アトマイザを少なくとも部分的に囲むエンクロージャと
を備える、蒸気供給システム用のカートリッジであって、
前記エンクロージャが、
前記エアロゾルチャンバを画定する少なくとも1つの壁であって、前記リザーバの前記外寸の外に前記エアロゾルチャンバを画定する側壁を含む少なくとも1つの壁と、
前記エンクロージャが前記ハウジングから外側に延びるように前記エンクロージャを前記ハウジングに結合する接合部分と、
前記エアロゾル化可能な基材材料が前記リザーバから前記エアロゾルチャンバに入ることができるようにし、エアロゾルが前記エアロゾルチャンバから出ることができるようにするための、少なくとも1つの壁の1つの開口部と、
空気が前記エアロゾルチャンバに入ることができるようにするための、前記少なくとも1つの壁の1つ又は複数のアパーチャと
を備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記接合部分が、当該エンクロージャを前記ハウジングに直接又は間接的に結合するための1つ又は複数の成形部を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記1つ又は複数の成形部は、前記エンクロージャが前記ハウジングとの結合構成体から切り離された場合に、前記エンクロージャが前記ハウジングに再結合するのを妨げるように構成されている、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記接合部分が前記ハウジングと一体に形成されている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記エンクロージャが、前記エアロゾルチャンバ内で前記アトマイザを支持するための支持部分をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記支持部分は、前記接合部分が前記エンクロージャを前記ハウジングから延ばしている前記エンクロージャの端部にあり、一端で前記アトマイザを支持し、前記アトマイザが、前記リザーバから離れた支持されていない片持ち式の端部まで外側に延びる、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記支持部分が前記エンクロージャと一体に形成されている、請求項5又は6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記支持部分が、前記エンクロージャ及び/又は前記ハウジングに結合されるように構成された別個の構成要素である、請求項5又は6に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記支持部分が、エアロゾル化可能な基材材料を前記リザーバから前記アトマイザに流すための少なくとも1つの液体流れチャネルと、前記アトマイザから導出されたエアロゾルを空気流路に流すための少なくとも1つのエアロゾル流れチャネルとをさらに含む、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記1つ又は複数のアパーチャが、複数の小孔を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの壁が、前記接合部分から離れた当該エンクロージャの端壁をさらに含み、前記1つ又は複数のアパーチャが、前記エアロゾルチャンバに空気を流すために開くように動作可能な少なくとも1つの弁を前記端壁に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
少なくとも前記端壁が弾性材料から形成され、前記弁が前記端壁に交差した切込みを含む、請求項11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの壁が、前記接合部分から離れた当該エンクロージャの端壁をさらに含み、前記1つ又は複数のアパーチャが、前記端壁に開口部を備えて、前記エアロゾルチャンバに入る空気が前記アトマイザを越えて流れることを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの壁の内面に、前記1つ又は複数のアパーチャを通って入る空気の流れを乱すように構成された表面パターンをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記1つ又は複数のアパーチャに被せて配設され、蒸気供給システムでの当該カートリッジの使用前にユーザが取り外せるように構成された取外し可能な封止層をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のカートリッジを備える、蒸気供給システム。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか一項に記載のカートリッジであって、
前記エアロゾル化可能な基材材料から生成されたエアロゾルの吸引用の出口を有するマウスピースと、前記エンクロージャの前記1つ又は複数のアパーチャに被せて配設された第1の封止層と、前記マウスピースの前記出口に被せて配設された第2の封止層とをさらに備え、前記第1の封止層及び前記第2の封止層
は、前記カートリッジの使用前にユーザが取り外せるように構成されている、カートリッジ。
【請求項18】
請求項16に記載の蒸気供給システムであって、
前記エアロゾル化可能な
基材材料から生成されたエアロゾルの吸引用の出口を有するマウスピースと、前記エンクロージャの前記1つ又は複数のアパーチャに被せて配設された第1の封止層と、前記マウスピースの前記出口に被せて配設された第2の封止層とをさらに備え、前記第1の封止層及び前記第2の封止層が、前記蒸気供給システム又は前記カートリッジの使用前にユーザが取り外せるように構成されている、蒸気供給システム。
【請求項19】
前記第1の封止層と前記第2の封止層とが、単一の共有封止層である、請求項17に記載のカートリッジ。
【請求項20】
前記第1の封止層と前記第2の封止層とが、単一の共有封止層である、請求項18に記載の蒸気供給システム。
【請求項21】
前記第1の封止層と前記第2の封止層との両方をユーザが取り外せるように構成された共有プルストリップ又は引裂きストリップをさらに備える、請求項17に記載のカートリッジ。
【請求項22】
前記第1の封止層と前記第2の封止層との両方をユーザが取り外せるように構成された共有プルストリップ又は引裂きストリップをさらに備える、請求項18に記載の蒸気供給システム。
【請求項23】
接着剤又は溶接によって固定された接合部により前記接合部分で前記エンクロージャが前記ハウジングに結合される、請求項1~15のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気供給システム用のアトマイザエンクロージャ(atomiser enclosure)、並びにそのようなアトマイザエンクロージャを備える蒸気供給システム用のカトマイザ及び蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
気化された液体によってニコチンを送達するeシガレットや他の電子ニコチン送達システムなど、多くの電子蒸気供給システムは、カートリッジ又はカトマイザセクションとコントロールユニット(バッテリーセクション)との2つの主要な構成要素又はセクションから形成されている。カトマイザは、一般に、液体のリザーバと、液体を気化させるためのアトマイザとを含む。これらの部品は、ひとまとめにしてエアロゾル源と表されることがある。アトマイザは一般に、液体をリザーバから、加熱及び気化される場所に移送するために、多孔性又はウィッキング(毛細管作用)と加熱との機能を組み合わせる。例えば、これは、抵抗(ジュール)加熱のためにコイル又は他の形状で形成された抵抗ワイヤであり得る又は誘導加熱用のサセプタであり得る電気ヒータとして、及びリザーバから液体を吸収してヒータに運ぶ、ヒータに近接して毛細管又はウィッキング機能を有する多孔質要素として実装されることがある。コントロールユニットは、一般に、システムを動作させるために電力を供給するためのバッテリーを含む。バッテリーからの電力が送られてヒータが作動され、ヒータが加熱して、リザーバから送達された少量の液体が気化する。次いで、気化された液体がユーザによって吸引される。
【0003】
カトマイザの構成要素は、短期間の使用のみを意図されていることがあり、したがって、カトマイザはシステムの使い捨て構成要素であり、消耗品とも呼ばれる。対照的に、コントロールユニットは、典型的には、複数のカトマイザを用いた複数回の使用を意図されており、ユーザは各カトマイザを使い切ると交換する。消耗品のカトマイザは、あらかじめ液体が充填されたリザーバと共に消費者に供給され、リザーバが空になったときに廃棄されることを意図されている。液体は取り扱いが難しいことがあるので、利便性と安全性のために、リザーバは封止されており、簡単には補充できないように設計されている。新たな液体供給が必要とされるときにユーザがカトマイザ全体を交換する方が簡単である。
