(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】二次電池正極安定化剤、その生産方法、その化合物を用いる正極材安定化方法、及びその化合物を含む電解液
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20240214BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240214BHJP
H01M 10/08 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/26 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/30 20060101ALI20240214BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240214BHJP
C12P 17/12 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M10/08
H01M10/26
H01M10/30 A
H01M10/0569
C12P17/12
(21)【出願番号】P 2020086335
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2020083526
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「戦略的イノベーション創造プログラム(スマートバイオ産業・農業基盤技術)」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許
(73)【特許権者】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】弁理士法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松見 紀佳
(72)【発明者】
【氏名】バダム ラージャシェーカル
(72)【発明者】
【氏名】グプタ アグマン
(72)【発明者】
【氏名】高谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】桝尾 俊介
(72)【発明者】
【氏名】皆川 一
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-117720(JP,A)
【文献】Shunsuke Masuo et al.,Enzymatic Cascade in Pseudomonas that Produces Pyrazine from α-Amino Acids,ChemBioChem,2019年07月19日,21,PP.353-359
【文献】Shunsuke Masuo et al.,Bacterial fermentation platform for producing artificial aromatic amines,Scientific Reports,2016年05月11日,6,Article number 25764
【文献】Shunsuke Masuo et al.,Enzymatic Cascade in Pseudomonas that Produces Pyrazine from α-Amino Acids,ChemBioChem,2019年07月19日,21,PP.353-359
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M、C12P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(II)で表される化合物を有効成分とするリチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化剤。
【化1】
(式中、R
1,及びR
2は、それぞれ独立してアミノ基又は炭素数1~3のアルキル基を有するアミノアルキル基であり;R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。)
【請求項2】
上記式(II)で表される化合物は、下記式(VI)で表されるものであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化剤。
【化2】
(式中、R
1,及びR
2は、それぞれ独立してアミノ基、又は炭素数1~3のアルキル基を有するアミノアルキル基を表す。)
【請求項3】
上記式(VI)で表される化合物は、下記式(III)~(V)で表されるいずれかであることを特徴とする、請求項2に記載のリチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化剤。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項4】
下記式(II)で表される化合物をエチレンカーボネート系電解液に添加することを特徴とする、リチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化方法。
【化6】
(式中、R
1,及びR
2は、それぞれ独立してアミノ基又は炭素数1~3のアルキル基を有するアミノアルキル基であり;R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。)
【請求項5】
前記式(II)で表される化合物は、下記式(III)~(V)で表される
いずれかの化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の
リチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化方法。
【化7】
【化8】
【化9】
【請求項6】
請求項1に記載の
リチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化剤を含む
リチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液。
【請求項7】
前記式(II)で表される化合物は、下記式(III)~(V)で表される
いずれかの化合物であることを特徴とする請求項6に記載の
リチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化剤を含むリチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液。
【化10】
【化11】
【化12】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物由来の化合物を含む二次電池正極安定化剤、その生産方法、その化合物を用いる正極材安定化方法、及びその化合物を含む電解液に関する。より詳細には、生物によって形成されるピラジン環を含む化合物を含む二次電池正極安定化剤、その生産方法、その化合物を用いる正極材安定化方法、及びその化合物を含む電解液に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、種々の金属酸化物材料が2次電池用正極材料として研究されている。これらの中でも、とりわけ、ニッケル・マンガン・コバルト三成分混合系金属酸化物材料(以下、「LiMNC」と略すことがある。)が、高電圧及び高エネルギー密度を与えるリチウムイオン2次電池用正極材料として盛んに研究されている(以下、「従来技術1」という。)。
【0003】
