(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】体操器具の耐荷重フレーム及び繊維構造体
(51)【国際特許分類】
B32B 5/00 20060101AFI20240214BHJP
B32B 1/00 20240101ALI20240214BHJP
A63B 7/02 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B32B5/00 A
B32B1/00 Z
A63B7/02
(21)【出願番号】P 2022025429
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】202111601810.9
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522070145
【氏名又は名称】山東泰山体育器具有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shandong Taishan Sports Equipment Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王偉
(72)【発明者】
【氏名】王賀
(72)【発明者】
【氏名】張文豪
(72)【発明者】
【氏名】陳昊
(72)【発明者】
【氏名】潘長栄
(72)【発明者】
【氏名】許徳森
(72)【発明者】
【氏名】崔剛
(72)【発明者】
【氏名】張偉
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532075(JP,A)
【文献】実開平05-046423(JP,U)
【文献】中国実用新案第207203290(CN,U)
【文献】特開昭64-029276(JP,A)
【文献】特表2018-517471(JP,A)
【文献】米国特許第07438962(US,B1)
【文献】特表昭58-502140(JP,A)
【文献】特開昭63-205219(JP,A)
【文献】特開2021-146837(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025573(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/163136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
C08J 5/04
C08J 5/24
B32B 1/00
B32B 5/00
B29B 15/12
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維層を含み、前記複数の繊維層は、順にリング構造に積層され、かつ
ハイポリマーが含浸及び硬化され、
前記繊維層
の繊維構造体の重心から離れた一側には織布層(1)が硬化されていて、
前記繊維構造体の重心を離れる位置から前記繊維構造体の重心に近づく位置までの方向に沿って、前記繊維構造体は、順に事前に含浸及び硬化された第一炭素繊維積層(2)、第一炭素繊維交差積層(3)、第二炭素繊維積層(4)が含まれ、
前記第一炭素繊維積層(2)は隣接する一方向炭素繊維シート層を0°~90°の範囲内で交差して積層することによって形成され、前記織布層(1)は前記第一炭素繊維積層(2)の前記繊維構造体の重心から離れた一側に硬化され、
前記第一炭素繊維交差積層(3)の最上層に隣接する、前記第一炭素繊維交差積層(3)内の最上層から2番目の一方向炭素繊維シート層は90°~180°の範囲内で偏向し、積層して形成され、前記第一炭素繊維交差積層(3)の最下層に隣接する、前記第一炭素繊維交差積層(3)内の最下層から2番目の一方向炭素繊維シート層は0°~90°の範囲内で偏向し、積層して形成され、
前記第二炭素繊維積層(4)は隣接する一方向炭素繊維シート層を0°~90°の範囲内で交差して積層することによって形成され、
前記第一炭素繊維積層(2)、前記第一炭素繊維交差積層(3)及び前記第二炭素繊維積層(4)の一方向炭素繊維シート層はすべて、同じ方向に沿って対応する角度を偏向させて敷設されることを特徴とする繊維構造体。
【請求項2】
さらに鋼材補強体層(5)を含み、前記鋼材補強体層(5)は前記第一炭素繊維交差積層(3)と前記第二炭素繊維積層(4)との間に硬化され、又は、前記鋼材補強体層(5)は前記第二炭素繊維積層(4)の前記第一炭素繊維交差積層(3)から離れた一側に硬化されることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項3】
