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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ランナ用ストッパ
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/00 20170101AFI20240214BHJP
【FI】
E05F5/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020076806
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021173037
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】東 陽太
(72)【発明者】
【氏名】星野 敦宣
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160605(JP,A)
【文献】特開2008-63768(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2937502(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00 - 13/04, 17/00
E05D 15/00 - 15/58
E06B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の長手方向に沿って移動自在な戸体に取り付けられるランナを捕捉するランナ用ストッパであって、
前記ランナを捕捉する捕捉部材と、
前記捕捉部材を一定姿勢で固定する本体部材と、を備え、
前記捕捉部材は、前記本体部材に固定される被固定部と、該被固定部から一方向に延在し先端側に前記ランナを係止する係止部とを有し、
前記本体部材は、前記捕捉部材の被固定部を、前記長手方向における複数位置にて収容する収容部を有する
ことを特徴とするランナ用ストッパ。
【請求項2】
前記捕捉部材は、前記係止部の基端側に形成され、前記ランナと当接する当接部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のランナ用ストッパ。
【請求項3】
前記当接部は、前記捕捉部材が前記戸体から最も離れた位置で前記本体部材に固定された状態では前記ランナと当接する当接面が前記本体部材の外面と同一面上にあり、
前記捕捉部材が前記位置よりも前記戸体に近い位置で前記本体部材に固定された状態では前記当接面が前記本体部材の外面から突出する
ことを特徴とする請求項2に記載のランナ用ストッパ。
【請求項4】
前記被固定部は、前記長手方向に対して略垂直の方向に延在するガイド部を有し、
前記本体部材は、前記ガイド部が挿通されるガイド溝が形成された収容部を複数有する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のランナ用ストッパ。
【請求項5】
前記本体部材は、前記被固定部を前記長手方向において移動自在に収納する収納部と、
前記被固定部の収納位置を調整する調整部とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のランナ用ストッパ。
【請求項6】
前記捕捉部材の被固定部は、前記収納部に収納されたときに該収納部の壁面と押圧状態で当接する圧入突起を有することを特徴とする請求項5に記載のランナ用ストッパ。
【請求項7】
前記捕捉部材の被固定部は、前記収納部に収納されたときに該収納部に形成される凹部にはめ込まれる凸部を有することを特徴とする請求項5または6に記載のランナ用ストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸体に取り付けられるランナ用のストッパに関する。
【背景技術】
【0002】
引戸や折戸などの戸体に取り付けられるランナをガイドレールの側端において係脱自在に保持するとともに戸体が枠体に衝突することを防止するストッパが知られている。このようなストッパにおいては、戸体を一定位置に保持することのほか、枠体の伸縮や施工のばらつきに合わせて戸体と枠体との隙間や戸体同士の隙間を調整するための位置調整の役割も求められている。
【0003】