現状の商用のリチウムイオン2次電池には、正極材料としてLiCo02系金属酸化物材料が用いられており、この金属酸化物材料は、3.7V程度の電圧が出力できることが知られている。この電圧は、汎用電解液のエチレンカーボネートの分解開始電圧以下であるため、これまでのところは大きな問題を生じてはいなかった。
【0004】
一方で、次世代電池には、正極材料として、より高い電圧を出力できる酸化物材料が必要とされている。本発明の発明者らが、近年開発したLiMNCを安定化させる添加剤が知られている(以下、「従来技術2」という。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Lamp et. al., ACS Enugy Lett. 2017. 2. 196-223. (総説)
【文献】Patnaik, S. G.; Vedarajan, R; Matsumi, N. Mol. Syst. Des. Eng. 2019,4, 939-950.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術1は、3.7V程度の電圧を出力できる三成分混合系の酸化物材料を開発したという点では優れた技術である。しかし、次世代電池では、三成分混合系を活用しつつ、さらに高電圧(4.5~5.OV)を出力できることが求められている。このため、出力を求められる電圧が、汎用電解液のエチレンカーボネートの分解開始電圧を超えるため、上記エチレンカーボネート系電解液の酸化分解が生じるという問題があった。また、こうした三成分混合系金属酸化物材料の構造的安定性を保つことが難しいという問題もあった。
【0007】
また、上述したエチレンカーボネート系電解液自身の電気化学的安定性の問題にとどまらず、正極材料の分解が促進されるという問題もあった。
【0008】
具体的には、三成分系電極に含まれる種々の遷移金属が触媒的に作用し、エチレンカーボネート溶液に含まれるリチウム塩(LiPF6)が分解されて、電極を腐食させるという問題があった。これは、上記リチウム塩が以下のように分解され、この系に存在する微量の水分と反応するとフッ酸を発生させ、このフッ酸が電極上の被膜を破壊するとともに電極を腐食させるという問題があった。
【0009】
LiPF6 → LiF + PF5
PF5 + H2O → PF30 + 2HF
【0010】
この問題点を解決すべく、本発明の発明者は上記添加剤を開発した(従来技術2)。従来技術2は、LiMNCを安定化させるという点では優れた技術である。しかし、この添加剤は、その合成法が煩雑であり、また、精製法も煩雑であるという問題点があった。
したがって、合成及び精製が簡便で、従来の正極に適用することにより従来よりも長期間にわたって正極の安定的な使用を実現できる添加剤を開発することに対する強い社会的要請があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者等は、以上のような状況の下で鋭意研究を進めた結果、正極材の安定化作用を有する化合物(以下、「添加剤」ということがある。)を発見し、本願発明を完成するに至った。
本発明の一の態様は、下記式(II)で表される化合物を有効成分とするリチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化剤である。
【0012】
【0013】
上記式(II)中、(式中、R
1
,及びR
2
は、それぞれ独立してアミノ基又は炭素数1~3のアルキル基を有するアミノアルキル基であり;R
3
及びR
4
は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。)
【0014】
そして、上記式(II)で表される化合物は、下記式(VI)で表されるものであることが好ましい。
【0015】
【0016】
式中、R1,及びR2は、それぞれ独立に、アミノ基又は炭素数1~3のアルキル基を有するアミノアルキル基を表す。
【0017】
また、上記式(VI)で表される化合物は、下記式(III)~(V)のいずれかで表されるものであることが好ましい。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
前記式(III)~(V)に記載の化合物の合成方法は特に限定されず、公知の方法を組み合わせた化学合成にとるものであってもよく、微生物を用いて合成したものであってもよい。ここで、前記式(III)~(V)に記載の化合物を生物由来のものであることが好ましく、前記生物は所定の遺伝子を組み込んだ大腸菌であることが好ましい。
【0022】
前記正極材安定化剤は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、アルカリ蓄電池、及び鉛蓄電池からなる群から選ばれるいずれかに使用される正極材を安定化させるものである正極材安定化剤である。
【0023】
本発明の別の態様は、(1)配列表の配列番号1に示す遺伝子を組み込んだ大腸菌を用いて炭素源をDAHPに変換する第1工程と;(2)DHAP(3-deoxy-D-arabino-heptulosonate-7-phosphate)をコリスメートに変換する第2工程と;(3)配列表の配列番号2~4に示す遺伝子を個別に組み込んだ大腸菌E1を用いて、DAHPを4-アミノフェニルピルベートに変換する第3工程と;(4)4-アミノフェニルピルベートを4-アミノフェニルアラニンに変換する第4工程と;
【0024】
(5)配列表の配列番号5~7に示す遺伝子を個別に組み込んだ大腸菌を用いて、4-アミノフェニルアラニンをDMBAPに変換する第5工程と;を備える、複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物を製造する方法である。ここで、本発明の方法を用いると、ポリマーの副生なしに複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物を製造することができることから好ましい。
そして、前記複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物は、下記式(III)~(V)のいずれかで表されるものであることが好ましい。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
本発明のさらに別の態様は、(1)上記配列番号2~7の配列で表される遺伝子を発現している大腸菌株を培養して得られた培養上清のpHを2~4に調製するpH調製工程1と、(2)その後、5~15重量%の強酸性イオン交換樹脂と攪拌し、前記樹脂に目的化合物である前記DMBAP類縁体を吸着させる吸着工程と、(3)前記樹脂を所望の溶媒で洗浄後、溶出液を用いて前記目的化合物を溶出させる溶出工程と、(4)前記溶出液を濃縮し、そのpHをアルカリ性にするpH調製工程2と、(5)前記アルカリ性の濃縮液から前記目的化合物を抽出する抽出工程と、を備える、前記複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物の精製方法である。
【0029】
ここで、前記溶出液は、5% NH3 を含むエタノールであることが好ましい。また、前記調製工程2の前記アルカリ性は、pH8~10であることが好ましい。前記抽出液は、ジエチルエーテルであることが好ましく、前記複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物は、前記式(III)~(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0030】
本発明のさらに別の態様は、前記式(II)で表される化合物を用いるリチウムイオン電池のエチレンカーボネート系電解液用正極材安定化方法である。ここで、前記式(II)で表される化合物をエチレンカーボネート系電解液に添加することが好ましい。また、前記式(II)で表される化合物は、前記式(III)~(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0031】
