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  • 特許-横引き開閉門 図1
  • 特許-横引き開閉門 図2
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  • 特許-横引き開閉門 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-13
(45)【発行日】2024-02-21
(54)【発明の名称】横引き開閉門
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/20 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
E02B7/20 102
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020038306
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2020148084
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019041078
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520186222
【氏名又は名称】株式会社サン・パワー社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 薫
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-301442(JP,A)
【文献】特開2018-044589(JP,A)
【文献】特開2014-020064(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100410(JP,U)
【文献】特開2015-081500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定壁状部に対して開閉扉を横引きによって開閉する構造の横引き開閉門であって、
前記開閉扉に固定されたラック、及び前記固定壁状部に回転自在に保持されて前記ラックに噛合するピニオンギヤによって構成されるラックピニオン機構と、
前記ピニオンギヤに接続されて前記ラックピニオン機構を駆動させる減速駆動機構とを備え、
該減速駆動機構は、電動モータと、該電動モータの動力によって所要の水圧を出力する水圧ポンプと、前記ピニオンギヤに接続され、前記水圧ポンプから出力されて水圧配管を介して供給される水圧によって、減速された回転動力を、該ピニオンギヤに出力する水圧モータとを備え、
該水圧モータは、前記固定壁状部に保持された状態に配され
前記ピニオンギヤ及び前記水圧モータは、前記固定壁状部の上面部から片持ちに張り出した片持ち梁に下げた形態に保持されていることを特徴とする横引き開閉門。
【請求項2】
前記電動モータは、太陽光電池によって蓄電された蓄電池の電力によって駆動され、遠隔操作によって作動されることを特徴とする請求項1記載の横引き開閉門。
【請求項3】
前記電動モータ、水圧ポンプ、太陽光電池及び蓄電池は、前記ラックピニオン機構及び水圧モータが配された高さ位置よりも高い位置に設置されていることを特徴とする請求項2記載の横引き開閉門。
【請求項4】
前記ピニオンギヤは、手動ハンドルが接続可能に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の横引き開閉門。
【請求項5】
非常事態を感知して該非常事態の検出情報を出力する地震計や水位計の非常事態検出手段と、該非常事態検出手段から前記検出情報が入力されて非常事態であると判断した際には前記開閉扉を閉じるように、前記減速駆動機構の動作を制御する制御装置とを備えることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の横引き開閉門。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高潮を防ぐための防潮堤の開閉門や、河川の氾濫を防ぐための堤防の水門或いは区画された地域を水害から守るように設けられた周囲壁(水防壁)の出入口となる門部を開閉する開閉門などとして、固定壁状部に対して開閉扉を横引きによって開閉する構造の横引き開閉門に関する。
【背景技術】
【0002】