戸体の位置調整が可能なストッパとしては、ランナと枠体との間に介在され、ガイドレールの端部においてねじ締めにより取り付けられるストッパが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-138743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ストッパの構成では、ねじ締めの位置をガイドレールに沿って変更することにより戸体の位置調整ができるが、ランナと枠体との間にストッパをガイドレールに取り付けるためのネジを挿通させるためのスペースが必要となる。このため、ランナと枠体との間に一定の隙間が生じてしまうため、ランナと枠体との隙間を極力小さくする必要がある場合に隙間の調整に制約が生じてしまうという課題があった。また、ガイドレールに取り付けているねじに緩みが生じた場合には、戸体の位置調整が十分にできなくなるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ランナを介して枠体に取り付けられる戸体の取付位置を適宜調整できるとともに、調整された戸体の位置を確実に固定することができるランナ用ストッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、枠体の長手方向に沿って移動自在な戸体に取り付けられるランナを捕捉するランナ用ストッパであって、前記ランナを捕捉する捕捉部材と、前記捕捉部材を一定姿勢で固定する本体部材とを備え、前記捕捉部材は、前記本体部材に固定される被固定部と、該被固定部から一方向に延在し先端側に前記ランナを係止する係止部とを有し、前記本体部材は、前記捕捉部材の被固定部を、前記長手方向における複数位置にて収容する収容部を有する。
【0008】
また前記捕捉部材は、前記係止部の基端側に形成され、前記ランナに当接する当接部を更に有することが好ましい。
【0009】
また前記当接部は、前記捕捉部材が前記戸体から最も離れた位置で前記本体部材に固定された状態では前記ランナと当接する当接面が前記本体部材の外面と同一面上にあり、前記捕捉部材が前記位置よりも前記戸体に近い位置で前記本体部材に固定された状態では前記当接面が前記本体部材の外面から突出することが好ましい。
【0010】
また前記被固定部は、前記長手方向に対して略垂直の方向に延在するガイド部を有し、前記本体部材は、前記ガイド部が挿通されるガイド溝が形成された収容部を複数有することが好ましい。
【0011】
また前記本体部材は、前記被固定部を前記長手方向において移動自在に収納する収納部と、前記被固定部の収納位置を調整する調整部とを有することが好ましい。
【0012】
また前記捕捉部材の被固定部は、前記収納部に収納されたときに該収納部の壁面と押圧状態で当接する圧入突起を有することが好ましい。
【0013】
また前記捕捉部材の被固定部は、前記収納部に収納されたときに該収納部に形成される凹部にはめ込まれる凸部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る態様によれば、ランナを介して枠体に取り付けられる戸板の取付位置を適宜調整できるとともに、調整された位置を確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係るランナ用ストッパが適用される開閉装置の構成を示す図である。
図2】捕捉部材の外観を表す(A)上面斜視図であり、(B)下面斜視図であり、(C)背面斜視図である。
図3】本体部材の外観を表す(A)斜視図であり、(B)上面図である。
図4】捕捉部材を本体部材に取り付ける前の状態を表す(A)上面斜視図であり、(B)下面斜視図である。
図5】捕捉部材を本体部材の戸先側の収容部に固定した状態を表す(A)上面斜視図であり、(B)下面斜視図である。
図6】捕捉部材を本体部材の吊元側の収容部に固定した状態を表す(A)上面斜視図であり、(B)下面斜視図である。
図7】(A)ランナ用ストッパを縦枠と横枠との間に配置されたスペーサに取り付ける前の状態を表す図であり、(B)ランナ用ストッパを縦枠と横枠との間に配置されたスペーサに取り付けた後の状態を表す図である。
図8】(A)ランナ用ストッパを縦枠と透視状に表した横枠との間に配置されたスペーサに取り付ける前の状態を表す図であり、(B)ランナ用ストッパを縦枠と透視状に表した横枠との間に配置されたスペーサに取り付けた後の状態を表す図である。
図9】(A)捕捉部材と本体部材を組み付けたランナ用ストッパをスペーサ部材に取り付ける前の状態を表す斜視図であり、(B)捕捉部材と本体部材を組み付けたランナ用ストッパをスペーサ部材に取り付けた後の状態を表す斜視図である。
図10】スペーサ部材に取り付けられたランナ用ストッパにランナが捕捉された状態を表す斜視図である。
図11図10において、ランナがガイドレールで覆われた状態を表す斜視図である。
図12】スペーサ部材に取り付けられたランナ用ストッパ(捕捉部材が本体部材の戸先側の収容部に固定された状態)にランナが捕捉された状態を表す(A)側面図であり、(B)上面図である。
図13図12の構成における(A)A-A断面図であり、(B)B-B断面図である。