本発明のさらにまた別の態様は、前記式(II)で表される化合物を含む正極材安定化剤を含む電解液である。ここで、前記式(II)で表される化合物は、前記式(III)~(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0032】
上記電解液中における前記式(III)~(V)で表される化合物の含有量は特に制限されないが、本発明がよりた高い効果を奏することができることから、電解液全質量に対して、約0.01~約10質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることがさらに好ましく、約0.10~1質量%であることかさらに好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、エチレンカーボネートよりも先に酸化され、正極表面でのエチレンカーボネートの分解と厚い被膜形成を抑制することができる化合物を含む、正極安定化が提供される。さらに、正極材料の構造安定性の向上を図ることが可能な上記正極安定化剤が提供される。
【0034】
本発明によれば、有機合成化学的手法を経ずに微生物合成した添加剤を正極安定化剤として用いることが可能であり、製造プロセスの大幅な簡易化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、DMBAP生産菌とDMBAP生合成経路を示す模式図である。図中、DMBAPは2,5-ジメチル-3,6-ビス(4-アミノベンジル)ピラジンを示す略号である。
【
図2】
図2は、DMBAP産生菌のプラスミド構成を示す模式図(その1)である。
図2(A)は、pACYC-aroG4のプラスミド構成の模式図である。また、
図2(B)は、pET-PfpapADのプラスミド構成の模式図である。
【0036】
【
図3】
図3は、DMBAP産生菌のプラスミド構成を示す模式図(その2)である。
図3(A)は、pCDF-PfpapBCのプラスミド構成の模式図である。また、
図3(B)は、pRSF-PfpapEFのプラスミド構成の模式図である。
【
図4】
図4は、1Lジャーファーメンターを使用したときのDMBAPの産生量の結果を示す1Lジャーファーメンター試験の結果を示すグラフ(A)、及び培地検討用の1L及び2Lジャーファーメンター試験の結果を示すグラフ(B)である。
【0037】
【
図5】
図5は、添加剤(濃度2mg/ml)を加えたMNCカソード半電池の速度を検討した結果を示すグラフである。
【
図6】
図6は、添加剤(濃度2mg/ml)を加えたMNCカソード半電池の1C長サイクルの変化を示すグラフである。
【
図7】
図7は、添加剤(濃度2mg/ml)を加えたときのCVを示すグラフである。
【0038】
【
図8】
図8は、添加剤なし(対照)のCVを示すグラフである。
【
図9】
図9は、実装後の添加剤あり及びなしの場合の電池のEIS比較プロファイルを示すグラフである。
【
図10】
図10は、CV後の添加剤あり及びなしの場合の電池のEIS比較プロファイルを示すグラフである。
【0039】
【
図11】
図11は、等価回路とインピーダンス、電極のΩ抵抗等との対応関係を示す模式図である。
【
図12】
図12は、DEISの間に電位ステップ4.00 Vにおいて記録されたインピーダンスについてのナイキストプロットの結果を示すグラフである。
【0040】
【
図13】
図13は、添加剤を加えたときのDEIS profile from 3.0 V to 4.5 Vの間のDEISプロファイル(その1)である。
【
図14】
図14は、添加剤を加えたときのDEIS profile from 3.0 V to 4.5 Vの間のDEISプロファイル(その2)である。
【
図15】
図15は、添加剤なしのときのDEIS profile from 3.0 V to 4.5 Vの間のDEISプロファイル(その1)である。
【
図16】
図16は、添加剤なしのときのDEIS profile from 3.0 V to 4.5 Vの間のDEISプロファイル(その2)である。
【0041】
【
図17】
図17は、添加剤の有無による電池のRSEI vs 電位を示すグラフである。
【
図18】
図18は、元のカソード表面を示す電子顕微鏡写真である。
【
図19】
図19は、添加剤を加えないときのカソード表面を示す電子顕微鏡写真である。
【
図20】
図20は、添加剤を加えたときのカソード表面を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
また、別途定義しない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語(科学用語)は、本明細書において開示する技術分野の当業者が、一般的に理解するのと同じ意味を有するものとする。
また、本明細書に記載されるものと同様の方法又は等価物質を、本明細書において開示する物質又は方法を実施する際に使用することができる。本明細書において以下に記載する内容は、例示的な方法、装置、物質等である。
【0043】
本発明は、上記式(I)で表される化合物を有効成分とする正極材安定化剤である。上記式中の、R1,R1’,R2,及びR2’、R3及びR4、並びに、L1及びL2は上述した通りである。また、上記式(I)で表される化合物は、上記式(II)で表されるものであることが好ましい。式中、R1,及びR2、並びにR3及びR4は、上述した通りである。また、上記式(II)で表される化合物は、上記式(III)~(V)のいずれかで表されるものであることが好ましい。
これらの化合物は、複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物であり、具体的には、後述するDMBAP及びその類縁体である。
【0044】
ここで、前記式(III)~(V)に記載の化合物の合成方法は特に限定されず、公知の方法を組み合わせた化学合成にとるものであってもよく、微生物を用いて合成したものであってもよい。ここで、前記式(III)~(V)に記載の化合物を生物由来のものであることが好ましく、前記生物は所定の遺伝子を組み込んだ大腸菌であることが好ましい。ここで、所定の遺伝子は、配列表の配列番号1~11に示すヌクレオチド配列を有するものであることが好ましい。
【0045】
ここで、前記正極材安定化剤は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、アルカリ蓄電池、及び鉛蓄電池からなる群から選ばれるいずれかに使用される正極材を安定化させるものであることが好ましい。
ここで、電池は、化学反応が進むと起電力が低下する使い切りの電池である一次電池と、起電力が低下した後に充電して繰り返し使える電池である二次電池(蓄電池)とに分けられる。一次電池としては、マンガン電池、アルカリ電池等の乾電池、水銀電池等が知られている。
【0046】
二次電池はその用途によって、自動車やバイク等の移動体に設置されるものと、予備電源として蓄電池設備に設置される据え置き用(据置蓄電池)のものとに大別される。そして、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池やニッケル亜鉛蓄電池、ニッケル水素電池等のアルカリ蓄電池、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担うリチウムイオン電池等に分けられる。
【0047】