防潮堤の開口部や河川の合流部などに設けられる横引き開閉門では、地震による津波、台風による高波や、夜間の急激な増水などの非常事態に対応して、迅速且つ安全に開閉扉を閉じることが求められる。
しかし、この開閉扉の開閉作業は、一般的には人手によって行われており、所要の時間と労力がかかるため、緊急時に対応ができないことや、危険を伴うことがある。特に、津波に関しては、地震発生から襲来するまでの時間が短く、東日本大震災では閉門作業をされていた多くの尊き人命を失っている。
【0003】
この開閉扉の開閉作業を自動化するため、従来の横引き開閉門においては、例えば、扉体の上面に駆動ラックギアがその移動方向に延設されると共に、堤体(固定壁状部)に駆動ピニオンギアを回転駆動するギアモーター(電動モータ)が設けられた横引きゲート(横引き開閉門)が開示されている(特許文献1参照)。これは、固定壁状部に固定され、外部から電力が供給されることで駆動されるギアモーター(電動モータ)の駆動力によって、ゲート(開閉扉)が開閉されるものである。なお、この電動モータの駆動力を直接的に利用するものでは、大型の電動モータが必要となって大掛かりな構成になり易い。そして、その電動モータは外部電力を必要とするため、大規模災害時に外部電源が停電した場合は駆動できないことになる。
【0004】
これに対して、本出願人は、先に、固定壁状部に対して横引きの開閉扉を開閉する構造の横引き開閉門であって、開閉扉に固定された移動体と、移動体の移動を案内する固定壁状部に固定された移動体用直線ガイドと、固定壁状部に固定された固定ラックと、開閉扉に固定されたシリンダ装置と、シリンダロッドの先端に延長するように固定された移動ラックと、移動ラックの移動を案内する移動ラック用直線ガイドと、移動体に保持され、移動ラックに噛合する起動側ピニオンとそれに連係して固定ラックに噛合する従動側ピニオンを備えて、シリンダ装置の伸長動作を増速するように駆動力を伝達する動力伝達機構とを具備することで、小さな電動モータで、横引きの開閉扉の開放作業、及び閉塞作業にかかる自動化が可能になって、合理的に設置することができる横引き開閉門(特許文献2参照)を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-301442号公報([0022]、図6
【文献】特開2014-2006号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
横引き開閉門に関して解決しようとする問題点は、従来の電動モータの駆動力によって直接的に開閉扉が開閉されるものでは、大型の電動モータが必要となって大掛かりな構成になり易く、従来のシリンダ装置を介することによって駆動させるものでは、固定ラックと移動ラックの二つのラックが必要となって、その構成が複雑化するという問題がある。
そこで本発明の目的は、小さな電動モータで、横引きの開閉扉の開閉作業にかかる適切な自動化が可能になって、より合理的に設置することができる横引き開閉門を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかる横引き開閉門の一形態によれば、固定壁状部に対して開閉扉を横引きによって開閉する構造の横引き開閉門であって、前記開閉扉に固定されたラック、及び前記固定壁状部に回転自在に保持されて前記ラックに噛合するピニオンギヤによって構成されるラックピニオン機構と、前記ピニオンギヤに接続されて前記ラックピニオン機構を駆動させる減速駆動機構とを備え、該減速駆動機構は、電動モータと、該電動モータの動力によって所要の水圧を出力する水圧ポンプと、前記ピニオンギヤに接続され、前記水圧ポンプから出力されて水圧配管を介して供給される水圧によって、減速された回転動力を、該ピニオンギヤに出力する水圧モータとを備え、該水圧モータは、前記固定壁状部に保持された状態に配されている。
【0008】
本発明にかかる横引き開閉門の一形態によれば、前記ピニオンギヤ及び前記水圧モータは、前記固定壁状部の上面部から片持ちに張り出した片持ち梁に下げた形態に保持されていることを特徴とすることができる。
【0009】
本発明にかかる横引き開閉門の一形態によれば、前記電動モータは、太陽光電池によって蓄電された蓄電池の電力によって駆動され、遠隔操作によって作動されることを特徴とすることができる。
【0010】
本発明にかかる横引き開閉門の一形態によれば、前記電動モータ、水圧ポンプ、太陽光電池及び蓄電池は、前記ラックピニオン機構及び水圧モータが配された高さ位置よりも高い位置に設置されていることを特徴とすることができる。