前記第一炭素繊維積層(2)と前記第二炭素繊維積層(4)の両方はリング構造であり、前記第一炭素繊維積層(2)と前記第二炭素繊維積層(4)との間に鋼材補強体層(5)が設置され、前記鋼材補強体層(5)は前記第一炭素繊維交差積層(3)に接続されてリング構造を形成することを特徴とする請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項4】
前記繊維層の前記繊維構造体の重心に近づく一側に内側織布層(6)が硬化されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項5】
前記織布層(1)は熱可塑性糸を織ることによって形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項6】
前記第一炭素繊維積層(2)の一方向炭素繊維シート層の偏向方向は、前記第二炭素繊維積層(4)の一方向炭素繊維シート層の偏向方向と逆であり、
前記第一炭素繊維交差積層(3)において、前記第一炭素繊維積層(2)に近づく一方向炭素繊維シート層の偏向方向は、前記第一炭素繊維積層(2)の一方向炭素繊維シート層の偏向方向と逆であり、
前記第一炭素繊維交差積層(3)において、前記第二炭素繊維積層(4)に近づく一方向炭素繊維シート層の偏向方向は、第二炭素繊維積層(4)の一方向炭素繊維シート層の偏向方向と逆であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維構造体を含むことを特徴とする体操器具の耐荷重フレーム。
【請求項8】
前記繊維構造体は支柱、支持脚及び/又は横梁であることを特徴とする請求項7に記載の体操器具の耐荷重フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ器具の技術分野に関し、特に体操器具の耐荷重フレーム及び繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スポーツ器具のうち、鉄棒、平行棒、段違い平行棒、跳馬、鞍馬、平均台、つり輪などの体操器具の支持フレームはすべて、金属材料の部品を用いるため、器具が重くなり、器具の輸送、移動又は取り付けに不都合になる。
【0003】
したがって、輸送及び取り付けを容易にするために、スポーツ器具をどのように軽量化するかは、当業者が早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、スポーツ器具を軽量化し、輸送及び取り付けを容易にする、体操器具の耐荷重フレーム及び繊維構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の解決手段を提供する。本発明は、複数の繊維層を含む繊維構造体を提供し、前記複数の繊維層は、順に積層して取り囲まれ、かつ含浸及び硬化される。
【0006】
好ましくは、前記繊維層の前記繊維構造体の重心から離れた一側には織布層が硬化されている。
【0007】
前記繊維層は、炭素繊維層、ガラス繊維層、玄武岩繊維層、アラミド繊維層、亜麻繊維、超高分子量ポリエチレン繊維の一種又は複数種の物質である。
【0008】
好ましくは、前記繊維構造体の重心を離れる位置から前記繊維構造体の重心に近づく位置までの方向に沿って、前記繊維構造体は、順に事前に含浸及び硬化された第一炭素繊維積層、第一炭素繊維交差積層、第二炭素繊維積層が含まれ、
前記第一炭素繊維積層は隣接する一方向炭素繊維シート層を0°~90°の範囲内で交差して積層することによって形成され、前記織布層は前記第一炭素繊維積層の前記繊維構造体の重心から離れた一側に硬化され、
前記第一炭素繊維交差積層の最上層の隣接する一方向炭素繊維シート層は90°~180°の範囲内で偏向し、積層して形成され、前記第一炭素繊維交差積層の最下層の隣接する一方向炭素繊維シート層は0°~90°の範囲内で偏向し、積層して形成され、
前記第二炭素繊維積層は隣接する一方向炭素繊維シート層を0°~90°の範囲内で交差して積層することによって形成され、
前記第一炭素繊維積層、前記第一炭素繊維交差積層及び前記第二炭素繊維積層の一方向炭素繊維シート層はすべて、同じ方向に沿って対応する角度を偏向させて敷設される。
【0009】
好ましくは、前記繊維構造体は鋼材補強体層をさらに含み、前記鋼材補強体層は、前記第一炭素繊維交差積層と前記第二炭素繊維積層との間に硬化され、又は、前記鋼材補強体層は、前記第二炭素繊維積層の前記第一炭素繊維交差積層から離れた一側に硬化される。
【0010】
好ましくは、第一炭素繊維積層と前記第二炭素繊維積層の両方はリング構造であり、前記第一炭素繊維積層と前記第二炭素繊維積層との間に鋼材補強体層が設置され、前記鋼材補強体層は前記第一炭素繊維交差積層に接続されてリング構造を形成する。
【0011】
好ましくは、前記第一炭素繊維積層、前記第一炭素繊維交差積層及び前記第二炭素繊維積層はすべて非閉鎖構造であり、前記第一炭素繊維積層、前記第一炭素繊維交差積層及び前記第二炭素繊維積層はすべて同じ位置に開口部を有する。
