(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】現金自動預払機、端末装置、処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/20 20190101AFI20240214BHJP
G07F 19/00 20060101ALI20240214BHJP
G06Q 40/02 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
G07D11/20
G07F19/00
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2019178574
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501382487
【氏名又は名称】株式会社セブン銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】細川 達朗
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 輝広
(72)【発明者】
【氏名】柏熊 俊克
(72)【発明者】
【氏名】韮澤 和哉
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-227467(JP,A)
【文献】特開2019-106003(JP,A)
【文献】特開2006-260494(JP,A)
【文献】特開2014-120043(JP,A)
【文献】特開2002-042034(JP,A)
【文献】特開2003-346223(JP,A)
【文献】特開平09-245102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの
顔特徴情報と、ディスプレイに表示した所定のボタンを押下
し金額移動処理を指示した前記第二ユーザから
当該金額移動処理の指示の前に読み取った
顔特徴情報であってカメラによって現金自動預払機の前に近づいた前記第二ユーザを撮影することにより読み取った顔特徴情報との一致状態に基づく認証
を行い、当該認証が成功した場合に、前記
顔特徴情報と前記第一の口座とに紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動部と、
前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する画像送信部と、
を備える現金自動預払機。
【請求項2】
前記金額移動部は、前記第二ユーザの
顔特徴情報に基づいて前記第二ユーザの預金枠を特定し、当該特定した預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理が許可されている場合に、少なくとも前記
顔特徴情報の一致状態に基づく認証の成功に基づいて前記金額移動処理を実施する
請求項1に記載の現金自動預払機。
【請求項3】
前記金額移動部は、前記第二ユーザが前記金額移動処理に関して指定した金額情報に対する前記第一ユーザの許可に基づいて、前記金額移動処理を実施する
請求項1に記載の現金自動預払機。
【請求項4】
前記金額移動部は、前記金額情報のうち指定された金額情報の引出に関する前記金額移動処理を実施する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の現金自動預払機。
【請求項5】
前記金額情報の引出に関する前記金額移動処理を実施した後に、当該金額移動処理に関する第二ユーザの状態情報を前記第一ユーザの送信先へ送信する状態情報送信部と、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の現金自動預払機。
【請求項6】
前記状態情報は前記第二ユーザが保有する記録媒体が記憶する前記金額移動処理の後の金額情報である
請求項5に記載の現金自動預払機。
【請求項7】
前記金額移動部は、前記第一ユーザと前記第二ユーザの少なくとも一方に紐づいて記録された地域情報に、自装置の設置場所に関する情報が含まれない場合に、前記金額移動処理の実施を停止する
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の現金自動預払機。
【請求項8】
前記第一ユーザに関する送信先の装置と前記第二ユーザとを通信接続し、前記第一ユーザと前記第二ユーザとの間の通信コミュニケーションを補助するコミュニケーション部と、
を備える請求項1から請求項7の何れか一項に記載の現金自動預払機。
【請求項9】
第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの
顔特徴情報と、ディスプレイに表示した所定のボタンを押下
し金額移動処理を指示した前記第二ユーザから
当該金額移動処理の指示の前に読み取った
顔特徴情報であってカメラによって現金自動預払機の前に近づいた前記第二ユーザを撮影することにより読み取った顔特徴情報との一致状態に基づく認証
を行い、当該認証の成功と、前記第二ユーザの前記金額移動処理に対する前記第一ユーザの許可とに基づいて、前記
顔特徴情報と前記第一の口座とに紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動部と、
を備える現金自動預払機。
【請求項10】
第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの
顔特徴情報と、ディスプレイに表示した所定のボタンを押下
し金額移動処理を指示した前記第二ユーザから
当該金額移動処理の指示の前に読み取った
顔特徴情報であってカメラによって現金自動預払機の前に近づいた前記第二ユーザを撮影することにより読み取った顔特徴情報との一致状態に基づく認証
を行い、当該認証が成功した場合に、前記
顔特徴情報と前記第一の口座とに紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動部と、
前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する画像送信部と、
を備える端末装置。
【請求項11】
現金自動預払機が、
第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの
