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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】果菜自動選別装置及び果菜受体
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20240214BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G47/68 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020037387
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2020146680
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019041241
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153119(JP,A)
【文献】特開昭62-130913(JP,A)
【文献】特開昭60-137479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0176655(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/36
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜を搬送する果菜搬送体と、当該果菜搬送体で搬送中の果菜の等階級を判別する計測判別手段と、果菜搬送体で搬送された果菜を取り出す果菜取出し手段と、果菜取出し手段で取り出された果菜を引き継いで先方に搬送する引継ぎ搬送体を備えた果菜自動選別装置において、
前記果菜搬送体は無端搬送体と当該無端搬送体に取り付けられた複数の果菜受体を備え、
前記無端搬送体は上段搬送部と当該上段搬送部の先方に設けられた下り傾斜部と当該下り傾斜部の先方であって前記上段搬送部よりも低い位置に設けられた下段搬送部を備え、
前記下り傾斜部の近傍に当該下り傾斜部を移動する果菜受体の姿勢を水平又は略水平に保持する姿勢保持ガイドが設けられ、
前記果菜搬送体は果菜受体を支持する支持バーを備え、
前記果菜受体は前記支持バーを挿通する貫通孔を備え、
前記貫通孔は前記果菜受体の搬送方向先方側と後方側に間隔をあけて設けられ、
前記搬送方向先方側の貫通孔は断面形状が果菜受体の上下方向に長い長孔であり、前記搬送方向後方側の貫通孔は断面形状が円形の丸孔である、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項2】
請求項1記載の果菜自動選別装置において、
果菜受体に姿勢保持ガイドに当接するガイド当接部が設けられ、
下り傾斜部を走行する果菜受体は、前記ガイド当接部が前記姿勢保持ガイドに当接することによって水平又は略水平な状態が保持される、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の果菜自動選別装置において、
姿勢保持ガイドが下り傾斜部を移動する果菜受体よりも低い位置に設けられた、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の果菜自動選別装置において、
果菜搬送体は果菜受体をガイドするガイドレールを備え、
前記ガイドレールは主レールと当該主レールから分岐する一本又は二本以上の分岐レールを備え、
前記各分岐レールの先方に各分岐レールにガイドされた果菜受体上の果菜を取り出す果菜取出し手段が設けられ、
前記各果菜取出し手段の先方に、各果菜取出し手段で取り出された果菜を引き継いで搬送する引継ぎ搬送体が設けられた、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項5】
請求項記載の果菜自動選別装置において、
果菜受体は一又は二以上のコンベア進入路を備え、
果菜取出し手段は前記コンベア進入路に進入可能な一又は二以上の取出しコンベアを備え、
前記取出しコンベアが前記果菜取出し手段に到達した果菜受体の前記コンベア進入路に進入することによって、当該果菜取出し手段に到達した果菜受体上の果菜が当該取出しコンベア上に取り出される、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【請求項6】
果菜自動選別装置の無端搬送体によって搬送される果菜受体において、