【0011】
本発明にかかる横引き開閉門の一形態によれば、前記ピニオンギヤは、手動ハンドルが接続可能に設けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる横引き開閉門の一形態によれば、非常事態を感知して該非常事態の検出情報を出力する地震計や水位計の非常事態検出手段と、該非常事態検出手段から前記検出情報が入力されて非常事態であると判断した際には前記開閉扉を閉じるように、前記減速駆動機構の動作を制御する制御装置とを備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の横引き開閉門によれば、小さな電動モータで、横引きの開閉扉の開閉作業にかかる適切な自動化が可能になって、より合理的に設置することができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る横引き開閉門の形態例を示す側面図である。
図2】本発明に係る横引き開閉門の駆動システムを示すブロック図である。
図3図1の形態例の開門時を示す正面図である。
図4図1の形態例の閉門時を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る横引き開閉門の最良の形態例を、添付図面(図1~4)に基づいて詳細に説明する。
この横引き開閉門は、固定壁状部10に対して開閉扉20を横引きによって開閉する構造を有するものである。
【0015】
15はラックピニオン機構であり、開閉扉20に固定されたラック21、及び固定壁状部10に回転自在に保持されて前記ラック21に噛合するピニオンギヤ16によって構成され、動力伝達機構になっている。なお、本形態例では、ラック21が、開閉扉20の上面に、その長手方向へ延設・固定されている。
【0016】
30は減速駆動機構であり、ピニオンギヤ16に接続されてラックピニオン機構15を駆動させるように構成されている。
この減速駆動機構30は、電動モータ31と、その電動モータ31の動力によって所要の水圧を出力(流出)する水圧ポンプ32と、ピニオンギヤ16に接続され、水圧ポンプ32から出力されて水圧配管34を介して供給される水圧によって、減速された回転動力を、そのピニオンギヤ16に出力する水圧モータ33とを備える。
なお、水圧モータ33としては、株式会社リベックス(京都市下京区七条御所ノ内南町83番地)によって製造されたものを用いることができる。
【0017】
これによれば、電動モータ31の駆動力を、水圧ポンプ32を介して減速することができ、さらに、水圧モータ33を介して減速することができる。例えば、1分当たり1800回転する電動モータ31の回転数が、例えば、30分の1に減速された1分当たり60回転する水圧モータ33の出力に変換することができる。このため、開閉扉20の開閉駆動に必要な押圧力を、小型の電動モータ31で適切に得ることができる。すなわち、本形態例では、例えば24Vの小さな電動モータによっても、開閉扉20の開閉駆動に必要な十分な水圧を得ることができる。なお、その水圧による駆動力によってなされる開閉扉20の開閉作業は、高速である必要はなく、また、その開閉扉20の開閉は短時間に繰り返されるものではないため、本形態例のように減速が十分になされる構成によっても不都合はない。
【0018】
また、本形態例によれば、電動モータ31は、太陽光電池40によって蓄電された蓄電池51の電力によって駆動され、遠隔操作によって作動されるように設けられている。すなわち、水圧ポンプ32及び水圧モータ33が、電動モータ31で駆動するように設けられていることになり、その電動モータ31の電源が、太陽光電池40によって蓄電される蓄電池51になっている。このため、外部電源を必要とすることがなく、電源について自己完結的な構成となっており、災害時に外部電源が失われる際にも、独立して作動することができる。
【0019】
これに対して、特許文献1に開示されたような電動モータ31の力を直接的に利用するものでは、一般的に200Vの動力用の外部電源を必要とすることになり、大掛かりな構成になり易く、大規模災害時に外部電源が停電した場合は駆動できないことになる。
【0020】
そして、水圧モータ33は、固定壁状部10に保持された状態に配されている。さらに、本形態例では、ピニオンギヤ16及び水圧モータ33は、固定壁状部10の上面部11から片持ちに張り出した片持ち梁12に下げた形態に保持されている。
【0021】
