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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】管状留置具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240214BHJP
   A61F 2/04 20130101ALI20240214BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020558370
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2019045043
(87)【国際公開番号】W WO2020105579
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2018216663
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100154759
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】白濱 憲昭
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0020347(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0137681(US,A1)
【文献】国際公開第2013/115141(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0228505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/04
A61F 2/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内に留置されて管状の流路を画成する管状留置具であって、
当該管状留置具の径方向に沿って拡縮可能な管状構造を有する本体部を有する骨格部と、
前記本体部に沿って設けられるとともに、前記本体部の管端部側となる基端側の流路断面積よりも前記管端部から離れる先端側の流路断面積が小さい先細り形状を有するように前記管端部から突出する突出部を有する皮膜部と、
前記突出部の流出口の形状を保持する形状保持部と、を備える、
管状留置具。
【請求項2】
請求項1に記載の管状留置具において、
前記形状保持部は、
当該管状留置具内を液体が流れないときに前記流出口を閉塞状態に保持し、当該管状留置具内を前記液体が流れるときに前記液体の圧力によって前記流出口を開放する、ように構成される、
管状留置具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の管状留置具において、
前記形状保持部は、
前記突出部の前記流出口が設けられた先端側に設けられる、
管状留置具。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の管状留置具において、
前記骨格部は、
前記本体部の前記管端部から延びるように設けられて前記突出部を支持する一対の延出部を有し、
前記一対の延出部は、
当該管状留置具の管軸を挟んで向かい合うように配置される、
管状留置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔内に留置される管状留置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血管や胆管などの生体管腔内に留置される管状留置具が知られている。この種の管状留置具は、一般に、管状の形状を有し、径方向において拡縮可能な骨格部と、骨格部に沿って設けられる皮膜部と、を備える。
【0003】
例えば、胆管の狭窄や閉塞の治療に用いられる管状留置具の一つでは、皮膜部が、骨格部に沿って設けられる本体部と、本体部の一端から筒状に突出する筒状突出部と、を有している(例えば、特許文献1を参照)。この従来の管状留置具は、胆管内に皮膜部の本体部が配置され、十二指腸内に皮膜部の筒状突出部が延出するように、用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-275369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、胆管から十二指腸への胆汁の流出および十二指腸から胆管への異物の逆流の抑制を適正に行う上で、胆汁が胆のうから放出されないときには筒状突起部の開口部を確実に閉塞させることが望ましい。しかし、上述した従来の胆管用の管状留置具では、筒状突出部は単に十二指腸内に延出しているに過ぎず、筒状突出部の開口部の開閉状態は積極的には管理されていない。なお、胆管用の管状留置具に限らず、上述したような逆止弁状の機能(以下「弁機能」という。)を有する管状留置具は、その弁機能を適正に果たすことが望ましい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、弁機能をより適正に発揮させることが可能な管状留置具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管状留置具は、
生体管腔内に留置されて管状の流路を画成する管状留置具であって、
当該管状留置具の径方向に沿って拡縮可能な管状構造を有する本体部を有する骨格部と、