前記無端搬送体に取り付ける取付け部と、
果菜を載せる果菜載置部と、
前記無端搬送体の下り傾斜部の近傍に設けられた姿勢保持ガイドに当接するガイド当接部を備え、
前記取付け部に果菜搬送体の支持バーを挿通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔は前記果菜受体の搬送方向先方側と後方側に間隔をあけて設けられ、
前記搬送方向先方側の貫通孔は断面形状が果菜受体の上下方向に長い長孔であり、前記搬送方向後方側の貫通孔は断面形状が円形の丸孔である、
ことを特徴とする果菜受体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種果菜を等階級別に自動的に選別する果菜自動選別装置と、当該果菜自動選別装置に装備される果菜受体に関する。
【背景技術】
【0002】
胡瓜、茄子、ゴーヤ、ズッキーニのような長物果菜を等階級別に選別する果菜自動選別装置として、本件発明者が先に開発した果菜自動選別装置(特許文献1)がある。
【0003】
この果菜自動選別装置は、果菜搬送体の果菜受体に果菜を載せて搬送し、その搬送中に当該果菜を計測し、その計測結果に基づいて当該果菜を等階級別に判別し、判別済みの果菜を等階級別に振り分けて等階級別に選別する装置である。
【0004】
前記特許文献1記載の果菜自動選別装置では、下り傾斜部に到達した果菜受体の前方側が傾くため、果菜受体上の果菜が落下しないように、果菜受体の上面に転がり防止突起を設けたり、果菜受体の上方に落下防止具を設けたりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-153103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
果菜受体の上面に転がり防止突起を設けたり、果菜受体の上方に落下防止具を設けたりすることで、果菜受体上の果菜の落下を防止することはできるが、転がり防止突起や落下防止具を用いずに果菜の落下を防止する方策については開発の余地が残されていた。
【0007】
本発明の解決課題は、転がり防止突起や落下防止具を用いずに果菜の落下を防止することのできる果菜自動選別装置と、当該果菜自動選別装置に装備される果菜受体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、果菜を搬送する果菜搬送体と、当該果菜搬送体で搬送中の果菜の等階級を判別する計測判別手段と、果菜搬送体で搬送された果菜を取り出す果菜取出し手段と、果菜取出し手段で取り出された果菜を引き継いで先方に搬送する引継ぎ搬送体を備え、果菜搬送体は無端搬送体と当該無端搬送体に取り付けられた複数の果菜受体を備え、無端搬送体は上段搬送部と当該上段搬送部の先方に設けられた下り傾斜部と当該下り傾斜部の先方であって前記上段搬送部よりも低い位置に設けられた下段搬送部を備え、下り傾斜部の近傍に当該下り傾斜部を移動する果菜受体の姿勢を水平又は略水平に保持する姿勢保持ガイドが設けられたものである。
【0009】
[果菜受体]
本発明の果菜受体は、果菜自動選別装置の無端搬送体によって搬送されるものであって、無端搬送体に取り付ける取付け部と、果菜を載せる果菜載置部と、無端搬送体の下り傾斜部の近傍に設けられた姿勢保持ガイドに当接するガイド当接部を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、無端搬送体の下り傾斜部の近傍に果菜の姿勢を水平又は略水平に保持する姿勢保持ガイドが設けられているため、転がり防止突起や落下防止具がなくても果菜の落下を防止することができる。
【0011】
[果菜受体]
本発明の果菜受体は、姿勢保持ガイドに当接するガイド当接部を備えているため、姿勢保持ガイドを備えた果菜自動選別装置に搭載した場合に、水平又は略水平な姿勢を維持することができ、転がり防止突起や落下防止具がなくても果菜の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す斜視図。
図2】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す側面図。
図3】本発明の果菜自動選別装置の一例を示す平面図。
図4】(a)本発明の果菜受体の一例を示す斜視図、(b)は(a)の果菜受体が支持バーに取り付けられた状態の斜視図。
図5】主レールと分岐レールの動作説明図。
図6】果菜取出し手段の動作説明図。
図7】姿勢保持ガイドで水平又は略水平な姿勢が保持された果菜受体の説明図。