図14】スペーサ部材に取り付けられたランナ用ストッパ(捕捉部材が本体部材の吊元側の収容部に固定された状態)にランナが捕捉された状態を表す(A)側面図であり、(B)上面図である。
図15図14の構成における(A)A-A断面図であり、(B)B-B断面図である。
図16】他の実施の形態に係るランナ用ストッパを構成する捕捉部材と本体部材とを組み付ける前の状態を表す(A)背面斜視図であり、(B)下面斜視図ある。
図17図16に示すランナ用ストッパにおいて、(A)捕捉部材を本体部材の吊元側の収容部に固定した状態を表す斜視図であり、(B)捕捉部材を本体部材の中間位置の収容部に固定した状態を表す斜視図であり、(C)捕捉部材を本体部材の戸先側の収容部に固定した状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
【0017】
図1を用いて、本実施の形態に係るランナ用ストッパが適用される開閉装置の構成について説明する。なお以下では、説明の便宜上、折戸2の縦枠1B側を「吊元側」、一対の折戸2同士が突き合わせる側を「戸先側」と定義する。また、枠体1を構成する横枠1Aの長手方向に沿った方向を「左右方向」と定義する。
【0018】
開閉装置10は、枠体1と、一対の折戸2と、ガイドレール3と、上側のランナ4と、下側のランナ5と、スペーサ6と、ランナ用ストッパ7とを有する構造物である。
【0019】
枠体1は、開閉装置10の左右方向に対して延設される上下一対の横枠1Aと、横枠1Aの両端に接続される左右一対の縦枠1Bとから構成されている。
一対の折戸2は、吊元側の戸体2Aが固定され、戸先側の戸体2Bが左右方向に対して移動自在となるように枠体1に取り付けられている。
ガイドレール3は、上下の横枠1Aの長手方向に沿ってそれぞれ取り付けられている。
【0020】
上側のランナ4及び下側のランナ5は、一対の折戸2の戸先側及び吊元側の上下端部にそれぞれ取り付けられるともに、上側及び下側のガイドレール3に対して走行自在に取り付けられている。このうち上側のランナ4は、本体部41と、本体に取り付けられるローラ42と、折戸2に取り付けられる取付部材43と、本体41と取付部材43とを連結するシャフト44とを有している。本体部41は、吊元側の端部の上面において凹状の被捕捉部41aを有している。ローラ42は、外輪42aと外輪42aの内側に形成され外輪42aよりも小径の内輪42bを有している。
【0021】
スペーサ6は、上側の横枠1Aと縦枠1Bとの間に配置されており、ランナ用ストッパ7を固定する。スペーサ6は、略矩形状の凹状に形成された収容部61と、収容部61の下方の側壁に形成される被係合部62と、収容部61の上方から膨出する膨出部63と、収容部61の背面側に形成される突起部64とを有している(図9及び図12参照)。図9(A)に示すように、被係合部62は、収容部61の上方から下方にいくにしたがって左右方向(スペーサ6の長手方向)において幅広となるテーパ面62aとテーパ面62aの下方に形成される突起62bとを有している。図9(A)に示すように、膨出部63は略円弧状の外径を有し、ランナ用ストッパ7がスペーサ5に固定されたときに本体部材200のへこみ部215と捕捉部材100のへこみ部116と嵌め合わされる。図12(A)に示すように、突起部64はスペーサ6の延設方向に対して略垂直な方向に向けて延設されており、縦枠1Bに取り付けられる。
【0022】
<ランナ用ストッパの構成>
図2図6を用いて、本実施の形態に係るランナ用ストッパ7の構成について説明する。ランナ用ストッパ7は、例えば樹脂材料からなり、スペーサ6に取り付けられた状態においてランナ4が左右方向に移動しないようにランナ4を捕捉するとともに、ランナ4が取り付けられる折戸2の左右方向における位置調整を行う。ランナ用ストッパ7は、捕捉部材100と、本体部材200とを有している。
【0023】
(捕捉部材)
図2に示すように、捕捉部材100は、ランナ4を捕捉するための部材であり、矩形状の板部材からなる被固定部110と、被固定部110から一方向に延在し先端側にランナ4を係止する係止部120と、係止部120の基端側に形成される当接部130とを有している。
【0024】
図2に示すように、被固定部110は、両側部において板部材の延在方向に沿って形成される一対のガイド部111と、板部材の前面の両側端部において板部材の延在方向に沿って形成される一対の前方側の圧入突起112と、板部材の後面の両側端部において板部材の延在方向に沿って形成される一対の後方側の圧入突起113と、板部材の前面の下端部において略円形状に形成される前方側の凸部114と、板部材の後面の下端部において略円形状に形成される後方側の凸部115とを有している。
【0025】