前記本体部に沿って設けられるとともに、前記本体部の管端部側となる基端側の流路断面積よりも前記管端部から離れる先端側の流路断面積が小さい先細り形状を有するように前記管端部から突出する突出部を有する皮膜部と、
前記突出部の流出口の形状を保持する形状保持部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の管状留置具に比べ、弁機能をより適正に発揮させることが可能である。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、本発明の実施形態に係る管状留置具の端部の斜視図であり、図1(b)は、管状留置具の流出口が閉じた状態における流出口の周囲の拡大図であり、図1(c)は、管状留置具の流出口が開いた状態における流出口の周囲の拡大図である。
図2図2は、図1に示す管状留置具の端部の上面図である。
図3図3は、皮膜部の本体部の流路断面と、皮膜部の突出部の流出口の流路断面と、の関係を説明するための図である。
図4図4は、本発明の実施形態の変形例に係る管状留置具の端部の図1(b)に対応する図である。
図5図5は、本発明の実施形態の他の変形例に係る管状留置具の端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る管状留置具1について説明する。
説明の便宜上、図1(a)に示すように、管状留置具1の長手方向を「管軸方向」とし、「管軸方向」に直交する一方向を「幅方向」とし、「管軸方向」及び「幅方向」に直交する一方向を「上下方向」とする。また、管状留置具1が留置された状態での「管軸方向」の一端側(胆のう側)を「基端側」とし、他端側(十二指腸側)を「先端側」とする。
【0012】
管状留置具1は、胆管の閉塞部又は狭窄部などの病変部を径方向外側に押し拡げて病変部の治療を行うために使用される。管状留置具1は、典型的には、基端側及び先端側がそれぞれ胆のう側及び十二指腸側を向くように、胆管内に留置されて使用される。管状留置具1は、一般に、胆管ステントとも称呼される。以下、管状留置具1が胆管の病変部に留置される場合を「胆管留置時」という。
【0013】
図1(a)~図1(c)及び図2に示すように、管状留置具1は、骨格部10と、皮膜部20と、を備える。以下、これらの構成について順に説明する。
【0014】
先ず、骨格部10について説明する。
骨格部10は、自己拡張可能に構成され、本例では、胆汁などの流体を導通させるための流路を画成するための管状構造を有する本体部11と、本体部11の管端部11aから延びるように設けられる一対の延出部12と、を有している。
【0015】
本体部11には、金属線材が管軸方向にジグザグ状に往復しながら周方向に環状に延びて構成される複数のジグザグ環状部が管軸方向に並ぶように配置されている。本体部11において、隣接するジグザグ環状部同士は、周方向における複数の箇所にて金属線材で管軸方向に連結される。本体部11は、全体として筒状の形状を有している。
管端部11aは、例えば、本体部11の十二指腸側(先端側)の端部である。図中に破線で示されるように、管端部11aは、本体部11と一対の延出部12,12とを区分けする境界にも相当する。
【0016】
一対の延出部12,12は、金属線材から構成され、本体部11の幅方向両側にて管軸方向先端側に延びるように構成されている。すなわち、一対の延出部12,12は、管状留置具1の管軸を挟んで向かい合うように配置されている。本例では、一対の延出部12,12は、本体部11から離れるにつれて上下方向の幅が徐々に小さくなるように構成されている。一対の延出部12,12の各々は、本体部11の所定箇所に繋がる連結部12a、最も管軸方向先端側に位置する頂点12b、及び、頂点12bから管軸方向基端側に向けて斜め上方及び斜め下方に延びるV字状部分12c、を有している。
一対の延出部12,12は、後述するように、皮膜部20の突出部22を支持する支持部材としての機能を果たす。一対の延出部12,12は、互いに離れる向きに広がることで突出部22を幅方向に開くような力を突出部22に及ぼしてもよい。あるいは、一対の延出部12,12は、そのような力を突出部22に及ぼしてもいなくてもよい。
【0017】
骨格部10は、径方向内側に収縮した収縮状態から、径方向外側に拡張して拡張状態へと、拡張可能に構成されている。骨格部10が拡張状態にあるとき、管状留置具1は、その内部に筒状の流路を画成する。骨格部10は、例えば、管軸方向に引っ張られることで径方向内側に収縮しながら管軸方向に伸長し、収縮状態から解放されることで径方向外側に拡張しながら管軸方向に短縮する、ように構成される。骨格部10は、このように構成されることで、胆管留置時、骨格部10の外周面、特に本体部11の外周面によって胆管の病変部の内面を径方向外側に押圧し、胆管の病変部を径方向外側に押し拡げることができる。
【0018】
骨格部10を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni-Ti合金(すなわち、ニチノール)、チタン合金などに代表される公知の金属又は金属合金が挙げられる。また、骨格部10の位置を体外から確認できるように、骨格部10の一部または全部を、X線造影性を有する合金材料から構成してもよい。骨格部10は、セラミックや樹脂などの金属材料以外の材料で構成されてもよい。
【0019】