リチウムイオン電池は、上記のような従来の電池に比べ、軽量かつ大容量であるため、二次電池の主流となっている。ニッケル水素電池は、電極としてニッケルと水素吸蔵合金とを使用した二次電池である。ニッケル水素電池は、カドミウムを含まないことから、これまで、二次電池の主流であったニッケルカドミウムとの代替が進みつつある。
【0048】
こうした電池の構造を、リチウムイオン電池の場合を例に挙げて説明する。リチウムイオン電池は、主として、正極(+極)、電解質、負極(-極)とで構成されており、現在のところ、正極にはコバルト酸リチウム(LiCoO2)が、負極には炭素(黒鉛)が使用されていることが多い。リチウムイオン電池では、正極と負極との間をLiイオンが移動することにより充電、放電を行っている。具体的には、充電時にLiがイオン化して正極材料から抜け出て負極側に移動し、負極の層間に挿入される。一方、放電時には、負極の層間に挿入されたLiイオンが正極側に移動し、正極材料に戻る。
【0049】
正極材にとっての課題は、高容量化、寿命の延長、コストの低下等があり、本発明の上記化合物は、正極を安定させて寿命の延長に寄与するものである。
【0050】
本発明の上記化合物を製造する方法として、微生物由来の方法を例に挙げて説明する。生物由来の方法は、異なる遺伝子を組み込んだ複数の微生物を用いて(1)炭素源をDAHPに変換する第1工程と;(2)得られたDHAPをコリスメートに変換する第2工程と;(3)DAHPを4-アミノフェニルピルベートに変換する第3工程と;(4)4-アミノフェニルピルベートを4-アミノフェニルアラニンに変換する第4工程と;
【0051】
(5)4-アミノフェニルアラニンをDMBAPに変換する第5工程と;を備えている。
この方法を使用すると、ポリマーの副生なしに上記DMBAP及びその類縁体を製造することができるという利点がある。ここで製造される化合物及びその類縁体は、類縁体は、下記式(III)~(V)のいずれかで表されるものであることが好ましい。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
上記「微生物」には、真菌、細菌その他種々の微生物が含まれる。本明細書においては、コリスミ酸から4-アミノフェニルピルビン酸を生合成することができるものである限り、微生物の種は特に限定されない。しかし、増殖速度が速いこと、及び発酵プロセスの管理が容易であることから、後述する遺伝子発現用宿主細胞として、大腸菌を使用することが好ましい。
【0056】
ここで、「遺伝子発現用宿主細胞」とは、プラスミドに組み込まれた遺伝子を発現させるための宿主細胞をいう。ここで、上記プラスミドには、所望のタンパク質をコードする遺伝子のヌクレオチド配列を所望の位置に組み込むことができ、遺伝子の発現条件を決定するプロモーター配列その他の制御配列の他、例えば、5’-非翻訳領域(UTR)、3’-UTR、コード配列を含む非翻訳領域を含めることもできる。また、異なるタンパク質をコードする複数の遺伝子(構造遺伝子)のヌクレオチド配列を、遺伝子組み換えによって1個の大腸菌に導入することもできる。
【0057】
本発明のさらに別の態様は、前記複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物の精製方法である。この方法は、(1)所定の配列の遺伝子を発現している大腸菌株を培養して得られた培養上清のpHを酸性に調製するpH調製工程1と、(2)その後、所望量の強酸性イオン交換樹脂と攪拌し、前記樹脂に目的化合物を吸着させる吸着工程と、(3)前記樹脂を所望の溶媒で洗浄後、溶出液を用いて前記目的化合物を溶出させる溶出工程と、(4)前記溶出液を濃縮し、そのpHをアルカリ性にするpH調製工程2と、(5)前記アルカリ性の濃縮液から前記目的化合物を抽出する抽出工程と、を備えている。
【0058】
ここで、前記所定の遺伝子は、配列表の配列番号2~7で表されるものであることが好ましい。また、上記(1)のpH調製工程1では、培養上清のpHは2~4とすることが収率の関係から好ましい。上記(2)の吸着工程で使用する樹脂の量は約5~約15重量%を使用することが、目的物質であるDMBAP及びその類縁体を効率よく吸着できることから好ましい。ここで、上記DMBAP及びその類縁体は、上記式(III)~(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0059】
また、上記(3)の溶出工程で使用する前記溶出液は、約3~10%のアンモニアを含むエタノールであることが溶出効率の高さから好ましく、約5%のアンモニアを含むエタノールであることがさらに好ましい。また、前記(4)の調製工程2では、前記濃縮された溶出液のpHを、約8~約10とすることが好ましい。また、上記(5)の抽出工程で使用する抽出液は、ジエチルエーテルであることが収量の点から好ましい。
【0060】
本発明のさらに別の態様は、前記式(I)で表される化合物を用いる正極材安定化方法である。ここで、前記式(I)で表される化合物を電解液に添加することが好ましい。また、前記式(I)で表される化合物は、複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物であることが好ましく、具体的には、前記式(III)~(V)で表される化合物を挙げることができる。
【0061】
本発明はまた、前記式(I)で表される化合物、溶媒、及びリチウム塩を含む電解液である。ここで、前記式(I)で表される化合物は、複数のアミノベンジル基をもつピラジン化合物であることが好ましく、前記式(III)~(V)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0062】
後述する上記電解液中における前記式(III)~(V)で表される化合物の含有量は特に制限されないが、本発明がよりた高い効果を奏することができることから、電解液全質量に対して、約0.01~約10質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることがさらに好ましく、約0.10~1質量%であることかさらに好ましい。
【0063】
また、前記溶媒は、本発明の電解液に含まれるものであり、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒及び非プロトン系溶媒からなる群から含まれるいずれかのものであることが好ましい。上記溶媒の種類は特に制限されず、カーボネート系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、および、非プロトン性溶媒その他の非水系溶媒を挙げることができる。
【0064】
上記のカーボネート系溶媒としては、例えば、環状カーボネート系溶媒及び鎖状カーボネート系溶媒を挙げることができる。具体的には、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びブチレンカーボネート等を挙げることができる。
【0065】
上記エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、1,1-ジメチルエチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、デカノリド、バレロラクトン、メバロノラクトン、及びカプロラクトンを挙げることができる。
上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラグリム、トリグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、及びテトラヒドロフランを挙げることができる。
【0066】