図8】(a)は支持ガイドの一例を示す正面図、(b)は押しガイドの一例を示す正面図、(c)は支持ガイドと押しガイドを用いて下り傾斜部を構成した場合の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
本発明の果菜自動選別装置及び果菜受体の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明の果菜自動選別装置は各種形状の果菜の自動選別に使用可能であるが、ここでは、果菜Aが胡瓜の場合を一例として説明する。
【0014】
図1図3に示すように、この実施形態の果菜自動選別装置は、果菜Aを搬送する果菜搬送体1と、果菜搬送体1で搬送中の果菜Aの等階級を判別する計測判別手段2と、果菜搬送体1で搬送された果菜Aを取り出す果菜取出し手段3と、果菜取出し手段3で取り出された果菜Aを引き継いで先方に搬送する引継ぎ搬送体4を備えている。
【0015】
この実施形態の果菜搬送体1は、間隔をあけて対向配置された二本の無端搬送体(ドライブチェーン)5と、それらドライブチェーン5の間に架設された細長の支持バー6と、支持バー6に横スライド可能に取り付けられた果菜受体7と、果菜受体7をガイドするガイドレール8を備えている。
【0016】
前記二本のドライブチェーン5は駆動回転体(例えば駆動スプロケットギア)9(図2参照)及び従動回転体(例えば従動スプロケット)10の外周に巻回して無端状にしてある。図2に示すように、両ドライブチェーン5は、駆動回転体9の回転により駆動回転体9の外周を下から上に回転し、従動回転体10の外周を上から下に縦回転して周回するようにしてある。
【0017】
この実施形態の果菜搬送体1は、上段搬送部1aと、上段搬送部1aの先方に設けられた下り傾斜部1bと、下り傾斜部1bの先方であって上段搬送部1aよりも低い位置に設けられた下段搬送部1cを備えている。
【0018】
前記上段搬送部1aは、果菜載せ領域と、計測領域と、振分け領域を備えている。果菜載せ領域は作業者が手作業で果菜受体7に果菜Aを載せる領域、計測領域は搬送中の果菜Aの形状や大きさ等を計測してその計測データに基づいて果菜Aの等階級を判別する領域、前記振り分け領域は計測判別手段2から送信される制御信号に基づいて搬送される果菜受体7上の果菜Aを等階級別に振り分ける領域である。
【0019】
前記果菜載せ領域には等階級判別前の果菜Aを載せておく果菜載せ台11が、前記計測領域には、搬送中の果菜Aの形状や大きさ等を計測し、その計測データに基づいて果菜Aの等階級を判別する計測判別手段2が、前記振り分け領域には、果菜受体7上の果菜Aを各等階級に振り分ける分岐レール8bが配設されている。
【0020】
前記ドライブチェーン5の間に架設された支持バー6はパイプ状又は棒状の細長材である。図1に示すように、支持バー6はドライブチェーン5の走行方向に間隔をあけて複数本設けられている。各支持バー6の長手方向両端部は、ドライブチェーン5のコマ同士を連結する連結ピンと同軸でドライブチェーン5に取り付けられている(図7)。支持バー6はドライブチェーン5の走行に伴ってドライブチェーン5と同方向に移動するようにしてある。
【0021】
図示は省略しているが、支持バー6の近傍(例えば、支持バー6の下方)には、支持バー6の撓みを防止するための支持具が設けられている。両ドライブチェーン5の間隔が広い場合、支持バー6が長くなって撓みが生じ易くなるが、支持具を設けることで支持バー6の撓みを防止することができる。この結果、果菜受体7の支持バー6の軸方向へのスライドがスムーズになる。支持具は必要に応じて設ければよく、不要な場合は省略することができる。
【0022】
前記果菜受体7は果菜Aを載せて搬送する部材である。この実施形態の果菜受体7は樹脂製である。一例として図4(a)(b)に示す果菜受体7は、支持バー6に取り付けられる取付け部7aと、果菜Aを載置するための果菜載置部7bと、後述する姿勢保持ガイド12(図7)に当接するガイド当接部7cを備えている。図4(a)(b)に示す例では、取付け部7aの上側に果菜載置部7bが、取付け部7aの下側にガイド当接部7cが設けられている。
【0023】
前記取付け部7aには、支持バー6が挿通する二本の貫通孔(以下、果菜受体7の搬送方向先方側の貫通孔を「前貫通孔7d」と、後方側の貫通孔を「後貫通孔7e」という)が形成されている。二本の貫通孔7d、7eは、取付け部7aの長手方向に沿って形成されている。二本の貫通孔7d、7eは果菜受体7の搬送方向に間隔をあけて平行に設けられている。前貫通孔7dは断面視縦長の長孔であり、後貫通孔7eは断面視真円状の丸孔である。両貫通孔7d、7eとも、果菜受体7が支持バー6に沿って横スライドできるように一定のクリアランスを確保してある。取付け部7aの底面にはガイドピン7fが下方に向けて突設されている。