顔特徴情報と、ディスプレイに表示した所定のボタンを押下
し金額移動処理を指示した前記第二ユーザから
当該金額移動処理の指示の前に読み取った
顔特徴情報であってカメラによって現金自動預払機の前に近づいた前記第二ユーザを撮影することにより読み取った顔特徴情報との一致状態に基づく認証
を行い、当該認証が成功した場合に、前記
顔特徴情報と前記第一の口座とに紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施し、
前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する
処理方法。
【請求項12】
現金自動預払機のコンピュータを、
第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの
顔特徴情報と、ディスプレイに表示した所定のボタンを押下
し金額移動処理を指示した前記第二ユーザから
当該金額移動処理の指示の前に読み取った
顔特徴情報であってカメラによって現金自動預払機の前に近づいた前記第二ユーザを撮影することにより読み取った顔特徴情報との一致状態に基づく認証
を行い、当該認証が成功した場合に、前記
顔特徴情報と前記第一の口座とに紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動手段、
前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する画像送信手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機、端末装置、処理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
子供や収入の少ない老齢者などの遠隔にいる第三者にお金を渡す場合、これまではお金の受取者に事前に手渡しでお金を渡すか、受取者の口座にお金を振り込んで、受取者が現金自動預払機を用いてそのお金を引き出す処理を行うことが多い。関連する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1には発行されたカードを用いて現金の取引を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
突然お金が必要となった遠隔にいる子供などの第三者が、お金を受け取る際に利用が必要な機器やカード類を保持せずとも現金自動預払機を用いて容易にお金を渡すことができる技術が求められている。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する現金自動預払機、端末装置、処理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、現金自動預払機は、第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの生体情報と金額移動処理を指示した前記第二ユーザから読み取った生体情報との一致状態に基づく認証が成功した場合に、前記第一の口座に紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動部と、前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する画像送信部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、現金自動預払機は、第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの生体情報と金額移動処理を指示した前記第二ユーザから読み取った生体情報との一致状態に基づく認証の成功と、前記第二ユーザの前記金額移動処理に対する前記第一ユーザの許可とに基づいて、前記第一の口座に紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、端末装置は、第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの生体情報と金額移動処理を指示した前記第二ユーザから読み取った生体情報との一致状態に基づく認証が成功した場合に、前記第一の口座に紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動部と、前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する画像送信部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、処理方法は、第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの生体情報と金額移動処理を指示した前記第二ユーザから読み取った生体情報との一致状態に基づく認証が成功した場合に、前記第一の口座に紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施し、前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、プログラムは、現金自動預払機のコンピュータを、第一の口座を開設した第一ユーザに紐づく第二ユーザの生体情報と金額移動処理を指示した前記第二ユーザから読み取った生体情報との一致状態に基づく認証が成功した場合に、前記第一の口座に紐づく前記第二ユーザの預金枠として記録される金額情報に関する前記金額移動処理を実施する金額移動手段、前記金額移動処理を行う際に撮影した前記第二ユーザの撮影画像を前記第一ユーザに関する送信先へ送信する画像送信手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、突然お金が必要となった遠隔にいる子供などの第三者が、お金を受け取る際に利用が必要な機器やカード類を保持せずとも、現金自動預払機を用いて容易にお金を渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態によるATMシステムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるATMのインタフェースの一部を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるATMの制御装置のハードウェア構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態による制御装置の機能ブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるサーバ装置が記憶するユーザ管理テーブルを示す図である。