骨格部10は、例えば、Ni-Ti合金製の原料パイプから、骨格部10に相当する部分を除いた残りの全ての部分をレーザ等によって削り取る手法により、製造され得る。また、骨格部10は、例えば、Ni-Ti合金製の細線を骨格部10に相当する形状に編み込むことにより、製造され得る。なお、骨格部10を構成する材料としてNi-Ti合金を用いる場合、骨格部10を図1(a)に示す拡張状態における形状に整えた後、所定の熱処理を施すことにより、その形状を骨格部10に記憶させることができる。これにより、収縮状態から拡張状態に変形可能な拡張可能な骨格部10を構成できる。
【0020】
骨格部10を構成する金属線材の材料、線種(例えば、ワイヤ等の円形線材、又は、レーザーカットによる角状線材)、線径(断面積)、周方向におけるジグザグの往復回数及びジグザグ形状、並びに、管軸方向における線材間隔(単位長さ当たりの骨格量)等は、留置する生体管腔に応じて適宜選択されればよい。
【0021】
次いで、皮膜部20について説明する。
図1及び図2に示すように、皮膜部20は、骨格部10の本体部11に沿って設けられる筒状部21と、筒状部21の端部から突出する突出部22と、が一体的に繋がった構成を有する。皮膜部20を構成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエチレン樹脂などが挙げられる。
【0022】
筒状部21は、本体部11に沿って設けられる膜体である。筒状部21は、胆管留置時に本体部11が拡張状態にあるとき、胆汁を突出部22に向けて案内する流路を画成する。筒状部21は、本体部11を挟み込むように本体部11の外周面と内周面とに配置されてもよいし、本体部11の外周面のみに配置されてもよいし、本体部11の内周面のみに配置されてもよい。筒状部21は、例えば、縫い付けやディッピング等の公知の手法を用いて本体部11に固定され得る。
【0023】
突出部22は、皮膜部20における、筒状部21の先端側端部から連続して管軸方向先端側に突出する膜体である。突出部22は、胆管留置時に胆汁を十二指腸に向けて放出する部分である。突出部22は、全体として、筒状部21に繋がる基端側の流路断面積よりも筒状部21から離れる先端側の流路断面積が小さい先細り形状を有する。より具体的には、本例では、突出部22は、骨格部10の一対の延出部12,12に沿って基端側から先端側に向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる第1部分22aと、第1部分22aから先端側に向けて流路断面積が実質的に同一である状態で延びる第2部分22bと、を有している。第2部分22bでは、突出部22を構成する膜体が上下方向において実質的に密着した状態となっている。第2部分22bには骨格部10が設けられていない。このような形状を有する皮膜部20は、例えば、ディッピング等の公知の手法を用いて構成され得る。
【0024】
突出部22の管軸方向先端側端部の開口は、筒状部21から突出部22に流れ込んだ胆汁などの液体を十二指腸に流出させる流出口23として機能する。
図1(b)に示すように、突出部22の流出口23は、管状留置具1内を液体が流れないときには、幅方向に直線状に延びて閉塞した状態に維持される。一方、管状留置具1内を液体が流れるときには、図1(c)に示すように、流出口23は、その液体自身の圧力によって上下に開口するようになっている。この結果、突出部22は、胆管留置時に胆管から十二指腸への胆汁の流出および十二指腸から胆管への異物の逆流の抑制を行う逆止弁状の機能を果たすことになる。
【0025】
なお、突出部22の流出口23が「閉塞」するとは、流出口23の開口面積が減少するように突出部22が変形することを表す。具体的には、突出部22は、流出口23の開口面積が実質的にゼロになる程度まで変形されてもよい。あるいは、突出部22は、流出口23の開口面積が図1(c)に示す状態のときの開口面積よりも小さく且つゼロよりも大きい所定の開口面積となるまで変形されてもよい。
【0026】
突出部22の管軸方向先端側端部に、流出口23の形状を保持するための形状保持部30が設けられている。
形状保持部30は、流出口23の形状を幅方向に直線状に延びた閉塞状態に保持するための幅方向に扁平なリング状部材である。形状保持部30は、流出口23の開口および閉塞を行うべく、適度な弾性や剛性を有する。また、形状保持部30は、胆汁などの液体が筒状部21から突出部22に流入したときにその液体自身の圧力によって開口可能であり、且つ、そのような液体が流入しないときには流出口23を適正に閉塞可能であるように構成される。形状保持部30は、シリコーン等の樹脂から構成されてもよいし、金属から構成されてもよい。形状保持部30は、突出部22への縫い付けや接着などの周知の手法により、突出部22の管軸方向先端側端部に固定される。
【0027】
また、形状保持部30は、骨格部10の拡張状態における筒状部21の流路断面積S1に対して、胆汁などの液体が筒状部21から突出部22に流入して流出口23が開口したときの流路断面積S2が所定範囲内となるように流出口23を規制する。すなわち、形状保持部30によって、筒状部21を流れる液体の流量を考慮して、流出口23の開口面積(流路断面積S2)が設定されている。これによって、流出口23の開閉状態の管理を適正に行うことができる。
【0028】
このように、本実施形態に係る管状留置具1は、生体管腔内に留置されて管状の流路を画成する管状留置具1であって、管状留置具1の径方向に沿って拡縮可能な管状構造を有する本体部11を有する骨格部10と、本体部11に沿って設けられるとともに、本体部11の管端部11a側となる基端側の流路断面積S1よりも管端部11aから離れる先端側の流路断面積S2が小さい先細り形状を有するように管端部11aから突出する突出部22を有する皮膜部20と、突出部22の流出口23の形状を保持する形状保持部30と、を備える。