【0024】
前記果菜載置部7bの上面には、載置した果菜Aが転がりにくいようにするための凹陥部7gが設けられている。凹陥部7gは果菜載置部7bの長手方向に沿って設けられている。凹陥部7gは必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することもできる。
【0025】
果菜載置部7bの上面には、果菜取出し手段3の取出しコンベア3aを(図6)差し込み可能なコンベア進入路7hが設けられている。この実施形態では、コンベア進入路7hが六本設けられている。コンベア進入路7hはこれより多くても少なくてもよい。コンベア進入路7hは果菜受体7の搬送方向先方側を広くして、取出しコンベア3aを差込みやすくしてある。
【0026】
前記取付け部7aの底面には二つのガイド当接部7cが設けられている。二つのガイド当接部7cは、取付け部7aの長手方向に間隔をあけて設けられている。この実施形態のガイド当接部7cは側面視略台形状のブロックであり、底面側には姿勢保持ガイド12に当接する当接傾斜面7iが設けられている。ガイド当接部7cは搬送方向先方側の面が、搬送方向後方側の面の高さよりも高くなるようにしてある。換言すれば、当接傾斜面7iが、搬送方向後方側から先方側に向けて低くなるような形状にしてある。
【0027】
前記ガイド当接部7cの構成は一例であり、これ以外の構成とすることもできる。例えば、角棒状あるいは丸棒状のガイド当接部7cを、取付け部7aや果菜載置部7bに外向きに突設させ、そのガイド当接部7cが姿勢保持ガイド12に当接することによって、果菜受体7の姿勢が水平又は略水平に維持されるようにすることもできる。
【0028】
前記ガイドレール8は、果菜受体7を案内するためのレールである。この実施形態のガイドレール8は、主レール8aと、主レール8aから分岐する複数本の分岐レール8bを備えている。各分岐レール8bの先方には果菜取出し手段3が設けられ、各果菜取出し手段3の先方には引継ぎ搬送体4が設けられている。
【0029】
この実施形態の主レール8aは、後述する上段搬送部1a、下り傾斜部1b及び下段搬送部1cに亘って設けられている。主レール8aは上方が開口した樋状の部材である。主レール8aは、上段搬送部1aに位置する部分は水平又は略水平であり、下り傾斜部1bに位置する部分は下り傾斜であり、下段搬送部1cに位置する部分は水平又は略水平である。
【0030】
この実施形態の各分岐レール8bは、上段搬送部1aと下段搬送部1cの夫々に設けられている。各分岐レール8bは、上段搬送部1aと下段搬送部1cの夫々に設けられた振り分け領域に設けられている。各分岐レール8bは終端側が各果菜取出し手段3に重なる位置までの長さとしてある。
【0031】
主レール8aと同様、この実施形態の各分岐レール8bも上方開口の樋状部材である。各分岐レール8bは分岐開始位置から終端までが水平又は略水平になるように設置されている。
【0032】
図5に示すように、主レール8aと各分岐レール8bの分岐部には切り替え片8cが配置されている。切り替え片8cは、計測判別手段2の判別データに基づいて首振りして、主レール8aと分岐レール8bを切り替えるものである。
【0033】
切り替え片8cはピン8dにより首振り自在に設けられている。切り替え片8cは電磁石(図示しない)によって横方向に首振りさせて、主レール8aと分岐レール8bとに切り替えられるようにしてある。電磁石は果菜搬送体1の下方に設置されている。電磁石への電流供給は、計測判別手段2から出力される制御信号により行われるようにしてある。
【0034】
この実施形態では、切り替え片8cは通常は図5のA部の二点鎖線で示す方向に待機していて分岐レール8bの入口を閉じ、主レール8aの入口を開いている。この状態では、搬送されてくる果菜受体7のガイドピン7fが主レール8aを直進して果菜受体7が直進する。一方、振り分ける果菜受体7が到来したときは、切り替え片8cが図5のA部の実線で示す方向に回転して、ガイドピン7fが分岐レール8bに案内されるようにしてある。
【0035】
前記計測判別手段2は、果菜受体7で搬送中の果菜Aの等階級を判別するものである。この実施形態では、計測判別手段2として、光源と電子カメラ(CCDカメラ)と処理回路がケース内に収容されたものを用いている。
【0036】