【0004】
これに関して、カトマイザは、製造が簡単であり、少数の部品を備えることが望ましい。それにより、カトマイザを、最小限の廃棄物で低コストで効率的に大量生産することができる。したがって、シンプルな設計のカトマイザは興味深いものである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第1の態様によれば、蒸気供給システムのアトマイザを少なくとも部分的に取り囲み、アトマイザの周りにエアロゾルチャンバを画定するためのエンクロージャであって、アトマイザが、アトマイザによってエアロゾル化されるエアロゾル化可能な基材材料のためのリザーバの外寸の外側に少なくとも部分的に配置され、エンクロージャが、エアロゾルチャンバを画定する少なくとも1つの壁と、リザーバを画定するハウジングからエンクロージャが外側に延びることができるようにする接合部分と、エアロゾル化可能な基材材料がリザーバからエアロゾルチャンバに入ることができるようにし、エアロゾルがエアロゾルチャンバから出ることができるようにするための、少なくとも1つの壁の1つ又は複数の開口部と、空気がエアロゾルチャンバに入ることができるようにするための、少なくとも1つの壁の1つ又は複数のアパーチャとを備えるエンクロージャが提供される。
【0006】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第2の態様によれば、第1の態様によるエンクロージャと、エンクロージャが延び出るエアロゾル化可能な基板材料用のリザーバとを備える、蒸気供給システム用のカートリッジが提供される。
【0007】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第3の態様によれば、蒸気供給システム又は蒸気供給システム用のカートリッジであって、第1の態様によるエンクロージャと、エンクロージャが延び出るエアロゾル化可能な基板材料を含むリザーバと、エアロゾル化可能な基板材料から生成されたエアロゾルの吸引用の出口を有するマウスピースと、エンクロージャの1つ又は複数のアパーチャに被せて配設された第1の封止層と、マウスピースの出口に被せて配設された第2の封止層とを備え、封止層が、蒸気供給システム又はカートリッジの使用前にユーザが取り外せるように構成されている、蒸気供給システム又は蒸気供給システム用のカートリッジが提供される。
【0008】
本明細書で述べるいくつかの実施形態の第4の態様によれば、接着剤又は溶接によって固定された接合部でエンクロージャが結合されるリザーバを画定するハウジングを備える、第2の態様によるカートリッジ又は第3の態様による蒸気供給システムが提供される。
【0009】
特定の実施形態のこれら及びさらなる態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に記載されたもの以外の組合せで、互いに及び独立請求項の特徴と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の手法は、以下に記載されるような特定の実施形態に限定されず、本明細書に提示される特徴の任意の適切な組合せを含み、企図する。例えば、アトマイザエンクロージャ、又はアトマイザエンクロージャを含む蒸気供給システムは、適宜、以下に述べる様々な特徴の任意の1つ又は複数を含む本明細書で述べる手法に従って提供することができる。
【0010】
次に、本発明の様々な実施形態を、以下の図面を参照して単に例として詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カトマイザ及びコントロールユニットを備える例示的なeシガレットの断面図である。
【
図2】本開示の態様を実施することができる例示的なカトマイザの外部斜視分解図である。
【
図3】組み立てられた構成での
図2のカトマイザの部分切欠き斜視図である。
【
図4】(A)、(B)、及び(C)は本開示の態様を実施することができるさらなる例示的なカトマイザの簡略された概略断面図である。
【
図5】本開示の態様を実施することができる、誘導加熱を採用する第1の例示的な蒸気供給システムの非常に概略的な断面図である。
【
図6】本開示の態様を実施することができる、誘導加熱を採用する第2の例示的な蒸気供給システムの非常に概略的な断面図である。
【
図7】第1の例示的な構成体によって結合されたアトマイザエンクロージャの一部とカトマイザのリザーバハウジングとの非常に概略的な断面図である。
【
図8】第2の例示的な構成体によって結合されたアトマイザエンクロージャの一部とカトマイザのリザーバハウジングとの非常に概略的な断面図である。
【
図9】一例による、一体に形成されたアトマイザエンクロージャを備えるカトマイザの非常に概略的な側断面図である。
【
図10】一例による、空気取込みアパーチャを有するアトマイザエンクロージャの概略的な側断面図である。
【
図11】一例による、空気取込み弁を備えるアトマイザエンクロージャの底面図である。
【
図12】第1の例による封止層を備えるカトマイザの非常に簡略化された概略側断面図である。
【
図13】別の例による封止層を備えるカトマイザの非常に簡略化された概略側断面図である。
【
図14】一例による、内面パターンを備えるアトマイザエンクロージャの概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、特定の例及び実施形態の態様及び特徴を論じ、また説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実現することができ、簡潔にするために、これらを詳細には論じたり説明したりはしない。したがって、詳細に述べていない本明細書で論じる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実現するための任意の従来の技法に従って実現することができることを理解されたい。
【0013】
上述したように、本開示は、eシガレットなどの電子エアロゾル又は蒸気供給システムに関する(但し、それに限定はしない)。以下の説明全体を通して、「eシガレット」及び「電子タバコ」という用語を使用することがある。しかし、これらの用語は、エアロゾル(蒸気)供給システム又はデバイスと互換的に使用されることがあることを理解されたい。これらのシステムは、ニコチンを含むことも含まないこともある液体又はゲルの形態での基材の気化によって、吸引可能なエアロゾルを生成することを意図されている。さらに、ハイブリッドシステムは、液体状又はゲル状の基材と、固体基材とを備えることがあり、固体基材も加熱される。固体基材は、例えばタバコ、又はニコチンを含むことも含まないこともある他の非タバコ製品でもよい。本明細書で使用する「エアロゾル化可能な基材材料」という用語は、熱の付与用又は何らかの他の手段によってエアロゾルを生成することができる基材材料を表すことを意図されている。「エアロゾル」という用語は、「蒸気」と互換的に使用されることがある。
【0014】
本明細書で使用するとき、「構成要素」という用語は、おそらく外部ハウジング又は壁内にいくつかのより小さい部品又は要素を組み込んだ電子タバコ又は同様のデバイスの部品、セクション、ユニット、モジュール、アセンブリなどを表すために使用される。電子タバコは、1つ又は複数のそのような構成要素から形成又は構築することができ、構成要素は、互いに着脱可能又は分離可能に接続可能にすることも、電子タバコ全体を画定するように製造中に恒久的に一体に接合することもできる。本開示は、互いに分離可能に接続可能であり、例えば液体又は別のエアロゾル化可能な基材材料を保持するエアロゾル化可能な基材材料の支持構成要素(カートリッジ、カトマイザ、又は消耗品)、及び基材材料から蒸気を生成するための要素を動作させるために電力を供給するためのバッテリーを有するコントロールユニットとして構成される2つの構成要素を含むシステムに適用可能である(但し、これらに限定されない)。具体例を提供するために、本開示では、エアロゾル化可能な基材材料の支持部分又は構成要素の例としてカトマイザを述べるが、本開示は、これに関して限定されず、エアロゾル化可能な基材材料の支持部分又は構成要素の任意の構成に適用可能である。そのような構成要素は、例に含まれている部品よりも多数又は少数の部品を含むこともある。
【0015】
本開示は、特に、システムに含まれるリザーバ、タンク、容器、又は他のレセプタクルに保持される液体又はゲルの形態でのエアロゾル化可能な基材材料を利用する蒸気供給システム及びその構成要素に関する。蒸気/エアロゾル生成のために基材材料を提供する目的で、リザーバから基材材料を送達するための構成体が含まれる。「液体」、「ゲル」、「流体」、「原料液体(source liquid)」、「原料ゲル」、「原料流体」などの用語は、本開示の例に従って貯蔵及び送達することができる形態を有するエアロゾル化可能な基材材料を表すために、「エアロゾル化可能な基材材料」及び「基材材料」と互換的に使用されることがある。