本発明によれば、水圧モータ33が、減速機として小型軽量に構成できるため、歯車による減速機による場合に比較しても、固定壁状部10に適切に保持された状態により合理的に配置することができる。また、本発明によれば、特許文献1に開示されたようなシリンダ装置を利用する場合に比較しても、その構成が複雑化することがなく、簡易な構成によって固定壁状部10に適切に保持された状態により合理的に配置することができる。
さらに、本形態例において詳細には、水圧モータ33が、片持ち梁12の自由端側に保持されることで、固定壁状部10の平面位置に対して、ピニオンギヤ16を挟んで反対側の平面位置に保持された形態となっており、ピニオンギヤ16と水圧モータ33の出力軸とが直列に配された状態に連結されている。これによれば、後付けの仕様に対応し易い構成になっている。なお、この形態に限定されるものではなく、例えば水圧モータ33を固定壁状部10側に埋め込まれるような状態に配すれば、水圧モータ33をピニオンギヤ16へ固定壁状部10の側から連結できるのは勿論である。
【0022】
また、本形態例によれば、電動モータ31、水圧ポンプ32、太陽光電池40及び蓄電池51は、ラックピニオン機構15及び水圧モータ33が配された高さ位置よりも高い位置に設置されている。
このように、電動モータ31、水圧ポンプ32、太陽光電池40及び蓄電池51を高所に設置できるのは、ラックピニオン機構15を駆動させる水圧モータ33と、電動モータ31で作動する水圧ポンプ32とを、水圧配管34で接続することができることによる。すなわち、水圧配管34で接続できることで、水圧ポンプ32と、その水圧ポンプ32を作動させるための電動モータ31、太陽光電池40及び蓄電池51について、それらの設置位置の自由度を高めることができるためである。なお、水圧配管34としては、樹脂管を用いることができる。
【0023】
これによれば、ラックピニオン機構15及び水圧モータ33が水没するような災害時においても、電動モータ31、水圧ポンプ32、太陽光電池40及び蓄電池51は、高所に位置しているため、水没を免れることができる。従って、そのような非常時においても、適切に作動できる可能性を高めることができる。また、ラックピニオン機構15及び水圧モータ33は水没したとしても、耐水性が高い構成であり、特に水圧モータ33は、そもそも水を媒体として作動するものであり、その機能を維持できる可能性が高い。また、油圧装置のような油を使う構成でないため、水没したような場合にも、油が漏れて水や環境を汚染するような心配がない。
【0024】
さらに、本形態例のピニオンギヤ16は、手動ハンドルが接続可能に設けられている。すなわち、水圧モータ33を脱着した状態で、手動ハンドルが接続できる構成になっている。なお、本形態例では、ピニオンギヤ16と水圧モータ33とが、直列に、連結部材17(図1参照)によって接続される構成になっている。これによれば、反対に、手動ハンドルが接続できる構成の既存の横引き開閉門に、本形態例に係る水圧モータ33を構成要素として含む減速駆動機構30を、好適に配置できる構造となっている。従って、これによれば、後付けで、本発明にかかる横引き開閉門の自動開閉機構を構成できるという利点がある。なお、電動モータ31の駆動についての減速率を高めるためには、ピニオンギヤ16と水圧モータ33の間に歯車によって構成される減速機を介在させることも可能である。
【0025】
また、35は切換弁であり、水圧ポンプ32から水圧モータ33に水圧をその方向性を切り換えて送るべく、適宜に開閉できるように、図2に示すように配置された制御装置52によって制御されるように設けることができる。この切換弁35の制御によれば、水圧モータ33の回転方向を切り換えることができるため、その切り換えによって、開閉扉20の開閉の動作を切り換えることができる。なお、この切換弁35は、電磁弁によって構成することができる。
ところで、水圧モータ33の回転方向の切り換えは、これに限らず、例えば正逆の両方向に回転できる電動サーボモータによる電動モータ31の回転方向を切り換えるように制御装置52で制御することによって行うことも可能である。また、電動モータ31が電動サーボモータであることで、その回転数を制御することができ、それによって、開閉扉20にかかる開閉速度をコントロールすることも可能である。なお、この場合、35はポート(配管の接続部)として設けられていればよい。
【0026】
すなわち、これによれば、一方の水圧配管34を介して水圧が、水圧ポンプ32から水圧モータ33に出力・供給された際には、開閉扉20が閉じるようにピニオンギヤ16を回転させるように水圧モータ33を駆動させることができる。反対に、他方の水圧配管34を介して水圧が、水圧ポンプ32から水圧モータ33に出力・供給された際には、開閉扉20が開くようにピニオンギヤ16を逆回転させるように水圧モータ33を駆動させることができる。