上記ケトン系溶媒としては、例えば、シクロヘキサノンを挙げることができ、上記アルコール系溶媒としては、例えば、エチルアルコール、及びイソプロピルアルコールを挙げることができる。上記非プロトン性溶媒としては、ニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、および、スルホラン類が挙げられる。
【0067】
ここで、電解液中における溶媒の含有量は特に限定されないが、より優れた効果を得ることができるため、電解液全質量に対して、50~99質量%とすることが好ましく、85~98質量%とすることがさらに好ましい。
【0068】
本発明の電解液は、電池に使用される種々の塩を含むことができる。例えば、リチウム塩を含む場合には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiC(CF3SO2)3、Li2SiF6、LiOSO2CkF2k+1(ここで、kは1~8の整数を表す)、LiN(SO2CkF2k+1)2(ここで、kは1~8の整数を表す)、LiPFn(CkF2k+1)6-n(ここで、nは1~5の整数を、また、kは1~8の整数を表す)、LiPF4(C2O2)、及びLiPF2(C2O2)2等の中から適宜選択することができる。
【0069】
上記電解液に含まれるリチウム塩の量は特に限定されないが、0.2~3.0モル/Lとするとより高い効果を得ることができ、0.4~2.0モル/Lとすることがさらに好ましい。また、本発明の電解液は、上述した化合物、溶媒、及びリチウム塩に加えて、他の成分を含むこともできる。
【0070】
本発明の電解液の調製方法は特に限定されない。例えば、上述した化合物、溶媒、リチウム塩及び任意成分を必要に応じて添加してこれらを混合し、各成分が上記電解液中で均一に溶解、又は分散されるようにできるものであればよい。以上のようにして調製した本発明の電解液は、二次電池用電解液として好適に使用することができ、リチウムイオン二次電池用電解液としてさらに好適に使用することができる。
【0071】
本発明の電解液を含む二次電池の構成は特に限定されず、公知となっている従来の二次電池と同様の構成とすることができる。以下、リチウムイオン電池の場合を例に挙げて説明する。上記リチウムイオン二次電池の形状は特に限定されない。例えば、円筒型、直方体型、コイン型等を挙げることができる。
通常、リチウムイオン二次電池は、正極、負極及び筐体を含み、正極と負極とはセパレーターで隔てられている。以下に、リチウムイオン二次電池に含まれる代表的な部材について詳述する。
【0072】
上記セパレーターには電解液が含浸されており、シート状の正極と負極とで挟み込まれる構造となっている。上記正極は、集電体と、集電体上に形成される正極活物質層とを含むことが好ましい。集電体としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、アルミニウム基板等を挙げることができる。正極活物質層は、正極活物質、導電材、バインダー等を含んで構成されることが好ましく、上記正極活物質層には、導電助剤が含まれていてもよい。
【0073】
上記正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に挿入及び/又は脱離させることができる化合物を選択することが好ましく、例えば、粒状のLi-Co 系複合酸化物を挙げることができる。満充電時における正極のリチウム基準の電位を4.4V以上とできる材料を使用することが、電池の高容量化という面から好ましい。
【0074】
バインダーは、上記正極活物質の相互の付着を容易にするか、又は上記正極活物質の集電体への付着を容易にするために使用される。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、および、ポリイミドアミドなどを挙げることができる。
【0075】
負極は、集電体と、集電体上に形成される負極活物質層とを含むことが好ましい。ここで、負極に使用する集電体としては、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、及びこれらの2種以上の組み合わせ等を挙げることができる。
【0076】
上記負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離させることができる物質を選択することが好ましく、例えば、金属リチウム、金属リチウムの合金、リチウムをドープ及び/又は脱ドープさせることができる物質、並びに、遷移金属酸化物などを挙げることができる。
【0077】
リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離させることができる物質としては、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素、及びこれらの組み合わせ等を挙げることができる。結晶質炭素としては、例えば、無定形炭素(黒鉛)のほか、板状、鱗片状、球状、及び繊維状の黒鉛を挙げることができる。非晶質炭素としては、例えば、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、及び焼成されたコークス等を挙げることができる。
【0078】
金属リチウムの合金としては、例えば、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al及びSnからなる群から選ばれるいずれかの金属とリチウムとの合金等を挙げることができる。また、リチウムをドープ及び/又は脱ドープさせることができる物質としては、例えば、Si、SiOx(0<x<2)、Si-C複合体、Si-Q合金及びSn-Rを挙げることができる。ここで、QはSiではなく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族~16族の元素、遷移金属、希土類元素及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるいずれかである。また、RはSnではないことを除き、Qと同様である。
【0079】
上記負極活性物質層は、負極活性物質、上記導電材、上記バインダー等を含んで構成されることが好ましい。また、上記負極活物質としては炭素材料を挙げることができる。
【0080】
セパレーターとしては、従来、リチウムイオン二次電池で常用されているものであればいずれも使用することができる。こうしたセパレーターを構成する材料としては、例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びポリイミド等を挙げることができる。
【0081】
こうしたセパレーターを、上述した化合物を含む電解液に含侵し、上述した正極と負極とで挟み込むようにして筐体中に収容し、蓋をして二次電池を作製することができる。
【実施例】
【0082】
以下に、微生物を用いて本発明の化合物を合成する方法を例に挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)微生物による化合物の産生と精製
(1)プラスミドの構築
ピラジン類縁体である2,5-ジメチル-3,6-ビス(4-アミノベンジル)ピラジン(以下、「DMBAP」と略すことがある。)の生合成を行うために、下記表1に示す遺伝子をコードするヌクレオチド配列を組み込んだプラスミドを構築した。具体的な構築法は後述する。
【0083】
【0084】
(1-1)プロモーター領域を含むaroG4発現用プラスミドの構築