【0016】
図1は、eシガレット10などの一般的な例示的エアロゾル/蒸気供給システムの非常に概略的な図(縮尺通りではない)であり、典型的なシステムの様々な部品同士ないしは部分同士の関係を示し、一般的な動作原理を説明する目的で表されている。電子タバコ10は、この例では、破線で示される長手方向軸線に沿って延びる概して細長い形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち、コントロールユニットないしは電力構成要素、電力セクション又は電力ユニット20と、エアロゾル化可能な基材材料を支持し、蒸気生成構成要素として動作するカートリッジアセンブリ又はセクション30(カトマイザ又はクリアロマイザ(clearomiser)と呼ばれることもある)とを備える。
【0017】
カトマイザ30は、例えばニコチンを含有する、エアロゾルが生成される液体又はゲルなどの製剤を含む原料液体又は他のエアロゾル化可能な基材材料を含むリザーバ3を含む。一例として、原料液体は、約1~3%のニコチン及び50%のグリセロールを含むことがあり、残部は、ほぼ等しい量の水及びプロピレングリコールを含み、場合によっては香料などの他の成分も含む。例えば香料を送達するために、ニコチンを含有しない原料液体を使用することもできる。液体から生成された蒸気が通過するタバコ又は他の香料要素の一部分など、固体基材(図示せず)も含まれることがある。リザーバ3は、貯蔵タンクの形態を有し、タンクの範囲内で自由に移動及び流動できるように原料液体を貯蔵することができる容器又はレセプタクルである。消耗品のカトマイザの場合、リザーバ3は、製造中に充填した後に封止し、原料液体が消費された後に使い捨てにすることができる。或いは、リザーバ3は、ユーザが新たな原料液体を追加することができる入口ポート又は他の開口部を有することができる。カトマイザ30はさらに、加熱による原料液体の気化によってエアロゾルを生成するために、リザーバタンク3の外部に配置された電気式の加熱要素又はヒータ4を備える。ウィック又は他の多孔質要素6などの液体移送構成体又は送達構成体(液体移送要素)を提供して、原料液体をリザーバ3からヒータ4に送達することができる。ウィック6は、リザーバ3の内部に配置された1つ又は複数の部品を有することがあり、或いはリザーバ3内の液体と流体連通することがあり、原料液体を吸収し、ウィッキング又は毛細管作用によって、ヒータ4に隣り合っている又は接触しているウィック6の他の部分に原料液体を移送することができる。これによって、この液体は加熱されて気化され、ウィック6によるヒータ4への移送のために、リザーバからの新たな原料液体によって置き換えられる。ウィックは、リザーバからヒータに液体を送達又は移送する、リザーバ3とヒータ4との間のブリッジ、経路、又は導管と考えることができる。導管、液体導管、液体移送経路、液体送達経路、液体移送機構又は要素、及び液体送達機構又は要素などの用語は全て、ウィック又は対応する構成要素若しくは構造を表すために、本明細書において互換的に使用されることがある。
【0018】
ヒータとウィック(同様のもの)との組合せは、アトマイザ又はアトマイザアセンブリと呼ばれることもあり、その原料液体を含むリザーバとアトマイザとが、総称してエアロゾル源と呼ばれることもある。他の用語として、液体送達アセンブリ又は液体移送アセンブリが含まれることもあり、本文脈において、これらの用語は、蒸気生成要素(蒸気生成器)と、リザーバから得られた液体を蒸気/エアロゾル生成のために蒸気生成器に送達又は移送するウィッキング又は同様の構成要素又は構造(液体移送要素)とを表すために互換的に使用することができる。
図1の非常に概略的な表現とは異なる形で部品を配置することができる様々な設計が可能である。例えば、ウィック6は、ヒータ4から完全に別個の要素でもよく、又はヒータ4は、多孔性であり、ウィッキング機能の少なくとも一部を直接実施することができるように構成されることもある(例えば金属メッシュ)。電気又は電子デバイスでは、蒸気生成要素は、オーム/抵抗(ジュール)加熱又は誘導加熱によって動作する電気式の加熱要素でもよい。したがって、一般に、アトマイザは、そこに送達される原料液体から蒸気を生成することができる蒸気生成又は気化要素、及びウィッキング作用/毛細管力によってリザーバ又は同様の液体貯蔵部から蒸気生成器に液体を送達又は移送することができる液体移送又は送達要素の機能を実装する1つ又は複数の要素と考えることができる。アトマイザは、典型的には、蒸気生成システムのカトマイザ構成要素に収容される。いくつかの設計では、液体は、別個のウィッキング又は毛細管要素を必要とせずに、リザーバから蒸気生成器に直接分配することができる。本開示の実施形態は、本明細書における例及び記載に適合する全てのそのような構成に適用可能である。
【0019】
図1に戻ると、カトマイザ30は、アトマイザ4によって生成されたエアロゾルをユーザが吸引することができる開口部又は空気出口を有するマウスピース又はマウスピース部分35をさらに含む。
【0020】
電力構成要素又はコントロールユニット20は、特にヒータ4を動作させるためにeシガレット10の電気構成要素に電力を供給するためのセル又はバッテリー5(本明細書では以後、バッテリーと呼ぶ。これは再充電可能でもよい)を含む。さらに、eシガレットを概して制御するためのプリント回路基板及び/又は他の電子機器若しくは回路などのコントローラ28が存在する。制御電子機器/回路28は、蒸気が必要とされるとき、例えばシステム10での吸引を検出する空気圧センサ又は空気流センサ(図示せず)からの信号に応答して、バッテリー5からの電力を使用してヒータ4を操作する。吸引中、空気がコントロールユニット20の壁の1つ又は複数の空気入口26を通って入る。加熱要素4が作動されると、加熱要素4は、液体送達要素6によってリザーバ3から送達された原料液体を気化してエアロゾルを生成し、次いで、このエアロゾルが、マウスピース35の開口部を通してユーザによって吸引される。エアロゾルは、ユーザがマウスピース35で吸うとき、空気入口26をエアロゾル源から空気出口につなぐ1つ又は複数の空気チャネル(図示せず)に沿って、エアロゾル源からマウスピース35に運ばれる。
【0021】
コントロールユニット(電力セクション)20とカトマイザ(カートリッジアセンブリ)30とは、
図1の両方向矢印で示されるように、長手方向軸線に平行な方向での分離によって互いに取り外し可能な別個の接続可能部品である。構成要素20、30は、デバイス10が使用されているとき、協働する係合要素21、31(例えば、ねじ又はバヨネットフィッティング)によって接合され、これらは、電力セクション20とカートリッジアセンブリ30との間に機械的及び場合によっては電気的な接続を可能とする。ヒータ4がオーム加熱によって動作する場合には電気的接続が必要とされ、それにより、ヒータ4がバッテリー5に接続されたときに電流をヒータ4に流すことができる。誘導加熱を使用するシステムでは、電力を必要とする部品がカトマイザ30に配置されていない場合、電気接続を省くことができる。誘導ワークコイルを電力セクション20に収容し、バッテリー5から電力を供給することができ、カトマイザ30及び電力セクション20は、それらが接続されたときに、ヒータの材料に電流を生成する目的でコイルによって生成される磁束にヒータ4が適切にさらされるように形状設定される。誘導加熱構成については、以下でさらに論じる。
図1の設計は、例示的な構成にすぎず、様々な部品及び特徴は、電力セクション20とカートリッジアセンブリセクション30との間で異なる分配にされることもあり、他の構成要素及び要素を含むこともできる。2つのセクションは、
図1におけるように長手方向の構成で、又は並列の横並びの配置などの異なる構成で、端部同士を接続することができる。システムは、概して円筒形であることも若しくはそうでないこともあり、及び/又はシステムは、概して長手方向の形状を有することも若しくは有さないこともある。いずれか又は両方のセクション又は構成要素は、使い果たされた(例えば、リザーバが空である若しくはバッテリーが上がっている)ときに廃棄及び交換されることを意図されている、又はリザーバの補充及びバッテリーの再充電などの作用によって複数回の使用が可能にされるように意図されている。他の例では、システム10は、コントロールユニット20及びカトマイザ30の部品が単一のハウジングに含まれて分離することができないという点で、一体でもよい。本開示の実施形態及び例は、これらの構成及び当業者が認識している他の構成の任意のものに適用可能である。
【0022】