【
図6】本発明の第一実施形態によるATMの処理フローを示す図である。
【
図7】本発明の第二実施形態によるATMの処理フローを示す図である。
【
図8】本発明の第四実施形態によるATMシステムの処理フローを示す図である。
【
図9】本発明の第
五実施形態によるATMシステムの処理フローを示す図である。
【
図10】本発明のATMの最小構成を示す第一の図である。
【
図11】本発明の最小構成によるATMの処理フローを示す第一の図である。
【
図12】本発明のATMの最小構成を示す第二の図である。
【
図13】本発明の最小構成によるATMの処理フローを示す第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態によるATMシステムを、図面を参照して説明する。
図1はATMシステムの構成を示す図である。
本実施形態によるATMシステム100は、ATM1(現金自動預払機)と、サーバ装置2とが通信ネットワークを介して接続して構成する。ATM1は、一例としてはコンビニエンスストアなどの店舗内や、駅構内などの公共施設内に設置される。ATM1は、主に、ユーザが自身の口座からの現金の出金、または自身の口座への入金、または自身の口座から他ユーザの開設した他口座への振込、などの金額移動処理の実施を受け付ける装置である。サーバ装置2にはATM1の多数が通信接続されてよい。サーバ装置2は、ATM1を利用するユーザ(子)の親などの携帯端末3とも通信接続する。
図1においては説明の便宜上、1台のATM1のみを図示する。ATM1はユーザの顔や、ユーザの周囲画像を撮影するカメラ51を備える。
【0014】
図2はATMのインタフェースの一部を示す図である。
図2で示すようにATM1はメインディスプレイ11、NFC(Near field communication)アンテナ12、コードリーダ14、貨幣排出口16、カード投入口17、レシート排出口18等を備える。なお
図2には図示していないが、現金自動預払機1はその他のハードウェア構成として、メインディスプレイ11の上方に設けられたサブディスプレイ、スピーカ、テンキー、などが設けられているが、説明の便宜上、それらの詳細な説明は省略する。
【0015】
メインディスプレイ11には操作の案内画面等が表示される。メインディスプレイ11は、タッチパネルの機能を有しており、ユーザが画面にタッチした位置を検出し、またその検出位置に応じたボタンの処理を実行する。
NFCアンテナ12は、メインディスプレイ11の下方に設けられた水平台座部91に内蔵されている。
コードリーダ14は、水平台座部91の台座面に載置された紙媒体や、ユーザの携帯端末の表示するコード情報を読み取る。コード情報はバーコードや二次元コード等であってよい。
貨幣排出口16は、本実施形態においては紙幣が排出される排出口である。
カード投入口17は、クレジットカード、銀行キャッシュカード、その他ICカードを引き込むと共に、それらカードに記録された情報に基づく処理が完了したのちに当該カードを排出する。
レシート排出口18は、金額移動処理などの処理結果等を印字したレシートを排出する。
【0016】
図3はATMの制御装置のハードウェア構成図である。
この図が示すようにATM1に内蔵される制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)10-1、ROM(Read Only Memory)10-2、RAM(Random Access Memory)10-3、SSD(Solid State Drive)10-4、通信モジュール10-5等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。制御装置10は、上述した各ハードウェアを制御する。
【0017】
図4は制御装置の機能ブロック図である。
制御装置10は、ATM1に電源が投入されると起動し、予め記憶する制御プログラムを実行する。これにより制御装置40には、制御部41、UI部42、撮影部43、認証部44、金額移動部45、画像送信部46、状態情報送信部47、コミュニケーション部48、の各機能を発揮する。
【0018】
制御部41は、一部の処理として、ATM1の制御のほか、他の機能部の制御を行う。
UI部42は、一部の処理として、ATMのメインディスプレイ11を介してユーザへの情報の出力、入力を行う。
撮影部43は、一部の処理として、ATM1を利用するユーザの顔とその背景を含む画像を撮影する。
認証部44は、一部の処理として、ATM1を利用するユーザの生体認証を行う。本実施形態において認証部44は、ユーザの顔画像を用いて認証を行う。
【0019】
金額移動部45は、一部の処理として、引出処理、入金処理、振込処理などの金額移動処理を行う。具体的には、一例としてATM1を利用するユーザが子供である場合、その子供の親(第一ユーザ)に紐づいて予め記録される子(第二ユーザ)の生体情報と、ATM1を用いて金額移動処理を指示したユーザから読み取った顔画像(生体情報)との一致状態に基づく認証が成功した場合に、親の口座に紐づく当該ユーザである子の預金枠として記録される金額情報に関する金額移動処理を実施する。
【0020】
画像送信部46は、一部の処理として、金額移動処理を行う際に撮影したユーザ(子)の撮影画像を、そのユーザに紐づく他のユーザ(親)に関する送信先へ送信する。送信先は一例としては、当該他のユーザ(親)が所持する携帯端末3である。
【0021】
状態情報送信部47は、一部の処理として、金額情報の引出に関する金額移動処理を実施した後に、ATM1を利用するユーザ(子)の、当該金額移動処理に関する状態情報を、そのユーザに紐づく他のユーザ(親)の送信先へ送信する。
【0022】
コミュニケーション部48は、一部の処理として、ATM1を利用するユーザ(子)に紐づく他のユーザ(親)に関する送信先(携帯端末3など)の装置と、ATM1を利用するユーザ(子)とを通信接続し、当該ユーザ間の通信コミュニケーションを補助する。具体的にはATM1は電話機能を備え、ユーザが受話器を上げた場合に、他のユーザである親の携帯端末3へ直接、通話処理を行う。
【0023】