【0012】
好ましくは、前記繊維層の前記繊維構造体の重心に近づく一側に内側織布層が硬化されている。
【0013】
好ましくは、前記織布層は熱可塑性糸の交錯織物材料を織ることによって形成され、前記繊維層及び前記織布層はプレス成形、引抜成形、真空成形又は真空樹脂導入成形によって硬化することができる。
【0014】
本発明はさらに、上記繊維構造体を含む体操器具の耐荷重フレームを提供する。
【0015】
好ましくは、前記繊維構造体は支柱、支持脚及び/又は横梁である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、従来技術に対して以下の技術的効果を取得する。本発明の繊維構造体は、複数の繊維層を含み、複数の繊維層は、順に積層して取り囲まれ、かつ含浸及び硬化される。本発明の繊維構造体は、構造強度が高く、かつ質量が低い。本発明はさらに、上記繊維構造体を含み、体操器具の耐荷重フレームを軽量化することに役立ち、器具の移動、輸送及び着脱を容易にし、操作者の労力負担を低減させる、体操器具の耐荷重フレームを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では実施例に必要な図面を簡単に紹介し、以下に説明する図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の繊維構造体の断面概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例における繊維構造体の断面概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施例における繊維構造体の断面概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の体操器具の耐荷重フレームの概略図である。
【0019】
ここで、1 織布層、2 第一炭素繊維積層、3 第一炭素繊維交差積層、4 第二炭素繊維積層、5 鋼材補強体層、6 内側織布層。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では本発明の実施例における図面を参照して本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、説明された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例はすべて、本発明の技術的範囲に属する。
【0021】
本発明の目的は、スポーツ器具を軽量化し、輸送及び取り付けを容易にする、体操器具の耐荷重フレーム及び繊維構造体を提供することである。
【0022】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下では図面及び具体的な実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0023】
図1~4を参照すると、
図1は、本発明の繊維構造体の断面概略図であり、
図2は、本発明の実施例における繊維構造体の断面概略図であり、
図3は、本発明の他の実施例における繊維構造体の断面概略図であり、
図4は、本発明の体操器具の耐荷重フレームの概略図である。
【0024】
本発明は、複数の繊維層を含む繊維構造体を提供し、複数の繊維層は、順に積層して取り囲まれ、かつ含浸及び硬化される。
【0025】
本発明の繊維構造体は、複数の繊維層を順に積層して取り囲んで硬化させることによって形成され、構造強度が高く、かつ質量が低い。なお、複数の繊維層は、含浸及び硬化を実現するために、ハイポリマーを利用する。
【0026】
そのうち、繊維層の繊維構造体の重心から離れた一側に織布層1が硬化され、織布層1は繊維層を保護し、繊維構造体の耐用年数を延ばし、同時に強化繊維構造体の美観性を向上させる。それと同時に、繊維層は、炭素繊維層、ガラス繊維層、玄武岩繊維層、アラミド繊維層、亜麻繊維、超高分子量ポリエチレン繊維の一種又は複数種の物質であってもよい。実際の生産において、様々な使用ニーズを満たすために、具体的な動作状況に応じて、ある種類の繊維又は様々な種類の繊維を選択して組み合せて製造することができる。本具体的な実施形態において、繊維構造体は、炭素繊維一方向プリプレグを順に積層して取り囲んで基層を形成し、基層の外側に織布層1を硬化させて、炭素繊維複合材料を形成し、材料が軽く、基本的な繊維層は実際のニーズに応じて、同じ種類又は異なる種類の材料を選択して積層することができる。そのうち、本発明に係るプリプレグは、厳密に制御された条件下で樹脂マトリックスを用いて連続繊維又は織物を含浸させて、樹脂マトリックス及び強化材の組成物に製造し、具体的なプロセスは限定されない。
【0027】