【0027】
また、本形態例の水圧モータ33は、所定の水圧によってリリーフ弁として作用し、開閉扉20が閉じる際に作用する最大圧力を制御できる。このため、開閉扉20が閉じる際に、たとえ人が挟まれることがあっても、その圧力(水圧によって開閉扉にかかる圧力)が逃がされ、一定以上の圧力がかかることを回避することができ、横引き開閉門の安全性を向上できる。
なお、水圧モータ33は、凍結防止のために、不凍液が混合された水を媒体として作動
するようにして、冬季の横引き開閉門の信頼性を向上できるようにしてもよいのは勿論である。
【0028】
また、本形態例では、図2に示すように、無線やインターネット60によって、開閉扉20の開閉のための動作が、制御盤50内に配置された制御装置52を介して遠隔操作されるように設けられている。55は無線用リモコン装置である。また、本形態例では、53は通信装置ユニットであり、制御装置52に増設されて設けられる。そして、70は遠隔操作装置であり、インターネット60によって通信装置ユニット53に接続されている。
【0029】
これによれば、自動化された開閉扉20の開閉作業の操作を、遠隔操作によって好適に行うことができる。従って、作業者は横引き開閉門が設けられている現地での作業を全く行う必要がなくなり、迅速且つ安全に開閉扉20の開閉作業を行うことができる。
【0030】
また、本形態例においては、上述した水圧モータ33と同等の構成を有するものを、その入力と出力を反対に配して使用することで、上述の水圧ポンプ32として用いることができる。これによれば、減速駆動機構30を、複雑化することなくコンパクトに構成できると共に、より高い適切な減速率を好適に得ることができる。
【0031】
なお、図3及び図4に示すように、18は警告・表示灯であり、開閉扉20の開閉にかかる作動中に、発光して警報を表示することで安全性を向上できるように配置されている。なお、安全性を向上させるように警報を発するために、音声発生機を配置することもできるのは勿論である。
【0032】
また、図2に示すように、36は圧力計であり、両側の水圧配管34、34のそれぞれに接続されて設けられ、水圧モータ33にかかる水圧を検知してその情報を表示できるように設けられている。
【0033】
また、本形態例では、非常事態を感知して該非常事態の検出情報を出力する地震計56や水位計57の非常事態検出手段と、該非常事態検出手段から前記検出情報が入力されて非常事態であると判断した際には開閉扉20を閉じるように、減速駆動機構30の動作を制御する制御装置52とを備える構成になっている。
【0034】
すなわち、図2に示すように地震計56や水位計57は非常事態検出手段であり、有線又は無線(インターネット網や携帯電話回線を含む)によって、制御盤50内に配置された制御装置52に接続されており、異常(非常事態)を感知した場合には、その検出情報を出力できるものである。そして、本形態例では、それらの非常事態検出手段からの検出情報が入力された制御装置52は、その検出情報が基準値を超えて非常事態であることを判断した場合には、減速駆動機構30を自動的に作動させて開閉扉20を閉じるように制御するようにプログラムされている。
【0035】
これによれば、例えば夜間や休日などに予期しない災害が発生した際を含めて、例えば、水防壁の出入口となる門部を迅速に閉じ、水害による被害を未然に防止できる。なお、ここで用いられる水位計57などとは、本発明に係る横引き開閉門の近傍の川や側溝などに設置されているものに限定されず、河川や海面の水位或いは津波などを遠隔地で観測するものであって、その検出情報を制御装置52が入手できるものも含まれる。
【0036】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0037】
10 固定壁状部
11 上面部
12 片持ち梁
15 ラックピニオン機構
16 ピニオンギヤ
17 連結部材
18 警告・表示灯
20 開閉扉
21 ラック
30 減速駆動機構
31 電動モータ
32 水圧ポンプ
33 水圧モータ
34 水圧配管
35 切換弁
36 圧力計
40 太陽光電池
50 制御盤
51 蓄電池
52 制御装置
53 通信装置ユニット
55 無線用リモコン装置
56 地震計
57 水位計
60 インターネット
70 遠隔操作装置
図1
図2
図3
図4