これらの機能を備えることにより、ATM1は、一例として、第一の口座を開設した第一ユーザである親に紐づく第二ユーザである子の生体情報と、ATM1に金額移動処理を指示した第二ユーザである子から読み取った生体情報との一致状態に基づく認証が成功した場合に、親の口座に紐づく子の預金枠として記録される金額情報に関する金額移動処理を実施する。そして、ATM1は、金額移動処理を行う際に撮影した子の撮影画像を親に関する送信先へ送信する。
【0024】
このような処理により、突然お金が必要となった遠隔にいる子供などの第三者が、お金を受け取る際に利用が必要な機器やカード類を保持していない状況であっても、親などの第一ユーザはATM1を用いて容易に第三者である第二ユーザへお金を渡すことができる。以下、ATMシステム100の処理の詳細について説明する。
【0025】
図5はサーバ装置が記憶するユーザ管理テーブルを示す図である。
この図が示すようにサーバ装置2は、第一ユーザの口座番号(以降、第一口座番号と呼ぶ)、第二ユーザの口座番号(以降、第二口座番号と呼ぶ)、第二ユーザの顔特徴情報、サービス提供条件、を少なくとも対応付けて、ユーザ管理テーブルで記憶している。またサーバ装置2は、第一ユーザの口座番号に紐づく口座情報、第二ユーザの口座番号に紐づく口座情報を保持している。口座情報には口座名義人情報、預入金額、携帯端末3の送信先アドレス、住所、電話番号などの情報が含まれる。サービス提供条件には、緊急サービス許可フラグ、金額移動上限金額、サービス利用地域、サービス利用時間、などの情報が含まれてよい。これらサービス提供条件の詳細については後述する。ユーザ管理テーブルに記録されているこれら情報は予め、第一ユーザや、第二ユーザが、ATM1を管理する金融機関などに提示した情報に基づいて記録される。以下、第一ユーザが親、第二ユーザが第一ユーザの子である場合を例に説明を行う。
【0026】
<第一実施形態>
図6は第一実施形態によるATMの処理フローを示す図である。
子は、突然お金が必要になった場合、近くのコンビニエンスストア等に設置されているATM1に向かい、ATM1の前に立つ。ATM1の撮影部43の制御により、カメラ51は、数ミリ秒間隔などで画像を撮影する(ステップS101)。撮影部43はカメラ51から順次、撮影された画像を取得する。撮影部43は、取得した画像内に人の顔が映っているかを判定する(ステップS102)。撮影部43は、画像内に人の顔が映っている場合には、画像を認証部44へ出力する。認証部44は、画像を一時、メモリ等の記憶部に記録する。また撮影部43は、画像内に人の顔が映っている場合、UI部42に処理開始を指示する。
【0027】
UI部42は、メインディスプレイ11にメイン画像を出力する(ステップS103)。当該メイン画像には、ユーザが操作を指示するためのアイコンボタンがいくつか表示される。アイコンボタンの中には、ユーザが、銀行キャッシュカードを保持していなくともお金を引き出すことのできるサービスの名称が記載されたアイコンボタンが存在する。当該サービス名称を、一例として「緊急引出サービス」と呼ぶこととする。ユーザが、緊急引出サービスに対応するアイコンボタンにタッチする。UI部42は、ユーザが緊急引出サービスに対応するアイコンボタンにタッチしたことを検出する(ステップS104)。するとUI部42は、認証部44へ認証開始を指示する。なおUI部42は暗証番号画面をメインディスプレイ11に表示して、ユーザによる暗証番号の入力を求めてもよい。この場合、UI部42は、入力された暗証番号を、認証部44へ出力する。この暗証番号の代替として、NFC媒体の固有IDや、事前に固有の暗証番号を二次元バーコード等の形により出力した可搬媒体記録情報(該可搬媒体記録情報は、ユーザが操作する端末に表示する情報、紙に印字する情報等である)を、ATM1のNFCアンテナ12やコードリーダ14で読み取って、その情報をUI部42が取得し、認証部44へ出力するようにしてもよい。
【0028】
認証部44は、一時的にメモリに記録した画像を読み取る。認証部44は、画像に映るユーザの顔の特徴情報を算出する。認証部44は、顔の特徴情報をサーバ装置2へ送信する(ステップS105)。認証部44は、暗証番号や固有IDや可搬媒体記録情報を受け付けた場合には、当該暗証番号や固有IDや可搬媒体記録情報を、顔の特徴情報と共にサーバ装置2へ送信する。サーバ装置2は、ATM1から受信した顔の特徴情報と一致する特徴情報を、ユーザ管理テーブルに保持しているかを判定する。サーバ装置2は、その特徴情報をユーザ管理テーブルに保持している場合、ユーザ管理テーブルに特徴情報に紐づいて登録されている親の第一口座番号と、ATM1を現在利用している子の第二口座番号とを読み取る。サーバ装置2は、第一口座番号と第二口座番号とを含む認証成功信号を、ATM1へ送信する。サーバ装置3は暗証番号や固有IDや可搬媒体記録情報を受信した場合には、当該暗証番号を、顔の特徴情報と紐づけて予め記憶しているか、または固有IDや可搬媒体記録情報が正しい情報かをさらに判定し、暗証番号を顔の特徴情報と紐づけて記憶している場合や、固有IDや可搬媒体記録情報が正しい情報である場合に、認証成功信号をAMT1へ送信してよい。サーバ装置4は、ATM1を利用するユーザの顔の特徴情報をユーザ管理テーブルに保持していない場合、認証不成功信号をATM1へ送信する。ATM1の制御部41は認証成功信号を受信したか、認証不成功信号を受信したかを判定する(ステップS106)。ATM1の制御部41は認証不成功信号を受信した場合には処理を中止する。例えばATM1の制御部41は、認証不成功信号を認証部44へ出力する。認証部44は認証不成功をUI部42へ出力する。UI部42は、メインディスプレイ11に、緊急引出サービスの利用不可を示す情報を出力する。
【0029】
ATM1の制御部41は、認証成功信号を受信した場合、その認証成功信号の情報を認証部44へ出力する。認証部44は、認証成功信号の受信に基づいて認証成功を検知する。認証部44は、認証成功を検知すると、緊急引出サービスの開始をUI部42へ出力する。また認証部44は、認証成功信号に含まれる第一口座番号と第二口座番号とを、メモリ等に記録する。なお第一口座番号と第二口座番号とは、緊急引出サービスの提供を受けるユーザに関する情報の一例である。サーバ装置2はATM1へ、この情報に代えて、例えば、緊急引出サービスの提供を受けるATM1を現在利用しているユーザ(子)の情報が特定できる情報であれば、例えば第一口座番号や第二口座番号に紐づいてサーバ装置2で保持するよう生成した管理IDや、第二口座番号のみを、送信し、ATM1がそれらの情報を記録しておくようにしてもよい。