一対のガイド部111は、後述する本体部材200の収容部211に形成されるガイド溝212に沿って被固定部110を収容部211内に収容するために形成されている。一対のガイド部111は、断面が略矩形状であり、板部材の後方側において板部材の側面から突出するように形成されている。また一対のガイド部111の後方側の面は板部材と同一面上に配置されている(図2(B)(C)参照)。
【0026】
前方側の圧入突起112は、板部材において係止部120の基端部から板部材の延在方向(上下方向)に沿って形成されている(図2(A)(B)参照)。前方側の圧入突起112は、被固定部110が本体部材200の戸先側の収容部211aに収容されたときに収容部211aの内壁(膨出部220の内壁)と押圧状態で当接する。前方側の圧入突起112は、捕捉部材100と本体部材200との連結状態を強化するために形成されている。
【0027】
後方側の圧入突起113は、板部材の上端側から下端側にわたって板部材の延在方向(上下方向)に沿って形成されており、その全長が前方側の圧入突起112よりも長くなるように形成されている(図2(C)参照)。後方側の圧入突起113は、被固定部110が本体部材200の吊元側の収容部211bに収容されたときに収容部211bの内壁と押圧状態で当接するものであり、捕捉部材100と本体部材200との連結状態を強化するために形成されている。
【0028】
前方側の圧入突起112及び後方側の圧入突起113の高さ(板部材の厚み方向の大きさ)は、被固定部110が収容部211に収容されたときに形成される被固定部110と収容部211の内壁との間隔の大きさと必要とする押圧力に応じて適宜設定される。
【0029】
前方側の凸部114は、被固定部110が本体部材200の戸先側の収容部211aに収容されたときに収納部211aの内壁(膨出部220の内面)に形成される凹部224にはめ込まれる。前方側の凸部114は、捕捉部材100と本体部材200との連結状態を強化するために形成されている(図2(A)(B)参照)。
【0030】
また後方側の凸部115は、被固定部110が本体部材200の吊元側の収容部211bに収容されたときに収納部211bの内壁に形成される凹部(図示せず)にはめ込まれるものであり、同じく捕捉部材100と本体部材200との連結状態を強化するために形成されている(図2(C)参照)。
【0031】
また被固定部110の上端側には円弧状のへこみ部116が形成されている。へこみ部116は、後述するようにランナ用ストッパ7がスペーサ6に取り付けられるときにスペーサ6に形成される取付部63との干渉を回避するために形成されている(図2(A)(C)参照)。なお、へこみ部116は、係止部120の基端側まで連続して形成されている。
【0032】
図2に示すように、係止部120は、被固定部110の上端側において被固定部110の延在方向と略垂直の方向に延在するように形成されている。係止部120は、本体部121と、本体部121の先端側の下面に形成される突起部122と、本体部121の基端側の上面に形成される張出部123とを有している。
【0033】
本体部121は、被固定部110の上端側から被固定部110の延在方向と略垂直の方向に延在している。本体部121は、捕捉部材100が本体部材200に取り付けられた状態において、基端側を除き本体部材200から外側へ突出する。本体部121の先端側の上面は、後述する突起部121のテーパ部121bの傾斜面と略平行に上側へ傾斜している。また本体部121の基端側の下面121aは、捕捉部材100が本体部材200に取り付けられた状態において、本体部材200を構成する膨出部220の上側底面221aと当接する。
【0034】
突起部122は、本体部121の基端側の下面121aよりも下方に突出するように形成されており、最下端に位置する平面上の山部122aと、山部122aを挟んで延在方向における両側がテーパ部122b、122cとを有している。突起部122は、ランナ4の本体部41に形成される被捕捉部41aを係止することによりランナ4を捕捉する(図13(b)、図15(b)参照)。突起部122がランナ4の被捕捉部41aを係止するためには被捕捉部41aの端部側の山部41bを乗り越える必要があるが、突起部122の先端側にテーパ部122bが形成されていることにより、被捕捉部41aの端部側の山部を乗り越えることができる。
【0035】
張出部123は、本体部121の上面において本体部121の幅方向の両側に張り出した状態、すなわち本体部121の側面よりも外側に突出した状態で形成されている。張出部123の下面123aは、係止部120の延在方向に沿って直線状に形成されている。また張出部123の基端側の下面123aは、捕捉部材100が本体部材200の吊元側の収容部211bに収容された状態において、本体部材200を構成する膨出部220の壁面凹部221cと当接する。