図2は、本開示の一例によるカトマイザを形成するために組み立てることができる部品の外部斜視図を示す。カトマイザ40は4つの部品のみを備え、それらの部品は、適切な形状であれば互いに押し込む又は押し合わせることによって組み立てることができる。したがって、製造を非常に単純で簡単にすることができる。
【0023】
第1の部品は、エアロゾル化可能な基材材料(本明細書では以後、簡潔にするために基材又は液体とも称する)を保持するためのリザーバを画定するハウジング42である。ハウジング42は、この例では円形の断面を有する概して管形状を有し、リザーバ及び他のアイテムの様々な部分を画定するように形状設定された1つ又は複数の壁を備える。円筒形の外側壁44の下端には開口部46が開いており、開口部46を通して液体をリザーバに満たすことができ、以下で述べるように開口部46に部品を接合してリザーバを閉止/封止し、また気化のために液体を外方向に送達することを可能にすることができる。これは、リザーバの外部又は外側体積又は寸法を画定する。本明細書における、リザーバの外部にある又は配置される要素又は部品への言及は、その部品が、この外壁44並びにその上下の範囲及び縁部又は表面によって境界を画された又は画定された領域の外側に又は部分的に外側にあることを示すことを意図されている。
【0024】
円筒形の内壁48は、外側壁44内に同心円状に配置される。この配置は、外壁44と内壁48との間に環状容積部50を画定し、環状容積部50は、液体を保持するためのレセプタクル、キャビティ、空所などであり、言い換えればリザーバである。外壁44と内壁48とは、リザーバ容積部50の上縁部を閉じるために(例えば上壁によって、又は互いに向かって先細りする壁によって)互いに接続されている。内壁48の下端には開口部52が開いており、上端も開いている。内壁によって境界を画された管状の内部空間は、組み立てられたシステムにおいて、ユーザが吸引するために、生成されたエアロゾルをアトマイザからシステムのマウスピース出口に運ぶ空気流路又はチャネル54である。内壁48の上端にある開口部56は、ユーザの口に快適に受け入れられるように構成されたマウスピース出口にすることができ、又は開口部56をマウスピース出口につなぐチャネルを有する個別のマウスピース部品をハウジング42に若しくはハウジング42の周りに結合することができる。
【0025】
ハウジング42は、例えば射出成形によって、成形された(形作られた)プラスチック材料から形成することができる。
図2の例では、透明な材料から形成される。これにより、ユーザは、リザーバ44内の液体の液位又は量を観察することができるようになる。代替として、ハウジングは不透明でもよい、又は液位を見ることができる透明な窓を備えて不透明でもよい。プラスチック材料は、いくつかの例では剛性にすることができる。
【0026】
カトマイザ40の第2の部品は、流れ誘導部材60であり、流れ誘導部材60も、この例では円形の断面を有し、ハウジング42の下端と係合するように形状設定されて構成されている。流れ誘導部材60は、実質的には栓であり、複数の機能を提供するように構成される。ハウジング42の下端に挿入されるとき、流れ誘導部材60は、開口部46と結合してリザーバ容積部50を閉止及び封止し、開口部52と結合して、空気流路54をリザーバ容積部50から封止する。さらに、流れ誘導部材60は、液体の流れのために流れ誘導部材60を貫通する少なくとも1つのチャネルを有し、このチャネルは、液体をリザーバ容積部50からリザーバの外部の空間に運び、この空間は、液体を加熱することによって蒸気/エアロゾルが生成されるエアロゾルチャンバとして働く。また、流れ誘導部材60は、エアロゾルの流れのために流れ誘導部材60を貫通する少なくとも1つの他のチャネルを有し、このチャネルは、生成されたエアロゾルをエアロゾルチャンバ空間からハウジング42内の空気流路54に運び、それによりエアロゾルは、吸引のためにマウスピース開口部に送達される。
【0027】
流れ誘導部材60は、摩擦嵌合によってハウジング46と容易に係合することができるように、シリコーンなどの可撓性の弾性材料から形成することもできる。さらに、流れ誘導部材は、ハウジング42と係合する上面64とは反対側の下面62にソケット又は同様の形状の形成部(図示せず)を有する。ソケットは、カトマイザ40の第3の部品であるアトマイザ70を受け入れて支持する。
【0028】
アトマイザ70は細長い形状を有し、その細長い長さに関して両側に第1の端部72と第2の端部74とが配設される。組み立てられたカトマイザにおいて、アトマイザは、その第1の端部72で取り付けられ、第1の端部72は、リザーバハウジング42に向かう方向で流れ誘導部材60のソケットに押し込まれる。したがって、第1の端部72は、流れ誘導部材60によって支持され、アトマイザ70は、ハウジング42の同心形状の部分によって定義される長手方向軸線に実質的に沿って、リザーバから長手方向外向きに延びる。アトマイザ70の第2の端部74は取り付けられておらず、自由な状態である。したがって、アトマイザ70は、片持ち式に支持され、リザーバの外側境界から外方向に延びる。アトマイザ70は、エアロゾルを生成するためにウィッキング機能及び加熱機能を働かせ、誘導サセプタとして作用するように構成された電気抵抗ヒータ部分と、リザーバからヒータの近傍に液体をウィッキングするように構成された多孔質部分とのいくつかの構成の任意のものを備えることがある。
【0029】
カトマイザ40の第4の部品は、エンクロージャ又はシュラウド80である。エンクロージャ又はシュラウド80も、この例では円形断面を有する。エンクロージャ又はシュラウド80は、中央の中空空間又はボイド82を画定するために、任意選択的な底壁によって閉じられた円筒形の側壁81を備える。開口部86の周りの側壁81の上側リム84は、エンクロージャ80と、流れ誘導部材60及び/又はリザーバハウジング42の相補形状の部分との係合を可能にするように形状設定され、それにより、アトマイザ70が流れ誘導部材60のソケットに嵌められたときにエンクロージャ80を流れ誘導部材60又はリザーバハウジング42に結合することができる。したがって、エンクロージャ80は、リザーバハウジング42に直接又は間接的に結合されて、そこから外側に延びる。流れ誘導部材60は、中央空間82を閉じるためのカバーとして作用し、この空間82は、アトマイザ70が配設されるエアロゾルチャンバを作成する。開口部86は、流れ誘導部材60の液体流れチャネル及びエアロゾル流れチャネルとの連通を可能にし、それにより、液体をアトマイザに送達することができ、生成されたエアロゾルをエアロゾルチャンバから除去することができる。エアロゾルチャンバを通る空気の流れがアトマイザ70を通過し、蒸気を集め、蒸気が空気流に同伴されてエアロゾルを成すことを可能にするために、エンクロージャ80の1つ又は複数の壁81は、1つ又は複数の開口部又は小孔を有し、カトマイザのマウスピース開口部を通してユーザが吸引するときにエアロゾルチャンバに空気が引き込まれるようにする。
【0030】
エンクロージャ80は、射出成形などによってプラスチック材料から形成することができる。エンクロージャ80は、剛性材料から形成されることがあり、このとき、2つの部品を互いに押し込む又は押し合わせることによって、流れ誘導部材と容易に係合することができる。
【0031】
上記のように、流れ誘導部材は、可撓性の弾性材料から形成することができ、流れ誘導部材に結合される部品、すなわちハウジング42、アトマイザ70、及びエンクロージャ80を摩擦嵌合によって保持することができる。これらの部品はより剛性が高いことがあるので、これらの他の部品に押し付けられたときに流れ誘導部材がいくらか変形することを可能にする流れ誘導部材の可撓性は、部品の製造サイズの小さな誤差に対応する。このようにして、流れ誘導部品は、全ての部品の製造公差を吸収することができると共に、部品を高品質に組み立ててカトマイザ40を形成することを可能にする。したがって、ハウジング42、アトマイザ70、及びエンクロージャ80を形成するための製造要件は、いくらか緩和され、製造コストを削減することができる。
【0032】
図3は、組み立てられた構成での
図1のカトマイザの切欠き斜視図を示す。見やすくするために、流れ誘導部材60は陰影を付けて示されている。リザーバ空間50及び空気流路54の両方を封止するために、流れ誘導部材60がその上面で、リザーバハウジング42の内壁48の下縁部によって画定される開口部52の周りに係合し、ハウジング42の外壁44の下縁部によって画定される開口部46に同心円状に外方向で係合するように形状設定されているのを見ることができる。
【0033】
流れ誘導部材60は、液体流れチャネル63を有し、液体流れチャネル63は、液体Lがリザーバ容積部50から流れ誘導部材を通って、流れ誘導部材60の下の空間又は体積65に流れることを可能にする。エアロゾル及び空気Aが空間65から流れ誘導部材60を通って空気流路54に流れることを可能にするエアロゾル流れチャネル66も存在する。
【0034】