【0030】
UI部42は緊急引出サービスの開始を検知する。するとUI部42は、緊急引出サービス画面を、メインディスプレイ11へ出力する(ステップS107)。緊急引出サービス画面には、一例として、引出金額入力欄、引出開始ボタン、連絡ボタン、などが表示される。
【0031】
ユーザが、緊急引出サービス画面が表示されている状態で、ATM1のテンキーを操作して引出金額を入力する。UI部42は、引出金額入力欄に引出金額を表示すると共に、その金額情報を記憶する。またユーザが、緊急引出サービス画面が表示されている状態で、引出開始ボタンを押下したとする。UI部42は引出開始ボタンの押下を検出する(ステップS108)。するとUI部42は、記憶する引出金額を含む緊急引出要求を金額移動部45へ出力する。
【0032】
金額移動部45は、緊急引出要求を取得する。金額移動部45は、メモリから一時的に記録している第一口座番号と第二口座番号とを読み取る。金額移動部45は、第一口座番号、第二口座番号、緊急引出要求に含まれる引出金額を含む、緊急引出制御信号を生成する。金額移動部45は、緊急引出制御信号をサーバ装置2へ送信する(ステップS109)。
【0033】
サーバ装置2は、緊急引出制御信号を受信する。サーバ装置2は、緊急引出制御信号に含まれる、第一口座番号、第二口座番号、引出金額を読み取る。サーバ装置2は、第一口座番号と、第二口座番号とに紐づいて、ユーザ管理テーブルに記録されているサービス提供条件を読み取る。サーバ装置2は、サービス提供条件に含まれる情報のうち、緊急サービス許可フラグがONになっているかを判定する。この判定は、金額移動処理のうちの引出処理を許可するかを判定する処理の一態様である。なお、緊急サービス許可フラグは、親の事前の申請に基づいて、ATM1を管理する金融機関がそのフラグをONと設定する。つまり、親は自分の子が緊急引出サービスを受けたい場合には、直ちに、近くのATM1から貨幣を引き出すことができるよう、事前にそのサービスをATM1を管理する金融機関に申請している。
【0034】
サーバ装置2は、緊急サービス許可フラグがONになっている場合には、ATM1を利用するユーザに関する緊急引出サービスを許可すると判定する。サーバ装置2は、緊急引出サービスを許可すると判定した場合、第一口座番号と第二口座番号とに紐づいてユーザ管理テーブルに記録されている第一ユーザである親の携帯する携帯端末3の送信先アドレスを読み取る。サーバ装置2は、引出金額の情報と、親の携帯端末3の送信先アドレスとを含む緊急引出許可信号をATM1へ送信する。またサーバ装置2は、第二口座番号に関する口座情報において、預入金額から引出金額を減じる引出処理を行う。これによりATM1を利用するユーザ(第二ユーザ)の口座情報で示される預入金額が、引出処理後の預入金額へと更新される。
【0035】
なおサーバ装置2は、緊急引出サービスを行う際に、子供の口座である第二口座番号に関する口座情報において、預入金額から引出金額を減じる引出処理を行ってもよいし、親の口座である第一口座番号に関する口座情報において、預入金額から引出金額を減じる引出処理を行ってもよい。または、サーバ装置2は、緊急引出サービスを提供するために、緊急引出制御信号を受信した後に、第一口座番号の口座情報から第二口座番号の口座情報へ引出金額を移動させたのち、第二口座番号の口座情報において、預入金額から引出金額を減じる引出処理を行ってもよい。または、サーバ装置2は、第一口座番号の口座情報において、予め設定された子供専用の預金枠の預入金額から、引出金額を減じる引出処理を行ってもよい。または、サーバ装置2は、第一口座番号の口座情報において、予め設定された子供専用の預金枠の預入金額から、引出金額を第二口座番号の口座情報に移動させたのち、その第二口座番号の口座情報において、引出金額を減じる引出処理を行ってもよい。これら子供専用の預金枠への入金は、予め親が行う。つまり、緊急引出サービスを行う場合の引出元となり得る、第一口座番号が示す口座、または第二口座番号が示す口座、または第一口座番号の口座に設定された預金枠などは全て、子である第二ユーザの預金枠である。
【0036】
ATM1は、緊急引出許可信号を受信する(ステップS110)。制御部41は、緊急引出許可信号を金額移動部45へ出力する。金額移動部45は、緊急引出許可信号の取得に基づいて、金額移動処理の一態様である引出処理が許可されたことを検知する。金額移動部45は、緊急引出許可信号に含まれる引出金額を特定する。金額移動部45は、ATM1に格納されている貨幣のうち、引出金額に相当する貨幣の排出制御を行う(ステップS111)。これにより、ATM1は貨幣排出口16から、引出金額に相当する貨幣を排出する。ユーザは、排出された貨幣を取り出すことができる。
【0037】
以上の処理によれば、ATM1を利用するユーザは、突然お金が必要となった場合に、ICカード等などを保持していない状況であっても、ATM1を用いて容易にお金を受け取ることができる。
【0038】
金額移動部45は、貨幣の排出が完了したことを検出する。すると金額移動部45は、画像送信部46と状態情報送信部47に、緊急引出許可信号から読み取った、親の携帯端末3の送信先アドレスを含む排出完了信号を出力する。画像送信部46は、排出完了信号を取得すると、その排出完了信号から親の携帯端末3の送信先アドレスを読み取る。また画像送信部46は、排出完了信号を取得すると、撮影部43がカメラ51から取得した画像を取得する。画像送信部46は、親の携帯端末3の送信先アドレスに、取得した画像を送信する(ステップS112)。なお、撮影部43は、カメラ51を制御して、ATM1を利用するユーザが、緊急引出サービスの開始を指示したタイミングなどの所定の撮影開始時刻から継続して当該ユーザを含む背景を複数回撮影し、それら画像を順次取得してもよい。そして、画像送信部46にそれら、複数の画像を出力してもよい。画像送信部46は、カメラ51が撮影した動画像を、親の携帯端末3に送信してもよい。これにより、親は、緊急引出サービスを利用した子供と、その周囲の状況を、画像を見ることで確認することができる。
【0039】