GeneScript社の人工遺伝子合成サービスを利用し、末端にEcoRI及びHindIIIの切断部位を有するaroG4遺伝子を含むDNA断片(配列表の配列番号1)をAPPL. ENVIRON. MICROBIOL, 63, 761-762(1997)に基づき、常法に従って合成し、aroG4-DNAを得た。このaroG4-DNAをT4 DNAポリメラーゼで処理して平滑化し、その後、予めEcoRVで切断したクロラムフェニコール耐性遺伝子を有するpACYC184(ニッポン・ジーン社)にDNAライゲーションキットLigation High Ver.2(東洋紡社製)を用いて連結し、aroG4遺伝子を含むプラスミド(pACYC-aroG4)を構築した(
図2(A)参照)。
【0085】
(1-2)papA及びpapDを含む発現用プラスミド(pET-PfpapAD)の構築
ゲノムデータベースを用いてストレプトマイセス・ベネズエラエ(Streptomyces venezuelae)のPapABCと相同性を示すタンパク質をコードする遺伝子を探索した。その結果、大腸菌と同じプロテオバクテリア門に属するシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)SBW25株(De Leij F et al.(1995) Appl Environ Microbiol 61:3443-3453)のPFLU_1770、PFLU_1771、PFLU_1772がそれぞれ34% (PapC)、44% (PapA)、28% (PapB)の相同性を示すことが確認された。そこで、これらの遺伝子を発現させた組み換え大腸菌を作製することとした。
【0086】
まず、GeneScript社の人工遺伝子合成サービスを利用し、P. fluorescensのSBW25株から、PFLU_1771遺伝子(配列番号2、PfPapA遺伝子)を常法に従って合成した。その際、この遺伝子の塩基配列のコドンを大腸菌での発現用に最適化した。得られた各遺伝子をpUC57(Genescript社)に連結して増幅させた。次に、P. fluorescensのSBW25株から、PFLU_1773遺伝子(配列番号5、PfPapD遺伝子)を常法に従って合成した。その際、この遺伝子の塩基配列のコドンを、PfpapA遺伝子~PfpapCの場合と同様に、大腸菌での発現用に最適化した。以上のようにして得られたpapD遺伝子をpUC57(Genescript社)に連結して増幅させた。
【0087】
次いで、pUC57からNdeI及びXhoIで切り出したpfpapAを、アンピシリン耐性遺伝子及び2つのT7lacプロモーターが組み込まれているETduet-1の2つ目のT7lacプロモーターの下流に組み込んだ。次いで、pUC57からEcoRIとNotIとを用いて切り出したpfpapDを、上記2つのT7lacプロモーターの間に挿入し、これら2つの遺伝子を組み込んだプラスミド(pET-PfpapAD)を構築した(
図2(B)参照)。
【0088】
(3)papB及びpapCを含む発現用プラスミド(pCDF-PfpapBC)の構築
まず、GeneScript社の人工遺伝子合成サービスを利用し、P. fluorescensのSBW25株から、PFLU1770遺伝子(配列番号4、PfPapC遺伝子)、及びPFLU1772遺伝子(配列番号3、PfPapB遺伝子)を常法に従って合成した。その際、各遺伝子の塩基配列のコドンを大腸菌での発現用に最適化した。得られた各遺伝子をpUC57(Genescript社)に連結して増幅させた。
【0089】
次いで、pUC57からBamHI及びNotIで切り出したpfpapBを、ストレプトマイシン耐性遺伝子及び2つのT7lacプロモーターが組み込まれているpCDFduet-1の2つのT7lacプロモーターの間に組み込んだ。次いで、pUC57からNdeIとXhoIとを用いて切り出したpfpapCを、上記2つ目のT7lacプロモーターの下流に挿入し、これら2つの遺伝子を組み込んだプラスミド(pCDF-PfpapBC)を構築した(
図3(A)参照)。
【0090】
(4)papE及びpapFを含む発現用プラスミド(pRSF-PfpapEF)の構築
まず、GeneScript社の人工遺伝子合成サービスを利用し、P. fluorescensのSBW25株から、PFLU_1774遺伝子(配列番号6、PfPapE遺伝子)、及びPFLU_1775遺伝子(配列番号7、PfPapF遺伝子)を常法に従って合成した。その際、各遺伝子の塩基配列のコドンを大腸菌での発現用に最適化した。得られた各遺伝子をpUC57(Genescript社)に連結して増幅させた。
【0091】
以上のようにして得られた上記papD、papE及びpapF遺伝子を、pUC-papD及びpUC-papE、並びに下記表2に示すプライマー(配列表の配列番号8~11)を用いてPCRで増幅した。その後、増幅された上記遺伝子をNdeI及びXhoIで消化してpET28b (Novagen)にクローニングし、NdeI及びXhoIで二重消化してpET-papD及びpET-papEをそれぞれ得た。
また、上記プラスミドpUC-papFをNdeI及びXhoIで二重消化して得られたpapFのDNAフラグメントをpET28bにクローニングしてpET-papFを作製した。
【0092】
【0093】
次いで、pUC57からEcoRI及びPstIで切り出したpfpapEを、カナマイシン耐性遺伝子及び2つのT7lacプロモーターが組み込まれているpRSFduet-1の2つのT7lacプロモーターの間に組み込んだ。次いで、pUC57からNdeIとXhoIとを用いて切り出したpfpapFを、上記2つ目のT7lacプロモーターの下流に挿入し、これら2つの遺伝子を組み込んだプラスミド(pRSF-PfpapEF)を構築した(
図3(B)参照)。
【0094】
(5)発現宿主の作製と培養
(5-1)発現宿主の作製
以上のようにして得られたプラスミドを、エレクトロポレーション法にて大腸菌NST37(DE3)に導入し、NST37(DE3)/pACYC-aroG4、pET-papAD、pCDF-PfpapBC
及びpRSF-papEFを発現宿主として作製した。
以上のようにして作製した発現宿主は、アンピシリン(終濃度 100 μg/mL)、ストレプトマイシン(終濃度 40 μg/mL)、カナマイシン(終濃度 40 μg/mL)、クロラムフェニコール(終濃度 35 μg/mL)を含有するLB培地(酵母抽出物 5.0 g/L、トリプトン 10.0 g/L、NaCl 10.0 g/L)中で30℃±2℃にて12~16時間、270rpmの条件で増殖させ、得られた培養液0.4 mLを80%グリセロール0.2 mLと混合して、種母菌として液体窒素中にて凍結保存した(以下、この種母菌を「グリセロールストック」ということがある。)。
【0095】
(5-2)発現宿主の前培養
以上のようにして作製した発現宿主を、以下の条件で培養した。
まず、前培養は、下記表3に示す組成の培地を蒸留水に溶解し、NaOHでpHを7.0~7.2に調整し、中試験管に6mLずつ分注して121℃にて15分間、オートクレーブ滅菌した。
【0096】
【0097】
オートクレーブ滅菌後、各発現宿主を植菌する前に、別途ろ過滅菌しておいたアンピシリン(終濃度100μg/mL)、ストレプトマイシン(終濃度40μg/mL)、カナマイシン(終濃度40μg/mL)、クロラムフェニコール(終濃度35μg/mL)及びグルコースを、各試験管の培地に添加した。上記の各発現宿主のグリセロールストック60μLを加えて、30℃±2℃にて12~16時間、270rpmで振盪培養した。
【0098】
(5-3)発現宿主の本培養
上記の前培養を終了した各発現宿主は、1Lのジャーファーメンターを用いた本培養に供した。本培養に用いる培地の組成は下記表4に示す通りとした。また、下記表4中のトレースエレメントの組成は、下記表5に示す通りとした。
【0099】
【0100】
【0101】