光源は果菜受体7に載せた果菜Aに計測光を投射する手段、電子カメラは果菜Aを撮影する手段、処理回路は電子カメラの画像データを電算処理して果菜Aの形状や長さ、太さ等から果菜AをAM、AL、2S、B、C、・・・等のいくつかの等階級に判別して得られた等階級データ(制御信号)を出力する手段である。計測判別手段2には必要に応じて、果菜Aの重量を計測する重量計、糖度を計測する糖度計等を付加することができる。
【0037】
計測判別手段2は、果菜受体7上の果菜Aを、真上から撮影できるように設置することも、真下から撮影できるようにすることもできる。計測精度を高めるためには果菜Aの真上から撮影できるように設置するのが好ましい。この実施形態の計測判別手段2は、果菜受体7に果菜Aが載っていない場合には、載っていないことを検出できるようにしてある。電子カメラは二台以上設けて二以上の角度から撮影して、精度の高い等級判別ができるようにすることもできる。
【0038】
前記下り傾斜部1bは、上段搬送部1aで割り振られなかった果菜受体7を、果菜Aを載せたまま斜め下方に搬送する部分である。下り傾斜部1bは、ドライブチェーン5を下り傾斜させることにより下り傾斜にしてある。具体的には、図1及び図2に示すように、ドライブチェーン5の内側に支持ギヤ13を配置してドライブチェーン5を下から支持するとともに、ドライブチェーン5の上に配置した押しギヤ14でドライブチェーン5を押し下げて下り傾斜部1bとしてある。
【0039】
下り傾斜部1bの段数は所望数とすることができる。下り傾斜部1bの段数を多くすれば振り分け数を多くすることができるので、細かな等階級を振り分け(選別)が可能となる。しかも、段数が下方に増加するため、果菜搬送体1の奥行幅が格別広くなることもない。必要であれば、いずれの下段搬送部1cにも、計測判別手段2を設けて、それら計測判別手段2からの判別データに基づいて、果菜受体7を振り分けることもできる。
【0040】
前記下り傾斜部1bの主レール8aの幅方向両外側には、下り傾斜部1bを移動する果菜受体7の姿勢を水平又は略水平に保持する姿勢保持ガイド12が設けられている。この実施形態の姿勢保持ガイド12は、間隔をあけて平行に配置された二本の棒状部材である。姿勢保持ガイド12は、ドライブチェーン5よりも低い位置に設けてある。
【0041】
図7に示すように、姿勢保持ガイド12は、姿勢保持ガイド12に果菜受体7のガイド当接部7cが当接したときに、当該果菜受体7の姿勢が水平又は略水平に維持される角度で設けられている。二本の姿勢保持ガイド12の間隔は、果菜受体7のガイド当接部7cの間隔に合わせて適宜設計することができる。前記姿勢保持ガイド12は一例であり、これ以外の構造とすることもできる。
【0042】
前記下段搬送部1cは、下り傾斜部1bによって搬送された果菜受体7を先方に搬送し、その搬送中の果菜受体7を前記計測判別手段2の判別データに基づいて、等階級別に振り分ける部分である。下段搬送部1cには、主レール8aから分岐する複数の分岐レール8bが設けられている。分岐レール8bは等階級の数に応じて適宜の本数設置することができる。上段搬送部1aに設けられた主レール8a及び分岐レール8bと同様、下段搬送部1cに設けられた主レール8a及び分岐レール8bも切り替え片8cによって切り替えられるようにしてある。
【0043】
前記上段搬送部1aの分岐レール8bと同様、各分岐レール8bの先方には果菜取出し手段3が、各果菜取出し手段3の先方には引継ぎ搬送体4が設けられている。
【0044】
前記果菜取出し手段3は、各分岐レール8bに沿って移動する果菜受体7の上の果菜Aを一本ずつ取り出すものである。一例として図6に示す果菜取出し手段3は、果菜受体7のコンベア進入路7hに進入可能な取出しコンベア3aを六本備えている。取出しコンベア3aは六本より多くすることも少なくすることもできる。果菜取出し手段3には、いわゆるフリーフローの搬送機構を用いることもできる。
【0045】
前記引継ぎ搬送体4は、果菜取出し手段3から果菜Aを引き継いで搬送するものである。各引継ぎ搬送体4は、それぞれの手前側に位置する果菜取出し手段3と同じ高さで水平又は略水平に設けられている。引継ぎ搬送体4は果菜取出し手段3よりも低い位置に設けることもできる。また、引継ぎ搬送体4は果菜取出し手段3と一部が重なるように設けることもできる。引継ぎ搬送体4にはベルトコンベアを使用することができる。果菜取出し手段3と同様、引継ぎ搬送体4には、フリーフローの搬送機構を用いることもできる。
【0046】
引継ぎ搬送体4は、その回転速度を、果菜取出し手段3の回転速度よりも遅くして、果菜取出し手段3で間隔をあけて取り出された果菜Aが果菜取出し手段3の上に間隔を詰めて送り込まれるようにすることもできる。これにより、引継ぎ搬送体4に無駄な間隔が発生しにくくなり、引継ぎ搬送体4を効率よく使用することができる。引継ぎ搬送体4の回転速度は、果菜取出し手段3の回転速度と同じ或いはそれよりも早くすることもできる。