エンクロージャ80は、その上側リムが、流れ誘導部材60の下面の対応する形状の部分と係合するように形状設定され、リザーバハウジング42に従うリザーバ50の容積部の外寸の実質的に外にエアロゾルチャンバ82を作成する。この例では、エンクロージャ80は、その上端に、流れ誘導部材60に近接してアパーチャ87を有する。これは、液体流れチャネル63とエアロゾル流れチャネル66とが連通する空間65と合致し、したがって、液体がエアロゾルチャンバ82に入り、エアロゾルが流れ誘導部材60のチャネルを通ってエアロゾルチャンバ82から出るのを可能にする。
【0035】
この例では、アパーチャ87は、アトマイザ70の第1の支持された端部74を取り付けるためのソケットとしても作用する(
図2の説明において、アトマイザソケットが流れ誘導部材に形成されているものとして述べたことを想起されたい。どちらのオプションを使用することもできる)。したがって、液体流れチャネル63を通って到達する液体は、吸収及びウィッキングのためにアトマイザ70の第1の端部に直接供給され、アトマイザを通るように空気/エアロゾルを引き入れ、エアロゾル流れチャネル66に入れることができる。
【0036】
この例では、アトマイザ70は、金属71の平面状の細長い部分を備え、この部分は、その中点で折り曲げられて又は湾曲されて、金属部分の両端をアトマイザの第1の端部74で互いに隣り合わせる。これは、アトマイザ70のヒータ構成要素として作用する。綿又は他の多孔質材料73の一部分が、金属部分の2つの折り曲げられた辺の間に挟まれる。これは、アトマイザ70のウィッキング構成要素として作用する。空間65に到達した液体は、多孔質ウィック材料73の吸収性によって収集され、ヒータに向けて下向きに運ばれる。片持ち式の取付けに適した細長いアトマイザの多くの他の配置も可能であり、代わりに使用することができる。
【0037】
ヒータ構成要素は、誘導による加熱を意図されている。これについては、以下でさらに述べる。
【0038】
図2及び3の例は、組み立てられたカトマイザの長手方向の方向に直交する平面内で実質的に円対称の部品を有する。したがって、これらの部品は、互いに接合される平面内で所要の向きはなく、これにより製造を容易にすることができる。部品は長手方向軸線の周りで任意の向きで組み立てることができ、したがって、組立て前に部品を特定の向きに配置する必要はない。しかし、これは必須ではなく、部品を代替の形状にすることもできる。
【0039】
図4は、前述したのと同様に、リザーバハウジング、流れ誘導部材、アトマイザ、及びエンクロージャを備える、さらなる例示的な組み立てられたカトマイザを通る断面図を示す。しかし、この例では、カトマイザ40の長手方向軸線に直交する平面内で、部品の少なくともいくつかは、円形ではなく楕円形を有し、楕円形の長軸及び短軸に沿って対称性を有するように配置される。特徴は、長軸の各側及び短軸の各側に反映される。これは、組立てに関して、部品が、長手方向軸線周りで互いに180°回転された2つの向きのいずれかを有することができることを意味する。この場合にも、対称性のない部品を備えるシステムと比較して、組立てが簡略化される。
【0040】
この例でも、エンクロージャ80は、エンクロージャの長手方向軸線に沿った異なる地点で断面が変化するように形成された側壁81と、エアロゾルチャンバ82を作成する空間の境界を画する底壁83とを備える。エンクロージャは、その上端に向かって大きい断面に広がり、流れ誘導部材60を収容するための余地を与える。エンクロージャ80の大きい断面部分は、概して楕円形の断面を有し(
図4(B)を参照)、エンクロージャのより狭い断面部分は、概して円形の断面を有する(
図4(C)を参照)。上部開口部86の周りのエンクロージャの上側リム84は、リザーバハウジング42の対応する形状と係合するように形状設定されている。この形状設定及び係合は、
図4では簡略化された形で示されている。実際には、適度に気密及び液密の接合を提供するために、より複雑になる可能性がある。エンクロージャ80は、ユーザの吸引中に空気がエアロゾルチャンバに入ることを可能にするために、この場合は底壁83に少なくとも1つの開口部85を有する。
【0041】
リザーバハウジング42は、
図2及び3の例とは異なる形状である。外壁44は、2つの内壁48によって3つの領域に分割される内部空間を画定する。領域は、横並びに配置される。2つの内壁48の間の中央領域は、液体を保持するためのリザーバ容積部50である。この領域は、ハウジングの上壁によって上部が閉じられている。リザーバ容積部の底部の開口部46は、液体がリザーバ50からエアロゾルチャンバ82に送達されることを可能にする。外壁44と内壁48との間の2つの側部領域は、空気流路54である。各空気流路54は、その下端に、エアロゾルが入るための開口部52を有し、その上端にマウスピース開口部56を有する(前述したのと同様に、別個のマウスピース部分が、リザーバハウジング42の外部に追加されることもある)。
【0042】
流れ誘導部材60(見やすくするために陰影を付けて示されている)は、成形部分(shaped portion)を介してハウジング42の下縁部に係合され、ハウジング42の開口部46及び52と係合して、リザーバ容積部50及び空気流路54を閉止/封止する。流れ誘導部材60は、液体Lをリザーバからエアロゾルチャンバ82に移送するためにリザーバ容積部開口部46と位置合わせされた、単一の中央に配設された液体流れチャネル63を有する。さらに、2つのエアロゾル流れチャネル66があり、それぞれがエアロゾルチャンバ82の入口から空気流路54への出口まで延び、それにより、穴85を通ってエアロゾルチャンバに入ってエアロゾルチャンバ82内の蒸気を集める空気は、マウスピース出口56に向かって空気流路54に流れる。
【0043】
アトマイザ70は、その第1の端部72を流れ誘導構成要素60の液体流れチャネル63に挿入することによって取り付けられる。したがって、この例では、液体流れチャネル63は、アトマイザ70を片持ち式で取り付けるためのソケットとして作用する。したがって、アトマイザ70の第1の端部72には、リザーバ50から液体流れチャネル60に入る液体が直接供給され、液体は、アトマイザ70の多孔性によって取り込まれ、アトマイザの長さに沿って引き出されて、エアロゾルチャンバ70に配置されたアトマイザ70(図示せず)のヒータ部分によって加熱される。
【0044】
図4の(A)、(B)及び(C)は、カトマイザ40の長手方向軸線に沿った対応する位置でのカトマイザ40を通る断面を示す。
【0045】
本開示の態様は、抵抗加熱によって加熱の態様が実施されるアトマイザに関連し、電流を流すために加熱要素に電気接続する必要があるが、カトマイザの設計は、誘導加熱の使用に特に関連する。これは、通常は金属から形成される導電性アイテムが、熱を生成するアイテムに流れる渦電流による電磁誘導によって加熱されるプロセスである。誘導コイル(ワークコイル)は、発振器からの高周波交流電流が流されるときに電磁石として動作し、これにより磁場が発生する。導電性アイテムが磁場の磁束の中に置かれるとき、磁場はアイテムに侵入し、渦電流を誘導する。渦電流は、アイテム内を流れ、電流を直接供給することによって抵抗性電気加熱要素で熱が生成されるのと同様に、ジュール加熱によってアイテムの電気抵抗に対する電流に従って熱を生成する。誘導加熱の魅力的な特徴は、導電性アイテムへの電気接続が不要であることである。代わりに、要件は、アイテムが占める領域に十分な磁束密度が生成されることである。液体の近傍で発熱が必要とされる蒸気供給システムに関しては、液体と電流とのより効果的な分離を行うことができるので、これは有益である。カトマイザに他の電動アイテムが配置されていないと仮定して、カトマイザとその電力セクションを電気的に接続する必要はなく、カトマイザの壁によってより効果的な液体障壁を提供することができ、漏れの可能性を低減する。
【0046】
誘導加熱は、上述したように導電性アイテムを直接加熱するのに効果的であるが、非導電性アイテムを間接的に加熱するために使用することもできる。蒸気供給システムでは、気化を引き起こすために、アトマイザの多孔質ウィッキング部分の液体に熱を供給する必要がある。誘導による間接的な加熱の場合、導電性アイテムは、加熱が必要とされるアイテムに隣り合って又は接触して、ワークコイルと加熱対象のアイテムとの間に配置される。ワークコイルは、誘導加熱により導電性アイテムを直接加熱し、熱は、熱放射又は熱伝導によって非導電性アイテムに伝達される。この配置では、導電性アイテムはサセプタと呼ばれる。したがって、アトマイザでは、加熱構成要素は、熱エネルギーをアトマイザの多孔質部分に伝達するための誘導サセプタとして使用される導電性材料(典型的には金属)によって提供することができる。
【0047】
図5は、本開示の例によるカトマイザ40と、誘導加熱用に構成された電力構成要素20とを備える蒸気供給システムの非常に簡略化された概略図を示す。カトマイザ40は、