上記表4及び5に示す成分を蒸留水に溶解し、NaOHでpHを7.0に調整した。その後、1Lジャーファーメンター(Biott社製)に500 mLを仕込み、121℃にて15分間、オートクレーブ滅菌した。CaCl2・2H2O、MgSO4・7H2O、グルコース、チアミンおよび抗生物質(アンピシリン(終濃度100μg/mL)、ストレプトマイシン(終濃度40μg/mL)、カナマイシン(終濃度40μg/mL)、及びクロラムフェニコール(終濃度35μg/mL)は別途ろ過滅菌しておき、これらをここに添加した。
【0102】
上記のように準備したジャーファーメンター中の滅菌済みの培地に、上記のようにして前培養した発現宿主を含む前培養液をそれぞれ5mL接種し、30℃±1℃にて48時間、645rpm、通気量0.7L/分で培養した。培養開始時に、Antifoam PE-L(富士フイルム和光純薬(株))を50μL添加し、培養中も発泡に応じて添加した。グルコース液の流加は不要とした。
【0103】
培養期間中、培地のpHは、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(各0.8g/L)を含む10%アンモニア水で7.0±0.2に制御した。また、OD600が0.6~0.8となった時点(培養開始から4~5時間後)に、終濃度0.1mMとなるようにIPTGを添加した。同様にして、2.0 LのジャーファーメンターであるBNR・C-2L・S (B.E.MARUBISHI)を用いて、1.2 Lの培地での培養を行った。
【0104】
(6)培養結果及び目的物質の精製
(6-1)培養結果
以上の発現宿主を培養することによりDMBAPが
図1に示す経路で生成されていることが明らかになった。まず、AroG4によってグルコースがDAHP(3-デオキシ-D-アラビノ-ヘプツロソネート-7-リン酸)に変換され、次いでDAHPが
コリスメートに変換された。引き続き、PapA、PapB及びPapCによって
コリスメートが4-アミノ-フェニルピルビン酸に変換され、次いで、トランスアミナーゼによって4-アミノフェニルアラニンに変換された。そして、PapD、PapE及びPapFによって4-アミノフェニルアラニンから、目的物質であるピラジン環を有するDMBAPが合成された。
【0105】
図4(A)に、1Lジャーファーメンター試験を行った結果を示す。DMBAPの産生量は、
培養中の培養上清を採取した後に遠心管に移し、遠心分離によって回収し、HPLCを用いてDMBAPを定量した。
図4(A)に示すように、1Lのジャーファーメンターを用いたときには、OD
600はゆっくりと上昇し、培地中のグルコース量が枯渇した後も48時間まで漸増した。培養開始10時間前後でDMBAPの産生量が明確に増加しはじめ、その後、培養開始36時間前後で0.085g/Lの産生量を示し、48時間までその産生量が維持された。
【0106】
なお、各実施例で使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件吸光光度計による酵素活性の評価条件を以下に示した。
【0107】
[高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定条件]
装置: Agilent Technologies社製 1200 infinity series
カラム: Millipore-Merck社製 Purospher STAR RP-18 endcapped カラム
検出波長: 230nm
溶離液A: 20mMギ酸アンモニウム(pH7.0)
溶離液B: 100%アセトニトリル
プログラム: 0分(A:B=98%:2%)
7分(A:B=98%:2%)
12分(A:B=50%:50%)
17分(A:B=50%:50%)
19分(A:B=98%:2%)
23分(A:B=98%:2%)
【0108】
図4(B)は、培地の成分とDMBAPの産生量に対するジャーファーメンターのスケールファクターとの関係を示すグラフである。使用した培地は横軸に示したように、上記表4の培地のうち酵母抽出物及びトリプトンの種類を変更し、BD(ベクトン・ディッキンソン社製の酵母抽出物及びトリプトン)、TypeD・イーストペプトン(バイオスプレンジャー社製の酵母抽出物Type D及びオリエンタル酵母工業(株)社製のイーストペプトン)、TypeD・ハイミュート(バイオスプレンジャー社製の酵母抽出物Type D・不二製油(株)社製の大豆ペプチドハイミュート)、ミースト・イーストペプトン(アサヒビール食品(株)社製の酵母抽出物ミーストP1G・オリエンタル酵母工業(株)社製のイーストペプトン)、ミースト・ハイミュート(アサヒビール食品(株)社製の酵母抽出物ミーストP1G・不二製油(株)社製の大豆ペプチドハイミュート)とした。
これらの培地のうち、TypeD・イーストペプトンを使用した場合にはスケールファクターの影響がもっとも少なかった。
【0109】
(6-2)目的物質の精製
上記の培養上清(1 L)を塩酸でpH 3にし、10%(w/v)のDOWEX(登録商標)樹脂(50W × 8, 100-200メッシュ (H))と混合し、目的化合物をこの樹脂に吸着させた。次いで、目的物質を吸着させた樹脂を水及びメタノールで洗浄し、その後、5% NH3を含むエタノールで吸着された物質を溶出させた。この溶出液を、ロータリーエバポレーターを用いて10倍に濃縮し、この濃縮液にNaOHを加えてpH 9.0とし、目的物質をジエチルエーテルで抽出した。
【0110】
この抽出液をエバポレートした後に残っているペレットにイソプロパノールを加えて溶解させ、4℃にて1時間インキュベートしてDMBAPを結晶化させた。DMBAPの結晶を除去した後にイソプロパノール溶解液を濃縮し、再度結晶化させた。この手順を繰り返し、9.6 mgのDMBAP(純度94%)が得られた。
【0111】
H2DMBAPを得るために、窒素ガス流の下で、等容の2 MのNaOH及び10 mMのAPB (3-アミノ-4-(パラアミノフェニル)-2-ブタノン)を試験管内で混合し、ブチルゴムの栓をして65℃で1時間インキュベートした。H2DMBAPをジエチルエーテルで抽出した後に凍結乾燥し、その後、その構造をLC/ESI-MS/MSで確認した。MS/MS分析のための衝突エネルギーは10- eV又は40- eVにセットした。マススペクトロメトリーの結果から、複数のピラジン環を有する化合物が複数産生されていることが明らかになった。
【0112】
具体的には、2,5-ジメチル-3,6-ビス(4-アミノベンジル)ピラジン(DMBAP)、2,5-ジメチル-3-(4-アミノベンジル)-4-(4-N-メチルアミノベンジル)ピラジン(MeDMBAP)、2,5-ジメチル-3,6-ビス(4-N-メチルアミノベンジル)ピラジン(Me2DMBAP)、及び2,5-ジメチル-3,6-ビス(4-アミノベンジル)ジヒドロピラジン(H2DMBAP)の存在が確認された。固体乾燥品をアセトニトリルに溶解後、HPLC分析に供し、得られたDMBAPの純度は約77~97%であることが確認された。
【0113】
(実施例2)DMBAPの特性の確認
(1)材料等
電気化学的試験を行うために、市販のLiMnxNiyCozO2 (x=y=z=1/3)電極(アルミニウム金属集電装置で被覆された容量グレード1.5 mAh/cm2 )をPiotrek社より購入した。また、電解液として、1M LiPF6を含む1:1 EC:DEC (Sigma Aldrich)を使用した。電解液の検討用に、適量の提供された添加物を市販のLiPF6電解液に加えた。
【0114】
バッテリー試験のために、市販のカソードと、ポリブレンセパレータ(25 mm, Celgard 2500)が配置されたカソード半電池中における対電極としての金属リチウムと、2025-サイズのコイン型電池とをアセンブリして使用した。この電池(UNICO UN-650F, H2O and O2 content <0.1 ppm)は、その内側にアルゴンで満たされたグローブボックスを備えており、水分によるコンタミを避けるようになっている。