【0047】
引継ぎ搬送体4は常時回転するようにすることも、果菜Aが果菜取出し手段3から送り出されるたびに間欠回転するようにすることもできる。引継ぎ搬送体4を間欠回転させる場合、果菜取出し手段3から送り出される果菜Aを引き込めるように、果菜Aが果菜取出し手段3から送り出される少し前から間欠回転を始めるようにすることができる。果菜取出し手段3での送り出しと引継ぎ搬送体4での引き込みによって、果菜Aを引継ぎ搬送体4の上に確実に引き継ぐことができる。
【0048】
引継ぎ搬送体4で搬送される果菜Aは、包装作業者が一本ずつ取り出して作業台15の上の包装箱に箱詰めしたり、図示しない包装袋に袋詰めしたりすることができる。引継ぎ搬送体4で搬送される果菜Aは、図示しない自動包装機により自動包装させるようにしてもよい。
【0049】
なお、図示は省略しているが、下段搬送部1cの先方には、下段搬送部1cを通過した果菜受体7を主レール8aに復帰させる復帰用レールが配設されている。下段搬送部1cを通過した果菜受体7は復帰用レールに案内され、再び上段搬送部1aに戻るまでの間に主レール8aに復帰するようにしてある。
【0050】
(その他の実施形態)
前記実施形態では、ドライブチェーン5の内側に支持ギヤ13を配置するとともに、ドライブチェーン5の上に押しギヤ14を配置して下り傾斜部1bとしているが、支持ギヤ13や押しギヤ14に代えて、図8(a)~(c)に示すような支持ガイド16や押しガイド17を用いることもできる。
【0051】
図8(a)(c)に示す支持ガイド16は、ドライブチェーン5を下から支持する平板状の部材である。この支持ガイド16は、ドライブチェーン5が接触する上面側に水平支持部16aと下り支持部16bを備えている。水平支持部16aと下り支持部16bは連続した平滑面である。
【0052】
ドライブチェーン5が接触する上面側を平滑面とすることで、凹凸のある支持ギヤ13を用いる場合に比べて振動が小さくなり、振動による果菜Aの落下リスクを低減することができる。また、上面側を平滑面とすることで、支持ギヤ13を用いる場合に比べて、機械の衝突音も低減することができる。
【0053】
図8(b)(c)に示す押しガイド17は、ドライブチェーン5を上から押し下げる平板状の部材である。この押しガイド17は、ドライブチェーン5が接触する下面側に下り押し部17aと水平押し部17bを備えている。下り押し部17aと水平押し部17bは連続した平滑面である。
【0054】
ドライブチェーン5が接触する下面側を平滑面とすることで、凹凸のある押しギヤ14を用いる場合に比べて振動が小さくなり、振動による果菜Aの落下リスクを低減することができる。また、下面側を平滑面とすることで、押しギヤ14を用いる場合に比べて、機械の衝突音も低減することができる。
【0055】
図8に示す例では、支持ガイド16と押しガイド17の双方を用いる場合を一例としているが、支持ガイド16と押しガイド17はいずれか一方のみを用いることもできる。この場合、支持ガイド16と押しガイド17を用いない方には、支持ギヤ13や押しギヤ14を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の果菜自動選別装置は、胡瓜以外の果菜Aの自動選別にも用いることができ、茄子やゴーヤといった各種長物果菜Aの自動選別に特に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 果菜搬送体
1a 上段搬送部
1b 下り傾斜部
1c 下段搬送部
2 計測判別手段
3 果菜取出し手段
3a 取出しコンベア
4 引継ぎ搬送体
5 無端搬送体(ドライブチェーン)
6 支持バー
7 果菜受体
7a 取付け部
7b 果菜載置部
7c ガイド当接部
7d 貫通孔(前貫通孔)
7e 貫通孔(後貫通孔)
7f ガイドピン
7g 凹陥部
7h コンベア進入路
7i 当接傾斜面
8 ガイドレール
8a 主レール
8b 分岐レール
8c 切り替え片
8d ピン
9 駆動回転体
10 従動回転体
11 果菜載せ台
12 姿勢保持ガイド
13 支持ギヤ
14 押しギヤ
15 作業台
16 支持ガイド
16a 水平支持部
16b 下り支持部
17 押しガイド
17a 下り押し部
17b 水平押し部
A 果菜
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8