図2、3、及び4の例に示されている通りでよく(他の配置も除外されない)、わかりやすくするために輪郭のみが示されている。カトマイザ40はアトマイザ70を備え、加熱機能がサセプタ(図示せず)によって提供されるように、誘導加熱によって加熱が実現される。アトマイザ70は、エンクロージャ80によって取り囲まれたカトマイザ40の下部に配置され、エンクロージャ80は、エアロゾルチャンバを画定するだけでなく、片持ち式の取付けにより損傷に対して比較的脆弱であり得るアトマイザ70に対してある程度の保護を提供するように作用する。しかし、アトマイザ70の片持ち式の取付けは、アトマイザ70をコイル90の内部空間に挿入することができ、特にリザーバがワークコイル90の内部空間から離して配置されるので、効果的な誘導加熱を可能にする。したがって、電力構成要素20は、カトマイザ40が(例えば摩擦嵌合、クリップ作用、ねじ式、又は磁気キャッチによって)使用のために電力構成要素に結合されるときにカトマイザ40のエンクロージャ80が受け入れられる凹部22を備える。誘導ワークコイル90は、凹部22を取り囲むように電力構成要素20に配置され、コイル90は、コイルの個々のターン(コイルの一巻部分)が延びる長手方向軸線と、サセプタの長さに実質的に一致する長さとを有し、カトマイザ40と電力構成要素20とが接合されるときにコイル90とサセプタとが重なり合う。他の実施実施形態では、コイルの長さは、サセプタの長さと実質的に一致しないことがあり、例えば、サセプタの長さがコイルの長さよりも短くてもよく、又はサセプタの長さがコイルの長さよりも長くてもよい。このようにして、サセプタは、コイル90によって生成される磁場内に配置される。周囲のコイルからのサセプタの離間距離が最小化されるようにアイテムが配置される場合、サセプタが受ける磁束がより高くなることがあり、加熱効果がより効率的になることがある。しかし、離間距離は、少なくとも一部は、エンクロージャ80によって形成されるエアロゾルチャンバの幅によって設定され、これは、アトマイザ全体にわたる適切な空気流を可能にし、液滴の同伴を回避するようにサイズ設定する必要がある。したがって、様々なアイテムのサイズ設定及び位置決めを決定するとき、これら2つの要件が互いにバランスを取られる必要がある。
【0048】
電力構成要素20は、適切なAC周波数でコイル90に通電するために電力を供給するためのバッテリー5を備える。さらに、蒸気生成が必要とされるときに電源を制御し、ここではさらには考察しない蒸気供給システムに関する他の制御機能を場合により提供するためのコントローラ28が含まれる。電力構成要素は、図示されていない、及び本議論に関係のない他の部品を含むこともある。
【0049】
図5の例は、電力構成要素20とカトマイザ40とが端部同士を結合されてペン形状を実現する、直線的に配置されたシステムである。
【0050】
図6は、代替設計の簡略化された概略図を示し、カトマイザ40は、よりボックス状の配置のためのマウスピースを提供し、バッテリー5は、電力構成要素20内でカトマイザ40の片側に配設される。他の配置も可能である。
【0051】
エンクロージャ80は、様々な機能を行うためにカトマイザに含まれる。これらの機能には、アトマイザ70の保護が含まれ、アトマイザ70は、アトマイザ70と蒸気供給システムの誘導ワークコイルとの間の誘導結合を改良するために使用される片持ち式の取付けにより、損傷に対して脆弱であり得る。さらに、エンクロージャは、アトマイザの周りのエアロゾルチャンバを部分的又は完全に画定し、エアロゾルチャンバ内で、アトマイザによる液体の気化及びエンクロージャを通る流入空気の流れに基づいてエアロゾルが生成される。エンクロージャは、その下端で(例えば端壁によって)完全に又は部分的に閉じている場合、液体を収集するための貯留部として機能することができる。これにより、液体がアトマイザの多孔質部分によって取り込まれることなくリザーバから逃げる場合、又は蒸気の凝縮によりエアロゾルチャンバ内に自由液体が生成される場合に、カトマイザからの自由液体の漏れを低減することができる。
【0052】
エンクロージャは、これら及び他の機能の実施に関連する様々な特徴の任意のものを含むことができる。
【0053】
上述したように、エンクロージャは、その上側リムに、カトマイザの別の部品、特にリザーバハウジング若しくは流れ誘導部材、又は場合によってはこれらの部品の両方の対応する形状の特徴部と係合する成形特徴部(shaped feature)を有することができる。例えば、エンクロージャは、ハウジング若しくは流れ誘導部材の同様の形状及びサイズの凹部に嵌まる1つ若しくは複数のフランジ若しくは同様の突出特徴部を有することがあり、又はその逆に凹部を有することがあり、それにより2つの部品をスナップフィット構成体で押し合わせることができる。代替として、係合領域が円形断面を有する場合、部品をねじ式によって接合することができるが、これは、カトマイザ製造中の組立ての容易さの観点からはあまり魅力的ではない。
【0054】
液体が消費された後、カトマイザを再利用する目的でユーザがリザーバを補充できないようにすることが望ましいことがある。これは、例えば安全上の理由からあり得る。したがって、いくつかの例では、エンクロージャがリザーバハウジング又は流れ誘導部材に結合される、係合される、又は他の方法で取り付けられる成形特徴部は、そのような再利用を防ぐように構成することができる。言い換えると、成形(shaping)は、製造中にエンクロージャがカトマイザの残りの部分に結合された後にエンクロージャが簡単に取り外されないようにするために、若しくはユーザがエンクロージャの取外しに成功した場合にエンクロージャがカトマイザの残りの部分に再接合されないようにするために、又はその両方のために構成される。例えば、協働する成形特徴部は、部品の押し合わせを容易に可能にするが、部品の引き離しを可能にしないように成形することができる。例えば、成形は、接続方向へ内側に傾斜していてもよいが、外側分離方向への引張りに対して作用する棘状の特徴部を含む。代替として又は追加として、成形は、エンクロージャをカトマイザの残りの部分から分離する試みで加えられる引張力の下で成形特徴部が破損、折れ、破壊、変形、又は他の形で損壊されるように構成されることがあり、その結果、エンクロージャを再接続することができない。この種の構造的欠陥をもたらすために、特に薄肉部分又は他の脆弱部分を成形特徴部に含めることができる。
【0055】
図7は、再利用を防ぐために破損するように形作られた協働する接合部によってリザーバハウジングに結合されたエンクロージャの一部の簡略断面図を示す。リザーバハウジング42は、その下縁部に、内側及び上側に傾斜した形状の係合フランジ92を有する。エンクロージャ80は、その上縁部又はリム84に、下側及び外側に傾斜した係合フランジ94を有する。2つのフランジ42、80の材料は、わずかな撓みを可能にするようなものであり、したがって、エンクロージャ80がリザーバハウジング42に又はその中に押されるときに、係合フランジ92、94が互いに摺動し、反跳して所定の位置を取るのに十分に変形することができ、以てエンクロージャ80をハウジング42に接続又は結合する。係合フランジ92、94の傾斜は、エンクロージャ80をリザーバハウジング42から分離しようとする外側への引張りに抵抗するように作用し、したがって2つの部品は効果的に係止される。さらに、エンクロージャの係合フランジ94は、係合フランジ94とエンクロージャ80の主側壁81との間に領域96を有し、領域96は、隣接する領域よりも薄く、したがってエンクロージャ80を取り外すための引張りの作用下で、このより薄い領域96は、十分な分離力の下で破壊又は破砕し、したがって、係合部分94はエンクロージャ壁81から分離され、エンクロージャは、切り離された後にリザーバ42に再接合又は再結合することができない。
【0056】
再利用及び補充を防ぐため、言い換えれば不正使用防止カトマイザを提供するための代替手段として、エンクロージャは、様々な部品に使用される材料に応じて接着剤での接着によって又は溶接(例えば超音波溶接又はレーザー溶接)によって、リザーバハウジング又は流れ誘導部材に恒久的に接合することができる。これにより、エンクロージャの容易な取外しが防止され、したがって補充の目的でのリザーバの内部へのアクセスも防止される。
【0057】
図8は、再利用を防ぐために恒久的な接合部を介してリザーバハウジングに結合されたエンクロージャの一部の簡略断面図を示す。リザーバハウジング42及びエンクロージャ80はそれぞれ、前と同様に、接合のためのフランジ92、94を有する。しかし、この場合、フランジ92、94は、
図7の例のように噛み合わない。そうではなく、フランジ92、94は、エンクロージャ80とリザーバハウジング42とが合わされたときに、他方のフランジの平坦面に当接する平坦面をそれぞれが有するように形作られている。カトマイザからのエンクロージャ80の取外しを妨げる結合部98を2つの部品間に作成するために、接着剤を一方又は両方の平坦面に塗布することができる、又は溶接を適用して平坦面を互いに融合することができる。