状態情報送信部47は、金額移動部45から排出完了信号を取得すると、排出完了信号から親の携帯端末3の送信先アドレスを読み取る。また状態情報送信部47は、ATM1の記憶部に予め記録されている、ATM1の設置されている住所、ATM1が設置されているコンビニエンスストアの店名を読み取る。また状態情報送信部47は、貨幣の排出が完了した時刻を検出する。また状態情報送信部47は、ユーザが緊急引出サービスにおいて引出た引出金額を金額移動部45から取得する。状態情報送信部47は、ATM1の設置されている住所、店名、引出金額情報、貨幣排出の完了時刻を含む、状態情報を生成する。この状態情報は、金額情報の引出に関する金額移動処理を実施した後に、金額移動処理を操作した第二ユーザとなる子の現在の状態情報(どこで、いつ、いくらの金額を引き出したかの状態)を示す情報である。状態情報送信部47は、状態情報を、ATM1を利用した子の親の携帯端末3の送信先アドレスに送信する(ステップS113)。これにより、親は、自分の子が、どこで、いつ、いくらの金額を引き出したかを把握することができる。
【0040】
上述の処理においては、ATM1とサーバ装置2とが連携して、緊急引出サービスをユーザに提供する場合について説明したが、ATM1とサーバ装置2とは、金額移動処理として緊急引出サービスの他、緊急入金サービス、緊急振込サービスなどを行ってもよい。この場合、ユーザは、ATM1のメインディスプレイ11に出力されたメイン画面において、緊急入金サービスや、緊急振込サービスのボタンを押下する。すると、同様の処理によりATM1のUI部42は緊急入金サービス画面や、緊急振込サービス画面を出力する。ユーザが緊急入金サービス画面や、緊急振込サービス画面において、入金金額の入力や、振込金額と振込先との入力を行うと、ATM1の金額移動部45は、入力された情報を含む緊急入金制御信号や、緊急振込制御信号をサーバ装置2へ送信する。サーバ装置2は、緊急引出サービスとの処理と同様に、緊急入金許可信号や緊急振込許可信号をATM1へ送信する。この時、サーバ装置2は、ATM1を利用するユーザ(子)の預金枠に基づいて、入金や振込の処理を行う。つまり入金時には当該預金枠の金額に入金額を加算し、振込時には当該預金枠の金額から振込金額を減じて、振込先への金額移動の処理を行う。そして、これらの処理が終了すると、ATM1の画像送信部46は、ユーザ(子)の画像を親の携帯端末3へ送信し、また状態情報送信部47はユーザ(子)の状態情報を親の携帯端末3へ送信する。
【0041】
<第二実施形態>
図7は第二実施形態によるATMの処理フローを示す図である。
上述の処理においては、ATM1は、サーバ装置2から緊急引出許可信号を受信した場合に、貨幣を排出している。しかしながらATM1は、貨幣を排出する代わりに、ユーザ(子)が携帯する端末やNFCカードなどの電子マネー記録媒体に対して、電子マネーの情報を送信するようにしてもよい。この場合、AMT1は、ステップS101~ステップS110までを同様に処理して、緊急引出許可信号を受信する。ATM1の金額移動部45は、貨幣の排出制御を行う代わりに、引出金額の情報を含む電子マネー送信信号を生成する。金額移動部45は、UI部42に電子マネー送信開始を出力する。UI部42は、メインディスプレイ11に電子マネーの送信開始をユーザへ通知する文章と、電子マネーの記録媒体をNFCアンテナ12に翳すよう指示する文章とを表示する、電子マネー送信通知画像をメインディスプレイ11に出力する(ステップS201)。
【0042】
ユーザは、電子マネー送信通知画像を視認する。ユーザは、電子マネー記録媒体をNFCアンテナ12に翳す。金額移動部45は、NFCアンテナ12を制御して電子マネー記録媒体と通信接続する制御を行い、電子マネー送信信号の送信指示を行う(ステップS202)。NFCアンテナ12は、金額移動部45の制御に基づいて、電子マネー記録媒体と通信し、電子マネー送信信号を送信する。電子マネー記録媒体は電子マネー送信信号を受信する。電子マネー記録媒体は電子マネー送信信号から引出金額の情報を読み取り、メモリに記録されている金額情報と引出金額とを合計して、そのメモリに記録されている金額情報を、新たに合計した引出後の金額情報に更新する。電子マネー記録媒体は、メモリにおいて更新された新たな引出後の金額情報をAMT1のNFCアンテナ12へ送信する。ATM1は電子マネー記録媒体の引出後の金額情報を受信する(ステップS203)。
【0043】
ATM1の金額移動部45は、電子マネー記録媒体の引出後の金額情報を受信することにより、電子マネーによる引出処理が完了したことを検出する。すると金額移動部45は、画像送信部46と状態情報送信部47に、緊急引出許可信号から読み取った、親の携帯端末3の送信先アドレスを含む引出完了信号を出力する。画像送信部46は、親の携帯端末3の送信先アドレスを取得する。また画像送信部46は、撮影部43がカメラ51から取得した画像を取得する。画像送信部46は、ステップS112と同様に、親の携帯端末3の送信先アドレスに画像を送信する。この画像は第一実施形態で説明したように動画像であってもよい。
【0044】
また、金額移動部45は、電子マネー記録媒体の引出後の金額情報を状態情報送信部47へ出力する。これにより状態情報送信部47は、第一実施形態で説明した状態情報に格納した情報に加え、さらにATM1を利用したユーザの電子マネー記録媒体が記憶する引出後の金額情報を含む状態情報を生成する。そして状態情報送信部47は、ATM1を利用したユーザの電子マネー記録媒体が記憶する引出後の金額情報を含む状態情報を、そのユーザの親の携帯端末3へ送信する。これにより、親は、子どもが電子マネー記録媒体に記憶している引出後の貨幣の量を認識することができる。状態情報は、少なくとも金額移動処理に関する第二ユーザ(子)の状態(保持する金額)を示す情報である。
【0045】
<第三実施形態>
ATMシステム100は、緊急引出サービスの実施を制限するようにしてもよい。例えば、ATM1の金額移動部45は、上述のステップS109において、さらに、ATM1の識別番号を含む緊急引出制御信号を、サーバ装置2へ送信する。つまり緊急引出制御信号には、第一口座番号、第二口座番号、緊急引出要求に含まれる引出金額、ATM1の識別番号が含まれる。サーバ装置2は、緊急引出制御信号を受信すると、その信号に含まれるATM1の識別番号を読み取る。サーバ装置2は、第一口座番号と第二口座番号とに紐づいてユーザ管理テーブルに記録されているサービス提供条件の中から、サービス利用地域の情報を特定する。サーバ装置2は、ATM1の識別番号に紐づいて予め記憶する設置位置情報を検出する。サーバ装置2は、ATM1の設置位置情報が、サービス利用地域に含まれるかを判定する。サーバ装置2は、ATM1の設置位置情報が、サービス利用地域に含まれる場合、緊急引出許可信号を生成してATM1へ送信する。以降のATM1は、ステップS110以降の第一実施形態または第二実施形態の処理を行う。