【0115】
バッテリーの放電/充電試験は室温(25℃)で行った。サイクリックボルタンメトリー(CV)スキャンは、0.1 m/Vsの定率におけるOCPと5V vs Li/Li+の間で行い電気化学的挙動を決定した。
【0116】
(2)実験結果
図5に、電位域3.0 V~4.5 Vにおいて、添加剤を加えたときの異なるC-レートでの電池の放電容量保持の変化を示した。異なるC-レート(25 サイクルの容量及び26~30サイクルからのC/15)での充電及び放電後、1~5サイクルよりも容量が高くなっていた。
【0117】
図6は、1 Cレートで100サイクル、添加剤の有無による電池の充電容量保持の相違を示す。添加剤なしの場合の容量保持が100サイクル後に35.78 mA/hg、27.52%であったのに対し、添加剤があるときの上記電池の容量保持は、100サイクル後に75.562 mA/hg、75.562%であった。このことから、本発明の添加剤を加えることによって、容量保持の低下が遅くなることが示された。
【0118】
図7及び
図8に、上記添加剤ありの場合となしの場合のCVの変化を示す。酸化開始電位は、添加剤の有無にかかわらず、いずれの場合でも~3.8 V vs Li/Liとした。双方の場合についてのその後のサイクルは、添加剤を含む電池が非常に良好なサイクリング動作を示した。これに対し、添加剤なしの場合には、CVの間に全サイクルに渡って電極の分解が示されたため、長期間のサイクル性能には問題が残った。このことは、さらに、添加剤を含まない電極の場合には、SEI maturityに疑問を呈した。添加剤なしの場合には、添加剤を含有させることにより、成熟しかつ安定したSEI(期待されるサイクリング動作)が達成された。
【0119】
図9に、実装後の添加剤あり及びなしの場合の電池のEIS比較プロファイルを示す。実装後の添加剤を加えた電池のEISプロファイルと添加剤なしの電池のそれとでは~150オームの差があり、添加剤を加えた電池の方がかなりよいことが示された。
【0120】
図10には、CV後の添加剤あり及びなしの場合の電池のEIS比較プロファイルを示す。CVの間、4サイクルのサイクリングの後には、添加剤を加えた電池は添加剤なしの電池よりも、より優れた界面特性を示した。実際に、添加剤なしの電池では、サイクリング後に抵抗の増加が見られた。
【0121】
図11に、等価回路とインピーダンス、電極のΩ抵抗等との対応関係を示す。ここで、R
Eは電極のオーム抵抗を表し、R
PC、R
SEI及びR
CTは界面インピーダンスを表す。界面インピーダンスは高周波数の場合には、電極-SEI上に界面フィルムの形成に関わり、低周波数の場合には電荷-移動プロセスに関わる。LはMNC電極の固有インピーダンスを表す。固有インピーダンスは、電極及び配線ワイヤ(一般的ハードウェア)に対応するL(インダクタンス)と、集電体抵抗特有のものであるR
PC、及び集電体特有の定常フェーズ要素に対応するQ
PCと関連する。また、Z
GFWはアノードにおけるリチウムイオンの拡散を示す一般化された有限ワールブルク要素に関連する。
【0122】
図12に、DEISの間に電位ステップ4.00 Vにおいて記録されたインピーダンスについてのナイキストプロットの結果を示す。
図13及び
図14に上記添加剤ありの場合のDEISの結果を、また、
図15及び
図16に上記添加剤なしの場合の電位と抵抗殿関係、及びZ’及びZ’’との関係を示す。DEISの研究は、異なる電位(3.0 Vから4.5 V)におけるSEIの展開を研究するのに有用である。低い電位ステップでは、RSEI 及びRCTに対応する重要な半円形が見られた。一方で、3.66 Vから4.5 Vという高い電位ステップでは、異なる界面特性を示唆する別の半円形が出現した。
【0123】
図17に、添加剤の有無による電池のRSEI vs 電位の変化を示す。R
SEI vs 電位の図において対応する等価回路から、添加剤を加えたときのR
SEI値は添加剤なしの場合よりも大幅に低かった。双方の電池におけるR
SEI値の平均の差異は、~55オームであった。インピーダンスの実質的な増大は、電極における表面反応層の形成に起因するものである。このことは、さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた形態学的観察及び特徴づけで明らかになった。
【0124】
次に、大きな問題となっていたLiPF6を含むカーボネートベースの電極におけるMNC-ベースのカソードの安定性を検討した。従来、LiPF6中のカーボネートベースの電解液中では、保管中にMNCカソード上での表面再構成層が形成されことが明らかになっていた。これは、インピーダンスの増加と高電圧でのサイクリングの間の容量のフェーディングに応答するものと考えられていた。
【0125】
ここで、少量の塩基性ジアミンの添加が表面反応層の形成を妨げるかどうかをチェックするために、アルゴン雰囲気下にて、電極を市販の電解液中に添加剤を添加した場合と、しない場合とに分けて7日間、保存した。
【0126】
図18~20に、上記のように保存した後の電極を、SEMを用いて異なる拡大率で観察したときの顕微鏡像を示す。元の電極の表面の構造を
図18に示す。この電極の表面の構造は、マイクロメーターサイズのMNCの球状粒子であり、導電性添加剤のマトリックスに均一に分布していた。これらのマイクロメーターサイズの粒子は、さらに、微小粒子様構造で構成されていた。
【0127】
この電極を、添加剤を含まない電解液中で保存すると、一次構造が崩壊して小片となり、微量粒子様のサブストラクチャーは不明瞭となった(
図19参照)。曇った表面層の存在は、上記粒子の崩壊につながることが示された。これに対し、添加剤を含む電解液中に保存した電極では、上記のような崩壊は最小限となり、表面構造はより長い時間維持され、マイクロサイズの微小粒子が明確に観察できた(
図20参照)。以上より、添加材を加えることにより、表面層の形成が添加剤なしの場合と比較して、有意に遅くなることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、二次電池の分野において有用である。
【配列表フリーテキスト】
【0129】
配列番号1:DAHPシンターゼ(aroG4)をコードするヌクレオチド配列
配列番号2:シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)由来の4-アミノ-4-デオキシコリスメート シンターゼ(papA)をコードするヌクレオチド配列
配列番号3:Pseudomonas fluorescens由来の4-アミノ-4-デオキシコリスメート ムターゼ(papB)をコードするヌクレオチド配列
配列番号4:Pseudomonas fluorescens由来の4-アミノ-4-デオキシプレフェネート デヒドロゲナーゼ(papC)をコードするヌクレオチド配列
配列番号5:Pseudomonas fluorescens由来のアミノ酸C-アセチルトランスフェラーゼ(papD)をコードするヌクレオチド配列
配列番号6:Pseudomonas fluorescens由来のメチルトランスフェラーゼ(papE)コードするヌクレオチド配列
配列番号7:Pseudomonas fluorescens由来のジヒドロピラジン オキシダーゼ(papF)をコードするヌクレオチド配列
配列番号8:papDの増幅用フォワードプライマーのヌクレオチド配列
配列番号9:papDの増幅用リバースプライマーのヌクレオチド配列
配列番号10:papEの増幅用フォワードプライマーのヌクレオチド配列
配列番号11:papEの増幅用リバースプライマーのヌクレオチド配列
【配列表】