【0058】
エンクロージャの接合を可能にするために含まれる任意の成形部を、同じ又は同様の効果を実現するために
図7及び8の例とは異なる形状にすることもできることは明らかであろう。
【0059】
これらの様々な例では、エンクロージャは、リザーバハウジングとは別の構成要素であり、カトマイザの製造中にそれら2つが互いに結合される。しかしこれは必須ではなく、エンクロージャは、代替として、例えば適切な形状の構成要素の射出成形によって、リザーバハウジングと(又は任意選択で流れ誘導部材と)一体に形成することができる。
【0060】
様々な部品の組立てによるカトマイザの製造は、片持ち式の取付けを実現するために、アトマイザの第1の端部をソケットに挿入することを必要とする。したがって、エンクロージャがカトマイザの別の部分と一体に形成される構成では、エンクロージャの外壁は、アトマイザを取り付けるのに十分に大きいアパーチャを必要とする。エンクロージャは、
図3及び4の例のように、側壁及び底壁によって大部分又は完全に閉じることはできない。これは、アトマイザを取り付けるためのアクセスが可能でなくなるからである。また、流れ誘導部材が含まれる必要がある。アトマイザの取付けを可能にするために、エンクロージャは、例えば底壁を有さないことがある。
【0061】
図9は、エンクロージャが一体に形成された例示的なカトマイザの概略断面図を示す。リザーバハウジング42は、
図3の例と同様であり、中央の空気流路54の周りに環状のリザーバ50を有する。しかし、リザーバハウジング42の外側壁44は、流れ誘導部材60が挿入される位置を越えて下側に延びて、リザーバ50の底部及び空気流路54を封止する。下側への延在は、この実施形態においてエンクロージャ80を形成すると考えることができ、このエンクロージャ80は、底部で開いているが、流れ誘導部材60に取り付けられたアトマイザ70を取り囲む。エンクロージャ80は、リザーバハウジング42の底縁部から垂下するスカート部分の形を有する。このように形作られたエンクロージャ80は、依然としてアトマイザ70の周りにエアロゾルチャンバ82を画定するように作用し、エアロゾルチャンバのための下側境界は、
図5及び6の例と同様に、カトマイザが挿入される電力構成要素の凹部によって画定することができる。さらなる実施形態では、ハウジング42は、
図9に示されるように下側に延びることがあるが、例えば
図4に示されるような別個のエンクロージャ80をハウジング42の内壁に結合することができる。内壁は、別個のエンクロージャ80の係合を可能にするために、対応する係合部分を有することがある。リザーバハウジングの延ばされた壁42は、別個のエンクロージャ80に保護を提供すること、及び/又はユーザが(例えばエンクロージャ80の底部を指でつまむことによって)別個のエンクロージャ80に容易にアクセスするのを防止することができる。さらに、延ばされたリザーバハウジングは、カトマイザ40に、より視覚的に魅力的な及び/又は見慣れた外観を提供することができる。延ばされたリザーバハウジング42を有する実施形態では、電力セクション20は、その外面に、コイル90の位置に広く対応する凹部を有することができ、したがって、カトマイザ40と電力セクションとが結合されるとき、電力セクションのハウジングと延ばされたリザーバハウジングとが面一の接続を形成する。
【0062】
したがって、リザーバの外側境界から外側に延びてアトマイザを囲むために、エンクロージャをリザーバハウジングに接続又は結合する様々な方法がある。リザーバハウジングに隣接し、延在関係を実現可能にする、又は延在関係を具現化するエンクロージャの部分は、接合部分と呼ぶことができ、論じるように、これは、一体の接合部でも又は別個の構成要素間の接合部でもよく、さらに一回使用の接合部又は複数回使用の接合部でもよい。
【0063】
上述したように、特に
図3の例を参照すると、エンクロージャは、アトマイザが挿入されるソケットを含むことがある。代替として、ソケットは、流れ誘導部材に形成されることがあり、流れ誘導部材は、アトマイザの片持ち式の配置のためにエンクロージャに対して適切に位置する。ソケットはアトマイザを支持し、したがって、ソケットを画定する構成要素又は構成要素の一部を支持部分と考えることができる。したがって、支持部分は、エンクロージャと一体に形成されるのでエンクロージャに含めることができる、又はエンクロージャ若しくはハウジングに結合される流れ誘導部材などの別個の構成要素でもよい。
【0064】
カトマイザを通る所要の空気の流れを可能にし、空気がアトマイザを越えて通過し、生成された蒸気を収集してエアロゾルを生成し、カトマイザから空気流路を通ってユーザに送達されるようにするために、エンクロージャによって画定されているエアロゾルチャンバに空気が入る必要がある。したがって、エンクロージャは、リザーバハウジングに結合されるとき、気密環境を作ってはならない。ユーザがカトマイザのマウスピース出口を通して吸引するときに空気がエンクロージャの内部に引き込まれる少なくとも1つのアパーチャが、エンクロージャの1つ又は複数の壁に存在すべきである。空気入口アパーチャを提供することができるいくつかの方法がある。
【0065】
図9の例では、リザーバハウジングと一体に形成されたエンクロージャは底壁を有さず、したがってアトマイザ及び流れ誘導部材をカトマイザ内に配置することができる。したがって、底壁がないことにより、空気取込みのための大きいアパーチャがエンクロージャ壁に形成される。この手法は、エンクロージャがリザーバハウジングに結合された別個の構成要素である例でも使用することができる。開いた底部は、一体に形成されたエンクロージャに限定されない。
【0066】
エンクロージャが底壁を有する例では、底壁にアパーチャが存在することがある。底壁は、空気がアトマイザの長手方向の全範囲を通って流れることを可能にし、したがって最大量の蒸気が収集されるので、空気取込みのための効果的な位置である。
【0067】
図10は、底壁83に3つの穴又はアパーチャ85を備えるエンクロージャ80の側断面図を示す。底壁には任意の数のアパーチャを含めることができる。例えば、
図4の例は、単一のアパーチャ85を有する。代替として又は追加として、
図10にも示されるように、エンクロージャ80の側壁81にアパーチャ85を提供することができる。側壁81の下部に又は下部に向けてアパーチャ85を配置することにより、取り込まれた空気がエアロゾルチャンバを通る長い経路を有することが可能になり、蒸気の収集を最大化する。
【0068】
エンクロージャが底壁を有さない場合、又は底壁若しくは側壁に大きいサイズ(すなわち、液体がアパーチャを通って容易に流れることを可能にするサイズ)のアパーチャを有する場合、エンクロージャは、エンクロージャへの経路を有する自由液体をリザーバから又は蒸気/エアロゾルの凝縮により漏れを起こす可能性がある。そのような漏れを低減するために、アパーチャは異なる様式で構成されることがある。
【0069】
例えば、1つの(複数の場合もある)エンクロージャ壁のアパーチャは、空気の内側への流れを可能にするために空気に対して透過性であるが、液体の外側への流れ(これは液体の漏れを表す)を妨げるために液体に対して実質的に不透過性であるように十分に小さくすることができる。不透過性は、液体の表面張力により生じる。したがって、1つの(複数の場合もある)エンクロージャ壁に関する適切なアパーチャサイズは、リザーバが満たされる液体の粘性を含むいくつかの因子に依存する。一般に、アパーチャは、カトマイザで使用されるとき、液体の毛細現象長さよりも小さくすることができる。より厚い流れ又はより高い粘性の液体は、より大きいアパーチャと組み合わせることができ、したがって、所与の空気取込みのために必要なアパーチャはより少なくなる。より細い流れ又はより低い粘性の液体は、より小さいアパーチャと組み合わせることができ、したがって、適量の空気取込みのために必要なアパーチャはより多くなり得る。したがって、1つの(複数の場合もある)エンクロージャ壁の小さなアパーチャは、複数のアパーチャとして提供されることがあり、小孔と考えることができる。アパーチャをエンクロージャの壁全体にわたって均等に分布させることもできる、又は
図10に示されるより大きい開口部と同様に底部に向けて集中させることもできる。
【0070】
さらに、小さいアパーチャは、疎水性材料でコーティングすることによって、液体に対してより不透過性にすることができる。このようにすると、液体はアパーチャから弾かれ、アパーチャを通って漏れることはない。さらに、アパーチャには液体が存在しないようになっており、したがって空気が入ることができ、所要のレベルの空気取込みが維持される。
【0071】