より具体的には、繊維構造体の重心を離れる位置から繊維構造体の重心に近づく位置までの方向に沿って、繊維構造体は、順に事前に含浸及び硬化された第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4を含む。そのうち、第一炭素繊維積層2は、隣接する一方向炭素繊維シート層を0°~90°範囲内で交差して積層することによって形成され、織布層1は、第一炭素繊維積層2の繊維構造体の重心から離れた一側に硬化され、第一炭素繊維交差積層3の最上層(すなわち第一炭素繊維積層2に近づく一側)の隣接する一方向炭素繊維シート層は、90°~180°の範囲内で積層して形成され、第一炭素繊維交差積層3の最下層(すなわち第一炭素繊維積層2に近づく一側)の隣接する一方向炭素繊維シート層は、0°~90°の範囲内で積層して形成され、第二炭素繊維積層4は、隣接する一方向炭素繊維シート層を0°~90°の範囲内で交差して積層することによって形成され、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4の一方向炭素繊維シート層はすべて、同じ方向に沿って対応する角度を偏向させて敷設される。
【0028】
第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4は、それぞれ一方向炭素繊維シート層を一層ずつ一定の角度範囲内で偏向させ、交差して敷設され、第一炭素繊維積層2の偏向方向は第二炭素繊維積層4の一方向炭素繊維シート層の偏向方向と逆であり、また、第一炭素繊維積層2と第二炭素繊維積層4との間に位置する第一炭素繊維交差積層3において、第一炭素繊維積層2に近づく一方向炭素繊維シート層の偏向方向は第一炭素繊維積層2の一方向炭素繊維シート層の偏向方向と逆であり、第二炭素繊維積層4に近づく一方向炭素繊維シート層の偏向方向は第二炭素繊維積層4の一方向炭素繊維シート層の偏向方向と逆であり、維構造体の軽量化を実現すると同時に、繊維構造体の構造強度を高めた。また、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4の敷設中に、一方向炭素繊維シート層は、ベース層(すなわち最初に敷設された一方向炭素繊維シート層)をそれぞれの偏向範囲の角度内で、同じ方向に対応する角度を偏向させた後に一層ずつ敷設することができ,敷設プロセスは限定されない。
【0029】
本発明の他の具体的な実施形態において、繊維構造体は、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4のうちの一方であってもよい。
【0030】
本具体的な実施形態は、炭素繊維一方向プリプレグの具体的な形態を開示し、実際には、強度要件に応じて一方向炭素繊維シートの交差角度を設定し、第一炭素繊維積層2、第二炭素繊維積層4及び第一炭素繊維交差積層3の間の配置順序などは、様々な要件に応じて設定することができ、炭素繊維一方向プリプレグを用いて順に積層して取り囲んで硬化する繊維構造体であれば、いずれも保護範囲内にある。
【0031】
さらに、繊維構造体は鋼材補強体層5をさらに含み、鋼材補強体層5は繊維構造体の構造強度をさらに高め、それにより繊維構造体の適応性を向上させることに役立ち、鋼材補強体層5は第一炭素繊維交差積層3と第二炭素繊維積層4との間に硬化することができ、本発明の他の具体的な実施形態において、鋼材補強体層5はさらに、第二炭素繊維積層4の第一炭素繊維交差積層3から離れた一側に硬化することができ、鋼材補強体層5は補強層として選択的に設置することができ、設置位置は柔軟であり、具体的な構造又は強度要件に応じて鋼材補強体層5の設置数及び設置位置を選択する。
【0032】
本具体的な実施形態において、第一炭素繊維積層2と第二炭素繊維積層4の両方はリング構造であり、第一炭素繊維積層2と第二炭素繊維積層4との間に鋼材補強体層5が設置され、鋼材補強体層5は第一炭素繊維交差積層3に接続されてリング構造を形成する。2組の鋼材補強体層5はリング構造の中心線を軸線として対称的に設置され、繊維構造体の構造強度を高めると同時に、繊維構造体にかかる力の均一性を高めることができ、実際の応用において、様々な実際の使用状況の強度要件を満たすために、繊維構造体の具体的な動作状況に応じて鋼材補強体層5の数及び位置を決定することができる。
【0033】
本発明の他の具体的な実施形態において、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4はすべて非閉鎖構造であり、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4はすべて同じ位置に開口部を有し、すなわち繊維構造体の断面に開口部を有し、この時、鋼材補強体層5を第二炭素繊維積層4の第一炭素繊維交差積層3から離れた一側に設置し、繊維構造体の内層補強層として使用する場合、このように設置された繊維構造体は、つり輪フレームの横梁又は跳馬フレームの横梁を製造するために使用でき、さらに鋼材補強体層5と第一炭素繊維積層2又は第二炭素繊維積層4を接続して所望の形状の構造に形成することができる。