【0036】
図2(B)に示すように、当接部130は、略矩形の板部材からなり、被固定部110と係止部120の基端部とから延材するように形成されている。当接部130は、先端側に位置する当接面131と下端側に位置する底面132と当接面131と本体部121の下面との間に形成されるテーパ面133とを有している。当接面131、底面132およびテーパ面133のそれぞれの端縁はテーパ状に面取りがなされている。
【0037】
当接部130の当接面131は、ランナ4が捕捉部材100に捕捉された状態において、ランナ4の端面と当接する。当接面131は、捕捉部材100が折戸2から最も離れた位置(吊元側の位置)で本体部材200に固定された状態では本体部材200の外面(本体部材200を構成する膨出部220の外面220a)と同一面を構成する。一方、当接面131は、捕捉部材100が上記位置よりも折戸2に近い位置(戸先側の位置)で本体部材200に固定された状態では本体部材200の外面(本体部材200を構成する膨出部220の外面220a)から突出する。
【0038】
当接部130がこのような構成を有していることにより、当接面131とランナ4とが当接する位置(当接位置)と、係止部120の突起部121の位置すなわちランナ4が係止部120によって係止される位置(係止位置)との位置関係が常に一定となる。これにより、当接部130とランナ4との当接位置が変更されたとしてもランナ4が当接部130の当接面131に常に当接した状態で係止(捕捉)されるので、ランナ4が左右方向に対して移動不能となり確実に固定される。
【0039】
底面132は、係止部120の延在方向に沿った平面上に形成されており、捕捉部材100が本体部材200に取り付けられた状態において、本体部材200の膨出部220を構成する支持部221の下側底面221bと当接する。
テーパ面133は、その厚みが当接面131から遠ざかるにつれて小さくなるように形成されており、ランナ4の端部と当接する。
【0040】
(本体部材)
図3に示すように、本体部材200は、捕捉部材100を一定姿勢で固定するための部材であり、本体部210と、本体部210の前面側に形成される膨出部220と、本体部210の両側部に形成される一対の係合部230とを有している。
【0041】
本体部210は略矩形状であり、中央部に凹状の収容部211が形成されている。収容部211には、捕捉部材100の被固定部110が収容される。収容部211には、本体部210の延在方向(上下方向)に沿って一対のガイド溝212a、212bが2組形成されている。これら2組のガイド溝212a、212bによって2つの収容部すなわち戸先側の収容部211aと吊元側の収容部211bが形成されている。また2組のガイド溝212a、212b間には収容部211の内壁から突出する一対の隔壁213が設けられている。戸先側の収容部211aは隔壁213と膨出部220の内壁とによって区画されている。一方、吊元側の収容部211bは隔壁213と収容部211の吊元側の内壁によって区画されている。
【0042】
本体部210は、前面側の両側部には上下方向にわたって突起214が形成されている。また、本体部210は、吊元側の収容部211bの上端側には、円弧状のへこみ部215が形成されている。へこみ部215は、後述するようにランナ用ストッパ7がスペーサ6に取り付けられるときにスペーサ6に形成される取付部63との干渉を回避するために形成されている。
【0043】
膨出部220は、本体部210の前面側に形成されており、戸先側の収容部211aの一方側の壁面を構成している。膨出部220は、上端側に形成される略T字状に形成された支持部221と、支持部221の上端側の内壁に形成される壁面凹部222と、膨出部220の外面220aの両側縁に形成されるローラ受け部223と、膨出部220の外面220aの中央部に形成される凹部224とを有している。
【0044】
支持部221は、本体部材200に捕捉部材100が取り付けられた状態において、係止部120の基端側を支持する。支持部221は、上側底面221aと下側底面221bと上側壁面221cとを有している。捕捉部材100が本体部材200に取り付けられた状態において、上側底面221aに係止部120の基端側の底面が当接し、下側底面221bに当接部130の底面132が当接する。
【0045】
壁面凹部222は、支持部221の上側壁面221cの上端側に略矩形状に一対形成されている。壁面凹部222は、捕捉部材100が本体部材200の吊元側の収容部211bに収容された状態において、係止部120の張出部123の基端側との干渉を避けるために形成されており、当該張出部123の基端側と当接する。
【0046】