代替形態として、1つ又は複数のアパーチャは、空気をエンクロージャに流入させるために開くが、液体の外側への流れに対しては閉じたままであるように動作可能な弁を備えることによって、空気に対して透過性に、且つ液体に対して実質的に不透過性にすることができる。蒸気供給システムでの吸引が所要の内方向に空気を引き込むので、カトマイザの文脈でこれを実装するのは簡単である。したがって、ユーザが吸引するとき、エンクロージャ内の空気圧が降下し、エンクロージャ外の空気圧よりも低くなり、この圧力差に応答して弁が開き、より低圧のエンクロージャの内部に空気を引き込むことを可能にする。対照的に、エンクロージャ内に蓄積することがある液体の量は少なく、したがって、エンクロージャ内部の圧力は、弁が外側に開いて液体を漏れとして放出するには不十分である。それにも関わらず、ユーザが吸引するのではなくカトマイザに吹き込んだ場合にエンクロージャから液体が排出されるのを防ぐために、外方向に開くことができないように構成された一方向弁を利用することが望ましいことがある。
【0072】
この目的で、任意の適切な種類の弁を使用することができる。しかし、製造の容易さ及び構造の単純さを維持するために、弾性材料(エラストマー)から底壁を製造してそこに弁を切り込むことによって、エンクロージャの底壁に弁を設けることができる。弁は、例えば2つの交差した切込みからなる単純な十字形にすることができる。
【0073】
図11は、エンクロージャ80を下から見た平面図であり、弁100が底壁に切り込まれている。弁100のセグメント100aは、弾性材料の可撓性により変形することができ、それにより空気はユーザの吸引の下で内側に引き込まれる。しかし、エンクロージャ内に蓄積することがある自由液体の圧力は、液体を逃がすように弁を外側に開くには不十分である。
【0074】
下部が液体の流出に対して実質的に閉じられているエンクロージャの構成(例えば、中実の底壁、底壁の弁、液体の流れに不透過性のアパーチャ)では、エンクロージャは貯留部の機能を行うと考えることができる。エンクロージャは、自由液体をその下部に収集し、この液体がカトマイザから外方向に逃げないようにすることができる。このようにして、カトマイザ、及びカトマイザが使用される蒸気供給システムからの全体的な漏れを低減することができ、液体が電力構成要素に浸入するのを妨げることができる。液体の浸入は、蒸気供給システムの電気構成要素を損壊する可能性がある。
【0075】
カトマイザからの液体の漏れを最小限に抑えるためのさらなる手法は、カトマイザの使用前に、製造時のリザーバの充填と、エアロゾル供給で使用するためのカトマイザと電力構成要素との結合との間の期間中に発生することがある漏れに関する。カトマイザの様々な部品間の接合が実質的に漏れを防止されていると仮定して、カトマイザは、上述したように、マウスピース出口及びエンクロージャの任意のアパーチャにおいて、液体の流出に対して脆弱な開口部を有する。使用前の漏れを低減するために、カトマイザは、1つ又は複数の開口部又はアパーチャを覆い、カトマイザの使用前にユーザが取外し可能なシールなどを備えることもできる。
【0076】
図12は、このタイプのシールを備えた例示的なカトマイザの非常に簡略化された概略側断面図を示す。カトマイザ40は、リザーバハウジング42の上端にマウスピース出口56を有し、エンクロージャ80の底壁83に空気取込みのためのアパーチャ85を有する。これらの開口部はそれぞれ、例えばユーザが取り外すことができる剥離可能な接着ラベルの形で、取外し可能な封止層102を備える。例えば、各封止層102は、プルタブ、引裂きタブ、引裂きストリップ、又はプルストリップ104などを有することがあり、それによって封止層102が取外しのために把持されて引っ張られることがある。同じ構成体を、エンクロージャ80の他の位置にあるアパーチャ85にも採用することができる。複数のアパーチャ85が提供される場合、それぞれに個別の封止層102を提供することもできる。代替として、封止層は、出口及びアパーチャ全てではなく、例えばエンクロージャのアパーチャのみに被せて設けられてもよい。複数の封止層が含まれる例では、全ての封止層によって共有される共通のプルタブ/引裂きストリップを使用することができ、それによって、全ての封止層を単一の引張り作用によって取り外すことができる。
【0077】
図13は、代替のシーリング構成体を備えた例示的なカトマイザの非常に簡略化された概略側断面図を示す。この例では、プルタブ104を備えた単一の封止層102が、エンクロージャアパーチャ85とマウスピース出口56との両方を覆っている(さらにカトマイザ表面の中間部分に接着されている)。したがって、使用のために、単一の封止層を取り外すことによって全ての開口部のカバーを外すことができ、これは、ユーザにとってより便利になることがあり、全てのシールのうちのいくつかだけを取り外すことはできないので、カトマイザが使用のために適切に準備されることを保証する。
【0078】
所望に応じて、プルタブを有さない封止層を使用することもできる。
【0079】
上述したように、エアロゾル生成用の蒸気供給システムの使用中、空気がエンクロージャに引き込まれ、エアロゾルチャンバ内のアトマイザによって生成された蒸気を収集し、空気の流れに蒸気を同伴して、エアロゾルをマウスピース出口に送達する。空気の流れがスムーズでない場合、流れる空気による蒸気の収集及びエアロゾルの生成を改良することができる。
【0080】
図14は、摂動空気流によりエアロゾル生成を改良するように構成されたエンクロージャの簡略化された概略側面図を示す。エンクロージャ80は、任意の前述の例に従っていることがあり、又は本明細書で述べる特徴に従って構成されることがある。前と同様に、エンクロージャ80は、外側壁81を有する。この例では、外側壁81の内面81aは、内面81aを崩し、内面81aが滑らかになるのを妨げる隆起、稜部、突起、又は他の表面パターンの形での表面特徴部106を備える。表面パターンの存在は、エアロゾルがエアロゾルチャンバから出る1つ(複数の場合もある)アパーチャ85と開口部86との間の空気の流れを乱す、又は空気の流れに干渉する。このようにして、何らかの乱流又は同様の摂動が空気の流れに導入される。これにより、エアロゾルチャンバ内での空気と蒸気との相互作用が高まり、エアロゾル生成を向上させる。表面特徴部106は、流れる空気と共に液滴が自由に移動できるように、アトマイザと内面91aとの間に十分な間隔を保ちながら、空気流に顕著な影響を与えられるようにサイズ設定されるべきである。代替として又は追加として、アトマイザ自体が、サセプタの表面を崩す隆起、稜部、突起、又は他の表面パターンの形での表面特徴部を有することがある。空気の流れは、エンクロージャ81の内面と、サセプタ(ヒータ)及び/又は多孔質(ウィッキング)材料を備えるアトマイザの外面との間で広く、したがって、これらの構成要素のいずれか又は全ては、アトマイザを越えてエンクロージャの下部から引き出されるときに気流に何らかの乱流、摂動、又は擾乱を与える特徴部を含むことがある。そのような表面特徴部は、流れを乱す特徴部と考えることができる。
【0081】
したがって、例示的実施形態は、蒸気供給システム用のカートリッジ又はカトマイザであって、エアロゾル化可能な基材材料を気化させるための細長いアトマイザと、細長いアトマイザを少なくとも部分的に取り囲み、アトマイザの周りにエアロゾルチャンバを画定するためのエンクロージャと、アトマイザの長手方向範囲の少なくとも一部に沿ってエンクロージャの内面と細長いアトマイザの外面との間に画定された、エアロゾルチャンバを通る空気流路と、空気流路に沿った空気の流れを摂動させるために構成されたエンクロージャの内面及び/又は細長いアトマイザの外面にある少なくとも1つの流れを乱す特徴部とを備える蒸気供給システム用のカートリッジ又はカトマイザを提供する。
【0082】
結論として、様々な問題に対処して技術を進歩させるために、本開示は、例示として、特許請求される発明を実施することができる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的な例にすぎず、網羅的及び/又は排他的ではない。それらは、特許請求される発明の理解を助け、特許請求される発明を教示するためにのみ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される開示に対する制限、又は特許請求の範囲の均等物に対する制限と考えるべきではなく、他の実施形態を利用することができ、特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく変形を行うことができることを理解されたい。様々な実施形態は、本明細書に具体的に述べたもの以外の、開示される要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に含む、それらからなる、又は本質的にそれらからなることができる。本開示は、現在特許請求されていないが将来に特許請求される可能性のある他の発明を含むこともある。