【0046】
サーバ装置2は、ATM1の設置位置情報が、サービス利用地域に含まれない場合、緊急引出拒否信号を生成してATM1へ送信する。ATM1の制御部41は、緊急引出拒否信号を受信した場合には、緊急引出サービスの処理を停止する。制御部41は、UI部42に処理停止を指示する。UI部42は緊急引出サービスの処理停止画面をメインディスプレイ11に出力する。
【0047】
以上の処理によれば、親は子が緊急引出サービスを利用できる地域を制限することができる。
【0048】
サーバ装置2は、サービス提供条件に含まる他の情報に基づいて、親が子の緊急引出サービスの提供を受ける際の条件に基づく、利用制限を行うようにしてもよい。例えば、サーバ装置2は、上述のステップS109におけるATM1の金額移動部45の処理に基づいて、緊急引出制御信号を受信する。サーバ装置2は、緊急引出制御信号に含まれる第一口座番号、第二口座番号、引出金額を取得する。サーバ装置2は、第一口座と第二口座とに紐づいてユーザ管理テーブルに記録されているサービス提供条件のうち、金額移動上限金額を読み取る。サーバ装置2は、他の実施形態において行う処理の他、引出金額が金額移動上限金額以下であるかを判定する。サーバ装置2は、引出金額が金額移動上限金額以下である場合には、緊急引出許可信号を生成して、ATM1へ送信する。
【0049】
以上の処理によれば、親は子が緊急引出サービスを利用して引き出す金額の上限を指定することができる。
【0050】
サーバ装置2は、サービス提供条件に含まれるサービス利用時間に基づいて、子が緊急引出サービスを利用できる時間を制限してもよい。この場合、サーバ装置2は、上述のステップS109におけるATM1の金額移動部45の処理に基づいて、緊急引出制御信号を受信する。サーバ装置2は、緊急引出制御信号を受信した時刻を特定する。サーバ装置2は、第一口座と第二口座とに紐づいてユーザ管理テーブルに記録されているサービス提供条件のうち、サービス利用時間を読み取る。サーバ装置2は、他の実施形態において行う処理の他、緊急引出制御信号を受信した時刻がサービス利用時間に含まれる場合には、緊急引出許可信号を生成して、ATM1へ送信する。
【0051】
以上の処理によれば、親は子が緊急引出サービスを利用して引き出すタイミングを制限することができる。
【0052】
<第四実施形態>
図8は第四実施形態によるATMシステムの処理フローを示す図である。
上述の第一実施形態~第三実施形態の処理においては、認証が成功した場合には、親の設定に基づいて事前に親の第一口座に紐づく子に関する預金枠に記録される金額情報のうち、指定した引出金額を自由に子が引出処理を行うことができる。しかしながら、子が緊急引出サービスを利用する際に、親の許可を受けた場合にのみそのサービスの提供を受けることができるようにしてもよい。
【0053】
この場合、ATM1は第一実施形態と同様に、ステップS101~ステップS109の処理を行う。そしてサーバ装置2が緊急引出制御信号を受信すると、緊急引出制御信号に含まれる、第一口座番号、第二口座番号、引出金額を読み取る。サーバ装置2は、第一口座番号と、第二口座番号とに紐づいて、ユーザ管理テーブルに記録されているサービス提供条件を読み取る。サーバ装置2は、サービス提供条件に含まれる情報のうち、緊急サービス許可フラグがONになっているかを判定する。サーバ装置2は、緊急サービス許可フラグがONになっている場合、第一口座番号と第二口座番号に紐づいてユーザ管理テーブルに記録されている第一ユーザである親の携帯する携帯端末3の送信先アドレスを読み取る。サーバ装置2は、その携帯端末3の送信先アドレスに、引出金額を含む引出許可要請を送信する(ステップS401)。緊急引出制御信号にATM1の識別番号が含まれる場合には、サーバ装置2は、ATM1の設置位置情報や店舗名を検出し、それらの情報を含む引出許可要請を送信してもよい。
【0054】
親の携帯端末3は引出許可要請を受信する。当該携帯端末3は、引出許可要請に含まれる引出金額を表示すると共に、親が引出許可または引出拒否を指示する為のボタンを表示する許可要請画面を、ディスプレイに出力する(ステップS402)。また携帯端末3は、引出許可要請に含まれるATM1の設置位置情報や店舗名を検出し、それらの情報を含む許可要請画面をディスプレイに表示してよい。親は、許可要請画面を確認し、引出許可または引出拒否のボタンを押下する。これにより親は、子が要請する緊急引出サービスの利用を許可または拒否することができる。携帯端末3は、引出許可ボタンの押下操作が行われた場合には、引出許可信号をサーバ装置2へ送信する。携帯端末3は、引出拒否ボタンの押下操作が行われた場合には、引出拒否信号をサーバ装置2へ送信する。サーバ装置2は、親の携帯端末3から引出許可信号を受信した場合には、ATM1を利用するユーザに関する緊急引出サービスを許可すると判定し、ATM1へ引出許可信号を送信する(ステップS403)。他方、サーバ装置2は、親の携帯端末3から引出拒否信号を受信した場合には、ATM1を利用するユーザに関する緊急引出サービスを拒否すると判定し、ATM1へ引出拒否信号を送信する。
【0055】
ATM1は引出許可信号を受信した場合、ステップS110以降の処理を行う。またATM1は引出拒否信号を受信した場合、緊急引出サービスの処理を停止する。
【0056】
以上の処理によれば、親は子が緊急引出サービスを受けることを検知することができ、またその時の状況に応じて、当該サービスを受けることの許可または拒否を自由に指示することができる。
【0057】
第四実施形態は、金額移動部45が、第一の口座を開設した第一ユーザ(親)に紐づく第二ユーザ(子)の生体情報と金額移動処理を指示した第二ユーザ(子)から読み取った生体情報との一致状態に基づく認証の成功と、第二ユーザ(子)の金額移動処理に対する第一ユーザ(親)の許可とに基づいて、第一の口座に紐づく第二ユーザ(子)の預金枠として記録される金額情報に関する金額移動処理を実施する処理態様の一例である。
【0058】
<第五実施形態>
図9は第五実施形態によるATMシステムの処理フローを示す図である。