ローラ受け部223は、膨出部220の両側端縁において円弧状のへこみとして形成されている。ローラ受け部223は、ランナ4を構成するローラ42の内輪42bの曲面形状と略同一の形状を有しており、ランナ4が捕捉部材100(被固定部110が吊元側の収容部211bに収容された状態における捕捉部材100)に捕捉された状態においてローラ42の内輪42bと当接する。
【0047】
凹部224は、膨出部220の外面220aから内面にわたって貫通孔として形成されている。凹部224には、被固定部110が本体部材200の戸先側の収容部211aに収容されたときに捕捉部材100の凸部114がはめ込まれる。
【0048】
一対の係合部230は、本体部210の下方側の両側部に形成されている。一対の係合部230は、ランナ用ストッパ7をスペーサ6に取り付ける際に、スペーサ6の被係合部62と係合することにより、ランナ用ストッパ7をスペーサ6に固定する。係合部230は、本体部210と繋ぐ接続部231と、接続部231に下方に形成され両側面から外側に突出する突起部232とを有している。接続部231は、本体部材210に対して弾性変形するように形成されている。突起部232は、本体部210の上方から下方にいくにしたがって左右方向(突起部232が突出する方向)において幅広となるテーパ面232aを有している。
【0049】
(ランナ用ストッパの構成)
図4図6を用いて、ランナ用ストッパ7の構成について説明する。図4(A)及び図4(B)に示すように、ランナ用ストッパ7は、捕捉部材100が本体部材200に取り付けられることによって構成される。捕捉部材100の本体部材200への取り付けに際しては、本体部材200の収容部211の上方に捕捉部材100の被固定部110が配置された状態で、被固定部110の一対のガイド部111を収容部211のガイド溝212に沿って収容部211内に挿入する。
【0050】
被固定部110を戸先側の収容部211aに収容する場合には、被固定部110の一対のガイド部111を戸先側のガイド溝212aに沿って挿入する。このとき、係止部120を構成する本体部121の基端側の底面121aが膨出部220の上側底面221aと当接するとともに、当接部130の底面132が膨出部220の下側底面221bと当接する(図5(B)参照)。
【0051】
またこのとき、被固定部110の前方側の圧入突起112が膨出部220の内側壁面と押圧状態で当接するとともに、被固定部110の前方側の凸部114が膨出部220の内面に形成される凹部224にはめ込まれる。これにより、被固定部110が一定姿勢で固定された状態で戸先側の収容部211aに収容される。
【0052】
図5に示すように、上記のように被固定部110が戸先側の収容部211aに収容された状態で捕捉部材100と本体部材200とが組み付けられた場合には、捕捉部材100の当接部130の当接面131が本体部材200の膨出部220の外面220aよりも外側に突出する。
【0053】
一方、被固定部110を吊元側の収容部211bに収容する場合には、被固定部110の一対のガイド部111を戸先側のガイド溝212bに沿って挿入する。このとき、係止部120を構成する本体部121の基端側の底面が膨出部220の上側底面221aと当接するとともに、当接部130の底面132が膨出部220の下側底面221bと当接する(図6(B)参照)。
【0054】
またこのとき、被固定部110の後方側の圧入突起113が吊元側の収容部211bの内側壁面と押圧状態で当接するとともに、被固定部110の後方側の凸部115が収容部211bの内側壁面に形成される凹部(図示しない)にはめ込まれる。これにより、被固定部110が一定姿勢で固定された状態で吊元側の収容部211bに収容される。
【0055】
図6に示すように、上記のように被固定部110が吊元側の収容部211bに収容された状態で捕捉部材100と本体部材200とが組み付けられた場合には、捕捉部材100の当接面131が本体部材200の膨出部220の外面220aと同一面上に配置される。
【0056】
図7図9を用いて、ランナ用ストッパ7をスペーサ6に取り付ける方法について説明する。図7に示すように、ランナ用ストッパ7は、横枠1Aと縦枠1Bとの間に配置されたスペーサ6に対して、下方から装着することにより取り付けられる。横枠1Aを透視状に表した図8に示すように、スペーサ6は収容部61が縦枠1Bとは反対側に向けて開口するように配置されており、ランナ用ストッパ7は収容部61の開口部分にはめ込まれることによりスペーサ6に取り付けられる。
【0057】