したがって、形状保持部30によって、皮膜部20の先細り形状を有するように管端部11aから突出する突出部22の流出口23の形状を保持することで、突出部22の形状如何にかかわらず流出口23の開閉状態の管理を適正に行うことができる。これにより、逆流抑制効果を有する弁機能をより適正に発揮させることができる。
特に、皮膜部20が十分な柔軟性を有すると、例えば、突出部22内に存在する胆汁などの表面張力などに起因し、先細り形状を有する突出部22の内面同士が自然に密着する場合がある。この場合、突出部22自身によって流出口23が塞がれた状態となる。この状態では、一般に、上述した密着が生じない場合に比べ、流出口23を通じた逆流は生じ難い。突出部22の先端側の第2部分22b(いわゆる吹き流し部)が管軸方向に長いほど、突出部22の内面同士が密着し得る領域も長くなり、突出部22自身による逆流抑制効果は高まると考えられる。逆に、管状留置具1の小型化などの要請から、突出部22の先端側の第2部分22bの長さを短くすると、突出部22自身による逆流抑制効果は低下する可能性がある。ここで、管状留置具1は、形状保持部30が流出口23の形状を保持するようになっている。そのため、突出部22の長さ、特に、先端側の第2部分22bの長さの長短にかかわらず、逆流抑制効果を有する弁機能をより適正に発揮させることができる。
【0029】
更に、管状留置具1内を胆汁などの液体が流れないときには流出口23を閉塞状態に保持可能であり、管状留置具1内を液体が流れるときにはその液体自身の圧力によって流出口23を開放可能であるように、形状保持部30の形状などを設計することで、上述した弁機能をより適正に発揮させることができる。
【0030】
更に、皮膜部20の突出部22の流出口23が設けられた先端側に形状保持部30を設けることで、形状保持部30を流出口23に近付けて配置することができる。これにより、流出口23の開閉状態の管理をより適正に行うことができ、逆流抑制効果を有する弁機能をより適正に発揮させることができる。
【0031】
更に、骨格部10が突出部22を支持する一対の延出部12,12を有し、一対の延出部12,12が管状留置具1の管軸を挟んで向かい合うように配置されることで、突出部22の先細り形状をより適正に維持することができる。
【0032】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0033】
上記実施形態では、形状保持部30として、皮膜部20の突出部22の先端側端部に設けられたものを例示した。しかし、上記実施形態は一例であってこれに限られるものではなく、形状保持部30の位置は適宜任意に変更可能である。また、形状保持部30として、幅方向に扁平なリング形状を有するものを例示した。しかし、上記実施形態は一例であってこれに限られるものではなく、形状保持部30の形状は適宜任意に変更可能である。
例えば、図4に示すように、形状保持部30Aが、皮膜部20の突出部22の先端側端部より僅かに基端側の位置に設けられてもよいし、管軸方向にジグザグ状に往復しながら幅方向に延びるリング状部材であってもよい。
また、形状保持部30は、一部材ではなく、複数の部材から構成されていてもよい。
【0034】
更に、上記実施形態では、形状保持部30が骨格部10と接続されていない。これに対し、形状保持部30が骨格部10(例えば、一対の頂点12b)と接続されていてもよい。具体的には、例えば、骨格部10の一対の頂点12bと、形状保持部30の幅方向の両端部と、がそれぞれ接続されてもよい。
【0035】
更に、上記実施形態では、皮膜部20の突出部22は、基端側の第1部分22aと先端側の第2部分22bと、を有している。これに対し、突出部22は、第2部分22bを有さないように構成されてもよい。また、上記実施形態では、図2に示すように、突出部22は、管軸方向においてほぼ同一の幅を有している。これに対し、突出部22は、基端側の幅よりも先端側の幅が小さい形状を有してもよい。また、上記実施形態では、突出部22が有する流出口23は、幅方向にほぼ直線状に延びる扁平形状を有している。これに対し、流出口23は、例えば、管軸方向に対して交差する斜め方向に延びるように構成されてもよい。
【0036】
更に、骨格部10の本体部11の構造は、必ずしも複数のジグザグ環状部が管軸方向に並ぶように配置される構造に限定されない。例えば、図5に示す管状留置具1Aのように、本体部11Aは、金属線材が管軸方向にジグザグ状に往復しながら螺旋状に旋回するように構成されてもよい。また、この場合、一対の延出部12A,12Aは、そのように旋回する金属線材の一部が流出口23に向けて延びるように構成され得る。なお、この場合においても、一対の延出部12A,12Aは、互いに離れる向きに広がることで突出部22を幅方向に開くような力を突出部22に及ぼしてもよい。あるいは、一対の延出部12A,12Aは、そのような力を突出部22に及ぼしてもいなくてもよい。
【0037】
更に、上記実施形態では、管状留置具1は、胆管に留置されるように用いられている。しかし、管状留置具1は、逆流抑制効果を有する弁機能をより適正に発揮させることが求められる他の生体管腔に対して用いられてもよい。あるいは、管状留置具1は、そのような弁機能が求められない他の生体管腔に対して用いられてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 管状留置具
10 骨格部
11 本体部
11a 管端部
12 延出部
20 皮膜部
21 筒状部
22 突出部
23 流出口
30 形状保持部

図1
図2
図3
図4
図5