上述の各実施形態においてATM1のコミュニケーション部28は、親の携帯端末3と、ATM1に敷設される電話機能とを通信接続し、親と子の通信コミュニケーションを補助するようにしてもよい。ATM1を利用するユーザは、ATM1の上述した緊急引出サービスの操作をしている際に、何らかの問題が生じた場合、ATM1に敷設される電話機能の受話器を上げる。またはユーザは、緊急引出サービス画面に表示されている連絡ボタン、を押下操作し、受話器を上げる。
【0059】
するとATM1のコミュニケーション部48は、受話器が上げられたこと、または連絡ボタンが押下されたことを検知する(ステップS501)。コミュニケーション部48は、受話器が上げられる、または連絡ボタンが押下された後に受話器が上げられると、ステップS105で送信した顔の特徴情報を含むコミュニケーション要求をサーバ装置2へ送信する(ステップS502)。サーバ装置2は、コミュニケーション要求に含まれる顔の特徴情報を特定し、当該特徴情報に基づいてユーザ管理テーブルに当該特徴情報が含まれるかを判定する。サーバ装置2は、ユーザ管理テーブルにユーザの顔の特徴情報が含まれる場合には、その特徴情報に紐づく親の第一口座番号を特定する。またサーバ装置2は第一口座番号に紐づく親の携帯端末3の電話番号を特定する。サーバ装置2は親の電話番号を、ATM1へ送信する(ステップS503)。
【0060】
ATM1のコミュニケーション部48は、電話番号を取得する。ATM1のコミュニケーション部48は、親の電話番号に発信する(ステップS504)。これにより、親が携帯端末3でその発信を受信する(ステップS505)。コミュニケーション部48と携帯端末3は、当該親の携帯端末3と、ATM1の電話機能との間の通話処理を行う(ステップS506)。親と子は携帯端末3とATM1に敷設される電話機能を用いて通話を行うことができる。
【0061】
なおAMT1は、コミュニケーション部48とUI部42の処理とに基づいて、メインディスプレイ11にコミュニケーション画面を出力し、コミュニケーション画面において選択された、スタンプ画像や、アイコン画像などの画像を、親の携帯端末3へ送信し、または親の携帯端末3から受信したそれら画像を受信して表示する機能や、メッセージを送受信してメインディスプレイに出力する機能を備えてもよい。
【0062】
<その他の実施形態>
上述の処理に加え、ATM1の状態情報送信部47は、ユーザの電子マネー記録媒体に記録されている、電子マネーの利用履歴、電子マネーの金額の更新履歴(チャージ履歴)、商品の購入履歴などの情報を取得して、それらの情報を状態情報に格納して、サーバ装置2へ送信するようにしてもよい。この場合、状態情報送信部47は、排出完了信号または引出完了信号から、親の携帯端末3の送信先アドレスを読み取る。状態情報送信部47は、電子マネーの利用履歴、電子マネーの金額の更新履歴(チャージ履歴)、商品の購入履歴などの情報を含む状態情報を生成し、ATM1を利用した子の親の携帯端末3の送信先アドレスに送信する。これにより、親は、自分の子の電子マネーの利用履歴や商品購入行動を把握することができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の処理によれば、親は、突然お金が必要となった遠隔にいる子供などの第三者が、お金を受け取るための機器やカード類を保持せずとも、ATM1を用いて容易にお金を渡すことができる。また子は、突然お金が必要となった場合に、ATM1を利用して貨幣を引き出すことができる。
【0064】
図10はATMの最小構成を示す第一の図である。
図11は最小構成によるATMの処理フローを示す第一の図である。
ATM1は、少なくとも金額移動部45と、画像送信部46とを備えればよい。
この場合ATM1の金額移動部45は、第一の口座を開設した第一ユーザ(親)に紐づく第二ユーザ(子)の生体情報と金額移動処理を指示した第二ユーザ(子)から読み取った生体情報との一致状態に基づく認証が成功した場合に、第一の口座に紐づく第二ユーザ(子)の預金枠として記録される金額情報に関する金額移動処理を実施する(ステップS601)。
またATM1の画像送信部46は、金額移動処理を行う際に撮影した第二ユーザ(子)の撮影画像を第一ユーザ(親)に関する送信先へ送信する(ステップS602)。
【0065】
図12はATMの最小構成を示す第二の図である。
図13は最小構成によるATMの処理フローを示す第二の図である。
ATM1は、少なくとも金額移動部45を備えるようにしてもよい。
この場合ATM1の金額移動部45は、第一の口座を開設した第一ユーザ(親)に紐づく第二ユーザ(子)の生体情報と金額移動処理を指示した第二ユーザ(子)から読み取った生体情報との一致状態に基づく認証の成功と、第二ユーザ(子)の金額移動処理に対する第一ユーザ(親)の許可とに基づいて、第一の口座に紐づく第二ユーザ(子)の預金枠として記録される金額情報に関する金額移動処理を実施する(ステップS701)。
【0066】
上述の処理においては、第一ユーザを親、第二ユーザを子としている。しかしながら第一ユーザと第二ユーザの関係は親子ではなく、親族に含まれるあるユーザと他のユーザの関係でもよい。例えば第一ユーザが成人した子、第二ユーザが老齢の親であってもよい。または第一ユーザと第二ユーザの関係は、親族に含まれないユーザ同士の関係であってもよい。
【0067】
上述の説明においては、各処理がATM1とサーバ装置2との間で行われる場合について説明したが、ATM1とは異なる端末装置が、上述のATM1と同様の処理を行うようにしてもよい。また上述のサーバ装置2で行われる処理の一部または全部を、ATM1が行うようにしてもよい。または、上述のATM1が行う処理の一部を、サーバ装置2が行うようにしてもよい。
【0068】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0069】
上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
1・・・ATM(現金自動預払機)
2・・・サーバ装置
11・・・メインディスプレイ
12・・・NFCアンテナ
14・・・コードリーダ
16・・・貨幣排出口
17・・・カード投入口
18・・・レシート排出口
91・・・水平台座部
10・・・制御装置
41・・・制御部
42・・・UI部
43・・・撮影部
44・・・認証部
45・・・金額移動部
46・・・画像送信部
47・・・状態情報送信部
48・・・コミュニケーション部