具体的には、図9(A)に示すように、本体部材200がスペーサ6の収容部61の開口部分に対して下方から挿入され、係合部230を構成する突起部232のテーパ面232aが被係合部62の突起62bに当接する。さらに本体部材200を上方に向けて挿入すると、係合部230の接続部231が弾性変形して、突起部232が被係合部62の突起62bを乗り越える。図9(B)に示すように、これにより突起部232のテーパ面232aと被係合部62のテーパ面62aとが当接するとともに、突起部232が被係合部62の突起62bによって係止されることにより、ランナ用ストッパ7がスペーサ6に対して固定された状態で取り付けられる。
【0058】
図10図15を用いて、ランナ用ストッパ7がランナ4を捕捉する構成について説明する。図10に示すように、ランナ4の本体部41の端部側において、一対のローラ42間に形成される本体部41の被捕捉部41aが、ランナ用ストッパ7の捕捉部材100(係止部120の突起)によって係止されることにより、ランナ4がランナ用ストッパ7に移動不能に捕捉される。
なお、図11に示すように、ランナ用ストッパ7が開閉装置10に取り付けられた状態では、ランナ4は、ランナ4がガイドレール3内に収容された状態でランナ用ストッパ7に捕捉される。
【0059】
次にランナ4がランナ用ストッパ7によって捕捉される態様について、捕捉部材100の被固定部110が本体部材200の戸先側の収容部211aに収容された状態における捕捉態様と吊元側の収容部211bに収容された状態における捕捉態様とに分けて説明する。
【0060】
まず被固定部110が戸先側の収容部211aに収容された状態における捕捉態様について説明する。図12及び図13に示すように、この状態では、捕捉部材100を構成する当接部130の当接面131が本体部材200を構成する膨出部220の外面220aよりも外側に突出している。ランナ4を構成する本体部41の被捕捉部41aは、当接部130の当接面131がランナ4の本体部41の端面と当接した状態において係止部120の突起部122に係止される。これによりランナ4は捕捉部材100によって捕捉される。
【0061】
図13(B)に示すように、上記状態により捕捉されたランナ4の本体部41の端面と本体部材200の膨出部220の外面220aとの間には一定の隙間Xが形成されている。この隙間は、ランナ4が取り付けられる折戸2と縦枠1Bとの間隔の一部を形成するものである。
【0062】
次に被固定部110が吊元側の収容部211bに収容された状態における捕捉態様について説明する。図14及び図15に示すように、この状態では、捕捉部材100の当接部130の当接面131と本体部材200の膨出部220の外面220aとが同一面上に配置されている。ランナ4を構成する本体部41の被捕捉部41aは、当接部130の当接面131及び膨出部220の外面220aがランナ4の本体部41の端面と当接した状態において係止部120の突起部122に係止される。これによりランナ4は捕捉部材100によって捕捉される。また図15(A)に示すように、ローラ42の内輪42bが膨出部220のローラ受け部223と当接している。
【0063】
図15(B)に示すように、上記状態により捕捉されたランナ4の本体部41の端面と本体部材200の膨出部220の外面220aとが当接し、本体部41の端面と膨出部220の外面220aとの間には隙間が形成されない。すなわち、捕捉部材100が本体部材200に対して吊元側で取り付けられた状態では、折戸2と縦枠1Bとの間隔が、捕捉部材100が本体部材に対して戸先側で取り付けられた状態と比較して上記隙間Xの分だけ狭くなる。
【0064】
このようにして、捕捉部材100の被固定部110が収容される収容先を戸先側の収容部211aと吊元側の収容部211bとの間で変更することで、折戸2と縦枠1Bとの間隔、すなわち折戸2の取付位置を調整することができる。
【0065】
(他の実施の形態)
図16及び図17を用いて他の実施の形態に係るランナ用ストッパの構成について説明する。なお以下では、上記実施の形態に係るランナ用ストッパ7と同じ構成については説明を省略し、ランナ用ストッパ7と異なる構成について説明する。他の実施の形態に係るランナ用ストッパ8は、捕捉部材300と本体部材400とを有している。
【0066】
図16(A)及び図16(B)に示すように、捕捉部材300は、被固定部310と、係止部320と、当接部330とを有している。被固定部310は、略矩形状の板部材から構成されており、一対のガイド部や圧入突起、凸部を有していない点で上記実施の形態に係るランナ用ストッパ7の捕捉部材100と異なる。
【0067】
また、図16(B)に示すように、被固定部310は、前面の両端縁が曲面状に形成されている。また被固定部310は、他方側の面にはねじ溝が形成された取付孔311を有している。取付孔311には、後述する調整ネジ440が取り付けられる。係止部320及び当接部330については、上記実施の形態に係るランナ用ストッパ7の係止部120及び当接部130と略同一の構成のため説明を省略する。
【0068】