【0034】
その他、繊維層の繊維構造体の重心に近づく一側に内側織布層6が硬化され、内側織布層6を設置することで、繊維構造体の内側表面の品質を向上させ、さらに繊維構造体の構造的一体性及び美観性を向上させ、同時に繊維構造体の引裂抵抗能力を高める。なお、織布層1及び内側織布層6はそれぞれ中間織布層、内側織布層及び織布層を含み、すべては3KP織布又は他の種類の織布であってもよい。
【0035】
また、織布層1と内側織布層6の両方は熱可塑性糸の交差織物材料を織ることによって形成されてもよく、交差織物材料は、織物繊維を織り交ぜることによって得られた織物または編み物であり、交差織物材料は、熱可塑性糸を含むことができ、繊維層及び織布層1は、プレス成形、引抜成形、真空成形又は真空樹脂導入成形によって硬化することができ、熱可塑性材料を縦糸と混合して、交差織物材料を引抜成形中に適所に保持することができる。
【0036】
それと同時に、本発明はさらに、上記繊維構造体を含む体操器具の耐荷重フレームを提供し、繊維構造体を利用して体操器具の耐荷重フレームを製造し、体操器具の耐荷重フレームの構造強度を確保すると同時に、体操器具の耐荷重フレームの質量を低下させる。
【0037】
さらに、繊維構造体の断面形状はリング構造又は非閉鎖構造であってもよく、リング構造は正方形リング又は円形リングなどであってもよく、繊維構造体は、支柱、支持脚及び/または横梁に使用することができる。体操器具の一部の構造に他の構造を取り付ける必要があるため、例えばつり輪及び跳馬などのフレーム本体の横梁に他の補助部品を接続する必要があり、横梁は開口部を有するリング構造であり、したがって、繊維構造体の断面を非閉鎖構造にすることができ、具体的には、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4はすべて、同じ位置に開口部を有する。様々なニーズに応じてフレーム本体の断面形状を設置することができ、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3及び第二炭素繊維積層4は所要のフレーム本体の形状に応じて硬化する必要があることは、当業者に理解される。
【0038】
実際には、該体操器具の耐荷重フレームは任意の体操器具の耐荷重フレームであってもよく、つり輪器具を例として、つり輪の耐荷重フレームは、通常、多段の直線接続成形構造であり、
図4に示すように、該つり輪のA部及びB部の材料構造は
図1に示すとおりであってもよく、C部及びD部の材料構造は
図2に示すとおりであってもよく、E部の材料構造は
図3に示すとおりであってもよい。すなわち、該つり輪のA部及びB部の構造は同じであり、外から内への材料は順に、織布層1、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3、第二炭素繊維積層4及び内側織布層6であり、第一炭素繊維交差積層3及び鋼材補強体層5は接続されてリング構造を形成し、鋼材補強体層5の位置は様々なニーズに応じて設置することができ、好ましくは2つ設置され、かつ対向して配置され、該つり輪のC部及びD部の構造は同じであり、外から内への材料は順に、外側の織布層1及び中間に位置する第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3又は第二炭素繊維積層4及び内側に位置する内側織布層6であり、該つり輪のE部の構造材料は外から内へ順に、織布層1、第一炭素繊維積層2、第一炭素繊維交差積層3、第二炭素繊維積層4及び内側織布層6であり、E部の構造は、つり輪紐などの体操器具の他の部品を接続するための開口部を有する。
【0039】
本発明の繊維構造体は、構造強度が高く、かつ質量が低く、繊維構造体で製造された体操器具の耐荷重フレームは、移動、搬送及び着脱しやすい。
【0040】
本発明において具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明したが、以上の実施例の説明は本発明の方法及びその中核思想の理解を助けるためのものに過ぎず、同時に、当業者であれば、本発明の思想に基づき、具体的な実施形態及び応用範囲においていずれも変更することができる。要約すると、本明細書の内容は本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0041】
1:織布層
2:第一炭素繊維積層
3:第一炭素繊維交差積層
4:第二炭素繊維積層
5:鋼材補強体層
6:内側織布層