本体部材400は、本体部410と膨出部420と係合部430と調整部440(調整ネジ)を有している。本体部410は、中央部に凹状の収容部411が形成されている。収容部411には、捕捉部材300の被固定部310が戸先側と吊元側との間で移動自在に収容される。収容部411の後面には挿通孔411aが形成されている。膨出部420及び係合部430については、上記実施の形態に係るランナ用ストッパ7の膨出部220及び係合部230と略同一の構成のため説明を省略する。
【0069】
図16(A)及び図16(B)に示すように、捕捉部材300の本体部材400への取り付けに際しては、本体部材400の収容部411の上方に捕捉部材300の被固定部310を配置した状態で、被固定部310を収容部411内に挿入する。
【0070】
被固定部310が収容部411に収容された状態において、調整部である調整ネジ440を収容部411に形成された挿通孔411aに挿通させ、被固定部310の取付孔311に取り付ける。この状態において、調整ネジ440は、頭部が挿通孔411aに入り込み本体部材400の背面側からは突出しないように取り付けられる。調整ネジ440を時計回り若しくは反時計回りに回すことにより調整ネジ440が取り付けられた捕捉部材300が戸先側若しくは吊元側へ移動する。
【0071】
図17(A)に示すように、具体的には、調整ネジ440を回して被固定部310が収容部411の背面側の内壁に当接した状態では、捕捉部材300を構成する当接部330の当接面331が膨出部420の外面420aと同一面上に配置される。この状態において、ランナ4が捕捉部材300によって捕捉されるとランナ4の本体部41の端面が当接部330の当接面331及び膨出部420の外面420aと当接し、ランナ4が取り付けられる折戸2と縦枠1Bとの間隔が最も小さくなる。
【0072】
一方、図17(C)に示すように、調整ネジ440を回して被固定部310が収容部411の膨出部420の内壁に当接した状態では、当接部330の当接面331が膨出部420の外面420aから最も突出する。この状態において、ランナ4が捕捉部材300によって捕捉されるとランナ4の本体部41の端面が当接部330の当接面331と当接し、ランナ4が取り付けられる折戸2と縦枠1Bとの間隔が最も大きくなる。
【0073】
また、図17(B)に示すように、他の実施の形態に係るランナ用ストッパ8においては、調整ネジ440を適宜回すことにより被固定部310が収容部411の任意の位置において一定姿勢で固定される。被固定部310が任意の位置で固定された場合には、図17(A)に示した吊元側で被固定部310が固定される場合を除き、当接部330の当接面331が膨出部420の外面420aよりも突出するが、調整ネジ440による調整により膨出部420の外面420aから突出する当接部330の長さを適宜変更することができる。すなわち、このような調整ネジ440による調整により、ランナ4が取り付けられる折戸2と縦枠1Bとの間隔、すなわち折戸の取付位置を任意に変更することができる。
【0074】
本実施の形態に係るランナ用ストッパ7によれば、ランナ4を捕捉する捕捉部材100と、捕捉部材100を一定姿勢で固定する本体部材200とを備え、捕捉部材100は、本体部材200に固定される被固定部110と被固定部110から一方向に延在し先端側にランナ4を係止する係止部120とを有し、本体部材200は、捕捉部材100の被固定部110を長手方向における複数位置にて固定する収容部211を有しているので、ランナ4を介して枠体に取り付けられる戸板(折戸2)の位置、すなわち折戸2と縦枠1Bとの間隔を適宜調整できるとともに、調整された位置を確実に固定することができる。
【0075】
本発明に係るランナ用ストッパは、上記実施の形態に限定されるものではない。ランナ用ストッパ7を構成する本体部材200に形成される収容部211が戸先側の収容部211aと吊元側の収容部211bの2つの収容部からなる構成を例示したがこれに限られず、3つ以上の収容部からなる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 枠体、2 戸体(折戸)、3 ガイドレール、4 ランナ、7 ランナ用ストッパ、100 捕捉部材、110 被固定部、120 係止部、130 当接部、131 当接面、200 本体部材、210 本体部、211 収容部、211a 戸先側収容部、211b 吊元側収容部、220 膨出部、230 係合部、300 捕捉部材、310 被固定部、320 係止部、330 当接部、400 本体部材、410 本体部、411 収容部、420 膨出部、430 係合部、440 調整部(調整ネジ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17